(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】ウォータサーバ、その給水方法、およびその給水処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
B67D3/00 H
(21)【出願番号】P 2020162239
(22)【出願日】2020-09-28
(62)【分割の表示】P 2016211708の分割
【原出願日】2016-10-28
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000170130
【氏名又は名称】パーパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】幾留 眞一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅士
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0130137(US,A1)
【文献】実開昭56-172680(JP,U)
【文献】特開平09-206215(JP,A)
【文献】特開2009-079361(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0043785(KR,A)
【文献】特開2013-133166(JP,A)
【文献】特表2008-527220(JP,A)
【文献】特開2009-196650(JP,A)
【文献】特開2015-020759(JP,A)
【文献】特開2014-201322(JP,A)
【文献】特開2013-095497(JP,A)
【文献】特開2011-102154(JP,A)
【文献】特開2010-052772(JP,A)
【文献】特開2009-073528(JP,A)
【文献】特開2009-046150(JP,A)
【文献】特開2009-032106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0186488(US,A1)
【文献】米国特許第06871675(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00- 1/16,3/00- 3/04,
A47J 31/00-31/60,
F24H 1/08,
F25D 11/00,
E03C 1/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水と冷水とを混合する混合手段と、
前記温水と前記冷水の混合水に設定される給水温度を高温側に変更する加温スイッチと、
前記給水温度を低温側に変更する減温スイッチと、
前記加温スイッチまたは前記減温スイッチで設定される前記給水温度の設定温度レベルを表す温度表示部と、
前記加温スイッチまたは前記減温スイッチにより前記給水温度が変更されると、前記混合水が給水中か否かを判定し、給水中の場合に
、前記混合手段における前記温水と前記冷水の混合割合を変更せずに給水を継続させ、給水中でない場合に、前記加温スイッチが操作されると前記混合手段の
前記温水側の開度を
前記冷水側より増加させて前記混合水の給水温度を高め、前記減温スイッチが操作されると前記混合手段の
前記冷水側の開度を
前記温水側より増加させて前記混合水の給水温度を低下させることにより、
変更された前記設定温度レベル
での混合水を出水させる制御部と、
を備えることを特徴とするウォータサーバ。
【請求項2】
さらに、前記冷水の出水を指定する冷水スイッチと、
前記温水の出水を指定する温水スイッチと、
前記温水と前記冷水との混合を指定する混合スイッチと、
前記冷水の温度および前記温水の温度をそれぞれ監視する温度センサと、
を備え、前記制御部が、前記温度センサの検出温度を取得し、前記冷水の温度が第1の設定温度に達するまで前記冷水を出水させず、前記温水の温度が第2の設定温度に達するまで前記温水を出水させず、前記冷水が前記第1の設定温度に達した場合に前記冷水スイッチにより前記混合手段を低温側に切り替えて前記冷水を出水させ、前記温水が前記第2の設定温度に達した場合に前記温水スイッチにより前記混合手段を高温側に切り替えて前記温水を出水させ、また、前記混合スイッチにより前記混合手段で前記混合水を出水させることを特徴とする請求項1に記載のウォータサーバ。
【請求項3】
さらに、前記温度表示部が複数の発光手段を含み、該発光手段の発光数で前記温水と前記冷水の混合比率を表すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウォータサーバ。
【請求項4】
さらに、前記加温スイッチと前記減温スイッチの間隔内に前記温度表示部を配置し、前記加温スイッチ側に前記温水スイッチ、前記減温スイッチ側に前記冷水スイッチを配置し、前記温水スイッチと前記冷水スイッチの間隔内に前記混合スイッチを配置した操作パネルを備えることを特徴とする請求項2に記載のウォータサーバ。
【請求項5】
さらに、前記冷水スイッチ、前記温水スイッチまたは前記混合スイッチのロックを解除するロック解除スイッチを前記操作パネルに備えること特徴とする請求項4に記載のウォータサーバ。
【請求項6】
混合手段が、温水と冷水とを混合する工程と、
加温スイッチで、前記温水と前記冷水の混合水に設定される給水温度を高温側に変更する工程と、
減温スイッチで、前記給水温度を低温側に変更する工程と、
温度表示部が、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチで設定される前記給水温度の設定温度レベルを表示する工程と、
制御部が、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチにより前記給水温度が変更されると、前記混合水が給水中か否かを判定し、給水中の場合に
、前記混合手段における前記温水と前記冷水の混合割合を変更せずに給水を継続させ、給水中でない場合、前記加温スイッチが操作される
と前記混合手段の
前記温水側の開度を
前記冷水側より増加させて前記混合水の給水温度を高め、前記減温スイッチが操作されると前記混合手段の
前記冷水側の開度を
前記温水側より増加させて前記混合水の給水温度を低下させることにより、
変更された前記設定温度レベル
での混合水を出水させる工程と、
を含むことを特徴とするウォータサーバの給水方法。
【請求項7】
さらに、冷水スイッチで、前記冷水の出水を指定する工程と、
温水スイッチで、前記温水の出水を指定する工程と、
混合スイッチで、前記温水と前記冷水との混合を指定する工程と、
温度センサで前記冷水の温度および前記温水の温度をそれぞれ監視する工程と、
前記制御部が、前記温度センサの検出温度を取得し、前記冷水の温度が第1の設定温度に達するまで前記冷水を出水させず、前記温水の温度が第2の設定温度に達するまで前記温水を出水させず、前記冷水が前記第1の設定温度に達した場合に前記冷水スイッチにより前記混合手段を低温側に切り替えて前記冷水を出水させ、前記温水が前記第2の設定温度に達した場合に前記温水スイッチにより前記混合手段を高温側に切り替えて前記温水を出水させ、また、前記混合スイッチにより前記混合手段で前記混合水を出水させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載のウォータサーバの給水方法。
【請求項8】
さらに、前記温度表示部が、複数の発光手段の発光数により、前記温水と前記冷水の混合比率を表示する工程を含むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のウォータサーバの給水方法。
【請求項9】
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
混合手段に温水と冷水とを混合させる機能と、
加温スイッチで前記温水と前記冷水の混合水に設定される給水温度を高温側に変更する機能と、
減温スイッチで前記給水温度を低温側に変更する機能と、
前記加温スイッチまたは前記減温スイッチで設定される前記給水温度の設定温度レベルを温度表示部に表示させる機能と、
前記加温スイッチまたは前記減温スイッチにより前記給水温度が変更されると、前記混合水が給水中か否かを判定し、給水中の場合に
、前記混合手段における前記温水と前記冷水の混合割合を変更せずに給水を継続させ、給水中でない場合、前記加温スイッチの操作によ
り前記混合手段の
前記温水側の開度を
前記冷水側より増加させて前記混合水の給水温度を高め、前記減温スイッチの操作により前記混合手段の
前記冷水側の開度を
前記温水側より増加させて前記混合水の給水温度を低下させることにより、
変更された前記設定温度レベル
での混合水を出水させる機能と、
を前記コンピュータにより実行させるためのプログラム。
【請求項10】
さらに、冷水スイッチで前記冷水の出水を指定する機能と、
温水スイッチで前記温水の出水を指定する機能と、
混合スイッチで前記温水と前記冷水との混合を指定する機能と、
温度センサで前記冷水の温度および前記温水の温度をそれぞれ監視する機能と、
前記温度センサの検出温度を取得し、前記冷水の温度が第1の設定温度に達するまで前記冷水を出水させず、前記温水の温度が第2の設定温度に達するまで前記温水を出水させず、前記冷水が前記第1の設定温度に達した場合に前記冷水スイッチで前記混合手段を低温側に切り替えて前記冷水を出水させ、前記温水が前記第2の設定温度に達した場合に前記温水スイッチで前記混合手段を高温側に切り替えて前記温水を出水させ、また、前記混合スイッチで前記混合手段で前記混合水を出水させる機能と、
を前記コンピュータにより実行させるための請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
さらに、複数の発光手段の発光数により前記温水と前記冷水の混合比率を前記温度表示部に表示させる機能を前記コンピュータにより実行させるための請求項9または請求項10に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や冷水を給水するウォータサーバであって、給水温度の調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォータを所定温度に管理して貯め、利用者の要求に応じて給水するウォータサーバがある。冷水や温水が出るウォータサーバは、事業所や店舗などに限らず一般家庭にも普及している。
【0003】
このようなウォータサーバに関し、飲料水を加熱する温水タンクと、飲料水を冷却する冷水タンクを備え、温水と冷水を給水可能なウォータサーバであって、温水タンクと冷水タンクとを管路で接続し、温水タンク内の温水を冷水タンク内に充填させることで冷水タンクの殺菌処理を行うものがある。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウォータサーバでは、設定温度として、たとえば温水側を80~89〔℃〕に設定し、冷水側を6~12〔℃〕に設定している。このようにウォータサーバでは、高温の湯と低温の水とを給水することで、広い範囲の要求温度に対応可能にしている。またウォータサーバは、高温側と低温側のそれぞれについて数℃程度の温度調整が可能なものがある。
【0006】
しかし、一般家庭等でもウォータサーバを利用するなど、ユーザの範囲の広がりに伴って、ウォータサーバの用途も広がっている。高温の湯または低温の冷水が供給されれば用途に応じて利用することはできるが、たとえばお茶を淹れる場合や、薬を服用する場合、乳幼児用のミルクを作る場合には給湯温度が高すぎる。このような用途には、所謂ぬるま湯程度の温度が求められる。また冷水側でも同じように、低温過ぎる水では利用し難い場合がある。
【0007】
所望の温度の湯や水を得るために、利用者がカップなどの容器に温水と冷水とをそれぞれ給水して混合させる場合、要求する温度に成るように給水流量を調整するのは困難である。また、ウォータサーバから供給された温水に水道水等を混合させたのでは、清浄なミネラルウォータの価値を損ねることになるという課題がある。
【0008】
特許文献1には、斯かる課題について開示や示唆はなく、開示された構成でこのようなは課題を解決することができない。
【0009】
そこで、斯かる課題に鑑み、本願発明の目的は、所望の温度の湯または水を供給可能なウォータサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のウォータサーバの一側面によれば、温水と冷水とを混合する混合手段と、前記温水と前記冷水の混合水に設定される給水温度を高温側に変更する加温スイッチと、前記給水温度を低温側に変更する減温スイッチと、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチで設定される前記給水温度の設定温度レベルを表す温度表示部と、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチにより前記給水温度が変更されると、前記混合水が給水中か否かを判定し、給水中の場合に、前記混合手段における前記温水と前記冷水の混合割合を変更せずに給水を継続させ、給水中でない場合に、前記加温スイッチが操作されると前記混合手段の前記温水側の開度を前記冷水側より増加させて前記混合水の給水温度を高め、前記減温スイッチが操作されると前記混合手段の前記冷水側の開度を前記温水側より増加させて前記混合水の給水温度を低下させることにより、変更された前記設定温度レベルでの混合水を出水させる制御部とを備える。
【0011】
このウォータサーバにおいて、さらに、前記冷水の出水を指定する冷水スイッチと、前記温水の出水を指定する温水スイッチと、前記温水と前記冷水との混合を指定する混合スイッチと、前記冷水の温度および前記温水の温度をそれぞれ監視する温度センサとを備え、前記制御部が、前記温度センサの検出温度を取得し、前記冷水の温度が第1の設定温度に達するまで前記冷水を出水させず、前記温水の温度が第2の設定温度に達するまで前記温水を出水させず、前記冷水が前記第1の設定温度に達した場合に前記冷水スイッチにより前記混合手段を低温側に切り替えて前記冷水を出水させ、前記温水が前記第2の設定温度に達した場合に前記温水スイッチにより前記混合手段を高温側に切り替えて前記温水を出水させ、また、前記混合スイッチにより前記混合手段で前記混合水を出水させてよい。
【0012】
このウォータサーバにおいて、さらに、前記温度表示部が複数の発光手段を含み、該発光手段の発光数で前記温水と前記冷水の混合比率を表してよい。
【0013】
このウォータサーバにおいて、さらに、前記加温スイッチと前記減温スイッチの間隔内に前記温度表示部を配置し、前記加温スイッチ側に前記温水スイッチ、前記減温スイッチ側に前記冷水スイッチを配置し、前記温水スイッチと前記冷水スイッチの間隔内に前記混合スイッチを配置した操作パネルを備えてよい。
【0014】
このウォータサーバにおいて、さらに、前記冷水スイッチ、前記温水スイッチまたは前記混合スイッチのロックを解除するロック解除スイッチを前記操作パネルに備えてよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のウォータサーバの給水方法の一側面によれば、混合手段が、温水と冷水とを混合する工程と、加温スイッチで、前記温水と前記冷水の混合水に設定される給水温度を高温側に変更する工程と、減温スイッチで、前記給水温度を低温側に変更する工程と、温度表示部が、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチで設定される前記給水温度の設定温度レベルを表示する工程と、制御部が、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチにより前記給水温度が変更されると、前記混合水が給水中か否かを判定し、給水中の場合に、前記混合手段における前記温水と前記冷水の混合割合を変更せずに給水を継続させ、給水中でない場合、前記加温スイッチが操作されると前記混合手段の前記温水側の開度を前記冷水側より増加させて前記混合水の給水温度を高め、前記減温スイッチが操作されると前記混合手段の前記冷水側の開度を前記温水側より増加させて前記混合水の給水温度を低下させることにより、変更された前記設定温度レベルでの混合水を出水させる工程とを含む。
【0016】
このウォータサーバの給水方法において、さらに、冷水スイッチで、前記冷水の出水を指定する工程と、温水スイッチで、前記温水の出水を指定する工程と、混合スイッチで、前記温水と前記冷水との混合を指定する工程と、温度センサで前記冷水の温度および前記温水の温度をそれぞれ監視する工程と、前記制御部が、前記温度センサの検出温度を取得し、前記冷水の温度が第1の設定温度に達するまで前記冷水を出水させず、前記温水の温度が第2の設定温度に達するまで前記温水を出水させず、前記冷水が前記第1の設定温度に達した場合に前記冷水スイッチにより前記混合手段を低温側に切り替えて前記冷水を出水させ、前記温水が前記第2の設定温度に達した場合に前記温水スイッチにより前記混合手段を高温側に切り替えて前記温水を出水させ、また、前記混合スイッチにより前記混合手段で前記混合水を出水させる工程とを含んでよい。
【0017】
このウォータサーバの給水方法において、さらに、前記温度表示部が、複数の発光手段の発光数により、前記温水と前記冷水の混合比率を表示する工程を含んでよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明のプログラムの一側面によれば、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、混合手段に温水と冷水とを混合させる機能と、加温スイッチで前記温水と前記冷水の混合水に設定される給水温度を高温側に変更する機能と、減温スイッチで前記給水温度を低温側に変更する機能と、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチで設定される前記給水温度の設定温度レベルを温度表示部に表示させる機能と、前記加温スイッチまたは前記減温スイッチにより前記給水温度が変更されると、前記混合水が給水中か否かを判定し、給水中の場合に、前記混合手段における前記温水と前記冷水の混合割合を変更せずに給水を継続させ、給水中でない場合、前記加温スイッチの操作により前記混合手段の前記温水側の開度を前記冷水側より増加させて前記混合水の給水温度を高め、前記減温スイッチの操作により前記混合手段の前記冷水側の開度を前記温水側より増加させて前記混合水の給水温度を低下させることにより、変更された前記設定温度レベルでの混合水を出水させる機能とを前記コンピュータにより実行させる。
【0019】
このプログラムにおいて、さらに、冷水スイッチで前記冷水の出水を指定する機能と、温水スイッチで前記温水の出水を指定する機能と、混合スイッチで前記温水と前記冷水との混合を指定する機能と、温度センサで前記冷水の温度および前記温水の温度をそれぞれ監視する機能と、前記温度センサの検出温度を取得し、前記冷水の温度が第1の設定温度に達するまで前記冷水を出水させず、前記温水の温度が第2の設定温度に達するまで前記温水を出水させず、前記冷水が前記第1の設定温度に達した場合に前記冷水スイッチで前記混合手段を低温側に切り替えて前記冷水を出水させ、前記温水が前記第2の設定温度に達した場合に前記温水スイッチで前記混合手段を高温側に切り替えて前記温水を出水させ、また、前記混合スイッチで前記混合手段で前記混合水を出水させる機能とを前記コンピュータにより実行させてよい。
【0020】
このプログラムにおいて、さらに、複数の発光手段の発光数により前記温水と前記冷水の混合比率を前記温度表示部に表示させる機能を前記コンピュータにより実行させてよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、次のいずれかのような効果が得られる。
【0022】
(1) 要求した給水温度に対し、加温指示、減温指示を受けた制御部によって給水温度を制御することで、混合水の温度制御が可能である。
【0023】
(2) 加温指示および減温指示に基づく設定温度で出水することができる。
【0024】
(3) 加温スイッチまたは減温スイッチの操作で混合水の設定温度に対する温度調整処理の迅速化を図れる。
【0025】
(4) 加温スイッチと減温スイッチの操作により混合手段の開度比率を制御して、所望の設定温度の混合水により出水が可能である。
【0026】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
【
図4】ウォータサーバの外観構成例を示す図である。
【
図6】給水処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施の形態〕
【0029】
図1は、第1の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
【0030】
このウォータサーバ2は、ミネラルウォータや精製した水などの清浄な水を少なくとも低温および高温に温度管理して貯め、利用者の要求に応じて給水する温水・冷水供給装置である。またこのウォータサーバ2では、温度管理された冷水と温水とをそれぞれ所定の割合で混合させ、利用者が要求する温度で給水させる機能を備える。
【0031】
このような機能を実現するウォータサーバ2は、たとえば冷水CWを貯める冷水タンク4、温水HWを貯める温水タンク6、冷水タンク4を冷却する冷却手段8、温水タンクを加熱する加熱手段10、冷水CWと温水HWとを所定の割合で混合する混合手段12、混合手段12の混合割合を制御する制御装置20を備える。また、ウォータサーバ2は、冷水タンク4から混合手段12に冷水CWを流す給水管路14と、温水タンク6から混合手段12に温水HWを流す給水管路16、外部に給水する給水口18を備える。
【0032】
冷水タンク4は、内部の水を冷却手段8によって生成した冷水CWを貯留する手段の一例である。冷却手段8は、低温側の設定温度に基づいて冷水タンク4内の冷水CWの温度を維持させる。また温水タンク6は、内部の水を加熱手段10によって生成した温水HWを貯留する手段の一例である。加熱手段10は、高温側の設定温度に基づいて温水タンク6内の温水HWの温度を維持させる。冷水タンク4および温水タンク6は、それぞれ図示しない給水手段に接続されており、給水要求によって消費された分の水が供給される。
【0033】
混合手段12は、冷水タンク4内の冷水CWと温水タンク6内の温水HWとを所定の割合で取り込み、混合することで、要求された温度の混合水MWを生成する手段の一例である。この混合手段12は、たとえば冷水タンク4から取り込む冷水CWの流量と温水タンク6から取り込む温水HWの流量の割合を調整する流量調整手段や、取り込んだ冷水CWと温水HWとを混合させる混合部を備える。またこの混合手段12は、たとえば冷水CWと温水HWとを混合して混合水MWを生成するほか、冷水CWまたは温水HWのみを取り込んで流してもよい。
【0034】
給水口18は、混合手段12に接続されており、混合手段12を通じて供給される混合水MWや、混合処理されていない冷水CWや温水HWを外部に給水する手段の一例である。この給水口18は、たとえば単一で構成されてもよく、または温水HW、冷水CW、混合水MWとでそれぞれ独立した構成としてもよい。
【0035】
制御装置20は、ウォータサーバ2の運転制御を行う制御機能の一例であり、たとえば利用者が設定した要求温度に対し、混合手段12の混合割合の調整機能を備える。また制御装置20は、たとえば冷却手段8や加熱手段10に接続され、水の冷却処理や加熱処理を実行させるほか、冷水タンク4や温水タンク6内の温度管理処理を行ってもよい。
【0036】
<第1の実施の形態の効果>
【0037】
斯かる構成によれば、次のような効果が得られる。
【0038】
(1) 利用者が設定した給水温度に対し、混合手段12に対して冷水タンク4側からの給水量と温水タンク6側からの給水量を制御装置20の指示によって制御することで、混合した湯水の温度制御が可能となる。
【0039】
(2) 温度差の大きい湯水を混合させることで、混合水の温度制御において、温水または冷水の流量を少なくできるので、冷水CWまたは温水HWの無駄を減らすことができる。
【0040】
(3) 混合させる湯水の温度差が大きく、混合による温度変化が大きいので、設定温度に対する温度調整処理の迅速化が図れる。
【0041】
(4) ウォータサーバ内のミネラルウォータを利用して給水温度を調整するので、供給する水の清浄性が維持される。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
【0043】
図2は、第2の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。
【0044】
このウォータサーバ30は、たとえば
図2に示すように、本体の上部側に常温の水Wを貯留する給水タンク32が設置されている。また本体内部には、たとえば上段に冷水タンク34が設置され、下段に温水タンク36が設置されている。冷水タンク34には、冷水CWが貯留される。温水タンク36には、温水HWが貯留される。
【0045】
給水タンク32は、ウォータサーバ30に対する給水手段の一例であり、常温の水Wが貯められている。この給水タンク32は、たとえば樹脂製や硝子製の容器内に水Wが充填されたいわゆるガロンボトルタイプの容器が利用されている。給水タンク32は、給水口38を下方側に向けてウォータサーバ30の本体天井側に載置することで、冷水タンク34の上部側に設置された受水部材40に給水口38が接続される。これにより給水タンク32内の水Wが冷水タンク34内に流出して、給水が行われる。
【0046】
なお、給水タンク32は、ガロンボトルタイプのものに限られず、ボール紙等で形成された外装ケースと、この外装ケースの内部に水Wを貯めた樹脂等の水容器を備える、所謂バックインボックスタイプを採用してもよい。
【0047】
冷水タンク34は、受水部材40を通じた水Wの流入を制御する手段として、弁機構42を備える。この弁機構42の開閉により、冷水タンク34に対して、水Wの流入と遮断とが切替えられる。弁機構42は、たとえば受水部材40の開口部分に接触し、または離間することで、水Wの流入と遮断とを切替える弁体44と、この弁体44を載置するとともに一端側が冷水タンク34や筐体の一部に回動可能に軸支された支持部46を備える。これにより支持部46の回動に応じて弁体44が受水部材40の開口部分に対して接触または離間する。また支持部46は、軸支されていない一端側にフロート48を備える。このフロート48は、冷水タンク34内の冷水CWの水面に浮遊する。
【0048】
この弁機構42は、フロート48の浮遊に応じて弁体44が受水部材40の開口部分を開閉させる。つまり、弁機構42は、冷水タンク34内の水位の増加によってフロート48が上昇し、その上昇によって支持部46が支持軸を中心に回動し、弁体44を上方に変移させる。そして、冷水タンク34内の冷水CWが所定の水位に達すると、弁体44が受水部材40の開口部分に達して接触することでこの開口部分を塞ぎ、給水タンク32から水Wの流入を遮断する。また、給水の要求により冷水タンク34内の水位が低下すると、それに伴ってフロート48が下降していく。そうすると、このフロート48の下降によって支持部46がフロート48の上昇時の動作と反対方向に回動することで弁体44を変移させ、受水部材40の開口部分から離間させる。これにより開口部分が開放状態となり、受水部材40を通じて給水タンク32内の水Wが冷水タンク34内に流入する。
【0049】
この冷水タンク34は、たとえば少なくともフロート48や弁体44の厚さにより、給水口38からの給水が遮断されたときに、冷水CWの水面と受水部材40の開口部との間に空気層ができる。フロート48および弁機構42により、冷水タンク34内の冷水CWと給水タンク32内の水Wを物理的にかつ熱的に接触させないようにしている。
【0050】
冷水タンク34には、たとえば冷水タンク34の内径よりも小さい径の仕切り板50を備えている。この仕切り板50は、たとえば冷水タンク34の中程の高さに配置されており、タンクの底部側に滞留する水とタンクの上部側の水とを仕切っている。つまり仕切り板50は、タンクの底部側に滞留する設定温度に冷却された冷水CWとタンクの上部側に滞留する設定温度に満たない冷水CWや給水された水Wとの接触量を抑えることで、貯留する冷水CWの温度変化を小さくしている。また、仕切り板50は、たとえば中心側に所定の径の開口部52が形成されおり、この開口部52を通じて温水タンク36に繋がる給水管54に接続されている。給水管54は、冷水タンク34内の水を温水タンク36側に流す管路の一例であり、仕切り板50の開口部52から冷水タンク34の底部を通過し、温水タンク36の下層側に開口している。
【0051】
このウォータサーバ30では、温水タンク36への水の補充と、冷水タンク34への水の補充とが一連の流れで生じる。温水タンク36は、冷水タンク34内にある水を取り込んで給水する。つまり、温水タンク36に対する温水HWの給水を実行すると、温水HWの出湯量に合わせて温水タンク36内の水位が低下する。温水タンク36の水位低下に対し、給水管54を通じて冷水タンク34内の水が温水タンク36に流れ込む。この温水タンク36への給水により冷水タンク34内の水の水位が変化すると、既述のように弁機構42が開となり給水タンク32内の水Wが冷水タンク34に供給される。これにより、給水タンク32内に水Wがある限り、温水タンク36および冷水タンク34を満水状態に維持させることができる。
【0052】
冷水タンク34には、設定温度としてたとえば6~12〔℃〕に冷却する蒸発器(evaporator)56や、冷水CWの温度を監視するための冷水センサ58が設置されている。蒸発器56は、たとえば冷水タンク34の周囲に巻回された管路で構成されており、内部に流れる冷媒によって冷水タンク34を冷却する。冷水センサ58は、たとえばサーミスタ温度計で構成されており、この検出データが制御装置90に取り込まれる。そして、冷水タンク34は、制御装置90からの指示に基づいて、冷水CWの温度が設定温度以下になっていない場合、冷水供給制限を行う。
【0053】
温水タンク36には、外部周囲にヒータ60が巻き付けられ、内部の水を加熱している。このヒータ60は、たとえば電熱式ヒータなどが用いられる。また温水タンク36には、タンク内の温度を監視する温水センサ62を備えている。この検出温度は温水温度管理や温水側の温水供給制限などに利用される。
【0054】
<給水側の構成>
【0055】
冷水タンク34の底部側には冷水管64が設置され、冷水タンク34内の冷水CWが給水口66側に流される。この冷水管64は、本開示の第1の給水管路の一例であり、管路途中に冷水の給水を制御する冷水電磁弁68が設置され、冷水管64内に流す流量が切替えられる。
【0056】
温水タンク36には、たとえば上部側に温水管70が接続され、給水の要求に応じて、温水タンク36内の温水HWが給水口72側に流される。この温水管70は、本開示の第2の給水管路の一例であり、管路途中に温水の給水を制御する温水電磁弁74が設置される。
【0057】
冷水管64は、たとえば冷水タンク34と冷水電磁弁68との間を分岐した冷水分岐管76を備える。この冷水分岐管76は、たとえば温水管70側に向けて形成される。また温水管70は、たとえば温水タンク36と温水電磁弁74との間を分岐した温水分岐管78を備える。この温水分岐管78は、たとえば冷水管64側に向けて形成される。そして冷水分岐管76と温水分岐管78は、ミキシングバルブ80に接続されている。
【0058】
ミキシングバルブ80は、冷水分岐管76から取り込んだ冷水CWと温水分岐管78から取り込んだ温水HWとを混合する混合手段の一例であり、冷水CWと温水HWとを混合することで、設定温度の混合水MWを生成して供給する機能を備える。ミキシングバルブ80で生成された混合水MWは、給水管81を通じて給水口82側に流される。ミキシングバルブ80は、たとえば電磁的制御により各開口部に対する開度を制御できる比例弁で形成されている。このミキシングバルブ80は、たとえば冷水分岐管76と温水分岐管78に対する開度が切替え可能となっており、給水口82側には開状態となっている。給水管81は、本開示の第3の給水管路の一例であり、ミキシングバルブ80で混合された混合水MWを給水口82側に流す。
【0059】
また、給水管81には、ミキシングバルブ80と給水口82との間に混合水MWの給水を制御する出水電磁弁84や混合水MWの給水温度を検出する出水温度センサ86を備える。ミキシングバルブ80、出水電磁弁84および出水温度センサ86は、制御装置90に接続されている。
【0060】
なお、ミキシングバルブ80は、電磁制御による比例弁を利用する場合に限られず、たとえば操作レバーの操作量に基づいて弁の開度状態を機械的に決める機械式の開閉弁を利用してもよい。
【0061】
ウォータサーバ30には、弁の開閉制御や冷水タンク34および温水タンク36内の温度制御を行う制御装置90を備える。この制御装置90は、給水および給湯の操作、温度表示、温度設定などの操作手段や状態表示手段を備える操作パネル92を備える。操作パネル92には、たとえば混合水MWの温度設定手段93を備えており、この設定温度に基づいてミキシングバルブ80の開度が決まる。そのほか、ウォータサーバ30には、蒸発器56との間で冷媒を流す冷却装置94が本体底部側に配置される。この冷却装置94は、たとえばコンプレッサ96、ドライヤ98、コンデンサ100、キャピラリチューブ102が冷媒管によって連結される。
【0062】
【0063】
この操作パネル92は、たとえば
図3に示すように、冷水スイッチ112、温水スイッチ114、ミックススイッチ116のロック解除するロック解除スイッチ110、冷水供給指示を出す冷水スイッチ112、温水供給指示を出す温水スイッチ114を備える。また、操作パネル92は、ミキシングバルブ80を通じて混合水MWを生成させて給水させるミックススイッチ116や、混合水MWの給水温度を高温側に設定する温度「+」スイッチ118と低温側に設定する温度「-」スイッチ120、混合水MWの設定温度を表す出水温度表示122を備える。
【0064】
温度「+」スイッチ118および温度「-」スイッチ120は、混合水MWの給水温度設定手段の一例であり、給水温度が設定されることでミキシングバルブ80の開度が設定される。つまり温度「+」スイッチ118を押下することで、給水設定温度が上昇する。この設定に対し、制御装置90は、ミキシングバルブ80の開度を温水分岐管78側に広くし、冷水分岐管76側を狭くする。これにより、ミキシングバルブ80は、出水温度設定前よりも多くの温水HWを流入させ、同時に、冷水CWの流入量を低下させるようになる。そして、多くの温水HWの混入により、出水温度が高くなる。また、混合水MWの出水温度を低下させるには、温度「-」スイッチ120の押下により、温水HWの流入量を減らし、冷水CW側の流入量を増やすことで、低温の混合水MWが出水できる。
【0065】
出水温度表示122は、たとえば一列に複数のランプが表示可能であって、その、高温「+」と低温「-」との間でランプが点灯することで、設定温度のレベルを示している。そして、温度「+」スイッチ118または温度「-」スイッチ120の操作によって点灯するランプが変ることで設定温度を報知する。出水温度表示122の表示は、たとえば温水側に設定した所定温度T1と冷水側に設定した所定温度T2との間の温度を表示ランプの数で分けた温度毎に設定されてもよい。またこの出水温度表示122は、設定温度のほか、ミキシングバルブ80に取り込まれる水の割合情報を示している。つまり、出水温度表示122は、「+」側に表示されれば、ミキシングバルブ80に取り込まれる温水HWの割合が多くなり、「-」側に表示が多ければ、ミキシングバルブ80に取り込まれる冷水CWの割合が多くなることを示す。
【0066】
<ウォータサーバの外観構成>
【0067】
【0068】
このウォータサーバ30には、たとえば
図4に示すように、本体部130の上部に給水タンク32を載置する載置部132を備えている。給水タンク32の交換時には、たとえば給水口66、72、82から出水が停止している際に、載置部132から給水タンク32を上方に持上げることで、本体部130を分離させることができる。
【0069】
本体部130の前面側には、たとえば筐体の傾斜面に温度表示や給水・給湯操作等を行う操作パネル92が配置される。この筐体の傾斜面は、たとえば本体部の高さ等に基づいて、利用者が表示内容を視認し易く、かつ操作しやすい角度が設定される。操作パネル92よりも下方側には給水部が形成され、冷水CWを流す給水口66、温水HWを流す給水口72とともに、混合水MWを流す給水口82が配置される。
【0070】
<制御装置の構成例>
【0071】
図5は、ウォータサーバの制御装置の構成例を示している。
図5に示す構成は一例であり、これに限定されない。
【0072】
制御装置90は、たとえばマイクロコンピュータなどで構成されており、プロセッサ140、メモリ142、I/O(Input/Output)144などを備えている。
【0073】
プロセッサ140は、たとえばCPU(Central Processing Unit )で構成され、メモリ142に記憶されているOS(Operating System)や水の冷却制御、加熱制御、弁開閉制御に関する制御プログラムなどの演算処理が行われる。メモリ142は、たとえば制御プログラムの演算が行われるワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)146、ROM(Read Only Memory)などの記憶領域であるデータ記憶部148、プログラム記憶部150を備える。
【0074】
データ記憶部148は、たとえばミキシングバルブ80の弁開度データベース152が記憶されているほか、出水温度センサ86が検出した混合水MWの出水温度情報を格納すればよい。プログラム記憶部150は、OSや給水制御プログラムのほか、たとえば検出した出水温度と出水設定温度とが一致するようにミキシングバルブ80の開度調整を行うための弁開度調整プログラム154等が記憶されている。
【0075】
I/O144は、ウォータサーバ30の各機能部と制御装置90との間のインターフェースの一例である。制御装置90は、I/O144を介して、冷水センサ58、温水センサ62、出水温度センサ86からの検出温度情報が取り込まれるほか、冷水電磁弁68、温水電磁弁74、出水電磁弁84、コンプレッサ96、ヒータ60、ミキシングバルブ80等に対する制御指示を出力する。また制御装置90は、たとえばI/O144を介して操作パネル92と接続しており、ロック解除スイッチ110、冷水スイッチ112、温水スイッチ114、ミックススイッチ116、温度「+」スイッチ118、温度「-」スイッチ120に対する操作入力を受けて各処理を実行するとともに、ロック解除表示ランプ156、温水表示ランプ157、冷水表示ランプ158、出水温度表示122等に対する動作指示を出力する。
【0076】
このように制御装置90からの動作指示によって冷水タンク34および温水タンク36に対する温度制御や、ミキシングバルブ80の開度制御、出水温度制御が実行される。
【0077】
<給水処理>
【0078】
図6は、ウォータサーバの給水処理の一例を示している。
図6に示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
【0079】
図6に示す処理は、本開示のウォータサーバの給水方法および給水制御プログラムの一例である。この処理では、冷水タンク34および温水タンク36の温度管理処理、混合水MWの給水設定温度に対するミキシングバルブ80の開度設定処
理等が含まれる。
【0080】
各タンクの温度管理処理として、温水タンク36内の水を所定温度T1に保温する(ステップS1)とともに、冷水タンク34内の水を所定温度T2に保温する(ステップS2)。この所定温度T1は、たとえば温水設定温度として、80~90〔℃〕または90~93〔℃〕に設定する。また、所定温度T2は、たとえば冷水設定温度として、6~12〔℃〕または12~16〔℃〕に設定する。所定温度T1、T2は、たとえば利用者の設定操作により決まり、または季節や月に応じて設定温度を変化させてもよい。
【0081】
混合水MWの混合温度の設定として、混合温度の設定変更がされているかを判断する(ステップS3)。この判断処理では、たとえば温度「+」スイッチ118や温度「-」スイッチ120が操作されたか否かを判断すればよい。混合温度の設定が変更された場合(ステップS3のYES)、混合水MWの給水中であれば(S4のYES)そのまま給水を継続させ、混合水MWの給水中でなければ(ステップS4のNO)、温度設定手段93に対して設定した温度に応じてミキシングバルブ80の開度を制御する(ステップS5)。ミキシングバルブ80の開度制御は、たとえば設定温度に対する弁開度を設定した弁開度データベース152を利用すればよい。この弁開度の調整により、温水タンク36から供給される所定温度T1の温水HWと、冷水タンク34から供給される所定温度T2の冷水CWの流量が決まる。
【0082】
給水処理として、温水利用要求か(ステップS6)、または冷水利用要求か(ステップS7)を監視する。温水または冷水の利用要求の監視は、たとえば操作パネル92の冷水スイッチ112が押下されたか、または温水スイッチ114が押下されたか否かを判断すればよい。
【0083】
温水利用要求の場合(ステップS6のYES)、温水タンク36内が所定の温水温度、つまり所定温度T1か否かを判断する(ステップS8)。所定温度T1の場合(ステップS8のYES)、温水電磁弁74を開放して(ステップS9)、給水口72から給水させる。
【0084】
温水利用要求に対して温水タンク36内の温度が所定温度T1でない場合(ステップS8のNO)、給湯準備が完了していないとして、温水電磁弁74を閉止状態にして給水を行わない(ステップS10)。
【0085】
また、冷水利用要求の場合(ステップS7のYES)、冷水タンク34内が所定の冷水温度T2か否かを判断する(ステップS11)。所定温度T2の場合(ステップS11のYES)、冷水電磁弁68を開放して(ステップS12)、給水口66から給水させる。また冷水利用要求に対して冷水タンク34内の温度が所定温度T2でない場合(ステップS11のNO)、給水準備が完了していないとして、冷水電磁弁68を閉止状態にして給水を行わない(ステップS10)。
【0086】
なお、ウォータサーバ30は、たとえば温水タンク36や冷水タンク34内の温度が所定温度T1またはT2に達していない場合であっても、給湯または給水の要求に応じて、給水を行ってもよい。この場合、たとえば設定温度に達していないことを操作パネル92に表示させてもよい。
【0087】
混合水MWの給水要求か否かを判断する(S13)。ミックススイッチ116が押下され、混合水MWの給水要求があれば(S13のYES)、出水電磁弁84を開放して(ステップS14)給水口82から給水させる。このとき制御装置90は、出水温度センサ86の検出温度を監視し、設定された混合水設定温度になるようにミキシングバルブ80の開度調整を行う(S15)。
【0088】
ミキシングバルブ80の制御には、たとえば弁開度データベース152等を利用し、給水前に設定された温度に対して弁の開度を設定する、所謂、フィードフォワード(FF)制御が採用される。そして、給水を開始すると、設定温度と検出した給水温度とを対比し、この対比によって求めた温度差に基づいて弁開度を調整する所謂、フィードバック(FB)制御を採用する。弁開度の調整では、たとえば弁開度調整プログラム154の実行により、設定温度に対する給水温度の温度差の値を算出するとともに、その温度差が正負いずれに寄っているかを判断する。そして、給水温度が設定温度よりも高い場合、すなわち温度差が正であれば温水タンク36からの給水量を減らすように弁開度を調整する。また温度差が負であれば、温水タンク36からの給水量を増やすように弁開度を調整すればよい。弁開度の変更量は、たとえばミキシングバルブ80の弁体の移動量と流量の変化量とを記憶した弁開度データベース152を利用してもよい。斯かる弁開度の調整により、冷水CWと温水HWを取り込む割合が制御される。
【0089】
混合水MWの給水要求でなければ(S13のNO)、全ての電磁弁を閉じて給水要求に対する待機状態とすればよい(ステップS16)。
【0090】
<第2の実施の形態の効果>
【0091】
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0092】
(1) 利用者が設定した給水温度の湯を給水することが可能となる。
【0093】
(2) 温度差の大きい湯水を混合させることで、混合水の温度制御において、混合水温度を広範囲で設定することができる。
【0094】
(3) 混合させる湯水の温度差が大きく、混合による温度変化が大きいので、設定温度に対する温度調整処理の迅速化が図れる。
【0095】
(4) ウォータサーバ内のミネラルウォータを利用して給水温度を調整するので、供給する水の清浄性が維持される。
【0096】
(5) ウォータサーバ30の管路内で温水HWと冷水CWとを混合させて、外部に給水させることで、混合時の飛びはねなどを生じさせず、安全性が高められる。
【0097】
(6) 混合水MWの給水時の温度を監視し、設定温度に対する弁開度を調整することで、利用者の要求した温度で給水することができ、利便性が高められる。
【0098】
(7) 給水中に混合温度を変更させないことで、給水を受けている利用者が意図しない状態で給水温度が変化することがなく、安全性が高められる。
【0099】
〔第3の実施の形態〕
【0100】
図7は、第3の実施の形態に係るウォータサーバの構成例を示している。
図7に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されない。
【0101】
この実施の形態は、単一の給水口を備えた場合の構成例である。このウォータサーバ160は、たとえば
図7に示すように、冷水タンク34に設置された冷水管64と温水タンク36に設置された温水管70とがミキシングバルブ80に接続される。ミキシングバルブ80には、冷水管64と温水管70から冷水CW、温水HWのいずれかまたは所定の比率の流量で両方が供給される。また給水処理は、出水電磁弁84の開閉によって実行される。すなわち、ミキシングバルブ80と出水電磁弁84は、設定された開度によって、冷水タンク34と温水タンク36に対する給水制御を行う冷水電磁弁68および温水電磁弁74として機能するとともに、各タンクからの流量制御手段として機能する。
【0102】
そしてこのウォータサーバ160は、温水HW、冷水CWまたは混合水MWの給水指示に対し、共通の給水口82から給水する。
【0103】
<ミキシングバルブ80の構成>
【0104】
ミキシングバルブ80は、たとえば
図8に示すように、弁筐体162の内部に温水と冷水とを流す混合管路164が形成される。この混合管路164は、たとえば一端側の側面に冷水管64が接続されるとともに、管路途中の側面に温水管70が接続される。すなわち、冷水管64と温水管70は、混合管路164の管路方向に対して所定の距離L1の間隔を持って平行に接続されている。また、混合管路164の流路終端側が開口され、給水口82側に混合水MWを流す排出管166が接続される。
【0105】
また混合管路164内には、管路内径と同等の外径を有し、内部が中空の作動管168を備える。この作動管168は、混合管路164内の流路方向に変位可能に設置されている。また作動管168は、その長さL2が冷水管64と温水管70との設置距離L1よりも長く、かつ混合管路164の長さL3よりも短い値で形成される。
【0106】
ミキシングバルブ80は、作動管168を混合管路164内で変位させるアクチュエータ170やこのアクチュエータ170の駆動手段であるモータ172を備える。アクチュエータ170は、弁筐体162内部に設置され、その端部が作動管168の端部に接続されている。アクチュエータ170は、たとえば作動管168と接触する先端部174が水を通水可能な単数または複数の軸状に形成されている。この先端部174は、たとえば混合管路164と作動管168との間の流路上に配置されるため、アクチュエータ170によって作動管168に対する冷水CWの流入を阻害しない形状および軸径に形成すればよい。アクチュエータ170は、モータ172の駆動により突出量が設定される。このアクチュエータ170の突出量に応じて、混合管路164内における作動管168の変動位置が決まる。モータ172は、制御装置90からの制御指示によって動作する。制御装置90は、たとえば作動管168の変動位置に対し、モータ172の動作量や動作方向を比例制御すればよい。
【0107】
これにより作動管168が混合管路164内を移動することで、その配置位置により、冷水管64と温水管70に対し、いずれか一方の管路に対して混合管路164を閉鎖させることや、両方の管路に対して混合管路164を開放する。すなわち作動管168は、その移動位置によって冷水CWと温水HWの流入量を決める弁体として機能する。
【0108】
このような構成により、ミキシングバルブ80は、たとえば
図8のAに示すように、作動管168が混合管路164の途中に配置されると、その配置位置により冷水管64側に対する開口面積V1と温水管70に対する開口面積V2が決まり、それぞれの面積に応じた流量で混合管路164に冷水CWと温水HWとが流入する。そして、給水処理では、冷水CWが作動管168の内部を通過し、作動管168から出たところで温水HWと混合して排出管166側に流される。
【0109】
弁開度データベース152には、たとえば温水の所定温度T1や冷水の所定温度T2と、作動管168の配置位置による開口面積V1、V2とから、作動管168の配置位置に対する混合水MWの温度が格納されている。これにより、ミキシングバルブ80の弁開度の設定および調整処理では、作動管168の配置位置が調整されればよい。
【0110】
ミキシングバルブ80は、温水HWを給水する場合には、たとえば
図8のBに示すように、アクチュエータ170を最も縮めた状態とし、作動管168によって冷水管64からの冷水CWを遮断することで、温水管70を全開状態にすればよい。これにより、温水管70から流入した温水HWは給水口82側に流れる。
【0111】
また、ミキシングバルブ80は、冷水CWを給水する場合には、たとえば
図8のCに示すように、アクチュエータ170を最も伸ばした状態とし、作動管168によって温水管70を遮断することで、冷水管64を開状態にすればよい。これにより、冷水管64から流入した冷水CWは作動管168を通過して給水口82側に流れる。
【0112】
<操作パネル92の構成>
【0113】
【0114】
操作パネル92は、例えば
図9に示すように、ロック解除スイッチ110と出水スイッチ190、温度設定手段93として、温度「+」スイッチ118と低温側に設定する温度「-」スイッチ120、混合水MWの設定温度を表す出水温度表示122を備えればよい。これにより冷水CWを給水させるには、温度「-」スイッチ120側を操作し、温水HWを給水させるには、温度「+」スイッチ118側を操作すればよい。
【0115】
<第3の実施の形態の効果>
【0116】
斯かる構成によれば、次のような効果が得られる。
【0117】
(1) 温水HWと冷水CWを混合させることができ、ウォータサーバが給水できる温度範囲が広がり、利便性が高められる。
【0118】
(2) 操作パネルの構成がシンプル化でき、給水または給湯スイッチの押し間違いにより、意図しない給水を回避させることができる。
【0119】
(3) 給水口や電磁弁の設置数を減らすことができ、かつ操作パネルの表示部の数を減らせるので、低コスト化および省エネ化が図れる。
【0120】
(4) 給水経路をミキシングバルブ側に絞ることで、装置本体内部の管路数を減少させることができるので、装置の小型化が図れる。
【0121】
(5) 給水経路をミキシングバルブ側に絞ることで、装置本体内部の管路数を減少させることができるので、部品の交換性などのメンテナンス性が向上する。
【0122】
(6) ウォータサーバ内で温水HWまたは冷水CWと水Wとを混合させることで、利用者が所望の温度の水または湯を得るまでに外気に晒される時間を少なくでき、湯又は水の清浄性が維持できる。
【0123】
(7) 外部から水道水などを混入させず、ウォータサーバ内のミネラルウォータ同士を混合させて温度調整ができるので、供給される混合水の清浄性が維持できる。
【0124】
以上説明した実施形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0125】
(1) 上記実施の形態では、混合水MWを生成する2つのタンクとして、ウォータサーバ30は、冷水タンク34と温水タンク36を利用する場合を示したがこれに限らない。ウォータサーバは、たとえば内部に貯留する水の設定温度を異ならせた複数のタンクを備えればよい。つまりウォータサーバは、冷水タンクまたは温水タンクのいずれかに代えて、もしくは、これらのタンクの他に異なる所定温度T3のタンクを備えてもよい。ウォータサーバは、たとえば所定温度T1よりも低い所定温度T3の中温水MHWが貯留された他の温水タンクをさらに備え、ミキシングバルブ80に対して温水タンク36の温水HWと他の温水タンク内にある中温水MHWとを混合して給水してもよい。
【0126】
(2) 上記実施の形態では、ウォータサーバは冷水タンク34と温水タンク36の2つのタンクを備え、これらのタンク内の冷水CWと温水HWの2種類を混合させて給水する場合を示したがこれに限らない。ウォータサーバは、設定温度が異なる3以上のタンクを備え、これらのタンク内の水を設定温度になるように混合した混合水MWを給水させてもよい。
【0127】
(3) 上記実施の形態では、混合水MWの給水温度を検出する出水温度センサ86の検出温度を監視し、設定された混合水設定温度になるように制御する場合を示したが、出水温度センサ86を設けず、設定された混合水設定温度に対して弁の開度を設定するのみの構成としてもよい。
【0128】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、温度管理された温水HWと冷水CWとを混合させることで、利用者が所望する温度の混合水を供給可能にし、ウォータサーバの利便性の拡大や温水と冷水の混合における安全性の確保および給水の清浄性の維持などを図ることができ、有益である。
【符号の説明】
【0130】
2、30、160 ウォータサーバ
4、34 冷水タンク
6、36 温水タンク
8 冷却手段
10 加熱手段
12 混合手段
14、16 給水管路
18、38、66、72、82 給水口
20 制御装置
32 給水タンク
40 受水部材
42 弁機構
44 弁体
46 支持部
48 フロート
56 蒸発器
58 冷水センサ
60 ヒータ
62 温水センサ
64 冷水管
68 冷水電磁弁
70 温水管
74 温水電磁弁
76 冷水分岐管
78 温水分岐管
80 ミキシングバルブ
84 出水電磁弁
86 出水温度センサ
90 制御装置
92 操作パネル
93 温度設定手段
110 ロック解除スイッチ
112 冷水スイッチ
114 温水スイッチ
116 ミックススイッチ
118 温度「+」スイッチ
120 温度「-」スイッチ
122 出水温度表示
148 データ記憶部
150 プログラム記憶部
152 弁開度データベース
154 弁開度調整プログラム
162 弁筐体
164 混合管路
166 排出管
168 作動管
170 アクチュエータ
172 モータ
174 先端部
190 出水スイッチ