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特許7085257動画解析サービス提供システム、動画解析サービス提供プログラム、及び動画解析サービス提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】動画解析サービス提供システム、動画解析サービス提供プログラム、及び動画解析サービス提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20220609BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022042609
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2022-03-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522107371
【氏名又は名称】株式会社ISO
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】磯 悠記
【審査官】萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-89639(JP,A)
【文献】特開2018-63551(JP,A)
【文献】国際公開第2015/033576(WO,A1)
【文献】料金 - Amazon Rekognition,[online],2021年08月11日,[令和4年5月12日検索], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20210811193245/https://aws.amazon.com/jp/rekognition/pricing/?nc=sn&loc=4>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付部と、
前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する解析処理部と、
前記解析処理部により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供部と、
前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定部と、を備えた、動画解析サービス提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動画解析サービス提供システムであって、
前記課金情報決定部は、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じた解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値として、前記対象の特定の動きの回数、時間、又は距離の少なくとも1つに基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する、動画解析サービス提供システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の動画解析サービス提供システムであって、
前記課金情報決定部は、前記対象の特定の動きの量を示す値に加えて、予め設定された利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数、又はコンピュータ資源利用可能量の少なくとも1つに基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する、動画解析サービス提供システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の動画解析サービス提供システムであって、
前記要求受付部は、前記解析要求として、前記解析処理部が検出するべき前記対象の特定の動作の指定をさらに受け付け、
前記課金情報決定部は、前記解析要求で前記ユーザに指定された特定の動作であって、前記解析処理部で検出された特定の動作の量を示す値に基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する、動画解析サービス提供システム。
【請求項5】
ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付処理と、
前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する処理と、
前記解析処理により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供処理と、
前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定処理と、をコンピュータに実行させる、動画解析サービス提供プログラム。
【請求項6】
コンピュータにより実行される動画解析サービス提供方法であって、コンピュータにより実行される工程は、
ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付工程と、
前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する解析処理工程と、
前記解析処理により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供部と、
前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定工程と、を含む、動画解析サービス提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画解析サービス提供システム、動画解析サービス提供プログラム、及び動画解析サービス提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動画データを解析して、動画に含まれる人等の対象の動きを検出する技術が用いられている。例えば、国際公開第2015/033576号公報には、店舗内の人物を撮像した画像を用いたセキュリティシステムが開示されている。このセキュリティシステムは、店舗内の人物を撮像した入力画像情報に基づいて、人物の手の動作をトラッキングするトラッキング部と、トラッキングした手の動作に基づいて、人物の不審動作を検出する不審動作検出部を備える。
【0003】
また、動画における対象を追跡する技術として、様々な技術が提案されている。例えば、特開2017-138658号公報では、コンピュータにより実行される物体追跡の方法が開示されている。この物体追跡方法では、予め学習された第1識別器を用いて、動画像を構成する複数の画像から物体を検出し、検出された物体のうち同一物体を対応付け、同一物体を用いた学習処理により第2識別器を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/033576号公報
【文献】特開2017-138658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、コンピュータシステムを用いて、ユーザからの要求に応じて動画解析処理を実行し、その結果を提供することを検討した。検討において、動画解析処理の利用料金を適切に設定することが難しいことがわかった。例えば、利用可能期間に対する利用料金を設定した場合、動画解析処理を利用しない場合にも利用料金が発生する。解析対象の動画時間に対する利用料金を設定した場合、解析結果として、ユーザの求める成果が得られない場合でも利用料金が発生する場合がある。
【0006】
そこで、本願は、動画データの解析処理サービスにおいて、ユーザの求める成果に対して適切な料金を課金することが可能になる動画解析サービス提供システム、方法、及びプログラムを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における動画解析サービス提供システムは、
ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付部と、
前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する解析処理部と、
前記解析処理部により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供部と、
前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、動画データの解析処理サービスにおいて、ユーザの求める成果に対して適切な料金を課金することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に実施形態における動画解析サービス提供システムの構成例を示す図
図2図1に示す動画解析サービス提供システムの動作例を示すフローチャート
図3】解析データの例を示す図
図4】解析データの他の例を示す図
図5】料金設定データの例を示す図
図6】ユーザが解析要求において必要な情報を入力するための画面の例を示す図
図7図1に示す動画解析サービス提供システムの動作の変形例を示すフローチャート
図8】料金設定データの他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態における動画解析サービス提供システムは、
ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付部と、
前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する解析処理部と、
前記解析処理部により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供部と、
前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定部と、を備える。
【0011】
上記動画解析サービス提供システムは、ユーザからの解析要求に応じて、動画データを解析し、動画に含まれる対象の特定の動きを検出し、その結果をユーザに提供する。これにより、ユーザは、動画データの解析処理サービスを利用することができる。このシステムにおいて、課金情報決定部は、ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された対象の特定の動きの量(検出量)を示す値に基づいて、ユーザに課金する利用料金又は、利用料金に応じたユーザの利用権限を決定する。ここで、対象の特定の動きの量を示す値は、動画解析の結果としてユーザが求める情報の量を定量的に表す値である。そのため、検出された特定の動きの量を示す値を用いることにより、動画解析による成果に基づいた適切な利用料金又は利用権限が決定される。その結果、ユーザの求める成果に対して適切な料金を課金することが可能になる。
【0012】
前記課金情報決定部は、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じた解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値として、前記対象の特定の動きの回数、時間、又は距離の少なくとも1つに基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定してもよい。これにより、解析処理の成果の量を定量的に表した値を用いて、利用料金又は利用権限を決定することができる。
【0013】
前記課金情報決定部は、前記対象の特定の動きの量を示す値に加えて、予め設定された利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数、又はコンピュータ資源利用可能量の少なくとも1つに基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定してもよい。これにより、予め設定された利用料金に加えて、解析処理の成果に応じた利用料金を組み合わせることができる。
【0014】
前記要求受付部は、前記解析要求として、前記解析処理部が検出するべき前記対象の特定の動作の指定をさらに受け付けてもよい。前記課金情報決定部は、前記解析要求で前記ユーザに指定された特定の動作であって、前記解析処理部で検出された特定の動作の量を示す値に基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定してもよい。これにより、ユーザが要求する特定の動きが解析処理によって検出できた度合いを定量的に表した値に基づいて利用料金又は利用権限を決定できる。
【0015】
解析データは、解析処理において動画データにおいて対象の位置又は状態を示す検出値の時系列データであってもよいし、検出値の時系列データに基づくさらなる解析処理で決定される特定の動きを示す検出結果データであってもよい。上記検出値は、例えば、対象の位置座標、形状、姿勢、向き、視線、表情、その他の状態を示す値であってもよい。検出結果データで示される特定の動きは、例えば、解析処理で検出された特定の動作又は状態の変化であってもよい。状態の変化は、可視な状態の変化であってもよいし、不可視な状態の変化であってもよい。
【0016】
前記課金情報決定部は、例えば、動きの量を示す値と利用料金との対応関係、又は、利用料金に応じた動きの量の利用可能上限を設定した料金設定データを用いて、上記決定をすることができる。
【0017】
前記課金情報決定部は、予め決められた期間又は利用回数の範囲内における前記ユーザからの解析要求に応じた解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定してもよい。これにより、予め決められた期間又は回数において、解析処理により、対象の特定の動きを検出できた度合いに応じた利用料金又は利用権限を決定できる。
【0018】
前記動画解析サービス提供システムは、前記課金情報決定部の決定に基づいて、課金処理又は利用制限処理を制御する課金制御部をさらに備えてもよい。課金制御部は、例えば、前記課金情報決定部が決定した利用料金に基づいて前記ユーザに対する課金処理を制御する、又は、前記課金情報決定部が決定した利用制限に基づいて、前記受付部が受け付けた解析要求に対する承認処理を制御してもよい。
【0019】
前記課金情報決定部は、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じた解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値、及び前記検出された前記対象の動きの種類に基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定してもよい。これにより、解析処理で検出される動きの種類に応じた利用料金又は利用制限を決定することができる。
【0020】
例えば、前記課金情報決定部は、例えば、検出対象の動きの種類毎に、動きの量と利用料金との対応関係、又は、利用料金に応じた動きの量の利用可能上限を設定した料金設定データを用いて、上記決定をすることができる。
【0021】
前記課金情報決定部は、前記解析要求で前記ユーザに指定された特定の動きであって、前記解析処理部で検出された前記対象の特定の動きの種類、及び、量に基づいて、前記利用料金又は前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定してもよい。これにより、ユーザに要求され、且つ、解析処理で検出された動きの種類に応じた利用料金又は利用制限を決定することができる。
【0022】
本発明の実施形態における動画解析サービス提供プログラムは、ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付処理と、前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する処理と、前記解析処理により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供処理と、前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定処理と、をコンピュータに実行させる。
【0023】
本発明の実施形態における動画解析サービス提供方法は、コンピュータにより実行される動画解析サービス提供方法である。コンピュータにより実行される工程は、ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付工程と、前記動画データに対する解析処理を実行することで、前記動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する解析処理工程と、前記解析処理により検出された前記対象の特定の動きを含む解析データを前記ユーザに提供する解析データ提供部と、前記解析データを用いて、前記ユーザからの少なくとも1回の解析要求に応じて実行された解析処理で検出された前記対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、前記ユーザに課金する利用料金、又は、前記利用料金に応じた前記ユーザの利用権限を決定する課金情報決定工程と、を含む。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明に実施形態における動画解析サービス提供システムの構成例を示す図である。動画解析サービス提供システム1は、ユーザからの要求に応じて動画データに対する解析処理を実行し、解析結果を示す解析データをユーザに提供する。そのため、ユーザは、動画解析サービス提供システム1が提供する動画解析サービスを利用することができる。動画解析サービス提供システム1は、ネットワークを介して、ユーザ端末10と通信可能である。また、動画解析サービス提供システム1は、記録部8にアクセス可能である。動画解析サービス提供システム1は、動画解析処理を実行する解析部と、ユーザに課金する利用料金を管理する課金管理部を含む。
【0025】
図1に示す例では、動画解析サービス提供システム1は、解析部として、要求受付部2、解析処理部3、及び、解析データ提供部4を備え、課金管理部として、課金情報決定部5及び課金制御部6を備える。
【0026】
要求受付部2は、ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける。要求受付部2は、ユーザが、解析要求を入力するためのユーザインタフェースを提供する。例えば、要求受付部2は、ユーザ端末10に、解析要求の入力を受け付ける画面を表示させる。要求受付部が、ユーザから受け付ける解析要求には、例えば、解析対象の動画データ又はそれへのアクセス情報、動画データで示される動画中の解析の対象の指定、又は、検出するべき対象の動きの指定のうち少なくとも1つが含まれてもよい。要求受付部2は、受け付けた解析要求の動画データを取得し、動画解析サービス提供システム1が利用可能な状態にする。動画データは、例えば、動画ファイルでもよいし、リアルタイムで入力されるストリーミングデータであってもよい。動画データは、同時に複数のカメラで撮影された複数の動画を含んでもよい。
【0027】
解析処理部3は、解析要求のあった動画データに対する解析処理を実行する。解析処理には、動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する処理が含まれる。解析処理は、動画における対象の追跡(トラッキング)処理を含んでもよい。トラッキング処理は、動画データの複数の連続するフレームから継続的に対象を検出する処理である。フレームにおける対象の検出処理は、例えば、テンプレートモデルを用いたパターンマッチングによる検出、又は、ディープラーニング等の機械学習で得られた学習済みモデルを用いた検出等の処理を含んでもよい。なお、トラッキング処理は、例えば、動画に含まれる複数の対象を検出するものでよいし、1つの対象における1又は複数の部分を検出するものであってもよい。
【0028】
また、解析処理は、トラッキング処理の他の処理を含んでもよい。例えば、解析処理部3は、対象の形状、姿勢、向き、色等の状態を検出してもよい。トラッキングした対象の状態を検出することで、状態の変化を、特定の動きとして検出することができる。また、解析処理部3は、モーションキャプチャ等のセンサデバイス又はセンサシステムによって解析された対象の運動から特定の動きを検出してもよい。また、解析処理部3は、トラッキング処理の結果をさらに解析することにより、特定の動きを検出してもよい。例えば、トラッキング処理で得られた対象の軌跡又は動線に基づいて、対象の行動パターンを検出してもよい。また、解析処理部3は、動画データから得られる対象の状態を基に推定される、対象の不可視な状態の変化(例えば、感情、意思、内部状態、行動特性、不審行動の可能性度合い、異常性等)を、特定の動きとして検出してもよい。例えば、動画データから検出される対象の表情等の状態の変化、動作、又は、行動パターン等に基づいて、不可視な状態を推定することができる。この推定処理には、例えば、ディープラーニングで得られた学習済みモデルが用いられてもよい。
【0029】
解析処理部3は、例えば、動画データから得られる対象の位置又は状態の時系列データ、若しくは、動画データにおけるフレームの画像に対して、学習処理で得られた学習済みモデルを用いて処理することで、特定の動きを検出することができる。学習処理は、例えば、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングであってもよい。一例として、対象の位置又は状態の時系列データ、又は対象の画像の大量のパターンを用いたディープラーニングにより、学習済みモデルを生成できる。ディープラーニングは、教師あり又は教師なしいずれで実行されてもよい。学習済みモデルは、例えば、動画データから得られる対象の時系列データ、又は対象の画像を入力とし、特定の動きの検出結果を出力する処理の実行に用いられるモデルデータであってもよい。
【0030】
解析処理部3における検出の対象は、ユーザに指定されてもよいし、予め決められてもよい。また、対象は、特に限定されず、例えば、人、動物、物若しくはこれらの部位又は点を対象とすることができる。
【0031】
解析処理部3の解析処理で検出される対象の特定の動きは、例えば、対象の移動、停止、回転、等の単純な動きであってもよいし、形状、視線、姿勢等の状態の変化であってもよい。また、対象のジャスチャー、手話、歩行、走行、ジャンプその他の運動を含む動作パターン、又は、購買行動、食事、求愛行動、盗難行動等の行動パターンが、特定の動きとして検出されてもよい。
【0032】
なお、解析処理部3で検出される特定の動きは、1次元又は2次元の動きに限られず、3次元の動きであってもよい。例えば、解析処理部3は、動画データとして、多方向から同時に撮影された複数の動画を組み合わせた動画データ、奥行き情報も含めて撮影が可能なカメラで撮影された動画データ、もしくは、動画と、センサで検出された対象との距離又は対象の位置を示す情報との組み合わせたデータを取得してもよい。解析処理部3は、このような動画データを利用して、3次元的に対象物の動きを追跡することも可能である。
【0033】
解析処理部3は、解析処理の結果を示す解析データを記録部8に記録する。解析処理部3は、複数回の解析処理すなわち複数回の解析要求に応じて実行された解析処理の解析データを、記録部8に蓄積することができる。解析データは、解析処理で検出された対象の特定の動きを示す情報を含む。解析データで示される対象の特定の動きは、例えば、対象の位置又は状態の時系列データ、対象の移動軌跡(動線)のデータ、対象の状態の変化を示すデータ、検出された動作パターン又は行動パターンを示すデータ等で表される。
【0034】
解析データ提供部4は、ユーザに解析データを提供する。解析データ提供部4は、例えば、解析データ又は解析データへアクセスするための情報をユーザ端末10へ送信してもよい。解析データ提供部4は、ユーザ端末10が解析データにアクセス可能にするための処理を実行する。
【0035】
課金情報決定部5は、記録部8の解析データを用いて、ユーザに課金する解析処理の利用料金又は利用料金に応じたユーザの利用権限を決定する。利用料金は、ユーザの解析処理の利用すなわち動画解析サービスの利用に対して課金される料金である。なお、決定される利用料金は、0円(無料)である場合があってもよい。利用権限の決定は、ユーザが解析処理を利用できるか否かの決定であってもよい。例えば、ユーザの利用状況が、ユーザに課金される利用料金に対する利用可能上限に達しているか否かにより、利用権限の有無が決定されてもよい。
【0036】
課金情報決定部5は、解析データを用いて、ユーザの要求に応じて実行された解析処理で検出された対象の特定の動きの量を示す値を決定し、この値に基づいて、そのユーザの利用料金又は利用権限を決定する。特定の動きの量を示す値は、解析処理によって検出された情報の量を定量的に示す値と言える。そのため、解析処理の成果の量に応じた利用料金又は利用権限の決定が可能になる。特定の動きの量を示す値は、例えば、対象の特定の動きの回数、時間又は距離の少なくとも1つとすることができる。対象の特定の動きの回数は、例えば、動画データで追跡された1つの対象において検出された特定の動き(例えば、移動、停止、又は回転等)の回数であってもよいし、動画データにおいて検出された、特定の動きをした対象の数(例えば、所定領域で動いた対象の数、又は、特定の行動をした対象の数等)であってもよい。
【0037】
一例として、課金情報決定部5は、解析処理により検出された特定の動きの量を示す値が大きくなれば、利用料金が高くなるように利用料金を決定してもよい。例えば、検出された特定の動きの量を示す値が、予め決められた条件を満たすと、利用料金に所定額が加算されてもよい。他の例として、課金情報決定部5は、検出された特定の動きの量を示す値が、利用料金に応じて設定された利用可能上限に達しているか否かにより、利用権限の有無を決定してもよい。例えば、課金情報決定部5は、解析処理により検出された特定の動きの量を示す値が、利用可能上限値に達していない場合は利用権限ありとし、利用可能上限値に達した場合又は超えた場合は利用権限なしと決定してもよい。
【0038】
記録部8には、ユーザ毎に、解析処理毎の解析結果が解析データとして記録される。1人のユーザが複数回の解析要求をして複数回の解析処理が実行された場合、そのユーザの複数の解析処理のそれぞれについて、検出された動きを示すデータが記録される。この場合、課金情報決定部は、ユーザの複数回の解析処理のそれぞれで検出された特定の動作の量を示す値を合計した値を用いて、利用料金又は利用権限を決定することができる。すなわち、課金情報決定部5は、ユーザからの複数回の解析要求に応じた解析処理によって検出された特定の動作の量に基づいて、利用料金又は利用権限を決定することができる。例えば、予め設定された期間(例えば、1ヵ月)におけるユーザの解析要求による複数回の解析処理によって検出された特定の動きの量を示す値に応じてその期間の利用料金が決定されてもよい。又は、予め設定された期間又は利用回数内において、ユーザの解析要求による複数回の解析処理によって検出された特定の動きの量を示す値が、利用可能上限値に達しない場合は利用権限ありとし、利用上限値以上である場合は利用権限なしとしてもよい。
【0039】
課金情報決定部5は、解析処理で検出された特定の動きの量を示す値に加えて、その特定の動きの種類に基づいて、利用料金又は利用権限を決定してもよい。例えば、解析処理によって複数の種類の動きが検出された場合、動きの種類ごとの動きの量を示す値を用いて利用料金又は利用権限が決定されてもよい。また、解析処理によって検出された複数の種類の動きのうち一部の種類の動きの量を示す量に基づいて、利用料金又は利用権限が決定されてもよい。
【0040】
また、動きの種類に応じて、動きの量を示す値の計算方法が異なってもよい。一例として、検出される動きが、移動である場合は、回数、移動距離及び移動時間が、動きの量を示す値として計算され、検出される動きが、回転、である場合は、回数及び回転時間が動きの量を示す値として計算されてもよい。
【0041】
課金制御部6は、課金情報決定部5の決定に基づいて、課金処理又は利用制限処理を制御する。例えば、課金制御部6は、課金情報決定部5が決定したユーザの利用料金を、課金処理を実行する外部の課金システム(図示略)の課金データに反映させてもよい。この場合、課金システムは、課金データに基づいてユーザに対する課金処理を実行する。或いは、課金制御部6は、課金情報決定部5が決定した利用権限に基づいて、要求受付部2が受け付けた解析要求に応じるか否かを制御してもよい。例えば、課金情報決定部5が、利用権限ありと判断したユーザの解析要求は受け入れ、利用権限なしと判断したユーザの解析要求は拒絶するよう、要求受付部2を制御することができる。なお、課金制御部6は、動画解析サービス提供システム1の外部に設けられてもよい。
【0042】
動画解析サービス提供システム1は、1又は2以上のコンピュータにより構築できる。要求受付部2、解析処理部3、解析データ提供部4、課金情報決定部5及び課金制御部6の機能は、コンピュータのプロセッサが、所定のプログラムを実行することにより実現できる。そのようなプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な(non-transitory)記録媒体も、本発明の実施形態に含まれる。記録部8は、動画解析サービス提供システムを構成するコンピュータがアクセス可能な記録装置によって構成される。
【0043】
一例として、動画解析サービス提供システム1は、インターネット等のネットワークに接続されたサーバに実装されてもよい。また、要求受付部2、解析処理部3、解析データ提供部4、課金情報決定部5及び課金制御部6の少なくとも一部の処理は、ユーザ端末10、その他のサーバ以外のコンピュータにより実行されるよう構成されてもよい。
【0044】
(システム動作例)
図2は、図1に示す動画解析サービス提供システム1の動作例を示すフローチャートである。図2の例では、動画解析サービス提供システム1は、ユーザからの解析要求を待機する(S1)。要求受付部2は、ユーザからの解析要求を受け付けると(S2でYES)、課金情報決定部5は、ユーザに利用権限があるか否かを決定する(S3)。課金情報決定部5は、記録部8に記録された解析データを用いて、利用権限の有無を決定する。この場合、解析データは、ユーザの過去の解析要求に応じた解析処理の結果を示す解析データが用いられる。次に、解析データの具体例を挙げて、S3の処理を説明する。
【0045】
図3は、解析データの例を示す図である。図3の例では、解析データは、解析処理で検出された対象の位置及び状態の時系列データである。図3に示す時系列データは、解析処理で検出された特定の動きを示すデータの一例である。この時系列データは、ユーザID、動画ID、及び対象IDに対応付けられて記録される。一例として、対象の位置は、座標で表される。また、検出された対象の状態として、対象の向きが角度で表される。
【0046】
課金情報決定部5は、対象の位置の時系列データから、特定の動き(例えば、移動)の量を示す値として、対象の移動量を示す値を計算することができる。移動量を示す値は、例えば、対象の移動距離、移動時間又は移動回数の少なくとも1つとしてもよい。この移動量を示す値を、ユーザの過去の複数の動画及び複数の対象について合計したものが、特定の動きの量を示す値として算出される。課金情報決定部5は、この移動量を示す値の合計値に基づいて、利用権限の有無を決定することができる。なお、図3に示す時系列データを基づいて算出された動きの量を示す値が、解析データとして記録されてもよい。
【0047】
図4は、解析データの他の例を示す図である。図4は、時系列データに基づくさらなる解析処理で決定された特定の動きを示す検出結果データの例である。図4の例では、解析処理で検出された複数の特定の動きの種類(移動、停止、回転、・・・)のそれぞれに対して、動きの量を示す値が記録される。動きの量を示す値は、一例として、回数、距離、長さ(時間長)を含んでいる。
【0048】
図4の例では、検出された動きの量を示す値は、ユーザID、動画ID,及び、対象IDに対応付けられている。この例では、1つの動画データに対する解析処理で検出された1つの対象について検出された動きの量を示す値が記録される。解析処理で検出された動きの量を示す値の計算においては、例えば、同一の動画データの同一の対象が行った同一の種類の動きの量は、重複して計上しないようにすることもできる。なお、同一動画データ中の同一対象の同一種類の動きの量を重複して計上するか否かは、動きの種類に応じて変わっていてもよい。また、動きの種類に応じて、動きの量の値の計算方法又は動きの量の値を計上するか否かが変わっていてもよい。
【0049】
課金情報決定部5は、例えば、図4に示すような動きの種類毎の動きの量を示す値を、ユーザの過去の複数の動画及び複数の対象について合計した値を用いて、ユーザの利用権限の有無を決定することができる。例えば、予め決められた期間においてユーザの解析要求に応じて実行された複数の解析処理のそれぞれで検出された動きの種類毎の特定の動きの量を示す値を合計した値を用いてユーザの利用権限の有無が決定されてもよい。例えば、ユーザIDに対応付けられた検出結果データのうち更新日時が条件を満たすデータの動きの量を示す値を、動きの種類ごとに、合計した値が、利用権限を決定するための動きの量を示す値として用いられてもよい。
【0050】
課金情報決定部5は、複数の動きの種類のそれぞれの動きの量を示す値が、予め設定された利用権限を得るための条件を満たしているか否かを判断することで、ユーザの利用権限を決定することができる。利用権限を得るための条件は、ユーザに課金される利用料金に応じて決定される。例えば、利用料金に応じた動きの量の利用可能上限が設定される。設定された利用可能上限を示すデータは、料金設定データとして予め記録部8に記録される。
【0051】
図5は、料金設定データの例を示す図である。図5に示す例では、複数の動きの種類(移動、停止、回転、・・・)のそれぞれに対して、動きの量を示す値の上限が記録される。課金情報決定部5は、料金設定データを示す動きの量を示す値の上限と、解析データから得られる動きの量を示す値とを比較することで、ユーザの利用権限の有無を決定することができる。課金情報決定部5は、複数の動きの種類のそれぞれについて、解析データから得られる検出された動きの量を示す値と、料金設定データの動きの量を示す値の上限値とを比較してもよい。これにより、解析処理で検出される動きの種類に応じた課金管理が可能になる。
【0052】
課金情報決定部5は、一例として、複数の動きの種類のうち少なくとも1つにおいて、解析データから得られる動きの量を示す値が、設定料金データで定められた上限値に達した場合、利用権限がないと決定してもよい。或いは、課金情報決定部5は、複数の動きの種類の全てにおいて、検出された動きの量を示す値が上限に達するまでは、利用権限がありと決定してもよい。
【0053】
図5に示す例では、複数の動きの種類の全てについて動きの量の上限値が設定されている。解析処理で検出される複数の動きの種類の一部に、動きの量の上限値が設定されていないものが含まれてもよい。すなわち、解析処理部3の解析処理で検出できる動きの種類のうち一部のみに、動きの量の上限値を設定してもよい。これにより、例えば、動画解析サービスにおいて、オプション又は拡張機能として提供される特別な動きの検出処理に対して、利用量に応じた課金管理が可能になる。
【0054】
課金情報決定部5は、対象の特定の動きの量を示す値に加えて、予め設定された利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数又はコンピュータ資源利用可能量の少なくとも1つに基づいて、ユーザの利用権限を決定してもよい。図5の例では、料金設定データとして、課金料金、利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数、及びコンピュータ資源利用可能量が、ユーザIDに対応付けて記録される。利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数、及びコンピュータ資源利用可能量は、ユーザに課金される利用料金に応じて決まる動画解析サービス(解析処理)の利用条件である。ユーザは、利用料金に応じた利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数及びコンピュータ資源利用可能量で示される範囲で、サービスを利用できる。課金情報決定部5は、ユーザの利用状況が、利用設定データが示す利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数、及びコンピュータ資源利用可能量のいずれの範囲内である場合に、利用権限ありとし、ユーザの利用状況が、これらのいずれか1つの範囲から外れている場合は、利用権限なしと判断してもよい。なお、利用可能期間、利用可能動画時間、利用可能回数及びコンピュータ資源利用可能量の全て、又はこれらの少なくとも1つは省略されてもよい。
【0055】
また、図5の例では、一例として、コンピュータ資源利用可能量に、CPU使用量、ディスク使用量及びネットワーク使用量が含まれているが、これらのうち少なくとも1つは省略されてもよいし、これら以外のコンピュータ資源の利用可能量が設定されてもよい。コンピュータ資源利用可能量は、システム環境に応じて適宜設定することができる。
【0056】
課金情報決定部5は、解析データから得られる検出された動きの量を示す値と、料金設定データの上限値とに基づいて、ユーザの残りの利用可能量として算出してもよい。算出した利用可能量は、ユーザに対して出力されてもよい。
【0057】
図2のS3において、課金情報決定部5が、ユーザに利用権限がないと判断した場合(S3でNO)、解析要求の待機状態(S1)に戻る。この場合、要求受付部2は、ユーザに対して、現在の利用料金では、動画解析サービスを利用できない旨のメッセージを出力してもよい。また、解析処理を実行するためのさらなる料金の支払いを案内するメッセージが出力されてもよい。S3でNOの場合、例えば、課金制御部6が、要求受付部2に、メッセージの出力及び待機状態へ戻る処理を実行させてもよい。
【0058】
図2のS3において、課金情報決定部5が、ユーザに利用権限ありと判断した場合(S3でYES)、動画解析の処理(S4~S8)が実行される。図2の例では、動画解析のための準備処理として、動画データを取得する処理(S4)、ユーザから対象の指定を受け付ける処理(S5)、及び、ユーザから検出すべき動きの指定を受け付ける処理(S6)が実行される。これらの処理は、例えば、要求受付部2によって実行される。例えば、S3でYESの場合に、課金制御部6が、要求受付部2にS4~S6の処理の実行を許可してもよい。
【0059】
S4~S6において、例えば、要求受付部2は、ユーザ端末10に、ユーザからの入力を受け付けるための画面を表示させる。図6は、ユーザが解析要求において必要な情報を入力するための画面の例を示す図である。図6は、一例として、動画中の動物の動きを解析する動画解析サービスが提供される場合の画面例である。
【0060】
図6に示す例では、メニュー画面G1において、動画ファイル選択ボタンB1、対象設定ボタンB2、及び、動き設定ボタンB3が表示される。動画ファイル選択ボタンB1がクリックされると、解析を要求する動画ファイルを指定するための画面(図示略)が表示される。この画面でユーザに指定された動画ファイル又は動画ファイルへアクセスするための情報が、動画解析サービス提供システム1へアップロードされる。
【0061】
対象設定ボタンB2がクリックされると、対象設定画面G2が表示される。対象設定画面G2では、ユーザが指定した動画ファイルの動画の1フレームの画像P1が表示される。画像P1における任意の領域が選択可能になっている。ユーザは、画像P1において解析の対象が写る領域(例えば、領域A1)を選択することで、対象を指定できる。これにより、ユーザが簡単な操作で対象を指定できるユーザインタフェースが提供される。要求受付部2は、1回の解析要求において複数の対象の指定を受け付けてもよい。すなわち、要求受付部2は、同時に追跡する複数の対象の指定を受け付けてもよい。例えば、対象設定画面G2は、ユーザが複数の領域を選択することで複数の対象を指定できるよう構成されてもよい。
【0062】
動き設定ボタンB3がクリックされると、検出すべき動きを指定するための画面G3が表示される。画面G3では、解析処理によって検出可能な複数の動きの種類が、それぞれ選択可能な状態で表示される。ユーザは、検出したい動きの種類を選択することで、解析処理で検出すべき特定の動きを指定することができる。
【0063】
要求受付部2は、ユーザからの検出すべき動きの指定の受付において、ユーザに、動画データにおける画像中で、特定の動きを検出したい任意の監視領域の指定を受け付けてもよい。例えば、画面G3の動画のフレームの画像P1において、ユーザが監視領域を選択できるようにしてもよい。この場合、解析処理によって、ユーザが指定した監視領域における特定の動きが検出されることになる。例えば、ユーザが指摘した監視領域への対象の出入り、滞在時間、移動距離等が、解析処理において検出される。
【0064】
なお、対象の指定及び動きの指定の少なくとも1つの受付は、省略してもよい。例えば、予め検出すべき対象及び動きが決まっているような動画解析サービスを提供する場合は、対象及び動きの指定の受付は不要である。一例として、動画中の予め決められた対象(例えば、人、自動車等)の数をカウントするサービスや、対象の予め決められた動作又は行動(例えば、手話動作、購買行動、盗難行動等)を検出するサービス等では、ユーザからの対象及び動きの指定を受け付けなくてもよい。
【0065】
図2のS7において、解析処理部3は、S4で取得した動画データに対して解析処理を実行する。一例として、解析処理部3は、動画データの複数の連続するフレームにおいて、S5で指定された対象を検出するトラッキング処理を実行して、対象の位置及び状態の少なくとも1つの時系列データを記録部8に記録する。例えば、図3に示す時系列データが解析データとして記録されてもよい。
【0066】
例えば、上記のS5における対象の指定の受付処理では、図6の対象設定画面G2の例のように、ユーザが動画データにおいて対象が写る画像領域を選択する。解析処理部3は、このユーザが選択した画像領域から、対象の特徴を示す特徴データを生成してもよい。動画データの複数の連続するフレームにおいて、この特徴データを用いて対象を検出することができる。例えば、連続する複数のフレームにおいて、特徴データが示す特徴と近い特徴を有する領域が対象として検出される。このようにして、ユーザが動画データの1つのフレームで選択した画像領域に写る対象が、動画データの複数の連続するフレームにおいてトラッキングされる。
【0067】
S5において、要求受付部2が、ユーザから複数の対象の指定を受け付けた場合、解析処理部3は、複数の対象を同時に追跡する処理を実行してもよい。例えば、解析処理部3は、動画データにおける1つのフレームに複数の対象を検出し、この複数の対象を複数フレームにわたって同時に且つ継続的に検出するトラッキング処理を実行してもよい。これにより、複数の対象に対する解析処理を効率よく実行することができる。
【0068】
また、解析処理部3は、トラッキング処理で生成された時系列データに対してさらに解析処理を実行し、対象の特定の動きを検出してもよい。この場合、例えば、図4に示す検出結果データが解析データとして記録部8に記録される。
【0069】
S8において、解析データ提供部4は、S7で記録部8に記録された解析データを、ユーザに提供する。例えば、解析データ提供部4は、解析データ又は解析データにアクセスするための情報をユーザ端末10へ送信する。提供される解析データには、S6においてユーザが指定した動きであって、S7の解析処理で検出された対象の動きを示すデータが含まれる。このような動きを示すデータは、上記の形式の時系列データ、検出結果データの他、様々な形式をとり得る。検出された動きを示すデータは、例えば、対象の軌跡又は動線、動画において検出された動き又は対象の数、若しくは、検出された動作の時間(滞留時間)、等が含まれてもよい。
【0070】
図2に示す動作例では、ユーザから解析要求があった場合に、そのユーザの過去の解析要求により実行された解析処理の解析データを用いて、ユーザの利用権限の有無が決定される。ここで、過去のユーザの解析要求による解析処理で検出された動きの量を示す値が、ユーザに課金される利用料金に応じて設定された上限値に達しているか否かにより、利用権限の有無が決定される。これにより、解析処理の利用によってユーザが得る成果の量が、課金された利用料金に応じた量になるよう利用権限が決定されることになる。すなわち、動画解析サービスの成果に応じた適切な課金が可能になる。
【0071】
なお、図2の例では、課金情報決定部5による利用権限の決定は、要求受付部2が解析要求を受け付けた場合に実行される。この変形例として、課金情報決定部5が、予め利用権限を決定してその結果を記録部8に記録しておいてもよい。例えば、S7で解析処理による解析データが記録部8に記録されたこと(例えば、解析データ更新)を契機として、課金情報決定部5が、解析データに基づく利用権限の決定処理を実行してもよい。
【0072】
(システム動作の変形例)
図7は、図1に示す動画解析サービス提供システムの動作の変形例を示すフローチャートである。図7の例では、S1及びS2の処理は、図2に示す処理と同様に実行される。S2で要求受付部2が解析要求を受け付けた場合(S2でYES)、利用権限の判断は実行されず、無条件でS4~S8の処理が実行される。S4~S8の処理は、図2のS4~S8と同様に実行される。
【0073】
図7の例では、S8において、課金情報決定部5は、S2で受け付けたユーザからの解析要求に応じてS8で実行された解析処理による解析データを用いて、利用料金を決定する。決定した利用料金は、ユーザに対して表示される。課金情報決定部5は、S8の解析処理で検出された対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、ユーザに課金する利用料金を決定する。
【0074】
S8における利用料金の決定処理では、検出された動きの量と利用料金との対応関係を設定した料金設定データが用いられてもよい。図8は、料金設定データの例を示す図である。複数の動きの種類のそれぞれについて、動きの量を示す値と加算料金との対応関係が記録されている。課金情報決定部5は、S8の解析処理で検出された特定の動作の量を示す値に対応する利用料金を、料金設定データを参照して決定することができる。
【0075】
図8の料金設定データは、一例として、対象が移動する動作が10回検出されると、利用料金に500円が加算されることを示す情報(「¥500/10回」)が含まれる。S8の解析処理により、例えば、図4に示すような解析データが生成される。図4の解析データは、検出された対象の移動の回数が、21回であることを示している。この場合、課金情報決定部5は、料金設定データの示す対応関係「¥500/10回」を参照して、加算額を¥1000と決定する。なお、検出された動きの量に応じた加算額は、基本料金に対して加算されてもよいし、基本料金はなしで加算額の累計が課金されてもよい。なお、図8の例では、料金設定データにおいて、基本料金が、ユーザIDに対応付けられて記録される。
【0076】
このように、図7の動作例では、ユーザからの解析要求により実行した解析処理で検出された特定の動きの量を示す値に基づいて、利用料金が決定される。そのため、解析処理の利用によってユーザが得る成果の量に応じた利用料金が課金されることになる。これにより、ユーザ及び提供者の双方が納得しやすい従量制の課金が可能になる。すなわち、動画解析サービスの成果に応じた適切な課金が可能になる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1:動画解析サービス提供システム、2:要求受付部、3:解析処理部、4:解析データ提供部、5:課金情報決定部、6:課金制御部
【要約】
【課題】動画データの解析処理サービスにおいて、ユーザの求める成果に対して適切な料金を課金する。
【解決手段】動画解析サービス提供システム1は、ユーザからの動画データの解析要求を受け付ける要求受付部2と、動画データに対する解析処理を実行することで、動画データが示す動画に含まれる対象の特定の動きを検出する解析処理部3と、解析データをユーザに提供する解析データ提供部4と、解析データを用いて、解析処理で検出された対象の特定の動きの量を示す値に基づいて、ユーザに課金する利用料金、又は、利用料金に応じたユーザの利用権限を決定する課金情報決定部5と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8