(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】ネットワークにおける電力供給方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20220609BHJP
G06F 1/28 20060101ALI20220609BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
G06F1/26 306
G06F1/28
B60R16/023 Z
(21)【出願番号】P 2017080885
(22)【出願日】2017-04-14
【審査請求日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】10-2016-0045287
(32)【優先日】2016-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 眞 樺
(72)【発明者】
【氏名】韓 精 ソク
(72)【発明者】
【氏名】金 東 玉
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0080573(US,A1)
【文献】特開2015-180046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0258464(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0236853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 - 1/3296
B60R 16/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ネットワーク(network)における第1通信ノード(node)の動作方法であって、
前記第1通信ノードは、データライン(data line)を介して第2通信ノードに電力を供給するPSE(power sourcing equipment)及び前記データラインを介して前記第2通信ノードから電力を獲得するPD(powered device)を含み、
活性化されたPSE及び不活性化されたPDに基づく
第1モード(PSEモード)で動作する段階と、
前記データラインをモニタリング(monitoring)する段階と、
前記第2通信ノードから前記データラインを介して第1信号を受信する段階と、
前記第1通信ノードは、前記データラインの前記モニタリングにおいて、前記第1通信ノードの前記PDと前記データラインとの間のインターフェースであるPI(power interface)にて、フォールトの発生有無を確認する段階と、
前記第1信号があらかじめ設定された範囲内の電圧又は電流を有する場合、
前記第2通信ノードから電力供給が要請されたと判断する段階と、
前記第1信号に対する応答として前記データラインを介して前記第2通信ノードに電力を供給する段階と、
前記第1信号が前記あらかじめ設定された範囲以外である場合、
前記第2通信ノードがフォールト(fault)状態であると判断し、前記第2通信ノードのフォールト状態の発生を示す指示子を含む第2信号を外部に伝送する段階と、
前記第2通信ノードへの電力供給を中止する段階と、を含み、
前記第1通信ノードが内部フォールト状態として判断された場合、前記第2通信ノードへの電力供給を中止する段階と、をさらに含み、
前記内部フォールト状態の発生原因を示すフォールトコード(code)を前記第1通信ノードのデータベース(database)に格納する段階をさらに含むことを特徴とするネットワークにおける電力供給方法。
【請求項2】
前記内部フォールト状態の発生を示す指示子を含む他の第2信号を、前記車両ネットワークを構成する通信ノードに伝送する段階をさらに含むことを特徴とする
請求項1に記載のネットワークにおける電力供給方法。
【請求項3】
前記他の第2信号は、前記内部フォールト状態である前記第1通信ノードの識別子をさらに含むことを特徴とする
請求項2に記載のネットワークにおける電力供給方法。
【請求項4】
車両ネットワーク(network)における第1通信ノード(node)の動作方法であって、
前記第1通信ノードは、データライン(data line)を介して第2通信ノードに電力を供給するPSE(power sourcing equipment)及び前記データラインを介して前記第2通信ノードから電力を獲得するPD(powered device)を含み、
前記第1通信ノードの前記PSEが非正常的に動作する場合、前記第1通信ノードは、不活性化されたPSE及び活性化されたPDに基づく第2モード(PDモード)で動作する段階と、
前記第1通信ノードは、前記第2通信ノードに電力供給を要請する第2信号を伝送する段階と、
前記第2通信ノードは、前記第1通信ノードから前記データラインを介して
前記第2信号を受信する段階と、
前記
第2信号があらかじめ設定された範囲内の電圧又は電流を有する場合、
前記
第1通信ノードから電力供給が要請されるものと判断する段階と、
前記
第2信号に対する応答として、
前記第2通信ノードから前記データラインを介して前記
第1通信ノードに電力を供給する段階と、
前記第1通信ノードは、フォールト(fault)状態の発生有無を確認する段階と、
前記第1通信ノードは、前記フォールト(fault)状態の発生がある場合、前記フォールト(fault)状態のタイプを確認する段階と、
前記第1通信ノードの前記フォールト(fault)状態が、内部フォールト状態であると判断された場合、前記第2モードに対応する電力オフ(off)モード又は、スリープ(sleep)モードで動作する段階と、
前記第1通信ノードの前記フォールト(fault)状態が、外部フォールト状態であると判断された場合、前記第1通信ノードのフォールト状態の発生を示す指示子を含む第2信号を外部に伝送する段階と、を有し、
前記内部フォールト状態に関するフォールト関連情報をデータベース(database)に格納する段階と、をさらに含み、
前記フォールト関連情報は、フォールト状態の発生有無、発生原因、又はフォールトコードを含むことを特徴とするネットワークにおける電力供給方法。
【請求項5】
前記第2通信ノードは、前記第1通信ノードに電力を供給するPSEを含むことを特徴とする
請求項4に記載のネットワークにおける電力供給方法。
【請求項6】
前記第1通信ノードと連結された第3通信ノードがフォールト状態であると判断された場合、フォールト状態の発生を示す指示子を含む他の第2信号を、前記車両ネットワークを構成する通信ノードに伝送する段階をさらに含み、
前記指示子は、フォールト状態である通信ノードの識別子にマッピングされることを特徴とする
請求項4に記載のネットワークにおける電力供給方法。
【請求項7】
車両ネットワーク(network)を形成する第1通信ノード(node)であって、
物理階層の機能を支援するPHY(physical)階層ユニット(unit)と、
データライン(data line)を介して前記車両ネットワークの第2通信ノードに電力を供給するPSE(power sourcing element)と、
前記データラインを介して前記第2通信ノードから電力を獲得するPD(powered device)
と、
フォールト状態に関するフォールト関連情報を格納するデータベースと、を有し、
不活性化されたPSE及び活性化されたPDに基づく
第1モード(PSEモード)で、前記データラインをモニタリング(monitoring)し、
前記第2通信ノードから前記データラインを介して受信される第1信号があらかじめ設定された範囲内の電圧又は電流を有する場合、前記第2通信ノードから電力供給が要請されるものと判断し、前記第1信号に対する応答として前記データラインを介して前記第2通信ノードに電力を供給し、
前記データラインの前記モニタリングにおいて、前記PDと前記データラインとの間のインターフェースであるPI(power interface)にて、フォールトの発生有無を確認し、
前記第1信号が前記あらかじめ設定された範囲内である場合、前記第2通信ノードへの電力を続行し、
前記第1信号が前記あらかじめ設定された範囲以外である場合、前記第2通信ノードをフォールト(fault)状態であるものと判断し、
前記第2通信ノードのフォールトの発生を示す指示子を含む第2信号を外部に伝送し、前記第2通信ノードへの電力供給を中止し、
前記フォールト状態に関するフォールト関連情報を前記データベースに格納することを特徴とするネットワークにおける電力供給装置。
【請求項8】
前記PSEは、前記第2通信ノードから電力供給を要請する信号を受信する場合、あらかじめ確認されたタイプ(type)及びクラス電力要求事項(class power requirements)を基礎にして前記第2通信ノードに電力を供給することを特徴とする
請求項7に記載のネットワークにおける電力供給装置。
【請求項9】
前記第1通信ノードが内部フォールト状態として判断された場合、前記PSEが不活性化され、前記PDが活性化された第2モードで、前記第1通信ノードの前記PDは、前記第2通信ノードに電力供給を要請する信号を伝送し、前記電力供給を要請する信号に対する応答として前記第2通信ノードから電力を獲得することを特徴とする
請求項7に記載のネットワークにおける電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークにおける電力供給方法及び装置に係り、より詳しくは、PoDL(power over data line)に基づく車両のネットワークにおける電力供給方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用部品の電子化が急速に進行するに伴い、車両に搭載される電子装置(例えば、ECU(electronic control unit))の種類と数が大きく増加している。電子装置は、大きく、パワートレーン(power train)制御システム、ボディー(body)制御システム、シャーシ(chassis)制御システム、車両ネットワーク(network)、マルチメディア(multimedia)システム等において使用される。パワートレーン制御システムは、エンジン制御システム、自動変速制御システムからなり、ボディー制御システムは、ボディー電装品制御システム、便宜装置制御システム、ランプ(lamp)制御システムからなり、シャーシ制御システムは、操向装置制御システム、ブレーキ(brake)制御システム、サスペンション(suspension)制御システムからなる。
【0003】
そして、車両ネットワークは、CAN(controller area network)、フレックスレイ(FlexRay)基盤のネットワーク、MOST(media oriented system transport)基盤のネットワークからなり、マルチメディアシステムは、航法装置システム、テレマティクス(telematics)システム、インフォテインメント(infotainment)システムからなる。
【0004】
このようなシステム及びシステムの各々を構成する電子装置は、車両ネットワークを介して連結されており、電子装置それぞれの機能を支援するための車両ネットワークが要求されている。CANは、最大1Mbpsの伝送速度を支援でき、衝突したフレームの自動再伝送、CRC(cycle redundancy check)基盤のエラー検出等を支援できる。フレックスレイ基盤のネットワークは、最大10Mbpsの伝送速度を支援でき、2チンネルを介したデータの同時伝送、同期方式のデータ伝送等を支援できる。MOST基盤のネットワークは、高品質のマルチメディアのための通信ネットワークであって、最大150Mbpsの伝送速度を支援できる。
【0005】
車両のテレマティクスシステム、インフォテインメントシステム、向上した安全システムは、高い伝送速度、システム拡張性等を要求し、CAN、フレックスレイ基盤のネットワークは、これを充分に支援しない。MOST基盤のネットワークは、CAN及びフレックスレイ基盤のネットワークに比べて高い伝送速度を支援できるが、車両のすべてのネットワークにMOST基盤のネットワークが適用されるためには、多くの費用がかかる。このような問題によって、車両ネットワークとして、イサーネット(ethernet)基盤のネットワークが考慮される。イサーネット基盤のネットワークは、一対の巻線を介した双方向通信を支援でき、最大10Gbpsの伝送速度を支援できる。
【0006】
車両ネットワークにおいて電力供給のための電力ライン(line)は、電子装置間の通信のために使用されるデータラインと別に存在する。この場合、電子装置は、電力ラインを介して電力を獲得でき、データラインを介してデータを受信できる。又は、車両ネットワークにおいて電力及びデータは、一つのラインを介して伝送される。例えば、電力は、通信のために使用されるデータラインを介して伝送される。一つのラインを介して電力及びデータが伝送される場合、電子装置の内部又は外部でフォールト(fault)が発生すると、電力供給は中止される。したがって、電力を獲得しない電子装置の動作は中止され、これにより、車両ネットワークに問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、PoDL(power over data line)に基づく車両ネットワークにおける電力供給方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両ネットワーク(network)における第1通信ノード(node)の動作方法であって、前記第1通信ノードは、データライン(data line)を介して第2通信ノードに電力を供給するPSE(power sourcing equipment)及び前記データラインを介して前記第2通信ノードから電力を獲得するPD(powered device)を含み、活性化されたPSE及び不活性化されたPDに基づく第1モード(PSEモード)で動作する段階と、前記データラインをモニタリング(monitoring)する段階と、前記第2通信ノードから前記データラインを介して第1信号を受信する段階と、前記第1通信ノードは、前記データラインの前記モニタリングにおいて、前記第1通信ノードの前記PDと前記データラインとの間のインターフェースであるPI(power interface)にて、フォールトの発生有無を確認する段階と、前記第1信号があらかじめ設定された範囲内の電圧又は電流を有する場合、前記第2通信ノードから電力供給が要請されたと判断する段階と、前記第1信号に対する応答として前記データラインを介して前記第2通信ノードに電力を供給する段階と、前記第1信号が前記あらかじめ設定された範囲以外である場合、前記第2通信ノードがフォールト(fault)状態であると判断し、前記第2通信ノードのフォールト状態の発生を示す指示子を含む第2信号を外部に伝送する段階と、前記第2通信ノードへの電力供給を中止する段階と、を含み、前記第1通信ノードが内部フォールト状態として判断された場合、前記第2通信ノードへの電力供給を中止する段階と、をさらに含み、前記内部フォールト状態の発生原因を示すフォールトコード(code)を前記第1通信ノードのデータベース(database)に格納する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
前記内部フォールト状態の発生を示す指示子を含む他の第2信号を、前記車両ネットワークを構成する通信ノードに伝送する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
前記他の第2信号は、前記内部フォールト状態である前記第1通信ノードの識別子をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、車両ネットワーク(network)における第1通信ノード(node)の動作方法であって、前記第1通信ノードは、データライン(data line)を介して第2通信ノードに電力を供給するPSE(power sourcing equipment)及び前記データラインを介して前記第2通信ノードから電力を獲得するPD(powered device)を含み、前記第1通信ノードの前記PSEが非正常的に動作する場合、前記第1通信ノードは、不活性化されたPSE及び活性化されたPDに基づく第2モード(PDモード)で動作する段階と、前記第1通信ノードは、前記第2通信ノードに電力供給を要請する第2信号を伝送する段階と、前記第2通信ノードは、前記第1通信ノードから前記データラインを介して前記第2信号を受信する段階と、前記第2信号があらかじめ設定された範囲内の電圧又は電流を有する場合、前記第1通信ノードから電力供給が要請されるものと判断する段階と、前記第2信号に対する応答として、前記第2通信ノードから前記データラインを介して前記第1通信ノードに電力を供給する段階と、前記第1通信ノードは、フォールト(fault)状態の発生有無を確認する段階と、前記第1通信ノードは、前記フォールト(fault)状態の発生がある場合、前記フォールト(fault)状態のタイプを確認する段階と、前記第1通信ノードの前記フォールト(fault)状態が、内部フォールト状態であると判断された場合、前記第2モードに対応する電力オフ(off)モード又は、スリープ(sleep)モードで動作する段階と、前記第1通信ノードの前記フォールト(fault)状態が、外部フォールト状態であると判断された場合、前記第1通信ノードのフォールト状態の発生を示す指示子を含む第2信号を外部に伝送する段階と、を有し、前記内部フォールト状態に関するフォールト関連情報をデータベース(database)に格納する段階と、をさらに含み、前記フォールト関連情報は、フォールト状態の発生有無、発生原因、又はフォールトコードを含むことを特徴とする。
【0023】
前記第2通信ノードは、前記第1通信ノードに電力を供給するPSEを含むことを特徴とする。
【0025】
前記第1通信ノードと連結された第3通信ノードがフォールト状態であると判断された場合、フォールト状態の発生を示す指示子を含む他の第2信号を、前記車両ネットワークを構成する通信ノードに伝送する段階をさらに含み、前記指示子は、フォールト状態である通信ノードの識別子にマッピングされることを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、車両ネットワーク(network)を形成する第1通信ノード(node)であって、物理階層の機能を支援するPHY(physical)階層ユニット(unit)と、データライン(data line)を介して前記車両ネットワークの第2通信ノードに電力を供給するPSE(power sourcing element)と、前記データラインを介して前記第2通信ノードから電力を獲得するPD(powered device)と、フォールト状態に関するフォールト関連情報を格納するデータベースと、を有し、不活性化されたPSE及び活性化されたPDに基づく第1モード(PSEモード)で、前記データラインをモニタリング(monitoring)し、前記第2通信ノードから前記データラインを介して受信される第1信号があらかじめ設定された範囲内の電圧又は電流を有する場合、前記第2通信ノードから電力供給が要請されるものと判断し、前記第1信号に対する応答として前記データラインを介して前記第2通信ノードに電力を供給し、前記データラインの前記モニタリングにおいて、前記PDと前記データラインとの間のインターフェースであるPI(power interface)にて、フォールトの発生有無を確認し、前記第1信号が前記あらかじめ設定された範囲内である場合、前記第2通信ノードへの電力を続行し、前記第1信号が前記あらかじめ設定された範囲以外である場合、前記第2通信ノードをフォールト(fault)状態であるものと判断し、前記第2通信ノードのフォールトの発生を示す指示子を含む第2信号を外部に伝送し、前記第2通信ノードへの電力供給を中止し、前記フォールト状態に関するフォールト関連情報を前記データベースに格納することを特徴とする。
【0028】
前記PSEは、前記第2通信ノードから電力供給を要請する信号を受信する場合、あらかじめ確認されたタイプ(type)及びクラス電力要求事項(class power requirements)を基礎にして前記第2通信ノードに電力を供給することを特徴とする。
【0029】
前記第1通信ノードが内部フォールト状態として判断された場合、前記PSEが不活性化され、前記PDが活性化された第2モードで、前記第1通信ノードの前記PDは、前記第2通信ノードに電力供給を要請する信号を伝送し、前記電力供給を要請する信号に対する応答として前記第2通信ノードから電力を獲得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、PSE(power sourcing equipment)及びPD(powered device)を含む通信ノードが提供され、通信ノードは、PSEを使用して他の通信ノードに電力を供給できる。PSEがフォールト(fault)状態である場合、通信ノードは、PDを使用して他の通信ノードから電力を獲得できる。また、通信ノードは、フォールトの発生を確認でき、フォールト関連情報(例えば、フォールトの発生有無、フォールトの発生原因、フォールト状態である通信ノードの識別子等)をデータベース(database)に格納でき、フォールト関連情報を他の通信ノードに公知できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】車両ネットワークのトポロジーに対する一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】車両ネットワークを構成する通信ノードの一実施形態を示すブロック図である。
【
図3】PoDLに基づく車両ネットワークに対する一実施形態を示すブロック図である。
【
図4】車両ネットワークを構成する通信ノードの他の実施形態を示すブロック図である。
【
図5】PoDLに基づく車両ネットワークにおいて通信ノードの動作方法に関する一実施形態を示す流れ図である。
【
図6】通信ノードにより生成される信号を示すブロック図である。
【
図7】PoDLに基づく車両ネットワークにおいて通信ノードの動作方法に関する他の実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、車両ネットワークのトポロジー(network topology)の一実施形態を示すブロック図である。
図1に示す通り、車両ネットワークを構成する通信ノード(communication node)は、ゲートウェイ(gateway)、スイッチ(switch)(又は、ブリッジ(bridge))又はエンドノード(end node)からなる。ゲートウェイ100は、少なくとも一つのスイッチ110、110-1、110-2、120、130と連結され、互いに異なるネットワークを連結できる。
【0033】
例えば、ゲートウェイ100は、CAN(controller areanet work)(又は、フレックスレイ(FlexRay)、MOST(media oriented system transport)、LIN(local interconnect network)等プロトコルを支援する通信ノードとイサーネット(ethernet)プロトコルを支援するスイッチとの間を連結できる。
【0034】
スイッチ110、110-1、110-2、120、130の各々は、少なくとも一つのエンドノード111、112、113、121、122、123、131、132、133と連結される。スイッチ110、110-1、110-2、120、130の各々は、エンドノード111、112、113、121、122、123、131、132、133を相互連結でき、自分と連結されたエンドノード111、112、113、121、122、123、131、132、133を制御できる。
エンドノード111、112、113、121、122、123、131、132、133は、車両に含まれた各種装置を制御するECU(electronic control unit)を意味する。例えば、エンドノード111、112、113、121、122、123、131、132、133は、インフォテインメント(infotainment)装置(例えば、ディスプレイ(display)装置、ナビゲーション(navigation)装置、アラウンドビューモニタリング(around view monitoring)装置)等を構成するECUを意味する。
【0035】
車両ネットワークを構成する通信ノード(すなわち、ゲートウェイ、スイッチ、エンドノード等)は、スター(star)トポロジー、バス(bus)トポロジー、リング(ring)トポロジー、ツリー(tree)トポロジー、メッシュ(mesh)トポロジー等で連結される。また、車両ネットワークを構成する通信ノードの各々は、CANプロトコル、フレックスレイプロトコル、MOSTプロトコル、LINプロトコル、イダーネットプロトコル等を支援できる。本発明による実施形態は、前記で説明したネットワークトポロジーに適用され、本発明による実施形態が適用されるネットワークトポロジーは、これに限定されず、多様に構成される。
【0036】
図2は、車両ネットワークを構成する通信ノードの一実施形態を示すブロック図である。
図2に示す通り、ネットワークを構成する通信ノード200は、PHY階層ユニット(physical layer unit)210及びコントローラー(controller)ユニット220含み、また、通信ノード200は、パワー(power)を供給するレギュレーター(regulator)(図示せず)をさらに含む。この際、コントローラーユニット220は、MAC(medium access control)階層を含んで具現される。 PHY階層ユニット210は、他の通信ノードから信号を受信できるか、又は他の通信ノードに信号を伝送できる。コントローラーユニット220は、PHY階層ユニット210を制御でき、多様な機能(例えば、インフォテインメント機能等)を行うことができる。PHY階層ユニット210及びコントローラーユニット220は、一つのSoC(System on Chip)で具現されてもよく、別途のチップで構成されてもよい。
【0037】
PHY階層ユニット210及びコントローラーユニット220は、媒体独立インターフェース(media independent interface、MII)230を介して連結される。MII230は、IEEE802.3に規定されたインターフェースを意味し、PHY階層ユニット210とコントローラーユニット220との間のデータインターフェース及び管理インターフェースで構成される。MII230の代わりに、RMII(reduced MII)、GMII(gigabit MII)、RGMII(reduced GMII)、SGMII(serial GMII)、XGMII(10GMII)のうち一つのインターフェースが使用される。データインターフェースは、伝送チャネル(channel)及び受信チャネルを含むことができ、チャネルの各々は、独立的なクロック(clock)、データ及び制御信号を有する。管理インターフェースは、2-信号インターフェースで構成され、一つは、クロックのための信号であり、他の一つは、データのための信号である。
【0038】
PHY階層ユニット210は、PHY階層インターフェースユニット211、PHY階層プロセッサ(processor)212及びPHY階層メモリ(memory)213等を含む。PHY階層ユニット210の構成は、これに限定されず、PHY階層ユニット210は、多様に構成される。PHY階層インターフェースユニット211は、コントローラーユニット220から受信された信号をPHY階層プロセッサ212に伝送でき、PHY階層プロセッサ212から受信された信号をコントローラーユニット220に伝送できる。PHY階層プロセッサ212は、PHY階層インターフェースユニット211及びPHY階層メモリ213それぞれの動作を制御できる。PHY階層プロセッサ212は、伝送する信号の変調又は受信された信号の復調を行うことができる。PHY階層プロセッサ212は、信号を入力又は出力するように、PHY階層メモリ213を制御できる。PHY階層メモリ213は、受信された信号を格納でき、PHY階層プロセッサ212の要請に従って格納された信号を出力できる。
【0039】
コントローラーユニット220は、MII230を介してPHY階層ユニット210に対するモニタリング及び制御を行うことができる。コントローラーユニット220は、コントローラーインターフェースユニット221、コントローラープロセッサ222、主メモリ223及び補助メモリ224等を含む。 コントローラーユニット220の構成は、これに限定されず、コントローラーユニット220は、多様に構成される。コントローラーインターフェースユニット221は、PHY階層ユニット210(すなわち、PHY階層インターフェースユニット211)又は上位階層(図示せず)から信号を受信でき、受信された信号をコントローラープロセッサ222に伝送でき、コントローラープロセッサ222から受信された信号をPHY階層ユニット210又は上位階層に伝送できる。コントローラープロセッサ222は、コントローラーインターフェースユニット221、主メモリ223及び補助メモリ224を制御するための独立されたメモリコントロールロジック(control logic)又は統合メモリコントロールロジックをさらに含む。メモリコントロールロジックは、主メモリ223及び補助メモリ224に含まれて具現されてもよく、又はコントローラープロセッサ222に含まれて具現されてもよい。
【0040】
主メモリ223及び補助メモリ224の各々は、コントローラープロセッサ222により処理された信号を格納でき、コントローラープロセッサ222の要請に従って格納された信号を出力できる。主メモリ223は、コントローラープロセッサ222の動作のために必要なデータを一時格納する揮発性メモリ(例えば、RAM(random access memory)等)を意味する。補助メモリ224は、運営体制コード(operating system code)(例えば、カーネル(kernel)及びデバイスドライバー(device driver))とコントローラープロセッサ222の機能を行うための応用プログラム(application program)コード等が格納される不揮発性メモリを意味する。不揮発性メモリとして、速い処理速度を有するフラッシュメモリ(flash memory)が使用され、又は大容量のデータ格納のためのハードディスクドライブ(hard disc drive、HDD)、CD-ROM(compact disc-read only memory)等が使用される。コントローラープロセッサ222は、通常、少なくとも一つのプロセッシングコア(core)を含むロジック回路で構成される。コントローラープロセッサ222として、ARM(Advanced RISC Machines Ltd.)系のコア、アトム(atom)系のコア等が使用される。
【0041】
以下、車両ネットワークに属する通信ノードとこれに対応する相手(counterpart)通信ノードで行われる方法について説明する。
第1通信ノードで行われる方法(例えば、信号の伝送又は受信)が説明される場合にも、これに対応する第2通信ノードは、第1通信ノードで行われる方法に相当する方法(例えば、信号の受信又は伝送)を行うことができる。すなわち、第1通信ノードの動作が説明された場合に、これに対応する第2通信ノードは、第1通信ノードの動作に相当する動作を行うことができる。反対に、第2通信ノードの動作が説明された場合に、これに対応する第1通信ノードは、スイッチの動作に相当する動作を行うことができる。
【0042】
車両ネットワークにおいて電力供給のための電力ライン(line)は、通信ノード間の通信のために使用されるデータラインと別に存在する。この場合、通信ノードは、電力ラインを介して電力を獲得でき、データラインを介してデータを受信できる。又は、車両ネットワークにおいて電力及びデータは、一つのラインを介して伝送される。例えば、IEEE802.3bu標準(例えば、PoDL(power over data line))によると、電力は、通信のために使用されるデータラインを介して伝送される。
【0043】
PoDLに基づく車両ネットワークは、以下の通りである。
図3は、PoDLに基づく車両ネットワークに対する一実施形態を示すブロック図である。
図3に示す通り、通信ノード-1 310は、データライン330(例えば、リンクセグメント(link segment))を介して通信ノード-2 320と連結される。通信ノード310、320は、ゲートウェイ、スイッチ(又は、ブリッジ)又はエンドノード等である。通信ノード310、320は、IEEE802.3bu標準を支援できる。通信ノード-1 310と通信ノード-2 320との間の通信は、データライン330を介して行われる。電力は、データライン330を介して供給される。例えば、通信ノード-1 310は、データライン330を介して電力を供給でき、通信ノード-2 320は、データライン330を介して電力を獲得できる。
【0044】
通信ノード-1 310は、PHY階層ユニット311、PSE(power sourcing equipment)312及びMDI/PI(medium dependent interface/power interface)313を含む。通信ノード-1 310は、MAC階層ユニット(図示せず)をさらに含む。MAC階層ユニットは、
図2に示す通りMAC階層ユニット220と同一又は類似である。PHY階層ユニット311は、
図2に示すPHY階層ユニット210と同一又は類似である。PSE312は、IEEE802.3bu標準に規定されたPSEである。したがって、PSE312は、PD(powered device)322(又はPD322を含む通信ノード-2 320)を検出でき、検出されたPD322(又はPD322を含む通信ノード-2 320)に電力を供給できる。
【0045】
MDI/PI313は、IEEE802.3bu標準に規定されたMDI/PIである。MDI/PI313のうちMDIは、PHY階層ユニット311とデータライン330との間のインターフェースである。MDIは、データライン330を介したデータの伝送動作又は受信動作を支援できる。MDI/PI313のうちPIは、PSE312とデータライン330との間のインターフェースである。PIは、データライン330の状態(例えば、電圧、電流等)に対するモニタリング動作を支援でき、データライン330を介した電力の供給動作を支援できる。PIは、MDIと別に存在し、又はMDI内に含まれる。
【0046】
通信ノード-2 320は、PHY階層ユニット321、PD322及びMDI/PI323を含む。通信ノード-2 320は、MAC階層ユニット(図示せず)をさらに含む。MAC階層ユニットは、
図2に示すMAC階層ユニット220と同一又は類似である。PHY階層ユニット311は、
図2に示すPHY階層ユニット210と同一又は類似である。PD322は、IEEE802.3bu標準に規定されたPDである。したがって、PD322は、PSE312(又は、PSE312を含む通信ノード-1 310)に電源供給を要請でき、電源供給の要請に対する応答としてPSE312(又は、PSE312を含む通信ノード-1 310)から電力を獲得できる。
【0047】
MDI/PI323は、IEEE802.3bu標準に規定されたMDI/PIである。MDI/PI323のうちMDIは、PHY階層ユニット321とデータライン330との間のインターフェースである。MDIは、データライン330を介したデータの伝送動作又は受信動作を支援できる。MDI/PI323のうちPIは、PD322とデータライン330との間のインターフェースである。PIは、データライン330を介した電力の獲得動作を支援できる。PIは、MDIと別に存在し、又はMDI内に含まれる。
【0048】
通信ノード-1 310は、PSE312により生成される電力を基礎にして動作でき、電力を他の通信ノードに供給できる。しかし、通信ノード-1 の310は、PD322を含まないので、他の通信ノードから電力を獲得できない。したがって、通信ノード-1 310は、PSE312がフォールトである場合、電力を獲得できず、これにより、通信ノード-1 310の動作は中止される。
一方、通信ノード-2 320は、通信ノード-1 310から電力を獲得でき、獲得された電力を基礎にして動作できる。しかし、通信ノード-2 320は、PSE312を含まないので、必要な電力を生成できない。したがって、通信ノード-2の320は、PSE312を含む通信ノード-1 310がフォールトである場合、通信ノード-1の310から電力を獲得できず、これにより、通信ノード-2 320の動作は中止される。
【0049】
なお、通信ノードがPSE312及びPD322を共に含む場合、上記問題(例えば、通信ノードの動作中止)は解消される。PSE312及びPD322を共に含む通信ノードは、以下の通りである。
図4は、車両ネットワークを構成する通信ノードの他の実施形態を示すブロック図である。
図4に示す通り、通信ノード400は、PHY階層ユニット410、PSE420、PD430及びMDI/PI440を含む。通信ノード400は、MAC階層ユニット(図示せず)をさらに含む。MAC階層ユニットは、
図2に示すMAC階層ユニット220と同一又は類似である。通信ノード400は、ゲートウェイ、スイッチ(又は、ブリッジ)又はエンドノード等である。PHY階層ユニット410は、
図2に示すPHY階層ユニット210と同一又は類似である。
【0050】
PSE420は、IEEE802.3bu標準に規定されたPSEである。したがって、PSE420は、PD(又はPDを含む他の通信ノード)を検出でき、検出されたPD(又はPDを含む他の通信ノード)に電力を供給できる。PD430は、IEEE802.3bu標準に規定されたPDである。したがって、PD430は、PSE(又は、PSEを含む他の通信ノード)に電源供給を要請でき、電源供給の要請に対する応答としてPSE(又は、PSEを含む他の通信ノード)から電力を獲得できる。
MDI/PI440は、IEEE802.3bu標準に規定されたMDI/PIである。MDI/PI440のうちMDIは、PHY階層ユニット410とデータライン(図示せず)との間のインターフェースである。
【0051】
MDIは、データラインを介したデータの伝送動作又は受信動作を支援できる。MDI/PI440のうちPIは、PSE420とデータラインとの間のインターフェース又はPD430とデータラインとの間のインターフェースである。PIは、データラインを介した電力の供給動作又は獲得動作を支援できる。PIは、MDIと別に存在し、又はMDI内に含まれる。
通信ノード400は、二つの動作モードで動作できる。二つの動作モードは、PSEモード及びPDモードである。デフォルト(default)動作モードは、PSEモードである。PSEモードで通信ノード400は、活性化された(enabled)PSE420と不活性化された(disabled)PD430に基づいて動作できる。したがって、通信ノード400は、活性化されたPSE420により生成された電力(例えば、メイン(main)電力)に基づいて動作でき、活性化されたPSE420を介して他の通信ノードに電力を供給できる。PDモードで通信ノード400は、不活性化されたPSE420及び活性化されたPD430に基づいて動作できる。したがって、通信ノード400は、PD430を介して他の通信ノードから電力(例えば、リダンダンシー(redundancy)電力)を獲得でき、獲得された電力を基にして動作できる。PSE420とPD430は、PHY階層ユニット410(又は、MAC階層ユニット)の制御によって活性化されるか、又は不活性化される。
【0052】
PSEモードによる通信ノード400の具体的な動作は、次の通りである。
図5は、PoDLに基づく車両ネットワークにおいて通信ノードの動作方法に関する一実施形態を示す流れ図である。
図5に示す通り、通信ノード-1(例えば、
図4に示す通信ノード400)は、PSEが正常に動作する場合、デフォルト動作モードであるPSEモードで動作できる。PSEが正常に動作する場合は、PSEにより電力が正常に生成される場合(例えば、PSEを構成する回路がオープン(open)状態又はショート(short)状態でない場合)を意味する。
通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE)は、他の通信ノードと連結されたデータラインをモニタリングすることによって、PD(又はPDを含む通信ノード-2)の存在を確認できる(S500)。ここで、通信ノード-2は、
図3に示す通信ノード-2の320又は
図4に示すPDモードで動作する通信ノード400である。
【0053】
例えば、通信ノード-1は、データラインであらかじめ設定された範囲内の電圧(例えば、2.8ボルト(volt)~3.2ボルトの電圧)が検出される場合、PD(又はPDを含む通信ノード-2)が存在するものと判断できる。 この場合、通信ノード-1は、通信ノード-2から電力供給が要請されるものと判断できる。なお、通信ノード-1は、データラインを介してあらかじめ設定された範囲以外の電圧(例えば、2.8ボルト未満の電圧又は3.2ボルト超過の電圧)が検出される場合、PD(又はPDを含む通信ノード-2)が存在しないものと判断できる。
【0054】
PDを含む通信ノード-2が発見された場合(すなわち、通信ノード-2から電力供給が要請される場合)、通信ノード-1は、通信ノード-2に含まれたPDのタイプ(type)、クラス電力要求事項(class power requirements)等を確認できる(S510)。PDのタイプは、100BASE-T1イダーネットを支援するAタイプ、1000BASE-T1イダーネットを支援するBタイプ、100BASE-T1イダーネット及び1000BASE-T1イダーネットを共に支援するA+Bタイプ等に分類される。PDのタイプは、これに限定されず、PDのタイプは、多様に定義される。例えば、PDのタイプとして、10GBASEイダーネットを支援するタイプ、100GBASEイダーネットを支援するタイプ等が追加で定義される。PDのクラス電力要求事項は、下記表1及び表2の通りである。
【0055】
【0056】
【0057】
VPSE(max)は、通信ノード-1のPIで測定された最大電圧であり、VPSE(min)は、通信ノード-1のPIで測定された最小電圧である。IPI(max)は、通信ノード-1のPIで測定された最大電流であり、VPD(min)は、PDを含む通信ノード-2のPIで測定された最小電圧である。PPDは、PDを含む通信ノード-2のPIで使用可能な電力である。 SCCP(serial communication classification protocol)クラスコード(code)は、SCCPで規定されたクラスコードである。
【0058】
段階S510で、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE、PHY階層ユニット)は、PDのタイプ及びクラス電力要求事項に関連した情報を要請する信号を通信ノード-2に伝送できる。通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPD、PHY階層ユニット)は、通信ノード-1から信号を受信でき、受信された信号に対する応答として自分のPDのタイプ、クラス電力要求事項に関連した情報等を含む信号を生成でき、生成された信号を通信ノード-1に伝送できる。信号は、通信ノード-1と通信ノード-2との間のデータラインを介して伝送される。PDのタイプ、クラス電力要求事項に関連した情報等を含む信号は、次のように構成される。
【0059】
図6は、通信ノードにより生成される信号を示すブロック図である。
図6に示す通り、信号600は、64ビットのサイズを有する。信号600は、8ビットのサイズを有するPD情報フィールド610、48ビットのサイズを有するアドレスフィールド620及び8ビットのサイズを有するCRC(cyclic redundancy check)フィールド630を含む。PD情報フィールド610は、信号600を生成する通信ノード(例えば、通信ノード-2)に含まれたPDのタイプ、クラス電力要求事項等を指示できる。アドレスフィールド620は、信号600を生成する通信ノードの識別子(例えば、通信ノード-2のPHYアドレス、MACアドレス等)を指示できる。CRCフィールド630の値は、以前の56ビット(例えば、PD情報フィールド610及びアドレスフィールド620)に基づいて生成される。
【0060】
また、
図5に示す通り、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE、PHY階層ユニット)は、通信ノード-2からPDのタイプ、クラス電力要求事項に関連した情報等を含む信号を受信できる。通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE、PHY階層ユニット)は、受信された信号から通信ノード-2のPDタイプ、クラス電力要求事項等を確認できる。また、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPHY階層ユニット、MAC階層ユニット)は、受信された信号から通信ノード-2の識別子を確認できる。
通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE)は、PDのタイプ、クラス電力要求事項等に基づいて通信ノード-2に供給される電力を決定でき、データラインを介して電力を通信ノード-2に供給できる(S520)。通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPD)は、データラインを介して通信ノード-1から電力を獲得でき、獲得された電力を基にして動作できる。
【0061】
なお、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE、PHY階層ユニット)は、データリンクをモニタリングすることによって、フォールトの発生有無を確認できる(S530)。通信ノード-1は、二つの方法を用いてフォールトの発生有無を確認できる。一番目の方法において、通信ノード-1のPIで出力電圧、出力電流等が測定され、測定された出力電圧(又は、出力電流)があらかじめ設定された範囲(例えば、表1及び表2に記載した各クラスのVPSE(min)~VPSE(max))内に属するかを判断できる。測定された出力電圧(又は、出力電流)があらかじめ設定された範囲内に属する場合、通信ノード-1は、フォールトが発生しないものと判断できる。一方、測定された出力電圧(又は、出力電流)があらかじめ設定された範囲内に属しない場合、通信ノード-1は、フォールトが発生したものと判断できる。すなわち、通信ノード-1は、通信ノード-2がフォールト状態であると判断できる。
【0062】
二番目の方法において、通信ノード-1は、データリンクを介して通信ノード-2からフォールトの発生有無を指示する指示子を含む信号を受信でき、受信された信号に含まれた指示子に基づいてフォールトの発生有無を判断できる。 ここで、通信ノード-1は、電力供給の開始時点からあらかじめ設定された時間後にデータリンクをモニタリングする。あらかじめ設定された時間は、獲得された電力を基にして動作する通信ノード-2がフォールトの発生有無を判断するのにかかる時間である。
フォールトが発生した場合、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE、PHY階層ユニット、MAC階層ユニット)は、フォールトの発生を指示する指示子を含む信号を生成でき、生成された信号を伝送することによって、フォールトの発生を公知できる(S540)。また、通信ノード-1は、フォールト関連情報(例えば、フォールトの発生有無、発生原因(例えば、フォールトコード)、フォールト状態である通信ノードの識別子等)を自分のデータベース(database)に格納できる。
【0063】
フォールトの発生を指示する指示子を含む信号は、ブロードキャスト(broadcast)方式又はマルチキャスト(multicast)方式で伝送される。指示子は、1ビットで表現される。例えば、指示子が0に設定された場合、これは、フォールトが発生しないことを指示でき、指示子が1に設定された場合、これは、フォールトが発生したことを指示できる。また、信号は、フォールト状態である通信ノード(例えば、通信ノード-2)の識別子を含むことができ、通信ノードの識別子は、フォールトの発生を指示する指示子にマッピングされる。ここで、通信ノードの識別子は、段階S510で獲得された通信ノードのPHYアドレス又はMACアドレスである。また、信号は、複数の通信ノードそれぞれのフォールト発生有無を指示できる。この場合、各通信ノードの「指示子+識別子」が信号内に含まれる。
【0064】
通信ノード-1(通信ノード-1に含まれたPSE)は、フォールト状態である通信ノード-2への電力供給を中止できる(S550)。ここで、段階S550は、段階S540以後に行われるものと説明したが、実行順序は、これに限定されない。例えば、段階S550は、段階S540より先に実行され、又は段階S540と同時に実行される。なお、電力供給が中止された状態で、通信ノード-2のフォールトが解決された場合(例えば、通信ノード-2が正常に動作する場合)、通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPD)は、電力供給の再開を要請する信号を通信ノード-1に伝送できる。通信ノード-2から信号を受信した通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE)は、電力供給の再開が要請されることが分かり、これにより、電力を通信ノード-2に供給できる。この場合、通信ノード-1は、段階S510で確認されたPDのタイプ、クラス電力要求事項等に基づいて電力を通信ノード-2に供給できる。
【0065】
フォールトが発生しない場合、通信ノード-1は、データラインを介して電力を通信ノード-2に続いて供給できる。通信ノード-2は、通信ノード-1から獲得された電力を基礎にして動作できる。なお、通信ノード-2は、他の個体(例えば、通信ノード-2に含まれたPSE等)から電力を獲得できる場合、通信ノード-1から電力を獲得する必要がないことがある。この場合、通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPD)は、電力供給の中止を指示する指示子を含む信号を生成でき、生成された信号をデータラインを介して通信ノード-1に伝送できる。指示子は、1ビットで表現される。例えば、指示子が0に設定された場合、これは電力を供給することを指示でき、指示子が1に設定された場合、これは、電力供給の中止を指示できる。また、信号は、通信ノード-2の識別子をさらに含むことができる。通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE)は、データラインを介して通信ノード-2から信号を受信でき、受信された信号が電力供給の中止を指示する場合、通信ノード-2への電力供給を中止できる。なお、PDモードで通信ノード400の具体的な動作は、次の通りである。
【0066】
図7は、PoDLに基づく車両ネットワークにおいて通信ノードの動作方法に関する他の実施形態を示す流れ図である。
図7に示す通り、通信ノード-1(例えば、
図4を参照して説明された通信ノード400)は、PSEが非正常的に動作する場合、PDモードで動作できる(S700)。PDモードで通信ノード-1は、不活性化されたPSE及び活性化されたPDに基づいて動作できる。PSEが非正常的に動作する場合は、PSEを構成する回路がオープン状態又はショート状態である。
PDモードで動作する通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD)は、必要な電力を生成できないので、他の通信ノード(例えば、通信ノード-2)に電力供給を要請できる(S710)。通信ノード-2は、データラインを介して通信ノード-1と連結される。通信ノード-2は、
図3に示す通信ノード-1の310又は
図4に示す通信ノード400である。通信ノード-1は、通信ノード-2のPIであらかじめ設定された内の電圧(例えば、2.8ボルト(volt)~3.2ボルトを有する電圧)が検出されるように、データラインを介して信号を通信ノード-2に伝送できる。通信ノード-2は、データラインであらかじめ設定された範囲内の電圧が検出される場合、PD(例えば、PDを含む通信ノード-1)が存在するものと判断でき、通信ノード-1から電力供給が要請されることが分かる。
【0067】
通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPSE)は、通信ノード-1から電力供給が要請される場合、PDのタイプ、クラス電力要求事項に関連した情報等の提供を通信ノード-1に要請できる。PDのタイプは、100BASE-T1イダーネットを支援するAタイプ、1000BASE-T1イダーネットを支援するBタイプ、100BASE-T1イダーネット及び1000BASE-T1イダーネットを共に支援するA+Bタイプ等に分類される。また、PDのタイプとして、10GBASEイダーネットを支援するタイプ、100GBASEイダーネットを支援するタイプ等が追加で定義される。PDのクラス電力要求事項は、表1及び表2の通りである。
【0068】
通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD、PHY階層ユニット)は、通信ノード-2の要請に基づいて自分のPDのタイプ、クラス電力要求事項に関連した情報等を含む信号を生成でき、生成された信号をデータラインを介して通信ノード-2に伝送できる(S720)。通信ノード-1により生成された信号は、
図6に示す信号600と同一又は類似である。例えば、信号は、PD情報フィールド、アドレスフィールド及びCRCフィールドを含む。PD情報フィールドは、通信ノード-1に含まれたPDのタイプ、クラス電力要求事項等を指示できる。アドレスフィールドは、通信ノード-1の識別子(例えば、PHYアドレス、MACアドレス等)を指示できる。
【0069】
通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPSE、PHY階層ユニット)は、データラインを介して通信ノード-1から信号を受信でき、受信された信号から通信ノード-1に含まれたPDのタイプ、クラス電力要求事項等を確認できる。通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPSE、PHY階層ユニット)は、PDのタイプ、クラス電力要求事項等に基づいて通信ノード-1に供給された電力を決定でき、決定された電力をデータラインを介して通信ノード-1に供給できる。通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD)は、データラインを介して通信ノード-2から電力を獲得でき(S730)、獲得された電力を基礎にして動作できる。
【0070】
なお、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD、PHY階層ユニット)は、フォールトの発生有無を確認できる(S740)。通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD、PHY階層ユニット)は、フォールトが発生した場合、発生したフォールトのタイプ(例えば、内部フォールト、外部フォールト等)を確認できる(S750)。通信ノード-1は、内部フォールトが発生した場合、電力オフ(off)モード(又は、スリープ(sleep)モード)で動作できる(S760)。内部フォールトは、通信ノード-1を構成する回路がオープン状態又はショート状態の場合である。電力オフモードで通信ノード-1のMAC階層ユニット及びPHY階層ユニットの両方は、不活性化される。スリープモードで通信ノード-1は、最小限の電力で動作できる。例えば、スリープモードで通信ノード-1のMAC階層ユニットは、不活性化され、通信ノード-1のPHY階層ユニットは、活性化される。また、通信ノード-1は、フォールト関連情報(例えば、フォールトの発生有無、発生原因(例えば、フォールトコード)等)を自分のデータベースに格納できる。
【0071】
通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD、PHY階層ユニット、MAC階層ユニット)は、外部フォールトが発生した場合、フォールトの発生を指示する指示子を含む信号を生成でき、生成された信号を伝送することによって、フォールトの発生を公知できる(S770)。また、通信ノード-1は、フォールト関連情報(例えば、フォールトの発生有無、発生原因(例えば、フォールトコード)、フォールト状態である通信ノードの識別子等)を自分のデータベースに格納できる。外部フォールトは、通信ノード-1とデータラインを介して連結された他の通信ノードを構成する回路がオープン状態又はショート状態である。
【0072】
フォールトの発生を指示する指示子を含む信号は、ブロードキャスト方式又はマルチキャスト方式で伝送される。信号に含まれた指示子は、1ビットで表現される。例えば、指示子が0に設定された場合、これは、フォールトが発生しないことを指示でき、指示子が1に設定された場合、これは、フォールトが発生したことを指示できる。また、信号は、フォールト状態である通信ノードの識別子を含むことができ、通信ノードの識別子は、フォールトの発生を指示する指示子にマッピングされる。また、信号は、複数の通信ノードそれぞれのフォールト発生有無を指示できる。この場合、各通信ノードの「指示子+識別子」が信号内に含まれる。
【0073】
フォールト(例えば、内部フォールト)が発生しない場合、通信ノード-1は、データラインを介して通信ノード-2から獲得された電力を基礎にして動作できる。なお、通信ノード-1は、他の個体(例えば、通信ノード-1に含まれたPSE等)から電力を獲得できる場合、通信ノード-2から電力を獲得する必要がないことがある。この場合、通信ノード-1(例えば、通信ノード-1に含まれたPD)は、電力供給の中止を指示する指示子を含む信号を生成でき、生成された信号をデータラインを介して通信ノード-2に伝送できる。指示子は、1ビットで表現される。例えば、指示子が0に設定された場合、これは、電力を供給することを指示でき、指示子が1に設定された場合、これは、電力供給の中止を指示できる。また、信号は、通信ノード-1の識別子(例えば、PHYアドレス、MACアドレス等)をさらに含むことができる。通信ノード-2(例えば、通信ノード-2に含まれたPSE)は、データラインを介して通信ノード-1から信号を受信でき、受信された信号が電力供給の中止を指示する場合、通信ノード-1への電力供給を中止できる。
【0074】
本発明による方法は、多様なコンピューター手段を介して行われるプログラム命令形態で具現され、コンピューター読み取り可能な媒体に記録される。コンピューター読み取り可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造等を単独で又は組み合わせて含む。コンピューター読み取り可能な媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計され構成されたものであるか、又はコンピューターソフトウェア当業者に公知され、使用可能なものであってもよい。
コンピューター読み取り可能な媒体の例には、ロム(rom)、ラム(ram)、フラッシュメモリ(flash memory)等のようにプログラム命令を格納し実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例には、コンパイラ(compiler)により作われるもののような機械語コードだけでなく、インタープリター(interpreter)等を使用してコンピューターにより実行され得る高級言語コードを含む。前述したハードウェア装置は、本発明の動作を実行するために少なくとも一つのソフトウェアモジュールで作動するように構成され、その逆も同様である。
【0075】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0076】
100 ゲートウェイ
110、110-1、110-2、120、130 スイッチ
111、112、113、121、122、123、131、132、133 エンドノード
200 通信ノード
210 PHY階層ユニット(physical layer unit)
211 PHY階層インターフェースユニット
212 PHY階層プロセッサ(processor)
213 PHY階層メモリ(memory)
220 コントローラー(controller)ユニット
221 コントローラーインターフェースユニット
222 コントローラープロセッサ
223 主メモリ
224 補助メモリ
230 媒体独立インターフェース(media independent interface、MII)
310 通信ノード-1
311 PHY階層ユニット
312 PSE(power sourcing equipment)
313 MDI/PI(medium dependent interface/power interface)
320 通信ノード-2
321 PHY階層ユニット
322 PD(powered device)
323 MDI/PI
330 データライン
400 通信ノード
410 PHY階層ユニット
420 PSE
430 PD
440 MDI/PI
802.3 IEEE