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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】充電導入口用アクチュエータモジュール
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/16 20190101AFI20220609BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
B60L53/16
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017105152
(22)【出願日】2017-05-29
(65)【公開番号】P2017216870
(43)【公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-01-27
(31)【優先権主張番号】16172315.0
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ハイス,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットロック,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイラオホ,ディルク
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-117074(JP,A)
【文献】特開平01-243273(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061400(WO,A1)
【文献】特開2014-121109(JP,A)
【文献】特開2011-165558(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0210410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モビリティ車両(85)の、充電導入口(83)など電気接続部(87)をロックするためのアクチュエータモジュール(1)であって、
前記アクチュエータモジュール(1)は、
移動方向(25)に沿ってロック解除位置(5)からロック位置(9)へと移動可能であるロック部材(43)と、
前記ロック部材(43)を前記ロック解除位置から前記ロック位置(9)へと移動させるための駆動ユニット(47)と、
前記ロック部材(43)の位置を決定するための位置検出ユニット(59)と、を備え、
前記位置検出ユニット(59)は、検出区域(37)内の物体(22)を検出するための少なくとも2つの光学センサ(11)を備え、
前記アクチュエータモジュール(1)は前記ロック部材(43)に一体に接続されるトリガ部材(23)をさらに備え、前記トリガ部材(23)は、前記ロック部材(43)の前記ロック解除位置(5)および前記ロック位置(9)の少なくとも一方において前記検出区域(37)内に位置するとともに、
前記少なくとも2つの光学センサ(11)は、前記ロック部材(43)の前記移動方向(25)に沿って互いに前後の関係で配置される、
アクチュエータモジュール(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの光学センサ(11)が、それぞれ少なくとも1つの光バリア(13)を含む、
請求項1に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの光学センサ(11)のうち、少なくとも1つの光学センサ(11)が少なくとも1つの光バリア(13)を含む、
請求項1に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光バリア(13)は、フォーク形光バリアである、
請求項2または3に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの光学センサ(11)は、同一平面上に一列に並んで配置されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項6】
前記トリガ部材(23)は、前記ロック部材(43)から前記ロック部材(43)の前記移動方向(25)に対して本質的に垂直に延在する、
請求項1から5のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項7】
前記トリガ部材(23)は平坦な形状(29)を有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項8】
前記トリガ部材(23)は、前記ロック部材(43)の前記ロック解除位置(5)または前記ロック位置(9)の一方において、前記少なくとも2つの光学センサ(11)の前記検出区域(37)内に位置する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項9】
前記ロック部材(43)の前記ロック解除位置(5)と前記ロック位置(9)との間に位置する、前記ロック部材(43)の中間位置(7)において、前記トリガ部材(23)は、前記少なくとも2つの光学センサ(11)の前記検出区域(37)の一方内にのみ位置する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項10】
前記位置検出ユニット(59)は、前記ロック部材(43)の位置に対応する位置信号を提供するための信号出力線(61)を備える、
請求項1から9のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項11】
前記位置検出ユニット(59)は、
前記ロック部材(43)が前記ロック解除位置(5)にある場合には、前記信号出力線(61)を介してロック解除信号を提供し、
前記ロック部材(43)が前記ロック位置(9)にある場合には、ロック信号を提供し、
前記ロック部材(43)が前記ロック位置(9)と前記ロック解除位置(5)との間に位置決めされた場合には、中間信号を提供する、
請求項10に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項12】
前記位置検出ユニット(59)および前記少なくとも2つの光学センサ(11)は、1つの回路基板(57)上に位置する、
請求項1から11のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項13】
前記回路基板(57)は、前記ロック部材(43)の位置に対応する位置信号を提供するための信号出力線(61)を介して信号を提供するための制御ユニット(63)をさらに備え、前記信号は前記ロック部材(43)の位置に対応する、
請求項12に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項14】
前記制御ユニット(63)は、アラーム信号線(65)を備えており、
前記アラーム信号線(65)は、前記位置検出ユニット(59)によって前記信号出力線を介して所定の切り替え時間期間よりも長い時間期間の間、前記ロック部材(43)が前記ロック位置(9)と前記ロック解除位置(5)との間に位置決めされたことを示す中間信号が提供された場合にアラーム信号を提供するためのものである、
請求項13に記載のアクチュエータモジュール(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のアクチュエータモジュール(1)を備える、eモビリティ車両(85)の、充電導入口(83)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にeモビリティ車両の、充電導入口など電気接続部をロックするための、アクチュエータモジュールに関する。本発明はさらに、発明性のあるアクチュエータモジュールを備える充電導入口に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧が印加されるまたは高電流が送られることになる電気接続部は、高電圧が印加されるまたは高電流が流れる間、選択的にロックされる、すなわち、接続解除されないように固定される。そのような手法によって、プラグ接続部構成要素のアーク放電および/または損傷を回避することができる。
【0003】
eモビリティ車両、たとえば電気またはハイブリッド自動車は、充電中に電気接続を必要とする。この電気接続は優先的には、充電ステーションのプラグコネクタがeモビリティ車両の充電導入口内に安全かつ完全に差し込まれている場合にのみ確立される。
【0004】
また、充電導入口を充電ステーションのプラグコネクタから電気的に接続解除した後で、プラグコネクタと充電導入口を機械的にロックするロック機構が、充電導入口とプラグコネクタとの間の機械的接続をロック解除するために、確実にトリガされる必要がある。
【0005】
プラグ接続部構成要素のアーク放電および/または損傷のリスクを伴わずにeモビリティ車両を安全に充電するために、ならびに、プラグ接続部構成要素を電気的に接続解除した後で、充電導入口を充電ステーションのプラグコネクタから機械的に接続解除することを確実に可能にするために、ロック機構の状況が確実に検出されることがさらに望まれる。
【0006】
eモビリティ車両は、充電構成要素のうちの1つ、すなわち充電導入口または充電ステーションのプラグコネクタにおいて、アクチュエータを適用する。これらのアクチュエータは、ロックを解除する位置からロックする位置へと移動可能である、ロック部材を備える。
【0007】
ロック部材のロックを解除する位置では、プラグ接続部構成要素、すなわち充電導入口および充電ステーションのプラグコネクタを、互いに取り外し可能に差し込むことまたは接続解除することができる。
【0008】
ロック部材のロックする位置では、プラグ接続部構成要素間のポジティブロックが確立され、この結果、プラグ接続部構成要素、すなわち充電導入口および充電ステーションのプラグコネクタが、接続解除または引き抜きできなくなる。ロック部材のロックする位置はさらに、プラグ接続部構成要素が互いに機械的に差し込まれるのを防止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、アクチュエータモジュールの状況、特にロック部材の状況を、確実に検出することを可能にするアクチュエータモジュールを提供することである。
【0010】
さらに、本発明の別の目的は、アクチュエータモジュールの状況、すなわちロック部材の位置の検出によって、アクチュエータモジュールに対する機械的な影響を最小化または回避することである。
【0011】
本発明の別の目的は、設置空間を最適化し、含まれる構成要素の寿命を延ばすことである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の種類の発明性のあるアクチュエータモジュールは、移動方向に沿ってロック解除位置からロック位置へと移動可能であるロック部材と、ロック部材をロック解除位置からロック位置へと移動させるための駆動ユニットと、ロック部材の位置を決定するための位置検出ユニットと、を備える。この位置検出ユニットが、検出区域内の物体を検出するための少なくとも1つの光学センサを備え、アクチュエータモジュールがトリガ部材をさらに備え、このトリガ部材が、ロック部材のロック解除位置およびロック位置の少なくとも一方において検出区域内に位置することによって、上記の問題を解決する。
【0013】
発明性のある充電導入口は、発明性のあるアクチュエータモジュールを備えることによって、上記の問題を解決する。
【0014】
アクチュエータモジュールは優先的には、高い電圧および/または電流が生じ得るeモビリティ車両において適用される。アクチュエータモジュール自体は、eモビリティ車両内すなわち充電導入口内に、または車両の充電手段のプラグコネクタ内に位置することができるが、固定的である充電手段、すなわち充電インフラ内に位置することもできる。
【0015】
一般に、この発明性のあるアクチュエータモジュールは、安全かつ確実な電気接続部を確保するとともにこれが意図せず接続解除されるのを防止する必要のある、任意の用途に適用することができる。
【0016】
アクチュエータモジュールは、容易に装着または交換できる、個別の交換可能なユニットとして理解されたい。
【0017】
優先的には、ロック部材は、プラグ接続部構成要素が1つに差し込まれる差込方向に対して本質的に垂直である方向に沿って、移動可能である。ロック解除位置からロック位置へとロック部材を移動させる駆動ユニットは、ロック部材をアクチュエータハウジングから離れる方向に延びるように移動させることができるが、ロック解除位置では、ロック部材はアクチュエータハウジングによって完全に受容される。
【0018】
少なくとも1つの光学センサは、非接触で動作する、すなわち、ロック部材の移動は、ロック部材の位置の決定によって影響されない。少なくとも1つの光学センサの検出区域は、中で物体の存在または不在が検出され得る、2次元の面積または3次元の容積として理解され得る。より複雑な光学センサでは、光学的に検出される物体の正確な移動を決定することができる。
【0019】
トリガ部材は、少なくとも1つの光学センサの検出区域内へと移動可能である要素として理解されるべきであり、ロック部材自体がトリガ部材として働いてよい。
【0020】
アクチュエータモジュールの所望の幾何学形状に応じて、ロック部材がロック位置からロック解除位置へと移動される場合に、トリガ部材を少なくとも1つの光学センサの検出区域内へ移動させることができる。但し、ロック解除位置からロック位置へとロック部材が移動される場合に、トリガ部材が検出区域内へと移動されることも考えられる。少なくともこれら2つの位置の一方において、トリガ部材は、少なくとも1つの光学センサの検出区域内に位置する。
【0021】
ロック部材は優先的には、長手方向の延伸が、ロック部材の長手方向に対して本質的に垂直に配向される2つの方向の各々における延伸よりも大きい、長手構造として具現化され得る。長手ロック部材は、円形の断面を有してもよく、様々な数の辺を有して、すなわち三角形、四角形、またはn本の辺を有する多角形の形状として、具現化されてもよい。
【0022】
しかしながら、ロック部材は、直方体、立方体、または円形として具現化されてよい。
【0023】
以下では、本発明の様々な実施形態が提示され記載されることになり、提示される実施形態の各々は、それ自体有利なものである。以下の実施形態の技術的特徴を、互いに任意に組み合わされてもよく、本発明により達成される技術的効果に関係がなければ省略されることもある。
【0024】
発明性のあるアクチュエータモジュールの第1の実施形態では、少なくとも1つの光学センサは、少なくとも1つの光バリアを含む。反射して機能する光学センサとは対照的に、光バリアは、この光バリアに検出区域内に位置するほぼどのような物体も検出できるという利点を有する。
【0025】
光バリアは特にフォーク形光バリアとすることができ、そのようなフォーク形光バリアの検出区域は、フォークアーム間に存在する。フォーク形光バリアのフォークアームはさらに、検出区域内の物体の検出を歪める可能性のある周囲放射の影響を低減するという利点をもたらす。
【0026】
発明性のあるアクチュエータモジュールの第2の実施形態では、アクチュエータモジュールは、少なくとも2つの光学センサを備える。いずれもオン状態およびオフ状態を有する2値(binary)の光学センサであってよい、2つの光学センサの使用は、2つの光学センサによって、理論上4つの異なる状態を表現、すなわち検出できるという利点をもたらす。
【0027】
アクチュエータのより多くの状態を、すなわちアクチュエータモジュールのロック状態およびロック解除状態以外をもモニタできることが好ましい。
【0028】
特にロック機構の不具合の場合、ロック機構のそのような不完全なロック解除の状況を検出することが望まれ、このことにより、新たにロック機構のロック解除を試みることが可能となり得る。
【0029】
少なくとも2つの光学センサは、同じ種類のものであっても、異なる種類のものであってもよい。好ましくは、少なくとも2つの光学センサは、フォーク形光バリアとして具現化される。
【0030】
発明性のあるアクチュエータモジュールの第3の実施形態では、少なくとも2つの光学センサは、ロック部材の移動方向に沿って互いに前後の関係で配置される。少なくとも2つの光学センサのそのような配置は、ロック部材の位置が、ロック部材の移動方向において分解されるという利点を有する。さらに、そのような配置は、少なくとも2つの光学センサのうちの第1の光学センサによりロック部材の第1の位置を検出することを可能にし、この位置は、少なくとも2つの光学センサのうちの第2のものによって検出される第2の位置とは異なるものである。
【0031】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、トリガ部材はロック部材に一体に接続される。そのような一体に具現化されたトリガ部材により、ロック部材の生産ステップの数およびコストが低減される。
【0032】
したがって、トリガ部材は、ロック部材から離れる方向に延在するロック部材の一部とすることができ、したがってトリガ部材の移動は、ロック部材の移動に直接結合される。
【0033】
アクチュエータモジュールのさらなる実施形態では、トリガ部材は、ロック部材から、ロック部材の移動方向に対して本質的に垂直に延在する。
【0034】
トリガ部材は、1つの部分としてロック部材から離れる方向に延在してもよく、いくつかの互いに分離された延長部を備えて、すなわち櫛に似た構造を形成してもよい。トリガ部材は、ロック部材の一方側にのみ延在しても、ロック部材の移動方向に対して対称に具現化されてもよい。
【0035】
光学センサを、アクチュエータモジュール内に、延在するトリガ部材を少なくとも1つの光学センサの検出区域内へと移動できるように配置することができる。
【0036】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、トリガ部材は平坦な形状を有する。平坦な形状は、少なくとも1つの光学センサの検出区域内へと移動されるのに有利である。平坦な形状とされたトリガ部材は、フラッグとして、プレートとして、またはフィンとして形状形成されるものと理解されたい。
【0037】
平坦な形状とされたトリガ部材は優先的には、ロック部材の移動方向に沿って延在してよく、平坦な形状とされたトリガ部材の、ロック部材の周方向に沿った延伸は、平坦な形状とされたトリガ部材の最小の延伸(smallest extension)であってよい。
【0038】
周方向は、ロック部材の移動方向に対して本質的に垂直かつ放射方向に対して本質的に垂直な方向として理解されるべきである。この放射方向は、ロック部材の移動方向に対して本質的に垂直であり、2次元平面に広がる。
【0039】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、トリガ部材は、ロック部材のロック解除位置またはロック位置の一方において、少なくとも2つの光学センサの検出区域内に位置する。少なくとも2つの光学センサおよびトリガ部材のそのような構成は、対応する位置、すなわちロック解除位置またはロック位置が、トリガ部材が少なくとも2つの光学センサの両方の検出区域内に位置する場合にしか検出されないという利点を有する。トリガ部材の不十分な移動は、トリガ部材を少なくとも2つの光学センサのただ一方の検出区域内に置く可能性があり、したがってロック解除位置またはロック位置に達したものと解釈されないことになる。
【0040】
少なくとも2つの光学センサの検出区域内に位置するように具現化されたトリガ部材は、4つの異なる状態すなわちロック部材の位置の間で区別を行うことを、同時に可能とする。
【0041】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、トリガ部材は、ロック部材の中間位置において、少なくとも2つの光学センサの検出区域のうちの1つ内にのみ位置し、このロック部材の中間位置は、ロック部材のロック解除位置とロック位置との間に位置する。
【0042】
位置検出ユニットによって検出可能な中間位置の利点は、最終状態、すなわちアクチュエータモジュールのロック状態またはロック解除状態と、これらの最終状態のどれにも対応しないアクチュエータモジュールの状態との間で、明確な区別が可能なことである。当技術の解決法では、そのような状況は2値である、すなわちロック部材が、ロックされているかまたはロック解除されているかのいずれかとして検出される。
【0043】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、位置検出ユニットは、ロック部材の位置に対応する位置信号を提供するための、信号出力線を備える。直列出力線は、アクチュエータモジュールの状況、すなわちロック部材の位置を、所与の信号線を介して所定のフォーマットで提供するという利点を有する。信号出力線によって提供される位置信号は、アナログ信号またはデジタル信号として提供され得る、すなわちこれは、連続的な電圧としてまたはコード化された信号として提供され得る。
【0044】
位置信号は特に、ロック解除位置、中間位置、またはロック位置に対応する3つの離散値(three discrete values)のうちの1つであってよい。
【0045】
発明性のあるアクチュエータモジュールのさらに別の実施形態では、位置検出ユニットは、ロック部材がロック解除位置にある場合は信号出力線を介してアナログ信号を提供し、ロック部材がロック位置にある場合はロック信号を提供し、およびロック部材がロック位置とロック解除位置との間に位置決めされた場合は中間信号を提供する。ロック解除信号、ロック信号、および中間信号は、3つの離散値、たとえば信号出力線を介して提供される電圧コード化値に対応していてよく、これらの信号は、アクチュエータモジュールの外部からアクセス可能であってよい。
【0046】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、位置検出ユニットおよび少なくとも1つの光学センサは、1つの回路基板上に位置する。位置検出ユニットおよび少なくとも1つの光学センサを回路基板上に設置することは、構成要素の位置合わせを容易に行うことができる、および回路基板が位置検出ユニットと少なくとも1つの光学センサとの間の位置合わせのための安定した基準枠を提供する、という利点を有する。さらに、少なくとも1つの光学センサをたとえばはんだ付けによって回路基板上に固定したとき、少なくとも1つの光学センサを、回路基板上で自動的に位置合わせすることができる。
【0047】
回路基板は、ロック部材の移動方向と本質的に平行に配向されてよく、アクチュエータモジュールのフレームの回路基板受容部内に受容されてよい。回路基板は、プラグコネクタまたはプラグソケットによってアクチュエータモジュールの外部からアクセス可能な、さらなる構成要素および/または入力線もしくは出力線を提供し得る。
【0048】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、回路基板は、信号出力線を介して信号を提供するための制御ユニットをさらに備える。この信号は、ロック部材の位置に対応する。制御ユニットを、少なくとも1つの光学センサの状況データを受信するように、少なくとも1つの光学センサの状況データを処理するように、および信号出力線を介してロック部材の位置に対応する相応した信号を提供するように、適合させることができる。制御ユニットはマッピングユニットをさらに備えていてよく、このマッピングユニットは、少なくとも1つの光学センサによって提供される測定された状況データを、続いて信号出力線を介して提供される所定の信号、たとえば電圧値に関連付けることができる。
【0049】
発明性のあるアクチュエータモジュールの別の実施形態では、制御ユニットは、アラーム信号線をさらに備える。アラーム信号線は、位置検出ユニットによって信号出力線を介して、所定の切り替え時間期間(predetermined switching time period)よりも長い時間期間(time period)の間、中間信号が提供された場合に、アラーム信号を提供するためのものである。
【0050】
切り替え時間期間は、ロック部材をロック解除位置からロック位置へとまたはこの逆に移動させるために、全体に必要である時間として理解されたい。すなわち、この切り替え時間期間後、ロック解除位置からロック位置へのまたはロック位置からロック解除位置への切り替えサイクルが、全体に完了される。切り替え時間期間後にそのような切り替えサイクルが完了されない場合、ロック部材のロックまたはロック解除中にエラーが生じたことが想定され得る。したがって、そのようなシステムの不具合、エラー、または動作不良を検出することができ、これらによりアラーム信号線を介してアラーム信号が生成され得る。
【0051】
以下では、発明性のあるアクチュエータモジュールの特定の実施形態を、添付の図に関して例示により提示する。同じ技術的特徴、および同じ技術的効果を提供する技術的特徴には、同じ参照符号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】トリガ部材の第1の実施形態を備える発明性のあるアクチュエータモジュールの動作原理図である。
図2】トリガ部材の第2の実施形態を備える発明性のあるアクチュエータモジュールの動作原理図である。
図3】ロック解除状態にあるアクチュエータモジュールの図である。
図4】ロック状態にあるアクチュエータモジュールの図である。
図5】光学センサの状態に対するアクチュエータモジュールの状態に関連する状況ダイアグラムである。
図6】本発明の例示の適用例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、発明性のあるアクチュエータモジュール1の動作原理を概略的に図示している。この図は、アクチュエータモジュールの3つの状態(アクチュエータモジュール状態3)、すなわちロック解除状態5、中間状態7、およびロック状態9を図示している。この開示では、ロック解除状態5、中間状態7、およびロック状態9を、後で導入するロック部材のロック解除位置5、中間位置7、およびロック位置9に対する同義語として用いることができる。
【0054】
図1は、光バリア13として、より具体的にはフォーク形光バリア15として具現化される、2つの光学センサ11を示すが、図1では1つのフォークアーム17だけが見えている。
【0055】
第1のフォーク形光バリア19は、第2のフォーク形光バリア21まで距離dOSのところに位置する。距離dOSは、2つの光学センサ11の間の自由空間を示す。
【0056】
図1は、移動方向25に沿って延在するトリガ部材23として具現化される、物体22をさらに示す。トリガ部材23は、図1および図2の概略図では別個の要素として示されているが、ただし実際には、ロック部材(図1および図2には図示せず、図3および図4を参照されたい)に取り付けられている。トリガ部材23はさらに、放射方向27に沿って延在し、平坦な形状29を有する。
【0057】
トリガ部材23の第1の実施形態は、第1のフラッグ部分33および第2のフラッグ部分31を備える。この第2のフラッグ部分31は、図1においてロック解除状態5で示されている。
【0058】
第1のフラッグ部分33と第2のフラッグ部分31との間において、トリガ部材23は、光学センサの幅wOSよりも大きく光学センサ間の距離dOSよりも小さい幅wを有する、凹部35を備える。
【0059】
ロック解除状態5では、トリガ部材23は、光学センサ11に対して、トリガ部材23が光学センサ11の検出区域37b内に位置しないような位置に置かれる検出区域37は、図面平面内を指す方向においてフォークアーム17の背後に位置しているので、図1または図2では見えていない。
【0060】
図1および図2のフォーク形光バリア15を移動方向25において検討する場合には、これらのU字形状が明確にわかるであろう。フォーク形光バリア15のU字形状は、放射方向27と反対の方向に開いていることになる。フォーク形光バリア15のU字形状は、図3および図4において見ることができる。
【0061】
発明性のあるトリガ部材23の第1の実施形態のロック解除状態5では、トリガ部材23の凹部35は本質的に、第1のフォーク形光バリア19の検出区域37を受容する。
【0062】
中間状態7では、トリガ部材23の第1のフラッグ部分33は、第1のフォーク形光バリア19の検出区域37内へと移動される。この第1のフォーク形光バリア19の発した光(図示せず)は、第1のフラッグ部分33によって阻止され、もはや第2のフォークアーム17には達しない。第2のフォークアーム17は、図面平面内への方向において、(図1および図2において見えている)第1のフォークアーム17の背後に位置する。
【0063】
中間状態7では、第2のフラッグ部分31は、第2のフォーク形光バリア21の検出区域37に近付くが、まだその検出区域37内には位置していない。
【0064】
ロック状態9では、第1のフラッグ部分33は、第1のフォーク形光バリア19の検出区域37内へと移動され、第2のフラッグ部分31は、第2のフォーク形光バリア21の検出区域37内へと移動される。ロック状態9では、両方のフォーク形光バリア19、21に関して、第1のフォークアーム17から発せられた光が、第1のフラッグ部分33または第2のフラッグ部分31によって阻止される。
【0065】
図1はさらに、トリガ部材23がロック解除位置5からロック位置9へとまたはこの逆に移動される距離を示す、動作距離dopを示す。
【0066】
図2も、発明性のあるアクチュエータモジュール1の動作原理を示すが、この実施形態では、トリガ部材23aの第2の実施形態が適用されている。
【0067】
トリガ部材23aの第2の実施形態は、同じく平坦な形状29を有するが、凹部35を有さない矩形として具現化される。
【0068】
図2も、ロック解除状態5、中間状態7、およびロック状態9を示すが、中間状態7は、トリガ部材23の2つのとり得る位置39を示す。これらのとり得る位置39は、トリガ部材23の点線の囲み線および一点鎖線の囲み線によって示されている。トリガ部材の点線の周囲線は、2つの位置39がより良くわかるように、僅かにずらされている。中間状態7におけるトリガ部材23の2つのとり得る位置39はいずれも、駆動状態7aまたは不具合状態7bと呼ぶこともできる、中間状態に対応する。
【0069】
図2では、中間状態7においてトリガ部材23のとり得る両方の位置39は、駆動状態7aに対応する。
【0070】
ロック状態9では、トリガ部材23は、トリガ部材23が第1のフォーク形光バリア19および第2のフォーク形光バリア21の検出区域37内に位置するまで、移動方向25に沿って移動される。
【0071】
図2は、トリガ部材23aの第2の実施形態の動作距離dOPも示す。この動作距離dOPは、図1に示すトリガ部材23の第1の実施形態の動作距離dOPよりも大きい。
【0072】
図3は、発明性のあるアクチュエータモジュール1を、側面斜視図で示す。アクチュエータモジュール1は、中に多数の構成要素が含まれ受容される、アクチュエータハウジング41を備える。(上述した)ロック部材43は、ハウジング凹部45において、アクチュエータハウジング41内に受容される。
【0073】
ロック部材43は、アクチュエータハウジング41内に全体が受容される駆動ユニット47によって、移動方向25に沿って移動可能である。図3に示すように、駆動ユニット47は、ピニオン51として具現化されるいくつかのギア部材49を備え得る。
【0074】
トリガ部材23は、平坦な形状29を有し、ロック部材43において一体に具現化される。ロック部材43は、ロック凹部(図示せず)内へのロック部材の導入を容易にするための面取り部53、移動方向25と反対のロック部材43の移動を限定するための停止表面55、およびギア部材49の回転を移動方向25に沿ったまたはこれと反対のロック部材43の並進移動(translational movement)へと変換するように適合された内部作動手段(図示せず)をさらに備え得る。
【0075】
アクチュエータハウジング41は、回路基板57をさらに受容する。フォーク形光バリア15として具現化された光学センサ11が、回路基板57に取り付けられる。回路基板57は、取り付け位置検出ユニット59、信号出力線61、制御ユニット63、またはアラーム信号線65をさらに備え得る。
【0076】
図3は、アクチュエータモジュール1をロック解除状態5において示す。トリガ部材23は、フォーク形光バリア15の検出区域37の外側に位置する。フォーク形光バリア15は、回路基板57にはんだ付けされ、このはんだ付け制作ステップによって自動的に配向および位置合わせされる。2つのフォーク形光バリア15は移動方向25に沿って互いに前後の関係で配置され、トリガ部材23は、フォーク形光バリア15の各々の2つのフォークアーム17の間を、フォークアーム17に機械的に接触することなく自由に動くことができる。
【0077】
図4は、発明性のあるアクチュエータモジュール1をロック状態9において示し、ロック部材43は、移動方向25に移動され、アクチュエータハウジング41から延びる。
【0078】
ロック部材43の移動は、ギア部材49によって開始され、移動方向25に面する停止表面55によって変形される弾性封止部材67によって減衰され停止される。弾性封止部材67は、この停止表面55によって、停止表面55との機械的接触時に可逆的に変形する弾力性(復元力)のある停止領域69において変形される。
【0079】
弾力性のある停止領域69を、弾性封止部材67において一体に具現化することができる。
【0080】
発明性のあるアクチュエータモジュール1は、信号出力線61によって提供される位置信号を送信するためのまたはアラーム信号線65によって提供されるアラーム信号を送信するための、プラグコネクタ71aまたはプラグソケット71bとして具現化できる接続手段71をさらに備え得る。
【0081】
図5は、発明性のあるアクチュエータモジュール1を動作させる状況ダイアグラム73を示す。状況ダイアグラム73は、第1のフォーク形光バリアの状態75aおよび第2のフォーク形光バリアの状態75bを、アクチュエータモジュール状態77に関連させる。
【0082】
上列において、アクチュエータモジュール状態77、すなわちロック解除状態5、中間状態7、およびロック状態9が与えられる。これらの状態5、7、9は、第1のフォーク形光バリアの状態75aと第2のフォーク形光バリアの状態75bの組み合わせによって決まる。
【0083】
フォーク形光バリア15は、2つの異なる状態、すなわち開放状態79および覆われた状態81を示し得る。開放状態をオフ状態と呼ぶ場合があり、覆われた状態81をオン状態と呼ぶ場合があることに留意されたい。開放および覆われたという標識付けは、ただフォーク形光バリア15が発する光を指すものであり、この光はフォーク形光バリア15の感光性部材によって検出されるが、この感光性部材は、開放状態79では開放状態であり、覆われた状態81では覆われている。
【0084】
状況ダイアグラム73は、第1のフォーク形光バリアの状態75aおよび第2の光バリアの状態75bが開放状態79に対応する場合、アクチュエータモジュール1のロック解除状態5が検出されることを示している。
【0085】
中間状態7、駆動状態7aまたは不具合状態7bは、第1のフォーク形光バリアの状態75aが覆われた状態81に対応し、第2のフォーク形光バリアの状態75bが開放状態に対応する間は、検出される。
【0086】
上で示されたように、中間状態7を、駆動状態7aまたは不具合状態7bへとさらに分類することができる。ロック部材43がまだ移動中であるかどうか、またはエラー、不具合もしくは動作不良に遭遇したかどうか、たとえばロック部材が詰まっている(gets stuck)かどうかの評価は、所定の切り替え時間期間に応じて決まる。所定の切り替え時間期間は、ロック部材43をロック解除位置5からロック位置へとまたはこの逆に移動させるためのおおよその継続時間に対応する時間期間である。所定の切り替え時間期間よりも長い時間期間の間、中間状態7にあると決定された場合、ロック部材43のエラー、不具合、または動作不良の可能性があり、制御ユニット63は、アラーム信号線65を介してアラーム信号を出力し得る。
【0087】
第1のフォーク形光バリアの状態75aおよび第2のフォーク形光バリアの状態75bが各々、覆われた状態81に対応する場合、ロック状態9が示される。言い換えれば、トリガ部材23が両方のフォーク形光バリア15内に位置する、より具体的には両方のフォーク形光バリア15の検出区域37内に位置する場合のみ、ロック状態9が検出される。
【0088】
図6は、本発明の一般的な適用例を示す。固定的な充電手段82が、対応する充電導入口83との電気接続部87を確立する充電ケーブル84を介して、2つのeモビリティ車両85に接続されている。
【0089】
電気接続部87は、充電導入口83内に位置する発明性のあるアクチュエータモジュール1によって固定される。
【符号の説明】
【0090】
1 アクチュエータモジュール
3 アクチュエータモジュールの状態
5 ロック解除状態
7 中間状態
7a 駆動状態
7b 不具合状態
9 ロック状態
11 光学センサ
13 光バリア
15 フォーク形光バリア
17 フォークアーム
19 第1のフォーク形光バリア
21 第2のフォーク形光バリア
22 物体
23 トリガ部材
23a トリガ部材の第2の実施形態
25 移動方向
27 放射方向
29 平坦な形状
31 第2のフラッグ部分
33 第1のフラッグ部分
35 凹部
37 検出区域
39 トリガ部材の位置
41 アクチュエータハウジング
43 ロック部材
45 ハウジング凹部
47 駆動ユニット
49 ギア部材
51 ピニオン
53 面取り部
55 停止表面
57 回路基板
59 位置検出ユニット
61 信号出力線
63 制御ユニット
65 アラーム信号線
67 弾性封止部材
69 弾力性のある停止領域
71 接続手段
71a プラグコネクタ
71b プラグソケット
73 状況ダイアグラム
75a 第1のフォーク形光バリアの状態
75b 第2のフォーク形光バリアの状態
77 アクチュエータモジュール状態
79 開放状態
81 覆われた状態
82 充電手段
83 充電導入口
84 充電ケーブル
85 eモビリティ車両
87 電気接続部
OP 動作距離
OS 光学センサ間の距離
凹部の幅
OS 光学センサの幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6