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特許7085336電力分配マイクログリッドを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】電力分配マイクログリッドを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20220609BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220609BHJP
   H02H 7/26 20060101ALI20220609BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J3/38 110
H02H7/26 F
H02J13/00 301D
H02J13/00 311T
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017228864
(22)【出願日】2017-11-29
(65)【公開番号】P2018137974
(43)【公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】16202531.6
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508161584
【氏名又は名称】エービービー・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】ABB S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Vittor Pisani, 16, I-20124, MILANO, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィディガッティ, アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ラガイーニ, エンリコ
(72)【発明者】
【氏名】モナケージ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ダゴスティーノ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】シルベストロ, フェデリコ
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-125290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0283890(US,A1)
【文献】国際公開第2005/101607(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02H 7/26
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力分配マイクログリッド(100)を制御する方法(1)であって、前記マイクログリッドが、
電気的結合ノード(POC)において前記マイクログリッドが電力分配メイングリッド(200)と電気的に接続可能または前記メイングリッド(200)から電気的に切断可能である、電気的結合ノード(POC)と、
各々が、前記マイクログリッドによって供給される対応する量の電力を消費する、1つ以上の電気負荷(DL、...、DL、UL、...、UL)であって、前記マイクログリッドから電気的に切断可能な1つ以上の切断可能な負荷(DL、...、DL)を含む電気負荷と、
1つ以上の発電機を含む電力源(GEN)と
を備え、
前記方法が、切断時点(ts)における前記電気的結合ノード(POC)での前記メイングリッドからの前記マイクログリッドの電気的切断に応答して実行可能であり、
前記方法が、
前記メイングリッドからの前記マイクログリッドの切断が前記メイングリッド(200)内の障害によるものであるかどうかを判定するステップ(11)と、
前記メイングリッドからの前記マイクログリッドの切断が、前記メイングリッド(200)内の障害によるものではなく、前記マイクログリッドが、前記切断時点(ts)において前記メイングリッドから有効電力を吸収していた場合、前記マイクログリッドから1つ以上の切断可能な負荷(DL、...、DL)を選択的に切断するための負荷遮断手順(2)を実行するステップ(12)と、
前記メイングリッドからの前記マイクログリッドの切断が、前記メイングリッド(200)内の障害によるものである場合、前記マイクログリッドの切断の後に前記マイクログリッドの周波数の低下が進行中であるかどうかを判定するステップ(13)と、
前記メイングリッドからの前記マイクログリッドの切断の後に周波数の低下が進行中である場合、前記負荷遮断手順(2)を実行するステップ(14)と
を含み、
前記負荷遮断手順(2)が、
前記メイングリッドからの前記マイクログリッドの切断の後に前記マイクログリッドの電気負荷(DL、...、DL、UL、...、UL)にもはや利用可能でない電力の量を示す電力切断値(ΔP)を、計算するステップ(21)と、
遮断されなければならない、前記電気負荷(DL、...、DL、UL、...、UL)によって消費される電力の目標量を示す電力遮断目標値(ΔPLS )を計算するステップ(22)と、
前記切断可能な負荷(DL、...、DL)によって消費される電力の累積量(ΔPLS)が、前記切断可能な負荷に割り当てられた優先度レベル(i)の関数として表される電力消費マップ(M)を計算するステップ(23)と、
前記電力遮断目標値(ΔPLS )を得るために遮断されなければならない、前記切断可能な負荷(DL、...、DL)によって消費される電力の最小量を示す電力遮断最小値(ΔPLS_MIN)であって、前記電力消費マップ(M)における遮断優先度値(i)に対応する電力遮断最小値を、前記電力消費マップ(M)によって決定するステップ(24)と、
第1の制御信号(CON)を供給して、前記遮断優先度値(i)よりも低いかまたは等しい優先度レベル(i)が割り当てられた切断可能な負荷(DL、...、DL)を電気的に切断するステップ(25)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記負荷遮断手順(2)が、
前記第1の制御信号(CON)の供給の後に前記マイクログリッドの周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを、判定するステップ(26)と、
周波数の低下がまだ進行中である場合、第2の制御信号(CON)を供給して、前記マイクログリッドの全ての切断可能な負荷(DL、...、DL)を電気的に切断するステップ(27)と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メイングリッド(200)からの前記マイクログリッド(100)の切断が、前記メイングリッド内の障害によるものであるかどうかを、判定する前記ステップ(11)が、
前記切断時点(ts)における前記マイクログリッドの動作状態に関する第1のデータ(D)であって、前記切断時点(ts)における前記電気的結合ノード(POC)での電気的量(VGRID、IGRID)の挙動を示す検出値を含む第1のデータを取得するステップと、
前記電気的結合ノード(POC)における前記マイクログリッドのグリッド電圧を示す、前記第1のデータ(D)に含まれるグリッド電圧検出値(VGRID)を、電圧閾値(VTH)と比較するステップと
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メイングリッド(200)からの前記マイクログリッド(100)の切断が前記メイングリッド内の障害によるものであるかどうかを、判定する前記ステップ(11)が、前記切断時点(ts)において前記電気的結合ノード(POC)を流れるグリッド電流(IGRID)の方向を、前記第1のデータ(D)に含まれる、前記グリッド電流(IGRID)を示すグリッド電流検出値に基づいて、チェックするステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メイングリッド(200)からの前記マイクログリッド(100)の切断が前記メイングリッド内の障害によるものであるかどうかを、判定する前記ステップ(11)が、前記電気的結合ノード(POC)において前記メイングリッドから前記マイクログリッドを電気的に切断することができるスイッチング装置(S)の動作を示す、前記第1のデータ(D)に含まれるログ情報を、チェックするステップを含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記メイングリッド(200)からの前記マイクログリッド(100)の切断の後に前記マイクログリッドの周波数の低下が進行中であるかどうかを、判定する前記ステップが、
前記マイクログリッドの周波数に関する第2のデータ(D)であって、前記マイクログリッドの周波数を示す第1の周波数検出値(F)と、前記マイクログリッドの周波数の経時的な変化を示す第2の周波数検出値(F)とを含む第2のデータを取得するステップと、
前記第1の周波数検出値(F)を第1の周波数閾値(FTH1)と比較するステップと、
前記第2の周波数検出値(F)を第2の周波数閾値(FTH2)と比較するステップと
を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の制御信号(CON)の供給の後に前記マイクログリッドの周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを、判定する前記ステップが、
前記マイクログリッドの周波数に関する第3のデータ(D)であって、前記マイクログリッドの周波数を示す第3の周波数検出値(F)を含む第3のデータを取得するステップと、
前記第3の周波数検出値(F)を第3の周波数閾値(FTH3)と比較するステップと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の制御信号(CON)の供給の後に前記マイクログリッドの周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを、判定する前記ステップが、
前記マイクログリッドの周波数に関する第4のデータ(D)であって、前記マイクログリッドの周波数の経時的な変化を示す第4の周波数検出値(F)を含む第4のデータを取得するステップと、
前記第4の周波数検出値(F)を第4の周波数閾値(FTH4)と比較するステップと
を含む、請求項2または7に記載の方法。
【請求項9】
前記電力遮断最小値(ΔPLS_MIN)が、以下の関係式が成り立つ、前記電力消費マップ(M)における電力の最小累積量(ΔPLS)として決定され、
ΔPLS は、前記電力遮断目標値であり、mは、0<=m<=1の所定の数である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
記憶媒体に記憶されているまたは記憶可能であるコンピュータプログラム(350)であって、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(1)を実施するソフトウェア命令を備えるコンピュータプログラム(350)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(1)を実施するソフトウェア命令を記憶する記憶媒体を有して前記ソフトウェア命令を実行するように構成されたコンピュータ化されたリソースを備える、コンピュータ化された装置(300)。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータ化された装置(300)を備える、前記マイクログリッド(100)用の制御機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力分配グリッドの分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、マイクログリッドがメイングリッドから切断されて動作するときに、マイクログリッドの動作を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
よく知られているように、電力分配グリッドの分野では、マイクログリッドは、一般に、明確に定義されたゾーンに配置されかつ制限された電力分配システムとして意図されている。
【0004】
様々な電気負荷に加えて、マイクログリッドは、例えば、ソーラーパネルプラント、風力タービンプラント、熱電併給システム、海洋エネルギー発電システム、地熱またはバイオマスエネルギー発電システム、太陽光発電、ディーゼル発電、燃料電池などの、いくつかの発電機を通常含む。
【0005】
重要な電気負荷に信頼性の高い安定した電力を供給するために、マイクログリッドはまた、様々なエネルギー貯蔵ユニット、例えば、コンデンサバンク、バッテリーなどを含むことができる。
【0006】
通常、マイクログリッドは、電力事業者グリッドなどのメイングリッドに電気的に接続されている。
【0007】
マイクログリッドは、メイングリッドに電気的に接続されている場合、「グリッド接続モード」で動作していると、一般に言われる。
【0008】
しかしながら、システムの要求または異常状態(例えば、メイングリッドの障害または停電)またはユーザの判断に応答して、マイクログリッドは、メイングリッドから(例えば、適切に配置された回路遮断器によって)電気的に切断され、いわゆる「孤立モード」で動作することができる。
【0009】
よく知られているように、マイクログリッドが孤立モードで動作する場合、マイクログリッドの周波数および電圧は、しばしば、関連する過渡状態に陥りやすい。一般に、この不都合が生じるのは、マイクログリッドが、適切にバランスした動作パラメータを保証するために、より大きいメイングリッドによって供給される電力に通常は依存しているからである。
【0010】
このような電圧及び周波数の過渡状態は、電気負荷のブラックアウト現象又は誤動作をすぐに(例えば、数十ms)招く可能性がある。
【0011】
さらに、マイクログリッドがメイングリッドから切断されると、マイクログリッドに設置された発電機によって生成された電力は、接続されたすべての電気負荷に供給するのに十分でない場合がある。
【0012】
両方の理由から、マイクログリッドを制御するためのいくつかの方法が開発されている。
【0013】
特許出願US2012283888A1およびUS2012283890A1は、メイングリッドから電気的に切断された後の所与の遷移時間内に実行されるべき発電計画に従って、孤立モードで動作するマイクログリッドを制御する方法を開示している。このような発電計画は、必要に応じて更新することができる。
【0014】
特許出願WO2015003729A1は、グリッド接続モードから孤立モードへの動作遷移中にマイクログリッドを制御する方法を開示している。
【0015】
メイングリッドから切断されて動作するマイクログリッドを制御するために現在利用可能な方法は、一般に複雑であり、実際に実施することは困難である。
【0016】
現在利用可能ないくつかの方法は、マイクログリッドの動作を安定させるための堅牢な制御ソリューションを提供しない。
【0017】
他の利用可能な方法は、しばしば、電気負荷の不必要な切断を招き、その結果、実際の動作状態によって必要とされるよりもマイクログリッドの動作能力を低下させる。
【0018】
マイクログリッドの電気負荷による電力消費の堅牢で効果的な管理を提供し、それにより、利用可能な発電源との適切な電力バランスを保証すると同時に、前記電気負荷の過剰遮断介入を回避または低減することができる、メイングリッドから切断されて動作するマイクログリッドの制御ソリューションに対する需要が、市場では依然として感じられている。
【発明の概要】
【0019】
この必要性に対応するために、本発明は、以下の請求項1および関連する従属請求項に記載の電力分配マイクログリッドの制御方法を提供する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、以下の請求項10に記載のコンピュータプログラムに関する。
【0021】
さらなる態様において、本発明は、以下の請求項11に記載のコンピュータ化された装置に関する。
【0022】
さらなる態様では、本発明は、以下の請求項12に記載の制御機器または制御装置に関する。
【0023】
本発明の特徴および利点は、例示的にのみ且つ限定することなく添付の図面に示される、好ましいが排他的ではない実施形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による電力分配マイクログリッド及びその制御機器を概略的に示す。
図2】本発明による方法を概略的に示す図である。
図3】本発明による方法を概略的に示す図である。
図4】本発明による方法を概略的に示す図である。
図5】本発明による方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
上述の図を参照して、本発明は、低電圧または中電圧電力分配マイクログリッド100の動作を制御するための方法1に関する。
【0026】
本発明の枠内で、「低電圧」という用語は、1.2kV ACおよび1.5kV DCまでの動作電圧に関連し、「中電圧」という用語は、1.2kV ACおよび1.5kV DCよりも高く、数十kVまでの、例えば72kV ACおよび100kV DCまでの動作電圧に関連する。
【0027】
マイクログリッド100は、工業用、商業用および住宅用の建物またはプラント用の電力分配ネットワークであってもよい。一例として、それは、平均消費電力が0.05MW~10MWの範囲に含まれることを特徴とし得る。
【0028】
マイクログリッド100は、電気的結合ノードPOC(Point Of Coupling)を備え、そこで前記マイクログリッドは、電力分配メイングリッド200と電気的に接続可能、またはそれから切断可能である。
【0029】
メイングリッド200は、例えば、電力事業者グリッドなどの、拡張された電力分配ネットワークであってもよい。
【0030】
通常、マイクログリッド100は、電気的結合ノードPOCにおいてメイングリッド200と電気的に接続されている。
【0031】
しかしながら、いくつかの状況では(例えば、停電または障害の場合)、マイクログリッド100は、電気的結合ノードPOCにおいてメイングリッド200から電気的に切断することができる。
【0032】
マイクログリッド100は、好ましくは、少なくとも第1のスイッチング装置S(例えば、回路遮断器)を備え、その動作は、適切な制御信号によって既知の方法で制御することができる。
【0033】
スイッチング装置Sが閉(ON)状態にあるとき、マイクログリッド100は、メイングリッド200に電気的に接続され、好都合にはグリッド接続モードに従って動作する。
【0034】
スイッチング装置Sが開(OFF)状態にあるとき、マイクログリッド100は、電気的結合ノードPOCにおいてメイングリッド200から電気的に切断され、以下に説明するように、孤立モードで動作することができる。
【0035】
マイクログリッド100は、マイクログリッド100によって供給される対応する電力をそれぞれ消費する1つ以上の電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULを備える。
【0036】
明瞭化のために、本発明の枠組みにおいて、「消費」という用語は、平均消費電力、瞬時消費電力、エネルギー消費、またはこれらと同等の他の物理量に関して使用されるべきであることが、ここで明記される。「電力」という用語は、特定の必要性に応じて、「有効電力」、「無効電力」または「皮相電力」に参照され得るということもまた、明記される。
【0037】
電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULは、必要に応じて任意のタイプのものでよい。
【0038】
一般に、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULは、動作中に電力を消費するように適合された任意の装置であってよい。
【0039】
図1に示すように、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULは、マルチレベル構成に従って、異なるグリッドブランチ上に配置されてもよい。しかしながら、異なる構成が可能である。
【0040】
原則として、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULは、必要に応じて、マイクログリッド100と電気的に接続されるか、またはマイクログリッド100から電気的に切断され得る。
【0041】
好都合には、マイクログリッド100は、1つ以上の電気負荷または1つ以上のグリッドブランチをマイクログリッドの残りの部分から電気的に切断またはマイクログリッドの残りの部分と電気的に接続するための1つ以上の第2のスイッチング装置Sを備える。
【0042】
第2のスイッチング装置Sは、例えば、回路遮断器、接触器、I-Oインターフェイス、スイッチ、スイッチ断路器、通信インターフェイスまたは他の同様な装置を含むことができる。
【0043】
スイッチング装置Sの動作は、適切な制御信号によって既知の方法で制御することができる。
【0044】
マイクログリッド100の電気負荷は、スイッチを切ることによって、または対応する第2のスイッチング装置Sを制御することによって(その実際の動作中に)マイクログリッドから電気的に切断可能な1つ以上の切断可能な負荷DL、...、DLを含む。
【0045】
マイクログリッド100の電気負荷はまた、スイッチを切ることによって、または対応する第2のスイッチング装置Sを制御することによって(その実際の動作中に)マイクログリッドから電気的に切断することができない1つ以上の切断不可能な負荷UL、...、ULを含んでもよい。
【0046】
マイクログリッド100の所与の電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULが、その特定の構造または配置または可能な動作モードではなく、マイクログリッド100内で前記電気負荷に対して予測される動作に応じて、「切断可能」または「切断不可能」とみなされる、ということを明記することが、明瞭化のために重要である。
【0047】
一例として、(例えば、適切な第2のスイッチング装置Sを動作させることによって)原理的にマイクログリッド100から電気的に切断され得る所与の電気負荷(例えば電気モータ)は、例えばマイクログリッド100におけるその重要な役割または機能のために、マイクログリッド100の動作中に介入することが可能でない場合、「切断不可能」と見なされる。
【0048】
さらなる例として、マイクログリッド100の残りの部分と永続的な方法で電気的に接続されている所与の電気負荷は、マイクログリッド100の動作中に、特定の要件なしに、必要に応じてオン/オフを切り替えることができる場合、「切断可能」とみなすことができる。
【0049】
好都合には、マイクログリッド100の切断可能な負荷DL、...、DLには、そうする必要があるときは前記切断可能な負荷がマイクログリッド100から切断されなければならない順序を示す数値(指標)である優先度レベルが割り当てられる。
【0050】
好都合には、各切断可能な負荷DL、...、DLの優先度レベルは、ユーザによって定義されてもよいし、例えば消費電力が低い方から高い方へ、または他のソート論理によって、切断可能な負荷をソートするための基準指標として前記負荷の(公称または測定された)消費電力を使用する適切なアルゴリズムによって動的に割り当てられてもよい。同じ優先度レベルを有する切断可能な負荷DL、...、DLもまた、それらの消費電力に応じて順序付けられてもよい。
【0051】
マイクログリッド100は、1つ以上の発電機(図示せず)を含む電力源GENを備える。
【0052】
前記発電機は、任意のタイプであってよく、必要に応じて配置されてよい。
【0053】
一例として、それらは、ソーラーパネルプラント、風力タービンプラント、熱電併給システム、海洋エネルギー発電システム、太陽光発電、ディーゼル発電、地熱またはバイオマスエネルギー発電システム、燃料電池などを含むことができる。
【0054】
電力源GENは、1つ以上のエネルギー貯蔵ユニットを備えてもよく、それらは任意のタイプであってよく、必要に応じて配置されてよい。一例として、それらは、コンデンサバンク、バッテリー等を含むことができる。
【0055】
有利には、マイクログリッド100は、前記発電機(および場合によっては前記エネルギー貯蔵ユニット)をマイクログリッドの残りの部分から電気的に切断、またはマイクログリッドの残りの部分と電気的に接続するための1つ以上の第3のスイッチング装置Sを備える。
【0056】
第3のスイッチング装置Sは、例えば、回路遮断器、接触器、スイッチ断路器、または他の同様な装置を含むことができる。
【0057】
本発明による方法1は、マイクログリッド100がメイングリッドから切断されて動作する場合に、マイクログリッド100の動作を管理するのに適している。
【0058】
したがって、本発明による方法1は、好都合には、所与の切断時点tsでの電気的結合ノードPOCにおけるメイングリッド200からのマイクログリッド100の電気的切断に応答して実施される。
【0059】
マイクログリッド100が孤立化イベントにさらされているかどうかを検出するために、好都合には、スイッチング装置Sの動作ステータスが監視されてもよい。
【0060】
スイッチング装置Sを介入させる実際の理由(例えば、システムの必要性または障害またはユーザの行動)とは無関係に、スイッチング装置Sがオフ状態になることは、マイクログリッド100の孤立化を引き起こすのに必要十分な条件を構成する。
【0061】
スイッチング装置1が切断時点tsでオフ状態になるとすぐに、本発明の方法1は、好都合にはマイクログリッド100の動作を制御するように実行される。
【0062】
本発明によれば、方法1は、メイングリッド200からのマイクログリッド100の切断が、メイングリッド200における障害、より詳細には、共通の結合ノードPOCの近くで見つけられたメイングリッド200における障害に起因するかどうかを判定するステップ11を含む。
【0063】
好ましくは、方法1の判定ステップ11は、切断時点tsに電気的結合ノードPOCで検出されたいくつかの電気的量の挙動を観測することを提供する。
【0064】
好ましくは、方法1の判定ステップ11は、切断時点tsにおけるマイクログリッド100の動作ステータスに関する第1のデータDを取得するステップを含む。
【0065】
好ましくは、第1のデータDは、切断時点tsの電気的結合ノードPOCにおける電気的量の挙動を示す検出値を含む。
【0066】
好ましくは、第1のデータDに含まれる検出値は、電気的結合ノードPOCにおいて前記電気的量を検出するように構成された1つ以上の検出装置400(例えば、電圧センサ、電流センサなど)によって提供される。
【0067】
検出装置400は、既知のタイプのものであってもよく、簡潔さのために、さらに詳細には記載されていない。
【0068】
好ましくは、第1のデータDに含まれる検出データは、切断時点tsの電気的結合ノードPOCにおけるマイクログリッド100のグリッド電圧を示すグリッド電圧検出値VGRIDを含む。
【0069】
好ましくは、方法1の判定ステップ11は、前記グリッド電圧検出値(第1のデータDに含まれる)を電圧閾値VTHと比較するステップを含む。
【0070】
前記グリッド電圧検出値が、電圧閾値VTH以上である場合{VGRID>=VTH}、メイングリッド200からのマイクログリッド100の切断は、メイングリッド200の障害によるものではない。
【0071】
グリッド電圧検出値VGRIDが、電圧閾値VTHよりも低い場合{VGRID<VTH}、メイングリッド200からのマイクログリッド100の切断は、(共通の結合ノードPOCの近くの)メイングリッド200の障害による。
【0072】
切断時点tsの電気的結合ノードPOCにおけるグリッド電圧VGRIDをチェックする上述のステップは、障害(例えば短絡)がグリッドの一部に発生している場合に、電力分配グリッドの電気的ノードが一般に不足電圧現象を受ける、という見解に技術的根拠を見出す。
【0073】
したがって、切断時点tsの電気的結合ノードPOCにおける不足電圧現象の存在は、マイクログリッド100の切断イベントを引き起こす障害が電気的結合ノードPOCの近くで発生している明確な痕跡を構成する。
【0074】
好都合には、方法1の判定ステップ11は、切断時点tsの共通の結合ノードPOCにおけるグリッド電流を観測することも提供する。
【0075】
好ましくは、第1のデータDに含まれる検出データは、切断時点tsの電気的結合ノードPOCにおけるマイクログリッド100のグリッド電流IGRIDを示すグリッド電流検出値IGRIDを含む。
【0076】
好ましくは、方法1の判定ステップ11は、前記グリッド電流検出値IGRIDに基づいて、切断時点tsの電気的結合ノードPOCを通って流れるグリッド電流の方向をチェックするステップを含む。
【0077】
上述したような、切断時点tsの電気的結合ノードPOCにおけるグリッド電流の方向をチェックする上述のステップは、メイングリッド200に障害が発生したかどうか、またはマイクログリッドがメイングリッドから有効電力を吸収していたかどうか、を判定するにあたって追加の情報を提供するということが分かった。
【0078】
好都合には、方法1の判定ステップ11は、上記の電気的量を示す検出値に加えて更なる情報をチェックすることも提供する。
【0079】
好ましくは、第1のデータDは、スイッチング装置Sの動作を示すログ情報を含む。このようなログ情報には、例えば、スイッチング装置Sが受信したリレーコマンド、インターロックコマンド、マニュアルコマンド、ステータス信号などに関する情報が含まれる。
【0080】
好ましくは、方法1の判定ステップ11は、前記ログ情報をチェックするステップを含む。
【0081】
このようなログ情報の分析は、メイングリッド200からのマイクログリッド100の切断が、メイングリッド200の障害に起因するものではなく、他の理由(例えば、スイッチング装置Sが受信したマニュアル、システムまたはインターロックコマンド、メイングリッド200の停電等)に起因するかどうかを判定するための有効なソリューションであるということがわかった。
【0082】
本発明によれば、メイングリッド200からのマイクログリッド100の切断が、前記メイングリッドの障害によるものでない場合、方法1は、マイクログリッド100が切断時点tsにメイングリッド200から有効電力を吸収(これにより、全体的には電気負荷として動作する)していたかどうかをチェックすること(ステップ11B)を、さらに提供する。
【0083】
マイクログリッド100が切断時点tsにメイングリッド200から有効電力を吸収していた場合、方法1は、切断時点tsにおける孤立化イベントに応答して、マイクログリッド100の切断可能な負荷DL、...、DLのうちの1つ以上を選択的に切断する負荷遮断手順2を実行するステップ12を含む。
【0084】
実際、切断時点tsにおけるメイングリッド200からマイクログリッド100への有効電力の流れは、マイクログリッド100が前記切断時点にその全ての電気負荷に適切に給電することができなかったという状況を示す。これは、関連する障害がメイングリッドに存在しなくても、前記電気負荷の負荷遮断が実行されなければならないことを意味する。
【0085】
切断時点tsにマイクログリッド100がメイングリッド200から有効電力を吸収していなかった場合、方法1は終了する。
【0086】
実際、切断時点tsにおけるマイクログリッド100からメイングリッド299への有効電力の流れは、マイクログリッド100が前記切断時点にその全ての電気負荷に適切に給電することができ、且つメイングリッド200に電力を供給する(それにより、全体的には発電機として動作する)ことができたという状況を示す。
【0087】
負荷遮断手順2について、以下でより詳細に説明する。
【0088】
本発明によれば、メイングリッド200からのマイクログリッド100の切断が、前記メイングリッドの障害によるものである場合、方法1は、マイクログリッド10の周波数の低下が、切断時点tsにおけるメイングリッド200からのマイクログリッド100の切断後に進行中であるかどうか、を判定するステップ13を含む。
【0089】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数の低下が進行中であるかどうかを判定するステップ13は、前記マイクログリッドの周波数に関する第2のデータDを取得するステップを含む。
【0090】
第2のデータDは、検出装置400または既知のタイプの他の検出装置によって提供されてもよい。
【0091】
好ましくは、第2のデータDは、マイクログリッド100の周波数を示す第1の周波数検出値Fと、ある時間にわたる前記マイクログリッドの周波数の変化(実際には前記マイクログリッドの周波数の微分値)を示す第2の周波数検出値Fとを含む。
【0092】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数の低下が進行中であるかどうかを判定するステップ13は、第1の周波数検出値Fを第1の周波数閾値FTH1と比較するステップと、第2の周波数検出値Fを第2の周波数閾値FTH2と比較するステップとを含む。
【0093】
周波数検出値Fがそれぞれの閾値FTH1よりも低く、且つ周波数検出値Fがそれぞれの閾値FTH2よりも高い場合{F<FTH1且つF>FTH2}には、切断時点tsにおける前記マイクログリッドの孤立化イベントに応答して、マイクログリッド100の周波数の低下が進行中である。
【0094】
メイングリッド100から切断されて動作しているマイクログリッド100における周波数低下の存在は、電力源GENによって供給される電力と、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力との間にバランスがないことを意味する。
【0095】
この場合、方法1は、切断可能な負荷DL、...、DLのうちの1つ以上を選択的に切断する負荷遮断手順2を実行するステップ14を含む。
【0096】
一方、マイクログリッド100に周波数低下がないということは、電力源GENによって供給される電力と、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力との間にバランスがあることを意味する。
【0097】
この場合、方法1は原則として終了される。
【0098】
もちろん、マイクログリッド100の動作状態は、例えば、マイクログリッド100に電気的に接続された電気負荷の数の(何らかの理由での)増加のために、時間的に変化してもよい。
【0099】
したがって、マイクログリッド100の周波数の低下が進行中であるかどうかを判定するステップ13は、マイクログリッド100がメイングリッド200から切断されて動作している間、周期的に実行されることが好ましい。
【0100】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数低下が、マイクログリッド100が孤立モードでまだ動作している任意の時間に判定された場合、方法1は、(上述のステップ14により)負荷遮断手順2を実行する。
【0101】
方法1の上記のステップは、孤立モードで動作するマイクログリッド100が、図5に表された制御スキームに従ってモデル化され得る、という見解に技術的根拠を見出す。
【0102】
切断時点tsにおけるマイクログリッド100の孤立化に続く周波数の変化量Δfと利用可能な電力の変化量ΔPとの間の関係は、以下の伝達関数によってモデル化することができる。
ここで、Δfは初期状態と比較したマイクログリッドの周波数の変化量、ΔPは利用可能な電力の変化量(負荷符号の慣例を使用)、Δεは周波数誤差の変化量、Δftsは初期状態における周波数誤差の変化量、Gはマイクログリッド内の電力源を表す伝達関数、ρはマイクログリッドの減衰係数、Hはマイクログリッドの慣性係数である。
【0103】
切断時点tsにおける周波数の変化量の観点でのマイクログリッド100の応答は、以下の関係式によって表すことができる。
【0104】
したがって、周波数の変化量は、マイクログリッド100の切断後のマイクログリッドにおける利用可能な電力の変化量に比例していると(概算で)みなすことができる。
【0105】
切断時点tsにおいて不足電圧現象が電気的結合ノードPOCに存在する場合(すなわち、マイクログリッド100の孤立化が、電気的結合ノードPOCの近くのメイングリッド200の障害によるものである場合)、任意の可能な周波数変化Δfは、比較的遅い動的挙動(何十msか(several tens of ms))に従って時間とともに進展することに、本発明者らは気づいた。
【0106】
従って、切断時点tsにおける孤立化イベントに続いて実際に周波数低下が進行中であるかどうかを確認することが可能である。周波数低下が進行中である場合、方法1は、マイクログリッド100を保護するために負荷遮断手順2を実行する。
【0107】
切断時点tsにおいて不足電圧現象が電気的結合ノードPOCに存在しない場合、不足電圧「緩和」効果が存在しないという事実のために、任意の可能な周波数変化Δfがかなり急速に(わずか数十ms(few tens of ms))進展するので、周波数低下が実際に発生しているかどうかを確認する時間がない。
【0108】
この場合、方法1は、マイクログリッド100を保護するために負荷遮断手順2を直ちに実行(「ブラインド実行」)する。
【0109】
方法1の負荷遮断手順2について、より詳細に説明する。
【0110】
負荷遮断手順2は、メイングリッド200からのマイクログリッドの切断の後に、マイクログリッド100の電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULにとってもはや利用可能ではない電力を示す電力切断値ΔPを計算するステップ21を含む。
【0111】
切断による電力の総変化量ΔPは、以下の関係式に基づいて計算することができる。
ここで、Pは、マイクログリッド100の孤立化前にメイングリッド200によってマイクログリッド100に供給されていた電力を示す電力消費値であり、Pは、電力源GENに含まれる発電システム(例えば、太陽光発電プラント)によって供給される電力を示す発電値であり、PIRは、一次電力リザーブ、例えば電力源GENに含まれる電気エネルギー貯蔵ユニット等によって供給される電力を示す電力リザーブ値である。
【0112】
好ましくは、電力消費値Pおよび電力貯蔵値PIRは、既知のタイプの適切に配置された検出装置によって測定することができる検出値である。
【0113】
好ましくは、発電値Pは、太陽光発電プラントの場合(P(t)=PPV(t))には、以下の関係式で与えられる数学モデルによって計算することができる計算値である。
ここで、Pは、太陽光発電プラントによって供給される公称電力であり、Wは、晴天状態の直接放射値であり、Wは、標準放射値(例えば1000W/mに等しい)である。
【0114】
(晴天状態の)直接放射値Wは、いくつかの地理的および時間的量を組み合わせた適切な三角関数を用いて計算することができる。
ここで、βは太陽の角度、ψは太陽の方位角、ψsは太陽光発電プラントの方位角、χは太陽光発電の傾き、dは1年の中での日、tは時刻である。
【0115】
(晴天状態の)直接放射値Wは、任意の空の状態で動作する太陽光発電プラントをモデル化するための天候補正係数によって適切に補正することができる。
【0116】
代わりに、発電値PPVは、現場で測定された検出値であってもよいし、適切な推定数学モデルを用いて計算された推定値であってもよい。
【0117】
負荷遮断手順2は、進行中の周波数の低下を停止させるために遮断されなければならない、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力の目標量を示す電力遮断目標値ΔPLS を計算するステップ22を含む。
【0118】
好都合には、電力遮断目標値ΔPLS は、計算された電力切断値ΔPに基づいて、適切なアルゴリズムによって計算される。
【0119】
負荷遮断手順2は、進行中の周波数の低下を停止させるために遮断されなければならない、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力の目標量を示す電力遮断目標値ΔPLS を計算するステップ22を含む。
【0120】
好都合には、電力遮断目標値ΔPLS は、計算された電力切断値ΔPに基づいて、適切なアルゴリズムによって計算される。
【0121】
一例として、関数f(ΔP)は、1組のシミュレーション結果または実測値でトレーニングした人工ニューラルネットワークを用いて計算されてもよい。
【0122】
別の例として、関数f(ΔP)は、以下の形を有する線形関数であってもよい。
ここで、C(θ)は、θ=[θ,θ,θ...θ]に集められたパラメータθの多項式関数であり、これには、グリッドの技術パラメータ(発電機、ケーブル、負荷など)と、最大周波数偏差、回復時間、周波数の変化率の要件、安定性要件などを含むアルゴリズム設定パラメータとが含まれる。
【0123】
たとえば、C(θ)は、次の式であってもよい。
ここで、jは整数であり、c(j,j,...,j)は実係数であり、mはパラメータの数であり、νは多項式の次数である。
【0124】
負荷遮断手順2は、切断可能な負荷DL、...、DLによって消費される電力の累積量ΔPLSが、前記切断可能な負荷に割り当てられた優先度レベルiの関数として表わされる電力消費マップMを計算するステップ23を含む。
【0125】
電力消費マップMの一例を図4に示す。
【0126】
縦軸値ΔPLS1、...、ΔPLSkは、優先度レベルiが横軸の対応するx軸値に等しいかまたはそれより低い切断可能な負荷DL、...、DLによって消費される電力の累積量を表す。
【0127】
対応する優先度値iに関連する一般値ΔPLSiは、以下の関係式によって与えられる。
ここで、iは優先度、jは切断可能な負荷のインデックス、Pj,iは、優先度iの切断可能な負荷jの消費電力である。
【0128】
負荷遮断の観点では、対応する優先度値iに関連する上記一般値ΔPLSiは、優先度レベルiが横軸の対応するx軸値に等しいかまたはそれより低い切断可能な負荷DL、...、DLをマイクログリッド100から切断することによって遮断可能な電力の累積量を表す。
【0129】
一般に、切断可能な負荷DL、...、DLによって消費される電力の総量を表す累積値ΔPLSkは、以下の関係式によって与えられる。
【0130】
負荷遮断の観点では、上記累積値ΔPLSkは、優先度レベルiがkより低いかまたは等しい切断可能な負荷DL、...、DLをマイクログリッド100から切断することによって遮断可能な電力の総量を表す。
【0131】
一般に、電力消費マップMでは、上記計算された電力遮断目標値ΔPLS は、縦軸において、2つの連続する累積値ΔPLSi、ΔPLSi+1の間に入り、ここで、1≦i≦Nであり、iは優先度レベルである。
【0132】
図4の例では、電力遮断目標値ΔPLS は、縦軸において、2つの連続する累積値ΔPLS2、ΔPLS3の間に入る。
【0133】
負荷遮断手順2は、上記計算した電力遮断目標値ΔPLS を得るために遮断されなければならない、切断可能な負荷DL、...、DLによって消費される電力の最小量を示す電力遮断最小値ΔPLS_MINを、電力消費マップMを用いて決定するステップ24を含む。
【0134】
好都合には、上述の電力遮断最小値ΔPLS_MINは、電力消費マップM中の累積値ΔPLS1、...、ΔPLSNの1つである。
【0135】
上述した電力遮断最小値ΔPLS_MINは、電力消費マップM中の遮断優先度値iに対応する。
【0136】
したがって、遮断優先度値iは、上述の計算された電力遮断目標値ΔPLS を得るために、切断可能な負荷DL、...、DLが遮断されなければならない最小の優先度レベルを示す。
【0137】
図4に示す例では、上述した電力遮断最小値ΔPLS_MINは、電力消費マップM中の累積値ΔPLS3に等しい。遮断優先度値i=3が、累積値ΔPLS_MIN=ΔPLS3に対応する優先度値である。
【0138】
好ましくは、電力遮断最小値ΔPLS_MINは、以下の関係が成り立つ、電力消費マップM中の最小の累積量ΔPLSとして決定される。
ここで、ΔPLS_Tは、計算された電力遮断目標値であり、mは、0と1との間に含まれる数(すなわち、0<=m<=1)である。
【0139】
負荷遮断手順2は、決定された遮断優先度値iより低いかまたは等しい優先度レベルiが割り当てられた、マイクログリッド100の切断可能な負荷DL、...、DLを電気的に切断するための第1の制御信号CONを供給するステップ25を含む。
【0140】
好都合には、制御信号CONは、マイクログリッド100の他の部分から切断されるべき切断可能な負荷DL、...、DLに対応するスイッチング装置S(例えば、回路遮断器、接触器、I-Oインターフェイス、通信インターフェイスなど)に供給される。
【0141】
負荷遮断手順2は、マイクログリッド100の周波数の低下が、第1の制御信号CONの供給の後にまだ進行中であるかどうかを判定するステップ26を含む。
【0142】
負荷遮断手順2の判定ステップ26は、電力源GENによって供給される電力と電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力との間のバランスを回復するのに、1つ以上の切断可能な負荷に対する遮断介入が有効であったかどうかを確認することができるので、特に重要である。
【0143】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを判定するステップ26は、前記マイクログリッドの周波数に関する第3のデータDを取得するステップを含む。
【0144】
第3のデータDは、検出装置400または既知のタイプの他の検出装置によって提供されてもよい。
【0145】
好ましくは、第3のデータDは、マイクログリッド100の周波数を示す第3の周波数検出値Fを含む。
【0146】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを判定するステップ26は、第3の周波数検出値Fを第3の周波数閾値FTH3と比較するステップを含む。
【0147】
第3の周波数検出値Fが、それぞれの閾値FTH3より低い場合{F<FTH3}、マイクログリッド100の周波数の低下が、制御信号CONの供給に応答してまだ進行中である。
【0148】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを判定するステップ26は、前記マイクログリッドの周波数に関する第4のデータDを取得するステップを含む。
【0149】
第4のデータDは、検出装置400または既知のタイプの他の検出装置によって提供されてもよい。
【0150】
好ましくは、第4のデータDは、前記マイクログリッドの周波数の経時的な変化(実際には前記マイクログリッドの周波数の微分値)を示す第4の周波数検出値Fを含む。
【0151】
好ましくは、マイクログリッド100の周波数の低下がまだ進行中であるかどうかを判定するステップ26は、第4の周波数検出値Fを第4の周波数閾値FTH4と比較するステップを含む。
【0152】
第4の周波数検出値Fが、それぞれの閾値FTH4より低い場合{F<FTH4}、マイクログリッド100の周波数の低下が、制御信号CONの供給に応答してまだ進行中である。
【0153】
制御信号CONを供給した後のマイクログリッド100の周波数低下の存在は、負荷遮断手順2の以前のステップ21~25によって提供された遮断介入が有効ではなく、電力源GENによって供給される電力と、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力との間のバランスがまだないことを意味する。
【0154】
この場合、負荷遮断手順2は、マイクログリッド100の全ての切断可能な負荷DL、...、DLを電気的に切断するための第2の制御信号CONを供給するステップ27を含む。
【0155】
好都合には、制御信号CONは、残りの全ての切断可能な負荷DL、...、DLに対応し、それらをマイクログリッド100の他の部分から切断するためのスイッチング装置S(例えば、回路遮断器、接触器、I-Oインターフェイス、通信インターフェイスなど)に供給される。
【0156】
負荷遮断手順2の上述のステップ27は、周波数低下がまだ進行中である場合、周波数がかなり急速に変化しているので、負荷遮断手順2のステップ22~25を繰り返す時間がないという状況に、その技術的根拠を見出す。したがって、負荷遮断手順2のこのようなステップは、マイクログリッド100を保護するための、マイクログリッド100の消費の堅牢な制御を保証する。
【0157】
マイクログリッド100の周波数低下が、制御信号CONの供給後にもはや進行していない場合、これは、負荷遮断手順2の以前のステップ21~25によって提供された遮断介入が有効であり、電力源GENによって供給される電力と、電気負荷DL、...、DL、UL、...、ULによって消費される電力との間のバランスが存在していることを意味する。
【0158】
この場合、負荷遮断手順2(及び方法1)は、原則として終了する。
【0159】
もちろん、マイクログリッド100の動作状態は、例えば、マイクログリッド100に電気的に接続された電気負荷の数の(何らかの理由での)増加のために、時間的に変化してもよい。
【0160】
したがって、マイクログリッド100の周波数の低下が進行中であるかどうかを判定するステップ26は、マイクログリッド100がメイングリッドから切断されて動作している間、周期的に実行されることが好ましい。
【0161】
マイクログリッドの周波数低下が、マイクログリッド100が孤立モードで動作している任意の時間に判定された場合、方法1は、上述の遮断ステップ27を実行する。
【0162】
本発明による方法1は、詳細には、コンピュータ化された装置300によって実施される。
【0163】
従って、更なる態様では、本発明は、本発明による方法を実行するソフトウェア命令を含むコンピュータプログラム350に関する。
【0164】
コンピュータプログラム350は、記憶媒体、例えば、コンピュータ化された装置300のメモリに記憶され、または記憶可能である(図1)。
【0165】
さらなる態様では、本発明はさらに、本発明による方法を実行するソフトウェア命令を実行するように構成されたコンピュータ化されたリソース(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ)を含むコンピュータ化された装置300に関する。
【0166】
コンピュータ化された装置300は、現場または電力分配マイクログリッド100に対して遠隔地に設置されたコンピュータ化された装置であってもよい。
【0167】
一例として、コンピュータ化された装置300は、スイッチング装置に搭載された制御および保護ユニット、すなわち電力分配グリッド用のデジタルリレーまたはコントローラであってもよい。
【0168】
本発明による方法の実行のための典型的な処理時間は、約20msであってもよい。
【0169】
さらなる態様では、本発明はまた、本発明による方法1を実施するように構成されたハードウェアおよびソフトウェアリソースを含む制御機器または装置に関する。
【0170】
一例として、制御機器または装置は、本発明による方法を実行するソフトウェア命令を実行するように構成された処理リソースを備えたコンピュータ化された装置300を含んでもよい。
【0171】
制御機器または装置は、様々な制御アーキテクチャ、例えば、集中型アーキテクチャまたはマルチレベルアーキテクチャに従って配置されてもよい。
【0172】
本発明による方法は、マイクログリッドがメイングリッドから切断されて動作するとき、マイクログリッドの電力消費を管理するのに非常に有効であり、電気負荷の電力需要と、マイクログリッドの電力源によって提供される電力利用可能性との間のバランスを維持する。
【0173】
これにより、マイクログリッドの動作の堅牢な制御が保証されると同時に、電気負荷に対する不必要な過剰遮断介入を回避または低減することが可能になる。
【0174】
本発明による方法は、必要に応じて、例えば、集中型、マルチレベルまたは分散型制御アーキテクチャなどの様々な制御アーキテクチャによって実施されるように、詳細には適合される。
【0175】
本発明による方法は、電力分配グリッドの動作を管理するために現場に既に設置されているハードウェアおよびソフトウェアリソースを使用して実施されるように、詳細には適合される。
【0176】
本発明による方法は、デジタルイネーブルされた電力分配ネットワーク(スマートグリッド、マイクログリッドなど)で実施されるように、詳細には適合される。
【0177】
本発明による方法は、現場での比較的簡単で費用効果の高い実際的な方法である。
図1
図2
図3
図4
図5