(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】ブレスレットの長さの調節用装置
(51)【国際特許分類】
A44C 5/04 20060101AFI20220609BHJP
A44C 5/10 20060101ALI20220609BHJP
A44C 5/24 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A44C5/04 K
A44C5/10 510E
A44C5/10 511C
A44C5/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017233068
(22)【出願日】2017-12-05
【審査請求日】2020-11-16
(32)【優先日】2016-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ディ ピアザ, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】グラベット, テディ
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-509408(JP,A)
【文献】特開平10-057124(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0083101(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/04
A44C 5/24
A44C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内及び締結システム(10、30、40、50)を含む、ブレスレットの長さの調節用装置であって、
前記案内及び締結システム(10、30、40、50)の案内装置により定義される
第1回転軸(A1)周りに
カバー(24)に対して回転可能に取り付けられる少なくとも1つの調節リンク要素(23)と、
前記調節リンク要素(23)に対して前記第1回転軸(A1)とは別の第2回転軸(A2)周りに回転可能に接続される端部リンク要素(25)と、前記端部リンク要素(25)に対する前記調節リンク要素(23)の弾性固定を提供する前記第1回転軸(A1)周りに設けられる弾性締結装置とを含む、
ブレスレットの長さの調節用装置。
【請求項2】
前
記案内
装置及び
前記弾性締結装置は、互いに独立してそれぞれの機能を果たすことができる、
請求項1に記載のブレスレットの長さの調節用装置。
【請求項3】
前
記案内
装置及び
前記弾性締結装置は、同一の軸(A1)に沿って延長する、
請求項1または2に記載のブレスレットの長さの調節用装置。
【請求項4】
前
記案内
装置及び
前記弾性締結装置は、別個の部品により完全にまたは一部形成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項5】
前記弾性締結装置は、ばね要素
である、巻きばね(35、65)またはばね管(15)を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項6】
前記案内装置は、少なくとも1つのバー(12、32、42、52)を含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項7】
前記案内及び締結システムの横領域において、周囲の少なくとも一部にわたり案内表面を形成するバー(12)と、前記案内及び締結システムの中央部に配置され、前記バーの周りに配置されるばね管(15)とを含み、前記ばね管(15)は
、弾性締結機能を果たすために、前記バー(12)に接触することなく、前記バー(12)に向かって弾性移動可能である、
請求項1から6のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項8】
前記案内及び締結システムの横部に少なくとも1つの案内表面を含むバー(32)と、前記バー(32)の空洞容積内に収容される予圧ばね(35)の影響下で前記バー(32)の軸に平行に移動可能なボール(45)とを含み、前記ボール(45)は前記バー(32)から突出可能である、
請求項1から6のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項9】
前記バー(32)は、
前記調節リンク要素(23)を留め金カバー(24)へ接続可能にするために、2つの端部の1つに配置されるスタッド(38)を含み、前記調節リンク要素(23)を前記留め金カバー(24)に対して旋回運動を案内可能な案内表面を形成する外周(33)を含む、
請求項8に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項10】
周囲表面に少なくとも1つの案内表面を有するバー(42)と、1つは(45)中心に1つ(46)は横にある2つのボールであって同一の予圧ばね(35)の影響下で前記バー(42)の両端において前記バー(42)の軸に平行に移動可能である2つのボールと、前記バー(42)の空洞容積内に収容されるストップ(47)とを含み、前記ボール(45、46)は前記バーから突出可能である、
請求項1から6のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項11】
前記案内装置は、パッド及びまたはスタッドにより留め金カバー(24)と接続可能な端部を含むバーを含み、
前記留め金カバー(24)に対して
前記調節リンク要素(23)を案内可能な案内表面を形成する外周を含む、
請求項1から10のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項12】
前記案内装置は、
前記調節リンク要素(23)を
前記留め金カバー(24)に対して回転及びまたは多少並進状に案内可能な案内表面を含む、
請求項11に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項13】
前記調節リンク要素(23)は、前記案内及び締結システム(10、30、40、50)の前記
第2回転軸(A2)の第2ピボットピン(26)を含み、前記第2ピボットピン周りにブレスレットの
前記端部リンク要素(25)が配置され、及び前記端部リンク要素(25)は、前記端部リンク要素を前記調節リンク要素(23)に対して弾性不動化する前記弾性締結装置と協働する、
請求項1から12のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項14】
前記端部リンク要素(25)は、弾性締結を達成するために前記案内及び締結システムのばね管(15)を圧縮する少なくとも1つの切欠き(22)を含み、または前記端部リンク要素の少なくとも1つの壁は、弾性締結を達成するためにばね(35)により予圧されたボール(45)と噛み合う切欠き(29)を含む、
請求項13に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項15】
前記端部リンク要素(25)は、弾性締結を達成するために前記案内及び締結システムのばね管(15)を圧縮する少なくとも1つの切欠き(22)を含み、前記案内及び締結システム(10)の前記案内装置は、旋回を案内するために前記少なくとも1つの調節リンク要素(23)と協働する案内表面を含むバー(12)を含み、前記ばね管(15)は、前記ばね管(15)が前記バー(12)から独立し逆もまた同様であるように、
前記ばね管(15)の端部の少なくとも1つに、前記少なくとも1つの調節リンク要素(23)に属する補完的案内表面(230)と協働するために存在する案内表面が設けられた部分(16)を有する、
請求項13に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの調節リンク要素(23)は、前記バー(12)を収容するための開放端の孔と、前記補完的案内表面(230)を形成し前記ばね管(15)の1つの端部を受け入れる他の孔を含む、
請求項15に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項17】
前
記弾性締結装置が
前記端部リンク要素(25)と前記調節リンク要素(23)を相互に締結する位置において、
前記案内装置と前記弾性締結装置が同一の横軸(A1)上で整列するよう、前記案内装置は
前記調節リンク要素(23)内に配置され、前記弾性締結装置は端部リンク要素(25)内に配置される、
請求項1から13のいずれか一項に記載のブレスレットの長さ調節用装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の
ブレスレットの長さ調節
用装置
を含む、ブレスレットの展開留め金。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載のブレスレット
の長さ調節
用装置または請求項18に記載の展開留め金を含む、ブレスレット。
【請求項20】
請求項19に記載のブレスレットを少なくとも1つ含む、腕時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に延長装置が設けられた及びまたはブレスレットの2つの端部の間に収められた展開留め金が設けられた腕時計ブレスレットに適した、ブレスレット用の特定の案内及び締結システムを含む、ブレスレットの長さの調節用装置に関する。本発明はまた、このようなブレスレットの長さ調節装置を包含する留め金及びブレスレットそのもの、及び当該装置を含む腕時計そのものに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレスレット、とりわけ腕時計のブレスレット、具体的にはブレスレットの長さの調節装置において、案内及び締結機能を発揮することを必要とする、いくつかの状況がある。
【0003】
例えば、装着者の手首周りに小型時計ブレスレットの2つのバンドを締結するよう設計された留め金は、閉鎖第1位置と開放第2位置とを取ることができるいくつかの連節されたリーフを含み、閉鎖第1位置においては閉鎖位置を安定化させるために締結機能が必要となり、開放第2位置ではリーフが締結されておらずブレスレットの装着または取り外しが可能となる。
【0004】
更に、留め金は、通常、従来の調節と呼ばれる、ブレスレットに対する位置決め用の第1調節が設けられる。しかしながら、得られる最終的な長さは、多くの場合十分でなく、最適ではない。
【0005】
このため、既存の留め金には、ブレスレットの長さに施すべき第2調節を可能にする解決策が設けられ、これは従来の第1調節を補完するための、快適性調節と呼ばれる。特許文献1は、旋回し、ブレスレットの2つの異なる長さを実現する2つの安定位置を占めることが可能な調節リンクに依拠する、解決策が開示される。短い位置は、ブレスレットの端部リンクの切欠きで保持され、調節リンクをその短い位置で捕え、弾性的に不動化する。当該解決策は、短い位置での安定を保証するため、いくつかのリンクの連節とリンクの締結を必要とする。
【0006】
特許文献2に記載のような他の留め金は、水中使用のために設計された延長システムを採用する。このような解決策も同様に、延長効果を得るために、2つの案内及び締結機能の実施を必要とする。
【0007】
最後に、上述例には、特に長さ調節装置において、連節と弾性締結とを用いる、多数のブレスレット解決策が存在することが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第0819391号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2601855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の全体的な目的は、既存の解決策を改善し、とりわけ2つの案内及び締結機能を最適化する、ブレスレットの長さを調節するための案内及び締結解決策を提供することである。
【0010】
具体的には、本発明は、動作に信頼性があり操作が便利な、ブレスレットの長さを調節する解決策、または更にはブレスレットを締結するための解決策を提案する。
【0011】
更に具体的には、本発明の1つの目的は、2つの案内及び弾性締結機能の信頼性のある動作を達成可能な、ブレスレット用の案内及び締結解決策を提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は、ブレスレットの審美的完全性を保証する、ブレスレット用の案内及び締結解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため、本発明は、案内及び締結システムを含む、ブレスレットの長さの調節用装置であって、前記案内及び締結システムの案内装置により定義される回転軸周りに回転可能に取り付けられる少なくとも1つの調節リンク要素を含み、当該案内及び締結システムは更に弾性締結機能を果たすために弾性性質を含む弾性締結装置を含み、これら2つの案内及び弾性締結装置は、とりわけ弾性締結機能の実施にあたり、両者とも前記軸周りに配置され、及び前記調節装置の少なくとも1つの構成において、前記弾性締結装置は、前記調節リンク要素に接続される端部リンク要素の弾性不動化を、特に前記端部リンク要素の前記調節リンク要素に対する相対的弾性不動化を提供する、ブレスレットの長さの調節用装置に依拠する。
【0014】
本発明はまた、ブレスレット用の案内及び締結システムであって、案内機能を実施することができる案内装置と弾性締結機能を果たすことができる弾性締結装置を含み、これら2つの案内及び弾性締結装置が、とりわけ前記締結機能の実施にあたり同一軸周りに配置されるブレスレット用の案内及び締結システムに依拠する。
【0015】
本発明は具体的には請求項により定義される。
【0016】
本発明のこれらの目的、特徴と利点は、添付の図面を参照して与えられる非限定的な特定の実施態様の説明において、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ留め金の斜視図である。
【
図2】
図2は、延伸構成にある本発明の第1実施形態による案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図3】
図3は、作動構成にある本発明の第1実施形態による案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図4】
図4は、短縮構成にある本発明の第1実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態による案内及び締結システムの領域の、留め金の断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態による案内及び締結システムを組み込んだ留め金の、長さの調節用装置の領域における、短縮構成にある留め金の縦断面図である。
【
図7】
図7は、短縮構成にある本発明の第2実施形態による案内及び締結システムを組み込んだブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図8】
図8は、作動構成にある本発明の第2実施形態による案内及び締結システムを組み込んだブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態に属する案内及び締結システムの領域における、留め金の断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に属する案内及び締結システムの断面図である。
【
図11】
図11は、延伸構成における本発明の第3実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さを調節する装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図12】
図12は、短縮構成における本発明の第3実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだブレスレットの、長さを調節する装置の領域における、留め金の縦断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3実施形態に属する案内及び締結システムの領域における、短縮構成の留め金の断面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第3実施形態に属する案内及び締結システムの領域における、作動段階にある留め金の断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第4実施形態に属する案内及び締結システムの領域における、短縮構成の留め金の断面図である。
【
図16】
図16は、第1調節による、本発明の第4実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図17】
図17は、第2調節による、本発明の第4実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図18】
図18は、第3調節による、本発明の第4実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだブレスレットの、長さの調節用装置の領域における、留め金の斜視図である。
【
図19】
図19は、本発明の第5実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、短縮構成の留め金の縦断面の断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第5実施形態に属する案内及び締結システムを組み込んだ、ブレスレットの長さの調節用装置の領域における、延伸構成の留め金の縦断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
わかりやすさのため、「縦方向」とはブレスレットバンドまたは留め金の長さに沿った方向を意味し、「横方向」とはブレスレットバンド(の幅に沿った)平面または留め金の平面内での鉛直方向を意味するものとして用いる。垂直方向とは、最初の2つの方向に鉛直で、ブレスレットの平面に鉛直に向かう方向である。さらに、「リンク要素」の文言は、ブレスレットの基本構成要素として用いられ、「リンク」の文言はリンク要素の集合として用いられる。「ブレスレット」は、留め金の有無にかかわらずブレスレット全体として、またはブレスレットのバンドの一方または他方を意味するものとして用いられる。さらに、類似または同一または同一機能を提供する要素を意味するものとして、いろいろな実施形態において同じ参照番号が用いられる。
【0019】
本発明は、案内及び締結の複合システムに依拠する。本発明の第一実施形態に係る長さ調節装置の案内及び締結システムは、特許文献1に開示の解決策に類似の構造を用いて、
図1に示すように、留め金内でブレスレットの長さを調節する機能に貢献する。このようなブレスレットの端部は、前述の通り、従来の初期の調節に加えて、ブレスレットの長さのわずかな変更を可能にするよう構成される、長さを調節する、具体的には快適さのために調節する装置に接続される。
【0020】
展開留め金2は、ピン3周りに互いに連節される、2つのリーフ2a、2bを含む。これらリーフのうちの1つ、リーフ2aは、ブレスレット1の第1端部1aに連節され、当該ブレスレットの第2端部1bは2つの平行な側壁2c1、2c2が設けられる留め金のカバー24に連節され、当該カバー24は、その下でリーフ2a、2bが折り畳まれるキャップを形成する。当該カバー24の2つの平行な側壁2c1、2c2は、対で互いに対向し、以下に説明するピボットピンを受け入れるための、二連の孔4を含む。
【0021】
具体的には
図5に図示される、本発明の当該第1実施形態に属する案内及び締結システム10は、後により詳細に説明されるように、ブレスレットの第2端部1bに、軸A1周りに配置される。当該案内及び締結システムは、第1には、留め金のカバー24下に配置される調節リンク要素23、23’用の連節ピンを形成する。これら調節リンク要素23、23’は、とりわけ
図2に図示されるように、第2軸A2周りに配置される第2ピボットピン26により接続される。第2軸A2は案内及び締結システム10の軸A1とは異なる軸であり、第2ピボットピン26周りに、ブレスレット1の端部1bに存在する端部リンク要素25が回転可能に取り付けられる。
【0022】
図2は、延伸構成におけるブレスレットの端部1bの配置を図示する。調節リンク要素23、23’は、第2ピボットピン26が、第1軸A1に対して、留め金のカバー24の外側に向くよう位置される。このため、端部リンク要素25は、第2ピボットピン26と第3ピン27の間で、ブレスレットに向かって延長する。第3ピンは、ブレスレットバンドの残りが接続される第2端部1bに向かって位置される。
【0023】
図3は、作動中の、とりわけ延伸構成から短縮構成へ通過するために作動中の、同じ配置を図示する。そのため、調節リンク要素23、23’は、軸A1周りに回転するよう作動され、これによりピボットピン26を軸A1周りに留め金のカバー内に向けて旋回させ、端部リンク要素25をカバー内に向けて駆動させ、ブレスレット1の長さを減少させる。 この調節リンク要素23、23’の回転は、
図4に図示する短縮構成が達成されるまで、およそ1/2回転継続する。
【0024】
第1実施形態にかかる長さ調節装置の案内及び締結システム10は、軸A1周りに配置され、調節リンク要素23、23’を連節する第1機能と、以下に説明するように、短縮構成を安定状態に維持可能にする、弾性締結の第2機能とを実行する。
【0025】
図5は、案内及び締結システム10の軸A1の範囲の配置を、垂直横断面図にて示す。
【0026】
まず第一に、案内及び締結システム10は、留め金の全幅にわたり横方向に延長し、中心軸A1周りに配置される、実質的に円筒状のバー12を含み、留め金のカバー24の側壁2c1、2c2の孔4内に収容される、それぞれの端部ピース13、13’を含む。保持ばね14は、バー12が装着され除去されるように、またバー12が動作構成に安定に維持するように、2つの端部ピース13、13’の間で、圧縮構成で、軸A1に沿って、円筒状ロッド120内に配置される。ロッド120は、案内表面11、11’を形成する周囲表面を含み、その周りに調節リンク要素23、23’の回転がそれぞれ配置され、とりわけ調節リンク要素に帰属する穴により形成される補完的表面により配置される。このためバー12は、案内及び締結システム10の案内装置を形成する。リンク要素23は、バー12を通過させるため、開放端の孔を含む。
【0027】
更に、案内及び締結システムは、中央位置においてバー12周りに配置されるばね管15を含む。ばね管15は、圧縮管を形成する。ばね管15の軸は、バー12と同じ軸A1である。このため、ばね管15は、ばね管15が周囲を囲むバー12に対して、同軸に配置される。ばね管15は、案内及び締結システム10の締結装置を形成し、弾性締結の第2機能を果たす。このため、本実施形態において、ブレスレットが短縮構成にあるときに、ばね管15の少なくとも1部分は、端部リンク要素25の作動の下、具体的には端部リンク要素25の切欠き22の作動の下、圧縮されるように設計される。管の圧縮は、その周壁の、軸A1に実質的に垂直な方向への、すなわちバー12の方向への、弾性変形を引き起こす。端部リンク要素25との協働により、端部リンク要素25を締結し、短縮構成において全体配置を安定に維持する。所定の力により意図的に端部リンク要素25を引くことで、この弾性締結を脱し、ブレスレットの延伸構成に戻すことができる。
【0028】
案内及び締結システム10のばね管15とバー12との接続は、ばね管15はバー12と独立しており、逆もまた同様であるようにされる。具体的には、ばね管15は、その両端に、案内表面が設けられた部分16、16’を有し、案内表面は例えば両リンク要素の孔230、230’により具現化された、調節リンク要素23、23’の補完的案内表面と協働するよう設計される。このように、ばね管15は、圧縮されるとばね管15の内径がバー12の外周と衝突しないように、配置され寸法づけられている。このため、ばね管は弾性変形自由であり、バー12に対して影響を及ぼさず、その案内機能を妨げることがない。反対に、バー12はその案内機能において、ばね管15の弾性機能になんら影響を及ぼさない。
【0029】
この結果、案内及び締結システム10の2つの案内及び締結装置は、最低限のかさばりであって、留め金のまたはブレスレットの審美眼的外観を損なわない、小型装置を形成するよう、互いに結合される。両装置はまた、簡単に、ブレスレットに組付けられ組み込まれることができる。
【0030】
更に、案内及び締結システムの両装置、それぞれ案内及び締結装置は、互いに独立している。これにより、弾性締結機能を、案内装置の全ての潜在的な変動とは独立して、確実に繰り返し行うことが可能となる。加えて、弾性締結機能は、案内部分とは独立して、案内及び締結システムの少なくとも1つのばね要素の弾性変形に依拠する。すなわち当該変形は案内機能に寄与する第1装置の部品になんら影響を与えない。保持力は、ばね管15の弾性変形のみにより定義され、バー12の塑性変形の危険性やバー12を屈曲させる危険性はない。保持力はまた、ばね管15がリンク要素25の締結を行っている際にばね管15と直接共同する端部リンク要素25の素材、とりわけ端部リンク要素25の切欠き22の素材、とは独立している。
【0031】
上記から明らかなように、案内及び締結システムの案内及び締結機能の独立性は、2つの機能を果たす部品の物理的な分離により得られる。特に、このような部品は別個であり、すなわち各機能を果たすために異なった最適な素材を選ぶことができることを意味しており、各機能は他の機能を果たすために用いられる部品の影響を被ることなく、発揮することが可能である。
【0032】
例として、案内バー12の要素120、13、13’は、鋼種904Lタイプの素材、または金であってもよい。ばね管15は、Nivaflex(登録商標)タイプのばね素材、または代替的にニチノールのようにニッケル及びチタンの超弾性合金であってもよい。もちろん管の形状は、その機械的性質を最適化するために適合されてよい。例えば、管はとりわけその両端で分割されてもよいし、代替的に1以上の切欠きを有してもよい。補完のため、弾性締結機能もまた、調節リンク要素と端部リンク要素に用いられる素材から独立している。このため、締結機能により発せられる保持力は、どのようなブレスレットに用いられたとしても、長い時間にわたり一定である。例として、案内及び締結システムと協働するブレスレットのリンク要素、とりわけ調節リンク要素及び端部リンク要素は、鋼種904Lまたは金、または代替的にプラチナ製であってよい。
【0033】
図6から9は、本発明の第2実施形態にかかる長さ調節装置の案内及び締結システム10を図示する。当該装置は、同様に留め金カバー24に組み込まれ、ブレスレットの長さの調節に参加する。この調節は、第1実施形態に属する案内及び締結システム10が、とりわけカバー24の垂直壁2c1、2c2内に配置された縦方向溝または案内路6内を移動可能という点で、第1実施形態に関して説明した解決策と異なる。
【0034】
図6、7は、短縮構成におけるブレスレットの配置を図示する。横方向調節リンク要素23、23’は、第2ピボットピン26が第1軸A1に対して留め金のカバー24の内側に向かうよう位置される。ブレスレットの端部リンク要素25とピボットピン26は、ブレスレットの端部1bに対向するセットバック位置にある。上述の実施形態とは異なり、端部リンク要素25は、ブレスレット長さ調節装置の並進運動に多少対応する運動を阻止するため、カバーの底240に配置された歯列8と協働する爪28を含む。歯列8の歯は、留め金のカバー24に対向するブレスレットの端部リンク要素25のいくつかの位置を、従っていくつかのブレスレットの長さを定義する。
図6、7において、爪28は、最短のブレスレット位置に対応する、カバー24の内側から歯列8の第1歯と協働する。
【0035】
図8は、長さ調整を行うための、作動中の調節装置を図示する。ブレスレットの端部リンク要素25は、調節リンク要素23、23’間に配置されたピボットピン26周りに、所定の力によって手で回転され、これにより案内及び締結システムの締結装置の弾性締結から解放され、同時に爪28が留め具のカバーの歯列8から解放される。これにより、調節装置は留め具の横方向溝内で自由に縦方向に移動可能になる。満足できるブレスレット長さに達したとき、端部リンク要素25はカバーの底240に向けて折りたたまれ、これにより端部リンク要素25が案内及び締結システム10の締結装置内に弾性的に締結され、同時にその縦方向位置が、爪28を留め金の歯列8の新たな歯に位置決めすることで不動化される。
【0036】
案内及び締結システム10は、より具体的に、
図9の断面図に示される。案内及び締結システム10は、第1実施形態のものと非常に似ている。案内及び締結システム10は、バー12を含み、当該バーは、その側端において、カバー24の垂直壁2c1、2c2に縦方向に配置された溝内に収納されるパッド17、17’によって案内される点で第1実施形態のバーと異なる。このため、バー12は、カバー24の曲率に沿い、縦方向の並進運動に近似する運動で、溝によって案内される。
【0037】
ばね管15は、第1実施形態と類似の方法で、バー12と同軸に配置される。リンク要素25も同様に、ばね管15へ適切な圧縮力を発生させるよう設計された形状の切欠き22を含んでもよい。
【0038】
第1実施形態に属する装置の仕様において、案内及び締結システム10のばね管15とバー12との接続は、ばね管15がバー12と独立しており、逆もまた同様であるようにされる。具体的には、ばね管15はその両端に、案内表面が設けられた部分16、16’を有し、案内表面は、例えばリンク要素の孔230、230’により具現化された、調節リンク要素23、23’の補完的案内表面と協働するよう設計される。このように、ばね管15は、圧縮されるとばね管15の内径がバー12の外周と衝突しないように、配置され寸法づけられている。このため、ばね管は弾性変形自由であり、バー12に対して影響を及ぼさず、その案内機能を妨げることがない。反対に、バー12はその案内機能において、ばね管15の弾性機能になんら影響を及ぼさない。
【0039】
長さ調節装置の2つの実施形態において、調節リンク要素23、23’によるばね管15の案内は、ばね管15の圧縮前または圧縮中に、切欠きの影響下でばね管15を回転駆動可能または不可能なように、所定の余裕量をもって行うことができる。
【0040】
図10から14は、
図1に図示のものと同様の、長さ調節装置の第3実施形態に属する案内及び締結システム30を図示する。ブレスレット長さ調節装置は、第1実施形態を参照して説明したのと同様の方法で作用する。
【0041】
特に
図10に図示する案内及び締結システム30は、調節リンク要素23を案内することを意図する外周33が設けられた、第1空洞ピン34を含むバー32を含む。バー32は、第1空洞ピン34内に収容され、とりわけバー32の第1端部に配置されたスタッド38経由で調節リンク要素23を留め具カバー24に接続することを意図する第2空洞ピン39を含む。2つの空洞ピンは、リベット締め37により接合される。巻きばね35は、予圧構成で、バー32の空洞の容積内に組み入れられる。巻きばね35は、バーの空洞容積内に一部位置するボール45と、ボールが移動可能であり、バー32の第2端部から部分的に突出可能なように、協働する。
図10に記載の静止状態で、巻きばね35はボール45に対して、バー32の外側方向の力を適用する。このためボール45は、バーの内部側壁に対して当接状態に維持され、同時にバー32の第2端部から突出する。
【0042】
図11は、2つの調節リンク要素23、23’を、回転軸A1周りに留め金のカバー24へ接続するために、上述した2つの案内及び締結装置30、30’を組み入れたブレスレット長さ調節装置を示す。
図11は、2つの調節リンク要素23、23’に接続された第2回転軸A2が留め金の外側に向けられた構成である、ブレスレットの延伸構成を示す。ブレスレットの端部リンク要素25は、第2回転軸A2周りに配置されたピボットピン26に固定される。
【0043】
図12は、ブレスレットの長さ調節装置の短縮構成を断面で示す。当該構成は、バー32の周囲表面周りの案内による、軸A1周りの調節リンク要素の後方回転により得られる。この原理は、第1実施形態を参照して説明したものと同様である。
【0044】
図13は、ブレスレットの長さ調節装置の短縮構成における、案内及び締結システム30の弾性締結機能を示す。当該構成において、端部リンク要素25は、案内及び締結システム30のボール45と協働する。当該端部リンク要素25は、その側壁の1つに設けられる少なくとも1つの切欠き29、29’を含むという特徴を有する。各切欠き29、29’は、例えば、リンク要素25の側壁に対して傾斜する1以上のフランクにより定められる切抜きの形態をとってもよい。このため、ブレスレットを延伸構成から短縮構成に変更するために調節装置を作動すると、巻きばね35のそれぞれが、端部リンク要素25の壁とボール45との接触を通じて圧縮される。ボール45は、巻きばね35の押し出し力に逆らい、バー32の空洞容積内に向かって押し戻される。当該作動は、壁がボールに作用する中間状態を図示する
図14に示される。
図13に示す最終位置において、ボール45、45’は、端部リンク要素25の2つの側壁の切欠き29、29’のそれぞれに収容される。圧縮されたばね45は、当該構成が安定し、弾性締結機能を果たすことを保証するために設置される。
【0045】
このため、上記の記載から明らかなように、案内及び締結システムは、案内用と締結用の2つのそれぞれ独立した装置を結合するものである。案内装置は、バー32と、具体的にはその周囲表面の少なくとも一部と、場合によりその第1端部とを含む。締結装置は、巻きばね35とボール45とを含む。2つの案内及び締結機能は、このように、互いに独立して行われる。締結機能は加えて、使用されるリンク要素から独立し、とりわけブレスレットのリンク要素に用いられる素材から独立している。保持力は、ばね35の弾性変形のみにより定義され、切欠きの塑性変形のリスクも、バー12を屈曲させるリスクもない。
【0046】
更に、バー32は軸A1周りに実質的に円筒形であり、調節リンク要素23の軸A1周りの回転案内を提供する。加えて、巻きばね35及びボール45は同一軸A1に沿って配置されており、ばねは軸A1の方向に圧縮される。ボール45は、軸A1方向に移動可能である。巻きばね35及びボール45は、このように、軸A1周りに配置される。バー32は、巻きばね及びボール45を取り囲む。軸A1は、実質的に弾性締結装置の対称軸を形成する。
【0047】
当該構造において、調節装置は、2つの案内及び締結システム30、30’を使用する。もちろん、1つの切欠きと協働する1つのシステムのみが設けられた調節装置を使用することも可能である。
【0048】
更に、案内及び締結システム30、30’のボール45、45’は、ばねと切欠きとの間に適切なインターフェースを構成するのに適した形状のブロックやその他の部品と交換されてもよい。このため、ボールの文言は、必ずしも球体でない形状を含む、最も広い意味で用いられる。
【0049】
図15から18は、留め金内の、ブレスレットの長さ調節装置の第4実施形態による、案内及び締結システム40を示す。
【0050】
特に
図15で明らかな案内及び締結システムは、空洞ピンを形成するバー42を含む。その外周43の一部分は、調節リンク要素23を案内するためのものである。巻きばね35は、与圧された構成で、バー42の空洞容積内に組み入れられる。巻きばね35は、2つのボールと協働する。第1ボール45は、端部リンク要素25に向けられたバーの第1端に配置され、第2ボール46は、留め金のカバー24の壁2c1、2c2に向けられたバーの第2端に配置され、両者はバー32の空洞容積内に一部位置しており、両者は移動可能であり、それぞれの端部から突出可能である。最後に、バー42は、2つのボール45、46間にモバイルストップ47を含む。考察:当該実施形態及び直前の実施形態において、ボールは、ばねと切欠きとの間に適切なインターフェースを構成するのに適した形状の、ブロックやその他の部品と交換することができる。
【0051】
図15は、第4実施形態による2つの案内及び締結システム40、40’を含む留め金を図示する。2つの案内及び締結システムは、同一の軸A1に沿って整列され、両者は、直前の実施形態にかかる留め金と同様の方法で、中央位置の端部リンク要素25と協働する。
図15は、2つの案内及び締結システム40、40’のそれぞれの第1ボール45、45’が、端部リンク要素25の各側壁に形成された切欠き29、29’に収容される締結構成を示す。当該構成において、各案内及び締結システム40、40’は、端部リンク要素25を締結し、選択された調節構成を安定状態に保持する。さらに、2つの案内及び締結システム40、40’のそれぞれの第2ボール46、46’は、カバー24の垂直壁2c1、2c2にそれぞれ形成され、とりわけ機械加工で形成された切欠き9、9’内に収容される。
【0052】
この特定の実施形態においては、直前の実施形態とは異なり、各バー42、42’は、上述の本発明の第2実施形態のように、留め金のカバーの垂直側壁2c1、2c2に形成された一対の溝6a、6b、及び6a’、6b’内を移動可能に設計される。このため、バーの外周43、43’は、留め金のカバーの一対の溝6a、6b、及び6a’、6b’内を案内可能に設計される案内パッド17、17’を収める、第2案内表面を形成する。このため、切欠き9、9’は、一対の溝6a、6b、及び6a’、6b’の軌道に沿って留め金カバー24に対するリンク要素25のいくつかの所定の縦位置を定義するため、溝6、6’の軌道上に重ねられる。このため、バー42、42’は、カバー24の曲率に沿い、縦方向の並進運動に近似する運動で、溝によって案内され、切欠き9、9’によってその位置で止められる。
【0053】
図15及び16に図示する構成において、端部リンク要素25の側壁は、2つの案内及び締結システムの第1ボール45、45’に力を加える。当該力は、その内部ばね35、35’を圧縮させ、ストップ47、47’経由で第2ボール46、46’へ力を伝達する。これにより、端部リンク要素25は、2つの案内及び締結システム40、40’によって弾性締結され、当該締結は、留め金のカバー内での2つのシステムの締結という第2効果を発揮させる。このため、各案内及び締結システム40、40’は、一方ではリンク要素と、他方では留め金と、とりわけ留め金カバー24との、2つの同時弾性締結機能を果たす。
【0054】
中央リンク要素25が弾性締結から解放されると、同時に上述の2つの締結が解放される。これは、調節リンク要素23、23’とそれぞれの案内及び締結システム40、40’を溝にそって縦方向に移動可能にする効果を有する。
【0055】
図17に図示するように、当該構造は、二重調節を可能にする。特に、留め金の案内路内での上述の移動を実行可能にすることに加えて、調節リンク要素23、23’は、案内装置周りを回転運動可能になり、第1実施形態と同様の効果を、すなわち調節リンク要素23、23’に対する端部リンク要素25の回転の効果を得ることができる。例示として、
図16は、切欠き9、9’内の第2ボール46、46’の所定の位置におけるブレスレットの短縮構成を図示する。一方、
図18は、切欠き9、9’内の第2ボール46、46’の所定の位置におけるブレスレットの延長構成を図示する。当該構成において、調節リンク要素23、23’は、
図16において占める位置に対して180度にわたり回転され、これにより追加の延長を提供する。
【0056】
図19及び20は、
図13に図示されたものに類似する、長さ調節装置の第5実施形態による案内及び締結システム50を示す。ブレスレット長さ調節装置は、長さ調節装置の第3実施形態を参照して説明したものと類似の方法で作用する。
【0057】
案内及び締結システム50は、調節リンク要素23を案内するための外周53が設けられる、第1空洞ピン54の役割を果たすバー52を含む。このため、バー52は長さ調節装置の当該実施形態にかかる案内及び締結システム50の案内装置を形成する。当該バー52は、追加で、バー52の第1端に配置されたスタッド58経由で、調節リンク要素23を留め金カバー24へ接続するためのものである。巻きばね55は、カバー24が組み立てられる際に、バー52の空洞容積内に予圧構成で組み入れられる。巻きばね55の機能は、スタッド58を、留め金のカバー24の垂直壁に配置された孔4内に安定状態に保持することである。
【0058】
図19及び20でみられるように、本実施形態にかかるブレスレット長さ調節装置は、2つの調節リンク要素23、23’を回転軸A1周りに留め金のカバー24へ接続するため、上述の2つのバー52、52’を組み入れている。調節リンク要素23、23’は、追加で、先行する実施形態のように、ピン26周りの連節された連結によって、端部リンク要素25に接続される。
【0059】
調節リンク要素は、加えて、端部リンク要素25の全幅にわたり横方向に延びる第2バー62が収容される、円筒形開口部を含む。第2バーは、予圧構成の巻きばね65が組み込まれる、空洞ピン63を含む。当該巻きばね65は、ピン63の空洞容積内に一部位置する2つのボール75、75’と、ボールが移動可能であり、ピン63の2つの横方向端部から部分的に突出可能なように、協働する。
【0060】
図20に記載の静止状態で、巻きばね65はボール75、75’に対して、バー62の外側方向の力をかける。このため、ボール75、75’は、ピン63の内部側壁に対して当接状態に維持され、同時にピン63の両端部から突出する。当該
図20は、ブレスレットの延伸構成にある、ブレスレットの長さ調節装置を図示し、延伸構成では、2つの調節リンク要素23、23’に接続された第2回転軸A2は、留め金の外側に向けられる。ブレスレットの端部リンク要素25は、第2回転軸A2周りに配置されたピボットピン26により調節リンク要素23、23’に固定される。
【0061】
図19は、ブレスレットの短縮構成における、ブレスレットの長さ調節装置を図示し、短縮構成では、バー52、52’の周囲表面周りの案内による軸A1周りの調節リンク要素23、23’の後方回転により、ピボットピン26が留め金カバー24の内側に向けて位置されることを可能にする。
【0062】
当該短縮構成において、端部リンク要素25のボール75、75’は、軸A1に実質的に中心を有し、バー52、52’の軸の延長で、調節リンク要素23、23’の側壁に設けられる切欠き59、59’と協働する。切欠き29、29’は、例えば、調節リンク要素23、23’の側壁に対して傾斜する、1以上のフランクにより定められる切抜きの形態をとってもよい。調節リンク要素23、23’の側壁は、好ましくは垂直である。
【0063】
このため、ブレスレットをその延伸構成から短縮構成に変更するための調節装置の作動は、調節リンク要素23、23’の壁とボール75、75’との接触により巻きばね65を圧縮させる。ボール75、75’は巻きばね65の押し出し力に逆らい、ピン63の空洞容積内に向かって押し戻される。
図19に示す最終位置において、ボール75、75’はそれぞれ、調節リンク要素23、23’の2つの側壁の切欠き29、29’のそれぞれに収容される。圧縮されたばね65は、当該構成が安定し、弾性締結機能を果たすことを保証するために設置される。当該解決策における全てのバー52、52’、62は、短縮構成において、従って締結機能の実施中、同一の横軸A1に沿って整列する。従って、端部リンク要素25に組み込まれた第2バー62は、案内及び締結システム50の締結装置を意味する。
【0064】
考察:カバー24の垂直壁は、単にリンク要素23、23’を移動させ、対向する孔4の1つにスタッド58、58’を挿入させることで追加の長さ調整を提供するため、縦方向に分布されるいくつかの孔4を提供する。
【0065】
このため、上記の説明から明らかなように、当該第5実施形態は、同等の操作と同様の結果を達成するため、締結機能を形成する手段が、調節リンク要素23、23’と端部リンク要素25との間に再配置された第3実施形態に対応する。
【0066】
このため、前述同様、案内及び締結システムは案内用と締結用のそれぞれ2つの独立した装置を結合するものである。案内装置は、少なくとも1つのバー52と、具体的には、その周囲表面53の少なくとも一部を含む。締結装置は、巻きばね65とボール75、75’とを含む。2つの案内及び締結機能は、このように互いに独立して行われる。締結機能は加えて、使用されるリンク要素から、とりわけブレスレットのリンク要素に使用される素材から、独立している。保持力は、ばね65の弾性変形のみにより定義され、切欠きまたは複数の切欠きの塑性変形のリスクも、バーを屈曲させるリスクもない。
【0067】
前述同様、案内及び締結システム30、30’のボール45、45’は、ばねと切欠きとの間に適切なインターフェースを構成するのに適した形状の、ブロックやその他の部品と交換されてもよい。このため、「ボール」とは、必ずしも球体でない形状を含む、最も広い意味で用いられる。
【0068】
最後に、本発明は、改善された性能と改善された審美的結果を定義できるよう、コンパクトな組立体を得るために、例えば案内装置と組み合わせるなど、弾性締結装置の最適な配置に依拠する。2つの案内及び締結装置の組み合わせは、有利には、案内機能実施中、対称軸及びまたは回転軸であってもよい、同一の軸周りに行われる。代替策として、2つの装置が軸対称を示さなくてもよい。他の代替形態として、両者の軸はわずかにオフセットして平行でもよい。有利には、2つの装置のうち1つは、少なくとも他の装置を部分的に包囲する。2つの装置は、第2要素、例えば第2ブレスレットリンク要素または第2留め金リーフへ締結されるための同一の第一要素、例えば第1ブレスレットリンク要素または第1留め金リーフ内に配置される配置内で組み合わされてもよい。代替策として、第5実施形態で図示されるように、2つの要素の締結位置において2つの装置が同一の横軸上に整列されるよう、案内装置は第1要素内に配置され、弾性締結装置は第2要素内に配置されてもよい。
【0069】
弾性締結装置の意味は、弾性的に可逆の態様で、1つの部品を1以上の他の部品と締結するために変形する、少なくとも1つのばね要素を含む装置である。弾性締結は、ブレスレットリンク要素に対して行われることができ、当該リンク要素は締結について受動的に(変形することなく)寄与する。この弾性締結は、ブレスレットまたは留め金の固定部分に対して行うこともできる。
【0070】
更に、案内装置の意味は、1つの部品を異なる部品に対して案内するための、少なくとも1つの手段、とりわけ表面が設けられた装置である。案内は、回転及びまたは溝内の移動、とりわけ実質的に横方向移動または留め金カバーの曲率に対応する移動でもよい。案内は、ブレスレットリンク要素、特に調節リンク要素及びまたは留め金を用いて達成することもできる。
【0071】
加えて、有利な実施形態によれば、2つの案内及び締結装置は独立している、つまり両者は他の装置に影響を与えることなく、それぞれの機能を発揮する。
【0072】
もちろん、上記の配置は例示的実施形態として説明されており、他の構造も、本発明の範囲から外れることなく考えることができる。例えば、1つまたは2つの案内及び締結システムを2つの調節リンク要素と用いたが、代替策として、異なる数の案内及び締結システムを用いることができ、異なる数の調節リンク要素を用いることができる。案内システムの一部を形成する案内表面はまた、例えばいくつかのリッジの形態を採用する案内手段で代替されてもよい。
【0073】
有利には、案内及び締結システムは、上述のように、留め金内でブレスレットの長さを調節する装置と関連する。有利には、調節リンク要素及び場合により端部リンク要素の少なくとも一部は、留め金が形成するカバーの下に位置し、このため当該機構は隠されたままでいる。留め金は、2つまたは3つの展開リーフを有する、様々なタイプでよい。
【0074】
代替策として、案内及び締結システムは、単に留め金の1つのリーフと関連し、当該リーフを連節し、締結するために用いてもよい。案内及び締結システムは、このように、形状の変化が求められるブレスレットに関連するあらゆるシステムに実施することができる。更なる代替策として、案内及び締結システムは、留め金に対する位置がどうであれ、ブレスレットリンク要素またはリンクと関連してもよい。
【0075】
本発明はまた、少なくとも1つの案内及び締結装置と長さ調節装置を包含する、ブレスレット及びまたは留め金及びまたは腕時計に関する。
【符号の説明】
【0076】
10 案内及び締結システム
12 バー
23 調節リンク要素
24 カバー
25 端部リンク要素
A1 軸