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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220609BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20220609BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220609BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220609BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220609BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G02F1/1368
G09F9/30 308Z
H01L29/78 617N
H01L29/78 618B
H01L29/78 623
H01L29/78 626C
H05B33/02
H05B33/14 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018003913
(22)【出願日】2018-01-15
(65)【公開番号】P2019124771
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】花田 明紘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友幸
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0123084(US,A1)
【文献】国際公開第2016/067154(WO,A1)
【文献】特開2009-135350(JP,A)
【文献】特開2017-143255(JP,A)
【文献】特開2017-208473(JP,A)
【文献】特表2017-505457(JP,A)
【文献】特開2004-327539(JP,A)
【文献】特開2017-143239(JP,A)
【文献】特開平09-312398(JP,A)
【文献】特開2011-048339(JP,A)
【文献】特表2016-534390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L21/336
29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で形成された基板上に酸化物半導体によって形成された第1のTFTと第1のポリシリコンによって形成された第2のTFTを有する表示装置であって、
前記第1のTFTと前記第2のTFTは平面で視て重ならない場所に形成され、
前記第2のTFTは前記第1のTFTよりも、断面で視て、前記基板に近く形成され、
前記酸化物半導体と前記基板の間には、前記酸化物半導体と平面で視て重なり、前記第1のポリシリコンと同じ材料で形成され、前記第1のポリシリコンと同じ層に形成された第2のポリシリコンが存在し、
前記第2のポリシリコンの前記酸化物半導体のチャネル長方向の長さは、前記酸化物半導体のチャネル長方向の長さよりも大きく、
前記酸化物半導体と前記第2のポリシリコンの間には、複数の絶縁膜が存在し、
前記複数の絶縁膜は、前記第2のTFTのゲート絶縁膜と同じ層である第1の絶縁膜を含み、
前記複数の絶縁膜は第2の絶縁膜を含み、
前記酸化物半導体の下層には、前記第2の絶縁膜を挟んで、前記第2のTFTのゲート電極と同じ材料で同じ層に形成された金属層が形成され、
前記金属層は、前記第1の絶縁膜を介して前記第2のポリシリコンと絶縁されており、
前記金属層の前記酸化物半導体のチャネル長方向の長さは、前記酸化物半導体の前記チャネル長方向の長さよりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2のポリシリコンの前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅は、前記酸化物半導体のチャネル幅方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記金属層には、ゲート電位が供給されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記金属層には、基準電位が供給されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2のポリシリコンには基準電位が供給されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1のTFTはトップゲートであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第2のTFTはトップゲートであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に基板を湾曲させることができるフレキシブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置や液晶表示装置は表示装置を薄くすることによって、フレキシブルに湾曲させて使用することができる。この場合、素子を形成する基板を薄いガラスあるいは薄い樹脂によって形成する。
【0003】
有機EL表示装置では、TFT(Thin Film Transistor)による駆動トランジスタによって有機発光層を駆動する。駆動トランジスタにノイズが侵入すると、駆動トランジスタの閾値が変化し、正確な輝度の再現が出来なくなる。
【0004】
引用文献1には、トップゲートタイプのTFTを用いて駆動トランジスタを形成した有機EL表示装置において、外部からのノイズによる駆動トランジスタの閾値の変動を抑えるために、TFTより下層にシールド用の金属薄膜を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-505457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有機EL表示装置の基板をポリイミド等の樹脂で形成すればフレキシブルな有機EL表示装置を形成することが出来る。しかし、樹脂を用いた基板では、ガラス基板の場合に比較して、有機EL表示装置を長時間動作させた場合、輝度変動が生ずることがわかった。この輝度変動は、長時間動作させることによって樹脂基板内に電荷の分布が生じ、駆動トランジスタ付近の樹脂の帯電が駆動トランジスタの特性に影響を与える結果であると考えられる。
【0007】
酸化物半導体で構成したTFTは、リーク電流が小さいという特徴を有している。したがって、低周波駆動が可能であり、消費電力の低減を図ることが出来る。しかし、酸化物半導体によるTFTは、基板等に有機された固定電荷による影響を受けやすいという問題もある。
【0008】
また、酸化物半導体を用いたTFTを液晶表示装置に用いるような場合は、バックライトからの影響を受けやすい。したがって、遮光層を設けることが必要になる。
【0009】
低温ポリシリコン(以後LTPS(Low Temperature Poly-Siliconという)によるTFTは、リーク電流が比較的大きいが、移動度が高いという特性がある。したがって、LTPSを用いたTFTを走査線駆動回路等の周辺駆動回路に用い、酸化物半導体を用いたTFTを画素領域の駆動トランジスタあるいはスイッチングトランジスタとして用いることが合理的である。このような構成をハイブリッド構造と呼んでいる。本明細書では、ポリシリコンとして低温ポリシリコンの場合で説明するが、他のポリシリコンの場合についても同様である。
【0010】
ハイブリッド構造においては、LTPSを用いたTFTと酸化物半導体を用いたTFTとは連続したプロセスで製造される。この場合、2種類のTFTについて、帯電による影響の軽減、バックライトからの遮光等を考慮した構成とする必要がある。
【0011】
本発明の課題は、樹脂基板を用いた場合の、基板の帯電による影響を抑制した構成、外光によるTFTへの影響を抑制する構成、さらには、ハイブリッド構造において、これらの問題を合理的に解決することが出来る構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を克服するものであり、代表的な手段は次のとおりである。
【0013】
(1)樹脂で形成された基板上に酸化物半導体によって形成された第1のTFTと第1のポリシリコンによって形成された第2のTFTを有する表示装置であって、
前記第1のTFTと前記第2のTFTは平面で視て重ならない場所に形成され、
前記第2のTFTは前記第1のTFTよりも、断面で視て、前記基板に近く形成され、
前記酸化物半導体と前記基板の間には、前記第1のポリシリコンと同じ材料で形成され、前記第1のポリシリコンが形成されているのと同じ層の上に形成された第2のポリシリコンが存在していることを特徴とする表示装置。
【0014】
(2)樹脂で形成された基板の一方の面に酸化物半導体によって形成された第1のTFTが存在する表示装置であって、平面で視て、前記酸化物半導体と重複した領域に、前記基板と接触して第1の導電膜が形成され、前記第1の導電膜の上に、無機材料からなる下地膜が形成され、前記酸化物半導体はチャネル長とチャネル幅を有し、前記第1の導電膜の前記チャネル長方向の長さは、前記酸化物半導体の前記チャネル方向の長さよりも大きいことを特徴とする表示装置。
【0015】
(3)前記基板には、平面で視て、前記第1のTFTとは別な場所にポリシリコンによる第2のTFTが形成され、前記第2のTFTは前記第1のTFTよりも、断面で視て、前記基板に近く形成されていることを特徴とする(2)に記載の表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】有機EL表示装置の平面図である。
図2】有機EL表示装置の表示領域の断面図である。
図3】有機EL表示装置の画素部の等価回路である。
図4】基板の帯電を説明する断面図である。
図5】基板の帯電の影響を説明する断面図である。
図6】比較例によるTFT付近の断面図である。
図7】本発明によるTFT付近の断面図である。
図8】本発明の製造プロセスの一部を示す断面図である。
図9】本発明によるTFT付近の平面図である。
図10】実施例2によるTFT付近の断面図である。
図11】実施例2の第2の形態によるTFT付近の断面図である。
図12】実施例2の第3の形態によるTFT付近の断面図である。
図13】実施例2の第4の形態によるTFT付近の断面図である。
図14】液晶表示装置の平面図である。
図15】液晶表示装置の表示領域の断面図である。
図16】走査線に印加される電圧の例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明が適用されるフレキシブル基板100を有する有機EL表示装置の平面図である。図1の有機EL表示装置は、表示領域10と端子領域30が存在している。表示領域10には横方向(x方向)に走査線11が延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向に延在して横方向に配列している。そして、電源線13が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線11と、映像信号線12または電源線13で囲まれた領域に画素14が形成されている。
【0019】
図1において、表示領域10以外の部分に端子領域30が形成され、端子領域30にはドライバIC31が搭載されている。映像信号はドライバIC31においてアレンジされ、表示領域10に供給される。また、端子領域30には、有機EL表示装置に電源や信号を供給するためのフレキシブル配線基板32が接続している。
【0020】
図1において、表示領域10の両側には走査線駆動回路20が形成されている。また、表示領域10の上側(y方向上側)には、電流供給領域21が形成されている。電流は端子領域30に接続しているフレキシブル配線基板31から電流バスラインに供給され、電流バスラインは、表示領域10の上側(y方向の上側)の電流供給領域21に配線される。そして、電流は、電流供給領域21から電源線13によって各画素14に供給される。表示領域10の下側に配線が集中することを回避するためである。
【0021】
図2は、図1に示す有機EL表示装置の表示領域の層構造の例を示す断面図である。図2において、ガラス基板90は、支持基板として使用される場合もあるが、本発明では、フレキシブル表示装置が完成した後除去される。つまり、樹脂基板だけでは、プロセスを通すことが出来ないので、製造工程では、ガラス基板の上に有機EL表示装置の各要素を形成し、有機EL表示装置が完成した後、レーザアブレーション等によってガラス基板90が除去される。
【0022】
図2において、ガラス基板90の上に樹脂で形成されたTFT基板100が形成されている。樹脂にはポリイミドが使用されている。ポリイミドは機械的強度、耐熱性等から、フレキシブル表示装置の基板としては、すぐれた性質を有している。以後、樹脂基板はポリイミド基板として説明する。
【0023】
ポリアミド酸を含むポリイミド材料は、スリットコーター、ロッドコーターあるいはインクジェット等によって塗布され、焼成されてイミド化して固化する。ポリイミド基板100の厚さは10μm乃至20μmである。しかし、ポリイミドはガラスに比べて帯電をしやすい。この現象は、ポリイミドは、ガラスのような完全な絶縁物ではないので、上に形成される電極の電位によって電荷が移動するためであると推測される。
【0024】
図2において、TFT基板100の上に、下地膜101が形成されている。ポリイミドからの水分や不純物が半導体層107や有機EL層を汚染することを防止するためである。下地膜101は、例えば、酸化シリコン(SiO)によって窒化シリコン(SiN)をサンドイッチしたような3層の積層膜で形成される。これに加えて、酸化アルミニウム(AlOx)が使用される場合もある。
【0025】
下地膜101の上に半導体層107が形成されている。半導体層107は例えば酸化物半導体で形成される。酸化物半導体107は、ポリイミドの耐熱温度である350℃程度の温度で形成することが可能である。酸化物半導体108のうち光学的に透明でかつ結晶質でないものをTAOS(Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)と呼ぶ。TAOSには、IGZO(Indium Gallium Zinc Oxide)、ITZO(Indium Tin Zinc Oxide)、ZnON(Zinc Oxide Nitride)、IGO(Indium Gallium Oxide)等がある。本発明では、酸化物半導体107にIGZOを用いた例で説明する。
【0026】
半導体層107を覆ってゲート絶縁膜108が形成され、ゲート絶縁膜108の上にゲート電極109が形成される。ゲート電極109は、例えば、MoW等で形成されるが、抵抗を小さくしたい場合は、AlをTi等でサンドイッチした構成が用いられる。その後、ゲート電極109をマスクにして、Ar原子等のイオンインプランテーションを行い、半導体層107に、ドレイン1071とソース1072を形成する。半導体層107の内、ゲート電極109の直下がチャネルとなる。
【0027】
ゲート電極109を覆って層間絶縁膜110が形成される。層間絶縁膜110の上にドレイン電極111とソース電極112が形成される。層間絶縁膜110およびゲート絶縁膜108にスルーホール131を形成し、ドレイン電極111とドレイン1071を接続し、スルーホール132を形成してソース電極112とソース1072を接続している。
【0028】
ドレイン電極111、ソース電極112、層間絶縁膜110を覆って有機パッシベーション膜120が形成される。有機パッシベーション膜120は、アクリル等の透明樹脂で形成される。有機パッシベーション膜120は平坦化膜を兼ねているので、2μm乃至4μmと、厚く形成される。
【0029】
有機パッシベーション膜120の上に、反射膜1211とアノード1212が積層して形成される。反射膜1211とアノード1212の積層体を下部電極121と呼ぶ。反射膜1211は例えば反射率の高い銀で形成され、アノード1212はITO(Indium Tin Oxide)で形成される。なお、有機パッシベーション膜120にスルーホール130を形成して、ソース電極112と下部電極121を接続している。
【0030】
下部電極121を覆って、バンク122が形成される。バンク122は、アクリル等の透明樹脂で形成される。バンク122の役割は、下部電極121の上に形成される有機EL層123が下部電極121の端部によって段切れ生ずることを防止することと、各画素を区画することである。
【0031】
バンク120に形成されたホールに有機EL層123を形成する。有機EL層123は、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等の複数の層で形成され、各層は数nm~100nm程度の非常に薄い膜である。
【0032】
有機EL層123を覆って上部電極(カソード)124が形成される。カソードは表示領域全面に共通に形成される。カソード124は、透明導電膜であるIZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)等によって形成されるほか、銀等の金属の薄膜で形成される場合もある。
【0033】
その後、カソード124側からの水分の侵入を防止するために、カソード124を覆って保護膜125を、CVDを用いてSiNによって形成する。有機EL層123は熱に弱いために保護膜125を形成するためのCVDは100℃程度の低温CVDによって形成される。保護膜125には、この他、機械的な保護のために、アクリル等の透明樹脂膜が積層される場合もある。
【0034】
トップエミッション型の有機EL表示装置は、反射電極1211が存在しているために、画面は、外光を反射する。これを防止するために、表面に偏光板127を配置して、外光による反射を防止している。偏光板127は、一方の面に粘着材126を有しており、保護膜125に圧着することによって、有機EL表示装置に接着させている。粘着材126の厚さは30μm程度であり、偏光板127の厚さは100μm程度である。
【0035】
このようにしてガラス基板上にフレキシブル表示装置を形成した後、ポリイミドによるTFT基板100とガラス基板90の界面にレーザを照射してTFT基板100からガラス基板90を除去する。これによって、樹脂基板を有するフレキシブル表示装置が完成する。
【0036】
図3および図4は、有機EL表示装置を例にとって、駆動TFTにおいてソース電流が変動するメカニズムを説明する図である。図3は有機EL表示装置の画素部の等価回路の例である。図3において、走査線11が横方向に延在している。また、カソード線124が横方向に延在しているが、これは、等価回路上での表現であり、カソード124は図2で説明したとおり、表示領域10を覆って全面に形成されている。映像信号線12が縦方向に延在し、また、電源線13が縦方向に延在している。走査線11と映像信号線12あるいは電源線13によって囲まれた領域が画素になっている。
【0037】
図3において、スイッチングトランジスタT1のドレインが映像信号線12と接続し、ゲートが走査線11と接続している。駆動トランジスタT2のドレインが電源線13と接続し、ソースが有機EL層ELと接続している。駆動トランジスタT2のゲートはスイッチングトランジスタT1のソースと接続している。また、駆動トランジスタT2のゲートとソースの間に蓄積容量Csが接続されている。
【0038】
図3において、スイッチングトランジスタT1が走査信号を受けると、スイッチングトランジスタを通して映像信号が蓄積容量Csに蓄積され、駆動トランジスタT2は、蓄積容量Csに蓄積された電荷による電位にしたがって、有機EL層ELに電流を供給する。図2で説明したトランジスタは図3における駆動トランジスタT2である。駆動トランジスタT2の一方の電極は蓄積容量Csの一方の電極となっているので、面積が大きく、駆動トランジスタT2のゲート電極109は、TFT基板100を構成するポリイミドの影響を大きく受ける。
【0039】
図4は、駆動トランジスタ付近の模式断面図である。図4において、ガラス基板90の上にポリイミド基板100が形成され、その上に下地膜101が形成されている。下地膜101の上に半導体層107が形成されている。半導体層107は例えば、酸化物半導体で形成されている。半導体層107の上にゲート絶縁膜108が形成され、その上にゲート電極109が形成されている。半導体層108において、ゲート電極109の直下に相当する部分がチャネルになっており、他の部分は、ソースあるいはドレインとなっている。駆動トランジスタのゲート電極109は他の領域に延在して蓄積容量Csの一方の電極となっている。
【0040】
有機EL表示装置に連続して画像を表示させるということは、ゲート電極109に連続して直流電圧を印加するということである。ゲート電極109に電圧を印加するということは、同じ電位にある、蓄積容量Csの一方の電極に連続して直流電圧が印加されているということである。そして、蓄積容量Csの電極の面積のほうがゲート電極109の面積よりも大きい。
【0041】
そうすると、図4に示すように、TFT基板100であるポリイミドの一部が帯電することになる。帯電をする電荷はポリイミド基板100の別な場所、例えば、TFTの部分から移動する。図4においては、ポリイミドの抵抗Rpiを通してマイナス電荷が蓄積容量の一方の電極側に移動した結果TFT付近のポリイミド基板100がプラスに帯電したことを示している。そうすると、TFTのソース電流がこの影響を受けて変動することになる。このような、基板100の帯電の影響によるTFTの特性変動は、特に酸化物半導体を用いたTFTにおいて顕著である。
【0042】
酸化物半導体107を用いたTFTは、リーク電流が小さいという特徴を有している。これは、画素電極の電位を長時間安定して保持できることを意味する。したがって、TFTに酸化物半導体107を用いることによって、低周波駆動を行い、消費電力を低減することが出来る。しかし、酸化物半導体107の移動度は、周辺駆動回路を構成するには十分でない場合がある。
【0043】
一方、LTPSは、移動度が大きい。しかし、LTPSは、酸化物半導体に比べてリーク電流が多いという問題を有している。そこで、酸化物半導体によるTFTを、画素における駆動TFTあるいはスイッチングTFTに用い、LTPSによるTFTを周辺駆動回路に用いることが合理的である。この構成をハイブリッド構造と呼ぶ。
【0044】
図5は、酸化物半導体107によるTFTとLTPS102によるTFTを同じ基板100上に形成した場合のTFT付近の構成を示す断面図である。酸化物半導体107を用いたTFTは表示領域に形成され、LTPS102を用いたTFTは、周辺駆動回路に形成されるので、実際には、両TFTは離れて配置されるが、図5では、層構成をわかり易くするために、LTPS102によるTFTと酸化物半導体107によるTFTを隣り合わせて記載している。
【0045】
図5において、左側はLTPS102によるTFTであり、右側が酸化物半導体107によるTFTである。図5において、ガラス基板90の上にポリイミドで形成されたTFT基板100が形成され、その上に下地膜101が形成されている。下地膜101の構成は図2で説明したとおりである。下地膜101の上にLTPSによる半導体層102が形成されている。LTPSは、まず、a-Siを下地膜101の上にCVDによって被着し、このa-Si膜にエキシマレーザを照射することによってポリシリコンに変換したものである。LTPSは50nm程度の厚さで形成される。
【0046】
LTPS102を覆って第1ゲート絶縁膜103が形成され、その上に第1ゲート電極104が形成されている。ゲート電極104は例えばMo、MoW等の金属又は合金、あるいは、Ti-Al-Ti等の積層膜によって形成される。図5において、LTPS102のゲート電極104に対応する部分にチャネルが形成され、その両脇にドレインおよびソースが形成される。
【0047】
第1ゲート電極104を覆って例えば窒化シリコン(SiN)による第1層間絶縁膜105、及び、酸化シリコン(SiO)による第2層間絶縁膜106が形成される。LTPSによるTFTの特性の安定化のためには、第1層間絶縁膜105はSiNで形成されるのが好ましい。一方、図5の右側に形成される酸化物半導体107は、SiNと接触すると、SiNから供給される水素によって特性が変動する。これを防止するために、第2層間絶縁膜106をSiOで形成している。
【0048】
図5の右側において、第2層間絶縁膜106の上に酸化物半導体107が例えばIGZOによって形成されている。酸化物半導体107の厚さは例えば10nmから100nmである。酸化物半導体107を覆って第2ゲート絶縁膜108が形成されている。そして、酸化物半導体107の上方で、第2ゲート絶縁膜108の上に第2ゲート電極109が形成されている。酸化物半導体107において、第2ゲート電極109に対応する部分にチャネルが形成され、その両脇にドレイン1071およびソース1072が形成される。
【0049】
第2ゲート電極109を覆ってSiOによる第3層間絶縁膜110が形成されている。第3層間絶縁膜110は第2ゲート絶縁膜108を挟んで酸化物半導体107の近くに形成されるので、酸化物半導体107に酸素を供給し、酸化物半導体107の特性を安定化できるように、SiOで形成される。
【0050】
図5の左側のTFTに、ドレイン電極111およびソース電極112を接続するために、第3層間絶縁膜110、第2ゲート絶縁膜108、第2層間絶縁膜106、第1層間絶縁膜105、第1ゲート絶縁膜103の5層の絶縁膜にスルーホール115、116を形成する。また、右側のTFTにドレイン電極113及びソース電極114を接続するために、第3層間絶縁膜110、第2ゲート絶縁膜108にスルーホール117、118を形成する。
【0051】
図5において、LTPS102用のスルーホール115、116、及び、酸化物半導体107用スルーホール117、118は同時に形成される。LTPS102用スルーホールを形成する時に、佛酸(HF)洗浄をおこなう。この時に同時に洗浄される酸化物半導体107用スルーホールを介して酸化物半導体107が消失することを防止するために、スルーホール117、118に対応する酸化物半導体107の部分に金属等によるエッチングストッパーを形成する場合もある。
【0052】
図5において、表示装置を動作させると、図3及び図4で説明したように、酸化物半導体107で形成されたTFTに対応するTFT基板100に電荷が誘起される。この電荷によって、酸化物半導体107によるTFTの特性が変動する。なお、図4では、酸化物半導体107の下に下地膜101のみが存在し、図5では酸化物半導体107の下には、第2層間絶縁膜106、第1層間絶縁膜105、第1ゲート絶縁膜103、下地膜101の4層が存在しているが、TFT基板100に電荷が誘起される現象は同じである。
【0053】
図6は、この問題を対策するための、比較例としてのTFTの断面図である。図6において、左側のLTPS102によるTFTの構成は図5で説明したのと同様である。図6の右側のTFTにおいて、第2層間絶縁膜106及び第1層間絶縁膜105を挟んで、酸化物半導体107の下方にシールド層60が形成されている。シールド層60は、例えば、グランド(GND)電位に接続され、このシールド層60によって、TFT基板100に誘起された電荷をシールドする。なお、シールド層60は、ゲート電圧を印加することによって、酸化物半導体によるTFTにおけるボトムゲート電極(第3ゲート電極)とする場合もある。
【0054】
シールド層60は、第1ゲート電極104と同じ金属材料で、第1ゲート電極104と同時に形成される。また、金属で形成されたシールド層60は、酸化物半導体107に対する背面からの光に対する遮光膜としての役割も有する。一方、シールド層60によって、十分なシールド効果を得ようとすると、ある程度の面積が必要である。
【0055】
シールド層60の面積を大きくすると、図6に示すように、酸化物半導体107のドレイン1071およびソース1072との間に大きな寄生容量、Cgd及びCgsが発生する。この寄生容量Cgd及びCgsは、仮に、シールド層60をボトムゲートとして使用する場合は、画素電極あるいはアノードへのゲート電圧の飛び込み等の問題を引き起こし、また、シールド層60にグランド電位(GND)を印加する場合は、TFTの動作速度を遅くする等の問題を引き起こす。
【0056】
図7は、これを対策した本発明の実施例1の構成を示す断面図である。図7において、左側のLTPS102によるTFTの構成は、図5及び図6で説明した構成と同じである。図7における右側の酸化物半導体107によるTFTの構成が図6と異なっている。
【0057】
図7において、酸化物半導体107の下方に形成された、第3ゲート電極60(シールド層60)は、酸化物半導体107のチャネルに対するボトムゲート及び遮光層としての役割を持つための最低限の面積となっている。したがって、TFT基板100に誘起された電荷に対しては充分なシールド効果を有していない。しかし、第3ゲート電極60は、面積を小さくしているので、酸化物半導体のドレイン1071あるいはソース1072等との間に形成される寄生容量Cgd、Cgsは最低限に抑えることが出来る。
【0058】
図7において、LTPSで形成されたシールド層50がTFT基板に誘起された電荷に対するシールドの役割を持っている。シールド層50は、図7における左側のTFT用のLTPS102を形成する時に同時に形成される。シールド層50はLTPSで形成されているが、イオンインプランテーションによるドーピングによって導電性が付与されている。
【0059】
シールド層50には、例えば、グランド電位(GND)が印加される。ここで、グランド電位とは基準電位のことであり、必ずしもアース電位のことではない。つまり、基準電位は、カソード電位等であることもありうる。
【0060】
図7に示すように、LTPSによるシールド層50は、酸化物半導体107におけるドレイン1071とソース1072との間に、第1層間絶縁膜105、第2層間絶縁膜106に加え、第1ゲート絶縁膜103が存在している。その分、寄生容量を小さくすることが出来る。一方、酸化物半導体107との間の寄生容量を小さくできるために、シールド層50の面積を大きくして、十分なシールド効果を付与することが出来る。
【0061】
図8は、LTPSによるシールド層50を形成するプロセスを示す断面図である。LTPSによるシールド層50は、LTPSTFTを形成する時のLTPS102と同時にパターニングされる。その後、TFT用LTPS102及びシールド層50用LTPSを覆って第1ゲート絶縁膜103で覆う。その後、LTPS102にチャネル部を形成するために、LTPS102のチャネルに対応する部分にレジスト400を形成する。
【0062】
その後、イオンインプランテーションによって、レジスト400が存在している部分以外のLTPSに、リン(P)、ボロン(B)等をドープして導電性を付与する。図8はイオンインプランテーションによってLTPSにドレイン1021及びソース1022を形成している状態を示す断面図である。図8に示すように、TFTのドレイン1021及びソース1022を形成すると同時に、シールド層50を構成するLTPSに対して導電性を付与する。
【0063】
図8に示すイオンインプランテーションは、例えば、リン(P)を1×1014ions/cmドープしている。図8に示すように、本発明におけるシールド層50の形成には、追加のプロセスは不要である。
【0064】
図9は、酸化物半導体107によるTFTの平面図である。図9において、最下層にLTPSによるシールド層50が形成されている。シールド層50の上にボトムゲートを構成する第3ゲート電極60が存在し、その上に酸化物半導体107が形成されている。図9において、横方向(x方向)がチャネル長方向であり、縦方向(y方向)がチャネル幅方向である。
【0065】
図9に示すように、シールド層50の横方向の幅w2は、第3ゲート電極の横方向の幅w1よりも大きい。図9では、酸化物半導体107の横方向の幅w3はシールド層50の幅w2よりも大きいが、シールド効果としては、シールド層50の幅w2が酸化物半導体107の横方向の幅w3よりも大きいほうがよい。シールド層50の縦方向の幅w5は酸化物半導体107の幅w4よりも大きい。つまり、LTPSによるシールド層50は、第3ゲート電極60よりも、酸化物半導体107から離れて形成されているので、面積を広くすることが出来る。
【0066】
なお、図6において、ボトムゲート60が不要な場合、あるいは、遮光膜としてのボトムゲート60が不要な場合は、図7における第3ゲート電極60を省略することが出来る。
【0067】
このように、本発明によれば、シールド層50をLTPSによって形成することにより、酸化物半導体107を用いたTFTを基板に誘起された電荷の影響からシールドすることが出来るとともに、シールド層を形成したことに起因する寄生容量の増大を抑制することが出来る。
【実施例2】
【0068】
図10は、本発明の実施例2を示す断面図である。実施例1では、TFT基板に誘起される電荷に対するシールドとして、LTPSを用いている。実施例1では、酸化物半導体107とシールド層50との間に、第2層間絶縁膜106、第1層間絶縁膜105、第1ゲート絶縁膜103の3層の絶縁膜が存在しているので、寄生容量を抑制することが出来る。
【0069】
図10に示す実施例2の構成は、シールドのための層70を、下地膜101の下に形成することによって、シールド層70と酸化物半導体107との間の寄生容量をさらに低減するものである。図7において、下地膜101の下に、導電性材料で形成されたシールド層70が形成されている。導電性材料は、金属であることが好ましく、金属として、例えば、ゲート電極と同じ材料を使用することが出来る。
【0070】
図10において、酸化物半導体107とシールド層70との間には第2層間絶縁膜106、第1層間絶縁膜105、第1ゲート絶縁膜103、下地膜101が存在しているので、実施例1の場合よりもさらに、酸化物半導体107とシールド層70との距離を大きくすることが出来る。また、下地膜101は、SiO/SiN/SiOの3層で形成されることが多いので、さらに、距離を大きくすることが出来る。
【0071】
シールド層70を金属で形成する場合は、遮光膜としての役割も持たせることが出来る。シールド層70の厚さは例えば、50nm程度あれば、シールド効果は充分に得ることが出来る。一方、遮光膜としての役割を持たせる場合は、100nm程度あることが望ましい。
【0072】
酸化物半導体107はチャネル長とチャネル幅を持ち、シールド層70のチャネル長方向の長さは、酸化物半導体107のチャネル長方向の長さよりも大きいほうがよい。また、シールド層70のチャネル幅方向の幅は、酸化物半導体107のチャネル幅方向の幅よりも大きいほうがよい。
【0073】
図11は、実施例2の第2の形態を示す断面図である。本実施例におけるシールド層70は金属で形成され、遮光効果を有する。したがって、酸化物半導体107によるTFTがボトムゲートを必要としない場合は、遮光効果を兼ねた第3ゲート電極60を省略することが出来る。
【0074】
図11において、酸化物半導体107に下方には、絶縁層を挟んで、シールド層70のみが存在している。したがって、寄生容量は図10の場合よりもさらに低減することが出来る。シールド層70の構成は図10で説明したのと同様である。
【0075】
図12は、実施例2の第3の形態を示す断面図である。図12図10と異なる点は、LTPS102の下に遮光膜71が形成されていることである。LTPS102についても、TFT基板100における帯電の影響を受ける。また、LTPS102についても、背面からの光による光電流が発生する。図12は、LTPS102についても、TFT基板100に発生する電荷に対するシールド効果と遮光効果を兼ねたシールド層71を形成している。
【0076】
図12において、シールド層71の幅は、LTPS102のチャネルを下からカバーする程度の面積に形成されている。チャネル部分のシールドとチャネル部分の遮光効果のためである。一方、平面で視た場合、シールド層71と、LTPSのドレイン1021およびソース1021との重複は小さくし、寄生容量の発生を防止している。
【0077】
図13は、実施例2の第4の形態を示す断面図である。図13図11と異なる点は、LTPS102の下に遮光膜71が形成されていることである。その他の構成は図11と同じである。図13における遮光膜71の構成は、図12で説明した遮光膜71の構成と同じである。図13の構成によって、TFT基板100における帯電の影響を酸化物半導体107に対してのみでなく、LTPS102に対しても軽減することが出来る。
【実施例3】
【0078】
実施例1及び2は有機EL表示装置について本発明を適用した場合である。本発明は、液晶表示装置についても適用することが出来る。すなわち、ポリイミド等の樹脂基板を使用することによって、フレキシブル表示装置とすることは液晶表示装置についても行われるからである。
【0079】
但し、液晶表示装置は、画素領域においては、有機EL表示装置におけるような駆動トランジスタは存在せず、スイッチングTFTのみが存在する。しかし、スイッチングTFTにおいても、ポリイミドの帯電の影響は受ける。すなわち、ポリイミドが帯電することによって、スイッチングTFTのスレッショルド電圧(閾値電圧)が影響を受け、これによって、画素に蓄積される映像信号の値が影響を受けるからである。
【0080】
図14は液晶表示装置の平面図である。図14において、TFT基板100と対向基板200がシール材40によって接着し、内部に液晶が封入されている。TFT基板100と対向基板200が重なっている部分に表示領域10が形成されている。表示領域10には走査線11が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線12が縦方向(y方向)に延在し、横方向(x方向)に配列している。走査線11と映像信号線12で囲まれた領域が画素14になっている。
【0081】
TFT基板100と対向基板200が重なっていない部分が端子領域30となっている。端子領域30には、ドライバIC31が載置され、フレキシブル配線基板32が接続している。
【0082】
図15は、本発明における液晶表示装置の画素部の断面図である。図15に示すTFTはスイッチングTFTであるが、断面構成は図2の駆動TFTと同じである。すなわち、TFTはトップゲートで、半導体層107には酸化物半導体が用いられている。図15において、有機パッシベーション膜120までは、図2と同じ構成である。
【0083】
図15において、有機パッシベーション膜120の上にはITOによってコモン電極150が平面状に形成され、コモン電極150を覆って容量絶縁膜151がSiNによって形成されている。容量絶縁膜151の上にITOによって画素電極152が形成されている。画素電極152は櫛歯状の平面形状となっている。画素電極152を覆って液晶を初期配向させるための配向膜153が形成されている。
【0084】
画素電極152に映像信号が印加されると、画素電極152とコモン電極150の間に矢印のような電気力線が発生して液晶分子301を回転させて画素における光の透過率を制御する。また、画素電極152とコモン電極150の間に容量絶縁膜151を挟んで保持容量が形成される。
【0085】
図15において、液晶層300を挟んで対向基板200が形成され、対向基板200の内側にカラーフィルタ201とブラックマトリクス202が形成されている。カラーフィルタ201とブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成され、オーバーコート膜203を覆って配向膜204が形成されている。
【0086】
図15において、TFT基板100および対向基板200はポリイミド等の樹脂で形成されている。製造工程においては、ポリイミドで形成されたTFT基板100はガラス基板の上に形成されるが、液晶表示装置が完成した後、レーザアブレーション等によってガラス基板は除去されている。
【0087】
図15におけるゲート電極109には、走査線11と同じ電位が印加される。図16図15に示すようなトップゲートの場合のTFTにおいて、走査線に印加される電圧を示す図である。図16において、VGTはゲート電圧であり、GNDはグラウンド電位であり、Vcomはコモン電極の電位である。SIGは映像信号のレベルを示すが、これはゲート電極に印加されるわけではない。図16に示すように、ゲート電極、すなわち走査線は選択された時のみ、+9Vの電圧になるが、殆どの時間は-8Vが印加されている。したがって、ポリイミド基板に実施例1で説明したような電荷が誘起される。
【0088】
この電荷は、スイッチングTFTの閾値電圧を変化させる。閾値電圧が変化するということは、輝度の再現性に影響を与えることである。したがって、実施例1で説明したようなポリイミドを用いることによって、走査線によって誘起される電荷の量を抑えることが出来、これに起因する輝度変動を抑えることが出来る。つまり、本発明は、液晶表示装置にも適用することが出来る。
【0089】
なお、本実施例では、走査線電位による影響を、液晶表示装置を用いて説明したが、走査線電位の影響は有機EL表示装置においても同様である。
【0090】
また、液晶表示装置についても、ハイブリッド構成とすることによって、酸化物半導体を用いたTFTと、LTPSを用いたTFTの特徴を生かした構成とすることが出来る。すなわち、画素領域には酸化物半導体を用いて、リーク電流が小さく、画素電極の電位変動の小さい構成とする。また、周辺駆動回路には、移動度の大きいLTPSを用いたTFTを配置することによって、高性能な駆動回路を形成することが出来る。そして、このような液晶表示装置についても、本発明を適用することによって、基板におけるチャージアップの影響を軽減し、安定した特性を有する液晶表示装置を実現することが出来る。
【符号の説明】
【0091】
10…表示領域、 11…走査線、 12…映像信号線、 13…電源線、 14…画素、 20…周辺駆動回路、 21…電流供給領域、 30…端子領域、 31…ドライバIC、 32…フレキシブル配線基板、 40…シール材、 50…シールド層、 60…シールド層(第3ゲート電極)、 70…金属シールド層、 71…LTPS用金属シールド層、 90…ガラス基板、 100…TFT基板、 101…下地膜、 102…LTPS半導体層、 103…第1ゲート絶縁膜、 104…第1ゲート電極、 105…第1層間絶縁膜、 106…第2層間絶縁膜、 107…酸化物半導体、 108…第2ゲート絶縁膜、 109…第2ゲート電極、 110…第3層間絶縁膜、 111…第1ドレイン電極、 112…第1ソース電極、 113…第2ドレイン電極バンク、 114…第2ソース電極、 120…有機パッシベーション膜、 121…下部電極、 122…バンク、 123…有機EL層、 124…上部電極、 125…保護層、 126…粘着材、 127…円偏光板、 130…スルーホール、 131…スルーホール、 132…スルーホール、 150…コモン電極、 151…容量絶縁膜、 152…画素電極、 153…配向膜、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、 202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 204…配向膜、 300…液晶層、 301…液晶分子、 400…レジスト、 500…帯電、 1021…ドレイン、 1022…ソース、 1071…ドレイン、 1022…ソース、 1211…反射電極、 1212…アノード、 T1…駆動トランジスタ、 T2…スイッチングトランジスタ、 Cs…蓄積容量、 EL…有機EL層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16