(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】シャワー装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20220609BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/18 101
(21)【出願番号】P 2018016210
(22)【出願日】2018-02-01
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池堂 浩史
(72)【発明者】
【氏名】奥田 浩喜
(72)【発明者】
【氏名】末安 草
【審査官】池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-238793(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0036474(KR,A)
【文献】特開2016-002243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
B05B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁面または天井面に配置されるシャワー装置であって、
前記浴室の内側を向く表面に電気部品装着部を有し、裏面側の通水空間に複数の散水孔が連通する散水部と、
前記散水部の表面側に臨むように配索され、前記電気部品装着部に装着された電気部品に電気的に接続される配線部材と、を備え
ており、
前記電気部品装着部は凹状であり、
前記電気部品は、前記電気部品装着部の内側に収容されるシャワー装置。
【請求項2】
浴室の壁面または天井面に配置されるシャワー装置であって、
前記浴室の内側を向く表面に電気部品装着部を有し、裏面側の通水空間に複数の散水孔が連通する散水部と、
前記散水部の表面側に臨むように配索され、前記電気部品装着部に装着された電気部品に電気的に接続される配線部材と、を備えており、
前記電気部品装着部は、前記散水部の前記表面において、前記複数の散水孔に取り囲まれるように配置され
るシャワー装置。
【請求項3】
浴室の壁面または天井面に配置されるシャワー装置であって、
前記浴室の内側を向く表面に電気部品装着部を有し、裏面側の通水空間に複数の散水孔が連通する散水部と、
前記散水部の表面側に臨むように配索され、前記電気部品装着部に装着された電気部品に電気的に接続される配線部材と、を備えており、
前記散水孔は、管部の内側に形成され、前記管部は、前記散水部の前記表面側に突出し、前記配線部材は、前記散水部の前記表面側において、前記管部の外周の外側に配索され
るシャワー装置。
【請求項4】
浴室の壁面または天井面に配置されるシャワー装置であって、
前記浴室の内側を向く表面に電気部品装着部を有し、裏面側の通水空間に複数の散水孔が連通する散水部と、
前記散水部の表面側に臨むように配索され、前記電気部品装着部に装着された電気部品に電気的に接続される配線部材と、を備えており、
前記散水部は、前記表面の側縁部に、前記配線部材を固定する係止部を有す
るシャワー装置。
【請求項5】
前記散水部の前記裏面側において、前記散水部との間に前記通水空間を形成して、前記通水空間に給水する吐水本体部と、
前記散水部、前記配線部材及び前記吐水本体部を覆うカバーと、を備え、
前記係止部に固定される前記配線部材は、前記吐水本体部の側面よりも内側に控えた位置に配置される請求項4に記載のシャワー装置。
【請求項6】
前記係止部は、前記散水部の前記側縁部側から前記吐水本体部に向けて突出し、突出方向先端部が前記吐水本体部に対向して配置され、前記散水部の前記側縁部、前記係止部及び前記吐水本体部との間には、前記配線部材の保持空間が形成される請求項5に記載のシャワー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のシャワー装置は、浴室の壁面に取り付けられるシャワー本体を備えている。シャワー本体は、保護カバーと、保護カバー内に配置される、シャワー用通水管、洗髪シャワー用通水管、ミスト用通水管と、を有している。シャワー用通水管と洗髪シャワー用通水管は、保護カバー内の下側に並列に配置され、ミスト用通水管は、シャワー用通水管と洗髪シャワー用通水管の上側に配置されている。保護カバー内には、洗髪シャワー用通水管の上側で、且つミスト用通水管の下側に、電気部品となる装飾用のLED(発光ダイオード)が多数配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の場合、LEDが保護カバーの内部において各通水管の間に配置されているため、LEDに給電する配線部材を、各通水管との接触を回避しつつ、取り回ししなければならず、設計の自由度が制限されるおそれがある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、配線部材を容易に配索することができ、設計の自由度を向上させることが可能なシャワー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシャワー装置は、浴室の壁面または天井面に配置されるシャワー装置であって、前記浴室の内側を向く表面に電気部品装着部を有し、裏面側の通水空間に複数の散水孔が連通する散水部と、前記散水部の表面側に臨むように配索され、前記電気部品装着部に装着された電気部品に電気的に接続される配線部材と、を備えるところに特徴を有する。
【0007】
散水部の裏面側に通水空間が存在し、電気部品装着部が散水部の表面に設けられ、配線部材が散水部の表面側に臨むように配索されるため、配線部材が通水空間と交差することがなく、配線部材の取り回しを容易に行うことができるとともに、電気部品装着部、配線部材及び通水空間を支障なく設置することができ、設計の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1において、シャワー装置を備えた浴室の概略図である。
【
図3】カバーを外したシャワー本体の斜視図である。
【
図4】シャワー本体の長さ方向一側の側面視方向の断面図である。
【
図5】シャワー本体の長さ方向他側の側面視方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい実施形態を以下に示す。
(1)前記電気部品装着部は、前記散水部の前記表面において、前記複数の散水孔に取り囲まれるように配置される。これによれば、散水部の表面の適宜個所に電気部品装着部を設けることができる。
【0010】
(2)前記散水孔は、管部の内側に形成され、前記管部は、前記散水部の前記表面側に突出し、前記配線部材は、前記散水部の前記表面側において、前記管部の外周の外側に配索される。これによれば、配線部材の漏電の可能性を低くすることができる。
【0011】
(3)前記散水部は、前記表面の側縁部に、前記配線部材を固定する係止部を有する。これによれば、配線部材が係止部で固定されて散水部の表面側から浮き上がるのを防止することができる。また、係止部が散水部の側縁部に設けられることにより、散水部の表面における配線部材の配索領域を小さく抑えることができ、その分、各散水孔の開口部分などを設置する有効領域を広く確保することができる。
【0012】
(4)前記散水部の前記裏面側において、前記散水部との間に前記通水空間を形成して、前記通水空間に給水する吐水本体部と、前記散水部、前記配線部材及び前記吐水本体部を覆うカバーと、を備え、前記係止部に係止される前記配線部材は、前記吐水本体部の側面よりも内側に控えた位置に配置される。これによれば、カバーを被せる際に、係止部に固定された配線部材がカバーの内側に噛み込まれるのを防止することができる。
【0013】
(5)前記係止部は、前記散水部の前記側縁部側から前記吐水本体部に向けて突出し、突出方向先端部が前記吐水本体部に対向して配置され、前記散水部の前記側縁部、前記係止部及び前記吐水本体部との間には、前記配線部材の保持空間が形成される。これによれば、配線部材が保持空間に抜け止め状態に安定して保持される。
【0014】
<実施例1>
以下、実施例1を図面に基づいて説明する。本実施例1のシャワー装置は、
図1に示すように、浴室90の側壁面91に設置される筐体部80と、筐体部80の上部に接続され、浴室90の天井面92に設置されるオーバーヘッドシャワー部としてのシャワー本体10と、を備えている。なお、シャワー本体10の説明において、各部の「表面」及び「裏面」は、浴室90の内側を向く表面側とし、浴室90の外側を向く裏面側とする。また、「表面」を下面と称し、「裏面」を上面と称することもある。
【0015】
浴室90は、シャワー装置の他、浴槽93、洗い場95、主照明96などを備えている。もっとも、浴室90は、少なくともシャワー装置を備えていて浴室と認められるものであれば、特に限定されず、例えば、洗い場95を有さず、シャワー装置と浴槽93とからなるものや、浴槽93を有さず、シャワー装置と洗い場95とからなるものであってもよく、あるいは、シャワー装置のみからなるものであってもよい。
【0016】
筐体部80は、側壁面91に沿って上下方向に細長く延びる箱状をなし、表面に、操作部81を複数有し、内部に、シャワー本体10に接続される給水管85を有している。筐体部80の表面には、ハンドシャワー部83が接続され、筐体部80の下端部には、カラン部84が接続されている。操作部81は、シャワー本体10、ハンドシャワー部83及びカラン部84からの吐水を行う際に操作される。
【0017】
図3に示すように、シャワー本体10は、裏面側から表面側にかけて順次重なるようにして、ブラケット部11、吐水本体部12及び散水部13を有している。ブラケット部11、吐水本体部12及び散水部13は、表裏方向に実質的に積層配置される複数の長尺板材(後述する、ブラケット本体15、ガイド部材16、本体上部材17、本体下部材18、押さえ部材25、散水板26、保持部材27)で構成される。また、シャワー本体10は、上方及び長手方向一側(筐体部80側)に開口する長尺箱状のカバー14を有している。ブラケット部11、吐水本体部12及び散水部13は、カバー14内に収容される。
【0018】
図6に示すように、ブラケット部11は、天井面92にビス112を介して固定される金属製のブラケット本体15と、ブラケット本体15にスライド装着される金属製のガイド部材16と、を有している。ブラケット部11は、ガイド部材16に挿通されるビス113などを介してシャワー本体10を支持する機能を有している。
【0019】
吐水本体部12は、合成樹脂製の本体上部材17と、合成樹脂製の本体下部材18と、を有している。
図2に示すように、本体下部材18の長手方向一側の端部には、配管部19が一体に連設されている。配管部19は、給水管85に接続される。
【0020】
図4及び
図5に示すように、本体上部材17は、上方に膨出しつつ配管部19から長手方向略中央部にかけて延びる膨出部21を有している。本体上部材17と本体下部材18は、封止材を介して外周部分が水密に連結される。膨出部21は、下面が本体下部材18で閉じられ、内側に、給水空間22を形成する。本体下部材18は、長手方向略中央部に、給水空間22に通じる連通孔23を有している。給水管85内の湯水は、配管部19から給水空間22を経て連通孔23を流れ、後述する通水空間24に導入される。
【0021】
散水部13は、本体下部材18の下方に位置する、合成樹脂製の押さえ部材25、ゴム製の散水板26及び合成樹脂製の保持部材27を有している。
図10に示すように、保持部材27は、長手方向に配置される両側縁部28と、両側縁部28に連なって短手方向に配置される両端部29と、両側縁部28及び両端部29に連なって内側の主要部分を構成する底部31と、を有している。両側縁部28及び両端部29は、表裏面が周方向に連続する平坦な形状になっている。底部31は、短手方向の断面が下向き湾曲状に形成されている。両側縁部28は、表裏方向に貫通する複数のビス挿通孔32を有している。
図7に示すように、保持部材27は、吐水本体部12側からビス挿通孔32に螺合されるビス33を介して、本体下部材18に水密に固定される。
【0022】
保持部材27は、表裏方向に貫通する複数の開口部34を有している。底部31の湾曲部分と両側縁部28は、それぞれの下面に、短く突出する複数の筒部35を有している。各筒部35は、内部に、開口部34を有している。
図6に示すように、短手方向両側において筒部35を介して下面に開口する開口部34(
図6の左右両側に位置するもの)と、短手方向中央側において底部31の下面に直接開口する開口部34(
図6の左右中央側に位置するもの)は、それぞれの下端がほぼ同じ高さ位置に揃っている。
【0023】
図5に示すように、底部31は、略中央部に、上方に突出する円筒状の吸気部36を有している。吸気部36は、上端部に、吸気部材37を取り付けて保持する。吸気部材37は、吸気部36に冠着された状態で、本体下部材18の連通孔23に進入して給水空間22に臨み、給水空間22から通水空間24に供給される湯水に、吸気部36から取り入れた外気を気泡として混合し、気泡入りの湯水を通水空間24に送る機能を有している。
【0024】
底部31は、下面に、複数の有底凹状の電気部品装着部38を有している。
図10に示すように、各電気部品装着部38は、奥側に位置する底面視長円形又は楕円形の奥側凹部39と、開口側において奥側凹部39より一回り大きく開口する底面視略矩形の開口側凹部41と、奥側凹部39と開口側凹部41との間に位置する平坦な段差面42と、を有している。
図7に示すように、電気部品装着部38は、奥側凹部39と開口側凹部41との段差形状に応じて、底部31の裏面側に段付き状に膨出している。そして、電気部品装着部38は、段差面42における開口側凹部41の対角方向の二角部に、位置決め突起43を有している。
【0025】
図10に示すように、各電気部品装着部38は、底部31の下面の長手方向両側に対をなして配置される。各開口部34は、保持部材27の下面において、電気部品装着部38を挟んだ長手方向及び短手方向の両側に、電気部品装着部38の外周を取り囲むように配置されることになる。
【0026】
各電気部品装着部38は、内側に、照明装置などの電気部品44を収容する。
図7に示すように、電気部品44は、LEDなどの光源を有する照明部45と、照明部45を覆って保持する躯体部46と、を有している。光源は、配線部材47に接続され、配線部材47から供給される電力に基づいて光を照射する。躯体部46は、上下部分で構成され、下側部分に、照明窓48(レンズ)を有している。
【0027】
躯体部46は、上下部分の境界において外側に張り出すフランジ部49を有し、
図2に示すように、フランジ部49の外周側の四角部分に位置決め孔51を有している。フランジ部49が段差面42に当接し、位置決め孔51に位置決め突起43が挿入されることにより、躯体部46が電気部品装着部38に位置決め状態で配置される。
【0028】
図10に示すように、保持部材27は、下面に、概ね短手方向に屈曲しつつ延び、各電気部品装着部38の開口側凹部41の四角部分とその四角部分に対応する側縁部28の側面28Aとに開口する配線案内溝52を有している。
図9に示すように、保持部材27は、底部31の湾曲部分及び両側縁部28のそれぞれの下面において、隣接する筒部35間に一体化し、対をなして立ち上がる対向壁53を有している。配線案内溝52は、両対向壁53間に形成されている。
【0029】
配線部材47は、導電金属製の線状部材であって、
図2及び
図3に示すように、共通配線57から二股に分岐し、両側縁部28の側面部28Aに沿って並列に配索される側方配線部55と、
図9に示すように、側方配線部55から分岐して各配線案内溝52に嵌合して保持される表面側配線部54と、を有している。表面側配線部54は、端部が照明部45の光源の電極に接続される。このため、表面側配線部54は、
図2に示すように、電気部品44の四角部分から両側縁部28にかけて保持部材27の短手方向に延びるように配索される。
【0030】
図10に示すように、保持部材27は、長手方向略中央部及び長手方向一側の端部に、両側縁部28から下方に突出し、短手方向で対向する突起部分をもった挟持片58、58Eを複数有している。配線部材47の側方配線部55は、両側縁部28の側面28A側から下方へU字形又は角U字形に屈曲し、挟持片58に位置決め状態で挟持される。共通配線57は、保持部材27の長手方向一側の最端部に設けられた挟持片58Eに位置決め状態で挟持される。
【0031】
また、保持部材27は、長手方向両側の適宜箇所に、複数の係止部59を有している。
図8に示すように、各係止部59は、両側縁部28から側方に突出する基端部61と、基端部61から上方に突出する先端部62とを有し、L字フック状に形成されている。係止部59の先端部62は、側縁部28の側面28Aに対向し、上端(突出方向先端)が本体下部材18の下面に近接して対向配置される。
【0032】
係止部59の内側は、保持空間64とされる。配線部材47の側方配線部55は、保持空間64において、吐水本体部12の長手方向の側面12Aよりも内側(短手方向中央側)に控えて配置され、側縁部28の側面28Aに押し付けられた状態で保持される。保持空間64は、その上面開口が本体下部材18によって実質的に閉塞される。このため、側方配線部55は保持空間64に抜け止め状態に保持される。
図3に示すように、保持部材27の両側縁部28は、各係止部59の長手方向両側に、ビス挿通孔32などを含む突出部63を有している。各係止部59に係止された側方配線部55は、保持部材27の両側縁部28の側面28A側において、隣接する突出部63間に引っ込むように配置される。
【0033】
散水板26は、保持部材27の外形より一回り小さいゴム成形品であって、
図6に示すように、保持部材27の裏面に沿って当接するように、下向きに湾曲する部分を有している。
図11に示すように、散水板26は、下面に、下方に突出する複数の円柱状の管部65を有している。
図6に示すように、各管部65は、内部に、散水板26を表裏方向に貫通する散水孔66を有している。短手方向に並ぶ各管部65は、下向きに湾曲する短手方向中央側のものが短手方向両側のものより短寸とされ、それぞれの先端に開口する吐出口108が同じ高さ位置に揃っている。各管部65は、保持部材27の各開口部34に挿通される。
【0034】
また、
図11に示すように、散水板26は、略中央部に、吸気部36が挿通される吸気部挿通孔67を有し、長手方向両側に、電気部品装着部38の膨出部分が挿通される装着部挿通孔68を有している。散水板26における平坦な外周四辺部分は、吐水本体部12の本体下部材18と保持部材27との間に水密に挟持される。これにより、
図6に示すように、吐水本体部12の本体下部材18と散水板26の裏面との間に、通水空間24が形成される。
【0035】
図6に示すように、押さえ部材25は、散水板26の外形より一回り小さくされ、通水空間24の内部に配置されて散水板26の裏面に沿って当接し、保持部材27との間に散水板26を挟み込む。
図12に示すように、押さえ部材25は、長手方向両側に、表裏方向に貫通する一対の端側開口部69を有し、長手方向中央側に、表裏方向に貫通する中央側開口部71を有している。中央側開口部71は、端側開口部69よりも長手方向に大きな開口径で構成されている。そして、押さえ部材25は、両端側開口部69及び中央側開口部71のそれぞれの内部に長手方向に架け渡される形態の架設部72を有している。各架設部72は、下面に、下方に突出する複数の押さえ突起73を有している。各押さえ突起73は、散水板26の裏面に当接し、散水板26を保持部材27側に押し付ける機能を有している。
【0036】
各架設部72のうち、中央側開口部71に設けられるものは、長手方向略中央部に、吸気部36が挿通される環状部74を有している。
図5に示すように、環状部74はOリング75を介して吸気部36に水密に支持される。
【0037】
図12に示すように、押さえ部材25は、両端側開口部69のそれぞれと中央側開口部71との間に、電気部品装着部38の膨出部分が挿通される装着部貫通孔76を有している。また、押さえ部材25は、各装着部貫通孔76の内側に張り出し、
図7に示すように、電気部品装着部38の膨出部分の肩領域に当接可能な内周フランジ77を有している。さらに、押さえ部材25は、長手方向に沿った両側縁側に、複数の導水孔78を有している。押さえ部材25が散水板26の裏面側に配置されると、各導水孔78が対応する両側縁側の散水孔66に連通し、両側縁側の各散水孔66に湯水を送ることが可能とされている。
【0038】
カバー14は、金属製の筐体であって、
図2に示すように、散水部13の保持部材27の表面側を覆う長尺の表面板部101と、表面板部101における長手方向一側の短辺部分を除く三辺部分から立ち上がり、ブラケット部11、吐水本体部12及び散水部13の側面側を覆う側面板部102と、を一体に有している。表面板部101及び側面板部102は、長手方向一側の端部において、ブラケット部11、吐水本体部12及び散水部13に外嵌される
図3に示すリテーナ103に沿って配置される。カバー14内には、このカバー14をブラケット部11のガイド部材16にビス止めして固定するための図示しない連結部材も収容されている。
【0039】
表面板部101は、散水板26の各管部65が進入する複数の貫通孔104を有している。各管部65の先端部分は、各貫通孔104を通して表面板部101の表面から下方に突出し、浴室90内に露出して配置される。また、表面板部101は、長手方向両側に、各貫通孔104に取り囲まれるようして、電気部品装着部38に装着された電気部品44の躯体部46が進入する一対の進入孔105を有し、長手方向略中央部に、吸気部36の下端部が進入する吸気開口部106を有している。
図7に示すように、電気部品44の躯体部46が進入孔105に進入した状態で、躯体部46の照明窓48は浴室90の内側に露出して配置される。また、表面板部101の長手方向一側の端部には、筐体部80の上部を受け入れる切欠状の凹所107が設けられている。
【0040】
上記シャワー装置によれば、給水管85、配管部19、給水空間22、通水空間24及び各散水孔66(各管部65内)によって吐水路109が構成される。操作部81を吐水操作することにより、吐水路109を通して各管部65の先端の吐出口108から湯水が吐出される。照明窓48を通して照射される光は、吐出口108から吐出される湯水や洗い場床98に溜まった湯水を照らすように構成される。
【0041】
ここで、配線部材47は、カバー14の表面板部101との間に間隔をあけつつ、散水部13の保持部材27の表面側に臨むように配索される。具体的には、
図3に示すように、配線部材47は、各表面側配線部54が保持部材27の表面における配線案内溝52に配索され、共通配線57から分岐した側方配線部55が保持部材27の両側縁部28の側面28Aに沿って配索される。このため、保持部材27を利用して、配線部材47を配索する作業を容易に行うことができるとともに、配線部材47を所定の配索形状に保持することができ、配索自由度を高めることができる。しかも、通水空間24が形成された散水部13の裏面側を配線部材47が通ることがないため、散水部13の裏面側の設計の自由度を高めることができる。
【0042】
また、配線部材47がシャワー本体10において散水部13の裏面側のような奥まった部分に設けられていないことから、メンテナンスを行う際に、シャワー本体10を構成する各部を細かく分解する必要がなく、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0043】
また、電気部品44が保持部材27の表面に凹設された電気部品装着部38に装着されることにより、電気部品44と保持部材27が表裏方向で重なる領域を有することになるため、電気部品44の設置に起因して、シャワー本体10が表裏方向に格別大きくなることがない。また、意匠性も良好になる。しかも、保持部材27に、配線部材47の配索路や各開口部34などが集約され、保持部材27の多機能化を実現することができる。
【0044】
また、各散水孔66が管部65の内部に形成され、各管部65が散水部13の表面側に突出し、各管部65の先端部分がカバー14の各貫通孔104に進入することにより、配線部材47が各管部65の外周の外側に配索されるため、配線部材47の漏電の可能性を低く抑えることができる。
【0045】
また、保持部材27の両側縁部28に複数の係止部59が設けられ、配線部材47の側方配線部55が各係止部59に係止されて両側縁部28の側面28Aに押し付け固定されるため、配線部材47が散水部13の表面側から浮き上がるのを防止することができる。しかも、配線部材47の側方配線部55が、各係止部59に係止されることで、保持部材27の両側縁部28の側面28Aに沿って配索され、側方配線部55が保持部材27の表面には実質的に配索されないため、保持部材27の表面に、各開口部34などを設置する有効領域を広く確保することができ、スペース効率に優れる。
【0046】
また、各係止部59によって固定された側方配線部55が吐水本体部12の長手方向に沿った側面12Aよりも内側に控えて位置し、吐水本体部12及び散水部13の側方を覆うカバー14の側面板部102から大きく離間して配置されるため、カバー14の被着時に、側方配線部55がカバー14と散水部13との間に噛み込まれるのを防止することができる。しかも、各係止部59の先端部62が吐出本体部12側に向けて突出し、保持部材27の両側縁部28の側面28A、各係止部59の先端部62、基端部61及び吐水本体部12の本体下部材18との間に、配線部材47の側方配線部55を保持するための保持空間64が形成されるため、側方配線部55が保持空間64に安定して保持され、カバー14内に噛み込まれるのをいっそう確実に防止することができる。
【0047】
<他の実施例>
以下、他の実施例を簡単に説明する。
(1)シャワー本体10は、浴室90の天井面92に限らず、浴室90の側壁面91や浴槽93の上方に設けられるものであってもよい。
(2)散水部13は、保持部材27と散水板26が一体化して構成されるものであってもよい。この場合、散水板26を合成樹脂材で成形してもよい。
(3)電気部品44は、配線部材47に接続される付属装置であれば、LEDなどの照明装置に限らず、その他の演出装置や送風装置などであってもよい。
(4)配線部材47の表面側配線部54は、配線案内溝52に嵌合保持されず、保持部材27の表面側に単に沿わせるだけでもよい。
(5)配線部材47は、一部にバスバーなどの板状部分を有していてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…シャワー本体
12…吐水本体部
13…散水部
14…カバー
24…通水空間
38…電気部品装着部
44…電気部品
47…配線部材
59…係止部
64…保持空間
65…管部
66…散水孔