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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/24 20060101AFI20220609BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A47L15/24
A47L15/42 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018037382
(22)【出願日】2018-03-02
(65)【公開番号】P2019150293
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】花田 和也
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-056019(JP,A)
【文献】実公昭33-014844(JP,Y1)
【文献】実開昭56-072554(JP,U)
【文献】特開平7-18477(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101773916(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/24,15/42
B08B 1/00-3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を搬送手段によって搬送しながら洗浄水を用いて連続的に洗浄する洗浄装置であって、
被洗浄物を洗浄水で洗浄する一の洗浄手段と、
この一の洗浄手段による洗浄に用いた洗浄水が貯留される一の貯留槽と、
前記一の洗浄手段による洗浄後の被洗浄物を洗浄水で洗浄する他の洗浄手段と、
この他の洗浄手段による洗浄に用いた洗浄水が貯留される他の貯留槽と、
前記一の貯留槽と前記他の貯留槽との間に設けられ、前記他の貯留槽から溢れた洗浄水が流入する溢水受け手段とを備え
前記溢水受け手段は、
排水口が形成された溢水受け槽と、
前記排水口に接続され、前記他の貯留槽から溢れて前記溢水受け槽内に流入した洗浄水を外部に排出する排水管とを有し、
前記溢水受け槽は、前記一の貯留槽側に位置する第1堰板部と、前記他の貯留槽側に位置する第2堰板部とを有し、
前記第1堰板部の上端と前記第2堰板部の上端とは、同じ高さに位置し、
前記一の貯留槽の前記溢水受け槽側とは反対側の側板部の上端は、前記第1堰板部の上端よりも低い位置に位置し、
前記他の貯留槽の前記溢水受け槽側とは反対側の側板部の上端は、前記第2堰板部の上端よりも高い位置に位置する
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
溢水受け手段は、排水管内の流路を開閉する開閉弁を有する
ことを特徴とする請求項記載の洗浄装置。
【請求項3】
溢水受け手段の開閉弁は、電磁弁であり、
前記電磁弁を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
溢水受け手段は、洗浄水中の異物を除去するストレーナを有する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一記載の洗浄装置。
【請求項5】
溢水受け手段のストレーナは、溢水受け槽の底板部に立設されている
ことを特徴とする請求項4記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された洗浄装置が知られている。
【0003】
この従来の洗浄装置は、被洗浄物である食器を洗浄するための予備洗浄室の下方に設けられた予備洗浄湯槽と、予備洗浄室に続く仕上洗浄室の下方に設けられた仕上洗浄湯槽と、これら互いに隣接する予備洗浄湯槽及び仕上洗浄湯槽間に設けられた溢流路とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭33-14844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の洗浄装置は、確かに、仕上洗浄に用いた湯水を予備洗浄で再利用するには構造が簡単で有効なものではあるものの、この装置では、仕上洗浄湯槽から溢れた湯水が、常に溢流路を通って予備洗浄湯槽へ流入することになる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、他の貯留槽から溢れた洗浄水が一の貯留槽に流入するのを規制できる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る洗浄装置は、被洗浄物を洗浄水で洗浄する一の洗浄手段と、この一の洗浄手段による洗浄に用いた洗浄水が貯留される一の貯留槽と、前記一の洗浄手段による洗浄後の被洗浄物を洗浄水で洗浄する他の洗浄手段と、この他の洗浄手段による洗浄に用いた洗浄水が貯留される他の貯留槽と、前記一の貯留槽と前記他の貯留槽との間に設けられ、前記他の貯留槽から溢れた洗浄水が流入する溢水受け手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の貯留槽から溢れた洗浄水が一の貯留槽に流入するのを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗浄装置の縦断側面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係る洗浄装置の縦断側面図である。
図3】同上洗浄装置の要部の縦断側面図である。
図4】同上洗浄装置の要部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1の実施の形態について図1を参照して説明する。
【0011】
図1において、1は洗浄装置で、この洗浄装置1は、被洗浄物である食器Sを搬送手段である搬送コンベヤ2によって洗浄室3内で搬送方向(図中、左方向)に搬送しながら、洗浄水を用いて連続的に洗浄する業務用の食器洗浄機である。
【0012】
洗浄装置1は、食器Sを洗浄水で洗浄する一の洗浄手段である第1洗浄手段(主洗浄手段)6と、この第1洗浄手段6による洗浄に用いた洗浄水が回収されて貯留される一の貯留槽である第1貯留槽7とを備えている。
【0013】
第1貯留槽7に貯留される洗浄水は、例えば水道水(上水)に液状の洗剤を混ぜた洗剤入りの洗浄水である。なお、第1貯留槽7には濃度センサ(図示せず)が設けられており、この濃度センサの検知濃度が所定値以下の場合には洗剤供給手段である洗剤供給管8から液状の洗剤が第1貯留槽7内に自動供給される。このため、第1貯留槽7内の洗浄水の洗剤濃度は一定に維持される。
【0014】
また、洗浄装置1は、第1洗浄手段6による洗浄後の食器Sを洗浄水で洗浄する他の洗浄手段である第2洗浄手段(濯ぎ・仕上洗浄手段)11と、この第2洗浄手段11による洗浄に用いた洗浄水が回収されて貯留される他の貯留槽である第2貯留槽12とを備えている。
【0015】
第2貯留槽12に貯留される洗浄水は、第1貯留槽7内の洗剤入りの洗浄水とは異なり、洗剤が入っていない洗浄水(洗剤無しの洗浄水)である。なお、2つの各貯留槽7,12内の洗浄水は、所定温度(例えば50°)以上のものが好ましいが、必ずしも湯である必要はなく常温水でもよい。
【0016】
さらに、洗浄装置1は、搬送コンベヤ2の搬送方向(前後方向)に互いに隣接する第1貯留槽7及び第2貯留槽12間に隣接して設けられ、第2貯留槽12から不要となって溢れた洗浄水(洗剤無しの洗浄水)が流入する溢水受け手段13を備えている。この溢水受け手段13は、例えば第2貯留槽12から溢れて流入した洗浄水を、必要としていない第1貯留槽7に供給することなく常に洗浄装置1外の外部に排出するものである。つまり、この溢水受け手段13は、第2貯留槽12からの洗浄水を常に外部に排出して当該洗浄水が第1貯留槽7に流入するのを防止するものである。
【0017】
第1洗浄手段6は、搬送コンベヤ2の搬送ベルト20上の食器Sに向けて洗浄水(洗剤入りの洗浄水)を噴射する複数の主洗浄用のノズルパイプ21を有している。これら複数のノズルパイプ21は分水器22に接続され、この分水器22には第1貯留槽7内の洗浄水がポンプ23によって供給される。そして、ノズルパイプ21から噴射された洗浄水は、食器Sに当たって食器Sを洗浄した後、ストレーナ24を通過して第1貯留槽7内に戻る。
【0018】
第1貯留槽7は、搬送コンベヤ2の搬送始端側(食器入口側)の下方に配置されている。第1貯留槽7には、この第1貯留槽7内の洗浄水の水位を検知する水位センサ(例えばフロートスイッチ)26が設けられている。第1貯留槽7には、この第1貯留槽7内の洗浄水の温度を検知する温度センサ27が設けられている。第1貯留槽7の底板部7aには排水管28が接続されている。
【0019】
また、第1貯留槽7のうち溢水受け手段13側とは反対の側には入口側水受け槽29が隣接して設けられ、この入口側水受け槽29は搬送コンベヤ2の搬送始端部の下方に配置されている。入口側水受け槽29の底板部29aには排水管30が接続されている。
【0020】
第2洗浄手段11は、搬送コンベヤ2の搬送ベルト20上の食器Sに向けて洗浄水(洗剤無しの洗浄水)を噴射する複数の濯ぎ洗浄用のノズルパイプ31を有している。これら複数のノズルパイプは分水器32に接続され、この分水器32には第2貯留槽12内の洗浄水がポンプ33によって供給される。そして、ノズルパイプ31から噴射された洗浄水は、食器Sに当たって食器Sを洗浄した後、ストレーナ34を通過して第2貯留槽12内に戻る。
【0021】
また、第2洗浄手段11は、洗浄の最終工程として上水を供給する給水管35からの洗浄水(洗剤無しの洗浄水)を搬送ベルト20上の食器Sに向けて噴射する複数の仕上洗浄用のノズルパイプ36を有している。これら複数のノズルパイプ36は分水器37に接続され、この分水器37には給水管35が接続され、この給水管35の途中には手動式の給水弁38が設けられている。そして、ノズルパイプ36から噴射された洗浄水は、食器Sに当たって食器Sを仕上洗浄した後、第2貯留槽12内に戻る。
【0022】
第2貯留槽12は、搬送コンベヤ2の搬送終端側(食器出口側)の下方に配置されている。第2貯留槽12には、この第2貯留槽12内の洗浄水の水位を検知する水位センサ(例えばフロートスイッチ)41が設けられている。第2貯留槽12には、この第2貯留槽12内の洗浄水の温度を検知する温度センサ42が設けられている。第2貯留槽12の底板部12aには排水管43が接続されている。
【0023】
また、第2貯留槽12のうち溢水受け手段13側とは反対の側には出口側水受け槽45が隣接して設けられ、この出口側水受け槽45は搬送コンベヤ2の搬送終端部の下方に配置されている。出口側水受け槽45の底板部45aには排水管46が接続されている。
【0024】
溢水受け手段13は、食器Sの搬送方向に互いに隣接する両貯留槽7,12間に位置して搬送方向下流側の第2貯留槽12から溢れた溢水である洗浄水(洗剤無しの洗浄水)が流入する断面凹状の溢水受け部である溢水受け槽51を有しており、この溢水受け槽51は搬送コンベヤ2の搬送方向中央部の下方に配置されている。
【0025】
溢水受け槽51は、第1貯留槽7側に位置する鉛直状の第1堰板部53と、第2貯留槽12側に位置する鉛直状の第2堰板部54と、これら両堰板部53,54の下端部同士を連結する水平状の底板部55とを有している。
【0026】
そして、底板部55の中央部には排水口56が形成され、この排水口56には溢水受け槽51内に流入した洗浄水を外部に排出する排水管57の上端部が接続されている。また、底板部55には、第2貯留槽12から溢れて溢水受け槽51内に流入した洗浄水中の異物を除去する鉛直状のストレーナ60が立設されている。なお、ストレーナ60は、必ずしも必要ではなく設けなくてもよい。
【0027】
ここで、溢水受け槽51の第1堰板部53は、第1貯留槽7の側板部の一部(上端側の部分)を兼ねたもので、当該側板部の一部を構成している。溢水受け槽51の第2堰板部54は、第2貯留槽12の側板部の一部(上端側の部分)を兼ねたもので、当該側板部の一部を構成している。
【0028】
また、入口側水受け槽29の入口側堰板部61は、第1貯留槽7の側板部(溢水受け槽51側とは反対側の側板部)を兼ねたもので、当該側板部を構成している。出口側水受け槽45の出口側堰板部62は、第2貯留槽12の側板部(溢水受け槽51側とは反対側の側板部)を兼ねたもので、当該側板部を構成している。
【0029】
そして、第1堰板部53によって第1貯留槽7内の空間と溢水受け槽51内の空間とが仕切られ、第2堰板部54によって第2貯留槽12内の空間と溢水受け槽51内の空間とが仕切られ、入口側堰板部61によって第1貯留槽7内の空間と入口側水受け槽29内の空間とが仕切られ、出口側堰板部62によって第2貯留槽12内の空間と出口側水受け槽45内の空間とが仕切られている。
【0030】
なお、第1堰板部53の上端と第2堰板部54の上端とは、同じ高さに位置している。入口側堰板部61の上端は、第1堰板部53の上端よりも低い位置に位置している。出口側堰板部62の上端は、第2堰板部54の上端よりも高い位置に位置している。このため、通常、第1貯留槽7から溢れたときの洗浄水は、入口側堰板部61を乗り越えて入口側水受け槽29へ流入して排水が行われ、第2貯留槽12から溢れたときの洗浄水は第2堰板部54を乗り越えて溢水受け槽51へ流入して排水が行われることとなる。
【0031】
また、洗浄装置1は、第1貯留槽7内に洗浄水(例えば上水)を供給する第1給水管66と、第2貯留槽7内に洗浄水(例えば上水)を供給する第2給水管67とを備えている。第1給水管66の途中には第1電磁弁68が設けられ、第2給水管67の途中には第2電磁弁69が設けられている。そして、両電磁弁68,69には制御手段70が電気的に接続され、この制御手段70は水位センサ26,41の検知水位に基づいて電磁弁68,69を制御する。
【0032】
さらに、洗浄装置1は、洗浄前の食器Sを洗浄室3内へ入れるための入口部71、洗浄後の食器Sを洗浄室3内から出すための出口部72、洗浄室3内で移動中の食器Sを押える食器押え部材73、各洗浄手段6,11で食器Sの洗浄に使用された洗浄水をそれぞれのストレーナ24,34側に向けて案内する防水板74,75、洗浄室3内の排気を行う排気ダクト76を備えている。
【0033】
次に、洗浄装置1の作用等を説明する。
【0034】
まず、食器Sを洗浄するに際して、最初に、第1貯留槽7内に所定量の洗浄水(洗剤入りの洗浄水)を貯留するとともに、第2貯留槽12内に所定量の洗浄水(洗剤無しの洗浄水)を貯留する。
【0035】
この貯留後、洗浄装置1の運転を開始してポンプ23,33を作動させると、ノズルパイプ21,31が洗浄水の噴射を開始する。また、作業者が給水弁38を開状態に手動で切り換えると、ノズルパイプ36が洗浄水の噴射を開始する。なお、給水弁38の開状態への切り換えは、洗浄装置1の運転を開始すると自動的に閉状態へ切り換えられるようにしてもよい。
【0036】
この状態で、作業者が洗浄前の汚れた食器Sを搬送コンベヤ2の搬送ベルト20上に載置すると、食器Sは、搬送方向へ搬送されながら、まず主洗浄用のノズルパイプ21からの洗浄水(洗剤入りの洗浄水)で主洗浄(洗剤洗浄)され、次いで濯ぎ洗浄用のノズルパイプ31からの洗浄水(洗剤無しの洗浄水)で濯ぎ洗浄され、最後に仕上洗浄用のノズルパイプ36からの洗浄水(洗剤無しの洗浄水)で仕上洗浄される。
【0037】
ここで、図1に示すように、食器Sの洗浄時において、第2貯留槽12内の洗浄水(洗剤無しの洗浄水)の水位が上昇して所定水位以上になると、その洗浄水は、第2堰板部54の上端を越えて、溢水受け手段13の溢水受け槽51内に流入する。
【0038】
その後、溢水受け槽51内に流入した洗浄水は、ストレーナ60を通過した後、排水口56から排水管57を通って外部へ排出される。このため、第2貯留槽12内から溢れ出て溢水受け槽51内に流入した洗浄水(洗剤無しの洗浄水)が第1貯留槽7内に流れ込むことはない。
【0039】
そして、このような洗浄装置1によれば、第1貯留槽7及び第2貯留槽12間に設けられた溢水受け手段13を備えるため、第2貯留槽12から溢れた洗浄水が第1貯留槽7に流入するのを規制(防止)できる。
【0040】
よって、第2貯留槽12からの洗浄水(洗剤無しの洗浄水)が第1貯留槽7に流入して当該第1貯留槽7内の洗浄水(洗剤入りの洗浄水)の洗剤濃度が薄くなり、それを一定に戻すために無駄に洗剤が供給されてしまう事態の発生を防止できる。つまり、第2貯留槽12からの洗浄水で第1貯留槽7内の洗浄水の洗剤濃度が低下してしまうことがなく、洗剤の浪費を防止できる。
【0041】
このようなことから、前記第1の実施の形態では、第1貯留槽7の洗浄水が洗剤入りの洗浄水であるため、第1貯留槽7と第2貯留槽12との間に溢水受け槽51を設けて、第2貯留槽12の洗剤無しの洗浄水が流入するのを防止するとしているが、第1貯留槽7の洗浄水が洗剤入りの洗浄水でなくても、第1洗浄手段6での食器の洗浄に限定した洗浄水を貯留する第1貯留槽7内には、第2貯留槽(隣接した貯留槽)12からの流入を防ぎ、第1洗浄手段6における食器Sの洗浄に悪影響を与えないようにすることができるものである。
【0042】
本発明の第2の実施の形態について図2ないし図4を参照して説明する。
【0043】
この第2の実施の形態に係る洗浄装置1の溢水受け手段13は、前記第1の実施の形態のものとは異なり、第2貯留槽12から溢れて溢水受け槽51内に流入した洗浄水(洗剤無しの洗浄水)を外部に排出する排水状態と、その第2貯留槽12からの洗浄水を第1貯留槽7に供給する給水状態とに選択的に切換可能となっている。
【0044】
つまり、この溢水受け手段13の排水管57の途中には当該排水管57内の流路を開閉する開閉弁である電磁弁81が設けられ、この電磁弁81には当該電磁弁81を制御する制御手段70が電気的に接続されている。
【0045】
そして、この洗浄装置1では、図2に示すように、食器Sの洗浄時において、第1貯留槽7内の洗浄水(洗剤入りの洗浄水)の水位が上限位置における所定量の水位の場合には、制御手段70は、水位センサ26の検知水位(所定量検知)に基づいて電磁弁81を開状態に維持する。つまり、第1貯留槽7内の洗浄水が予め上限位置として設定された所定量の場合には、溢水受け手段13が排水状態に維持される。
【0046】
それゆえ、第2貯留槽12から溢れて第2堰板部54の上端から溢水受け槽51内に流入した洗浄水は、ストレーナ60を通過した後、排水口56から排水管57を通って外部へ排出される。その結果、第2貯留槽12からの溢水で第1貯留槽7内の洗浄水の洗剤濃度が低下することがない。
【0047】
ここで、例えば図3に示すように、食器Sの洗浄時において、第1貯留槽7内の洗浄水の水位が下降して下限位置における所定水位以下になった場合には、制御手段70は、水位センサ26の検知水位(水不足検知)に基づいて電磁弁81を開状態から閉状態に切り換える。つまり、第1貯留槽7が水不足の場合には溢水受け手段13が排水状態から給水状態に自動的に切り換わる。
【0048】
なお、第1貯留槽7内に洗浄水を供給する第1給水管66については、洗浄水の供給を停止させる。または、食器Sを洗浄するため、最初に所定量の洗浄水を貯留するときだけ供給させるものとする。
【0049】
それゆえ、第2貯留槽12から溢れて第2堰板部54の上端から溢水受け槽51内に流入した洗浄水(洗剤無しの洗浄水)は、やがて溢水受け槽51の水位を第2貯留槽12の水位と同じとし、さらに上昇することで第1堰板部53の上端を越えて、第1貯留槽7内に供給(補給)される。こうして第1貯留槽7への洗浄水の補給が行われるが、この際、洗剤濃度が一定になるように制御手段70による制御に基づいて洗剤供給管8から洗剤が第1貯留槽7内に供給される。
【0050】
なお、第1貯留槽7が所定量(上限位置の所定量)に戻ると、水位センサの検知水位(所定量検知)に基づいて電磁弁81が開状態となり、第2貯留槽12から溢水受け槽51へと流入した溢水は排水管57を通って外部へ排出される。
【0051】
そして、この第2の実施の形態に係る洗浄装置1でも、前記第1の実施の形態のものと同様、第2貯留槽12から溢れた洗浄水が第1貯留槽7に流入するのを規制でき、よって洗剤の浪費を防止できる。
【0052】
また、溢水受け手段13は排水管57内の流路を開閉する電磁弁81を有するため、第1貯留槽7が水不足になったとしても、第1給水管66から供給する新たな洗浄水を利用することはなく、第2貯留槽12からの食器Sの洗浄に使用した洗浄水を溢水受け手段13を介して第1貯留槽7に供給することから、その洗浄水(仕上水)を第1洗浄手段6による洗浄で有効的に再利用することができる。
【0053】
さらに、例えば第1洗浄手段6による洗浄が洗剤洗浄ではなく、洗剤無しの洗浄水による水洗浄で足りる場合(例えば油汚れのない食器の洗浄等)には、図4に示すように、電磁弁81を閉状態にすることで、第2貯留槽12からの洗浄水を第1洗浄手段6による洗浄で再利用することができる。なおこの図4に示す場合には、第1貯留槽7から溢れた洗浄水は、入口側堰板部61の上端を越えて入口側水受け槽29内に流入した後、排水管30を通って外部へ排出される。
【0054】
このように前記第2の実施の形態では隣接する両貯留槽間に電磁弁(開閉弁)81を有した溢水受け手段13を備えることによって、出口部72側に位置する貯留槽内の洗浄水を、入口部71側に位置する貯留槽へ供給することなく食器の洗浄を行っていく時と、入口部71側に位置する貯留槽へ供給して食器の洗浄を行っていく時の状況に合わせて変更することができるものである。
【0055】
なお、前記第2の実施の形態において、溢水受け手段13の排水管57内の流路を開閉する開閉弁は、電磁弁81には限定されず、例えば作業者が手で操作する手動弁でもよい。
【0056】
この場合、水位センサ26の水不足検知に基づいて作動して第1貯留槽7の水不足を作業者に報知する報知手段(例えば光発生手段や音発生手段等)を別途設ける。そして、その報知手段の作動で第1貯留槽7の水不足を知った作業者は、手動弁を操作して閉状態に切り換える。すると、第2貯留槽12からの溢水が溢水受け槽51内を経て第1貯留槽7内へ供給される。
【0057】
また一方、前記いずれの実施の形態においても、搬送方向に並ぶ貯留槽の数は2つである場合について説明したが、例えば貯留槽の数は3つ以上でもよく、この場合には、隣接する両貯留槽間に位置する溢水受け手段の数は2つ以上となる。すなわち例えば、互いに隣接する第1貯留槽及び第2貯留槽間に第1溢水受け手段が設けられかつ互いに隣接する第2貯留槽及び第3貯留槽間に第2溢水受け手段が設けられた構成等でもよい。
【0058】
また、貯留槽の数が3つ以上のとき、互いに隣接する両貯留槽間のすべてにおいて、溢水受け手段が必要とする位置のみに設けられる構成でもよい。
【0059】
また、溢水受け手段における第1堰板部の上端と第2堰板部の上端とが同じ高さに位置した構成には限定されず、例えば第1堰板部の上端が第2堰板部の上端よりも低い位置に位置した構成とすることで、第2貯留槽から溢れて溢水受け手段内に流入した洗浄水が再び第2貯留槽へ戻るのを防止して浮遊物等の異物が第2貯留槽に入らないようにしてもよい。
【0060】
さらに、例えば溢水受け手段の堰板部(溢れ防止板)の上端の高さ位置を調整可能な構成としてもよい。また同様に、入口側堰板部の上端の高さ位置や出口側堰板部の上端の高さ位置を調整可能な構成としてもよい。
【0061】
また、凹状の溢水受け部内にストレーナを配置した構成には限定されず、例えば溢水受け手段の堰板部(溢れ防止板)の上端にストレーナを連結した構成等でもよく、またストレーナを溢水受け部に対して脱着可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 洗浄装置
6 一の洗浄手段である第1洗浄手段
7 一の貯留槽である第1貯留槽
11 他の洗浄手段である第2洗浄手段
12 他の貯留槽である第2貯留槽
13 溢水受け手段
51 溢水受け部である溢水受け槽
56 排水口
57 排水管
60 ストレーナ
81 開閉弁である電磁弁
S 被洗浄物である食器
図1
図2
図3
図4