(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】支柱固定用台座
(51)【国際特許分類】
E04H 17/22 20060101AFI20220609BHJP
E04H 12/22 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
E04H17/22
E04H12/22
(21)【出願番号】P 2018079697
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000221351
【氏名又は名称】JFE建材フェンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】土井 彰
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌克
(72)【発明者】
【氏名】米山 貴浩
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-251317(JP,A)
【文献】特開2000-002020(JP,A)
【文献】実開昭60-041426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 - 17/26
E04H 12/00 - 12/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に支柱を固定するための支柱固定用台座において、
一対の基板と、前記一対の基板の内側縁部に対向して垂直に固定された一対の支柱支持板とを備え、前記基板には、前記支柱の前後方向に長い縦長のアンカーボルト用ボルト孔が形成され、前記支柱支持板には、前記支柱の左右方向に長い横長の支柱固定用ボルト孔が形成され、前記支柱は、
前記支柱支持板の左右方向との間にスペースを有すると共に、前記一対の支柱支持板間にボルトにより固定されることを特徴とする支柱固定用台座。
【請求項2】
前記支柱固定用ボルト孔は、前記支柱支持板の上下端部に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の支柱固定用台座。
【請求項3】
前記支柱支持板は、平面形状コ字形に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の支柱固定用台座。
【請求項4】
請求項1または2に記載の発明において、前記支柱支持板は、平面形状L字形に形成され、前記支柱支持板の高さ方向中央部には、切欠きが形成されていることを特徴とする支柱固定用台座。
【請求項5】
前記基板と前記支柱支持板との間には、補強リブが固定されていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1つに記載の支柱固定用台座。
【請求項6】
前記支柱は、角パイプからなっていることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の支柱固定用台座。
【請求項7】
前記支柱は、丸パイプからなっていることを特徴とする、請求項1から5の何れか1つに記載の支柱固定用台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱固定用台座、特に、地盤にフェンス等の支柱を固定する際に、サイズが異なる複数種類の支柱の固定が可能となる支柱固定用台座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、地盤にフェンス用支柱を固定するには、(a)
図25に示すように、地盤21にコンクリート製の基礎ブロック22を構築し、基礎ブロック22に支柱23の下部を埋設する方法、(b)
図26に示すように、地盤21に直接、支柱23の下部を埋め込む方法、(c)
図27に示すように、支柱23の下端に基板24を固定し、基板24を地盤21にアンカーボルト25により固定する方法、そして、(d)
図28に示すように、地盤21に支柱固定用台座26をアンカーボルト27により固定し、支柱固定用台座26に支柱23の下部を挿入し、ボルト28により支柱23を支柱固定用台座6に固定する方法がある。
【0003】
特許文献1には、上記(d)の固定方法に使用する支柱固定用台座が開示されている。以下、この支柱用台座を従来台座といい、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図29は、従来台座を示す平面図、
図30は、従来台座により支柱を地盤に固定した状態を示す斜視図である。
【0005】
図29に示すように、従来台座は、四隅に横長のボルト孔29が形成され、中央部に開口30が形成された基板31と、基板31の開口30上に間隔Tをあけて対向して垂直に固定された一対の平面形状コ字形の支柱支持板32と、支柱支持板32の補強板33とからなっている。支柱支持板32には、ボルト孔34と切欠き35が形成されている。
【0006】
図30に示すように、従来台座によれば、以下のようにして、支柱36を地盤37に固定することができる。
【0007】
先ず、基板31のボルト孔29にアンカーボルト38を通して台座を地盤37に固定する。そして、一対の支柱支持板32間に支柱36の下部を挿入し、ボルト39を一方の支柱支持板32のボルト孔34から支柱36を貫通して他方の支柱支持板32のボルト孔34に通し、固定する。これによって、支柱36を地盤37に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来台座によれば、基板31に横長のボルト孔29を形成することによって、支柱36の横方向の位置の微調整が行なえる。
【0010】
また、支柱支持板32に切欠き35を形成することによって、支柱36に取り付けられる格子状パネル40の最下端の横線41を支柱36に固定することが可能になる。
【0011】
また、補強板33を設けることによって、支柱支持板32の強度を高めることができる。
【0012】
また、支柱支持板32間に間隔Tを設けることによって、ボルト39による支柱36の固定時に支柱支持板32が内側に弾性変形するので、支柱36をより強固に支柱支持板32に固定することができる。
【0013】
しかしながら、従来台座によれば、地盤37に固定する支柱36のサイズは、1種類に限られるので、支柱36のサイズ毎に台座を作る必要があり、コストが嵩む。
【0014】
従って、この発明の目的は、地盤にフェンス等の支柱を固定する際に、サイズが異なる複数種類の支柱の固定が可能となる支柱固定用台座を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、下記を特徴とするものである。
【0016】
請求項1に記載の発明は、地盤に支柱を固定するための支柱固定用台座において、一対の基板と、前記一対の基板の内側縁部に対向して垂直に固定された一対の支柱支持板とを備え、前記基板には、前記支柱の前後方向に長い縦長のアンカーボルト用ボルト孔が形成され、前記支柱支持板には、前記支柱の左右方向に長い横長の支柱固定用ボルト孔が形成され、前記支柱は、前記支柱支持板の左右方向との間にスペースを有すると共に、前記一対の支柱支持板間にボルトにより固定されることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支柱固定用ボルト孔は、前記支柱支持板の上下端部に形成されていることに特徴を有するものである。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記支柱支持板は、平面形状コ字形に形成されていることに特徴を有するものである。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記支柱支持板は、平面形状L字形に形成され、前記支柱支持板の高さ方向中央部には、切欠きが形成されていることに特徴を有するものである。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記基板と前記支柱支持板との間には、補強リブが固定されていることに特徴を有するものである。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、前記支柱は、角パイプからなっていることに特徴を有するものである。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、前記支柱は、丸パイプからなっていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、基板を2分割するとともに、基板に縦長のアンカーボルト用のボルト孔を形成することによって、サイズが異なる複数種類の支柱の固定が可能となる。
【0024】
また、この発明によれば、支柱支持板の上下端部に横長の支柱固定用ボルト孔を形成することによって、傾斜地盤に容易に対応することができる。
【0025】
また、この発明によれば、アンカーボルト用のボルト孔を縦長に形成するとともに、支柱支持板の上下端部に横長の支柱固定用ボルト孔を形成することによって、支柱と支柱支持板との間にスペースがある場合には、支柱の前後左右方向の位置の微調整が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の支柱固定用台座を示す平面図である。
【
図2】この発明の支柱固定用台座を示す正面図である。
【
図3】この発明の支柱固定用台座を示す側面図である。
【
図4】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す平面図である。
【
図5】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図6】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す側面図である。
【
図7】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの別のサイズの支柱を固定した状態を示す平面図である。
【
図8】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの別のサイズの支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図9】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの別のサイズの支柱を固定した状態を示す側面図である。
【
図10】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの更に別のサイズの支柱を固定した状態を示す平面図である。
【
図11】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの更に別のサイズの支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図12】この発明の支柱固定用台座によりフェンスの更に別のサイズの支柱を固定した状態を示す側面図である。
【
図13】補強リブを取り付けた、この発明の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す平面図である。
【
図14】補強リブを取り付けた、この発明の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図15】補強リブを取り付けた、この発明の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す側面図である。
【
図16】この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す平面図である。
【
図17】この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図18】この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの支柱を固定した状態を示す側面図である。
【
図19】この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの別のサイズの支柱を固定した状態を示す平面図である。
【
図20】この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの別のサイズの支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図21】この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの別のサイズの支柱を固定した状態を示す側面図である。
【
図22】この発明の支柱固定用台座により支柱を傾斜した地盤に固定した状態を示す正面図である。
【
図23】支柱位置を前後左右方向に微調整することができることを示す平面図である。
【
図24】支柱位置を左右方向に微調整することができることを示す正面図である。
【
図25】基礎ブロックにより支柱を地盤に固定した状態を示す正面図である。
【
図26】地盤に直接、支柱を固定した状態を示す正面図である。
【
図27】支柱の下端に固定した基板により支柱を地盤に固定した状態を示す正面図である。
【
図28】地盤に固定した支柱固定用台座により支柱を地盤に固定した状態を示すしょう正面図である。
【
図30】従来台座により支柱を地盤に固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の支柱固定用台座の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、この発明の支柱固定用台座を示す平面図、
図2は、この発明の支柱固定用台座を示す正面図、
図3は、この発明の支柱固定用台座を示す側面図である。
【0029】
図1から
図4において、1は、一対の基板である。一対の基板1の各々の外側コーナー部には、後述する支柱7の前後方向(横断方向)に長い縦長のアンカーボルト用ボルト孔2が形成されている。3は、一対の基板1の内側縁部に対向して垂直に固定された一対の支柱支持板である。支柱支持板3は、平面形状コ字形に形成されている。支柱支持板3の上下端部には、後述する支柱7の左右方向(延長方向)に長い横長の支柱固定用ボルト孔4が形成されている。
【0030】
このように構成されている、この発明の支柱固定用台座によれば、以下のようにして、地盤にフェンス用支柱を固定することができる。なお、フェンス用支柱以外に門扉用支柱であってもよい。
【0031】
図4から
図6に示すように、地盤5にアンカーボルト6により、この発明の支柱固定用台座を固定する。そして、一対の支柱支持板3間に角パイプからなる支柱7を挿入し、ボルト8をボルト孔4に挿通して、支柱7を格子パネル9とともに支柱支持板3間に固定する。このようにして、地盤5にフェンス用支柱7を固定することができる。
【0032】
なお、この例では、支柱7は、角パイプからなるが、丸パイプであってもよい。
【0033】
異なるサイズの支柱7、すなわち、
図4から
図6に示す支柱7より縦長の支柱7を固定する場合には、
図7から
図9に示すように、基板1の間隔を広げる。基板1の間隔は、アンカーボルト用ボルト孔2が縦長に形成されているので、容易に広げることができる。
図7から
図9において、
図4から
図6におけると同一番号は、同一物を示す。
【0034】
【0035】
図4から
図6、および、
図7から
図9に示す例では、基板1に形成されているアンカーボルト用ボルト孔2が縦長で、支柱支持板3と支柱7との間にスペースがあり、支柱支持板3に形成されている支柱固定用ボルト孔4が横長であるので、
図23、
図24に示すように、支柱7の前後左右方向の位置の微調整が行なえる。
図10から
図12に示す例では、支柱7の前後方向の位置の微調整が行なえる。
【0036】
支柱支持板3の強度を高める場合には、
図13から
図15に示すように、基板1と支柱支持板3との間に補強リブ10を固定する。
図13から
図15において、
図4から
図6におけると同一番号は、同一物を示す。なお、補強リブ10は、後述する、この発明の別の支柱固定用台座の基板1と支柱支持板3との間に固定してもよい。
【0037】
なお、この例では、補強リブ10は、基板1の左右方向に取り付けられているが、基板1の前後方向、あるいは、前後および左右の両方に取り付けてもよい。
【0038】
図16から
図18に、この発明の別の支柱固定用台座によりフェンスの支柱7を固定した状態を示す。
【0039】
この別の支柱固定用台座は、支柱支持板3が平面形状L字形に形成され、支柱支持板3の高さ方向中央部に切欠き11が形成されている点のみで、
図4から
図6に示す支柱固定用台座と異なる。切欠き11が形成されているので、格子パネル9の下端と支柱支持板3との干渉をなくすことができる。
【0040】
この別の支柱固定用台座によりサイズの異なる支柱7を固定する場合には、
図19から
図21に示すように、基板1の間隔を広げる。基板1の間隔は、アンカーボルト用ボルト孔2が縦長に形成されているので、容易に広げることができる。
【0041】
図16から
図18、および、
図19から
図21に示す支柱固定用台座においても、支柱7の前後左右方向の位置の微調整が行なえる。
【0042】
支柱7を傾斜した地盤5に固定する場合には、
図22に示すように、支柱支持板3の上下端部に形成されている支柱固定用ボルト孔4が横長になっているので、傾斜地盤に容易に対応することができる。
【0043】
以上、説明したように、この発明によれば、基板1を2分割するとともに、基板1に縦長のアンカーボルト用ボルト孔2を形成することによって、サイズが異なる複数種類の支柱7の固定が可能となる。
【0044】
また、この発明によれば、支柱支持板3の上下端部に横長の支柱固定用ボルト孔4を形成することによって、傾斜地盤に容易に対応することができる。
【0045】
また、この発明によれば、アンカーボルト用ボルト孔2を縦長に形成するとともに、支柱支持板3の上下端部に横長の支柱固定用ボルト孔4を形成することによって、支柱7と支柱支持板3との間にスペースがある場合には、支柱7の前後左右方向の位置の微調整が行なえる。
【符号の説明】
【0046】
1:基板
2:アンカーボルト用ボルト孔
3:支柱支持板
4:支柱固定用ボルト孔
5:地盤
6:アンカーボルト
7:支柱
8:ボルト
9:格子パネル
10:補強リブ
11:切欠き
21:地盤
22:基礎ブロック
23:支柱
24:基板
25:アンカーボルト
26:支柱固定用台座
27:アンカーボルト
28:ボルト
29:ボルト孔
30:開口
31:基板
32:支柱支持板
33:補強板
34:ボルト孔
35:切欠き
36:支柱
37:地盤
38:アンカーボルト
39:ボルト
40:パネル
41:横線