(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20220609BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220609BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
H01L21/88 S
H01L21/90 A
H01L21/88 Z
(21)【出願番号】P 2018119615
(22)【出願日】2018-06-25
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永久 克己
(72)【発明者】
【氏名】太田 文人
(72)【発明者】
【氏名】一法師 隆志
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-109813(JP,A)
【文献】特開2003-197623(JP,A)
【文献】特開2009-105160(JP,A)
【文献】特開2005-229086(JP,A)
【文献】特開2005-210142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133496(US,A1)
【文献】特開平04-038830(JP,A)
【文献】特開平04-196344(JP,A)
【文献】特開2004-031439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された複数の配線層と、
前記複数の配線層のうちの第1配線層に形成された第1配線と、
前記複数の配線層のうちの、前記第1配線層の一つ上の配線層である第2配線層に形成された第2配線と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、
前記第1配線層に形成された第1導体パターンと、
前記第1配線と前記第2配線とに接触して、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続する第1ビアと、
前記第1導体パターンと前記第2配線とに接触する複数の第2ビアと、
前記第1配線層に形成された第2導体パターンと、
前記第2導体パターンと前記第2配線とに接触する複数の第3ビアと、
を有し、
前記第1配線および前記第2配線は、平面視において、それぞれ長方形状に形成され、
前記第2配線は、前記第1配線よりも厚く、
平面視において、前記複数の第2ビアのうち前記第2配線の第1角部に最も近い第2ビアと前記第1角部との間の第1距離は、前記第1ビアと前記第1角部との間の第2距離よりも短く、
平面視において、前記複数の第2ビアのうち互いに隣り合う第2ビア間の第3距離は、前記複数の第2ビアのうち前記第1ビアに最も近い第2ビアと前記第1ビアとの間の第4距離よりも短
く、
平面視において、前記複数の第3ビアのうち前記第2配線の第2角部に最も近い第3ビアと前記第2角部との間の第6距離は、前記第1ビアと前記第2角部との間の第7距離よりも短く、
平面視において、前記複数の第3ビアのうち互いに隣り合う第3ビア間の第8距離は、前記複数の第3ビアのうち前記第1ビアに最も近い第3ビアと前記第1ビアとの間の第9距離よりも短く、
前記第2導体パターンは、平面視において、前記第2配線の幅方向中央を通る直線を挟んで、前記第1導体パターンと対称的に配置され、
前記複数の第3ビアのそれぞれは、平面視において、前記直線を挟んで、前記複数の第2ビアとそれぞれ対称的に配置されている、半導体装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に形成された複数の配線層と、
前記複数の配線層のうちの第1配線層に形成された第1配線と、
前記複数の配線層のうちの、前記第1配線層の一つ上の配線層である第2配線層に形成された第2配線と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、
前記第1配線層に形成された第1導体パターンと、
前記第1配線と前記第2配線とに接触して、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続する第1ビアと、
前記第1導体パターンと前記第2配線とに接触する複数の第2ビアと、
を有し、
前記第1配線および前記第2配線は、平面視において、それぞれ長方形状に形成され、
前記第2配線は、前記第1配線よりも厚く、
平面視において、前記複数の第2ビアのうち前記第2配線の第1角部に最も近い第2ビアと前記第1角部との間の第1距離は、前記第1ビアと前記第1角部との間の第2距離よりも短く、
平面視において、前記複数の第2ビアのうち互いに隣り合う第2ビア間の第3距離は、前記複数の第2ビアのうち前記第1ビアに最も近い第2ビアと前記第1ビアとの間の第4距離よりも短く、
前記第1角部は、鋭角に形成されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項1
または2の何れか1項に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁層の厚さは、平面視において前記第2配線と重なる第1領域よりも、平面視において前記第2配線と重ならない第2領域の方が薄い、半導体装置。
【請求項4】
請求項1
または2の何れか1項に記載の半導体装置において、
前記複数の第2ビアのうちの前記第1角部から最も遠い第2ビアと前記第1角部との間の第5距離は、前記第1ビアと前記第1角部との間の前記第2距離よりも大きい、半導体装置。
【請求項5】
請求項1
または2の何れか1項に記載の半導体装置において、
前記複数の第2ビアは、前記第2配線の長さ方向に沿って配置されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項1
または2の何れか1項に記載の半導体装置において、
前記第1導体パターンと前記第1配線とは、互いに接触していない、半導体装置。
【請求項7】
請求項1
または2の何れか1項に記載の半導体装置において、
前記第2配線の第2角部は、鈍角に形成されている、半導体装置。
【請求項8】
請求項1
または2の何れか1項に記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1配線の長さ方向と前記第2配線の長さ方向とは、一致している、半導体装置。
【請求項9】
基板と、
前記基板上に形成された複数の配線層と、
前記複数の配線層のうちの第1配線層に形成された第1配線と、
前記複数の配線層のうちの、前記第1配線層の一つ上の配線層である第2配線層に形成された第2配線と、
前記第1配線層と前記第2配線層との間に配置された第1絶縁層と、
前記第1配線層に形成された第1導体パターンと、
前記第1配線と前記第2配線とに接触して、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続する第1ビアと、
前記第1導体パターンと前記第2配線とに接触する第2ビアと、
を有し、
前記第1配線および前記第2配線は、平面視において、それぞれ長方形状に形成され、
前記第2配線は、前記第1配線よりも厚く、
平面視において、前記第2配線の第1角部と前記第1ビアとの間の距離は、前記第1角部と前記第2ビアとの間の距離よりも長く、
前記第1ビアは、平面視において、前記第1角部と前記第2ビアとを通る直線上にな
く、
前記第1角部は、鋭角に形成されている、半導体装置。
【請求項10】
請求項
9記載の半導体装置において、
前記第1絶縁層の厚さは、平面視において前記第2配線と重なる第1領域よりも、平面視において前記第2配線と重ならない第2領域の方が薄い、半導体装置。
【請求項11】
請求項
9記載の半導体装置において、
前記第1配線層に形成された第2導体パターンと、
前記第2導体パターンと前記第2配線とに接触する第3ビアと、
をさらに有し、
平面視において、前記第2配線の第2角部と前記第1ビアとの間の距離は、前記第2角部と前記第3ビアとの間の距離よりも長く、
前記第1ビアは、平面視において、前記第2角部と前記第3ビアとを通る直線上にない、半導体装置。
【請求項12】
請求項
11記載の半導体装置において、
前記第2導体パターンは、平面視において、前記第2配線の幅方向中央を通る直線を挟んで、前記第1導体パターンと対称的に配置され、
前記第3ビアは、平面視において、前記直線を挟んで、前記第2ビアと対称的に配置されている、半導体装置。
【請求項13】
請求項
9記載の半導体装置において、
前記第1配線層に形成された第3導体パターンと、
前記第3導体パターンと前記第2配線とに接触する第4ビアと、
をさらに有し、
前記第4ビアは、平面視において、前記第1角部と前記第2ビアとを通る直線上に配置されている、半導体装置。
【請求項14】
請求項
11記載の半導体装置において、
前記第1配線層に形成された第3導体パターンおよび第4導体パターンと、
前記第3導体パターンと前記第2配線とに接触する第4ビアと、
前記第4導体パターンと前記第2配線とに接触する第5ビアと、
をさらに有し、
前記第4ビアは、平面視において、前記第1角部と前記第2ビアとを通る直線上に配置され、
前記第5ビアは、平面視において、前記第2角部と前記第3ビアとを通る直線上に配置されている、半導体装置。
【請求項15】
請求項
9記載の半導体装置において、
前記第1配線と前記第2配線とに接触して、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続する第6ビアをさらに有し、
前記第6ビアは、平面視において、前記第1角部と前記第2ビアとを通る直線上にない、半導体装置。
【請求項16】
請求項
9記載の半導体装置において、
前記第2配線の第2角部は、鈍角に形成されている、半導体装置。
【請求項17】
請求項
9記載の半導体装置において、
平面視において、前記第1配線の長さ方向と前記第2配線の長さ方向とは、一致している、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、大電流を流すための配線を有する半導体装置に好適に利用できる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置において、配線と層間絶縁膜との間の剥離や層間絶縁膜間の剥離を防止することが望まれる。
【0003】
例えば、特許文献1には、層間絶縁膜上の金属を研磨する際に、層間絶縁膜に応力がかかり、層間絶縁膜剥れを防止することを目的として、層間絶縁膜ごとにダミー配線を形成し、上層および下層の各層間絶縁膜に形成されたダミー配線同士がビアプラグで接続された半導体装置が記載されている。この技術によれば、ダミー配線とビアプラグとの積層構造が層間絶縁膜の繋ぎ目となり、応力による層間絶縁膜剥れが防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、半導体装置において、大電流を流すために配線の膜厚を厚くすることを検討している。
【0006】
前記半導体装置の構造を工夫することにより、半導体装置の信頼性の向上が望まれる。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態による半導体装置は、第1配線と、前記第1配線の一つ上の配線層に形成された第2配線とを有している。半導体装置は、前記第1配線層と同一の配線層に形成された第1導体パターンと、前記第1配線と前記第2配線とに接触して、前記第1配線と前記第2配線とを電気的に接続する第1ビアと、前記第1導体パターンと前記第2配線とに接触する複数の第2ビアと、を有している。前記第1配線および前記第2配線は、平面視において、それぞれ長方形状に形成され、前記第2配線は、前記第1配線よりも厚い。平面視において、前記複数の第2ビアのうちの、前記第2配線の第1角部に最も近い第2ビアと、前記第1角部との間の第1距離は、前記第1ビアと前記第1角部との間の第2距離よりも短い。そして、平面視において、前記複数の第2ビアのうち、互いに隣り合う第2ビア間の第3距離は、前記複数の第2ビアのうちの前記第1ビアに最も近い第2ビアと前記第1ビアとの間の第4距離よりも短い。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図2】一実施の形態の半導体装置において、(a)は
図1のA-A線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図3】一実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図において、(a)は
図1のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図4】
図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図において、(a)は
図1のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図5】
図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図において、(a)は
図1のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図6】
図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図において、(a)は
図1のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図7】
図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図において、(a)は
図1のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図8】検討例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図9】検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図において、
図8のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図10】
図9に続く検討例の半導体装置の製造工程中の要部断面図において、
図8のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図11】一実施の形態の半導体装置において、
図1のB-B線に沿って切断した構造における第1ビアと第2ビアとの位置関係を示す要部断面図である。
【
図12】一実施の形態の半導体装置において、
図1のB-B線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図13】一実施の形態の半導体装置において、平面視における第1ビアと第2ビアとの位置関係を示す拡大平面図である。
【
図14】一実施の形態の半導体装置において、平面視における第2ビアの位置と第2ビアの底部にかかる応力との関係を示すグラフである。
【
図15】一実施の形態の半導体装置において、平面視における第2ビアの位置と角部にかかる応力との関係を示すグラフである。
【
図16】第1の変形例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図17】第2の変形例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図18】第2の実施の形態の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図19】第2の実施の形態の半導体装置において、
図18のB-B線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【
図20】第3の変形例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図21】第4の変形例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図22】第3の実施の形態の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図23】第5の変形例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【
図24】第6の変形例の半導体装置を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0013】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0014】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0015】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0016】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0017】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
一実施の形態による半導体装置の構成を、
図1~
図2を用いて説明する。
図1は、実施の形態1の半導体装置SD1aの拡大平面図である。
図2は、実施の形態1の半導体装置SD1aにおいて、(a)は
図1のA-A線に沿って切断した構造を示す要部断面図、(b)は
図1のB-B線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【0018】
図2(a)および
図2(b)に示すように、実施の形態1の半導体装置SD1aは、基板(半導体基板)SBを有している。基板SBは、例えばシリコン(Si)からなる。基板SBの主面上には、素子分離膜EIが形成されている。素子分離膜EIは、例えば酸化シリコンからなる。
【0019】
図2(a)に示すように、基板SBの素子分離膜EIが形成されていない領域(活性領域、MOS形成領域)には、半導体素子として、MOSFETが形成されている。半導体装置SD1aに形成されたMOSFETは、基板SB内に形成されたソース領域SRおよびドレイン領域DRと、ソース領域SRおよびドレイン領域DR間に形成されたチャネル領域CHと、チャネル領域CH上に形成されたゲート絶縁膜GIと、ゲート絶縁膜GI上に形成されたゲート電極GEとを有している。ゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜からなり、ゲート電極GEは、例えばポリシリコン膜からなる。
【0020】
また、実施の形態1の半導体装置SD1aは、素子分離膜EIおよび前記半導体素子(MOSFET)を覆うように、基板SB上に形成された絶縁層IL1と、絶縁層IL1上に形成された配線M2と、配線M2を覆うように絶縁層IL1上に形成された絶縁層IL2と、絶縁層IL2上に形成された配線M3と、配線M3を覆うように絶縁層IL2上に形成された保護膜PAとを有している。配線M3の厚さは、配線M2の厚さよりも厚い。
【0021】
絶縁層IL1,IL2は、例えば、酸化シリコン膜からなる。配線M2,M3は、アルミニウム(Al)を主成分とする材料からなり、例えばアルミニウム(Al)膜からなる。保護膜PAは、例えば酸化シリコン膜からなる。なお、図示しないが、配線M2,M3は、例えば、アルミニウム膜の下層にチタン膜および窒化チタン膜の積層膜等を配置した積層構造としてもよく、さらには、上層にもチタン膜および窒化チタン膜の積層膜を配置した積層構造としてもよい。
【0022】
また、
図2(b)に示すように、実施の形態1の半導体装置SD1aは、基板SBの素子分離膜EIが形成されている領域において、絶縁層IL1上にダミー配線(第1導体パターン)DMが形成されている。配線M2およびダミー配線DMは、同層(同一の配線層)に形成されている。
【0023】
図2(a)に示すように、絶縁層IL1には、スルーホール(貫通孔)が形成され、前記スルーホール内に導電性のビア(プラグ)V1が埋め込まれている。ビアV1は、配線M2とMOSFETのソース領域SRとの間、および、配線M2とMOSFETのドレイン領域DRとの間に配置されて、配線M2とソース領域SRとを、および、配線M2とドレイン領域DRとをそれぞれ電気的に接続している。
【0024】
また、
図2(a)および
図2(b)に示すように、絶縁層IL2には、スルーホールが形成され、前記スルーホール内に導電性のビア(プラグ)V2およびダミービア(ダミープラグ)DV1,DV2,DV3,DV4が埋め込まれている。ビアV2は、配線M3と配線M2との間に配置され、配線M3の下面(底面)と配線M2の上面とにそれぞれ接触することにより、配線M3と配線M2とを電気的に接続している。また、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、配線M3とダミー配線DMとの間に配置され、配線M3の下面(底面)とダミー配線DM2とにそれぞれ接触している。ビアV1,V2およびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、例えば、タングステン(W)膜からなる。また、絶縁層IL2には段部STa,STbが形成されている。
図1に示すように、平面視において、段部STaは、配線M3の長さ方向端部に位置し、段部STbは、配線M3の幅方向端部に位置している。平面視において、段部STaを通る直線と段部STbを通る直線とが交わる点は、配線M3の角部(第1角部、第2角部)CIと一致する。
【0025】
図1には、実施の形態1の半導体装置SD1aにおける、配線M2,M3、ダミー配線DM、ビアV2およびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4の平面配置を表すために、それ以外の部材を省略した拡大平面図を示している。
【0026】
図1に示すように、平面視において、配線M2および配線M3は、それぞれ長方形状に形成されている。配線M3の幅は、配線M2の幅よりも大きい。配線M2の長さ方向と、配線M3の長さ方向とは一致している。平面視において、配線M3の幅方向中央に、配線M2が配置されている。特に、平面視において、配線M2の幅方向中央と、配線M3の幅方向中央とは一致している。また、ビアV2は、配線M2の長さ方向一端部に配置されている。
【0027】
実施の形態1の半導体装置SD1aでは、平面視において、配線M3の長さ方向に沿って、配線M3の幅方向両端部にダミー配線DMがそれぞれ形成されている。そして、前述したように、配線M3の下面(底面)とダミー配線DMの上面とにそれぞれ接触するように、1組のダミービアDV1,DV2,DV3,DV4が配置されている。ダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されているため、以下では、一方のダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を例に説明する。
【0028】
平面視において、ダミー配線DMは、長方形状に形成されている。ダミー配線DMの長さ方向と、配線M2,M3の長さ方向とは一致している。ダミー配線DMの幅は、配線M3の幅よりも小さく、かつ、配線M2の幅と同じか、それよりも大きい。
【0029】
ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、ダミー配線DMの長さ方向に沿って配置されている。すなわち、ダミービアDV1の中心DVO1と、ダミービアDV2の中心DVO2と、ダミービアDV3の中心DVO3と、ダミービアDV4の中心DVO4とは、一直線上(B-B線上)に並んでいる。
【0030】
また、平面視において、ビアV2は、角部CIとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上にはない。すなわち、配線M2の幅方向中央を通る直線(A-A線)と直線CLとが交わる点をVOとすると、ビアV2の中心は、点VOと一致していない。
【0031】
また、ダミービアDV1は、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4の中で、角部CIに最も近い。ダミービアDV4は、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4の中で、角部CIから最も遠い。
【0032】
ここで、平面視における、ダミービアDV1とダミービアDV2との間の距離(第3距離、第8距離)をDa1、ダミービアDV2とダミービアDV3との間の距離(第3距離、第8距離)をDa2、ダミービアDV3とダミービアDV4との間の距離(第3距離、第8距離)をDa3とする。そして、平面視における、ダミービアDV1とビアV2との間の距離をDb1、ダミービアDV1とビアV2との間の距離をDb1、ダミービアDV1とビアV2との間の距離をDb1、ダミービアDV2とビアV2との間の距離をDb2、ダミービアDV3とビアV2との間の距離をDb3、ダミービアDV4とビアV2との間の距離をDb4とする。このとき、隣り合うダミービア間の距離Dai(距離Da1,Da2,Da3)は、ビアV2に最も近いダミービアとの間の距離(第4距離、第9距離)Db3よりも短い。すなわち、隣り合うダミービア間の距離Dai(距離Da1,Da2,Da3)は、ビアV2とダミービアとの間の距離Dbi(距離Db1,Db2,Db3,Db4)のいずれよりも短い。また、平面視において、ダミービアDV1と角部CIとの間の距離(第1距離、第6距離)は、ビアV2と角部CIとの間の距離(第2距離、第7距離)よりも短い。また、ダミービアDV4と角部CIとの間の距離(第5距離)は、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも長い。
【0033】
配線M2の幅は、例えば0.6μmであり、配線M3の幅は、例えば4μmである。配線M2の膜厚は、例えば0.2~0.5μm、配線M3の膜厚は、例えば2~4μmである。絶縁層IL1,IL2の厚さは、例えば0.6~1.3μmである。
【0034】
なお、ダミー配線DMは、配線M2と異なる導体パターンであることを便宜上示すために、ダミー配線DMと称しているが、配線DMとして用いる導体パターンであってもよい。また、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、ビアV2と異なるビアであることを便宜上示すために、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4と称している。ただし、ダミー配線DMは、実際の配線として用いられるものであってもよいし、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4も、実際のビアとして用いられるものであってもよい。すなわち、ダミー配線DMが配線DMとして用いられる場合には、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を、配線DMと配線M3とを電気的に接続するビアDV1,DV2,DV3,DV4として用いてもよい。また、ダミー配線DMは、配線M2以外のその他の配線と電気的に接続されていてもよい。
【0035】
特に図示しないが、配線M2よりも下層に、または、配線M3よりも上層に、他の配線層を形成してもよい。また、配線M3と同層、または、配線M3よりも上層においてパッド電極を形成してもよい。
【0036】
<半導体装置の製造方法>
実施の形態1の半導体装置SD1aの製造方法について、
図3~
図7を用いて工程順に説明する。
図3(a)~
図7(a)は、実施の形態1の半導体装置SD1aの製造工程中の要部断面図において、
図1のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
図3(b)~
図7(b)は、実施の形態1の半導体装置SD1aの製造工程中の要部断面図において、
図1のB-B線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【0037】
図3(a)および
図3(b)に示すように、基板SBを用意する。基板SBには、例えばシリコンウェハを用いる。まず、基板SBの主面に、例えばLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより、絶縁膜としての素子分離膜EIを形成する。次に、基板SBの素子分離膜EIが形成されていない領域(活性領域、MOS形成領域)を熱酸化して酸化シリコン膜を形成した後に、前記活性領域上に例えばポリシリコン膜を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などにより、前記ポリシリコン膜および前記酸化シリコン膜をパターニングして、MOSFETのゲート電極GEおよびゲート絶縁膜GIを形成する。さらに、ゲート電極GEおよび素子分離膜EIをマスクとするセルフアラインにより、基板SBにp型(またはn型)不純物(ドーパント)をイオン注入する。その後、熱処理により不純物を拡散させ、基板SB内にMOSFETのソース領域SRおよびドレイン領域DRを形成する。
【0038】
次に、基板SB上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁層IL1を形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて絶縁層IL1にスルーホールを形成する。スルーホールは、ソース領域SRの一部およびドレイン領域DRの一部を露出するように形成される。続いて、絶縁層IL1のスルーホール内に例えばタングステン膜を埋め込むことにより、ビアV1を形成する。
【0039】
次に、絶縁層IL1上に、スパッタリング法などにより、例えばアルミニウムからなる導体膜CD2を堆積する。続いて、フォトレジストパターンPR2を導体膜CD2上に形成する。
【0040】
次に、
図3(a)に示すように、フォトレジストパターンPR2をマスクとして、ドライエッチングなどにより導体膜CD2をエッチングして、
図4(a)に示すように、配線M2を形成する。また、同時に、
図3(b)に示すように、フォトレジストパターンPR2をマスクとして、導体膜CD2をエッチングして、
図4(b)に示すように、ダミー配線DM2を形成する。その後、フォトレジストパターンPR2をアッシングなどにより除去する。
【0041】
続いて、
図4(a)および
図4(b)に示すように、絶縁層IL1上に配線M2およびダミー配線DM2を覆うように、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁層IL2を形成する。
【0042】
続いて、
図5(a)および
図5(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて絶縁層IL2にスルーホールを形成する。スルーホールは、配線M2の一部およびダミー配線DM2の一部を露出するように形成される。続いて、絶縁層IL2のスルーホール内に例えばタングステン膜を埋め込むことにより、ビアV2およびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を形成する。
【0043】
続いて、
図6(a)および
図6(b)に示すように、絶縁層IL2上に、スパッタリング法などにより、例えばアルミニウムからなる導体膜CD3を堆積する。続いて、フォトレジストパターンPR3を導体膜CD3上に形成する。
【0044】
次に、フォトレジストパターンPR3をマスクとして、ドライエッチングなどにより導体膜CD3をエッチングして、
図7(a)および
図7(b)に示すように、配線M3を形成する。
【0045】
なお、この際、導体膜CD3のエッチング残渣が残らないように、導体膜CD3に対してオーバーエッチングを行う。これにより、エッチングにより除去される導体膜CD3の下部に存在する絶縁層IL2には、導体膜CD3のオーバーエッチングにより削られる部分(以下、オーバーエッチング部OE2と称する)が存在する。そのため、エッチングにより除去される導体膜CD3の下部に存在する絶縁層IL2の厚さが、残存する導体膜CD3(すなわち配線M3)の下部に存在する絶縁層IL2の厚さよりも薄い。いいかえれば、エッチングにより除去される導体膜CD3の下部に存在する絶縁層IL2の絶縁層IL1を基準とした高さが、残存する導体膜CD3(すなわち配線M3)の下部に存在する絶縁層IL2の絶縁層IL1を基準とした高さよりも低い。以下では、絶縁層IL2の厚さ(高さ)が変化する位置を段部STa,STbとする。
図1に示すように、段部STaは、配線M3の幅方向に沿って形成された段部であり、段部STbは、配線M3の長さ方向に沿って形成された段部である。また、段部STaと段部STbとの交点は、配線M3の角部CIと一致する。そして、平面視において、絶縁層IL2の段部STaは、配線M3の長さ方向端部に一致し、絶縁層IL2の段部STbは、配線M3の幅方向端部に一致する。
【0046】
その後、フォトレジストパターンPR3をアッシングなどにより除去する。
【0047】
次に、
図2(a)および
図2(b)に示すように、絶縁層IL2上に配線M3を覆うように、例えば酸化シリコン膜からなる保護膜PAを形成する。
【0048】
<検討の経緯について>
以下、本発明者が検討した検討例の半導体装置の構成について説明する。
図8は、検討例の半導体装置SD101の拡大平面図である。
【0049】
図8に示すように、検討例の半導体装置SD101は、ダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4が形成されておらず、この点が検討例の半導体装置SD101と実施の形態1のSD1aとの相違点である。検討例の半導体装置SD101のそれ以外の構成は、実施の形態1の半導体装置SD1aの構成と同一であるため、半導体装置SD101の製造工程も含め、繰り返しの説明を省略する。
【0050】
ここで、検討例について本発明者が見出した課題について説明する。
図9および
図10は、検討例の半導体装置SD101の製造工程中の要部断面図において、
図8のA-A線に相当する線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
図9は、
図6(a)の後であって、
図7(a)の前の製造工程中の要部断面図に相当する。
図10は、
図2(a)の要部断面図に相当する。
【0051】
本発明者の検討によれば、配線M3の形成に起因して、クラック(亀裂、ひび割れ)が生じることがわかった。具体的には、配線M3を構成する導体膜CD3の熱収縮および導体膜CD3のエッチングが原因である。以下、その理由について詳細に説明する。
【0052】
まず、導体膜CD3の熱収縮について説明する。
図6(a)および
図6(b)に示す導体膜CD3を形成する際の温度は400℃程度に達する。そのため、導体膜CD3が常温(25℃程度)まで冷却されると、大きな熱収縮が生じる。実際には、導体膜CD3と絶縁層IL2との摩擦などによって、導体膜CD3の変形が阻止されて、導体膜CD3(配線M3)内に熱応力が残留する。そのため、何らかの原因で導体膜CD3に残留した応力が解放されると、層間絶縁膜や配線を構成する導体膜と絶縁膜との界面等にクラックが生じる。特に、このクラックによってビアが破壊されると、配線間の導通不良(オープン不良)が発生してしまう。
【0053】
なお、導体膜CD3と同様に、
図3(a)および
図3(b)に示す導体膜CD2を形成する際にも、熱応力が残留する。ただし、導体膜の厚さが厚ければ厚いほど、そして、導体膜の面積が大きければ大きいほど、熱収縮に伴って導体膜に残留する応力は大きくなる。そのため、クラックの発生原因としては、導体膜CD2(配線M2)に残留する熱応力よりも、導体膜CD3(配線M3)に残留する熱応力によるものが大きい。
【0054】
次に、導体膜CD3のエッチングについて説明する。
図9に示すように、フォトレジストパターンPR3をマスクとして、導体膜CD3(
図6(a)参照)をエッチングして、配線M3を形成する際に、エッチング時間が短いと、導体膜CD3の残渣が生じる可能性がある。そのため、配線M3を形成する際に、導体膜CD3の残渣が生じないように、導体膜CD3に対してオーバーエッチングを行うことが不可欠になる。導体膜CD3に対してオーバーエッチングを行うことにより、導体膜CD3の残渣が生じなくなるが、その代償として、エッチングにより除去される導体膜CD3の下部に存在する絶縁層IL2には、導体膜CD3のオーバーエッチングにより削られるオーバーエッチング部OE2が生じる。オーバーエッチング部OE2の深さは、例えば50~100nmであり、好ましくは70~80nmである。このオーバーエッチング部OE2により、絶縁層IL2に段部STa,STbが形成される。
【0055】
なお、配線の厚さが厚ければ厚いほど、十分なオーバーエッチングが必要となる。そのため、配線M2の形成時にもオーバーエッチング部(図示せず)は形成されるが、配線M2よりも薄い配線M2のオーバーエッチング部の深さは、配線M3の形成時のオーバーエッチング部OE2の深さに比べて浅い。
【0056】
本発明者の検討によれば、以上で説明した配線M3を構成する導体膜CD3の熱収縮および導体膜CD3のエッチングが原因となり、配線M3に残留する応力によって、絶縁層IL2の段部STa,STbには応力ひずみが発生することがわかった。特に、段部STaと段部STbとの交点、すなわち角部CIに最大の応力ひずみが発生していることがわかった。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックは、角部CIを起点とするものが最も多く発生していることを突き止めた。
【0057】
また、
図8~
図10に示すように、配線M3に残留する応力は、配線M3が熱収縮により矢印CEの方向に縮もうとする力である。ここで、配線M2に残留する応力も考慮に入れると、また、配線M2に残留する応力は、配線M2が熱収縮により矢印CEの方向と逆方向に縮もうとする力である。そのため、ビアV2自体や、ビアV2と配線M2との界面、ビアV2と配線M3との界面に縁層IL2との界面に、最も負荷がかかりやすい。すなわち、角部CIを起点としたクラックは、ビアV2自体や、ビアV2と配線M2との界面、ビアV2と配線M3との界面に縁層IL2との界面に向かって伸長することがわかった。
【0058】
ここで、クラックの発生および伸長を具体的に説明する。
図9に示すように、オーバーエッチング部OE2が形成された際に、配線M3の応力が解放されたとすると、角部CIを起点としてクラックが発生する。そして、このクラックは、例えばビアV2と配線M2との界面に向かってクラックが伸長する。その結果、ビアV2自体が壊れるか、ビアV2が配線M2から剥がれることによって、配線M2と配線M3とが電気的に接続されなくなる。
図9には、このようなクラックの伸長経路を矢印CEで表している。検討例では、矢印CEは角部CIとビアV2の中心VOとを通る直線CLに沿っている。
【0059】
なお、配線M3の形成を起因とするクラックは、配線に電流が流れるなどの半導体装置の動作や、この動作による配線や層間絶縁膜の温度変化など、様々な要因で発生する。そのため、
図10に示すように、このようなクラックが、絶縁層IL2上および配線M3上に保護膜PAを形成した際や、製品として半導体装置を使用している際にも発生する可能性がある。
【0060】
以上より、配線形成時の熱応力およびオーバーエッチングに起因するクラックによってビアがオープン不良となることがわかった。そのため、このようなビアのオープン不良を防止して、半導体装置の信頼性を向上することが望まれる。
【0061】
<実施の形態1の主要な特徴について>
以下、実施の形態1の主要な特徴について説明する。
図11は、実施の形態1の半導体装置SD1aにおいて、
図1のB-B線に沿って切断した構造における第1ビアと第2ビアとの位置関係を示す要部断面図である。
図12は、実施の形態1の半導体装置SD1aにおいて、
図1のB-B線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【0062】
図1、
図11および
図12に示すように、実施の形態1の半導体装置SD1aの主要な特徴の一つは、配線M2と配線M3とに接触するビア(第1ビア)V2の他に、配線M2と同一の配線層に形成されたダミー配線(第1導体パターン)DMと配線M3とに接触する複数のダミービア(第2ビア)DV1,DV2,DV3,DV4を有していることである。
【0063】
また、ダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されている。すなわち、平面視において、ダミー配線(第2導体パターン)DMおよびダミービア(第3ビア)DV1,DV2,DV3,DV4は、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、ダミー配線(第1導体パターン)DMおよびダミービア(第2ビア)DV1,DV2,DV3,DV4とそれぞれ対称的に配置されている。
【0064】
そして、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4のうちの隣り合うダミービア間の距離Dai(距離Da1,Da2,Da3)は、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4のうちのいずれかとビアV2との間の距離Dbi(距離Db1,Db2,Db3,Db4)のいずれよりも短い。また、平面視において、ダミービアDV1と角部CIとの間の距離は、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも短い。また、ダミービアDV4と角部CIとの間の距離は、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも長い。
【0065】
実施の形態1では、このような構成を採用したことにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。以下、その理由について具体的に説明する。
【0066】
前述したように、配線M2よりも厚い配線M3の形成を起因とするクラックは、角部CIを起点とするものが最も多く発生する。そのため、実施の形態1では、ビアV2の他に、ダミービアDV1を設け、平面視において、角部CIとダミービアDV1との間の距離が、角部CIとビアV2との間の距離よりも短くなるようにしている。こうすることで、
図11に示すように、角部CIを起点としたクラックは、矢印CEで示すように、ビアV2よりも角部CIに近いダミービアDV1に向けて伸長する。すなわち、ビアV2が壊れる代わりにダミービアDV1が壊れ、ビアV2が壊れずに済む。
【0067】
ただし、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックが、さらに別のビアに向かって伸長する可能性がある。そのため、単にダミービアDV1をビアV2よりも角部CIに近い位置に配置しただけでは、ビアV2にクラックが伸長する可能性を低減することはできない。そこで、実施の形態1では、ダミービアDV2をさらに設け、ダミービアDV1と、ダミービアDV1に隣り合うダミービアDV2との間の距離を、ダミービアDV1とビアV2との間の距離よりも短くしている。こうすることで、
図12に示すように、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックは、ビアV2よりもダミービアDV1に近いダミービアDV2に向けて伸長する。すなわち、ビアV2が壊れる代わりにダミービアDV2が壊れ、ビアV2が壊れずに済む。
【0068】
続いて、ダミービアDV2と、ダミービアDV2に隣り合うダミービアDV3との間の距離は、ダミービアDV2とビアV2との間の距離よりも短い。こうすることで、
図12に示すように、ダミービアDV1からダミービアDV2に伸長したクラックは、ビアV2よりもダミービアDV2に近いダミービアDV3に向けて伸長する。すなわち、ビアV2が壊れる代わりにダミービアDV3が壊れ、ビアV2が壊れずに済む。
【0069】
続いて、ダミービアDV3と、ダミービアDV3に隣り合うダミービアDV4との間の距離は、ダミービアDV3とビアV2との間の距離よりも短い。こうすることで、
図12に示すように、ダミービアDV2からダミービアDV3に伸長したクラックは、ビアV2よりもダミービアDV3に近いダミービアDV4に向けて伸長する。すなわち、ビアV2が壊れる代わりにダミービアDV4が壊れ、ビアV2が壊れずに済む。
【0070】
そして、ダミービアDV4と角部CIとの間の距離は、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも長い。そのため、角部CIからダミービアDV1,DV2,DV3を経由してダミービアDV4へと伸長したクラックは、伸長方向が大きく異なるビアV2に伸長する可能性が低い。その結果、ビアV2が壊れずに済む。
【0071】
以上より、実施の形態1では、平面視において、ダミービアDV1と角部CIとの間の距離は、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも短くして、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4のうちの隣り合うダミービア間の距離Daiを、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4のうちのいずれかとビアV2との間の距離Dbiのいずれよりも短くしている。そして、ダミービアDV4と角部CIとの間の距離を、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも長くしている。こうすることで、配線形成時の熱応力およびオーバーエッチングに起因するクラックが角部CIに発生した際に、このクラックをビアV2よりもクラックが伸長しやすいダミービアDV1,DV2,DV3,DV4に誘導して、ビアV2がオープン不良となる事態を防止することができる。
【0072】
また、本発明者の検討により、クラックは、導体膜と絶縁層との間を剥離するように伸長しやすいことがわかっている。ここで、実施の形態1では、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、いずれもダミーメタルDMに接触している。そのため、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックは、絶縁層IL2とダミーメタルDMとの間を剥離するようにダミービアDV2へと伸長しやすい。同様に、ダミービアDV2に伸長したクラックは、絶縁層IL2とダミーメタルDMとの間を剥離するようにダミービアDV3へと伸長しやすい。同様に、ダミービアDV3に伸長したクラックは、絶縁層IL2とダミーメタルDMとの間を剥離するようにダミービアDV4へと伸長しやすい。このように、実施の形態1では、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックをダミービアDV2,DV3,DV4へと確実に誘導することができる。その結果、角部CIから発生したクラックがビアV2に伸長することを防止して、配線M2と配線M3とが電気的に接続されなくなる事態を防止することができる。
【0073】
以上より、実施の形態1では、配線形成時のオーバーエッチングに起因するクラックをダミービアに誘導することによって、ビアがオープン不良となることを防止し、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0074】
また、
図1に示すように、実施の形態1では、平面視において、絶縁層IL2の段部STaと段部STbとの交点、すなわち角部CIは、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで2箇所存在するが、どちらの角部CIもその形状や配置が等しい。そのため、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生する。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そこで、実施の形態1では、ダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置することで、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1にクラックを誘導することができる。そして、ダミービアDV1に伸長したクラックを、そのダミービアDV1に近いダミービアDV2,DV3,DV4へと誘導することができる。
【0075】
また、実施の形態1の半導体装置SD1aの主要な特徴の他の一つは、ビアV2が、角部CIとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上にないことである。
【0076】
前述したように、
図1に示すように、角部CIを起点としたクラックは、矢印CEで示すように、ビアV2よりも角部CIに近いダミービアDV1に向けて伸長する。ここで、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックが、角部CIとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CLに沿って伸長する可能性がある。そのため、もしビアV2が直線CL上の点VOの位置にあったとすると、ダミービアDV1に最も近いダミービアDV2に向かって伸長せず、点VOの位置にあるビアV2に向かって伸長するおそれがある。
【0077】
そこで、実施の形態1では、ビアV2を直線CL上に形成しないことで、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックが、ビアV2に向かって伸長する可能性を低減することができる。
【0078】
そして、実施の形態1では、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4は、ダミー配線DMの長さ方向に沿って、一直線上(B-B線上)に並んでいる。そのため、ダミービアDV1に伸長したクラックを、そのダミービアDV1に近いダミービアDV2に誘導することができれば、ダミービアDV2に伸長したクラックがそのダミービアDV2と同一直線上にあるダミービアDV3,DV4に伸長しやすくなる。その結果、クラックがビアV2に向かって伸長する可能性をより低減することができる。
【0079】
実施の形態1では、(1)ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4のうちの隣り合うダミービア間の距離Daiは、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4のうちのいずれかとビアV2との間の距離Dbiのいずれよりも短い、という構成と、(2)ビアV2が角部CIとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上にない、という構成との両方を備えている場合を例に説明した。ただし、前記(1)の構成を有していれば、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックをダミービアDV2,DV3,DV4へと誘導することができため、前記(2)は必須の構成ではない。
【0080】
しかし、ビアV2を直線CL上に形成しないことで、角部CIからダミービアDV1に伸長したクラックが、ビアV2に向かって伸長する可能性を低減することができるという点で、前記(1)の構成と、前記(2)の構成との両方を備えていることが好ましい。
【0081】
また、実施の形態1では、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4と4つのダミービアを有している場合を例に説明したが、これに限定されず、隣り合うダミービア間の距離Daiが、ダミービアのいずれかとビアとの間の距離Dbiのいずれよりも短いという条件を満たせば、ダミービアの数はいくつでもよい。クラックがビアに向かって伸長する可能性を低減するためには、ダミービアの数は多い方が好ましい。一方、設計コストや製造コストを低減するためには、ダミービアの数は少ない方が好ましい。
【0082】
また、前述したように、ダミー配線DMは、実際の配線として用いられるものであってもよいし、ダミービアDV1,DV2,DV3,DV4も、実際のビアとして用いられるものであってもよい。そのため、ダミー配線DMは、配線M2と直接接触していてもよいし、配線M2と一体に形成されていてもよい。ただし、前述したように、クラックは、導体膜と絶縁層との間を剥離するように伸長しやすい。そのため、ビアV2にクラックが伸長するのを確実に防止するためには、ダミー配線DMは配線M2と別体に形成され、ダミー配線DMと配線M2とは、互いに接触していないことが好ましい。
【0083】
<ダミービアの配置について>
ここで、ダミービアDV1の配置の最適化について検討する。
図13は、実施の形態1の半導体装置SD1aにおいて、平面視におけるビアV2とダミービアDV1との位置関係を示す拡大平面図である。
図14は、実施の形態1の半導体装置SD1aにおいて、平面視におけるダミービアDV1の位置とダミービアDV1の底部にかかる応力との関係を示すグラフである。
図15は、実施の形態1の半導体装置SD1aにおいて、平面視におけるダミービアDV1の位置と角部CIにかかる応力との関係を示すグラフである。
【0084】
まず、
図13に示すように、平面視において、配線M3の長さ方向に沿った軸をy軸とし、配線M3の幅方向に沿った軸をz軸とする。そして、角部CIのうちの1つの座標を(y,z)=(0.0,0.0)とする。ここでは角部CIのうちのもう1つの座標を(y,z)=(0.0,4.0)とし、ビアV2の座標を(y,z)=(2.0,2.0)とする。以上を前提として、ダミービアDV1の座標(y,z)を変化させたときのダミービアDV1の底部にかかる応力と、角部CIにかかる応力とをシミュレーションにより調べた。
【0085】
図14は、ダミービアDV1の座標(y,z)を変化させたときのダミービアDV1の底部にかかるミーゼス応力を示している。ミーゼス応力とは、物体内部に生じる応力状態を単一の値で示すために用いられる相当応力の一つである。
図14に示すように、ダミービアDV1の座標を変化させたとき、ダミービアDV1の位置が(y,z)=(0.25,0.25)および(y,z)=(0.25,3.75)のときに、ダミービアDV1の底部の応力が最大となる。すなわち、ダミービアDV1を角部CIに最も接近させた際に、ダミービアDV1の底部に最大の応力が生じる。そして、ダミービアDV1を段部STa(角部CI)から遠ざければ遠ざけるほど、ダミービアDV1の底部にかかるミーゼス応力は小さくなっていく。
【0086】
また、
図15は、ダミービアDV1の座標(y,z)を変化させたときの角部CIにかかるミーゼス応力を示している。
図15に示すように、ダミービアDV1の座標を変化させたとき、角部CIにかかる応力は、ダミービアDV1の位置にかかわらず、ほぼ一定である。
【0087】
以上より、平面視において、ダミービアDV1と角部CIとの間の距離を、ビアV2と角部CIとの間の距離よりも短くすることで、ダミービアDV1の底部に生じる応力をビアV2の底部に生じる応力よりも大きくすることができる。こうすることで、
図1に示すように、角部CIを起点としたクラックは、矢印CEで示すように、ビアV2よりも角部CIに近いダミービアDV1に向けて伸長する。すなわち、ビアV2が壊れる代わりにダミービアDV1が壊れ、ビアV2が壊れずに済む。なお、
図14および
図15に示す結果からわかるように、角部CIからダミービアDV1にクラックを確実に誘導するためには、ダミービアDV1は、平面視において、角部CIにできるだけ近づけて配置することが好ましい。
【0088】
(変形例1)
上記実施の形態1の第1の変形例(以下、変形例1)の半導体装置について説明する。
図16は、変形例1の半導体装置SD1bを示す拡大平面図である。
【0089】
図16に示すように、変形例1では、平面視において、配線M3の2箇所の角部のうちの一方において、角部CIaが鋭角に形成されており、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鋭角に形成されている。なお、配線M3のもう1つの角部CIbは、鋭角には形成されておらず、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鋭角に形成されていない。
【0090】
また、平面視において、配線M2およびビアV2は、配線M3の幅方向端部を通る直線Cea,Cebと平行な直線Cvに沿って形成されている。鋭角に形成された角部CIa側の直線Ceaと直線Cvとの距離は、鋭角に形成されていない角部CIb側の直線Cebと直線Cvとの距離よりも長い。すなわち、鋭角に形成された角部CIa側の直線Ceaと直線Cvとの距離は、鋭角に形成された角部CIa側の直線Ceaと配線M3の幅方向中央を通る直線Coとの距離よりも長い。
【0091】
以上の点が、変形例1の半導体装置SD1bと上記実施の形態1の半導体装置SD1aとの相違点である。変形例1の半導体装置SD1bのそれ以外の構成は、上記実施の形態1の半導体装置SD1aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0092】
前述したように、
図1に示す実施の形態1では、平面視において、2箇所の角部CIは、どちらもその形状や配置が等しい。従って、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生し、その結果、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そのため、ダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。
【0093】
一方、
図16に示す変形例1では、平面視において、一方の角部CIaは鋭角に形成されているため、もう一方の角部CIbよりも角部CIaの方が発生する応力ひずみの大きさが大きい。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIaを起点として発生する確率は、角部CIbを起点として発生する確率よりも高い。
【0094】
従って、変形例1では、角部CIa付近にダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を配置している。こうすることで、角部CIaを起点として発生したクラックを、角部CIaに最も近いダミービアDV1に確実に誘導することができる。そして、実施の形態1と同様に、ダミービアDV1からダミービアDV2へ、ダミービアDV2からダミービアDV3へ、ダミービアDV3からダミービアDV4へとクラックを誘導して、ビアV2にクラックが伸長することを防止することができる。
【0095】
また、変形例1では、角部CIaを鋭角に形成することで、角部CIbを起点としたクラックが相対的に発生しにくくなるため、角部CIb付近にダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を配置する必要がなくなる。
【0096】
そして、変形例1では、配線M2およびビアV2は、鋭角に形成された角部CIa側の直線Ceaに対する距離が、配線M3の幅方向中央を通る直線Coよりも長い直線Cv上に形成されている。前述したように、配線M3の形成を起因とするクラックが鋭角に形成された角部CIaを起点として発生する確率は、角部CIbを起点として発生する確率よりも高い。そのため、ビアV2をあらかじめ角部CIaから遠ざけておくことで、角部CIaを起点として発生したクラックが、ビアV2に伸長するのを防止することができる。
【0097】
以上より、変形例1では、上記実施の形態1と同様に、配線M3の形成を起因とするクラックが、ビアV2に伸長してビアV2が壊れオープン不良となる事態を防止することができる。なお、変形例1は、角部CIb付近にダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を配置する必要がなくなり、製造コストを低減することができるという点で、上記実施の形態1よりも有利である。一方、上記実施の形態1は、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1にクラックを誘導して、ビアV2の破壊を防止できる点で、変形例1よりも有利である。
【0098】
(変形例2)
上記実施の形態1の第2の変形例(以下、変形例2)の半導体装置について説明する。
図17は、変形例2の半導体装置SD1cを示す拡大平面図である。
【0099】
図17に示すように、変形例2では、平面視において、配線M3の2箇所の角部のうちの一方において、角部CIdが鈍角に形成されており(すなわち、角部CIdが面取りされており)、その結果、絶縁層IL2においても、角部が鈍角に形成されている。特に、変形例2では、平面視において、角部CIdは矩形の角を内側に後退させた構造になっている。なお、配線M3のもう1つの角部CIcは、鈍角には形成されておらず、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鈍角に形成されていない。
【0100】
また、平面視において、配線M2およびビアV2は、配線M3の幅方向端部を通る直線Cec,Cedと平行な直線Cvに沿って形成されている。鈍角に形成されていない角部CIc側の直線Cecと直線Cvとの距離は、鈍角に形成された角部CId側の直線Cedと直線Cvとの距離よりも長い。すなわち、鈍角に形成された角部CId側の直線Cedと直線Cvとの距離は、鈍角に形成された角部CId側の直線Cedと配線M3の幅方向中央を通る直線Coとの距離よりも短い。
【0101】
以上の点が、変形例2の半導体装置SD1cと上記実施の形態1の半導体装置SD1aとの相違点である。変形例2の半導体装置SD1cのそれ以外の構成は、上記実施の形態1の半導体装置SD1aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0102】
前述したように、
図1に示す実施の形態1では、平面視において、2箇所の角部CIは、どちらもその形状や配置が等しい。従って、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生し、その結果、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そのため、ダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。
【0103】
一方、
図17に示す変形例2では、平面視において、一方の角部CIdは鈍角に形成されているため、もう一方の角部CIcよりも角部CIdの方が発生する応力ひずみの大きさが小さい。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIdを起点として発生する確率は、角部CIcを起点として発生する確率よりも低い。
【0104】
従って、変形例2では、角部CIc付近にダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を配置している。こうすることで、角部CIcを起点として発生したクラックを、角部CIcに最も近いダミービアDV1に確実に誘導することができる。そして、実施の形態1と同様に、ダミービアDV1からダミービアDV2へ、ダミービアDV2からダミービアDV3へ、ダミービアDV3からダミービアDV4へとクラックを誘導して、ビアV2にクラックが伸長することを防止することができる。
【0105】
また、変形例2では、角部CIdを鈍角に形成することで、角部CIdを起点としたクラックが相対的に発生しにくくなるため、角部CId付近にダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を配置する必要がなくなる。
【0106】
そして、変形例2では、配線M2およびビアV2は、鈍角に形成された角部CId側の直線Cedに対する距離が、配線M3の幅方向中央を通る直線Coよりも短い直線Cv上に形成されている。前述したように、配線M3の形成を起因とするクラックが鈍角に形成された角部CIdを起点として発生する確率は、角部CIcを起点として発生する確率よりも低い。そのため、ビアV2をあらかじめ角部CIdに近づけることによって、ビアV2を相対的に角部CIcから遠ざけ、角部CIcを起点として発生したクラックが、ビアV2に伸長するのを防止することができる。
【0107】
以上より、変形例2では、上記実施の形態1と同様に、配線M3の形成を起因とするクラックが、ビアV2に伸長してビアV2が壊れオープン不良となる事態を防止することができる。なお、変形例2は、角部CId付近にダミー配線DMおよびダミービアDV1,DV2,DV3,DV4を配置する必要がなくなり、製造コストを低減することができるという点で、上記実施の形態1よりも有利である。一方、上記実施の形態1は、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1にクラックを誘導して、ビアV2の破壊を防止できる点で、変形例2よりも有利である。
【0108】
(実施の形態2)
実施の形態2の半導体装置について説明する。
図18は、実施の形態2の半導体装置SD2aを示す拡大平面図である。
図19は、実施の形態2の半導体装置SD2aにおいて、
図18のB-B線に沿って切断した構造を示す要部断面図である。
【0109】
図18には、実施の形態2の半導体装置SD2aにおける、配線M2,M3、ダミー配線DM2、ビアV2およびダミービアDV1a,DV1b,DV2a,DV2bの平面配置を表すために、それ以外の部材を省略した拡大平面図を示している。
【0110】
図18に示すように、実施の形態2の半導体装置SD2aでは、平面視において、配線M3の長さ方向に沿って、配線M3の幅方向両端部にダミー配線(第1導体パターン)DM2がそれぞれ形成されている。そして、配線M3の下面(底面)とダミー配線DM2の上面とにそれぞれ接触するように、ダミービアDV1a,DV1b,DV2a,DV2bが配置されている。ダミービアDV1a,DV1b,DV2a,DV2bは、例えば、タングステン(W)膜からなる。
【0111】
ダミービアDV1aと、ダミービアDV1bとは、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されている。ダミービアDV1aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV1bが接するダミー配線DM2とは、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されている。ダミービアDV2aと、ダミービアDV2bとは、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されている。ダミービアDV2aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV2bが接するダミー配線DM2とは、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されている。
【0112】
平面視において、ダミー配線DM2は、正方形状に形成されている。ダミー配線DM2の1辺の長さは、配線M3の幅よりも小さく、かつ、配線M2の幅と同じか、それよりも大きい。
【0113】
ダミービアDV1aは、ダミービアDV1a,DV2aの中で、角部CIに最も近い。ビアDV2と角部CIとの間の距離は、ダミービアDV2aと角部CIとの間の距離よりも長い。また、ダミービアDV1bは、ダミービアDV1b,DV2bの中で、角部CIに最も近い。ビアDV2と角部CIとの間の距離は、ダミービアDV2bと角部CIとの間の距離よりも長い。
【0114】
平面視において、ダミービア(第4ビア)DV2aの中心DVO2aは、角部(第1角部)CIとダミービア(第2ビア)DV1aの中心DVO1aとを通る直線CLa上にある。ダミービア(第5ビア)DV2bの中心DVO2bは、角部(第2角部)CIとダミービア(第3ビア)DV1bの中心DVO1bとを通る直線CLb上にある。一方、平面視において、ビアV2は、直線CLa上および直線CLb上にはない。
【0115】
以下、実施の形態2の半導体装置SD2aの断面構造について、
図18のB-B線に沿った要部断面図に基づいて説明する。
【0116】
図19に示すように、実施の形態2の半導体装置SD2aは、基板SBの素子分離膜EIが形成されている領域において、絶縁層IL1上にダミー配線DM2が形成されている。配線M2およびダミー配線DM2は、同層(同一の配線層)に形成されている。
【0117】
また、
図19に示すように、絶縁層IL2には、スルーホールが形成され、前記スルーホール内に導電性のダミービア(ダミープラグ)DV1a,DV2bが埋め込まれている。ダミービアDV1a,DV2bは、配線M3とダミー配線DM2との間にそれぞれ配置され、配線M3の下面(底面)とダミー配線DM2とにそれぞれ接触している。
【0118】
以上の点が、実施の形態2の半導体装置SD2aと上記実施の形態1の半導体装置SD1aとの相違点である。実施の形態2の半導体装置SD2aのそれ以外の構成は、上記実施の形態1の半導体装置SD1aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0119】
まず、角部CIから、角部CIに最も近いダミービアDV1aにクラックが伸長するのは、上記実施の形態1と同様である。ここで、前述したように、角部CIからダミービアDV1aに伸長したクラックが、角部CIとダミービアDV1aの中心DVO1aとを通る直線CLaに沿って伸長する可能性がある。そこで、この性質を利用して、ダミービアDV2aの中心DVO2aを直線CLa上に配置する。そして、ビアV2は、直線CLa上に配置しない。こうすることで、ダミービアDV1aに伸長したクラックをダミービアDV2aに誘導することができ、ビアV2にクラックが伸長することを防止することができる。
【0120】
同様に、角部CIから、角部CIに最も近いダミービアDV1bにクラックが伸長する。ここで、ダミービアDV2bの中心DVO2bを直線CLb上に配置する。そして、ビアV2は、直線CLb上に配置しない。こうすることで、ダミービアDV1bに伸長したクラックをダミービアDV2bに誘導することができ、ビアV2にクラックが伸長することを防止することができる。
【0121】
そして、ビアV2と角部CIとの間の距離は、ダミービアDV2a,DV2bと角部CIとの間の距離よりも長い。すなわち、ビアV2とダミービアDV1aとの間の距離は、ダミービアDV2a,DV2bとダミービアDV1aとの間の距離よりも長い。そのため、ダミービアDV1aに伸長したクラックがダミービアDV2aに伸長しなかったとしても、このクラックはダミービアDV1aに最も近いダミービアDV2bに伸長することになる。その結果、ビアV2が壊れずに済む。
【0122】
以上より、実施の形態2では、角部CIとダミービアDV1a,DV2aとを一直線上に配置することで、角部CIからダミービアDV1aに伸長したクラックが、ビアV2に向かって伸長する可能性を低減することができる。そして、角部CIとダミービアDV1b,DV2bとを一直線上に配置することで、角部CIからダミービアDV1bに伸長したクラックが、ビアV2に向かって伸長する可能性を低減することができる。
【0123】
実施の形態2は、角部CIとダミービアDV1a,DV2aとを一直線上に配置するという条件、および、角部CIとダミービアDV1b,DV2bとを一直線上に配置するという条件をそれぞれ満たせば、ある程度自由にレイアウト変更が可能である点で、上記実施の形態1よりも有利である。一方、上記実施の形態1は、ダミービア同士の距離が短いため、ダミービアからダミービアへとクラックを誘導しやすく、ビアにクラックが伸長する可能性を低減しやすいという点で、実施の形態2よりも有利である。
【0124】
(変形例3)
上記実施の形態2の第1の変形例(以下、変形例3)の半導体装置について説明する。
図20は、変形例3の半導体装置SD2bを示す拡大平面図である。
【0125】
図20に示すように、変形例3では、平面視において、配線M3の2箇所の角部CIのうちの一方において、角部CIaが鋭角に形成されており、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鋭角に形成されている。なお、配線M3のもう1つの角部CIbは、鋭角には形成されておらず、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鋭角に形成されていない。
【0126】
そして、角部CIa付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2が配置されている。そして、角部CIaとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上に、ダミービアDV2の中心DVO2がのるように、ダミービアDV2が配置されている。
【0127】
以上の点が、変形例3の半導体装置SD2bと上記実施の形態2の半導体装置SD2aとの相違点である。変形例3の半導体装置SD2bのそれ以外の構成は、上記実施の形態2の半導体装置SD2aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0128】
前述したように、
図18に示す実施の形態2では、平面視において、2箇所の角部CIは、どちらもその形状や配置が等しい。従って、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生し、その結果、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そのため、ダミービアDV1aおよびダミービアDV1aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV1bおよびダミービアDV1bが接するダミー配線DM2とを、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。そして、ダミービアDV2aおよびダミービアDV2aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV2bおよびダミービアDV2bが接するダミー配線DM2とを、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。
【0129】
一方、
図20に示す変形例3では、平面視において、一方の角部CIaは鋭角に形成されているため、もう一方の角部CIbよりも角部CIaの方が発生する応力ひずみの大きさが大きい。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIaを起点として発生する確率は、角部CIbを起点として発生する確率よりも高い。
【0130】
従って、変形例3では、角部CIa付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2を配置している。そして、角部CIaとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上に、ダミービアDV2を配置している。こうすることで、角部CIaを起点として発生したクラックを、角部CIaに最も近いダミービアDV1に確実に誘導することができる。そして、実施の形態2と同様に、ダミービアDV1からダミービアDV2へとクラックを誘導して、ビアV2にクラックが伸長することを防止することができる。
【0131】
また、変形例3では、角部CIaを鋭角に形成することで、角部CIbを起点としたクラックが相対的に発生しにくくなるため、角部CIb付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなる。そして、角部CIbとダミービアDV1とを通る直線上に、ダミービアDV2を配置する必要もなくなる。
【0132】
以上より、変形例3では、上記実施の形態2と同様に、配線M3の形成を起因とするクラックが、ビアV2に伸長してビアV2が壊れオープン不良となる事態を防止することができる。なお、変形例3は、角部CIb付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなり、角部CIbとダミービアDV1とを通る直線上に、ダミービアDV2を配置する必要もなくなるため、製造コストを低減することができ、上記実施の形態2よりも有利である。一方、上記実施の形態2は、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1にクラックを誘導して、ビアV2の破壊を防止できる点で、変形例3よりも有利である。
【0133】
(変形例4)
上記実施の形態2の第2の変形例(以下、変形例4)の半導体装置について説明する。
図21は、変形例4の半導体装置SD2cを示す拡大平面図である。
【0134】
図21に示すように、変形例4では、平面視において、配線M3の2箇所の角部のうちの一方において、角部CIdが鈍角に形成されており(すなわち、角部CIdが面取りされており)、その結果、絶縁層IL2においても、角部が鈍角に形成されている。特に、変形例4では、平面視において、角部CIdは矩形の角を内側に後退させた構造になっている。なお、配線M3のもう1つの角部CIcは、鈍角には形成されておらず、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鈍角に形成されていない。
【0135】
そして、角部CIc付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2が配置されている。そして、角部CIcとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上に、ダミービアDV2の中心DVO2がのるように、ダミービアDV2が配置されている。
【0136】
以上の点が、変形例4の半導体装置SD2cと上記実施の形態2の半導体装置SD2aとの相違点である。変形例4の半導体装置SD2cのそれ以外の構成は、上記実施の形態2の半導体装置SD2aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0137】
前述したように、
図18に示す実施の形態2では、平面視において、2箇所の角部CIは、どちらもその形状や配置が等しい。従って、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生し、その結果、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そのため、ダミービアDV1aおよびダミービアDV1aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV1bおよびダミービアDV1bが接するダミー配線DM2とを、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。そして、ダミービアDV2aおよびダミービアDV2aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV2bおよびダミービアDV2bが接するダミー配線DM2とを、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。
【0138】
一方、
図21に示す変形例4では、平面視において、一方の角部CIdは鈍角に形成されているため、もう一方の角部CIcよりも角部CIdの方が発生する応力ひずみの大きさが小さい。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIdを起点として発生する確率は、角部CIcを起点として発生する確率よりも低い。
【0139】
従って、変形例4では、角部CIc付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2を配置している。そして、角部CIcとダミービアDV1の中心DVO1とを通る直線CL上に、ダミービアDV2を配置している。こうすることで、角部CIcを起点として発生したクラックを、角部CIcに最も近いダミービアDV1に確実に誘導することができる。そして、実施の形態2と同様に、ダミービアDV1からダミービアDV2へとクラックを誘導して、ビアV2にクラックが伸長することを防止することができる。
【0140】
また、変形例4では、角部CIdを鈍角に形成することで、角部CIdを起点としたクラックが相対的に発生しにくくなるため、角部CId付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなる。そして、角部CIdとダミービアDV1とを通る直線上に、ダミービアDV2を配置する必要もなくなる。
【0141】
以上より、変形例4では、上記実施の形態2と同様に、配線M3の形成を起因とするクラックが、ビアV2に伸長してビアV2が壊れオープン不良となる事態を防止することができる。なお、変形例4は、角部CId付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなり、角部CIdとダミービアDV1とを通る直線上に、ダミービアDV2を配置する必要もなくなるため、製造コストを低減することができ、上記実施の形態2よりも有利である。一方、上記実施の形態2は、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1にクラックを誘導して、ビアV2の破壊を防止できる点で、変形例4よりも有利である。
【0142】
(実施の形態3)
実施の形態3の半導体装置について説明する。
図22は、実施の形態3の半導体装置SD3aを示す拡大平面図である。
【0143】
図22には、実施の形態3の半導体装置SD3aにおける、配線M2,M2a,M3、ダミー配線DM2、ビアV2a,V2bおよびダミービアDV1a,DV1bの平面配置を表すために、それ以外の部材を省略した拡大平面図を示している。
【0144】
図22に示すように、実施の形態3の半導体装置SD3aでは、配線M2の長さ方向一端部に配線M2よりも幅の大きい配線M2aが形成されている。配線M2と配線M2aとは一体に形成されている。ビアV2a,V2bは、配線M3と配線M2aとに接触するように配置されている。
【0145】
また、
図22に示すように、平面視において、配線M3の長さ方向に沿って、配線M3の幅方向両端部にダミー配線(第1導体パターン)DM2がそれぞれ形成されている。そして、配線M3の下面(底面)とダミー配線DM2の上面とにそれぞれ接触するように、ダミービアDV1a,DV1bが配置されている。
【0146】
ダミービアDV1aおよびダミービアDV1aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV1bおよびダミービアDV1bが接するダミー配線DM2とは、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置されている。
【0147】
ビア(第1ビア)V2aと角部CIとの間の距離は、ダミービアDV1aと角部CIとの間の距離よりも長い。また、ビア(第6ビア)V2bと角部CIとの間の距離は、ダミービアDV1bと角部CIとの間の距離よりも長い。
【0148】
平面視において、ビアV2a,V2bは、角部(第1角部)CIとダミービア(第2ビア)DV1aの中心DVO1aとを結ぶ直線CLa上、および、角部(第2角部)CIとダミービア(第3ビア)DV1bの中心DVO1bとを結ぶ直線CLb上にはない。
【0149】
以上の点が、実施の形態3の半導体装置SD3aと上記実施の形態1の半導体装置SD1aとの相違点である。実施の形態3の半導体装置SD3aのそれ以外の構成は、上記実施の形態1の半導体装置SD1aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0150】
まず、角部CIから、角部CIに最も近いダミービアDV1aにクラックが伸長するのは、上記実施の形態1および実施の形態2と同様である。ここで、前述したように、角部CIからダミービアDV1aに伸長したクラックが、角部CIとダミービアDV1aの中心DVO1aとを通る直線CLaに沿って伸長する可能性がある。また、同様に、角部CIからダミービアDV1bに伸長したクラックが、角部CIとダミービアDV1bの中心DVO1bとを通る直線CLbに沿って伸長する可能性がある。
【0151】
そこで、上記実施の形態2と同様に、この性質を利用して、ビアV2a,V2bは、直線CLa上に配置しない。こうすることで、ダミービアDV1aに伸長したクラックが、ビアV2a,V2bにクラックが伸長することを防止することができる。同様に、ビアV2a,V2bは、直線CLb上に配置しない。こうすることで、ダミービアDV1bに伸長したクラックが、ビアV2a,V2bにクラックが伸長することを防止することができる。
【0152】
ここで、実施の形態3では、上記実施の形態2のダミービアDV2a,DV2bに相当するダミービアを有していない。一方、配線M3と配線M2とを接続するビアV2a,V2bを有している。そのため、ダミービアDV1aに伸長したクラックが、矢印CEaに沿ってダミービアDV1aに近いビアV2aに伸長する可能性があるが、もしビアV2aがこのクラックにより壊れたとしても、ビアV2bが生き残る。同様に、ダミービアDV1bに伸長したクラックが、矢印CEbに沿ってダミービアDV1bに近いビアV2bに伸長する可能性があるが、もしビアV2bがこのクラックにより壊れたとしても、ビアV2aが生き残る。そのため、クラックによる配線間の導通不良を防止することができる。
【0153】
以上より、実施の形態3では、角部CIとダミービアDV1a,DV2aとを一直線上に配置することで、角部CIからダミービアDV1aに伸長したクラックが、ビアV2に向かって伸長する可能性を低減することができる。そして、角部CIとダミービアDV1b,DV2bとを一直線上に配置することで、角部CIからダミービアDV1bに伸長したクラックが、ビアV2に向かって伸長する可能性を低減することができる。
【0154】
実施の形態3は、角部CIの付近にダミービアDV1a,DV1bを配置するのみで、その他のレイアウトに自由度が大きい点で、上記実施の形態1および実施の形態2よりも有利である。一方、上記実施の形態1は、ダミービア同士の距離が短いため、ダミービアからダミービアへとクラックを誘導しやすく、ビアにクラックが伸長する可能性を低減しやすいという点で、実施の形態3よりも有利である。また、上記実施の形態2は、角部と複数のダミービアとを一直線上に配置することで、ダミービアからダミービアへとクラックを誘導しやすく、ビアにクラックが伸長する可能性を低減しやすいという点で、実施の形態3よりも有利である。
【0155】
(変形例5)
上記実施の形態3の第1の変形例(以下、変形例5)の半導体装置について説明する。
図23は、変形例5の半導体装置SD3bを示す拡大平面図である。
【0156】
図23に示すように、変形例5では、平面視において、配線M3の2箇所の角部CIのうちの一方において、角部CIaが鋭角に形成されており、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鋭角に形成されている。なお、配線M3のもう1つの角部CIbは、鋭角には形成されておらず、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鋭角に形成されていない。
【0157】
以上の点が、変形例5の半導体装置SD3bと上記実施の形態3の半導体装置SD3aとの相違点である。変形例5の半導体装置SD3bのそれ以外の構成は、上記実施の形態3の半導体装置SD3aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0158】
前述したように、
図22に示す実施の形態3では、平面視において、2箇所の角部CIは、どちらもその形状や配置が等しい。従って、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生し、その結果、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そのため、ダミービアDV1aおよびダミービアDV1aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV1bおよびダミービアDV1bが接するダミー配線DM2とを、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。
【0159】
一方、
図23に示す変形例5では、平面視において、一方の角部CIaは鋭角に形成されているため、もう一方の角部CIbよりも角部CIaの方が発生する応力ひずみの大きさが大きい。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIaを起点として発生する確率は、角部CIbを起点として発生する確率よりも高い。
【0160】
従って、変形例5では、角部CIa付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2を配置している。こうすることで、角部CIaを起点として発生したクラックを、角部CIaに最も近いダミービアDV1に確実に誘導することができる。
【0161】
また、変形例5では、上記実施の形態3と同様に、ビアV2a,V2bは、直線CL上に配置しない。こうすることで、ダミービアDV1に伸長したクラックが、ビアV2a,V2bにクラックが伸長することを防止することができる。
【0162】
そして、変形例5では、上記実施の形態3と同様に、配線M3と配線M2とを接続するビアV2a,V2bを有している。そのため、ダミービアDV1に伸長したクラックが、矢印CEに沿ってダミービアDV1に近いビアV2aに伸長する可能性があるが、もしビアV2aがこのクラックにより壊れたとしても、ビアV2bが生き残る。そのため、クラックによる配線間の導通不良を防止することができる。
【0163】
また、変形例5では、角部CIaを鋭角に形成することで、角部CIbを起点としたクラックが相対的に発生しにくくなるため、角部CIb付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなる。
【0164】
以上より、変形例5では、上記実施の形態3と同様に、配線M3の形成を起因とするクラックが、ビアV2a,V2bに伸長してビアV2a,V2bが壊れオープン不良となる事態を防止することができる。
【0165】
なお、変形例5は、角部CIb付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなるため、製造コストを低減することができ、上記実施の形態3よりも有利である。一方、上記実施の形態3は、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1a,DV1bにクラックを誘導して、ビアV2a,V2bの破壊を防止できる点で、変形例5よりも有利である。
【0166】
(変形例6)
上記実施の形態3の第2の変形例(以下、変形例6)の半導体装置について説明する。
図24は、変形例6の半導体装置SD3cを示す拡大平面図である。
【0167】
図24に示すように、変形例6では、平面視において、配線M3の2箇所の角部のうちの一方において、角部CIdが鈍角に形成されており(すなわち、角部CIdが面取りされており)、その結果、絶縁層IL2においても、角部が鈍角に形成されている。特に、変形例6では、平面視において、角部CIdは矩形の角を内側に後退させた構造になっている。なお、配線M3のもう1つの角部CIcは、鈍角には形成されておらず、その結果、絶縁層IL2においても、角部は鈍角に形成されていない。
【0168】
そして、角部CIc付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2が配置されている。
【0169】
以上の点が、変形例6の半導体装置SD3cと上記実施の形態3の半導体装置SD3aとの相違点である。変形例6の半導体装置SD3cのそれ以外の構成は、上記実施の形態3の半導体装置SD3aの構成と同一であるため、繰り返しの説明を省略する。
【0170】
前述したように、
図22に示す実施の形態3では、平面視において、2箇所の角部CIは、どちらもその形状や配置が等しい。従って、どちらの角部CIにも等しく応力ひずみが発生し、その結果、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIを起点として発生する確率は、2箇所の角部CIで等しい。そのため、ダミービアDV1aおよびダミービアDV1aが接するダミー配線DM2と、ダミービアDV1bおよびダミービアDV1bが接するダミー配線DM2とを、配線M3の幅方向中央を通る直線(A-A線)を挟んで、対称に配置していた。
【0171】
一方、
図24に示す変形例6では、平面視において、一方の角部CIdは鈍角に形成されているため、もう一方の角部CIcよりも角部CIdの方が発生する応力ひずみの大きさが小さい。そのため、配線M3の形成を起因とするクラックが角部CIdを起点として発生する確率は、角部CIcを起点として発生する確率よりも低い。
【0172】
従って、変形例6では、角部CIc付近にダミービアDV1およびダミービアDV1が接するダミー配線DM2を配置している。こうすることで、角部CIcを起点として発生したクラックを、角部CIcに最も近いダミービアDV1に確実に誘導することができる。
【0173】
また、変形例6では、上記実施の形態3と同様に、ビアV2a,V2bは、直線CL上に配置しない。こうすることで、ダミービアDV1に伸長したクラックが、ビアV2a,V2bにクラックが伸長することを防止することができる。
【0174】
そして、変形例6では、上記実施の形態3と同様に、配線M3と配線M2とを接続するビアV2a,V2bを有している。そのため、ダミービアDV1に伸長したクラックが、矢印CEに沿ってダミービアDV1に近いビアV2aに伸長する可能性があるが、もしビアV2aがこのクラックにより壊れたとしても、ビアV2bが生き残る。そのため、クラックによる配線間の導通不良を防止することができる。
【0175】
また、変形例6では、角部CIdを鈍角に形成することで、角部CIdを起点としたクラックが相対的に発生しにくくなるため、角部CId付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなる。
【0176】
以上より、変形例6では、上記実施の形態3と同様に、配線M3の形成を起因とするクラックが、ビアV2a,V2bに伸長してビアV2a,V2bが壊れオープン不良となる事態を防止することができる。
【0177】
なお、変形例6は、角部CId付近にダミー配線DM2およびダミービアDV1を配置する必要がなくなるため、製造コストを低減することができ、上記実施の形態3よりも有利である。一方、上記実施の形態3は、2箇所の角部CIのいずれを起点としてクラックが発生したとしても、それぞれに最も近いダミービアDV1a,DV1bにクラックを誘導して、ビアV2a,V2bの破壊を防止できる点で、変形例6よりも有利である。
【0178】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0179】
その他、実施の形態に記載された内容に対応するもの或いはその一部を以下に記載する。
【0180】
[付記1]
(a)基板を準備する工程、
(b)前記基板上に第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程の後に、前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程の後に、前記第1導体膜をエッチングすることにより、第1配線および第1導体パターンを形成する工程、
(e)前記(d)工程の後に、前記第1配線および前記第1導体パターンを覆うように第2絶縁膜を形成する工程、
(f)前記(e)工程の後に、前記第2絶縁膜に前記第1配線に達する第1開口部および前記第1導体パターンに達する複数の第2開口部を形成する工程、
(g)前記(f)工程の後に、前記第1開口部内に第1ビアを形成し、前記複数の第2開口部内のそれぞれに複数の第2ビアを形成する工程、
(h)前記(g)工程の後に、前記第2絶縁膜上に前記第1導体膜よりも厚い第2導体膜を形成する工程、
(i)前記(h)工程の後に、前記第2導体膜をエッチングすることにより、第2配線を形成する工程、
を含み、
前記第1配線および前記第2配線は、平面視において、それぞれ長方形状に形成され、
前記第2配線は、前記第1配線よりも厚く、
平面視において、前記複数の第2ビアのうち前記第2配線の第1角部に最も近い第2ビアと前記第1角部との間の第1距離は、前記第1ビアと前記第1角部との間の第2距離よりも短く、
平面視において、前記複数の第2ビアのうち互いに隣り合う第2ビア間の第3距離は、前記複数の第2ビアのうち前記第1ビアに最も近い第2ビアと前記第1ビアとの間の第4距離よりも短い、半導体装置の製造方法。
【0181】
[付記2]
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(i)工程では、平面視において、前記第2絶縁膜のうち、前記第2配線と重ならない領域がオーバーエッチングされ、前記第2絶縁膜の厚さは、平面視において前記第2配線と重なる第1領域よりも、平面視において前記第2配線と重ならない第2領域の方が薄い、半導体装置の製造方法。
【0182】
[付記3]
(a)基板を準備する工程、
(b)前記基板上に第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程の後に、前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程の後に、前記第1導体膜をエッチングすることにより、第1配線および第1導体パターンを形成する工程、
(e)前記(d)工程の後に、前記第1配線および前記第1導体パターンを覆うように第2絶縁膜を形成する工程、
(f)前記(e)工程の後に、前記第2絶縁膜に前記第1配線に達する第1開口部および前記第1導体パターンに達する第2開口部を形成する工程、
(g)前記(f)工程の後に、前記第1開口部内に第1ビアを形成し、前記第2開口部内に第2ビアを形成する工程、
(h)前記(g)工程の後に、前記第2絶縁膜上に前記第1導体膜よりも厚い第2導体膜を形成する工程、
(i)前記(h)工程の後に、前記第2導体膜をエッチングすることにより、第2配線を形成する工程、
を含み、
前記第1配線および前記第2配線は、平面視において、それぞれ長方形状に形成され、
前記第2配線は、前記第1配線よりも厚く、
平面視において、前記第2配線の第1角部と前記第1ビアとの間の距離は、前記第1角部と前記第2ビアとの間の距離よりも長く、
前記第1ビアは、前記第1角部と前記第2ビアとを通る直線上にない、半導体装置の製造方法。
【0183】
[付記4]
付記3記載の半導体装置の製造方法において、
前記(i)工程では、平面視において、前記第2絶縁膜のうち、前記第2配線と重ならない領域がオーバーエッチングされ、前記第2絶縁膜の厚さは、平面視において前記第2配線と重なる第1領域よりも、平面視において前記第2配線と重ならない第2領域の方が薄い、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0184】
CD2,CD3 導体膜
CI,CIa,CIb,CIc,CId 角部
DM,DM2 ダミー配線
DV1,DV1a,DV1b,DV2,DV2a,DV2b,DV3,DV4 ダミービア
EI 素子分離膜
IL1,IL2,IL3 絶縁層
M2,M2a,M3 配線
PA 保護膜
SB 基板
SD101,SD1a,SD1b,SD1c,SD2a,SD2b,SD2c,SD3a,SD3b,SD3c 半導体装置
STa,STb 段部
V1,V2,V2a,V2b ビア