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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】多連式サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/04 20060101AFI20220609BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20220609BHJP
   B41J 3/54 20060101ALI20220609BHJP
   B41J 3/62 20060101ALI20220609BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
B41J11/04
B41J2/325 A
B41J3/54 A
B41J3/62
B41J2/32 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018124975
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020001340
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390034223
【氏名又は名称】イーデーエム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】平澤 亜紀彦
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-008543(JP,A)
【文献】特開2015-199205(JP,A)
【文献】特開平04-189165(JP,A)
【文献】特開昭61-120778(JP,A)
【文献】特開2014-208492(JP,A)
【文献】特開2013-215944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 2/315-2/345
B41J 2/42-2/425
B41J 2/475-2/48
B41J 3/01-3/54
B41J 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被印刷物それぞれに印刷部を印刷するプリントヘッドを有する複数のプリントユニットと、
前記複数のプリントヘッドそれぞれとの間に被印刷物それぞれを配置した状態で対向する複数の印字受けローラ本体と、前記複数の印字受けローラ本体に跨って配置されるローラ回転軸部材と、を有する印字受けローラ構成部と、
前記ローラ回転軸部材を回転駆動可能な回転駆動部と、
前記ローラ回転軸部材と前記印字受けローラ本体それぞれとの間に設けられ、前記ローラ回転軸部材を前記回転駆動部により回転駆動した場合に前記ローラ回転軸部材と前記複数の印字受けローラ本体とが連結する連結状態と、前記ローラ回転軸部材が回転しない場合に前記ローラ回転軸部材と前記印字受けローラ本体とが連結しない非連結状態と、に切り替え可能な複数のクラッチ部と、
前記複数のクラッチ部が前記連結状態となって前記複数の印字受けローラ本体が同時に回転した状態において、複数のプリントヘッドそれぞれが複数の被印刷物それぞれに対して同時に印刷動作を実行するように制御する制御部と、を備え
前記クラッチ部は、ワンウェイクラッチで構成され、
前記回転駆動部が前記ローラ回転軸部材を回転駆動した場合に、前記ローラ回転軸部材が前記複数の印字受けローラ本体に対して第1回転方向に相対的に回転することで、前記ワンウェイクラッチが前記連結状態となり、前記ローラ回転軸部材の回転に連動させて前記複数の印字受けローラ本体を同時に回転させ、
前記回転駆動部が前記ローラ回転軸部材を回転駆動しない場合に、移送された被印刷物が前記印字受けローラ本体の表面との摩擦抵抗により前記ローラ回転軸部材が前記印字受けローラ本体に対して前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に相対的に回転することで、前記ワンウェイクラッチが前記非連結状態で、被印刷物それぞれの移送速度に応じて前記複数の印字受けローラ本体それぞれが回転される多連式サーマルプリンタ。
【請求項2】
被印刷物への印刷時において、前記多連式サーマルプリンタに導入される被印刷物それぞれの導入速度が同じであり、前記多連式サーマルプリンタに導入される被印刷物それぞれの導入速度と前記多連式サーマルプリンタから排出される被印刷物それぞれの排出速度とを維持しつつ、前記複数のプリントヘッドそれぞれに所定の供給速度で被印刷物それぞれを供給する供給機構を更に備える請求項に記載の多連式サーマルプリンタ。
【請求項3】
前記供給機構は、前記複数の印字受けローラ本体それぞれに対応して配置される複数の一対の移動ローラを備え、
前記一対の移動ローラは、所定の離間方向に離間して配置されると共に、被印刷物を前記印字受けローラ本体の上流側においてガイドする上流側移動ローラと、被印刷物を前記印字受けローラ本体の下流側においてガイドする下流側移動ローラと、を有し、
前記一対の移動ローラは、被印刷物に印刷部を印刷する場合に、前記回転駆動部からの回転駆動力により前記ローラ回転軸部材が回転駆動されて前記印字受けローラ本体に巻き掛けられた被印刷物が上流側から下流側に向けて移送されることにより、被印刷物の移送速度に応じて、前記離間方向に直線的に且つ一体的に前記離間方向の一方側又は他方側に移動可能に構成される請求項に記載の多連式サーマルプリンタ。
【請求項4】
複数の前記上流側移動ローラの軸部材は、複数の前記上流側移動ローラに跨って配置される一体の軸部材により構成され、
複数の前記下流側移動ローラの軸部材は、複数の前記下流側移動ローラに跨って配置される一体の軸部材により構成される請求項に記載の多連式サーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多連式サーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの被印刷物を同時に移送する1つの駆動ローラを備え、2つの被印刷物にプリントヘッドにより同時に印刷可能な多連式サーマルプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の多連式サーマルプリンタは、プリントヘッドの制御や被印刷物の移送の駆動を共通化できるため、小型でコストを低減したプリンタを得ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平2-239964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の多連式サーマルプリンタにおいては、1つの駆動ローラで2つの被印刷物を移送している。そのため、例えば、多連式サーマルプリンタが包装機などに組み込まれた場合には、2つの被印刷物を移送する包装機の移送機構が別々に構成されることで、多連式サーマルプリンタに導入される2つの被印刷物の速度がそれぞれ異なることがある。別々の移送機構で移送された2つの被印刷物が多連式サーマルプリンタに導入された場合に、包装機に設けられる1つの駆動ローラで2つの被印刷物を同時に移送することで、2つの被印刷物のいずれか一方又は両方に弛みなどが生じることがある。この場合には、2つの被印刷物に対して安定して所望の位置に印刷が行えずに、2つの被印刷物への印刷品質が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、複数の被印刷物それぞれに印刷部を印刷するプリントヘッドを有する複数のプリントユニットを備え、複数の被印刷物に対して安定した印刷を行うことができる多連式サーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の被印刷物それぞれに印刷部を印刷するプリントヘッドを有する複数のプリントユニットと、前記複数のプリントヘッドそれぞれとの間に被印刷物それぞれを配置した状態で対向する複数の印字受けローラ本体と、前記複数の印字受けローラ本体に跨って配置されるローラ回転軸部材と、を有する印字受けローラ構成部と、前記ローラ回転軸部材を回転駆動可能な回転駆動部と、前記ローラ回転軸部材と前記印字受けローラ本体それぞれとの間に設けられ、前記ローラ回転軸部材を前記回転駆動部により回転駆動した場合に前記ローラ回転軸部材と前記複数の印字受けローラ本体とが連結する連結状態と、前記ローラ回転軸部材が回転しない場合に前記ローラ回転軸部材と前記印字受けローラ本体とが連結しない非連結状態と、に切り替え可能な複数のクラッチ部と、前記複数のクラッチ部が前記連結状態となって前記複数の印字受けローラ本体が同時に回転した状態において、複数のプリントヘッドそれぞれが複数の被印刷物それぞれに対して同時に印刷動作を実行するように制御する制御部と、を備える多連式サーマルプリンタに関する。
【0007】
また、前記クラッチ部は、ワンウェイクラッチで構成され、前記回転駆動部が前記ローラ回転軸部材を回転駆動した場合に、前記ローラ回転軸部材が前記複数の印字受けローラ本体に対して第1回転方向に相対的に回転することで、前記ワンウェイクラッチが前記連結状態となり、前記ローラ回転軸部材の回転に連動させて前記複数の印字受けローラ本体を同時に回転させ、前記回転駆動部が前記ローラ回転軸部材を回転駆動しない場合に、移送された被印刷物が前記印字受けローラ本体の表面との摩擦抵抗により前記ローラ回転軸部材が前記印字受けローラ本体に対して前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に相対的に回転することで、前記ワンウェイクラッチが前記非連結状態で、被印刷物それぞれの移送速度に応じて前記複数の印字受けローラ本体それぞれが回転されることが好ましい。
【0008】
また、被印刷物への印刷時において、前記多連式サーマルプリンタに導入される被印刷物それぞれの導入速度と前記多連式サーマルプリンタから排出される被印刷物それぞれの排出速度とを維持しつつ、前記複数のプリントヘッドそれぞれに所定の供給速度で被印刷物それぞれを供給する供給機構を更に備えることが好ましい。
【0009】
また、前記供給機構は、前記複数の印字受けローラ本体それぞれに対応して配置される複数の一対の移動ローラを備え、前記一対の移動ローラは、所定の離間方向に離間して配置されると共に、被印刷物を前記印字受けローラ本体の上流側においてガイドする上流側移動ローラと、被印刷物を前記印字受けローラ本体の下流側においてガイドする下流側移動ローラと、を有し、前記一対の移動ローラは、被印刷物に印刷部を印刷する場合に、前記回転駆動部からの回転駆動力により前記ローラ回転軸部材が回転駆動されて前記印字受けローラ本体に巻き掛けられた被印刷物が上流側から下流側に向けて移送されることにより、被印刷物の移送速度に応じて、前記離間方向に直線的に且つ一体的に前記離間方向の一方側又は他方側に移動可能に構成されることが好ましい。
【0010】
また、複数の前記上流側移動ローラの軸部材は、複数の前記上流側移動ローラに跨って配置される一体の軸部材として構成され、複数の前記下流側移動ローラの軸部材は、複数の前記下流側移動ローラに跨って配置される一体の軸部材として構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の被印刷物それぞれに印刷部を印刷するプリントヘッドを有する複数のプリントユニットを備え、複数の被印刷物に対して安定した印刷を行うことができる多連式サーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る多連式サーマルプリンタ1の全体構成を説明する側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る多連式サーマルプリンタ1を図1の矢視Aから視た図である。
図3】(a)は、ワンウェイクラッチ42の連結状態を説明する図であり、(b)は、ワンウェイクラッチ42が連結状態にならない状態を説明する図である。
図4】(a)は、一対の移動ローラ61,62がX方向のX1側に移動した状態を示す図であり、(b)は、一対の移動ローラ61,62がX方向のX2側に移動した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図1図4を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多連式サーマルプリンタ1の全体構成を説明する側面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る多連式サーマルプリンタ1を図1の矢視Aから視た図である。図3(a)は、ワンウェイクラッチ42の連結状態を説明する図であり、図3(b)は、ワンウェイクラッチ42が連結状態にならない状態を説明する図である。図4(a)は、一対の移動ローラ61,62がX方向のX1側に移動した状態を示す図であり、図4(b)は、一対の移動ローラ61,62がX方向のX2側に移動した状態を示す図である。
【0014】
なお、以下の説明及び図面において、本実施形態においては、プラテン回転軸部材41が延びる方向をY方向ともいう。Y方向は、長尺フィルムFの幅方向でもある。Y方向における一方側(図1における右側)をY1側ともいい、Y方向における他方側(図1における左側)をY2側ともいう。また、Y方向に直交する方向であって、図2における一対の移動ローラ61,62が離間する方向をX方向ともいう。X方向における一方側(図2図4における右側)をX1側ともいい、X方向における他方側(図2図4における左側)をX2側ともいう。また、上下方向を上下方向Zともいう。
【0015】
本実施形態の多連式サーマルプリンタ1は、例えば、複数の長尺フィルムF(被印刷物)を移送して被包装物を包装する包装機などの印刷工程に使用され、包装機(不図示)における長尺フィルムFの移送経路の途中に配置される。なお、本実施形態の多連式サーマルプリンタ1が用いられる機器は、包装機に限定されない。また、本実施形態においては、2つの長尺フィルムFそれぞれに対して、2台のプリントユニット10それぞれにより印刷動作を実行する場合について説明しているが、これに限定されず、3つ以上の長尺フィルムFそれぞれに対して、3台以上のプリントユニット10それぞれにより印刷動作を実行するように構成してもよい。
【0016】
図1及び図2に示すように、多連式サーマルプリンタ1は、2台のプリントユニット10A,10Bと、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに対向して配置されるプラテンローラ4A,4Bと、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに対応して配置される2つの上流側ガイドローラ51A,51Bと、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに対応して配置される2つの第1下流側ガイドローラ52,52(図2参照、図1には図示せず)と、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに対応して配置される2つの第2下流側ガイドローラ53,53(図2参照、図1には図示せず)と、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに対応して配置される2つの一対の移動ローラ61A,62A、61B,62Bと、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに対応して配置される2つの第3下流側ガイドローラ54A,54Bと、モータ7(回転駆動部)と、制御部8と、を備える。
【0017】
2台のプリントユニット10A,10Bは、図1に示すように、Y方向に並んで配置されている。2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれには、サーマルヘッド21A,21B(プリントヘッド)が取り付けられている。2台のプリントユニット10A,10Bは、Y方向に延びる支持軸部材91a,91bに接続されている。支持軸部材91a,91bは、上下方向Zに離間して配置され、両端部において、保持板91に保持されている。プリントユニット10Aは、Y方向のY1側に配置される。プリントユニット10Bは、Y方向のY2側に配置される。
【0018】
本実施形態においては、多連式サーマルプリンタ1により2つの長尺フィルムFそれぞれに印刷を行う場合に、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに移送される長尺フィルムFは、それぞれ、包装機(不図示)の別々の2つのフィルム移送部(不図示)により、移送されている。つまり、本実施形態においては、2台のプリントユニット10A,10Bそれぞれに、別々の2つのフィルム移送部(不図示)それぞれにより移送された2つの長尺フィルムFそれぞれに、印刷動作を実行する。
【0019】
2つの長尺フィルムFは、それぞれ、Y方向に幅を有した長尺状に形成され、図1に示すように、Y方向に並列に配置されている。2つの長尺フィルムFは、それぞれ、図2に示すように、多連式サーマルプリンタ1の上流側(X方向のX2側)から多連式サーマルプリンタ1に導入されて、多連式サーマルプリンタ1の内部の移送経路を移送方向Pに移送され、多連式サーマルプリンタ1の下流側(X方向のX1側)に排出される。
【0020】
2つのプラテンローラ4A,4Bは、サーマルヘッド21それぞれとの間に長尺フィルムFそれぞれを配置した状態で、サーマルヘッド21A,21Bに対向する。2つのプラテンローラ4A,4Bは、Y方向に離間して配置される。2つのプラテンローラ4A,4Bの内部には、2つのプラテンローラ4A,4BをY方向に貫通するプラテン回転軸部材41(ローラ回転軸部材)が配置される。
【0021】
プラテン回転軸部材41は、2つのプラテンローラ4A,4Bに跨って配置される共通の回転軸部材である。プラテン回転軸部材41は、Y方向に延びて形成される。2つのプラテンローラ4A,4B及びプラテン回転軸部材41は、印字受けローラ構成部を構成する。プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bそれぞれとの間には、ワンウェイクラッチ42A,42B(クラッチ部)が配置されている。
【0022】
2つのプラテンローラ4A,4Bそれぞれは、ワンウェイクラッチ42A,42Bの非連結状態において、長尺フィルムFとの間の摩擦抵抗により、プラテン回転軸部材41の軸を中心に自由に回転可能である。モータ7によりプラテン回転軸部材41を回転駆動することで、ワンウェイクラッチ42A,42Bが連結状態となり、プラテン回転軸部材41の回転とともに2つのプラテンローラ4A,4Bは同時かつサーマルヘッド21A,21Bに好適な回転角速度で回転する。ワンウェイクラッチ42A,42Bについての詳細は後述する。
【0023】
また、図1に示すように、2つの上流側ガイドローラ51A,51Bは、Y方向に離間して配置される。2つの上流側ガイドローラ51A,51Bの回転軸部材511は、2つの上流側ガイドローラ51A,51Bに跨って配置される共通の軸部材である。
2つの第1下流側ガイドローラ52,52(図2参照、図1には図示せず)は、Y方向に離間して配置される。2つの第1下流側ガイドローラ52,52の回転軸部材521は、2つの第1下流側ガイドローラ52,52に跨って配置される共通の軸部材である。
2つの第2下流側ガイドローラ53,53(図2参照、図1には図示せず)は、Y方向に離間して配置される。2つの第2下流側ガイドローラ53,53の回転軸部材531は、2つの第2下流側ガイドローラ53,53に跨って配置される共通の軸部材である。
第3下流側ガイドローラ54A,54Bは、Y方向に離間して配置され、第3下流側ガイドローラ54A,54Bの回転軸部材541は、第3下流側ガイドローラ54A,54Bに跨って配置される共通の軸部材である。
【0024】
上流側ガイドローラ51A,51Bの回転軸部材511、第1下流側ガイドローラ52,52の回転軸部材521、第2下流側ガイドローラ53,53の回転軸部材531及び第3下流側ガイドローラ54A,54Bの回転軸部材541は、いずれも、Y方向に延びて形成され、上流側ガイドローラ51A,51B、第1下流側ガイドローラ52,52、第2下流側ガイドローラ53,53及び第3下流側ガイドローラ54A,54BをY方向に貫通して配置され、多連式サーマルプリンタ1の保持板91,91に回転不能な状態で固定されている。上流側ガイドローラ51A,51B、第1下流側ガイドローラ52,52、第2下流側ガイドローラ53,53及び第3下流側ガイドローラ54A,54Bは、いずれも、長尺フィルムFが移送されることにより、長尺フィルムFそれぞれとの間の摩擦抵抗により、回転軸部材511,521,531,541に対して自由に回転可能である。
【0025】
また、一対の移動ローラ61A,62A、61B,62Bは、上流側移動ローラ61A,61Bと、下流側移動ローラ62A,62Bとで構成される。
上流側移動ローラ61A,61Bは、図1に示すように、Y方向に離間して配置される。上流側移動ローラ61A,61Bの移動ローラ軸部材612は、上流側移動ローラ61A,61Bを貫通して配置され、上流側移動ローラ61A,61Bに跨って配置される共通の軸部材である。
下流側移動ローラ62A,62Bは、Y方向に離間して配置される。下流側移動ローラ62A,62Bの移動ローラ軸部材622は、下流側移動ローラ62A,62Bを貫通して配置され、下流側移動ローラ62A,62Bに跨って配置される共通の軸部材である。
【0026】
上流側移動ローラ61A,61Bの移動ローラ軸部材612及び下流側移動ローラ62A,62Bの移動ローラ軸部材622は、いずれも、Y方向に延びて形成される。上流側移動ローラ61A,61B及び下流側移動ローラ62A,62Bは、いずれも、長尺フィルムFが移送されることにより、長尺フィルムFそれぞれとの間の摩擦抵抗により、移動ローラ軸部材612,622に対して自由に回転可能である。
【0027】
なお、上流側プリントユニット10A及び下流側プリントユニット10B、サーマルヘッド21A,21B、プラテンローラ4A,4B、ワンウェイクラッチ42A,42B、上流側ガイドローラ51A,51B、第1下流側ガイドローラ52,52、第2下流側ガイドローラ53,53、一対の移動ローラ61A,62A、61B,62B、第3下流側ガイドローラ54A,54Bを特に区別する必要が無い場合には、単に、「プリントユニット10(印刷ユニット)」、「サーマルヘッド21」、「プラテンローラ4」、「ワンウェイクラッチ42」、「上流側ガイドローラ51」、「第1下流側ガイドローラ52」、「第2下流側ガイドローラ53」、「第3下流側ガイドローラ54」、「一対の移動ローラ61,62」という。
【0028】
本実施形態では、上流側ガイドローラ51、プラテンローラ4、第1下流側ガイドローラ52、第2下流側ガイドローラ53、一対の移動ローラ61,62、第3下流側ガイドローラ54及びワンウェイクラッチ42は、プリントユニット10A,10Bそれぞれに対応して設けられる。そのため、多連式サーマルプリンタ1は、上流側ガイドローラ51、プラテンローラ4、第1下流側ガイドローラ52、第2下流側ガイドローラ53、一対の移動ローラ61,62、第3下流側ガイドローラ54及びワンウェイクラッチ42を、複数のプリントユニット10に対応するように、プリントユニット10の台数分備える。
【0029】
プリントユニット10は、図2に示すように、それぞれ、長尺フィルムFの移送経路の途中において、長尺フィルムFの移送経路に対して上方側に配置されている。プリントユニット10は、インクリボンRを交換するために、多連式サーマルプリンタ1の回動軸Jを中心に回動することで、プリントユニット10を収容位置と交換位置とに開閉することができる。
【0030】
プリントユニット10は、プリントユニット10の側部に接続された接続部材11を介して回動部材12に接続される。回動部材12は、ガイド板92に対して回動軸Jを中心に回動可能に構成されている。回動部材12は、回動部材本体121と、把持部122と、突起123と、を有する。回動部材本体121は、支持軸部材91aの中心軸である回動軸Jを中心に回動可能に、支持軸部材91a及びガイド板92に接続されている。ガイド板92には、円弧状のガイド溝921が形成されている。
【0031】
把持部122を把持して回動軸Jを中心に回動することで、プリントユニット10を回動させる。これにより、突起123は、ガイド板92のガイド溝921に沿って移動される。把持部122を把持して回動軸Jを中心に回動することで、プリントユニット10を収容位置(図1に示す実線の位置)と交換位置(図1に示す2点鎖線の位置)とに移動させることができる。プリントユニット10の交換位置は、プリントユニット10のY方向の位置を維持した状態で、プリントユニット10を収容位置から上方側へ回動させた位置である。プリントユニット10は、回動軸Jを中心に回動して上方側に持ち上げることで、上方側の交換位置(図1に示す2点鎖線の位置)において、インクリボンRやサーマルヘッド21などを交換することが可能である。
【0032】
プリントユニット10は、図2に示すように、サーマルヘッド21(プリントヘッド)と、保持枠体22と、リボン搬送機構3と、を備える。保持枠体22には、リボン搬送機構3及びサーマルヘッド21が保持されている。
【0033】
サーマルヘッド21は、上流側から下流側に向けて移動される長尺フィルムFに、印刷部(不図示)を印刷する。サーマルヘッド21は、リボン搬送機構3のインクリボンR及び長尺フィルムFを挟んで、プラテンローラ4に対向して配置される。
本実施形態の多連式サーマルプリンタ1においては、2台のプリントユニット10それぞれに、サーマルヘッド21が設けられる。2つのサーマルヘッド21は、それぞれ、2つの長尺フィルムFそれぞれに印刷部を印刷する。本実施形態においては、2つのサーマルヘッド21は、制御部8(後述)により、2つの長尺フィルムFそれぞれに対して同時に印刷動作を実行するように制御される。
【0034】
サーマルヘッド21は、先端側が下方側に突出するように配置される。サーマルヘッド21は、その先端に複数の発熱素子を備える。サーマルヘッド21は、多連式サーマルプリンタ1がサーマルヘッド21に通電させることにより、所望の発熱素子が発熱する。
【0035】
サーマルヘッド21は、上下方向Zに移動可能に構成され、プラテンローラ4から離間する待機位置又はプラテンローラ4を押圧する押圧位置に移動可能に構成される。サーマルヘッド21を待機位置から押圧位置に向かうように移動させることで、インクリボンRを、長尺フィルムF及びプラテンローラ4側に押圧する。そして、長尺フィルムFが移送路を移動されることにより、プラテンローラ4の表面において、発熱した所望の発熱素子と接触したインクリボンRは、長尺フィルムFに接触した状態で移動される。これにより、多連式サーマルプリンタ1は、インクリボンRに塗布されたインクを長尺フィルムFに接着させ、印刷部(不図示)を印刷する。
【0036】
リボン搬送機構3は、図2に示すように、巻回された未使用のインクリボンRを保持する原反側リボンホルダ31と、インクリボンRを巻き取る巻取側リボンホルダ32と、複数のガイドローラ33と、を備える。リボン搬送機構3は、原反側リボンホルダ31に巻回された未使用のインクリボンRをサーマルヘッド21へ向けて搬送すると共に、サーマルヘッド21に使用されたインクリボンRを巻取側リボンホルダ32へ向けて搬送する。複数のガイドローラ33は、原反側リボンホルダ31から巻取側リボンホルダ32に向かって搬送されるインクリボンRをガイドするローラである。
【0037】
プラテンローラ4は、インクリボンR及び長尺フィルムFを挟んでサーマルヘッド21に対向して配置される。プラテンローラ4は、サーマルヘッド21との間に長尺フィルムFを配置した状態で、長尺フィルムFの少なくとも一部を周面に巻き掛けながら回転可能である。プラテンローラ4は、所定径の金属製芯金の周面にシリコーンゴム等の所定の弾性を有する素材による弾性層が形成され、所定外径の円柱状に形成されたローラである。
【0038】
2つのプラテンローラ4A,4Bは、2つのプラテンローラ4A,4Bに跨って配置されるプラテン回転軸部材41により回転可能に支持される。プラテン回転軸部材41は、前述の通り、2つのプラテンローラ4A,4BをY方向に貫通して配置される。プラテンローラ4A,4Bは、Y方向に離間して配置される。プラテンローラ4A,4Bそれぞれとプラテン回転軸部材41との間には、ワンウェイクラッチ42A,42Bが配置される。
【0039】
ワンウェイクラッチ42A,42Bは、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bそれぞれとの径方向の間に設けられる。ワンウェイクラッチ42A,42Bは、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bとが連結する連結状態と、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bとが連結しない非連結状態と、に切り替え可能である。ワンウェイクラッチ42Aは、図1に示すように、プラテンローラ4AのY1側の端部において、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4Aとの間に配置される。ワンウェイクラッチ42Bは、プラテンローラ4BのY2側の端部において、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4Bとの間に配置される。
【0040】
図3(a)に示すように、ワンウェイクラッチ42A,42Bの連結状態は、プラテン回転軸部材41がプラテンローラ4A,4Bに対して第1回転方向C1に相対的に回転した場合にプラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bとが連結する状態である。本実施形態においては、ワンウェイクラッチ42の連結状態においては、プラテン回転軸部材41を、プラテンローラ4A,4Bの回転角速度ωp1,ωp2よりも速い回転角速度ωdで回転させることで、プラテン回転軸部材41の回転とともにプラテンローラ4A,4Bは回転駆動される。
【0041】
言い換えると、モータ7がプラテン回転軸部材41を回転駆動した場合に、プラテン回転軸部材41が2つのプラテンローラ4A,4Bに対して第1回転方向C1に相対的に回転することで、ワンウェイクラッチ42が連結状態となり、プラテン回転軸部材41の回転に連動させて2つのプラテンローラ4A,4Bを同時かつ同じ回転角速度で回転させる。
【0042】
図3(b)に示すように、ワンウェイクラッチ42の非連結状態は、プラテン回転軸部材41がプラテンローラ4A,4Bに対して第1回転方向C1とは逆の第2回転方向C2に相対的に回転する場合にプラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bとが連結しない状態である。ワンウェイクラッチ42の非連結状態においては、プラテンローラ4A,4Bは、プラテン回転軸部材41から切り離されて、長尺フィルムFの摩擦抵抗により自由に回転可能である。
【0043】
言い換えると、モータ7がプラテン回転軸部材41を回転駆動しない場合に、長尺フィルムFそれぞれの移送速度に応じて、移送された長尺フィルムFがプラテンローラ4A,4Bの表面との摩擦抵抗により、プラテンローラ4A,4Bが回転角速度ωp1,ωp2で回転する。プラテン回転軸部材41を回転させない状態でプラテンローラ4A,4Bが回転するため、プラテン回転軸部材41は、プラテンローラ4A,4Bに対して第1回転方向C1とは逆の第2回転方向C2に相対的に回転する。これにより、ワンウェイクラッチ42が非連結状態で、2つのプラテンローラ4A,4Bが空転するため、長尺フィルムFそれぞれの移送速度に応じて2つのプラテンローラ4A,4Bそれぞれが回転される。
【0044】
本実施形態においては、印刷時においてプラテンローラ4に供給される長尺フィルムFの移送速度を、包装機(不図示)のフィルム移送部(不図示)により移送される長尺フィルムFの移送速度よりも速くすることを想定している。具体的には、印刷時において、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFの移送速度を、強制的に引き上げるようにプラテンローラ4を回転させて、印刷動作を実行するように制御している。
【0045】
この制御を実現するために、本実施形態では、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4との間に、ワンウェイクラッチ42を設けている。
ワンウェイクラッチ42を用いることにより、印刷時において、プラテン回転軸部材41を、プラテンローラ4の回転角速度ωp1,ωp2よりも速い回転角速度ωdで回転させることで、プラテン回転軸部材41の回転とともにプラテンローラ4を回転駆動させる。これにより、印刷時には、プラテンローラ4に供給される長尺フィルムFの移送速度を、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFの移送速度よりも速くすることができる。
その一方で、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFにより回転されるプラテンローラ4の回転角速度ωp1,ωp2が、プラテン回転軸部材41の回転角速度よりも速い場合には、ワンウェイクラッチ42は非連結状態であり、プラテン回転軸部材41からの回転駆動力は、プラテンローラ4に伝達されずに、長尺フィルムFにより回転されるプラテンローラ4は空転する。これにより、非印刷時には、プラテンローラ4に供給される長尺フィルムFの移送速度を、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFの移送速度と同じ速度にすることができる。
【0046】
モータ7は、図1に示すように、プラテンローラ4のプラテン回転軸部材41に接続されている。モータ7は、プラテンローラ4を回転駆動可能である。
【0047】
上流側ガイドローラ51は、図2に示すように、多連式サーマルプリンタ1に導入された長尺フィルムFをプラテンローラ4及び一対の移動ローラ61,62の上流側においてガイドする。
第1下流側ガイドローラ52及び第2下流側ガイドローラ53は、プラテンローラの下流側であって、一対の移動ローラ61,62の上流側において、長尺フィルムFをガイドする。
第3下流側ガイドローラ54は、一対の移動ローラ61,62の下流側において、長尺フィルムFをガイドする。
【0048】
一対の移動ローラ61,62は、図2に示すように、X方向(離間方向)に離間して配置される。一対の移動ローラ61,62が離間するX方向は、上流側ガイドローラ51及び第3下流側ガイドローラ54が離間するX方向と平行である。一対の移動ローラ61,62は、上流側移動ローラ61と、下流側移動ローラ62と、からなる。
【0049】
一対の移動ローラ61,62は、多連式サーマルプリンタ1に導入される長尺フィルムFそれぞれの導入速度と、多連式サーマルプリンタ1から排出される長尺フィルムFそれぞれの排出速度とを維持しつつ、複数のサーマルヘッド21それぞれに所定の供給速度で長尺フィルムFそれぞれを供給する供給機構60を構成する。
【0050】
上流側移動ローラ61は、X方向のX2側に配置され、上流側ガイドローラ51から移送される長尺フィルムFを上流側ガイドローラ51の下流側においてガイドする。下流側移動ローラ62は、X方向のX1側に配置され、第2下流側ガイドローラ53から移送される長尺フィルムFを第2下流側ガイドローラ53の下流側においてガイドする。
【0051】
上流側移動ローラ61及び下流側移動ローラ62の上下方向Zの下端部における接線は、上流側ガイドローラ51及び第3下流側ガイドローラ54の上端部における接線と一致する。つまり、上流側ガイドローラ51から上流側移動ローラ61までの間において、長尺フィルムFは、X方向に水平に移送される。また、下流側移動ローラ62から第3下流側ガイドローラ54までの間において、長尺フィルムFは、X方向に水平に移送される。
【0052】
上流側移動ローラ61及び下流側移動ローラ62の上下方向Zの上端部における接線は、プラテンローラ4及び第2下流側ガイドローラ53の下端部における接線と一致する。つまり、上流側移動ローラ61からプラテンローラ4までの間において、長尺フィルムFは、X方向に水平に移送される。第2下流側ガイドローラ53から下流側移動ローラ62までの間において、長尺フィルムFは、X方向に水平に移送される。
【0053】
一対の移動ローラ61,62は、図1に示すように、それぞれ、2つのプリントユニット10A,10B及び2つのプラテンローラ4A,4Bそれぞれに対応して配置される。
【0054】
一対の移動ローラ61A,62Aは、上流側移動ローラ61A,下流側移動ローラ62Aにより構成される。上流側移動ローラ61A及び下流側移動ローラ62Aは、それぞれ、Y方向に離間して配置される上流側移動ローラ本体611A及び下流側移動ローラ本体621Aを有する。
一対の移動ローラ61B,62Bは、上流側移動ローラ61B,下流側移動ローラ62Bにより構成される。上流側移動ローラ61B及び下流側移動ローラ62Bは、それぞれ、Y方向に離間して配置される上流側移動ローラ本体611B及び下流側移動ローラ本体621Bを有する。
【0055】
上流側移動ローラ本体611A及び上流側移動ローラ本体611Bは、共通の回転軸部材である移動ローラ軸部材612により回転可能に支持される。上流側移動ローラ本体611A,611Bは、長尺フィルムFをプラテンローラ4の上流側においてガイドする。移動ローラ軸部材612は、上流側移動ローラ本体611A及び上流側移動ローラ本体611Bに跨って配置される一体の軸部材により構成され、Y方向に離間して配置される上流側移動ローラ本体611A及び上流側移動ローラ本体611BをY方向に貫通して配置される。
【0056】
下流側移動ローラ本体621A及び下流側移動ローラ本体621Bは、共通の回転軸部材である移動ローラ軸部材622により回転可能に支持される。下流側移動ローラ本体621A,621Bは、長尺フィルムFをプラテンローラ4の下流側においてガイドする。移動ローラ軸部材622は、下流側移動ローラ本体621A及び下流側移動ローラ本体621Bに跨って配置される一体の軸部材により構成され、Y方向に離間して配置される下流側移動ローラ本体621A及び下流側移動ローラ本体621BをY方向に貫通して配置される。
【0057】
一対の移動ローラ61,62は、図2に示すように、連結部材63により連結されている。連結部材63は、X方向に延びて形成され、X方向に離間する一対の移動ローラ61,62を接続する。これにより、一対の移動ローラ61,62は、連結部材63に連結された状態で、X方向に一体的に移動可能である。
【0058】
一対の移動ローラ61,62の両端部それぞれは、図2に示すように、一対の側板93,93それぞれに形成される長孔931に挿通されている。長孔931は、側板93をX方向に貫通すると共に、X方向に水平に直線状に延びている。一対の移動ローラ61,62は、長孔931に沿って、X方向に直線的に且つ一体的に移動可能に構成されている。
【0059】
図2に示すように、長尺フィルムFは、多連式サーマルプリンタ1において、次のように移送される。長尺フィルムFは、多連式サーマルプリンタ1の下方側においてX方向のX2側から多連式サーマルプリンタ1に導入されて、斜め下方から、上流側ガイドローラ51に導入される。
【0060】
上流側ガイドローラ51に導入された長尺フィルムFは、上流側ガイドローラ51のX2側の上側に掛けられて、X2側からX1側に向けて水平に導出される。上流側ガイドローラ51から導出された長尺フィルムFは、上流側移動ローラ61の下端部から上流側移動ローラ61に導入される。上流側移動ローラ61の下端部に導入された長尺フィルムFは、上流側移動ローラ61のX1側の外周面を略半周巻き掛けられて、上流側移動ローラ61の上端部からプラテンローラ4に向けてX方向のX1側からX2側に水平に導出される。
【0061】
上流側移動ローラ61の上端部から導出された長尺フィルムFは、プラテンローラ4のX2側の下端部からプラテンローラ4に導入され、プラテンローラ4のX2側の外周面を略半周巻き掛けられて、プラテンローラ4の頂部よりもX1側の部分から導出される。プラテンローラ4から導出された長尺フィルムFは、プラテンローラ4から第1下流側ガイドローラ52に向けてX2側からX1側に向かうに従って下方に向かうように傾斜して導出されて、第1下流側ガイドローラ52のX2側の下端部に導入される。
【0062】
第1下流側ガイドローラ52の下端部に導入された長尺フィルムFは、第1下流側ガイドローラ52の下端部に掛けられて、下端部のX1側から第2下流側ガイドローラ53に向けてX2側からX1側に向かうに従って上方に向かうように傾斜して導出されて、第2下流側ガイドローラ53のX2側の上端部に導入される。
【0063】
第2下流側ガイドローラ53の上端部に導入された長尺フィルムFは、第2下流側ガイドローラ53のX1側の外周面を略半周に巻き掛けられて、第2下流側ガイドローラ53の下端部から下流側移動ローラ62に向けてX方向のX1側からX2側に水平に導出される。
【0064】
第2下流側ガイドローラ53の下端部から導出された長尺フィルムFは、下流側移動ローラ62のX側の上端部に導入され、下流側移動ローラ62のX2側の外周面を略半周巻き掛けられて、下流側移動ローラ62の下端部から第3下流側ガイドローラ54に向けてX方向のX2側からX1側に水平に導出される。
【0065】
下流側移動ローラ62の下端部から導出された長尺フィルムFは、第3下流側ガイドローラ54の上端部から第3下流側ガイドローラ54に導入されて、第3下流側ガイドローラ54のX1側の上方側に掛けられて、第3下流側ガイドローラ54から、X1側の斜め下方に向けて導出される。
【0066】
ここで、長尺フィルムFに印刷部を印刷する場合には、モータ7からの回転駆動力によりプラテン回転軸部材41が回転駆動されて、プラテンローラ4が所定の回転速度で回転する。この場合に、一対の移動ローラ61,62は、プラテンローラ4に巻き掛けられた長尺フィルムFが上流側から下流側に向けて移送されることにより、長尺フィルムFの移送速度に応じて、X方向のX1側(一方側)又はX2側(他方側)に直線的に且つ一体的に移動可能である。
【0067】
そのため、上流側移動ローラ61から下流側移動ローラ62までの区間に引き回されている長尺フィルムFの速さが、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFの移送速度よりも速い場合には、一対の移動ローラ61,62は、図4(a)の状態から図4(b)の状態になるように、X方向のX1側からX2側に移動される。また、上流側移動ローラ61から下流側移動ローラ62までの区間に引き回されている長尺フィルムFの速さが、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFの移送速度よりも遅い場合には、一対の移動ローラ61,62は、図4(b)の状態から図4(a)の状態になるように、X方向のX2側からX1側に移動される。
【0068】
本実施形態においては、前述の通り、印刷時において、包装機(不図示)のフィルム移送部(不図示)により移送される長尺フィルムFの移送速度を、強制的に引き上げるようにプラテンローラ4を回転させて、印刷動作を実行するように制御している。
そのため、印刷時において、上流側移動ローラ61から下流側移動ローラ62までの区間に引き回されている長尺フィルムFの速さが、包装機のフィルム移送部により移送される長尺フィルムFの移送速度よりも速くなるように制御される。これにより、印刷時において、一対の移動ローラ61,62、図4(a)の状態から図4(b)の状態になるように、X方向のX1側からX2側に移動される。
【0069】
このように、多連式サーマルプリンタ1に導入される長尺フィルムFの搬送速度が異なる場合において、一対の移動ローラ61,62がX方向に移動して、上流側移動ローラ61がX方向に移動した分だけ下流側移動ローラ62もX方向に移動するため、長尺フィルムFの弛みを吸収して、上流側ガイドローラ51から第3下流側ガイドローラ54までの間の長尺フィルムFの長さが変化しないように構成される。
【0070】
制御部8は、2つのワンウェイクラッチ42A,42Bが連結状態となって2つのプラテンローラ4A,4Bが同時に回転した状態において、2つのサーマルヘッド21A,21Bそれぞれが2つの長尺フィルムFそれぞれに対して同時に印刷動作を実行するように制御する。具体的には、制御部8は、モータ7によりプラテン回転軸部材41を回転駆動することで、ワンウェイクラッチ42を連結状態として、2つのプラテンローラ4A,4Bを同時かつ同じ回転角速度で回転させて、同じタイミングで印刷動作を実行する。この場合、印刷する文字や模様などの印刷部は、同じ内容であってもよいし、異なる内容であってもよい。
【0071】
次に、本発明に係る多連式サーマルプリンタ1の動作について説明する。
本実施形態における多連式サーマルプリンタ1は、2つのプリントユニット10A,10Bを備え、例えば包装機(不図示)に組み込まれている。本実施形態の多連式サーマルプリンタ1は、2つのプリントユニット10A,10Bそれぞれにより、包装機(不図示)の別々の2つのフィルム移送部(不図示)それぞれにより移送される2つの各々の長尺フィルムFに印刷を行う。
【0072】
また、複数のプリントユニット10A,10Bにより2つの長尺フィルムFに印刷を行った後には、複数のプリントユニット10A,10Bそれぞれの下流側に配置される包装加工部(不図示)それぞれにおいて、カット加工やシール加工などが行われる。例えば、複数のプリントユニット10A,10Bぞれぞれの下流側に配置される包装加工部(不図示)により行われるカット加工やシール加工などは、同じタイミングで行われる。
【0073】
本実施形態においては、多連式サーマルプリンタ1の印刷動作の実行時において、次のような制御が実行されている。
【0074】
制御部8は、2つのプリントユニット10A,10Bにおける印刷時において、モータ7によりプラテン回転軸部材41を回転駆動することで、ワンウェイクラッチ42を連結状態として、2つのプラテンローラ4A,4Bを同時かつ同じ回転角速度で回転させて、同じタイミングで印刷動作を実行する。この場合、2つのプリントユニット10A,10Bにおいて印刷する文字や模様などの印刷部は、同じ内容であってもよいし、異なる内容であってもよい。
【0075】
2つのプリントユニット10A,10Bは、包装機(不図示)からの印刷信号により、印刷部を印刷する間隔(印刷ピッチ)毎に印刷動作を実行する。
2つのプリントユニット10A,10Bにおける各々の長尺フィルムFに印刷部を印刷する間隔(印刷ピッチ)は、同じである。
また、2つのプリントユニット10A,10Bに印刷信号が入力された場合には、直ぐにモータ7が駆動されて、遅延することなく、印刷動作が開始される。
また、包装機(不図示)のフィルム移送部(不図示)により移送される各々の長尺フィルムFの移送速度は、同じである。
【0076】
また、本実施形態においては、2つのプリントユニット10A,10Bにおける各々の長尺フィルムFに印刷部を印刷する印刷可能範囲は、一対の移動ローラ61,62の移動範囲内である。一対の移動ローラ61,62をX方向のX1側からX2側まで移動可能に構成することにより、長尺フィルムFへ印刷部を印刷する際の長尺フィルムFの移送制御を、長尺フィルムFを不定速で移送させる不図示のフィルム搬送部による移送制御から切り離すことができるためである。そのため、一対の移動ローラ61,62の移動範囲内である印刷可能範囲内においては、2つのプリントユニット10A,10Bにより印刷される印刷部の印刷位置は、同じ印刷位置であってもよいし、異なる印刷位置であってもよい。
【0077】
なお、2つのプリントユニット10A,10Bにおける各々の長尺フィルムFに印刷部を印刷する間隔(印刷ピッチ)は同じであってもよいが、これに限定されない。例えば、他方のプリントユニット10Bの印刷ピッチが一方のプリントユニット10Aの印刷ピッチの倍数の印刷ピッチであれば、印刷タイミングを一致させることができる。これにより、2つのプリントユニット10A,10Bにおける各々の長尺フィルムFに印刷部を印刷する間隔(印刷ピッチ)が異なっていても、他方のプリントユニット10Bの印刷ピッチが一方のプリントユニット10Aの印刷ピッチの倍数の印刷ピッチであれば、同時に印刷動作を実行することは可能である。
【0078】
具体的な多連式サーマルプリンタ1の印刷動作について説明する。
本実施形態の多連式サーマルプリンタ1は、印刷動作を間欠的に実行する。これにより、多連式サーマルプリンタ1においては、印刷動作を実行する印刷状態と、印刷動作を実行しない非印刷状態と、が繰り返される。
多連式サーマルプリンタ1において、印刷動作を実行しない非印刷時においては、モータ7を駆動せずに、プラテン回転軸部材41を回転駆動させない。
【0079】
そのため、ワンウェイクラッチ42A,42Bが非連結状態であり、2つの長尺フィルムFそれぞれの移送に応じて、長尺フィルムFとプラテンローラ4A,4Bとの間の摩擦力により、プラテンローラ4A,4Bそれぞれが空転する。これにより、2つの長尺フィルムFは、包装機(不図示)の別々の2つのフィルム移送部(不図示)により移送される2つの長尺フィルムFそれぞれの移送速度と同じ移送速度で、上流側ガイドローラ51、上流側移動ローラ61、プラテンローラ4、第1下流側ガイドローラ52、第2下流側ガイドローラ53、第3下流側ガイドローラ54の順に、移送方向Pに移送される。
【0080】
このように、多連式サーマルプリンタ1において印刷動作を実行しない非印刷時には、2つの長尺フィルムFは、それぞれ互いが影響されずに、包装機(不図示)の別々の2つのフィルム移送部(不図示)それぞれにより移送される長尺フィルムFそれぞれの移送速度と同じ移送速度で移送される。そのため、多連式サーマルプリンタ1の非印刷時には、2つの長尺フィルムFは、それぞれ、互いの移送状態に影響されずに、弛みなどが抑制された状態で、移送されている。
【0081】
次に、2つの長尺フィルムFに同時に印刷部を印刷する動作について説明する。
2つの長尺フィルムFに同時に印刷部を印刷する場合には、制御部8は、非印刷時においてプラテン回転軸部材41を回転駆動していない状態から、モータ7を回転駆動して、プラテン回転軸部材41を回転させることで、2つのワンウェイクラッチ42A,42Bを連結状態に切り替えて、プラテンローラ4A,4Bを同時に同じかつ同じ回転角速度で回転させる。この状態で、制御部8は、同じ印刷指令により、2つの長尺フィルムFに同時に印刷する動作を実行するように制御する。
【0082】
具体的には、まず、制御部8は、非印刷時においてプラテン回転軸部材41を回転駆動していない状態から、図3(a)に示すように、モータ7を回転駆動することで、プラテン回転軸部材41がプラテンローラ4A,4Bに対して第1回転方向C1に相対的に回転するように、プラテン回転軸部材41を回転させる。これにより、2つのワンウェイクラッチ42A,42Bが連結状態となり、2つのプラテンローラ4A,4Bは、モータ7からの回転駆動力により、同時に、プラテン回転軸部材41の軸を中心に回転する。
【0083】
プラテンローラ4A,4Bがプラテン回転軸部材41により同時に回転されることにより、プラテンローラ4A,4Bそれぞれに巻き掛けられた長尺フィルムFは、それぞれ、同じ移送速度で、2つのサーマルヘッド21A,21Bそれぞれに供給される。
【0084】
続けて、制御部8は、2つのワンウェイクラッチ42A,42Bが連結状態となって2つのプラテンローラ4A,4Bが同時に回転した状態において、2つのサーマルヘッド21A,21Bそれぞれが2つの長尺フィルムFそれぞれに対して同時に印刷動作を実行するように制御する。これにより、制御部8は、同じ印刷指令に基づいて、2つのサーマルヘッド21それぞれが同時に印刷動作を実行することができる。この状態においては、2つのワンウェイクラッチ42A,42Bは、2つの長尺フィルムFの移送状態に互いが影響されずに弛みなどが抑制された非印刷時の非連結状態から、プラテンローラ4A,4Bが同時に回転される連結状態に切り替えられる。そのため、2つの長尺フィルムFの弛みなどが低減された状態で、印刷動作を実行することができる。
【0085】
ここで、本発明は、上流側移動ローラ61と下流側移動ローラ62との間に巻き掛けられた長尺フィルムの長さが変化しないように、一対の移動ローラ61,62を有する供給機構60を備えている。そのため、長尺フィルムFの移送が停止されても移送速度が変動しても、プラテンローラ4A,4Bを回転駆動することで、長尺フィルムFが一定の印刷速度で移送される。
【0086】
具体的には、一対の移動ローラ61,62は、包装機(不図示)のフィルム搬送部(不図示)による長尺フィルムFの移送速度に対して、プラテンローラ4が回転駆動されて移送される長尺フィルムFの印刷速度が速い場合には、上流側移動ローラ61と下流側移動ローラ62との間に巻き掛けられた長尺フィルムの長さが変化しないように、図4(b)に示すように、上流側移動ローラ61からプラテンローラ4までの長尺フィルムFの長さが短くなる方向で、且つ、プラテンローラ4から下流側移動ローラ62までの長尺フィルムFの長さが長くなる方向に、X2側に移動される。
【0087】
本発明に係る多連式サーマルプリンタ1は、一対の移動ローラ61,62により、長尺フィルムFの移送速度と印刷速度との速度差を吸収して、長尺フィルムFに印刷部を印刷する場合に、長尺フィルムFへ印刷部を印刷する際の長尺フィルムFの移送制御を、長尺フィルムFを不定速で移送させる不図示のフィルム搬送部による移送制御から切り離して、長尺フィルムFを印刷速度で移送させることができる。そのため、長尺フィルムFに印刷部を安定して印刷することができる。
【0088】
次に、長尺フィルムFへの印刷部の印刷の終了後、モータ7を停止させる。
そして、包装機(不図示)のフィルム搬送部(不図示)は、多連式サーマルプリンタ1の上流側において長尺フィルムFにブレーキを掛けた状態で、多連式サーマルプリンタ1の下流側において長尺フィルムFを引っ張るように、長尺フィルムFを搬送する。これにより、一対の移動ローラ61,62は、長尺フィルムFに引っ張られて、図4(b)に示すX方向のX2側の位置から、図4(a)に示すX方向のX1側に移動される。一対の移動ローラ61,62がX1側に移動された後に、包装機(不図示)のフィルム搬送部(不図示)は、多連式サーマルプリンタ1の上流側において長尺フィルムFに掛けたブレーキを解除する。多連式サーマルプリンタ1は、一対の移動ローラ61,62をX1側に位置させた状態で、次の印刷動作に備えて待機する。
【0089】
本実施形態の多連式サーマルプリンタ1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の多連式サーマルプリンタ1は、2つのプリントヘッド21と、2つプリントヘッド21それぞれとの間に長尺フィルムFそれぞれを配置した状態で対向する2つのプラテンローラ4A,4Bと、2つのプラテンローラ4A,4Bに跨って配置されるプラテン回転軸部材41と、を有する印字受けローラ構成部と、プラテン回転軸部材41を回転駆動可能なモータ7と、プラテン回転軸部材41とプラテンローラ4A,4Bそれぞれとの間に設けられるワンウェイクラッチ42と、2つのワンウェイクラッチ42A,42Bが連結状態となって2つのプラテンローラ4A,4Bが同時に回転した状態において、2つのサーマルヘッド21A,21Bそれぞれが2つの長尺フィルムFそれぞれに対して同時に印刷動作を実行するように制御する制御部8と、を備える。
【0090】
そのため、複数のプラテンローラ4A,4Bのプラテン回転軸部材41を共通化することで、プラテン回転軸部材41に要する製造コストを低減することができる。
また、非印刷時において、ワンウェイクラッチ42A,42Bが非連結状態であるため、2つのプラテンローラ4A,4Bは、それぞれ、長尺フィルムFの移送速度に応じて、それぞれの速度で自由に回転する。これにより、2つのプラテンローラ4A,4Bは、それぞれ、別々の回転速度で回転できるため、長尺フィルムFに弛みなどが抑制された状態で、長尺フィルムFを移送できる。
そして、印刷時において、プラテン回転軸部材41を回転駆動することで、ワンウェイクラッチ42A,42Bが連結状態となり、2つのプラテンローラ4A,4Bを同時かつ同じ回転角速度で回転駆動することができる。これにより、長尺フィルムFに弛みなどが抑制されたワンウェイクラッチ42A,42Bの非連結状態から、ワンウェイクラッチ42A,42Bの連結状態に切り替えることで、安定して移送された2つの長尺フィルムFに同時に印刷を行うことができる。また、2つの長尺フィルムFに同時に印刷を行えるため、簡易な制御で印刷動作を実行できる。
【0091】
よって、プラテン回転軸部材41を共通化して製造コストを低減すると共に2つの長尺フィルムFに同時に印刷を行うことで簡易な制御で印刷動作を実行しつつ、長尺フィルムFに弛みが抑制された状態で、2つの長尺フィルムFに対して安定した印刷を行うことができる。これにより、2つの長尺フィルムFへの印刷品質を向上させることができる。
【0092】
また、本実施形態においては、クラッチ部をワンウェイクラッチ42A,42Bで構成した。そのため、簡易な構成で、連結状態と非連結状態とを切り替える動作を可能とし、2つのプラテンローラ4A,4Bを別箇に回転させることと、2つのプラテンローラ4A,4Bを同時かつ同じ回転角速度で回転させることを、容易に切り替えることができる。よって簡易な構成で、2つの長尺フィルムFに対して安定した印刷を行うことができる。
【0093】
また、本実施形態においては、長尺フィルムFへの印刷時において、多連式サーマルプリンタ1に導入される長尺フィルムFそれぞれの導入速度と、多連式サーマルプリンタ1から排出される長尺フィルムFそれぞれの排出速度とを維持しつつ、2つのプリントヘッド21それぞれに所定の供給速度で長尺フィルムFそれぞれを供給する供給機構60を備える。これにより、長尺フィルムFに印刷部を印刷する場合に、長尺フィルムFへ印刷部を印刷する際の長尺フィルムFの移送制御を、長尺フィルムFを不定速で移送させるフィルム搬送部(不図示)の移送の制御から切り離すことができる。よって、長尺フィルムFに印刷部を安定して印刷することができる。
【0094】
また、本実施形態においては、供給機構60は、2つのプラテンローラ4A,4Bそれぞれに対応して配置される2組の一対の移動ローラ61,62を備え、一対の移動ローラ61,62は、X方向に離間して配置されると共に、長尺フィルムFをプラテンローラ4の上流側においてガイドする上流側移動ローラ61と、長尺フィルムFをプラテンローラ4の下流側においてガイドする下流側移動ローラ62と、を有し、一対の移動ローラ61,62は、長尺フィルムFに印刷部を印刷する場合に、モータ7からの回転駆動力によりプラテン回転軸部材41が回転駆動されてプラテンローラ4に巻き掛けられた長尺フィルムFが上流側から下流側に向けて移送されることにより、長尺フィルムFの移送速度に応じて、X方向に直線的に且つ一体的にX方向のX1側又はX2側に移動可能に構成される。
【0095】
これにより、簡易な構成で、長尺フィルムFへ印刷部を印刷する際の長尺フィルムFの移送制御を、長尺フィルムFを不定速で移送させるフィルム搬送部(不図示)の移送の制御から切り離すことができる。よって、長尺フィルムFに印刷部を安定して印刷することができる。
【0096】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、クラッチ部をワンウェイクラッチ42により構成したが、これに限定されない。クラッチ部を制御部により切り替え制御可能な電磁クラッチで構成してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 多連式サーマルプリンタ
4,4A,4B プラテンローラ(印字受けローラ本体)
7 モータ(回転駆動部)
8 制御部
10,10A,10B プリントユニット
21,21A,21B サーマルヘッド(プリントヘッド)
41 プラテン回転軸部材(ローラ回転軸部材)
42,42A,42B ワンウェイクラッチ(クラッチ部)
60 供給機構
61 上流側移動ローラ(移動ローラ)
62 下流側移動ローラ(移動ローラ)
F 長尺フィルム(被印刷物)
図1
図2
図3
図4