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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20220609BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20220609BHJP
   F02C 7/141 20060101ALI20220609BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20220609BHJP
   F02C 7/06 20060101ALI20220609BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20220609BHJP
   F01D 25/10 20060101ALI20220609BHJP
   F01D 25/18 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
F28F3/08 301A
F28D9/02
F02C7/141
F02C7/08 A
F02C7/06 E
F01D25/12 E
F01D25/10 Z
F01D25/18 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019523591
(86)(22)【出願日】2017-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 FR2017053059
(87)【国際公開番号】W WO2018087480
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】1660886
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】306047664
【氏名又は名称】サフラン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トゥビアナ,エフライム
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-061778(JP,A)
【文献】特開2001-153308(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0230595(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101080300(CN,A)
【文献】実開平04-115272(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 9/02
F02C 7/141
F02C 7/08
F02C 7/06
F01D 25/12
F01D 25/10
F01D 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(X)に流れる第1の流体と第2の流体との間の熱交換器(1)の製造方法であって、
前記熱交換器は、
前記第1の流体を循環させるための通路(7)を画定するように、互いに離れた2つの平行なプレート(6)と、
前記プレート(6)の間に垂直に配置された、フィン(9)の少なくとも1つの第1の列およびフィン(9)の少なくとも1つの第2の列(8a、8b)であって、前記第1および第2の列(8a、8b)は、長手方向に延在し、前記第1の列(8a)のフィン(9)は、好ましくは、前記第2の列(8b)のフィン(9)に対して互い違いの列に配置され、各フィン(9)は、第1の窪んだ縁部(10)および第2の突出した縁部(11)によって長手方向に画定され、前記第1の縁部(10)は、それぞれの端部に、対応するプレート(6)との接続領域(12a、12b)を含む、フィン(9)の少なくとも1つの第1の列およびフィン(9)の少なくとも1つの第2の列(8a、8b)と、
を備え、
前記第1の窪んだ縁部(10)の前記接続領域(12a、12b)は、前記プレート(6)に垂直であり方向(X)に平行な平面(P)において、プレート(6)に対する法線(N)に対して、それぞれ角度Aおよび角度Bだけ傾斜し、それぞれのフィン(9)の前記第1の窪んだ縁部(10)および前記第2の突出した縁部(11)は、前記平面Pにおいて同一の輪郭を有し、
当該製造方法は、前記長手方向(X)に平行な製造軸(Z)に沿って粉末層(160)上で選択的に溶融することによる付加製造によって、前記熱交換器(1)を製造するステップを含み、熱交換器(1)が、構造支持体(180)上に製造され、前記第1の窪んだ縁部(10)は、前記構造支持体(180)の側面上に配向される、
熱交換器(1)の製造方法。
【請求項2】
一体構造の熱交換器として請求項1に記載の製造方法によって製造された熱交換器(1)
【請求項3】
角度(A)が、角度(B)に等しいことを特徴とする、請求項2に記載の交換器(1)
【請求項4】
角度(A)および/または角度(B)が40°より大きく、好ましくは、45°以上であることを特徴とする、請求項2~3のいずれか一項に記載の交換器(1)
【請求項5】
平面(P)において、第1の縁部(10)の長さの90%以上が法線(N)に対して傾斜しており、好ましくは、95%以上であることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の交換器(1)
【請求項6】
前記第1のエッジ(10)が、法線(N)に対して傾斜している少なくとも1つの直線部分(13,15)および/または少なくとも1つの円形部分(23)および/または少なくとも1つの楕円形部分(16,18,21)を含むことを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の交換器(1)
【請求項7】
前記第1の縁部(10)が、法線(N)に対して傾斜しかつ同一点に集まる方向を有する2つの直線部分(13)を含むことを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の交換器(1)
【請求項8】
フィン(9)が、一定の量だけ長手方向に離間されていることを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の交換器(1)
【請求項9】
請求項2~8のいずれか一項に記載の熱交換器(1)を備えるタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にタービンエンジン用の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術
タービンエンジンは、例えば、ガス流方向の上流から下流に向かって、1つ以上の圧縮機段と、燃焼室と、1つ以上のタービン段と、排気ガスを噴出するノズルとを備えるガス発生器を備える。
【0003】
熱交換器は、1つの流体から別の流体への熱エネルギー伝達を可能にするために、タービンエンジンに設置される。
【0004】
このような熱交換器は、例えば、高温の排気ガスから、燃焼室の上流に導入されることが意図されたガスに熱エネルギーを伝達するために使用され、特に、タービンエンジンの燃料消費を促進する。この熱交換器はまた、ガス発生器のロータを案内するために、様々な手段の潤滑剤(例えば、オイル)を冷却するために使用することができる。
【0005】
そのような交換器は、例えば、SLM(選択的レーザ溶融法)によって一般に示される粉末層上で選択的に溶融する付加製造によって得られる。SLM付加製造の原理は、高出力レーザを用いた粉末(金属、プラスチック、セラミックなど)の薄い二次元(2D)層の溶融に基づく。SLM技術は、複雑な幾何学的形状および良好な機械的特性を有する部品を製造することを可能にするという利点を有する。
【0006】
空気熱性能が等しいので、フィンを備えた熱交換器は特に、その質量が小さいために、タービンエンジンにおいて特に使用される。
【0007】
長手方向Xに流れる第1の流体(例えば、高温排気ガス)と第2の流体(例えば、空気)との間のこのような熱交換器は、例えば、第1の流体のための循環通路を画定するように、互いに離れた2つの平行なプレートと、プレート間に垂直に配置された複数のフィン列とを備える。
【0008】
より具体的には、フィンの列は、長手方向に延在する。各フィンは、プレートに垂直な前縁および後縁によって長手方向に画定される。
【0009】
このような構造は特に、部分的には、フィンの各前縁のレベルでの流れにおける再循環領域の存在に起因して、第1の流体からの機械的エネルギーの著しい損失をもたらすという欠点を有する。この再循環面積が局所的な加速を引き起こす、第1の流体の通過のための断面の変化のために、さらに著しい。
【0010】
さらに、SLM製造によって、垂直配向(プレートおよびフィンが構造支持体に垂直)では、このような構造は、製造から必要とされる寸法および幾何学的公差を尊重することを可能にしない。実際、法線が層の追加の方向と平行である張出層の溶融は特に、そのような張出層の溶融中に非溶融粉末のみが支持体として働くという事実のために、製造上の問題を引き起こす。
【0011】
従来技術はまた、文献国際公開第2010/098666号および中国特許出願公開第04776736号明細書を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2010/098666号
【文献】中国特許出願公開第04776736号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、粉末層上で選択的に溶融することによる付加製造によって得られる場合に、改善された空気熱特性を有し、所望の寸法および幾何学的公差を尊重する、等しい質量を有する熱交換器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
詳細な説明
この目的のために、本発明は、長手方向Xに流れる第1の流体と第2の流体との間に熱交換器を提案し、
前記交換器は、
前記第1の流体の循環通路を画定するように、互いに離れた2つの平行なプレートと、
前記プレートの間に垂直に配置された、フィンの少なくとも1つの第1の列およびフィンの少なくとも1つの第2の列であって、フィンの前記第1および第2の列は、長手方向に延在し、前記第1の列のフィンは、好ましくは、前記第2の列のフィンに対して互い違いの列に配置され、各フィンは、第1の縁部および第2の縁部によって長手方向に画定され、前記第1の縁部は、それぞれの端部に対応するプレートとの接続領域を含む、フィンの少なくとも1つの第1の列およびフィンの少なくとも1つの第2の列と、
を備え、
前記第1の縁部の前記接続領域は、前記プレートに垂直であり方向Xに平行な平面Pにおいて、プレートに対する法線Nに対してそれぞれ角度Aおよび角度Bだけ傾斜し、前記それぞれのフィンの前記第1の縁部および前記第2の縁部は、前記平面Pにおいて同一の輪郭を有することを特徴とする。
【0015】
フィンに関連するこのような幾何学的特徴は、等しい質量で、熱交換器の空気熱性能を著しく改善するだけでなく、粉末層上で選択的に溶融することによる付加製造によって得られる場合に、所望の寸法および幾何学的公差を尊重することを可能にする。
【0016】
実際、一方では、このような幾何学的特徴により、フィンの前縁(流れの方向に応じる第1の縁部または第2の縁部)のそれぞれのレベルにおける流れの再循環領域を大幅に低減することが可能になり、その結果、機械的エネルギー損失を低減することが可能になる。この減少は、第1の流体の通過のための断面に変化がないため、さらに著しい。これに対して、従来技術の熱交換器に関しては、投入損失の低減は約15%であると推定される。
【0017】
一方、SLM製造では、必要に応じて窪んだ縁部を構造支持体の側部に配置することによって、接続領域は、フィンを製造するための第1および第2のプライマをそれぞれ構成する。したがって、製造中、溶融する張出層はなく、換言すれば、溶融していない粉末は、支持体として使用されず、必要な寸法および幾何学的公差に従うことを促進する。
【0018】
本発明による熱交換器は、互いに個別にとられた、または互いに組み合わされた、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
参照される特徴は、
-角度Aは角度Bに等しいことと、
-角度Aおよび/または角度Bは平面Pにおいて40°より大きく、好ましくは、45°以上であることと、
-平面Pにおいて、第1の縁部の長さの90%超が法線Nに対して傾斜しており、好ましくは、95%超であることと、
-前記第1の縁部は、法線Nに対して傾斜している少なくとも1つの直線部分および/または少なくとも1つの円形部分および/または少なくとも1つの楕円形部分を含むことと、
-前記第1の縁部は、法線Nに対して傾斜しており、かつ同一点に集まる方向を有する2つの直線部分を含むことと、
である。
【0019】
第2の目的として、上記のような交換器を製造する方法であって、前記長手方向Xに平行な製造軸Zに沿って粉末層で選択的に溶融することによる付加製造によって、前記交換器を製造するステップを含む方法を、本発明は含む。
【0020】
あるいは、前記フィンは、それぞれ、第1の窪んだ縁部および第2の突出縁部を含み、前記交換器は、構造支持体上に製造され、前記第1の窪んだ縁部は、前記支持体の側面上に配向される。
【0021】
本発明は、第3の目的として、上述のような熱交換器を備えるタービンエンジンを含む。
【0022】
非限定的な例によってなされた以下の説明を読み、添付の図面を参照すると、本発明は最もよく理解され、本発明の他の詳細、特徴および利点はより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による熱交換器の斜視図(2つの段を有する)であり、各段は2つのプレートおよびプレート間に配置された複数のフィン列を備える。
図2】本発明による熱交換器の斜視図(2つの段を有する)であり、各段は2つのプレートおよびプレート間に配置された複数のフィン列を備える。
図3】平面Pにおける図1および図2の熱交換器のフィンの詳細図である。
図4】第2の実施形態による平面Pにおける熱交換器の斜視図である。
図5】平面Pにおける図4の熱交換器のフィンの詳細図である。
図6】本発明に従って、付加製造によって、交換器(または交換器段)を製造するための機械の概略図である。
図7図3から図5までのものと類似した平面Pにおける詳細図であり、本発明によるフィンの実施形態の変形例を示す図である。
図8図3から図5までのものと類似する、平面Pにおける詳細図であり、本発明によるフィンの実施形態の変形例を示す図である。
図9図3から図5までのものと類似する、平面Pにおける詳細図であり、本発明によるフィンの実施形態の変形例を示す図である。
図10図3から図5までのものと類似する、平面Pにおける詳細図であり、本発明によるフィンの実施形態の変形例を示す図である。
【0024】
詳細な説明
図1及び図2には、長手方向Xに流れる第1の流体(例えば、高温排気ガス)と第2の流体(例えば、空気)との間の熱交換器1が示されている。
【0025】
より具体的には、交換器1には、第1の流体を循環させるための第1および第2の段2、3が設けられている。第1段2と第2段3との間には、第2流体を循環させるための第1経路4が配置されている(段間循環経路)。第2の流体(図2には示されていない)を循環させるための第2の通路5が、第2の段3の自由側に配置されている。
【0026】
図示の例は決して限定するものではなく、必要に応じて、交換器1は、N個の段を有することができ、各段は、第1の流体を循環させるための通路を画定し、2つの隣接する段は、第2の流体を循環させるための経路によって分離される。
【0027】
長手方向Xにおける第1の流体の流れは、(図1に示すように)上流から下流へ、または下流から上流への流れであり得ることに留意されたい。
【0028】
熱交換器1では、第1の流体と第2の流体との間に混合物は存在しない。
【0029】
交換器1の各段2、3は第1の流体を循環させるための通路7を画定するように、互いに離れた2つの平行なプレート6と、前記プレート6の間に垂直に配置された複数の熱伝導フィン9の列8a、8b(この場合、10)とを備える。
【0030】
より具体的には列8a、8bは、長手方向(X方向)に延在する。2つの隣接する列8a、8bのフィン9は、互い違いの列に配置されている。各フィン9は、第1の縁部10および第2の縁部11によって長手方向に画定され、第1の縁部10は、その端部の各々において、対応するプレート6との接続領域12a、12bを備える。
【0031】
第1の縁部10の接続領域12a、12bは、それぞれ、プレート6に垂直で方向Xに平行な平面Pにおいて、プレート6の法線Nに対して角度Aおよび角度Bだけ傾斜している。フィン9の各々の第1の縁部10及び第2の縁部11は、平面Pにおいて同一の輪郭を有する。
【0032】
図1図2に示す実施形態(それぞれ図4の実施形態)によれば、フィン9は、同一であり(すなわち、それらは、同じ幾何学的および寸法特徴を有する)、長手方向に一定の量(またはクリアランス)だけ離間している。1つの同じ列8a、8b上に、2つの連続するフィン9は、1つのフィン9(より具体的には、1つのフィン9の長手方向寸法)に等しい間隔だけ離間されている。
【0033】
「互い違いの列配置」という語は、列ごとの反復配置を意味し、2つの列のうちの1つの列において、フィン9は、隣り合う列に対して1/2段だけずれている。
【0034】
変形形態では、間隔は、可変であってもよく、交換器1は、長手方向に部分に分割されてもよく、各部分は、それ自体の間隔を有する。
【0035】
変形形態では、2つの隣接する列8a、8bのフィン9は、平面Pにおいて部分的に覆うことができる。
【0036】
本発明によれば、平面Pにおいて、接続領域12aが直線である場合、角度A(角度Bについて、それぞれ)は、接続領域12aと法線Nとの間の角度に対応する。
【0037】
本発明によれば、平面Pにおいて、接続領域12a(接続領域12b、それぞれ)が湾曲している場合、角度A(角度Bに対して、それぞれ)は、接続領域12aに対する接線T(対応するプレート6の近傍に位置する点の高さで)と法線Nとの間の角度に対応する。
【0038】
有利には、平面Pにおいて、第1の縁部10(第2の縁部11、それぞれ)の長さの90%以上が法線Nに対して傾斜しており、好ましくは、95%以上である。
【0039】
角度Aおよび/または角度Bは、40°より大きく、好ましくは、45°以上である。
【0040】
図1図3に示す第1の実施形態によれば、各フィン9について、平面Pにおいて、第1の縁部10(第2の縁部11、それぞれ)は、法線Nに対して傾斜し、同一点に集まる方向を有する2つの直線部分13を備える。
【0041】
より具体的には、第1エッジ10は、略V字形状を有する。各直線部13は、対応するプレート6から収束している。2つの直線部13は、フィレット14(凹形状)によって封止されている。角度Aは、角度Bに等しく、45°に等しい。
【0042】
図4及び図5に示す第2の実施形態によれば、各フィン9について、平面Pにおいて、第1の縁部10は、法線Nに対して傾斜した1つの単一の直線部分15を含む。したがって、各フィン9は、平行四辺形の形状を有する。角度Aは、角度Bに等しく、45°に等しい。
【0043】
図6は、熱交換器1または熱交換器1の段2、3を、付加製造によって、特に高エネルギービーム195で粉末層160を選択的に溶融することによって製造するための機械100を示す。
【0044】
熱交換器1(または熱交換器1のステージ2、3)は、有利にも、長手方向Xに平行な製造軸Z(構造支持体180に垂直なプレート6およびフィン9)に沿って製造される(図3および図5参照)。
【0045】
機械100は、
粉末160(この場合、金属)を収容する供給トレイ170と、
トレイ170からこの粉末160の上部を静かに移動させて、構造支持体180上にこの粉末160の第1の層110を広げる、ローラ130と、
を備える。
構造支持体180は、製造軸Zに沿って平行移動可能である(支持体180は、例えば、プレート、別の部品の一部、またはゲートとすることができる)。
【0046】
機械100は、また、構造支持体180上のローラ130で粉末層を広げた後、余分な粉末160を回収するためのリサイクルトレイ140を含む。
【0047】
機械100は、さらに、
レーザビーム195発生器190と、
所望の粉末部分160を溶融するように、このビーム195を構造支持体180の全体に向けることができるステアリングシステム150と、
を備えている。
レーザビーム195の整形および焦点面上でのその径の変化は、それぞれ、ビーム拡張器(beam dilator)152およびフォーカスシステム154の手段によって行われ、これらは、すべて光学システムを構成する。
【0048】
より具体的には、ステアリングシステム150は、例えば、粉末層160に到達する前にレーザビーム195が反射される、配向可能な少なくとも1つのミラー155を備えている。このミラー155の角度位置は、例えばガルバノメトリックヘッド(galvanometric head)によって制御され、レーザビーム195は予め確立されたプロファイルに従って、粉末160の第1の層110の所望の部分を走査する。
【0049】
熱交換器1(または熱交換器1のステージ2、3)は、製造軸Zに沿って(方向Xに平行に)製造される(プレート6およびフィン9が構造支持体180に垂直である)。図3に示すように、フィン9の外形が窪んだ縁部10と突出縁部11とを含む場合、窪んだ縁部10は、張出層が溶融するのを回避するために、構造プレートの側部に配向されなければならない。
【0050】
機械100を使用する交換器1(または交換器1のステージ2、3)の製造は、以下のステップを含む。
【0051】
粉末160の第1の層110は、ローラ130を用いて構造支持体180上に堆積される。粉末160のこの第1の層110の少なくとも一部分は、レーザビーム195によってこの粉末160の溶融温度よりも高い温度にされ、第1の層110のこの部分の粉末粒子160が溶融され、構造支持体180に固定された単一の部品から第1のコードン115を形成する。
【0052】
次に、支持体180は、第1の層110から既に画定された厚さに対応する高さから下げられる。粉末160の第2の層120は、第1の層110およびこの第1のコードン115上に堆積され、次いで、この第1のコードン115の上に部分的にまたは完全に位置する少なくとも1つの部分がレーザビーム195への照射によって加熱され、その結果、第2の層120のこの部分の粉末粒子160が第1の要素115の少なくとも1つの部分とともに溶融され、第2のコードン125を形成する。これら2つのコードン115および125の集合体は、単一の部品からなるブロックを形成する。
【0053】
次いで、部品を構成するプロセスは、すでに形成された集合体上に粉末160の追加の層を追加することによって、層ごとに続く。ビーム195による走査は、製造される部品の幾何学的形状に応じた形状を与えることによって、各層を構成することを可能にする。
【0054】
したがって、三次元(3D)交換器1(または交換器1のステージ2、3)は、製造軸Zに沿った二次元(2D)層の重ね合わせによって得られる。
【0055】
粉末160は、第1の流体と第2の流体との間の熱伝達を最大にし、したがって熱交換器1の効率を高めるために、良好な熱伝導率を有する材料で作られることが有利である。
【0056】
有利には、粉末160が金属であり、好ましくは、鋼または金属合金、例えばニッケルベースである。
【0057】
図7図10は、本発明の異なる実施形態を示す。
【0058】
図7に示す第1の実施形態によれば、平面Pにおいて各フィン9について、第1の縁部10は、1つの単一の凹状楕円形部分16を含む。楕円形部分16は、構造楕円17(点線で表される)の部分に対応し、その中心は、2つのプレート6から等距離に位置し、接続領域12a、12bに対して長手方向にオフセットされ、構造楕円17は、プレート6に接している。楕円形部分16は、180°よりわずかに小さい角度を中心に有する。
【0059】
図8に示す第2の実施形態によれば、平面Pにおいて各フィン9について、第1の縁部10は、2つの凸状の楕円形部分18を含む。
【0060】
より具体的には、各楕円形部分18は、対応するプレート6から収束する。2つの楕円形部分18は、フィレット19(凹形状)によって封止されて、第1および第2の変曲点I、Jを形成する。楕円形部分18は、それぞれ、90°(楕円の4分の1)に実質的に等しい中心角度を有する構築楕円20(点線で表される)の部分に対応する。これらの構成楕円20は、重ね合わされ、整列され、同じ寸法特徴を有する。
【0061】
図9に示す第3の実施形態によれば、各フィン9について、平面Pにおいて、第1の縁部10は、1つの単一の凹状楕円形部分21を含む。楕円形部分21は90°(楕円の4分の1)に実質的に等しい中心角度を有する楕円形部分に対応し、フィレット22(凹形状)を介してプレート6の1つに接続される。
【0062】
図10に示された第4の実施形態によれば、平面Pにおいて、各フィン9について、第1の縁部10は、1つの単一の凸状円形部分23を含む。円形部分23は、中心で90°(円の4分の1)に実質的に等しい角度を有する円弧に対応し、フィレット24(凹形状)を介してプレート6に接続される。
【0063】
機械的および空気熱的性能を改善するために、鋭い縁部をフィレット(凹形状)または曲線(凸形状)に置き換えることができる。
【0064】
フィン9の図示された異なる実施形態は、限定的なものではない。実際、本発明によれば、第1の縁部10は1つ以上の直線部分および/または1つ以上の湾曲部分を含むことができるが、有利には(平面Pにおいて)第1の縁部10(および第2の縁部11のそれぞれ)の長さの90%超が法線Nに対して傾斜しており、好ましくは、95%である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10