(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】車両用ランプシステム
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20220609BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
(21)【出願番号】P 2019549332
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2018038779
(87)【国際公開番号】W WO2019078287
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2017202458
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 淳
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-131365(JP,A)
【文献】特開2006-260000(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163294(WO,A1)
【文献】特開2017-129937(JP,A)
【文献】国際公開第2016/068273(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状態を制御する車両制御部と、他車両の自動運転モードを判別可能なモード判定部とともに用いられる車両用ランプシステムであって、
車両に搭載されるランプと、
前記モード判定部が出力するモード信号に応じて異なる態様で前記ランプを制御するランプ制御部を有する、車両用ランプシステム。
【請求項2】
前記車両制御部が算出した自車両の将来進路が対向車と干渉するか否かを判定する干渉判定部を有し、
自車両が他車両とすれ違う際に前記干渉判定部が将来進路において自車両が対向車と干渉すると判定した時に出力するすれ違い信号を出力したときに、前記ランプ制御部は、前記モード判定部が出力する前記モード信号に応じて異なる態様で前記ランプを制御する、請求項1に記載の車両用ランプシステム。
【請求項3】
前記モード判定部は、自車両が車線変更をする際に自車両の側方および後方の所定領域内に存在する他車両の自動運転モードを判別し、
前記ランプ制御部は、自車両が車線変更する際に、前記モード判定部が出力する前記モード信号に応じて異なる態様で前記ランプを制御する、請求項1に記載の車両用ランプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の自動運転技術の研究が各国で盛んに行われており、車両が自動運転モードで公道を走行可能とするための法整備が各国で検討されている。ここで、自動運転モードとは、車両の走行が自動制御されるモードをいう。一方、手動運転モードとは、車両の走行が運転者により制御されるモードをいう。自動運転車ではコンピュータにより自動的に車両の走行が制御される。
【0003】
このように、将来において、公道上では自動運転モードで走行中の車両(以下、自動運転車両という。)と手動運転モードで走行中の車両(以下、手動運転車両という。)が混在することが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、公道上で自動運転車両と手動運転車両とが混在する状況で好適に用いることのできる車両用ランプシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の車両用ランプシステムは、
車両の走行状態を制御する車両制御部と、他車両の自動運転モードを判別可能なモード判定部とともに用いられる車両用ランプシステムであって、
車両に搭載されるランプと、
前記モード判定部が出力するモード信号に応じて異なる態様で前記ランプを制御するランプ制御部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、公道上で自動運転車両と手動運転車両とが混在する状況で好適に用いることのできる車両用ランプシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の実施形態に係る車両用ランプシステムを備えた車両の上面図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係る車両用ランプシステムを備えた車両の側面図である。
【
図2】車両システムおよび車両用ランプシステムのブロック図である。
【
図4】路面描画ランプの光源ユニットの構成を示す側面図である。
【
図5】路面描画ランプの配光部の構成を示す斜視図である。
【
図6】対向車とすれ違う際に車両用ランプシステムが実行するフローチャートである。
【
図7】手動運転モードの対向車に向けて表示する路面描画の例を示す。
【
図8】自動運転モードの対向車に向けて表示する路面描画の例を示す。
【
図9】車線変更する際に車両用ランプシステムが実行するフローチャートである。
【
図10】他車両が手動運転モードのときに表示する路面描画の例を示す。
【
図11】他車両が自動運転モードのときに表示する路面描画の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。
【0010】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、
図1Aおよび
図1Bに示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0011】
図1Aおよび
図1Bは、本実施形態に係る車両用ランプシステムが搭載された車両1を示す。
図1Aは、車両1の上面図を示し、
図1Bは車両1の側面図を示す。車両1は、自動運転モードで走行可能な自動車である。車両1には、左右前部に、前照灯(HeadLamp:HL)101が内蔵されるランプユニット100が搭載されている。ランプユニット100には前照灯101と共に路面描画ランプ102(ランプの一例)が内蔵されている。
【0012】
また、車両1には、ルーフ上に、アイデンティフィケーションランプ(以下、IDランプという。)150(自動運転ランプの一例)と、シグナリングランプ160R,160Lとが搭載されている。
IDランプ150は、車両1が自動運転モードであることを示すランプである。本実施形態において、IDランプ150は、車両1の左右方向の中央部に設けられている。
シグナリングランプ160R,160Lは、自動運転モードの車両1の意図(意志)を他車両や歩行者などの交通他者へ伝達するランプである。シグナリングランプ160Rは、IDランプ150の右側に配置されている。シグナリングランプ160Lは、IDランプ150の左側に配置されている。シグナリングランプ160R,160Lは、車両1の前後方向に延びる中心線に対し左右対称に取り付けられている。
【0013】
図2は、車両1に搭載された車両システム2および車両用ランプシステム20のブロック図を示す。
図2を参照して、先ず、車両システム2について説明する。
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、センサ5と、カメラ6と、レーダ7と、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、地図情報記憶部11とを備えている。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備えている。
【0014】
車両制御部3は、電子制御ユニット(ECU)により構成されている。電子制御ユニットは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、各種車両制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、各種車両制御データが一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)とにより構成されている。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。
【0015】
センサ5は、加速度センサ、速度センサ及びジャイロセンサ等を備えている。センサ5は、車両1の走行状態を検出して、走行状態情報を車両制御部3に出力するように構成されている。センサ5は、運転者が運転席に座っているかどうかを検出する着座センサ、運転者の顔の方向を検出する顔向きセンサ、外部天候状態を検出する外部天候センサ及び車内に人がいるかどうかを検出する人感センサ等をさらに備えてもよい。さらに、センサ5は、車両1の周辺環境の照度を検出する照度センサを備えていてもよい。
【0016】
カメラ6は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子を含むカメラである。カメラ6は、可視光を検出するカメラや、赤外線を検出する赤外線カメラである。レーダ7は、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ又はレーザーレーダ等である。カメラ6とレーダ7は、車両1の周辺環境(他車、歩行者、道路形状、交通標識、障害物等)を検出し、周辺環境情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0017】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイである。
【0018】
GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車の走行情報を他車から受信すると共に、車両1の走行情報を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。地図情報記憶部11は、地図情報が記憶されたハードディスクドライブ等の外部記憶装置であって、地図情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0019】
車両制御部3は、センサ5、カメラ6、GPS9、無線通信部10、地図情報記憶部11等から得られる車両1の外部情報に基づいて、車両1の走行を制御する。車両制御部3は、車両1の走行を制御するために、外部情報に基づいて、例えば、車両1が走行している道路においてこれから進行していくべき車両1の将来進路を算出する。また、車両制御部3は、外部情報に基づいて、例えば、他車(例えば、隘路ですれ違いをする対向車)の将来進路を算出する。なお、他車両の将来進路は、車車間通信で他車から受信してもよい。
【0020】
車両1の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、完全手動運転モードとからなる。
車両1が完全自動運転モードや高度運転支援モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等の外部情報に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、これらのモードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0021】
一方、車両1が運転支援モードや完全手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、これらのモードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0022】
続いて、車両1の運転モードについて説明する。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。
一方、運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。完全手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0023】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、完全手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車両が走行可能である走行可能区間や自動運転車両の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの外部情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0024】
図3は、ランプユニット100に内蔵される路面描画ランプ102の概略構成を示す垂直断面図である。
図3に示すように、ランプユニット100は、車両前方側に開口部を有するランプボディ111と、ランプボディ111の開口部を覆うように取り付けられた透明の前面カバー112と、を備えている。このランプボディ111と前面カバー112とによって形成される灯室113の内部に、路面描画ランプ102、ランプ制御部4等が収容されている。なお、
図3の断面図では図示されていないが、前照灯101も路面描画ランプ102と同様に灯室113の内部に収容されている。
【0025】
路面描画ランプ102は、光源ユニット120と、光源ユニット120からの光を反射する配光部130とを備えている。光源ユニット120および配光部130は、支持プレート141により灯室113内の所定位置に支持されている。支持プレート141は、エイミングスクリュー142を介してランプボディ111に取り付けられている。
【0026】
光源ユニット120は、複数(本実施形態では3個)の光源121と、ヒートシンク122と、複数(本実施形態では4個)のレンズ123と、集光部124とを有している。光源ユニット120は、支持プレート141の前面に固定されている。各々の光源121は、ランプ制御部4と電気的に接続されている。
【0027】
配光部130は、端子部137と、反射鏡138とを有している。配光部130は、光源ユニット120から出射されたレーザ光を、反射鏡138を介して、路面描画ランプ102の前方へ反射できるように、光源ユニット120との位置関係が定められている。配光部130は、支持プレート141の前面から前方に突出する突出部143の先端に固定される。端子部137は、ランプ制御部4と電気的に接続されている。
【0028】
ランプ制御部4は、支持プレート141よりも後方側でランプボディ111に固定されている。なお、ランプ制御部4が設けられる位置は、この位置に限定されない。路面描画ランプ102は、エイミングスクリュー142を回転させて支持プレート141の姿勢を調節することで光軸を水平方向および垂直方向に調整できるように構成されている。
【0029】
図4は、路面描画ランプ102を構成する光源ユニット120の側面図である。
図4に示すように、光源ユニット120は、第一の光源121aと、第二の光源121bと、第三の光源121cと、ヒートシンク122と、第一のレンズ123aと、第二のレンズ123bと、第三のレンズ123cと、第四のレンズ123dと、集光部124とを有している。
【0030】
第一の光源121aは、赤色レーザ光Rを出射する光源であり、赤色レーザダイオードからなる発光素子で構成されている。同様に、第二の光源121bは、緑色レーザ光Gを出射する緑色レーザダイオードで構成されており、第三の光源121cは、青色レーザ光Bを出射する青色レーザダイオードで構成されている。第一の光源121aと、第二の光源121bと、第三の光源121cとは、各々の光出射面であるレーザ光出射面125aと、レーザ光出射面125bと、レーザ光出射面125cとが互いに平行となるように配置されている。なお、各光源の発光素子は、レーザダイオードに限定されない。
【0031】
第一の光源121a~第三の光源121cは、それぞれのレーザ光出射面125a~125cが路面描画ランプ102の前方を向くように配置され、ヒートシンク122に取り付けられている。ヒートシンク122は、アルミニウムなど熱伝導率が高い材料によって形成されており、ヒートシンク122の後側面が支持プレート141(
図3参照)に接触された状態で光源ユニット120に取り付けられている。
【0032】
第一のレンズ123a~第四のレンズ123dは、例えばコリメートレンズで構成されている。第一のレンズ123aは、第一の光源121aと集光部124との間の赤色レーザ光Rの光路上に設けられ、第一の光源121aから出射された赤色レーザ光Rを平行光に変換して集光部124に出射する。第二のレンズ123bは、第二の光源121bと集光部124との間の緑色レーザ光Gの光路上に設けられ、第二の光源121bから出射された緑色レーザ光Gを平行光に変換して集光部124に出射する。
【0033】
第三のレンズ123cは、第三の光源121cと集光部124との間の青色レーザ光Bの光路上に設けられ、第三の光源121cから出射された青色レーザ光Bを平行光に変換して集光部124に出射する。第四のレンズ123dは、光源ユニット120の筐体126の上部に設けられた開口に嵌め合わされている。第四のレンズ123dは、集光部124と配光部130(
図3参照)との間の白色レーザ光W(後述)の光路上に設けられ、集光部124から出射された白色レーザ光Wを平行光に変換して配光部130に出射する。
【0034】
集光部124は、赤色レーザ光R、緑色レーザ光G、および青色レーザ光Bを集合させて白色レーザ光Wを生成する。集光部124は、第一のダイクロイックミラー124aと、第二のダイクロイックミラー124bと、第三のダイクロイックミラー124cとを有している。
【0035】
第一のダイクロイックミラー124aは、少なくとも、赤色光を反射し青色光および緑色光を透過させるミラーであり、第一のレンズ123aを通過した赤色レーザ光Rを第四のレンズ123dに向けて反射するように配置されている。第二のダイクロイックミラー124bは、少なくとも、緑色光を反射し青色光を透過させるミラーであり、第二のレンズ123bを通過した緑色レーザ光Gを第四のレンズ123dに向けて反射するように配置されている。第三のダイクロイックミラー124cは、少なくとも、青色光を反射するミラーであり、第三のレンズ123cを通過した青色レーザ光Bを第四のレンズ123dに向けて反射するように配置されている。
【0036】
また、第一のダイクロイックミラー124a~第三のダイクロイックミラー124cは、それぞれが反射したレーザ光の光路が平行で、かつ各レーザ光が集合して第四のレンズ123dに入射されるように、互いの位置関係が定められている。本実施形態では、第一のダイクロイックミラー124a~第三のダイクロイックミラー124cは、各ダイクロイックミラー124a~124cにおいてレーザ光が当たる領域(レーザ光の反射点)が一直線上に並ぶように配置されている。
【0037】
第三の光源121cから出射された青色レーザ光Bは、第三のダイクロイックミラー124cで反射され、第二のダイクロイックミラー124b側に進行する。第二の光源121bから出射された緑色レーザ光Gは、第二のダイクロイックミラー124bにより第一のダイクロイックミラー124a側に反射されるとともに、第二のダイクロイックミラー124bを透過した青色レーザ光Bと重ね合わせられる。第一の光源121aから出射された赤色レーザ光Rは、第一のダイクロイックミラー124aにより第四のレンズ123d側に反射されるとともに、第一のダイクロイックミラー124aを透過した青色レーザ光Bおよび緑色レーザ光Gの集合光と重ね合わせられる。その結果、白色レーザ光Wが形成され、形成された白色レーザ光Wは、第四のレンズ123dを通過して配光部130に向けて進行する。
【0038】
第一の光源121a~第三の光源121cは、赤色レーザ光Rを出射する第一の光源121aが集光部124から最も近い位置に配置され、青色レーザ光Bを出射する第三の光源121cが集光部124から最も遠い位置に配置され、緑色レーザ光Gを出射する第二の光源121bが中間の位置に配置される。すなわち、第一の光源121a~第三の光源121cは、出射するレーザ光の波長が長いものほど集光部124に近い位置に配置される。
【0039】
図5は、路面描画ランプ102を構成する配光部130を前方側から観察したときの斜視図である。
図5に示すように、配光部130は、ベース131と、第一の回動体132と、第二の回動体133と、第一のトーションバー134と、第二のトーションバー135と、永久磁石136a,136bと、端子部137と、反射鏡138とを有している。配光部130は、例えばガルバノミラーで構成されている。なお、配光部130を例えばMEMS(メムス)ミラーで構成するようにしてもよい。
【0040】
ベース131は、中央に開口部131aを有する枠体であり、路面描画ランプ102の前後方向へ傾斜した状態で突出部143(
図3参照)に固定されている。ベース131の開口部131aには、第一の回動体132が配置されている。第一の回動体132は、中央に開口部132aを有する枠体であり、路面描画ランプ102の後方下側から前方上側に延在する第一のトーションバー134により、ベース131に対し左右(車幅方向)に回動可能に支持されている。
【0041】
第一の回動体132の開口部132aには、第二の回動体133が配置されている。第二の回動体133は、矩形状の平板であり、車幅方向に延在する第二のトーションバー135により、第一の回動体132に対し上下(垂直方向)に回動可能に支持されている。第二の回動体133は、第一の回動体132が第一のトーションバー134を回動軸として左右に回動すると、第一の回動体132と共に左右に回動する。第二の回動体133の表面には、メッキまたは蒸着等により反射鏡138が設けられている。
【0042】
ベース131には、第一のトーションバー134の延在方向と直交する位置に、一対の永久磁石136aが設けられている。永久磁石136aは、第一のトーションバー134と直交する磁界を形成する。第一の回動体132には第一のコイル(図示省略)が配線され、第一のコイルは、端子部137を介してランプ制御部4に接続されている。また、ベース131には、第二のトーションバー135の延在方向と直交する位置に、一対の永久磁石136bが設けられている。永久磁石136bは、第二のトーションバー135と直交する磁界を形成する。第二の回動体133には第二のコイル(図示省略)が配線され、第二のコイルは、端子部137を介してランプ制御部4に接続されている。
【0043】
第一のコイルおよび第二のコイルに流れる電流の大きさと向きとが制御されることにより、第一の回動体132および第二の回動体133が左右に往復回動し、また第二の回動体133が単独で上下に往復回動する。これにより、反射鏡138が上下左右に往復回動する。
【0044】
光源ユニット120と配光部130とは、光源ユニット120から出射された白色レーザ光Wが反射鏡138で路面描画ランプ102の前方に反射されるよう互いの位置関係が定められている。配光部130は、反射鏡138の往復回動によりレーザ光で車両1の前方を走査する。例えば、配光部130は、形成すべき描画パターンの領域をレーザ光により走査する。これにより、レーザ光が描画パターンの形成領域に照射されて、車両1の前方に所定の描画パターンが形成される。
【0045】
次に、
図2、
図6~
図8を用いて車両用ランプシステム20について説明する。
図2に示すように、車両用ランプシステム20は、IDランプ150と、シグナリングランプ160R,160Lと、路面描画ランプ102と、これらのランプ150,160R,160L,102を制御するランプ制御部4を備えている。
【0046】
ランプ制御部4は、車両制御部3に接続されている。ランプ制御部4は、車両制御部3から送信されてくる信号に基づいて、IDランプ150と、シグナリングランプ160R,160Lと、路面描画ランプ102の動作を制御するように構成されている。
【0047】
図2に示すように、本実施形態の車両用ランプシステム20は、干渉判定部21と、モード判定部31を有する車両制御部3とともに用いられる。車両用ランプシステム20は、ランプ制御部と、路面描画ランプ102と、IDランプ150と、右シグナリングランプ160Rと、左シグナリングランプ160Lとを有している。なお、以降の説明で特に右シグナリングランプ160Rと左シグナリングランプ160Lとを区別しないで呼ぶ場合、これらをまとめてシグナリングランプ160と呼ぶことがある。
なお、図示の例とは異なり、車両用ランプシステムを車両制御部3の一部を含むように構成してもよいし、車両用ランプシステムが干渉判定部21とモード判定部31を含むように構成してもよい。
【0048】
干渉判定部21は、車両制御部3が算出した車両1の将来進路が他車と干渉するか否かを判定する。
将来進路とは、現在から所定時間経過後までに車両1が通過する領域を言う。例えば、将来進路は現在から5秒以内に車両1が通過する領域を言う。また、将来進路は現在から3秒以内に車両1が通過する領域を指すのが好ましい。また、将来進路は現在から1秒以内に車両1が通過する領域を指すものと定義してもよい。車両制御部3は、現在の車速、現在の進行方向、ナビゲーション情報から得た右折や左折のタイミングや加速や減速するタイミングなどの情報をもとにして、将来進路を算出する。
【0049】
干渉判定部21は、この将来進路に、人や他車両といった交通他者がいるか否かを判定する。また本実施形態においては、干渉判定部21は、他車両の将来進路も算出し、自車両の将来進路と他車両の将来進路が干渉するか否かを判定する。他車両の将来進路は、車車間通信で他車両から取得してもよい。あるいは、車両制御部3がカメラ6からの画像に基づいて他車両の大きさや速度を算出し、他車両の将来進路を算出してもよい。
【0050】
モード判定部31は、車両制御部3が取得する外部情報に基づいて、自車両1の周囲の他車の「自動運転モード」を判別する。本実施形態においてモード判定部31は、他車両の自動運転モードが、「自動運転モード」と「手動運転モード」のいずれであるかを判別する。
【0051】
ここでいう「自動運転モード」とは、完全自動運転モードと高度運転支援モードとを含む概念である。「手動運転モード」とは、運転支援モードと完全手動運転モードとを含む概念である。自動運転モードと手動運転モードとは、車両の運転の主権が運転者にあるか否かで区別している。完全自動運転モードと高度運転支援モードにおいては、運転者に運転の主権がなく運転者は車両を運転しない。運転支援モードと完全手動運転モードにおいては、運転者に運転の主権があり運転者が車両を運転し、車両制御部3は運転者による運転を支援する。
【0052】
他車の自動運転モードを判定するための外部情報としては、例えば、車車間通信で得られる情報、他車に付された標識や表示、他車の画像(運転者の有無、車種等)、他車の挙動、ライセンスナンバー等のID情報、インフラから得られるイントラネット情報等が含まれる。
【0053】
なお、モード判定部31は自動運転モードを実行可能な車両であるかを判定するのではない。自動運転モードを実行可能な車両であっても、完全手動運転モードを実行していることがある。モード判定部31は、他車両がその時に実行している運転モードを判定する。
【0054】
次に、
図6~
図8を参照して車両用ランプシステム20の動作例について説明する。
図6は、車両1が対向車200とすれ違う際にランプ制御部4が実行するフローチャートである。また、
図7は、手動運転モードの対向車200に向けて表示する路面描画の例を示す。
図8は、自動運転モードの対向車200に向けて表示する路面描画の例を示す。
【0055】
図7および
図8は、自動運転モードで道路R1を走行してきた車両1が隘路R2に差しかかり、隘路R2の先の道路R3に対向車200が走行してきている状況を表している。
【0056】
車両1の車両制御部3は、センサ5、カメラ6、GPS9、無線通信部10、地図情報記憶部11等から得られる外部情報に基づいて、車両1の将来進路を算出する。図示の例において車両1の将来進路は、現在走行している道路R1から隘路R2を通過して、その先の道路R3へ向かう進路である。
【0057】
また、車両制御部3は、同外部情報に基づいて、対向車200の将来進路を算出する。図示の例において対向車200の将来進路は、道路R3から隘路R2を通過して道路R1へ向かう進路である。
また、車両制御部3は、同外部情報の中から、対向車200の走行情報、および隘路R2の道路情報を取得する。例えば、走行情報には対向車200の車幅等が含まれ、道路情報には隘路R2の道幅等が含まれる。車両制御部3は、算出および取得したこれらの情報(将来進路、走行情報、道路情報等)を干渉判定部21へ送信する。
【0058】
干渉判定部21は、将来進路において自車両1と対向車200が干渉するか否か判定する。干渉判定部21は、自車両1の将来進路と、他車両200の将来進路、自車両1と他車両200の相対速度などに基づいて、干渉の有無を判定する。干渉すると判別された場合、干渉判定部21は、車両同士が干渉する旨を示す「すれ違い信号」をランプ制御部4に送信する。
【0059】
モード判定部31は、外部情報を車両制御部3から受信し、受信した外部情報に基づいて、対向車200の自動運転モード(自動運転モードまたは手動運転モード)を判別する。モード判定部31は、判別結果をランプ制御部4に送信する。
【0060】
ランプ制御部4は、干渉判定部21からすれ違い信号が送信されてきたか否かを判断する(ステップS101)。
すれ違い信号が送信されてきていないと判断した場合(ステップS101:No)、ランプ制御部4は、該すれ違い信号が送信されてくるまでステップS101の処理を繰り返す。
【0061】
すれ違い信号が送信されてきたと判断された場合(ステップS101:Yes)、ランプ制御部4は、モード判定部31から送信されてきた自動運転モードの判別結果に基づいて、対向車200の運転モードが自動運転モードであるか否か判別する(ステップS102)。
【0062】
対向車200の運転モードが自動運転モードではないと判別された場合(ステップS102:No)、ランプ制御部4は、
図7に示す手動運転モード用の表示を行うように路面描画ランプ102を制御する(ステップS103)。
【0063】
図7は、手動運転モード用の路面描画の例を示している。
図7に示すように、手動運転モード用の表示は、手動運転モードで運転している対向車200の運転者が目で見たときに、車両1の意思を認識することが可能な表示である。
【0064】
図7において、対向車200側から車両1側に向かう矢印40が路面に描画されている。この矢印40は、「道を譲ります」、「お先にどうぞ」等の対向車200に向けた車両1の意思を示している。
また、
図7において、矢印41とバツ印42も表示されている。矢印41は、自車両1の前方の近傍に短く自車両1の進行方向を表している。バツ印42は矢印41の先に描かれている。この矢印41とバツ印42により、「自車両1はこの場所に止まっています」、「お先にどうぞ」等の自車両1の意思を対向車200に向けて示している。
【0065】
これに対して、ステップS102で、対向車200は自動運転モードであると判別された場合(ステップS102:Yes)、ランプ制御部4は、自動運転モード用の表示を行うように路面描画ランプ102を制御する(ステップS104)。
【0066】
自動運転モード用の表示とは、自動運転モードで走行している対向車200に適した表示である。車車間通信が可能な自動運転モードの対向車200に対しては、ランプによる表示によって自車両1の意思を対向車200に伝達するよりも、車車間通信で直接自車両1の意思を対向車200に伝達することが正確である。そこで、
図8に示すように、本実施形態においては、自動運転モード用の表示として路面描画ランプ102に何も描画させない。
【0067】
<効果>
上述したように、対向車に対して自車両がどのように運転しようとしているかなど、自車両1の意思を対向車200に伝えたい場合がある、そのような場合、自動運転モードを実行中の車両と手動運転モードを実行中の車両とが混在する状況の中では、それぞれの車両に応じて適切な意思表示の仕方を選択する必要がある。例えば、自動運転モードを実行中の車両に向けて、「先に行って」などの身振りをしても、その意思が正確に伝わらない虞がある。
【0068】
本実施形態の車両用ランプシステム20によれば、他車両200の運転モードを判別し、判別した運転モードに応じて、つまり対向車200が自動運転モードであるか手動運転モードであるかに応じて異なる態様で路面描画ランプ102を制御する。このため、自動運転モードを実行中の車両と手動運転モードを実行中の車両とが混在する状況であっても的確に自車両1の意思を他車両200に伝えることができる。
【0069】
なお、本実施形態とは異なり、ランプ制御部4は、自動運転モード用の表示として何らかの表示をするように路面描画ランプ102を制御してもよい。例えば、対向車200との間に、路面を緑色の光で一定の周期で点滅させた場合には、自車両1が進路を譲ることを意味する、といった取り決めが他車両200との間でなされている場合には、この取り決めに従って路面描画ランプ102を作動させてもよい。
【0070】
また、上述した説明ではランプ制御部4が路面描画ランプ102の制御態様を他車両200の運転モードで異ならせる例を説明したが、本発明はこれに限られない。ランプ制御部4は、他車両200の運転モードに応じて、IDランプ150やシグナリングランプ160の制御態様を異なるように制御してもよい。
【0071】
本実施形態において、
図7に示す手動運転用の表示として、右シグナリングランプ160Rと左シグナリングランプ160Lを連続点灯させている。右シグナリングランプ160Rと左シグナリングランプ160Lは通常時は消灯しているものとすれば、右シグナリングランプ160Rと左シグナリングランプ160Lを連続点灯させることにより、通常の状況ではないことを手動運転モードの対向車200へ伝えることができる。
【0072】
本実施形態において、
図8に示す自動運転用の表示として、右シグナリングランプ160Rと左シグナリングランプ160Lを点滅させている。この場合、自動運転モードを実行中の他車両200と、右シグナリングランプ160Rと左シグナリングランプ160Lが点滅している場合は道を譲るという取り決めがなされているものとする。このような取り決めがなされている場合は、このような表示によっても自車両1が他車両200へ道を譲るという意思を伝達することができる。
【0073】
また本実施形態においては、車両用ランプシステム20は、路面描画ランプ102とシグナリングランプ160とを連動させて表示している。このため、特に手動運転モードを実行中の他車両200に対して注意をひきやすく、効果的である。
【0074】
上述した動作例では、対向車が一台のときを想定したが本発明はこれに限られない。隘路の先に複数台の対向車がいる場合には、先頭車両が変わる都度に先頭車両の運転モードに応じた表示するように構成してもよい。あるいは、例えば先頭車両から3台分の運転モードを判定し、少なくとも一台の車両が手動運転モードであった場合には、手動運転モード用の表示をするように構成してもよい。
【0075】
<他の動作例>
なお、上述した実施形態では、隘路R2で対向車200とすれ違う際に表示態様を切り替える例を説明したが、本発明はこの例に限られない。次に、
図9~
図11を参照して車両用ランプシステム20の他の動作例について説明する。
図9~
図11を参照して、自車両が車線変更する際の車両用ランプシステム20の動作例を説明する。
【0076】
図9は、車両1の車線変更の際に車両用ランプシステム20が実行するフローチャートである。
図10は、手動運転モード用の表示を示す図である。
図11は、自動運転モード用の表示を示す図である。
【0077】
図10において、自車両1は3車線ある道路の左端の左車線RFを走行している。この先の交差点で右折する、あるいは、この先において左車線RFが中央の中央車線RCに合流する、などの理由で、自車両1が中央車線RCに車線変更する必要が生じたとする。このとき、自車両1の周囲に、中央車線RCを走行する他車両300aと、右端の右車線RRを走行する他車両300bがいたとする。
【0078】
車両制御部3が左車線RFから中央車線RCへ車線を変更しようと判断すると、車両制御部3は将来進路を算出する。車両制御部3は、算出された将来進路を車両用ランプシステム20の干渉判定部21に送信する。車両制御部3は、将来進路において車線変更することを決定する(ステップS111:Yes)。
【0079】
車両制御部3が、将来進路において車線変更することを決定したら(ステップS111:Yes)、次に車両制御部3は、車両1の周囲の所定領域320内に他車両300a,300bが存在するか否か判別する(ステップS112)。所定領域320とは、車両1が車線変更することで運転に影響を受ける他車両300a,300bの走行領域を意味する。例えば、
図10および
図11に示された二点鎖線で囲まれる車両1の側方、後方および前方を含む所定領域320である。
【0080】
車両制御部3が、所定領域320内に他車両300a,300bが存在しないと判定した場合(ステップS112:No)、車両制御部3はランプ制御部4に自動運転モード用の表示をするように、信号を送信する(ステップS116)。自動運転モード用の表示は、他人が見て自車両1の意図がわかることを要求しない表示である。所定範囲230内に他車両300a,300bが存在しない場合には、積極的に他人に意図を伝達する必要がない。このため本実施形態においては、所定領域320内に他車両300a,300bが存在しないには、
図11に示す自動運転モード用の表示をする。
【0081】
車両制御部3が所定領域320内に他車両300a,300bが存在すると判定した場合(ステップS112:Yes)、モード判定部31は他車両300a,300bの全てが自動運転モードであるか否かを判定する(ステップS113)。
【0082】
図10において、他車両300aが手動運転モードであり、他車両300bが自動運転モードであったとする。モード判定部31が他車両300a,300bの少なくとも一つが手動運転モードであると判定した場合(ステップS113:No)、車両制御部3は、手動運転モード用の表示を行うようにランプ制御部4へ信号を送信する(ステップS114)。ランプ制御部4は、この信号を受信すると
図10に示す路面描画をするように路面描画ランプ102を制御する。
【0083】
図10に示すように、手動運転モード用の表示は、例えば、手動運転モードで走行している他車両300aの運転者が目で見たときに、車両1の車線を変更したいという意思を認識することが可能な表示である。図示の例では、手動運転モード用の表示として、左車線RFから車線変更する中央車線RCに向かう矢印50を車両1の右前方に路面描画している。
【0084】
これに対して、ステップS113で、他車両300a,300bの全てが自動運転モードであると判定された場合(ステップS113:Yes)、車両制御部3は、ランプ制御部4に、自動運転モード用の表示を行う信号を送信する(ステップS115)。ランプ制御部4は、該信号を受信すると、
図11に示す自動運転モード用の表示を行うように路面描画ランプ102を制御する。
【0085】
図11は、自動運転モード用の表示を示す。
図11における他車両300a,300bは自動運転モードで走行中であるものとする。
図11に示すように、自動運転モード用の表示として、ランプ制御部4は路面描画ランプ102に何も表示させない。
図8でも説明したように、自動運転モードで走行している他車両300a,300bとは、車車間通信で意思を伝達できる。このため、路面描画ランプ102を用いた表示では意思を伝達しない。
【0086】
なお本実施形態のように、所定領域320内の他車両300a,300bが全て自動運転モードであるときに自動運転モード用の表示を行うことが好ましい。自動運転モードを実行中の他車両300a,300bには車車間通信などで自車両1の意思を伝えることができるが、手動運転モードを実行中の他車両300aにはランプによる表示が最も効果的に意思を伝えることができるためである。
もっとも、自車両1の車線変更に伴い最も影響を受ける他車両300a,300b、本例では中央車線RCに位置する他車両300aの運転モードに応じた表示をするように構成してもよい。
【0087】
なお、
図8で説明したのと同様に本動作例においても、ランプ制御部4は、路面描画ランプ102とシグナリングランプ160とを連動させて制御している。本動作例においてランプ制御部4は、
図10に示すように手動運転モード用の表示として、路面描画ランプ102に矢印50を表示させ、右シグナリングランプ160Rを点滅させる。
図11に示すように自動運転モード用の表示として、路面描画ランプ102に矢印50を表示させず、右シグナリングランプ160Rを連続点灯させる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0089】
また上述した実施形態では、モード判定部31は、完全自動運転モードと高度運転支援モードを含む自動運転モードか、運転支援モードと完全手動運転モードを含む手動運転モードであるか否かを判別するように構成したが、本発明はこれに限られない。
例えば、モード判定部31は、完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、完全手動運転モードのそれぞれを判別し、ランプ制御部4は各々のモードで互いに異なる態様で路面描画ランプ102を制御してもよい。
あるいは、モード判定部31は、完全自動運転モードと高度運転支援モードと運転支援モードを含む第一モードと、完全手動運転モードとを判別し、ランプ制御部4は第一モードと完全手動モードで互いに異なる態様で路面描画ランプ102を制御してもよい。
【0090】
上述した実施形態においては、路面描画ランプ102とシグナリングランプ160を用いて自動運転モード用および手動運転モード用の表示を行う例を説明したが、これに限定されない。例えば、これらのランプの他に、IDランプ150、前照灯101、ターンシグナルランプ、車間灯などを用いて表示するようにしてもよい。これらのランプを用いる場合、自動運転モード用の表示と手動運転モード用の表示とで、点灯色、点滅周期、照射範囲等を異ならせるように構成してもよい。
【0091】
また上述した実施形態では、路面描画ランプ102により矢印41、バツ印42、矢印50などを表示する例を説明したが、本発明はこれらの図形に限られない。自車両1の意思を他車両へ伝達できる図形であれば、その形状、色、大きさ、数などは図示したものに限られない。
【0092】
また上述した実施形態においては、隘路におけるすれ違いや、車線変更する際の動作例を説明したが、本発明はこれに限られない。車両1を右折・左折させる場合、急ブレーキを作動させる場合など、他車両へ自車両の意思を伝えたい場合に本発明は効果的である。
【0093】
また、上述した説明においては、自動運転モードを「自動運転モード」と、「手動運転モード」との2つに分類しているが、これに限定されない。例えば、完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モードおよび完全手動運転モードの各モードに分類してもよい。
【0094】
上述の説明においては、ランプ制御部4がランプユニット100に搭載され、車両用ランプシステム20が車両システム2とは別の独立したシステムとして構成される例を想定している。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。例えば、車両用ランプシステムは、車両制御部3を含むシステムとして構成されていてもよい。あるいは、車両用ランプシステムは、車両システム2に接続されている例えばカメラ、センサ、レーダ等を含むシステムとして構成されていてもよい。また、ランプ制御部4は、車両制御部3を構成するECUの一部として構成してもよい。この場合、ランプ制御部4はランプユニット100ではなく、車両1に搭載される。
【0095】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、完全手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。
【0096】
さらに、車両の運転モードの区分や表示形態は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0097】
本出願は、2017年10月19日出願の日本特許出願2017-202458号に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、公道上で自動運転車両と手動運転車両とが混在する状況で好適に用いることのできる車両用ランプシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0099】
1:車両
2:車両システム
3:車両制御部
4:ランプ制御部
20:車両用ランプシステム
21:干渉判定部
31:モード判定部
40,41,50:矢印
102:路面描画ランプ(ランプの一例)
150:IDランプ(ランプの一例)
160R,160L:シグナリングランプ(ランプの一例)