(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】移動制御システム、移動体、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220609BHJP
【FI】
G05D1/02 H
(21)【出願番号】P 2020032154
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2020-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182502(JP,A)
【文献】特開2003-104685(JP,A)
【文献】特開2019-131392(JP,A)
【文献】実開昭60-034607(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/97232(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006054083(DE,A1)
【文献】特開平10-254544(JP,A)
【文献】特開平3-252707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D1/00-1/12,
B66F9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動で移動する移動体と、前記移動体以外に設けられた第1センサとを含む移動制御システムであって、
前記第1センサから、目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報の検出結果を取得する目標物情報取得部と、
前記目標物の位置情報に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を設定するルート設定部と、
前記経路の情報を前記移動体に出力する情報出力部と、
前記経路で前記移動体を移動させる移動制御部と、
前記移動体に設けられる第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路で移動する前記移動体が前記目標物
をピックアップできるかを判断し、前記目標物
をピックアップできないと判断した場合には、前記第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路を更新するルート更新部と、
を含む、移動制御システム。
【請求項2】
前記第1センサは、前記目標物に向けてレーザ光を照射して、前記レーザ光の反射光を受光することで、前記目標物の位置情報を検出する、請求項1に記載の移動制御システム。
【請求項3】
前記第1センサは、前記目標物の鉛直方向上方に設けられて、少なくとも前記目標物の向きに関する情報を検出する上方センサと、前記目標物の側方に設けられて、少なくとも前記目標物の位置に関する情報を検出する側方センサと、の少なくとも1つを含む、請求項1又は請求項2に記載の移動制御システム。
【請求項4】
前記第1センサは、複数の前記上方センサを備え、それぞれの前記上方センサは、前記目標物の鉛直方向上側の面のそれぞれ異なる位置にレーザ光を一方向に走査しつつ照射して、前記目標物の鉛直方向上側の面からの前記レーザ光の反射光を受光し、
前記目標物情報取得部は、それぞれの前記上方センサが受光した前記反射光に基づき、前記目標物の向きを算出する、請求項3に記載の移動制御システム。
【請求項5】
前記第1センサは、前記側方センサを備え、前記側方センサは、前記目標物の側面にレーザ光を一方向に走査しつつ照射して、前記目標物の側面からの前記レーザ光の反射光を受光し、
前記目標物情報取得部は、前記側方センサが受光した前記反射光に基づき、前記目標物の向きを算出する、請求項3に記載の移動制御システム。
【請求項6】
前記目標物は、車両に搭載されており、
前記第1センサは、複数の前記上方センサを備え、それぞれの前記上方センサは、前記車両の鉛直方向上側の面のそれぞれ異なる位置にレーザ光を一方向に走査しつつ照射して、前記車両の鉛直方向上側の面からの前記レーザ光の反射光を受光し、
前記目標物情報取得部は、それぞれの前記上方センサが受光した前記反射光に基づいて算出した前記車両の向きを、前記目標物の位置情報として取得する、請求項3に記載の移動制御システム。
【請求項7】
前記目標物は、車両に搭載されており、
前記第1センサは、前記側方センサを備え、前記側方センサは、前記車両の側面にレーザ光を一方向に走査しつつ照射して、前記車両の側面からの前記レーザ光の反射光を受光し、
前記目標物情報取得部は、前記側方センサが受光した前記反射光に基づいて算出した前記車両の向きを、前記目標物の位置情報として取得する、請求項3に記載の移動制御システム。
【請求項8】
前記目標物は、車両に搭載されており、
前記車両内の前記目標物が搭載されている荷台の高さの情報の検出結果を取得する荷台高さ情報取得部をさらに含み、
前記情報出力部は、前記荷台の高さの情報を、前記移動体に出力する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の移動制御システム。
【請求項9】
前記目標物は、荷物が搭載されているパレットであり、
前記第1センサの検出結果に基づき、前記パレットから前記荷物がはみ出しているかを判定するオーバーハング判定部を更に備える、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の移動制御システム。
【請求項10】
自動で移動する移動体であって、
前記移動体以外に設けられた第1センサが検出した目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報に基づき生成された、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を取得するルート情報取得部と、
前記経路に基づいて前記移動体を移動させる移動制御部と、
前記移動体に設けられる第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路で移動する前記移動体が前記目標物
をピックアップできるかを判断し、前記目標物
をピックアップできないと判断した場合には、前記第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路を更新するルート更新部と、
を含む、移動体。
【請求項11】
自動で移動する移動体と、前記移動体以外に設けられた第1センサとを含む移動制御システムの制御方法であって、
前記第1センサから、目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報の検出結果を取得するステップと、
前記目標物の位置情報に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を生成するステップと、
前記経路の情報を前記移動体に出力するステップと、
前記経路で前記移動体を移動させるステップと、
前記移動体に設けられる第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路で移動する前記移動体が前記目標物
をピックアップできるかを判断し、前記目標物
をピックアップできないと判断した場合には、前記第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路を更新するステップと、
を含む、制御方法。
【請求項12】
自動で移動する移動体と、前記移動体以外に設けられた第1センサとを含む移動制御システムの制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第1センサから、目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報の検出結果を取得するステップと、
前記目標物の位置情報に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を生成するステップと、
前記経路の情報を前記移動体に出力するステップと、
前記経路で前記移動体を移動させるステップと、
前記移動体に設けられる第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路で移動する前記移動体が前記目標物
をピックアップできるかを判断し、前記目標物
をピックアップできないと判断した場合には、前記第2センサによって検出された前記目標物の位置情報に基づいて、前記経路を更新するステップと、
を、コンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算装置、移動制御システム、制御装置、移動体、演算方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフォークリフトなどの移動体を自動的に目標位置まで移動させる技術が知られている。特許文献1には、地図データを基にフォークリフトのセンサが有効な第2設定位置までの広域軌道データを生成し、フォークリフトのセンサの検出結果に基づき、第2設定位置からパレットをピックアップするまでのアプローチ軌道を生成する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、地図データに基づき第2設定位置までの広域軌道データを生成しているが、例えば、フリースペースなど、目標物が予め決められた位置に配置されていない場合には、広域軌道データを予め生成することが難しい。また、例えば車両に搭載されたパレットを直接ピックアップする場合、車両の停車位置のずれや、車両のサイズの違いなどにより、目標物の位置が定まらず、広域軌道データを予め生成することが難しい。このような場合でも、フォークリフトのセンサにより目標物を検知して軌道生成することも考えられるが、目標物のおおよその位置が把握されていない状態では、軌道の演算負荷が高くなり、算出に時間を要し、作業が遅延するおそれが生じる。また、演算装置の性能を高くする必要が生じる場合もある。また、センサの解像度や方位角によっては、適切に対象物をセンシングできなくなる可能性も生じる。そのため、自動で移動する移動体において、目標物を適切にピックアップ可能な経路を生成することが求められている。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、自動で移動する移動体において、目標物を適切にピックアップ可能な経路を生成することが可能な演算装置、移動制御システム、制御装置、移動体、演算方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る演算装置は、自動で移動する移動体に情報を出力する演算装置であって、前記移動体以外に設けられたセンサから、目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報の検出結果を取得する目標物情報取得部と、前記目標物の位置情報に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を設定するルート設定部と、前記経路の情報を前記移動体に出力する情報出力部と、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動制御システムは、前記演算装置と、前記移動体と、を含む。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体の制御装置は、自動で移動する移動体の制御装置であって、前記移動体以外に設けられたセンサが検出した目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報に基づき生成された、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を取得するルート情報取得部と、前記経路に基づいて前記移動体を移動させる移動制御部と、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る移動体は、前記制御装置を備える。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る演算方法は、自動で移動する移動体に情報を出力する演算方法であって、前記移動体以外に設けられたセンサから、目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報の検出結果を取得するステップと、前記目標物の位置情報に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を生成するステップと、前記経路の情報を前記移動体に出力するステップと、を含む。
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、自動で移動する移動体に情報を出力する演算方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記移動体以外に設けられたセンサから、目標物の位置及び向きに関する情報である目標物の位置情報の検出結果を取得するステップと、前記目標物の位置情報に基づき、前記目標物に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を生成するステップと、前記経路の情報を前記移動体に出力するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、自動で移動する移動体において、目標物を適切にピックアップ可能な経路を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
【
図3】
図3は、管理システムの模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、演算装置の模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、パレットの位置及び向きを説明する模式図である。
【
図6】
図6は、センサの設置位置の例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、センサによるパレットの位置情報の検出の例を示す図である。
【
図8】
図8は、センサによるパレットの位置情報の検出の他の例を示す図である。
【
図9】
図9は、パレットからの荷物のはみ出しの例を示す図である。
【
図10】
図10は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る移動体の移動制御フローを説明するフローチャートである。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る演算装置の模式的なブロック図である。
【
図15】
図15は、センサによる車両の位置及び向きの検出の例を示す図である。
【
図16】
図16は、センサによる車両の位置及び向きの検出の他の例を示す図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る移動体の移動制御フローを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0015】
(第1実施形態)
(移動制御システムの全体構成)
図1は、第1実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10、管理システム12、演算装置14及びセンサ16を含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。設備W内の領域Aには、目標物としてのパレットPが設置されている。本実施形態では、パレットPの上には荷物P1が搭載されている(
図6参照)ため、パレットPと荷物P1とを合わせて、搬送する目標物として扱ってよい。領域Aは、例えば設備Wの床面であり、パレットP(荷物)が設置されたり移動体10が移動したりする領域である。本実施形態では、設備Wでは、パレットPを自由な位置に設置することが許可されており、パレットPは、設備Wの任意の位置に設置されている。ただし、設備W内で予め設定された設置領域にパレットPを配置するように規定されていてもよく、この場合、パレットPは、設置領域内に設置される。設置領域は、目標物であるパレットP(荷物)を設置すべき領域として、予め設定される。設置領域は、例えば白線などで区分されており、設置領域の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されている。なお、設置領域は、設備Wの床である領域Aに設けられているが、それに限られず、例えばパレットPを設備Wに搬入した車両の荷台内に設けられてもよい。また、設置領域は、パレットPを設備Wに搬入した車両が停車する領域であってもよい。例えば、設置領域には、複数のパレットPが設置されてもよく、すなわち、複数のパレットPを設置可能なフリースペースとなっていてもよい。フリースペースでは、パレットPを設置領域内に自由に設置することが許可されている場合があり、設置領域内のパレットPの位置及び向きは、予め定められていない場合がある。ただし、設置領域は、例えばパレットP毎に区画されて、設置領域にはパレットPが1つ配置されてもよい。この場合でも、設置領域に設置されるパレットPは、位置及び姿勢が想定からずれて配置される可能性がある。なお、設置領域は、例えば矩形であるが、形状及び大きさは任意であってよい。
【0016】
移動体10は、自動で移動可能な装置である。本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、さらにいえば、いわゆるAGF(Automated Guided Forklift)やAGV(Automated Guided Vehicle)である。
図1に例示すように、移動体10は、設備Wにおける領域A上を移動する。移動体10は、演算装置14が設定したルート(経路)Rに従って、目標位置・姿勢(目標位置)AR1まで移動して、パレットPをピックアップする。目標位置・姿勢AR1は、パレットPに対して所定の位置及び向きとなる位置及び姿勢であり、移動体10がパレットPをピックアップ可能な位置・姿勢といえる。本実施形態の例では、目標位置・姿勢AR1は、移動体10が横方向に移動することなく、直進することで、後述の移動体10のフォーク24を、後述のパレットPの開口Pbに挿入することができる移動体10の位置及び姿勢(向き)ともいえる。移動体10は、目標位置・姿勢AR1から直進してパレットPをピックアップして、パレットPを他の場所に搬送する。ルートRの詳細については後述する。以下、領域Aに沿った一方向を、方向Xとし、領域Aに沿った方向であって方向Xに直交する方向を、方向Yとする。また、領域Aに直交する方向、すなわち方向X、Yに直交する方向を、方向Zとする。方向X、Yは水平方向であり、方向Zは鉛直方向といえる。
【0017】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。
図2に示すように、移動体10は、車体20と、マスト22と、フォーク24と、センサ26と、制御装置28とを備えている。車体20は、車輪20Aを備えている。マスト22は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられている。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、第1方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、第2方向とする。
【0018】
センサ26は、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び向きの少なくとも1つを検出する。センサ26は、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の向きとを検出するともいえる。本実施形態では、センサ26は、マスト22に設けられており、車体20の第1方向側の対象物の位置及び向きを検出する。ただし、センサ26の検出方向は第1方向に限られず、例えば第1方向側と第2方向側の両方を検出してもよい。この場合、センサ26として、第1方向側を検出するセンサと第2方向側を検出するセンサとを設けてよい。センサ26は、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26は、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。なお、センサ26は、以上のものに限られず任意の方法で対象物検出するセンサであってよく、例えば、カメラなどであってもよい。また、センサ26の設けられる位置も、マスト22に限られない。具体的には、例えば、移動体10に設けられる安全センサを、センサ26として流用してもよい。安全センサを流用することで、新たにセンサを設ける必要がなくなる。また、センサ26は必須の構成でなく、移動体10にはセンサ26が設けられていなくてもよい。
【0019】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0020】
(管理システム)
図3は、管理システムの模式的なブロック図である。管理システム12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理システム12は、本実施形態ではWMS(Warehouse Management System)であるが、WMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理システム12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理システム12は、コンピュータであり、
図3に示すように、制御部30と記憶部32とを含む。記憶部32は、制御部30の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0021】
制御部30は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。制御部30は、作業決定部34を含む。制御部30は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業決定部34を実現して、その処理を実行する。なお、制御部30は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業決定部34を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0022】
作業決定部34は、搬送する対象となるパレットPを決定する。具体的には、作業決定部34は、例えば入力された作業計画に基づき、搬送する対象となるパレットPの情報を示す作業内容を決定する。作業内容は、搬送する対象となるパレットPを特定する情報であるともいえる。本実施形態の例では、作業内容は、どの設備にあるどのパレットP(荷物)を、いつまでに、どこに搬送するかを、作業内容として決定する。すなわち、作業決定部34は、対象となるパレットPが保管されている設備と、対象となるパレットPと、パレットPの搬送先と、パレットPの搬送時期とを、を示す情報である。作業決定部34は、決定した作業内容を、演算装置14に送信する。
【0023】
(演算装置)
図4は、演算装置の模式的なブロック図である。演算装置14は、設備Wに設けられ、少なくとも、移動体10の移動に関する情報などを演算して出力する装置である。演算装置14は、コンピュータであり、
図4に示すように、制御部40と記憶部42とを含む。記憶部42は、制御部40の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0024】
制御部40は、演算装置、すなわちCPUである。制御部40は、作業内容取得部50と、移動体選定部52と、目標物情報取得部54と、ルート設定部56と、オーバーハング判定部58と、情報出力部60とを含む。制御部40は、記憶部42からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業内容取得部50と移動体選定部52と目標物情報取得部54とルート設定部56とオーバーハング判定部58と情報出力部60とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部40は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業内容取得部50と移動体選定部52と目標物情報取得部54とルート設定部56とオーバーハング判定部58と情報出力部60との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、目標物情報取得部54とルート設定部56とオーバーハング判定部58との少なくとも1つは、移動体10の制御装置28に含まれていてもよい。
【0025】
(作業内容取得部、移動体選定部)
作業内容取得部50は、管理システム12が決定した作業内容の情報、すなわち搬送対象となるパレットPの情報を取得する。移動体選定部52は、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部52は、例えば、設備Wに所属する複数の移動体から、対象となる移動体10を選定する。移動体選定部52は、任意の方法で対象となる移動体10を選定してよい。
【0026】
(目標物情報取得部、センサ)
図5は、パレットの位置及び向きを説明する模式図である。目標物情報取得部54は、センサ16から、パレットPの位置情報(目標物の位置情報)の検出結果を取得する。目標物情報取得部54は、パレットPの位置情報の検出結果を、センサ16から、無線通信によって取得してもよいし、有線通信によって取得してもよい。パレットPの位置情報とは、パレットPの位置及び向きに関する情報である。
図5に示すように、パレットPは、一つの表面(側面)である前面Paに、フォーク24が挿入される開口Pbが形成されている。本実施形態において、パレットPの位置情報とは、パレットPの位置及び向きを示す情報である。パレットPの位置とは、設備W内におけるパレットPの位置であり、例えば、設備Wの領域Aにおける方向X及び方向Yの二次元座標である。パレットPの位置は、パレットPの中心点CP0や、パレットPの開口Pbなど、パレットPの任意の位置における座標であってよい。以下においても、位置とは、別途説明が無い限り、領域Aにおける二次元座標を指してよい。また、パレットPの向き(姿勢)とは、水平方向においてパレットPが向いている方向を指す。ここで、水平方向における(すなわちZ方向に直交する)基準線を直線L0とし、パレットPの中心点CP0とパレットPの前面Paの水平方向における中点CPとを結び、Z方向に直交する直線を、直線L1とする。この場合例えば、パレットPの向きとは、直線L0に対する直線L1の傾きを指してよく、言い換えれば、直線L0と直線L1とがなす角度θを指してよい。なお、
図5の例では、基準線である直線L0は、方向Yに沿った直線であるが、それに限られない。
【0027】
図6は、センサの設置位置の例を示す模式図である。センサ16は、設備Wに存在する対象物の位置及び向きを検出するものであり、パレットPの位置情報を検出する。センサ16は、パレットPを搬送する移動体10に設けられたセンサでなく、移動体10以外に設けられたセンサである。本実施形態におけるセンサ16は、対象物(ここではパレットP)に向けてレーザ光LTを照射し、対象物からのレーザ光LTの反射光を受光して、対象物の位置情報を検出する。さらにいえば、本実施形態のセンサ16は、二次元LIDAR(Light Detection and Raiging)センサであり、一方向(ここでは水平方向)に走査しつつレーザ光LTを照射する。ただし、センサ16は、以上のものに限られず任意の方法でパレットPの位置情報を検出するセンサであってよく、例えば、カメラなどであってもよい。
【0028】
本実施形態では、センサ16は、設備Wに固定して設けられるが、後述のセンサの他の例に示すように、移動体10以外の移動体に設けてもよい。センサ16は、本実施形態では、設備W内の所定の領域毎に設けられるが、それに限られず、設備W毎に設けられてもよい。また、センサ16の数は任意であるが、本実施形態では、複数のセンサ16が設けられており、例えば、所定の領域毎に複数のセンサ16が設けられている。また、センサ16の設けられる位置は任意であるが、本実施形態では、センサ16として、パレットPよりもZ方向(鉛直方向上方)側に設けられる上方センサ16Aと、パレットPの側方(水平方向)側に設けられる側方センサ16Bとの、少なくとも一方が設けられている。上方センサ16Aは、例えば設備Wの天井などに設けられる。上方センサ16Aは、鉛直方向下方に向けてレーザ光LTを照射することで、パレットPのZ方向側(鉛直方向上側)の面に向けてレーザ光LTを照射する。側方センサ16Bは、例えば設備Wの壁や柱などに設けられる。側方センサ16Bは、水平方向側に向けてレーザ光LTを照射することで、パレットPの側面に向けてレーザ光LTを照射する。上方センサ16Aと側方センサ16Bとは、少なくともパレットPの向きに関する情報を検出可能である。また、上方センサ16Aと側方センサ16Bとの少なくとも一方は、パレットPの位置に関する情報を検出可能である。なお、パレットPと荷物P1とがほぼ同じサイズである場合や、荷物P1がパレットPの中心位置に配置されている場合には、パレットPでなく、荷物P1をセンシングして、荷物P1の位置情報を取得してもよい。すなわち、ここでのパレットPの位置情報とは、パレットPそのものの位置情報でもよいし、パレットPに設置された荷物P1の位置情報でもよい。
【0029】
以下、センサ16によるパレットPの位置情報の検出方法の例を説明する。
図7は、センサによるパレットの位置情報の検出の例を示す図である。
図7の例では、センサ16として、複数の上方センサ16Aが設けられている。上方センサ16A1、16A2は、レーザ光LTを、異なる軌跡で走査しつつ、鉛直方向下方に向けて照射する。上方センサ16A1、16A2からのレーザ光LTは、パレットPのZ方向(鉛直方向)上側の面の異なる位置に照射される。すなわち、上方センサ16A1、16A2は、パレットPのZ方向側の面のそれぞれ異なる位置に、レーザ光LTを一方向に走査しつつ照射するといえる。上方センサ16A1、16A2は、水平方向にレーザ光LTを走査する。上方センサ16A1、16A2によるレーザ光LTの走査方向は、
図7の例では互いに平行であるが、互いに交差していてもよい。また、上方センサ16A1によるレーザ光LTのパレットPへの照射位置と、上方センサ16A2によるレーザ光LTのパレットPへの照射位置との間の最短距離DLTは、十分短いことが好ましく、例えばパレットPの辺(例えば短辺)よりも短いことが好ましい。
【0030】
上方センサ16A1は、自身が照射したレーザ光LTの、パレットPのZ方向側の面からの反射光を受光する。上方センサ16A1は、パレットPのZ方向側の面からの反射光の点群Q1を取得するといえる。この点群Q1は、上方センサ16A1の走査方向に並ぶ。同様に、上方センサ16A2は、自身が照射したレーザ光LTの、パレットPのZ方向側の面からの反射光を受光して、パレットPのZ方向側の面からの反射光の点群Q2を取得する。点群Q2は、上方センサ16A2の走査方向に並ぶ。演算装置14の目標物情報取得部54は、これらの点群Q1、Q2の情報(点群Q1、Q2の座標の情報)を取得する。また、目標物情報取得部54は、例えば記憶部42から、予め定められているパレットPの寸法の情報を読み出す。目標物情報取得部54は、点群Q1、Q2の情報とパレットPの寸法の情報とに基づき、パレットPの位置及び向きを算出する。例えば
図7の例では、最も一方側(Y方向と反対側)の点群Q1、Q2は、パレットPの一方側(Y方向と反対側)の側端の位置を示し、最も他方側(Y方向側)の点群Q1、Q2は、パレットPの他方側(Y方向側)の側端の位置を示している。そのため、最も一方側の点群Q1と点群Q2とを結んだ直線Pc1が、パレットPの一方側の辺の少なくとも一部の区間を示し、最も他方側の点群Q1と点群Q2とを結んだ直線Pc2が、パレットPの他方側の辺の少なくとも一部の区間を示す。そのため、直線Pc1、Pc2が把握できれば、パレットPの寸法の情報から、パレットPの位置及び輪郭を推定でき、輪郭から、パレットP向きを算出できる。このように、
図7の例では、目標物情報取得部54は、直線Pc1、Pc2の位置及び向きを算出して、直線Pc1、Pc2の位置及び向きと、パレットPの寸法の情報とから、パレットPの位置及び向きを算出する。
【0031】
なお、上方センサ16AによるパレットPの位置及び向きの検出方法は、上記の方法に限られず、他の検出方法を用いてもよい。また、
図7の例のように複数の上方センサ16Aを設ける場合、側方センサ16Bは設けなくてよい。また、
図7の例では、2つの上方センサ16Aが設けられているが、3つ以上の上方センサ16Aが設けられていてもよい。2つの上方センサ16Aとすることで、センサの数を抑えることが可能となり、3つ以上の上方センサ16Aとすることで、パレットPの位置情報の検出精度を向上できる。
【0032】
図8は、センサによるパレットの位置情報の検出の他の例を示す図である。
図8の例では、センサ16として、側方センサ16Bが設けられている。側方センサ16Bは、レーザ光LTを走査しつつ、水平方向側に向けて照射する。側方センサ16Bからのレーザ光LTは、パレットPの側面に照射される。すなわち、側方センサ16Bは、パレットPの側面にレーザ光LTを一方向に走査しつつ照射するといえる。側方センサ16Bは、水平方向にレーザ光LTを走査する。
【0033】
側方センサ16Bは、自身が照射したレーザ光LTの、パレットPの側面からの反射光を受光する。側方センサ16Bは、パレットPの側面からの反射光の点群Qを取得するといえる。演算装置14の目標物情報取得部54は、これらの点群Qの情報(点群Qの座標の情報)を取得する。また、目標物情報取得部54は、例えば記憶部42から、予め定められているパレットPの寸法の情報を読み出す。目標物情報取得部54は、点群Qの情報とパレットPの寸法の情報とに基づき、パレットPの位置及び向きを算出する。例えば
図8の例では、最も一方側(X方向側)の点群Qaは、パレットPをZ方向から見た場合の一方側(X方向側)の頂点の位置を示し、最も他方側(X方向と反対側)の点群Qbは、パレットPをZ方向から見た場合の他方側(X方向と反対側)の頂点の位置を示している。また、並ぶ方向が切り替わった箇所の点群Qcが、パレットPをZ方向から見た場合の3つ目の頂点の位置を示している。そのため、点群Qaから点群Qcまでの点群Qを通る直線Pd1が、パレットPの1つの辺を示し、点群Qbから点群Qcまでの点群Qを通る直線Pd2が、パレットPの他の辺を示す。そのため、直線Pd1、Pd2が把握できれば、パレットPの寸法の情報から、パレットPの位置及び輪郭を推定でき、輪郭から、パレットP向きを算出できる。このように、
図8の例では、目標物情報取得部54は、直線Pd1、Pd2の位置及び向きを算出して、直線Pd1、Pd2の位置及び向きと、パレットPの寸法の情報とから、パレットPの位置及び向きを算出する。なお、直線Pd1、Pd2のようにパレットPの2辺の全体が検出される場合は、パレットPの寸法の情報を用いずに、直線Pd1、Pd2からパレットPの位置及び向きが算出可能である。ただし、例えばセンサ16がパレットPの2辺の一部の区間や、パレットPの1辺のみを検出する場合もあり、この場合、目標物情報取得部54は、パレットPの2辺の一部の区間や1辺の位置及び向きと、パレットPの位置情報とから、パレットPの位置及び向きを算出する。
【0034】
なお、側方センサ16BによるパレットPの位置及び向きの検出方法は、上記の方法に限られず、他の検出方法を用いてもよい。また、
図8の例のように側方センサ16Bを設ける場合、上方センサ16Aは設けなくてよい。ただし、側方センサ16Bと上方センサ16Aとを設けてもよく、例えば、側方センサ16BにパレットPの向きを検出させ、上方センサ16Aに、パレットPの位置を検出させてもよい。また、
図8の例では、1つの側方センサ16Bが設けられているが、2つ以上の側方センサ16Bが設けられていてもよい。1つの側方センサ16Bとすることで、センサの数を抑えることが可能となり、2つ以上の側方センサ16Bとすることで、パレットPの位置情報の検出精度を向上できる。
【0035】
また、演算装置14は、パレットPの情報から、パレットPの位置情報を検出するセンサ16を選定してよい。この場合、例えば作業内容取得部50が、パレットPの情報から、パレットPが設置されているエリア情報を取得する。記憶部42には、パレットPと、そのパレットPが設置されているエリア情報(エリアの位置情報)とが、関連付けて記憶されており、作業内容取得部50は、記憶部42からその情報を読み出すことで、エリア情報を取得する。作業内容取得部50は、エリア情報に基づき、そのエリア内にあるパレットPの位置情報を検出可能なセンサ16を選定する。目標物情報取得部54は、作業内容取得部50が選定したセンサ16に、パレットPの位置情報を取得させる。なお、ここでのエリアとは、設備W内の少なくとも一部の領域を指し、任意の大きさであってよいが、例えば上述の設置領域より大きい領域であってもよいし、設置領域そのものであってもよい。
【0036】
(ルート設定部)
図4に示すルート設定部56は、目標物情報取得部54が取得したパレットPの位置情報に基づき、目標位置・姿勢AR1までのルートRを設定する。まず、ルート設定部56は、目標物情報取得部54が取得したパレットPの位置情報に基づき、すなわちパレットPの位置及び向きに基づき、目標位置・姿勢AR1を設定する。すなわち、ルート設定部56は、パレットPの位置及び向きから、パレットPをピックアップ可能な(直進することでフォーク24をパレットPの開口Pbに挿入することができる)位置及び姿勢を算出して、目標位置・姿勢AR1とする。一例として、開口Pbの入口から、パレットPの開口Pbの軸方向に1000mm平行移動した箇所を、目標位置・姿勢AR1としてもよい。ルート設定部56は、設備Wの地図情報に基づき、予め設定されたスタート位置から、設定した目標位置・姿勢AR1までの経路を、ルートRとして生成する。設備Wの地図情報は、設備Wに設置されている障害物(柱など)や移動体10が走行可能な通路などの位置情報を含んだ情報であり、領域A内で移動体10が移動可能な領域を示す情報といえる。また、ルート設定部56は、設備Wの地図情報に加えて、移動体10の車両仕様の情報にも基づき、ルートRを設定してよい。車両仕様の情報とは、例えば、移動体10の大きさや最小旋回半径など、移動体10が移動可能な経路に影響を及ぼす仕様である。また、ルート設定部56は、例えば通過して欲しいポイント(Waypoint)を指定してもよく、この場合、スタート位置から、通過して欲しいポイントを経由して、目標位置・姿勢AR1までの、最短、かつ障害物(壁などの固定物)を避けた経路を、ルートRとして生成できる。なお、ルート設定部56は、移動体10から、移動体10の現在の位置を取得して、移動体10の現在の位置から目標位置・姿勢AR1までの経路を、ルートRとして設定してもよい。
【0037】
また、パレットPが予め設定された設置領域に設置される際には、設置領域までの経路が、予め設定されている場合がある。この場合、ルート設定部56は、記憶部42から設置領域までの経路を読み出し、設置領域までの経路からの差分が最も少なくなるように、ルートRを生成してよい。
【0038】
(オーバーハング判定部)
図9は、パレットからの荷物のはみ出しの例を示す図である。
図4に示すオーバーハング判定部58は、センサ16の検出結果に基づき、パレットPから荷物P1がはみ出しているかを判定する。センサ16は、パレットPの側面の位置と、荷物P1の側面の位置とを検出する。センサ16によるパレットPの側面の位置と荷物P1の側面の位置との検出方法は任意であってよいが、例えば、側方センサ16Bにより、
図7の説明と同様の方法で、パレットPの側面と荷物P1の側面とを走査することで、パレットPの側面の位置と荷物P1の側面の位置とを検出してよい。オーバーハング判定部58は、パレットPの側面の位置と荷物P1の側面の位置とに基づき、パレットPから荷物P1がはみ出しているかを判定する。例えば、オーバーハング判定部58は、荷物P1の側面がパレットPの側面よりも外側(パレットPの中心から離れる側)に位置している場合、パレットPから荷物P1がはみ出していると判定し、荷物P1の側面がパレットPの側面よりも内側(パレットPの中心側)に位置している場合、パレットPから荷物P1がはみ出してないと判定する。なお、センサ16の検出結果に基づいてはみ出しているかを判定する方法はこれに限られず、任意であってもよい。例えば、上方センサ16Aにより、パレットPの上方から検出を行うことで、鉛直方向上方から見た対象物のサイズを検出してもよい。この場合、オーバーハング判定部58は、検出した対象物のサイズが既知のパレットPのサイズよりも大きい場合は、対象物としてパレットPからはみ出している荷物P1のサイズを検出したものと判断して、パレットPから荷物P1がはみ出していると判定してよい。
【0039】
また、オーバーハング判定部58は、荷物P1がパレットPに対してずれて設置されているかも判定してよい。この場合例えば、センサ16は、パレットPの複数の側面の位置と、荷物P1の複数の側面の位置とを、検出する。例えば、
図9のパレットPSと荷物PS1に示すように、荷物PS1の一方の側面がパレットPSの一方の側面よりも外側にあり、荷物PS1の他方の側面がパレットPSの他方の側面よりも内側にある場合に、オーバーハング判定部58は、荷物P1がパレットPからはみ出しており、かつ、荷物P1がパレットPに対してずれて設置されていると判定する。また例えば、
図9のパレットPTと荷物PT1に示すように、荷物PT1の一方の側面がパレットPTの一方の側面よりも外側にあり、荷物PT1の他方の側面も、パレットPの他方の側面よりも外側にある場合に、オーバーハング判定部58は、荷物P1がパレットPからはみ出しているが、荷物P1がパレットPに対してずれて設置されていないと判定する。荷物P1がパレットPに対してずれて設置されているかの判定方法はこれに限られず、任意であってもよい。例えば、上方センサ16Aにより、パレットPの上方から検出を行うことで、鉛直方向上方から見た対象物のサイズを検出してもよい。この場合、オーバーハング判定部58は、検出した対象物のサイズが既知のパレットPのサイズよりも大きい場合は、パレットPとパレットPからはみ出した荷物P1とを含めた全体のサイズを検出したものと判断して、荷物P1がパレットPに対してずれて設置されていると判定してよい。
【0040】
(情報出力部)
図4に示す情報出力部60は、情報を出力する。情報出力部60は、演算装置14の図示しない通信部を介して、移動体10に情報を出力する。情報出力部60は、ルート設定部56が生成したルートRの情報を、移動体10に送信する。また、情報出力部60は、オーバーハング判定部58の判定結果を、移動体10に送信する。また例えば、情報出力部60は、オーバーハング判定部58によって、荷物P1がパレットPに対してずれて設置されていると判定された場合、荷物P1がパレットPに対してずれて設置されている旨を示す情報(警報)を、出力してもよい。荷物P1がパレットPに対してずれて設置されている場合、パレットPを搬送中に荷物P1が落下するおそれが高くなるため、移動体10に搬送を実行させず、その旨の情報を出力する。これにより、例えば作業員が荷物P1を搭載し直すなどの対応が可能となる。なお、目標物情報取得部54とルート設定部56とオーバーハング判定部58とが移動体10の制御装置28に含まれている場合には、移動体10の目標物情報取得部54は、センサ16から直接パレットPの位置情報を取得する。そして、移動体10のルート設定部56は、パレットPの位置情報からルートRを設定し、移動体10のオーバーハング判定部58は、パレットPの位置情報から判定を実行する。演算装置14は、移動体10のルート設定部56が設定したルートRの情報や、オーバーハング判定部58の判定結果を、取得する。
【0041】
(移動体の制御装置)
図10は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する。制御装置28は、演算装置14が生成したルートRに沿って、移動体10を目標位置・姿勢AR1まで移動させて、移動体10にパレットPをピックアップさせる。制御装置28は、コンピュータであり、
図10に示すように、制御部70と記憶部72とを含む。記憶部72は、制御部70の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0042】
制御部70は、演算装置、すなわちCPUである。制御部70は、ルート情報取得部80と、移動制御部82と、ルート更新部84とを含む。制御部70は、記憶部72からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、ルート情報取得部80と移動制御部82とルート更新部84とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部70は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、ルート情報取得部80と移動制御部82とルート更新部84との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0043】
ルート情報取得部80は、演算装置14からルートRの情報を取得する。移動制御部82は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。移動制御部82は、ルート情報取得部80が取得したルートRに従って、移動体10を移動させる。すなわち、移動制御部82は、現在の移動体10の位置から、目標位置・姿勢AR1に向けて、ルートRを通るように、移動体10を移動させる。移動制御部82は、移動体10の位置情報を逐次把握することで、ルートRを通るように、移動体10を移動させる。移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、
図1に示すように、設備Wに検出体Sが設けられており、移動制御部82は、検出体Sの検出に基づき移動体10の位置情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体Sに向けてレーザ光を照射し、検出体Sによるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置を検出する。
【0044】
移動体10が目標位置・姿勢AR1に到着したら、移動制御部82は、目標位置・姿勢AR1から移動体10をパレットPの位置まで移動させて、フォーク24をパレットPの開口Pb2に挿入させて、パレットPをピックアップさせる。そして、移動制御部82は、パレットPをピックアップした移動体10を、搬送先に搬送させる。
【0045】
ルート更新部84は、移動体10のセンサ26の検出結果に基づき、ルートRを更新する。センサ26は、パレットPの位置情報、及び、開口Pbの位置を検出する。ルート更新部84は、例えばルートRに従った走行中にセンサ26に検出を続けさせる。そして、移動体10がパレットPの近くに到着したら、すなわち、センサ26によるパレットPの検出が可能な距離に移動体10が到着したら、ルート更新部84は、センサ26から、パレットPの位置情報、及び、開口Pbの位置の情報を取得する。ただし、ルート更新部84は、移動体10がセンサ26による検出が可能な位置に到着してから、センサ26の検出を開始させてもよい。例えば、センサ26は、パレットPの前面Paに向けて一方向(水平方向)に走査しながらレーザ光を照射し、パレットPからのレーザ光の反射光を受光することで、パレットPの位置情報、及び、開口Pbの位置を検出する。
【0046】
ルート更新部84は、パレットPの位置情報、及び、開口Pbの位置の検出結果を取得して、現在のルートRでパレットPをピックアップ可能か判定する。ルート更新部84は、センサ26によるパレットPの位置情報、及び、開口Pbの位置の検出結果から、開口Pbの位置を特定する。そして、ルート更新部84は、特定した開口Pbの位置に基づき、移動体10がルートRで目標位置・姿勢AR1に到着した際に、フォーク24をパレットPの開口Pb2に挿入できるかを判断する。例えば、ルート更新部84は、移動体10が目標位置・姿勢AR1から直進することでフォーク24を開口Pb2に挿入できる場合に、フォーク24を開口Pb2に挿入できると判断する。ルート更新部84は、フォーク24を開口Pb2に挿入できると判断した場合に、現在のルートRでパレットPをピックアップ可能と判断する。一方、ルート更新部84は、フォーク24を開口Pb2に挿入できないと判断した場合には、現在のルートRでパレットPをピックアップできないと判断する。
【0047】
ルート更新部84は、現在のルートRでパレットPをピックアップできると判断した場合、ルートRを更新しない。一方、ルート更新部84は、現在のルートRでパレットPをピックアップできないと判断した場合、パレットPの位置情報、及び、開口Pbの位置の検出結果に基づき、目標位置・姿勢AR1がパレットPをピックアップ可能な位置となるように、ルートRを更新する。ルート更新部84は、モデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)によって、パレットPをピックアップ可能な目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成してよい。なお、ルート更新部84は、演算装置14に含まれていてもよく、演算装置14のルート更新部84がルートRを更新してもよい。この場合、移動体10は、演算装置14から、更新したルートRの情報を取得する。
【0048】
移動制御部82は、ルート更新部84がルートRを更新した場合、更新したルートRで移動体10を移動させる。また、移動制御部82は、ルートRに沿った移動と直接フィードバック制御による移動とを切り替えて、移動体10を目標位置・姿勢AR1まで移動させてもよい。直接フィードバックによる制御としては、例えば「尾里淳,丸典明 著「線形ビジュアルサーボによる全方向移動ロボットの位置と姿勢の制御」、日本機械学会論文集(C編)、第77巻、第774号、p.215-224、2011年2月25日」に記載されているような、ビジュアルサーボ方式による制御が挙げられる。
【0049】
また、移動制御部82は、演算装置14から、オーバーハング判定部58による判定結果を取得して、オーバーハング判定部58による判定結果に基づき、移動体10の走行を制御してよい。例えば、オーバーハング判定部58によって、荷物P1がパレットPからはみ出していると判断された場合、移動制御部82は、速度を下げたりすることで、荷物P1の落下を抑制できる。また、荷物P1のはみ出しも考慮して、荷物P1が障害物に干渉しないように、搬送先への経路の設定ができる。
【0050】
(移動制御フロー)
以上説明した移動体10の移動制御のフローを、フローチャートに基づき説明する。
図11は、第1実施形態に係る移動体の移動制御フローを説明するフローチャートである。
図11に示すように、演算装置14は、目標物情報取得部54により、センサ16から、パレットPの位置情報を取得し(ステップS10)、ルート設定部56により、パレットPの位置情報に基づき、目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成する(ステップS12)。演算装置14は、情報出力部60により、生成したルートRを、移動体10に出力する(ステップS14)。
【0051】
移動体10は、演算装置14からルートRの情報を取得したら、移動制御部82の制御により、ルートRに従って走行する(ステップS16)。そして、移動体10は、ルートR上を走行して、センサ26によりパレットPを検出可能な位置に到達したら、ルート更新部84により、センサ26から、パレットPの位置情報と開口Pbの位置とを取得する(ステップS18)。ルート更新部84は、パレットPの位置情報と開口Pbの位置とから、ルートRを走行して目標位置・姿勢AR1に到着した場合に、パレットPをピックアップ可能か判定する(ステップS20)。パレットPをピックアップ可能と判定した場合(ステップS20;Yes)、移動体10は、ルートRを更新することなく、既存のルートRを使用して、既存のルートRに従った走行を続ける(ステップS22)。一方、パレットPをピックアップ可能でない判定した場合(ステップS20;No)、ルート更新部84は、ルートRを更新し(ステップS24)、移動体10は、更新されたルートRで走行する。目標位置・姿勢AR1に到着したら、移動体10は、例えば直進してパレットPをピックアップして、他の場所に搬送する。
【0052】
(本実施形態の効果)
ここで、移動体10が移動するパレットPまでのルートは、予め設定される場合がある。しかし、パレットPが自由な位置に配置されていたり、パレットPが決められた位置に設置されていなかったりする場合には、ルートを予め設定することは難しい。このような場合、移動体10をパレットPの近くまで移動させて、センサ26によりパレットPを検知して軌道生成することも考えられるが、パレットPの位置が把握されていない状態では、軌道の演算負荷が高くなり、算出に時間を要し、作業が遅延するおそれが生じる。また、移動体10の制御装置の性能を高くする必要が生じる場合がある。また、センサ16の解像度や方位角によっては、適切に対象物をセンシングできなくなる可能性も生じる。そのため、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが求められている。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、移動体10以外に設けられたセンサ16により、搬送対象となるパレットPの位置及び向きを検出して、パレットPの位置及び向きに基づき、目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成する。このようにして生成されたルートRは、パレットPの位置及び向きに基づいているため、パレットPを適切にピックアップ可能な、精度の高いルートとなる。また、移動体10以外に設けられたセンサ16を使用するため、移動体10が移動を開始する前に、精度の高いルートRの生成が可能となる。移動体10は、このルートRに従ってパレットPまでアプローチするため、例えば移動体10がパレットPまでのルートRを生成し直す場合にも、元のルートRからのずれを少なくすることが可能となり、演算負荷を低減できる。このように、本実施形態に係る演算装置14によると、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る演算装置14は、自動で移動する移動体10に情報を出力するものであり、目標物情報取得部54と、ルート設定部56と、情報出力部60とを含む。目標物情報取得部54は、移動体10以外に設けられたセンサ16から、パレットP(目標物)の位置及び向きに関する情報であるパレットP(目標物)の位置情報の検出結果を取得する。ルート設定部56は、パレットPの位置情報に基づき、パレットPに対して所定の位置及び向きとなる目標位置・姿勢AR1(目標位置)までのルートR(経路)を設定する。情報出力部60は、ルートRの情報を移動体10に出力する。本実施形態に係る演算装置14は、センサ16が検出したパレットPの位置及び向きに関する情報に基づき、ルートRを生成するため、パレットPを適切にピックアップ可能な、精度の高いルートRを生成することが可能となる。また、移動体10以外に設けられたセンサ16を使用するため、移動体10が移動を開始する前に、精度の高いルートRの生成が可能となる。このように、本実施形態に係る演算装置14によると、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0054】
また、センサ16は、パレットPに向けてレーザ光LTを照射して、レーザ光LTの反射光を受光することで、パレットPの位置情報を検出する。本実施形態に係る演算装置14によると、レーザ光LTによって検出されたパレットPの位置情報に基づきルートRが設定できるので、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0055】
また、センサ16は、パレットPの鉛直方向上方に設けられて、少なくともパレットPの向きに関する情報を検出する上方センサ16Aと、パレットPの側方に設けられて、少なくともパレットPの位置に関する情報を検出する側方センサ16Bと、の少なくとも1つを含む。本実施形態に係る演算装置14によると、上方センサ16Aや側方センサ16Bが検出したパレットPの向きに関する情報に基づきルートRが設定できるので、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0056】
また、センサ16は、複数の上方センサ16Aを備え、それぞれの上方センサ16Aは、パレットPの鉛直方向上側の面のそれぞれ異なる位置にレーザ光LTを一方向に走査しつつ照射して、パレットPの鉛直方向上側の面からのレーザ光LTの反射光を受光する。目標物情報取得部54は、それぞれの上方センサ16Aが受光した反射光に基づき、パレットPの向きを算出する。本実施形態に係る演算装置14によると、複数の上方センサ16AによってパレットPの鉛直方向上側の面にレーザ光LTを照射するため、パレットPの位置情報を高精度で取得可能となり、適切にルートRを生成することが可能となる。
【0057】
また、センサ16は、側方センサ16Bを備え、側方センサ16Bは、パレットPの側面にレーザ光LTを一方向に走査しつつ照射して、目標物の側面からのレーザ光LTの反射光を受光する。目標物情報取得部54は、側方センサ16Bが受光した反射光に基づき、パレットPの向きを算出する。本実施形態に係る演算装置14によると、側方センサ16BによってパレットPの側面にレーザ光LTを照射するため、パレットPの位置情報を高精度で取得可能となり、適切にルートRを生成することが可能となる。
【0058】
また、目標物は、荷物P1が搭載されているパレットPであり、演算装置14は、センサ16の検出結果に基づき、パレットPから荷物P1がはみ出しているかを判定するオーバーハング判定部58を更に備える。本実施形態に係る演算装置14によると、パレットPから荷物P1がはみ出しているかを判定するため、パレットPの特定精度を向上することができる。
【0059】
また、移動制御システム1は、演算装置14と移動体10とを含む。本実施形態に係る移動制御システム1によると、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0060】
また、自動で移動する移動体10の制御装置28は、ルート情報取得部80と、移動制御部82とを含む。ルート情報取得部80は、移動体10以外に設けられたセンサ16が検出したパレットPの位置及び向きに関する情報であるパレットPの位置情報に基づき生成された、パレットPに対して所定の位置及び向きとなる目標位置・姿勢AR1までのルートRを取得する。移動制御部82は、ルートRに基づいて移動体10を移動させる。本実施形態に係る制御装置28によると、ルートRに基づき移動体10を走行させるため、パレットPを適切にピックアップ可能となる。
【0061】
また、本実施形態に係る移動体10は、制御装置28を備える。本実施形態に係る移動体10は、ルートRに基づき走行するため、パレットPを適切にピックアップ可能となる。
【0062】
また、本実施形態に係る演算方法は、自動で移動する移動体10に情報を出力する演算方法であって、移動体10以外に設けられたセンサ16から、パレットPの位置及び向きに関する情報であるパレットPの位置情報の検出結果を取得するステップと、パレットPの位置情報に基づき、パレットPに対して所定の位置及び向きとなる目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成するステップと、ルートRの情報を移動体10に出力するステップと、を含む。本実施形態に係る演算方法によると、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態に係るプログラムは、自動で移動する移動体10に情報を出力する演算方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、移動体10以外に設けられたセンサ16から、パレットPの位置及び向きに関する情報であるパレットPの位置情報の検出結果を取得するステップと、パレットPの位置情報に基づき、パレットPに対して所定の位置及び向きとなる目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成するステップと、ルートRの情報を移動体10に出力するステップとを、コンピュータに実行させる。
【0064】
(システムの他の例)
また、本実施形態では、管理システム12がパレットPの情報を示す作業内容を決定し、演算装置14が、対象となる移動体10を特定したり、ルートRを取得したりしていた。ただし、管理システム12と演算装置14との処理内容は、それらに限られない。例えば、管理システム12が、演算装置14の少なくとも一部の処理を受け持ってもよいし、演算装置14が、管理システム12の少なくとも一部の処理を受け持ってもよい。また、管理装置12と演算装置14とが1つの装置(コンピュータ)であってもよい。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る移動制御システム1aは、車両Vに搭載されたパレットPに対するルートRを生成する点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0066】
図12は、第2実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図12に示すように、設備Wには、車両Vが設置される。車両V内には、パレットPが搭載されている。第2実施形態においては、移動体10は、演算装置14aが生成したルートRに従って、車両V内のパレットPに向けて走行する。
【0067】
図13は、第2実施形態に係る演算装置の模式的なブロック図である。
図13に示すように、演算装置14aの制御部40aは、作業内容取得部50と、移動体選定部52と、目標物情報取得部54aと、ルート設定部56aと、荷台高さ情報取得部57aと、情報出力部60とを含む。
【0068】
(車両)
図14は、車両とパレットとを示す模式図である。
図14の示すように、車両Vには、収納室VAと、側方扉VBと、あおり部VCと、後方扉VDと、タイヤV5とが設けられている。収納室VAは、車両Vの荷台に形成されてパレットPが収納される空間である。側方扉VBは、収納室VAの側方側に設けられる扉である。側方扉VBが解放されることで、収納室VAが外部と連通して、パレットPの搬出が可能となる。あおり部VCは、収納室VAの側方側の底面近傍に設けられるゲートである。後方扉VDは、収納室VAの後方側に設けられる扉である。後方扉VDが開放されることでも、収納室VAが外部と連通して、パレットPの搬出が可能となる。本実施形態では、側方扉VBを開放して、車両Vの側方から収納室VA内のパレットPをピックアップする例を示しているが、側方からパレットPをピックアップすることに限られず、例えば後方からパレットPをピックアップしてもよい。
【0069】
(目標物情報取得部、センサ)
目標物情報取得部54aは、センサ16から、パレットPの位置情報として、車両Vの位置及び向きの情報を取得する。パレットPは車両V内に搭載されているため、パレットPの位置及び向きは、車両Vの位置及び向きに依存する。そのため、車両Vの位置及び向きの情報は、パレットPの位置情報、すなわちパレットPの位置及び向きに関する情報であるといえる。
図13に示すように、車両Vの位置とは、設備W内における車両Vの位置であり、例えば、設備Wの領域Aにおける方向X及び方向Yの二次元座標である。車両Vの位置は、車両Vの中心点CQ0や、車両Vの任意の位置における座標であってよい。また、車両Vの向きとは、水平方向において車両Vが向いている方向を指す。ここで、水平方向における(すなわちZ方向に直交する)基準線を直線L0aとし、車両Vの中心点CQ0と車両Vの前面の水平方向における中点CQ1とを結び、Z方向(鉛直方向)に直交する直線を、直線L1aとする。この場合例えば、車両Vの向きとは、直線L0aに対する直線L1aの傾きを指してよく、言い換えれば、直線L0aと直線L1aとがなす角度θaを指してよい。なお、
図13の例では、基準線である直線L0aは、例えば設備Wにおける基準線であり、方向Yに沿った直線であるが、直線L0aの方向は任意であってよい。
【0070】
第2実施形態に係るセンサ16は、車両Vの位置及び向きを検出する。
図14に示すように、第2実施形態においても、センサ16として、上方センサ16Aと側方センサ16Bとの少なくとも一方が設けられてよい。上方センサ16Aは、鉛直方向下方に向けてレーザ光LTを照射することで、車両VのZ方向側(鉛直方向上側)の面に向けてレーザ光LTを照射する。側方センサ16Bは、水平方向側に向けてレーザ光LTを照射することで、車両Vの側面に向けてレーザ光LTを照射する。上方センサ16Aと側方センサ16Bとは、少なくとも車両Vの向き(パレットPの向きに関する情報)を、検出可能である。また、上方センサ16Aと側方センサ16Bとの少なくとも一方は、車両Vの位置(パレットPの位置に関する情報)を検出可能である。
【0071】
以下、センサ16による車両Vの位置及び向きの検出方法の例を説明する。
図15は、センサによる車両の位置及び向きの検出の例を示す図である。
図15の例では、センサ16として、設置領域AR0に対して複数の上方センサ16Aが設けられている。上方センサ16A1、16A2は、レーザ光LTを、異なる軌跡で走査しつつ、鉛直方向下方に向けて照射する。上方センサ16A1、16A2からのレーザ光LTは、車両VのZ方向(鉛直方向)上側の面の異なる位置に照射される。すなわち、上方センサ16A1、16A2は、車両VのZ方向側の面のそれぞれ異なる位置に、レーザ光LTを一方向に走査しつつ照射するといえる。上方センサ16A1、16A2は、レーザ光LTを水平方向に走査する。上方センサ16A1、16A2によるレーザ光LTの走査方向は、互いに交差することが好ましい。また、上方センサ16A1、16A2によるレーザ光LTの走査方向は、車両Vの運転席の前面の辺と、車両Vの側面の辺とを通過するように設定されていることが好ましい。
【0072】
上方センサ16A1は、自身が照射したレーザ光LTの、車両VのZ方向側の面からの反射光を受光する。上方センサ16A1は、車両VのZ方向側の面からの反射光の点群Q1aを取得するといえる。この点群Q1aは、上方センサ16A1の走査方向に並ぶ。同様に、上方センサ16A2は、自身が照射したレーザ光LTの、車両VのZ方向側の面からの反射光を受光して、車両VのZ方向側の面からの反射光の点群Q2aを取得する。点群Q2aは、上方センサ16A2の走査方向に並ぶ。目標物情報取得部54aは、これらの点群Q1a、Q2aの情報(点群Q1a、Q2aの座標の情報)を取得する。また、目標物情報取得部54aは、例えば記憶部42から、車両Vの寸法の情報を読み出す。目標物情報取得部54は、点群Q1a、Q2aの情報と車両Vの寸法の情報とに基づき、パレットPの位置及び向きを算出する。例えば
図7の例では、車両Vの寸法の情報から、車両Vの前後方向の長さと横方向の長さとの比率が算出できるため、車両Vの前後方向の長さと横方向の長さとの比率と、配列する点群Q1a全体の長さと配列する点群Q2a全体の長さとの比率とに基づき、パレットPの位置及び向きが算出可能である。このように、
図14の例では、目標物情報取得部54aは、点群Q1a、Q2aの情報と、車両Vの寸法の情報とから、車両Vの位置及び向きを算出する。
【0073】
なお、上方センサ16Aによる車両Vの位置及び向きの検出方法は、上記の方法に限られず、他の検出方法を用いてもよい。また、
図15の例のように複数の上方センサ16Aを設ける場合、側方センサ16Bは設けなくてよい。また、
図15の例では、2つの上方センサ16Aが設けられているが、3つ以上の上方センサ16Aが設けられていてもよい。
【0074】
図16は、センサによる車両の位置及び向きの検出の他の例を示す図である。
図16の例では、センサ16として、設置領域AR0に対して1つの側方センサ16Bが設けられている。側方センサ16Bは、レーザ光LTを走査しつつ、水平方向側に向けて照射する。側方センサ16Bからのレーザ光LTは、車両Vの側面に照射される。より詳しくは、本例では、レーザ光LTは、車両VのタイヤVEの側面に照射される。すなわち、側方センサ16Bは、車両VのタイヤVEの側面にレーザ光LTを一方向に走査しつつ照射するといえる。側方センサ16Bは、レーザ光LTを水平方向に走査する。
【0075】
側方センサ16Bは、自身が照射したレーザ光LTの、タイヤVEの側面からの反射光を受光する。側方センサ16Bは、タイヤVEの側面からの反射光の点群Qaを取得するといえる。目標物情報取得部54aは、これらの点群Qaの情報(点群Qaの座標の情報)を取得する。また、目標物情報取得部54aは、例えば記憶部42から、予め定められている車両Vの寸法の情報を読み出す。目標物情報取得部54aは、点群Qの情報と車両Vの寸法の情報とに基づき、車両Vの位置及び向きを算出する。例えば
図16の例では、タイヤVEの向きは車両Vの向きと一致するため、点群Qaは、車両Vの前後方向に沿って並ぶ。そのため、点群Qaの座標が把握できれば、車両Vの向きが算出可能となり、また、点群Qaの座標(すなわちタイヤVEの位置)と車両Vの寸法の情報から、車両Vの位置が算出可能である。このように、
図16の例では、目標物情報取得部54aは、点群Qaの情報と、車両Vの寸法の情報とから、車両Vの位置及び向きを算出する。
【0076】
なお、側方センサ16BによるパレットPの位置及び向きの検出方法は、上記の方法に限られず、他の方法で検出してもよい。例えば、側方センサ16Bは、タイヤVEでなく、車両Vの側面の他の部分にレーザ光LTを照射してもよい。また、
図16の例のように側方センサ16Bを設ける場合、上方センサ16Aは設けなくてよい。ただし、側方センサ16Bと上方センサ16Aとを設けてもよく、例えば、側方センサ16BにパレットPの向きを検出させ、上方センサ16Aに、パレットPの位置を検出させてもよい。また、
図16の例では、1つの側方センサ16Bが設けられているが、2つ以上の側方センサ16Bが設けられていてもよい。
【0077】
図13に示す目標物情報取得部54aは、センサ16によって検出した車両Vの位置及び向きの情報に基づき、パレットPの位置及び向きを算出する。例えば、目標物情報取得部54aは、車両Vに対するパレットPの位置情報、すなわち車両Vに対するパレットPの位置及び向きの情報を、記憶部42から読み出す。目標物情報取得部54aは、車両Vに対するパレットPの位置及び向きと、センサ16によって検出した車両Vの位置及び向きとに基づき、パレットPの位置及び向きを算出する。すなわち例えば、車両Vに対するパレットPの相対位置及び相対向きは、例えば標準位置として予め設定されており、目標物情報取得部54aは、車両Vに対するパレットPの相対位置及び相対向きに基づき、センサ16から取得した車両Vの位置及び向きを、パレットPの位置及び向きに換算する。
【0078】
なお、
図14に示すように、車両V内のパレットPの位置及び向きを検出するセンサ17を設けてもよい。センサ17によるパレットPの位置及び向きの検出方法は任意であるが、例えばレーザ光LTをパレットPに照射させてもよいし、カメラとしてパレットPを撮像してもよい。この場合、目標物情報取得部54aは、センサ16の検出結果とセンサ17の検出結果とから、パレットPの位置及び向きを算出してもよいし、センサ17の検出結果のみに基づき、パレットPの位置及び向きを算出してもよい。また、センサ17のZ方向における位置を変化させる移動機構を設けてもよい。この場合例えば、移動機構の制御装置は、車両Vの荷台の高さに応じて、センサ17がパレットPにレーザ光LTを照射できるように、センサ17のZ方向における位置を変化させる。
【0079】
(ルート設定部)
図13に示すルート設定部56aは、第1実施形態と同様の方法で、目標物情報取得部54aが取得したパレットPの位置及び向きから、目標位置・姿勢AR1を設定して、目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成する。
【0080】
(荷台高さ情報取得部)
図13に示す荷台高さ情報取得部57aは、車両Vの荷台の高さDVの情報の検出結果を取得する。
図14に示すように、高さDVは、パレットPが収納される収納室VAの底面のZ方向における高さであり、領域Aから収納室VAの底面までの距離といえる。荷台高さ情報取得部57aは、センサ16から高さDVの情報の検出結果を取得してもよいし、センサ16以外のセンサから、高さDVの情報の検出結果を取得してもよい。例えば、側方センサ16BをZ方向に走査して、収納室VAの底面のZ方向における位置を検出することが可能である。また例えば、車両Vの側方側に設けられたカメラに収納室VAの画像を撮像させて、荷台高さ情報取得部57aが、収納室VAの画像に基づき、高さDVを算出してもよい。この場合例えば、荷台高さ情報取得部57aは、カメラの撮像画像から、あおり部VCの位置を特定し、領域Aからあおり部VCの上端部までの高さを、高さDVとして算出してよい。また例えば、車両Vの後方側に設けられたカメラに車両Vの後方側の画像を撮像させて、荷台高さ情報取得部57aが、後方側画像に基づき、高さDVを算出してよい。この場合例えば、荷台高さ情報取得部57aは、カメラの撮像画像から、後方扉VBの位置を特定し、領域Aから後方扉VBの下端部までの高さを、高さDVとして算出してよい。ただし、荷台高さ情報取得部57aによる荷台の高さDVの算出処理は必須でない。この場合、例えば移動体10が、センサ26により、高さDVを検出する。
【0081】
(情報出力部)
情報出力部60は、ルート設定部56が生成したルートRの情報と、荷台の高さDVの情報とを、移動体10に送信する。なお、第2実施形態においても、オーバーハング判定部58を設けてよく、情報出力部60は、オーバーハング判定部58の検出結果を、移動体10に送信してよい。
【0082】
(移動制御フロー)
図17は、第2実施形態に係る移動体の移動制御フローを説明するフローチャートである。
図17に示すように、演算装置14aは、目標物情報取得部54aにより、センサ16から、パレットPの位置情報を取得する(ステップS10)。目標物情報取得部54aは、例えば、センサ16が検出した車両Vの位置及び向きに基づき、車両Vに搭載されているパレットPの位置及び向きを算出する。また、演算装置14aは、荷台高さ情報取得部57aにより、車両Vの荷台の高さDVの情報を取得する(ステップS11a)。演算装置14aは、ルート設定部56aにより、パレットPの位置及び向きに基づき、目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成し、情報出力部60により、ルートRと高さDVの情報とを、移動体10に出力する(ステップS14)。
【0083】
移動体10は、演算装置14からルートRの情報を取得したら、移動制御部82の制御により、ルートRに従って走行する(ステップS16)。そして、移動体10は、ルートR上を走行して、センサ26により車両V内のパレットPを検出可能な位置に到達したら、ルート更新部84により、センサ26から、パレットPの位置情報と開口Pbの位置とを取得する(ステップS18)。ルート更新部84は、パレットPの位置情報と開口Pbの位置とから、ルートRを走行して目標位置・姿勢AR1に到着した場合に、パレットPをピックアップ可能か判定する(ステップS20)。パレットPをピックアップ可能と判定した場合(ステップS20;Yes)、移動体10は、ルートRを更新することなく、既存のルートRを使用して、既存のルートRに従った走行を続ける(ステップS22)。一方、パレットPをピックアップ可能でない判定した場合(ステップS20;No)、ルート更新部84は、ルートRを更新し(ステップS24)、移動体10は、更新されたルートRで走行する。移動体10は、目標位置・姿勢AR1に到着したら、荷台の高さ情報DVに従ってフォーク24を荷台の高さまで移動させた上で、直進してパレットPをピックアップして、他の場所に搬送する。
【0084】
(本実施形態の効果)
ここで、車両Vは、設置領域AR0内において決められた位置及び向きで停車されなかったり、車両ごとにサイズが異なったりする場合がある。そのため、車両V内のパレットPをピックアップする際には、ルートを予め設定することは難しい。それに対し、本実施形態に係る演算装置14は、移動体10以外に設けられたセンサ16により、車両Vの位置及び姿勢を検出してパレットPの位置及び向きを推定し、目標位置・姿勢AR1までのルートRを生成する。このようにして生成されたルートRは、車両Vの位置及び姿勢も考慮されるため、パレットPを適切にピックアップ可能な、精度の高いルートとなる。また、移動体10以外に設けられたセンサ16を使用するため、移動体10が移動を開始する前に、精度の高いルートRの生成が可能となる。移動体10は、このルートRに従ってパレットPまでアプローチするため、例えば軌道を生成し直す場合にも、元のルートRからのずれを少なくすることが可能となり、演算負荷を低減できる。このように、本実施形態に係る演算装置14aによると、車両V内のパレットPをピックアップする際におおいても、パレットPを適切にピックアップ可能なルートRを生成することが可能となる。
【0085】
以上説明したように、第2実施形態においては、パレットPが車両Vに搭載されている。第2実施形態において、センサ16は、複数の上方センサ16Aを備えてよい。それぞれの上方センサ16Aは、車両Vの鉛直方向上側の面のそれぞれ異なる位置にレーザ光LTを一方向に走査しつつ照射して、車両Vの鉛直方向上側の面からのレーザ光LTの反射光を受光する。目標物情報取得部54aは、それぞれの上方センサ16Aが受光した反射光に基づいて算出した車両Vの向きを、パレットPの位置情報として取得する。本実施形態に係る演算装置14aによると、複数の上方センサ16Aによって車両Vの鉛直方向上側の面にレーザ光LTを照射するため、車両Vの位置や向きを高精度で取得可能となり、適切にルートRを生成することが可能となる。
【0086】
また、センサ16は、側方センサ16Bを備えてよい。側方センサ16Bは、車両Vの側面にレーザ光LTを一方向に走査しつつ照射して、車両Vの側面からのレーザ光LTの反射光を受光する。目標物情報取得部54aは、側方センサ16Bが受光した反射光に基づいて算出した車両Vの向きを、パレットPの位置情報として取得する。本実施形態に係る演算装置14aによると、側方センサ16Bによって車両Vの側面にレーザ光LTを照射するため、車両Vの位置や向きを高精度で取得可能となり、適切にルートRを生成することが可能となる。
【0087】
また、演算装置14aは、車両V内のパレットPが搭載されている荷台の高さDVの情報の検出結果を取得する荷台高さ情報取得部57aを含んでよい。情報出力部60は、荷台の高さDVの情報を、移動体10に出力する。本実施形態に係る演算装置14aによると、荷台の高さDVの情報を移動体10に出力するため、移動体10は、高さDVの情報に基づいてフォーク24を操作することが可能となり、車両V内のパレットPを適切にピックアップできる。
【0088】
(センサの他の例)
なお、以上の説明においては、センサ16は、設備Wに固定して設けられていた。ただし、センサ16は、設備Wに固定されて設けられることに限られない。センサ16は、設備W内において、移動体10以外の移動体に設けられてもよい。この場合、例えば、移動体10以外の移動体としては、例えば、センサ16が設けられて設備W内を巡回する車両や、センサ16が設けられて設備W内を飛行する飛行体(ドローンなど)などであってもよい。センサ16を移動体に設ける場合、この移動体は、自己位置を推定する機能を備えることが好ましい。移動体による自己位置の推定方法は任意であるが、例えば移動体10と同様に検出体Sを用いてもよい。
【0089】
(車両にパレットを配置する例)
また、移動制御システム1aは、車両Vの位置及び向きの検出結果から、車両V内におけるパレットPの積載位置に向かうための経路を、ルートRとして設定してもよい。積載位置とは、車両V内においてパレットPが積載される位置である。この場合例えば、演算装置14aは、車両Vの位置及び向きの検出結果から、上述のパレットPの位置情報の算出と同様の方法で、積載位置の位置情報(積載位置の位置及び向き)を算出して、積載位置に対して所定の位置及び向きとなる目標位置までの経路を、ルートRとして設定する。移動体10は、パレットを保持したままルートRを走行して積載位置まで到達したら、パレットPを積載位置に荷下ろしする。このように、移動制御システム1aは、パレットPをピックアップする際のパレットPまでのルートRだけでなく、同様の方法を用いて、パレットPを荷下ろしする積載位置までのルートRも生成することができる。この場合は、積載位置が、目標物に相当するといえる。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0091】
1 移動制御システム
10 移動体
12 管理システム
14 演算装置
16 センサ
28 制御装置
54 目標物情報取得部
56 ルート設定部
58 オーバーハング判定部
60 情報出力部
80 ルート情報取得部
82 移動制御部
84 ルート更新部
P パレット(目標物)
R ルート(経路)