(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール、ガラス建材、及び太陽電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20220609BHJP
H01L 31/05 20140101ALI20220609BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2020505050
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2019008645
(87)【国際公開番号】W WO2019172258
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2018042004
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】門田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松尾 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 司
(72)【発明者】
【氏名】中島 昭彦
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502525(JP,A)
【文献】特開2008-060205(JP,A)
【文献】特開2006-286673(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106784105(CN,A)
【文献】国際公開第2013/042222(WO,A1)
【文献】特開平10-093125(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0923219(KR,B1)
【文献】特開2002-076421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/0224、31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に
それぞれ延伸
し、前記第1の方向に並べて配置される複数の太陽電池セルと、
前記
各太陽電池セルの受光面側に
それぞれ設けられ、前記第1の方向に延伸する
複数の受光面側集電電極と、
前記
各受光面側集電電極の一端側に
それぞれ接続され、前記受光面内において前記第1の方向と交差する
第2の方向に延伸する
複数の受光面側接続用電極と、
前記各太陽電池セルの裏面側にそれぞれ設けられ、前記第1の方向に延伸する複数の裏面側集電電極と、
前記各裏面側集電電極の他端側にそれぞれ接続され、前記第2の方向に延伸する複数の裏面側接続用電極と、
隣接する二の前記太陽電池セルの間にそれぞれ設けられ、それら二の前記太陽電池セルのうち一方の前記太陽電池セルの前記受光面側接続用電極と、他方の前記太陽電池セルの前記裏面側接続用電極と、を接続する複数のインターコネクタと、
を
それぞれ含む、
複数の太陽電池モジュールと、
窓枠と、
前記窓枠の内周側に配置された窓ガラスと、
前記複数の太陽電池モジュールいずれかの端部に電気的に接続され、前記第1の方向に交差する方向に延伸する少なくとも一の配線と、
を含むガラス建材であって、
前記複数の太陽電池モジュールは、前記第1方向に交差する方向に並べられ、前記受光面側から見て前記窓ガラスと重畳するよう配置され、
前記窓ガラスの対向する2辺の一方側から他方側まで延伸し、
前記配線が、前記受光面側から見て前記窓枠と重畳するよう配置され
、
前記各太陽電池セルは、
前記受光面側から見て当該太陽電池セルの外形を構成し、前記第1の方向に延伸する第1の辺と、
前記受光面側から見て当該太陽電池セルの外形を構成し、前記第2の方向に延伸する第2の辺と、をそれぞれ有し、
前記第1の辺の長さを前記第2の辺の長さで割った値が5を超え、且つ100未満である、
ガラス建材。
【請求項2】
前記
各太陽電池セルは、
半導体基板と、
前記半導体基板の前記受光面側に設けられ、前記半導体基板と逆導電型の半導体膜と、
前記受光面と裏面の間に配置され、前記第1の方向に延伸する側面と、
前記側面に配置され、レーザ加工によって形成されたレーザ加工領域と、
前記側面において、前記レーザ加工領域よりも前記受光面寄りに配置され、折曲切断によって形成された折曲切断領域と、
を含み、
前記受光面に垂直な方向における、前記レーザ加工領域の幅が、前記太陽電池セルの厚みの40%以下である、
請求項1に記載のガラス建材。
【請求項3】
前記
各太陽電池セルは、
半導体基板と、
前記半導体基板の前記受光面側に設けられ、前記半導体基板と逆導電型の半導体膜と、
前記受光面と裏面の間に配置され、前記第1の方向に延伸する側面と、
前記側面に配置され、第1の表面粗さを有する裏面側領域と、
前記側面において、前記裏面側領域よりも前記受光面寄りに配置され、前記第1の表面粗さよりも小さな第2の表面粗さを有する受光面側領域と、
を含み、
前記受光面に垂直な方向における、前記裏面側領域の幅が、前記太陽電池セルの厚みの40%以下である、
請求項
1に記載のガラス建材。
【請求項4】
前記受光面側接続用電極の端部が、前記受光面側から見て、前記第1の辺と重畳する、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載のガラス建材。
【請求項5】
前記裏面側接続用電極が、前
記受光面側接続用電極と前
記太陽電池セルを介して対向しないよう配置された、
請求項1乃至
4のいずれか一つに記載のガラス建材。
【請求項6】
前記裏面側接続用電極の端部が、前記裏面側から見て、前記第1の辺と重畳する、
請求項
1乃至5のいずれか一つに記載のガラス建材。
【請求項7】
前記インターコネクタが、前
記太陽電池セルの色と同系色に着色された、
請求項1乃至
6のいずれか一つに記載のガラス建材。
【請求項8】
前
記太陽電池セルの受光面側において、前記受光面側接続用電極以外に、前記第1の方向に交差する方向に延伸する電極が存在しない、
請求項1乃至
7のいずれか一つに記載のガラス建材。
【請求項9】
前
記太陽電池セルの裏面側において、前記裏面側接続用電極以外に、前記第1の方向に交差する方向に延伸する電極が存在しない、
請求項
8に記載のガラス建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール、ガラス建材、及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、窓ガラス等に設置することを想定した採光型太陽電池モジュールが開示されている。当該太陽電池モジュールは、一方向に並べられた複数の太陽電池セルを含み、当該太陽電池セルは、接続方向に延伸する2本のバスバー電極を、受光面及び裏面に有する。隣り合う二つの太陽電池セルの内、一方の受光面に設けられたバスバー電極と、他方の裏面に設けられたバスバー電極と、がインターコネクタにより接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成においては、生産性の更なる向上が課題となっていた。即ち、上記従来の構成においては、インターコネクタとバスバー電極との接触面積を担保する必要があるため、インターコネクタを、上記接続方向に延伸するバスバー電極全体と重畳するように配置する必要があった。そのため、高精度な位置制御が必要となり、生産性の更なる向上が必要となっていた。
【0005】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、採光型の太陽電池モジュールにおける更なる生産性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示に係る太陽電池モジュールは、第1の方向に延伸する第1の太陽電池セルと、前記第1の太陽電池セルの受光面側に設けられ、前記第1の方向に延伸する第1の受光面側集電電極と、前記第1の受光面側集電電極の一端側に接続され、前記受光面内において前記第1の方向と交差する方向に延伸する第1の受光面側接続用電極と、前記第1の受光面側接続用電極に接続されたインターコネクタと、を含む。
【0007】
(2)上記(1)における太陽電池モジュールにおいて、前記第1の太陽電池セルは、半導体基板と、前記半導体基板の前記受光面側に設けられ、前記半導体基板と逆導電型の半導体膜と、前記受光面と裏面の間に配置され、前記第1の方向に延伸する側面と、前記側面に配置され、レーザ加工によって形成されたレーザ加工領域と、前記側面において、前記レーザ加工領域よりも前記受光面寄りに配置され、折曲切断によって形成された折曲切断領域と、を含み、前記受光面に垂直な方向における、前記レーザ加工領域の幅が、前記第1の太陽電池セルの厚みの40%以下である構成としてもよい。
【0008】
(3)上記(1)~(2)における太陽電池モジュールにおいて、前記第1の太陽電池セルは、半導体基板と、前記半導体基板の前記受光面側に設けられ、前記半導体基板と逆導電型の半導体膜と、前記受光面と裏面の間に配置され、前記第1の方向に延伸する側面と、前記側面に配置され、第1の表面粗さを有する裏面側領域と、前記側面において、前記裏面側領域よりも前記受光面寄りに配置され、前記第1の表面粗さよりも小さな第2の表面粗さを有する受光面側領域と、を含み、前記受光面に垂直な方向における、前記裏面側領域の幅が、前記第1の太陽電池セルの厚みの40%以下である構成としてもよい。
【0009】
(4)上記(1)~(3)における太陽電池モジュールにおいて、前記第1の太陽電池セルは、前記受光面側から見て前記第1の太陽電池セルの外形を構成し、前記第1の方向に延伸する第1の辺を有し、前記第1の受光面側接続用電極の端部が、前記受光面側から見て、前記第1の辺と重畳する構成としてもよい。
【0010】
(5)上記(1)~(4)における太陽電池モジュールにおいて、前記第1の太陽電池セルが、前記受光面側から見て前記第1の太陽電池セルの外形を構成し、前記第1の方向に延伸する第1の辺と、前記受光面側から見て前記第1の太陽電池セルの外形を構成し、前記受光面において前記第1の方向に直交する第2の方向に延伸する第2の辺と、を有し、前記第1の辺の長さを前記第2の辺の長さで割った値が5を超え、且つ100未満である構成としてもよい。
【0011】
(6)上記(1)~(5)における太陽電池モジュールは、前記第1の太陽電池セルの裏面側に設けられ、前記第1の方向に延伸する第1の裏面側集電電極と、前記第1の裏面側集電電極の他端側に接続され、前記裏面において前記第1の方向と交差する方向に延伸する第1の裏面側接続用電極と、を更に含み、前記裏面側接続用電極が、前記第1の受光面側接続用電極と前記第1の太陽電池セルを介して対向しないよう配置された構成としてもよい。
【0012】
(7)上記(6)における太陽電池モジュールにおいて、前記第1の太陽電池セルは、前記裏面側から見て前記第1の太陽電池セルの外形を構成し、前記第1の方向に延伸する第3の辺を有し、前記第1の裏面側接続用電極の端部が、前記裏面側から見て、前記第3の辺と重畳する構成としてもよい。
【0013】
(8)上記(1)~(7)における太陽電池モジュールにおいて、前記インターコネクタが、前記第1の太陽電池セルの色と同系色に着色された構成としてもよい。
【0014】
(9)上記(7)~(8)における太陽電池モジュールは、前記第1の方向に延伸する第2の太陽電池セルと、前記第2の太陽電池セルの裏面側に設けられ、前記第1の方向に延伸する第2の裏面側集電電極と、前記第2の裏面側集電電極の他端側に接続され、前記第1の方向に平面視で交差する方向に延伸し、前記インターコネクタと接続された第2の裏面側接続用電極と、を更に含む構成としてもよい。
【0015】
(10)上記(1)~(9)における太陽電池モジュールは、前記第1の太陽電池セルの受光面側において、前記第1の受光面側接続用電極以外に、前記第1の方向に交差する方向に延伸する電極が存在しない構成としてもよい。
【0016】
(11)上記(9)における太陽電池モジュールは、前記第2の太陽電池セルの裏面側において、前記第2の裏面側接続用電極以外に、前記第1の方向に交差する方向に延伸する電極が存在しない構成としてもよい。
【0017】
(12)本開示のガラス建材は、窓枠と、前記窓枠の内周側に配置された窓ガラスと、上記(1)~(11)のいずれか一つに記載の太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールと、前記第1方向に交差する方向に並べて配置された第2の太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールと、前記第2の太陽電池モジュールと、を電気的に接続し、前記第1の方向に交差する方向に延伸する配線と、を含み、前記太陽電池モジュールと前記第2の太陽電池モジュールとが、前記受光面側から見て前記窓ガラスと重畳するよう配置され、前記配線が、前記受光面側から見て前記窓枠と重畳するよう配置されている。
【0018】
(13)本開示の太陽電池モジュールの製造方法は、半導体基板の受光面側に、前記半導体基板と逆導電型の半導体層を製膜する工程と、前記半導体層を製膜する工程の後で、前記半導体層の受光面側に、第1の方向に延伸する第1の受光面側集電電極、及び第2の受光面側集電電極を含む複数の受光面側集電電極を形成する工程と、前記半導体層を製膜する工程の後で、前記第1の受光面側集電電極、前記第2の受光面側集電電極の一端側に接続され、前記第1の方向に平面視で交差する方向に延伸する受光面側接続用電極を形成する工程と、前記受光面側接続用電極を形成する工程の後で、前記第1の受光面側集電電極と前記第2の受光面側集電電極との間において、前記第1の方向に延伸する分断ラインに沿って、前記半導体基板の裏面側からレーザ光を照射し、溝を形成する工程と、前記レーザ光を照射する工程の後で、前記分断ラインに沿って、前記半導体基板を折曲切断し、前記第1の受光面側集電電極を有する第1の太陽電池セルと、前記第2の受光面側集電電極を有する第2の太陽電池セルと、を形成する工程と、を含む。
【0019】
(14)上記(13)に記載の太陽電池モジュールの製造方法は、前記レーザ光を照射する工程において、前記受光面に垂直な方向における、前記溝の深さは、前記第1の太陽電池セルの厚みの40%以下である製造方法としてもよい。
【0020】
(15)上記(13)、(14)に記載の太陽電池モジュールの製造方法は、前記レーザ光を照射する工程の前に、前記半導体基板の裏面側に、前記第1の方向に延伸する第1の裏面側集電電極、及び第2の裏面側集電電極を形成する工程と、前記第1の裏面側集電電極、前記第2の裏面側集電電極の他端側に接続され、前記第1の方向に平面視で交差する方向に延伸する裏面側接続用電極を形成する工程と、を更に含み、前記裏面側接続用電極は、前記受光面側接続用電極と前記第1の太陽電池セルを介して対向しないよう配置される製造方法としてもよい。
【0021】
(16)上記(15)に記載の太陽電池モジュールの製造方法は、前記折曲切断する工程の後で、前記第1の受光面側集電電極と前記第2の裏面側集電電極とを、インターコネクタにより接続する工程を更に含む製造方法としてもよい。
【0022】
(17)上記(16)に記載の太陽電池モジュールの製造方法は、前記インターコネクタを、前記第1の太陽電池セルの色と同系色に着色する工程を更に含む製造方法としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は第1の実施形態に係る太陽電池モジュールの受光面側を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は第1の実施形態に係る太陽電池モジュールの裏面側を示す模式的な平面図である。
【
図3】
図3は第1の実施形態に係る太陽電池モジュールの受光面側を示す模式的な平面図である。
【
図4】
図4は第1の実施形態に係る太陽電池モジュールの側面を示す模式図である。
【
図5】
図5は第1の実施形態に係るガラス建材を示す模式的な平面図である。
【
図8】
図8は第1の本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法で用いる矩形の太陽電池セルの受光面側を示す平面図である。
【
図9】
図9は第1の本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法で用いる矩形の太陽電池セルの裏面側を示す平面図である。
【
図10】
図10は第1の実施形態における太陽電池モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の第1の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0025】
[太陽電池モジュール]
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の受光面側を示す模式的な平面図である。太陽電池セル10は、第1の方向に延伸する形状を有しており、本実施形態においては、第1の方向に延伸する長辺と、受光面内において第1の方向に直交する第2の方向に延伸する短辺と、を有する略長方形状を有している。
【0026】
太陽電池セル10の受光面側には、第1の方向に延伸する受光面側集電電極12が配置されており、太陽電池セル10における光電変換により発生したキャリアを集める役割を果たす。本実施形態における受光面側集電電極12は、2本のフィンガー電極を含んで構成されている。
【0027】
太陽電池セル10の受光面側における受光面側集電電極12の一端側(
図1に示す例では、右端側)には、受光面内において第1の方向と交差する方向に延伸する受光面側接続用電極14が配置され、受光面側集電電極12と電気的に接続されている。当該受光面側接続用電極14は、他の太陽電池セルとの電気的接続を行うための電極であり、インターコネクタ21と直接的に接続される電極である。
【0028】
なお、受光面側接続用電極14の延伸方向は、必ずしも第1の方向と直交する必要はない。また、受光面側接続用電極14は、受光面側集電電極12の一端側に接続されていればよく、必ずしも受光面側集電電極12の端部に接続されている必要はない。本開示においては、受光面側集電電極12の端部から、受光面側集電電極12の長さの10%未満の範囲内に受光面側接続用電極14が配置されていれば、それは、受光面側集電電極12の一端側に配置されているものとする。
【0029】
このような構成により、太陽電池セル10の形状を、他の太陽電池セルとの接続方向である第1の方向に延伸させた形状とした太陽電池モジュール100の生産性の更なる向上を実現させることが可能となる。即ち、上記構成によれば、インターコネクタ21と受光面側接続用電極14とが接続されるため、インターコネクタ21を受光面側集電電極12の全体に接続する必要がなくなり、高精度な位置制御が不要となる。その結果として、生産性の更なる向上を実現することができる。
【0030】
更に、インターコネクタ21を受光面側集電電極12の全体に接続するような場合においては、当該インターコネクタ21の位置がずれた場合には、インターコネクタ21と受光面側集電電極12との接触面積が担保されず、接触抵抗が上がってしまうという課題のみならず、インターコネクタ21が、太陽電池セル10の受光面側に影を作ってしまい、変換効率を低下させてしまう課題があったが、本開示の構成であれば、インターコネクタ21を受光面側集電電極12の全体にわたって設ける必要がないため、インターコネクタ21の存在により、太陽電池セル10の受光面側に影を作ってしまうリスクを低減することができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、受光面側接続用電極14が、太陽電池セル10の長辺にまで延伸する構成としている。即ち、受光面側接続用電極14の端部が、受光面側から見て太陽電池セル10の外形を構成する辺の内、第1の方向に延伸する第1の辺と、受光面側から見て重畳する構成としている。このような構成とすることにより、受光面側接続用電極14とインターコネクタ21との接触面積を担保するとともに、高精度な位置制御が不要となり、更なる生産性の向上を図ることができる。即ち、インターコネクタ21の位置が、第1の方向に直交する第2の方向にずれるような場合であっても、受光面側接続用電極14が、太陽電池セル10の長辺にまで延伸する構成とすることにより、受光面側接続用電極14とインターコネクタ21との接触面積を担保することができる。
【0032】
図2は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の裏面側を示す模式的な平面図である。太陽電池セル10の裏面側には、第1の方向に延伸する裏面側集電電極16が配置されており、太陽電池セル10における光電変換により発生したキャリアを集める役割を果たす。本実施形態における裏面側集電電極16は、2本のフィンガー電極を含んで構成されている。
【0033】
太陽電池セル10の裏面側における裏面側集電電極16の他端側(
図2に示す例では、左端側)には、裏面内において第1の方向と交差する方向に延伸する裏面側接続用電極18が配置され、裏面側集電電極16と電気的に接続されている。当該裏面側接続用電極18は、他の太陽電池セルとの電気的接続を行うための電極であり、インターコネクタ21と直接的に接続される電極である。
【0034】
ここで、
図1に示すように、受光面側集電電極12を、太陽電池セル10の一端側(
図1に示す例では右端側)に配置している。これに対して、
図2に示すように、裏面側接続用電極18を、太陽電池セル10の他端側(
図2に示す例では、左端側)に配置しているため、受光面側集電電極12と裏面側接続用電極18とは、太陽電池セル10を介して対向しない位置に配置されている。
【0035】
なお、裏面側接続用電極18の延伸方向は、必ずしも第1の方向と直交する必要はない。また、裏面側接続用電極18は、裏面側集電電極16の他端側に接続されていればよく、必ずしも裏面側集電電極16の端部に接続されている必要はない。本開示においては、裏面側集電電極16の端部から、裏面側集電電極16の長さの10%未満の範囲内に裏面側接続用電極18が配置されていれば、それは、裏面側集電電極16の他端側に配置されているものとする。
【0036】
なお、本実施形態においては、裏面側接続用電極18が、太陽電池セル10の長辺にまで延伸する構成としている。即ち、裏面側接続用電極18の端部が、裏面側から見て太陽電池セル10の外形を構成する辺の内、第1の方向に延伸する第3の辺と、裏面側から見て重畳する構成としている。このような構成とすることにより、裏面側接続用電極18とインターコネクタ21との接触面積を担保するとともに、高精度な位置制御が不要となり、更なる生産性の向上を図ることができる。即ち、インターコネクタ21の位置が、第1の方向に直交する第2の方向にずれるような場合であっても、裏面側接続用電極18が、太陽電池セル10の長辺にまで延伸する構成とすることにより、裏面側接続用電極18とインターコネクタ21との接触面積を担保することができる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の受光面側を示す模式的な平面図である。
図4は、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の側面を示す模式図である。以下、
図3、4を用いて、本実施形態に係る太陽電池モジュール100の構成について説明する。
【0038】
本実施形態において太陽電池モジュール100は、第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10Bと、を含み、第1の太陽電池セル10Aと第2の太陽電池セル10Bとは、それぞれの短辺側において接続される構成となっている。即ち、第1の太陽電池セル10Aと第2の太陽電池セル10Bとは、それぞれの長辺が、第1の方向に延伸するように並べて配置され、その短辺側において互いに電気的に接続される構成となっている。
【0039】
図1、2を用いて上述した太陽電池セル10と同様に、第1の太陽電池セル10Aの受光面側には、第1の方向に延伸する第1の受光面側集電電極12Aが配置され、第1の受光面側集電電極12Aの一端側(
図4に示す例では、右端側)には、受光面内において第1の方向と交差する方向に延伸する第1の受光面側接続用電極14Aが配置され、第1の受光面側集電電極12Aと電気的に接続されている。また、第1の太陽電池セル10Aの裏面側には、第1の方向に延伸する第1の裏面側集電電極16Aが配置され、第1の裏面側集電電極16Aの他端側(
図4に示す例では、左端側)には、裏面内において第1の方向と交差する方向に延伸する第1の裏面側接続用電極18Aが配置されている。
【0040】
図4に示すように、第1の太陽電池セル10Aに設けられた第1の受光面側接続用電極14Aは、第1の太陽電池セル10Aの受光面側における一端側(
図4に示す例では右端側)に配置されており、第1の裏面側接続用電極18Aは、第1の太陽電池セル10Aの裏面側における他端側(
図4に示す例では左端側)に配置されている。即ち、第1の受光面側接続用電極14Aと第1の裏面側接続用電極18Aとは、第1の太陽電池セル10Aを介して互いに対向しない構成となっている。
【0041】
また、
図1、2を用いて上述した太陽電池セル10と同様に、第2の太陽電池セル10Bの受光面側には、第1の方向に延伸する第2の受光面側集電電極12Bが配置され、第2の受光面側集電電極12Bの一端側(
図4に示す例では、右端側)には、受光面内において第1の方向と交差する方向に延伸する第2の受光面側接続用電極14Bが配置され、第2の受光面側集電電極12Bと電気的に接続されている。また、第2の太陽電池セル10Bの裏面側には、第1の方向に延伸する第2の裏面側集電電極16Bが配置され、第2の裏面側集電電極16Bの他端側(
図4に示す例では、左端側)には、裏面内において第1の方向と交差する方向に延伸する第2の裏面側接続用電極18Bが配置されている。
【0042】
図4に示すように、第2の太陽電池セル10Bに設けられた第2の受光面側接続用電極14Bは、第2の太陽電池セル10Bの受光面側における一端側(
図4に示す例では右端側)に配置されており、第2の裏面側接続用電極18Bは、第2の太陽電池セル10Bの裏面側における他端側(
図4に示す例では左端側)に配置されている。即ち、第2の受光面側接続用電極14Bと第2の裏面側接続用電極18Bとは、第2の太陽電池セル10Bを介して互いに対向しない構成となっている。
【0043】
図3、4に示すように、第1の太陽電池セル10Aと第2の太陽電池セル10Bとの間には、インターコネクタ21が配置されている。インターコネクタ21は、第1の太陽電池セル10Aの受光面側において、第1の受光面側接続用電極14Aに電気的に接続され、第1の太陽電池セル10Aの側面と第2の太陽電池セル10Bの側面との間を経由し、第2の太陽電池セル10Bの裏面側に引き回されている。インターコネクタ21は、第2の太陽電池セル10Bの裏面側において、第2の裏面側接続用電極18Bに電気的に接続される。本実施形態においては、このインターコネクタ21は、銅などの高い導電率を有する材料を用いて形成している。
【0044】
このような構成により、第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10Bの形状を、両者の接続方向である第1の方向に延伸させた形状とした太陽電池モジュール100の生産性の更なる向上を実現させることが可能となる。即ち、上記構成によれば、インターコネクタ21と、第1の受光面側接続用電極14A、及び第2の裏面側接続用電極18Bとが接続されるため、インターコネクタ21を、第1の受光面側集電電極12A、及び第2の裏面側集電電極16Bの全体に接続する必要がなくなり、高精度な位置制御が不要となる。その結果として、生産性の更なる向上を実現することができる。また、第1の受光面側接続用電極14A、及び第2の裏面側接続用電極18Bが、第1の方向に交差する方向に延伸するため、インターコネクタ21の位置が、第1の方向に交差する方向にずれても、第1の受光面側接続用電極14A、及び第2の裏面側接続用電極18と接続することが可能となる。そのため、生産性の更なる向上を実現することができる。特に、本実施形態のように、第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10Bが、接続方向である第1の方向に延伸する形状である場合、第1の受光面側集電電極12A、及び第2の裏面側集電電極16Bも第1の方向に延伸する構成となる。そのため、当該第1の受光面側集電電極12A、及び第2の裏面側集電電極16B全体にインターコネクタ21を接続するためには、より高精度な位置制御が必要になるが、上記構成とすることにより、このような高精度な位置制御が不要となり、生産性の更なる向上を実現することができる。
【0045】
更に、インターコネクタ21を第1の受光面側集電電極12Aの全体に接続するような場合においては、当該インターコネクタ21の位置がずれた場合には、インターコネクタ21と第1の受光面側集電電極12Aとの接触面積が担保されず、接触抵抗が上がってしまうという課題のみならず、インターコネクタ21が、第1の太陽電池セル10Aの受光面側に影を作ってしまい、変換効率を低下させてしまう課題があったが、本開示の構成であれば、インターコネクタ21を第1の受光面側集電電極12Aの全体にわたって設ける必要がないため、インターコネクタ21の存在により、第1の太陽電池セル10Aの受光面側に影を作ってしまうリスクを低減することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、第1の受光面側接続用電極14Aが第1の太陽電池セル10Aの長辺にまで延伸し、第2の裏面側接続用電極18Bが第2の太陽電池セル10Bの長辺にまで延伸する構成としている。即ち、第1の受光面側接続用電極14Aの端部が、受光面側から見て第1の太陽電池セル10Aの外形を構成する辺の内、第1の方向に延伸する第1の辺と受光面側から見て重畳する構成とするとともに、第2の裏面側接続用電極18Bの端部が、受光面側から見て第2の太陽電池セル10Bの外形を構成する辺の内、第1の方向に延伸する第1の辺と、裏面側から見て重畳する構成としている。このような構成とすることにより、第1の受光面側接続用電極14A、及び第2の裏面側接続用電極18Bと、インターコネクタ21と、の接触面積を担保するとともに、高精度な位置制御が不要となり、更なる生産性の向上を図ることができる。即ち、インターコネクタ21の位置が、第1の方向に直交する第2の方向にずれるような場合であっても、第1の受光面側接続用電極14A、及び第2の裏面側接続用電極18Bと、インターコネクタ21と、の接触面積を担保することができる。
【0047】
図6、7は、
図4のA部を拡大した模式的な側面図であり、それぞれ本実施形態の太陽電池セルにおける第1の方向に延伸する側面の一例を示す。
【0048】
第1の太陽電池セル10Aは、半導体基板50と、半導体基板50の受光面側に設けられ、半導体基板50と逆導電型の第1の半導体層52と、を有する。
図6に示す例では、半導体基板50としてn型単結晶シリコン基板を用いており、このn型単結晶シリコン基板の受光面側に、n型単結晶シリコン基板と逆導電型の第1の半導体層52としてのp型アモルファスシリコン層を形成している。更に、
図6に示す例においては、半導体基板50と第1の半導体層52との間に、第1のi型アモルファスシリコン層51を設けており、第1の半導体層52の更に受光面側においては、第1の透明電極層53を設けている。半導体基板50の裏面側には、第2のi型アモルファスシリコン層54、半導体基板50と同導電型の第2の半導体層55、及び第2の透明導電層56を、この順に設けている。第2の半導体層55としては、例えばn型アモルファスシリコン層を用いる。
【0049】
本実施形態において、半導体基板50の膜厚は、例えば200μm程度であり、第1のi型アモルファスシリコン層51、第1の半導体層52、第2のi型アモルファスシリコン層54、及び第2の半導体層55の膜厚は、例えば0.01μm未満、第1の透明電極層53、第2の透明導電層56の膜厚は、例えば0.1μm程度としている。そのため、半導体基板50の膜厚が、第1の太陽電池セル10Aの膜厚の大部分を占める構成となっており、半導体基板50と第1の半導体層52とで形成されるPN接合は、受光面側のわずかな領域において形成されることとなる。
【0050】
詳しくは、太陽電池モジュールの製造方法の欄で後述するが、第1の太陽電池セル10Aにおける第1の方向に延伸する側面は、レーザ加工によって形成されたレーザ加工領域60と、折曲切断によって形成された折曲切断領域62と、を有する。レーザ加工領域60は、折曲切断領域62よりも裏面寄りに配置され、折曲切断領域62は、レーザ加工領域60よりも受光面寄りに配置されている。本実施形態において、受光面に垂直な方向、即ち積層方向におけるレーザ加工領域60の幅は、第1の太陽電池セル10Aの厚みの40%以下としている。
【0051】
レーザ加工領域60は、第1の表面粗さを有し、折曲切断領域62は、第2の表面粗さを有しており、第2の表面粗さが、第1の表面粗さよりも小さい構成としている。即ち、折曲切断領域62の表面粗さが、レーザ加工領域60の表面粗さよりも小さい構成となっている。
【0052】
図7に示す例においては、半導体基板50Aとしてp型単結晶シリコン基板を用いており、このp型単結晶シリコン基板の受光面側に、p型単結晶シリコン基板と逆導電型の第1の半導体層52Aとしてのn型結晶シリコン層を形成している。更に、
図7に示す例においては、第1の半導体層52Aの更に受光面側においては、開口部を有する絶縁膜58を設けており、当該開口部を介して、第1の受光面側集電電極12Aが第1の半導体層52Aと接続されている。半導体基板50Aの裏面側には、半導体基板50と同導電型の第2の半導体層55Aとして、p+型結晶シリコン層を設けている。
【0053】
図7に示す例においても、第1の太陽電池セル10Aにおける第1の方向に延伸する側面は、レーザ加工によって形成されたレーザ加工領域60と、折曲切断によって形成された折曲切断領域62と、を有する。レーザ加工領域60は、裏面側に配置され、折曲切断領域62は、受光面側に配置されている。本実施形態において、受光面に垂直な方向、即ち積層方向におけるレーザ加工領域60の幅は、第1の太陽電池セル10Aの厚みの40%以下としている。
【0054】
なお、本実施形態においては、第2の太陽電池セル10Bも、上述した第1の太陽電池セル10Aと同様の構成を有する。
【0055】
なお、本実施形態においては、太陽電池セル10(第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10B)が、その外形を構成し、第1の方向に延伸する第1の辺(長辺)と、受光面内において第1の方向に直交する第2の方向に延伸する第2の辺(短辺)と、を有し、この長辺の長さを、短辺の長さで割った値が5を超え、且つ100未満となる構成としている。
【0056】
このように、第1の方向に延伸する第1の辺の長さを、第2の方向に延伸する第2の辺の長さで割った値が5を超える構成とすることにより、本開示の太陽電池モジュール100を複数本、並走するように配置した場合、ブラインド調のデザインとすることができ、意匠性の観点から好ましい。
【0057】
また、第1の方向に延伸する第1の辺の長さを、第2の方向に延伸する第2の辺の長さで割った値が5を超える構成、即ち太陽電池セル10が第1の方向に延伸する細長い構成とすることにより、インターコネクタ21の第2の方向の幅を小さくすることができるため、インターコネクタ21を屈曲させやすく、生産性の観点からも望ましい。
【0058】
更に、第1の方向に延伸する第1の辺の長さを、第2の方向に延伸する第2の辺の長さで割った値が100未満であることが望ましい。即ち、太陽電池セル10があまりにも細長くなりすぎない構成とすることにより、太陽電池セル10の機械的強度を担保することができる。
【0059】
また、本実施形態が、長辺の長さを、短辺の長さで割った値が5を超える構成としているため、太陽電池セル10(第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10B)の受光面側、及び裏面側において、受光面側接続用電極14、裏面側接続用電極18以外に、第1の方向に交差する方向に延伸する電極が存在しない構成を採用することが可能となる。即ち、長辺の長さを、短辺の長さで割った値が5を超える構成としているため、長辺方向である第1の方向に延伸する受光面側集電電極12、及び裏面側接続用電極18により、太陽電池セル10で発生したキャリアの多くを集めることができる。そのため、別途、第1の方向に交差する方向に集電用の電極を設けない構成を採用することが可能となる。その結果として、更なる生産性の向上を図ることができ、また、意匠性の観点からも好ましい。
【0060】
また、本実施形態においては、インターコネクタ21を、太陽電池セル10(第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10B)と同系色に着色する構成としている。このような構成とすることにより、太陽電池モジュール100においてインターコネクタ21が目立たなくなるため、意匠性の観点から好ましい。
【0061】
図5は、本実施形態に示した太陽電池モジュール100を窓に設置したガラス建材を示す模式的な平面図である。
図5に示すように、ガラス建材200は、窓枠30と、窓枠30の内周側に配置された窓ガラス32と、を有する。複数の太陽電池モジュール100が、その受光面側から見て窓ガラス32と重畳するよう配置しており、太陽電池モジュール100に含まれる各太陽電池セル10は、第1の方向に延伸しており、各太陽電池セル10がインターコネクタ21により接続されている。また、複数の太陽電池モジュール100が第1の方向に交差する方向に、並べて配置されている。
【0062】
受光面側から見て、窓枠30と重畳する領域においては、複数の太陽電池モジュール100を電気的に接続する配線34が配置されており、当該配線34は、第1の方向と交差する方向に延伸するものが含まれている。
【0063】
このような構成とすることにより、第1の方向に交差する方向に延伸する配線34を窓枠30と重畳させ、ユーザから視認されないよう配置すると共に、ユーザから視認される領域においては、第1の方向に延伸し、第1の方向に交差する方向に並べて配置された複数の太陽電池モジュール100のみが露出される構成を実現することができる。その結果、互いに電気的に接続された複数の太陽電池モジュール100を窓ガラス32全体に形成し、且つブラインド調のデザインを実現することが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態においては、受光面側集電電極12、裏面側集電電極16が、それぞれ2本のフィンガー電極を含む構成を例示したが、受光面側集電電極12、裏面側集電電極16を構成するフィンガー電極の本数はこれに限定されない。
【0065】
また、太陽電池セル10の長辺、短辺の長さは、上述した値に限定されない。また、太陽電池セル10の形状は、長方形状に限定されず、平行四辺形や、その他の形状であっても構わない。
【0066】
なお、本開示の太陽電池モジュール100は、その受光面側を室内側に向けて配置してもよく、その受光面側を室外側に向けて配置してもよい。
【0067】
[太陽電池モジュールの製造方法]
以下、
図8、9、10を用いて、本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法を説明する。
図8は、本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法で用いる矩形の太陽電池セルの受光面側を示す平面図であり、
図9は、矩形の太陽電池セルの裏面側を示す平面図である。また、
図10は、本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法を示すフローチャートである。
【0068】
図10に示すように、本実施形態における太陽電池モジュールの製造方法は、上述した複数の太陽電池セル10(第1の太陽電池セル10A、第2の太陽電池セル10B)を含む矩形の太陽電池セル1000を製造する工程S100と、矩形の太陽電池セル1000を、複数の太陽電池セル10に分断する工程S200と、を含む。
【0069】
矩形の太陽電池セル1000を製造する工程S100には、第1の半導体層52を製膜する工程S101と、第1の受光面側集電電極12A、及び第2の受光面側集電電極12Bを形成する工程S102と、受光面側接続用電極14Zを形成する工程S103と、第1の裏面側集電電極16A、及び第2の裏面側集電電極16Bを形成する工程S104と、裏面側接続用電極18Zを形成する工程S105と、が含まれる。
【0070】
第1の半導体層52を製膜する工程S101では、
図6、7を用いて上述した半導体基板50、50Aの受光面側に、半導体基板50、50Aと逆導電型の第1の半導体層52、52Aを製膜する。第1の半導体層52、52Aは、例えばCVD(chemical vapor deposition)法により製膜することができる。この工程により、半導体基板50の受光面側に、PN接合が形成されることとなる。
【0071】
第1の半導体層52を製膜する工程S101の後で、第1の受光面側集電電極12A、及び第2の受光面側集電電極12Bを形成する工程S102を行う。第1の受光面側集電電極12A、及び第2の受光面側集電電極12Bを形成する工程S102では、
図8に示すように、第1の半導体層52の受光面側に、第1の方向に延伸する第1の受光面側集電電極12A、及び第2の受光面側集電電極12Bを形成する。この工程において、他の太陽電池セル10に設ける受光面側集電電極12を複数同時に形成してもよい。
【0072】
第1の半導体層52を製膜する工程S101の後で、受光面側接続用電極14を形成する工程S103を行う。受光面側接続用電極14を形成する工程S103では、第1の受光面側集電電極12A、第2の受光面側集電電極12Bの一端側(
図8においては右端側)に接続され、前記第1の方向に平面視で交差する方向に延伸する受光面側接続用電極14を形成する。受光面側接続用電極14は、後述する複数の太陽電池セル10に分断する工程S200において形成される太陽電池セル10毎に、別箇独立に形成してもよいが、本実施形態においては、各太陽電池セル10に共通の受光面側接続用電極14Zを形成する。この受光面側接続用電極14Zは、後述する分断工程S200において、第1の太陽電池セル10Aに配置される第1の受光面側接続用電極14A、第2の太陽電池セル10Bに配置される第2の受光面側接続用電極14B、及びその他の太陽電池セル10に配置される受光面側接続用電極14に分離される。
【0073】
更に、第1の半導体層52を製膜する工程S101の後で、半導体基板50の裏面側において、第1の裏面側集電電極16A、及び第2の裏面側集電電極16Bを形成する工程S104を行う。第1の裏面側集電電極16A、及び第2の裏面側集電電極16Bを形成する工程S104では、
図9に示すように、第1の半導体層52の裏面側に、第1の方向に延伸する第1の裏面側集電電極16A、及び第2の裏面側集電電極16Bを形成する。この工程において、他の太陽電池セル10に設ける裏面側集電電極16を複数同時に形成してもよい。
【0074】
第1の半導体層52を製膜する工程S101の後で、裏面側接続用電極18を形成する工程S105を行う。裏面側接続用電極18を形成する工程S105では、第1の裏面側集電電極16A、第2の裏面側集電電極16Bの他端側(
図9においては左端側)に接続され、第1の方向に平面視で交差する方向に延伸する裏面側接続用電極18を形成する。裏面側接続用電極18は、後述する複数の太陽電池セル10に分断する工程S200において形成される太陽電池セル10毎に、別箇独立に形成してもよいが、本実施形態においては、各太陽電池セル10に共通の裏面側接続用電極18Zを形成する。この裏面側接続用電極18Zは、後述する分断工程S200において、第1の太陽電池セル10Aに配置される第1の裏面側接続用電極18A、第2の太陽電池セル10Bに配置される第2の裏面側接続用電極18B、及びその他の太陽電池セル10に配置される裏面側接続用電極18に分離される。
【0075】
なお、第1の受光面側集電電極12A、及び第2の受光面側集電電極12Bを形成する工程S102と、受光面側接続用電極14を形成する工程S103と、第1の裏面側集電電極16A、及び第2の裏面側集電電極16Bを形成する工程S104と、裏面側接続用電極18Zを形成する工程S105と、の前後関係は問わない。
【0076】
次に、複数の太陽電池セル10に分断する工程S200について説明する。
図10に示すように、複数の太陽電池セル10に分断する工程S200には、レーザ照射工程S201と、折曲工程S202と、が含まれる。
【0077】
レーザ照射工程S201は、
図8に示すように、第1の受光面側集電電極12Aと第2の受光面側集電電極12Bとの間において、第1の方向に延伸する分断ラインCLに沿って、半導体基板50の裏面側からレーザ光を照射し、溝を形成する工程である。
【0078】
このレーザ光照射工程S201において、形成する溝の深さは、太陽電池セル10の厚みの40%以下としている。
【0079】
ここで、このレーザ照射工程S201においては、太陽電池セル10を構成する材料が昇華され、形成された溝から露出される太陽電池セル10の側面に、この昇華された材料が付着する可能性がある。たとえば、半導体基板50を構成する半導体材料や、裏面側接続用電極18Zを構成する金属材料が昇華され、太陽電池セル10の側面に付着する可能性がある。しかし、本実施形態においては、上述した通り、太陽電池セル10の受光面側にPN接合が配置されるようにしており、このPN接合を構成する半導体基板50と第1の半導体層52との境界が、裏面側から形成された溝から露出されないようにしている。そのため、昇華された材料が、当該境界に付着することが無く、漏れ電流が発生するのを抑制することができる。
【0080】
なお、本実施形態においては、第1の方向に延伸する分断ラインCLのみならず、第2の方向に延伸する分断ラインCL2に沿っても、半導体基板50の裏面側からレーザ光を照射し、溝を形成する。具体的には、受光面側接続用電極14Zよりも一端側(
図8においては右端側)、及び裏面側接続用電極18Zよりも他端側(
図9においては左端側)において、第1の方向と直交する第2の方向に延伸する分断ラインCL2においても、レーザ光照射により溝を形成する。
【0081】
レーザ光照射工程S201の後で、折曲工程S202を行う。折曲工程S202は、分断ラインCLに沿って、半導体基板50を折曲切断し、第1の受光面側集電電極12Aを有する第1の太陽電池セル10Aと、第2の受光面側集電電極12Bを有する第2の太陽電池セル10Bと、を形成する工程である。
【0082】
このように、複数の太陽電池セル10に分断する工程S200が、レーザ照射工程S201と、折曲工程S202の2段階で構成されているため、第1の太陽電池セル10Aにおける第1の方向に延伸する側面が、レーザ加工によって形成されたレーザ加工領域60と、折曲切断によって形成された折曲切断領域62と、を有し、レーザ加工領域60が、裏面側に配置され、折曲切断領域62が、受光面側に配置される構成となる。レーザ加工領域60は、第1の表面粗さを有し、折曲切断領域62は、第2の表面粗さを有しており、第2の表面粗さが、第1の表面粗さよりも小さい構成となっている。
【0083】
なお、上述したレーザ光照射工程S201において、形成する溝の深さは、太陽電池セル10の厚みの40%以下としているため、この折曲工程S202の生産性を向上させることができる。即ち、本開示に示すような第1の方向に延伸する細長い太陽電池セル10を、折曲工程S202を用いて分断する場合、所望の分断ラインCLのみを折り曲げようとしても、他の分断ラインCLにおいても応力が加わってしまい、分断されてしまう可能性がある。しかし、本実施形態においては、形成する溝の深さは、太陽電池セル10の厚みの40%以下としているため、所望の分断ラインCLごとに折り曲げ、分断することが可能となるため、この折曲工程S202の生産性を向上させることができる。
【0084】
なお、矩形の太陽電池セル1000を、複数の太陽電池セル10に分断する工程S200が、レーザ光照射工程S201と、折曲工程S202の2段階で構成されていることにより、受光面側接続用電極形成S103、及び裏面側接続用電極形成S105において、共通の受光面側接続用電極14Z、裏面側接続用電極18Zを形成した後、この複数の太陽電池セルに分断する工程S200において、複数の受光面側接続用電極14、及び複数の裏面側接続用電極18に分断する方法を採用することができる。即ち、レーザ照射工程S201のみを用いて、矩形の太陽電池セル1000を複数の太陽電池セル10に分断する場合、上述した通り、受光面側接続用電極14Z、裏面側接続用電極18Zを構成する金属材料が昇華され、太陽電池セル10の側面に付着する可能性がある。しかし、本実施形態においては、上述した通り、レーザ照射工程S201と、折曲工程S202の2段階を含み、レーザ照射工程S201においてPN接合を形成する半導体基板50と第1の半導体層52との境界面が、溝から露出されない方法としている。そのため、昇華された材料が、PN接合を形成する半導体基板50と第1の半導体層52との境界に付着することが無く、漏れ電流が発生するのを抑制することができる。
【0085】
そして、共通の受光面側接続用電極14Z、裏面側接続用電極18Zを形成した後、この複数の太陽電池セルに分断する工程S200において、複数の受光面側接続用電極14、及び複数の裏面側接続用電極18に分断する方法を採用することができるため、受光面側接続用電極14と裏面側接続用電極18とを、太陽電池セル10の長辺にまで延伸する構成を実現することができる。即ち、受光面側接続用電極14と裏面側接続用電極18の端部が、太陽電池セル10の外形を構成する辺の内、第1の方向に延伸する第1の辺と、裏面側から見て重畳する構成を実現することができる。その結果として、受光面側接続用電極14、裏面側接続用電極18と、インターコネクタ21と、の接触面積を担保するとともに、高精度な位置制御が不要となり、更なる生産性の向上を図ることができる。即ち、インターコネクタ21の位置が、第1の方向に直交する第2の方向にずれるような場合であっても、受光面側接続用電極14、裏面側接続用電極18が、太陽電池セル10の長辺にまで延伸する構成とすることにより、受光面側接続用電極14、裏面側接続用電極18と、インターコネクタ21との接触面積を担保することができる。
【0086】
なお、本実施形態においては、上述したレーザ光照射工程S201において、受光面側接続用電極14Zよりも一端側(
図8においては右端側)、及び裏面側接続用電極18Zよりも他端側(
図9においては左端側)において、第1の方向と直交する第2の方向に延伸する分断ラインCL2においても、レーザ光照射により溝を形成していた。この第2の方向に延伸する分断ラインCL2においても、この折曲工程S202において分断する。その結果として、第1の太陽電池セル10Aの受光面において、より一端側に第1の受光面側接続用電極14Aを配置し、第1の太陽電池セル10Aの裏面において、より他端側に第1の裏面側接続用電極18Aを配置することが可能となる。
【0087】
複数の太陽電池セルに分断する工程S200の後、第1の太陽電池セル10Aに形成された第1の受光面側集電電極12Aと、第2の太陽電池セル10Bに形成された第2の裏面側集電電極16Bとを、インターコネクタ21により接続し、太陽電池モジュール100を製造することができる。
【0088】
また、このインターコネクタ21を、第1の太陽電池セル10Aの色と同系色に着色する工程を更に含めてもよい。この着色工程は、矩形の太陽電池セルを製造する工程S100よりも前に行ってもよく、複数の太陽電池セルに分断する工程S200の後に行ってもよく、矩形の太陽電池セルを製造する工程S100と、複数の太陽電池セルに分断する工程S200との間に行ってもよい。