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特許7085626養魚場と養魚場における空気の供給および水の循環の方法。
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  • 特許-養魚場と養魚場における空気の供給および水の循環の方法。 図1
  • 特許-養魚場と養魚場における空気の供給および水の循環の方法。 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】養魚場と養魚場における空気の供給および水の循環の方法。
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/60 20170101AFI20220609BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20220609BHJP
【FI】
A01K61/60 321
A01K63/04 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020534155
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 NO2018050219
(87)【国際公開番号】W WO2019045573
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】20171428
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】520074907
【氏名又は名称】モーン テクノロジー エイエス
【氏名又は名称原語表記】MOHN TECHNOLOGY AS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】マグヌス ログネ ミクレボスト
【審査官】竹中 靖典
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00 - 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網(14)に沿って部分的に下へ延びるシラミ防除スカート(16)によって上の領域で閉じられている前記網(14)を備えるフロートカラー(12)を備える、養魚場(10)における酸素の供給および水の循環の方法であって、
前記方法が、圧縮空気を前記網(14)の下部に供給するステップと、
気泡(30)および網(14)の内部の水および周囲の海から網(14)に吸い込まれる水によって上昇水流を形成するステップと、
前記周囲の海から網(14)の内部に吸い込まれる水が、前記シラミ防除スカート(16)の下の貫流する領域を通過するステップと、を備え、
前記網(14)の下部における前記圧縮空気の供給が底部リング(22)に近くであって、前記網(14)の中央から離れた領域で行われ、
前記周囲の海への水の排出が前記シラミ防除スカート(16)の上の領域であって、前記シラミ防除スカート(16)および前記フロートカラー(12)の間のスリット(20)を介して行われることを特徴とする、
養魚場(10)における酸素の供給および水の循環の方法。
【請求項2】
前記スリット(20)が前記養魚場(10)の周りで前記フロートカラー(12)の下に延びており、卓越風と潮流の状況に面している前記スリット(20)の部分を閉じることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
スリットスカート(26)を昇降させることにより、卓越風および潮流の状況に面する前記スリット(20)の部分を閉じることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スリットスカート(26)を前記養魚場(10)の周りで水平にずらすことにより、卓越風および潮流の状況に面する前記スリット(20)の部分を閉じることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記網(14)の下部における圧縮空気の供給が、上向きに上昇する気泡(30)が形成されるように、エアコンプレッサーに接続される1つ以上の穿孔パイプ、ホースまたはマットの形態の空気供給装置(18)の助けを借りて行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記空気供給装置(18)が前記網(14)の中央から離れた領域に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記空気供給装置(18)が前記網(14)の壁の近くに配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記空気供給装置(18)が前記網(14)の下部に接続された前記底部リング(22)の近くに配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記網(14)が底部で閉じられていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記養魚場(10)の前記水の流れが、前記養魚場(10)の上部の空気供給および/または前記スリットの開口を変更することにより調節されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記シラミ防除スカート(16)の下の前記網(14)の前記貫流する領域の開口部の高さが調節され、それにより前記周囲の海から前記網(14)の内部に水を吸い込むための水深を調整することができることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
下部が底部リング(22)に接続され、前記下部において漏斗状部品により閉じられており、上部において網(14)に沿って部分的に下へ延びる前記シラミ防除スカート(16)によって閉じられている前記網(14)を備えるフロートカラー(12)を備えた養魚場(10)であって、
前記網(14)の下部に圧縮空気を供給し、それによって上向きに上昇する気泡(30)および前記網の内部の水および周囲の海から前記網(14)の内部に吸い込まれる水の流れが形成され、そこで前記水が前記シラミ防除スカート(16)の下の貫流する領域を通過して周囲の海から前記網(14)の内部に吸い込まれるように設けられた空気供給装置(18)と、
前記底部リング(22)に近く、前記網(14)の中央から離れた領域に配置されることを特徴とする前記空気供給装置(18)と、
卓越風および潮流の状況に面する少なくとも1つ以上を閉じることができる、前記フロートカラー(12)の下に設けられた、リング状で調整が可能なスリット(20)であって、前記シラミ防除スカート(16)の上の領域で前記周囲の海に水を排出することを特徴とする1つ以上の開口(20)と、をさらに備える養魚場(10)。
【請求項13】
前記空気供給装置(18)が、上向きに上昇する気泡(30)を形成するためのエアコンプレッサーに接続された1つ以上の穿孔パイプ、ホースまたはマットであることを特徴とする、請求項12に記載の養魚場(10)。
【請求項14】
前記養魚場(10)に関して、卓越風および潮流の状況に面する前記スリット(20)の部分が、スリットスカート(26)を昇降させることにより閉鎖が可能であることを特徴とする、請求項12に記載の養魚場(10)。
【請求項15】
卓越風および潮流の状況に面する前記スリット(20)の部分が、スリットスカート(26)を前記養魚場(10)の周囲で水平にずらすことにより閉鎖が可能であることを特徴とする、請求項12に記載の養魚場(10)。
【請求項16】
前記スリットスカート(26)を自動的に調整するための水流センサおよび風センサを備えることを特徴とする、請求項14または15に記載の養魚場(10)。
【請求項17】
前記養魚場(10)の外側および/または内側に温度センサの形態の多数のセンサを備え、前記センサが前記養魚場への水の汲み上げを調整するために設定されることを特徴とする、請求項12に記載の養魚場(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養魚場及び養魚場における空気の供給と水の循環の方法に関するものである。当該養魚場は、網を備えるフロートカラーを備える。網はその上部で、網に沿って部分的に延びるシラミ防除スカート によって閉じている。また、養魚場は、網の下部に圧縮空気を供給するために配置された空気供給装置を備える。それによって、網の内部の気泡と水、および周囲の海から網の内部に吸い込まれる水で構成された水流が上昇する。水は、周囲の海からシラミ防除スカートの下側の貫流領域を通過して、網の内部に吸い込まれる。
【背景技術】
【0002】
魚の養殖業にはいくつかの課題がある。それらのいくつかに言及すると、シラミ(寄生虫)、魚の逃げ出し、環境への排出、汚泥、銅を使用した網の普及、死亡率、使用域、健康安全および操業コストなどがある。
【0003】
また、フィヨルドの停滞による循環の欠如が養魚場の酸素欠乏水につながる可能性がある。排泄物からの汚泥および飼料残渣が設置場所の下に集まる。このため設置場所を移動させる必要がある。
【0004】
シラミの発生は、特に水位の高いところでは、継続的な課題である。シラミは上部水位で最も繁殖する。シラミの個体数はより深い水深で減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開1991―154698号公報は、養魚場の下部に酸素を含むガスを供給することで、水の上昇流を形成することが知られていることを示している。水に酸素が供給され、養魚場で水が循環する。
【文献】米国特許第4798168号明細書は、閉鎖的な養魚場の上部から余剰水を取り出すことが知られている閉鎖的な養殖場について言及している。
【文献】ノルウェー特許第340270号明細書からは、例えばシラミのスカートを有する養魚場のような、シラミに感染した水が網かごに入るのを防ぐ手段を備えた養魚場の上部水層を交換する方法および装置が知られている。この方法は、養魚場に設置され、水排出装置を備えた少なくとも1つの什器の助けを借りて、上部水層から水を除去することを含む。そこで、除去された水はシラミ防除スカートの下面を通ってまたは下面から養魚場に浸透する新鮮な水によって置き換えられる、
【文献】ノルウェー特許第20160386号明細書(国際公開第WO2017155414に対応する)は、魚の養殖のための養魚場を開示している。この養魚場は、水面に浮かぶフロートカラーと、養殖魚を保持するためにフロートカラーに取り付けられ、水中の底部リングにも取り付けられている網と、そして網を取り囲み、水中に降りて底部リングの上の領域まで伸びるスカートを備える。フロートカラーを備えた傾斜可能な複数のフローセッターは、互いに固く結びつき、網の内部に直立して配置されている。各フローセッターは、水を吸引するためにスカートの下側の裾の下の領域に配された下部入口を備えた細長い垂直吸引パイプと、主に上部で、網の水の上部水塊に水を分配し、上部水塊を回転させるための水平出口とを備える。
【発明の目的】
【0006】
本発明により、上昇水流を生成する空気システムが養魚場の底部に統合された半閉鎖養魚場が設けられる。養魚場は閉鎖的な側面と底面を有するが、下部に大きな開口部があり、典型的なシラミの生息帯よりも下側の水を吸引する。
【0007】
上部には、養魚場には調整が可能な細いスリットが設けられている。スリットは、水中に入り、潮流および風に向かい側で完全に閉じることができる。スリットの全体または一部は卓越風および潮流の状況に合わせて自動的に閉じることができる。形成されるパイプ効果により、上向きの垂直流が効率的に生成される。それは、底部の新鮮な水を吸い込み、養魚場の上部で水を排出する。
【0008】
本発明の目的は、養魚場と半閉鎖的な養魚場における空気の供給および水の循環の方法を提供し、養魚場へのシラミの侵入を防止することである。
【0009】
これにより、今日の解決策に適していない新しい養殖の分野を見つけることができる。
【0010】
空気を供給する主な理由は、空気からの酸素が水に溶け込むという二次的効果を伴う循環を発生させるためである。本発明によれば、空気中に余分の酸素を供給し、または純粋な酸素を使用することができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明に係る方法の望ましい実施形態は、独立請求項に記載される。一方、別の実施形態は、関連する従属請求項に記載される。
【0012】
本発明によれば、養魚場における酸素の供給および水の循環の方法が提供される。前記養魚場は網を備えたフロートカラーを備える。網は部分的に網に沿って下に伸びるシラミ防除スカート によって上の領域で閉じられる。前記方法は以下のステップを含む:網の下部での圧縮空気の供給。気泡および網の内部の水、および周囲の海から網の内部に吸い込まれる水による上昇水流の形成。周囲の海からシラミ防除スカートの下の貫流領域で、水が網の内部に吸い込まれる。さらに、この方法は、網の下部への圧縮空気の供給が、網の中央から離れた底部リングに隣接する領域で行われ、シラミ防除スカートの上の領域で周囲の海への水の排出も含む。ここで、水はシラミ防除スカートとフロートカラーの間のスリットを通って周囲の海に排出される。
【0013】
このスリットは、養魚場の周りとフロートカラーの下に伸ばすことができる。そこでは卓越風および潮流の状況に面するスリットの部分が閉じられる。
【0014】
この卓越風および潮流の状況に面するスリットの部分を閉じるために、スリットスカートを昇降させることができる。
【0015】
あるいは、この卓越風および潮流の状況に面するスリットの部分を閉じるために、スリットスカートを水平方向にずらすことができる。
【0016】
あるいは、フロートカラーの下または中に配置された1つ以上の排水パイプを介して、周囲の海に水を排出することができる。この排水パイプは卓越風および潮流の状況に応じて開閉することができる。
【0017】
網の下部における圧縮空気は、エアコンプレッサーに接続された1つ以上の穿孔パイプ、ホース、またはマットの形態で、空気供給装置の助けを借りて供給できる。
【0018】
空気供給装置は、網の中央から離れた領域に設置することができる。
【0019】
空気供給装置は、網の壁の近くに設置することができる。
【0020】
さらに、空気供給装置は、網の下部に固定された底部リングの近くに設置することができる。
【0021】
網は底部で閉じられていることが望ましい。
【0022】
養魚場の水の流れは、養魚場の上部にある空気の供給および/またはスリットの開口部を変更することで調整することができる。さらなる実施形態では、水が流れることができるシラミ防除スカート の下の網の領域の開口部の高さを調節することができる。それによって、周囲の海から網の内部に水を吸い込むための水深を選択することができる。
【0023】
本発明による養魚場の望ましい実施形態は、独立した製品の請求項に記載されている。一方、別の実施形態は、関連する従属請求項に記載されている。
【0024】
本発明によれば、底部で底部リングに固定される網を備えたフロートカラーを備え、下部領域の網が漏斗状部品によって閉じられている養魚場も設置される。さらに、養魚場は、底部リングに隣接し、網の中央から離れた領域に配置された空気供給装置を備える。空気供給装置は、網の下部に圧縮空気を供給するように設定される。それによって、気泡および網からの水、および周囲の海から網の内部に吸い込まれる水が上昇水流を形成する。ここで、水は、シラミ防除スカートの下を貫流する領域で周囲の海から網の内部に吸い込まれる。また、養魚場はシラミ防除スカートの上の領域で周囲の海に水を排出するための1つ以上の開口部を備える。
【0025】
空気供給装置は、上昇する気泡を形成するようにエアコンプレッサーに接続された1つ以上の穿孔パイプ、チューブ、またはマットとすることができる。
【0026】
卓越風および潮流の状況に面するスリットの部分は、養魚場に対してスリットスカートを昇降させることで閉じることができる。
【0027】
あるいは、卓越風および潮流の状況に面するスリットの部分は、養魚場の周りでスリットスカートを水平方向にずらすことによって閉じることができる。
【0028】
さらに、養魚場は、スリットスカートの自動調整用に設定された水流センサと風センサを備えることができる。
【0029】
養魚場はまた、養魚場の外側及び/または内側に温度センサの形態で多数のセンサを備えることができる。前記センサは、養魚場への水の汲み上げを調整するように設置されている。
【0030】
望ましい実施形態は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】養魚場の内側から見た、本発明による養魚場の断面図を示す。
図2】開放位置における、本発明による養魚場を示す。
図3】部分的開放位置における、本発明による養魚場を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、底部に空気が導入され、上昇水流を生成する養魚場を提供する。もし恒久的な底部が備えられておらず、水が上部から排出される場合には、水は、典型的にはシラミ防除スカート の下の側面、おそらく底部に流入する。シラミ防除スカート は、水の流れを促進し、シラミが上部と側面から侵入するのを防ぐパイプ効果を生成する。
【0033】
図1は、フロートカラー12を備えた基本的に伝統的な養魚場10を示す。この養魚場には、出来れば魚の養殖用の網14が吊り下げられている。シラミ防除スカート 16は、シラミを含む可能性のある水の貫流を防ぐため、網14の上部の周囲に配置されている。網14は、底部リング22および、廃棄物処理のための排出口24を備える閉じた漏斗状部品28を、下部に取り付けることができる。
【0034】
シラミ防除スカート16とは、水の通過を防ぐために、網14の上部を取り囲み閉じるスカートまたはカバーを意味する。
【0035】
シラミ防除スカート16は、上端が主に同じ平面または周囲の海水の水面の近くに位置し、スリット20または開口部がシラミ防除スカート16とフロートカラー12との間に形成されるように配置される。網14は、水の流れを考慮した領域が提供するため、シラミ防除スカート16の底部と底部リング22との間では被覆されていない。
【0036】
シラミ防除スカート16と底部リング22との間で水が流れることができる領域の下の望ましい領域には、圧縮空気を放出するために備えられた1つ以上の穿孔パイプ、ホースまたはマットの形態の空気供給装置18がある。このパイプまたはホースは、リング状に形成され、または養魚場の底辺に配される区画で構成することができる。空気供給装置18は、網の中央に配置されるのではなく、底部リング22の近くまたはそれに隣接する領域、すなわち網14の壁の近くにも配置されることが望ましい。
【0037】
空気供給装置18は、例えば水深に応じて2~8バールの圧力で圧縮空気を供給することができるエアコンプレッサーに接続されている。
【0038】
空気供給装置18の助けを借りて網14の下部に圧縮空気を供給することにより、上昇水流が水、気泡30、網14の内部の水および周囲の海から網14の内部に吸い込まれる水により構成される。気泡30は、上昇する水に沿って引きずられる。水はまた、シラミ防除スカート16の下の貫流する領域で周囲の海から網14の内部に吸い込まれ、図1の矢印Aで示されるように、上向きの水流の増加に貢献する。その後、水は、図1の矢印Bで示すように、シラミ防除スカート16の上の領域で周囲の海に排出される。このようにして、養魚場10から水を流出させるパイプ効果が設定される。
【0039】
シラミ防除スカート 16の下部と網14の下部の開口部との間に形成されるスリットは、必要に応じて、水が網14の内部に吸い込まれる深さを選択できるように調整することができる。この調整は、シラミ防除スカート 16または別の布(図示せず)の下部をフロートカラー12から海に垂れ下がるロープに固定することにより行うことができる。ウインチおよび前記ロープの助けを借りて、シラミ防除スカート 16または前記布の下部を引き上げたり、下げたりすることができる。別個の布を使用する場合、これは全面カバー布にすることができる。または、昇降させることができる布は、水のための開口部を備えたリング状の溝またはスリットを有することができる。
【0040】
供給された圧縮空気および上昇水流によって形成される養魚場10の圧力により、養魚場内の水面は周囲の海水面よりも十分に高くなり、養魚場内の水がスリット20を介して流れ出す。
【0041】
水の流れは、養魚場の上部の空気供給および/またはスリット20を変更することにより調整することができる。
【0042】
卓越風および潮流の状況に面する養魚場10の側面では、周囲の海からスリット20を通って水が入るリスクがある。このため、スリット20は、卓越風および潮流の状況に対して閉じることができる。これは、例えば、フロートカラー12に取り付けられ、昇降することができるスリットスカート26を使用することにより実行することができる。スリットスカート26は、スリット20が必要な領域で閉じられるように自動的に上下に駆動できるいくつかの区画を備えることができる。または、スリットスカート26はフロートカラー12から吊り下げられ、必要に応じてスリット20の部分、すなわち、卓越風および潮流の条件に面する部分をカバーするように自動的に水平にずらすことが想像できる。水流センサと風センサが養魚場のどちらの側に開いたスリットがあるかを制御するという点で、スリットの調整は自動的に行うことができる。
【0043】
スリットスカートとは、必要に応じてスリット20を閉じることができる覆いまたは閉鎖を意味する。スリットスカート26は、シラミ防除スカート16の外側、内側、または両側にあるように配置された布、布片または硬い板材で構成することができる。
【0044】
別の実施形態(図示せず)において、シラミ防除スカート 16は、上縁がフロートカラー12に固定されるように配置することができる。シラミ防除スカート 16の下で、底部リング22の間では、網14は覆われていないので、水が流れることができる領域が形成される。養魚場10の上部から水を排出するために、フロートカラー12の中または下に多数の排水パイプが配置される。風と潮流の状況が非常に安定している場合、使用できる排水パイプは1つだけと考えられる。しかし実際には、養魚場の周りに相互に間隔をあけて配置された複数の排水パイプを使用する方が適切である。これらは、卓越風と潮流の状況に対して開閉できる。それ以外の場合、機能と方法は前述の通りである。
【0045】
さらに、養魚場10は、養魚場の水温を調節する手段を備えることができる。例えば、養魚場10の外側及び/または内側の温度センサの形態の複数のセンサは、養魚場への水の汲み込みを調節するために使用することができる。夏には、海面の水が暖かくなりすぎる可能性があるため、深層から冷水を汲み上げることができる。この調節は、より冷たい水を汲み上げることによって、そして水が汲み上げられる深さを調整することによっても実行できる。冬には、海面の水が冷たくなりすぎるので、深層からより温かい水を汲み上げることができる。この調整は、より温かい水を汲み上げることで実行できる。この調整は、水を汲み入れる深さを調整することでも実行できる。このような調整は、温度が可能な限り最適であるという点で、年間を通じて魚のより良い福祉とより良い成長条件を提供する。
図1
図2
図3