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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-08
(45)【発行日】2022-06-16
(54)【発明の名称】水素水用シート
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20220609BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220609BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220609BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220609BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20220609BHJP
   D06M 101/06 20060101ALN20220609BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/02
A61K8/73
A61Q19/00
D06M11/83
D06M101:06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020562360
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2019037250
(87)【国際公開番号】W WO2020137045
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2018246235
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森澤 紳勝
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-038480(JP,A)
【文献】特開2014-205924(JP,A)
【文献】特開2016-011273(JP,A)
【文献】特開2018-199776(JP,A)
【文献】特開2003-095915(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174034(WO,A1)
【文献】特開2018-183740(JP,A)
【文献】白畑實隆,活性酸素消去能をもつ還元水の科学と医療への応用,九州大学中央分析センター センターニュース,2002年02月,Vol.19, No.3,7-21頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 33/00-33/44
A61P 1/00-43/00
C01B 3/00- 3/58
C08B 15/00-15/10
D06M 11/00-11/84
D21H 11/00-11/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースナノファイバーからなるセルロース繊維により形成され、電解水素水が含浸または塗布される水素水用シートであって、
前記電解水素水は、原子状水素が吸着した白金ナノコロイドを含み、
前記電解水素水が含浸または塗布されると、前記セルロースナノファイバーに前記白金ナノコロイドが結合されることを特徴とする水素水用シート。
【請求項2】
前記セルロースナノファイバーの繊維径が3~100nmであることを特徴とする請求項1に記載の水素水用シート。
【請求項3】
セルロースナノファイバーからなるセルロース繊維により形成されたシート本体と、
前記シート本体に含浸または塗布された電解水素水と
を備え、
前記電解水素水は、原子状水素が吸着した白金ナノコロイドを含み、
前記セルロースナノファイバーに前記白金ナノコロイドが結合していることを特徴とする水素供給シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素水用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性酸素が原因とされる酸化ストレスが問題となっており、当該酸化ストレスにより、病気や老化現象等が引き起こされるため、原因となる活性酸素を除去して酸化ストレスの軽減を図る方法が提案されている。
【0003】
例えば、人体の皮膚などの対象物の表面に接触させ、その表面に多くの水素を効率よく供給するための水素供給パッドが提案されている。より具体的には、一方の側から他方の側に水素を流通させるための流路が形成された本体と、本体の水素下流側の面に設置され、水素を所定の領域に拡散させる拡散シートとを有する水素供給パッドが開示されている。そして、水素供給パッドの流路に水素供給装置である水素ボンベを接続して、水素ボンベから流路に水素を供給する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-187337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の水素供給パッドにおいては、水素供給装置である水素ボンベや水素供給用の流路等が必要になるため、水素供給システムの構成が複雑になるという問題があった。
【0006】
また、水素ボンベから水素ガスを供給する方法を採用しているが、水素ガスは少量であっても着火の危険性があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、水素ガスに起因する危険性がなく、かつ簡易な構成により活性酸素を除去することができる水素水用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の水素水用シートは、セルロースナノファイバーからなるセルロース繊維により形成され、電解水素水が含浸または塗布される水素水用シートであって、電解水素水は、原子状水素が吸着した白金ナノコロイドを含み、電解水素水が含浸または塗布されると、セルロースナノファイバーに白金ナノコロイドが結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水素ガスに起因する危険性がなく、簡易な構成により活性酸素を除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る水素供給シートを示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る電解水生成装置の概略を説明するための図である。
図3】本発明の実施形態に係る電解水生成装置の電気的構成を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態に係る電解水生成装置を用いて電解水素水を生成する電解水生成方法の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。図1は、本実施形態の水素供給シートを示す平面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の水素供給シート(以下、単に「シート」と記載する。)11は、水素水用シートであるシート本体12と、当該シート本体12に含浸または塗布された電解水素水13とを有している。この水素供給シート11は、例えば、顔面パック用シート等に適用することができる。
【0013】
<シート本体>
シート本体12の素材としては、セルロース微細繊維(以下、「セルロースナノファイバー」という。)の集合体であるセルロース繊維14が使用される。このセルロース繊維14は、分子鎖が36本集合したセルロースナノファイバーで構成されている。
【0014】
ここで、「セルロースナノファイバー」とは、パルプ等の植物の原料を解繊することにより得られる微細なセルロース繊維であり、その繊維径(繊維の直径)がナノサイズ(1nm~1000nm)のものをいう。
【0015】
また、本実施形態においては、セルロースナノファイバーの繊維径は3~100nmが好ましく、3~10nmがより好ましい。これは、セルロースナノファイバーは、繊維間が水素結合により結束されているため、繊維径が3nm未満の場合は、電解水素水13を含浸または塗布するとセルロースナノファイバーが溶解してしまう場合があるためである。また、繊維径が100nmよりも大きい場合は、水分保持力が低下するという不都合が生じる場合があるためである。
【0016】
また、シート本体11の構造としては、電解水素水13が含浸又は塗布できれば、特に限定されず、例えば、不織布、織物、編物等が挙げられる。また、不織布の場合、例えば、スパンボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、及びサーマルボンド法等の公知の方法により製造することができる。
【0017】
また、シート本体12の厚みは、0.01~15mmが好ましい。これは、厚みが0.01mm未満の場合は、使用時の取り扱い性が低下する場合があり、15mmよりも大きい場合は、皮膚に対する装着感が低下する場合があるためである。
【0018】
<電解水素水>
電解水素水13は、白金ナノコロイドを含有する電解水である。そして、この電解水素水13においては、抗酸化作用を有する原子状水素(活性水素)が白金ナノコロイドに吸着(化学吸着)している。
【0019】
より具体的には、後述のごとく、本実施形態の電解水素水13を製造する電解水生成装置においては、電気分解される水が供給される電解室において、表面が白金により形成された給電体が設けられている。そして、この白金表面上において、電解水素水13中の水素分子の分子間共有結合が減弱して水素分子における共有結合が弱くなり、原子状水素になる。その結果、電解水素水13においては、溶存水素及び白金ナノコロイドが存在するとともに、抗酸化作用を有する原子状水素が白金ナノコロイドに吸着(化学吸着)することになる。
【0020】
なお、「白金ナノコロイド」とは、直径がナノサイズ(1nm~1000nm)の微小なコロイド状の水素吸蔵金属のことをいう。
【0021】
次に、電解水素水13の製造方法を説明する。図2は、本実施形態の電解水生成装置の概略を説明するための図であり、図3は、本実施形態の電解水生成装置の電気的構成を説明するための図である。
【0022】
電解水生成装置1は、電気分解される水が供給される電解室40と、極性の異なる第1給電体41及び第2給電体42と、電解室40を区分する隔膜43と、電解水生成装置1の各部の制御を行う制御手段5とを備えている。
【0023】
電解室40は、電解槽4の内部に形成されている。電解室40には、電気分解前の原水が供給される。原水には、一般的には水道水が利用されるが、その他、例えば、井戸水、地下水等を用いることができる。電解室40の上流側には、電解室40に供給される水を浄化する浄水カートリッジが設けられていてもよい。
【0024】
第1給電体41及び第2給電体42は、電解室40内で、互いに対向して配置されている。第1給電体41及び第2給電体42の表面は、水素吸蔵金属によって形成されている。本実施形態においては、水素吸蔵金属とは白金であり、その合金も含まれ、第1給電体41及び第2給電体42の表面には、白金のめっき層が形成されている。
【0025】
隔膜43は、第1給電体41と第2給電体42との間に配されている。隔膜43は、電解室40を第1給電体41側の第1極室40aと、第2給電体42側の第2極室40bとに区分する。隔膜43は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)親水膜によって構成されている。そして、電解室40内に水が満たされた状態で第1給電体41と第2給電体42との間に直流電圧が印加されると、電解室40内で水が電気分解され、電解水が得られる。
【0026】
電解水生成装置1では、第1給電体41と第2給電体42との間に直流電圧のみが印加され、交流電圧は印加されない。従って、上記交流電圧を生成する電源装置及び交流電流を供給するための回路が不要となり、装置のコストダウンを図ることが可能となる。
【0027】
例えば、図1に示される状態では、第1給電体41には正の電荷が帯電し、第1極室40aは、陽極室として機能している。一方、第2給電体42には負の電荷が帯電し、第2極室40bは、陰極室として機能している。これにより、第2極室40bでは発生した水素ガスが溶け込んだ還元性の電解水素水が生成され、第1極室40aでは発生した酸素ガスが溶け込んだ電解酸性水がそれぞれ生成される。
【0028】
図3に示すように、第1給電体41及び第2給電体42と制御手段5とは、電流供給ラインを介して接続されている。第1給電体41と制御手段5との間の電流供給ラインには、電流検出手段44が設けられている。電流検出手段44は、第2給電体42と制御手段5との間の電流供給ラインに設けられていてもよい。電流検出手段44は、第1給電体41、第2給電体42に供給する直流電流(電解電流)を検出し、その値に相当する電気信号を制御手段5に出力する。
【0029】
制御手段5は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。制御手段5の各種の機能は、CPU、メモリ及びプログラムにより実現される。
【0030】
制御手段5は、例えば、電流検出手段44から出力された電気信号に基づいて、第1給電体41及び第2給電体42に印加する直流電圧(電解電圧)を制御する。より具体的には、制御手段5は、ユーザー等によって設定された溶存水素濃度に応じて、電流検出手段44によって検出される電解電流が所望の値となるように、第1給電体41及び第2給電体42に印加する電圧をフィードバック制御する。例えば、電解電流が過大である場合、制御手段5は、上記電圧を減少させ、電解電流が過小である場合、制御手段5は、上記電圧を増加させる。これにより、第1給電体41及び第2給電体42に供給する電解電流が適切に制御され、電解室40で所望の溶存水素濃度の水素水が生成される。
【0031】
第1給電体41及び第2給電体42の極性は、制御手段5によって制御される。すなわち、制御手段5は、第1給電体41及び第2給電体42の極性を切り替える極性切替手段として機能する。制御手段5が第1給電体41及び第2給電体42の極性を適宜切り替えることにより、第1給電体41及び第2給電体42が陽極室又は陰極室として機能する機会が均等化される。これにより、第1給電体41及び第2給電体42等へのスケールの付着が抑制される。以下、本明細書では、特に断りのない限り、第1給電体41が陽極給電体として、第2給電体42が陰極給電体として、それぞれ機能している場合が説明されるが、第1給電体41及び第2給電体42の極性を相互に入れ替えた場合も同様である。
【0032】
図2に示されるように、電解水生成装置1は、電解槽4の上流側に設けられた入水部2と、電解槽4の下流側に設けられた出水部6とをさらに備えている。
【0033】
入水部2は、給水路21と、流量センサー22と、分岐部23と、流量調整弁25等を有している。給水路21は、電気分解される水を電解室40に供給する。流量センサー22は、給水路21に設けられている。そして、図3に示すように、流量センサー22は、電解室40に供給される水の単位時間あたりの流量(以下、単に「流量」と記すこともある。)を定期的に検出し、その値に相当する信号を制御手段5に出力する。
【0034】
分岐部23は、給水路21を給水路21a,21bの二方に分岐する。給水路21aは陽極室に水を供給する陽極側給水路であり、給水路21bは陰極室に水を供給する陰極側給水路である。流量調整弁25は、給水路21a,21bを第1極室40a又は第2極室40bに接続するために設けられている。第1極室40a及び第2極室40bに供給される水の流量は、制御手段5の管理下で、流量調整弁25によって調整される。本実施形態では、流量センサー22は、分岐部23の上流側に設けられているため、第1極室40aに供給される水の流量と第2極室40bに供給される水の流量との総和、すなわち、電解室40に供給される水の流量を検出する。
【0035】
出水部6は、出水路61と、帰還水路62と、流路切替弁65とを有する。
【0036】
図2において、出水路61は、第1極室40a及び第2極室40bのうち陰極側の極室で生成された電解水(すなわち、電解水素水)を取り出すための陰極水路として機能している。
【0037】
一方、帰還水路62は、第1極室40a及び第2極室40bのうち陽極側の極室(以下、陽極室と記す)で生成された電解水を取り出すための陽極水路として機能している。帰還水路62は、一端が流路切替弁65を介して陽極室と、他端が給水路21と接続されている。帰還水路62は、陽極室で電気分解された電解水を給水路21に導く。
【0038】
流路切替弁65は、電解槽4の下流に設けられている。流路切替弁65は、第1極室40a及び第2極室40bと出水路61及び帰還水路62との接続を切り替える流路切替手段として機能する。
【0039】
本実施形態では、制御手段5が、第1給電体41及び第2給電体42の極性の切り替えと流路切替弁65による流路の切り替えとを同期させることにより、ユーザーによって選択された電解水(例えば、図2では電解水素水)が出水路61から吐出されることになる。
【0040】
第1給電体41及び第2給電体42の極性の切り替えにあたっては、制御手段5が、流量調整弁25と流路切替弁65とを、連動して動作させる形態が望ましい。これにより、陽極室で生成された電解水が陰極室に供給される。
【0041】
流量調整弁25と流路切替弁65とは、例えば、特許第5809208号公報に記載されているように、一体的に形成され、単一のモーターによって連動して駆動される形態が望ましい。すなわち、流量調整弁25及び流路切替弁65は、円筒形状の外筒体と内筒体等によって構成される。内筒体の内側及び外側には、流量調整弁25及び流路切替弁65を構成する流路が形成され、各流路は、流量調整弁25及び流路切替弁65の動作状態に応じて、適宜、交差するように構成されている。このような弁装置は、「ダブルオートチェンジクロスライン弁」と称され、電解水生成装置1の構成及び制御の簡素化に寄与し、電解水生成装置1の商品価値をより一層高める。
【0042】
なお、図2に示される電解水生成装置1において、流量調整弁25及び流路切替弁65を省略してもよい。流量調整弁25を省略する場合、給水路21aは、第1極室40aと直接的に接続され、給水路21bは、第2極室40bと直接的に接続される。流路切替弁65が省略される場合、出水路61は、第2極室40bと直接的に接続され、帰還水路62は、第1極室40aと直接的に接続される。
【0043】
ここで、本実施形態においては、陽極給電体である第1給電体41の表面が、水素吸蔵金属である白金により形成されているため、電気分解の際、第1極室40aでは、白金がイオン化する。この際、発生する白金イオンは、第1極室40aで電気分解された電解水と共に帰還水路62を通って給水路21に戻される。その結果、白金イオンが給水路21bを介して第2極室40bに供給され、陰極給電体である第2給電体42が上記白金イオンを引き寄せて電子を供給する。これに伴い、第2極室40bでは、コロイド状の白金が析出し、直径がナノメートルレベルの微小な白金ナノコロイドを多く含有する電解水が生成される。
【0044】
また、第1極室40aと第2極室40bとが隔膜43によって分離されているため、第2極室40bで生成された白金ナノコロイドが、第1極室40aに移動することがない。このため、出水路61から取り出される電解水素水に含まれる白金ナノコロイドの量が容易に増加する。さらに、直流電解のみによって白金ナノコロイドを多く含有する電解水素水が生成されるため、装置の構成が簡素であると共に、電解水の生成に要する時間が短縮される。
【0045】
また、図2に示されるように、電解水生成装置1は、帰還水路62にポンプ66及びフィルター67が設けられていてもよい。ポンプ66は、第1極室40aから取り出された電解水を給水路21に圧送する。フィルター67は、第1極室40aから取り出された電解水に含まれる次亜塩素酸を除去する。フィルター67は、原水として次亜塩素酸カルシウムを含む水道水が用いられる場合に有効である。フィルター67は、出水路61に設けられていてもよい。また、帰還水路62には、給水路21内の水が流路切替弁65に逆流することを防止する逆止弁が設けられていてもよい。
【0046】
帰還水路62は、分岐部23の下流側で給水路21bと接続される形態であってもよい。本実施形態では、帰還水路62が分岐部23の上流側の給水路21と接続されているため、第1極室40aで電気分解された電解水の一部が、第1極室40a、帰還水路62及び給水路21(21a)を循環する。これにより、帰還水路62を流れる電解水中の白金のイオン濃度が高められ、第2極室40bに供給される。
【0047】
図4は、電解水生成装置1を用いて白金ナノコロイドを含有する電解水素水を生成する電解水生成方法の処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
第1極室40a及び第2極室40bに水が満たされた状態で第1給電体41及び第2給電体42との間に直流電圧が印加されると、陽極側の第1給電体41は周辺の水から電子を奪い、酸化水が生成される(ステップS1)。このとき、第1給電体41の表面では、白金が電子を失い、イオン化する。すなわち、ステップS1で生成された酸化水は、白金イオンを含んでいる。
【0049】
次いで、第1極室40aで生成された酸化水は、帰還水路62を介して第2極室40bに移動され、陰極側の第2給電体42の周辺に移動される(ステップS2)。これに伴い、白金イオンも第2給電体42の周辺に移動される。
【0050】
そして、第1給電体41及び第2給電体42との間に直流電圧が印加されると、第2給電体42は、周辺の酸化水に電子を供給して、酸化水を還元する(ステップS3)。このとき、白金イオンは、第2給電体42から電子を受け取り、微小な白金ナノコロイドとなって、電解水素水中に析出し、白金ナノコロイドを多く含有する電解水素水が生成される。また、直流電解のみによって白金ナノコロイドを多く含有する電解水素水が生成されるため、電解水素水の生成に要するステップが簡素化され、時間が短縮される。
【0051】
なお、本電解水生成方法における上記ステップS1~S3の処理は、通常、同時に継続して実行されるが、ステップS1,S2,S3の順序で別々に実行されてもよい。
【0052】
<水素供給シート>
本発明の水素供給シート11は、公知の切断方法により、所定の形状に切断したシート本体12に、上述の方法により製造された電解水素水13を含浸または塗布することにより製造される。
【0053】
この際、シート本体12に電解水素水13を含浸または塗布すると、電解水素水13中の白金イオンが、セルロースナノファイバーのカルボキシ基とイオン結合してクラスターを形成し、原子状水素が吸着した白金ナノコロイドがシート本体12に結合される。従って、水素供給シート11において、原子状水素が吸着した白金ナノコロイドが安定して存在することになる。
【0054】
そして、本発明の水素供給シート11を、人体の皮膚に装着すると、酸化ストレス等により発生した活性酸素種(例えば、ヒドロキシラジカル)が、原子状水素と反応して除去されるため、病気等の原因となる活性酸素を除去して酸化ストレスの軽減を図ることが可能になる。
【0055】
このように、本発明の水素供給シート11においては、上記従来技術とは異なり、複雑な水素供給システムが不要になるとともに、水素ガスに起因する危険性がなく、簡易な構成により活性酸素を除去することが可能になる。
【0056】
<その他の成分>
本発明の水素供給シート11においては、その用途に応じて、例えば、保湿成分、美白成分、植物抽出物、ビタミン類、消炎・鎮痛成分、防腐剤、酸化防止剤、及び香料等を配合することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上に説明したように、本発明は、顔面パック用シート等に適用可能な水素水用シートに好適に使用できる。
【符号の説明】
【0058】
11 水素供給シート
12 シート本体(水素水用シート)
13 電解水素水
14 セルロース繊維
図1
図2
図3
図4