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特許7085718ターレット工具交換式の穴明け装置とその加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ターレット工具交換式の穴明け装置とその加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 39/20 20060101AFI20220610BHJP
   B23B 37/00 20060101ALI20220610BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20220610BHJP
   B23B 47/00 20060101ALI20220610BHJP
   B23B 47/02 20060101ALI20220610BHJP
   B23B 45/02 20060101ALI20220610BHJP
   B23B 45/14 20060101ALI20220610BHJP
   B23B 45/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B23B39/20
B23B37/00
B23B47/34 Z
B23B47/00 B
B23B47/02 A
B23B45/02
B23B45/14
B23B45/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020016639
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021112810
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】519193965
【氏名又は名称】伊藤 憲秀
(72)【発明者】
【氏名】野村 衛
(72)【発明者】
【氏名】野村 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】喜多 佳之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸男
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 憲秀
(72)【発明者】
【氏名】岩川 泰三
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214286(JP,A)
【文献】特表2008-535671(JP,A)
【文献】特開2017-039201(JP,A)
【文献】特開2017-185613(JP,A)
【文献】実開昭62-201642(JP,U)
【文献】特開2002-337136(JP,A)
【文献】特開2002-224631(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0165365(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 39/20
B23B 37/00
B23B 45/00-47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素繊維強化プラスチック又は金属又はこれらの合板被削材乃至は、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチック又は金属又はこれらの単独被削材に対する穴明けを行う携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置において、
上記穴明け装置の本体となる筐体内に備えた駆動モーターと、この駆動モーターの回転駆動軸内に挿通係合した中空回転軸と、上記中空回転軸の後端部に備えたロータリージョイントと、該ロータリージョインに接続されて給水と給水の吸引回収を司る自在パイプと、上記筐体に備える旋回受座には嵌合旋回するターレット円板と、該ターレット円板には少なくともドリルと円筒金網砥石とを把持する少なくとも一対の主軸頭をターレット円板の旋回軸心に対して対象位置に配置されてなり、上記中空回転軸の先端側には該中空回転軸の進退クラッチを備え中空回転軸の軸心と一致する位置に割り出された主軸頭の尾端に係脱可能となし、該係合時の中空回転軸を上記駆動モーターにより回転駆動され、上記筐体はその底部に設けた軸受をL型の位置決め治具の一対の往復ガイドバーに摺動自在に支持され、上記筐体は上記軸受背面に備えた往復動モーターにより被削材に対して進退移動可能となし、上記駆動モーター及び上記往復動モーターとこれらの制御器との電源装置とを具備したことを特徴とするターレット工具交換式の穴明け装置。
【請求項14】
請求項1~13に記載のいずれか1のターレット工具交換式の穴明け装置において、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材乃至は、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチック又は金属の単独な被削材に対する穴明けにおいて、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックの穴明けは円筒金網砥石で明け、金属に対してはドリルで明けることを特徴とするターレット工具交換式の穴明け装置による加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターレット工具交換式の穴明け装置に係わり、特に炭素繊維強化プラスチックス又は繊維強化プラスチックスと金属からなる合板の被削材乃至、単独の被削材を対象としたもので、各々材質の異なる穴明け用にドリルと円筒形に形成した超砥粒金網砥石とを備え、この2つの工具に対し、超音波振動機能を組み込んだ新規なターレット工具であって、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックスと金属の合板被削材(例えば、航空機やレーシングカーに採用されているCFRPとチタンを張り合わせた被削材)の穴明けを主目的としたターレット工具交換式の穴明け装置とその加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マシニングセンター(1つの主軸に対して多数の工具をマガジンに備え、工具交換装置により工具を入れ替えて交換し、被削材に対して多彩な加工を熟す工作機械)が普及している。また、旋盤に見るごとく、回転する被削材に対して多彩な加工を熟すべく、旋回するリボルバディスクの外周に多数の工具を備え、加工目的により1つの工具を選択して加工している。更には、ハンデイタイプのリボルバ-式工具も提供されている。これらの具体的な機構を以下の文献により詳細に説明する。
【0003】
先ず、リボルバ-式工具は、工具先端部(1)主軸部(2)の中心部に回転式で複数の工具の収納部を設け、更に持ち手を外し電動ドリルも装着出来挿入部を取り替えれば数種類の工具を簡単に入替え使用出来るものである。具体的な解決手段は、工具先端部(1)主軸部(2)の中心部に工具の収納部を設け、回転部の外周と持ち手に使用マニアルの工具図柄と工具入替え位置を示す刻印を設けたものである。更なる構成の詳細は、後記する[課題を解決するための手段]に記載されている。これによる効果は、いろいろなサイズの工具を個別に持参しなくとも良く紛失の心配や所有物の区分けが明確になりトラブルがなく。電動工具との組合せにより使用範囲が更に広くなる。と言うものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、CNC自動旋盤のワークの機械加工方法およびCNC自動旋盤は、旋盤工具(74)及び回転機械工具(82)によって作業するいわゆるディスクリボルバー(42)として構想される工具リボルバー(38)を保持し、X、Y及びZ軸を有し、少なくとも一つの切削台システム(36)を有する。旋削工程のために限定される切削面と切削台との間の距離を可能な限り減少させるべく、Y軸は、切削面(78)の法線と、比較的小さい鋭角(β)を形成し、その結果、制御された方法で軸(44)のまわりに工具リボルバー(38)が回転される際に、リボルバーに配置されかつ作業位置に配置された、回転駆動される機械加工工具(82)は、切削面から切削台システムの方向に鋭角を通じて回転軸(Wa)と共に旋回される。それゆえ、機械加工工具(82)の機械加工領域は、Y軸の負の方向に延長する成分を備えた動作を描くものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
更に、工具交換担持体および工具システムは、すなわちリボルバー(12)に対し相対回転可能に配置され且つ少なくとも2つの工具受容部(9)を有しているリボルバー回転ユニットを備えた工具リボルバー(1)は、前記工具交換担持体を貫通するように、または、前記工具交換担持体に沿うように電磁線を搬送する電磁線搬送手段を有している。工具システムは、このような工具交換担持体と、前記工具受容部(9)に固定するために設置された少なくとも2つの工具ヘッド(3,5,15,17,18,27,34,40,43)とを含み、少なくとも1つの工具ヘッドは、工作物(11)を電磁線で照射するために適した光学工具ヘッド(3,15,17,18)であり、該光学工具ヘッドは、前記電磁線を転向および/または成形するための工具光学ユニット(23)を備えているものである(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
更に、繊維強化樹脂等の被切削物において、多数の孔明け加工を小物から大物に至る広域(一品少量・多品多量等)にわたり切削性能・作業能率の向上と対環境性の向上が複合して図れる超音波振動切削ユニット装置とその加工方法がある。
その構成は、ベース基部1に進退制御可能に備えた回転駆動軸手段DSと、上記回転駆動軸手段の刃具Tに回転方向に超音波振動を付与する超音波振動手段10と、上記刃具及び主軸先端部6・超音波振動手段10を包囲し刃具の進退移動に連動する防塵手段20と、上記防塵手段内に空気流Eを流入・排気して切粉塵Cを回収する切粉塵回収手段30と、上記回転駆動軸手段DSとを包囲する防爆手段40と、上記防爆手段内に空気流Eを流入・排気して樹脂粉塵Jを回収する粉塵回収手段50と、を備えた超音波振動切削ユニット装置である(例えば、特許文献4参照。)。
【文献】
【0007】
【文献】特開平10-71575号公報
【文献】特表平9-500333号公報
【文献】特表2014-507296号公報
【文献】特開2009-214286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特開平10-71575号公報のリボルバ-式工具は、工具先端部と主軸部との中心部に回転式で複数の工具の収納部を設け、更に持ち手を外し電動ドリルも装着出来挿入部を取り替えれば数種類の工具を簡単に入替え使用出来るもので、本発明のターレット工具交換式の穴明け装置と工具交換できる点において類似する。しかし、本発明は超音波振動機能を組み合せた新規なターレット式の工具ユニットであり、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材(例えば、航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材等)の穴明けを主目的とした本発明のターレット式工具とは、全く目的・構成・作用・効果が相違する。
【0009】
即ち、合板被削材又は単独被削材に対する穴明け装置において、上記リボルバ-式での多数の工具は、元々ピストルにおいて、ピストルの銃口とローターに装填させた多数の銃弾における一つを一致させ、その他の銃弾とこれを装填させた装填口と銃弾はピストルの銃口方向と同一で銃弾の先端位置も同一となる構成となる。従って、本発明の合板被削材に対する穴明け装置において、上記リボルバ-式での多数の工具の選択方法では、選択された穴明け工具以外の工具も略同一長さで同一方向に向けられているから、他の工具が合板被削材に衝突して干渉することになり、穴明け加工を不能とする。
【0010】
上記特表平9-500333号公報のCNC自動旋盤のワークの機械加工方法およびCNC自動旋盤は、CNC自動旋盤のワークにおいて、いわゆるディスクリボルバーとして構想される工具リボルバーにバイト他複数の工具を備えている点で全く別構成と言える。更に、本発明は超音波振動機能を組み合せた新規なターレット方式の工具であり、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材(例えば、航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材等)の穴明けを主目的としたターレット式工具とは、全く目的・構成・作用・効果が相違する。
【0011】
上記特表2014-507296号公報の工具交換担持体および工具システムは、少なくとも1つの工具ヘッドは、工作物を電磁線で照射するために適した光学工具ヘッドであり、該光学工具ヘッドは、前記電磁線を転向および/または成形するための工具光学ユニットを備えているものである。しかして、本発明は超音波振動機能を組み合せた新規なターレット式の工具であり、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材(例えば、航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材等)の穴明けを主目的としたターレット工具であり、全く目的・構成・作用・効果が相違する。
【0012】
上記特開2009-214286号公報は、繊維強化樹脂等の被切削物において、多数の孔明け加工を小物から大物に至る広域(一品少量・多品多量等)にわたり切削性能・作業能率の向上と対環境性の向上が複合して図れる超音波振動切削ユニット装置とその加工方法である。従って、繊維強化樹脂等の被切削物に対する限定された孔明け加工限定であり、本発明において、ドリルに超音波振動機能を組み合せた孔明け加工を行うターレット工具式に限定すれば、類似技術と言える。
【0013】
然し乍ら、上記引用特許は、ドリルによる穴明け加工に特化したものであるのに対して、本発明は、ドリルと円筒形の超砥粒金網砥石とを備え、この2つの工具に対し、超音波振動機能を組み合せた新規なターレット式工具であり、繊維強化プラスチックと金属の合板被削材(例えば、航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材)の穴明けを主目的としたターレット工具交換式の穴明け装置であるから、特開2009-214286号公報とは、全く異なる技術分野に属すると言える。
【0014】
本願発明者は、上記4件の公知技術とは異なり、特に、航空機他に採用されている炭素繊維強化プラスチックス又は繊維強化プラスチックスとチタン金属他を貼り合わせた被削材又は単独な被削材に対し、穴明け作業を合理的で高効率で超高精度に実施する為に、必須となる技術開発を達成した。
【0015】
具体的には、工具交換について、リボルバー工具交換式をやめてターレット工具交換式の穴明け装置としたもので、基本技術となる1(ターレット工具交換機構)、2(工具となるドリル・砥石に対する超音波振動の導入)、3(ドリル工具内や砥石内から刃先へのクーラント液供給・エアーの供給・付随的な回収機構)、4(特に、金網砥石とこの内部へのクーラント液供給・回収機構)、5(切粉・研削屑の吸引回収機構)の新規開発が必須となる。更に、具体的に言えば、「回転式ターレット駆動装置」「筐体及び工具の送り装置」「工具の位置決め装置」「切粉研削屑の回収装置」「冷却液供給装置」「電源装置」「制御装置」等々の新規技術開発を達成した。
【0016】
これにより、本発明のターレット工具交換式の穴明け装置は、炭素繊維強化プラスチックス又は繊維強化プラスチックスとチタン他を張り合わせた被削材に対し、炭素繊維強化プラスチックス又は繊維強化プラスチックスの穴明けには円筒形に形成した超砥粒金網砥石を採用し、チタン他の金属に対する穴明けには超硬ドリルを採用するとともに、より高精度で高効率な超音波振動機能を組み合せた新規なターレット工具交換式の穴明け装置を開発することに成功した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の請求項1のターレット工具交換式の穴明け装置は、炭素繊維強化プラスチック又は金属又はこれらの合板被削材乃至は、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチック又は金属又はこれらの単独被削材に対する穴明けを行う携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置において、
上記穴明け装置の本体となる筐体内に備えた駆動モーターと、この駆動モーターの回転駆動軸内に挿通係合した中空回転軸と、上記中空回転軸の後端部に備えたロータリージョイントと、該ロータリージョインに接続されて給水と給水の吸引回収を司る自在パイプと、上記筐体に備える旋回受座には嵌合旋回するターレット円板と、該ターレット円板には少なくともドリルと円筒金網砥石とを把持する少なくとも一対の主軸頭をターレット円板の旋回軸心に対して対象位置に配置されてなり、上記中空回転軸の先端側には該中空回転軸の進退クラッチを備え中空回転軸の軸心と一致する位置に割り出された主軸頭の尾端に係脱可能となし、該係合時の中空回転軸を上記駆動モーターにより回転駆動され、上記筐体はその底部に設けた軸受をL型の位置決め治具の一対の往復ガイドバーに摺動自在に支持され、上記筐体は上記軸受背面に備えた往復動モーターにより被削材に対して進退移動可能となし、上記駆動モーター及び上記往復動モーターとこれらの制御器との電源装置とを具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項2は、請求項1のターレット工具交換式の穴明け装置において、上記回転駆動軸の後端側における筐体内に超音波振動装置を備え、該中空回転軸の先端部に接続されたドリル又は円筒金網砥石に対して軸心方向に超音波振動を伝達することを特徴とする。
【0019】
請求項3は、請求項1のターレット工具交換式の穴明け装置において、上記筐体前部に備える円形受座は、中空回転軸の軸心方向に対して45°の方向に旋回軸心を持ち、該円形受座に嵌合旋回するターレット円板には、一対のドリルと円筒金網砥石の他に2対以上の主軸頭を具備させてなることを特徴とする。
【0020】
請求項4は、請求項1のターレット工具交換式の穴明け装置において、中空回転軸の後端部に備え給水又は空気圧の供給と吸引回収に切替えるロータリージョイントに接続され給水又は空気圧を司る自在パイプからドリル及び円筒金網砥石の尾端が中空回転軸の先端に接続時にロータリージョイントを介してドリル及び円筒金網砥石のセンター孔内に給水され、ドリル及び円筒金網砥石の先端から被削材に噴射・冷却する一方で吸引回収することを特徴とする。
【0021】
請求項5は、請求項1~4に記載のいずれか1のターレット工具交換式の穴明け装置において、ターレット円板に備えた一対又は2対以上の主軸頭に係合するドリル及び円筒金網砥石の先端にジャバラで覆った切粉・粉塵吸引部材を配置し、該切粉・粉塵吸引部材により切粉・粉塵を吸引濾過するとともに集中廃棄することを特徴とする。
【0022】
請求項6は、請求項1~5に記載のいずれか1のターレット工具交換式の穴明け装置において、L型の位置決め治具は、一対の往復ガイドバーの先端を保持して筐体底面に備える軸受により摺動自在に支持する本体と、該本体の前面に被削材に対する穴明け時に中空回転軸に結合するドリル又は円筒金網砥石の先端に位置し被削材の表面に当接される位置決め板とからなり、上記一対の往復ガイドバーの進退動は筐体底部の往復動モーターにより行い、前記位置決め板を含めた位置決め治具を位置制御することを特徴とする。
【0023】
請求項7は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、中空回転軸の先端側に備える中空回転軸の進退クラッチは電磁手段で進退動し、該中空回転軸の軸心と一致する位置に割り出されたいずれかの主軸頭の尾端に系脱可能となすことを特徴とする。
【0024】
請求項8は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、上記制御器とこの電源装置は、上記駆動モーターによる回転駆動や工具交換や穴明けと往復動モーターによる切込量他をプログラム制御することを特徴とする。
【0025】
請求項9は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、筐体部に各機器となる上記駆動モーター及び上記往復動モーターの電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を備えていることを特徴とする。
【0026】
請求項10は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、筐体部を手に持ち、上記駆動モーター及び上記往復動モーターの電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を背負いリュックに納め、上記電源部と制御部間を各種ケーブルで接続されていることを特徴とする。
【0027】
請求項11は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、筐体部を手に持ち、上記駆動モーター及び上記往復動モーターの電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を移動式キャリアーに納め、上記電源部と制御部間を各種ケーブルで接続されていることを特徴とする。
【0028】
請求項12は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、多関節ロボットの手首部に装着されており、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属との合板被削材乃至、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチック又は金属の単独の被削材に対する穴明けを可能としたことを特徴とする。
【0029】
請求項13は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、大型工作機械の主軸頭部に装着されており、テーブル上に固定された炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属との合板被削材乃至、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチック又は金属の単独な被削材に対する穴明けを可能としたことを特徴とする。
【0030】
請求項14は、請求項1~13に記載のいずれか1のターレット工具交換式の穴明け装置において、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材乃至は、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチック又は金属の単独な被削材に対する穴明けにおいて、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックの穴明けは円筒金網砥石で明け、金属に対してはドリルで明けることを特徴とするターレット工具交換式の穴明け装置による加工方法。
【発明の効果】
【0031】
請求項1の効果は、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材に対する穴明けが携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置により、簡潔にして高効率・高精度に航空機の機体の如く大きく・湾曲した板壁面に対しても、多数の穴加工が簡潔にて正確に実施できる。
【0032】
請求項2の効果は、上記回転駆動軸の後端側における筐体内に超音波振動装置を備え、該中空回転軸の先端部に接続されたドリル又は円筒金網砥石に対して軸心方向に超音波振動を伝達するから、特に、難削材である炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材である例えば、航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材に対する穴明け加工が円滑にして高精度に実施できる。
【0033】
請求項3の効果は、上記筐体前部に備える円形受座は、中空回転軸の軸心方向に対して45°の方向に旋回軸心を持ち、該円形受座に嵌合旋回するターレット円板には、一対のドリルと円筒金網砥石の他に2対以上の主軸頭を具備させてなるから、ドリルと円筒金網砥石との切替えで、手に持つターレット工具交換式の穴明け装置で、効率良く被削材に対する多彩な穴明けができる。
【0034】
請求項4の効果は、中空回転軸の後端部に備えたロータリージョイントに繋がれた自在パイプから、ドリル及び円筒金網砥石の尾端から中空回転軸の先端のドリル及び円筒金網砥石のセンター孔内に給水され、ドリル及び円筒金網砥石の先端から被削材に噴射・冷却されるとともに吸引回収されるから、被削材に対する穴明け作業が効率良く実施できる。
【0035】
請求項5の効果は、ターレット円板に備えたドリルと円筒金網砥石とを把持する一対又は2対以上の主軸頭に、ジャバラの切粉・粉塵吸引部材を配置したから、ドリルや円筒金網砥石の進退移動に係わりなく、穴明け加工面に対する傷付けが無く、切粉・粉塵の集中回収処理により穴明け作業の高効率と安全性・ゴミ処理の省力化が確保できる。
【0036】
請求項6の効果は、L型の位置決め治具は、一対の往復ガイドバーの先端を保持して筐体底面に備える軸受により摺動自在に支持する本体と、該本体の前面に被削材に対する穴明け時に中空回転軸に結合するドリル又は円筒金網砥石の先端に位置し被削材の表面に当接される位置決め板と、上記一対の往復ガイドバーの進退動は筐体底部の往復動モーターにより行い、前記位置決め板を含めた位置決め治具を位置制御するから、難削材である繊維強化プラスチックと金属の合板被削材に対する位置決め制御が正確且つ高精度・高効率に行え、高精度な穴明け作業かできる。
【0037】
請求項7の効果は、請求項1記載のターレット工具交換式の穴明け装置において、中空回転軸の先端側に備える中空回転軸の進退クラッチは電磁手段で進退動し、該中空回転軸の軸心と一致する位置に割り出されたいずれかの主軸頭の尾端に系脱可能とたから、ターレット円板のターレット円板の割り出し係合作用が簡潔に行われ、駆動モーターによる回転駆動が円滑・迅速になされる。
【0038】
請求項8の効果は、各機器・駆動モーター等の制御器は、駆動モーターによる回転駆動や工具交換や穴明け切込量他をプログラム制御されるから、穴明け装置を操作するオペレーターは、難削材である繊維強化プラスチックと金属の合板被削材に対する穴明け作業は、被削材の各位置における穴明けが開始スイッチの操作だけで全自動で行われる。
【0039】
請求項9の効果は、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、その筐体部に各機器の電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材の全てを備えているから、特に、携帯性に優れており、大きな被削材に対する穴明け作業性が良い。
【0040】
請求項10の効果は、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、筐体部を手に持ち、上記駆動モーター及び上記往復動モーターの電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を背負いリュックに納め、上記電源部と制御部間を各種ケーブルで接続されていることを特徴とする筐体部を手に持ち、各機器の電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を背負いリュックに納め、上記両機器間を各種ケーブルで接続したから、手に持つ穴明け装置は最軽量になり携帯性に優れており、その上に比較的体積と重量のある各機器の電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を背負いリュックに納めて背負うから、更に軽快で高効率に大きな被削材に対する穴明け作業性が行える。
【0041】
請求項11の効果は、筐体部を手に持ち、各機器の電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材を移動式キャリアーに納め、上記両機器間を各種ケーブルで接続したから、各部材を収めたリュックを背負う必要がなくなり、更に、軽快な穴明け作業性が行える。
【0042】
請求項12の効果は、ターレット工具交換式の穴明け装置は、多関節ロボットの手首部に装着して炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材に対する穴明けを行うから、穴明け作業が高精度に自動運転で行える。
【0043】
請求項13の効果は、ターレット工具交換式の穴明け装置は、大型工作機械の主軸頭部に装着し、テーブル上に固定された炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材に対する穴明けを可能としたから、穴明け作業が高精度に自動運転で行える。
【0044】
請求項14の加工方法の効果は、炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックとチタン金属他の合板からなる被削材に対する穴明けは、炭素繊維強化プラスチックに対しては円筒金網砥石で明け、チタン金属に対しては超硬ドリルで明けるから、高効率で高精度な穴加工が実践される。そして、両板材をリベット圧着される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】 本発明の第1実施例となるターレット工具交換式の穴明け装置の断面図である。
図2】 本発明の第2実施例となるターレット工具交換式の穴明け装置の断面図である。
図3】 本発明の第2実施例のターレット工具交換式の穴明け装置における穴明け断面図である。
図4】 本発明の第2実施例のターレット工具交換式の穴明け装置における穴明け断面図である。
図5】 本発明の第2実施例のターレット工具交換式の穴明け装置における穴明け断面図である。
図6】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置における切粉回収蛇腹部材の断面図である。
図7】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置の研削砥石の斜視図と断面図である。
図8】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置の手作業による各種作業図である。
図9】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置をロボット手首に備えた作業図である。
図10】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置を工作機械の主軸に備えた作業図である。
図11】 本発明の実施例で、穴明け装置全体を司る制御装置の系統図である。
図12】 本発明の実施例で、穴明け作業のプログラムのフローチャート図である。
図13】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置における切粉回収蛇腹部材の側面図である。
図14】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置における切粉回収蛇腹部材の断面図である。
図15】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置における炭素繊維強化プラスチックの穴明け加工方法の側面図である。
図16】 本発明のターレット工具交換式の穴明け装置における難削材のチタン加工方法とリベット圧着の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図1図16により、本発明のターレット工具交換式の穴明け装置を説明する。
【実施例
【0047】
本発明の第1実施例のターレット工具交換式の穴明け装置100は図1に示し,第2実施例のターレット工具交換式の穴明け装置200は図2に示す。各穴明け装置100,200共に炭素繊維強化プラスチック又は繊維強化プラスチックと金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材Wに対する穴明けを主目的とした携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置である。
【0048】
先ず、図2に見るターレット工具交換式の穴明け装置200は、本体となる筐体1内に備えた工具回転用の駆動モーターMと、この駆動モーターの回転駆動軸D内に挿通係合した中空回転軸Sと、上記回転駆動軸の後端から筐体外に突出した前記中空回転軸Sの後端中腹部S1に前記筐体1を介して備えた超音波振動器HSと、前記中空回転軸の後端部S1に備え給水の供給と吸引回収に切替えるロータリージョイントRと、上記ロータリージョイントに接続され給水を司る自在パイプPと、前記筐体1の前部1Aに備えた旋回受座1Dに嵌合旋回するターレット円板10とからなる。上記ターレット円板には少なくともドリル2と円筒金網砥石3とを把持する一対の主軸頭H1,H2をターレット円板の旋回軸心01に対して45°のV字型に対象位置に配置されている。これで、被削材Wに対して進退移動させると、被削材Wに対面する工具のみが被削材Wに接して加工し、他の工具は被削材Wから45°方向に離反され、被削材Wに干渉しない。
【0049】
上記中空回転軸Sの先端側S2に該中空回転軸の進退クラッチ12を備えるとともに中空回転軸Sの軸心O2と一致する位置に割り出されたいずれかの主軸頭H1,H2の尾端に系脱可能となしている。上記係合時に駆動モーターMにより回転駆動され、離脱時にターレット円板10の旋回を可能となした上記筐体1は、その底部に設けた軸受1B,1CをL型の位置決めブラケット20の一対の往復ガイドバーB1,B2に摺動自在な送りネジの関係に支持されている。更に、筐体1は往復動ガイドモーターM1(以下、単に往復動モーター又は送りモーターと言う)の回転駆動で、被削材Wに対して進退移動可能となし、位置決め棒21によりワークWとの隙間を保持される。図11には、上記駆動モーターMの制御装置30とこれらの電源装置40との接続関係を図示する。
【0050】
図1に見るターレット工具交換式の穴明け装置100は、図2に見るターレット工具交換式の穴明け装置200において、上記回転駆動軸の後端から筐体外に突出した前記中空回転軸Sの後端中腹部S1に前記筐体1を介して備えた超音波振動器HSを省略した実施例である。その他の構成は同一である。上記筐体1の前部1Aに備える円形受座1Bは、中空回転軸Sの軸心方向に対して45°の方向に旋回軸心O1を持ち、該円形受座に嵌合旋回するターレット円板10には、図示するように、一対のドリル2と円筒金網砥石3に限定されず、2対以上の主軸頭H3,H4を具備させても良い。また、穴明け装置200において、上記超音波振動器HSは中空回転軸Sの後端部S1に備えており、該中空回転軸を介して接続されたドリル又は円筒金網砥石に対して軸心方向O2に超音波振動を伝達する構成になっている。
【0051】
また、ターレット工具交換式の穴明け装置100,200において、図7に示すように、上記円筒金網砥石3は、通常の金属線の他に、形状記憶合金線からなる超砥円筒金網砥石で構成しても良い。この形状記憶合金線からなる超砥粒金網砥石3に供給される冷却液Cの温度又は冷却空気Eに対して、形状記憶合金の金属線材3aが持つ復元変態点の設定温度と一致するように熱処理され、研削開始前に冷却液温度又は加熱空気を超砥粒金網砥石内に供給することで砥石形状を任意形状(一定形状)に膨径される。これにより、砥石形状の変形が皆無となり、正確な被削材Wに対する加工が実践される。勿論、通常の金属線からなる円筒金網砥石3でも、被削材Wに対する加工が実践される。
【0052】
更に、図6に図示するように、ターレット円板10に備えたドリル2と円筒金網砥石3とを把持する一対又は2対以上の主軸頭H1~H4に、切粉・粉塵吸引部材50が配置されている。この切粉・粉塵吸引部材50は、ドリル2の刃先や円筒金網砥石3の先端を竹の子状の蛇腹Jで覆い切粉・粉塵を吸引濾過するとともに集中廃棄する機能を装備している。尚、図13図14に示す蛇腹装置J2は、第1実施例となるターレット工具交換式の穴明け装置100に装備した実施例(勿論、第2実施例でも良い)で、伸縮する蛇腹径が全長同一と成したものである。このタイプのメリットはドリル及び砥石先端と根本側の外径が同一となるから、切粉・粉塵の吸引効率が良い。
【0053】
更に、図3他(図15図16を参照)で示す上記ターレット工具交換式の穴明け装置100,200において、前記中空回転軸Sの後端部S1に備え給水の供給と吸引回収に切替えるロータリージョイントRと、上記ロータリージョイントに接続され給水を司る自在パイプPが接続され、ドリル2及び円筒金網砥石3のセンター孔2aと3a内に給水C又は冷却空気Eを供給、ドリル及び円筒金網砥石の先端から被削材Wに冷却水又は必要に応じて空気を噴射して冷却する。又は噴射した冷却水Cを吸引回収する構成も盛り込まれている。
【0054】
更に、図1図5に示すターレット工具交換式の穴明け装置100,200において、L型の位置決め治具20は、一対の往復ガイドバーB1,B2の先端を保持して筐体底面に備える軸受B2,B3により摺動自在に支持する本体と、該本体の前面に被削材に対する穴明け時に中空回転軸Sに結合するドリル又は円筒金網砥石の先端に位置し被削材の表面に当接される位置決め板60とからなり、上記一対の往復ガイドバーの進退動は筐体1の底部の往復動モーターM1により行い、前記位置決め板21を含めた位置決め棒22の位置決め治具20を位置制御する。
【0055】
更に、図1図5に示す中空回転軸Sの先端側S2に備える空回転軸の進退クラッチ12は電磁手段で進退動し、該中空回転軸の軸心O2と一致する位置に割り出されたいずれかの主軸頭H1,H2の尾端に系脱可能となす。
【0056】
更に、ターレット工具交換式の穴明装置100,200は、図11において、各機器駆動モーターM,往復動モーターM1等の制御装置30は、駆動モーターMによる回転駆動や工具交換や穴明け切込量他をプログラム制御される。更に、上記制御装置30は、駆動モーターM,往復動モーターM1や超音波振動器HS、進退クラッチ12、給水用水タンクTと給水・回収の給水ポンプ71と、切粉・粉塵吸引部材50等に接続されている。また、制御装置30には、水タンク・電源装置40を備えている。
【0057】
上記の如く構成されたターレット工具交換式の穴明け装置100,200は、図8(a)に見る如く、手に持つ筐体1に各機器の電源部40と制御部30と給水及び給水回収部71と切粉・粉塵吸引部材50の全てを内蔵されている。また、図8(b)に見る如く、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置100,200は、筐体部1を手に持ち、各機器の電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材50を背負いリュック70に納め、上記両機器間を各種ケーブルKで接続されている。
【0058】
更に、図8(c)に見る如く、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置は、筐体部を手に持ち、各機器の電源部と制御部と給水及び給水回収部と切粉・粉塵吸引部材50は床に置かれたキャリー(移動体)80に載せられ、上記両機器間を各種ケーブルKで接続されている。
【0059】
そして、図9に見る如く、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置100,200は、多関節ロボットR0の手首部R1に装着して繊維強化プラスチックと金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材に対する穴明けを可能としている。勿論、炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1だけの加工、金属W2だけの単独加工やこれらを貼り合せた合板(被削材)Wの加工にも対応できる。
【0060】
更に、図10に見る如く、携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置100,200は、大型工作機械M0の主軸頭部H0に装着し、テーブル上に固定された炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)と金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材Wに対する穴明けを可能とした。
【0061】
本発明の携帯型のターレット工具交換式の穴明け装置100,200は、図11のように制御装置30に接続されていて、この制御装置の機能は、(1)集塵(バキューム)、(2)給水(クーラント液)、(3)給気(冷風)、(4)(リボルバ―制御)、(5)工具回転制御、(6)工具往復動制御、(7)電源装置、(8)(NCプログラム指令)からなる。制御装置30は、以上の構成からなり、以下のように、炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)と金属の合板被削材である航空機のCFRPとチタンを張り合わせた被削材や各々の単独板材に対する穴明けを効率良く実施することができる。
【0062】
その具体的なプログラム制御指令例は、穴明け装置200では以下の如くである。
図12に示すように、穴明け装置100,200に備えるスタートボタンSBを押してスタート(A)させると、(B)駆動モーターM,往復動モーターM1他クラッチ12の接続が離され停止している。(C)ターレット旋回で、被削材Wの炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1を穴明けすべく砥石3を中空回転軸Sにクラッチを入れて結合する。(D)位置決め板を被削材の穴明け位置にあわせる。(E)超音波振動器HSを起動させるとともに、(F)クーラント液CKを砥石3の先端に噴射する。(G)切粉回収部材を起動するとともに往復動モーターM1により砥石を被削材Wに押し付けて給水・開口させる。(H)砥石で炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1のみの穴明け図15に図示)後に、往復動モーターM1を逆転しクラッチを切って、ターレット円板10を旋回してドリル2を中空回転軸にクラッチの係合で繋なぐ。(i)駆動モーターMを回転させてドリル2で金属部分のチタン層W2図16(a)に図示)が穴明けされる。(J)往復動モーターM1を逆転させて、主軸頭H1,H2を後退させる。(K)給水を停止して回収し、また、切粉回収しゴミ収集器に集める 。
(L)以上で、被削材W(炭素繊維強化プラスチックW1とチタン層W2からなる)の1つの穴明けが終了し、エンドとなる。(M)続いて、上記プログラム制御手順で、次の穴明け作業が実行される。尚、上記(i),(J)については、図12では省略している。
【0063】
尚、図1に示す穴明け装置100は、超音波振動器HSを備えていないから、被削材Wに対する高効率で高精度な穴明け作業は、望めないが通常の穴明け作業には超音波振動器HSを備えていなくても支障が無い。図2は、中空回転軸にクラッチ12の係合を外し、加工位置に砥石3を割り出し、図3はクラッチの係合により、砥石3による被削材Wの穴明けと給水の供給状態を示す。図4は中空回転軸Sからクラッチ12の係合を外し、加工位置にドリル2を割り出す。図5はクラッチの係合により、ドリル2による被削材Wの穴明けと給水の供給状態を示す。図6は、ドリル2及び砥石3にジャハラJを備え、切粉が回収される。図7は、金網砥石3に対する給水作用を示す。勿論、ドリル2の先端に対する給水作用もセンタースルーのドリルにより行われる。更に、炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1だけの加工、金属W2だけの単独加工やこれらを貼り合せた合板(被削材)Wの加工にも対応できる。
【0064】
図15図16により、上記ターレット工具交換式の穴明け装置100,200における炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1とチタン金属W2の合板からなる被削材Wに対する穴明加工方法を説明する。先ず、図15において、炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1に対しては円筒金網砥石3で孔h1を明け、チタン金属W2に対しては、図16(a)において、ドリル2で孔h2を明ける加工方法が実施される。これで、炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックも含め)W1とチタン金属W2の合板からなる被削材Wに対する穴h1,h2明けが加工終了すると、図16(b)の如く、リベットLを穴h1,h2に通し、圧着固定する。旅客機の機体に対しては、上記穴明けとリベット圧着は、1万箇所に及ぶ多数箇所のわたり実践される。
【0065】
上記ターレット工具交換式の穴明け装置100,200による加工方法において、炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチック)W1に接合された合板のチタン金属W2は、難削材であり、該チタンに対する穴明けは超硬ドリル2が採用されている。
【0066】
更に、本発明の特性や設計変更や発展的展望を列記すれば、工具と砥石の回転や送りは、駆動モーターMと往復動モーターM1に限定されず、小型エンジンによることも可能である。また、ターレット円板10の無い、単式の砥石とドリルを手動操作で切り換える穴明け装置としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、上記ターレット工具交換式の穴明け装置において、各使用例で説明したが、
更に、上記図示の実施形態に限定されず、各種使用例の実施形態にも適用展開されること勿論である。
【符号の説明】
【0068】
100、200 ターレット工具交換式の穴明け装置
1 筐体
1A 前部
1B,1C 軸受
1D 旋回受座
2 ドリル(超硬ドリル)
3 砥石(金網円筒砥石)
10 ターレット円板
P 自在パイプ
12 クラッチ
20 位置決め治具
21 位置決め板
22 位置決め棒
30 制御装置
40 水タンク・電源装置
50 切粉・粉塵吸引部材(ゴミ収集器)
71 ポンプ
100、200 ターレット工具交換式の穴明け装置
C クーラント液
E 空気流
M 駆動モーター
M1 往復動モーター(送りモータ―)
D 回転駆動軸
S 中空回転軸
S1 後端部
S2 先端側
HS 超音波振動器
R ロータリージョイント
H1,H2 主軸頭
h1,h2 孔
O1 旋回軸心
K 各種ケーブル
L リベット
W 被削材
W1 炭素繊維強化プラスチック(繊維強化プラスチックを含む
W2 チタン層(チタン金属)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16