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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】非磁性体用取付具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20220610BHJP
   G09F 15/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A47G29/00 J
G09F15/00 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019103385
(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2020195566
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2019-06-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509099464
【氏名又は名称】株式会社マグエバー
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】澤渡 紀子
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】塩澤 正和
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-68828(JP,A)
【文献】特開平2-137426(JP,A)
【文献】登録実用新案第3049885(JP,U)
【文献】実開平5-70368(JP,U)
【文献】特開2018-186909(JP,A)
【文献】特開2014-200513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00
G09F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性体立面の第1の取付面に対向する第1の面を有しN極及び/もしくはS極が特定の配置形態で配置されてなる第1の永久磁石が第1の摩擦係数を有する第1の被覆材で全面に亘って被覆されてなる第1の永久磁石部であって、前記第1の被覆材は前記第1の面を被覆する、第1の永久磁石部と、
前記第1の取付面と略並行する第2の取付面に対向する第2の面を有しS極及び/もしくはN極が前記特定の配置形態とは逆磁性を持った配置形態で配置されてなる第2の永久磁石が第2の摩擦係数を有する第2の被覆材で全面に亘って被覆されてなる第2の永久磁石部であって、前記第2の被覆材は前記第2の面を被覆する、第2の永久磁石部とを備え、
前記第1の被覆材が、前記第1の取付面に密着して真空吸着する吸盤部を形成し、
前記吸盤部により前記第1の永久磁石部を前記非磁性体立面へ吸着係止させた時点で前記第1の永久磁石が前記第1の被覆材を介して前記第1の取付面に当接することで真空吸着力により吸着仮付けされ、しかる後に前記第2の永久磁石が前記第2の被覆材を介して前記第2の取付面に当接することで前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の磁気吸着力により前記第1の永久磁石部と前記第2の永久磁石部とを前記非磁性体立面を介して移動不能に自己保持させる機構と
を備えた非磁性体用取付具であって、
前記第1の永久磁石部には、前記第1の永久磁石部の前記第1の面とは反対側の面と前記第1の面とを貫通する貫通孔が設けられ、
前記第1の永久磁石部の前記第1面側に前記貫通孔に挿入されるべき結合材の突出部を収容する窪みを有し、
前記第1の被覆材は、前記第1の面の前記第1の永久磁石の周囲の被膜外周部を一様長さに突起させ、前記窪みの周辺部を前記被膜外周部と略同じ高さに突起させるように被覆することで前記吸盤部を形成する
ことを特徴とする非磁性体用取り付け具。
【請求項2】
非磁性体立面の第1の取付面に対向する第1の面を有しN極及び/もしくはS極が特定の配置形態で配置されてなる第1の永久磁石が第1の摩擦係数を有する第1の被覆材で全面に亘って被覆されてなる第1の永久磁石部であって、前記第1の被覆材は前記第1の面を被覆し、被係止物を前記第1の面とは反対側の面である反対面に係止するための係止部としての把手を備える、第1の永久磁石部と、
前記第1の取付面と略並行する第2の取付面に対向する第2の面を有しS極及び/もしくはN極が前記特定の配置形態とは逆磁性を持った配置形態で配置されてなる第2の永久磁石が第2の摩擦係数を有する第2の被覆材で全面に亘って被覆されてなる第2の永久磁石部であって、前記第2の被覆材は前記第2の面を被覆する、第2の永久磁石部とを備え、
前記第1の被覆材が、前記第1の取付面に密着して真空吸着する吸盤部を形成し、
前記吸盤部により前記第1の永久磁石部を前記非磁性体立面へ吸着係止させた時点で前記第1の永久磁石が前記第1の被覆材を介して前記第1の取付面に当接することで真空吸着力により吸着仮付けされ、しかる後に前記第2の永久磁石が前記第2の被覆材を介して前記第2の取付面に当接することで前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の磁気吸着力により前記第1の永久磁石部と前記第2の永久磁石部とを前記非磁性体立面を介して移動不能に自己保持させる機構と
を備えた非磁性体用取付具であって、
前記第1の永久磁石部には、前記第1の永久磁石部の前記第1の面とは反対側の面と前記第1の面とを貫通する貫通孔が設けられ、
前記第1の永久磁石部の前記第1面側に前記貫通孔に挿入されるべき結合材の突出部を収容する窪みを有し、前記第1の被覆材は前記第1の面の前記第1の永久磁石の周囲の被膜外周部を外側に広げて突起させようにしつつ前記窪みを被覆することで前記吸盤部を形成し、前記第1の面側をネジ頭とするネジが前記貫通孔を貫通し、前記反対面側に突出する前記把手がネジ止めされて前記把手が前記反対面と密着する
ことを特徴とする非磁性体用取り付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非磁性体用取付具に係り、特にたとえば非磁性材質の立面パネルに非磁性材質の被係止物を取り付けるための非磁性体用取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガラス窓、樹脂板扉、水槽、ショーウインドなど非磁性材質の立面パネルに、例えば、ガラス、アクリル、木材などの非磁性材質の被係止物を取り付ける場合、永久磁石の使用ができず、接着、ネジ固定、吸盤のような固定具が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-209227号公報
【文献】特許第6475381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非磁性材質の立面パネルに、非磁性材質の被係止物をたとえば非瞬間接着剤を用いて接着する場合、接着剤が乾燥するまで両者を固定するクリップの様な挟み付け具が用いられることが多い。しかし、例えば、非磁性材質の立面パネルの中程に非磁性材質の被係止物を取り付ける場合にはクリップによる固定は難しい。取り付け位置を変更する場合には接着剤の跡が残ってしまうという問題がある。
【0005】
ネジ固定を用いて非磁性材質の立面パネルに非磁性材質の被係止物を取り付ける場合、取り付け位置を簡単に変えることができず、位置を変更した場合にはネジ穴が残ってしまうという問題がある。
【0006】
吸盤を用いて非磁性材質の立面パネルに非磁性材質の被係止物を取り付ける場合、立面パネルが平坦で滑らかでなければならないとともに、構造的に吸盤内部の真空状態を長く保持することが必要であり、恒久的な取り付けは期待できない。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑み案出されたもので、非磁性材質の被係止物に非磁性材質の別の被係止物を取り付けるに際し、接着剤やネジ止め、クリップなど挟み具を用いずに取り付けが実現できる非磁性体用取付具を提供することを目的とする。本発明の別の目的は、両面粘着テープや接着剤、ネジ固定を用いて取り付けを行うときにも適用できてしかも取り付け位置を容易に変更でき、取り付け跡が残ることがない非磁性体用取付具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る非磁性体用取付具は、第1の取付面に対向する第1の面を有しN極及び/もしくはS極が特定の配置形態で配置されてなる第1の永久磁石が第1の摩擦係数を有する第1の被覆材で少なくとも前記第1の面を含む略全面に亘って被覆されてなる第1の永久磁石部と、前記第1の取付面と略並行する第2の取付面に対向する第2の面を有しS極及び/もしくはN極が前記特定の配置形態とは逆磁性を持った配置形態で配置されてなる第2の永久磁石が第2の摩擦係数を有する第2の被覆材で少なくとも前記第2の面を含む略全面に亘って被覆されてなる第2の永久磁石部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、たとえば摩擦係数が大きい第1密着部材を有し、非磁性材質の立面パネルの一方の面に密着させる前記第1密着部材を介しS極とN極のいずれか一方の磁極性を有する第1面を対向させる第1永久磁石部と、摩擦係数が大きい第2密着部材を有し、前記立面パネルの他方の面に密着させる前記第2密着部材を介しS極とN極のいずれか他方の磁極性を有する第1面を対向させる第2永久磁石部とを備え、前記第1永久磁石部と前記第2永久磁石部とが前記立面パネルを挟んで前記第1面同士を対向近接して互いに磁力吸引することにより前記立面パネルを自己保持することにより移動不能になるように構成することができる。このとき、前記第1永久磁石部と前記第2永久磁石部のいずれか一方または両方で、前記被係止物を前記立面パネルとの間に挟んだ状態に係止するようになっているか、または、前記第1永久磁石部と前記第2永久磁石部のいずれか一方または両方で、前記第1永久磁石部または前記第2永久磁石部に付設される係止部により前記被係止物を係止するようになっていてもよい。
【0010】
本発明の第2の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1の取付面は非磁性体である立面パネルの一方の面であり、前記第2の取付面は前記立面パネルの他方の面である構成としてもよい。
【0011】
本発明の第3の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1の取付面は非磁性体である第1の立面パネルの一方の面であり、前記第2の取付面は前記第1の立面パネルと背合わせに配置される第2の立面パネルの他方の面である構成としてもよい。
【0012】
本発明の第4の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第3の態様に係る非磁性体用取付具において、前記特定の配置形態は、前記第1の面側にN極が配置され、前記第2の面側にS極が配置されるものである構成としてもよい。
【0013】
本発明の第5の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第3の態様に係る非磁性体用取付具において、前記特定の配置形態は、前記第1の永久磁石部の略上部側にN極、略下部側にS極が配置され、前記第2の永久磁石部の略上部側にS極、略下部側にN極が配置されるものである構成としてもよい。
【0014】
本発明の第6の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第3の態様に係る非磁性体用取付具において、前記特定の配置形態は、前記第1の永久磁石部の少なくとも前記第1の面側においてN極、S極、N極、S極、…が一定間隔で配置され、前記第2の永久磁石部の少なくとも前記第2の面側の前記第1の面側N極、S極、N極、S極、…のそれぞれに対応する位置においてS極、N極、S極、N極、…が前記一定間隔で配置されるものである構成としてもよい。
【0015】
本発明の第7の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第6の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1永久磁石部と前記第2永久磁石部とが前記第1の面及び前記第2の面を挟んで対向近接して互いに磁力吸引することにより自己保持することにより移動不能性を備え、前記第1永久磁石部及び前記第2永久磁石部のいずれか一方または両方が、被係止物を前記第1の面及び/もしくは前記第2の面の前記磁力吸引側とは逆側に係止するための係止部をさらに備える構成としてもよい。
【0016】
本発明の第8の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第6の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1の永久磁石部及び/もしくは前記第2の永久磁石部は、該永久磁石部に隣接して配置される磁束調整部を更に備え、前記第1の被覆材及び/もしくは前記第2の被覆材は、前記永久磁石部及び前記磁束調整部の略全面を覆うものである構成としてもよい。
【0017】
本発明の第9の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第8の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1の面を覆う前記第1の被覆材、及び/もしくは、前記第2の面を覆う前記第2の被覆材が、それぞれの取付面に密着して真空吸着する吸盤部を形成する構成としてもよい。
【0018】
本発明の第10の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第7の態様に係る非磁性体用取付具において、前記係止部は、係止ねじを有し、前記係止ねじで前記被係止物を前記係止部が付設された前記第1永久磁石部または前記第2永久磁石部に係止する構成としてもよい。
【0019】
本発明の第11の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第7の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1永久磁石部及び/もしくは前記第2永久磁石部に付設される係止部は、前記被係止物を吊り下げるフックまたはクランプである構成としてもよい。
【0020】
本発明の第12の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1永久磁石部には貫通孔が設けられ、前記第1の被覆材は前記貫通孔の内部は被覆しない構成としてもよい。
【0021】
本発明の第13の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第12の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1の永久磁石部の前記第1面と対向する面側に前記貫通孔に挿入されるべき結合材の突出部を収容する窪みを有し、前記第1の被覆材は前記窪みを被覆する構成としてもよい。
【0022】
本発明の第14の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第1~第13の態様に係る非磁性体用取付具において、前記第1の被膜部及び/もしくは前記第2の被覆部の一部が突出して真空吸着構造を形成する構成としてもよい。
【0023】
本発明の第15の態様に係る非磁性体用取付具として、本発明の第14の態様に係る非磁性体用取付具において、前記真空吸着構造は前記第1の永久磁石部及び/もしくは前記第2の永久磁石部の外辺に広く突出している構造である構成としてもよい。
【0024】
本発明の態様に係る非磁性体用取付具によれば、第1永久磁石部と第2永久磁石部のいずれか一方で、被係止物をたとえば立面パネルとの間に挟んだ状態に係止するようになっている構成である場合に、第1永久磁石部と第2永久磁石部とのいずれか他方が有している第1密着部材または第2密着部材の周辺部が、立面パネル側に張り出し立面パネルに密着して真空吸着する吸盤部とし、これにより、落下防止性能を強固にできる。
【0025】
また、本発明の態様に係る非磁性体用取付具によれば、係止部により被係止物を係止するようになっている構成である場合に、第1永久磁石部と第2永久磁石部との少なくとも一方の周辺部が、たとえば立面パネル側に張り出し該立面パネルに密着して真空吸着する吸盤部となっていることで、たとえば水槽、ショッピングウィンドウ等において、あたかも取付具がない状態で被係止物が係止されているという見た目に劇的な効果を生み出すこともでき、これにより集客性の増強が期待できる。
【0026】
さらに、本発明の態様に係る非磁性体用取付具によれば、係止部により被係止物を係止するようになっている構成である場合に、係止部が係止ねじを有し、この係止ねじで被係止物を前記係止部が付設された第1永久磁石部または第2永久磁石部に係止することで、係止部がより外れにくい構造とすることができる。
【0027】
さらに、本発明の態様に係る非磁性体用取付具によれば、第1永久磁石部または第2永久磁石部に付設される係止部が被係止物を吊り下げるフックまたはクランプであるようにすることで、被係止物の係止性もしくは楊重性を確保することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、非磁性材質の被係止物に非磁性材質の別の被係止物を取り付けるに際し、接着剤やネジ止め、クリップなど挟み具を用いずに取り付けが実現できるとともに、両面粘着テープや接着剤、ネジ固定を用いて取り付けを行うときにも適用できてしかも取り付け位置を容易に変更でき、取り付け跡が残ることがない非磁性体用取付具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る非磁性体用取付具の縦断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の非磁性体用取付具の一適用例に係り、図2(a)は斜視図、図2(b)は概略縦断面図である。
図2A】本発明の第1の実施形態のうち、着磁方向の第1の態様として永久磁石のN、S着磁方向を厚み方向とする場合を説明するための概念的斜視図である。
図2B】本発明の第1の実施形態のうち、着磁方向の第2の態様として永久磁石のN、S着磁方向を径方向の2磁極とする場合を説明するための概念的斜視図である。
図2C】本発明の第1の実施形態のうち、着磁方向の第3の態様として永久磁石のN、S着磁方向を複数の磁極配置にする場合を説明するための概念的斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態の非磁性体用取付具の他の適用例に係り、図3(a)は斜視図、図3(b)は概略縦断面図である。
図4A】本発明の第1の実施形態の別の変形例に係る非磁性体用取り付け具40の外観斜視図である。
図4B】本発明の第1の実施形態の別の変形例に係る非磁性体用取り付け具40の構造を示す断面図である。
図4C】本発明の第1の実施形態の別の変形例に係る非磁性体用取り付け具40の被取付面との取り合いの構造を示す断面図である。
図4D】本発明の第1の実施形態の別の変形例に係る非磁性体用取り付け具40の被取付面との取り合いの構造についての別の態様を示す断面図である。
図4E】本発明の第2の実施の形態に係る非磁性体用取付具の縦断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態の非磁性体用取付具の一適用例に係る斜視図である。
図6】本発明の第2の実施の形態の変形例を表す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその断面図、(c)は非磁性体製品への取付方法を示すための断面図、(d)は実際の応用例を示すための断面図である。
図6A】本発明の第2の実施形態の非磁性体用取付具の第1永久磁石部の変形例に係り、図6(a)は第1の変形例の断面図、図6(b)は第2の変形例の断面図である。
図6B】本発明の第2の実施の形態のさらなる変形例を表す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその断面図、(c)は非磁性体製品への取付方法を示すための断面図、(d)は実際の応用例を示すための断面図である。
図7】本発明の第3の実施の形態に係る非磁性体用取付具の縦断面図である。
図8】本発明の第4の実施の形態に係る非磁性体用取付具の縦断面図である。
図9】本発明の第5の実施の形態に係る非磁性体用取付具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る非磁性体用取付具について説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る非磁性体用取付具の縦断面図である。図1に示すように、第1の実施の形態の非磁性体用取付具1は、第1磁石本体11を摩擦係数が大きい第1密着部材12で被覆した第1永久磁石部10と、第2磁石本体21を摩擦係数が大きい第2密着部材22で被覆した第2永久磁石部20とを有し、第1永久磁石部10と第2永久磁石部20とが非磁性材質の立面パネルPを挟んで第1面11a、21a同士を対向近接して非磁性材質の被係止物Wを立面パネルPとの間に挟んだ状態に係止するようになっている。なお、第1磁石本体11及び第2磁石本体21は、ネオジム磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石、サマリウムコバルト磁石などのいずれであっても良いが、ネオジム磁石が最も好適である。
【0032】
詳述すると、第1永久磁石部10は、S極とN極のいずれか一方の磁極性を有する第1面11aを立面パネルPの一方の面に対向させ、第1面11aに被さる摩擦係数が大きい第1密着部材12を介し立面パネルPの一方の面に密着させる。同様に、第2永久磁石部20は、S極とN極のいずれか他方の磁極性を有する第1面21aを立面パネルPの他面側で第1永久磁石部10に対向させ、第1面21aに被さる摩擦係数が大きい第2密着部材22を介し立面パネルPの他方の面に密着させる。これにより、第1永久磁石部10と第2永久磁石部20は、互いに磁力吸引して立面パネルPを移動不能に自己保持する。第1永久磁石部10は、第1密着部材12が摩擦係数が大きいので立面パネルPに対する重力作用と滑りによるずれ落ちを防止でき、また第2永久磁石部20は、第1永久磁石部10との対向位置にずれが生じることがなく、第2密着部材22が摩擦係数が大きいので被係止物Wに対し良好に密着保持ができる。
【0033】
非磁性材質の立面パネルPとは、ガラス窓、樹脂板立面パネル、水槽の側面部、ショーウインド、ステンレス立面パネルなどである。非磁性材質の被係止物Wとは、ガラス製、アクリル製、木材製、紙製、繊維製などの平面的または立体的な各種製品である。第1密着部材12と第2密着部材22は、摩擦係数が大きい材料、好ましくは更に軟質性を有する材料が選択され、具体的にはシリコンゴムが選択される。
【0034】
第1密着部材12および第2密着部材22は、第1永久磁石部10または第2永久磁石部20に対する被覆部材であり、永久磁石本体が立面パネルPと誤って衝突してしまったときに、永久磁石本体および/または立面パネルPが衝撃で割れたり、永久磁石本体に錆びを生じたりすることを回避する役目を有する。第1密着部材12と第2密着部材22は、図1ではそれぞれ第1磁石本体11または第2磁石本体21の全体を被覆しているが、少なくとも第1面11aまたは第1面21aをそれぞれ被覆していればよい。なお、被係止物Wは、第2永久磁石部20が宛がわれる部位に第2永久磁石部20よりもわずかに大きい凹部を設けか、または、第2永久磁石部20の第1面21aに両面粘着テープを貼着するのが好ましい。
【0035】
第1永久磁石部10と第2永久磁石部20について、それぞれ第1面11aまたは第1面21aから視た形状は、円筒形、方形、多角形等の適宜形状とすることができる。
【0036】
図2は、その上図:概念的斜視図、その下図:概念的断面図、に示されるように、たとえば非磁性材質の立面パネルPとしてガラス製ショーウインド31が示され、非磁性材質の被係止物Wとして複数枚のパンフレットを収納する上面が開放した直方体状のパンフレット収納ボックス32が備えられて構成されている。
【0037】
第1永久磁石部10と第2永久磁石部20の同時取り付けは一人ではできない。そこで、先に、ガラス製ショーウインド31の内面部(立面パネルPの一方の面部)に第1永久磁石部10を両面接着剤(不図示)を介して宛がわれ、次いで、ガラス製ショーウインド31の外面部(立面パネルPの他方の面部)にパンフレット収納ボックス32が重ねられ、かつパンフレット収納ボックス32の立面パネルPに重なる側の内側面部に第2永久磁石部20が第1永久磁石部10と対向するように宛がわれ、もって、第1永久磁石部10と第2永久磁石部20が互いに磁力吸引してガラス製ショーウインド31(立面パネルP)を自己保持することにより移動不能になり、第2永久磁石部20がガラス製ショーウインド31との間にパンフレット収納ボックス32を挟んだ状態に係止する。この場合、第1永久磁石部10は、ガラス製ショーウインド31に当接するが、軟質性材料製の第1密着部材12で被覆されているので、ガラス製ショーウインド31に滑らないように密着しかつガラス製ショーウインド31を傷つける恐れがない。
【0038】
なお、図2Aは、着磁方向の第1の態様として永久磁石21のN、S着磁方向を厚み方向とする場合、図2Bは、着磁方向の第2の態様として永久磁石21のN、S着磁方向を径方向の2磁極とする場合、図2Cは、着磁方向の第3の態様として永久磁石21のN、S着磁方向を複数の磁極配置にする場合、をそれぞれ示す概念的斜視図である。本発明の第1の実施形態に係る非磁性体用取り付け具の構造の態様として、これら第1~第3のいずれの態様もとることが可能であるが、非磁性体を挟み込む2つの永久磁石21の着磁の互いの位置配置は同じで逆磁極のものを用いる。なお、着磁の方向は、これら第1~第3の態様に限定されるものではなく、これらの組合せを含むあらゆる形態の着磁配置であっても本願の技術思想に包摂される。
【0039】
図3(a)、(b)は、ガラス製または透明プラスチック製の水槽33と、水槽33の観賞側の側面部内面(立面パネルP)に係止された被係止物Wとしての観賞魚用餌箱34が示されている。詳述すると、観賞魚用餌箱34の内側面部中央位置に第1永久磁石部10の第1面を宛がい水槽33の側面部内面(立面パネルP)に重ねるとともに、水槽33の側面部外面に第2永久磁石部20の第1面を宛がい、もって対向する第1永久磁石部10と第2永久磁石部20とが互いに磁力吸引し水槽側面部を自己保持することにより移動不能になり、観賞魚用餌箱が水槽側面部に係止されている。そして、軟質性材料製の第2密着部材22で被覆されている第2永久磁石部20が観賞魚用餌箱に当接するので、第2密着部材22で観賞魚用餌箱が傷つく恐れがない。
【0040】
(第1の実施の形態の変形例)
第1の実施の形態の非磁性体用取付具1では、被係止物Wを立面パネルPの片側に係止することを示したが、立面パネルPの両側に被係止物Wを係止することもできる。すなわち、図示しないが、第1永久磁石部10が立面パネルPとの間に被係止物Wを挟んだ状態に係止するとともに、第2永久磁石部20が立面パネルPとの間に被係止物Wを挟んだ状態に係止することができる。
【0041】
(第1の実施の形態の別の変形例)
【0042】
図4Aは、本発明の第1の実施形態に係る非磁性体用取り付け具40の外観斜視図であり、図4Bは、本発明の第1の実施形態に係る非磁性体用取り付け具40の構造を示す断面図であり、図4Cは、本発明の第1の実施形態に係る非磁性体用取り付け具40の被取付面との取り合いの構造を示す断面図である。図4Bに示されるように、本発明の第1の実施形態においては、上述した第1の実施形態における取付面について、その周囲の被膜外周部を一様長さに突出させた突出部43を形成する。かくのごとく構成することにより本発明の第1の実施形態に係る取り付け具を非磁性体の平坦部44に押し付けると(図4C)、上述した突出部43が押し曲げられ、中央部45が真空状態となり、第1の実施形態に係る取り付け具40は、吸盤の様に非磁性体の平坦部44に真空吸着する。
【0043】
図4Dは、本発明の第1の実施形態に係る非磁性体用取り付け具40の上記とは別の態様として、真空吸着力を増加させるために、被膜外周の突出部を更に広げた形状を有する拡幅突出部46として真空吸着部の体積を広げた応用例を示す断面図である。かくのごとく、真空吸着部分の形状、構造は各種のバリエーションが考えられるが、それらは全て本発明の発明思想に含まれるものである。
【0044】
また、図4Cのごとく真空吸着力を増大させると、取付位置を変更する場合に剥がれにくくなる場合がある。この場合には、図4Dで示したように、広げて形状の拡幅突出部46の少なくとも一部に突起47を設けるようにしてもよい。このような構造を採用した場合、利用者は、この突起を指先でまくり上げることにより真空部分を開放して剥がすことができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図4Eに示すように、第2の実施の形態の非磁性体用取付具1Aは、第1永久磁石部10Aと第2永久磁石部20Aとが立面パネルPを挟んで第1面11a、21a同士を対向近接して互いに磁力吸引することにより立面パネルPに対し移動不能に挟持して、第2永久磁石部20で被係止物Wを立面パネルPとの間に挟んだ状態に係止するようになっている。第2永久磁石部20Aが第2磁石本体21Aと第2密着部材22Aとからなる構成は、第1の実施の形態の第2永久磁石部20の場合と同一構造である。
【0046】
第2の実施の形態では、第1永久磁石部10Aが吸盤部13を備えていることが、第1の実施の形態の第1永久磁石部10と相違している。吸盤部13は、第1永久磁石本体11Aの第1面11aの外周部に対応する第1密着部材12Aの一端周辺部が、第1面11aより立面パネルP側に一体に張り出し立面パネルPに密着し押し付けられて密封空間を縮小することにより真空吸着するようになっている。
【0047】
第1密着部材12Aは、耐熱性、耐候性、耐久性があり、腰が強い弾力性がある例えばシリコンゴムなどよりなる成形体である。吸盤部13は第1密着部材12Aと一体に設けられている。吸盤部13は、肉厚が張出端に向かって漸次に小さくなって張出端が尖っている円錐形である。第1密着部材12Aは、第1永久磁石本体11Aの全体を被覆している必要はなく、第1永久磁石本体11Aの第1面11aを少なくとも被覆し、かつ吸盤部13を立面パネルPから離脱させる際に、第1永久磁石本体11Aから離脱不能に設けられていれば足りる。
【0048】
第1永久磁石部10Aは、把持し易いように第1面11aと反対側の面に把手14が付設されている。把手14は、把持し易い役目の他に、第1永久磁石部10Aと第2永久磁石部20Aとが立面パネルPを間に挟んで磁気吸引した状態から第1永久磁石部10Aを引き離す力を加え易い役目も果たす。把手14は、第1永久磁石部10Aの第1面11aの中央より反対面側まで貫通されたボルト通し孔15aおよび第1面11aに設けられた浅い円形凹部15bに対し、固定ねじ16を第1面11aの側から通して把手14に螺設されたねじ穴に固くねじ込むことで第1永久磁石部10Aの第1面11aと反対側の面に付設されている。なお、把手14の第1永久磁石部10Aに対する連結は、これに限定されず、例えば第1永久磁石部10Aにはねじ穴を設けるとともに、把手14には雄ねじをモールドして、この雄ねじをねじ穴にねじ込むようにしてもよい。
【0049】
図5は、建物内の仕切り壁に設けられた引き戸ガラス35(立面パネルP)と、引き戸ガラス35に係止される被係止物Wとしてのプラスチック製の軽量小型の植木鉢36とが示されている。図5では、第1永久磁石部10Aと第2永久磁石部20Aの同時取り付けは一人ではできない。すなわち、事前に第2永久磁石部20Aが植木鉢36の内面に両面粘着剤を介して取り付けられ、作業者Mが片手で植木鉢36を掴み引き戸ガラス35の外面の2点鎖線で示す位置34に位置すると同時に、他方の手で第1永久磁石部10Aを引き戸ガラス35の内面の2点鎖線で示す位置34に対向して位置させることは距離的にできない。しかし、第2の実施の形態の非磁性体用取付具1Aは、第1永久磁石部10Aが吸盤部13を有する構成であるので、先に、第1永久磁石部10Aを引き戸ガラス35の内面の2点鎖線で示す位置34に吸着係止させることができ、後から、第2永久磁石部20Aを内面に貼着した植木鉢36を引き戸ガラス35の外面の2点鎖線で示す位置34に密着させるよう位置させる。これにより、第1永久磁石部10Aと第2永久磁石部20Aは、互いに磁力吸引して移動不能に自己保持し、かつ第2永久磁石部20Aが植木鉢36を引き戸ガラス35の外面に係止することができる。植木鉢36の取り外しは、吸盤部13で引き戸ガラス35に吸着している第1密着部材12Aよりも先に行うことができる。
【0050】
換言すると、取り付け者は、窓ガラスを挟んで一方の手にパンフレット入れを持ち、他方の手に本実施形態に係る非磁性体用取り付け具を持ち、望みの位置に両者を磁気吸着させる。しかし、手が届く位置に付ける場合には、たとえば本発明の第1の実施形態に係る非磁性体用取り付け具を両手に持って取り付けることができる。しかし、手が届かない位置に取り付ける場合には、窓の両側に人を配置し、それぞれたとえば非磁性体用取り付け具を持ち、位置を合わせて取り付ける必要がある(図示しない)。この場合に、さらに別の態様として、図5のガラス窓の位置の一方側にたとえば本発明の実施態様に係る非磁性体用取り付け具(図4B等)を吸着仮付けし、ガラス窓の反対側に回ってパンフレット入れをこれに対向する位置に磁気吸着するとすれば、たった一人であっても取付動作をスムーズに完了することができる。このように、本発明の実施態様に係る非磁性体用取り付け具は、図5に示した場合のように、非磁性材質同士の取り付け時の一方の仮止めに大変便利である。この場合、さらに、ガラス窓の一方側と反対側との双方に非磁性体用取り付け具を用いて吸着仮止め状態にしておけばさらに作業効率は向上する。
【0051】
(第2の実施の形態の変形例)
【0052】
図6は、本発明の第2の実施の形態の変形例を表す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその断面図、(c)は非磁性体製品への取付方法を示すための断面図、(d)は実際の応用例を示すための断面図である。本発明の第2の実施の形態の変形例としては、円形の永久磁石62は中心に貫通孔64と、ネジ頭を突出しないよう収容する窪み65による取付け部があり、永久磁石62全体がシリコンゴムのような摩擦係数の大なる素材63にて被膜されている。(c)に非磁性体製品への取付方法として示されるように、非磁性体製品にネジ穴が穿設され、ネジ67とナット68による結合材によって非磁性体に取り付けられる。(d)に実際の応用例として、図2で示されたように、ショーウインド69にパンフレット入れ70を取り付けた場合が断面図が示されている。パンフレット入れ、ショーウインド69の裏側に上述した各実施態様に係る非磁性体取付具3,62が用いられている。
【0053】
この点をより詳細に説明する。図6Aは、本発明の第2の実施形態の非磁性体用取付具の第1永久磁石部の変形例に係り、(a)は第1の変形例の断面図、(b)は第2の変形例の断面図である。同図に示すように、第2の実施の形態の非磁性体用取付具1Aでは、第1永久磁石部10Aの吸盤部13が円錐面の傾斜方向の長さが比較的長いラッパ状に形成されているが、図6(a)に示すように、第1永久磁石部10A2の第1面11aより短く垂直に延びてかつ内周面が円錐面である吸盤部13A1を有していても良い。また、図6(b)に示すように、第1永久磁石部10A3の第1面11aの外周部および円形凹部15bの周縁部よりそれぞれ同じ寸法だけ短く垂直に延びる同心二重環状の吸盤部13A2、13A3を有していても良い。
【0054】
次に、本発明の第2の実施の形態のさらなる変形例として、上述した実施態様同士を組み合わせた形態について説明する。図6Bは、本発明の第2の実施の形態のさらなる変形例を表す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその断面図、(c)は非磁性体製品への取付方法を示すための断面図、(d)は実際の応用例を示すための断面図である。本態様においては、取付面の永久磁石周囲の被膜外周部を一様長さに突起させ、同様に窪みの周辺部を外周部と略同じ高さに突起させる。かくのごとく構成することにより本発明の取り付け具を図6B(c)のように非磁性体の平坦部に押し付けると、外周部の突起と窪みの周辺部の突起との間が真空状態となり、非磁性体の平坦部の平坦部に真空吸着する。
【0055】
図6B(d)に示されるのは、取付け部を介して把手をネジ止めして構成した例である。把手は、被膜外周部と密着するため、取付け部部分の気密性は保たれる。このため、上記と同様に被膜外周部を広げた形状とするだけで真空吸着力を増大させることができる。図6B(d)の例では把手を取り付けた場合を示したが、フックのような懸架具を取り付けても良いのは自明である。
【0056】
以上の説明では、円筒形磁石を例にして説明をしたが、円筒形に限ることはなく方形、多角形等限定されることはない。また、磁石全体を被膜する例を示したが、磁石に磁束漏れを防ぐヨークを附した場合は磁石とヨーク全体を被膜することは自明である。さらに、上記実施態様の真空吸着部分や、別の実施態様の取り付け部の構成は種々の方法が考えられるが、同様な機能を果たす構成は全て本発明の発明思想に含まれるものである。
【0057】
(第3の実施の形態)
図7に示すように、第3の実施の形態の非磁性体用取付具1Bは、第1永久磁石部10Bと第2永久磁石部20Bとが立面パネルPを挟んで第1面11a、21a同士を対向近接して互いに磁力吸引することにより立面パネルPに対し移動不能に挟持して、第2永久磁石部20Bで被係止物Wを立面パネルPとの間に挟んだ状態に係止するようになっている。
【0058】
第3の実施の形態では、第1永久磁石部10Bが吸盤部13Bを備えていること、および第1永久磁石部10Bが第1永久磁石本体11Bの第1面11aと第1密着部材12Bとの間に第1磁石用磁束調整部(ヨーク)17Bを備えているとともに、第2永久磁石部20Bが第1永久磁石本体11Bの第1面11aと第1密着部材12Bとの間に第2磁石用磁束調整部(ヨーク)27Bを備えていることが、第1の実施の形態の第1永久磁石部10および第2永久磁石部20と相違している。第1磁石用磁束調整部17Bと第2磁石用磁束調整部27Bは、例えば鉄などの強磁性体である。第1永久磁石部10Bおよび第2永久磁石部20Bは、第1磁石用磁束調整部17Bと第2磁石用磁束調整部27Bを備えていることで互いの磁力吸引が一層大きくなる。第3の実施の形態において、第1永久磁石部10Bが吸盤部13Bおよび把手14Bを備えていることは、第2の実施の形態と同様である。第1永久磁石部10Bと把手14Bとは固定ねじ16Bで連結されている。
【0059】
第3の実施の形態では、第1永久磁石部10Bの磁束を多く集めて強い磁力を有する第1磁石用磁束調整部17Bと、第2永久磁石部20Bの磁束を多く集めて強い磁力を有する第2磁石用磁束調整部27Bとが、第1および第2の実施の形態の場合における磁力吸引に比べてより大きい磁力吸引することにより立面パネルPに対し移動不能に挟持して、第2永久磁石部20Bで被係止物Wを立面パネルPとの間に挟んだ状態に係止するようになっている。このため、重量が第1および第2の実施の形態の場合に比べてより大きい被係止物Wを係止できる。
【0060】
(第4の実施の形態)
図8に示すように、第4の実施の形態の非磁性体用取付具1Cは、第1永久磁石部10Cと第2永久磁石部20Cとが立面パネルPを挟んで第1面11a、21a同士を対向近接して互いに磁力吸引することにより立面パネルPを自己保持することにより移動不能になり、第2永久磁石部20に付設される係止部18により被係止物Wを係止するようになっている。被係止物Wは、第2永久磁石部20と立面パネルPに挟まれていない。
【0061】
第4の実施の形態の係止部18は、ボルト18aとナット18bを含むねじ締結具であり、ボルト18aを第2永久磁石部20に設けられたボルト通し孔19に第1面21aの側から通しさらに被係止物Wに設けられたボルト通し孔に通し、ナット18bを締め付けてなる。なお、ねじ締結具は、これに限定されない。例えば、ボルトを被係止物Wに設けられたボルト通し孔に通しさらに第2永久磁石部20Cに設けられたねじ穴にねじ込むことで、被係止物Wを立面パネルPに係止することができる。
【0062】
第4の実施の形態において、第1永久磁石部10Cが、第1永久磁石本体11Cと第1密着部材12Cと第1磁石用磁束調整部17Cとを含んで構成され、また第2永久磁石部20Cが、第2永久磁石本体21Cと第2密着部材22Cと第2磁石用磁束調整部27Cとを含んで構成されている点は、第3の実施の形態と同一構造である。
【0063】
(第4の実施の形態の変形例)
第4の実施の形態の係止部18は、ねじの締結具に替えて、被係止物Wを吊り下げるフックまたは被係止物Wを吊り下げるクランプであってもよい図示しない)。
【0064】
(第5の実施の形態)
図9に示すように、第5の実施の形態の非磁性体用取付具1Dは、第1永久磁石部10Dと第2永久磁石部20Dとが立面パネルPを挟んで第1面11a、21a同士を対向近接して互いに磁力吸引することにより立面パネルPを自己保持することにより移動不能になり、第2永久磁石部20Dに付設される係止部18Dにより被係止物Wを係止するようになっている。第1永久磁石部10Dは第2の実施の形態の第1永久磁石部10Aと同一構造である。第1永久磁石部10Dは、第1永久磁石本体11Dと第2密着部材12Dと第2磁石用磁束調整部17Dと吸盤部13Dと把手14Dを有する。第2永久磁石部20Dは、第2永久磁石本体21Dと第2密着部材22Dと第2磁石用磁束調整部27Dと吸盤部23Dと係止部18Dを有する。第1永久磁石部10Dと第2永久磁石部20Dは、把手14Dと係止部18Dとが相違し、他は同一の構造である。また、係止部18Dを含む第2永久磁石部20Dは、第4の実施の形態の係止部18Cを含む第2永久磁石部20Cと同一構造である。被係止物Wは、第2永久磁石部20Dと立面パネルPに挟まれておらず、立面パネルPから離れて係止部18Dで第2永久磁石部20Dに締結されている。
【0065】
本願に係る技術思想は上述した実施形態に限られることなく、種々の代替、追加、変更等が可能である。たとえば、図6を用いて第2の実施の形態の変形例について説明したが、この思想は、同図(b)、(c)、(d)に示した形態に替えて、非磁性体製品に穿設された、ネジ67が貫通するネジ穴の周壁は、素材63によって被覆されない形態(図示しない)であってもよい。同じく、図6B(b)、(c)、(d)に示した形態に替えて、ネジが貫通するネジ穴の周壁が被覆材によって被覆されない形態(図示しない)であってもよい。
【0066】
また、永久磁石部に係る永久磁石の形状は、たとえば図6に示す円柱状のものに限定されるわけではなく、直方体、三角柱を含む多角柱、角錐体など、種々の形態であってよく、いずれも本願に係る技術思想に包摂される。
【0067】
さらに、上述した吸盤タイプについては、吸盤状のもの(吸盤状体)を後付けで付加した形態であっても、あるいは、吸盤状体と被覆体とが一体化されて形成される構造体の形態であってもよい。この前者の場合には、さらに、吸盤状体が任意に取り外し可能な形態であってもよい。さらにまた、吸盤状体に加えて/替えて、たとえば粘着テープもしくはこれと同等の機能を発揮できるもの(たとえば、下地材の微細構造と係合する微細構造を表面に備えた材など)を用いることであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、第1永久磁石部と第2永久磁石部とを非磁性材質の立面パネルの両側に対向させ、磁石同士の磁気吸引を用いて立面パネルを移動不能に挟持状態となり、一方または両方の永久磁石部で立面パネルとの間に非磁性材質の被係止物を挟んだ状態に保持するか、または被係止物を一方または両方設けた係止具により非磁性材質の被係止物を係止する構造であるので、接着剤、ネジ止め、クリップなど挟み具を用いずに、非磁性材質の立面パネルに非磁性材質の被係止物を取り付けることが実現できるという効果を有するので、例えばガラス、アクリル、木材、ステンレスなど磁石が吸着しない非磁性材質の立面パネルに適用でき、滑り落ち難い、ズレ難い、後から取り付け位置の変更が自由に可能になる。
【0069】
また、非磁性体への取り付けばかりでなく、非磁性体素材の接合の仮止めや位置決めにも応用でき、ホルダーやラックやフックなどの固定用、懸架用被係止物にも使用することができる。本取付具の応用範囲は広く、サビない構造のマグネット部を備えることから一般的な事務所や家庭での使用以外に、建物外の水場環境下の、扉や窓や壁、浴室、水槽内などにも利用できる。さらに、一般家具付帯用品、建設業、装飾品への利用などのインテリア産業等各種産業で幅広い利用の可能性がある。
【符号の説明】
【0070】
1、1A~1D 非磁性体用取付具
10、10A~10D 第1永久磁石部
11 第1磁石本体
11B 第1磁石本体
11A 第1永久磁石本体
11C 第1永久磁石本体
11a 第1面
12、12A~12C 第1密着部材
13、13A、13A1、13A2、13A3、13B、13D 吸盤部
14、14B 把手
15a ボルト通し孔
15b 円形凹部
16、16B 固定ねじ
17B、17C 第1磁石用磁束調整部
18C、18D 係止部
18a ボルト
18b ナット
19 ボルト通し孔
20、20A~20D 第2永久磁石部
21、21A 第2磁石本体
21a 第1面
21B、21C 第2永久磁石本体
22、22A、22B、22C 第2密着部材
23D 吸盤部
27B、27C 第2磁石用磁束調整部
30 水槽(立面パネル)
31 観賞魚用餌箱(被係止物)
32 引き戸ガラス(立面パネル)
33 植木鉢(被係止物)
34 位置
M 作業者
P 立面パネル
W 被係止物
図1
図2
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図6A
図6B
図7
図8
図9