(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220610BHJP
G06T 3/60 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
G06T1/00 340A
G06T3/60
(21)【出願番号】P 2017228909
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】597047392
【氏名又は名称】辰巳電子工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤川 飛鳥
(72)【発明者】
【氏名】高崎 ももこ
(72)【発明者】
【氏名】大北 幸輔
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 聡
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175463(JP,A)
【文献】特開2015-161797(JP,A)
【文献】特開2015-64706(JP,A)
【文献】特開2006-139369(JP,A)
【文献】特開2005-148245(JP,A)
【文献】米国特許第9177360(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域のうちのいずれか一方を回転対象領域として抽出する抽出部と、
前記顔領域及び前記胴体領域のうちの他方を非回転領域として回転させずに、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させる変形処理部と、を備え
、
前記変形処理部は、
前記非回転領域と前記回転対象領域との間の領域を回転減衰領域として設定し、
前
記回転対象領域側から前記非回転領域側にかけて回転量が低減するように当該回転減衰領域を回転させる画像処理装置。
【請求項2】
前記変形処理部は、
前記顔の軸線及び前記撮影画像の基準線に基づいて、前記顔の傾きの度合いを算出し、
前記顔の傾きの度合いが所定の値以下である場合に、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させる処理を実行し、
前記顔の度合いが前記所定の角度以下ではない場合に、前記回転の処理を省略する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変形処理部は、前記撮影画像の上下方向に延びる垂直線、前記撮影画像の左右方向に延びる水平線、及び前記胴体領域に写る前記人物の胴体の軸線のいずれかを前記撮影画像の基準線として取得する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
コンピュータが、
被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得するステップと、
取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域のうちのいずれか一方を回転対象領域として抽出するステップと、
前記顔領域及び前記胴体領域のうちの他方を非回転領域として回転させずに、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させるステップと、を実行
し、
前記回転させるステップでは、
前記非回転領域と前記回転対象領域との間の領域を回転減衰領域として設定し、
前
記回転対象領域側から前記非回転領域側にかけて回転量が低減するように当該回転減衰領域を回転させる画像処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得するステップと、
取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域のうちのいずれか一方を回転対象領域として抽出するステップと、
前記顔領域及び前記胴体領域のうちの他方を非回転領域として回転させずに、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させるステップと、を実行させ、
前記回転させるステップでは、
前記非回転領域と前記回転対象領域との間の領域を回転減衰領域として設定し、
前
記回転対象領域側から前記非回転領域側にかけて回転量が低減するように当該回転減衰領域を回転させる画像処理プログラム。
【請求項6】
被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得する画像取得部と、
取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域を抽出する抽出部と、
前記人物の顔の
傾きの度合い及び胴体の
傾きの度合いに基づいて、前記顔領域及び前記胴体領域をそれぞれ個別に回転させる
ことにより、前記撮影画像における前記人物の顔及び胴体の傾きを低減する変形処理部と、を備える、画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人物を撮影した撮影画像を修正する様々な画像処理方法が提案されている。例えば、特許文献1には、原画像中の人物の両眼部に相当する位置を各々検出し、検出した人物の両眼部が、原画像に対して予め設定されている基準線又は当該基準線に直交する直線に平行な同一直線上に配置されるように、原画像全体を回転させる画像処理方法が提案されている。当該画像処理方法によれば、原画像中の顔の傾きを修正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者らは、特許文献1で提案されるような従来の画像処理方法では、次のような問題点があることを見出した。すなわち、従来の画像処理方法では、顔の傾きを修正するために、原画像全体を回転させる。しかしながら、撮影画像中に写る人物の姿勢は常に一定とは限られず、例えば、胴体が垂直方向に延びているのに対して顔が垂直方向から傾いている等、顔と胴体との傾きが相違するケースがあり得る。このようなケースに従来の画像処理方法を適用すると、顔の傾きを修正することはできても、胴体が垂直方向から傾いてしまうという不具合が生じ得る。つまり、従来の画像処理方法では、顔の傾きを修正することにより、原画像に比べて胴体が不自然に傾いてしまい、人物がバランス悪く写った見栄えの悪い画像が生成されてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、人物がバランスよく写る見栄えの良い画像を生成可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る画像処理装置は、被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得する画像取得部と、取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域のうちのいずれか一方を回転対象領域として抽出する抽出部と、前記顔領域及び前記胴体領域のうちの他方を非回転領域として回転させずに、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させる変形処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係る画像処理方法は、コンピュータが、被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得するステップと、取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域のうちのいずれか一方を回転対象領域として抽出するステップと、前記顔領域及び前記胴体領域のうちの他方を非回転領域として回転させずに、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させるステップと、を実行する、情報処理方法である。
【0008】
本発明の一側面に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得するステップと、取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域のうちのいずれか一方を回転対象領域として抽出するステップと、前記顔領域及び前記胴体領域のうちの他方を非回転領域として回転させずに、前記回転対象領域として抽出した前記顔領域及び前記胴体領域のうちの一方を回転させるステップと、を実行させるための、プログラムである。
【0009】
本発明の一側面に係る画像処理装置は、被写体として人物を撮影することで得られた撮影画像を取得する画像取得部と、取得した前記撮影画像から、前記人物の顔が写る顔領域、及び当該顔領域よりも下側で、前記人物の両肩を含む胴体が写る胴体領域を抽出する抽出部と、前記人物の顔の軸線及び胴体の軸線が合うように、前記顔領域及び前記胴体領域をそれぞれ個別に回転させる変形処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人物の顔の写る顔領域及び両肩を含む胴体の写る胴体領域の少なくとも一方を回転させることで、顔の軸線と胴体の軸線とが合うように撮影画像を修正(変形)することができるため、人物がバランスよく写る見栄えの良い画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の画像処理装置の内部の前面パネルの正面図である。
【
図3】
図3は、
図1の画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の画像処理装置の機能構成を示す図である。
【
図5】
図5は、撮影処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図7】
図7は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図8】
図8は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図9】
図9は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図10】
図10は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図11】
図11は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図12】
図12は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図13】
図13は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図14】
図14は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図15】
図15は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図16】
図16は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図17】
図17は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図18】
図18は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図19】
図19は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図20】
図20は、撮影処理においてモニタに表示される画面を示す図である。
【
図21】
図21は、回転処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像処理装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る画像処理装置は、証明写真等の撮影画像を生成し、生成した撮影画像の印刷を行うように構成された写真撮影装置である。また、本実施形態に係る画像処理装置は、その過程において、後述する撮影画像に対する編集処理を実施可能に構成される。
【0013】
<1.全体構造>
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施形態に係る画像処理装置100の全体構造について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置100の側面図であり、
図2は、
図1の画像処理装置100内部の前面パネルの正面図である。
【0014】
図1に示されるとおり、本実施形態に係る画像処理装置100は、直方体状の筐体1を備えており、この筐体1の側面には、内部の撮影空間10に通じる出入口11が形成されている。この出入口11の上縁にはカーテンレール12が取り付けられており、このカーテンレール12には、図示を省略するカーテンが取り付けられている。これにより、ユーザが撮影を行う際には、カーテンを閉じることで、撮影空間10を外部から見えないようにすると共に、外部から余計な光が撮影空間10に入らないようにすることができる。また、筐体1の側面において、出入口11の側方には、後述するプリンタによりプリントされた写真プリントの取出口13が設けられている。
【0015】
撮影空間10には、ユーザが座る、高さを調整可能な椅子14が配置され、その前方には、カメラ、モニタなどが配置された前面パネル2が設けられている。一方、椅子14の背後には、撮影時に、背景となる背面パネル3が設けられており、白色などの薄い色の単一色に着色されている。
【0016】
次に、前面パネル2について説明する。
図2に示されるとおり、前面パネル2の中央には、モニタ21が配置されており、このモニタ21の上方にカメラ22が配置されている。モニタ21は、タッチパネル式の液晶モニタであり、撮影の手順を示したり、カメラ22で撮影された静止画又は動画を表示したりするようになっている。また、ユーザは、モニタ21をタッチすることで撮影画像及び撮影手順の選択操作を行うことができる。
【0017】
モニタ21の右側には、ケーブル231を介して接続されたシャッターボタン23が設けられている。ユーザは、このシャッターボタン23を押下することで、シャッターを切ることができる。また、カメラ22の上方及びモニタ21の下方にはストロボユニット(24、25)がそれぞれ配置されており、被写体であるユーザに対し、上方及び下方から光を照射するようになっている。更に、モニタ21の左側には、コイン投入口26及びおつりの取出口27が設けられている。
【0018】
<2.画像処理装置のハードウェア構成>
次に、
図3を用いて、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成について説明する。
図3は、画像処理装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図3に示されるとおり、本実施形態に係る画像処理装置100は、制御部31、記憶部32、複数の外部インタフェース33、及びドライブ34が電気的に接続されたコンピュータを備えている。なお、
図3では、外部インタフェース33を「外部I/F」と記載している。
【0020】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置であり、制御部31で実行される画像処理プログラム321、写真撮影から印刷までの過程で利用する各種データ322等を記憶する。画像処理プログラム321は、写真撮影及び撮影画像の編集を行うための処理を画像処理装置100に実行させるためのプログラムである。各種データ322には、後述する撮影処理で利用する画面のデータ等が含まれる。詳細は後述する。
【0021】
外部インタフェース33は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート等であり、外部装置と接続するためのインタフェースである。外部インタフェース33の種類は、接続する外部装置の種類に応じて適宜選択されてよい。また、外部インタフェース33の数は、画像処理装置100に接続する外部装置の数に応じて適宜決定されてよい。本実施形態では、画像処理装置100は、各外部インタフェース33を介して、タッチパネルが積層されたタッチ式モニタ21、カメラ22、シャッターボタン23、各ストロボユニット(24、25)、コイン処理部28、及びプリンタ29と接続している。
【0022】
ドライブ34は、例えば、CD(Compact Disk)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disk)ドライブ等であり、記憶媒体4に記憶されたプログラムを読み込むための装置である。ドライブ34の種類は、記憶媒体4の種類に応じて適宜選択されてよい。上記画像処理プログラム321及び/又は各種データ322は、この記憶媒体4に記憶されていてもよい。
【0023】
記憶媒体4は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。ここで、
図3では、記憶媒体4の一例として、CD、DVD等のディスク型の記憶媒体を例示している。しかしながら、記憶媒体4の種類は、ディスク型に限定される訳ではなく、ディスク型以外であってもよい。ディスク型以外の記憶媒体として、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを挙げることができる。
【0024】
なお、画像処理装置100の具体的なハードウェア構成に関して、実施形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が可能である。例えば、制御部31は、複数のプロセッサを含んでもよい。また、画像処理装置100は、提供されるサービス専用に設計された情報処理装置の他、サーバ装置、汎用のPC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン、スマートフォン以外の携帯電話等であってもよい。
【0025】
次に、外部インタフェース33に接続される各種装置について説明する。カメラ22は、上述したように前面パネル2に配置されており、制御部31による制御に従って撮影を行い、撮影によって得られた撮影画像を制御部31のRAM又は記憶部32に記憶する。この画像処理装置100では、ユーザが座る椅子14の位置が決まっているため、カメラ22とユーザとの距離は概ね決まっている。そのため、カメラ22の焦点距離は一定にされているが、必要に応じて制御部31は、カメラ22の焦点距離を適切なものとするように制御してもよい。
【0026】
モニタ21には、カメラ22で撮影された撮影画像が表示される。具体的には、シャッターボタン23が押下されると、その信号に基づいて、制御部31は、カメラにより被写体の静止画を撮影する。また、カメラ22は、静止画を撮影する他に、リアルタイムに画像を取り込んで当該画像を表す画像信号を出力する。カメラ22から出力された画像信号は、制御部31のRAMに一時的に記憶されると共にモニタ21に送信される。これにより、モニタ21では、カメラ22により撮影された静止画の他、当該画像信号に基づくライブ映像を表示することができる。また、モニタ21には、上記画像処理プログラム321に基づいて、撮影手順を示す画像が表示される。更に、モニタ21は、上述したようにタッチ式であるため、モニタ21に対するユーザからのタッチが検出されると、制御部31は、このタッチによる入力に応じた処理を行う。
【0027】
各ストロボユニット(24、25)は、電灯(蛍光灯等)を内部に備えており、制御部31に制御されて、この電灯の発光量を調節することで、ユーザの撮影処理の段階に応じて撮影空間10内の明るさを調節する。
【0028】
コイン処理部28は、各種センサによりコイン投入口26に対するコインの投入を検出する。コイン処理部28が、撮影に要する金額分のコインが投入されたことを検出した場合、そのことを表す起動信号を制御部31に出力する。なお、コイン処理部28は、電子マネー又はクレジットカードによる料金の支払を受け付け、当該起動信号を制御部31に出力するように構成されてもよい。
【0029】
プリンタ29は、筐体1に内蔵されており、制御部31による制御に従って、撮影された撮影画像又は編集後の編集画像をプリントし、プリントした画像を上述した筐体1側面の取出口13に排出する。
【0030】
<3.画像処理装置の機能構成>
次に、
図4を用いて、本実施形態に係る画像処理装置100の機能構成の一例を説明する。
図4は、本実施形態に係る画像処理装置100の機能構成の一例を模式的に例示する。
【0031】
画像処理装置100の制御部31は、記憶部32に記憶された画像処理プログラム321をRAMに展開する。そして、制御部31は、RAMに展開された画像処理プログラム321をCPUにより解釈及び実行して、各構成要素を制御する。これによって、
図4に示すように、本実施形態に係る画像処理装置100は、撮影処理部51、画像取得部52、画像編集部53、表示処理部54、及び出力部55を備えるコンピュータとして機能する。なお、画像編集部53は、検出部531、抽出部532、及び変形処理部533を備えている。
【0032】
撮影処理部51は、撮影の手順を示す画像をモニタ21に表示すると共に、モニタ21に対するタッチ操作を介してユーザの指示を受け付けて、その指示に応じた処理を実施する。画像取得部52は、被写体であるユーザ(人物)をカメラ22により撮影することで、ユーザの写る撮影画像を取得する。
【0033】
画像編集部53は、取得された撮影画像の編集処理を実施する。この編集処理において、検出部531は、顔検出処理を実行することで、撮影画像内において人物の顔を検出する。抽出部532は、顔検出の結果に基づいて、人物の顔の写る顔領域を回転対象領域として抽出する。変形処理部533は、顔領域よりも下側で、人物の両肩を含む胴体の写る胴体領域を非回転領域として回転させず、回転対象領域として抽出した顔領域を回転させる画像処理を実行する。
【0034】
表示処理部54は、撮影処理及び編集処理の過程で得られた画像をモニタ21に表示する。出力部55は、プリンタ29により、最終的に得られた画像を紙媒体に印刷し、印刷した画像を取出口13に出力する。
【0035】
画像処理装置100の各機能に関しては後述する動作例で詳細に説明する。なお、本実施形態では、画像処理装置100の各機能がいずれも汎用のCPUにより実現される例について説明している。しかしながら、以上の機能の一部又は全部が、1又は複数の専用のハードウェアプロセッサにより実現されてもよい。また、画像処理装置100の機能構成に関して、実施形態に応じて、適宜、機能の省略、置換及び追加が行われてもよい。
【0036】
<4.画像処理装置の動作例>
<4-1.撮影の処理手順>
次に、
図5~
図20を用いて、本実施形態に係る画像処理装置100による写真撮影の処理手順について説明する。
図5は、本実施形態に係る画像処理装置100による写真撮影の処理手順を示すフローチャートである。
図6~
図20は、撮影処理においてモニタ21に表示される各画面を例示する。
【0037】
画像処理装置100の制御部31は、撮影処理部51として機能し、
図6~
図20に例示する各画面をモニタ21に表示しつつ、
図5に示す処理手順で撮影処理を進めていく。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0038】
(ステップS1)
まず、ステップS1では、制御部31は、
図6に例示されるように、証明写真の種類を選択させる画面をモニタ21に表示する。
図6の画面例では、履歴書用写真、運転免許証用写真、パスポート/マイナンバー用写真、及び大型/中型写真を示す4種類のボタン611がモニタ21に表示される。ユーザは、モニタ21をタッチすることで、この中のいずれかを選択する。
【0039】
ユーザによりいずれかのボタン611がタッチされると、制御部31は、
図7に例示する選択の確認用の画面をモニタ21に表示する。ここで、「はい」のボタン612がタッチされると、制御部31は、選択した種類の写真の撮影処理を開始する。一方、「選び直す」のボタン613が選択されると、制御部31は、モニタ21の表示を1つ前の画面(
図6)に戻し、再度の選択を受け付ける。
【0040】
図7の画面の「はい」のボタン612がタッチされた後、制御部31は、
図8に例示する料金表示用の画面をモニタ21に表示する。この画面の表示に応じて、ユーザにより指定の料金がコイン投入口26に投入されると、コイン処理部28は、そのことを示す起動信号を制御部31に出力する。この起動信号に応じて、制御部31は、次にステップS2に処理を進める。
【0041】
なお、
図7のような選択の確認用の画面は、本実施形態の撮影処理において、ユーザが何らかの選択を行う場合に概ね表示されるが、手順は同じであるため、以下では、この画面の説明を省略する。また、モニタ21に表示される画面の下端部には、「1つ前に戻る」、「最初からやり直す」、及び「次に進む」のボタン614~616のうちのいくつかが適宜表示されることがあり、ユーザは、これらのボタン614~616を操作することで、適宜撮影処理を進めたり、戻ったりすることができる。
【0042】
(ステップS2)
指定の料金分のコインが適切に投入されると、制御部31は、次のステップS2として、
図9に例示されるように、ユーザの性別を選択する画面をモニタ21に表示する。「男性」及び「女性」のいずれかのボタン617がユーザによりタッチされると、制御部31は、次のステップS3に処理を進める。
【0043】
(ステップS3)
次のステップS3では、制御部31は、撮影前準備に関する注意事項を記載した画面をモニタ21に表示する。まず、制御部31は、
図10に例示されるように、撮影前の準備画面をモニタ21に表示する。この準備画面には、ステップS2で選択された男女別に撮影前に注意すべき点が表示される。
【0044】
図10は、ステップS2で「男性」が選択された場合の注意事項が例示されている。
図10に例示される準備画面には、男女の共通の注意事項の他に、ネクタイに関する注意事項等の男性特有の注意事項が表示されている。この点、ステップS2で「女性」が選択された場合にも同様であり、ジャケット又はブラウスの襟が髪の毛で隠れていないか等の女性特有の注意事項が準備画面に表示されてよい。
【0045】
なお、このステップS3では、モニタ21に注意事項を単に表示する他、
図10に示すように、各注意事項にチェックを入れるためにモニタ21をタッチ操作させたり、注意事項が履行されていない場合に、撮影処理が先に進まないようにしたりすることもできる。例えば、カーテンを閉めていないことをセンサにより検知した場合には、制御部31は、「次に進む」ボタン616がタッチされても処理を進めず、カーテンを閉めることを促す画面をモニタ21に表示するようにしてもよい。制御部31は、全ての注意事項が履行されるまで「次に進む」ボタン616を無効又は非表示にしてもよい。なお、注意事項の履行をチェックする場合には、カーテンの開閉、荷物の置き場所等を検知するセンサ(不図示)を別途設け、画像処理装置100は、制御部31によりこれらを制御するように適宜構成されてよい。
【0046】
図10に示す注意事項の画面において「次に進む」ボタン616がタッチされると、制御部31は、次に、
図11に示すように、椅子の高さの調整方法を示す画面をモニタ21に表示する。これに続いて、ユーザが「次に進む」ボタン616をタッチすると、制御部31は、次に、
図12に例示される撮影のポイントに関する画面をモニタ21に表示する。
図12の画面には、撮影のポイントの一例として、姿勢、口角、及び目力の3つのポイントが表示されており、「次に進む」ボタン616をユーザがタッチすると、制御部31は、各ポイントの注意点を示す画像を順に表示する。例えば、
図13の画面例では、姿勢に関するポイント及びそれを説明する説明文が表示されている。この説明は、説明用の静止画又は動画で行われてもよい。また、各ポイントに関して、男女別に応じて異なる説明を行うようにしてもよい。これらの撮影のポイントに関する画面をユーザがすべて見終わると、制御部31は、次のステップS4に処理を進める。
【0047】
(ステップS4)
次のステップS4では、制御部31は、カメラ22を制御することで、ユーザの写真撮影を実行する。この写真撮影の前には、制御部31は、
図14に例示される撮影開始を説明する画面をモニタ21に表示する。
図14の画面例では、シャッターボタン23を押すことで、カメラ22のシャッターを切られることが説明されている。この画面において、OKボタン627をユーザがタッチすると、制御部31は、
図15に例示される撮影用の画面をモニタ21に表示する。
【0048】
図15の画面例には、カメラ22で撮影されたライブ画像を表示する矩形状の撮影画像領域621と、撮影位置の説明622と、カウントダウン用の数字629とが表示されている。撮影画像領域621には、目の高さの概ねの位置を示す帯状の目配置領域623と、撮影画像領域621の左右の中心を上下方向に延びる垂直ガイド線624と、概ね被写体の肩の位置付近を左右に延びる水平ガイド線625と、が表示されている。なお、目配置領域623は、ライブ画像が透けて見える程度の半透明で色を付けてもよい。
【0049】
制御部31は、表示処理部54として機能して、カメラ22から得られる画像を撮影画像領域621に表示する。撮影位置の説明622では、椅子14の高さを調整して、目を目配置領域623に配置すること、顔の中心を垂直ガイド線624に合わせること、等が表示される。これに対して、ユーザは、撮影画像領域621のライブ画像を見ながら、背筋を伸ばしたり、椅子14の高さを再度調整したりして、自身の目が目配置領域623に配置されるように調整する。また、ユーザは、垂直ガイド線624及び水平ガイド線625に合わせて、体の傾きを調整する。
【0050】
そして、ユーザがシャッターボタン23を押下すると、制御部31は、3、2、1のカウントダウンを行い、カメラ22のシャッターを切る。これにより、制御部31は、画像取得部52として機能して、被写体としてユーザ(人物)を撮影することで得られた撮影画像(写真)を取得する。制御部31は、この写真撮影を合計3回実施し、3枚の撮影画像を取得する。3回の写真撮影が完了すると、制御部31は、次のステップS5に処理を進める。
【0051】
(ステップS5)
次のステップS5では、制御部31は、
図16に例示されるように、3回の撮影で得られた撮影画像のうち印刷対象とする撮影画像をどれにするかを選択するための写真選択画面をモニタ21に表示して、撮影画像の選択を受け付ける。
【0052】
図16の写真選択画面の例には、3回の撮影で生成された各撮影画像のサムネイルを表示するサムネイル領域631と、選択された撮影画像を表示する選択画像領域632とが含まれている。制御部31は、表示処理部54として機能して、各領域(631、632)に対応する画像を表示する。また、いずれかのサムネイル領域631がタッチされると、制御部31は、そのサムネイル領域631に対応する撮影画像を選択画像領域632に表示する。そして、OKボタン633がタッチされると、制御部31は、選択されている撮影画像を以降の編集及びプリントの対象に設定し、次のステップS6に処理を進める。
【0053】
(ステップS6)
次のステップS6では、制御部31は、画像編集部53として機能し、顔検出処理を実行することで、選択された撮影画像内において人物の顔を検出し、顔検出の結果に基づいて、当該撮影画像から、人物の顔が写る顔領域を回転対象領域として抽出する。そして、制御部31は、顔領域よりも下側で、人物の両肩を含む胴体の写る胴体領域を非回転領域として回転させず、回転対象領域として抽出した顔領域を回転させる画像処理(以下、「回転処理」とも称する)を実行する。当該顔領域の回転処理については、後述で詳細に説明する。顔領域の回転処理が完了すると、制御部31は、次のステップS7に処理を進める。
【0054】
(ステップS7)
次のステップS7では、制御部31は、画像編集部53として機能し、編集画面をモニタ21に表示し、選択された撮影画像の編集を受け付ける。まず、制御部31は、撮影画像のトリミングを行うために、
図17に例示されるトリミング用の画面をモニタ21に表示する。
図17の画面例には、回転処理後の画像を表示するための撮影画像領域648が含まれている。撮影画像領域648には、顔の中心を指定するための垂直ガイドライン645と、頭の頂点を指定するための第1水平ガイドライン646と、顎の先を指定するための第2水平ガイドライン647と、が表示されている。垂直ガイドライン645は、撮影画像領域648の上下方向(垂直方向)に延びており、各水平ガイドライン(646、647)は、撮影画像領域648の左右方向(水平方向)に延びている。
【0055】
上記ステップS6では、制御部31は、顔領域を抽出する際に、撮影画像内において顔検出処理を実行している。そこで、制御部31は、顔検出の結果に基づいて、撮影画像領域648に表示する画像の範囲及び各ガイドライン645~647の配置を決定してもよい。例えば、顔検出の結果、頭の頂点の位置が検出されている場合、制御部31は、頭の頂点が含まれるように撮影画像領域648に表示する画像の範囲を決定し、検出された頭の頂点の位置に合わせて、第1水平ガイドライン646を配置する。また、顔検出の結果、顎の先の位置が検出されている場合、制御部31は、顎の先が含まれるように撮影画像領域648に表示する画像の範囲を決定し、検出された顎の先の位置に合わせて、第2水平ガイドライン647を配置する。更に、後述するとおり、ステップS6では、制御部31は、顔の軸線を画像の垂直線に合わせるように顔領域を回転させる。そのため、制御部31は、撮影画像領域648の左右方向の中央に垂直ガイドライン645を配置し、垂直ガイドライン645に顔の軸線を合わせるように撮影画像領域648に表示する画像の範囲を決定する。
【0056】
なお、顔検出の結果が正確ではない場合、各ガイドライン645~647の位置が所望の位置からずれる可能性がある。そこで、
図17の画面例では、垂直ガイドライン645の位置を調節するための操作ボタン641、第1水平ガイドライン646の位置を調節するための操作ボタン642、及び第2水平ガイドライン647の位置を調節するための操作ボタン643が含まれている。ユーザは、各操作ボタン641~643をタッチしながら、垂直ガイドライン645が顔の中心に配置し、第1水平ガイドライン646を頭の頂点に配置し、第2水平ガイドライン647を顎の先に配置する。このとき、制御部31は、ユーザの各操作ボタン641~643の操作に応じて、撮影画像の移動、拡大、又は縮小の画像処理を行ってもよいし、各ガイドライン645~647を撮影画像領域648上で移動させてもよい。
【0057】
各ガイドライン645~647が顔の中心、頭の頂点、及び顎の先を指示するように配置された後、ユーザが「次に進む」ボタン616をタッチすると、制御部31は、各ガイドライン645~647の位置に基づいて、回転処理後の撮影画像からトリミングする範囲を決定する。そして、制御部31は、回転処理後の撮影画像のうち決定した範囲を以降の処理に利用する撮影画像としてトリミングし、トリミングした撮影画像をRAM又は記憶部32に記憶する。トリミングが完了すると、制御部31は、次の肌の明るさを調節するための編集処理に遷移する。
【0058】
肌の明るさを調節する編集処理では、制御部31は、肌の明るさの指定を受け付けるため、
図18に例示される画面をモニタ21に表示する。
図18の画面例では、トリミングが完了した撮影画像を表示する画像領域651と、肌の明るさを調節するための5つの調節ボタン652と、編集を完了するためのOKボタン653とが含まれている。
図18の例では、ユーザは、5つの調節ボタン652のいずれかを選択してタッチすることで、5段階で肌の明るさを選択することができる。ただし、肌の明るさの選択方法は、このような例に限られなくてもよく、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。
【0059】
5つの調節ボタン652のいずれかがタッチされると、制御部31は、公知の画像処理により、撮影画像から肌の部分を抽出し、抽出した肌の部分の明るさを変化させる。そして、肌の明るさを変化させた後の撮影画像を画像領域651に表示する。これにより、画像領域651に表示される撮像画像内に写るユーザ(人物)の肌の明るさが変化する。一方、OKボタン653がタッチされると、制御部31は、編集処理を完了し、次のステップS8に処理を進める。
【0060】
(ステップS8)
次のステップS8では、制御部31では、出力部55として機能し、編集完了後の撮影画像のプリント処理を実施する。まず、制御部31は、
図19に例示されるように、プリントを開始した旨を示す画面をモニタ21に表示する。プリント中、制御部31は、アンケート、広告等をモニタ21に表示してもよい。そして、プリントが完了すると、制御部31は、
図20に例示されるように、筐体1の側面の取出口13から写真を取り出すことを促す画面をモニタ21に表示する。これに応じて、ユーザは、筐体1から外に出て、取出口13からプリント写真を取り出す。これによって、本実施形態に係る画像処理装置100による写真撮影が完了する。
【0061】
<4-2.顔領域の回転処理>
次に、
図21を用いて、本実施形態に係る画像処理装置100による顔領域の回転処理(上記ステップS6)の処理手順について説明する。
図21は、本実施形態に係る顔領域の回転処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下で説明する処理手順は、本発明の「画像処理方法」の一例である。ただし、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0062】
(ステップS601)
まず、ステップS601では、制御部31は、検出部531として機能し、ステップS5で選択された撮影画像に対して顔検出処理を実行することで、当該撮影画像内において人物の顔を検出する。この顔検出処理により、撮影画像内において、人物の顔の輪郭、各器官等のパーツの位置が適宜検出される。なお、顔検出処理は、公知の画像処理により行われてもよい。また、顔検出処理により検出対象となる顔のパーツは、以降のステップS602の処理に応じて適宜選択されてよい。顔検出処理が完了すると、制御部31は、次のステップS602に処理を進める。
【0063】
(ステップS602)
次のステップS602では、
図22に例示されるとおり、制御部31は、抽出部532として機能し、ステップS5で選択された撮影画像70から、人物の顔700が写る顔領域703を回転対象領域として抽出する。
図22は、ステップS5で選択された撮影画像70の一例を示す。また、制御部31は、顔領域703よりも下側で、人物の両肩を含む胴体の写る胴体領域704を非回転領域として抽出する。顔領域703及び胴体領域704を抽出すると、制御部31は、次のステップS603に処理を進める。
【0064】
なお、顔領域703及び胴体領域704を抽出する方法は、特に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。本実施形態では、ステップS601の処理により、撮影画像70内において人物の顔700の検出が行われている。そのため、制御部31は、ステップS601の検出結果に基づいて、顔領域703及び胴体領域704を抽出する。
【0065】
具体的に、本実施形態では、制御部31は、撮影画像70において、顔700の下端よりも上側の領域全体を顔領域703として抽出する。顔700の下端は、適宜決定されてよい。例えば、制御部31は、ステップS601の顔検出処理により顎先701の位置を検出してもよい。この場合、本ステップS602では、制御部31は、顎先701の位置を顔700の下端の位置として取得してもよい。また、例えば、制御部31は、ステップS601の顔検出処理により顔700の輪郭を検出してもよい。この場合、本ステップS602では、制御部31は、検出された輪郭上の最も低い位置を顔700の下端の位置として取得してもよい。
【0066】
また、本実施形態では、制御部31は、撮影画像70において、顔領域703の下端から所定の距離Lだけ下側の領域全体を胴体領域704として抽出する。所定の距離Lは、適宜決定されてよい。例えば、所定の距離Lは、人物の顔700の2つのパーツ間の距離、又はその距離と所定値との積に基づいて決定されてもよい。一例として、制御部31は、ステップS601の顔検出処理により顎先701及び下唇それぞれの位置を検出してもよい。この場合、制御部31は、顎先701と下唇との間の距離を算出し、算出した距離を所定の距離Lに設定してもよい。
【0067】
(ステップS603)
次のステップS603では、制御部31は、変形処理部533として機能し、顔700の軸線708及び撮影画像70の基準線に基づいて、顔700の傾きの度合いAを算出する。
【0068】
制御部31は、撮影画像70から顔700の軸線708を適宜抽出する。顔700の軸線708は、顔700の中央を通り、上下方向に延びる軸を示す。例えば、
図22に例示されるとおり、制御部31は、ステップS601の顔検出処理により顎先701及び眉間702それぞれの位置を検出してもよい。この場合、制御部31は、顎先701と眉間702とを結ぶ線を顔700の軸線708として抽出してもよい。なお、眉間702の位置は、直接検出されてもよいし、両目の位置から間接的に検出されてもよい。また、例えば、制御部31は、ステップS601の顔検出処理により上唇及び下唇それぞれの中心の位置を検出してもよい。この場合、制御部31は、上唇及び下唇それぞれの中心を結ぶ線を顔700の軸線708として抽出してもよい。また、例えば、制御部31は、ステップS601の顔検出処理により顎先701及び鼻先それぞれの位置を検出してもよい。この場合、制御部31は、顎先701と鼻先とを結ぶ線を顔700の軸線708として抽出してもよい。顔700の軸線708を抽出する方法は、特に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。
【0069】
また、制御部31は、撮影画像70から基準線を適宜取得する。例えば、制御部31は、撮影画像70の上下方向(垂直方向)に延びる垂直線71、撮影画像70の左右方向(水平方向)に延びる水平線、及び胴体領域704に写る人物の胴体の軸線のいずれかを撮影画像70の基準線として取得してもよい。垂直線71及び水平線は、撮影画像70から適宜取得可能である。垂直線71は、撮影画像70の中心を通るように設定されてもよいし、水平線は、顔700の下端を通るように設定されてもよい。一方、胴体の軸線は、胴体領域704から適宜抽出可能である。胴体の軸線は、胴体の中央を通り、上下方向に延びる軸を示す。例えば、制御部31は、エッジ検出等の公知の画像処理により胴体領域704において人物の両肩を検出し、両肩を結ぶ直線の中点を通る垂直線を胴体の軸線として抽出してもよい。なお、撮影画像70の基準線は、顔700の傾きの度合いAを算出可能であれば、特に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。
図22は、撮影画像70の垂直線71を基準線として採用した例を示す。以下、撮影画像70の垂直線71を基準線として採用した例について説明するが、以下の内容は、その他の種類の基準線についても同様に適用可能である。
【0070】
制御部31は、抽出した顔700の軸線708と撮影画像70の垂直線71とがなす角度を顔700の傾きの度合いAとして算出する。顔700の傾きの度合いAを算出すると、制御部31は、次のステップS604に処理を進める。
【0071】
(ステップS604)
次のステップS604では、制御部31は、変形処理部533として機能し、ステップS603で算出した顔700の傾きの度合いAが所定の値以下であるか否かを判定する。判定基準となる所定の値は、実施の形態に応じて適宜設定されてよく、例えば、5度と設定されてよい。
【0072】
顔700の傾きの度合いAが所定の値以下である場合、制御部31は、次のステップS605及びS606に処理を進めることで、顔領域703を回転させる処理を実行する。一方、顔700の傾きの度合いAが所定の値以下ではない場合、制御部31は、次のステップS605及びS606による回転の処理を省略し、本動作例に係る回転処理を終了する。
【0073】
(ステップS605)
次のステップS605では、制御部31は、変形処理部533として機能し、各領域の回転量を規定する回転強度マップを作成する。
【0074】
具体的には、
図23に例示されるとおり、制御部31は、回転強度マップ72として撮影画像70と同一サイズの画像を用意する。
図23は、回転強度マップ72の一例を示す。制御部31は、回転強度マップ72において、回転対象領域である顔領域703に対応する領域721内の各画素に、当該回転対象領域の回転量に応じた第1画素値(例えば、「1」)を設定する。一方、制御部31は、回転強度マップ72において、非回転領域である胴体領域704に対応する領域722内の各画素に、回転しないことに応じた第2画素値(例えば、「0」)を設定する。
【0075】
また、本実施形態では、制御部31は、非回転領域(胴体領域704)と回転対象領域(顔領域703)との間の領域を回転減衰領域705として設定する。これに応じて、制御部31は、回転強度マップ72において、回転減衰領域705に対応する領域723内の各画素の画素値を、回転対象領域に対応する領域721側から非回転領域に対応する領域722側にかけて第1画素値から第2画素値に近付くように設定する。
【0076】
例えば、領域721の画素値を1に設定し、領域722の画素値を0に設定した場合、制御部31は、領域723の画素値を1から0の間の値に設定する。具体的には、
図23に例示されるとおり、領域723の画素値は、領域721側から領域722側にかけて1から0に徐々に変化するように設定される。
図23の例では、白色の領域内の画素値が「1」であり、黒色の領域内の画素値が「0」である。そのため、領域723では、上側の部分から下側の部分にかけて白色から黒色に徐々に変化している。なお、領域721側から領域722側にかけて領域723の画素値の変化は、一定でなくてもよく、滑らかであればよい。これにより、回転強度マップ72を作成すると、制御部31は、次のステップS606に処理を進める。
【0077】
(ステップS606)
次のステップS606では、制御部31は、変形処理部533として機能し、胴体領域704を非回転領域として回転させず、回転対象領域として抽出した顔領域を回転させる。本実施形態では、制御部31は、ステップS605の処理により作成した回転強度マップ72の各画素の画素値に基づいて、撮影画像70において回転対象領域を回転させる。
【0078】
回転強度マップ72を利用した回転処理の一例として、
図24に例示されるとおり、制御部31は、顎先701を基点にして、顔領域703の回転処理を行う。具体的には、顎先701の座標を(x
chin、y
chin)とし、移動先の絶対座標を(x、y)とすると、顎先を基点とした移動先の相対座標(x
rel、y
rel)は、以下の数1の式で表すことができる。そこで、制御部31は、以下の数2の式に従って、画素の移動処理を行う。
【0079】
【数1】
【数2】
(x
src、y
src)は、移動元の座標を示す。θは、回転角度を示し、適宜決定されてよい。制御部31は、例えば、ステップS603で算出した顔700の傾きの度合いAをθに代入する。また、αは、回転量を示す。制御部31は、回転強度マップ72の各画素の画素値をαに代入する。
【0080】
制御部31は、移動先の座標(画素)の画素値を移動元の座標(画素)の画素値に置き換えることで、画素の移動処理を行う。これにより、
図24に例示されるとおり、制御部31は、顎先701を基点に顔領域703を回転させる。このとき、ステップS603で算出した顔700の傾きの度合いAを上記数式のθに代入することで、制御部31は、顔700の軸線708を撮影画像70の垂直線71に合わせるように顔領域703を回転させることができる。一方、胴体領域704に対応する領域722の画素値は0であるため、胴体領域704では、移動元の座標と移動先の座標とが一致する。よって、胴体領域704では、回転が生じない。
【0081】
また、回転減衰領域705に対応する領域723の画素値は、領域721側から領域722側にかけて1から0に徐々に変化するように設定されている。そのため、制御部31は、顔領域703側から胴体領域704側にかけて回転量が低減するように回転減衰領域705を回転させる。
【0082】
図25は、回転処理後に得られる画像73の一例を示す。
図25に例示されるように、上記画素の移動処理により、顔領域703では顎先701を基点に軸線708を撮影画像70の垂直線71に合わせるような回転が生じ、胴体領域704は原画像(撮影画像70)のままである画像73を得ることができる。これにより、制御部31は、本動作例に係る回転処理を終了する。
【0083】
なお、本実施形態では、制御部31は、撮影画像70を複製し、複製した画像に対して当該回転処理を適用する、すなわち、複製した画像上で上書きしながら上記画素の移動処理を行う。これによって、画像処理装置100は、回転処理前の画像(撮影画像70)及び回転処理後の画像(画像73)の両方を保持し、ユーザの操作により回転処理前に上記撮影処理を戻すことができる。
【0084】
<5.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、顔の傾いた状態で写真撮影が行われたとしても、上記ステップS601~S606の処理により、顔領域703を回転させ、胴体領域704を回転させないようにすることで、顔の軸線と胴体の軸線とが合うように撮影画像を修正することができる。したがって、人物がバランスよく写る見栄えの良い画像を生成することができる。
【0085】
また、本実施形態では、回転対象領域である顔領域703と非回転領域である胴体領域704との間に、回転対象領域側から非回転領域側にかけて回転量が低減する回転減衰領域が設けられる。これにより、回転処理により得られる画像が、顔領域703と胴体領域704との間で不自然になるのを防止することができる。
【0086】
また、回転対象領域を大きく回転させると、回転処理後に得られる画像が、回転対象領域と非回転領域との間で不自然になってしまう可能性が高くなる。これに対して、本実施形態では、ステップS604の判定結果に基づき、顔700の傾きの度合いAが所定の値以下ではない場合には、ステップS605及びS606による回転の処理は省略される。これにより、回転対象領域(顔領域703)を大きく回転させないようにすることができ、回転処理により不自然な画像が形成されてしまうのを防止することができる。
【0087】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0088】
<6.1>
上記実施形態では、顔領域703が回転対象領域に設定され、胴体領域704が非回転領域に設定されている。しかしながら、回転対象領域及び非回転領域の対応関係は、このような例に限定されなくてもよく、入れ替わってもよい。抽出部532は、顔領域703及び胴体領域704のうちのいずれか一方を回転対象領域として撮影画像70から抽出するように構成されてよい。また、変形処理部533は、顔領域703及び胴体領域704のうちの他方を非回転領域として回転させずに、回転対象領域として抽出した顔領域703及び胴体領域704のうちの一方を回転させるように構成されてよい。
【0089】
胴体領域704を回転させる場合、上記ステップS602では、制御部31は、顔領域703を非回転領域として抽出し、胴体領域704を回転対象領域として抽出する。その他の処理は、上記回転強度マップ72の領域721の画素値と領域722の画素値とを入れ替えることで、上記実施形態と同様に実施可能である。また、胴体領域704の回転角度及び回転の基点は、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。
【0090】
図26は、本変形例に係る回転処理前の撮影画像70の一例を示す。また、
図27は、本変形例に係る回転処理後の画像75の一例を示す。
図26及び
図27に例示されるように、制御部31は、胴体領域704において人物の胴体の軸線74を抽出し、抽出した動体の軸線74と顔700の軸線708とのなす角度を算出し、算出した角度を胴体領域704の回転角度θに設定してもよい。また、制御部31は、軸線74の上端741を回転の基点に設定してもよい。これにより、制御部31は、ステップS606の処理により、胴体の軸線74を顔700の軸線708に合わせるように胴体領域704を回転させることができる。
【0091】
この場合、顔700の軸線708が撮影画像70の垂直線に対して傾いていると、
図27に例示されるように、顔700の軸線708の傾きと胴体の軸線74の傾きとが一致しているものの、人物(ユーザ)が垂直線に対して傾いた画像75が得られる。この場合、ステップS7の処理に移行する際に、制御部31は、人物の傾き(顔700の軸線708の傾き)が画像の垂直線となるようにトリミングの範囲76を決定してもよい。つまり、制御部31は、顔700の軸線708の傾きと一致するようにトリミングの範囲76の傾きを設定してもよい。これにより、画像の垂直線に沿って人物が写る画像を得ることができる。
【0092】
なお、非回転領域は、明示的に抽出されなくてもよい。すなわち、上記ステップS602では、制御部31は、回転対象領域のみを抽出するようにしてもよい。この場合、制御部31は、顔領域及び胴体領域のうちの一方を回転対象領域として抽出した後、回転対象領域以外の領域を非回転領域として設定することで、顔領域及び胴体領域のうちの他方が結果的に非回転領域に含まれるようにしてもよい。「顔領域及び胴体領域のうちの他方を非回転領域とする」ことは、顔領域及び胴体領域のうちの他方を明示的に抽出することの他、このように顔領域及び胴体領域のうちの他方が結果的に非回転領域となることを含む。上記実施形態のように回転減衰領域を設定する場合には、制御部31は、回転対象領域の近傍に回転減衰領域を設定し、回転減衰領域の外側に非回転領域を設定してもよい。
【0093】
<6.2>
上記実施形態では、画像処理装置100は、回転強度マップ72を利用して、回転処理を実行している。しかしながら、回転処理を行う方法は、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。例えば、制御部31は、上記ステップS605の処理を省略して、上記ステップS606において、公知の画像処理によって顔領域703の回転処理を行ってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、制御部31は、ステップS604により、顔700の傾きの度合いAが所定の値以下であるか否かを判定し、顔700の傾きの度合いAが所定の値以下ではない場合に、ステップS605及びS606による回転の処理を省略している。しかしながら、ステップS6の回転処理は、このような形態に限定されなくてもよく、本ステップS604は、省略されてもよい。
【0095】
<6.3>
上記実施形態では、画像処理装置100は、顔領域703及び胴体領域704のうちの一方を回転対象領域に設定し、他方を非回転領域に設定している。しかしながら、ステップS6の回転処理は、このような形態に限定されなくてもよく、画像処理装置100は、顔領域703及び胴体領域704の両方を回転させてもよい。この場合、上記ステップS602では、制御部31は、顔領域703及び胴体領域704の両方を抽出する。そして、上記ステップS606では、制御部31は、顔領域703及び胴体領域704をそれぞれ個別に回転させる。
【0096】
このとき、顔領域703及び胴体領域704それぞれの回転角度は、実施の形態に応じて適宜設定されてよい。例えば、制御部31は、上記実施形態と同様に、顔700の軸線708と撮影画像70の垂直線71とのなす角度を顔領域703の回転角度に設定してもよい。また、制御部31は、胴体の軸線と撮影画像70の垂直線71とのなす角度を胴体領域704の回転角度に設定してもよい。これにより、制御部31は、人物の顔の軸線と胴体の軸線とが合うように、顔領域703及び胴体領域704をそれぞれ個別に回転させることができる。
【0097】
<6.4>
上記実施形態及び変形例では、制御部31は、人物の顔の軸線の傾きと胴体の軸線の傾きとが合うように、顔領域703及び胴体領域704の少なくとも一方を回転させる。このとき、回転処理後に得られる画像において、顔の軸線と胴体の軸線とが左右方向(水平方向)にずれている可能性がある。そこで、上記ステップS606の後、制御部31は、顔の軸線と胴体の軸線とが一直線上に配置されるように、顔領域703及び胴体領域704の少なくとも一方を左右方向(水平方向)に移動(変形)させてもよい。顔領域703及び胴体領域704の少なくとも一方を左右方向に移動させる方法は、特に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。当該方法には、例えば、公知の画像処理が採用されてもよい。
【0098】
<6.5>
上記実施形態では、制御部31は、ステップS5により印刷対象の撮影画像の選択を受け付けた後に、ステップS6によって選択された撮影画像の回転処理を実行している。しかしながら、ステップS6による回転処理を実行するタイミングは、このような例に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜決定されてよい。例えば、ステップS5とステップS6とは入れ替わってもよい。この場合、制御部31は、ステップS4で得た3枚の撮影画像それぞれに回転処理を適用してもよい。そして、制御部31は、回転処理を適用した3枚の撮影画像それぞれをモニタ21に表示して、3枚の撮影画像のうちで印刷対象とする撮影画像をどれにするかの選択を受け付けてもよい。
【0099】
また、上記実施形態の
図22~
図25に示す例では、ステップS6の回転処理により、顔領域703を反時計回りに回転させている。しかしながら、回転処理の回転方向は、このような例に限定されなくてもよい。上記ステップS6の回転処理は、対象の領域を時計回りに回転させてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、制御部31は、ステップS601により撮影画像70内に人物の顔の検出を行った後に、当該顔の検出結果を利用して、回転対象領域として顔領域703を撮影画像70から抽出している。そのため、ステップS601において、人物の顔が正確に検出できない場合(例えば、顔の器官が検出できない)、及び人物の顔が複数検出される場合には、制御部31は、ステップS602以降の処理を省略して、回転処理を実行しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
100…画像処理装置、
31…制御部、32…記憶部、33…外部インタフェース、
34…ドライブ、
51…撮影処理部、52…画像取得部、
53…画像編集部、
531…検出部、532…抽出部、533…変形処理部、
54…表示処理部、55…出力部