(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/3586 20140101AFI20220610BHJP
【FI】
G01N21/3586
(21)【出願番号】P 2018056514
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】水津 光司
【審査官】赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07054339(US,B1)
【文献】特開2015-137980(JP,A)
【文献】特開2013-113830(JP,A)
【文献】特開2016-001143(JP,A)
【文献】特開2008-046574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276588(US,A1)
【文献】特開2008-224452(JP,A)
【文献】特開2012-053450(JP,A)
【文献】特開2010-054636(JP,A)
【文献】野瀬 昌城 M. Nose,光ファイバーベース非同期光サンプリング式THz 時間領域分光法(III)~ DAST 結晶によるスペクトル帯域の広帯域化~ Optical-fiber-based, asynchronous optical sampling THz-TDS (III),2010年春季第57回応用物理学関係連合講演会講演予稿集 ,社団法人 応用物理学会,2010年,p. 04-226
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01J 1/00-G01J 1/60
G01J 11/00
G01N 33/48-G01N 33/98
G02B 6/12-G02B 6/14
G02F 1/00-G02F 1/125
G02F 1/21-G02F 7/00
H01S 3/00-H01S 3/02
H01S 3/04-H01S 3/0959
H01S 3/098-H01S 3/102
H01S 3/105-H01S 3/131
H01S 3/136-H01S 3/213
H01S 3/23-H01S 4/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数が
互いに異なる第1光と第2光とを含む測定光を出射する光源と、
それぞれが互いに異なる所定の光路長を有する複数の光ファイバー光路と、
前記光源から出射された前記測定光を複数の
前記光ファイバー光路に分配する分配部と、
複数の前記光ファイバー光路ごとに備えられ、複数の前記光ファイバー光路のうちのいずれかの前記光ファイバー光路に接続される測定部であって、接続された前記光ファイバー光路によって供給される前記測定光が透過する非線形結晶を含み、
前記測定光に含まれる前記第1光と前記第2光とが同軸に前記非線形結晶に入射し、位相整合されることによって生じる前記第1光と前記第2光との周波数差に応じたテラヘルツ波が、前記非線形結晶と測定対象との界面において生じさせるエバネッセント波と
、前記測定対象と
、の相互作用により前記測定光の
振幅または位相の少なくとも一方が変化した光を測定結果として
、接続された前記光ファイバー光路を介して出力する測定部と、
複数の前記測定部から前記光ファイバー光路を介してそれぞれ出力された前記測定結果が入射する強度変調器を含み、前記強度変調器に入射した複数の前記測定結果を、前記光ファイバー光路の光路長に基づいて複数の前記測定部ごとに分離することにより、前記測定部ごとに出力される前記測定結果をそれぞれ
検出する検出部と、
を備え
、
測定装置が、前記光源と、前記分配部と、前記検出部とを備え、
前記測定装置と、前記測定部とは分離して構成され、
前記光ファイバー光路は、前記測定装置から前記測定部が設置されている場所までの経路に配置される
測定システム。
【請求項2】
前記検出部は、
光ファイバー光路の光路長の差によって生じる、それぞれの前記測定部から光ファイバー光路を介して供給される前記測定光どうしの到達時間差に基づいて、
複数の前記測定結果を複数の前記測定部ごとに分離する
請求項
1に記載の測定システム。
【請求項3】
複数の前記測定部のうち、少なくとも一つが基準測定対象を測定する基準測定部であり、
前記検出部が前記測定光から抽出する前記測定結果のうち、前記基準測定部による前記測定結果と、複数の前記測定部のうち前記基準測定部以外の測定部による前記測定結果との相対情報を判定する判定部
をさらに備える請求項1
または請求項
2に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種類の波長のテラヘルツ波を試料に照射して得られる光を分光計測することにより、試料の特性を測定する計測装置が知られている(特許文献1などを参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の計測装置によると、2種類の波長を生じさせる光源が必要であるため、単一波長光源を用いる場合に比べて計測装置は大型化する。また、測定対象の試料の数が多い場合において、複数の場所にある測定対象を同時に測定しようとすると、複数台の計測装置を用意する必要があり、計測装置の設置場所に困るといった問題が生じる。すなわち、従来の計測装置によると、測定システム全体の小型化と、複数の場所の測定対象を同時に測定することとの両立が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、システム全体を小型化しつつ、複数の場所の測定対象を同時に測定することができる測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、周波数が互いに異なる第1光と第2光とを含む測定光を出射する光源と、それぞれが互いに異なる所定の光路長を有する複数の光ファイバー光路と、前記光源から出射された前記測定光を複数の前記光ファイバー光路に分配する分配部と、複数の前記光ファイバー光路ごとに備えられ、複数の前記光ファイバー光路のうちのいずれかの前記光ファイバー光路に接続される測定部であって、接続された前記光ファイバー光路によって供給される前記測定光が透過する非線形結晶を含み、前記測定光に含まれる前記第1光と前記第2光とが同軸に前記非線形結晶に入射し、位相整合されることによって生じる前記第1光と前記第2光との周波数差に応じたテラヘルツ波が、前記非線形結晶と測定対象との界面において生じさせるエバネッセント波と、前記測定対象と、の相互作用により前記測定光の振幅または位相の少なくとも一方が変化した光を測定結果として、接続された前記光ファイバー光路を介して出力する測定部と、複数の前記測定部から前記光ファイバー光路を介してそれぞれ出力された前記測定結果が入射する強度変調器を含み、前記強度変調器に入射した複数の前記測定結果を、前記光ファイバー光路の光路長に基づいて複数の前記測定部ごとに分離することにより、前記測定部ごとに出力される前記測定結果をそれぞれ検出する検出部と、を備え、測定装置が、前記光源と、前記分配部と、前記検出部とを備え、前記測定装置と、前記測定部とは分離して構成され、前記光ファイバー光路は、前記測定装置から前記測定部が設置されている場所までの経路に配置される測定システムである。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、上述の測定システムにおいて、前記検出部は、光ファイバー光路の光路長の差によって生じる、それぞれの前記測定部から光ファイバー光路を介して供給される前記測定光どうしの到達時間差に基づいて、複数の前記測定結果を複数の前記測定部ごとに分離する。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、上述の測定システムにおいて、複数の前記測定部のうち、少なくとも一つが基準測定対象を測定する基準測定部であり、前記検出部が前記測定光から抽出する前記測定結果のうち、前記基準測定部による前記測定結果と、複数の前記測定部のうち前記基準測定部以外の測定部による前記測定結果との相対情報を判定する判定部をさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、システム全体を小型化しつつ、複数の場所の測定対象を同時に測定することができる測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の測定システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の各測定部についての光路長の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の検出部による測定結果の検出結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の測定システム1の構成の一例を示す図である。測定システム1は、測定装置10と測定部20とを備える。測定装置10と測定部20とは、光ファイバー光路FCによって接続される。
【0013】
測定装置10は、光源100と、分配部200と、検出部300と、判定部400とを備える。
光源100は、第1波長光源110と第2波長光源120とを備える。本実施形態の一例では、第1波長光源110及び第2波長光源120は、いずれも連続発振(CW)型の半導体レーザー光源を備えている。第1波長光源110及び第2波長光源120が発生させる光の周波数の差は、テラヘルツ波長に対応する。すなわち、光源100は、互いの周波数の差がテラヘルツ波長に対応する2波長の光を測定光MLとして発生させる。ここで、テラヘルツ波長とは、周波数1[THz]程度の波長をいう。本実施形態においてテラヘルツ波長の光という場合には、おおむね、周波数300[GHz]~3[THz]の波長帯の光が含まれる。すなわち、光源100は、互いの周波数の差がテラヘルツに対応する2波長の光を含む測定光MLを出射する。出射された測定光MLは、偏光制御板などを含む照射光学系OPTを介して、分配部200に入射する。
分配部200は、光源100が出射する測定光MLを複数の光ファイバー光路FCに分配する。
【0014】
測定部20は、ニオブ酸リチウムなどの非線形結晶NPCを含む。測定部20は、光ファイバー光路FCから供給される測定光MLを、非線形結晶NPCに入射させる。測定部20は、非線形結晶NPCにおいて生じるエバネッセント波EWと測定対象MTとの相互作用により測定光MLに生じる変化を測定結果RSとして出力する。
【0015】
より具体的には、測定部20は、非線形結晶NPCに測定光MLを入射させる。この測定光MLには、上述したように2波長(2色)の光が含まれる。2波長の測定光MLが同軸に非線形結晶NPCに入射すると、チェレンコフ位相整合により、測定光MLの進行方向に対して所定の角度θ方向に進行するテラヘルツ波が発生する。このテラヘルツ波の周波数は、第1波長光源110が発生させる第1光の周波数と、第2波長光源120が発生させる第2光の周波数との差に応じて定められる。したがって、第1波長光源110が発生させる第1光の周波数を可変に、又は第2波長光源120が発生させる第2光の周波数を可変にすることにより、非線形結晶NPCにおいて発生するテラヘルツ波の周波数を可変にすることができる。
非線形結晶NPCにおいて発生したテラヘルツ波は、非線形結晶NPCと非線形結晶NPCの周囲に存在する測定対象MT(例えば、気体)との界面において全反射され、非線形結晶NPCの内部に進行する。このテラヘルツ波が界面において全反射される際に、非線形結晶NPCの表面にエバネッセント波EWが発生する。発生したエバネッセント波EWには、測定対象MTの吸収係数や屈折率などにより、振幅の変化(例えば、振幅の減衰)や位相の変化(例えば、位相の遅れ)などの変化が生じる。すなわち、非線形結晶NPCにおいて生じるエバネッセント波EWと測定対象MTとの相互作用により測定光MLに振幅や位相の変化が生じる。
【0016】
測定部20は、この振幅や位相に変化が生じた測定光MLを測定結果RSとして、光ファイバー光路FCを介して測定装置10に送り返す。この測定光MLに生じた振幅や位相に変化は、測定光MLと測定対象MTとの間の相互作用を示している。つまり、測定装置10は、測定部20から送り返された測定光MLに含まれる測定結果RSを解析することにより、測定対象MTの吸収係数や屈折率などの情報を得ることができる。
【0017】
検出部300は、強度変調器310と、分波器320と、光検出器330と、ロックインアンプ340と、変調電源350とを備えている。強度変調器310と、ロックインアンプ340と、変調電源350とによって、測定部20が出力する測定光MLをロックイン検出する。この構成により、検出部300は、測定光MLのSN比を向上させる。
分波器320は、測定光MLに含まれる2波長の光を互いに分離する。光検出器330は、分波器320が分離した2波長の光の強度差を差分検出する。
検出部300は、分波器320によって差分検出された検出結果を、判定部400に出力する。
【0018】
判定部400は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを備えるコンピュータ装置であり、検出部300が出力する検出結果を判定する。
【0019】
[測定部20の配置]
次に、測定部20の配置について説明する。本実施形態においては、1台の測定装置10に対して、複数の測定部20が接続される。この一例では、4台の測定部20(測定部20-1~測定部20-4)が測定装置10に接続される場合について説明する。
【0020】
測定装置10の分配部200は、測定部20-1~測定部20-4に対して、それぞれ測定光MLを供給する。測定装置10と測定部20-1とは、光路長L1の光ファイバー光路FC(光ファイバー光路FC1)によって接続される。測定装置10と、測定部20-2とは、光路長L2の光ファイバー光路FC(光ファイバー光路FC2)によって接続される。測定部20-3及び測定部20-4もこれと同様に、光路長L3の光ファイバー光路FC(光ファイバー光路FC3)及び光路長L4の光ファイバー光路FC(光ファイバー光路FC4)によってそれぞれ測定装置10と接続される。
【0021】
測定部20-1は、非線形結晶NPCの周囲の測定対象MT(測定対象MT1)についての測定結果RS1を出力する。
同様に、測定部20-2~測定部20-4は、測定対象MT2~測定対象MT4についての測定結果RS2~測定結果RS4をそれぞれ出力する。
【0022】
この一例の構成の場合、検出部300は、測定結果RS1~測定結果RS4をそれぞれ検出する。すなわち、検出部300は、測定部20に接続される光ファイバー光路FCを介して複数の測定部20からそれぞれ供給される測定光MLをそれぞれ検出することにより、複数の測定部20がそれぞれ出力した測定結果RSをそれぞれ抽出する。
【0023】
次に、
図2を参照して、光ファイバー光路FCの光路長Lについて説明する。
図2は、本実施形態の各測定部20についての光路長Lの一例を示す図である。上述したように、測定装置10と測定部20-1との間の光路長Lは、光路長L1である。測定装置10と測定部20-2との間の光路長Lは、光路長L2である。これと同様に、測定部20-3及び測定部20-4と、測定装置10との間の光路長Lは、それぞれ光路長L3及び光路長L4である。
【0024】
ここで、測定部20と検出部300との間の光ファイバー光路FCの光路長Lは、測定部20毎に互いに異なる。同図の一例では、光路長L1<光路長L2<光路長L3<光路長L4の関係を有する。
なお、光路長Lの互いの大小関係はこれに限られず、例えば、光路長L4<光路長L2<光路長L3<光路長L1などであってもよい。
次に、
図3を参照して、検出部300によって検出される測定結果RSについて、測定部20毎に分離する仕組みについて説明する。
【0025】
図3は、本実施形態の検出部300による測定結果RSの検出結果の一例を示す図である。この一例において、測定光MLは、光源100から時刻t0において出射される。出射された測定光MLは、測定部20の線形結晶NPCにおいて測定対象MTと相互干渉した後に、検出部300に到達する。測定光MLが光源100から同時に出射された場合、出射された時刻t0から所定の到達遅延時間DL後に検出部300に到達する。この到達遅延時間DLは、光ファイバー光路FCの光路長Lに応じて定まる。上述したように、測定装置10と測定部20との間の光路長Lは、複数の測定部20毎に互いに異なる。したがって、複数の測定部20毎に、互いに異なる到達遅延時間DLによって測定光MLが検出部300に到達する。
【0026】
同図に示す一例では、測定部20-1については、出射時刻t0から到達遅延時間DL1後の時刻t1に検出部300に到達する。測定部20-2については、出射時刻t0から到達遅延時間DL2後の時刻t2に検出部300に到達する。測定部20-3については、出射時刻t0から到達遅延時間DL3後の時刻t3に検出部300に到達する。測定部20-4については、出射時刻t0から到達遅延時間DL4後の時刻t4に検出部300に到達する。
【0027】
この場合において、検出部300は、測定結果RS1の到達タイミングである時刻t1と、測定結果RS2の到達タイミングである時刻t2との到達時間差Δtに基づいて、測定部20-1による測定結果RS1と、測定部20-2による測定結果RS2とを分離する。同様にして、検出部300は、測定部20-3による測定結果RS3と、測定部20-4による測定結果RS4とを、他の測定部20による測定結果RSから分離する。
すなわち、検出部300は、光ファイバー光路FCの光路長Lの差によって生じる、それぞれの測定部20から光ファイバー光路FCを介して供給される測定光MLどうしの到達時間差Δtに基づいて、測定光MLに含まれる複数の測定結果RSを、測定部20毎に分離する。
【0028】
ここで、複数の測定部20のうち、少なくとも一つが基準測定対象SMTを測定する基準測定部であってもよい。ここでは、測定部20-1が基準測定部である場合について説明する。
この一例では、測定システム1は、研究施設や工場などの建物の各部屋のガス濃度(例えば、水素濃度)を測定対象MTとして測定するシステムとして構成される。測定部20は、建物の各部屋に1台(又はそれ以上)ずつ配置される。ここで、測定部20-1は、基準測定部として基準測定対象SMT(例えば、大気などの基準雰囲気SA)中に配置される。この場合、基準測定部である測定部20-1が出力する測定結果RS1は、測定光MLと基準雰囲気SAとの相互作用の結果を示す。つまり、測定結果RS1は、測定対象MTのガス濃度が0(ゼロ)(又は0に極めて近い値)である場合の結果を示す。
なお、測定部20による測定対象MTは、基準測定対象SMTと判別可能であれば水素に限られず、例えば、硫化水素や、メタンなどの炭化水素などであってもよい。
【0029】
判定部400は、検出部300が測定光MLから抽出する測定結果RSのうち、基準測定部20-1による測定結果RSと、複数の測定部20のうち基準測定部20-1以外の測定部20による測定結果RSとの相対情報を判定する。
一例として、判定部400は、測定結果RS1が示す「ガス濃度0(ゼロ)」を基準にして、測定結果RS2~測定結果RS4を判定する。判定部400は、測定結果RS1と、測定結果RS2との差分が小さい場合には、測定部20-2が設置されている場所の測定対象MT2のガス濃度が0(ゼロ)に近いと判定する。また、判定部400は、測定結果RS1と、測定結果RS2との差分が大きくなった場合には、測定部20-2が設置されている場所の測定対象MT2のガス濃度が変化した(例えば、ガス濃度が上昇した)と判定する。
【0030】
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の測定システム1は、測定装置10と測定部20とが分離して構成されている。また、本実施形態の測定システム1は、1台の測定装置10に対して、複数の測定部20を備えている。
ここで、測定部20は、測定装置10に比べて小型かつ安価に構成できる。一方、測定装置10は、レーザー光源や光検出装置など、比較的仕組みが複雑で高価かつ設置面積が大きな装置で構成される。仮に、複数の場所の測定対象MTを同時に測定する場合において、複数台の測定装置を用いるとすると、システム全体の設置面積や価格が上昇してしまう。
本実施形態の測定システム1によれば、比較的仕組みが複雑で高価かつ設置面積が大きな測定装置10を複数用意しなくても、複数の場所の測定対象MTを同時に測定することができる。つまり、本実施形態の測定システム1によれば、システム全体を小型化かつ低廉に構成することができる。
【0031】
また、本実施形態の測定システム1によれば、測定装置10と測定部20とを光ファイバー光路FCによって接続している。この光ファイバー光路FCは、比較的径を細く構成することができ、かつ屈曲性が比較的大きいことから、測定装置10から測定部20の設置されている場所までの経路が比較的複雑であったとしても容易に引き通すことができる。つまり、本実施形態の測定システム1によれば、測定部20の配置の自由度を高めることができる。
また、本実施形態の測定システム1において、測定部20が可搬型に構成されてもよい。測定部20や光ファイバー光路FCは、測定装置10に比べ軽量に構成することができる。このため、本実施形態の測定システム1は、測定装置10を可搬型に構成する場合に比べ、可搬部(この一例では、測定部20と光ファイバー光路FC)を軽量化することができる。
【0032】
また、本実施形態の測定システム1において、測定部20と検出部300との間の光ファイバー光路FCの光路長Lは、測定部20毎に互いに異なるように構成される。このように構成された測定システム1によれば、測定部20毎の測定結果RSを容易に分離することができる。
【0033】
また、本実施形態の測定システム1において、検出部300は、光ファイバー光路FCの光路長Lの差によって生じる、それぞれの測定部20から光ファイバー光路FCを介して供給される測定光MLどうしの到達時間差Δtに基づいて、測定光MLに含まれる複数の測定結果RSを、測定部20毎に分離する。このように構成された測定システム1によれば、測定部20毎の測定結果RSを容易に分離することができる。
【0034】
また、本実施形態の測定システム1において、判定部400は、検出部300が測定光MLから抽出する測定結果RSのうち、基準測定部20-1による測定結果RSと、複数の測定部20のうち基準測定部20-1以外の測定部20による測定結果RSとの相対情報を判定する。このように構成された測定システム1によれば、測定対象MTについての判定基準データをあらかじめ用意しなくても、測定対象MTの状態(例えば、ガス濃度)を容易に判定することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0036】
なお、上記の実施形態における演算装置10及び演算管理装置20が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
【0037】
なお、演算装置10及び演算管理装置20が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、演算装置10及び演算管理装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0038】
また、演算装置10及び演算管理装置20が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、制御部が備える各部による処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0039】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…測定システム、10…測定装置、20…測定部、100…光源、200…分配部、
300…検出部、400…判定部、FC…光ファイバー光路