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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】スナップボタン
(51)【国際特許分類】
   A44B 17/00 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
A44B17/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020517324
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 CN2018104044
(87)【国際公開番号】W WO2019105089
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】15/826,862
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516333034
【氏名又は名称】デュラフレックス ホンコン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】オウ, ウェイ リョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, イック ファイ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0137373(US,A1)
【文献】特開平06-165706(JP,A)
【文献】特開2010-264147(JP,A)
【文献】実開昭60-069011(JP,U)
【文献】国際公開第2008/111622(WO,A1)
【文献】中国実用新案第2511163(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、底面と、前記底面から延びる円環状のフランジとを備える基部によって構成されるキャップであって、前記フランジは、その内側に複数の中断部を有するキャップと、ソケットであって、上面、底面、中心孔を有する円板と、前記ソケット内に配置された環状のインサートとによって構成されるソケットと有し、前記キャップは、前記フランジが前記環状のインサートの周りで曲がって前記キャップを前記ソケットに固定するまで前記ソケットを前記キャップに押し付けることにより、前記ソケットに接続される雌部と、
スタッドを有し、前記スタッドが前記ソケットを貫通してかつ前記キャップ内に延びるように、前記スタッドを前記ソケットにスナップ留めすることにより、前記雌部に接続される雄部と、を有し、
前記ソケット内の前記インサートは、S字形の断面を有するスナップボタン。
【請求項2】
前記雄部は、円板と、前記円板から延びるポスト要素とによって構成されるポストをさらに有し、
前記スタッドは、前記ポスト要素の形状に対応する凹みを有する円板によって構成され、前記スタッドは、前記ポスト要素を前記凹みに挿入することによって前記ポストに接続される請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項3】
前記フランジは、前記キャップの前記基部とは個別の部品によって構成され、かつ前記キャップに固定される請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項4】
前記フランジの内側に周方向に配置された、組をなす複数の歯をさらに有し、前記歯は、前記スタッドが前記雌部に挿入されるときに前記スタッドを把持するように構成される請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項5】
前記歯は、プラスチック製であり、かつ前記基部及びフランジは、金属製である請求項4に記載のスナップボタン。
【請求項6】
前記歯は、前記基部と前記フランジとの間に配置されるプラスチックインサートに配置される請求項4に記載のスナップボタン。
【請求項7】
前記フランジは、前記キャップの前記基部と一体に形成されている請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項8】
前記基部の下面において、前記フランジの外側の周りに周方向に配置された複数のスパイクをさらに有し、前記スパイクは、前記キャップ及びソケットが接続されるとき、前記キャップと前記ソケットとの間に配置される布の層を把持するように構成される請求項1に記載のスナップボタン。
【請求項9】
2~5個の歯がある請求項4に記載のスナップボタン。
【請求項10】
前記ソケットは、前記スタッドを保持するためのばねを含む、請求項に記載のスナップボタン。
【請求項11】
前記ソケット内に配置され、前記スタッドが前記ソケットの前記中心孔に挿入されるときに前記スタッドを把持するためのリングバネをさらに有する請求項に記載のスナップボタン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの物品を互いに接続する際に使用するスナップボタンに関する。特に、本発明は、非常に薄型であり、かつ組み付けが簡単なスナップボタンに関する。
【背景技術】
【0002】
スナップボタンは、概して、4つの個別の部品、即ち、スナップの雌部分を形成するキャップ及びソケットと、スナップの雄部分を形成するスタッド及びポストとによって構成されている。キャップとソケットとの間に、かつまたスタッドとポストとの間に布が配置されるため、スタッドがソケットにスナップ留めされると2つの布片が互いに接続される。一般的なスナップボタンの問題の1つは、これらが嵩張る場合があり、4つの個別の部品を互いに接続するとスナップの重量及び寸法が増す可能性があるため、スナップボタンが扱い難く魅力のないものになることである。加えて、スナップの大半は2層の布間に位置する傾向にあることから、水、空気及び埃が入るおそれがあるため、布の接続が理想的なものでない。
【0003】
加えて、一般的な金属スナップは、係合及び離脱の音が大きいことがあるため、狩猟用具などの一部の状況で使用するのに望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、非常に薄型であり、かつ物品の接続を妨げないスナップボタンを提供することである。本発明の別の目的は、静かに係合及び離脱可能なスナップボタンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの及び他の目的は、雌部と雄部とを有するスナップボタンによって達成される。雌部は、キャップ及びソケットであって、その間に布片を有して互いに接続されるキャップ及びソケットから形成されている。キャップは、上面と、底面と、底面から延びる円環状のフランジとを有する基部から形成されている。フランジは、フランジが組み付け中に外側に曲げられ得るようにその中に複数の中断部を有している。ソケットは、上面と、底面と、中心孔と、上面から延びる周辺縁とを有する円板と、ソケット内に配置された環状のインサートとによって構成されている。キャップは、フランジが環状のインサートの周りで曲がって、その間に布を捕らえた状態でキャップをソケットに固定するまでソケットをキャップに押し付けることにより、ソケットに接続される。インサートは、好ましくは断面がS字形であり、及びフランジは、S字の曲線の周りで曲がってキャップとソケットとを接続する。フランジは、好ましくは、一連の均等に配置された中断部を有してプロングを作成する。プロングは、曲線の輪郭を有していてもよい。好ましくは、プロングは、キャップから90~100度の角度で延び、組み付け中のダイマシンによるプロングの曲げを容易にする。基部及びフランジは、金属から形成されることが好ましい。
【0006】
スタッドを有する雄部は、スタッドがソケットを完全に貫通してかつキャップ内に延びるように、スタッドをソケットにスナップ留めすることにより、雌部に接続される。この配置は、いくつかの利点を有している。第1に、スタッドは、本質的にキャップとソケットとの間の布を貫通してキャップまで延びるため、雄部に接続された布と雌部に接続された布とを互いに非常に接近させて配置することができ、スナップが取り付けられている物品又は衣服の機能が向上する。加えて、ソケット上のキャップがスタッドを保護し、衝撃時でも部品の不意の分離を防ぐ。
【0007】
雄部は、雌部に挿入するためのスタッドを有する任意の標準的な雄スナップ部であり得る。特に、雄部は、2つの構成要素、即ち、円板から延びる突起を有する円板によって構成されるポストと、ポストの形状に対応する凹みを有する円板によって構成されるスタッドとから構成され得る。スタッドは、ポストを凹みに挿入することによってポストに接続される。スタッドの一部分は、ポストがスタッド内に圧入によって維持されるようにポストよりも狭い。ポスト及びスタッドは、ポストをスタッドの凹みに挿入する前に布の穴に配置することにより、布の層の周りで接続される。
【0008】
好適な実施形態では、キャップのフランジの内側に周方向に配置された、組をなす複数の歯がある。歯は、スタッドが雌部に挿入されるときにスタッドを把持するように構成される。歯は、各歯の先端近傍で内側に延びてスタッドの把持を補助する突起を有していてもよい。歯は、キャップ内で金属フランジの下に配置されるプラスチックインサートによって構成されている。プラスチックの使用により、スナップボタンの留め及び取り外しが非常に静かになり、使用中に発生する振動を低減する。プラスチックは、また、圧力下で曲がりかつスタッドの挿入を可能にする。加えて、歯間の空隙により、スナップが係合及び離脱する際に空気が抜けることによるパチンという音がしない。2~5個の歯があることが好ましい。キャップのフランジ及び基部は、それらの間における歯のインサートの組み付けを可能にするために個別の金属部品で構成される。
【0009】
別の実施形態では、フランジは、キャップの基部と一体に形成されている。キャップは、上述と同様にソケットに接続される。この実施形態では、歯を有するインサートはなく、及びスタッドは、ソケットに直接挿入され、かつソケット内の一般的なリングバネによってソケットに保持される。この実施形態では、基部の下面において、フランジの外側の周りに周方向に配置された複数のスパイクがある。スパイクは、キャップ及びソケットが接続されるとき、キャップとソケットとの間に配置される布の層を把持するように構成される。布は、スパイクを収容するための穴が予め開けられてもよい。
【0010】
両実施形態では、スタッドは、ソケットを完全に貫通してキャップまで延び、非常に薄型のスナップボタンを構成する。
【0011】
本発明の他の目的及び特徴は、添付の図面と共に考慮される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。ただし、図面は、本発明の限定を定義するものではなく、単なる説明として意図されていることを理解すべきである。
【0012】
図面において、いくつかの図に亘る類似の参照符号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるスナップボタンのキャップの斜視図を示す。
図2】キャップの上面図を示す。
図3図2の切断線III-IIIに沿って取った断面図を示す。
図4】本発明によるスナップボタンのソケットの斜視図を示す。
図5】ソケットの上面図を示す。
図6図5の切断線VI-VIに沿って取った断面図を示す。
図7】本発明によるスナップボタンのスタッドの斜視図を示す。
図8】スタッドの上面図を示す。
図9図8の切断線IX-IXに沿って取った断面図を示す。
図10】本発明によるスナップボタンのポストの斜視図を示す。
図11】ポストの上面図を示す。
図12図11の切断線XII-XIIに沿って取った断面図を示す。
図13】2つの布片に組み付けられたスナップボタンの側面図を示す。
図14図13の切断線XIV-XIVに沿って取った断面図を示す。
図15】本発明によるスナップボタンのキャップの別の実施形態を示す。
図16図15のキャップの側面図を示す。
図17図15のキャップと共に使用するためのソケットの上面図を示す。
図18図17のソケットの底面図を示す。
図19図15図18のキャップ及びソケットを使用したスナップボタンの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで、図面の詳細を参照すると、特に図1図3は、本発明によるスナップボタンのキャップ10を示す。キャップ10は、縁12を有する基部11と、基部11から上に延びる環状のフランジ13とを有している。環状のフランジ13は、その円周上に複数の中断部14を有し、複数の均等に配されたプロング15を形成する。基部11の内部及びフランジ13の下に配置されているのは、フランジ13の内部において、周囲を取り巻くように配置された複数の歯17を有するインサート16である。インサート16は、プラスチック製であることが好ましく、また、歯17は、歯間にスペースを有して配置されることが好ましい。
【0015】
図4図6は、本発明によるソケット20を示す。ソケット20は、環状の形状であり、中心孔21と、上縁22と、下縁23とを有している。上縁22は、下縁23よりも円周が小さい。環状のインサート24が上縁と下縁との間に配置される。環状のインサート24は、S字形の断面を有している。
【0016】
図7図9は、本発明によるスタッド30を示す。スタッド30は、円板形状の基部31を有し、円板形状の基部31からスタッド要素32が上方に延びている。スタッド要素32は、筒状の側壁33と上面34とを有し、側壁33内に窪み36がある。基部31は、その周りに延びるリッジ35を有していてもよい。
【0017】
図10図12は、本発明によるポスト40を示す。ポスト40は、円板形状の基部41と、円板形状の基部41から上方に延びるポスト要素42とを含む。ポスト要素42は、その側部に1つ以上の窪み43と、その上面に窪み44とを有していてもよい。
【0018】
図13図14に示すように、キャップ10、ソケット20、スタッド30、また、ポスト40は、全て2層の布に組み付けられて、2層の布を接続するスナップボタンを構成することができる。ポスト40のポスト要素42は、布50の穴に挿入される。布50の縁端部がポスト要素42の基部の周りで曲げられて、圧入によってポスト40がスタッド30に接続することを可能にする。
【0019】
キャップ10は、布60の層に穴を形成し、この穴を通してフランジ13を挿入し、かつフランジ13のプロングがインサート24の周りで曲がってキャップ10をソケット20に固定するまで、フランジ13をソケット20のインサート24の周りで押し付けることにより、ソケット20に接続される。この押し付けは、ダイプレスによって行うことができる。押し付け中、均等に配されたプロングによってダイマシンによる力の分散を補助する。この押し付け後、歯17は、ソケット20を貫通して上縁22を僅かに越えるところまで延びている。
【0020】
キャップ10とソケット20とによって構成されるスナップボタンの雌部は、歯17の内側に形成されたスペース19にスタッド要素32を挿入することにより、スナップボタンの雄部に接続され得る。歯17は、内側に延びる突起18を有している。突起18は、スタッド要素32を押し、スタッド要素32をキャップ10に接続した状態に維持する。組み付け後、スタッド要素32は、ソケット20を完全に貫通してキャップ10のインサート16の内部表面まで延び、その結果、布50のみならず、布60も貫通して延びている。このように、スナップボタンの雄部品と雌部品との間の接続は、多くのスタップボタンのように2層の布間ではなく、両方の層の外側で起こる。この特徴により、布の層は、互いにより接近して接続され、空気及び水に対するより良好な閉鎖がもたらされる。
【0021】
本発明によるスナップボタンの雌部の第2の実施形態が図15図19に示される。図15及び図16は、この第2の実施形態によるキャップ70を示す。ここで、キャップ70は、中断部73を有してプロング74を形成するフランジ72と一体に形成される基部71から形成されている。複数のスパイク75は、基部71上において、フランジ72の外側の周囲に配置され、かつ基部71に実質的に垂直に延びている。
【0022】
図17及び図18は、キャップ70と共に使用するためのソケット80を示す。ソケット80は、中心孔82を有する基部81から形成され、中心孔82にリングバネ86が配置される。基部81内に環状のインサート83が配置される。インサート83は、S字形の断面を有している。使用時に、キャップ70は、図19に示すように、布60の穴を通してプロング74を挿入し、かつプロング74がインサート83の周りで曲がるまでプロング74をソケット80に押し込むことにより、ソケット80に組み付けられる。同時に、スパイク75は、布60をキャップ70に更に固定するために布60を通して押される。布60は、組み付けを容易にするために、スパイク75のための穴が予め開けられてもよい。スパイク75は、使用時に、布が引かれたり引っ張られたりした場合であっても布を適所に維持し、布の中心穴の破損を防ぐ。
【0023】
キャップ70及びソケット80は、図7図14に示したものと同じスタッド30及びポスト40と共に使用することができる。組立品の全体を図19に示す。スタッド要素32を把持するための歯がないため、リングバネ86がソケット80内に取り付けられている。リングバネ86は、スタッド要素32を挿入すると拡張し、スタッド要素32に対するリングバネ86の圧力によってスタッド要素32をソケット80に接続された状態に維持する。前述の実施形態と同様に、スタッド要素32がソケット80を完全に貫通してキャップ70の基部71に到達するため、雄部品と雌部品との接続は、2層の布50及び60間では全く生じず、60の外側で生じる。
【0024】
以上、本発明のいくつかの実施形態のみを示しかつ記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態に対する多くの変更態様及び修正態様がなされてもよいことは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19