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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ポンプユニット
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/06 20060101AFI20220610BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20220610BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
F04C15/06 D
F04C15/06 B
F04C2/10 341E
B01D19/00 102
B01D19/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017082850
(22)【出願日】2017-04-19
(65)【公開番号】P2018178937
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 直人
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-004660(JP,A)
【文献】特開2000-034762(JP,A)
【文献】特開2009-150315(JP,A)
【文献】特開2007-239611(JP,A)
【文献】特開2009-235918(JP,A)
【文献】特開2009-235917(JP,A)
【文献】特開2015-94298(JP,A)
【文献】特開2011-94775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/06
F04C 2/10
B01D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、吸い込んだ液体を吐出するポンプと、
前記ケーシングに設けられ、前記ポンプより吐出された液体から気体富化液を分離させるサイクロン室と、
前記ケーシングに設けられ、前記気体富化液から気体を分離させる気体分離室と、
前記サイクロン室から前記気体富化液を流出させるオリフィスと、
調整バルブと、
前記オリフィスの下流において、前記ケーシングに取り付けられる第1の部材に設けられ、前記気体分離室と連通する複数の通路であって、前記オリフィスと略同軸上に配置された第1の通路と、前記第1の通路と別に設けられ、前記調整バルブを収容する収容部、及び前記収容部の延びる方向から偏心する位置に設けられ、前記気体富化液を前記気体分離室に向かって流出させる流出部を有する第2の通路と、を含む複数の通路と、
前記オリフィスから前記複数の通路に分岐する分岐部と、を備え、
前記第1の部材は、前記複数の通路を含み、前記サイクロン室と連通する第1の連通部と、前記気体分離室と連通する第2の連通部とを有し
前記第1の連通部及び前記第2の連通部は、前記第1の部材に取り付けられる第2の部材に設けられる第3の連通部を通じて連通しており、
前記調整バルブは、弁体が前記収容部内を移動することにより、液体に混入する気体量に応じて前記分岐部から前記第2の通路へと通流する液体の量を調整する、
ポンプユニット。
【請求項2】
前記流出部は、前記第1の通路の流路面積よりも大きい流路面積を有する、
請求項1に記載のポンプユニット。
【請求項3】
前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記ケーシングから着脱可能に構成される、
請求項1又は2に記載のポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
吸い込んだ液体を吐出するポンプと、ポンプが吐出する液体から気体を比較的多く含む液体(以下、気体富化液と称する)を分離させるサイクロン室と、サイクロン室から流入する気体富化液から気体を分離させる気体分離室と、ポンプ、サイクロン室、及び気体分離室等が設けられるケーシングとを備えるポンプユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-234754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポンプが吐出する液体に混入する気体量は変動する。そのため、サイクロン室と気体分離室との間の通流面積を比較的小さい状態で固定にしてしまうと、液体に含まれる気体富化液を十分に排出させることができない可能性がある。一方、サイクロン室と気体分離室との間の通流面積を比較的大きい状態で固定してしまうと、気体分離室に流入する液体の流入量が多くなり、気体の混入量が少ない液体まで気体分離室に排出させてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、サイクロン室に流入される液体に混入する気体量に応じて、適切に気体富化液を分離させることが可能なポンプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、吸い込んだ液体を吐出するポンプと、
前記ケーシングに設けられ、前記ポンプより吐出された液体から気体富化液を分離させるサイクロン室と、
前記ケーシングに設けられ、前記気体富化液から気体を分離させる気体分離室と、
前記サイクロン室から前記気体富化液を流出させるオリフィスと、
調整バルブと、
前記オリフィスの下流において、前記ケーシングに取り付けられる第1の部材に設けられ、前記気体分離室と連通する複数の通路であって、前記オリフィスと略同軸上に配置された第1の通路と、前記第1の通路と別に設けられ、前記調整バルブを収容する収容部、及び前記収容部の延びる方向から偏心する位置に設けられ、前記気体富化液を前記気体分離室に向かって流出させる流出部を有する第2の通路と、を含む複数の通路と、
前記オリフィスから前記複数の通路に分岐する分岐部と、を備え、
前記第1の部材は、前記複数の通路を含み、前記サイクロン室と連通する第1の連通部と、前記気体分離室と連通する第2の連通部とを有し
前記第1の連通部及び前記第2の連通部は、前記第1の部材に取り付けられる第2の部材に設けられる第3の連通部を通じて連通しており、
前記調整バルブは、弁体が前記収容部内を移動することにより、液体に混入する気体量に応じて前記分岐部から前記第2の通路へと通流する液体の量を調整する、
ポンプユニットが提供される。

【発明の効果】
【0007】
本実施の形態によれば、サイクロン室に流入される液体に混入する気体量に応じて、適切に気体富化液を分離させることが可能なポンプユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ポンプユニットの構成の一例を模式的に示す図である。
図2】ポンプユニットにおける液体(燃料)の流れを概略的に示すブロック図である。
図3】ポンプユニットの流量調整部の構造の一例を示す断面図である。
図4】ポンプユニットの流量調整部の構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
まず、図1図2を参照して、本実施形態に係るポンプユニット1の基本構成について説明をする。
【0011】
図1は、本実施形態に係るポンプユニット1の構成の一例を模式的に示す図である。図2は、本実施形態に係るポンプユニット1における液体の流れを順に示す図である。
【0012】
尚、図1は、ポンプユニット1の構成を模式的に2次元で示しており、例えば、ケーシング30内に形成される各種構成は、実際上、3次元的に配置されてよい。また、図1における矢印は、ポンプ駆動時(後述するギヤポンプ48の駆動時)の液体の流れを示している。
【0013】
図1図2に示すように、ポンプユニット1は、例えば、ガソリンや軽油などの液体燃料(以下「液体」と称する)を供給する燃料供給装置に搭載され、地下タンク12に貯蔵された燃料を汲み上げると共に、液体に含まれる気泡を分離させて流量計20へ送液する。
【0014】
尚、流量計20で計測された液体燃料は、燃料供給装置のホース、ノズルを介して車両等の燃料タンクに供給される。
【0015】
ポンプユニット1は、ケーシング30の内部に形成された流入室31、ロータ室32、サイクロン室(気液分離室)33、流出経路34、気体分離室36、フィルタ室55等を含む。
【0016】
流入室31には、ケーシング30の底部に開口する流入口37に連通されたストレーナ取付室38と、ストレーナ取付室38の下流側(流出側)に隣接された逆止弁取付室39とが設けられている。また、ストレーナ取付室38の流出側と逆止弁取付室39の流入側との間は、弁座45の開口を介して連通されている。
【0017】
ストレーナ取付室38には、ストレーナ44が収容されている。ストレーナ44は、流入口37から流入された液体に含まれる異物を捕捉する金網を含んで構成され、流入側の一端が開放され、流出側の他端が閉じられる略円筒形状を有する。
【0018】
後述するギヤポンプ48が駆動することにより流入口37から吸引された液体は、ストレーナ44により濾過された後、弁座45の開口を通過して逆止弁取付室39に流入する。
【0019】
逆止弁取付室39には、流入側逆止弁40が開閉動作可能に設けられている。また、逆止弁取付室39の上部(下流側)には、ギヤポンプ48のロータ室32へ液体を供給するための流路41が設けられている。
【0020】
流入側逆止弁40は、コイルバネ42の弾性力により弁座45を閉弁する方向に付勢されており、ポンプ駆動時の吸込み圧力(負圧)により開弁し、ポンプ停止時は吸込み圧力が所定値以下になると閉止する。そのため、流入側逆止弁40が開弁動作すると、液体燃料は、流路41を通ってロータ室32に接続される吸込み側流路46に流出される。
【0021】
ロータ室32には、ギヤポンプ48(ポンプの一例)が設けられている。ギヤポンプ48は、モータの回転駆動力が伝達されて回転するアウターロータ50と、アウターロータ50により回転駆動されるインナーロータ52とを含む。
【0022】
アウターロータ50は、図示しない回転軸を中心として回転可能に支持され、ロータ室32の内径に対応した略円盤形状を有し、円盤形状の平面の外縁側には半円形状の係合部50aが回転方向(周方向)に所定のピッチ(間隔)で複数個設けられている。また、インナーロータ52は、インナー回転軸53により回転可能に支持されており、外周にはアウターロータ50の係合部50aに対応する半円形状の凹部52aが所定のピッチ(間隔)で複数個設けられている。
【0023】
アウターロータ50の回転中心とインナーロータ52の回転中心(インナー回転軸53)とは、上下方向に偏心しており、インナーロータ52の外周とアウターロータ50の内周との間には、偏心量に応じた三日月形状の仕切り部51が設けられている。例えば、図1に示すように、インナーロータ52は、回転中心がアウターロータの50の回転中心より下方に設けられ、仕切り部51は、インナーロータ52と外接すると共に、アウターロータ50と内接するように、アウターロータ50の回転中心より上方に設けられている。仕切り部51の内周面51aは、インナーロータ52の外周が摺接するピニオン摺接面であり、仕切り部51の外周面51bは、アウターロータ50の係合部50aが摺接するロータ摺接面である。
【0024】
アウターロータ50の係合部50aがインナーロータ52の凹部52aに係合することにより、アウターロータ50のモータによる回転駆動に応じて、インナーロータ52も同一方向に回転駆動される。そして、ロータ室32の負圧発生により流入側逆止弁40が開弁し、ストレーナ44を通過した液体がロータ室32の吸込み口32cに吸引される。ギヤポンプ48において、アウターロータ50及びインナーロータ52が反時計方向に回転駆動されることにより、吸込み側流路46から吸引された液体は、インナーロータ52の凹部52a及びアウターロータ50の係合部50a間に流入し、ロータ室32の吐出口32dに連通された吐出側流路47へ吐出される。
【0025】
尚、ポンプユニット1は、ギヤポンプ48の代わりに、ベーン(羽根)型のポンプを備える態様であってもよい。
【0026】
ギヤポンプ48から吐出された液体は、吐出側流路47の下流に配置されたサイクロン室(気液分離室)33へ流入される。サイクロン室33は、略円筒形状を有すると共に、略円筒形状の中心軸が水平方向に沿う態様で設置される。また、サイクロン室33は、略円筒形状の開放される一端側、即ち、下流側がフィルタ54を有するフィルタ室55に連通されると共に、他端側の内壁には気体を比較的多く含んだ気体富化液を気体分離室36に回収するための連通孔58(オリフィスの一例)が設けられている。連通孔58は、流量調整部100に接続されると共に、流量調整部100を通じて、気体分離室36に連通している。後述の如く、気体富化液は、気体分離室36の旋回中心付近、即ち、略円筒形状の中心軸付近に分離されるため、連通孔58は、サイクロン室33の略円筒形状の中心軸と交差する内壁部分に設けられるとよい。
【0027】
尚、サイクロン室33は、垂直方向に設置される態様であってもよいし、垂直方向よりも水平方向に傾斜した傾斜方向に設置される態様であってもよい。
【0028】
サイクロン室33内に流入した液体は、サイクロン室33内にて旋回する。気体の混入量が比較的多い液体(気体富化液)は、比重が小さいためにサイクロン室33の旋回中心付近に集まり易く、旋回中心付近の気体富化液と、旋回流に沿って下流側(フィルタ室55側)に流出する、気体の混入量が低減された液体とに分離される。液体から分離された気体富化液は、連通孔58から流量調整部100を通じて気体分離室36へ流出され、気体富化液が分離された液体はフィルタ室55へ流入する。
【0029】
流量調整部100は、その一端がサイクロン室33の内壁に設けられる連通孔58に接続されると共に、他端が気体分離室36の内壁に設けられる連通孔59に接続され、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量に応じて、サイクロン室33から気体分離室36に通流する、気体富化液を含む液体の量を調整する。流量調整部100は、サイクロン室33の連通孔58の下流側に設けられる複数(本実施形態では、2つ)の通路102,104と、通路104に設けられる調整バルブ106を含む。
【0030】
通路102、104は、共に、サイクロン室33の連通孔58と気体分離室36の連通孔59との間を接続する液体の通流経路である。通路102は、常時、連通状態にあり、一方、通路104は、調整バルブ106の開閉状態に応じて、連通/非連通が切り替わると共に、調整バルブ106の開度に応じて、通流する液体の流量が変化する。即ち、サイクロン室33から気体分離室36に気体富化液を含む液体を排出する流路面積は、通路102の流路面積を最小とし、通路102,104の流路面積の合計を最大とする範囲で、調整バルブ106の開閉状態及び開度に応じて、可変される。
【0031】
調整バルブ106は、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量に応じて、通路104を通じてサイクロン室33から気体分離室36に通流する液体の量を調整する。具体的には、調整バルブ106は、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が多いほど、通路104を通流する液体の量を多くし、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が少ないほど、通路104を通流する液体の量を少なくする。そして、調整バルブ106は、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が所定値以下である場合、通路104を非連通にする。例えば、調整バルブ106は、サイクロン室33に流入される液体の圧力(即ち、連通孔58及び通路104の上流側の液体から作用する圧力)が所定値より低くなると開弁し、圧力の低下に応じて、開弁量が大きくなる態様であってよい。液体に混入する気体量が多いほど、液体の圧力が小さくなるからである。これにより、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が比較的少ない場合、通路104の流量が少なくなる、或いは、通路104が非連通となるため、気体の混入量が比較的少ない液体までも気体分離室36に排出されないようにすることができる。また、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が比較的多い場合、通路104の流量が多くなるため、気体の混入量が比較的多い液体から分離される、比較的多量の気体富化液を十分に排出させることができる。即ち、液体に混入する気体量に応じて、適切に、気体富化液をサイクロン室33から気体分離室36に排出させることができる。
【0032】
気体分離室36の底部には、液体をギヤポンプ48のロータ室32に戻す、戻し孔60が設けられ、天井部には大気開放孔62が設けられている。また、気体分離室36には、戻し孔60を開閉するフロート弁70が設けられている。フロート弁70は、気体分離室36内の気体富化液を含む液体の液面高さが所定高さ以上の場合に戻し孔60を開弁する。
【0033】
気体分離室36において、液体に含まれる気泡(気体)は上部空間に浮上し、大気開放孔62から大気中に放出される。また、気泡が分離された液体は、液面高さが所定高さに達したときフロート弁70の開弁により戻し孔60を通過して吸込み側流路46に戻される。
【0034】
一方、サイクロン室33において、気体富化液が分離された液体は、フィルタ54により濾過された後に流出経路34を通過して流量計20に供給される。
【0035】
尚、流出経路34に設けられた流出側逆止弁64は、ギヤポンプ48によって送出された液体の圧力により開弁する。
【0036】
また、吐出側流路47には、リリーフ弁80が設けられている。吐出側流路47の液圧、即ち、ギヤポンプ48から吐出される液体の液圧(吐出圧力)が所定のリリーフ圧以上に高まった場合、吐出側流路47の液体の一部は、リリーフ弁80を開弁させてギヤポンプ48のロータ室32に戻される。リリーフ弁80は、コイルバネ82の弾性力により閉弁方向に付勢されており、吐出側流路47の吐出圧力と、コイルバネ82の弾性力にロータ室32の吸込み圧力を加えた合力との差に応じて開閉する。
【0037】
次に、図3図4を参照して、流量調整部100の構成の詳細について説明をする。
【0038】
図3図4は、ポンプユニット1の流量調整部100の構成の一例を示す断面図である。具体的には、図3は、調整バルブ106の閉弁時における流量調整部100の構成の一例を示す断面図であり、図4は、調整バルブ106の開弁時における流量調整部100の構成の一例を示す断面図である。
【0039】
尚、図3図4における点線矢印は、ポンプ駆動時の気体富化液を含む液体の流れを示している。
【0040】
図3図4に示すように、流量調整部100は、上述の如く、通路102,104と、調整バルブ106を含む。また、流量調整部100は、通路102,104が合流する合流部112と、合流部112とケーシング30内の気体分離室36(連通孔59)とを接続する通路114を含む。通路102,104と、通路114は、ケーシング30に対して脱着可能に取り付けられる中間部材108の内部に形成され、合流部112は、中間部材108に取り付けられ、中間部材108を介してケーシング30の外部に連通する通路102,104と、通路114とを蓋閉する蓋部材110に形成される。中間部材108及び蓋部材110は、例えば、同一のボルト130を利用して、ケーシング30の外側面30aにボルト締結される。即ち、蓋部材110は、ボルト130を利用して、中間部材108に取り付けられると共に、ケーシング30に取り付けられる。
【0041】
尚、蓋部材110は、ケーシング30に取付後の中間部材108に取り付けられる態様であってもよい。また、中間部材108のケーシング30との取付面108aには、通路102,104に対応する部分(具体的には、後述する分岐部104a)を取り囲む円環状の凹部116が設けられ、凹部116には、シール材118が収容される。また、中間部材108のケーシング30との取付面108aには、通路114に対応する部分を取り囲む円環状の凹部120が設けられ、凹部120には、シール材122が収容される。また、中間部材108と蓋部材110との間には、ガスケット124が介装されると共に、ガスケット124には、蓋部材110に形成される合流部112に対応する切欠き部が設けられる。
【0042】
サイクロン室33の内壁に設けられる連通孔58、及び気体分離室36の内壁に設けられる連通孔59は、共に、ケーシング30の外側面30aに対して略垂直方向に貫通し、ケーシング30の外部と連通している。
【0043】
中間部材108は、略平行であり、且つ、外側面30aに貫通する連通孔58,59を十分に覆うことが可能な表面積を有する、ケーシング30の取付面108aと、蓋部材110の取付面108bを有する。中間部材108には、ケーシング30に取り付けられた状態で、連通孔58に対応する取付面108aの部分から取付面108bに向けて貫通する態様で通路102、104が形成される。また、中間部材108には、ケーシング30に取付られた状態で、連通孔59に対応する取付面108aの部分から取付面108bに向けて貫通する通路114が形成される。
【0044】
通路102は、略円柱形状の貫通孔であり、ケーシング30に取り付けられた状態の中間部材108において、ケーシング30の外側面30aを貫通する連通孔58から延設される態様で、取付面108aと取付面108bとの間を、取付面108a,108bに対して略垂直方向に貫通している。
【0045】
通路104は、通路102から分岐する分岐部104aと、調整バルブ106が収容されるバルブ収容部104bと、調整バルブ106を通過した液体が流出される流出部104cを含む。
【0046】
分岐部104aは、ケーシング30に取り付けられた状態の中間部材108において、取付面108aに対して略垂直方向に設けられる略円柱形状の凹部として形成される。分岐部104aは、取付面108aにおける連通孔58に対応する部分を含み、その略円柱形状の断面積は、当該部分よりも十分に広い断面積を有する態様で設けられる。
【0047】
バルブ収容部104bは、分岐部104a(略円柱形状の凹部)の底部から通路102と平行に、取付面108bに向けて略垂直方向に延設されると共に、段階的に径が縮小する略円筒形状の凹部として形成される。バルブ収容部104bのうち、分岐部104aの底部から取付面108bに向けて延設される大径部には、調整バルブ106の後述する弁体106aの円盤状のヘッド部が軸方向に移動可能に収容され、当該大径部から取付面108bに向けて延設される小径部には、弁体106aの軸部と調整バルブ106の後述するコイルスプリング106bが収容される。
【0048】
尚、当然の如く、バルブ収容部104bの略円筒形状の凹部の中心軸は、通路102の中心軸から大きく偏心されており、バルブ収容部104bと通路102との交差が生じない構造とされている。
【0049】
流出部104cは、中間部材108において、取付面108bに対して略垂直方向に設けられる略円柱形状の凹部として形成される。流出部104cは、その略円柱形状の凹部の中心軸が、バルブ収容部104bの中心軸から、通路102と離間する側に偏心されており、その略円柱形状の凹部の側面と、バルブ収容部104bの小径部の側面とが連通する態様で設けられる。
【0050】
尚、図3図4において、流出部104cは、その略円筒形状の凹部の先端(底部)が、加工工具の先端形状に起因して先鋭形状とされている。
【0051】
通路114は、略円柱形状の貫通孔であり、ケーシング30に取り付けられた状態の中間部材108において、ケーシング30の外側面30aを貫通する連通孔59と略同じ中心軸を有する態様で、取付面108aと取付面108bとの間を、取付面108a,108bに対して略垂直方向に貫通している。通路114の断面積は、通路102,104の双方を通じて通流する液体の最大流量を想定し、通路102,104の断面積(通流面積)よりも広く設定されている。
【0052】
蓋部材110は、ガスケット124を介して、中間部材108に取り付けられる。蓋部材110には、中間部材108との取付面110a(即ち、ガスケット124との合わせ面)に設けられる凹部として合流部112が形成される。
【0053】
合流部112は、蓋部材110が中間部材108に取り付けられた状態で、中間部材108の取付面の通路102、通路104(具体的には、流出部104c)、及び通路114に対応する部分を全てを覆う態様で、蓋部材110の取付面110aに凹部として設けられる。これにより、サイクロン室33から連通孔58及び通路102,104を通じて、中間部材108の取付面108b側に流出された気体富化液を含む液体は、合流部112を通じて、通路114に流入し、通路114及び連通孔59を通じて、気体分離室36に排出される。
【0054】
調整バルブ106は、上述の如く、通路104のバルブ収容部104bに収容される。調整バルブ106は、弁体106aと、コイルスプリング106bを含む。
【0055】
弁体106aは、略円盤形状のヘッド部と、該ヘッド部の略円盤形状の中心から略垂直方向に延出する軸部を含む。弁体106aは、その軸部が、中間部材108において、段階的に縮径する略円柱形状の凹部としてのバルブ収容部104bの底部から取付面108bに向けて略垂直方向に貫通する孔に挿通され、そのヘッド部が、バルブ収容部104bの大径部に収容される態様で配置される。また、弁体106aのヘッド部は、バルブ収容部104bの大径部の略円柱形状の内径よりも小径であり、且つ、バルブ収容部104bの小径部の略円柱形状の内径よりも大径である。そのため、弁体106aのヘッド部は、バルブ収容部104bの大径部において、その軸方向に移動可能に構成されると共に、バルブ収容部104bの大径部と小径部との段差部に当接することにより、通路104を非連通状態にすることができる。
【0056】
コイルスプリング106bは、弁体106aのヘッド部とバルブ収容部104b(の小径部)の底部との間に配置され、弁体106aを取付面108a側に付勢する、即ち、弁体106aを開弁側に付勢する。これにより、図3に示すように、分岐部104a側から弁体106aのヘッド部に作用する液体の圧力(即ち、サイクロン室33に流入される液体の圧力)が、コイルスプリング106bの仕様に応じた所定値以上である場合、弁体106aのヘッド部をバルブ収容部104bの大径部と小径部との段差に当接させ、通路104を非連通状態とすることができる。そのため、例えば、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が比較的少なく、分岐部104a側から弁体106aのヘッド部に作用する液体の圧力が当該所定値以上であるような場合、液体の通流面積を通路102の分だけに制限し、気体の混入量が比較的少ない液体までも気体分離室36に排出されないようにすることができる。一方、図4に示すように、分岐部104a側から弁体106aのヘッド部に作用する液体の圧力(即ち、サイクロン室33に流入される液体の圧力)が当該所定値より低い場合、弁体106aのヘッド部が、コイルスプリング106bの付勢力に応じて、バルブ収容部104bの大径部と小径部との段差から離間した状態となり、弁体106aのヘッド部とバルブ収容部104bとの間の隙間を通じて、液体が流出部104cに流出される。そのため、例えば、サイクロン室33に流入される液体に混入する気体量が比較的多い場合、通路104の流量が多くなるため、気体の混入量が比較的多い液体から分離される、比較的多量の気体富化液を十分に排出させることができる。
【0057】
このように、本実施形態では、サイクロン室33から気体富化液を流出させる連通孔58の下流に気体分離室36と連通する複数の通路(通路102,104)が設けられると共に、複数の通路のうちの一部の通路(通路104)に、液体に混入する気体量に応じて通流する液体の量を調整する調整バルブ106を設ける。これにより、上述の如く、液体に混入する気体量に応じて、適切に、気体富化液をサイクロン室33から気体分離室36に排出させることができる。更に、調整バルブ106をサイクロン室33よりも下流側の通路104に設けるため、製造時の取付作業やメンテナンス時における脱着作業を含むメンテナンス作業を容易に行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0058】
尚、本実施形態では、連通孔58の下流に設けられる通路は、2つであるが、3つ以上であってもよい。この場合、調整バルブ106は、3つ以上の通路のうちの一部の通路に設けられる態様であればよく、2つ以上の通路に調整バルブ106が設けられてもよい。また、この場合、2つ以上の通路に設けられる調整バルブ106は、それぞれ、仕様(開弁させるための分岐部104a側から弁体106aのヘッド部に作用する液体の圧力の値)が異なってよい。これにより、2つ以上の通路に設けられる調整バルブ106を段階的に開閉させ、サイクロン室33から気体分離室36に通流する液体の量をより細かく調整することができる。
【0059】
また、本実施形態では、調整バルブ106が設けられない通路102は、サイクロン室33の内壁に設けられる連通孔58(オリフィス)と略同軸上に配置される。これにより、サイクロン室33における連通孔58と同軸上に分離された気体富化液を含む液体が、連通孔58から通路102に流出され易くなるため、気体富化液を含む液体の分離性能を向上させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、調整バルブ106の弁体106aのヘッド部は、開弁時(図4)において、分岐部104aに突出することなく、バルブ収容部104bの大径部内に収まる構造になっている。即ち、コイルスプリング106bが自然長の状態で、弁体106aのヘッド部の分岐部104a側の端面は、分岐部104aの円柱形状の凹部の底面と同一面にあるか、或いは、当該底面よりバルブ収容部104b側にある。これにより、弁体106aのヘッド部に妨げられることなく、連通孔58から分岐部104aへ液体が流入される。また、弁体106aのヘッド部の側面に液体の圧力が作用することなく、弁体106aのヘッド部の分岐部104a側の面に、弁体106aの移動方向に沿った液体の圧力が作用する、即ち、調整バルブ106の開弁方向に付勢するコイルスプリング106bの付勢力と反対方向に液体の圧力が作用する。そのため、弁体106aの閉弁動作をより確実に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、連通孔58の流路面積を、分岐部104a及び通路102の断面積(流路面積)より広く設定されている。そのため、連通孔58から通路102及び分岐部104aに向けて液体の圧力差が生じ易くなっている。そして、その圧力差は、開弁時の弁体106aのヘッド部の上流側と下流側との間で最も大きくなり、圧力の変化に対する調整バルブ106、即ち、弁体106aの動作の応答性を向上させることができる。つまり、圧力の差を利用することにより、弁体106aの開弁から閉弁方向への移動を着実に行わせることができる。更に、弁体106aのヘッド部の側面とバルブ収容部104bの大径部の内面との間に形成される微小な隙間の流路面積は、分岐部104a及び通路102の断面積(流路面積)よりも小さいので、開弁時の弁体106aのヘッド部の上流側と下流側との間で圧力差を生じさせ易くなり、圧力の変化に対する調整バルブ106の動作の応答性を更に向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、ケーシング30に取り付けられ、複数の通路(通路102,104)と、複数の通路と気体分離室36との間を連通する連通路(合流部112及び通路114)を内部に含む取付部材(中間部材108及び蓋部材110)が設けられる。これにより、取付部材(中間部材108及び蓋部材110)を取り外すことにより、調整バルブ106も一体として取り外すことができるため、調整バルブ106等のメンテナンス性が向上する。
【0063】
また、本実施形態では、取付部材は、ケーシング30に取り付けられ、外部に連通する複数の通路(通路102,104)と、外部に連通する通路114とを内部に含む中間部材108と、中間部材108の外部に露出する複数の通路(通路102,104)及び通路114を蓋閉する態様で中間部材108に取り付けられ、合流部112を含む蓋部材110とを有する。これにより、ケーシング30から取り外し可能な取付部材は、更に、脱着可能な中間部材108と蓋部材110に分解されるため、メンテナンス性が向上する。また、取付部材は、ケーシング30内に形成されるサイクロン室33及び気体分離室36と直接接続される通路102,104,114等が内部に形成される中間部材108と、通路102,104と、通路114との間を接続する合流部112が形成される蓋部材110とに分割されるため、通路102,104、合流部112、通路114等の設計、製造等が比較的容易になる。
【0064】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ポンプユニット
33 サイクロン室
36 気体分離室
48 ギヤポンプ(ポンプ)
58 連通孔(オリフィス)
59 連通孔
100 流量調整部
102 通路
104 通路(一部の通路)
106 調整バルブ
108 中間部材(取付部材)
110 蓋部材(取付部材)
112 合流部
114 通路(連通路、接続通路)
図1
図2
図3
図4