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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】調節装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/622 20150101AFI20220610BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220610BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
E05F15/622
B60J5/04 C
B60J5/10 K
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017181016
(22)【出願日】2017-09-21
(65)【公開番号】P2018048547
(43)【公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】10 2016 218 226.9
(32)【優先日】2016-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514062655
【氏名又は名称】スタビラス ゲ―エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・オスター
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・リッター
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524997(JP,A)
【文献】特開2015-229868(JP,A)
【文献】特開2004-346577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/04
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(50)のボディ(54)に対して可動とされた車両パーツ(52)、特に車両ドア又は車両のバックドア、のための調節装置であり、
駆動ユニット(14)と、前記駆動ユニット(14)の動作状態を検出しかつ対応する動作状態信号を出力する少なくとも一つの動作状態センサ(16)と、を有する駆動装置(12)と、
前記駆動ユニット(14)によって前記駆動装置(12)に対して変位可能とされた調節部材(22)と、
前記駆動装置(12)に接続され、前記駆動ユニット(14)を作動させ又は非作動状態とする制御ユニット(24)と、
を備えてなる調節装置において、
前記制御ユニット(24)が信号入力部(36)を有し、該信号入力部に、前記制御ユニット(24)に前記動作状態信号を伝送するための少なくとも一つの動作状態センサ(16)が接続され、かつ、
前記制御ユニット(24)は、前記動作状態センサ(16)によって前記制御ユニット(24)に伝送された前記動作状態信号が、目標動作状態から外れた前記駆動ユニット(14)の実際の動作状態を示した場合には、実際の動作状態を生じさせる動作を補助すべく前記駆動ユニット(14)を作動させるよう構成されており
前記駆動ユニット(14)にブレーキ装置(20)が接続されており、該ブレーキ装置(20)が、恒久的に作動するブレーキ装置である
調節装置。
【請求項2】
請求項記載の調節装置において、記制御ユニット(24)は、前記車両(50)の前記ボディ(54)に対して可動とされた前記車両パーツ(52)が動き始める加速度を識別基準として用いて、前前記車両の前記ボディに対して可動である前記車両パーツの手動動作の動作パターンと、前記車両の前記ボディに対して可動である前記車両パーツの重力によって誘発された動作パターンとが区別されるよう構成され、さらに、前記制御ユニット(24)は、前記実際の動作状態の動作パターンが、車両(50)のボディ(54)に対して可動とされた前記車両パーツ(52)の手動動作を示す加速度に関して所定の条件の少なくとも一つを満たした場合には、該実際の動作状態に従って前記駆動ユニット(14)の作動のみを行うよう構成されてなる、調節装置。
【請求項3】
請求項記載の調節装置において、前記ブレーキ装置(20)が、前記駆動ユニット(14)の被駆動軸(28)と共に回転するブレーキ部材(42)と、前記駆動装置(12)に回転に関して固定的に構成されたブレーキ部材(44)とを備え、これらブレーキ部材が互いに摩擦係合してなる、調節装置。
【請求項4】
請求項1ないしの何れか一項記載の調節装置において、
前記制御ユニット(24)は信号入力部(38)を有し、前記制御ユニット(24)に障害検出信号を伝達するために、前記信号入力部に、前記調節装置(10)を構成しない少なくとも一つの障害検出センサ(40)が接続可能であり、かつ、前記制御ユニット(24)は、前記障害検出信号が前記車両パーツ(52)の移動経路内に障害物が存在することを示した場合には、前記駆動ユニット(14)を非作動状態とするよう構成されていることを特徴とする調節装置。
【請求項5】
請求項1ないしの何れか一項記載の調節装置において、前記調節部材(22)がスピンドルを備える、調節装置。
【請求項6】
請求項1ないしの何れか一項記載の調節装置において、前記駆動ユニット(14)の被駆動軸(28)が、調節部材(22)の調節方向(A)に対し直交する方向に延在してなる、調節装置。
【請求項7】
請求項1ないしの何れか一項記載の調節装置において、前記駆動ユニット(14)の被駆動軸(28)がウォームギヤ(30)を備え、該ウォームギヤ(30)が好ましく歯車(32)と噛合し、該歯車が半径方向内方にスピンドルナット(34)を備え、該スピンドルナットが前記調節部材(22)のネジ部と噛合してなる、調節装置。
【請求項8】
請求項1ないしの何れか一項記載の調節装置において、前記駆動装置(12)には、該駆動装置(12)を前記車両(50)の上位アッセンブリ(54)、すなわち前記調節装置(10)を構成しないアッセンブリに接続するための接続ユニット(27)が設けられ、一方、前記調節部材(22)には、該調節部材(22)を前記車両(50)のさらなる上位アッセンブリ(52)、すなわち前記調節装置(10)を構成しないアッセンブリに接続するためのさらなる接続ユニット(26)が設けられてなる、調節装置。
【請求項9】
ボディ(54)と該ボディ(54)に対して可動とされた車両パーツ(52)とを有し、請求項1ないしの何れか一項記載の調節装置を備えた、自動車(50)。
【請求項10】
請求項記載の自動車において、前記車両(50)の前記ボディ(54)に対して可動な前記車両パーツ(52)が、好ましい位置に設計されたチェックストラップを備えていない、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボディに対して可動な車両部、特に車両ドア又は車両のバックドアのための調節装置に関し、より詳細には、駆動ユニット、並びに該駆動ユニットの動作状態を検知しかつ対応する動作状態信号を出力する少なくとも一つの動作状態センサを備えた駆動装置と、該駆動ユニットによって前記駆動に対して移動できる調節部材と、前記駆動装置と接続され、前記駆動ユニットの作動及び作動停止を行う制御ユニットと、を備えた調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の調節装置は一般に知られている。これらは、例えば自動開閉ドア、及び/又は、自動車、特に乗用車のバックドアに用いられている。このため、該駆動装置には、それ自体知られる方法で、該駆動装置を車両の上位アッセンブリ、つまり該調節装置の部分を構成しないアッセンブリ、に接続するための接続ユニットを設けることができ、他方、前記調節部材には、前記調節装置を更なる上位アッセンブリ、すなわち該調節装置の部分を構成しないアッセンブリ、に接続するための更なる接続ユニットを設けることができる。この場合、一つの上位アッセンブリは例えば車両のボディであってよく、他の上位アッセンブリは、ボディに対して可動とされた車両パーツであってよい。このことは、本発明による調節装置の全てに適用される。
【0003】
上述したように本発明による調節装置は、車両ドア及び車両のバックドア双方の動力補助を伴う開閉及び自動開閉にも使用可能であるが、以下においては、簡単のため、本発明による調節装置を自動車の開閉ドアを参照して説明するものとする。
【0004】
既知の一般的な調節装置では、ドアは、その目的で設けられたスイッチの操作後、例えばドアの把手を引いた後に、駆動ユニットによって自動で開き、又は閉じる。ここで、前記動作状態センサが用いられ、該調節装置の作動をモニターする。もし、この自動開閉動作中にドアが手動で開けられるか閉められるかすると、既知の調節装置における前記駆動ユニットに逆効果をもたらすおそれがある。特に、これは駆動ユニットの効率に恒久的な損傷をもたらし、極端なケースでは、駆動ユニットにダメージを与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、このような欠点を解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、本発明による最初に述べたタイプの調節装置によって達成される。該調節装置では、制御ユニットが信号入力部を有し、該信号入力部には、動作状態信号を前記制御ユニットに伝達するために少なくとも一つの動作状態センサが接続されている。また、前記制御ユニットは、前記動作状態センサによって前記制御ユニットに伝達された前記動作状態信号が前記駆動ユニットの目標動作状態から外れた実際の動作状態を示す場合には、実際の動作状態に従って前記駆動ユニットを駆動するよう構成されている。
【0007】
ここで実際の動作状態に従う駆動ユニットの作動は、本質的に、外部から強制的に作動させられない場合にのみ作動される駆動ユニットにある。
【0008】
一般に、無理な作動は駆動ユニットを損傷する原因となる。
【0009】
該制御ユニットは、前記動作状態センサによって前記制御ユニットに伝達された前記動作状態信号が前記駆動ユニットの目標動作状態から逸れた実際の動作状態を示す場合には、実際の動作状態を生成する動作を補助すべく駆動ユニットを作動させるよう、有利に構成されている。
【0010】
前記目標動作状態は、例えば駆動ユニットの休止状態、すなわち非動作状態であってもよい。しかしながら、この状態において動作状態信号が、駆動ユニットがそれにも拘わらず駆動されていることを示した場合、前記制御ユニットは、車両ドアが手動で操作されたものと判断し、倍力操舵装置の如く、該ドアの手動操作を補助するよう駆動ユニットを制御する。また、ここでの目的は、車両が傾斜している場合または横倒しの状態にある場合でも5Nないし10Nのオーダーの小さな力で有利にドアを操作できるようにすることである。
【0011】
しかしながら、前記目標動作状態は所定の動作状態、例えばドアの自動開閉操作に対応した動作状態であってもよい。しかし、動作状態信号が、この目標動作状態から逸れた実際の動作状態を示す場合は、制御ユニットは、自動開閉が最早要求されておらず、車両ドアが手動で操作されるべきものと判断する。この場合も、駆動ユニットが、倍力操舵装置の如く、ドアの手動操作を補助するよう制御する。
【0012】
上述したように、本発明に係る発明は、ドアを自動で開閉するよう構成されている。この調節装置は、例えば、ドアハンドルが長く引かれた場合には自動で開きかつ閉じるように、他方、ドアハンドルを引く時間が短い場合には、動力補助による開閉がなされるように、構成することができる。
【0013】
本発明に関連して、以下の点を考慮すべきである。すなわち、ドアの手動作動は、それらの動作のパターンにおいて、他の作動の形態、例えばドアの重力によって誘発された作動とは、特に動作の開始において異なることである。例えば、ドアを手動で開ける場合は強い動作が伴う「鋭い動き」である一方、重力に影響されたドアは、最初は、ゆっくりと動くだけの「這う動き」である。例えば、ドアが動いている加速度を識別基準として用いることができる。従って本発明によれば、実際の動作状態の動作パターンが少なくとも一つの所定の条件を満たした場合のみ、制御ユニットが該実際の動作状態に従って駆動ユニットを作動させるように構成する、ということが提案されている。
【0014】
ドアの手動動作以外の動き、例えば重力に誘発された動作状態センサが実際の動作状態として検知されることを防止することを可能とすべく、前記駆動ユニットにブレーキ装置を接続した構成とすることもできる。
【0015】
前記ブレーキ装置が常時作動ブレーキ装置である場合、その制動力は調節することができ、例えば車両が、例えば15°といった所定の傾斜の値を超えない面にあるときには、制動力は前記ドアに通常作用する重力よりも大きいもとのすることができる。従って、制動力は、重力によってドアに及ぼされる力を上回り、ドアの重力によって引き起こされる動作を停止させるか、あるいは最初からその動作を防止することさえできる。
【0016】
ブレーキ装置は例えば摩擦ブレーキであってよい。特に、該ブレーキ装置は、互いに摩擦係合する、駆動ユニットの被駆動軸と共に回転するブレーキ部材と、前記駆動装置に回転に関して固定的に設けられたブレーキ部材と、を備えていてよい。ここで、共回転のために前記被駆動軸に設けられた前記ブレーキ部材は、摩擦係合を発生させるため、例えばバネによるプリテンションによって、前記駆動ユニットの前記被駆動軸と共に回転する前記ブレーキ部材に押圧される。
【0017】
これに関連し、該ブレーキ装置の動作、すなわちその制動力が調節可能であればさらに有利である。そのため、共回転のため前記駆動装置に構成されたブレーキ部材に作用する例えば前記バネのプレテンション力は調節可能である。
【0018】
しかしながら、本発明では、前記ブレーキ装置が制動力遮断ユニットを備えることも本質的に想定し得る。摩擦ブレーキの場合、この制動力遮断ユニットは、例えば前記二つのブレーキ部材の摩擦係合を妨げるように構成することができる。有利な構成としては、該制動力遮断ユニットを、前記制御ユニットによって作動可能とすることもできる。特に、制御ユニットは、前記制動力遮断ユニットが、前記駆動ユニットの作動のもとで、前記制動力を阻止すべく作動するように構成することができる。
【0019】
車体に対して可動とされた車両パーツの自動的な動作に生ずるさらなる問題は、該車両パーツが常に所定の可動範囲、すなわち既定の距離、既定の回動角度、といったものを超えて動かされるということである。このことは、その動作の経路上にもし障害が存在していたとき、車両パーツにダメージを与える恐れにつながる。本発明の他の観点によれば、このようなことが防止されるよう、冒頭で説明したタイプの調節装置が提案されている。ここにおいて、前記制御ユニットは、障害検出信号を該制御ユニットに伝達するため、前記調節装置の部分を構成しない少なくとも一つの障害検出センサが接続され得る信号入力部を有する。また、該制御ユニットは、前記障害検出信号が前記車両パーツ中に障害があることを示した際には前記駆動ユニットを非作動とするよう構成されている。前記障害センサは、例えばレーダセンサ、光学センサ、レーザスキャナセンサ、超音波センサ、あるいはカメラとすることができる。
【0020】
当該調節装置が上述したタイプのブレーキ装置を有している場合には、独立的な保護が要求されている本発明のこの態様にとってはまた有利である。というのは、これにより車両パーツを、前記駆動ユニットが非作動となる位置に確実に保持することができるからである。
【0021】
本発明の発展形においては、前記調節部材がスピンドルを備える。
【0022】
駆動ユニットの前記非駆動軸を、調節ユニットの調節方向との直行方向に延在させることも考えられる。
【0023】
例えば以下の構成とすれば、装着スペースをとらないコンパクトな構成を実現できる。例えば、駆動ユニットの被駆動軸がウォームギヤを支持しており、該ウォームギヤは、好ましくは、半径方向内方にスピンドルナットを有するか形成する歯車と噛合する。前記スピンドルナットはスピンドルのネジと螺合している。この場合、前記調節ユニットの調節装置に対しては、前記歯車の軸方向にのみ支持すればよい。そのような支持は、駆動装置のハウジングによって簡単にできる。
【0024】
最後に、本発明はさらに、ボディと該ボディに対し可動である車両パーツを有し、本発明による調節装置を備えてなる自動車に関する。この自動車においては、該車両のボディに対して可動とされた車両パーツが、好ましい位置で設計されたチェックストラップがなくてもよいという点において特に有利である。このことは、装着スペースのみならず、製造コストの面においても有利である。
【0025】
以下、本発明を、添付の図面を参照した実施形態により、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による調節装置の側面図である。
図2図1に示す調節装置を、図1において矢印IIで示す方向から見た別の側面図である。
図3図1及び図2に示す調節装置の一部が開放された状態で示す側面図である。
図4図1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1において、符合10は、本発明による調節装置を示している。該調節装置は、自動車50、例えば乗用車、の車両パーツ52、例えば車両ドアあるいは車両のバックドア(図中二点鎖線にて示す)を、該自動車50のボディ54(図中一点鎖線にて示す)に対して動かすためのものである。該調節装置10は、駆動ユニット14、例えば電気モータを有した駆動装置12と、前記駆動ユニット14の動作状態を検出するための動作状態センサ、例えばホールセンサと、を備える。前記駆動ユニット14及び動作状態センサ16は共通のハウジング18内に収容されている。前記ハウジング18内にはさらにブレーキ装置20(図3参照)が構成されており、駆動ユニット14の動作、特に回転を制動することができる。
【0028】
この調節装置10はまた、この場合スピンドルとされた調節部材22を備える。
【0029】
この調節部材22は、取付部材26によって可動車両部材52に関節結合されており、駆動装置12がカルダン懸架装置27を介して車両50のボディ54に接続されている。カルダン懸架装置27によって提供される動作の自由度、すなわち軸線C及び軸線D(図2参照)回りの回転可能性、前記取付部材26の軸線B回りの回動性、及び前記スピンドル22の駆動装置12に対する軸線A回りの回転性によって、調節装置10が傾くことが確実に防止される。
【0030】
特に図3及び図4に示すように、駆動ユニット14の被駆動軸28はウォームギヤ30を支持している。該ウォームギヤ30は、スピンドル22を囲む歯車32と噛合している。前記歯車32は、その径方向内方にてスピンドルナット34に接続されている。スピンドルナット34は前記スピンドル22のネジ部と噛合している。これにより、駆動ユニット14の回転は,スピンドル22の長手方向であるA方向の直線運動に変換される。
【0031】
図3に示すように、ブレーキ装置20は駆動ユニット14の被駆動軸28と関連している。図示の実施形態では、ブレーキ装置20は永久作動摩擦ブレーキとして構成されている。そのため該ブレーキ装置は、被駆動軸28と共同作動するよう、すなわち被駆動軸28と共に回転するよう被駆動軸28に接続されたブレーキ部材42と、作動的固定状態にハウジング18に結合された、すなわち回転に関しては固定的に構成されたブレーキ部材44と、を備えている。回転に関して固定的に構成された前記ブレーキ部材4及び回転する前記ブレーキ部材42は互いに摩擦係合状態にあり、この摩擦係合はバネ(図示せず)によって常時維持される。この恒久的な摩擦係合によって発生される制動力は、該ブレーキ装置20の設計に依存し、好ましくは、車両50が傾斜角が水平に対し例えば最大15°となる面上にある場合でも前記可動車両パーツ52がひとりでに動かないように選択される。したがって、前記可動車用パーツ52は、調節過程のおける如何なる中間位置においても保持され得る。
【0032】
駆動ユニット14の作動を制御するため、制御ユニット24はさらに駆動装置12に接続されている。前記動作状態センサ16の出力信号は、信号入力部36を介して制御ユニット24に供給され得る。障害検出センサ40の前記出力信号はさらに、信号入力部38を介して前記制御ユニット24に供給され得る。
【0033】
前記動作状態センサ16の信号に基づき、もし制御ユニット24が、前記可動車両パーツ52が手動で動かされていると判定した場合、該装置は、倍力操舵装置のように、要求された動作状態センサを補助するように駆動ユニット14を制御する。ここでは前記駆動ユニット14によってなされる可動車両パーツ52を動かすのに必要な力の割合は、必要に応じ調節することが可能である。しかしながら、車両50が斜面上あるいは横倒しの状態にある場合でも、前記車両パーツ52が5ないし10Nのオーダーの小さな力で作動できるように選択することが好ましい。
【0034】
前記制御ユニット24が可動車両パーツ52の手動操作に対して何らの要求も起こさず、しかし該可動車両パーツ52を自動的に動かすよう命令が出された場合、制御ユニット24は、この命令が実行されているときに、障害検出センサ40によって供給された障害検出信号を考慮する。制御ユニット24が、可動車両パーツ52の移動経路内に障害が存在すると判断すると、可動車両パーツ52がそれに接触して損傷することのないよう該障害に至る前に止まるように、該装置は前記駆動ユニット14を非作動状態とする。
【0035】
より優れた信号再生のために、被駆動側、すなわち例えば前記ウォームギヤ30あるいは前記スピンドル22に、第2の動作状態センサ(図示せず)を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 調節装置
12 駆動装置
14 駆動ユニット
16 動作状態センサ
20 ブレーキ装置
22 調節部材
24 制御ユニット
27 接続ユニット
28 被駆動軸
30 ウォームギヤ
36 信号入力部
42,44 ブレーキ装置
50 自動車
52 車両パーツ
54 ボディ
図1
図2
図3
図4