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特許7085834収納ボックスの取付構造及びキッチンキャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】収納ボックスの取付構造及びキッチンキャビネット
(51)【国際特許分類】
   A47B 77/14 20060101AFI20220610BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20220610BHJP
   A47J 47/16 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A47B77/14
A47B77/04 Z
A47J47/16 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017252575
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019115600
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】穴沢 信寛
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-048847(JP,U)
【文献】特開2003-052469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00-77/18
A47J 47/16
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ボックスを板材に取り付ける収納ボックスの取付構造であって、
前記板材は、上被係止部と下被係止部とを備え、
前記収納ボックスは、収納部本体と、前記収納部本体に設けられる上係止部と下係止部とを備え、
前記板材の前記上被係止部と前記下被係止部とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなるフック部を有し、
前記収納部本体の前記上係止部と前記下係止部とは、前記板材の前記フック部に対応した、互いに近接する方向に曲折した内受け部、または互いに離反する方向に曲折した外受け部からなる受け部を有し、
前記収納ボックスは、前記フック部と前記受け部とで前記板材に係止可能に構成され、
前記フック部と前記受け部との係止を解除する解除部が、前記上被係止部、前記下被係止部、前記上係止部、及び前記下係止部のうちの少なくとも一つに、前記フック部または前記受け部に水平方向に隣接して設けられ、
前記解除部は、前記上被係止部、前記下被係止部、前記上係止部、及び前記下係止部のうちの少なくとも一つに形成された凹部であることを特徴とする収納ボックスの取付構造。
【請求項2】
収納ボックスを板材に取り付ける収納ボックスの取付構造であって、
前記板材は、上被係止部と下被係止部とを備え、
前記収納ボックスは、収納部本体と、前記収納部本体に設けられる上係止部と下係止部とを備え、
前記板材の前記上被係止部と前記下被係止部とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなるフック部を有し、
前記収納部本体の前記上係止部と前記下係止部とは、前記板材の前記フック部に対応した、互いに近接する方向に曲折した内受け部、または互いに離反する方向に曲折した外受け部からなる受け部を有し、
前記収納ボックスは、前記フック部と前記受け部とで前記板材に係止可能に構成され、
前記上被係止部及び前記下被係止部が長尺なレール部材であり、
前記上被係止部及び前記下被係止部が前記板材に平行に配置され、
前記上被係止部または前記下被係止部の少なくとも一ヶ所に、前記フック部と前記受け部との係止を解除する解除部が設けられていることを特徴とする収納ボックスの取付構造。
【請求項3】
収納ボックスを板材に取り付ける収納ボックスの取付構造であって、
前記板材は、上被係止部と下被係止部とを備え、
前記収納ボックスは、収納部本体と、前記収納部本体に設けられる上係止部と下係止部とを備え、
前記板材の前記上被係止部と前記下被係止部とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなるフック部を有し、
前記収納部本体の前記上係止部と前記下係止部とは、前記板材の前記フック部に対応した、互いに近接する方向に曲折した内受け部、または互いに離反する方向に曲折した外受け部からなる受け部を有し、
前記収納ボックスは、前記フック部と前記受け部とで前記板材に係止可能に構成され、
前記受け部に弾性変形可能な係止爪を有することを特徴とする収納ボックスの取付構造。
【請求項4】
前記収納部本体に、上方に開口し、包丁が収容可能な包丁収容部を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の収納ボックスの取付構造。
【請求項5】
前記板材が設けられた収納部と、
前記収納ボックスと、を備え、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の収納ボックスの取付構造により、前記収納ボックスが前記収納部の前記板材に着脱可能に取り付けられることを特徴とするキッチンキャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ボックスの取付構造及びキッチンキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
台所や洗面所等には、例えば、台所や洗面所で使用される物品が収納される収納部がシンクの下方に設けられたキャビネットが設置されている。例えば、特許文献1には、流し台やコンロ台を取り付け可能な天板の下方に引き出しが設けられ、引き出しの前板の背面に縦形ポケットが設けられている厨房家具が開示されている。特許文献1の縦形ポケットは、上方に開口し、しゃもじ、菜箸等、使用頻度が高く、長尺かつ自立しない物品を収容するように構成されている。この他、台所のキャビネットの収納部の前板裏面には、例えば、包丁を収納する包丁差しが設けられている。特許文献2には、台所に設置されるフロアキャビネットの扉の裏側に固定されたブラケットに包丁差しを着脱可能に係止する取付構造が開示されている。
【0003】
台所や洗面所で使用される道具を収容する収納ボックスは、水を使用するスペースに設けられるために汚れやすい一方、清潔に保つことが望まれるため、清掃しやすい収納ボックスが望まれている。そこで、特許文献1及び特許文献2には、収納ボックスをキャビネットの収納部から着脱可能に取り付ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4363876号公報
【文献】特開2016-135178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
着脱可能な包丁差しの場合、包丁差しに収容されている包丁を上方に引き抜く際、包丁が包丁差しに引っ掛かり、包丁差しがブラケットから外れ、包丁と共に持ち上がることを防ぐ必要がある。そのため、特許文献2の包丁差しの取付構造では、ネジ部材を用いて包丁差しをブラケットに装着している。しかし、包丁差しの清掃時には、ネジ部材による固定解除及び再度ネジ固定する必要があり、使用者にとって手間がかかる。また、清掃の都度、ネジ部材の固定や固定解除を繰り返すため、ネジ部材の締結部周辺が劣化しやすく、耐久性の点で課題となっていた。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、収納部本体を容易に板材に係止可能でありながら、取付け状態を安定的に保持可能な収納ボックスの取付構造及びこの収納ボックスの取付構造を備えるキッチンキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る収納ボックスの取付構造は、収納ボックスを板材に取り付ける収納ボックスの取付構造であって、前記板材は、上被係止部と下被係止部とを備え、前記収納ボックスは、収納部本体と、前記収納部本体に設けられる上係止部と下係止部とを備え、前記板材の前記上被係止部と前記下被係止部とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなるフック部を有し、前記収納部本体の前記上係止部と前記下係止部とは、前記板材の前記フック部に対応した、互いに近接する方向に曲折した内受け部、または互いに離反する方向に曲折した外受け部からなる受け部を有し、前記収納ボックスは、前記フック部と前記受け部とで前記板材に係止可能に構成され、前記フック部と前記受け部との係止を解除する解除部が、前記上被係止部、前記下被係止部、前記上係止部、及び前記下係止部のうちの少なくとも一つに、前記フック部または前記受け部に水平方向に隣接して設けられ、前記解除部は、前記上被係止部、前記下被係止部、前記上係止部、及び前記下係止部のうちの少なくとも一つに形成された凹部であることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、板材に設けられる上被係止部及び下被係止部に、収納部本体の上係止部及び下係止部をそれぞれ係止して収納部本体を板材に係止する。このとき、板材側の上被係止部及び下被係止部が外フック部または内フック部からなるフック部を有し、収納部本体の上係止部及び下係止部は、フック部に対応して内受け部または外受け部からなる受け部を有するため、板材に係止された収納部本体の上下方向の位置が固定される。したがって、板材に係止された状態で収納部本体に上下方向の力が付与されても、収納部本体が板材から外れることを防止できる。その結果、収納部本体を容易に板材に係止可能でありながら、取付け状態を安定的に保持できる。
この発明によれば、解除部が上被係止部、下被係止部、上係止部、及び下係止部のうちの少なくとも一つに、水平方向に隣接して設けられているため、上下方向の移動が規制された状態で係止された収納部本体のフック部と受け部との係止を容易に解除できる。したがって、ネジ等の固定具を用いることなく収納部本体が安定的に係止され、且つ、板材から収納部本体を容易に取り外すことができる。
【0009】
本発明に係る収納ボックスの取付構造では、前記収納部本体に、上方に開口し、包丁が収容可能な包丁収容部を備えていてもよい。
【0010】
この発明によれば、板材に係止された収納ボックスの収納部本体の上下方向の位置が固定されるため、収納部本体に上方に開口し、包丁が収容可能な包丁収容部を備える場合に、特に好適である。具体的には、上方に開口する包丁収容部の場合、包丁収容部から包丁を出し入れする際に包丁が開口等に接触し、包丁収容部に上方向への力が掛かる場合がある。これに対し、この発明によれば、収納部本体が板材に係止された取付け状態が安定的に保持でき、安全性を確保できる。また、収納部本体が板材に固定されずに係止される構成であるため、板材から収納部本体を容易に着脱可能である。そのため、清潔に保つことが望まれる包丁収容部を容易に清掃できる。
【0013】
本発明に係る収納ボックスの取付構造は、収納ボックスを板材に取り付ける収納ボックスの取付構造であって、前記板材は、上被係止部と下被係止部とを備え、前記収納ボックスは、収納部本体と、前記収納部本体に設けられる上係止部と下係止部とを備え、前記板材の前記上被係止部と前記下被係止部とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなるフック部を有し、前記収納部本体の前記上係止部と前記下係止部とは、前記板材の前記フック部に対応した、互いに近接する方向に曲折した内受け部、または互いに離反する方向に曲折した外受け部からなる受け部を有し、前記収納ボックスは、前記フック部と前記受け部とで前記板材に係止可能に構成され、前記上被係止部及び前記下被係止部が長尺なレール部材であり、前記上被係止部及び前記下被係止部が前記板材に平行に配置され、前記上被係止部または前記下被係止部の少なくとも一ヶ所に、前記フック部と前記受け部との係止を解除する解除部が設けられていることを特徴とする
【0014】
この発明によれば、上被係止部及び下被係止部が長尺なレール部材であるため、収納部本体を取付可能な範囲を広く確保できる。したがって、収納部本体を被係止部に係止する際、係止位置の微調整を行うことなく容易に係止できる。また、収納部本体の取付位置をレール部材上の任意の位置に設定可能であり、用途に応じて収納部本体の板材への取付位置を設定できる。さらに、上被係止部または下被係止部の少なくとも一ヶ所に解除部が設けられているため、板材に係止された収納部本体をレール部材に沿ってスライドさせることによりフック部と受け部との係止を解除できる。その結果、使用者が難しい操作を行うことなく、収納部本体を板材に着脱できる。
【0015】
本発明に係る収納ボックスの取付構造は、収納ボックスを板材に取り付ける収納ボックスの取付構造であって、前記板材は、上被係止部と下被係止部とを備え、前記収納ボックスは、収納部本体と、前記収納部本体に設けられる上係止部と下係止部とを備え、前記板材の前記上被係止部と前記下被係止部とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなるフック部を有し、前記収納部本体の前記上係止部と前記下係止部とは、前記板材の前記フック部に対応した、互いに近接する方向に曲折した内受け部、または互いに離反する方向に曲折した外受け部からなる受け部を有し、前記収納ボックスは、前記フック部と前記受け部とで前記板材に係止可能に構成され、前記受け部に弾性変形可能な係止爪を有することを特徴とする
【0016】
この発明によれば、受け部に弾性変形可能な係止爪を有するため、収納部本体を係止させる際、収納部本体の受け部をフック部に向かって正面から押し込むと、係止爪が弾性変形してフック部に受け部を容易に係止できる。したがって、使用者が難しい操作を行うことなく、収納部本体を板材に容易に係止できる。
【0017】
本発明に係るキッチンキャビネットは、前記板材が設けられた収納部と、前記収納ボックスと、を備え、上記収納ボックスの取付構造により、前記収納ボックスが前記収納部の前記板材に着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、収納部本体を容易に板材に係止可能でありながら、取付け状態を安定的に保持可能なキッチンキャビネットを提供できる。したがって、収納ボックス使用時は板材に安定的に保持され、且つ、容易に取り外し可能であり、収納ボックスの清掃が容易となるキッチンキャビネットを提供できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、収納部本体を容易に板材に係止可能でありながら、取付け状態を安定的に保持可能な収納ボックスの取付構造及びこの収納ボックスの取付構造を備えるキッチンキャビネットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るキッチンキャビネットの一例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る収納ボックスの取付構造の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態の前板の一例を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態の収納部本体を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の収納部本体を示す斜視図である。
図6】本発明の一実施形態の包丁収容部を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る収納ボックスの取付構造を示す分解斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る収納ボックスの取付構造を示す分解斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る収納ボックスの取付構造を示す側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る収納ボックスの取付構造を示す縦断面図である。
図11】本発明に係る収納ボックスの取付構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る収納ボックスの取付構造について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造を備えるキッチンキャビネット100の一例を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る収納ボックスの取付構造の一例を示す図であり、収納ボックス1がキッチンキャビネット100の引き出し102の前板103に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0022】
本発明に係る収納ボックス1は、台所で使用されるキッチンキャビネット100の収納部に取り付けて使用される。キッチンキャビネット100は、支持体となるキャビネット本体101と、キャビネット本体101上に設けられた天板104及びシンク105と、キャビネット本体101の側面に設けられた抽斗(収納部)102とを備える。キッチンキャビネット100には、この他、不図示の水栓や加熱器具が適宜設けられる。
【0023】
以下の説明において、キッチンキャビネット100を使用する使用者がシンク105と向き合ったときの左右方向を幅方向と称する。キッチンキャビネット100が設置される床面Fに直交する方向を上下方向と適宜称する。また、上記幅方向及び上下方向と直交する方向を奥行方向と称し、使用者側を手前側、反対側を奥側と称する。
【0024】
キャビネット本体101には、複数のレールを備える公知のレールユニット107が取り付けられている。抽斗102は、レールユニット107を介してキャビネット本体101の側方に出し入れ可能に設けられ、上側から物品を収納可能に構成されている。抽斗102には前板(板材)103が設けられている。
【0025】
図2に示すように、シンク105の下方に設けられた抽斗102内には、前板103の裏面側に、収納ボックス1Aが取り付けられている。前板103の裏面には、上レール部材(上被係止部)6及び下レール部材(下被係止部)7の二本のレール部材が上下に平行に並んで固定されている。収納ボックス1は、二本のレール部材6,7を介して前板103に着脱可能に取り付けられる。
【0026】
上レール部材6及び下レール部材7はフック部を有する。フック部は、互いに離反する方向に曲折した外フック部または互いに近接する方向に曲折した内フック部からなる。図11に本発明に係る収納ボックスの取付構造における前板103と収納ボックス1と係止関係を模式的に示す。図11の(A)に外フック部FOの態様を模式的に示し、(B)に内フック部FIの態様を模式的に示す。
【0027】
図11の(A)に示すように、外フック部FOは、上被係止部6に備える上フック部62が上方に延び、下被係止部7に備える下フック部72が下方に延び、上フック部62と下フック部72とが互いに離反する方向に曲折して設けられている。この場合、収納ボックス1の上部及び下部に設けられる受け部8,9は、互いに近接する方向に曲折した内受け部RIを有する。つまり、収納ボックス1Aに設けられる2つの受け部8,9は、上部の受け部8が下方に延び、下部の受け部9が上方に延びて形成される。
【0028】
図11の(B)に示すように、内フック部FIは、上被係止部6に備える上フック部62が下方に延び、下被係止部7に備える下フック部72が上方に延び、上フック部62と下フック部72とが互いに近接する方向に曲折して設けられている。この場合、収納ボックス1の上部及び下部に設けられる受け部8,9は、互いに離反する方向に曲折した外受け部ROを有する。つまり、収納ボックス1に設けられる2つの受け部8,9は、上部の受け部8が上方に延び、下部の受け部9が下方に延びて形成される。
【0029】
外フック部FOと内受け部RI、及び内フック部FIと外受け部ROのいずれの場合でも、上フック部62と前板103との間の隙間、及び下フック部72と前板103との間の隙間に、収納ボックス1Aに設けられる受け部8,9が挿入されて収納ボックス1が前板103に係止される。この結果、収納ボックス1は、前板103に係止された状態では、上下方向の移動が規制されて保持される。
【0030】
フック部62,72と受け部8,9との係止及び係止解除させる態様については、上フック部62、下フック部72、上受け部8、及び下受け部9のうちの少なくとも一つに水平方向に隣接して設けられる解除部を設ける構成が考えられる。解除部は、フック部62,72または受け部8,9が設けられない領域を設ければよい。または、上フック部62、下フック部72、上受け部8、及び下受け部9のうちの少なくとも一つに弾性変形可能な係止爪を設けて係止関係を解除する構成が考えられる。
【0031】
本実施形態では、前板103側のレール部材6,7に外フック部FOを備え、収納ボックス1Aの受け部8,9に内受け部RIを備える構成を例に説明する。
【0032】
図3に示すように、上レール部材6は、固定部61と上フック部62とを備える。固定部61は、平板形状であり前板103に固定されている。上フック部62は、固定部61から奥側に突出して上方に延びて形成されている。上レール部材6は、固定部61と上フック部62とが幅方向に沿って延びる長尺部材である。
【0033】
下レール部材7は、固定部71と下フック部72とを備える。固定部71は、平板形状であり前板103に固定されている。下フック部72は、固定部71から奥側に突出して下方に延びて形成されている。下レール部材7は、固定部71と下フック部72とが幅方向に沿って延びる長尺部材である。
【0034】
上レール部材6の上フック部62と下レール部材7の下フック部72とは、互いに離反する方向に曲折した外フック部FOを構成する。
【0035】
図3に示すように、下レール部材7には、下フック部72が厚さ方向に貫通するように切り欠いて形成された凹部(解除部)73が形成されている。本実施形態では、下フック部72に2つの凹部73,73が離間して形成されている。
【0036】
収納ボックス1Aは、上方に開口し、長尺な各種調理器具等の物品を収納可能な略直方体形状の箱体である。収納ボックス1Aは、収納部本体2Aと、底部材3Aと、包丁収容部5Aとを備える。
【0037】
図4及び図5は、本実施形態の収納部本体2Aを示す斜視図である。図4及び図5に示すように、収納部本体2Aは平面視で幅方向に長い形状を有し、幅方向に配置される二つの長辺側面231A,232Aと、長辺側面231A,232Aの端部から交差する方向に延びる二つの短辺側面24A,24Aとを備える。二つの長辺側面231A,232Aのうち、手前側に配置される長辺側面231Aが抽斗102の前板103と対向するように配置される。
【0038】
収納部本体2Aは、上方及び下方に開口した矩形の筒状部材である。収納部本体2Aの上部は、手前側の長辺側面231Aから奥側の長辺側面232Aに向かって下降するように傾斜した開口部21Aを有する。手前側の長辺側面231Aは、奥側の長辺側面232Aの下端よりも下端位置が低くなるように設けられている。収納部本体2Aの下部の開口部28Aには、収納部本体2Aの4つの側面231A,232A,24A,24Aの下端部からそれぞれ曲折して開口部28A側に延びる開口縁部26Aが形成されている。2つの長辺側面231A,232Aとの境界部近傍の開口縁部26Aには、上下方向に貫通する係止孔(凹部)27Aが4か所形成されている。
奥側の長辺側面232Aは、奥行方向に開口する2つの開口窓29,29を備える。
【0039】
収納部本体2Aの手前側の長辺側面231A及び短辺側面24A,24Aの各内面22Aの一部には、補助支持部30が設けられている。補助支持部30は、後述する包丁収容部5Aが当接可能に、内側に突出して形成された平板部である。長辺側面231Aに位置する補助支持部30の上端部には、上方に開口して幅方向に延びる係止溝301,301が形成されている。係止溝301,301は、幅方向に離間して2か所設けられている。
【0040】
短辺側面24A,24Aの上部の手前側には幅方向に貫通する係合孔241,241が形成されている。
【0041】
図5に示すように、収納部本体2Aの手前側の長辺側面231Aの上端部には、外側(手前側)に突出し、下方に延びる上係止部(受け部、内受け部)8が形成されている。本実施形態では、上係止部8は、収納部本体2Aの幅方向に離間して3か所形成されている。
【0042】
収納部本体2Aの手前側の長辺側面231Aの下端部には、外側(手前側)に突出し、上方に延びる下係止部(受け部、内受け部)9が形成されている。下係止部9は、係止爪を有する。係止爪は、長辺側面231Aの下端から水平方向外側に延びる平板片91と、平板片91の外側端部の上面から上方に突出して形成された下係止片92とからなる。下係止片92は、縦断面形状が略直角三角形状であり、平板片91の手前側端部から奥側に向かって高くなるように傾斜する傾斜面92aを有する。
【0043】
平板片91には、長辺側面231Aと下係止片92との間に上下方向に貫通する貫通孔94が形成されている。平板片91は、貫通孔94が形成されることにより、弾性率が高く撓みやすいように構成されている。下係止部9の幅方向両側には、長辺側面231Aの下端から水平方向外側に延びる2つの支持板93,93が形成されている。
【0044】
本実施形態では、下係止部9は、収納部本体2Aの幅方向に離間して2か所形成されている。幅方向において、下係止部9は上係止部8の幅方向の位置と異なる位置に設けられている。下係止部9は、収納部本体2Aの幅方向の中央部に1か所形成される構成であってもよい。
【0045】
収納部本体2Aの奥行方向の寸法は、上部の内寸が下部の内寸より大きくなるように長辺側面231A,232Aが僅かに傾斜している。
【0046】
図6は、本実施形態の包丁収容部5A及び底部材3Aを示す斜視図である。図6に示すように、包丁収容部5Aの下部が底部材3Aの底面部4Aに一体に形成されている。底部材3Aは、収納部本体2Aと別体で形成され、収納部本体2Aの下部に着脱可能に取り付けられる部材である。底部材3Aは、収納部本体2Aの底面を構成する底面部4Aを有する。底面部4Aは、幅方向に長い板状に形成されており、収納部本体2Aの下部の開口部28Aに配置されて収納部本体2Aの底面を構成する。包丁収容部5Aは、底部材3Aの奥行方向の中間部よりも手前側に設けられている。
【0047】
底部材3Aは、手前側と奥側とで底面部4Aの形状が異なる。手前側の底面部4Aは、包丁収容部5Aの下方に位置し、幅方向両側より中央部の高さが低い位置に配置されており段差が形成されている。
【0048】
図6及び図10に示すように、奥側の底面部4Aは、平板状に形成されており水平方向に対して傾斜する傾斜面41Aが形成されている。傾斜面41Aは、手前側から奥側に向かって下降するように傾斜している。傾斜面41Aには、奥行方向に延びる複数のリブ42Aが形成されている。底面部4Aの奥側の端部には、下方に突出する突起部31Aが合計3か所形成されている。
【0049】
包丁収容部5Aは、底部材3Aの奥行方向中央部の手前側の上方に立設されている。包丁収容部5Aは、立体形状を有し、包丁収容部本体500と、パン切用ナイフ収納部502と、長物収納部510とを備える。包丁収容部本体500は、複数の包丁の収納部である。パン切用ナイフ収納部502は、パン切用ナイフ等、長尺な包丁を挿入する収納部である。長物収納部510は、上方に開口し、長尺な物品を収納可能な収納部である。
【0050】
包丁収容部本体500は、包丁収容部5Aの手前側の領域の上部に、包丁収容部5Aの幅方向の略全域にわたって設けられている。包丁収容部本体500の奥側に隣接し、幅方向の一方にパン切用ナイフ収納部502が設けられている。包丁収容部5Aの奥側の領域にはパン切用ナイフ収納部502及び長物収納部510が幅方向に隣接して設けられている。
【0051】
包丁収容部本体500は、幅方向に長い略直方体形状を有している。包丁収容部本体500は、包丁収容部本体500の上面に設けられる上面板509に上下方向に貫通して開口する複数の包丁挿入口501が形成されている。各包丁挿入口501の縁部上方には、包丁200の柄を支持する柄支持部505が設けられている。各包丁挿入口501の下方には包丁200の刃が収納可能な収納スペースが形成されている。
【0052】
包丁収容部本体500には包丁ロック機構を備える。図6及び図10に示すように、包丁ロック機構は、一枚のロック板503と、スライダ504とを備える。ロック板503は、包丁収容部本体500の上面板509の下方に近接配置され、上面板509に沿ってスライド可能に設けられている。スライダ504は、ロック板503の幅方向端部において、上方に向かって突出して形成されている。ロック板503は、上面板509の面積よりも小さく、各包丁挿入口501に対応する位置に、包丁挿入口501の位置及び形状に対応して上下方向に貫通する貫通孔5031が複数形成されている。
【0053】
包丁収容部本体500の上面板509には、複数の包丁挿入口501の他に開口部5011を備える。開口部5011の下方からスライダ504が挿入され、スライダ504が上方に突出して配置される。スライダ504を開口部5011に沿って幅方向にスライドさせるとロック板503が上面板509に対して幅方向に移動する。ロック板503のスライド移動に伴って、包丁挿入口501の開口幅が全開状態と部分開放状態とに変化する。スライダ504を開口部5011の一方の端部側に配置すると、ロック板503が移動して包丁挿入口501が全開状態となり、包丁200が挿入可能となる。スライダ504を開口部5011の他方の端部側に配置すると、包丁挿入口501が部分開放状態となる。全開状態で包丁200を挿入した後にスライダ504をスライド移動させると、包丁挿入口501では、柄のみが露出し、包丁200の刃はロック板503の下方に位置して覆われる。この状態で包丁200に上方へ引き上げる力が加わっても、刃がロック板503に当接して上方に引き上げられず、包丁200が収納状態で保持される。
【0054】
このように、包丁収容部5Aに包丁ロック機構を備えると、例えば、子供が抽斗102を開けて包丁収容部5Aに収納されている包丁200の柄を触っても、包丁200が包丁挿入口501から引き出されることを防ぐことができる。
【0055】
包丁収容部本体500の幅方向両側の側面壁508には、U字型のスリット5081が形成され、スリット5081で囲まれた部分は外力が付与されると撓む弾性片5082となる。弾性片5082の上端部には、係合ボタン507が設けられている。係合ボタン507は、側面壁508から幅方向外側に突出している。
【0056】
パン切用ナイフ収納部502は、上面に包丁収容部本体500と同様に包丁挿入口501及び柄支持部505aが設けられている。包丁挿入口501の下方は周囲が壁部で囲まれた収納スペースが形成されている。パン切用ナイフ収納部502は、その他の料理用の包丁200よりも長尺な包丁を水平方向に対して傾斜させて収納する。図6に示すように、パン切用ナイフ収納部502の柄支持部505aは、奥行方向から見ると略三角形状の平板である。柄支持部505aの傾斜部にパン切用ナイフ等、長尺な包丁の柄を当接させて、包丁が斜めに挿入された状態を保持するように構成されている。
【0057】
長物収納部510は、パン切用ナイフ収納部502と連設され、上面に開口が形成されて、上下方向に長い収納スペースS510が形成されている。
【0058】
次に、収納ボックス1の抽斗102の前板103に対する取付構造について図7から図10を参照して説明する。図7及び図8は、本実施形態に係る収納ボックス1Aの取付構造を示す分解斜視図である。図9は、本実施形態に係る収納ボックス1Aの取付構造を示す側面図である。図10は、本実施形態に係る収納ボックス1Aの取付構造を示す縦断面図である。
【0059】
収納部本体2Aは、上レール部材6及び下レール部材7を介して前板103に着脱可能に取り付けられる。収納部本体2Aは、上レール部材6の上方から上レール部材6に係止されている。図10に示すように、収納部本体2Aの上係止部8が上レール部材6の上フック部62に係止され、下係止部9の係止爪92が下レール部材7の下フック部72に係止されている。この構成により、収納部本体2Aは、上レール部材6で上部が係止され、収納部本体2Aの下部が下レール部材7で係止される。平板片91及び支持板93,93が下レール部材7の下フック部72の下端に当接する。そのため、支持板93,93により、収納部本体2Aの取付時に平板片91が下方に撓むことを防いでいる。この結果、収納部本体2Aの長辺側面231Aの下端部が下レール部材7に係止した状態を安定的に保持できる。
【0060】
底部材3A及び包丁収容部5Aは、収納部本体2Aの収納スペースS1A内に配置されている。底部材3Aの底面部4Aが収納部本体2Aの下部の開口部28Aを塞ぐように、底部材3Aが収納部本体2A内に配置され、底面部4Aの各突起部31Aが収納部本体2Aの下部の係止孔27Aに挿通されて係止される。また、補助支持部30の係止溝301内に、図6に示す包丁収容部本体500の手前側の側壁の下端部506が挿入されることにより、包丁収容部5Aが収納部本体2Aに係止される。この結果、底部材3A及び包丁収容部5Aが収納部本体2A内でがたつくことを防ぎ、底部材3A及び包丁収容部5Aが安定した状態で係止される。
【0061】
さらに、弾性片5082が撓み包丁収容部5Aの各係合ボタン507が収納部本体2Aの各短辺側面24Aの上部に形成された各係合孔241に係合し、包丁収容部5Aが収納部本体2Aに係止される。したがって、係合ボタン507により、包丁収容部5Aの収納部本体2Aに対する上方への移動が規制される。この構成により、包丁200が包丁ロック機構によりロックされている状態で、包丁200が上方に引っ張られた場合など、包丁200が包丁収容部5Aに下方から接触しても、包丁収容部5Aが上方に移動することを防いで、包丁収容部5Aが収納部本体2A内に保持される。
【0062】
図2及び図10に示すように、収納部本体2Aの奥側の長辺側面232Aと、底部材3Aの傾斜面41Aと、包丁収容部5Aとで囲まれたスペースが俎板収容部400となる。俎板収容部400は幅方向に細長いスペースであり、底部3Aが傾斜面41Aで構成されている。そのため、俎板収容部400に平板形状の俎板201を挿入すると、収納部本体2Aの奥側の長辺側面232Aと傾斜面41Aとの境界部分の最も高さが低い位置に俎板201の端部が誘導され、俎板201が傾斜して収納された状態が保持される。この結果、抽斗102が奥行方向に出し入れされても、俎板201が傾斜した状態が保持されやすい。したがって、抽斗102の移動時も俎板201が俎板収容部400内で移動することを防ぐことができる。
【0063】
例えば、特開2010-233847号公報に開示のキャビネットのように、抽斗102の前板103が、抽斗102の下端部を軸として手前側に回動する構成の場合でも、本実施形態の俎板収容部400であれば、俎板201が俎板収容部400で移動することを防ぎ、抽斗102の出し入れ時の静音性を高めることができる。
【0064】
なお、俎板収容部400内で俎板201のような平板形状の物品を安定した状態で保持する目的において、傾斜面41Aは、奥側から手前側に向かって下降するように傾斜する構成であってもよい。
【0065】
次に、図8及び図9を参照して収納ボックス1Aの着脱方法を説明する。使用者は、収納部本体2Aを上方から前板103に近付け、まず、収納部本体2Aの上係止部8を上レール部材6の上フック部62に係止する。このとき、下係止部9は下フック部72に未だ係止しておらず、下係止部9が下レール部材7の下フック部72の奥行方向奥側に位置し、下係止片92の傾斜面92aに当接する。次に、使用者は収納部本体2Aの下部を奥側から手前側に押すと下フック部72から下係止片92の傾斜面92aに力が掛かり、平板片91が下方に撓む。下フック部72が傾斜面92aを乗り越えると、撓んだ平板片91への力が解除されて平板片91が元の水平位置に戻るとともに、下フック部72が収納部本体2Aの長辺側面231Aと下係止片92との間に挟まれる。この状態で、平板片91に加えて、平板片91の幅方向の両側に隣接配置されている支持板93,93によって長辺側面231Aが支持される。
【0066】
次に、底部材3A及び包丁収容部5Aを収納部本体2Aに取り付ける。使用者は、前板103に係止されている収納部本体2Aに対して、包丁収容部5Aを把持しながら上方から近付け、上部の開口部21Aに底部材3Aを挿入する。このとき、底部材3Aの底面部4Aの奥行方向の寸法は、収納部本体2Aの上部の内寸より小さい。そのため、底部材3Aを円滑に収納部本体2A内に挿入できる。また、収納部本体2Aの下部の内寸と底部材3Aの寸法が近似しているため、底部材3Aが収納部本体2Aの下部の開口部28Aに配置されると、底部材3Aが収納部本体2Aの下部に安定的に配置される。
また、底面部4Aの各突起部31Aが収納部本体2Aの下部の係止孔27Aに挿通されて係止される。さらに、補助支持部30の係止溝301内に、図6に示す包丁収容部本体500の手前側の側壁の下端部506が挿入され、包丁収容部5Aが収納部本体2Aに係止される。この結果、底部材3A及び包丁収容部5Aが収納部本体2A内でがたつくことを防ぎ、底部材3A及び包丁収容部5Aが安定した状態で係止される。
【0067】
収納ボックス1Aを清掃する場合等、底部材3Aを収納部本体2Aから取り外すとき、使用者は、幅方向両側の係合ボタン507を幅方向外側から押し込んで係合孔241と係合ボタン507との係合を解除しながら、包丁収容部5Aを把持して上方に引き上げる。これにより、各突起部31Aが各係止孔27Aから外れ、簡単に底部材3Aを収納部本体2Aから取り外すことができる。包丁収容部5Aを収納部本体2Aから取り外す場合も、底部材3Aの底面部4Aの寸法より収納部本体2Aの上部の開口寸法の方が大きいため、円滑に取り外すことができる。
【0068】
収納部本体2Aを前板103から取り外す場合、使用者は収納部本体2Aを幅方向にスライド移動させる。スライド移動により収納部本体2Aの受け部9が下レール部材7の凹部73に到達すると、受け部9と下レール7との係止が解除される。収納部本体2Aの下部と下レール7との係止が解除されると、収納部本体2Aの上側の受け部8と上フック部6との係止も解除され、収納部本体2Aを前板103から取り外すことができる。
【0069】
本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造によれば、前板103に設けられる上レール部材6及び下レール部材7に、収納部本体2Aの上係止部8及び下係止部9をそれぞれ係止して収納部本体2Aを前板103に係止する。このとき、前板103側の上レール部材6及び下レール部材7が外フック部からなるフック部62,72を有し、収納部本体2Aの上係止部8及び下係止部9は、フック部62,72に対応して内受け部からなる受け部8,9を有するため、前板103に係止された収納部本体2Aの上下方向の位置が固定される。したがって、前板103に係止された状態で収納部本体2Aに上下方向の力が付与されても、収納部本体2Aが前板103から外れることを防止できる。その結果、収納部本体2Aを容易に前板103に係止可能でありながら、取付け状態を安定的に保持できる。
【0070】
本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造によれば、前板103に係止された収納ボックス1Aの収納部本体2Aの上下方向の位置が固定されるため、収納部本体2Aに上方に開口し、包丁200が収容可能な包丁収容部5Aを備える場合に、特に好適である。具体的には、上方に開口する包丁収容部5Aの場合、包丁収容部5Aから包丁を出し入れする際に包丁が開口等に接触し、包丁収容部5Aに上方向への力が掛かる場合がある。これに対し、この発明によれば、収納部本体2Aが前板103に係止された取付け状態が安定的に保持でき、安全性を確保できる。また、収納部本体2Aが前板103に固定されずに係止される構成であるため、前板103から収納部本体2Aを容易に着脱可能である。そのため、清潔に保つことが望まれる包丁収容部を容易に清掃できる。
【0071】
本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造によれば、凹部73が下レール部材7に、設けられているため、上下方向の移動が規制された状態で係止された収納部本体2Aのフック部62,72と受け部8,9との係止を容易に解除できる。したがって、ネジ等の固定具を用いることなく収納部本体2Aが安定的に係止され、且つ、前板103から収納部本体2Aを容易に取り外すことができる。
【0072】
本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造によれば、上レール部材6及び下レール部材7が長尺なレール部材であるため、収納部本体2Aを取付可能な範囲を広く確保できる。したがって、収納部本体2Aを上レール部材6に係止する際、係止位置の微調整を行うことなく容易に係止できる。また、収納部本体2Aの取付位置をレール部材6,7上の任意の位置に設定可能であり、用途に応じて収納部本体2Aの前板103への取付位置を設定できる。さらに、下レール部材7の少なくとも一ヶ所に解除部が設けられているため、前板103に係止された収納部本体2Aをレール部材6,7に沿ってスライドさせることによりフック部62,72と受け部9との係止を解除できる。その結果、使用者が難しい操作を行うことなく、収納部本体2Aを前板103に着脱できる。
【0073】
本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造によれば、受け部9に弾性変形可能な平板片91及び下係止片92を有するため、収納部本体2Aを係止させる際、収納部本体2Aの受け部9を下フック部72に向かって正面から押し込むと、平板片91が弾性変形して下フック部72と受け部9とを容易に係止できる。したがって、使用者が難しい操作を行うことなく、収納部本体2Aを前板103に容易に係止できる。
【0074】
本実施形態に係る収納ボックス1の取付構造によれば、収納部本体2Aを容易に前板103に係止可能でありながら、取付け状態を安定的に保持可能なキッチンキャビネット100を提供できる。したがって、収納ボックス1Aの使用時は前板103に安定的に保持され、且つ、容易に取り外し可能であり、収納ボックス1Aの清掃が容易となるキッチンキャビネット100を提供できる。
【0075】
本実施形態では、上被係止部及び下被係止部として、長尺なレール部材6,7を用いた例を示したが、上被係止部及び下被係止部はこれに限定されない。例えば、本実施形態のレール部材6,7の幅方向の寸法が短い構成の上被係止部及び下被係止部を一組以上設ける構成であってもよい。このように、幅方向に短尺の上被係止部及び下被係止部を設ける場合、収納部本体2Aを幅方向に移動させることで収納部本体2Aの前板103への係止が解除可能であり、本実施形態の下レール部材7に設けた凹部73は不要となる。
【0076】
本実施形態では、平板片91及び下係止片92からなる係止爪を備える例を示したが、係止爪は必須の構成ではない。上被係止部及び下被係止部の両方に解除部を設けることにより、係止爪を設けずとも、収納部本体2Aを幅方向に移動させることで収納部本体2Aの前板103への係止が解除可能である。
【0077】
本実施形態では、包丁収容部5Aに包丁ロック機構を備える例を示したが、包丁ロック機構は必須の構成ではない。
【0078】
本実施形態では、包丁収容部5Aにパン切用ナイフ収納部502及び長物収納部510を備える例を示したが、包丁収容部5Aの構成はこれに限定されない。
【0079】
本実施形態では、収納ボックス1A内に包丁収容部5Aを設ける構成としたが、包丁収容部5Aは必須の構成ではなく、収納ボックス1Aのみ、あるいは収納ボックス1A内に間仕切壁等を設ける構成であってもよい。
【0080】
本実施形態では、突起部31Aを底部材3Aに備え、係止孔27Aを収納部本体2Aに備える例を示したが、底部材と収納部本体とのいずれか一方に突起部を設け、他方に係止孔を設ける構成であればよい。したがって、収納部本体2Aの開口縁部26Aに突起部を設け、底部材3Aの底面部4Aに係止孔を設ける構成であってもよい。
【0081】
本実施形態では、収納部としての抽斗102の前板103に収納ボックス1を設ける例を示したが、収納部は、これに限定されず収納棚の前扉に収納ボックス1を設けてもよい。
【0082】
本実施形態に係る収納ボックス1Aの取付構造によれば、収納部本体2Aの長辺側面と鋭角または鈍角を成す傾斜面41Aが底部に設けられるため、例えば、俎板等の平板状の物品を起立状態で収容する場合に、平板状の物品の下端部が傾斜面41Aに沿って底面部4Aの下部に誘導される。その結果、平板状の物品が傾斜面41Aにより傾斜した状態が保持され、収納ボックス1A内で安定して収容される。
【0083】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
また、上述の実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A 収納ボックス
2A 収納部本体
3A 底部材
4A 底面部
5A 包丁収容部
6 上レール部材(上被係止部、レール部材)
7 下レール部材(下被係止部、レール部材)
8 上係止部(内受け部、受け部)
9 下係止部(内受け部、受け部)
62 上フック部(フック部)
72 下フック部(フック部)
73 凹部(解除部)
91 平板片(係止爪)
92 下係止片(係止爪)
100 キッチンキャビネット
102 抽斗(収納部)
103 前板(板材)
231A,232A 長辺側面
FO 外フック部
FI 内フック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11