(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/10 20060101AFI20220610BHJP
F25C 1/24 20180101ALI20220610BHJP
F25C 1/00 20060101ALI20220610BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
F25C1/10 302B
F25C1/24 306B
F25C1/00 301A
F25D29/00 A
(21)【出願番号】P 2018042945
(22)【出願日】2018-03-09
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2017166787
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊二
(72)【発明者】
【氏名】谷邑 敏
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-309046(JP,A)
【文献】特開2013-032878(JP,A)
【文献】特開2004-286313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/10
F25C 1/24
F25C 1/00
F25D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも貯水用凹部が上向きに配置された製氷皿と、
上下方向と交差する方向に延在する軸線周りの反転動作および捻り動作を前記製氷皿に行わせる駆動部と、
前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、
前記製氷皿の下面に接するように配置され、温度検出用のチップを覆う封止用コーティング層が外装ケースに覆われずに露出している温度センサと、
前記温度センサを覆う可撓性部材と、
前記可撓性部材を介して前記温度センサを前記製氷皿に押し付けるように前記製氷皿の下面に固定されたカバー部材と、
を有し、
前記製氷皿は、前記貯水用凹部が前記軸線、および前記軸線と交差する幅方向に沿って複数配列されており、
前記製氷皿の下面には、前記貯水用凹部の形状が反映された複数の凸部が形成されており、
前記温度センサは、前記複数の凸部の各間に形成された溝状凹部の内側において、前記複数の凸部のうち、1つの凸部において前記上下方向と交差する方向に向いた第1側壁に接するように配置されており、
前記第1側壁は、前記幅方向に向いており、
前記製氷皿は、前記1つの凸部の底壁から突出する第1被係合部と、前記幅方向で前記第1側壁に対向して前記1つの凸部に隣り合う隣接凸部の底壁から突出する第2被係合部と、を備え、
前記可撓性部材は、前記1つの凸部の前記底壁と、前記第1側壁と、に重なるように設けられており、
前記カバー部材は、前記可撓性部材を介して前記1つの凸部の前記底壁に重なる端板部と、前記端板部における前記幅方向の途中位置から前記溝状凹部の内側に突出して前記可撓性部材を介して前記第1側壁に重なる第1板部と、前記幅方向において前記第1被係合部が位置する側を一方側、前記第2被係合部が位置する側を他方側としたときに、前記端板部の前記一方側の端部に設けられて前記第1被係合部に係止された第1係合部と、前記端板部の前記他方側の端部に設けられて前記第2被係合部に係止された第2係合部と、を備えることを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
前記可撓性部材は、シート状あるいは板状の断熱性部材であることを特徴とする請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記断熱性部材は、多孔性部材であることを特徴とする請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記可撓性部材は、前記製氷皿側の面が粘着性を有していることを特徴とする請求項1から3までの何れか一項に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記温度センサは、サーミスタであり、
前記チップは、サーミスタ素子チップであることを特徴とする請求項1から4までの何れか一項に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記第1被係合部および前記第2被係合部は、それぞれ前記幅方向に貫通する係合穴を備え、
前記第1係合部は、前記端板部の前記一方側の端面から当該端板部に沿って前記幅方向に突出した第1係合軸であり、
前記第2係合部は、前記端板部の前記他方側の端面から当該端板部に沿って前記幅方向に突出した第2係合軸であり、
前記幅方向における前記第1被係合部と前記第2被係合部との間の間隔は、前記端板部の幅方向の寸法よりも狭いか、または、同一であり、
前記第1係合軸が前記第1被係合部の前記係合穴に挿入され前記第2係合軸が前記第2被係合部の係合穴に挿入された状態では、前記端板部の前記一方側の端面は前記第1被係合部に当接し、前記他方側の端面は前記第2被係合部に当接することを特徴とする請求項
1から5のうちのいずれか一項に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記端板部における前記第1板部よりも前記他方側の端板部分には、前記
軸線の方向に延びる隙間部が設けられ、
前記幅方向から見た場合に、前記第2係合軸と前記隙間部とは重なっており、
前記端板部の前記隙間部よりも前記他方側の端部は、前記幅方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項
6に記載の製氷装置。
【請求項8】
前記第1被係合部と前記第2被係合部との間の間隔は、前記端板部の幅方向の寸法よりも狭く、
前記第1係合軸が前記第1被係合部の前記係合穴に挿入され前記第2係合軸が前記第2被係合部の係合穴に挿入された状態では、前記端板部の前記他方側の前記端部が弾性変形していることを特徴とする請求項
7に記載の製氷装置。
【請求項9】
前記カバー部材は、前記端板部における前記第1板部よりも前記他方側の端板部分から前記溝状凹部の内側に突出して前記第1板部に接続された補強板部を備えることを特徴とする請求項
1から8のうちのいずれか一項に記載の製氷装置。
【請求項10】
前記可撓性部材は、前記1つの凸部において前記第1側壁に隣接する第2側壁と、前記1つの凸部において前記第1側壁に前記第2側壁とは反対側で隣接する第3側壁と、に重なるように設けられていることを特徴とする請求項
1から9のうちのいずれか一項に記載の製氷装置。
【請求項11】
前記カバー部材は、前記可撓性部材を介して前記第2側壁に重なる第2板部と、前記可撓性部材を介して前記第3側壁に重なる第3板部と、を備えていることを特徴とする請求項
10に記載の製氷装置。
【請求項12】
前記可撓性部材は、少なくとも一部が、前記第2板部と前記製氷皿との間、および前記第3板部と前記製氷皿との間から張り出していることを特徴とする請求項
11に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷皿に充填された液体の温度を監視する温度センサを備えた製氷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に搭載される製氷装置は、貯水用凹部が上向きに配置された製氷皿を有しており、製氷皿の下面には、温度センサ(温度測定具)としてのサーミスタが設けられている。かかる製氷装置では、給水タンクの水を給水パイプを通じて製氷皿の貯水用凹部に充填した後、貯水用凹部に充填された水の温度をサーミスタによって監視し、サーミスタによる監視結果に基づいて製氷が完了したと判断したときには、駆動部によって、水平な軸線周りに製氷皿を反転させて捻ることにより貯氷容器内へ氷を落下させる(特許文献1参照)。特許文献1に記載の製氷装置に用いた製氷皿の下面には、貯水用凹部の形状が反映された複数の凸部が形成されており、複数の凸部の間に形成された溝状凹部内にサーミスタが配置されている。サーミスタは、筒状のヘッドカバー(外装ケース)内にサーミスタ素子が挿入され、ヘッドカバー内の隙間は封止樹脂で満たされている。かかるサーミスタを製氷皿の下面に設ける際には、サーミスタをサーミスタ保護シーラで覆い、さらに、サーミスタ保護シーラをサーミスタカバーで覆った構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のサーミスタは、筒状のヘッドカバー内にサーミスタ素子を挿入した状態でヘッドカバー内の隙間が封止樹脂で満たされている構造になっている。このため、サーミスタのコストが嵩む。また、サーミスタは、サーミスタ素子が筒状のヘッドカバー内に挿入されているため、サイズが大きい。従って、製氷皿の下面に形成された溝状凹部内にサーミスタを配置する場合には、溝状凹部の幅を広くする必要がある等の問題点がある。また、サーミスタのサイズが大きい場合に、サーミスタをサーミスタ保護シーラで覆うのが容易でない。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、コストの低減と小型化とを図った温度センサを製氷皿の下面側に設けた製氷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る製氷装置は、少なくとも貯水用凹部が上向きに配置された製氷皿と、上下方向と交差する方向に延在する軸線周りの反転動作および捻り動作を前記製氷皿に行わせる駆動部と、前記製氷皿および前記駆動部を支持するフレームと、前記製氷皿の下面に接するように配置され、温度検出用のチップを覆う封止用コーティング層が外装ケースに覆われずに露出している温度センサと、前記温度センサを覆う可撓性部材と、前記可撓性部材を介して前記温度センサを前記製氷皿に押し付けるように前記製氷皿の下面に固定されたカバー部材と、を有し、前記製氷皿は、前記貯水用凹部が前記軸線、および前記軸線と交差する幅方向に沿って複数配列されており、前記製氷皿の下面には、前記貯水用凹部の形状が反映された複数の凸部が形成されており、前記温度センサは、前記複数の凸部の各間に形成された溝状凹部の内側において、前記複数の凸部のうち、1つの凸部において前記上下方向と交差する方向に向いた第1側壁に接するように配置されており、前記第1側壁は、前記幅方向に向いており、前記製氷皿は、前記1つの凸部の底壁から突出する第1被係合部と、前記幅方向で前記第1側壁に対向して前記1つの凸部に隣り合う隣接凸部の底壁から突出する第2被係合部と、を備え、前記可撓性部材は、前記1つの凸部の前記底壁と、前記第1側壁と、に重なるように設けられており、前記カバー部材は、前記可撓性部材を介して前記1つの凸部の前記底壁に重なる端板部と、前記端板部における前記幅方向の途中位置から前記溝状凹部の内側に突出して前記可撓性部材を介して前記第1側壁に重なる第1板部と、前記幅方向において前記第1被係合部が位置する側を一方側、前記第2被係合部が位置する側を他方側としたときに、前記端板部の前記一方側の端部に設けられて前記第1被係合部に係止された第1係合部と、前記端板部の前記他方側の端部に設けられて前記第2被係合部に係止された第2係合部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明において、温度センサは、温度検出用のチップを覆う封止用コーティング層が外装ケースに覆われずに露出している。すなわち、温度センサでは、温度検出用のチップを覆うように封止用コーティング層が設けられているが、外装ケースが用いられていない。従って、温度センサのコストを低減することができるとともに、温度センサの小型化を図ることができる。また、温度センサの小型化を図れば、製氷皿に温度センサを設ける位置等の制約を緩和することができる。また、温度センサは可撓性部材で覆われているので、温度センサに冷気が直接、当たりにくい。従って、温度センサは、貯水用凹部に充填された水等の温度を適正に監視することができる。また、温度センサの小型化を図れば、温度センサを可撓性部材によって適正に覆うのが容易である。かかる態様によれば、温度センサを製氷皿に確実に接触させることができる。また、カバー部材によって可撓性部材およ
び温度センサを製氷皿に固定することができるので、可撓性部材および温度センサが製氷皿から脱落することを抑制することができる。かかる態様によれば、温度センサのサイズが大さいため、溝状凹部の幅を広くしなくても、温度センサを適正な位置に配置することができる。また、製氷皿の下面側に温度センサ、可撓性部材、およびカバー部材を設けた場合でも、サイズの小さい温度センサを溝状凹部に配置したため、カバー部材が製氷皿の下面側から大きく突出することを回避することができる。かかる態様によれば、製氷皿を捻った際、温度センサに大きな力が加わらないので、温度センサが製氷皿から脱落することを抑制することができる。かかる態様によれば、カバー部材を、製氷皿に固定することが容易である。
【0008】
本発明において、前記可撓性部材は、シート状あるいは板状の断熱部材である態様を採用することができる。かかる態様によれば、可撓性部材が断熱部材であるので、温度センサは、製氷室内の温度の影響を受けずに、貯水用凹部に充填された水等の温度を適正に監視することができる。本発明において、前記断熱性部材は、多孔性部材である態様を採用することができる。
【0009】
本発明において、前記可撓性部材は、前記製氷皿側の面が粘着性を有している態様を採用することができる。かかる態様によれば、可撓性部材によって製氷皿に温度センサを固定することができる。
【0010】
本発明において、前記温度センサは、サーミスタであり、前記チップは、サーミスタ素子チップである態様を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記第1被係合部および前記第2被係合部は、それぞれ前記幅方向に貫通する係合穴を備え、前記第1係合部は、前記端板部の前記一方側の端面から当該端板部に沿って前記幅方向に突出した第1係合軸であり、前記第2係合部は、前記端板部の前記他方側の端面から当該端板部に沿って前記幅方向に突出した第2係合軸であり、前記幅方向における前記第1被係合部と前記第2被係合部との間の間隔は、前記端板部の幅方向の寸法よりも狭いか、または、同一であり、前記第1係合軸が前記第1被係合部の前記係合穴に挿入され前記第2係合軸が前記第2被係合部の係合穴に挿入された状態では、前記端板部の前記一方側の端面は前記第1被係合部に当接し、前記他方側の端面は前記第2被係合部に当接する態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1被係合部の係合穴にカバー部材の第1係合軸を挿入し、第2被係合部の係合穴にカバー部材の第2係合軸を挿入することにより、カバー部材を製氷皿に固定できる。また、カバー部材に設けた各係合部は、それぞれ、端板部に沿って幅方向に突出する軸部なので、係止部を設けた場合でも、カバー部材が一つの凸部の底壁から突出する突出量を抑制できる。
【0016】
本発明において、前記端板部における前記第1板部よりも前記他方側の端板部分には、前記軸線の方向に延びる隙間部が設けられ、前記幅方向から見た場合に、前記第2係合軸と前記隙間部とは重なっており、前記端板部の前記隙間部よりも前記他方側の端部は、前記幅方向に弾性変形可能であること態様を採用することができる。このようにすれば、第1被係合部の係合穴にカバー部材の第1係合軸を挿入した後に、端板部の隙間部よりも他方側の端部を弾性変形させながら、第2被係合部の係合穴にカバー部材の第2係合軸を挿入できる。従って、カバー部材の製氷皿への固定が容易となる。
【0017】
本発明において、前記第1被係合部と前記第2被係合部との間の間隔は、前記端板部の幅方向の寸法よりも狭く、前記第1係合軸が前記第1被係合部の前記係合穴に挿入され前記第2係合軸が前記第2被係合部の係合穴に挿入された状態では、前記端板部の前記他方側の前記端部が弾性変形している態様を採用することができる。かかる態様によれば、端板部の端部の弾性復元力が、第1板部を凸部の第1側壁に押し付ける力として働く。従って、温度センサを、より確実に、製氷皿に接触させることができる。
【0018】
本発明において、前記カバー部材は、前記端板部における前記第1板部よりも前記他方側の端板部分から前記溝状凹部の内側に突出して前記第1板部に接続された補強板部を備える態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1板部が可撓性部材を介して凸部の第1側壁に押し付けられたときに、第1板部が第1側壁から離間する方向に反ってしまうことを防止できる。
【0019】
本発明において、前記可撓性部材は、前記1つの凸部において前記第1側壁に隣接する第2側壁と、前記1つの凸部において前記第1側壁に前記第2側壁とは反対側で隣接する第3側壁と、に重なるように設けられている態様を採用することができる。かかる態様によれば、温度センサの周りが可撓性部材で覆われた状態となるので、冷気が温度センサに直接、当たりにくい。従って、温度センサは、貯水用凹部に充填された水等の温度を適正に監視することができる。
【0020】
本発明において、前記カバー部材は、前記可撓性部材を介して前記底壁に重なる端板部と、前記可撓性部材を介して前記第1側壁に重なる第1板部と、を備えている態様を採用することができる。かかる態様によれば、第1板部が可撓性部材を介して温度センサを製氷皿に適正に押し付けた状態となる。
【0021】
本発明において、前記カバー部材は、前記可撓性部材を介して前記第2側壁に重なる第2板部と、前記可撓性部材を介して前記第3側壁に重なる第3板部と、を備えている態様を採用することができる。かかる態様によれば、温度センサの周りにおいて、可撓性部材と製氷皿との間に隙間が発生しにくいので、冷気が温度センサに直接、当たらない。従って、温度センサは、貯水用凹部に充填された水等の温度を適正に監視することができる。
【0022】
本発明において、前記可撓性部材は、少なくとも一部が、前記第2板部と前記製氷皿との間、および前記第3板部と前記製氷皿との間から張り出している態様を採用することができる。かかる態様によれば、温度センサの周りにおいて、可撓性部材と製氷皿との間に隙間が発生しにくいので、冷気が温度センサに直接、当たらない。従って、温度センサは、貯水用凹部に充填された水等の温度を適正に監視することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明において、温度センサは、温度検出用のチップを覆う封止用コーティング層が外装ケースに覆われずに露出している。すなわち、温度センサでは、温度検出用のチップを覆うように封止用コーティング層が設けられているが、外装ケースが用いられていない。従って、温度センサのコストを低減することができるとともに、温度センサの小型化を図ることができる。また、温度センサの小型化を図れば、製氷皿に温度センサを設ける位置等の制約を緩和することができる。また、温度センサは可撓性部材で覆われているので、温度センサに冷気が直接、当たりにくい。従って、温度センサは、貯水用凹部に充填された水等の温度を適正に監視することができる。また、温度センサの小型化を図れば、温度センサを可撓性部材によって適正に覆うのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明を適用した製氷装置を第2側板部が位置する側、かつ斜め上方からみた斜視図である。
【
図2】
図1に示す製氷装置を第2側板部が位置する側、かつ斜め上方からみた分解斜視図である。
【
図3】
図1に示す製氷装置を第2側板部が位置する側、かつ斜め下方からみた分解斜視図である。
【
図4】
図1に示す製氷装置1に用いた温度センサの説明図である。
【
図5】
図2に示す製氷皿の下面にカバー部材を固定した様子を下方からみたときの斜視図である。
【
図6】
図5に示す状態を下方からみたときの底面図である
【
図7】
図5に示す状態からカバー部材を外した様子を下方からみたときの斜視図である。
【
図8】
図7に示す状態から可撓性部材を外した様子を下方からみたときの斜視図である。
【
図9】
図8に示す状態を下方からみたときの底面図である。
【
図10】温度センサを通る位置で製氷皿を第1方向Xに切断したときの断面図である。
【
図11】温度センサを通る位置で製氷皿を第2方向Yに切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、互いに交差する3方向を第1方向X(長さ方向)、第2方向Y(幅方向)、および第3方向Z(上下方向)として説明する。また、第1方向Xの一方側にX1を付し、第1方向Xの他方側にX
2を付し、第2方向Yの一方側にY1を付し、第2方向Yの他方側にY2を付し、第3方向Z(上下方向)の一方側(上側)Z1を付し、第3方向Z(上下方向)の他方側(下側)Z2を付して説明する。
【0026】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した製氷装置1を第2側板部42が位置する側、かつ斜め上方からみた斜視図である。
図2は、
図1に示す製氷装置1を第2側板部42が位置する側、かつ斜め上方からみた分解斜視図である。
図3は、
図1に示す製氷装置1を第2側板部42が位置する側、かつ斜め下方からみた分解斜視図である。
【0027】
図1~
図3に示す製氷装置1は、貯水用凹部20(セル)が第3方向Zの一方側Z1(上側)に向けて配置された製氷皿2と、製氷皿2に対して第1方向Xの一方側X1に配置された駆動部3と、製氷皿2および駆動部3を支持するフレーム4とを有している。製氷装置1は、冷蔵庫本体(図示せず)に搭載され、冷蔵庫では、給水タンク(図示せず)の水を給水パイプ(図示せず)を通じて製氷皿2の貯水用凹部20に充填し、製氷を行う。そして、製氷が完了すると、駆動部3は、離氷動作として、製氷皿2に第1方向Xに延在する軸線L0周りの反転動作および捻り動作を行わせることにより、製氷皿2の氷を貯氷容器(図示せず)へ落下させる。
【0028】
(製氷皿2の構成)
製氷皿2は、樹脂材料で平面形状が略四角形になるように成形された部材であって、弾性変形可能な材料からなる。製氷皿2において、貯水用凹部20は、第1方向Xおよび第2方向Yに複数配列されている。例えば、製氷皿2では、略四角形の枠部25の内側に、第2方向Yに並ぶ2つの貯水用凹部20が組になって第1方向Xに4列配置されている。製氷皿2の枠部25において、第1方向Xの一方側X1に位置する壁部26には、駆動部3の出力軸32と連結された連結部24(
図5参照)が形成されており、第1方向Xの他方側X2に位置する壁部27には、フレーム4に回転可能に支持される軸部28が形成されている。製氷皿2の壁部27には、製氷皿2が軸線L0周りに回転した際にフレーム4と当接する回転規制部29が形成されており、回転規制部29は、製氷皿2の回転を阻止することにより、製氷皿2に捻り動作を行わせる。
【0029】
製氷皿2において、第3方向Zの下面2aには、複数の貯水用凹部20の形状が各々、反映された複数の凸部21が配列されている。製氷皿2の下面2aには、製氷皿2の温度を検知する温度センサ8が配置され、温度センサ8は、製氷皿2の下面2aに固定されたカバー部材9で覆われている。温度センサ8から駆動部3の内部に向けては信号配線88、89が延在している。本形態において、温度センサ8は、サーミスタ80である。
【0030】
(駆動部3の構成)
図2に示すように、駆動部3は、直方体状に成形されたケース31の内側に、駆動源となるモータ(図示せず)と、モータの回転力を伝達する回転伝達機構(図示せず)と、回転伝達機構によりモータの回転力が伝達されるカム歯車33とを備えており、駆動部3からは、モータに対する給電用の配線(図示せず)がフレーム4の外側に引き出されている。カム歯車33には、製氷皿2の連結部24(
図5参照)が連結される出力軸32が一体成形されている。出力軸32は、ケース31の端板311に設けられた穴316からケース31の外方に突出している。第1方向Xの他方側X2からみたとき、出力軸32は、製氷皿2の氷を離氷させる場合には、軸線L0を中心に反時計回りの方向に回転し、製氷皿2を元の位置に戻す場合には、時計回りの方向に回転する。
【0031】
製氷皿2に対して第2方向Yの他方側Y2で隣り合う位置には、検氷レバー6が配置されており、駆動部3のケース31内には、カム歯車33の回転角度に応じてカム歯車33
と連動して検氷レバー6を軸線L1周りに回転させる動作させる検氷機構や、温度センサ8から信号配線88、89を介して入力された信号に基づいて動作するスイッチ機構等が構成されている。
【0032】
(フレーム4の構成)
フレーム4は、製氷皿2の第2方向Yの一方側Y1の第1側面2bに沿って第1方向Xに延在する第1側板部41と、製氷皿2の第2方向Yの他方側Y2の第2側面2cに沿って第1方向Xに延在する第2側板部42とを備えており、第1側板部41と第2側板部42とは第2方向Yで平行に対向している。第2側板部42と製氷皿2との間には、検氷レバー6が配置されている。
【0033】
第1側板部41の上端41e(第3方向Zの一方側Z1の縁)からは第2側板部42に向けて第1上板部410が張り出しており、第1上板部410は、第2方向Yの他方側Y2に向かう途中位置で下方に折れ曲がった後、第2側板部42に向けて張り出している。第2側板部42の上端42e(第3方向Zの一方側Z1の縁)の付近からは第1側板部41に向けて第2上板部420が張り出しており、製氷皿2は、第1上板部410と第2上板部420との間で上方(第3方向Zの一方側Z1)に向けて開放状態にある。第2上板部420には、検氷レバー6の上端部が内側に位置する開口部420aが形成されている。
【0034】
第1側板部41および第2側板部42の第1方向Xの一方側X1の端部は、第2方向Yからみたときに駆動部3と重なっている。第1側板部41と第2側板部42とは、第1方向Xの一方側X1の端部に位置する板状の第1壁部43と、第1方向Xの他方側X2の端部に位置する第2壁部44とによって連結されている。第1側板部41と第2側板部42とは、第2方向Yの一方側Y1において駆動部3を上側から覆う上板部45によっても連結されている。第2壁部44は、板状の複数のリブが互いに連結された多孔性の壁になっており、その中央に製氷皿2の軸部28を回転可能に支持する軸穴440が形成されている。
【0035】
第1側板部41において製氷皿2が位置する側の壁(内壁411)には、複数の補強用リブ411a、411b、411cが上下方向に延在するように形成されている。第1側板部41において製氷皿2とは反対側の壁(外壁)において、第1側板部41の上端41eおよび下端41fには、駆動部3より第1方向Xの他方側X1に、製氷装置1を冷蔵庫本体(図示せず)に搭載する際にフレーム4を冷蔵庫本体に固定する複数の取り付け部414が形成されている。第1側板部41の下端41fには、第1方向Xで隣り合う取り付け部414の間に、切り欠きからなる貫通部47が形成されており、駆動部3への給電を行う配線5は、駆動部3から第1側板部41の内壁411に沿って第1方向Xの他方側X2に延在した後、貫通部47から外側に引き出されている。
【0036】
従って、離氷動作を行うために、駆動部3が製氷皿2に捻り動作を行わせた際、その反力によって、フレーム4に大きな力が加わっても、かかる力が第1側板部41の貫通部47の側に伝わることを、貫通部47より第1方向Xの一方側X1に設けられた取り付け部414によって抑制される。従って、第1側板部41では貫通部47付近に応力が集中することを抑制することができるので、第1側板部41が貫通部47付近で破損することを抑制することができる。
【0037】
(動作)
本形態の製氷装置1において、製氷工程では、貯水用凹部20が上方を向くように水平に配置された製氷皿2に対して給水パイプ(図示せず)を通じて水が供給され、貯水用凹部20に水が充填さる。その後、製氷皿2の上方に設置された冷却部(図示せず)により
、製氷皿2内に充填された水を冷却する。製氷が完了したか否かは、製氷皿2に取り付けられた温度センサ8(サーミスタ80)により、製氷皿2の温度が所定温度以下となったか否かで判断される。
【0038】
製氷が完了すると、検氷レバー6により、製氷皿2の下方に設置された貯氷容器(図示せず)の氷量の検出が行なわれる。具体的には、検氷レバー6が駆動部3に駆動されて下降する。その際、検氷レバー6が所定位置まで下降する場合には、貯氷容器内が満氷でないと判断される。一方、所定位置まで下降する前に、検氷レバー6が貯氷容器内の氷に接触する場合には、貯氷容器内が満氷であると判断される。貯氷容器内が満氷の場合には、所定時間待機した後、再度、検氷レバー6により貯氷容器内の氷量の検出が行なわれる。
【0039】
貯氷容器内が満氷でない場合には、製氷皿2の離氷動作が行なわれる。具体的には、駆動部3の出力軸32の回転駆動により、製氷皿2が軸線L0を中心に回転する。水平に配置された最初の位置より90°以上の所定の回転角(例えば120°)まで製氷皿2が回転したときに、製氷皿2の回転規制部29がフレーム4に当接する。この状態で、製氷皿2がさらに回転しようとしても回転は妨げられ、製氷皿2には捻りが加えられ、変形する。これにより、製氷皿2内の氷が製氷皿2から剥離し、製氷皿2の下方に設置された図示しない貯氷容器内に落下する。
【0040】
しかる後には、駆動部3が、貯水用凹部20が上方を向くように製氷皿2を逆回転させ、上記の動作が繰り返される。
【0041】
(温度センサ8の構成)
図4は、
図1に示す製氷装置1に用いた温度センサ8の説明図である。
図4に示すように、温度センサ8(サーミスタ80)では、温度検出用のチップ81(サーミスタ素子チップ)を覆う封止用コーティング層82が外装ケースに覆われずに露出している。すなわち、温度センサ8では、チップ81を覆うように、ガラスや樹脂等のコーティング材からなる封止用コーティング層82が設けられているが、外装ケースが用いられていない。本形態において、温度センサ8は、チップ81をガラス(封止用コーティング層)でコーティングした後、エポキシ樹脂(封止用コーティング層)でコーティングされている。かかる温度センサ8(サーミスタ80)は、軸線L2に延在する丸棒状である。
【0042】
(温度センサ8の製氷皿2への固定構造)
図5は、
図2に示す製氷皿2の下面2aにカバー部材9を固定した様子を下方からみたときの斜視図である。
図6は、
図5に示す状態を下方からみたときの底面図である。
図7は、
図5に示す状態からカバー部材9を外した様子を下方からみたときの斜視図である。
図8は、
図7に示す状態から可撓性部材7を外した様子を下方からみたときの斜視図である。
図9は、
図8に示す状態を下方からみたときの底面図である。
図10は、温度センサ8を通る位置で製氷皿2を第1方向Xに切断したときの断面図である。
図11は、温度センサ8を通る位置で製氷皿2を第2方向Yに切断したときの断面図である。
図12(a)は、カバー部材9の斜視図であり、
図12(b)は、カバー部材9の平面図である。
【0043】
図5~
図11に示すように、製氷皿2の下面2aには、第1方向Xおよび第2方向Y(幅方向)に配置された複数の貯水用凹部20の形状が各々、反映された複数の凸部21が形成されており、複数の凸部21の各間には、溝状凹部22が形成されている。
【0044】
本形態では、以下に説明するように、溝状凹部22の内側において、複数の凸部21のうち、1つの凸部21において上下方向と交差する方向に向いた第1側壁211に接するように温度センサ8が配置されている。より具体的には、複数の凸部21は各々、底壁210と、底壁210にフィレット(角を丸めた部分)を介して繋がった4つの側壁を有し
ている。4つの側壁は、第2方向Yの他方側Y2を向いた第1側壁211と、第1方向Xの一方側X1を向いて第1側壁211にフィレットを介して繋がった第2側壁212と、第1方向Xの他方側X2を向いて第1側壁211にフィレットを介して繋がった第3側壁213と、第1側壁211に対して反対側で第2方向Yの一方Y1を向いた第4側壁214とからなり、第4側壁214は、第2側壁212および第3側壁213にフィレットを介して繋がっている。温度センサ8は、駆動部3から2番目において第2方向Yの一方側Y1に位置する凸部21の第1側壁211に対して軸線L2が第1方向Xに沿うような姿勢で接している。この状態で、温度センサ8は、第1側壁211と第2側壁212との間のフィレット、および第1側壁211と第3側壁213との間のフィレットに重なっておらず、凸部21に常に接している。
【0045】
温度センサ8は、第1側壁211のうち、底壁210および根元から離間する位置に接している。さらに詳しくは、温度センサ8は、第1側壁211のうち、高さ方向の中間より底壁210に近い位置に接している。従って、温度センサ8は、貯水用凹部20に充填された水等の液面より下方で第1側壁211に接している。
【0046】
図7、
図8、
図9に示すように、製氷皿2において、温度センサ8が配置された凸部21の底壁210と、温度センサ8が配置された凸部21の第1側壁211の側で隣り合う凸部21(隣接凸部)の底壁210には、カバー部材9を固定するための一対の被係合部218(第1被係合部218(1)および第2被係合部218(2))が形成されている。本形態において、第1被係合部218(1)および第2被係合部218(2)のそれぞれは、係合穴218aを形成するように、凸部21の底壁210から下方に突出した枠状凸部218bである。
【0047】
また、製氷皿2では、駆動部3に近い第1方向Xの一方側X1に位置する壁部26に、温度センサ8からの信号配線88、89を係止するためのフック30が設けられている。フック30は第2方向Yの中央部分に設けられており、第1方向Xから見た場合に溝状凹部22と重なる。
図5に示すように、フック30は、壁部26から第3方向Zの他方側Z2に突出する突出部301と、突出部301の先端から壁部26に沿って第2方向Yの一方側Y1に延びる延設部302と、延設部302の先端から第3方向Zの一方側Z1(壁部26の側)に突出する爪部303と、を備える。
【0048】
信号配線88、89は、温度センサ8から溝状凹部22を第1方向Xの一方側X1に引き出されてフック30に係止される。フック30に係止する際には、信号配線88、89は、第2方向Xの一方側Y1の側から、爪部303と壁部26との間を介して、延設部302と壁部26との間に挿入される。その後、信号配線88、89は、第2方向Yの一方側Y1に屈曲し、壁部26に沿って引き回されて、駆動部3に接続される。
【0049】
ここで、本形態では、信号配線88、89がフック30に係止されているので、製氷皿2が回転する際に、信号配線88、89におけるフック30と温度センサ8との間の配線部分88a、89aが製氷皿2から離間する方向に移動することがない。これにより、信号配線88、89と温度センサ8との接続部分に負荷がかることを防止或いは抑制できるので、信号配線88、89に断線が発生することを防止或いは抑制できる。なお、製氷皿2が氷を離脱させる方向に回転すると、フック30が駆動部3の信号配線88、89の引き出し部分に接近するので、信号配線88、89におけるフック30と駆動部3との間に弛みが発生するが、フック30は、製氷皿2の回転方向の後方から信号配線88、89に当接可能な突出部301を備えるので、フック30に係止した信号配線88、89がフック30から抜け落ちることが防止される。
【0050】
次に、温度センサ8は、製氷皿2の下面2aにおいて、可撓性部材7によって覆われて
いる、本形態において、可撓性部材7は、シート状あるいは板状に成形された樹脂製の多孔性部材70(発泡部材)等からなる断熱性部材であり、温度センサ8を挟むように第1側壁211に重なるとともに、底壁210、第2側壁212、および第3側壁213にも部分的に重なるように変形した状態にある。ここで、可撓性部材7は、製氷皿2が位置する側の面71に粘着層(図示せず)が形成されており、製氷皿2が位置する側の面は、粘着性を有している。従って、可撓性部材7の面71に対して、その粘着性を利用して温度センサ8を取り付けた後、可撓性部材7を温度センサ8とともに製氷皿2に押し付ければ、
図7、
図10および
図11に示す状態となる。
【0051】
本形態においては、可撓性部材7を介して温度センサ8を製氷皿2に押し付けるように製氷皿2の下面2aにカバー部材9が固定されている。本形態において、カバー部材9は樹脂製であり、以下に説明する第1板部91、第2板部92および第3板部93は、板厚方向に弾性変形可能である。
【0052】
図6および
図12に示すように、カバー部材9は、可撓性部材7を介して製氷皿2の凸部21の底壁210に重なる端板部90を有する。端板部90の第2方向Yの両端面90a、90bの各々には、丸棒状の係合軸98(第1係合軸98(1)および第2係合軸98(2):第1係合部および第2係合部)が形成されている。各係合軸98(1)、98(2)は、それぞれ端板部90の端面90a、90bにおける第1方向Xの中央部分から当該端板部90に沿って第2方向Yに突出している。ここで、端板部90の第2方向Yの長さ寸法W1、すなわち、端板部90の一方側Y1の端面90aから他方側Y2の端面90bまでの長さ寸法W1(
図12(b)参照)は、第2方向Yにおける一対の被係合部218(第1被係合部218(1)および第2被係合部218(2))の間の間隔W2(
図9参照)と同じか、または、僅かに長い。換言すれば、一対の被係合部218の間の間隔W2は、端板部90の第2方向Yの長さ寸法W1よりも狭いか、または、同一である。本形態では、第1被係合部218(1)と第2被係合部218(2)との間の間隔W2は、端板部90の第2方向Yの寸法W1よりも狭い。
【0053】
また、カバー部材9は、
図5に示すように、可撓性部材7を介して底壁210に重なる端板部90と、端板部90における第2方向Yの途中位置から溝状凹部22の内側に突出して可撓性部材7を介して第1側壁211に重なる第1板部91と、を備える。第1板部91は、可撓性部材7を介して温度センサ8を製氷皿2の第1側壁211に押し付けている。さらに、カバー部材9は、可撓性部材7を介して製氷皿2の凸部21の第2側壁212に弾性をもって重なる第2板部92と、可撓性部材7を介して製氷皿2の凸部21の第3側壁213に弾性をもって重なる第3板部93とを有しており、可撓性部材7は、カバー部材9に押されて、圧縮された状態でカバー部材9に覆われる。従って、可撓性部材7は、温度センサ8の周りで製氷皿2の凸部21に密着する。さらに、カバー部材9は、端板部90における第1板部91よりも第2方向Yの他方側Y2の端板部分から溝状凹部22の内側に突出して第1板部91に接続された一対の補強板部94を備える。一対の補強板部94のそれぞれは、端板部90の第1方向Xの両端縁からZ1方向に延びており、第2方向Yの一方側Y1の端が第1板部91に接続されている。
【0054】
ここで、
図12(a)に示すように、端板部90の第1板部91よりも第2方向Yの他方側Y2の端板部分には、第1方向Xに延びる隙間部95が設けられている。これにより、端板部90の隙間部95よりも第2方向Yの他方側Y2の端部96は、第2方向Yに弾性変形可能となっている。第1方向Xから見た場合に、第2係合軸98(2)と隙間部95とは重なっている。隙間部95は、一対の補強板部94の間を、一定幅で、X方向に延びる。従って、端板部90の端部96は、一定幅でX方向に延びる。隙間部95の第1方向X1の端は第1方向X1の補強板部94に達しており、第2方向X2の端は第2方向X2の補強板部94に達している。
【0055】
カバー部材9を製氷皿2に固定する際には、第1被係合部218(1)の係合穴218aにカバー部材9の第1係合軸98(1)を挿入する。その後、第2被係合部218(2)の係合穴218aにカバー部材9の第2係合軸98(2)を挿入する。これにより、
図5に示すように、端板部90は、可撓性部材7を介して、製氷皿2の凸部21の底壁210に押し付けられる。ここで、端板部90の第2方向Yの他方側Y2の端部96は、第2方向Yに弾性変形可能である。従って、第2係合軸98(2)を第2被係合部218(2)の係合穴218aに挿入する際に、端板部90の第2方向Yの他方側Y2の端部96を第2方向Yの一方側Y1に撓ませることができる。これにより、第2係合軸98(2)の係合穴218aへの挿入が容易となるので、カバー部材9の製氷皿2への固定が容易となる。
【0056】
各係合軸98が各被係合部218に挿入された状態では、端板部90の端面90aは第1被係合部218(1)に当接し、端面90bは第2被係合部218(2)に当接する。また、端板部90の第2方向Yの他方側Y2の端部96は弾性変形している。これにより、端板部90の端部96の弾性復元力が、第1板部91を凸部21の第1側壁211に押し付ける力として働く。従って、温度センサ8を、より確実に、製氷皿2に接触させることができる。
【0057】
ここで、カバー部材9が製氷皿2に固定された状態では、
図10に示すように、可撓性部材7は、少なくとも一部701、702が、カバー部材9の第2板部92と製氷皿2との間、および第3板部93と製氷皿2との間から張り出している。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の製氷装置1において、温度センサ8(サーミスタ80)は、温度検出用のチップ81を覆う封止用コーティング層82が外装ケースに覆われずに露出している。すなわち、温度センサ8では、温度検出用のチップを81覆うように封止用コーティング層82が設けられているが、外装ケースが用いられていない。従って、温度センサ8のコストを低減することができるとともに、温度センサ8の小型化を図ることができる。また、温度センサ8の小型化を図れば、製氷皿2に温度センサ8を設ける位置等の制約を緩和することができる。また、温度センサ8は、可撓性部材7で覆われているので、温度センサ8に冷気が直接、当たりにくい。また、可撓性部材7は、シート状あるいは板状の多孔性部材であり、断熱性が高い。従って、温度センサ8は、製氷室内の温度の影響を受けにくい。それ故、温度センサ8は、製氷皿2の貯水用凹部20に充填された水等の温度を適正に監視することができる。また、温度センサ8の小型化を図れば、温度センサ8を可撓性部材7によって適正に覆うのが容易である。
【0059】
また、可撓性部材7は、製氷皿2側の面71が粘着性を有しているため、可撓性部材7によって製氷皿2に温度センサ8を固定することができる。
【0060】
また、可撓性部材7を介して温度センサ8を製氷皿2に押し付けるように製氷皿2の下面2aに固定されたカバー部材9を有するため、温度センサ8を製氷皿2に接触させた状態を保つことができる。また、カバー部材9によって可撓性部材7および温度センサ8を製氷皿2に固定することができるので、可撓性部材7および温度センサ8が製氷皿2から脱落することを抑制することができる。
【0061】
また、温度センサ8は、製氷皿2の溝状凹部22の内側において凸部21に接している。この場合でも、温度センサ8のサイズが小さいため、溝状凹部22の幅を広くしなくても、温度センサ8を適正な位置に配置することができる。また、製氷皿2の下面2a側に温度センサ8、可撓性部材7、およびカバー部材9を設けた場合でも、サイズの小さい温
度センサ8を溝状凹部22に配置したため、カバー部材9が製氷皿2の下面2a側から大きく突出することを回避することができる。
【0062】
また、温度センサ8は、製氷皿2の凸部21の側壁のうち、第2方向Yを向いた第1側壁211に接している。このため、製氷皿2を捻った際、温度センサ8に大きな力が加わらないので、温度センサ8が製氷皿2から脱落することを抑制することができる。
【0063】
また、可撓性部材7は、凸部21の底壁210、第1側壁211、第2側壁212、および第3側壁213に重なっているため、温度センサ8の周りが可撓性部材7で覆われた状態にある。このため、冷気が温度センサ8に直接、当たりにくく、かつ、温度センサ8が製氷室内の温度の影響を受けにくい。従って、温度センサ8は、製氷皿2の貯水用凹部20に充填された水等の温度を適正に監視することができる。
【0064】
また、カバー部材9は、可撓性部材7を介して第1側壁211に重なる第1板部91を有しているため、第1板部91が可撓性部材7を介して温度センサ8を製氷皿2に適正に押し付けた状態となる。従って、温度センサ8は、製氷皿2の貯水用凹部20に充填された水等の温度を適正に監視することができる。
【0065】
また、カバー部材9は、可撓性部材7を介して凸部21の第2側壁212および第3側壁213に重なる第2板部92および第3板部93を備えているため、温度センサ8の周りにおいて、可撓性部材7と製氷皿2との間に隙間が発生しにくい。しかも、可撓性部材7の一部701、702が、第2板部92と製氷皿2との間、および第3板部93と製氷皿2との間から張り出しているため、可撓性部材7と製氷皿2との間に隙間が発生しにくい。従って、冷気が温度センサ8に直接、当たりにくく、かつ、温度センサ8が製氷室内の温度の影響を受けにくい。従って、温度センサ8は、製氷皿2の貯水用凹部20に充填された水等の温度を適正に監視することができる。
【0066】
また、本形態では、第1被係合部218(1)の係合穴218aにカバー部材9の第1係合軸98(1)を挿入し、第2被係合部218(2)の係合穴218aにカバー部材9の第2係合軸98(2)を挿入することにより、カバー部材9を製氷皿2に固定できる。さらに、第2係合軸98(2)が設けられている端板部90の第2方向Yの他方側Y2の端部96が第2方向Yに弾性変形可能なので、第2係合軸98(2)の係合穴218aへの挿入が容易である。よって、カバー部材9の製氷皿2への固定が容易である。
【0067】
また、第1係合軸98(1)が第1被係合部218(1)の係合穴218aに挿入され、第2係合軸98(2)が第2被係合部218(2)の係合穴218aに挿入された状態では、カバー部材9の端板部90の第2方向Yの他方側Y2の端部96が弾性変形している。従って、端部96の弾性復元力が第1板部91を凸部21の第1側壁211に押し付ける力として働く。従って、温度センサ8を、より確実に、製氷皿2に接触させることができる。
【0068】
また、本形態では、カバー部材9は端板部90から突出して第1板部91に接続された補強板部94を備える。従って、第1板部91が可撓性部材7を介して凸部21の第1側壁211に押し付けられたときに、第1板部91が第1側壁211から離間する方向に反ってしまうことを防止できる。
【0069】
[他の実施形態]
上記実施形態では、温度センサ8としてサーミスタ80を用いたが、素線材料として白金を用いた測温抵抗体等、サーミスタ80以外の温度センサ8を用いた場合に本発明を適用してもよい。上記実施形態では、可撓性部材7として多孔性部材70を用いたが、可撓
性部材7としてゴムシート等の断熱性部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…製氷装置、2…製氷皿、2a…下面、3…駆動部、4…フレーム、6…検氷レバー、7…可撓性部材、8…温度センサ、9…カバー部材、20…貯水用凹部、21…凸部、22…溝状凹部、70…多孔性部材(断熱性部材)、71…面、80…サーミスタ、81…チップ、82…封止用コーティング層、90…端板部、91…第1板部、92…第2板部、93…第3板部、94…補強板部、95…隙間部、96…端部、98(1)…第1係合軸、98(2)…第2係合軸、210…底壁、211…第1側壁、212…第2側壁、213…第3側壁、214…第4側壁、218(1)…第1被係合部、218(2)…第2被係合部、218a…係合穴、218b…枠状凸部