(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】医療機器システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61B5/00 102E
(21)【出願番号】P 2018044449
(22)【出願日】2018-03-12
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】萩 浩司
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-176424(JP,A)
【文献】特表2012-511965(JP,A)
【文献】特開2016-120065(JP,A)
【文献】特表2012-517832(JP,A)
【文献】特表2016-512783(JP,A)
【文献】特開2016-067936(JP,A)
【文献】特開2017-184844(JP,A)
【文献】国際公開第2016/146652(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0239065(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0073486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体表上に留置される医療機器と、
前記医療機器から出力される信号又は電力に基づき報知を行う報知装置と、
前記報知装置を前記医療機器に固定する固定具と、
前記医療機器との間で生体情報を無線通信する情報処理装置と、を備え、
前記報知装置は、前記固定具によって前記医療機器に取り外し可能な状態で取り付けられ
、
前記医療機器は、前記生体の生体情報を検出する検出部と、前記生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生を取得する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記医療機器の近傍位置への前記報知装置の配置を監視し、前記報知装置の配置に伴い、前記報知装置が配置されたことを示す情報を前記情報処理装置に送信し、前記医療機器の近傍位置に前記報知装置が配置された状態で、前記異常の発生情報に基づき前記報知装置の報知を実施させる
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項2】
請求項1記載の医療機器システムにおいて、
前記報知装置は、前記固定具としてのカバーに貼り付けられると共に、前記医療機器に取り付けられることで前記体表に固定される
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項3】
請求項
1記載の医療機器システムにおいて、
前記情報処理装置は、前記報知装置の非取付状態で前記異常の発生情報を報知する一方で、前記医療機器の近傍位置への前記報知装置の配置を監視し、前記報知装置の取付状態で、前記異常の発生情報の報知を停止する
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の医療機器システムにおいて、
前記医療機器は、内部の電気部品に電力を供給するバッテリを有し、
前記報知装置は、前記体表に留置された状態で前記バッテリから電力が供給されて報知可能となる
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項5】
請求項
4記載の医療機器システムにおいて、
前記医療機器及び前記報知装置は、前記バッテリの電力を無線で前記報知装置に給電する無線給電構造を有する
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の医療機器システムにおいて、
前記報知装置は、生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生情報を警告音で報知するブザーを有する
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の医療機器システムにおいて、
前記報知装置は、生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生情報を振動で報知するバイブレータを有する
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の医療機器システムにおいて、
前記報知装置は、生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生情報を表示するモニタを有する
ことを特徴とする医療機器システム。
【請求項9】
請求項2記載の医療機器システムにおいて、
前記カバーは、粘着層を有し、
前記粘着層は、
前記報知装置が粘着される第1部位と、
前記体表に貼り付けられる第2部位と、を含み、
前記第2部位の粘着力は、前記第1部位の粘着力よりも強い
ことを特徴とする医療機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の体表に留置される医療機器の状態を報知する医療機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、生体の体表に留置される医療機器(検出装置)により、生体情報を検出し、外部のレシーバに生体情報を送信する医療機器システムが開示されている。レシーバは、受信した生体情報を適宜処理して表示し、また医療機器から異常情報等を受信した場合や通信不良が起こった場合には、レシーバを介して医療機器のユーザに警報を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなレシーバは、通常時にはユーザに携帯されているものの、例えば、ユーザがスポーツを行う際やユーザが入浴する際には、非携帯となる。つまり、レシーバは医療機器から離れた場所に置かれることがある。
【0005】
従って、医療機器からレシーバが離れている間は、ユーザが生体情報を確認することができない。また、医療機器に異常やアラートが発生した場合は、レシーバから報知される警告にユーザが気付かない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、簡単な構成によって医療機器の状態をユーザに報知することができる医療機器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明に係る医療機器システムは、生体の体表上に留置される医療機器と、前記医療機器から出力される信号又は電力に基づき報知を行う報知装置と、前記報知装置を前記医療機器に固定する固定具と、前記医療機器との間で生体情報を無線通信する情報処理装置と、を備え、前記報知装置は、前記固定具によって前記医療機器に取り外し可能な状態で取り付けられ、前記医療機器は、前記生体の生体情報を検出する検出部と、前記生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生を取得する制御部と、を有し、前記制御部は、前記医療機器の近傍位置への前記報知装置の配置を監視し、前記報知装置の配置に伴い、前記報知装置が配置されたことを示す情報を前記情報処理装置に送信し、前記医療機器の近傍位置に前記報知装置が配置された状態で、前記異常の発生情報に基づき前記報知装置の報知を実施させることを特徴とする。
【0008】
この場合、前記報知装置は、前記固定具としてのカバーに貼り付けられると共に、前記医療機器に取り付けられることで前記体表に固定されることが好ましい。
【0011】
そして、前記情報処理装置は、前記報知装置の非取付状態で前記異常の発生情報を報知する一方で、前記医療機器の近傍位置への前記報知装置の配置を監視し、前記報知装置の取付状態で、前記異常の発生情報の報知を停止するとよい。
【0012】
さらに、前記医療機器は、内部の電気部品に電力を供給するバッテリを有し、前記報知装置は、前記体表に留置された状態で前記バッテリから電力が供給されて報知可能となることが好ましい。
【0013】
そして、前記医療機器及び前記報知装置は、前記バッテリの電力を無線で前記報知装置に給電する無線給電構造を有するとよい。
【0014】
例えば、前記報知装置は、生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生情報を警告音で報知するブザーを有することが好ましい。
【0015】
また例えば、前記報知装置は、生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生情報を振動で報知するバイブレータを有していてもよい。
【0016】
或いは、前記報知装置は、生体情報または前記医療機器に関わる異常の発生情報を表示するモニタを有していてもよい。また、前記カバーは、粘着層を有し、前記粘着層は、前記報知装置が粘着される第1部位と、前記体表に貼り付けられる第2部位と、を含み、前記第2部位の粘着力は、前記第1部位の粘着力よりも強くてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、医療機器システム及び報知装置は、ユーザの必要に応じて医療機器の近傍位置に報知装置を固定することが可能であり、報知装置によって医療機器の状態を報知することができる。例えば、医療機器と通信する情報処理装置が医療機器から離れた位置にあっても、報知装置は、生体情報の異常を検知した場合や外部との間で通信不良が起こった場合に報知を行うことで、異常の発生をユーザに認識させることができる。特に、医療機器システムは、カバーを用いることで、報知装置を体表に簡単に留置することが可能である。また、医療機器システムは、通常時に報知装置を非取付状態としていることで、医療機器の軽量化及び長寿命化が図られ、留置状態を良好に維持して外部の情報処理装置に生体情報等の信号を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る医療機器システムの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】医療機器システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3Aは、報知装置の構成を示す側面断面図である。
図3Bは、
図3AのIIIB-IIIB線の断面図である。
【
図4】
図4Aは、報知装置を検出装置に配置する手順を示す第1側面断面図である。
図4Bは、
図4Aに続く手順を示す第2側面断面図である。
【
図5】医療機器システムの機能部を示すブロック図である。
【
図6】
図6Aは、検出装置に報知装置を取り付けた場合のグルコース値異常の報知の手順を示すフローチャートである。
図6Bは、通信異常の報知の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7Aは、第2実施形態に係る医療機器システムの報知装置を検出装置に配置する手順を示す第1側面断面図である。
図7Bは、
図7Aに続く手順を示す第2側面断面図である。
【
図8】
図8Aは、第3実施形態に係る医療機器システムの報知装置を検出装置に配置する手順を示す第1側面断面図である。
図8Bは、
図8Aに続く手順を示す第2側面断面図である。
【
図9】
図9Aは、第4実施形態に係る医療機器システムの報知装置を示す側面断面図である。
図9Bは、第5実施形態に係る医療機器システムの報知装置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る医療機器システム10Aは、
図1に示すように、患者であるユーザ(生体)の体表に留置される検出装置12(医療機器)を有し、検出装置12によりユーザの生体情報を検出する。検出装置12により検出された生体情報は、通常時に、ユーザが携帯する情報処理装置14に送信される。情報処理装置14は、送信された生体情報を記憶すると共に、ユーザの操作下に該生体情報を適宜の形式でユーザに提供する。
【0022】
医療機器システム10Aが取り扱う生体情報は、特に限定されず、例えば、グルコース値、血糖値、ケトン体、血圧、心拍数、体温、心電図、脳波、呼吸状態、血酸素飽和度等があげられる。本実施形態では、生体情報としてユーザのグルコース値を得る検出装置12について代表的に説明する。
【0023】
すなわち、医療機器システム10Aは、体表にセンサを留置して所定期間毎にユーザの間質液中のグルコース値を検出するCGM(Continuous Glucose Monitoring)用のシステムに構成されている。CGM用のシステムは、ユーザの間質液のグルコース値の変動を監視することで、例えば、糖尿病の治療において、医師等が個々の患者の状態に合わせた方針を採ることを可能とする。また、医療機器システム10Aは、図示しない薬剤投与装置と連動することで、検出装置12が検出したグルコース値に基づきインスリン等の薬剤を自動で投与する構成となっていてもよい。
【0024】
この種の医療機器システム10Aは、ユーザがスポーツや入浴等を行う際に、通常時に比べて情報処理装置14を検出装置12から離れた箇所に置くことになるため、検出装置12が異常等を検知してもユーザが気づき難くなる。そのため本実施形態に係る医療機器システム10Aは、報知装置16Aと、報知装置16Aを固定する固定具としてのカバー18とを有し、ユーザが必要に応じて報知装置16Aを体表に設置することで、検出装置12の状態を報知するように構成している。以下、この医療機器システム10Aについて説明していく。
【0025】
医療機器システム10Aの検出装置12は、検出本体部20(検出部)と、検出本体部20に取り付けられてグルコース値を外部に送信するトランスミッタ部22と、検出本体部20及びトランスミッタ部22を体表上に留置する留置部24と、を有する。
【0026】
検出本体部20は、トランスミッタ部22よりも充分に小さなセンサ側筐体26を有する。検出本体部20は、トランスミッタ部22に接続し、センサ側筐体26の患者との対向面から突出するセンサ部30を備える。
【0027】
センサ部30は、検出装置12をユーザに留置した状態で、ユーザの体内に挿入される。センサ部30は、例えば、挿入前に図示しない挿入装置に組み込まれており、挿入装置の動作下にユーザの体表から体内に穿刺されて留置される。センサ部30は、留置状態で、所定の測定原理に基づき、間質液中に含まれるグルコースに関わる情報を検出してトランスミッタ部22の検出回路部28に送る。
【0028】
測定原理の一例としては、皮下の間質液に含まれるグルコースを測定する酵素電極法があげられる。この場合、センサ部30は、間質液内のグルコースと酵素を反応させて生じた電子を電流量として検出する電極として構成される。検出回路部28は、間質液中のグルコース濃度に応じた信号を検出する。測定原理は、酵素電極法に限られるものではなく、グルコース結合性蛋白質やフェニルボロン酸を用いたアフィニティセンサーとしてもよく、検出法も光学信号によるものでもよい。
【0029】
図1及び
図2に示すように、トランスミッタ部22は、検出本体部20を覆って、留置部24に取り付けられるトランスミッタ側筐体32を有する。トランスミッタ側筐体32内には、検出回路部28、検出回路部28に接続されるA/D回路34、外部と無線通信を行う通信モジュール36、バッテリ38、バッテリ38の電力を報知装置16Aに供給する給電部40、及び検出装置12の動作を制御する制御部42が設けられている。トランスミッタ側筐体32は、ユーザが快適に装着できるよう、薄く且つ小さく設計される。具体的には、体表面からの高さは1cm以下、好ましくは高さが5mm未満に設定されることが好ましい。このため、トランスミッタ部22は、生体情報の検出に必要な最低限のコンポーネントを実装するよう設計され、ディスプレイ(表示装置)やアラート部を含まない構成となっている。
【0030】
A/D回路34は、検出回路部28から受け取るアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0031】
通信モジュール36は、外部機器(情報処理装置14)との間で無線通信回線を構築して、制御部42の制御下に生体情報や機器情報を含む情報通信を行う。例えば、無線通信回線の規格としては、Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)等の無線PAN、Wi-Fi等の無線LAN等があげられる。
【0032】
バッテリ38は、例えば、充放電可能な2次電池であり、検出装置12(検出本体部20及びトランスミッタ部22の各電気部品(給電部40を含む))に電力を供給する。なお、バッテリ38は1次電池でもよい。センサ部30とトランスミッタ部22とは、図示しない接続端子同士を介して電力を供給可能且つ信号を送受信可能に接続される。
【0033】
給電部40は、制御部42の制御に基づき電力が供給されることで、報知装置16Aに無線で電力を供給する無線給電構造44の一方を構成している。具体的には、給電部40は、トランスミッタ側筐体32の上部(体表と反対側)に設けられ、金属線をコイル状に配置した形状(電磁誘導用一次コイル)に形成されている(
図3Bも参照)。バッテリ38と給電部40の間には直流電力を交流電力に変換する図示しない変換部が設けられ、給電部40は、バッテリ38の電力供給に応じた磁気(電磁誘導)を生じさせて、報知装置16Aにこの磁気を付与する。
【0034】
図2に示すように、検出本体部20は、トランスミッタ部22と取り外し可能に接続される。検出回路部28は、センサ部30との接続状態で、後述の制御部42と連動して、センサ部30から得られるグルコース濃度に応じた信号を取得する。取得された信号は、トランスミッタ部22のA/D回路34に送られる。
【0035】
制御部42は、図示しないプロセッサ、メモリを有する。制御部42は、メモリに記憶されている図示しない検出プログラムをプロセッサが読み出し及び実行することで、検出回路部28によるグルコース濃度に応じた信号検出を制御する。例えば、制御部42は、所定のタイミング毎にグルコース濃度に応じた信号検出を行い、検出したグルコース濃度に応じた信号をA/D回路34でデジタル化してメモリに記憶し、また通信モジュール36を制御して、デジタル化したグルコース濃度に応じた信号値を情報処理装置14に送信する。この際、送信された信号は、情報処理装置14内の演算部で、グルコース値に変換され、表示される。あるいは制御部42では、A/D回路34でデジタル化された信号をノイズ処理し、グルコース値に換算する演算部(不図示)を設けることもできる。この場合、演算部で換算されたグルコース値が、通信モジュール36を介して情報処理装置14に送信される。
【0036】
そして、本実施形態に係る制御部42は、報知装置16Aが検出装置12の近傍位置に配置され、且つグルコース値の異常(高血糖、低血糖)、測定時の異常、或いは情報処理装置14との通信の異常が生じた場合に、給電部40への電力供給を制御する。すなわち、制御部42は、異常の発生に基づき、給電部40の一次コイルにバッテリ38の電力を供給して電磁誘導を起こすことで、報知装置16Aに電力を供給し警告音を出力させる。報知装置16Aによりアラートを報知する制御については後に詳述する。
【0037】
図1に戻り、留置部24は、検出本体部20及びトランスミッタ部22をまとめて生体の体表に固定する。例えば、留置部24は、可撓性を有し、トランスミッタ側筐体32の体表の対向面を固着する貼付用シール24aに構成されている。検出本体部20は、トランスミッタ部22と貼付用シール24aの固着状態でその内部に配置されることで、体表への留置状態が維持される。貼付用シール24aは、検出装置12を長期間留置するために、体表に対して強力且つ持続的に粘着力を発揮するものが適用されるとよい。なお、留置部24は、検出本体部20及びトランスミッタ部22を一体化して保持するフレーム(不図示)を有し、このフレームと貼付用シール24aが固着されてもよい。
【0038】
一方、情報処理装置14は、CGM用のシステムの専用レシーバとして構成されており、その内部にはプロセッサ14a、メモリ14b、入出力インタフェース(入出力I/F14c)を有するコンピュータが設けられている。なお、情報処理装置14は、専用レシーバを適用するだけでなく、検出装置12と情報通信可能な種々の装置を適用し得る。例えば、情報処理装置14は、スマートフォン、PDA、ウェアラブルコンピュータ等の携帯型情報端末、或いはラップトップコンピュータ、タブレット端末等を適用することができる。
【0039】
情報処理装置14の入出力I/F14cには、検出装置12と無線通信可能な通信モジュール14dが接続されている。また、情報処理装置14は、ユーザが操作するための操作部14e(ボタン等)と、グルコース値等を適宜の形式で表示する表示部14f(モニタ)とを有する。なお、操作部14eはソフトキーではなく、表示部14fに表示されるタッチスクリーンとしてもよい。
【0040】
情報処理装置14は、通常時にユーザの周囲に存在することで、検出装置12との間で無線通信回線を構築して、検出装置12からグルコース値を自動的に取得する。情報処理装置14は、取得したグルコース値を記憶し、例えばユーザによる操作部14eの操作下に表示部14fに表示する。また、情報処理装置14は、グルコース値の表示の他にも、グルコース値の異常(以下、グルコース値異常ともいう)、検出装置12や情報処理装置14の相互間の通信状態に異常(通信不良:以下、通信異常ともいう)が生じた場合に、異常の発生情報を表示(報知)する。検出装置12は、トランスミッタ側筐体32を薄く、小さく構成して表示装置やアラーム部を含まない構成であるため、各グルコース値異常や通信異常の発生情報は、通常時に、情報処理装置14を介して、メッセージ表示、ブザー音、光、バイブレーション等でユーザに報知される。
【0041】
医療機器システム10Aの報知装置16Aは、ユーザの必要(意図)に応じて検出装置12の上部に配置される。この報知装置16Aは、粘着力を有する固定具としてのカバー18により、検出装置12と一体に覆われることで体表上に貼り付けられる。
【0042】
報知装置16Aは、
図3Aに示すように、報知装置側筐体46を有すると共に、報知装置側筐体46の内部に、受電部48、回路基板50及び報知部材52を備える。
【0043】
報知装置側筐体46は、内部部品を収容する薄い箱状を呈しており、またトランスミッタ部22よりも小さく形成されている(
図4Bも参照)。報知装置側筐体46は、平面視で、トランスミッタ側筐体32の上面(体表の対向面と反対側の面)の内側に収まるように配置される。トランスミッタ側筐体32と報知装置側筐体46は、相互の位置を位置決め固定可能な構造を有してもよい。例えば、トランスミッタ側筐体32の上面に報知装置側筐体46の形状に合う凹部(不図示)が形成されることで、検出装置12の上面に報知装置16Aを容易に位置決めすることができる。凹部は、平面状、溝状、点状でもよく、凹部は複数設けられるのが好ましい。
【0044】
報知装置16Aの受電部48は、検出装置12の給電部40から無線で電力を受ける部分(無線給電構造44の他方)である。受電部48は、報知装置側筐体46の一方面側(トランスミッタ部22に対して対向する側)に設けられる。受電部48は、
図3Bに示すように、金属線をコイル状に配置した形状(電磁誘導用二次コイル)に形成され、トランスミッタ部22の給電部40の磁気に基づき電磁誘導がなされることで、電力を受電する。なお、無線給電構造44における電力供給の方式は、電磁誘導に限定されず、共鳴方式や電界結合方式等を採用し得る。
【0045】
図3A及び
図3Bに示すように、回路基板50は、電子部品がプリントされており、その一方面に受電部48がマウントされ、他方面に報知部材52がマウントされている。回路基板50は、薄板状の受電部48の交流電力をそのまま報知部材52に供給してもよいし、あるいは直流電力に変換する図示しない変換部を有し、報知部材52に電力供給を行ってもよい。
【0046】
報知部材52は、所定の警告音を出力するブザーとして構成され、回路基板50を介して電力供給がなされることで鳴動する。報知装置16Aを保有するユーザは、情報処理装置14が離れている場合でも、報知装置16Aからの警告音を聞くことで、検出装置12が異常検知したことを認識することができる。なお、報知装置16Aは、回路基板50に制御部(不図示)を備える共に、制御部の制御下に報知部材52が複数種類の音を出力可能な構成となっていてもよい。これにより、制御部は、検知した異常の種類に応じて音を選択してユーザに報知することができる。
【0047】
また
図1及び
図4Aに示すように、報知装置16Aを覆うカバー18は、可撓性を有すると共に、検出装置12及び報知装置16Aの平面形状よりも充分に大きく形成される。報知装置側筐体46の上面は、カバー18が貼り付けられる(固定される)被固定部46aとなっている。
【0048】
カバー18は、体表上で検出装置12及び報知装置16Aをまとめて覆い、その周囲が体表に貼り付けられることで、報知装置16Aを検出装置12上に位置決め保持する。このカバー18は、例えば、透明又は半透明に形成されることで、報知装置16Aを覆っても外部から容易に確認可能としている。なお、カバー18は、検出装置12が貼り付けられる予定箇所に目印(不図示)が印字されているとよい。
【0049】
カバー18において検出装置12や報知装置16Aに対向する面(体表対向面)には、粘着層54が塗布されている。粘着層54は、報知装置16Aと粘着される中央部分54aにおいて粘着力が弱く、体表に貼り付けられる予定の周辺部分54bの粘着力が中央部分54aの粘着力よりも強くなるように設定されるとよい。これにより、報知装置16Aを体表上に固定する際には、報知装置16Aを中央部分54aに貼り付けた状態でその周辺部分54bを体表上に強力に貼り付けることができ、報知装置16Aの脱落が防止されると共に、防水機能が高められる。また、報知装置16Aの取り外し後は、カバー18から報知装置16Aを容易に外してカバー18のみを廃棄することができる。すなわち、固定具としてのカバー18によって、報知装置16Aは検出装置12に着脱可能に取り付けられる。
【0050】
図5に示すように、トランスミッタ部22の制御部42は、報知装置16Aの報知を制御する機能を有する。具体的には、制御部42は、上述の検査プログラムの実行に伴い、グルコース値測定部56、通信制御部58、報知制御部62を構築する。また、情報処理装置14は、メモリ14bに記憶された処理プログラムをプロセッサ14aが実行処理することで、報知処理部64、通信制御部66、異常判定部68を構築する。
【0051】
グルコース値測定部56は、検出回路部28及びセンサ部30の駆動を制御して、間質液中のグルコース量に関わる信号を適宜のタイミングで検出し、検出した信号に基づき適宜の測定値に変換する。またグルコース値測定部56は、測定値に測定日時を紐付けてメモリに記憶する。グルコース値を測定するタイミングは、例えば、所定期間毎に行う、ユーザの生活リズムに合わせて期間を変動する、食事から時間が空いている場合に期間を長くしユーザが食事をとる前後に期間を短くする等、適宜設計してよい。
【0052】
トランスミッタ部22の通信制御部58は、グルコース値測定部56により測定値が得られると、外部(情報処理装置14)に送信する測定値の送信データを生成し、また通信モジュール36を制御して情報処理装置14に測定値を出力する。また、通信制御部58は、情報処理装置14との通信状態を検出して、通信異常(医療機器に関わる異常の発生情報)が発生したか否かを判定する通信判定部58aを有する。
【0053】
報知制御部62は、異常判定部68が検出した異常の発生情報や通信制御部58(通信判定部58a)が検出した通信異常を報知する。また、報知制御部62は、微弱なバイアス電力を給電部40に定常的に印加しており、検出装置12に対する報知装置16Aの取付状態を監視している。報知装置16Aの取付状態で給電部40と受電部48が対向すると、給電部40のコイルに流れる電力又は磁界が変化するため、報知制御部62は、電力又は磁界の変化を検出して報知装置16Aの取付状態を判断する。
【0054】
また、報知制御部62は、報知装置16Aが検出装置12に取り付けられている場合に、通信制御部58を介して情報処理装置14に報知装置16Aの取付情報を送信する。そして、トランスミッタ部22が情報処理装置14からグルコース値が異常である旨の情報(グルコース値異常情報)を受信する、又は通信判定部58aが通信異常を判定すると、報知制御部62は、図示しないスイッチ部を切り替えてバッテリ38の電力を給電部40に供給する。これにより報知装置16Aから警告音が出力される。
【0055】
一方、情報処理装置14の報知処理部64は、検出装置12が送信したグルコース値を適宜の形式で表示する。また報知処理部64は、異常判定部68がグルコース値に基づきグルコース値異常を判定するとグルコース値異常に応じたアラートを報知し、あるいは通信制御部66が通信異常を判定すると通信異常に応じたアラートを報知する。
【0056】
プロセッサ14aは、トランスミッタ部22から報知装置16Aの取付情報を受信すると、例えば、取付フラグ(不図示)を立ち上げることで取付状態を認識する。これにより報知処理部64は、取付状態を認識している間は、各異常に基づくアラートの報知を停止する。
【0057】
通信制御部66は、検出装置12との通信を制御し、グルコース値を受信してメモリ14bに記憶する。また、報知装置16Aが取付状態(取付フラグが1の状態)で異常判定部68がグルコース値異常を判定すると、トランスミッタ部22にグルコース値異常情報を送信する。
【0058】
異常判定部68は、例えば、図示しない判定閾値を有し、取得したグルコース値の異常(高血糖・低血糖)を判定する。そして、グルコース値異常を判定した場合且つ取付フラグが0の場合に、報知処理部64によるアラートの報知を実施させ、グルコース値異常を判定した場合且つ取付フラグが1の場合に、グルコース値異常情報をトランスミッタ部22に送る。
【0059】
本実施形態に係る医療機器システム10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その作用効果について説明する。
【0060】
医療機器システム10Aは、ユーザのグルコース値を持続的に検出する際に適用され、ユーザ又は医療従事者により脇腹等のユーザの日常生活に邪魔とならない体表上に留置される。この留置時に、センサ部30は、図示しない挿入装置によってユーザの皮下に挿入される。また留置時には、検出本体部20、センサ部30と一体化された留置部24は体表上に固着され、その後、トランスミッタ部22が装着される。または、一連の留置操作の中で、トランスミッタ部22を装着してもよい。
【0061】
トランスミッタ部22は、所定の情報処理装置14とペアリングを形成(通信を確立)することで、検出装置12と情報処理装置14の間でデータを送受信可能とする。そして、制御部42は、検出回路部28を動作させてユーザのグルコース値を検出し、検出したグルコース値の情報を情報処理装置14に送信する。情報処理装置14は、検出装置12から取得したグルコース値の情報をメモリ14bに記憶し、また表示部14fに適宜表示する。
【0062】
そして、ユーザがスポーツや入浴等を行う場合に、
図6Aに示す方法に沿って検出装置12と報知装置16Aを連携させる。具体的に、ユーザは、まず報知装置16Aの被固定部46aをカバー18の所定位置(粘着層54の中央部分54a)に貼り付けて、報知装置16Aとカバー18を一体化させる(ステップS1:カバー貼付工程、
図4Aも参照)。この状態で、ユーザは、トランスミッタ側筐体32の上部に報知装置側筐体46が重なるように配置し、さらに報知装置16Aの周囲から出ているカバー18の周辺部分54bをユーザの体表に貼り付ける(ステップS2:報知装置固定工程、
図4Bも参照)。カバー18は、検出装置12の留置部24よりも径方向外側に広がっていることで、粘着力が強い周辺部分54bを留置部24に接することなく貼り付けることが可能である。
【0063】
この報知装置固定工程の実施に伴い、検出装置12の制御部42(報知制御部62)は、給電部40の電流値または磁界の変化を検出する(ステップS3:報知装置確認工程)。これにより、トランスミッタ部22の報知制御部62は、情報処理装置14に報知装置16Aの取付情報を送信する(ステップS4:取付情報送信工程)。従って、情報処理装置14は、取付フラグを立ち上げて、グルコース値異常が生じた場合に、情報処理装置14によるアラートの報知を停止するアラート停止待機状態となる。一方で、情報処理装置14は、トランスミッタ部22にグルコース値異常情報を送信可能な待機状態となる(ステップS5:報知切替工程)。
【0064】
また、検出装置12が測定した測定値(測定信号)については、情報処理装置14に送信を継続し、情報処理装置14(報知処理部64)は、検出装置12から送信された測定値を処理してグルコース値に換算する。異常判定部68は、報知処理部64により換算されたグルコース値と、情報処理装置14に保持された判定閾値とを比較することで、グルコース値異常の有無を判断する(ステップS6:グルコース値異常監視工程)。
【0065】
グルコース値異常を判定した場合、通信制御部66は、取付フラグに基づき通信モジュール14dを介して、検出装置12の報知制御部62にグルコース値異常情報を送信する。報知制御部62は、スイッチ部を切り替えてバッテリ38の電力を給電部40に供給する。これにより報知装置16Aからアラートが出力される(ステップS7:異常報知工程)。この間、情報処理装置14は、報知装置16Aが取り付けられても、グルコース値の情報を継続して取得し、情報処理装置14上に表示し、情報処理装置側のメモリ14bに記憶することができる。
【0066】
また上述した各工程とは別に、ステップS5以降の状態で、
図6Bに示す方法に沿って、トランスミッタ部22の通信制御部58(通信判定部58a)は、情報処理装置14との間の通信異常等の機器に関わる異常の発生を監視している(ステップS11:通信異常監視工程)。そして、報知制御部62は、通信制御部58から通信異常が発生した判定を受けると、バッテリ38の電力を給電部40に供給して、給電部40から受電部48(報知装置16A)に無線給電を行う。これにより、報知装置16Aは、報知部材52を鳴らして、異常の発生をユーザに報知することができる(ステップS12:異常報知工程)。なお、通信異常の場合は、情報処理装置14の通信モジュール14dが通信途絶を検知すると、異常判定部68に異常情報として伝達され、通信異常の発生情報や、データ欠損の発生がブザー音、表示、光等で報知される構成としてもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る医療機器システム10Aは、以下の効果を奏する。
【0068】
医療機器システム10Aは、検出装置12、報知装置16A及びカバー18を備えることで、必要に応じて検出装置12の近傍位置に報知装置16Aを固定して、報知装置16Aにより報知を行うことができる。例えば、情報処理装置14が検出装置12から離れた位置にあっても、報知装置16Aは、異常が発生した場合にユーザの近くで報知を行うことで、グルコース値異常や通信異常等をユーザに認識させることが可能である。すなわち、情報処理装置14によるアラートをユーザが確認できない状況にあっても、ユーザは、アラートに気づくことができる。特に、医療機器システム10Aは、カバー18を用いることで、報知装置16Aを体表に簡単に固定し、また検出装置12から分離させる(体表から剥がす)ことができる。また医療機器システム10Aは、通常時に報知装置16Aを非取付状態としているので、検出装置12の軽量化及び長寿命化が図られ、留置状態を良好に維持して外部の情報処理装置14に生体情報等の信号を送信することができる。これにより、通常の使用状態(留置部24、センサ側筐体26及びトランスミッタ側筐体32の装着状態)では良好な装着性を実現しながら、着脱可能に報知装置16Aを取り付けられる構成が可能となるため、利便性が向上する。
【0069】
医療機器システム10Aは、報知装置16Aをカバー18に貼り付けた状態で、検出装置12の上部に重ねられることで、体表上での設置範囲を広げることなく、報知装置16Aが設置される。そして検出装置12と報知装置16Aの連携(情報の通信や電力の供給)をより確実に行うことができる。
【0070】
通常時には、検出装置12が生体情報を情報処理装置14に送信することで、ユーザが情報処理装置14を確認して生体情報を認識することができる。また通常時に、ユーザは、情報処理装置14を介して異常を認識することが可能である。そして報知装置16Aを配置した場合には、情報処理装置14が離れていても、報知装置16Aを介してユーザに異常の発生を速やかに伝えることができる。
【0071】
医療機器システム10Aは、報知装置16Aの配置を監視していることで、検出装置12の近傍位置に報知装置16Aが配置されたことを簡単に認識する。そして、報知装置16Aの配置に伴い情報処理装置14が、グルコース値異常に基づくアラートの発報を停止することで、離れた位置で情報処理装置14が鳴動することを回避することができる。
【0072】
報知装置16Aは、検出装置12のバッテリ38から電力が供給されて報知可能となることで、報知装置16A自体の簡素化及び軽量化を図って、ユーザに簡単に携帯させることができる。
【0073】
特に、検出装置12及び報知装置16Aは、無線給電構造44を有することで、検出装置12と報知装置16Aの間に接続線を備えなくても、バッテリ38の電力を報知装置16Aに容易に提供することができる。従って、報知装置16Aの取扱いがより簡単になる。
【0074】
報知装置16Aは、報知部材52としてのブザーを有することで、異常の発生を警告音でユーザに良好に知らせることができる。
【0075】
上述のとおり、ユーザから得られる生体情報の異常に関する情報である場合は、ユーザにとって特に有益である。生体情報の異常に関する情報としては、例えば、間質液中のグルコース値が高すぎる場合(高血糖)、低すぎる場合(低血糖)があげられる。特に、間質液中のグルコース値が低い場合は、ユーザは低血糖状態に陥っており、危険な状態であるが、報知装置16Aを使用することで、迅速且つ確実に、ユーザに生体情報の異常を報知することが可能となる。
【0076】
グルコース値の異常を判定する異常判定部68は、情報処理装置14に設けられる。この場合、センサ部30が検出した生体情報に関連する信号は、通信制御部58を介して情報処理装置14に送信される。生体情報に関連する信号(例えば、電流値)は、情報処理装置14内の演算部で処理され測定値(例えば、グルコース値)に換算される。異常判定部68は、ここで換算された測定値と、予め設定した閾値とを比較することで、測定値が所定の範囲を逸脱する場合を生体情報の異常として検知する。異常検知したことに応じて、トランスミッタ部22の通信制御部58を通じて報知制御部62へ異常発生情報を送信する。この異常発生情報に基づき、給電部40による電力供給が行われることで、報知装置16Aが警報を発することができる。また、このとき、検出装置12は報知装置16Aが配置されたことを、給電部40側のコイルに流れる電流の変化に基づき検知できる。検出装置12に報知装置16Aが配置された情報を、通信制御部58を介して情報処理装置14に送信する構成とすることで、情報処理装置14からのアラート発報を自動的に停止させることができる。すなわち、報知装置16Aが警報発動可能状態となるのに伴い、情報処理装置14による警報発報を停止させることができる。これにより、ユーザから離れた場所に情報処理装置14が置かれていた場合でも、情報処理装置14がアラート(音、バイブレータ)を発し続けることを防止できる。
【0077】
報知装置16Aが、生体情報の異常に基づいた警報を発する場合、異常判定部68において生体情報が異常と判定された場合でも、情報処理装置14との無線通信が遮断されない限りは、トランスミッタ部22と情報処理装置14との間では、逐次、データ送信が行われる。このような構成とすることで、生体情報の異常を記録しながら、連続的な測定データの欠損を防止できる。
【0078】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。次に、本発明の他の実施形態について幾つか例示する。なお、以降の説明において、上述の実施形態と同じ構成又は同じ機能を有する要素には、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0079】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る医療機器システム10Bは、
図7A及び
図7Bに示すように、報知装置16Bがバイブレータによる振動により報知を行う点で、第1実施形態に係る医療機器システム10Aと異なる。具体的には、報知装置16Bは、側面断面視でL字状の報知装置側筐体70を有し、その内部に報知用バッテリ71、RFIDリーダライタ72(通信モジュール)、バイブレータモータ74及び制御基板76を有する。すなわち、この報知装置16Bは、トランスミッタ部22のバッテリ38からの給電によらず、装置自体の報知用バッテリ71によって内部の電気部品に電力を供給することが可能である。このように、報知装置16B内に、報知装置16Bにのみ給電する報知用バッテリ71を更に設けると、電力消費量の大きい報知手段(ここではバイブレータ)を選択することができる。
【0080】
RFIDリーダライタ72は、検出装置12(トランスミッタ部22)の内部に設けられたRFIDタグ78との間で無線通信を行う。RFIDタグ78は、制御部42の制御下に、RFIDリーダライタ72に異常の発生情報を送信する。またRFIDタグ78は、トランスミッタ部22の上部に設けられ、RFIDリーダライタ72の電磁波を検知可能に構成されている。従って、制御部42は、RFIDタグ78の電磁波の監視に基づき、報知装置16Bの取り付けを確認することができる。
【0081】
報知装置16Bに設けられるバイブレータモータ74は、公知のものを適用することができ、報知用バッテリ71からの電力供給に基づき回転することで報知装置16B全体を振動させる。バイブレータモータ74の振動は、検出装置12を介して生体の体表に伝達される。
【0082】
制御基板76には、図示しないマイコンを有する電子制御回路76aが形成されている。そして、制御基板76は、体表との対向面にRFIDリーダライタ72を、その反対面に報知用バッテリ71を有する。また、電子制御回路76aは、バイブレータモータ74に接続され、電子制御回路76aのマイコンは、報知用バッテリ71の電力の供給または供給停止を切り替えることが可能である。
【0083】
第2実施形態に係る医療機器システム10Bは、基本的には、以上のように構成される。この医療機器システム10Bは、第1実施形態と同様に、ユーザが報知装置16Bをカバー18の所定位置に貼り付けた後、ユーザにより検出装置12の上部及び側部に位置決めされて、カバー18と共に体表に貼り付けられる。この状態で、報知装置16BのRFIDリーダライタ72が検出装置12のRFIDタグ78から情報を読み取ることが可能となる。そして、報知装置16Bの制御基板76は、検出装置12の制御部42が異常の発生情報をRFIDタグ78から送信することで、バイブレータモータ74を回転駆動させる。
【0084】
従って、この医療機器システム10Bでも、第1実施形態に係る医療機器システム10Aと同様の効果を得ることができる。特に、報知装置16Bは、バイブレータモータ74を有することで、異常の発生を振動でユーザに良好に知らせ、しかも音が響いて周囲の人に聞かれることを抑制することができる。
【0085】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係る医療機器システム10Cは、
図8A及び
図8Bに示すように、報知装置16Cが異常等を表示するモニタ80を有する点で、第1及び第2実施形態に係る医療機器システム10A、10Bと異なる。具体的には、報知装置16Cは、上記のモニタ80と、モニタ80がマウントされ該モニタ80の表示を制御する制御基板82と、制御基板82に接続されると共に報知装置側筐体84から延出する接続線86と、を有する。モニタ80は、液晶ディスプレイ、有機EL等の公知のものを適用し得る。また、報知装置側筐体84は、平面視で、検出装置12よりも大きく形成され、モニタ80の大型化を実現している。
【0086】
制御基板82には、図示しないマイコンを有する電子制御回路82aが形成されている。制御基板82は、トランスミッタ部22から送信される情報を表示することが可能であり、例えば、検出装置12が検出したグルコース値の情報を受信して、モニタ80にグルコース値を表示する。また、検出装置12から異常の発生情報を受信すると、モニタ80に異常の発生をメッセージやアイコン等で表示させる。カバー18とモニタ80とが接する部分の少なくとも一部、あるいはカバー18全体は、透明である。これにより、ユーザは、カバー18の上からモニタ80の表示内容を確認することができる。
【0087】
接続線86は、その自由端部に報知装置側コネクタ86aを備え、報知装置側コネクタ86aは、検出装置12に設けられた有線接続用コネクタ88に接続される。すなわち、報知装置16Cの電力は、トランスミッタ部22のバッテリ38から、有線接続用コネクタ88、接続線86を介して供給される。従って、報知装置16Cは、バッテリ38を備える必要がなく、軽量化が図られる。また、検出装置12のグルコース値の情報や異常の発生情報も、有線接続用コネクタ88、接続線86を介して制御基板82に伝達される。このため報知装置16Cはより確実に情報を得ることが可能である。
【0088】
以上のように、第3実施形態に係る医療機器システム10Cでも、第1及び第2実施形態に係る医療機器システム10A、10Bと同様の効果を得ることができる。特に、報知装置16Cがモニタ80を有することで、報知装置16Cは異常の発生をモニタ表示によりユーザに良好に知らせることができると共に、検出装置12が測定したグルコース値等のより多様な情報を報知することが可能となる。
【0089】
〔第4実施形態〕
第4実施形態に係る医療機器システム10Dは、
図9Aに示すように、検出装置12をカバー90で覆い、このカバー90の上部に防水機能を有する報知装置16Aを取り付け可能としている。例えば、カバー90は、体表と対向予定の全面に粘着層54を有すると共に、その反対面の一部(中央部分)に粘着層92を有し、報知装置16Aを貼り付け可能としている。従って、報知装置16Aは、報知装置側筐体46の下面が被固定部46aとなる。このように報知装置16Aをカバー90の外側に貼り付けても、無線通信や無線給電により報知装置16Aの動作を実施させることができ、検出装置12の異常を良好に報知することが可能となる。
【0090】
〔第5実施形態〕
第5実施形態に係る医療機器システム10Eは、
図9Bに示すように、カバー94が報知装置16Aを覆う硬質カバー94aと、硬質カバー94aの周囲に固着され硬質カバー94aよりも柔軟な軟質カバー94bと、を有している。硬質カバー94aは、可撓性を有しておらず、且つ粘着層54が塗布されていない容器に相当し、報知装置16Aを収容することが可能である。軟質カバー94bは、体表と対向予定の面に粘着層54を有し、内側の一部が硬質カバー94aのフランジに貼り付けられると共に、外側の他部が体表に貼り付けられる。これにより、報知装置16Aとカバー94の貼付がなくなるので、カバー94から報知装置16Aの取り外しが容易となり、報知装置16Aをより良好に再利用することができる。
【0091】
なお、上述した各実施形態に係る医療機器システム10A~10Eは、一部の構成を取り出して他の実施形態に適用してよいことは勿論である。例えば、報知装置16A~16Cは、報知部材52として、ブザー、バイブレータモータ74、モニタ80のうち1種類の構成を備えるだけでなく、複数種類の構成を備えることが可能である。また、医療機器システム10A~10Eが取り扱う医療機器は、生体情報(グルコース値)を検出する検出装置12に限定されるものではない。
【0092】
また、各実施形態に係る医療機器システム10A~10Eは、医療機器または生体情報に関わる異常状態が解消され、通常の状態に回復したことを異常判定部68が検知することで、報知装置16A~16Cによる報知を停止するようにしてもよい。また、報知装置16A~16Cをユーザの指先で、2、3回、軽く叩く(タップする)ことで、報知を一旦停止させることも可能である。
【符号の説明】
【0093】
10A~10E…医療機器システム 12…検出装置
14…情報処理装置 16A~16C…報知装置
18…カバー 20…検出本体部
22…トランスミッタ部 40…給電部
42…制御部 44…無線給電構造
48…受電部 52…報知部材
74…バイブレータモータ 80…モニタ