(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】プログラム生産方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B23H 7/02 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
B23H7/02 H
B23H7/02 R
(21)【出願番号】P 2018077552
(22)【出願日】2018-04-13
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩明
(72)【発明者】
【氏名】児玉 祐一
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-144335(JP,A)
【文献】特開2014-014907(JP,A)
【文献】特開平09-038898(JP,A)
【文献】特開2017-185559(JP,A)
【文献】国際公開第2015/132987(WO,A1)
【文献】特開2014-24132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置においてワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産するプログラム生産方法であって、
前記情報処理装置は、溶着図形データ生成手段と、プログラム生成手段
と、前記ワイヤ放電加工機が加工処理及び溶着処理を行った工作物に対して、中子処理を行う中子処理位置を決定する中子処理位置決定手段を備え、
前記溶着図形データ生成手段が、
前記ワイヤ放電加工機による加工軌跡を特定する設計図形データを分析して前記加工軌跡において前記ワイヤ放電加工機が放電加工する際に溶着処理を行う溶着部を決定し、
前記設計図形データから加工用プログラムを生成せずに、前記設計図形データに対して前記溶着部を特定する溶着部位置情報を付加して、加工用プログラムを生成するための各点の座標と前記溶着部の位置との位置関係を特定する溶着図形データを生成する溶着図形データ生成ステップと、
前記中子処理位置決定手段が、少なくとも前記溶着図形データにより特定される前記溶着部の位置を用いて前記中子処理位置を決定する中子処理位置決定ステップと、
前記プログラム生成手段が、前記溶着図形データを用いて、前記加工軌跡に沿った加工処理及び前記溶着部における溶着処理を実現する前記プログラムを生成するプログラム生成ステップを含
み、
前記中子処理位置決定ステップにおいて、前記中子処理位置決定手段は、前記溶着部の各点を結ぶ線分により形成される凸形状を用いて前記中子処理位置を決定し、
前記プログラム生成ステップにおいて、前記プログラム生成手段が、前記プログラムに、前記中子処理位置に対して中子処理を行う命令を含ませる、プログラム生産方法。
【請求項2】
前記溶着図形データ生成ステップにおいて、前記溶着図形データ生成手段は、加工部材の形状に応じて、保持するための力によって溶着部の位置を決定する、請求項1記載のプログラム生産方法。
【請求項3】
前記溶着図形データ生成ステップにおいて、前記溶着図形データ生成手段は、
前記設計図形データにおける加工軌跡を分析して閉路か否かを分析し、
閉路でない部分に対しては、前記溶着部を設けず、
少なくとも一つの閉路に対して、当該閉路を分析して一つ又は複数の溶着部の位置を決定して前記溶着図形データを生成し、
前記プログラム生成ステップにおいて、前記プログラム生成手段は、
第1加工において、前記加工処理及び前記溶着処理を実現し、
第2加工以降において、前記溶着処理を行わずに、前記加工処理を行う前記プログラムを生成する、請求項1又は2に記載のプログラム生産方法。
【請求項4】
前記中子処理位置決定ステップにおいて、前記中子処理位置決定手段が、前記加工軌跡における少なくとも一つの閉路に対して、
少なくとも前記溶着図形データにより特定される当該閉路上の前記溶着部の位置を用いて中子処理位置の候補を決定することにより、加工経路及び溶着部の位置を用いて中子処理位置の候補を決定し、
少なくとも前記溶着部の位置を用いて決定された中子処理位置の候補が当該閉路の内側にないならば、中子処理位置の候補とは異なる当該閉路の内側の位置を前記中子処理位置とする、請求項
1から3のいずれかに記載のプログラム生産方法。
【請求項5】
情報処理装置においてワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産するプログラム生産方法であって、
前記情報処理装置は、溶着図形データ記憶部と、中子処理位置決定手段と、プログラム生成手段を備え、
前記溶着図形データ記憶部は、前記ワイヤ放電加工機による加工軌跡及び前記加工軌跡において前記ワイヤ放電加工機が放電加工する際に溶着処理を行う溶着部を特定して、加工用プログラムを生成するための各点の座標と前記溶着部の位置との位置関係を特定する溶着図形データを記憶し、
前記中子処理位置決定手段が、前記溶着図形データを分析して前記
溶着部の各点を結ぶ線分により形成される凸形状を用いて中子処理を行う中子処理位置を決定する中子処理位置決定ステップと、
前記プログラム生成手段が、前記加工軌跡に沿った加工処理及び前記溶着部における溶着処理並びに前記中子処理位置における中子処理を実現する前記プログラムを生成するプログラム生成ステップを含むプログラム生産方法。
【請求項6】
前記中子処理位置決定ステップにおいて、前記中子処理位置決定手段は、前記溶着部の各点を結ぶ線分により形成される凸形状における重心を用いて前記中子処理位置を決定する、請求項5記載のプログラム生産方法。
【請求項7】
ワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産する情報処理装置であって、
溶着図形データ生成手段と、プログラム生成手段
と、前記ワイヤ放電加工機が加工処理及び溶着処理を行った工作物に対して、中子処理を行う中子処理位置を決定する中子処理位置決定手段を備え、
前記溶着図形データ生成手段は、
前記ワイヤ放電加工機による加工軌跡を特定する設計図形データを分析して前記加工軌跡において前記ワイヤ放電加工機が放電加工する際に溶着処理を行う溶着部を決定し、
前記設計図形データに対して前記溶着部を特定する情報を付加して、加工用プログラムを生成するための各点の座標と前記溶着部の位置との位置関係を特定する溶着図形データを生成し、
前記中子処理位置決定手段は、前記溶着部の各点を結ぶ線分により形成される凸形状を用いて前記中子処理位置を決定し、
前記プログラム生成手段は、前記溶着図形データを用いて、前記加工軌跡に沿った加工処理及び前記溶着部における溶着処理を実現する前記プログラムを
、前記中子処理位置に対して中子処理を行う命令を含ませて生成する、情報処理装置。
【請求項8】
ワイヤ放電加工機が備えるコンピュータにおいて、請求項1から
6のいずれかに記載のプログラム生産方法を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム生産方法、情報処理装置及びプログラムに関し、特に、情報処理装置においてワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産するプログラム生産方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、ワイヤ放電加工機において、放電加工時に溶着処理を行うことにより、中子を保持させる技術を開示して実施している(コア・ステッチ(登録商標)。特許文献1など参照。)。特許文献1は、溶着処理を行わない加工用プログラムを生成し、これを溶着処理を行うように編集して修正加工用プログラムとする技術を開示する。
【0003】
また、出願人は、溶着処理により保持された中子を自動回収する技術を開示して実施している(コア・キャッチ(登録商標)。特許文献2など参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5953154号公報
【文献】特開2017-185617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術は、溶着処理を行わない加工用プログラムを対象として、溶着処理に必要な範囲で修正するものである。溶着処理を行わない加工用プログラムは、一般的な加工用プログラム生成処理を活用して作成することができる。しかしながら、加工用プログラムを編集するため、極めて複雑な作業が必要となった。
【0006】
さらに、従来のワイヤ放電加工機は、情報処理能力が低かった。そのため、加工用プログラムは、ワイヤ放電加工機とは別のパソコンなどを利用して作成することは当然のこととされていた。しかしながら、近年、ワイヤ放電加工機の情報処理能力が向上し、例えば加工用プログラムを装置間で移動させるなどの作業負担が顕在化することとなった。
【0007】
また、特許文献2記載の技術は、中子処理を行う位置を人手で指定しており、プログラム生成作業に多大な作業負担が生じていた。
【0008】
よって、本発明は、設計時に作成する設計図形データを活用して、加工処理及び溶着処理などのためのプログラムを効率よく生産することに適したプログラム生産方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の観点は、情報処理装置においてワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産するプログラム生産方法であって、前記情報処理装置は、溶着図形データ生成手段と、プログラム生成手段を備え、前記溶着図形データ生成手段が、前記ワイヤ放電加工機による加工軌跡を特定する設計図形データを分析して前記加工軌跡において前記ワイヤ放電加工機が放電加工する際に溶着処理を行う溶着部を決定し、前記設計図形データから加工用プログラムを生成せずに、前記設計図形データに対して前記溶着部を特定する溶着部位置情報を付加して溶着図形データを生成する溶着図形データ生成ステップと、前記プログラム生成手段が、前記溶着図形データを用いて、前記加工軌跡に沿った加工処理及び前記溶着部における溶着処理を実現する前記プログラムを生成するプログラム生成ステップを含む。
【0010】
本願発明の第2の観点は、第1の観点のプログラム生産方法であって、前記溶着図形データ生成ステップにおいて、前記溶着図形データ生成手段は、前記設計図形データにおける加工軌跡を分析して閉路か否かを分析し、閉路でない部分に対しては、前記溶着部を設けず、少なくとも一つの閉路に対して、当該閉路を分析して一つ又は複数の溶着部の位置を決定して前記溶着図形データを生成し、前記プログラム生成ステップにおいて、前記プログラム生成手段は、第1加工において、前記加工処理及び前記溶着処理を実現し、第2加工以降において、前記溶着処理を行わずに、前記加工処理を行う前記プログラムを生成する。
【0011】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点のプログラム生産方法であって、前記情報処理装置は、前記ワイヤ放電加工機が加工処理及び溶着処理を行った工作物に対して、中子処理を行う中子処理位置を決定する中子処理位置決定手段を備え、前記中子処理位置決定手段が、少なくとも前記溶着図形データにより特定される前記溶着部の位置を用いて前記中子処理位置を決定する中子処理位置決定ステップを含み、前記プログラム生成ステップにおいて、前記プログラム生成手段が、前記プログラムに、前記中子処理位置に対して中子処理を行う命令を含ませる。
【0012】
本願発明の第4の観点は、第3の観点のプログラム生産方法であって、前記中子処理位置決定ステップにおいて、前記中子処理位置決定手段が、前記加工軌跡における少なくとも一つの閉路に対して、少なくとも前記溶着図形データにより特定される当該閉路上の前記溶着部の位置を用いて中子処理位置の候補を決定することにより、加工経路及び溶着部の位置を用いて中子処理位置の候補を決定し、少なくとも前記溶着部の位置を用いて決定された中子処理位置の候補が当該閉路の内側にないならば、中子処理位置の候補とは異なる当該閉路の内側の位置を前記中子処理位置とする。
【0013】
本願発明の第5の観点は、情報処理装置においてワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産するプログラム生産方法であって、前記情報処理装置は、溶着図形データ記憶部と、中子処理位置決定手段と、プログラム生成手段を備え、前記溶着図形データ記憶部は、前記ワイヤ放電加工機による加工軌跡及び前記加工軌跡において前記ワイヤ放電加工機が放電加工する際に溶着処理を行う溶着部を特定する溶着図形データを記憶し、前記中子処理位置決定手段が、前記溶着図形データを分析して前記中子処理を行う中子処理位置を決定する中子処理位置決定ステップと、前記プログラム生成手段が、前記加工軌跡に沿った加工処理及び前記溶着部における溶着処理並びに前記中子処理位置における中子処理を実現する前記プログラムを生成するプログラム生成ステップを含む。
【0014】
本願発明の第6の観点は、ワイヤ放電加工機のためのプログラムを生産する情報処理装置であって、溶着図形データ生成手段と、プログラム生成手段を備え、前記溶着図形データ生成手段は、前記ワイヤ放電加工機による加工軌跡を特定する設計図形データを分析して前記加工軌跡において前記ワイヤ放電加工機が放電加工する際に溶着処理を行う溶着部を決定し、前記設計図形データに対して前記溶着部を特定する情報を付加して溶着図形データを生成し、前記プログラム生成手段は、前記溶着図形データを用いて、前記加工軌跡に沿った加工処理及び前記溶着部における溶着処理を実現する前記プログラムを生成する。
【0015】
本願発明の第7の観点は、第6の観点のプログラム生産方法であって、前記情報処理装置は、前記ワイヤ放電加工機が加工処理及び溶着処理を行った工作物に対して、中子処理を行う中子処理位置を決定する中子処理位置決定手段を備え、前記中子処理位置決定手段は、少なくとも前記溶着図形データにより特定される前記溶着部の位置を用いて前記中子処理位置を決定し、前記プログラム生成手段は、前記プログラムに、前記中子処理位置に対して中子処理を行う命令を含ませる。
【0016】
本願発明の第8の観点は、ワイヤ放電加工機が備えるコンピュータにおいて、第1から第5のいずれかの観点のプログラム生成方法を実現するためのプログラムである。
【0017】
なお、本願発明を、第8の観点のプログラムを定常的に記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の各観点によれば、設計図形データに溶着部を特定する情報を付加した溶着図形データを利用することにより、設計図形データから生成された加工用プログラムに対して編集作業を行うこと等に比較して、極めて単純な情報処理によって、加工処理及び溶着処理、さらには、中子処理に関するプログラムを効率よく生産することが可能になる。
【0019】
特に、溶着処理を考慮しない一般的な加工用プログラムを編集して、溶着処理を追加する場合には、加工命令を分割等する際に、加工用プログラムを分析して分割等に必要な情報を得る必要があり、極めて大きな処理が必要である。それに対し、本願発明は、溶着図形データを利用することにより、溶着処理を考慮して複数の加工命令を組み合わせるための情報は溶着図形データに存在することから、情報処理が極めて単純になる。
【0020】
さらに、本願発明の第3の観点などにあるように、溶着図形データにより加工軌跡に加えて溶着部の位置を特定するため、少なくとも溶着部の位置を考慮して、中子処理のための命令を自動的に追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願発明の実施例に係るワイヤ放電加工機の(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図である
【
図2】従来のワイヤ放電加工システムの(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図である。
【
図3】
図1のワイヤ放電加工機1と、
図2の従来のワイヤ放電加工システムとの処理の違いについて説明するための図である。
【
図4】
図1のワイヤ放電加工機1における中子処理位置の候補の決定(ステップST9)の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
図1は、本願発明の実施例に係るワイヤ放電加工機の(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図である
【0024】
図1(a)を参照して、ワイヤ放電加工機1は、工作物3と、加工処理部5と、中子処理部7と、制御部9と、情報処理部13(本願請求項の「情報処理装置」の一例)と、表示部29と、入力部31を備える。情報処理部13は、設計処理部15と、溶着図形データ生成部17(本願請求項の「溶着図形データ生成手段」の一例)と、中子処理位置決定部19(本願請求項の「中子処理位置決定手段」の一例)と、プログラム生成部21(本願請求項の「プログラム生成手段」の一例)と、設計図形データ記憶部23と、溶着図形データ記憶部25と、プログラム記憶部27を備える。
【0025】
工作物3は、例えば平板形状である。情報処理部13は、工作物3の厚さや材質などの情報を記憶する。加工処理部5は、工作物3の上に位置する上ヘッド部と、下に位置する下ヘッド部を用いてワイヤ放電加工処理を行う。
【0026】
加工処理部5は、工作物3に対して、加工軌跡に従って放電加工による加工処理を行う。その際、溶着処理を行うことにより、工作物3から放電加工で分離する加工部材(「中子」ともいう。)を工作物に保持させる。この処理は、例えば特許文献1などで開示しているように、火花放電等で放電加工を行ってワイヤ電極と工作物との間でアーク放電を引き起こしてアーク溶接(プラズマ溶接)を行って,中子を工作物3に所定の箇所で溶着させ,中子を工作物3に一時的に保持させることなどにより実現することができる。
【0027】
中子処理部7は、溶着処理により工作物3に一時的に保持された中子を脱落させて回収する中子処理を行う。この処理は、例えば特許文献2などで開示しているように、中子を叩くシリンダ部を上ヘッド部に設け、分離した中子を回収するための回収部を下ヘッド部に着脱可能に保持させることにより実現することができる。加工処理は、下ヘッド部に回収部がない状態で行う。加工処理が終わると、上下ヘッド部を移動させて下ヘッド部に回収部を付ける。さらに上下ヘッド部を移動させて、上ヘッド部のシリンダ部が加工部材の上方から叩き落とし、分離した加工部材を下ヘッド部の回収部で回収する(ここで、シリンダ部が加工部材の上方から叩く位置が、本願請求項の「中子処理位置」の一例である。)。そして、上下ヘッド部を移動させて、回収部に回収した加工部材を外部に排出して、下ヘッド部から回収部を取り外し、さらに加工処理を継続する。
【0028】
情報処理部13において、設計処理部15は、利用者に対して表示部29に情報を表示し、利用者が入力部31により情報を入力することにより、工作物3に対する加工軌跡を特定する設計図形データを生成する。溶着図形データ生成部17は、設計図形データに対して溶着部を特定する情報を付加して溶着図形データを生成する。中子処理位置決定部19は、少なくとも溶着部の位置を示す情報を利用して、中子処理位置を決定する。プログラム生成部21は、加工処理及び溶着処理並びに中子処理を行うためのプログラム(NCプログラム)を生成する。
【0029】
制御部9は、情報処理部13により生成されたプログラムに従い、加工処理部5及び中子処理部7を制御することによって、加工処理及び溶着処理並びに中子処理を実現する。
【0030】
なお、本願発明は、例えば、加工処理及び溶着処理を実現するためのプログラム、及び/又は、中子処理を実現するためのプログラムを生産する情報処理装置、情報処理方法等として捉えてもよい。また、情報処理部13は、ワイヤ放電加工機1に組み込んでもよく、ワイヤ放電加工機とは異なる情報処理装置によって実現してもよい。
【0031】
図1(b)を参照して、ワイヤ放電加工機1の動作の一例を説明する。
【0032】
設計処理部15は、利用者に対して表示部29に情報を表示し、利用者が入力部31により情報を入力することにより、工作物3に対する加工軌跡を特定する設計図形データを生成する(ステップST1)。設計図形データ記憶部23は、設計図形データを記憶する。設計処理部15は、特許文献1記載の技術とは異なり、設計図形データから加工用プログラムを生成しない。
【0033】
溶着図形データ生成部17は、設計図形データが特定する加工軌跡を分析して、中子となる部分を特定する(中子に関する加工軌跡を「閉路」という。)(ステップST2)。
【0034】
溶着図形データ生成部17は、表示部29に、設計図形データによる加工軌跡を、閉路とそれ以外の部分とで、異なる表示をする。利用者は、一つ又は複数の閉路を選択して、溶着処理を行う溶着部の位置を自動的に決定するか手動で決定するかを選択する(ステップST3)。
【0035】
溶着図形データ生成部17は、自動的に決定する場合には、各閉路に対して溶着部の位置を自動的に決定して特定する。手動で決定する場合には、利用者が入力部31により入力した溶着部の位置によって溶着部の位置を決定する(ステップST4)。溶着図形データ生成部17は、設計図形データに、溶着部の位置を特定する情報を付加する(ステップST5)。
【0036】
溶着図形データ生成部17は、すべての閉路に対して溶着部を追加したか否かを判断する(ステップST6)。溶着部を追加していない閉路があるならば、ステップST3に戻る。すべての閉路に対して溶着部を追加したならば、設計図形データに溶着部を特定する情報を付加した図形データを、溶着図形データとする(ステップST7)。溶着図形データ記憶部25は、溶着図形データを記憶する。
【0037】
各閉路に対する溶着部の位置を自動で決定することは、例えば、設計図形データから加工部材の重さを推定して溶着部の個数を決定し、閉路の周長を溶着部の個数で等分などに分けて溶着部の位置を決定することができる。
【0038】
加工部材の重さは、例えば閉路の面積を求めることにより推定することができる。閉路の面積が大きいほど加工部材が重いと推定でき、溶着部を多く設けて保持できるようにする。
【0039】
また、溶着部の位置は、特許文献1と同様に、閉路の周長を利用してもよく、また、例えば、加工部材の形状に応じて、保持するための力が略同一になる位置を決定するようにしてもよい。特許文献1記載の技術のように加工用プログラムを利用するならば、加工軌跡という線(一次元)に従って処理を行うことに適しており、加工距離などによって等分することが適切であった。他方、本願発明によれば、図形的な広がりを考慮した処理(二次元)によって溶着部の位置を決定することもできる。
【0040】
中子処理位置決定部19は、表示部29に、溶着図形データによる加工軌跡を閉路とそれ以外の部分とで異なる表示をし、溶着部を併せて表示する(ステップST8)。
【0041】
中子処理位置決定部19は、各閉路に対して、中子処理位置の候補を決定する(ステップST9)。中子処理位置の候補の決定は、例えば
図4を参照して具体的に説明する。
【0042】
中子処理位置決定部19は、各中子処理位置の候補が、対応する閉路の内側にあるか否かを判断する(ステップST10)。閉路の内側にある場合、中子処理位置の候補を、中子処理位置と決定する(ステップST12)。閉路の内側にない場合、中子処理位置の候補とは異なり、閉路の内側にある位置を中子処理位置とする。例えば、利用者が入力部31を操作して、閉路の内側にある位置を入力し(ステップST11)、それを中子処理位置と決定する(ステップST12)。
【0043】
なお、利用者は、中子処理位置の候補が閉路の内側にある場合でも、手動で修正できるようにしてもよい。
【0044】
プログラム生成部21は、溶着図形データ及び中子処理位置を利用して、加工処理及び溶着処理並びに中子処理を実現するプログラムを生成する(ステップST13)。プログラム記憶部27は、プログラム生成部21が生成したプログラムを記憶する。プログラム生成部21は、例えば、第1加工(荒加工)において、溶着図形データにより特定される加工軌跡に従って溶着部における溶着処理を実現できる加工命令(加工処理を実現するための命令)及び溶着命令(溶着処理を実現するための命令)の組合せにより実現し、中子処理位置における中子処理を実現する中子処理命令により実現し、第2加工以降において、溶着図形データにより特定される加工軌跡に従って加工命令の組合せにより実現する。
【0045】
制御部9は、プログラム記憶部27に記憶されたプログラムに従って、加工処理部5及び中子処理部7を制御して、加工処理及び溶着処理並びに中子処理を実現する。
【0046】
図2は、従来のワイヤ放電加工システムの(a)構成の一例を示すブロック図及び(b)動作の一例を示すフロー図である。
【0047】
図2(a)を参照して、従来のワイヤ放電加工システムは、ワイヤ放電加工機51と、外部装置61を備える。ワイヤ放電加工機51の情報処理能力は、加工等の処理に必要なもので低く、外部装置61によりプログラムの作成、編集等の処理を行う。ワイヤ放電加工機51は、工作物53と、加工処理部55と、中子処理部57と、制御部59を備える。外部装置61は、情報処理部63と、表示部79と、入力部81を備える。情報処理部63は、設計処理部65と、加工用プログラム修正部67と、中子処理挿入部69と、加工用プログラム記憶部73と、修正加工用プログラム記憶部75を備える。
【0048】
図2(b)を参照して、従来のワイヤ放電加工システムの動作の一例を説明する。情報処理部63において、利用者は、入力部81を操作して、工作物53に対する加工軌跡を特定する(ステップSTA1)。設計処理部65は、加工軌跡に沿った加工を実現する加工用プログラムを生成する(ステップSTA2)。ここで生成される加工用プログラムは、溶着処理及び中子処理を考慮しないものであり、さらに、荒加工とその後の加工も含めたものである。加工用プログラム記憶部73は、加工用プログラムを記憶する。
【0049】
加工用プログラム修正部67は、加工用プログラムを分析して、第1加工(荒加工)か第2加工以降かを判断し、さらに、第1加工の閉路を分析する(ステップSTA3)。加工用プログラム修正部67は、表示部79に、第1加工の閉路を表示する。利用者は、入力部81を操作して、閉路の一つ又は全部を指定する。加工用プログラム修正部67は、特許文献1記載の技術により溶着部を特定し(ステップSTA5)、溶着処理を行う加工命令を分割等し、溶着命令を追加し、加工用プログラムを修正する(ステップSTA6)。加工用プログラム修正部67は、すべての閉路に対して修正処理が行われたか否かを判断する。修正処理が行われていないプログラムがあれば、ステップSTA4に戻る。すべての閉路に対して修正処理が行われたのであれば、ステップSTA8に進む。
【0050】
ステップSTA8において、中子処理挿入部69は、利用者による入力部81の操作に従い、各閉路に対する中子処理命令を追加し、加工用プログラムをさらに修正する(ステップSTA9)。修正加工用プログラム記憶部75は、修正された加工用プログラムを記憶する。制御部59は、修正加工用プログラム記憶部75のプログラムに従い、加工処理部55及び中子処理部57を制御する(ステップSTA10)。
【0051】
図3を参照して、
図1のワイヤ放電加工機1と、
図2の従来のワイヤ放電加工システムとの処理の違いについて、具体的に説明する。
【0052】
図2の従来のワイヤ放電加工システムは、加工命令による加工用プログラムに対して、溶着処理を行う部分を修正(分割)して溶着命令を追加するために、加工命令の修正(分割)のための情報を準備する必要があるなど、処理が極めて複雑なものとなった。さらに、溶着部を示す図形データがないために、中子処理に関する修正を自動で行うことが困難であった。
【0053】
それに対し、
図1のワイヤ放電加工機1は、溶着図形データを利用して加工命令及び溶着命令を組み合わせてプログラムを生成するために、図形データによって必要なデータがそろっており、極めて単純な処理により実現することができる。さらに、溶着図形データにおいて溶着部の位置が特定されているために、中子処理に関する命令を追加することができる。
【0054】
図3(a)~(e)を参照して、平板形状の工作物に対して四角形の閉路により中子が生成される場合(直方体の加工部材)について説明する。
図3(a)にあるように、A
1から上向きに加工してA
2に至り、右向きに加工してA
3に至り、下向きに加工してA
4に至り、左向きに加工してA
5に至り、上向きに加工してA
6に至り、右向きに加工してA
2に至り、下向きに加工してA
1に至る。簡単のために第1加工のみを行う場合を例とする。
【0055】
まず、
図2の従来のワイヤ放電加工システムの動作について説明する。
図3(a)に従い、例えば以下のような加工用プログラムを生成する。なお、例えば
図3(b)にあるように、一般的には、切り残しを行うことによって保持させる。そのため、一般的な設計データを前提とすれば、閉路がなく、事前に、
図3(a)にあるように閉路を形成するように修正が必要となっていた。
命令P11:線分加工A
1→A
2
命令P12:線分加工A
2→A
3
命令P13:線分加工A
3→A
4
命令P14:線分加工A
4→A
5
命令P15:線分加工A
5→A
6
命令P16:線分加工A
6→A
2
命令P17:線分加工A
2→A
1
【0056】
各命令を分析し、命令P12、P13、P14、P15及びP16により閉路となっていることを検出する(
図3(c)参照)。そして、この閉路を長方形などに分割して面積を求め、工作物の厚さや材質などにより中子の重さを推定して溶着部の個数を求める。この例では2か所とする。
【0057】
溶着部W12は、命令P16でのA2付近での加工処理などを考慮して、A2の直前に、A9からA2までとして設ける。W12の位置は、加工経路に沿って、A2からA9までの距離とA9からA2までの距離で一次元的に特定する。この時点では、A9と他の点との位置関係は不明である。そのため、A9がA6とA2の間にあることは不明である。
【0058】
もう一つの溶着部W11は、加工経路に沿ってA2からA9に至る経路を等分にする位置(A7からA8まで)とする。W11の位置は、加工経路に沿って、A2からA7までの距離とA7からA8までの距離で一次元的に特定する。そのため、この時点では、同様に、W11がA4とA5の間にあることは不明である。
【0059】
溶着部W11について、命令P12、P13,P14、P15及びP16に従った加工距離を用いて、A7が存在する命令を特定する。この例では、命令P14の上にある。そのため、命令P14を、A4からA7までの加工命令とA7からA5までの加工命令に分割する。そして、A7からA5までの加工命令に、A7からA8までの距離の溶着命令を追加する。
【0060】
溶着部W12について、命令P12、P13,P14、P15及びP16に従った加工距離を用いて、A9が存在する命令を特定する。この例では、命令P16の上にある。そのため、命令P16を、A6からA9までの加工命令とA9からA2までの加工命令に分割する。そして、A9からA2までの加工命令に、A9からA2までの距離の溶着命令を追加する。
【0061】
これにより生成される修正加工用プログラムは、次のものである。
命令P11:線分加工A1→A2
命令P12:線分加工A2→A3
命令P13:線分加工A3→A4
命令P14-1:線分加工A4→A7
命令P14-2:線分加工A7→A5 溶着A7→A8
命令P15:線分加工A5→A6
命令P16-1:線分加工A6→A9
命令P16-2:線分加工A9→A2 溶着A9→A2
命令P17:線分加工A2→A1
【0062】
続いて、
図1のワイヤ放電加工機1の動作について説明する。
図3(a)の設計図形データを利用して、
図3(c)の閉路を検出する。この時点では、加工用プログラムを使用しない。そして、
図3(c)の図形データを分析して、この閉路の面積を求め、工作物の厚さや材質などにより溶着部の個数を求める。この例では2か所とする。
【0063】
そして、
図3(c)の図形を利用して周路を分析して溶着部W
11及びW
12を決定し、これらの位置を特定する情報を設計図形データに追加して溶着図形データとする。図形データを利用しているため、W
11がA
4とA
5の間にあること、及び、W12ががA
6とA
2の間にあることは、溶着図形データにおいて特定されている。
【0064】
図3(e)は、溶着図形データを示す。プログラム生成部21は、溶着図形データを利用して、例えば下記のプログラムを生成する。
命令C11:線分加工A
1→A
2
命令C12:線分加工A
2→A
3
命令C13:線分加工A
3→A
4
命令C14:線分加工A
4→A
7
命令C15:線分加工A
7→A
5 溶着A
7→A
8
命令C16:線分加工A
5→A
6
命令C17:線分加工A
6→A
9
命令C18:線分加工A
9→A
2 溶着A
9→A
2
命令C19:線分加工A
2→A
1
【0065】
このように、
図2の従来のワイヤ放電加工システムは、加工軌跡のみに着目して加工用プログラムを生成するものであり、いわば、設計図形データから加工用プログラムを生成するものであった。そして、加工用プログラムを溶着処理を実現するように修正するために、一般的な加工用プログラム生成処理を利用することができるものの、作業負担が膨大なものとなっていた。さらに、
図2の従来のワイヤ放電加工システムでは、第1加工か否かの判断も必要であった。
【0066】
それに対し、
図1のワイヤ放電加工機1は、溶着図形データを用いてプログラムを生成することにより、加工軌跡及び溶着部を考慮して加工用プログラムを生成することができ、極めて単純な処理によりプログラムを生成することができる。
【0067】
続いて、
図3(f)~(i)を参照して、曲線の一例として円の閉路の場合(円柱状の中子)について説明する。簡単のために、第1加工のみを行う場合を例とする。
図3(f)にあるように、B
1から上向きに加工を開始してB
2に至り、B
2からB
3を中心に時計回りに円の加工を行い、B
2から下向きに加工してB
1に至る。
【0068】
まず、
図2の従来のワイヤ放電加工システムの動作について説明する。
図3(f)に従い、例えば以下のような加工用プログラムを生成する。
命令P21:線分加工B
1→B
2
命令P22:円加工B
2(中心B
2→B
3:相対座標)
命令P23:線分加工B
2→B
1
【0069】
各命令を分析し、命令P22により閉路となっていることを検出する(
図3(g)参照)。そして、この閉路の面積を求め、工作物の厚さや材質などにより溶着部の個数を求める。この例では2か所とする。そして、B
2の直前に溶着部W
22(B
6からB
2まで)を設け、もう一つの溶着部W
21は、加工経路に沿ってB
2からB
6に至る経路を等分にする位置(B
4からB
5まで)とする。
【0070】
溶着部W21について、命令P22を分割する。B2からB4までの加工は、加工距離により特定すればよい。他方、B4からB2までの加工は、複雑な処理が必要となる。すなわち、円や円弧の加工を行う場合には、中心は、開始点からの相対位置を使用することが多い。そのため、B4の座標及びB4から中心B3までの相対座標を求める必要がある。
【0071】
さらに、溶着部W22について、命令P22をさらに分割する。B4からB6までの加工は、加工距離により特定すればよい。他方、B6からB2までの加工は、B6の座標及びB6から中心B3までの相対座標を求めるという、複雑な処理が必要である。
【0072】
これにより生成される修正加工用プログラムは、次のものである。
命令P21:線分加工B1→B2
命令P22-1:円弧加工B2→B4(中心B2→B3:相対座標)
命令P22-2:円弧加工B4→B6(中心B4→B3:相対座標) 溶着B4→B5
命令P22-3:円弧加工B6→B2(中心B6→B3:相対座標) 溶着B6→B2
命令P23:線分加工B2→B1
【0073】
続いて、
図1のワイヤ放電加工機1の動作について説明する。
図3(f)の設計図形データを利用して、
図3(g)の閉路を検出する。そして、
図3(g)の図形を分析して、この閉路の面積を求め、工作物の厚さや材質などにより溶着部の個数を求める。この例では2か所とする。
【0074】
そして、
図3(g)の図形を利用して周路を分析して溶着部W
21及びW
22を決定し、これらの位置を特定する情報を設計図形データに追加して溶着図形データとする。図形データを利用しているため、B
4、B
6の座標も、中心B
3の座標も、溶着図形データに存在する。
【0075】
図3(i)は、溶着図形データを示す。プログラム生成部21は、溶着図形データを利用して、プログラムを生成する。
命令C21:線分加工B
1→B
2
命令C22:円弧加工B
2→B
4(中心B
2→B
3:相対座標)
命令C23:円弧加工B
4→B
6(中心B
4→B
3:相対座標) 溶着B
4→B
5
命令C24:円弧加工B
6→B
2(中心B
6→B
3:相対座標) 溶着B
6→B
2
命令C25:線分加工B
2→B
1
【0076】
このように、
図1のワイヤ放電加工機1は、図形データを利用するために、
図2の従来のワイヤ放電加工システムと比較して、曲線などの複雑な形状であっても極めて単純な処理によりプログラムを生成することができる。
【0077】
図4を参照して、
図1のワイヤ放電加工機1における中子処理位置の候補の決定(
図1(b)のステップST9参照)の一例について具体的に説明する。
図4において、wは、溶着部の位置を示す。
図4(a)~(d)及び(i)~(l)は、それぞれ、
図4(e)~(h)及び(m)~(p)に対応し、同じ閉路の形状である。
図4(a)~(d)及び(i)~(l)の×印を円で囲んだ記号は、各形状における閉路の重心(荷重中心位置)を示す。
図4(e)~(h)及び(m)~(p)の×印を円で囲んだ記号は、各形状における溶着部を含む凸形状(例えば、溶着部wの各点を結ぶ線分により形成される凸形状)の重心を示す。
【0078】
単純に考察すれば、中子処理では、中子を垂直落下させるため、中子の重心(荷重中心位置)を上方から叩くことにより実現できるように考えられる。
図4(a)~(d)及び(i)~(l)の×印を円で囲んだ記号は、各中子の重心を示す。そのため、加工軌跡のみを考慮し、その閉路の重心を中子処理位置として、これを上方から叩けば実現できるように考えられる。
【0079】
しかしながら、中子処理は、中子を落下させるだけでなく、溶着部から分離することも重要である。出願人は、溶着部に着目した。溶着部は、加工軌跡に沿って設けられている。そのため、出願人は、溶着部を重視して中子処理の位置を決定することにより、溶着部及び加工軌跡を考慮した中子処理の位置を決定することができることを見出した。
図4(e)~(h)及び(m)~(p)は、それぞれ、
図4(a)~(d)及び(i)~(l)に対応し、×印を円で囲んだ記号は、溶着部を含む凸形状における重心を示す。例えば
図4(k)と(o)を比較すると、
図4(k)では重心が閉路外となっているのに対し、(o)では溶着部wを離しやすい位置を中子処理位置の候補として選択している。
図4(l)と(p)を比較しても、
図4(p)は、
図4(l)と比較して、溶着部wを分離しやすい位置を中子処理位置の候補として選択している。
【符号の説明】
【0080】
1 ワイヤ放電加工機、3 工作物、5 加工処理部、7 中子処理部、9 制御部、13 情報処理部、15 設計処理部、17 溶着図形データ生成部、19 中子処理位置決定部、21 プログラム生成部、23 設計図形データ記憶部、25 溶着図形データ記憶部、27 プログラム記憶部、29 表示部、31 入力部、51 ワイヤ放電加工機51、53 工作物、55 加工処理部、57 中子処理部、59 制御部、61 外部装置、63 情報処理部、65 設計処理部、67 加工用プログラム修正部、69 中子処理挿入部、73 加工用プログラム記憶部、75 修正加工用プログラム記憶部、79 表示部、81 入力部