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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】構造物基礎のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/48 20060101AFI20220610BHJP
   E02D 35/00 20060101ALI20220610BHJP
   E02D 37/00 20060101ALI20220610BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20220610BHJP
   E02D 27/34 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
E02D27/48
E02D35/00
E02D37/00
E02D27/12 Z
E02D27/34 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018078627
(22)【出願日】2018-04-16
(65)【公開番号】P2019183573
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100108497
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
【審査官】山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-114581(JP,A)
【文献】特開平09-256667(JP,A)
【文献】特開平10-168822(JP,A)
【文献】特開2004-211745(JP,A)
【文献】特開2009-221769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/48
E02D 35/00
E02D 37/00
E02D 27/12
E02D 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法であって、
地盤の上に打設されるコンクリート層と、
前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を持つ杭である基礎杭と、
下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、
上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に固定される柱形状の部材であるプラグとを有する支持機構と、
上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、
を有し、
前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、
前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定される構造物基礎を準備する準備工程と、
前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げるジャッキアップ工程と、
前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す支持機構外し工程と、
新たな支持機構を準備する新たな支持機構準備工程と、
新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する支持機構設置工程と、
を備え、
前記基礎構造が、上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定され下部に下方に向いた開口を持ち前記杭頭と前記フィラープレートと前記支持機構とを内包する中空空間と該開口の周囲に下方に向いた下面である基礎部材下面とを形成する複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有し、前記基礎部材が前記中空空間と外部とを繋ぎ前記支持機構を搬入出できる貫通穴を設けられ、
前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて前記中空空間から前記貫通穴を通して外部へ出す、
前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を外部から前記貫通穴を通して前記中空空間に入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する、
ことを特徴とする構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項2】
前記基礎部材が前記支持機構の前記上フランジが固定され前記中空空間の天井部を形成する基礎部材フランジと上部を該基礎部材フランジの周囲に繋げ下部を前記コンクリート層に当接して前記中空空間の内壁を形成する板状部材である内壁板状部材と該基礎部材フランジと該内壁板状部材とを型枠として施工された鉄筋コンクリート構造物を持ち、該鉄筋コンクリート構造物の筋材の端部が前記内壁板状部材に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項3】
発生した地震が収束した後で、前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ値をチェックし該ずれ量が所定量を越えているとき前記ジャッキアップ工程と前記支持機構外し工程と前記新たな支持機構準備工程と前記支持機構設置工程と前記ジャッキ外し工程とを実行し、
前記新たな支持機構準備工程が前記ずれ量に対応する新たな支持機構を準備する、
ことを特徴とする請求項2に記載の構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項4】
前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された上フランジまたは下フランジを持つ新たな前記支持機構を準備する、
ことを特徴とする請求項3に記載の構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記支持機構の前記下フランジが前記下フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタを介して前記フィラープレートの上部に固定され、
前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記下フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、
前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記下フランジアダプタを含む新たな前記支持機構を準備し、
前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな下フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記支持機構の前記上フランジが前記上フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタを介して前記基礎部材に固定され、
前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記上フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、
前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジアダプタを含む新たな前記支持機構を準備し、
前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな上フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する、
ことを特徴とする請求項5に記載の構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項7】
地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法であって、
地盤の上に打設されるコンクリート層と、
前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を持つ杭である基礎杭と、
下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、
上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に固定される柱形状の部材であるプラグとを有する支持機構と、
上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、
を有し、
前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、
前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定される構造物基礎を準備する準備工程と、
前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げるジャッキアップ工程と、
前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す支持機構外し工程と、
新たな支持機構を準備する新たな支持機構準備工程と、
新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する支持機構設置工程と、
を備え、
発生した地震が収束した後で、前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ値をチェックし該ずれ量が所定量を越えているとき前記ジャッキアップ工程と前記支持機構外し工程と前記新たな支持機構準備工程と前記支持機構設置工程と前記ジャッキ外し工程とを実行し、
前記新たな支持機構準備工程が前記ずれ量に対応する新たな支持機構を準備する、
ことを特徴とする構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項8】
地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法であって、
地盤の上に打設されるコンクリート層と、
前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を持つ杭である基礎杭と、
下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、
上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に固定される柱形状の部材であるプラグとを有する支持機構と、
上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、
を有し、
前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、
前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定される構造物基礎を準備する準備工程と、
前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げるジャッキアップ工程と、
前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す支持機構外し工程と、
新たな支持機構を準備する新たな支持機構準備工程と、
新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する支持機構設置工程と、
を備え、
前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された上フランジまたは下フランジを持つ新たな前記支持機構を準備する、
ことを特徴とする構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項9】
地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法であって、
地盤の上に打設されるコンクリート層と、
前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を持つ杭である基礎杭と、
下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、
上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に固定される柱形状の部材であるプラグとを有する支持機構と、
上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、
を有し、
前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、
前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定される構造物基礎を準備する準備工程と、
前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げるジャッキアップ工程と、
前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す支持機構外し工程と、
新たな支持機構を準備する新たな支持機構準備工程と、
新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する支持機構設置工程と、
を備え、
前記支持機構の前記下フランジが前記下フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタを介して前記フィラープレートの上部に固定され、
前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記下フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、
前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記下フランジアダプタを含む新たな前記支持機構を準備し、
前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな下フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する、
ことを特徴とする構造物基礎のメンテナンス方法。
【請求項10】
地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法であって、
地盤の上に打設されるコンクリート層と、
前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を持つ杭である基礎杭と、
下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、
上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に固定される柱形状の部材であるプラグとを有する支持機構と、
上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、
を有し、
前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、
前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定される構造物基礎を準備する準備工程と、
前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げるジャッキアップ工程と、
前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す支持機構外し工程と、
新たな支持機構を準備する新たな支持機構準備工程と、
新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する支持機構設置工程と、
を備え、
前記支持機構の前記上フランジが前記上フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタを介して前記基礎部材に固定され、
前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記上フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、
前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジアダプタを含む新たな前記支持機構を準備し、
前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな上フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する、
ことを特徴とする構造物基礎のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に設けられ構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物基礎が地盤に設けられ、構造物を支持する。
構造物が複数の柱と複数の梁とスラブとで構成される。
例えば、構造物基礎は、コンクリート層と複数の基礎杭と基礎構造とで構成される。
基礎杭がコンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれる。
基礎構造は、複数の基礎部材と複数の梁部材とで構成される。
上から見て、複数の基礎部材が碁盤の目状に散らばる様に配置される。
梁部材が基礎部材を繋ぐ。
基礎部材が基礎杭の杭頭に固定される。
地震が発生すると、基礎杭が構造物に作用した加速度による水平力を基礎構造を介して支持する。
【0003】
近年の地震により、設計時に予定しなかった水平変位が生ずる可能性があることは分かってきた。
大きな水平変位があると、水平力により基礎杭に過大な曲げモーメントと剪断力が生じ、基礎杭と基礎構造の結合部が予想外の損傷をうける可能性がある。
そこで、近年、基礎杭と基礎部材の結合方法を見直して、基礎杭と基礎部材の結合部の損傷を避けようとする工夫が試されている。
一方、構造物に大きな転倒モーメントが作用すると、基礎構造の一部の基礎部材が浮き上げようとするロッキングが発生する可能性がある。
発明者は、上記の不具合点を解決するため簡易な構造により地震が発生したときに損傷しにくい新たな構造物基礎を考案した。
【0004】
上記の構造物基礎を採用したばあい、想定を超える規模の地震が発生したときに、構造物基礎が初期の機能を維持する様にメンテナンスすることを求められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、構造物基礎の初期の機能を維持するための構造物基礎のメンテナンス方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する構造物基礎のメンテナンス方法を、地盤の上に打設されるコンクリート層と、前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を前記コンクリート層の上面から露出する杭である基礎杭と、下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に嵌合するプラグとを有する支持機構と、上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、を有し、前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定される、構造物基礎を準備する準備工程と、前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げるジャッキアップ工程と、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す支持機構外し工程と、新たな支持機構を準備する新たな支持機構準備工程と、新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する支持機構設置工程と、を備えるものとした。
【0007】
上記本発明の構成により、構造物基礎を、地盤の上に打設されるコンクリート層と、前記コンクリート層を貫通して地盤に打ち込まれ頭部である杭頭を前記コンクリート層の上面から露出する杭である基礎杭と、下部を前記杭頭に固定され上部を上方に向ける構造部材であるフィラープレートと、上下一対のフランジである上フランジと下フランジと上部と下部とを上下一対の該フランジに各々に嵌合するプラグとを有する支持機構と、上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定される複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する基礎構造と、を有し、前記支持機構の前記上フランジが前記基礎構造に固定され、前記支持機構の前記下フランジが前記フィラープレートの上部に固定され、ものとする。ジャッキアップ工程が、前記フィラープレートまたは前記コンクリート層の何方か一方と前記基礎部材との間にジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げる。
支持機構外し工程が、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す。新たな支持機構準備工程が、新たな支持機構を準備する。支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を外部から前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときに支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
【0008】
以下に、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0009】
また、本発明の実施形態に係る構造物基礎は、前記基礎構造が、上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定され下部に下方に向いた開口を持ち前記杭頭と前記フィラープレートと前記支持機構とを内包する中空空間と該開口の周囲に下方に向いた下面である基礎部材下面とを形成する複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有し、前記基礎部材が前記中空空間と外部とを繋ぎ前記支持機構を搬入出できる貫通穴を設けられ、前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて前記中空空間から前記貫通穴を通して外部へ出し、前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を外部から前記貫通穴を通して前記中空空間に入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記基礎構造が、上から見て散らばる様に配置され上部を構造物の柱の下部に固定され下部に下方に向いた開口を持ち前記杭頭と前記フィラープレートと前記支持機構とを内包する中空空間と該開口の周囲に下方に向いた下面である基礎部材下面とを形成する複数の基礎部材と水平に延びて複数の基礎部材を繋ぐ複数の梁部材とを有する。前記基礎部材が前記中空空間と外部とを繋ぎ前記支持機構400を搬入出できる貫通穴を設けられる。前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて前記中空空間から前記貫通穴を通して外部へ出す。前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を外部から前記貫通穴を通して前記中空空間に入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときに支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
【0010】
また、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、前記基礎部材が前記支持機構の前記上フランジが固定され前記中空空間の天井部を形成する基礎部材フランジと上部を該基礎部材フランジの周囲に繋げ下部を前記コンクリート層に当接して前記中空空間の内壁を形成する板状部材である内壁板状部材と該基礎部材フランジと該内壁板状部材とを型枠として施工された鉄筋コンクリート構造物を持ち、該鉄筋コンクリート構造物の筋材の端部が前記内壁板状部材に固定される。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記基礎部材が前記支持機構の前記上フランジが固定され前記中空空間の天井部を形成する基礎部材フランジと上部を該基礎部材フランジの周囲に繋げ下部を前記コンクリート層に当接して前記中空空間の内壁を形成する板状部材である内壁板状部材と該基礎部材フランジと該内壁板状部材とを型枠として施工された鉄筋コンクリート構造物を持ち、該鉄筋コンクリート構造物の筋材の端部が前記内壁板状部材に固定される。
【0011】
また、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、発生した地震が収束した後で、前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ値をチェックし該ずれ量が所定量を越えているとき前記ジャッキアップ工程と前記支持機構外し工程と前記新たな支持機構準備工程と前記支持機構設置工程と前記ジャッキ外し工程とを実行し、前記新たな支持機構準備工程が前記ずれ量に対応する新たな支持機構を準備する。
上記本発明に係る実施形態の構成により、発生した地震が収束した後で、前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ値をチェックし該ずれ量が所定量を越えているとき前記ジャッキアップ工程と前記支持機構外し工程と前記新たな支持機構準備工程と前記支持機構設置工程と前記ジャッキ外し工程とを実行しする。前記新たな支持機構準備工程が前記ずれ量に対応する新たな支持機構を準備する。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
【0012】
また、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジまたは前記下フランジを持つ新たな前記支持機構を準備する。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された上フランジまたは下フランジを持つ前記支持機構を準備する。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して前記支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
【0013】
また、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、前記支持機構の前記下フランジが前記下フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタを介して前記フィラープレートの上部に固定され、前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記下フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記下フランジアダプタを含む新たな前記支持機構と準備し、前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな下フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記支持機構の前記下フランジが前記下フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタを介して前記フィラープレートの上部に固定される。前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記下フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す。前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記下フランジアダプタを含む新たな前記支持機構と準備する。前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな下フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときに前記ずれ量に対応して前記支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、前記支持機構の前記上フランジが前記上フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタを介して前記基礎部材に固定され、前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記上フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジアダプタと新たな前記支持機構とを準備し、前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな上フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
上記本発明に係る実施形態の構成により、前記支持機構の前記上フランジが前記上フランジより大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタを介して前記基礎部材に固定される。前記支持機構外し工程が、前記支持機構を前記上フランジアダプタと一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す。前記新たな支持機構準備工程が外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジアダプタと新たな前記支持機構とを準備する。前記支持機構設置工程が、新たな前記支持機構を新たな上フランジアダプタと一体として外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときに前記ずれ量に対応して前記支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
その結果、基礎部材を中空空間と一体化して製作でき、中空空間内の作業をより安全にできる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、その構成により、以下の効果を有する。
基礎杭が地盤の上に打設されたコンクリート層を貫通し、コンクリート層の上面から露出する杭頭にフィラープレートが嵌合し、下フランジが前記フィラープレートの上部に固定れ、上下一対のフランジにプラグの上下を固定され、支持機構の上フランジが柱の下部に固定される基礎構造に固定され、基礎構造の下方に向いた開口をもつ中空空間が前記フィラープレートと前記支持構造を内包し、開口の周囲の基礎部材下面がコンクリート層の上面を水平方向に相対移動自在に当接する構造物基礎を準備し、ジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げ、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、新たな支持機構を準備し、新たな前記支持機構を外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときに支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、前記構造物基礎を準備し、ジャッキをかませて前記基礎部材を持ち上げ、前記支持機構を前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外し水平方向に移動させて前記中空空間から前記貫通穴を通して外部へ出し、新たな支持機構を準備し、新たな前記支持機構を外部から入れて前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときに支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、支持部材の上フランジが固定される前記基礎構造フランジが中空空間の天井部を形成し、前記内壁板状部材が前記中空空間の内壁を形成し、前記基礎部材が前記基礎構造フランジと前記内壁板状部材とを型枠として施工された鉄筋コンクリート構造物とする様にしたので、基礎部材を中空空間と一体化して製作でき、中空空間内の作業をより安全にできる。
また、発生した地震が収束した後で、前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ値をチェックし該ずれ量が所定量を越えているとき、前記ずれ量に対応する新たな支持機構を準備する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジまたは前記下フランジを持つ新たな前記支持機構を準備する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して前記支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、構造物基礎を前記下フランジが下フランジアダプタを介して前記フィーラープレートの上に固定される構造とし、前記支持機構と前記下フランジアダプタとを一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外して、外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記下フランジアダプタと新たな支持機構とを準備し、新たな前記支持機構と新たな下フランジアダプタとを一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときに前記ずれ量に対応して前記支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、構造物基礎を前記上フランジが上フランジアダプタを介して前記基礎部材に固定される構造とし、前記支持機構と前記上フランジアダプタとを一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間から外して、外した前記支持機構の前記上フランジと前記下フランジの水平方向のずれ量に応じて加工された前記上フランジアダプタと新たな支持機構とを準備し、新たな前記支持機構と新たな上フランジアダプタとを一体として前記フィラープレートと前記基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときに前記ずれ量に対応して前記支持機構を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときに構造物基礎の初期の機能を維持するための構造物基礎のメンテナンス方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る構造物基礎の概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る構造物基礎の作用図である。
図3】本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法の手順図である。
図4】本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法の概念図である。
図5】本発明の実施形態に係る構造物基礎のフィラープレートの構造図である。
図6】本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎構造の概念図その1である。
図7】本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎構造の概念図その2である。
図8】本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎構造の概念図その3である。
図9】本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎杭の概念図である。
図10】本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎杭とフィラープレートの関係図である。
図11】本発明の実施形態に係る構造物基礎の支持機構の構造図その1である。
図12】本発明の実施形態に係る構造物基礎の支持機構の構造図その2である。
図13】本発明の実施形態に係る構造物基礎の支持機構のフランジアダプタの構造図である。
図14】本発明の実施形態に係る構造物基礎の性能図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、地盤に設けられ柱を有する構造物を支持する本発明の実施形態に係る構造物基礎をメンテナンスする方法である。
図1には、本発明の実施形態に係る構造物基礎の概念図を示す。
構造物10は、複数の柱11と複数の梁(図示せず)とで構成されてももよい。
構造物10は、複数の柱11と複数の梁と複数のスラブ床(図示せず)とで構成されてももよい。
柱11は、下部を後述する基礎構造500の上部に固定される。
例えば、柱11の鉄筋は基礎構造500の上部の鉄筋に繋がる。
梁は、隣り合った柱11を繋ぐ。
【0019】
本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、準備工程S10とジャッキアップ工程S30と支持機構外し工程S40と新たな支持機構準備工程S50と支持機構設置工程S60とで構成される。
本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、準備工程S10とチェック工程S20とジャッキアップ工程S30と支持機構外し工程S40と新たな支持機構準備工程S50と支持機構設置工程S60とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、準備工程S10とジャッキアップ工程S30と支持機構外し工程S40と新たな支持機構準備工程S50と支持機構設置工程S60とジャッキ外し工程S70とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、準備工程S10とチェック工程S20とジャッキアップ工程S30と支持機構外し工程S40と新たな支持機構準備工程S50と支持機構設置工程S60とジャッキ外し工程S70とで構成されてもよい。
【0020】
準備工程S10は、構造物基礎を準備する工程である。
以下に、本発明の実施形態にかかる構造物基礎を、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の概念図である。図2は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の作用図である。図5は、本発明の実施形態に係る構造物基礎のフィラープレートの構造図である。図6は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎構造の概念図その1である。図7は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎構造の概念図その2である。図8は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎構造の概念図その3である。図9は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎杭の概念図である。図10は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の基礎杭とフィラープレートの関係図である。図11は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の支持機構の構造図その1である。図12は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の支持機構の構造図その2である。図13は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の支持機構のフランジアダプタの構造図である。図14は、本発明の実施形態に係る構造物基礎の性能図である。
【0021】
本発明の実施形態に係る構造物基礎は、基礎杭200とフィラープレート300と支持機構400と基礎構造500とで構成される。
本発明の実施形態に係る構造物基礎は、コンクリート層100と基礎杭200とフィラープレート300と支持機構400と基礎構造500とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る構造物基礎は、コンクリート層100と複数の基礎杭200と複数のフィラープレート300と複数の支持機構400と複数の基礎構造500とで構成されてもよい。
本発明の実施形態に係る構造物基礎は、コンクリート層100とN個の基礎杭200とN個のフィラープレート300とN個の支持機構400とN個の基礎構造500とで構成されてもよい。この場合、1本の基礎杭200が1個のフィラープレート300と1個の支持機構400と1個の基礎構造500を支持する。
【0022】
コンクリート層100は、地盤5に打設される。
例えば、コンクリート層100は、地盤面1000より下の地盤5に打設される。
例えば、コンクリート層100は、地盤5の上に打設されるいわゆる「捨てコン」の層である。
例えば、コンクリート層100は、地盤の上に打設される鉄筋コンクリートの層である。
例えば、コンクリート層100は、50mm~100mm程度の厚みをもつ。
コンクリート層100の上面を、コンクリート層上面Sと呼称する。
コンクリート層上面Sは水平面を形成する。
【0023】
基礎杭200は、コンクリート層100を貫通して地盤5に打ち込まれ、頭部である杭頭210をコンクリート層100の上面から露出する杭である。
基礎杭200の杭本体220が、コンクリート層100を貫通して地盤5に打ち込まれる。
杭本体220の外壁は円柱形状であってもよい。
杭本体220の外壁は多角形の形状であってもよい。
説明に用いる図では、杭本体220の外壁が円柱形状であるとして図示している。
基礎杭200は、鉄筋コンクリート製であってもよい。
基礎杭200は、中空形状であってもよい。
基礎杭200は、鉄筋コンクリート製の外壁を金属製の円管が覆っていてもよい。
【0024】
フィラープレート300は、下部を杭頭210に固定され上部を上方に向ける構造部材である。
フィラープレート300は、下部を杭頭210に嵌合して固定され上部を上方に向ける構造部材であってもよい。
フィラープレート300は、下部を杭頭210に分離可能に嵌合して固定され上部を上方に向ける構造部材であってもよい。
フィラープレート300は、下部を杭頭210にボルト結合して固定され上部を上方に向ける構造部材であってもよい。
図10(A)(B)は、フィラープレート300が下部を一個の杭頭210に嵌合して上部を上方に向ける様子を示す。
図10(C)は、フィラープレート300が下部を2本の杭頭210に嵌合して上部を上方に向ける様子を示す。
フィラープレート300は、下部を杭頭210に嵌合して分離可能に固定され上部を上方に向ける構造部材であってもよい。
フィラープレート300は、下部を杭頭210に特殊工具を用いずに嵌合して分離可能に固定され上部を上方に向ける構造部材であってもよい。
フィラープレート300は、下部を杭頭210に嵌合して破壊せずに分分離可能に固定され上部を上方に向ける構造部材であってもよい。
フィラープレート300は、板状部310で構成される。
フィラープレート300は、板状部310と締結ボルト311とで構成されてもい。
フィラープレート300は、板状部310と環状部320とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と突起部330とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と環状部320とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と環状部320と鍔状部340とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と環状部320と突起部330とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と環状部320と突起部330と鍔状部340とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と締結ボルト311と環状部320と突起部330とで構成されてもよい。
フィラープレート300は、板状部310と締結ボルト311と環状部320と突起部330と鍔状部340とで構成されてもよい。
【0025】
板状部310は、杭頭210の上面に上から当接する下面を形成する部分である。
例えば、杭頭210が円形であるとき、板状部310は円盤状の部分である。
図5(A)~(F)は、板状部310が、杭頭210の上面に上から当接する様子を示す。
【0026】
締結ボルト311は、フィラープレート300を杭頭210にねじ結合する機械要素である。
例えば、締結ボルト311は、板状部310を杭頭210にねじ結合する。
例えば、締結ボルト311は、板状部310を杭頭210の外周の中空円形の鉄管にねじ結合する。
例えば、締結ボルト311は、板状部310を杭頭210の外周の中空円形の鉄管に設けられた雌ねじにねじ結合する。
図5(D)は、締結ボルト311が板状部310を杭頭210の外周の中空円形の鉄管にねじ結合する様子を示す。
【0027】
環状部320は、板状部310の外周に繋がり杭頭210の外壁に外周から当接する内周面を形成する。
例えば、杭頭210の外壁が円形であるとき、環状部320は、内壁を杭頭210の外壁に当接する円管状の部分である。
図5(A)(C)(D)(F)は、環状部320が板状部310の外周に繋がり杭頭210の外壁に外周から当接する内周面を形成する様子を示す。
【0028】
突起部330は、フィラープレート300の下部に杭頭210の中空形状の内壁に内周から当接する外周面を形成する部分である。
例えば、突起部330は、板状部310の下部に杭頭210の中空形状の内壁に内周から当接する外周面を形成する部分である。
図5(C)(E)(F)は、突起部330がフィラープレート300の下部に杭頭210の中空形状の内壁に内周から当接する外周面を形成する様子を示す。
【0029】
鍔状部340は、環状部320の外壁に固定され、鍔状に周囲に延びる板状の部分である。
例えば、鍔状部340は、環状部320の外壁の下部に固定され、鍔状に周囲に延びる板状の部分である。
例えば、鍔状部340は、下面をコンクリート層上面Sに当接してもよい。
図5(F)は、鍔状部340が環状部320の外壁に固定され、鍔状に周囲に延び、下面をコンクリート層上面Sに当接する様子を示す。
【0030】
フィラープレート300が、杭頭210に嵌合し、さらにボルト結合されて固定される場合の接合を剛接合と呼称する。
フィラープレート300が、杭頭210に嵌合し、ボルト結合されないで固定される場合の接合を半剛接合と呼称する。
図14(A)は、フィラープレート300と杭頭210とが剛接合されるケースにおいて、杭頭に水平方向の剪断力が作用したときにベンディングモーメントダイアグラムを示す。
図14(B)は、フィラープレート300と杭頭210とが半剛接合されるケースにおいて、杭頭に水平方向の剪断力が作用したときにベンディングモーメントダイアグラムを示す。
図14(C)は、比較の為、フィラープレート300と杭頭210とがピン接合または球接合されるケースにおいて、杭頭に水平方向の剪断力が接合部の回転方向に作用したときにベンディングモーメントダイアグラムを示す。
フィラープレート300と杭頭210とが剛接合されるケースでは、基礎杭200の作用する最大曲げモーメントがピン接合される場合の最大曲げモーメントの70%程度になる。
フィラープレート300と杭頭210とが半剛接合されるケースでは、基礎杭200の作用する最大曲げモーメントがピン接合される場合の最大曲げモーメントの30~40%程度になる。
【0031】
支持機構400は、上下一対のフランジ410である上フランジ412と下フランジ411とプラグ430とで構成される。
プラグ430は、金属製であってもよい。
例えば、プラグ430は、鉛製である。
例えば、プラグ430は、鉛すず合金製である。
例えば、プラグ430は、その他の合金製である。
プラグ430は、上フランジ412と下フランジ411と上部と下部とを上下一対のフランジに各々に固定されるものである。
例えば、プラグ430は、円柱形状の部材であって、上部が上フランジ412の下部に固定され、下部が下フランジ411に固定される。
例えば、プラグ430は、円柱形状の部材であって、上部が上フランジ412の下部に設けられた凹みに嵌合し、下部が下フランジ411の上部に設けられた凹みに嵌合する。
【0032】
支持機構400は、積層部材420と上下一対のフランジ410である上フランジ412と下フランジ411とプラグ430とで構成されてもよい。
積層部材420は、複数の板状部材が上下方向に積層され、上下方向に延びる柱状の中空部Wを設けられるものである。
上下一対のフランジ410である下フランジ411と上フランジ412とが、積層部材420を上下方向に挟む。
プラグ430は、中空部Wに位置し上部と下部とを上下一対のフランジに各々に固定される。
プラグ430は、中空部Wに充填され上部と下部とを上下一対のフランジに各々に嵌合してもよい。
図11は、プラグ430が、中空部Wに充填され上部と下部とを上下一対のフランジに各々に固定される様子を示す。
図12は、プラグ430が中空部Wに位置し上部と下部とを上下一対のフランジに各々に固定される様子を示す。
図12は、プラグ430は、中空部Wに水平方向に隙間を設けて位置し上部と下部とを上下一対のフランジに各々に固定される様子を示す。
【0033】
積層部材420が、単数または複数の金属製板状部材421と単数または複数の弾性材製板状部材422とが上下方向に交互に重なり互いに接着されたものでもよい。
この様な構造では、上フランジ412と下フランジ411とが水平方向に相対移動すると、弾性材製板状部材422が水平方向に剪断変形し、全体として積層部材420が水平方向に剪断変形する。
【0034】
積層部材420が複数の金属製板状部材421が上下方向に互いに重なったものでもよい。
複数の金属製板状部材421の表面が低摩擦になる処理がされていれもよい。
例えば、複数の金属製板状部材421の表面がPTFE含侵処理していてもよい。
この様な構造では、上フランジ412と下フランジ411とが水平方向に相対移動すると、金属製板状部材421が水平方向に境目で滑って、全体として積層部材420が水平方向に剪断変形する。
【0035】
支持機構400は、積層部材420と上下一対のフランジ410である上フランジ412と下フランジ411とプラグ430と外周被覆部材440とで構成されてもよい。
外周被覆部材440は、積層部材420と外周を被覆する部材である。
外周被覆部材440は、積層部材420と外周を被覆する弾性材製部材であってもよい。
外周被覆部材440は、積層部材420と外周を被覆する金属製部材であってもよい。
【0036】
支持機構400の上フランジ412が後述する基礎構造500に固定され、支持機構400の下フランジ411がフィラープレート300の上部に固定される。
支持機構400の上フランジ412が後述する基礎構造500に螺子で固定され、支持機構400の下フランジ411がフィラープレート300の上部に螺子で固定される。
支持機構400の上フランジ412が後述する基礎構造500の中空空間Hの天井部に固定され、支持機構の下フランジ411がフィラープレート300の上部に固定されてもよい。
【0037】
支持機構400の下フランジ411が下フランジ411より大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタ413を介してフィラープレート300の上部に固定されてもよい。
図13(A)は、支持機構400の下フランジ411が下フランジアダプタ413を介してフィラープレートの上部に固定される様子を示す。
【0038】
支持機構400の上フランジ412が上フランジ412より大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタ414を介して基礎部材510に固定されてもよい。
図13(B)は、支持機構400の上フランジ412が上フランジアダプタ414を介して基礎部材510に固定される様子を示す。
【0039】
支持機構400の下フランジ411が下フランジ411より大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタ413を介してフィラープレート300の上部に固定され、支持機構400の上フランジ412が上フランジ412より大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタ414を介して基礎部材510に固定されてもよい。
【0040】
地震が発生したとき発生する水平力により基礎杭200が損傷する前にプラグが水平方向に剪断変形する様になっている。
図2は、地震が発生したとき発生する水平力により基礎杭が損傷する前にプラグ430が水平方向に剪断変形する様子を示す。
図11に示す構造では、上フランジ412と下フランジ411とに水平方向の剪断力が働くと、積層部材420の複数の板状部材が水平方向に相対移動し、プラグ430と積層部材420とが一体として剪断変形する。
図12に示す構造では、上フランジ412と下フランジ411とに水平方向の剪断力が働くと、積層部材420の複数の板状部材が水平方向に相対移動し、プラグが中空部Wの中で剪断変形する。
【0041】
基礎構造500は、基礎部材510と梁部材520とで構成される。
基礎構造500は、複数の基礎部材510と複数の梁部材520とで構成されてもよい。
【0042】
基礎部材510は、上部を構造物10の柱11の下部に固定される部材である。
基礎部材510は、上から見て散らばる様に配置され上部を構造物10の柱11の下部に固定されてもよい。
基礎部材510は、上から見て碁盤の目状に散らばる様に配置され上部を構造物10の柱11の下部に固定されてもよい。
【0043】
基礎部材510は、上部を構造物の柱10の下部11に固定され、下部に下方に向いた開口を持ち杭頭210とフィラープレート300と支持機構400とを内包する中空空間Hと開口の周囲に下方に向いた下面である基礎部材下面Dとを形成する部材であってもよい。
基礎部材510は、上部を構造物の柱10の下部11に固定され、下部に下方に向いた開口を持ち杭頭210とフィラープレート300と支持機構400とを内包する中空空間Hと開口の周囲に下方に向いた下面である基礎部材下面Dとを形成する部材であってもよい。
基礎部材510は、上部を構造物10の柱11の下部に固定され、下部に下方に向いた開口を持ち杭頭210とフィラープレート300と支持機構とを内包する中空空間Hと開口の周囲に下方に向いた下面である基礎部材下面Dとを形成する部材であってもよい。
図6(A)(B)、図7図8は、基礎部材510の形成する下部に下方に向いた開口を持つ中空区間Hが、杭頭210とフィラープレート300と支持機構とを内包する様子を示す。
【0044】
梁部材520は、水平に延びて複数の基礎部材510を繋ぐ部材である。
梁部材520の鉄筋が基礎部材510の鉄筋に交差する。
この様にすると、基礎構造500が一体となる。
地震が発生したとき、基礎構造500が一体となって水平移動できる。
【0045】
基礎部材510が、基礎構造フランジ511と内壁板状部材512とで構成されてもよい。
基礎部材510が、基礎構造フランジ511と内壁板状部材512と鍔状部材513とで構成されてもよい。
基礎部材510が、基礎構造フランジ511と内壁板状部材512と鍔状部材513と鉄筋コンクリート構造物514とで構成されてもよい。
基礎構造フランジ511は、支持機構400の上フランジが固定され中空空間Hの天井部を形成する板状の部材である。
基礎構造フランジ511は、上フランジ412に固定される。
例えば、基礎構造フランジ511は、上フランジ412にねじ固定される。
内壁板状部材512は、上部を基礎構造フランジ511の周囲に繋げ中空空間Hの内壁を形成する板状部材である
例えば、内壁板状部材512は、上部を基礎構造フランジ511の周囲に繋げ下部をコンクリート層に当接して中空空間Hの内壁を形成する板状部材であってもよい。
鍔状部材513は、内壁板状部材512の下端に繋がり周囲へ延びる板状部材である。
鉄筋コンクリート構造物514は、基礎構造フランジ511と内壁板状部材512とを型枠として施工されてもよい。
例えば、鉄筋コンクリート構造物514は、鉄筋コンクリート構造物の筋材の端部が内壁板状部材512に固定される。
基礎構造フランジ511と内壁板状部材512と鉄筋コンクリート構造物514とが、一体となって基礎部材510として機能してもよい。
基礎構造フランジ511と内壁板状部材512と鍔状部材513と鉄筋コンクリート構造物514とが、一体となって基礎部材510として機能してもよい。
図6(A)に基礎構造フランジ511と内壁板状部材512と鍔状部材513と鉄筋コンクリート構造物514とが、一体となって基礎部材510として機能する様子を示す。
【0046】
基礎部材510が、中空空間Hと外部を繋いで支持機構400を搬入出できる貫通穴Mを設けられてもよい。
基礎部材510が、中空空間Hと外部を繋いで作業員が外部から中空空間Hに入ることができる貫通穴Mを設けられてもよい。
例えば、貫通穴Mは、マンホールである。
基礎部材510が、上部に作業員が外部から中空空間Hに入ることができる貫通穴Mを設けられてもよい。
基礎部材510が、側部に作業員が外部から中空空間Hに入ることができる貫通穴Mを設けられてもよい。
基礎部材510が、作業員が外部から中空空間Hに入ることができ支持機構400を搬入出できる貫通穴Mを設けられてもよい。
基礎部材510が、上部に作業員が外部から中空空間Hに入ることができ支持機構400を搬入出できる貫通穴Mを設けられてもよい。
図7は、基礎部材510が側部に支持機構400を搬入出できる貫通穴Mを設けられる様子を示す。
図8は、基礎部材510が上部に支持機構400を搬入出できる貫通穴Mを設けられる様子を示す。
この様にすると、構造物を建造後に、作業員が構造物基礎を容易に確認することができる。
この様にすると、構造物を建造後に、作業員が構造物基礎を容易に目視確認することができる。
この様にすると、構造物を建造後、大きな地震があったときに、作業員が構造物基礎の健全性を容易に確認することができる。
この様にすると、構造物を建造後、大きな地震があったときに、作業員が構造物基礎の健全性を容易に確認し、支持機構400の変形を修正することができる。
この様にすると、構造物を建造後、大きな地震があったときに、作業員が構造物基礎の健全性を容易に確認し、支持機構400を交換することができる。
【0047】
基礎部材下面Dが、コンクリート層上面Sに水平方向に相対移動可能に当接してもよい。
この様にすると、構造物10の複数の柱11のうちの一部の柱11に浮上させようとする力が作用したとき、反対側の柱11に固定される基礎部材510の基礎部材下面Dがコンクリート層上面Sに当接し、構造物10の浮上りを抑制できる。
図6(A)、図7図8は、基礎部材下面Dがコンクリート層上面Sに水平方向に相対移動可能に当接する様子を示す。
【0048】
1本の基礎杭200が、1個のフィラープレート300と1個の支持機構400と1個の基礎部材510とを支持してもよい。
図9(A)は、1本の基礎杭200が、1個のフィラープレート300と1個の支持機構400と1個の基礎部材510とを支持する様子を示す。
複数の基礎杭200が、1個のフィラープレート300と1個の支持機構400と1個の基礎部材510とを支持してもよい。
図9(B)~(D)は、複数の基礎杭200が、1個のフィラープレート300と1個の支持機構400と1個の基礎部材510とを支持する様子を示す。
【0049】
1本の基礎杭200が1個のフィラープレート300と1個の支持機構400と1個の基礎部材510とを支持してもよい。
図10(A)は、その様子を示す。
N本の基礎杭200がN個のフィラープレート300とN個の支持機構400を支持し、N個の支持機構400が1個の基礎部材510とを支持してもよい。
図10(B)は、その様子を示す。
N本の基礎杭200が1個のフィラープレート300を支持し、1個のフィラープレート300がN個の支持機構400を支持し、N個の支持機構400が1個の基礎部材510とを支持してもよい。
図10(C)は、その様子を示す。
【0050】
チェック工程S20は、発生した地震が収束した後で、支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ値をチェックする工程である。
チェック工程S20は、発生した地震が収束した後で、支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向の向きとそのずれ値をチェックしてもよい。
想定を越える規模の地震が発生すると、基礎杭200の杭値210と基礎部材510との間に大きな剪断力が作用する。
大きな剪断力が作用すると、支持機構400のプラグ430に塑性変形が発生する。
その結果、下フランジ411と上フランジ412に水平方向のずれが生ずる。
上から見て下フランジ411と上フランジ412に水平方向のずれの向きとずれ値を計測する。
ずれ値が所定量を越えているとき、ジャッキアップ工程S30と支持機構外し工程S40と新たな支持機構準備工程S50と支持機構設置工程S60とを実行する。
ずれ値が所定量を越えているとき、ジャッキアップ工程S30と支持機構外し工程S40と新たな支持機構準備工程S50と支持機構設置工程S60とジャッキ外し工程S70とを実行してもよい。
【0051】
ジャッキアップ工程S30は、フィラープレート300またはコンクリート層100の何方か一方と基礎部材510との間にジャッキ600をかませて基礎部材を持ち上げる工程である。
ジャッキアップ工程S30は、フィラープレート300と基礎部材510との間にジャッキ600をかませて基礎部材510を持ち上げてもよい。
ジャッキアップ工程S30は、コンクリート層100と基礎部材510との間にジャッキ600をかませて基礎部材510を持ち上げてもよい。
ジャッキアップ工程S30は、フィラープレート300またはコンクリート層100の何方か一方と基礎部材510との間にジャッキ600をかませて基礎部材を持ち上げてフィラープレート300と基礎部材510との間を僅かに広げてもよい。
ジャッキアップ工程S30は、フィラープレート300またはコンクリート層100の何方か一方と基礎部材510との間にジャッキ600をかませて基礎部材510を持ち上げて支持機構400に作用する垂直力が小さくしてもよい。
ジャッキアップ工程S30は、フィラープレート300またはコンクリート層100の何方か一方と基礎部材510との間にジャッキ600をかませて基礎部材510を持ち上げて支持機構400が水平方向にずらすことができる様にしてもよい。
ジャッキ600は事前に据付けられていてもよい。
ジャッキ600は、螺子式であってもよい。
ジャッキ600は、油圧シリンダであってもよい。
ジャッキ600は、ラムシリンダであってもよい。
【0052】
支持機構外し工程S40は、支持機構400をフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す工程である。
支持機構外し工程S40は、支持機構400をフィラープレート300と基礎部材との間から外し水平方向に移動させて中空空間Hから貫通穴Mを通して外部へ出してもよい。
支持機構400がフィラープレート300とボルトで結合されている場合、そのボルトを外した後で支持機構400をフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す。
支持機構400が基礎部材510とボルトで結合されている場合、そのボルトを外した後で支持機構400をフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて外部へ出す。
【0053】
支持機構400の下フランジ411が下フランジ411より大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタ413を介してフィラープレート300の上部に固定される場合、支持機構外し工程S40が、支持機構400を下フランジアダプタ413と一体としてフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて外部へ出してもよい。
支持機構外し工程S40が、支持機構400を下フランジアダプタ413と一体としてフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて中空空間Hから貫通穴Mを通して外部へ出してもよい。
【0054】
支持機構400の上フランジ412が上フランジ412より大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタ414を介して基礎部材500に固定される場合、支持機構外し工程S40が、支持機構400を上フランジアダプタ414と一体としてフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて外部へ出してもよい。
支持機構外し工程S40が、支持機構400を上フランジアダプタ414と一体としてフィラープレート300と基礎部材510との間から外し水平方向に移動させて中空空間Hから貫通穴Mを通して外部へ出してもよい。
【0055】
新たな支持機構準備工程S50は、新たな支持機構400nを準備する工程である。
新たな支持機構準備工程S50は、ずれ量Gに対応する新たな支持機構400nを準備してもよい。
新たな支持機構準備工程S50は、ずれ量Gに対応して加工された新たな支持機構400nを準備してもよい。
例えば、新たな支持機構準備工程S50は、ずれ量Gに対応して取付ボルト穴をずらして加工された新たな支持機構を準備してもよい。
【0056】
新たな支持機構準備工程S50は、外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量Gに応じて加工された上フランジ412または下フランジ411を持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
新たな支持機構準備工程S50は、外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれの向きとずれ量Gに応じて加工された上フランジ412または下フランジ411を持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
新たな支持機構準備工程S50は、外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量Gに応じて加工された下フランジ411を持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
図4(A)は、ずれ量に応じて加工された下フランジ411を持つ新たな支持機構400nを示す。
新たな支持機構準備工程S50は、外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量Gに応じて加工された上フランジ412を持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
図4(B)は、ずれ量に応じて加工された上フランジ412を持つ新たな支持機構400nを示す。
新たな支持機構準備工程S50は、外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量Gに応じて加工された上フランジ412と下フランジ411とを持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
図4(C)は、ずれ量に応じて加工された上フランジ412と下フランジ411とを持つ新たな支持機構400nを示す。
【0057】
支持機構の下フランジ411が下フランジ411より大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタ413を介してフィラープレート300の上部に固定される場合、新たな支持機構準備工程S50が外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された下フランジアダプタ413を持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
新たな支持機構準備工程S50が外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された新しい下フランジアダプタ413を持つ新たな支持機構400nを準備してもよい。
【0058】
支持機構400の上フランジ412が上フランジ412より大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタ414を介して基礎部材510に固定される場合、新たな支持機構準備工程S50が外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された上フランジアダプタ414を含む新たな支持機構400nを準備してもよい。
新たな支持機構準備工程S50が外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された新しい上フランジアダプタ414を含む新たな支持機構400nを準備してもよい。
【0059】
支持機構設置工程S60は、新たな支持機構400nを外部から入れてフィラープレート300と基礎部材510との間に水平移動して設置する工程である。
支持機構設置工程S60は、新たな支持機構400nを外部から貫通穴Mを通して中空空間Hに入れてフィラープレートと基礎部材との間に水平移動して設置してもよい。
【0060】
支持機構400の下フランジ411が下フランジ411より大きな面をもつフランジ状の部材である下フランジアダプタ414を介してフィラープレート300の上部に固定される場合、支持機構設置工程S60が、新たな支持機構400nを新たな下フランジアダプタ413と一体として外部から入れてフィラープレート300と基礎部材510との間に水平移動して設置してもよい。
支持機構設置工程S60が、新たな支持機構400nを新たな下フランジアダプタ413と一体として外部から貫通穴Mを通して中空空間Hに入れてフィラープレート300と基礎部材510との間に水平移動して設置してもよい。
【0061】
支持機構400の上フランジ411が上フランジ412より大きな面をもつフランジ状の部材である上フランジアダプタ414を介して基礎部材510に固定される場合、支持機構設置工程S60が、新たな支持機構400nを新たな上フランジアダプタ414と一体として外部から入れてフィラープレート300と基礎部材510との間に水平移動して設置してもよい。
支持機構設置工程S60が、新たな支持機構400を新たな上フランジアダプタ414と一体として外部から貫通穴Mを通して中空空間Hに入れてフィラープレート300と基礎部材510との間に水平移動して設置してもよい。
【0062】
ジャッキ外し工程S70は、ジャッキ600で基礎部材から外す工程である。
外したジャッキ600を外部へ出してもよい。
外したジャッキ600をそのままの位置においていてもよい。
【0063】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る構造物基礎のメンテナンス方法は、その構成により、以下の効果を有する。
基礎杭200が地盤5の上に打設されたコンクリート層100を貫通し、コンクリート層100の上面から露出する杭頭にフィラープレート300が嵌合し、下フランジ411がフィラープレート300の上部に固定れ、上下一対のフランジ410にプラグ430の上下を固定され、支持機構400の上フランジ412が柱の下部に固定される基礎構造に固定され、基礎構造の下方に向いた開口をもつ中空空間Hがフィラープレート300と支持構造を内包し、開口の周囲の基礎部材下面がコンクリート層100の上面を水平方向に相対移動自在に当接する構造物基礎を準備し、ジャッキ600をかませて基礎部材を持ち上げ、支持機構400をフィラープレート300と基礎部材との間から外し水平方向に移動させて外部へ出し、新たな支持機構400nを準備し、新たな支持機構400nを外部から貫通穴を通して中空空間Hに入れてフィラープレート300と基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときに支持機構400を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、構造物基礎を準備し、ジャッキ600をかませて基礎部材を持ち上げ、支持機構400をフィラープレート300と基礎部材との間から外し水平方向に移動させて中空空間Hから貫通穴を通して外部へ出し、新たな支持機構400nを準備し、新たな支持機構400nを外部から貫通穴を通して中空空間Hに入れてフィラープレート300と基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときに支持機構400を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、支持部材の上フランジ412が固定される基礎構造フランジが中空空間Hの天井部を形成し、内壁板状部材が中空空間Hの内壁を形成し、基礎部材が基礎構造フランジと内壁板状部材とを型枠として施工された鉄筋コンクリート構造物とする様にしたので、基礎部材を中空空間Hと一体化して製作でき、中空空間H内の作業をより安全にできる。
また、発生した地震が収束した後で、支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ値をチェックしずれ量が所定量を越えているとき、ずれ量に対応するして加工された新たな支持機構400nを準備する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して支持機構400を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、外した支持機構400nの上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された上フランジ412または下フランジ411を持つ新たな支持機構400nを準備する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して支持機構400を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、構造物基礎を下フランジ411が下フランジアダプタ413を介してフィーラープレートの上に固定される構造とし、支持機構400と下フランジアダプタ413とを一体としてフィラープレート300と基礎部材との間から外して、外した支持機構400の上フランジ412と下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された下フランジアダプタ413と新たな支持機構400nとを準備し、新たな支持機構400nと新たな下フランジアダプタ413とを一体としてフィラープレート300と基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して支持機構400を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
また、構造物基礎を上フランジ412が上フランジアダプタ414を介して基礎部材に固定される構造とし、支持機構400と上フランジアダプタ414とを一体としてフィラープレート300と基礎部材との間から外して、外した支持機構400の上フランジと下フランジ411の水平方向のずれ量に応じて加工された上フランジアダプタ414と新たな支持機構400nとを準備し、新たな支持機構400nと新たな上フランジアダプタ414とを一体としてフィラープレート300と基礎部材との間に水平移動して設置する様にしたので、想定を超える規模の地震が発生したときにずれ量に対応して支持機構400を交換して、構造物基礎の初期の機能を維持できる。
その結果、想定を超える規模の地震が発生したときに構造物基礎の初期の機能を維持するための構造物基礎のメンテナンス方法を提供できる。
【0064】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
S10 準備工程
S20 チェック工程
S30 ジャッキアップ工程
S40 支持機構外し工程
S50 新たな支持機構準備工程
S60 支持機構設置工程
S70 ジャッキ外し工程
G ずれ量
W 中空部
H 中空空間
M 貫通穴
D 基礎部材下面
S コンクリート層上面
5 地盤
10 構造物
11 柱
100 コンクリート層
200 基礎杭
210 杭頭
220 杭本体
300 フィラープレート
310 板状部
311 締結ボルト
320 環状部
330 突起部
340 鍔状部
400 支持機構
400n 新たな支持機構
410 フランジ
411 下フランジ
412 上フランジ
413 下フランジアダプタ
414 上フランジアダプタ
420 積層部材
421 金属製板状部材
422 弾性材製板状層部材
430 プラグ
440 外周被覆部材
500 基礎構造
510 基礎部材
511 基礎構造フランジ
512 内壁板状部材
513 鍔状部材
514 鉄筋コンクリート構造物
520 梁部材
600 ジャッキ
1000 地盤面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【文献】特開平9-273162号
【文献】特開平10-2126号
【文献】特開2006-104883号
【文献】特開2007-120232号
【文献】特開2013-87438号
【文献】特開2013-159997号
【文献】特開2015-190302号
【文献】特開2016-8389号
【文献】特開2017-186819号
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
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