(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/02 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
H01H73/02 C
(21)【出願番号】P 2018099536
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕明
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-031499(JP,Y1)
【文献】実開昭62-008445(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接触子及び可動接触子を接触及び離隔することにより電源側端子及び負荷側端子の間の電路を接続及び遮断することの可能な回路遮断器であって、
前記電路を接続及び遮断する際に操作されるハンドルと、
前記ハンドルの操作に連動して動作するとともに、前記可動接触子が挿入される筒状の挿入部が形成される可動体と、
前記挿入部に配置され、前記可動接触子を前記挿入部の第1内壁面に押圧するコイルばねと、を備え、
前記挿入部には、前記コイルばねを挿入可能な挿入開口部が形成され、
前記コイルばねの一端部により押圧される前記可動接触子の押圧面、及び前記コイルばねの他端部が当接する前記挿入部の第2内壁面のいずれか一方には、前記コイルばねが挿入される突出部が形成され、
前記突出部における前記挿入開口部に対向する部分には、前記挿入部の挿入開口部に近づくほど前記突出部の高さが低くなるように前記押圧面に対して傾斜する傾斜面が形成されている一方、
前記突出部の先端部には、前記押圧面に対して平行な平坦面が形成されている
回路遮断器。
【請求項2】
前記突出部における前記傾斜面とは反対側の部分には、前記押圧面に対して直交する直交面が形成されている
請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記突出部における前記挿入部の挿入開口部に対向する部分には、前記押圧面に対して直交する段差部が形成されるとともに、前記段差部に連続して前記傾斜面が形成されている
請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の回路遮断器がある。特許文献1に記載の回路遮断器は、ハンドルの操作に連動して動作する可動体と、固定接点と相対する可動接点を一端に有する可動接触子とを備えている。可動接触子の他端部は、軸支部により回動自在に軸支されている。可動体と可動接触子との間には、コイルばねが圧縮された状態で配置されている。コイルばねの一端部は、可動体の先端部に設けられた突出部に挿入されている。これにより、可動体からのコイルばねの抜け止めがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の回路遮断器では、可動体と可動接触子との間にコイルばねを配置する際に、コイルばねを予め圧縮させた上で、可動体と可動接触子との間にコイルばねが挿入される。その際、可動体の突出部と可動接触子との間の隙間の長さよりもコイルばねの全長が短くなるようにコイルばねを予め圧縮する必要がある。可動体と可動接触子の突出部との間の隙間が狭い場合、それらの間に圧縮状態のコイルばねを挿入する作業が非常に困難となる。
【0005】
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動接触子を押圧するためのコイルばねを可動体に容易に配置することの可能な回路遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する回路遮断器は、固定接触子及び可動接触子を接触及び離隔することにより電源側端子及び負荷側端子の間の電路を接続及び遮断することの可能な回路遮断器であって、ハンドルと、可動体と、コイルばねと、を備える。ハンドルは、電路を接続及び遮断する際に操作される。可動体は、ハンドルの操作に連動して動作するとともに、可動接触子が挿入される筒状の挿入部が形成される。コイルばねは、挿入部に配置され、可動接触子を挿入部の内壁面に押圧する。挿入部には、コイルばねを挿入可能な挿入開口部が形成される。コイルばねの一端部により押圧される可動接触子の押圧面、及びコイルばねの他端部が当接する挿入部の内壁面のいずれか一方には、コイルばねが挿入される突出部が形成される。突出部における挿入開口部に対向する部分には、挿入部の挿入開口部に近づくほど突出部の高さが低くなるように押圧面に対して傾斜する傾斜面が形成されている一方、突出部の先端部には、押圧面に対して平行な平坦面が形成されている。
【0007】
この構成によれば、コイルばねが挿入開口部から挿入部に挿入される際に、突出部の傾斜面にコイルばねが接触する。この状態でコイルばねが挿入部の内部に押し込まれると、コイルばねが突出部の傾斜面をスライド移動しながら自然に圧縮される。そして、コイルばねが更に押し込まれると、コイルばねが突出部に挿入される。したがって、挿入部に挿入することができるようにコイルばねを圧縮する作業を行うだけでよく、突出部に挿入するために更にコイルばねを圧縮する作業を予め行う必要がない。そのため、可動接触子を押圧するためのコイルばねを可動体に容易に配置することが可能である。
また、可動体の挿入部にコイルばねを押し込む際、突出部とコイルばねとが干渉する。そのため、突出部の先端部が尖っていると、突出部の先端部とコイルばねとが干渉した際に、突出部の先端部が欠損し易くなる。突出部の先端部が欠損すると、実質的に突出部の高さが低くなるため、コイルばねが突出部から抜け易くなる等の懸念がある。この点、上記構成のように、突出部の先端部に平坦面が形成されていれば、突出部が欠損し難くなるため、突出部からコイルばねが抜け易くなる等の懸念が生じ難くなる。
【0008】
上記の回路遮断器において、突出部における傾斜面とは反対側の部分には、押圧面に対して直交する直交面が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、コイルばねが挿入開口部の方向にずれた場合には、コイルばねの内周面が突出部の直交面に接触することにより、コイルばねが挿入部から抜け難くなるとともに、可動接触子も挿入部から抜け難くなる。
【0009】
上記の回路遮断器において、突出部における挿入部の挿入開口部に対向する部分には、押圧面に対して直交する段差部が形成されるとともに、段差部に連続して傾斜面が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、コイルばねに突出部が挿入された後、更にコイルばねを押し込んだ際に、コイルばねの内周面が段差部に接触するため、コイルばねの過剰な押し込みを抑制することができる。
【0011】
上記の回路遮断器において、突出部を第1突出部とするとき、可動接触子の押圧面、及び挿入部の内壁面のいずれか他方には、コイルばねが挿入される第2突出部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、コイルばねの一端部又は他端部に第2突出部が更に挿入されることにより、コイルばねの両端部に対して抜け止めがなされるため、挿入部からコイルばねが更に抜け難くなる。
【0012】
上記の回路遮断器において、可動接触子の押圧面、及び挿入部の内壁面のいずれか他方には、コイルばねが挿入される溝部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、コイルばねの一端部又は他端部が溝部に更に挿入されることにより、コイルばねの両端部に対して抜け止めがなされるため、挿入部からコイルばねが更に抜け難くなる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、可動接触子を押圧するためのコイルばねを可動体に容易に配置することの可能な回路遮断器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、第1実施形態の回路遮断器の部分断面構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のセパレータ及び可動接触子の側面構造を示す側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のセパレータの断面構造を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のセパレータへの可動接触子の組み付け方法の一部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のセパレータへの可動接触子の組み付け方法の一部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、参考例のセパレータの断面構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の変形例のセパレータの断面構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態のセパレータの突出部周辺の拡大断面構造を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態のセパレータの突出部周辺の拡大断面構造を示す断面図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態のセパレータの断面構造を示す断面図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態の変形例のセパレータの断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、回路遮断器の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
はじめに、
図1に示される第1実施形態の回路遮断器10について説明する。
図1に示されるように、本実施形態の回路遮断器10は、ハウジング20の左側壁部201において外部に露出するように設けられる電源側端子31と、ハウジング20の右側壁部202において外部に露出するように設けられる負荷側端子41とを備えている。電源側端子31には電源側配線が接続される。負荷側端子41には負荷側配線が接続される。回路遮断器10は、電源側端子31と負荷側端子41とが電気的に接続されている状態と、それらの接続が遮断されている状態とを切り替えることにより、電源側配線と負荷側配線との電気的な接続状態を切り替えることの可能な装置である。
【0016】
回路遮断器10は、一端部に電源側端子31が設けられる固定接触子30と、一端部に負荷側端子41が設けられる負荷側端子金具40と、ハウジング20の内部に設けられる可動接触子50と、可動接触子50が固定されるセパレータ60と、ハウジング20の上面203から突出するように設けられるハンドル70とを備えている。本実施形態では、セパレータ60が可動体に相当する。
【0017】
固定接触子30は、導電性を有する平板状の金属部材からなる。固定接触子30は、電源側端子31からハウジング20の内部に延びるように配置されており、ハウジング20に固定されている。ハウジング20の内部に延びる固定接触子30の一端部には、可動接触子50の可動接点52に対向するように配置される固定接点32が設けられている。
【0018】
セパレータ60は、樹脂等の絶縁性を有する材料により形成されている。具体的には、
図2に示されるように、セパレータ60は、軸線m1を中心に略円柱状に形成されている。軸線m1に沿った方向におけるセパレータ60の一端部61には、円柱状の軸部62が形成されている。なお、図示は省略するが、軸線m1に沿った方向におけるセパレータ60の他端部にも、同様に円柱状の軸部62が形成されている。これらの軸部62がハウジング20の所定の挿入部に挿入されることにより、セパレータ60は、軸線m1を中心に回転可能にハウジング20により支持されている。セパレータ60は、図示しないリンク機構を介してハンドル70に連結されており、ハンドル70の操作に連動して軸線m1を中心に回転する。
【0019】
図3に示されるように、セパレータ60には、可動接触子50が挿入される四角筒状の挿入部63が形成されている。挿入部63は、軸線m1に直交する方向、すなわちセパレータ60の径方向に延びるように形成されている。挿入部63の上方内壁面631には、可動接触子50が当接している。可動接触子50と挿入部63の下方内壁面632との間には、コイルばね80が圧縮された状態で配置されている。このコイルばね80の弾性力により可動接触子50が挿入部63の上方内壁面631に押圧されている。可動接触子50は、
図1に示される負荷側端子金具40と電気的に接続されている。本実施形態では、挿入部63の上方内壁面631が第1内壁面に相当し、挿入部63の下方内壁面632が第2内壁面に相当する。
【0020】
図3に示されるように、可動接触子50は、導電性を有する平板状の金属部材からなる。可動接触子50の先端部51は、セパレータ60の挿入部63の一方の開口部634から突出するように配置されている。この可動接触子50の先端部には、可動接点52が設けられている。セパレータ60の挿入部63の内部に挿入されており、且つ軸線m1に沿った方向に位置する可動接触子50の両側面には、係合部53が突出するように形成されている。係合部53は、セパレータ60の挿入部63の側方内壁面630に形成された係合溝633に係合している。可動接触子50は、係合部53と係合溝633との係合構造、並びにコイルばね80から付与される押圧力により、セパレータ60に固定されている。
【0021】
挿入部63の開口部634には、下方内壁面632から上方内壁面631に向かって突出するように段差部635が形成されている。挿入部63に挿入されているコイルばね80が挿入部63の開口部634に向かってずれた場合、コイルばね80が段差部635に接触することにより、挿入部63からのコイルばね80の抜け止めがなされる。
【0022】
挿入部63における開口部634とは反対側の部分には、挿入部63の内部にコイルばね80を挿入可能な挿入開口部636が形成されている。すなわち、コイルばね80は、挿入開口部636から挿入部63の内部に挿入される。
コイルばね80の一端部81により押圧される可動接触子50の押圧面54には、突出部55が形成されている。突出部55には、コイルばね80の一端部81が挿入されている。突出部55における挿入部63の挿入開口部636に対向する部分には、傾斜面550が形成されている。傾斜面550は、挿入部63の挿入開口部636に近づくほど突出部55の高さが低くなるように押圧面54に対して傾斜するように形成されている。突出部55における傾斜面550とは反対側の部分には、押圧面54に対して直交する直交面551が形成されている。
【0023】
本実施形態の回路遮断器10では、ハンドル70が
図1に示される位置に操作されている場合、セパレータ60が
図1に示される位置で保持されている。すなわち、可動接点52が固定接点32から離隔しているため、電源側端子31と負荷側端子41との電気的な接続が遮断された状態となっている。この状態でハンドル70が矢印a1で示される方向に操作されると、セパレータ60が軸線m1を中心に矢印b1で示される方向に回転する。これにより可動接点52が固定接点32に接触すると、電源側端子31と負荷側端子41とが電気的に接続された状態となる。この際、コイルばね80は、可動接点52と固定接点32との電気的な接続状態を保持するための接点圧ばねとして機能する。すなわち、可動接点52と固定接点32とが接触している際、コイルばね80の弾性力が可動接触子50を介して可動接点52に付与されることにより、可動接点52と固定接点32とが所定の圧力で接触した状態で保持されている。
【0024】
また、矢印a1で示される方向に操作されているハンドル70が矢印a2で示される方向に操作されると、セパレータ60が軸線m1を中心に矢印b2で示される方向に回転する。これにより可動接点52が固定接点32から離隔し、電源側端子31と負荷側端子41との電気的な接続が遮断された状態となる。このように、回路遮断器10では、ハンドル70の操作に基づいて固定接触子30及び可動接触子50が接触及び離隔することにより、電源側端子31と負荷側端子41との間の電路を接続及び遮断することが可能となっている。
【0025】
次に、セパレータ60に対する可動接触子50の固定方法について具体的に説明する。
図4に示されるように、セパレータ60に可動接触子50を固定する際には、まず、セパレータ60の開口部634から可動接触子50が矢印cで示される方向に挿入された後、可動接触子50の係合部53がセパレータ60の係合溝633に係合される。その後、
図5に示されるように、コイルばね80が、セパレータ60の挿入開口部636から挿入部63に圧縮された状態で、矢印dで示される方向に挿入される。この際、コイルばね80が可動接触子50の突出部55に向かって押し込まれると、コイルばね80が突出部55の傾斜面550をスライド移動しながら自然に圧縮される。そして、コイルばね80が更に押し込まれると、
図3に示されるように、コイルばね80の一端部81に突出部55が挿入される。これにより、セパレータ60に対する可動接触子50の固定が完了する。
【0026】
以上説明した本実施形態の回路遮断器10によれば、以下の(1)及び(2)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)例えば、
図6に示されるように、突出部55に傾斜面550が形成されていない場合、コイルばね80の一端部81を突出部55に挿入するためには、挿入部63に挿入することができるようにコイルばね80を圧縮する作業だけでなく、コイルばね80の一端部81を突出部55に挿入するためにコイルばね80を更に圧縮する作業を行う必要がある。この点、本実施形態の回路遮断器10では、コイルばね80の一端部81を突出部55に挿入する際に、挿入部63に挿入することができるようにコイルばね80を圧縮する作業を行うだけでよいため、可動接触子50を押圧するためのコイルばね80をセパレータ60に容易に配置することが可能となる。
【0027】
(2)突出部55における傾斜面550とは反対側の面には、可動接触子50の押圧面54に対して直交する直交面551が形成されている。これにより、コイルばね80が挿入開口部636の方向にずれた場合には、コイルばね80の内周面が突出部55の直交面551に接触するため、コイルばね80がセパレータ60の挿入部63から抜け難くなるとともに、可動接触子50も挿入部63から抜け難くなる。
【0028】
(変形例)
次に、第1実施形態の回路遮断器10の変形例について説明する。
図7に示されるように、本変形例の回路遮断器10では、突出部55が、可動接触子50の押圧面54に代えて、セパレータ60の下方内壁面632に形成されている。下方内壁面632は、セパレータ60においてコイルばね80の他端部が当接する部分である。突出部55は、コイルばね80の他端部82に挿入されている。このような構造であっても第1実施形態の回路遮断器10と同一又は類似の作用及び効果を得ることができる。
【0029】
<第2実施形態>
次に、回路遮断器10の第3実施形態について説明する。以下、第1実施形態の回路遮断器10との相違点を中心に説明する。
図8に示されるように、本実施形態の回路遮断器10では、突出部55の先端部に、押圧面54に対して平行な平坦面552が形成されている。
【0030】
以上説明した本実施形態の回路遮断器10によれば、以下の(3)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(3)セパレータ60の挿入部63にコイルばね80を押し込む際、突出部55とコイルばね80とが干渉する。そのため、第1実施形態の突出部55のように、その先端が尖っていると、突出部55とコイルばね80とが干渉した際に突出部55の先端部が欠損し易くなる。突出部55の先端部が欠損すると、実質的に突出部55の高さが低くなるため、突出部55からコイルばね80が抜け易くなる等の懸念がある。この点、本実施形態の回路遮断器10のように、突出部55の先端部に平坦面552が形成されていれば、突出部55が欠損し難くなるため、突出部55からコイルばね80が抜け易くなる等の懸念が生じ難くなる。
【0031】
<第3実施形態>
次に、回路遮断器10の第3実施形態について説明する。以下、第2実施形態の回路遮断器10との相違点を中心に説明する。
図9に示されるように、本実施形態の回路遮断器10では、突出部55における挿入部63の挿入開口部636に対向する部分に、押圧面54に対して直交するように段差部553が形成されるとともに、この段差部553に連続して傾斜面550が形成されている。なお、段差部553の高さHは、コイルばね80の素線径φよりも短い長さに設定されている。
【0032】
以上説明した本実施形態の回路遮断器10によれば、以下の(4)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(4)コイルばね80の一端部に突出部55が挿入された後、更にコイルばね80を押し込んだ際に、コイルばね80の内周面が段差部553に接触することにより、コイルばね80を押し込み難くなる。これにより、コイルばね80の過剰な押し込みを抑制することができる。
【0033】
<第4実施形態>
次に、回路遮断器10の第4実施形態について説明する。以下、第1実施形態の回路遮断器10との相違点を中心に説明する。
図10に示されるように、本実施形態の回路遮断器10では、コイルばね80の他端部82が接触するセパレータ60の下方内壁面632に突出部637が更に形成されている。突出部637は、コイルばね80の他端部82に挿入されている。
【0034】
本実施形態の回路遮断器10では、セパレータ60の挿入部63にコイルばね80を挿入する際、まず、圧縮されたコイルばね80の他端部82をセパレータ60の突出部637に挿入した後にコイルばね80を挿入部63に押し込むことで、コイルばね80の一端部81に可動接触子50の突出部55を挿入させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、可動接触子50の突出部55が第1突出部に相当し、セパレータ60の突出部637が第2突出部に相当する。
以上説明した本実施形態の回路遮断器10によれば、以下の(5)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
【0036】
(5)コイルばね80の他端部82にセパレータ60の突出部637が更に挿入されることにより、コイルばね80の両端部81,82に対して抜け止めがなされるため、セパレータ60の挿入部63からコイルばね80を更に抜け難くすることができる。
(変形例)
次に、第4実施形態の回路遮断器10の変形例について説明する。
【0037】
図11に示されるように、本変形例の回路遮断器10では、セパレータ60の下方内壁面632に、突出部637に代えて、溝部638が形成されている。溝部638には、コイルばね80の他端部82が挿入されている。このような構成であっても、コイルばね80の両端部81,82に対して抜け止めがなされるため、セパレータ60の挿入部63からコイルばね80を更に抜け難くすることができる。
【0038】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・
図7に示される第1実施形態の変形例の回路遮断器10に対して、第4実施形態及びその変形例の回路遮断器10の構造を適用することが可能である。すなわち、
図7に示される回路遮断器10において、可動接触子50の押圧面54に突出部637や溝部638を形成してもよい。
【0039】
・第4実施形態のセパレータ60の突出部637には、可動接触子50の突出部55と同様に傾斜面が形成されていてもよい。
・セパレータ60は、ハンドル70の操作に基づいて回転動作するものに限らず、直線状に動作するものであってもよい。
【0040】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0041】
10:回路遮断器
30:固定接触子
31:電源側端子
41:負荷側端子
50:可動接触子
54:押圧面
55:突出部(第1突出部)
60:セパレータ(可動体)
63:挿入部
70:ハンドル
80:コイルばね
81:一端部
82:他端部
550:傾斜面
551:直交面
552:平坦面
553:段差部
631:上方内壁面(第1内壁面)
632:下方内壁面(第2内壁面)
636:挿入開口部
637:突出部(第2突出部)
638:溝部