(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】トランスポンダおよび組付け補助部を備えた保護ガラス、および対応するレーザ工具
(51)【国際特許分類】
B23K 26/064 20140101AFI20220610BHJP
【FI】
B23K26/064 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018109205
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】10 2017 209 696.9
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504035571
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser GmbH
【住所又は居所原語表記】Aichhalder Strasse 39, D-78713 Schramberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン フット
(72)【発明者】
【氏名】ライナー フライク
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート ブロークハマー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハーテカー
(72)【発明者】
【氏名】マリウス ヘーツェル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フィヒター
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート カイザー
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015200263(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015223884(DE,A1)
【文献】特開平01-254394(JP,A)
【文献】特表2014-524839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0212953(US,A1)
【文献】特開2005-254299(JP,A)
【文献】特開2005-007482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/064
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工機のレーザ工具(10)に組み付けるための、トランスポンダ(2)、特にRFIDトランスポンダを備えた保護ガラス(1)であって、
前記トランスポンダ(2)には、前記保護ガラス(1)に関するデータが非接触で読取り可能に記憶されており、かつ/または非接触で記憶可能である、保護ガラス(1)において、
前記保護ガラス(1)には、特に前記保護ガラス(1)の周面(3)には、前記トランスポンダ(2)を支持するつまみ部(4)が組付け補助部として直接固定されて
おり、
前記つまみ部(4)は、前記保護ガラス(1)を適正な姿勢で組み付けるための方向決め補助部としてのキーイング部(5)、特に機械的または光学的なキーイング部を有し、
前記機械的なキーイング部(5)は、前記つまみ部(4)の非対称的な外側輪郭によって、特に前記つまみ部(4)の1つの面取りされたコーナ部によって形成されている、
ことを特徴とする保護ガラス(1)。
【請求項2】
前記つまみ部(4)は、前記トランスポンダ(2)のケーシングを構成している、
請求項1記載の保護ガラス。
【請求項3】
前記つまみ部(4)は前記保護ガラス(1)から、特に前記保護ガラス(1)の周面(3)から、径方向外側に向かって突出している、
請求項1または2記載の保護ガラス。
【請求項4】
前記機械的なキーイング部(5)は、前記つまみ部(4)を前記保護ガラス(1)の厚さ方向の中心を外して前記保護ガラス(1)の周面(3)に固定することによって形成されている、
請求項
1から3までのいずれか1項記載の保護ガラス。
【請求項5】
前記保護ガラス(1)の周方向における前記つまみ部(4)の幅は、少なくとも5mmおよび/または最大30mmである、
請求項1から
4までのいずれか1項記載の保護ガラス。
【請求項6】
前記つまみ部(4)は前記保護ガラス(1)に、特に前記保護ガラス(1)の周面(3)に接着されている、
請求項1から
5までのいずれか1項記載の保護ガラス。
【請求項7】
前記つまみ部(4)は、前記保護ガラス(1)の周面(3)を包囲するフレーム(6)によって構成されている、
請求項1から
4までのいずれか1項記載の保護ガラス。
【請求項8】
前記フレーム(6)は、前記保護ガラス(1)および前記トランスポンダ(2)の双方を組み込んだプラスチック射出成形品によって構成されている、
請求項
7記載の保護ガラス。
【請求項9】
収容開口(7)と、当該収容開口(7)に入れられた請求項1から
8までのいずれか1項記載の保護ガラス(1)とを備えた保護ガラスカセット(6)であって、
前記収容開口(7)は、前記保護ガラス(1)に固定されたつまみ部(4)に対する縁部切欠部(8)を有する、
保護ガラスカセット(6)。
【請求項10】
前記縁部切欠部(8)は、前記つまみ部(4)の非対称的な外側輪郭に対応する非対称的な輪郭を、特に面取りされたコーナ部(9)を有する、
請求項
9記載の保護ガラスカセット。
【請求項11】
レーザ加工機のレーザ工具(10)であって、
レーザビーム(11)の光路に組み付けられた請求項
9または
10記載の少なくとも1つの保護ガラスカセット(6)と、組み付けられた当該少なくとも1つの保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)のトランスポンダ(2)と非接触でデータ交換を行う少なくとも1つのリーダおよび/またはライタ(14)とを備えている、
レーザ工具(10)。
【請求項12】
少なくとも2つの前記保護ガラスカセット(6)が、前記レーザビーム(11)の光路に連続して組み付けられている、
請求項
11記載のレーザ工具。
【請求項13】
組み付けられた前記少なくとも2つの保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)に対して、当該保護ガラス(1)のトランスポンダ(2)と非接触でデータ交換を行うために、それぞれ1つの前記リーダおよび/またはライタ(14)が設けられているか、または1つの共用のリーダおよび/またはライタ(14)が設けられている、
請求項
12記載のレーザ工具。
【請求項14】
組み付けられた前記少なくとも1つの保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)を監視するための少なくとも1つの散乱光測定装置(15)を備えている、
請求項
11から
13までのいずれか1項記載のレーザ工具。
【請求項15】
組み付けられた少なくとも2つの前記保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)に対して、当該保護ガラス(1)を監視するための1つの共用の散乱光測定装置(15)が設けられている、
請求項
14記載のレーザ工具。
【請求項16】
レーザ加工機のレーザ工具(10)であって、
レーザビーム(11)の光路に組み付けられた少なくとも1つの保護ガラスカセット(6)と、組み付けられた当該少なくとも1つの保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)のトランスポンダ(2)と非接触でデータ交換を行う少なくとも1つのリーダおよび/またはライタ(14)とを備えており、
前記保護ガラス(1)は、レーザ加工機のレーザ工具(10)に組み付けるための、トランスポンダ(2)、特にRFIDトランスポンダを備え、前記トランスポンダ(2)には、前記保護ガラス(1)に関するデータが非接触で読取り可能に記憶されており、かつ/または非接触で記憶可能であり、前記保護ガラス(1)には、特に前記保護ガラス(1)の周面(3)には、前記トランスポンダ(2)を支持するつまみ部(4)が組付け補助部として直接固定されており、
前記保護ガラスカセット(6)は、収容開口(7)と、当該収容開口(7)に入れられた前記保護ガラス(1)とを備え、前記収容開口(7)は、前記保護ガラス(1)に固定されたつまみ部(4)に対する縁部切欠部(8)を有する、
レーザ工具(10)。
【請求項17】
少なくとも2つの前記保護ガラスカセット(6)が、前記レーザビーム(11)の光路に連続して組み付けられている、
請求項16記載のレーザ工具。
【請求項18】
組み付けられた前記少なくとも2つの保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)に対して、当該保護ガラス(1)のトランスポンダ(2)と非接触でデータ交換を行うために、それぞれ1つの前記リーダおよび/またはライタ(14)が設けられているか、または1つの共用のリーダおよび/またはライタ(14)が設けられている、
請求項17記載のレーザ工具。
【請求項19】
組み付けられた前記少なくとも1つの保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)を監視するための少なくとも1つの散乱光測定装置(15)を備えている、
請求項16から18までのいずれか1項記載のレーザ工具。
【請求項20】
組み付けられた少なくとも2つの前記保護ガラスカセット(6)の保護ガラス(1)に対して、当該保護ガラス(1)を監視するための1つの共用の散乱光測定装置(15)が設けられている、
請求項19記載のレーザ工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機のレーザ工具に組み付けるために規定された、トランスポンダ、特にRFIDトランスポンダを備えた保護ガラスに関し、トランスポンダには、保護ガラスに関するデータが非接触で読取り可能に記憶されており、かつ/または非接触で記憶可能である。
【0002】
かかる保護ガラスは、たとえば独国特許出願公開第102011078359号明細書(DE 10 2011 078 359 A1)によって公知となっている。
【0003】
レーザ加工機のレーザ工具(レーザ加工ヘッド)は大抵、ワークへ送られるレーザビームを集光するための集光光学系と、ワーク加工時に生じる粒子および蒸気による汚れから集光光学系を保護するための、集光光学系に前置された保護ガラスとを備えている。保護ガラスはレーザ工具への組付けの際には、保護ガラスを指紋によって汚さないように指で持ち上げてレーザ工具の保護ガラスホルダ内に入れなければならない。
【0004】
独国特許出願公開第102011078359号明細書(DE 10 2011 078 359 A1)から、レーザ加工機の光学素子に、当該光学素子に関するデータ、具体的にはたとえば履歴および汚れ状態に関するデータを記憶したトランスポンダを取り付けることが公知である。たとえばRFIDタグ等のトランスポンダは、光学素子の、レーザ加工機の動作中には光学的に使用されない面またはレーザビームによって捉えられない面に取り付けられ、機械的な接触無しで書込みかつ読取る。保護ガラスの場合、トランスポンダにはたとえば、保護ガラスの許容波長領域、現時点の汚れ具合、使用期間、および一連の他のパラメータを記憶することができ、これによって各保護ガラスに直接対応付けることができる。
【0005】
それに対して本発明の基礎となる課題は、冒頭に述べた分野の保護ガラスを、レーザ工具への組付けの際に保護ガラスに可能な限り汚れが生じなくなるように改良し、かつ対応するレーザ工具を実現することである。とりわけ、レーザ工具への組付けの際にトランスポンダを備えた保護ガラスが、レーザ工具のリーダライタユニットに対して適正な向きになることを保証する必要がある。
【0006】
前記課題は本発明では、保護ガラスに直接、特に保護ガラスの周面に直接、トランスポンダを支持するつまみ部を組付け補助部として固定し、特に接着することによって解決される。有利には、つまみ部は保護ガラスから、特に保護ガラスの周面ないしはガラス縁部から、径方向外側に向かって突出している。
【0007】
本発明では、つまみ部は、保護ガラスを直接掴むことを不要にする組付け補助部として、また、トランスポンダの支持部としても機能する。かかるつまみ部によって、ガラスに接触することなく保護ガラスを組み付けることができ、よって指紋を付けることなく組み付けることができる。さらに、つまみ部に取り付けられたトランスポンダは、保護ガラスに単に接着されたRFIDタグよりも光学的に高価値となる。
【0008】
トランスポンダは、つまみ部の外部の両側に固定することができ、またはつまみ部内に収容ないしは嵌め込むことも可能である。後者の場合には、つまみ部は同時にトランスポンダの筐体(ケーシング)にもなり、トランスポンダはこの筐体によってさらに保護される。
【0009】
有利にはつまみ部は、保護ガラスを適正な姿勢で組み付けてレーザ工具のリーダライタに対するトランスポンダの向きを適正な向きにするための方向決め補助部としてキーイング部を、特に機械的または光学的なキーイング部を有する。リーダライタに対するトランスポンダの向きを適正な向きにする他、キーイング部は保護ガラスの誤った回転位置での組付けも防止する。これは、保護ガラスの面が既に汚れているときにこの汚れた面が集光光学系の方向を向いている場合に当てはまり得る。この汚れ粒子は、妨げられることなく集光光学系に到達してこれを損傷し得る。機械的なキーイング部は、つまみ部の外側輪郭を非対称的にすることによって、特につまみ部の1つの面取りされたコーナ部によって、または保護ガラスの厚さ方向の中心を外してつまみ部を当該保護ガラスの周面に固定することによって、特に簡単に形成することができる。光学的なキーイング部は、最も簡単な事例では、適正な姿勢での組付け側を示すマークをつまみ部の両側のうち片側にのみ設けることによって実現することができる。
【0010】
本発明の有利な一実施形態では、つまみ部の寸法は、操作者がつまみ部を親指および人差し指だけで掴めるようにされている。こうするためには、保護ガラスの周方向におけるつまみ部の幅を少なくとも5mmかつ最大30mmにすることで足りる。
【0011】
他の有利な一実施形態では、つまみ部は、保護ガラスの周面を包囲する、保護ガラスのフレームによって構成されている。このフレームは有利には、保護ガラスおよびトランスポンダの双方をそれぞれ挿入部品として組み込み、ないしは埋め込んだプラスチック射出成形品によって、構成することができる。かかる場合、トランスポンダはフレームによって完全に保護される。
【0012】
本発明はまた、収容開口と、収容開口に入れられた上述の構成の保護ガラスとを備えた保護ガラスカセットにも関し、収容開口は、保護ガラスに固定されたつまみ部に対する縁部切欠部を有する。特に有利には、縁部切欠部は、保護ガラスを収容開口に適正な姿勢で組み付けることを保証するため、つまみ部の非対称的な外側輪郭に対応する非対称的な輪郭を、特に面取りされたコーナ部を有する。
【0013】
本発明はまた、レーザ加工機のレーザ工具にも関し、レーザ工具は、レーザビームの光路に組み付けられた上述の構成の少なくとも1つの保護ガラスカセットと、組み付けられた当該少なくとも1つの保護ガラスカセットの保護ガラスのトランスポンダと非接触でデータ交換を行う少なくとも1つのリーダおよび/またはライタとを備えている。保護ガラスないしは保護ガラスカセットは大抵、ワーク加工時に生じる粒子および蒸気から集光光学系を保護するために、レーザ工具のワーク側の端部に配置されている。有利には、レーザ工具は、組み付けられた少なくとも1つの保護ガラスカセットの汚れの有無を監視するための散乱光測定装置を備えている。
【0014】
有利には、少なくとも2つの保護ガラスカセットがレーザビームの光路に連続して組み付けられており、そのうち1つの、ワークとは反対側の保護ガラスは、ユーザが他のワーク側の保護ガラスを交換している間に集光光学系を保護するために用いられ、かつ、散乱光測定のための参照物体として用いられる。有利には、少なくとも2つの組み付けられた保護ガラスカセットの各保護ガラスに対してそれぞれ、保護ガラスのトランスポンダと非接触でデータ交換を行うリーダならびに/もしくはライタが設けられているか、または当該少なくとも2つの保護ガラスに対して、保護ガラスのトランスポンダと非接触でデータ交換を行う1つの共用のリーダならびに/もしくはライタが設けられており、かつ、保護ガラスの汚れの有無を監視するための1つの共用の散乱光測定装置が設けられている。
【0015】
明細書、特許請求の範囲および図面から、本発明の対象の他の利点および有利な実施形態を導き出すことができる。また、上記構成およびさらに詳細に記載する構成は、それ自体で単独で、または複数で任意の組み合わせで使用することも可能である。図示および記載された実施形態は限定列挙と解すべきものではなく、むしろ、本発明を説明するための例示的な性質を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本発明の保護ガラスを入れた保護ガラスカセットを示す。
【
図4】それぞれ本発明の保護ガラスを入れた2つの保護ガラスカセットを備えているレーザ工具の一例を示す。
【0017】
図1に示されている丸形の保護ガラス1は、レーザ加工機のレーザ工具10(
図4)に組み付けるために規定されたものであり、RFIDトランスポンダ2を備えており、このRFIDトランスポンダ2には、保護ガラス1に関するデータが非接触で読取り可能に記憶されており、かつ/または非接触で記憶可能である。保護ガラス1には、正確にいうと保護ガラス1の周面3には、トランスポンダ2を支持するつまみ部4が組付け補助部として直接固定されており、特に側部において接着されている。つまみ部4の寸法は、操作者がつまみ部4を親指と人差し指との間で持つことができるようになっており、このつまみ部4は、周面3から径方向外側に向かって突出するラグによって形成することができ、保護ガラス1の周方向におけるこのラグの幅は、1mm~約10mmである。
【0018】
トランスポンダ2は、つまみ部4の外部の両側に固定することができ、またはつまみ部4内に収容ないしは嵌め込むことができる。後者の場合には、つまみ部は同時にトランスポンダ2の筐体にもなる。
【0019】
つまみ部4は、周面3において、保護ガラス1の厚さ方向の中心には配置されず、
図1における下側の保護ガラス面よりも上側のガラス面の近くに配置されている。つまみ部4をこのように厚さ方向の中心外に配置することは、保護ガラス1を適正な姿勢で組み付けるための方向決め補助部としての機械的キーイング部5となる。これに代えて、またはこれと共に、つまみ部4に組付け側を示す光学的マークを付することも可能である。
【0020】
図2に示されている保護ガラス1では、つまみ部4は、保護ガラス1の周面3を包囲する環状のフレーム6として形成されており、このフレーム6は、保護ガラス1およびトランスポンダ2の双方を挿入部品として組み込んだプラスチック射出成形品によって構成されている。
【0021】
図3は、上方向に向かって開いている丸形の収容開口7を有する保護ガラスカセット6を示しており、この収容開口7に、
図1に対して変更された機械的キーイング部5を有する保護ガラス1が上方からつまみ部4を用いて入れられている。径方向外側に向かって突出するつまみ部4に対して、収容開口7は縁部切欠部8を有する。機械的キーイング部5は、つまみ部4の非対称的な輪郭によって、ここではつまみ部4の1つの面取りされたコーナ部によって形成され、この非対称的な輪郭は、縁部切欠部8の対応する非対称的な輪郭、ここでは縁部切欠部8の面取りされたコーナ部9と協働する。つまみ部4の面取りされたコーナ部5が保護ガラスカセット6の縁部切欠部8の面取りされたコーナ部9と協働することにより、保護ガラス1を保護ガラスカセット6に対して適正な組付け側でのみ、かつ、適正な角度位置でのみ、保護ガラスカセット6に入れることができることが保証される。
【0022】
図4に示されているレーザ工具(レーザ加工ヘッド)10は、同図では示されていない集光光学系を用いて、レーザ光源からガラスファイバを介して到来したレーザビーム11をワーク12に集光して照射する。その際に、ワーク加工時に生じる粒子および蒸気から集光光学系を保護するため、レーザ工具10はワーク側の端部に、レーザビーム11の光路に重なって組み付けられた2つの保護ガラスカセット6を備えており、これらの各保護ガラスカセット6はそれぞれ保護ガラス1を備えている。各自の保護ガラス1を入れた保護ガラスカセット6は、レーザ工具10の同図では詳細に示されていないカセット仕切り部に挿入されている。レーザ工具10のコンタクトブロック13に、組み付けられた両保護ガラス1のトランスポンダ2と非接触でデータ交換を行うリーダおよび/またはライタ14と、組み付けられた両保護ガラス1を監視するための散乱光測定装置15とが収容されている。リーダおよび/またはライタ14を介して、トランスポンダ2に記憶されたデータを読取り、逆に各トランスポンダ2にデータ(たとえば、保護ガラス1の現在の汚れ具合)を書込むことができる。
図3において上方の保護ガラス1は、ユーザが下方の保護ガラス1を交換している間に集光レンズを保護するために用いられ、かつ、散乱光測定のための参照物体として用いられる。
【0023】
保護ガラスの機械的キーイング部5が保護ガラスカセット6の対応する対向切欠部と協働することにより、保護ガラス1がレーザ工具10に対して適正な組付け側で、かつ、適正な角度位置でレーザ工具10に組み付けられ、これにより、リーダおよび/またはライタ14に対して適正な向きになることが保証される。