(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】圧延システム及び圧延システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
B21B 39/00 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
B21B39/00 E
(21)【出願番号】P 2018117997
(22)【出願日】2018-06-21
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】池▲崎▼ 徹
(72)【発明者】
【氏名】森 宏
(72)【発明者】
【氏名】新保 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】保木本 達也
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-136806(JP,U)
【文献】特開昭61-003602(JP,A)
【文献】特開昭57-121806(JP,A)
【文献】特開2000-158007(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0002439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一搬送経路に沿って移動する材料を圧延する第一圧延装置と、
前記第一圧延装置により圧延された後、前記第一搬送経路に平行な第二搬送経路に沿って移動する
前記材料を圧延する第二圧延装置と、
前記第一搬送経路に沿って並び、前記材料を支持する複数の第一搬送ロール
を有し、前記複数の第一搬送ロールの間には搬送ロールを有しない第一搬送テーブルと、
前記複数の第一搬送ロールと交互に並ぶ配置で前記第二搬送経路に沿って並び、前記材料を支持する複数の第二搬送ロール
を有し、前記複数の第二搬送ロールの間には搬送ロールを有しない第二搬送テーブルと、
前記複数の第一搬送ロール及び前記複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を昇降させ
ることで、、前記複数の第一搬送ロールの高さ
を前記複数の第二搬送ロールの高さ
よりも高くした状態で前記複数の第一搬送ロール及び前記複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を前記第一搬送経路及び前記第二搬送経路の間で移動させるロール移動装置と、を備える圧延システム。
【請求項2】
前記ロール移動装置は、前記複数の第一搬送ロール及び前記複数の第二搬送ロールの一方を前記第一搬送経路及び前記第二搬送経路の間で移動させることなく、他方を前記第一搬送経路及び前記第二搬送経路の間で移動させる、請求項1記載の圧延システム。
【請求項3】
前記ロール移動装置は、前記複数の第一搬送ロールが材料を支持し、前記複数の第二搬送ロールが材料を支持していないときに、前記複数の第一搬送ロールの高さが前記複数の第二搬送ロールの高さよりも高い状態で前記複数の第一搬送ロールを前記第一搬送経路から前記第二搬送経路に移動させ、前記複数の第一搬送ロールから前記複数の第二搬送ロールに前記材料を移すように、前記複数の第一搬送ロールの下降及び前記複数の第二搬送ロールの上昇の少なくとも一方を行い、前記複数の第一搬送ロールの高さが前記複数の第二搬送ロールの高さよりも低い状態で前記複数の第一搬送ロールを前記第二搬送経路から前記第一搬送経路に移動させる、請求項
2記載の圧延システム。
【請求項4】
前記ロール移動装置は、前記複数の第一搬送ロールから前記複数の第二搬送ロールに移った前記材料が前記複数の第一搬送ロールの少なくともいずれかの上方に位置するときに、前記第二搬送経路から前記第一搬送経路への前記複数の第一搬送ロールの移動を開始する、請求項
3記載の圧延システム。
【請求項5】
第一搬送経路に沿って
並ぶ複数の第一搬送ロールを有し、前記複数の第一搬送ロールの間に搬送ロールを有しない第一搬送テーブルにより材料を支持し、前記第一搬送経路に沿って搬送することと、
前記第一搬送テーブルが搬送する材料を第一圧延装置により圧延することと、
前記複数の第一搬送ロールと交互に並ぶ配置で前記
第一搬送経路と平行な第二搬送経路に沿って並ぶ複数の第二搬送ロール
を有し、前記複数の第二搬送ロールを有しない第二搬送テーブルにおける前記複数の第二搬送ロールの高さよりも、前記複数の第一搬送ロールの高さ
を高くするように、前記複数の第一搬送ロール及び前記複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を昇降させることと、
前記複数の第一搬送ロールの高さ
を前記複数の第二搬送ロールの高さ
よりも高くした状態で前記複数の第一搬送ロール及び前記複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を前記第一搬送経路及び前記第二搬送経路の間で移動させることと、
前記第二搬送テーブルにより前記材料を支持し、前記第二搬送経路に沿って搬送することと、
前記第二搬送テーブルが搬送する材料を第二圧延装置により圧延することと、を含む圧延システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧延システム及び圧延システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸線方向に並ぶ複数種類の孔型(例えばセンタリング孔型、幅広げ孔型、溝消し孔型及び造形孔型等)を有するBDロール、及び当該BDロールを用いた圧延方法が開示されている。この圧延方法においては、使用する孔型を変更しながら、同一のBDロールを用いた圧延が繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した圧延方法を実行する圧延システムは、材料の圧延を段階的に行うための複数段の圧延装置を備える場合がある。本開示は、複数段の圧延装置間で材料の受け渡しを円滑に行うのに有効な圧延システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る圧延システムは、第一搬送経路に沿って移動する材料を圧延する第一圧延装置と、第一搬送経路に平行な第二搬送経路に沿って移動する材料を圧延する第二圧延装置と、第一搬送経路に沿って並び、第一圧延装置が圧延する材料を支持する複数の第一搬送ロールと、複数の第一搬送ロールと交互に並ぶ配置で第二搬送経路に沿って並び、第二圧延装置が圧延する材料を支持する複数の第二搬送ロールと、複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を昇降させ、複数の第一搬送ロールの高さ及び複数の第二搬送ロールの高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を第一搬送経路及び第二搬送経路の間で移動させるロール移動装置と、を備える。
【0006】
この圧延装置によれば、第一搬送経路及び第二搬送経路の間で、複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールに対して滑らせることなく材料を移動させることができる。従って、複数段の圧延装置間で材料の受け渡しを円滑に行うのに有効である。
【0007】
ロール移動装置は、複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールのうち一方が材料を支持し、他方が材料を支持していないときに、材料を支持している方(以下、「複数の支持ロール」という。)の高さが材料を支持していない方(以下、「複数の非支持ロール」という。)の高さよりも高い状態で少なくとも材料を支持している方を第一搬送経路及び第二搬送経路の間で移動させてもよい。この場合、材料は複数の支持ロールと共に移動するので、複数の支持ロールに対して滑ることなく移動する。また、複数の支持ロールの高さが複数の非支持ロールの高さよりも高いことにより、材料は、複数の非支持ロールに対しても滑ることなく移動する。
【0008】
ロール移動装置は、複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールの一方を第一搬送経路及び第二搬送経路の間で移動させることなく、他方を第一搬送経路及び第二搬送経路の間で移動させてもよい。この場合、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
ロール移動装置は、複数の第一搬送ロールが材料を支持し、複数の第二搬送ロールが材料を支持していないときに、複数の第一搬送ロールの高さが複数の第二搬送ロールの高さよりも高い状態で複数の第一搬送ロールを第一搬送経路から第二搬送経路に移動させ、複数の第一搬送ロールから複数の第二搬送ロールに材料を移すように、複数の第一搬送ロールの下降及び複数の第二搬送ロールの上昇の少なくとも一方を行い、複数の第一搬送ロールの高さが複数の第二搬送ロールの高さよりも低い状態で複数の第一搬送ロールを第二搬送経路から第一搬送経路に移動させてもよい。この場合、材料を支持した複数の第一搬送ロールを第一搬送経路から第二搬送経路に移動させるときに加え、材料が複数の第二搬送ロールに移った後に複数の第一搬送ロールを第二搬送経路から第一搬送経路に移動させるときにも、複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールと材料との滑りを防止することができる。
【0010】
ロール移動装置は、複数の第一搬送ロールから複数の第二搬送ロールに移った材料が複数の第一搬送ロールの少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路から第一搬送経路への複数の第一搬送ロールの移動を開始してもよい。この場合、複数の第一搬送ロールを早期に第一搬送経路に戻すことによって、第一圧延装置による次の材料の圧延を早期に開始させ、生産効率を向上させることができる。
【0011】
本開示の他の側面に係る圧延システムの運転方法は、第一搬送経路に沿って往復移動する材料を第一圧延装置により圧延することと、第一搬送経路に平行な第二搬送経路に沿って往復移動する材料を第二圧延装置により圧延することと、第一圧延装置が圧延する材料を、第一搬送経路に沿って並ぶ複数の第一搬送ロールにより支持することと、第二圧延装置が圧延する材料を、複数の第一搬送ロールと交互に並ぶ配置で第二搬送経路に沿って並ぶ複数の第二搬送ロールにより支持することと、複数の第一搬送ロールの高さ及び複数の第二搬送ロールの高さを相違させるように、複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を昇降させることと、複数の第一搬送ロールの高さ及び複数の第二搬送ロールの高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール及び複数の第二搬送ロールの少なくとも一方を第一搬送経路及び第二搬送経路の間で移動させることと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複数段の圧延装置間で材料の受け渡しを円滑に行うのに有効な圧延システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】圧延システムの概略構成を例示する平面図である。
【
図2】第一圧延装置の概略構成を例示する正面図である。
【
図3】第二圧延装置の概略構成を例示する正面図である。
【
図4】ロール移動装置の概略構成を例示する正面図である。
【
図5】制御部のハードウェア構成を例示する図である。
【
図6】圧延システムの運転手順を例示するフローチャートである。
【
図7】第一搬送ロールを上昇させた状態を示す図である。
【
図8】第一搬送ロールを第一搬送経路から第二搬送経路に移動させている状態を示す模式図である。
【
図9】第一搬送ロールを第一搬送経路から第二搬送経路に移動させている状態を示す模式図である。
【
図10】第一搬送ロールを下降させた状態を示す図である。
【
図11】第一搬送ロールを第二搬送経路から第一搬送経路に移動させている状態を示す模式図である。
【
図12】第一搬送ロールを上昇させた状態を示す図である。
【
図13】圧延システムの運転手順の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
〔圧延システム〕
本実施形態に係る圧延システム1は、材料(例えば鉄鋼のブルーム、ビレット)の圧延を行うシステムである。例えば圧延システム1は、材料を圧延によって形鋼に成形する。圧延システム1は、材料の圧延を段階的に行うための複数段の圧延装置を備える。例えば圧延システム1は、第一圧延装置10と、第二圧延装置20と、第一搬送テーブル30と、第二搬送テーブル40と、ロール移動装置50と、制御部100とを備える。
【0016】
第一圧延装置10は、水平な直状の第一搬送経路R1に沿って移動する材料を圧延する。例えば第一圧延装置10は、第一搬送経路R1に交差(例えば直交)するロール軸線RL1まわりに回転する圧延ロール11を有する。ロール軸線RL1は、例えば圧延ロール11の中心軸線である。「交差」は、立体交差のように、二本のラインが互いにねじれの位置にある場合も含む。
【0017】
例えば
図2に示すように、第一圧延装置10は、互いに平行な二本の圧延ロール11と、スタンド12と、回転駆動部16と、分配減速機15とを有する。二本の圧延ロール11は、上下に並んでいる。それぞれの圧延ロール11のロール軸線RL1は水平方向に沿って第一搬送経路R1に直交している。
【0018】
スタンド12は、二本の圧延ロール11を回転自在に保持する。例えばスタンド12は、ロール軸線RL1に沿って並ぶ二つのハウジング13を有する。一方のハウジング13は、二本の圧延ロール11の一端部を回転自在に保持する。他方のハウジング13は、二本の圧延ロール11の他端部を回転自在に保持する。二つのハウジング13のそれぞれは、圧下装置14を有する。圧下装置14は、ハウジング13の上部に設けられており、例えば油圧により上の圧延ロール11の位置を下の圧延ロール11の位置に対して上下方向に動かし、上の圧延ロール11と下の圧延ロール11との間の隙間を調整する。
【0019】
回転駆動部16は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、電力の供給に応じて回転トルクを発生させる。分配減速機15は、回転駆動部16の出力軸の回転を減速しつつ、この回転を互いに逆向きの二系統の回転に分配して二本の圧延ロール11にそれぞれ伝達する。
【0020】
図1に戻り、第二圧延装置20は、第二搬送経路R2に沿って移動する材料を圧延する。第二搬送経路R2は第一搬送経路R1と平行である。第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2は、同じ高さにおいて隣り合っている。例えば第二圧延装置20は、第二搬送経路R2に交差(例えば直交)するロール軸線RL2まわりに回転する圧延ロール21を有する。
【0021】
図3に示すように、第二圧延装置20は、第一圧延装置10と同様に、互いに平行な二本の圧延ロール21と、スタンド22と、回転駆動部26と、分配減速機25とを有する。二本の圧延ロール21は上下に並んでいる。それぞれの圧延ロール21のロール軸線RL2は水平方向に沿って第二搬送経路R2に直交している。
【0022】
スタンド22は、二本の圧延ロール21を回転自在に保持する。例えばスタンド22は、ロール軸線RL2に沿って並ぶ二つのハウジング23を有する。一方のハウジング23は、二本の圧延ロール21の一端部を回転自在に保持する。他方のハウジング23は、二本の圧延ロール21の他端部を回転自在に保持する。二つのハウジング23のそれぞれは、圧下装置24を有する。圧下装置24は、ハウジング23の上部に設けられており、例えば油圧により上の圧延ロール21の端部を下の圧延ロール21の端部側に圧下する。
【0023】
回転駆動部26は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、電力の供給に応じて回転トルクを発生させる。分配減速機25は、回転駆動部26の出力軸の回転を減速しつつ、この回転を互いに逆向きの二系統の回転に分配して二本の圧延ロール21にそれぞれ伝達する。
【0024】
図1に戻り、第一搬送テーブル30は、第一搬送経路R1に沿って材料を搬送する。例えば第一搬送テーブル30は、複数の搬送ロール31と、回転駆動部34とを有する。複数の搬送ロール31は、第一搬送経路R1に沿って並び、第一圧延装置10が圧延する材料を支持する。個々の搬送ロール31のロール軸線RL3は、第一圧延装置10のロール軸線RL1に平行である。複数の搬送ロール31は、第一搬送経路R1に沿って第一圧延装置10を挟む二つのエリアの一方に設けられる複数の第一搬送ロール32と、当該二つのエリアの他方に設けられる複数の第一搬送ロール33とを含む。回転駆動部34は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、電力の供給に応じて複数の搬送ロール31を回転させる。回転駆動部34は搬送ロール31ごとに設けられていてもよい。
【0025】
第二搬送テーブル40は、第二搬送経路R2に沿って材料を搬送する。例えば第二搬送テーブル40は、複数の搬送ロール41と、回転駆動部44とを有する。複数の搬送ロール41は、第二搬送経路R2に沿って並び、第二圧延装置20が圧延する材料を支持する。個々の搬送ロール41のロール軸線RL4は、第二圧延装置20のロール軸線RL2に平行である。複数の搬送ロール41は、第二搬送経路R2に沿って第二圧延装置20を挟む二つのエリアの一方に設けられる複数の第二搬送ロール42と、当該二つのエリアの他方に設けられる複数の第二搬送ロール43とを含む。回転駆動部44は、例えば電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、電力の供給に応じて複数の搬送ロール41を回転させる。回転駆動部44は搬送ロール41ごとに設けられていてもよい。
【0026】
ここで、複数の第二搬送ロール42の少なくとも一部は、複数の搬送ロール31の少なくとも一部と交互に並ぶ配置で第二搬送経路R2に沿って並んでいる。例えば、複数の第二搬送ロール42の少なくとも一部は、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2に沿う方向において、複数の第一搬送ロール33の少なくとも一部と交互に並んでいる。なお、複数の第二搬送ロール42と複数の第一搬送ロール33とが交互に並ぶとは、図示のように第二搬送ロール42と第一搬送ロール33とが一本おきに並ぶ場合の他、第二搬送ロール42及び第一搬送ロール33が複数本おきに並ぶ場合も含む。また、
図1には、複数の第二搬送ロール42の一部と複数の第一搬送ロール33の一部とが交互に並ぶ場合を示しているが、全ての第二搬送ロール42と全ての第一搬送ロール33とが交互に並んでいてもよい。以下の説明では、複数の第二搬送ロール42のうち第一搬送ロール33と交互に並ぶものを単に「第二搬送ロール42」と記載し、複数の第一搬送ロール33のうち第二搬送ロール42と交互に並ぶものを単に「第一搬送ロール33」と記載する。
【0027】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を昇降させ、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させる。例えばロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42のうち一方が材料を支持し、他方が材料を支持していないときに、材料を支持している方(以下、「複数の支持ロール」という。)の高さが材料を支持していない方(以下、「複数の非支持ロール」という。)の高さよりも高い状態で少なくとも複数の支持ロールを第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させる。
【0028】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させることなく、他方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させてもよい。例えばロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33が材料を支持し、複数の第二搬送ロール42が材料を支持していないときに、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも高い状態で複数の第一搬送ロール33を第一搬送経路R1から第二搬送経路R2に移動させ、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に材料を移すように、複数の第一搬送ロール33の下降及び複数の第二搬送ロール42の上昇の少なくとも一方を行い、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも低い状態で複数の第一搬送ロール33を第二搬送経路R2から第一搬送経路R1に移動させる。
【0029】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を開始してもよい。ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を完了させてもよい。
【0030】
図4に例示するように、ロール移動装置50は、昇降ベース51と、ロール保持部52と、昇降駆動部53と、シフト駆動部54とを有する。昇降ベース51は、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2に平行な傾動軸線TL1まわりに傾動可能となるように設けられており、傾動軸線TL1は、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の中間位置よりも第一搬送経路R1側に位置している。昇降ベース51は、ロール保持部52及びシフト駆動部54を支持する。ロール保持部52は、一本の第一搬送ロール33と、これを回転させる回転駆動部34とを保持する。
【0031】
昇降駆動部53は、第一搬送ロール33を昇降させる。例えば昇降駆動部53は、昇降ベース51のうち傾動軸線TL1から離れた部分を昇降させることによって、昇降ベース51を傾動軸線TL1まわりに傾動させる。例えば昇降駆動部53は、昇降ベース51のうち傾動軸線TL1よりも第二搬送経路R2側の部分を油圧により昇降させる。昇降ベース51の傾動によって、昇降ベース51上のロール保持部52が昇降し、ロール保持部52に保持された第一搬送ロール33も昇降する。
【0032】
シフト駆動部54は、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で第一搬送ロール33を移動させる。例えばシフト駆動部54は、昇降ベース51の上面に沿って、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間でロール保持部52を移動させる。例えばシフト駆動部54は、油圧によりロール保持部52を移動させる。
【0033】
制御部100は、予め設定された手順にて複数の材料の圧延を順次実行するように第一圧延装置10、第二圧延装置20、第一搬送テーブル30、第二搬送テーブル40及びロール移動装置50を制御する。制御部100が実行する制御は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を昇降させ、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させるようにロール移動装置50を制御することを含む。
【0034】
例えば制御部100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、搬送制御部111と、圧延制御部112と、受渡制御部113とを有する。搬送制御部111は、第一搬送経路R1に沿って材料を搬送するように第一搬送テーブル30を制御し、第二搬送経路R2に沿って材料を搬送するように第二搬送テーブル40を制御する。圧延制御部112は、第一搬送テーブル30が搬送する材料を圧延するように第一圧延装置10を制御し、第二搬送テーブル40が搬送する材料を圧延するように第二圧延装置20を制御する。
【0035】
受渡制御部113は、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さを相違させるように、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を昇降させるようにロール移動装置50を制御することと、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させるようにロール移動装置50を制御することとを実行する。例えば受渡制御部113は、複数の第一搬送ロール33が材料を支持し、複数の第二搬送ロール42が材料を支持していないときに、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも高い状態で複数の第一搬送ロール33を第一搬送経路R1から第二搬送経路R2に移動させるようにシフト駆動部54を制御することと、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に材料を移すように、複数の第一搬送ロール33を下降させるように昇降駆動部53を制御することと、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも低い状態で複数の第一搬送ロール33を第二搬送経路R2から第一搬送経路R1に移動させるようにシフト駆動部54を制御することとを実行する。
【0036】
受渡制御部113は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を開始するようにシフト駆動部54を制御してもよい。受渡制御部113は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を完了させるようにシフト駆動部54を制御してもよい。
【0037】
制御部100は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。例えば制御部100は、
図5に示す回路120を有する。回路120は、一つ又は複数のプロセッサ121と、メモリ122と、ストレージ123と、入出力ポート124と、を有する。ストレージ123は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の運転手順を圧延システム1に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ122は、ストレージ123の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ121による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ121は、メモリ122と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート124は、プロセッサ121からの指令に従って、第一圧延装置10、第二圧延装置20、第一搬送テーブル30、第二搬送テーブル40及びロール移動装置50との間で電気信号の入出力を行う。なお、制御部100のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御部100の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0038】
〔運転手順〕
続いて、圧延システム1の運転方法の一例として、圧延システム1の運転手順を例示する。この運転手順は、第一搬送経路R1に沿って移動する材料を第一圧延装置10により圧延することと、第二搬送経路R2に沿って移動する材料を第二圧延装置20により圧延することと、第一圧延装置10が圧延する材料を複数の第一搬送ロール33により支持することと、第二圧延装置20が圧延する材料を複数の第二搬送ロール42により支持することと、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さを相違させるように、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を昇降させることと、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させることと、を含む。
【0039】
図6に示すように、制御部100は、ステップS01を実行する。ステップS01では、予め設定された手順にて材料RM1を圧延することを開始するように、搬送制御部111が第一搬送テーブル30を制御し、圧延制御部112が第一圧延装置10を制御する。以後、搬送制御部111は、第一搬送経路R1に沿って材料RM1を搬送するように第一搬送テーブル30を制御し、圧延制御部112は、第一搬送テーブル30が搬送する材料RM1を圧延するように第一圧延装置10を制御する。搬送制御部111は、第一搬送経路R1に沿って材料RM1を往復移動させるように第一搬送テーブル30を制御し、圧延制御部112は材料RM1を繰り返し圧延するように第一圧延装置10を制御してもよい。材料RM1の圧延が完了すると、搬送制御部111は、複数の第一搬送ロール33の上に材料RM1が位置する状態で第一搬送テーブル30を停止させ、圧延制御部112は第一圧延装置10を停止させる。
【0040】
次に、制御部100は、ステップS02,S03,S04,S05,S06を実行する。ステップS02では、受渡制御部113が、第一圧延装置10による材料RM1の圧延の完了を待機するとともに、複数の第一搬送ロール33の上に材料RM1が位置する状態で第一搬送テーブル30が停止するのを待機する。ステップS03では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33の高さを複数の第二搬送ロール42の高さよりも高くするように、複数の第一搬送ロール33を上昇させるように昇降駆動部53を制御する(
図7参照)。ステップS04では、受渡制御部113が、第二圧延装置20による材料RM1の圧延の完了を待機するとともに、複数の第二搬送ロール42の上に材料RM1が位置しない状態で第二搬送テーブル40が停止するのを待機する。ステップS05では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも高い状態で複数の第一搬送ロール33を第一搬送経路R1から第二搬送経路R2に移動させるようにシフト駆動部54を制御する(
図8及び
図9参照)。ステップS06では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に材料RM1を移すように、複数の第一搬送ロール33を下降させるように昇降駆動部53を制御する(
図10参照)。
【0041】
次に、制御部100は、ステップS07を実行する。ステップS07では、予め設定された手順にて材料RM1を圧延することを開始するように、搬送制御部111が第二搬送テーブル40を制御し、圧延制御部112が第二圧延装置20を制御する。以後、搬送制御部111は、第二搬送経路R2に沿って材料RM1を搬送するように第二搬送テーブル40を制御し、圧延制御部112は、第二搬送テーブル40が搬送する材料RM1を圧延するように第二圧延装置20を制御する。搬送制御部111は、第二搬送経路R2に沿って材料RM1を往復移動させるように第二搬送テーブル40を制御し、圧延制御部112は材料を繰り返し圧延するように第二圧延装置20を制御してもよい。材料RM1の圧延が完了すると、搬送制御部111は、複数の第二搬送ロール43の上に材料RM1が位置し、複数の第二搬送ロール42の上に材料RM1が位置しない状態で第二搬送テーブル40を停止させ、圧延制御部112は第二圧延装置20を停止させる。
【0042】
次に、制御部100は、ステップS08を実行する。ステップS08では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも低い状態で複数の第一搬送ロール33を第二搬送経路R2から第一搬送経路R1に移動させるようにシフト駆動部54を制御(
図11参照)する。受渡制御部113は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料RM1が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を開始するようにシフト駆動部54を制御してもよい。受渡制御部113は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料RM1が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を完了させるようにシフト駆動部54を制御してもよい。
【0043】
次に、制御部100は、ステップS09,S11を実行する。ステップS09では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33の高さを複数の第二搬送ロール42の高さと同じにするように、複数の第一搬送ロール33を上昇させるように昇降駆動部53を制御する(
図12参照)。ステップS11では、搬送制御部111が、第一圧延装置10により圧延すべき次の材料RM1があるか否かを確認する。
【0044】
ステップS11において圧延すべき次の材料RM1がある場合には、制御部100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、予め設定された手順にて次の材料RM1を圧延することを開始するように、搬送制御部111が第一搬送テーブル30を制御し、圧延制御部112が第一圧延装置10を制御する。その後、制御部100は処理をステップS02に戻す。以後、圧延すべき次の材料RM1がなくなるまで、第一圧延装置10及び第二圧延装置20による圧延が繰り返される。ステップS11において圧延すべき次の材料RM1がない場合には、制御部100は処理を完了する。以上で運転手順が完了する。
【0045】
なお、以上の手順は適宜変更可能である。例えば、ステップS03をステップS04の後に実行してもよい。第二搬送経路R2に移動した複数の第一搬送ロール33を複数の第二搬送ロール42と同じ高さにして、第二搬送経路R2に沿った材料RM1の搬送に用いてもよい。この場合、制御部100は、
図13に示すように、まずステップS01,S02,S03,S04,S05と同様のステップS21,S22,S23,S24,S25を実行する。
【0046】
次に、制御部100は、ステップS26,S27を実行する。ステップS26では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33の高さを複数の第二搬送ロール42の高さと同じにするように、複数の第一搬送ロール33を下降させるように昇降駆動部53を制御する。これにより、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の両方によって材料RM1が支持された状態となる。ステップS27では、ステップS07と同様に、予め設定された手順にて材料RM1を圧延することを開始するように、搬送制御部111が第二搬送テーブル40を制御し、圧延制御部112が第二圧延装置20を制御する。搬送制御部111は、複数の第二搬送ロール42の回転に同調して、複数の第一搬送ロール33を回転駆動部34により回転駆動するように第一搬送テーブル30も制御する。
【0047】
次に、制御部100は、ステップS28,S29を実行する。ステップS28では、受渡制御部113が、複数の第二搬送ロール42において材料RM1が所定の位置に到達するのを待機する。例えば、受渡制御部113は、材料RM1の端部が最も第二圧延装置20寄りの第二搬送ロール42を通過するのを待機する。ステップS29では、受渡制御部113が、複数の第一搬送ロール33の高さを複数の第二搬送ロール42の高さより低くするように、複数の第一搬送ロール33を下降させるように昇降駆動部53を制御する。
【0048】
次に、制御部100は、ステップS08,S09,S11と同様のステップS31,S32,S33を実行する。ステップS33において圧延すべき次の材料RM1がある場合には、制御部100は、ステップS12と同様のステップS34を実行し、処理をステップS22に戻す。以後、圧延すべき次の材料RM1がなくなるまで、第一圧延装置10及び第二圧延装置20による圧延が繰り返される。ステップS33において圧延すべき次の材料RM1がない場合には、制御部100は処理を完了する。以上で運転手順が完了する。
【0049】
この手順によれば、複数の第一搬送ロール33を第二搬送経路R2における材料RM1の搬送にも活用できる。このため、第二搬送経路R2において材料RM1をよりしっかりと支持することができる。
【0050】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、圧延システム1は、第一搬送経路R1に沿って移動する材料を圧延する第一圧延装置10と、第一搬送経路R1に平行な第二搬送経路R2に沿って移動する材料を圧延する第二圧延装置20と、第一搬送経路R1に沿って並び、第一圧延装置10が圧延する材料を支持する複数の第一搬送ロール33と、複数の第一搬送ロール33と交互に並ぶ配置で第二搬送経路R2に沿って並び、第二圧延装置20が圧延する材料を支持する複数の第二搬送ロール42と、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を昇降させ、複数の第一搬送ロール33の高さ及び複数の第二搬送ロール42の高さが相違する状態で複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の少なくとも一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させるロール移動装置50と、を備える。
【0051】
仮に、圧延システム1がロール移動装置50を有しない場合、例えばプッシャー等を用い、第一搬送ロール33及び第二搬送ロール42に対し材料を滑らせて移動させることが必要となる。第一搬送ロール33及び第二搬送ロール42に対し材料を滑らせる場合、摩擦による負荷が材料に作用するので、材料に曲がり、ねじれ等が生じるおそれがある。これに対し、ロール移動装置50を備える圧延システム1によれば、第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42に対して滑らせることなく材料を移動させることができる。従って、複数段の圧延装置間で材料の受け渡しを円滑に行うのに有効である。
【0052】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42のうち一方が材料を支持し、他方が材料を支持していないときに、材料を支持している方(複数の支持ロール)の高さが材料を支持していない方(複数の非支持ロール)の高さよりも高い状態で少なくとも材料を支持している方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させてもよい。この場合、材料は複数の支持ロールと共に移動するので、複数の支持ロールに対して滑ることなく移動する。また、複数の支持ロールの高さが複数の非支持ロールの高さよりも高いことにより、材料は、複数の非支持ロールに対しても滑ることなく移動する。
【0053】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の一方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させることなく、他方を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で移動させてもよい。この場合、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0054】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33が材料を支持し、複数の第二搬送ロール42が材料を支持していないときに、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも高い状態で複数の第一搬送ロール33を第一搬送経路R1から第二搬送経路R2に移動させ、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に材料を移すように、複数の第一搬送ロール33の下降及び複数の第二搬送ロール42の上昇の少なくとも一方を行い、複数の第一搬送ロール33の高さが複数の第二搬送ロール42の高さよりも低い状態で複数の第一搬送ロール33を第二搬送経路R2から第一搬送経路R1に移動させてもよい。この場合、材料を支持した複数の第一搬送ロール33を第一搬送経路R1から第二搬送経路R2に移動させるときに加え、材料が複数の第二搬送ロール42に移った後に複数の第一搬送ロール33を第二搬送経路R2から第一搬送経路R1に移動させるときにも、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42と材料との滑りを防止することができる。
【0055】
ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33から複数の第二搬送ロール42に移った材料が複数の第一搬送ロール33の少なくともいずれかの上方に位置するときに、第二搬送経路R2から第一搬送経路R1への複数の第一搬送ロール33の移動を開始してもよい。この場合、複数の第一搬送ロール33を早期に第一搬送経路R1に戻すことによって、第一圧延装置10による次の材料の圧延を早期に開始させ、生産効率を向上させることができる。
【0056】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、昇降ベース51の傾動によってロール保持部52を昇降させる例を示したが、第一搬送ロール33を昇降させるための構成はこれに限られない。例えば昇降駆動部53は、昇降ベース51を傾動させずに、昇降ベース51全体を均等に昇降させるように構成されていてもよい。また、昇降駆動部53は、複数の第一搬送ロール33に代えて、複数の第二搬送ロール42を昇降させるように構成されていてもよい。
【0057】
また、ロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42の両方を移動させるように構成されていてもよい。例えばロール移動装置50は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42を第一搬送経路R1及び第二搬送経路R2の間で入れ替えるように構成されていてもよい。この場合、搬送制御部111は、複数の第一搬送ロール33及び複数の第二搬送ロール42のうち第一搬送経路R1に位置する方を第一搬送経路R1における材料の搬送に用い(すなわち複数の第一搬送ロールとして用い)、第二搬送経路R2に位置する方を第二搬送経路R2における材料の搬送に用い(すなわち複数の第二搬送ロールとして用い)てもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…圧延システム、10…第一圧延装置、20…第二圧延装置、33…第一搬送ロール、42…第二搬送ロール、50…ロール移動装置。