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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20220610BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20220610BHJP
   G06K 13/06 20060101ALI20220610BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
G06K7/10 152
G06K7/00 004
G06K7/00 021
G06K13/06 C
G06K7/10 264
G06K7/08 040
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018136549
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020013442
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】小澤 茂樹
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-70538(JP,A)
【文献】特開2017-219971(JP,A)
【文献】特開平9-237362(JP,A)
【文献】特開2005-128668(JP,A)
【文献】国際公開第2018/135354(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00-7/14
13/00-13/30
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にICチップの外部接続端子が形成されるカードを取込可能なカードリーダにおいて、
前記カードの挿入口から挿入された前記カードが移動するカード移動路と、前記挿入口から挿入された前記カードが通信用のアンテナが内蔵される非接触式のICカードであるのか否かを検知するためのシート状の静電容量センサとを備え、
前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とし、前記カードの厚さ方向から見たときに前記外部接続端子が移動する領域を端子移動領域とすると、
前記カードの幅方向における前記静電容量センサの幅は、前記カードの幅方向における前記外部接続端子の幅よりも広くなっており、
前記カードの厚さ方向から見たときに、前記静電容量センサの、前記端子移動領域と重なる部分の少なくとも一部に切欠きが形成されていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記カード移動路を閉鎖するためのシャッタ部材と、前記シャッタ部材が前記カード移動路を閉鎖する閉位置と前記シャッタ部材が前記カード移動路から退避して前記カード移動路を開放する開位置との間で前記シャッタ部材を移動させるシャッタ駆動機構とを備え、
前記静電容量センサは、前記シャッタ部材よりも前記挿入口側に配置され、
前記カードリーダの制御部は、前記静電容量センサの検知結果に基づいて前記シャッタ駆動機構を制御することを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記カード移動路の所定の位置に前記カードが到達したことを検知するためのカード検知機構を備え、
前記切欠きは、前記外部接続端子が形成された前記カードが前記カード検知機構で検知されるタイミングで前記カードの厚さ方向から見たときに前記外部接続端子が配置される位置に形成されるとともに、前記カードの厚さ方向において前記静電容量センサを貫通する穴であり、
前記カードの移動方向における前記静電容量センサの幅は、前記カードの移動方向における前記外部接続端子の幅よりも広くなっており、
前記カードの幅方向における前記切欠きの幅は、前記カードの幅方向における前記外部接続端子の幅以上となっており、
前記カードの移動方向における前記切欠きの幅は、前記カードの移動方向における前記外部接続端子の幅以上となっており、
前記カード検知機構で前記カードが検知されたときの前記静電容量センサの出力に基づいて、前記挿入口から挿入された前記カードが非接触式のICカードであるのか否かが検知されることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記切欠きは、前記カードの移動方向における前記静電容量センサの全域に形成され、
前記カードの幅方向における前記切欠きの幅は、前記カードの幅方向における前記外部接続端子の幅以上となっていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記切欠きは、前記外部接続端子が形成された前記カードが手動で前記カード移動路の奥端部まで挿入された状態で前記カードの厚さ方向から見たときに前記外部接続端子が配置される位置に形成されるとともに、前記カードの厚さ方向において前記静電容量センサを貫通する穴であり、
前記カードの移動方向における前記静電容量センサの幅は、前記カードの移動方向における前記外部接続端子の幅よりも広くなっており、
前記カードの幅方向における前記切欠きの幅は、前記カードの幅方向における前記外部接続端子の幅以上となっており、
前記カードの移動方向における前記切欠きの幅は、前記カードの移動方向における前記外部接続端子の幅以上となっており、
前記カード移動路の奥端部まで前記カードが挿入されたときの前記静電容量センサの出力に基づいて、前記挿入口から挿入された前記カードが非接触式のICカードであるのか否かが検知されることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録されたデータの読取りやカードへのデータの記録を行うカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダでは、カードの挿入口が形成されるカード挿入部に、挿入口から挿入されたカードに磁気ストライプが形成されているのか否かを検知するためのプリヘッドと、挿入口から挿入されたカードにICチップの外部接続端子が形成されているのか否かを検知するための金属センサとが配置されている。
【0003】
また、従来、非接触式のICカードと非接触でデータの通信を行う非接触式通信モジュールが知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の非接触式通信モジュールは、環状に配置されるアンテナコイルによって構成されるアンテナを備えており、非接触式通信モジュールのアンテナと、カードに内蔵される通信用のアンテナとの間でデータの通信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-160666号公報
【文献】特開2015-87888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のカードリーダでは、カード挿入部にプリヘッドと金属センサとが配置されているため、挿入口から挿入されたカードが磁気ストライプを有する磁気カードであるのか否かを検知することが可能になるとともに、挿入口から挿入されたカードがICチップの外部接続端子を有する接触式のICカードであるのか否か検知することが可能になっている。一方で、特許文献1に記載のカードリーダでは、挿入口から挿入されたカードが通信用のアンテナを有する非接触式のICカードであるのか否か検知することはできない。
【0006】
特許文献1に記載のカードリーダが特許文献2に記載の非接触式通信モジュールを備えていれば、挿入口から挿入されたカードをカードリーダの内部に取り込んだ後、カードと非接触式通信モジュールとの間でデータの通信を試みることで、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否か検知することは可能である。しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダが特許文献2に記載の非接触式通信モジュールを備えていても、挿入口から挿入されたカードをカードリーダの内部に取り込んだ後、カードと非接触式通信モジュールとの間でデータの通信を試みなければ、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否か検知することはできない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カードの挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かを容易に検知することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、一方の面にICチップの外部接続端子が形成されるカードを取込可能なカードリーダにおいて、カードの挿入口から挿入されたカードが移動するカード移動路と、挿入口から挿入されたカードが通信用のアンテナが内蔵される非接触式のICカードであるのか否かを検知するためのシート状の静電容量センサとを備え、カード移動路を移動するカードの移動方向とカードの厚さ方向とに直交する方向をカードの幅方向とし、カードの厚さ方向から見たときに外部接続端子が移動する領域を端子移動領域とすると、カードの幅方向における静電容量センサの幅は、カードの幅方向における外部接続端子の幅よりも広くなっており、カードの厚さ方向から見たときに、静電容量センサの、端子移動領域と重なる部分の少なくとも一部に切欠きが形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のカードリーダは、カードの挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かを検知するためのシート状の静電容量センサを備えている。そのため、本発明では、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かを容易に検知することが可能になる。
【0010】
ここで、挿入口から挿入されたカードが通信用のアンテナを有する非接触式のICカードであるのか否かを精度良く検知するためには、カードの幅方向における静電容量センサの幅が広くなっていることが好ましい。一方で、ICチップの外部接続端子と通信用のアンテナとを備えるICカードと、外部接続端子は備えているが通信用のアンテナは備えていないICカードとが挿入口から挿入される場合、カードの幅方向における静電容量センサの幅が広くなっていると、外部接続端子の影響で、外部接続端子と通信用のアンテナとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサの出力と、外部接続端子は備えているが通信用のアンテナは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサの出力との差異が生じにくいことが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0011】
本発明のカードリーダでは、カードの厚さ方向から見たときにICチップの外部接続端子が移動する領域を端子移動領域とすると、カードの厚さ方向から見たときに、静電容量センサの、端子移動領域と重なる部分の少なくとも一部に切欠きが形成されている。そのため、本発明では、カードの幅方向における静電容量センサの幅が広くなっていても、静電容量センサの出力に外部接続端子が与える影響を抑制することが可能になり、その結果、外部接続端子と通信用のアンテナとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサの出力と、外部接続端子は備えているが通信用のアンテナは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサの出力との差異を大きくすることが可能になる。したがって、本発明では、外部接続端子付のICカードが挿入口から挿入されても、挿入口から挿入されたカードがアンテナが内蔵される非接触式のICカードであるのか否かを精度良く検知することが可能になる。
【0012】
本発明において、カードリーダは、カード移動路を閉鎖するためのシャッタ部材と、シャッタ部材がカード移動路を閉鎖する閉位置とシャッタ部材がカード移動路から退避してカード移動路を開放する開位置との間でシャッタ部材を移動させるシャッタ駆動機構とを備え、静電容量センサは、シャッタ部材よりも挿入口側に配置され、カードリーダの制御部は、静電容量センサの検知結果に基づいてシャッタ駆動機構を制御することが好ましい。このように構成すると、静電容量センサの検知結果に基づいて、カードリーダに取り込んでも良いカードが挿入口から挿入されたと判別されたときに、閉位置にあるシャッタ部材を開位置に移動させ、カードリーダに取り込むべきでないカード等が挿入口から挿入されたと判別されたときに、シャッタ部材を閉位置に留めておくことが可能になる。
【0013】
本発明において、カードリーダは、たとえば、カード移動路の所定の位置にカードが到達したことを検知するためのカード検知機構を備え、切欠きは、外部接続端子が形成されたカードがカード検知機構で検知されるタイミングでカードの厚さ方向から見たときに外部接続端子が配置される位置に形成されるとともに、カードの厚さ方向において静電容量センサを貫通する穴であり、カードの移動方向における静電容量センサの幅は、カードの移動方向における外部接続端子の幅よりも広くなっており、カードの幅方向における切欠きの幅は、カードの幅方向における外部接続端子の幅以上となっており、カードの移動方向における切欠きの幅は、カードの移動方向における外部接続端子の幅以上となっており、カード検知機構でカードが検知されたときの静電容量センサの出力に基づいて、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かが検知される。
【0014】
この場合には、カードの挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かを静電容量センサで検知する際に、静電容量センサの出力に外部接続端子が与える影響を効果的に抑制することが可能になる。したがって、外部接続端子と通信用のアンテナとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサの出力と、外部接続端子は備えているが通信用のアンテナは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサの出力との差異をより大きくすることが可能になり、その結果、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かをより精度良く検知することが可能になる。
【0015】
本発明において、切欠きは、カードの移動方向における静電容量センサの全域に形成され、カードの幅方向における切欠きの幅は、カードの幅方向における外部接続端子の幅以上となっていても良い。この場合には、静電容量センサの出力に外部接続端子が与える影響を効果的に抑制することが可能になるため、外部接続端子と通信用のアンテナとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサの出力と、外部接続端子は備えているが通信用のアンテナは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサの出力との差異をより大きくすることが可能になり、その結果、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かをより精度良く検知することが可能になる。
【0016】
本発明において、切欠きは、外部接続端子が形成されたカードが手動でカード移動路の奥端部まで挿入された状態でカードの厚さ方向から見たときに外部接続端子が配置される位置に形成されるとともに、カードの厚さ方向において静電容量センサを貫通する穴であり、カードの移動方向における静電容量センサの幅は、カードの移動方向における外部接続端子の幅よりも広くなっており、カードの幅方向における切欠きの幅は、カードの幅方向における外部接続端子の幅以上となっており、カードの移動方向における切欠きの幅は、カードの移動方向における外部接続端子の幅以上となっており、カード移動路の奥端部までカードが挿入されたときの静電容量センサの出力に基づいて、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かが検知されても良い。
【0017】
この場合にも、カードの挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かを静電容量センサで検知する際に、静電容量センサの出力に外部接続端子が与える影響を効果的に抑制することが可能になるため、外部接続端子と通信用のアンテナとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサの出力と、外部接続端子は備えているが通信用のアンテナは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサの出力との差異をより大きくすることが可能になり、その結果、挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かをより精度良く検知することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明のカードリーダでは、カードの挿入口から挿入されたカードが非接触式のICカードであるのか否かを容易に検知することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
図2図1に示す静電容量センサに形成される切欠きの位置を説明するための平面図である。
図3】本発明の他の実施の形態にかかる静電容量センサの構成を説明するための平面図である。
図4】本発明の他の実施の形態にかかるカードリーダの概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(カードリーダの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。図2は、図1に示す静電容量センサ20に形成される切欠き20aの位置を説明するための平面図である。
【0022】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録の少なくともいずれか一方を行うための装置であり、たとえば、ATM(Automated Teller Machine)等の上位装置に搭載されて使用される。カードリーダ1で使用されるカード2は、厚さが0.7~0.8mm程度の長方形状の塩化ビニール製のカードである。また、カード2は、国際規格およびJIS規格に準拠するカードである。
【0023】
カード2には、たとえば、磁気データが記録される磁気ストライプ2aが形成されている。磁気ストライプ2aは、カード2の裏面に形成されている。また、カード2には、たとえば、ICチップが内蔵されており、カード2のおもて面には、ICチップの外部接続端子2bが形成されている。また、カード2には、たとえば、ICチップと通信用のアンテナ2cとが内蔵されている。本形態のカードリーダ1では、磁気ストライプ2a、外部接続端子2bおよびアンテナ2cの少なくともいずれか1つを有するカード2が使用される。また、カードリーダ1には、外部接続端子2bが形成されるカード2が取込可能となっている。
【0024】
カードリーダ1は、カード2の挿入口3が形成されるカード挿入部4と、カード挿入部4が固定される本体部5とを備えている。カード2は、挿入口3に挿入されるとともに、挿入口3から排出される。カードリーダ1の内部には、挿入口3から挿入されたカード2が移動するカード移動路6が形成されている。また、カードリーダ1の内部には、カード2を搬送するための複数のローラ対7が配置されており、カード移動路6では、挿入口3から挿入されたカード2が搬送される。ローラ対7は、モータに連結される駆動ローラと、駆動ローラに対向配置されるとともに駆動ローラに向かって付勢されるパッドローラとから構成されている。なお、図1(B)では、ローラ対7の図示を省略している。
【0025】
本形態では、図1等に示すX方向でカード2が搬送されて移動する。すなわち、X方向は、カード移動路6を移動するカード2の移動方向である。また、本形態では、X1方向にカード2が挿入され、X2方向にカード2が排出される。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード移動路6を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード移動路6を移動するカード2の幅方向である。
【0026】
以下の説明では、X方向を前後方向とし、Y方向を左右方向とし、Z方向を上下方向とする。また、前後方向のうちのX1方向側を「奥(後ろ)」側とし、その反対側であるX2方向側を「前」側とする。カード挿入部4は、本体部5の前端面に取り付けられている。また、本形態では、長方形状に形成されるカード2の長手方向と前後方向とが一致するように、カード2が挿入口3から挿入されてカード移動路6を移動する。
【0027】
また、カードリーダ1は、磁気ストライプ2aに記録された磁気データの読取および磁気ストライプ2aへの磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う磁気ヘッド8と、外部接続端子2bに接触してデータの通信を行うための複数のIC接点バネ9を有するIC接点ブロック10と、IC接点ブロック10を移動させるブロック移動機構(図示省略)と、アンテナ2cとの間でデータの通信を行うためのアンテナが実装された回路基板11とを備えている。なお、図1(A)、図2では、IC接点ブロック10および回路基板11の図示を省略している。
【0028】
さらに、カードリーダ1は、カード移動路6を閉鎖するためのシャッタ部材14と、シャッタ部材14がカード移動路6を閉鎖する閉位置14A(図1(B)参照)とシャッタ部材14がカード移動路6から退避してカード移動路6を開放する開位置14B(図1(B)参照)との間でシャッタ部材14を移動させるシャッタ駆動機構15と、カード移動路6の所定の位置にカード2が到達したことを検知するためのカード検知機構16とを備えている。なお、図1(B)では、カード検知機構16の図示を省略している。
【0029】
また、カードリーダ1は、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2aが形成される磁気カードであるのか否かを検知するための(すなわち、磁気ストライプ2aの有無を検知するための)プリヘッド(磁気ヘッド)18と、挿入口3から挿入されたカード2が外部接続端子2bが形成される接触式のICカードであるのか否かを検知するための(すなわち、外部接続端子2bの有無を検知するための)金属センサ19と、挿入口3から挿入されたカード2がアンテナ2cが内蔵される非接触式のICカードであるのか否かを検知するための(すなわち、アンテナ2c等の有無を検知するための)静電容量センサ20とを備えている。なお、図2では、プリヘッド18および金属センサ19の図示を省略している。
【0030】
磁気ヘッド8、IC接点ブロック10および回路基板11は、本体部5に配置されている。シャッタ部材14は、カード挿入部4の奥端部に配置されている。シャッタ駆動機構15は、カード挿入部4に配置されている。挿入口3にカード2が挿入される前の待機時には、シャッタ部材14は、閉位置14Aに配置されている。後述のように、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2a、外部接続端子2bおよびアンテナ2cの少なくともいずれか1つを有することが検知されると、閉位置14Aにあるシャッタ部材14が開位置14Bに移動する。
【0031】
カード検知機構16は、カード挿入部4の奥端部に配置されている。また、カード検知機構16は、シャッタ部材14よりも前側に配置されている。カード検知機構16は、たとえば、発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサである。カード検知機構16の発光素子とカード検知機構16の受光素子とは、上下方向でカード移動路6を挟むように配置されている。
【0032】
プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20は、カード挿入部4に配置されている。また、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20は、シャッタ部材14よりも前側に配置されている。すなわち、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20は、シャッタ部材14よりも挿入口3側に配置されている。
【0033】
静電容量センサ20は、薄膜状のセンサであり、静電容量の変化に応じて変動する信号を出力する。静電容量センサ20は、長方形状の薄板状(シート状)に形成されている。また、静電容量センサ20は、静電容量センサ20の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。静電容量センサ20の左右方向の幅(具体的には、静電容量センサ20の検知部の左右方向の幅)は、外部接続端子2bの左右方向の幅(カード2の短手方向の幅)よりも広くなっている。静電容量センサ20の前後方向の幅(具体的には、静電容量センサ20の検知部の前後方向の幅)は、外部接続端子2bの前後方向の幅(カード2の長手方向の幅)よりも広くなっている。
【0034】
静電容量センサ20には、上下方向で静電容量センサ20を貫通する切欠き20aが形成されている。切欠き20aは、長方形状または正方形状の貫通穴である。切欠き20aの左右方向の幅は、外部接続端子2bの左右方向の幅以上となっている。切欠き20aの前後方向の幅は、外部接続端子2bの前後方向の幅以上となっている。切欠き20aは、左右方向において、外部接続端子2bが移動する位置に形成されている。すなわち、上下方向から見たときに外部接続端子2bが移動する領域を端子移動領域MAとすると(図1(A)参照)、上下方向から見たときに、静電容量センサ20の、端子移動領域MAと重なる部分の一部に切欠き20aが形成されている。左右方向において、端子移動領域MAの中心と切欠き20aの中心とは一致している。
【0035】
また、図2に示すように、切欠き20aは、外部接続端子2bが形成されたカード2がカード検知機構16で検知されるタイミングで上下方向から見たときに外部接続端子2bが配置される位置に形成されている。具体的には、切欠き20aは、外部接続端子2bが形成されたカード2の先端(奥端)がカード検知機構16で検知されるタイミングで上下方向から見たときに外部接続端子2bが配置される位置に形成されている。
【0036】
外部接続端子2bが形成されたカード2の先端がカード検知機構16で検知されるタイミングで上下方向から見たときには、切欠き20aの中に外部接続端子2bが配置されている。本形態では、カード2の先端がカード検知機構16で検知されたときの静電容量センサ20の出力に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2がアンテナ2cが内蔵される非接触式のICカードであるのか否かが検知される。
【0037】
カードリーダ1では、カードリーダ1の制御部23は、プリヘッド18の検知結果および金属センサ19の検知結果に基づいてシャッタ駆動機構15を制御する。また、制御部23は、静電容量センサ20の検知結果に基づいてシャッタ駆動機構15を制御する。具体的には、制御部23は、カード2の先端がカード検知機構16で検知されたときの静電容量センサ20の検知結果に基づいてシャッタ駆動機構15を制御する。
【0038】
すなわち、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2a、外部接続端子2bおよびアンテナ2cの少なくともいずれか1つを有することが検知されると、制御部23は、シャッタ駆動機構15を起動して、閉位置14Aにあるシャッタ部材14を開位置14Bに移動させる。また、制御部23は、ローラ対7を起動して、本体部5の中にカード2を搬送する。
【0039】
一方、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2a、外部接続端子2bおよびアンテナ2cのいずれをも有していないことが検知されると、制御部23は、シャッタ駆動機構15を起動させずに、閉位置14Aにあるシャッタ部材14をそのままの状態に維持する。
【0040】
また、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2a、外部接続端子2bおよびアンテナ2cの少なくともいずれか1つを有することが検知されると、制御部23は、プリヘッド18、金属センサ19および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、本体部5において各種の処理を実行する。
【0041】
たとえば、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2aを有する磁気カードであることが検知されると、磁気ヘッド8で磁気データの読取りや記録を行う。また、たとえば、挿入口3から挿入されたカード2が外部接続端子2bを有する接触式のICカードであることが検知されると、IC接点バネ9を用いてデータの通信を行う。また、たとえば、挿入口3から挿入されたカード2がアンテナ2cを有する非接触式のICカードであることが検知されると、回路基板11に実装されるアンテナを用いてデータの通信を行う。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカードリーダ1は、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを検知するための静電容量センサ20を備えている。そのため、本形態では、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを容易に検知することが可能になる。
【0043】
本形態では、上下方向から見たときに、静電容量センサ20の、端子移動領域MAと重なる部分の一部に切欠き20aが形成されている。したがって、本形態では、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを精度良く検知するために静電容量センサ20の左右方向の幅が外部接続端子2bの左右方向の幅より広くなっていても、静電容量センサ20の出力に外部接続端子2bが与える影響を抑制することが可能になる。
【0044】
そのため、本形態では、静電容量センサ20の左右方向の幅が外部接続端子2bの左右方向の幅より広くなっていても、外部接続端子2bとアンテナ2cとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力と、外部接続端子2bは備えているがアンテナ2cは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力との差異を大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、外部接続端子2bが付いたICカードが挿入口3から挿入されても、挿入口3から挿入されたカード2がアンテナ2cが内蔵される非接触式のICカードであるのか否かを精度良く検知することが可能になる。
【0045】
特に本形態では、切欠き20aの左右方向の幅が外部接続端子2bの左右方向の幅以上となっており、切欠き20aの前後方向の幅が外部接続端子2bの前後方向の幅以上となっている。また、本形態では、カード2の先端がカード検知機構16で検知されたときの静電容量センサ20の出力に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かが検知されているとともに、外部接続端子2bが形成されたカード2の先端がカード検知機構16で検知されるタイミングで上下方向から見たときに、切欠き20aの中に外部接続端子2bが配置されている。
【0046】
そのため、本形態では、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを検知する際に、静電容量センサ20の出力に外部接続端子2bが与える影響を効果的に抑制することが可能になる。したがって、本形態では、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを検知する際に、外部接続端子2bとアンテナ2cとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力と、外部接続端子2bは備えているがアンテナ2cは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力との差異をより大きくすることが可能になる。その結果、本形態では、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かをより精度良く検知することが可能になる。
【0047】
本形態では、制御部23は、プリヘッド18の検知結果、金属センサ19の検知結果および静電容量センサ20の検知結果に基づいてシャッタ駆動機構15を制御している。そのため、本形態では、カードリーダ1に取り込んでも良いカード2が挿入口3から挿入されたと判別されたときに、閉位置14Aにあるシャッタ部材14を開位置14Bに移動させ、カードリーダ1に取り込むべきでないカード2等が挿入口3から挿入されたと判別されたときに、シャッタ部材14を閉位置14Aに留めることが可能になる。
【0048】
また、本形態のカードリーダ1は、静電容量センサ20を備えているため、アンテナ2cは備えているが磁気ストライプ2aおよび外部接続端子2bを備えていないカード2が挿入口3から挿入されたときに、静電容量センサ20の検知結果に基づいて、閉位置14Aにあるシャッタ部材14を開位置14Bに移動させることが可能になる。
【0049】
(静電容量センサの変形例)
図3は、本発明の他の実施の形態にかかる静電容量センサ20の構成を説明するための平面図である。なお、図3では、上述した形態と同一の構成には、同一の符号を付している。
【0050】
上述した形態において、切欠き20aは、図3に示すように、前後方向における静電容量センサ20の全域に形成されるとともに、切欠き20aの左右方向の幅が外部接続端子2bの左右方向の幅以上となっていても良い。すなわち、上下方向から見たときに、静電容量センサ20の、端子移動領域MAと重なる部分の全体に切欠き20aが形成されていても良い。この場合には、カードリーダ1は、たとえば、カード検知機構16を備えていない。また、この場合には、カード2が静電容量センサ20を通過するときの静電容量センサ20の出力に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かが検知される。
【0051】
この場合であっても、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを検知する際に、静電容量センサ20の出力に外部接続端子2bが与える影響を効果的に抑制することが可能になるため、外部接続端子2bとアンテナ2cとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力と、外部接続端子2bは備えているがアンテナ2cは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力との差異をより大きくすることが可能になる。その結果、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かをより精度良く検知することが可能になる。
【0052】
(カードリーダの変形例)
図4は、本発明の他の実施の形態にかかるカードリーダ1の概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。なお、図4では、上述した形態と同一の構成には、同一の符号を付している。
【0053】
上述した形態において、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の差込みとカードリーダ1からのカード2の引抜きとをユーザが手動で行ういわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。この場合には、たとえば、図4に示すように、静電容量センサ20の切欠き20aは、外部接続端子2bが形成されたカード2が手動でカード移動路6の奥端部まで挿入された状態で上下方向から見たときに外部接続端子2bが配置される位置に形成されている。
【0054】
すなわち、上下方向から見たときに、静電容量センサ20の、端子移動領域MAと重なる部分の一部に切欠き20aが形成されている。また、この場合には、上述した形態と同様に、切欠き20aの左右方向の幅は、外部接続端子2bの左右方向の幅以上となっており、切欠き20aの前後方向の幅は、外部接続端子2bの前後方向の幅以上となっており、左右方向において、端子移動領域MAの中心と切欠き20aの中心とは一致している。また、この場合には、カード移動路6の奥端部までカード2が挿入されたときの静電容量センサ20の出力に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かが検知される。
【0055】
この場合であっても、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを検知する際に、静電容量センサ20の出力に外部接続端子2bが与える影響を効果的に抑制することが可能になり、その結果、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かを検知する際に、外部接続端子2bとアンテナ2cとを備えるICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力と、外部接続端子2bは備えているがアンテナ2cは備えていないICカードを検知したときの静電容量センサ20の出力との差異をより大きくすることが可能になる。したがって、挿入口3から挿入されたカード2が非接触式のICカードであるのか否かをより精度良く検知することが可能になる。なお、図4では、回路基板11の図示を省略している。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0057】
上述した形態において、カードリーダ1は、磁気ヘッド8およびプリヘッド18を備えていなくても良い。この場合には、金属センサ19および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が外部接続端子2bおよびアンテナ2cの少なくともいずれか一方を有することが検知されると、閉位置14Aにあるシャッタ部材14が開位置14Bに移動する。
【0058】
また、上述した形態において、カードリーダ1は、IC接点ブロック10および金属センサ19を備えていなくても良い。この場合には、プリヘッド18および静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2が磁気ストライプ2aおよびアンテナ2cの少なくともいずれか一方を有することが検知されると、閉位置14Aにあるシャッタ部材14が開位置14Bに移動する。
【0059】
さらに、上述した形態において、カードリーダ1は、磁気ヘッド8、IC接点ブロック10、プリヘッド18および金属センサ19を備えていなくても良い。この場合には、静電容量センサ20の検知結果に基づいて、挿入口3から挿入されたカード2がアンテナ2cを有することが検知されると、閉位置14Aにあるシャッタ部材14が開位置14Bに移動する。
【0060】
上述した形態において、外部接続端子2bが形成されたカード2の先端がカード検知機構16で検知されるタイミングで上下方向から見たときに、切欠き20aの中から外部接続端子2bの一部が外れていても良い。また、上述した形態において、切欠き20aの左右方向の幅は、外部接続端子2bの左右方向の幅より狭くなっていても良い。また、切欠き20aの前後方向の幅は、外部接続端子2bの前後方向の幅より狭くなっていても良い。また、上述した形態において、静電容量センサ20は、本体部5に配置されていても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 カードリーダ
2 カード
2b 外部接続端子
2c アンテナ
3 挿入口
6 カード移動路
14 シャッタ部材
14A 閉位置
14B 開位置
15 シャッタ駆動機構
16 カード検知機構
20 静電容量センサ
20a 切欠き
23 制御部
MA 端子移動領域
X カードの移動方向
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向
図1
図2
図3
図4