(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】駆動装置及び光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20220610BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20220610BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20220610BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220610BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220610BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20220610BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/02 Z
G02B7/04 E
G02B7/02 E
H04N5/225 100
H04N5/225 700
H04N5/232 480
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2018150630
(22)【出願日】2018-08-09
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】五明 正人
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-77395(JP,A)
【文献】特開2017-215550(JP,A)
【文献】特開2016-126138(JP,A)
【文献】特開2013-251499(JP,A)
【文献】特開2007-197528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/02
G02B 7/04
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールが装着される被装着部を有する可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記被装着部に装着された状態の前記光学モジュールの光軸周りに回転可能に支持する支持部と、を備え、
前記可動体は、前記光学モジュールから引き出されるフレキシブル配線基板が固定される可動体側固定部を備え、
前記固定体は、前記フレキシブル配線基板が固定される固定体側固定部を備え、
前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、前記フレキシブル配線基板の厚み方向を前記光軸の方向と直交する方向とする姿勢で引き回される領域である、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載された駆動装置において、
前記固定体側固定部は、前記固定体側固定部が形成される辺よりも径方向外側に突出している、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された駆動装置において、
前記可動体側固定部の固定面方向は前記固定体側固定部の固定面方向と異なる、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸周りに回転可能に支持する支持部と、を備え、
前記可動体は、前記光学モジュールから引き出されるフレキシブル配線基板が固定される可動体側固定部を備え、
前記固定体は、前記フレキシブル配線基板が固定される固定体側固定部を備え、
前記フレキシブル配線基板は、前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分に引き回され、
前記フレキシブル配線基板の前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、前記可動体の前記光軸周りの回転を許容する構造である、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載された光学ユニットにおいて、
前記フレキシブル配線基板の前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、該フレキシブル配線基板の厚み方向を前記光軸の方向と直交する方向とする姿勢で引き回されている、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された光学ユニットにおいて、 前記フレキシブル配線基板は、前記固定体及び可動体が前記
光軸の方向に占める領域の内側に位置する、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載された光学ユニットにおいて、 前記フレキシブル配線基板は、前記固定体が前記
光軸の方向に占める領域の内側に位置する、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、
前記固定体側固定部は、前記固定体側固定部が形成される辺よりも径方向外側に突出している、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項9】
請求項8に記載された光学ユニットにおいて、
前記可動体側固定部は、隣接する前記固定体の外周より径方向外側に突出している、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項10】
請求項4から9のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、
前記フレキシブル配線基板は、
前記可動体側固定部から第1の方向に延びる部分と、
前記固定体側固定部から前記第1の方向と異なる方向である第2の方向に延びる部分を有する、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載された光学ユニットにおいて、
前記フレキシブル配線基板は、前記第1の方向に延びる部分と第2の方向に延びる部分とでL字形状を成している、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載された光学ユニットにおいて、
前記第2の方向に延びる部分の長さは、前記第1の方向に延びる部分の長さより長い、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項13】
請求項4から9のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、
前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部と前記固定体側固定部との間の部分が前記光軸周りの方向に沿って湾曲している、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項14】
請求項4から13のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、
前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部と前記固定体側固定部との間の部分が折り返されて2つ以上重なっている、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項15】
請求項14に記載された光学ユニットにおいて、 前記フレキシブル配線基板は
、折り返されてできる折り返し部にスリットがある、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項16】
請求項4から15のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、 前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部に固定される部分、前記固定体側固定部に固定される部分の少なくとも一方に補強板があり、 前記補強板は、前記フレキシブル配線基板と前記
可動体側固定部との間に位置する、
及び/または前記補強板は、前記フレキシブル配線基板と前記固定体側固定部との間に位置することを特徴とする光学ユニット。
【請求項17】
請求項4から15のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、
前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部に固定される部分、前記固定体側固定部に固定される部分の少なくとも一方に補強板があり、
前記補強板は、前記フレキシブル配線基板に対して前記固定部と反対側に位置する、ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項18】
請求項4から17のいずれか一項に記載された光学ユニットにおいて、
前記光学モジュールは、前記光軸周りをローリング方向としてピッチング方向及びヨーイング方向に対する振れ補正機構を備えている、ことを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ付き携帯電話機等に搭載される振れ補正機能付きの光学ユニット及びそれ用の駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の振れ補正機能付きの光学ユニットとして、特許文献1から特許文献3に記載されている装置が挙げられる。この光学ユニットは、ローリング(光軸回りの振れ)の補正を行う機能を備えている。
光学ユニットは、光学モジュールが装着される被装着部を有する可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記被装着部に装着された状態の前記光学モジュールの光軸周りに回転可能に支持する支持部とを備えている。光学モジュールからフレキシブル配線基板が引き出され、該フレキシブル配線基板は、前記光学モジュールの光軸周りの回転を可能にする回転許容構造を備えている。この回転許容構造は、前記フレキシブル配線基板を渦巻き状や螺旋状にすることで構成され、前記固定体の内側(光軸中心側)に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2012/004994号公報
【文献】特開2002-344784号公報
【文献】特開2015-82072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から特許文献3に記載されているいずれの装置も、前記固定体に前記可動体を回転可能に取り付けた状態にして、フレキシブル配線基板を有する光学モジュールを前記可動体に後付けする組付けについては考慮されていない。具体的には、前記フレキシブル配線基板を渦巻き状や螺旋状で構成される前記回転許容構造を有し、該回転許容構造は前記固定体の内側(光軸中心側)に配設されているので、光学モジュールを前記可動体に後付けする組付けには不向きな構造である。
また、光学ユニットの光軸方向の高さ寸法を小さく(小型化)しようとする場合に、上記従来の構造では容易に実現することはできない。
【0005】
本発明の目的は、前記固定体に前記可動体を回転可能に取り付けた状態にして、フレキシブル配線基板を有する光学モジュールを前記可動体に後付けする組付けを容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る駆動装置は、光学モジュールが装着される被装着部を有する可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記被装着部に装着された状態の前記光学モジュールの光軸周りに回転可能に支持する支持部と、を備え、前記可動体は、前記光学モジュールから引き出されるフレキシブル配線基板が固定される可動体側固定部を備え、前記固定体は、前記フレキシブル配線基板が固定される固定体側固定部を備え、前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、前記フレキシブル配線基板の厚み方向を前記光軸の方向と直交する方向とする姿勢で引き回される領域である、ことを特徴とする。
【0007】
ここで「直交する姿勢」とは、前記フレキシブル配線基板の厚み方向と交差する面が固定部の外周面と対向する姿勢であればよく、前記フレキシブル配線基板の厚み方向が前記光軸の方向と厳密に直交する姿勢に限られず、傾いて対向している姿勢も含む意味である。
【0008】
本態様によれば、前記可動体は、前記光学モジュールから引き出されるフレキシブル配線基板が固定される可動体側固定部を備える。前記固定体は、前記フレキシブル配線基板が固定される固定体側固定部を備える。そして、前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、前記フレキシブル配線基板の厚み方向を前記光軸の方向と直交する方向とする姿勢で引き回される領域である。
これにより、前記光学モジュールの光軸周りの回転を可能にするフレキシブル配線基板の前記回転許容構造を、前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分の前記「引き回される領域」を利用して配設することが可能となる。
従って、前記固定体に前記可動体を回転可能に取り付けた状態にして、続いてフレキシブル配線基板を有する光学モジュールを前記可動体に後付けする組付けを容易に行うことができる。
また、光学ユニットとして組み立てられた状態において、その光軸方向の高さ寸法を小さく(小型化)しようとする場合に、容易に実現することはできる。
【0009】
本発明は、上記駆動装置において更に、前記固定体側固定部は、前記固定体側固定部が形成される辺よりも径方向外側に突出している、ことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記外側への突出構造により、前記可動体の前記光軸周りの回転に伴う前記フレキシブル配線基板の前記固定体側固定部の位置を支点とする揺動を可能にする隙間等を容易に形成することができ、もってフレキシブル配線基板の前記回転許容構造をシンプルな構造で実現しやすくなる。
【0011】
本発明は、上記駆動装置において更に、前記可動体側固定部の固定面方向は前記固定体側固定部の固定面方向と異なる、ことを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記可動体側固定部の固定面方向は前記固定体側固定部の固定面方向と異なる構造により、フレキシブル配線基板の前記回転許容構造をシンプルな構造で実現しやすくなる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を前記光学モジュールの光軸周りに回転可能に支持する支持部と、を備え、前記可動体は、前記光学モジュールから引き出されるフレキシブル配線基板が固定される可動体側固定部を備え、前記固定体は、前記フレキシブル配線基板が固定される固定体側固定部を備え、前記フレキシブル配線基板は、前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分に引き回され、前記フレキシブル配線基板の前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、前記可動体の前記光軸周りの回転を許容する構造である、ことを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記光学モジュールの光軸周りの回転を可能にするフレキシブル配線基板の前記回転許容構造を、前記固定体の外周に沿う領域であって前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分の前記「引き回される領域」を利用して設けている。即ち、前記回転許容構造は固定体の内側でなく外側に設けられている。
従って、前記固定体に前記可動体を回転可能に取り付けた状態にして、続いてフレキシブル配線基板を有する光学モジュールを前記可動体に後付けする組付けを容易に行うことができる。
【0015】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板の前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、該フレキシブル配線基板の厚み方向を前記光軸の方向と直交する方向とする姿勢で引き回されている、ことを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記フレキシブル配線基板の前記可動体側固定部と前記固定体側固定部の間の部分は、該フレキシブル配線基板の厚み方向を前記光軸の方向と直交する方向とする姿勢で引き回されている構造であるので、フレキシブル配線基板の前記回転許容構造をシンプルな構造で実現しやすい。
【0017】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記固定体及び可動体が前記光軸方向に占める領域の内側に位置する、ことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、光学ユニットの光軸方向の高さ寸法を小さく(小型化)しようとする場合に、容易に実現することができる。
【0019】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記固定体が前記光軸方向に占める領域の内側に位置する、ことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、光学ユニットの光軸方向の高さ寸法を小さく(小型化)しようとする場合に、容易に実現することができる。
【0021】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記固定体側固定部は、前記固定体側固定部が形成される辺よりも径方向外側に突出している、ことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記固定体側固定部の前記外側への突出構造により、前記可動体の前記光軸周りの回転に伴う前記フレキシブル配線基板の前記固定体側固定部の位置を支点とする揺動を可能にする隙間等を容易に形成することができ、もってフレキシブル配線基板の前記回転許容構造をシンプルな構造で実現することができる。
【0023】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記可動体側固定部は、隣接する前記固定体の外周より径方向外側に突出している、ことを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記可動体側固定部が前記隣接する前記固定体の外側へ突出した構造を備えるので、前記光学モジュールが光軸周りに回転する際に前記フレキシブル配線基板が前記固定体の外周面に擦れる虞を低減することができる。
【0025】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部から第1の方向に延びる部分と、前記固定体側固定部から前記第1の方向と異なる方向である第2の方向に延びる部分を有する、ことを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部から第1の方向に延びる部分と、前記固定体側固定部から第2の方向に延びる部分を有するので、フレキシブル配線基板の前記回転許容構造を一層容易に実現することができる。
【0027】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記第1の方向に延びる部分と第2の方向に延びる部分とでL字形状を成している、ことを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記フレキシブル配線基板は、前記第1の方向に延びる部分と第2の方向に延びる部分とでL字形状を成しているので、フレキシブル配線基板の前記回転許容構造を一層容易に実現することができることに加えて、前記回転許容構造から前記可動体に不要な反力が作用する虞を低減することができる。
【0029】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記第2の方向に延びる部分の長さは、前記第1の方向に延びる部分の長さより長い、ことを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、前記第2の方向に延びる部分の長さは、前記第1の方向に延びる部分の長さより長いので、前記回転許容構造から前記可動体に不要な反力が作用する虞を効率的に低減することができる。
【0031】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部と前記固定体側固定部との間の部分が前記光軸周りの方向に沿って湾曲している、ことを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部と前記固定体側固定部との間の部分が前記光軸周りの方向に沿って湾曲しているので、フレキシブル配線基板の前記回転許容構造を容易に実現することができる。
【0033】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部と前記固定体側固定部との間の部分が折り返されて2つ以上重なっている、ことを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、光学ユニットの光軸方向の高さ寸法を増大させることなく、前記フレキシブル配線基板を配設することができる。
【0035】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記折り返されてできる折り返し部にスリットがある、ことを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、前記折り返し部にスリットがあるので、折り返し部分の局所的な膨らみを抑制することができる。
【0037】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部に固定される部分、前記固定体側固定部に固定される部分の少なくとも一方に補強板があり、前記補強板は、前記フレキシブル配線基板と前記固定部との間に位置する、ことを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、補強板が前記フレキシブル配線基板と前記固定部との間に位置するので、該フレキシブル配線基板の前記固定部への強固な固定を実現しやすくなっている。更に、補強板の材質を前記各固定部の材質と熱膨張係数が近いものを選定することで、熱変化による剥離の虞を低減することができる
【0039】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記フレキシブル配線基板は、前記可動体側固定部に固定される部分、前記固定体側固定部に固定される部分の少なくとも一方に補強板があり、前記補強板は、前記フレキシブル配線基板に対して前記固定部と反対側に位置する、ことを特徴とする。
【0040】
本態様によれば、補強板が前記フレキシブル配線基板に対して前記固定部と反対側に位置するので、該フレキシブル配線基板の前記固定部への強固な固定を実現しやすくなっている。
【0041】
本発明は、上記光学ユニットにおいて更に、前記光学モジュールは、前記光軸周りをローリング方向としてピッチング方向及びヨーイング方向に対する振れ補正機構を備えている、ことを特徴とする。
【0042】
本態様によれば、前記光学モジュールは、前記光軸周りにおけるローリング方向に対する振れ補正に加えて、ピッチング方向及びヨーイング方向に対する振れ補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、前記固定体に前記可動体を回転可能に取り付けた状態にして、フレキシブル配線基板を有する光学モジュールを前記可動体に後付けする組付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の実施形態1を示す図で、光学ユニットを表す正面側からの斜視図。
【
図2】本発明の実施形態1を示す図で、光学ユニットを表す正面図。
【
図3】本発明の実施形態1を示す図で、光学ユニットを表す背面側からの斜視図。
【
図4】本発明の実施形態1を示す図で、駆動装置を表す背面側からの斜視図。
【
図5】本発明の実施形態1を示す図で、フレキシブル配線基板の引回し形態の一例を表す斜視図。
【
図6】本発明の実施形態1を示す図で、フレキシブル配線基板の展開状態を表す平面図。
【
図7】本発明の実施形態2を示す図で、フレキシブル配線基板の引回し形態の一例を表す斜視図。
【
図8】本発明の実施形態2を示す図で、フレキシブル配線基板の展開状態を表す平面図。
【
図9】本発明の実施形態3を示す図で、光学ユニットを表す正面側からの斜視図。
【
図10】本発明の他の実施形態を示す図で、フレキシブル配線基板の引回し形態の他の一例を表す正面図。
【
図11】本発明の他の実施形態を示す図で、フレキシブル配線基板の引回し形態の更に他の一例を表す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、
図1~
図6に表す実施形態1と、
図7及び
図8に表す実施形態2と、
図9に表す実施形態3の三つの実施形態を例にとって本発明の駆動装置及び光学ユニットの構成と、その作動態様について説明する。
尚、以下の説明では、実施形態1の説明の中で、本発明の駆動装置及び光学ユニットの全体構成の概略について最初に説明し、次に本発明の特徴的構成となる要部の構成を中心にして、本発明に係る実施形態の駆動装置及び光学ユニットの具体的構成と、その作動態様について説明する。
【0046】
次に、上述した実施形態1との相違点を中心にして、実施形態2に係る光学ユニットの具体的構成と、実施形態3に係る光学ユニットの具体的構成について説明する。
最後に、上記三つの実施形態とは部分的構成を異にする本発明の他の実施形態について、
図10及び
図11に表す実施形態を含めて簡単に説明する。
【0047】
[実施形態1]
(1)駆動装置及び光学ユニットの全体構成の概略(
図1~
図4参照)
本発明に係る実施形態の駆動装置2は、光学モジュール3が装着される被装着部5を有する可動体7と、固定体9と、固定体9に対して可動体7を被装着部5に装着された状態の光学モジュール3の光軸L周りに回転可能に支持する支持部11と、を備えている。
そして、可動体7は、光学モジュール3から引き出されるフレキシブル配線基板(以下、「FPC」ともいう)13が固定される可動体側固定部15を備え、固定体9は、FPC13が固定される固定体側固定部17を備えている。
【0048】
本発明に係る実施形態の光学ユニット1は、光学モジュール3を備える可動体7と、固定体9と、固定体9に対して可動体7を光学モジュール3の光軸L周りに回転可能に支持する支持部11と、を備えている。ここで、可動体7と固定体9の構造は前記の通りである。
【0049】
従って、本発明に係る実施形態の光学ユニット1は、本発明に係る実施形態の駆動装置2の構成に光学モジュール3とFPC13を加えた構成になっている。
そして、駆動装置2における固定体9の外周に沿う領域Cであって可動体側固定部15と固定体側固定部17の間の部分Dは、FPC13の厚み方向Tを光軸Lの方向Zと直交する方向X、Yとする姿勢で引き回される領域になっている。
【0050】
一方、光学ユニット1におけるFPC13側から見れば、FPC13は、固定体9の外周に沿う領域Cであって上記両固定部15、17の間の部分Dに引き回され、FPC13の上記両固定部15,17の間の部分Dに存する部分が、可動体7の光軸L周りの回転を許容する構造23になっている。
そして、FPC13の回転許容構造23は、固定体9の内側ではなく、固定体9の外側に設けられているため、FPC13を有する光学モジュール3を可動体7に対して後付けで組み付ける作業を容易にしている。
【0051】
本発明に係る実施形態の駆動装置2と光学ユニット1は、カメラ付き携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる比較的小型の装置ないしユニットである。この駆動装置2及び光学ユニット1には、光学モジュール3のローリング(光軸L周りの振れ)方向Rの動きを可能にする支持部11と、光学モジュール3のローリング方向Rの振れ補正を行うアクチュエータと、を基本的に備えている。
また、本実施形態に係る光学モジュール3には、図示は省略するが、この種の装置及びユニットに設けられる光学モジュール3のピッチング(縦振れ)方向Yとヨーイング(横振れ)方向Xの動きを可能にする図示しない支持構造と、光学モジュール3のピッチング方向Yとヨーイング方向Xの振れ補正を行うアクチュエータとを備えていてもよい。
【0052】
光学モジュール3は、被写体側+Zにレンズ3aを備え、一例として矩形筐体状のハウジング3bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されたモジュールである。
光学モジュール3は、光学モジュール3のレンズ3aが設けられる前面と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる一例として矩形枠状のホルダ枠8によって支持されている。そして、ホルダ枠8の対向する2面を利用してローリング検出用の一組の磁石33がこれらの外面側に取り付けられている。
【0053】
また、光学モジュール3の後面には、
図3に表すように、FPC13の一端が臨むように配設されており、FPC13は、上述した固定体9の外周に沿う領域Cを通るように引き出されてFPC13の他端が固定体9側に取り付けられている。
そして、光学モジュール3と、FPC13の一端と共にローリング方向Rに移動する磁石33を備えたホルダ枠8が可動体7になっている。
【0054】
一方、固定体9は、被写体の側+Zの面に窓部41を有し、被写体と反対側-Zの面が開放された前記可動体7より一回り大きな一例として矩形容器状の外部ケーシング39と、上記開放された被写体と反対側-Zの面における光学モジュール3の外周のFPC13の引出し始端部を除く範囲を覆う背面板40と、を備えている。
また、外部ケーシング39の内方には、コイル取付けフレーム35が一体に設けられており、このコイル取付けフレーム35に対して、前記一組の磁石33と対向する位置にローリング検出補正用の一組のコイル31が取り付けられている。尚、本実施形態ではコイル31としてコイルをパターンとして配線基板内に取り込んだパターン基板が一例として採用されている。
【0055】
また、可動体7のホルダ枠8の4つのコーナー部と、これと対向する固定体9のコイル取付けフレーム35の4隅には、一例として板バネ状の弾性部材12が設けられている。この弾性部材12の一端を可動体7側に、そして他端を固定体9側に接続することによって、可動体7をローリング方向Rに移動可能な状態で支持する支持部11が構成されている。 また、本実施形態では、光学モジュール3のヨーイング方向Xとピッチング方向Yの移動と、その移動量を検出し補正するための機構として、以下のように構成されている(図示は省略する)。 光学モジュール3の内部に2軸補正アクチュエータがあり、その構造はジンバル機構とは別の機構で、レンズバレルを光軸と直交する方向にシフトする機構部を備え、レンズバレルのシフト量を検出して二組のコイルとマグネットにより駆動している。
【0056】
(2)駆動装置及び光学ユニットの具体的構成(
図1~
図6参照)
次に、本発明に係る実施形態の特徴的構成となる要部の構成を中心にして本実施形態に係る駆動装置2と光学ユニット1Aの具体的構成について説明する。
先ず、本実施形態では、FPC13Aの可動体側固定部15と固定体側固定部17の間の部分Dは、FPC13Aの厚み方向Tを光軸Lの方向Zと直交する方向X、Yに設定した姿勢で引き回されるように構成されている。
因みに、このように構成することで、FPC13Aの円滑な移動が可能になって回転許容構造23のシンプル且つコンパクト化を実現している。
【0057】
また、本実施形態では、FPC13Aは、固定体9及び可動体7が光軸方向Zに占める領域Eの内側(Eの範囲内)に位置するように配設されている。更に、本実施形態では、FPC13Aは、固定体9が光軸方向Zに占める領域Fの内側に位置するように構成されている。
因みに、このように構成することで、薄型カメラ等に好適な光軸方向Zの高さ寸法Hの小さな、光軸方向Zにコンパクトな駆動装置2及び光学ユニット1Aを提供できるようになる。
【0058】
また、本実施形態では、固定体側固定部17が固定体9の外部ケーシング39における
図2中、下辺25の左端寄りに設けられており、固定体側固定部17は、下辺25よりも径方向Gの外側に所定量J、突出した一例として矩形状の凸部によって構成されている。
因みに、このように構成することで、固定体側固定部17の
図2中の右側に光学モジュール3のローリング方向Rの移動に伴うFPC13Aの揺動を可能にする揺動許容空間29を形成することが可能になる。
ここで、「揺動」は、光学モジュール3のローリング方向Rの移動に伴うFPC13Aの移動や変形を表す意味で使われている。FPC13Aは、固定体側固定部17に固定された位置を支点Oとして移動し変形する、則ち揺動する。尚、固定体側固定部17の突出量Jは、光学モジュール3のローリング方向Rの変位量等に基づいて設定される。
【0059】
また、本実施形態では、可動体側固定部15が可動体7のホルダ枠8における
図2中の側面26(下辺25に対する右辺)のY方向における中央部に設けられている。可動体側固定部15は、その側面27の位置が、更に径方向Gの外側に突出して、可動体側固定部15に隣接する固定体9の
図2中の側面26よりも所定量K突出するように構成されている。尚、可動体側固定部15も固定体側固定部17と同様、一例として矩形状の凸部によって構成されている。
因みに、このように構成することで、可動体側固定部15から引き出されたFPC13Aが対向する固定体9の外部ケーシング39の外周面から突出量Kだけ離れるので、光学モジュール3のローリング方向Rの動きに伴ってFPC13Aが移動する際、FPC13Aが外部ケーシング39の外周面に擦れる虞を低減することが可能になる。
【0060】
また、本実施形態では、可動体側固定部15の固定面の方向が第1の方向Aに設定されており、固定体側固定部17の固定面の方向が第2の方向Bに設定されている。そして、本実施形態では、
図2に表すように、第1の方向Aと第2の方向Bは、直交する異なる方向に設定されている。
これに伴って、FPC13Aは、可動体側固定部15から第1の方向Aに延びる部分13aと、固定体側固定部17から第1の方向Aと異なる方向である第2の方向Bに延びる部分13bと、を有している。
【0061】
そして、本実施形態では、FPC13Aにおける第1の方向Aに延びる部分13aと、FPC13Aにおける第2の方向Bに延びる部分13bと、がL字状になるように配設されている。
因みに、このようにL字状に構成することで、回転許容構造23から可動体7側に不要な反力が作用する虞を低減することができるようになり、回転許容構造23の構造をシンプルに構成することが可能になる。
【0062】
また、本実施形態では、FPC13Aにおける固定体側固定部17側の第2の方向Bに延びる部分13bの長さMを、可動体側固定部15側の第1の方向Aに延びる部分13aの長さNよりも長くなるように設定している。
因みに、このように構成することで、光学モジュール3がローリング方向Rに移動したとき、支点Oに直結されている部分であるFPC13Aの第2の方向Bに延びる部分13bの揺動が円滑に行われるようになって、回転許容構造23から可動体7側に不要な反力が作用する虞を効率的に低減することが可能になる。
【0063】
また、本実施形態では、使用されているFPC13Aの展開形状が
図6に示すように平面視コの字状に形成されている。そして、FPC13Aの中間部が他の部位に比べて幾分幅広に形成されている。
また、幅広に形成されたFPC13Aの中間部がFPC13Aの可動体側固定部15と固定体側固定部17との間の部分Dに収まる部分になり、この部分を光軸方向Zに折り返すことによって2つ以上重なって光軸方向Zの高さ寸法Hが軸方向Zに占める領域E、Fの範囲内に収まるように構成されている。
【0064】
また、本実施形態では、光軸方向Zに折り返すFPC13Aの中間部の長手方向の中心が一例として折返し線Pになっており、この折返し線P上にFPC13Aの折り返しを容易にするためのスリット37が適宜の長さに亘って設けられている。なお、スリット37は、FPC13Aの折返し部分の局所的な膨らみを抑制するといった効果も併せ持っている。
【0065】
更に、本実施形態では、FPC13Aの可動体側固定部15に固定される部分13cと、FPC13Aの固定体側固定部17に固定される部分13dと、の両方に、一例として矩形平板状の補強板43が設けられている。
そして、補強板43は、前記2つの固定部15、17と、これらに固定されるFPC13Aの部分13c、13dとの間に一例として設けられている。
【0066】
尚、この補強板43は、FPC13Aに対して予め一体化されて取り付けられていることが好ましい。また、補強板43は、機械的強度に加えて耐熱性に優れる材料によって形成することが好ましい。例えば、補強板43の材質として上記2つの固定部15、17の材質と熱膨張係数が近いものを選定することで、熱変化によるFPC13Aの剥離の虞を低減させることができる。
また、補強板43は、FPC13Aの外側、則ちFPC13Aに対して固定部15、17と反対側に配設することが可能であり、多重折りしたFPC13Aの中に挟まれた状態で配設することも可能である。即ち、補強板43は、FPC13Aの最外周側にくる場合や折りたたまれたFPC13Aの間にくる場合も含む。
【0067】
(3)駆動装置と光学ユニットの作動態様(
図1~
図6参照)
次に、このようにして構成される本実施形態に係る駆動装置2と光学ユニット1Aの作動態様を、光学モジュール3のローリング方向Rの動き(振れ)と、その振れ補正と併せて説明する。
光学モジュール3にローリング方向Rの振れが外部から加わると、光学モジュール3のローリング方向Rの振れは、光学モジュール3を保持しているホルダ枠8に伝達され、該ホルダ枠8に取り付けられているローリング検出用の一組の磁石33もローリング方向Rに変位する。
【0068】
ローリング検出用の磁石33の変位は、コイル取付けフレーム35に取り付けられているローリング検出用の一組のコイル31との相対位置の変化として現れ、該相対位置の変化によって発生する磁束密度の変化量を図示しない磁気センサー等によって検出し、その検出量に基づいてローリング方向Rにおける光学モジュール3の振れ補正を行う。
そして、ローリング方向Rの振れ補正後、駆動源への電流の供給が停止され、弾性部材12のバネ性により弾性部材12は、元の状態に戻る。
【0069】
また、光学モジュール3がローリング方向Rに移動すると、その回転量と回転方向に対応して両固定部15、17によって保持されたFPC13Aも形状を変化させながら移動する。
この場合、FPC13Aの第1の方向Aに延びる部分13aは、ほぼ第1の方向Aに沿って直線的に移動する。
一方、FPC13Aの第2の方向Bに延びる部分13bは、固定側固定部17に固定された部分を支点Oとして、前記第1の方向Aに延びる部分13aとの接続点Qを第1の方向Aにほぼ沿う方向に移動させるように揺動する。そして、このときFPC13Aは、光学モジュール3の動きに影響を与える反力を生じさせない状態で円滑に移動するため光学モジュール3の正確な振れ補正が可能になる。
【0070】
そして、このようにして構成される本実施形態に係る駆動装置2と光学ユニット1Aによれば、FPC13Aを固定体9の外周に沿って引き回しているから、FPC13Aを有する光学モジュール3を、駆動装置2に組み付ける作業を後付け作業として容易に行えるようになる。
また、前述したFPC13Aの引き回しにより、光軸方向Zと、光軸Lと直交する方向X、Yにコンパクトな光学ユニット1Aが提供できるようになり、光学モジュール3の動きに影響を与えないFPC13Aの配置が可能になる。
【0071】
[実施形態2](
図7及び
図8参照)
次に、フレキシブル配線基板(FPC)13の形状と、FPC13の引回し形態と、を変更した実施形態2に係る光学ユニット1Bの構成について説明する。
尚、駆動装置2としては、実施形態1で説明した駆動装置2を使用することが可能である。
従って、ここでは実施形態1と同様の構成については説明を省略し、実施形態1と異なる実施形態2特有の構成を中心にして説明する。
【0072】
本実施形態では、
図8に表すように、フレキシブル配線基板(FPC)13Bとして、中間部が実施形態1の
図6に表すFPC13Aよりも幅狭のフレキシブル配線基板(FPC)13Bが採用されている。そして、FPC13Bの中間部の幅寸法は、固定体9及び可動体7の光軸方向Zに占める領域Eの高さ寸法と同等か、それ以下であり、より好ましくは固定体9の光軸方向Zに占める領域Fの高さ寸法と同等か、それ以下の寸法になるように設定されている。
そして、本実施形態では、FPC13Bは、
図7に表すように、途中で折り返さないで1枚の厚みを保ったまま引き回されるように構成されており、実施形態1に係るFPC13Aに設けられていたスリット37は設けられていない。
【0073】
また、FPC13Bの厚みは0.1mm以下が望ましく、このように設定すれば、光学モジュール3のローリング方向Rの動きに追従するFPC13Bの円滑な移動ないし変形が可能になる。
そして、このように構成される本実施形態に係る光学ユニット1Bによっても、実施形態1と同様の作用、効果を発揮でき、FPC13Bの後付けによる組付け作業の容易化と、光学ユニット1Bの小型化と、光学モジュール3に影響を与えないFPC13Bの引き回しとが可能になる。
【0074】
[実施形態3](
図9参照)
次に、フレキシブル配線基板(FPC)13の中間部の引回し形態を変更した実施形態3に係る光学ユニット1Cの構成について説明する。
尚、駆動装置2としては、実施形態1で説明した駆動装置2を使用することが可能である。
従って、ここでは実施形態1と同様の構成については説明を省略し、実施形態1と異なる実施形態3特有の構成を中心にして説明する。
【0075】
即ち、本実施形態では、
図9に表すように、フレキシブル配線基板(FPC)13Cは、可動体側固定部15と固定体側固定部17との間の部分Dに存する中間部分が光軸L周りの方向に沿って湾曲している。尚、この場合、FPC13Cの中間部分の全体が湾曲していてもよいし、FPC13Cの中間部分の一部(例えばコーナー部)のみが湾曲していても構わない。
そして、このように構成される本実施形態に係る光学ユニット1Cによっても、実施形態1と同様の作用、効果を発揮でき、FPC13Cの後付けによる組付け作業の容易化と、光学ユニット1Cの小型化と、光学モジュール3に影響を与えないFPC13Cの引き回しとが可能になる。
ただし、本実施形態の場合には、FPC13Cの厚みが厚くなると、前記湾曲部の撓みによる反発力が光学モジュール3のローリング方向Rの動きに影響することが予想される。従って、なるべく厚みの薄いFPC13Cを使用して上記反発力の影響を少なくすることが好ましい。
【0076】
[他の実施形態]
本発明の実施形態に係る駆動装置2及び光学ユニット1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0077】
例えば、
図10に表すように、フレキシブル配線基板(FPC)13Dの第1の方向Aに延びる部分13aと、FPC13Dの第2の方向Bに延びる13bとを、図示のように90°以上の角度αで交差させた状態で接続した構成の回転許容構造23を採用することも可能である。
因みに、このような構成の回転許容構造23を採用した場合には、光学モジュール3のローリング方向Rの動きに追従してFPC13Dは、
図10中、仮想線で示す範囲で揺動するようになる。ここで、仮想線13D1は光学モジュール3が反時計回りに回転した場合のFPC13Dの位置を示し、仮想線13D2は光学モジュール3が時計回りに回転した場合のFPC13Dの位置を示す。従って、特にFPC13Dの径方向Gの外方への張出し量(仮想線13D2)が小さくなるから、光学ユニット1を搭載するカメラハウジングとのクリアランスが小さい場合等に当該構成は有効である。
【0078】
また、
図11に表すように、フレキシブル配線基板(FPC)13Eの中間部の一部、例えば第1の方向Aに延びる部分13aの一部に蛇腹状の屈曲部45を設けて回転許容構造23とすることが可能である。そして、このような構成を採用した場合には、第2の方向Bに延びる部分13bの揺動と、屈曲部45の伸縮と、によって、光学モジュール3に反力の影響を与えないでFPC13Eの円滑な移動ないし変形が可能になる。
【0079】
この他、フレキシブル配線基板(FPC)13の中間部を折り返す場合の回数は2回に限らず円滑なFPC13の移動ないし変形が可能な範囲で3回以上になってもよい。また、フレキシブル配線基板(FPC)13に適用される層構造は。片面と両面のどちらでもよいが、その場合でも円滑なフレキシブル配線基板(FPC)13の動きを確保するためフレキシブル配線基板(FPC)13の厚みは0.1mm以下に設定することが望ましい。
また、両固定部15、17間の部分Dに存する固定体9の外部ケーシング39のコーナー部の形状は、円滑なフレキシブル配線基板(FPC)13の移動を可能にするために滑らかな曲線形状に形成することが望ましい。
【符号の説明】
【0080】
1…光学ユニット、2…駆動装置、3…光学モジュール、3a…レンズ、
3b…ハウジング、5…被装着部、7…可動体、8…ホルダ枠、9…固定体、
11…支持部、12…弾性部材、13…フレキシブル配線基板(FPC)、
13D1…仮想線、13D2…仮想線、
15…可動体側固定部、17…固定体側固定部、
23…回転を許容する構造(回転許容構造)、25…下辺(辺)、26…側面、
27…側面、29…揺動許容空間、31…コイル、33…磁石、
35…コイル取付けフレーム、37…スリット、39…外部ケーシング、
40…背面板、41…窓部、43…補強板、45…弾性屈曲部、
L…光軸、X…ヨーイング方向(横振れ方向)、Y…ピッチング方向(縦振れ方向)、
R…ローリング方向(光軸周りの振れの方向)、Z…光軸方向、
X、Y…光軸と直交する方向、A…第1の方向、B…第2の方向、
C…(固定体の)外周に沿う領域、D…(両固定部の)間の部分、T…厚み方向、
H…(光軸方向の)高さ寸法、E…光軸方向に占める領域、
F…光軸方向に占める領域、G…径方向、J…所定量(突出量)、
K…所定量(突出量)、M…長さ、N…長さ、P…折返し線、O…支点、Q…接続点、
α…角度