IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライオン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ブリスター包装容器 図1
  • 特許-ブリスター包装容器 図2
  • 特許-ブリスター包装容器 図3
  • 特許-ブリスター包装容器 図4
  • 特許-ブリスター包装容器 図5
  • 特許-ブリスター包装容器 図6
  • 特許-ブリスター包装容器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ブリスター包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
B65D75/36
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018199143
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020066444
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】定家 恵実
(72)【発明者】
【氏名】荻島 敦子
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-177774(JP,A)
【文献】特開平10-095457(JP,A)
【文献】特開2014-114044(JP,A)
【文献】特開2017-132528(JP,A)
【文献】特開2017-165438(JP,A)
【文献】実公昭42-021926(JP,Y1)
【文献】実開平05-049664(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーム状に膨出し、複数の毛束が設けられたヘッド部、ネック部及びハンドル部が長さ方向の先端側から後端側に順次設けられた歯ブラシを収容するドーム部を備えた透明樹脂製の容器本体と、
前記ドーム部の開口側を閉鎖する板体とを備え、
前記ドーム部は、
前記板体との間に前記歯ブラシを収容した前記容器本体が、前記ヘッド部が上側となる向きで吊り下げられたときに、前記ハンドル部の後端側端部と非接触であり、
且つ、前記ドーム部は、前記歯ブラシのうち、前記長さ方向と直交する方向に視たときに、前記後端側に向かって先細る側面に前記後端側から面接触して支持する支持部を有することを特徴とするブリスター包装容器。
【請求項2】
前記側面は、前記ヘッド部において、前記板体に沿い前記長さ方向と直交する方向で前記ネック部よりも突出する突部に形成され、
前記ドーム部は、前記ヘッド部を収容するヘッド収容部を有し、
前記支持部は、前記ヘッド収容部の一部に設けられている、
請求項1記載のブリスター包装容器。
【請求項3】
前記側面は、前記ハンドル部において前記後端側に向かって先細る領域に形成され、
前記ドーム部は、前記ハンドル部を収容するハンドル収容部を有し、
前記支持部は、前記ハンドル収容部の一部に設けられている、
請求項1記載のブリスター包装容器。
【請求項4】
前記側面は、前記ハンドル部において前記長さ方向と直交する方向の長さが最も大きい領域から先細る領域に形成されている、
請求項3記載のブリスター包装容器。
【請求項5】
前記ドーム部の前記後端側の末端に、前記板体との間に前記歯ブラシを収容した前記容器本体が、前記ヘッド部が上側となる向きで吊り下げられた状態で前記歯ブラシに前記後端側への力が加わったときに、前記支持部の弾性変形により前記ハンドル部の前記後端側端部と当接可能な当接部が設けられ、
前記当接部は、前記後端側に向かうのに従って前記板体に接近する向きに傾く当接面を有し、
前記当接面は、前記長さ方向と直交する面に対する交差角度が30°以上、70°以下である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のブリスター包装容器。
【請求項6】
前記ドーム部は、前記支持部の前記後端側の端部が臨み当該端部から後端側に延びる空間を有している、
請求項1から5のいずれか一項に記載のブリスター包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシを収容する包装容器として、歯ブラシが収容されるブリスター部分(容器本体)がドーム形状に突出しているドーム部と、ドーム部(収容部)の開口部分を閉鎖する板体とを有するブリスター包装容器が知られている。
【0003】
このようなブリスター包装容器では、輸送中の落下や、店頭で金具などに吊り下げられた状態から取り外す際に誤って落としてしまう等の事態により、落下衝撃を受けることがある。その際、歯ブラシにおけるハンドル部の下端部を介して落下衝撃を受けるブリスタードーム底部に亀裂を生じさせることが懸念されている。
【0004】
特許文献1には、ブリスターパック下端部の台紙中央部に位置する箇所に切り欠き部を設けることや、歯ブラシハンドルに設けられた吊り下げ用穴に挿入されて歯ブラシハンドルを支持する凹みをブリスタードームに設けること、さらに、ブリスタードームにおける歯ブラシハンドル下端受け部を台形形状とすることによって、歯ブラシ柄が外装体の歯ブラシ柄下端受け部に与える衝撃を、歯ブラシ柄下端を支える2箇所に分散することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-107649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したようなブリスター包装容器では、落下衝撃が切り欠き部の両側の台紙に集中して台紙が変形するため、外観性が低下するという問題が生じる。また、上述したブリスター包装容器において、歯ブラシハンドルを支持する凹みを設けることは、歯ブラシハンドルに吊り下げ用穴が設けられた歯ブラシにしか適用できないという制約がある。
【0007】
さらに、ブリスタードームの歯ブラシハンドル下端受け部を台形形状とした場合でも、歯ブラシ下端部とブリスタードームとの接触面積が小さいため、単位面積当たり大きな落下衝撃がブリスタードームに加わるため、ブリスタードームの亀裂防止対策としては十分とは言えない。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、落下衝撃を受けた場合でも外観性を低下させることなく、ドーム部における亀裂の発生を抑制できるブリスター包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従えば、ドーム状に膨出し、複数の毛束が設けられたヘッド部、ネック部及びハンドル部が長さ方向の先端側から後端側に順次設けられた歯ブラシを収容するドーム部を備えた透明樹脂製の容器本体と、前記ドーム部の開口側を閉鎖する板体とを備え、前記ドーム部は、前記板体との間に前記歯ブラシを収容した前記容器本体が、前記ヘッド部が上側となる向きで吊り下げられたときに、前記ハンドル部の後端側端部と非接触であり、且つ、前記ドーム部は、前記歯ブラシのうち、前記長さ方向と直交する方向に視たときに、前記後端側に向かって先細る側面に前記後端側から面接触して支持する支持部を有することを特徴とするブリスター包装容器が提供される。
【0010】
また、上記本発明の一態様に係るブリスター包装容器において、前記側面は、前記ヘッド部において、前記板体に沿い前記長さ方向と直交する方向で前記ネック部よりも突出する突部に形成され、前記ドーム部は、前記ヘッド部を収容するヘッド収容部を有し、前記支持部は、前記ヘッド収容部の一部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、上記本発明の一態様に係るブリスター包装容器において、前記側面は、前記ハンドル部において前記後端側に向かって先細る領域に形成され、前記ドーム部は、前記ハンドル部を収容するハンドル収容部を有し、前記支持部は、前記ハンドル収容部の一部に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、上記本発明の一態様に係るブリスター包装容器において、前記側面は、前記ハンドル部において前記長さ方向と直交する方向の長さが最も大きい領域から先細る領域に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、上記本発明の一態様に係るブリスター包装容器において、前記ドーム部の前記後端側の末端に、前記板体との間に前記歯ブラシを収容した前記容器本体が、前記ヘッド部が上側となる向きで吊り下げられた状態で前記歯ブラシに前記後端側への力が加わったときに、前記支持部の弾性変形により前記ハンドル部の前記後端側端部と当接可能な当接部が設けられ、前記当接部は、前記後端側に向かうのに従って前記板体に接近する向きに傾く当接面を有し、前記当接面は、前記長さ方向と直交する面に対する交差角度が30°以上、70°以下であることを特徴とする。
【0014】
また、上記本発明の一態様に係るブリスター包装容器において、前記ドーム部は、前記支持部の前記後端側の端部が臨み当該端部から後端側に延びる空間を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、落下衝撃を受けた場合でも外観性を低下させることなく、ドーム部の亀裂の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態を示す図であって、ブリスター包装容器1の分解斜視図である。
図2】歯ブラシ50が収容されたブリスター包装容器1を、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げたときの側面断面図である。
図3図2におけるヘッド部53近傍を+Z側から視た部分正面図である。
図4図2における端部収容部46を拡大した部分拡大図である。
図5図2における端部収容部46近傍を+Z側から視た部分正面図である。
図6】第2実施形態に係るブリスター包装容器1の正面図である。
図7】同ブリスター包装容器1を、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げたときのYZ平面と平行な平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のブリスター包装容器の実施の形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るブリスター包装容器1の分解斜視図である。図2は、歯ブラシ50が収容されたブリスター包装容器1を、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げたときの側面断面図である。
ブリスター包装容器1は、容器本体10及び板体20を有している。容器本体10及び板体20は、平面視略矩形の板状に形成されている。容器本体10は、歯ブラシ50を収容するドーム部11を有している。
【0019】
歯ブラシ50は、先端側に設けられたヘッド部53、ヘッド部53の後端側に設けられたネック部54、ネック部54の後端側に設けられたハンドル部55を有している。すなわち、歯ブラシ50は、先端側から後端側に順次設けられたヘッド部53、ネック部54及びハンドル部55を有する。
【0020】
なお、以下で説明する歯ブラシ50の構成は一例である。本実施形態に係るブリスター包装容器1が収容する歯ブラシ50を限定するものではない。
【0021】
ヘッド部53は、植毛面51に毛束52が植設されている。ヘッド部53の形状、長さ、幅、厚さ等については特に限定されない。本実施形態におけるヘッド部53は、厚さが、一例として2.0mm~4.0mmの範囲に設定された薄型ヘッドである。
【0022】
以下の説明においては、容器本体10、板体20及び歯ブラシ50の長さ方向をY方向とし、植毛面51と平行でY方向と直交するヘッド部53の幅方向をX方向とし、Y方向及びX方向と直交するとともに植毛面51と直交する方向をZ方向として適宜説明する。
【0023】
図3は、図2におけるヘッド部53を+Z側から視た正面図である。
ヘッド部53は、図2に示すように、ハンドル部55の長さ方向であるY方向が長手とされ、正面視において頂部が曲線で隅切りされた平板状とされている。ヘッド部53は、正面視において、ヘッド部53の先端からネック部54に向かうに従い幅方向外側に広がり、次いで同等の幅で延在し、次いで幅方向内側に狭まり、ネック部54との境界に至る形状を有している。
【0024】
すなわち、ヘッド部53は、ネック部54との境界近傍に、幅方向でネック部54よりも突出する突部53aを幅方向の両側にそれぞれ有している。突部53aは、正面視においてヘッド部53の外側に中心が位置する円弧形状の曲面(側面)53bを有している。曲面53bは、突部53aにおけるZ方向全体に亘って形成されている。
【0025】
ネック部54は、ヘッド部53とハンドル部55とを一体的に接続する。
本実施形態において、ネック部54は、正面視でハンドル部55に向かって拡幅して延びている。
【0026】
ハンドル部55は、ネック部54との境界から正面視で一定幅で後端側に延びた後、後端側に向かって縮幅している。ハンドル部55におけるネック部54との境界から一定幅で後端側に延びる領域は、正面視で最も広い幅の主把持部である。主把持部よりも後端側で縮幅したハンドル部55は、後端側に向かって正面視で先端側の幅よりも狭い一定幅で延びている。ハンドル部55の断面形状は、略矩形である。
【0027】
図2に示すように、歯ブラシ50は、X方向視である側面視におけるZ方向の長さを示す厚さがヘッド部53において最も薄い。歯ブラシ50の厚さは、ヘッド部53からネック部54とハンドル部55との境界に亘って、後端側に向かうに従って徐々に厚くなる。歯ブラシ50の厚さは、上記主把持部で最大厚さとなり、後端側に向かって漸次厚さが薄くなった後に後端側端部まで一定の厚さで延びている。
【0028】
容器本体10は、平面視略矩形状の基板部12と、基板部12外周端縁から-Z側に全周に亘って延びる側壁部13と、側壁部の-Z側端部から外側に張り出すフランジ部14とを有している。フランジ部14は、XY平面と平行である。
【0029】
容器本体10として、例えばポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられ、とくに透明性に優れるポリエステル系樹脂のポリエチレンテレフタレート樹脂が好適に用いることができる。
【0030】
基板部12は、+Z側にドーム状に膨出するドーム部11を有している。
ドーム部11は、板体20と対向する-Z側が開口している。ドーム部11は、開口する-Z側から歯ブラシ50を収容する。ドーム部11は、植毛面51及び毛束52が+Z側に向く姿勢で歯ブラシ50を収容する。
【0031】
ドーム部11は、ヘッド部53を収容するヘッド収容部43と、ネック部54を収容するネック収容部44と、ハンドル部55の後端側端部55aを除いた領域を収容するハンドル収容部45と、ハンドル部55の後端側端部55aを収容する端部収容部46とを有している。
【0032】
ヘッド収容部43は、図2に示すように、ドーム部11と板体20との間に歯ブラシ50が収容されたときに、側面視において毛束52の先端よりも+Z側に離間する高さで設けられている。ヘッド収容部43は、図3に示すように、正面視におけるヘッド部53の外形輪郭よりも大きな外形輪郭で形成されている。ヘッド収容部43は、正面視において、ヘッド部53の突部53aに-Y側から当接して支持する支持部43aを有している。支持部43aは、正面視においてヘッド部53の外側に中心が位置する円弧形状の曲面43bを有している。曲面43bの曲率は、ヘッド部53における曲面53bの曲率と同一である。曲面43bは、曲面53bのZ方向全体に亘って-Y側から当接して支持可能である。曲面43bは、正面視において後端側に向かって先細る側面を形成する。
【0033】
支持部43aの曲面43bは、板体20との間に歯ブラシ50を収容した容器本体10が、ヘッド部53が上側となる向き(ずなわち、Y軸方向が鉛直方向で+Y側が上側となる向き)で吊り下げられたときにヘッド部53における突部53aの曲面53bに下側から当接する。すなわち、支持部43aは、ヘッド部53が上側となる向きで容器本体10が吊り下げられたときに、突部53aの曲面53bに下側から面接触して支持する。
【0034】
支持部43aの後端側の端部は、ネック収容部44の収容空間に臨んでいる。すなわち、ドーム部11は、支持部43aの後端側の端部から後端側に延びる収容空間を有している。
【0035】
ドーム部11と板体20との間に歯ブラシ50が収容されたときに、側面視におけるネック部54とネック収容部44とのZ方向の距離は、図2に示すように、毛束52の先端とヘッド収容部43とのZ方向の距離よりも小さく設定されている。また、図3に示すように、ドーム部11と板体20との間に歯ブラシ50が収容されたときに、正面視におけるネック部54とネック収容部44とのX方向の距離は、正面視におけるヘッド部53とヘッド収容部43とのX方向の距離よりも小さく設定されている。
【0036】
従って、本実施形態のブリスター包装容器1では、ネック部54とネック収容部44との隙間がヘッド部53とヘッド収容部43との隙間よりも小さくなる。そのため、本実施形態のブリスター包装容器1では、ネック収容部44に対するネック部54のZ方向への移動及びX方向への移動が規制されることにより、ヘッド部53がZ方向またはX方向に移動して毛束52がヘッド収容部43に当接して変形する等の不具合を抑制することができる。
【0037】
ハンドル収容部45は、ネック部54の後端側の一部と、後端側端部55aを除いた領域のハンドル部55とを収容する。ハンドル収容部45のX方向の幅は、基板部12のX方向の幅とほぼ同一である。
【0038】
図4は、図2における端部収容部46を拡大した部分拡大図である。図5は、端部収容部46近傍を+Z側から視た部分正面図である。図4及び図5においては、+Y側が鉛直方向の上側となる状態が示されている。
図1図4及び図5に示すように、端部収容部46は、後端側端部55aの+Z側に配置された保持部47及び当接部48と、後端側端部55aのX方向両側に配置された保持部49とを有している。
【0039】
保持部49は、YZ平面と略平行に配置されている。各保持部49と後端側端部55aとのX方向の距離は、ハンドル収容部45とハンドル部55とのX方向の距離よりも小さい。各保持部49と後端側端部55aとのX方向の距離は、ネック部54とネック収容部44とのX方向の距離と同等である。従って、歯ブラシ50は、先端側においてネック部54がネック収容部44に小さな隙間でX方向に保持され、後端側において後端側端部55aが保持部49に小さな隙間でX方向に保持される。そのため、歯ブラシ50は、X方向に位置決めされY方向に延びた状態でドーム部11に保持されて収容されている。
【0040】
図4に示すように、保持部47は、XY平面と略平行である。保持部47と後端側端部55aとのZ方向の距離は、ハンドル収容部45とハンドル部55とのZ方向の距離よりも小さい。保持部47と後端側端部55aとのZ方向の距離は、ネック部54とネック収容部44とのZ方向の距離と同等である。従って、歯ブラシ50は、先端側においてネック部54がネック収容部44に小さな隙間でZ方向に保持され、後端側において後端側端部55aが保持部47に小さな隙間でZ方向に保持される。そのため、歯ブラシ50は、Z方向に位置決めされY方向に延びた状態でドーム部11に保持されて収容されている。
【0041】
当接部48は、板体20との間に歯ブラシ50を収容した容器本体10が、ヘッド部53が上側となる向き(ずなわち、Y軸方向が鉛直方向で+Y側が上側となる向き)で吊り下げられたときに、歯ブラシ50の後端側端部55aと非接触となる位置に配置されている。当接部48は、板体20との間に歯ブラシ50を収容した容器本体10が、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げられた状態で歯ブラシ50に後端側への力が加わったときに支持部43aの弾性変形により、図4中、二点鎖線で示すように、-Y側に移動したハンドル部55の後端側端部55aと当接可能な当接面48aを有している。
【0042】
当接面48aは、保持部47の-Y側端部から後端側(-Y側)に向かうのに従って板体20に接近する向きに傾いている。当接面48aは、ハンドル部55の長さ方向と直交するXZ平面と平行な面に対して交差角度θでX軸周りに傾いている。
【0043】
板体20は、容器本体10と同一の外形輪郭を有している。板体20は、容器本体10のフランジ部14と溶着、接着等によって固定されている。板体20を構成する材料は特には限定されないが、例えば各種の樹脂製シートや紙材をシート基材とするシートを用いることができる。シート基材が紙材である場合、例えば、紙のみからなる厚紙や、紙製シートに各種樹脂をコーティング又は樹脂製シートや蒸着シートを張り合わせた合成紙等が一例として挙げられる。
【0044】
ブリスター包装容器1は、図1に示すように、容器本体10及び板体20が切り欠かれZ方向に貫通する切欠部60を有している。切欠部60は、ヘッド収容部43よりも+Y側に設けられている。切欠部60は、第1切欠部61と第2切欠部62とを有している。
【0045】
第1切欠部61は、一端が容器本体10及び板体20の-X側の端縁に開口している。第1切欠部61は、+X側に向かうのに従って、漸次+Y側に向かう方向に延びている。第2切欠部62は、第1切欠部61の他端から+Y側に延びている。第2切欠部62の+Y側の端部は、中心が-Y側に位置する円弧部である。当該円弧部の中心位置は、歯ブラシ50を収容したブリスター包装容器1の重心位置を通るY方向に延びる直線上に配置されている。
【0046】
上記構成のブリスター包装容器1は、例えば、店頭においてZ方向に延びる金具等の軸部材を、第2切欠部62に-Z側から挿通させて円弧部に係合させることで、板体20との間に歯ブラシ50を収容した容器本体10が、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げられた状態で陳列される。
【0047】
また、ブリスター包装容器1を+X側から-X側に相対移動させて、Z方向に延びる金具等の軸部材に対して軸と直交する方向に軸部材を第1切欠部61から第2切欠部62に導入し、円弧部に係合させることが可能である。円弧部の中心位置が歯ブラシ50を収容したブリスター包装容器1の重心位置を通るY方向に延びる直線上に配置されているため、歯ブラシ50が鉛直方向に沿った姿勢で吊り下げられた状態でブリスター包装容器1を陳列することができる。
【0048】
ブリスター包装容器1が吊り下げられた状態においては、ヘッド収容部43の支持部43aがヘッド部53の突部53aに後端側(すなわち下側)から当接し、当接部48の当接面48aと後端側端部55aとの間には隙間が形成されている。
【0049】
例えば、吊り下げられて陳列されたブリスター包装容器1は、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げられた状態から落下した場合(以下、単に落下時と称する)、落下衝撃は、ヘッド部53の突部53aからヘッド収容部43の支持部43aに伝達されるとともに、支持部43aの弾性変形により-Y側に移動したハンドル部55の後端側端部55aから当接部48の当接面48aに伝達される。
【0050】
ヘッド部53の突部53aを介して伝達された落下衝撃は、ヘッド収容部43の支持部43aが弾性変形することにより吸収される。このとき、ヘッド部53の突部53aとヘッド収容部43の支持部43aとは面接触しており、例えば線接触していた場合と比べて接触面積が大きくなる。そのため、ヘッド収容部43の支持部43aに伝達される単位面積あたりの落下衝撃は、線接触していた場合と比べて小さくなる。従って、ヘッド収容部43の支持部43aに亀裂が生じることを抑制できる。
【0051】
また、従来技術のように、X方向の両側に線対称で配置された支持部43aの後端側の端部同士が接続部を介して接続されている場合には、支持部43aを互いに離間させる方向の力が当該接続部に加わったときに、当該接続部に亀裂が生じる可能性がある。これに対して、本実施形態のブリスター包装容器1では、支持部43aの後端側の端部が後端側に延びる収容空間に臨んでおり支持部43aの後端側の端部同士を接続する接続部が設けられていないことから、支持部43aを互いに離間させる方向の力が加わったとしても、当該接続部を起点として亀裂が生じるということがない。
【0052】
一方、支持部43aの弾性変形によりハンドル部55の後端側端部55aが当接した当接面48aは、後端側に向けて板体20に接近する向きに傾斜しているため、落下時に後端側端部55aは、当接面48aに沿って滑る。後端側端部55aが滑ることにより、ブリスター包装容器1の落下時に後端側端部55aと接触する当接面48aの面積が増加する。そのため、当接面48aに加わる単位面積あたりの落下衝撃を小さくすることができる。
【0053】
また、落下時に当接する後端側端部55aから伝達される力により生じる当接面48aの垂直抗力のうち、-Z側に向く水平方向成分の力が、交差角度θに応じた大きさで後端側端部55aに加わる。
【0054】
例えば、落下時に当接面48aに力Fが加わる場合の垂直抗力Aは、下式(1)で表される。
A=F×cosθ …(1)
また、垂直抗力Aの水平方向成分Hは、下式(2)で表される。
H=A×sinθ …(2)
【0055】
従って、落下時に後端側端部55aに加わる-Z側に向く水平方向成分の力H55は、下式(3)で表される。
H55=F×cosθ×sinθ …(3)
【0056】
落下時に式(3)で表される力H55が加わることにより、後端側端部55aは-Z側に移動して板体20に当接する。落下時に後端側端部55aが板体20に当接することにより、板体20は落下衝撃の一部を負担することになる。すなわち、板体20が落下衝撃の一部を負担することにより、当接面48aに加わる落下衝撃を低減することができる。
【0057】
上述のように、落下時に当接面48aに加わる単位面積あたりの落下衝撃を小さくする点、及び-Z側に向く水平方向成分の力H55を大きくする点から、交差角度θとしては、30°以上、90°未満であることが好ましく、30°以上、70°以下であることがより好ましい。
【0058】
交差角度θが30°未満の場合には、落下時に後端側端部55aが当接面48aに沿って滑る距離が短くなるとともに、水平方向成分の力H55が小さくなり、当接面48aに加わる落下衝撃の低減量が十分ではなくなる可能性がある。交差角度θが90°以上の場合には、当接面48aが後端側端部55aに当接することができなくなる。
【0059】
また、交差角度θが70°を超えた場合には、歯ブラシ50の全長に対して当接面48aがY方向に長くなってしまい、歯ブラシ50の全長に対してドーム部11の長さが不必要に長くなってしまう。一方、ブリスター包装容器1のY方向の長さを規定値に収めるためには、容器本体10におけるドーム部11の位置を+Y側にずらすことが考えられるが、この場合、ヘッド収容部43と切欠部60とが干渉してしまい、ブリスター包装容器1を店頭で陳列する際に必要な切欠部60を設けるスペースを確保できなくなる。
【0060】
以上のように、本実施形態のブリスター包装容器1では、ヘッド部53の突部53aとヘッド収容部43の支持部43aとが面接触しており、例えば線接触していた場合と比べて接触面積を大きくすることができる。そのため、本実施形態のブリスター包装容器1では、ヘッド収容部43の支持部43aに伝達される単位面積あたりの落下衝撃を、線接触していた場合と比べて小さくすることができ、板体20の変形等で外観性を低下させることなく、ヘッド収容部43の支持部43aに亀裂が生じることを効果的に抑制することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態のブリスター包装容器1では、支持部43aの後端側の端部が後端側に延びる収容空間に臨んでおり支持部43aの後端側の端部同士を接続する接続部が設けられていないことから当該接続部を起点として亀裂が生じることを回避できる。
【0062】
また、本実施形態のブリスター包装容器1では、落下時にハンドル部55の後端側端部55aが当接可能であり後端側に向かうに従って板体20に接近する向きに傾く当接面48aが設けられているため、落下時にドーム部11において亀裂が発生することを一層抑制することができる。
【0063】
特に、本実施形態のブリスター包装容器1では、当接面48aとXZ平面と平行な面との交差角度θが30°以上、70°以下であるため、落下時に後端側端部55aが当接面48aに沿って滑る距離が短くなるとともに、水平方向成分の力H55が小さくなり、当接面48aに加わる落下衝撃の低減量が十分ではなくなる等の交差角度θが30°未満の場合に生じる不具合や、歯ブラシ50の全長に対してドーム部11の長さが不必要に長くなり外観性が低下するとともに、ブリスター包装容器1を店頭で陳列する際に必要な切欠部60を設けるスペースを確保できなくなる等の交差角度θが70°を超えた場合の不具合を抑制できる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、ブリスター包装容器1の第2実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。これらの図において、図1乃至図5に示す第1実施形態のブリスター包装容器1の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図6は、第2実施形態に係るブリスター包装容器1の正面図である。図7は、同ブリスター包装容器1を、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げたときのYZ平面と平行な平面で切断した断面図である。
図6に示すように、ブリスター包装容器1におけるハンドル収容部45は、Y方向の中途に-Z側のハンドル部55に向けて突出する支持部45aを有している。
【0066】
図7に示すように、歯ブラシ50におけるハンドル部55は、X方向で視た側面視で+Z側に配置され最大厚さとなる側面55bと、側面55bから後端側に向かって先細る(-Z側に向かって窪む)曲面で形成された側面55cとを有している。側面55bは、X方向の長さについてもハンドル部55における最大幅を有している。
【0067】
支持部45aは、後端側に向かうに従って-Z側に向かって突出する曲面を有している。支持部45aは、ヘッド部53が上側となる向きでブリスター包装容器1が吊り下げられた状態において、後端側(-Y側)から側面55cに面接触する。
他の構成は、上記第1実施形態のブリスター包装容器1と同様である。
【0068】
上記構成のブリスター包装容器1が、ヘッド部53が上側となる向きで吊り下げられた状態から落下した場合、ハンドル部55の側面55cを介して伝達された落下衝撃は、ハンドル収容部45の支持部45aが弾性変形することにより吸収される。このとき、ハンドル部55の側面55cとハンドル収容部45の支持部45aとは面接触しており、例えば線接触していた場合と比べて接触面積が大きくなる。そのため、ハンドル収容部45の支持部45aに伝達される単位面積あたりの落下衝撃は、線接触していた場合と比べて小さくなる。従って、ハンドル収容部45の支持部45aに亀裂が生じることを抑制できる。
【0069】
本実施形態のブリスター包装容器1では、上記第1実施形態と同様の効果が得られることに加えて、ハンドル部55における最大幅近傍の側面55cを支持するため、大きな面積で面接触することが可能である。そのため、本実施形態のブリスター包装容器1では、ハンドル収容部45の支持部45aに伝達される単位面積あたりの落下衝撃を小さくすることが可能となり、支持部45aに亀裂が生じることを効果的に抑制できる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態で説明した歯ブラシ50の構成は一例であり、ブリスター包装容器に収容される歯ブラシとしては、ヘッド部、ネック部及びハンドル部を有していれば特に限定されない。
【0072】
また、上記第2実施形態では、ハンドル部55において側面視で+Z側に配置された側面55cを支持部45aが面接触して支持する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、ハンドル部55において正面視で+X側と-X側との少なくとも一方の側面に対して支持部が後端側(-Y側)から面接触する構成や、上記+Z側の側面55cと上記+X側と-X側との少なくとも一方の側面との双方を支持部が後端側(-Y側)から面接触する構成であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、当接面48aがXZ平面がX軸周りに傾いた面と平行な傾斜面である構成を例示したが、この構成に限定されない。当接面48aとしては、例えば、側面視において、-Z側に中心が配置された円弧状の曲面であってもよい。この場合、交差角度θとしては、当接面48aが後端側端部55aと当接する箇所の接線とXZ平面と平行な面とが交差する角度とすればよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ブリスター包装容器、 10…容器本体、 11…ドーム部、 20…板体、 43a、45a…支持部、 44…ネック収容部、 45…ハンドル収容部、 48…当接部、 48a…当接面、 50…歯ブラシ、 52…毛束、 53…ヘッド部、 53a…突部、 53b…曲面(側面)、 54…ネック部、 55…ハンドル部、 55a…後端側端部、 55c…側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7