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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20220610BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019154859
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021031259
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】大西 陽介
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-112614(JP,A)
【文献】特開2007-140640(JP,A)
【文献】特開2003-157382(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0104126(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機の動作を監視する昇降機監視装置と、前記昇降機監視装置を通じて複数の前記昇降機の動作を遠隔監視する昇降機監視システムと、前記昇降機監視システムに前記昇降機の契約情報を設定する契約情報設定装置と、を備える遠隔監視システムであって、
前記昇降機監視装置は、
前記昇降機の運行を制御する昇降機制御装置から入力する前記昇降機の運転情報に基づいて前記昇降機の動作の異常を検出した場合に、前記契約情報に従って、前記昇降機に発生する異常の種類に応じた異常発報を前記昇降機監視システムに通知する昇降機監視部を有し、
前記昇降機監視システムは、
前記昇降機監視装置から通知された前記異常発報を受信して、前記契約情報設定装置に前記異常発報を出力する発報受信部と、
前記契約情報設定装置が設定した前記契約情報を記録する契約情報記録部と、を有し、
前記契約情報設定装置は、
前記発報受信部から前記異常発報が出力された時点で設定されている前記契約情報、及び前記契約情報に従って通知される前記異常発報に関する情報と、前記昇降機監視システムが推奨する契約情報、及び推奨された前記契約情報に従って通知される前記異常発報に関する情報とを、所定のタイミングで比較可能に出力する比較出力部を有する
遠隔監視システム。
【請求項2】
前記比較出力部は、前記異常発報に関する情報として、所定期間における前記昇降機の総不稼働時間、前記異常発報の内容とを比較可能に出力し、
前記契約情報設定装置は、推奨された前記契約情報に従って入力される契約情報を前記契約情報記録部に設定する契約情報設定部を有する
請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記昇降機監視装置は、前記昇降機監視部が検出した前記昇降機の異常を表す異常情報を保存する異常情報保存部を有し、
前記昇降機監視システムは、
前記異常情報、及び前記昇降機監視部から通知された前記異常発報を記録する異常情報記録部と、
前記所定のタイミングで前記異常情報保存部から読み出した前記異常情報を前記異常情報記録部に書き込む異常情報読出し部と、を有し、
前記比較出力部は、前記異常情報記録部から読み出した前記異常情報と、前記契約情報記録部から読み出した前記契約情報とを出力する
請求項2に記載の遠隔監視システム。
【請求項4】
前記昇降機監視装置は、前記昇降機に設定された前記契約情報を、前記契約情報記録部から取得して保存する契約情報保存部を有し、
前記昇降機監視部は、前記契約情報保存部から読み出した前記契約情報に基づき、前記運転情報から検出した異常の異常種類に応じて前記異常発報の要否を判定し、発報要と判定した異常種類の前記異常発報を前記昇降機監視システムに通知する発報要否判定部を有する
請求項3に記載の遠隔監視システム。
【請求項5】
前記契約情報には、前記異常種類に応じて異なる発報許可レベルが規定され、
前記発報要否判定部は、前記昇降機監視部が検出した前記異常の前記異常種類のレベルが、前記契約情報に規定される前記発報許可レベル以上である場合に発報要と判定し、前記異常の前記異常種類のレベルが、所定の前記発報許可レベル未満であっても、前記異常の異常種類が、個別発報項目に設定され、かつ対応時間内である場合に発報要と判定する
請求項4に記載の遠隔監視システム。
【請求項6】
前記所定のタイミングは、前記発報受信部が前記異常発報を受信する第1タイミング、前記昇降機に設けられた機内通話装置と前記昇降機監視システムで使用される監視通話装置とが通話可能に接続した第2タイミング、又は現在時刻が前記異常情報を読み出す時刻として規定された異常情報読出し時刻である第3タイミングのいずれかである
請求項3に記載の遠隔監視システム。
【請求項7】
前記昇降機は、エレベーター又はエスカレーターである
請求項1~6のいずれか一項に記載の遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、昇降機の遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターは、契約者や管理者が保守会社とメンテナンス契約を行い、保守会社は契約情報に従ってエレベーターの点検や故障時の対応を行う。米国や欧州では、故障時等の対応について、対応時間等の条件を細かく定めることが一般的である。
【0003】
また、エレベーターの動作を監視することが可能な監視装置を監視センターに設置し、公衆回線網経由で監視センターと接続してエレベーターを監視する技術も一般的に知られている。
例えば、特許文献1には、「顧客が有する情報端末からの監視情報の送信要求を受信すると、顧客情報データベースに当該顧客の契約種別が第2の契約と記憶されていたときのみ、監視データメモリに記憶された当該顧客の昇降機の監視情報を当該顧客の情報端末へ配信する」と記載されている。
【0004】
また、保全対象の昇降機の実績データを入力することで保全サービスの立案を支援し、保全事業を運営するための技術として、特許文献2に開示された技術が知られている。この特許文献2には、「保全サービス立案支援システムと、保全事業シミュレータに評価指標の算出を複数回行なわせることによって保全事業計画の立案を支援する保全事業計画立案支援システムと、を備える保全事業支援システム」について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-112614号公報
【文献】特開2004-323162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、監視装置が、契約情報に従って顧客への情報提供の実施可否を判定し、監視センターが、異常発生情報における異常が保守員の派遣を必要とするレベルを超えると判断した場合に、保守員に出動指示を行う。しかし、契約者は、エレベーターの保守レベルを正確に把握していないことがある。このため、保守員が出動するレベルの異常でないにも関わらず、保守員が出動しているはずと思い込むことがある。この場合、エレベーターに発生した異常への対処が遅れかねない。
【0007】
また、特許文献2に記載された支援システムは、エレベーターの稼働状況に応じて部品交換やエレベーターのリニューアルの提案を行うものであり、エレベーターの故障発生時に保守員に対して出動指示を行うための基準となる保守レベルの見直しを提案するものではない。
【0008】
ここで、エレベーターに対して設けられる監視装置は、エレベーターに発生する異常状態を検出する。監視装置が検出可能なエレベーターの異常状態としては、乗りかご内に利用者が閉じ込められる閉じ込め故障、利用者は閉じ込められていないが、エレベーターが使用できない故障、エレベーターの運転継続は可能な一過性の故障等がある。また、現在は故障していないが、将来的に故障に繋がるエレベーターの状態についても、エレベーターの異常状態として検出されることがある。
【0009】
これらの異常を検出した監視装置は、監視センターに異常状態の発生を通報する。監視センターは、異常状態が発生したエレベーターの最寄りにある事業所等に保守員の出動を指示し、指示された保守員が現場に出動する。しかし、エレベーターの運転が継続できる場合は、必ずしも保守員の即時の出動の必要はなく、保守員の作業が増えてしまう。一方で、エレベーターの停止を伴う異常であっても、契約情報に設定されていない異常に対して保守員は対応しないことから、エレベーターの不稼働時間が長くなる。一般的に、多くの契約者は、不稼働時間が短くなるような契約を望んでいる。しかし、契約者は、どのような契約であればエレベーターの不稼働時間を短くすることができるか分からず、既存の契約情報を適切に変更できなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、例えば、昇降機の遠隔監視システムの契約者が適切に契約情報を見直せるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る遠隔監視システムは、昇降機の動作を監視する昇降機監視装置と、昇降機監視装置を通じて複数の昇降機の動作を遠隔監視する昇降機監視システムと、昇降機監視システムに昇降機の契約情報を設定する契約情報設定装置と、を備える。
昇降機監視装置は、昇降機の動作を制御する昇降機制御装置から入力する昇降機の運転情報に基づいて昇降機の動作の異常を検出した場合に、契約情報に従って、昇降機に発生する異常の種類に応じた異常発報を昇降機監視システムに通知する昇降機監視部を有する。
昇降機監視システムは、昇降機監視装置から通知された異常発報を受信して、契約情報設定装置に異常発報を出力する発報受信部と、契約情報設定装置が設定した契約情報を記録する契約情報記録部と、を有する。
契約情報設定装置は、発報受信部から異常発報が出力された時点で設定されている契約情報、及び契約情報に従って通知される異常発報に関する情報と、昇降機監視システムが推奨する契約情報、及び推奨された契約情報に従って通知される異常発報に関する情報とを、所定のタイミングで比較可能に出力する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、昇降機の遠隔監視システムの契約者は、契約情報設定装置に比較可能に出力された契約情報及び異常発報に関する情報を確認することで、契約情報を見直すことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る遠隔監視システムの内部構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る契約情報の一例を示す図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る異常情報の一例を示す図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る発報要否判定部の処理の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施の形態に係る異常情報読出し装置が、異常情報と異常発報を読出す処理の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施の形態に係る契約内容確認画面の表示例を示す画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0015】
ここでは、本発明の一実施の形態に係る遠隔監視システム1の構成例及び動作例について説明する。
図1は、遠隔監視システム1の内部構成例を示すブロック図である。
【0016】
遠隔監視システム1は、建屋2に設置されたエレベーター制御装置10、エレベーター11、エレベーター監視装置14、及び通信装置15と、監視センター3に設置されたエレベーター監視システム30(昇降機監視システムの一例)と、契約者が使用する契約情報設定装置4とを備える。
【0017】
エレベーター11は、エレベーター利用者が乗車する乗りかご12を備える。
エレベーター制御装置10(昇降機制御装置の一例)は、乗りかご12のかごドア及び乗り場ドアの開閉、乗り場呼び、及びかご呼びに応じた乗りかご12の昇降動作等を含むエレベーター11の運行を制御する。
【0018】
乗りかご12内には、インターホン13(機内通話装置の一例)が設置される。
エレベーター監視装置14には、エレベーター監視システム30で使用される通話装置33との通話を制御するインターホン制御部26が設けられる。
【0019】
乗りかご12の閉じ込め等のトラブル発生時は、乗りかご12にいる利用者が、インターホン13の呼釦を押下することでインターホン制御部26(通話制御部の一例)が、エレベーター監視システム30に設けられた通話装置33と接続する。そして、利用者は、インターホン13を通じて監視センター3で待機するオペレーターと通話することが可能である。
【0020】
エレベーター監視装置14(昇降機監視装置の一例)は、エレベーター制御装置10から出力されるエレベーター11の運行情報に基づいて、エレベーター11の動作を監視し、エレベーター11に発生する異常を検出する。
通信装置15は、通信回線を介してエレベーター監視装置14とエレベーター監視システム30との間の通信を行う。
【0021】
<エレベーター監視装置>
ここで、エレベーター監視装置14の詳細な内部構成例について説明する。
エレベーター監視装置14は、エレベーター監視部21、異常情報保存部23、契約情報保存部24、監視センター通信部25、及びインターホン制御部26を備える。なお、エレベーター監視部21は、発報要否判定部22を備える。
【0022】
エレベーター監視部21(昇降機監視部の一例)は、エレベーター制御装置10から出力されるエレベーター11の運行情報を参照して、エレベーター11の運行を監視する。そして、エレベーター監視部21は、運行情報に基づいてエレベーター11の動作の異常を検出した場合に、契約情報に従って、エレベーター11に発生する異常の種類に応じた異常発報をエレベーター監視システム30に通知する。例えば、エレベーター監視部21は、運行情報から、利用者の乗りかご12への閉じ込め等、エレベーター11の異常を検出した場合、エレベーター監視システム30の発報受信部32に対して異常発報を通知する。
【0023】
異常発報の発報要否は、発報要否判定部22によって行われる。この発報要否判定部22は、契約情報保存部24から読み出した契約情報に基づき、エレベーター監視システム30の発報受信部32へ異常発報を行うか否かを判定する。この契約情報には、異常種類に応じて異なる発報許可レベルが規定される。そして、発報要否判定部22は、運転情報から検出した異常の異常種類に応じて異常発報の要否を判定し、発報要と判定した異常種類の異常発報をエレベーター監視システム30に通知する。ここで、発報要否判定部22は、エレベーター監視部21が検出した異常の異常種類のレベルが、契約情報に規定される発報許可レベル以上である場合に発報要と判定する。しかし、発報要否判定部22は、エレベーター監視部21が検出した異常の異常種類のレベルが、所定の発報許可レベル未満であっても、異常の異常種類が、個別発報項目に設定され、かつ対応時間内である場合に発報要と判定する。
【0024】
異常情報保存部23は、エレベーター監視部21が検出したエレベーター11の異常について、異常発報されたか否かに関わらず、エレベーター11の異常を表す異常情報として全て保存する。
契約情報保存部24は、エレベーター監視部21が監視対象とするエレベーター11に設定された契約情報を、エレベーター監視システム30の契約情報記録装置34から取得して保存する。
【0025】
監視センター通信部25は、通信装置15を介してエレベーター監視システム30と通信を行う。この監視センター通信部25は、エレベーター監視システム30から取得要求を受信すると、異常情報保存部23に保存された異常情報を読み出して、エレベーター監視システム30に送信する。また、監視センター通信部25は、インターホン制御部26と相互に通信可能である。また、監視センター通信部25は、通信装置15を介してエレベーター監視システム30から受信したエレベーター11の契約情報を契約情報保存部24に保存することができる。
【0026】
インターホン制御部26は、インターホン13と、通話装置33とが通話可能に接続したことを異常情報読出し装置35に通知する。異常情報読出し装置35は、インターホン制御部26からの通知を受けると、異常情報記録装置36に異常情報を書き込む。
【0027】
<エレベーター監視システム>
次に、エレベーター監視システム30の詳細な内部構成例について説明する。
エレベーター監視システム30は、エレベーター監視装置14を通じて複数のエレベーター11の動作を遠隔監視することが可能である。このエレベーター監視システム30は、エレベーター監視装置通信部31、発報受信部32、通話装置33、契約情報記録装置34、異常情報読出し装置35、及び異常情報記録装置36を備える。
【0028】
エレベーター監視装置通信部31は、建屋2に設けられた通信装置15と広域の通信回線を介して接続することで、エレベーター監視装置14と通信する。
発報受信部32は、エレベーター監視装置14から通知された異常発報を、エレベーター監視装置通信部31を介して受信して、契約情報設定装置4に異常発報を出力する。契約情報設定装置4は、異常発報されたことを表示可能である。また、発報受信部32が異常発報を受信すると、エレベーター監視システム30の不図示の指示部は、当該エレベーター11に最も近い営業拠点の保守員に対して現場への出動指示を行う。
【0029】
通話装置33(監視通話装置の一例)は、乗りかご12のインターホン13に接続され、エレベーター監視システム30で使用される。オペレーターは、通話装置33を用いて、乗りかご12に乗車している利用者と通話できる。
【0030】
契約情報記録装置34(契約情報記録部の一例)は、契約情報設定装置4が設定する契約情報、及び契約情報設定装置4が更新した契約情報を記録する。契約情報には、例えば、エレベーター監視システム30へ異常発報が行われる異常の異常種類や、保守員が出動対応することが可能な時刻等が含まれる。契約情報記録装置34に記録される契約情報の詳細な構成例については後述する図3に示す。
【0031】
異常情報読出し装置35(異常情報読出し部の一例)は、所定のタイミングでエレベーター監視装置14内の異常情報保存部23から読み出した異常情報を異常情報記録装置36に書き込む。所定のタイミングとは、例えば、発報受信部32が異常発報を受信する第1タイミング、インターホン13と通話装置33とが通話可能に接続した第2タイミング、又は現在時刻が異常情報を読み出す時刻として規定された異常情報読出し時刻である第3タイミングのいずれかである。第2タイミングは、具体的には、インターホン制御部26がエレベーター監視システム30に設けられた通話装置33と接続し、インターホン13と通話装置33の通話を開始した時である。また、第3タイミングは、例えば、1日に1回、指定時刻になった時である。
【0032】
異常情報記録装置36(異常情報記録部の一例)は、異常情報読出し装置35が異常情報保存部23から読み出した異常情報、及びエレベーター監視部21から通知された異常発報を記録する。
【0033】
<契約情報設定装置>
契約情報設定装置4は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン等の情報処理装置の一例であり、インターネット等の通信回線を通じてエレベーター監視システム30に接続される。この契約情報設定装置4は、比較出力部41と、契約情報設定部42とを備える。
【0034】
比較出力部41は、発報受信部32から異常発報が出力された時点で設定されている契約情報、及び契約情報に従って通知される異常発報に関する情報と、エレベーター監視システム30が推奨する契約情報、及び推奨された契約情報に従って通知される異常発報に関する情報とを、所定のタイミングで比較可能に出力する。この際、契約情報設定装置4は、異常情報記録装置36から読み出した異常情報と、契約情報記録装置34から読み出した契約情報とを出力する。また、比較出力部41により比較可能に出力される異常発報に関する情報として、所定期間におけるエレベーター11の総不稼働時間、異常発報の内容(後述する図7を参照)とがある。このため、契約者は、契約情報設定装置4に比較表示された契約情報の内容と、異常発報の内容とを確認することができる。
【0035】
契約情報設定部42は、契約者が入力したエレベーター11の契約情報をエレベーター監視システム30に設定する。また、契約情報設定部42は、エレベーター監視システム30から推奨された契約情報に従って入力される契約情報を受け付けて、契約情報記録装置34に記録されている契約情報を更新する。更新された契約情報は、エレベーター監視装置14の契約情報保存部24に送られ、契約情報保存部24に保存される契約情報が更新される。このため、エレベーター監視システム30は、エレベーター11で発生している異常内容を契約者に周知させ、契約情報の見直しの検討を補助することができる。
【0036】
次に、遠隔監視システム1の各装置を構成する計算機40のハードウェア構成を説明する。
図2は、計算機40のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機40は、エレベーター監視装置14、エレベーター監視システム30、及び契約情報設定装置4として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアである。
【0037】
計算機40は、バス44にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43及びバス44を備える。さらに、計算機40は、表示装置45、入力装置46、不揮発性ストレージ47及びネットワークインターフェイス48を備える。
【0038】
CPU41は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM42から読み出してRAM43にロードし、実行する。RAM43には、CPU41の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU41によって適宜読み出される。ただし、CPU41に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。エレベーター監視装置14、エレベーター監視システム30及び契約情報設定装置4の各機能は、CPU41がROM42から読み出すプログラムの演算処理により実現される。
【0039】
表示装置45は、例えば、液晶ディスプレイモニターであり、計算機40で行われる処理の結果等をユーザーに表示する。入力装置46には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、ユーザーが所定の操作入力、指示を行うことが可能である。契約情報設定装置4には、表示装置45と入力装置46が設けられるが、エレベーター制御装置14及びエレベーター監視システム30には、表示装置45と入力装置46が設けられなくてもよい。
【0040】
不揮発性ストレージ47としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ47には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機40を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM42及び不揮発性ストレージ47は、CPU41が動作するために必要なプログラムやデータ等を永続的に記録しており、計算機40によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。エレベーター監視装置14の異常情報保存部23及び契約情報保存部24、並びにエレベーター監視システム30の契約情報記録装置34及び異常情報記録装置36は、大容量の不揮発性ストレージ47によって各種の情報を記録することが可能である。
【0041】
ネットワークインターフェイス48には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。エレベーター監視装置14の通信装置15、エレベーター監視システム30のエレベーター監視装置通信部31の機能は、ネットワークインターフェイス48によって実現される。
【0042】
次に、契約情報及び異常情報の一例について、図3図4を参照して説明する。
図3は、契約情報の一例を示す図である。
【0043】
エレベーター11の遠隔監視が開始される前に契約情報設定装置4より入力され、契約情報記録装置34に記録された契約情報は、エレベーター監視装置14内の契約情報保存部24にも保存される。この契約情報は、大項目、中項目及び内容が規定されるテーブル構成としている。
【0044】
大項目には、発報許可レベル、個別発報項目、対応時間の各項目が含まれる。
発報許可レベルは、エレベーター11の異常種類を、深刻さに応じて4段階のレベルに分類し、発報要否判定部22がエレベーター監視システム30へ発報するレベルを指定するための項目である。閉じ込めは、利用者が乗りかご内に閉じ込められた故障であり、本実施の形態では閉じ込めが最も深刻な故障として、レベル4に分類される。閉じ込めは利用者の安全に関わる故障であるため、全ての契約でレベル4の内容が許可と設定される。起動不能は、利用者がいない状態でエレベーター11が動かない故障であり、ドア異常は、ドアが開かない、又はドアが閉じないといった故障である。起動不能、及びドア異常の発報許可レベルは、閉じ込めの次に重大な故障として、レベル3に分類される。
【0045】
瞬時停電は、一時的に発生した電圧異常により、エレベーター11が一瞬停電したことを示す故障である。瞬時停電の場合、現時点では復旧しているので、発報許可レベルがレベル2に分類される。速度異常は、乗りかごの速度が通常よりも低下している異常であり、加速度低下は、乗りかごの加速度が通常よりも低下している異常を示す。速度異常、加速度低下についても、現時点では復旧しており、エレベーター11の運行に支障の無い軽微な故障である。ただし、速度異常、加速度低下が、他の異常に関係することもあるため、発報許可レベルがレベル1に分類される。
【0046】
個別発報項目は、発報許可レベルが不許可に分類されるレベルに属する異常種類であっても、契約者が個別に発報を希望する場合に指定される項目である。このため、契約者は、契約情報設定装置4を操作して、個別発報項目に含まれる異常種類を事前に設定することが可能である。
対応時間は、エレベーター11の異常を検出した場合、保守員の出動対応が可能な時間を曜日ごとに規定した項目である。
【0047】
図4は、異常情報の一例を示す図である。
異常情報は、エレベーター監視部21がエレベーター制御装置10の動作を監視して検出したエレベーター11の異常を蓄積するテーブルで構成される。この異常情報は、異常検出時刻、異常種類、発報許可レベル、発報要否判定結果の各項目により構成されており、異常情報保存部23に格納される。
【0048】
異常検出時刻は、エレベーター監視部21がエレベーター11の異常を検出した時刻を格納する項目である。
異常種類は、エレベーター監視部21が検出した異常の異常種類を格納する項目である。
発報許可レベルは、エレベーター11に発生した異常の異常種類に対応するレベルを格納する項目である。レベルは、図3に示した契約情報の中項目に対応する。
発報要否判定結果は、発報要否判定部22が契約情報保存部24を参照して判定した発報要否を格納する項目である。発報要であれば「〇」、発報否であれば「×」が格納される。
【0049】
次に、発報要否判定部22が異常発報の要否を判定する処理について、図3図4を参照して説明する。
ここでは、エレベーター11に対して、図3に示した契約情報が記録されており、図4に示した異常が検出されたとする。そこで、図4に示した異常情報について、図3に示した契約情報を参照しつつ、上から順に説明する。
【0050】
「速度異常」が属する発報許可レベルは「1」の不許可であり、異常検出時刻は2019/5/20(月) 16:00:16であるので対応時間内である。このため、発報要否判定部22により発報否と判定され、エレベーター監視部21は異常発報を行わない。
【0051】
「起動不能」が属する発報許可レベルは「3」の許可であるが、異常検出時刻は2019/6/19(水) 23:23:12であるので対応時間外である。このため、発報要否判定部22により発報否と判定され、エレベーター監視部21は異常発報を行わない。
【0052】
「ドア異常」が属する発報許可レベルは「3」の許可であり、異常検出時刻は2019/6/18(火) 11:02:12であるので対応時間内である。このため、発報要否判定部22により発報要と判定され、エレベーター監視部21は、エレベーター監視システム30内の発報受信部32へ異常発報を行う。
【0053】
「瞬時停電」が属する発報許可レベルは「2」の不許可であり、異常検出時刻は2019/5/25(土) 08:01:45であるので対応時間外である。このため、発報要否判定部22により発報否と判定され、エレベーター監視部21は異常発報を行わない。
【0054】
「加速度低下」が属する発報許可レベルは「1」の不許可であるが、「加速度低下」は個別発報項目に設定されており、異常検出時刻は2019/5/15(水) 16:00:16であるので対応時間内である。このため、発報要否判定部22により発報要と判定され、エレベーター監視部21は、エレベーター監視システム30内の発報受信部32へ異常発報を行う。
【0055】
「閉じ込め」が属する発報許可レベルは「4」の許可であるが、異常検出時刻は2019/4/23(火) 04:08:27であるので対応時間外である。しかし、上述したように閉じ込めは、利用者の安全に関わる異常であり、直ちに対応しなければならない。このため、発報要否判定部22により発報要と判定され、エレベーター監視部21は、エレベーター監視システム30内の発報受信部32へ異常発報を行う。
【0056】
次に、遠隔監視システム1の動作の詳細について、図5図6を参照して説明する。
図5は、エレベーター監視部21の発報要否判定部22で行われる処理の例を示すフローチャートである。
【0057】
始めに、エレベーター監視部21は、エレベーター制御装置10よりエレベーター11の運転情報を参照し、エレベーター11の異常を検出したか否かを判定する(S1)。エレベーター11の異常を検出しなかった場合(S1のNO)、エレベーター監視部21は、再びステップS1の処理を繰り返す。
【0058】
一方、エレベーター11の異常を検出した場合(S1のYES)、発報要否判定部22は、検出された異常は閉じ込めであるか否かを確認する(S2)。発報要否判定部22は、閉じ込めが検出されたと判断した場合(S2のYES)、保守員が直ちに対処する必要があるため、監視センター3、すなわちエレベーター監視システム30に発報する(S6)。
【0059】
一方、発報要否判定部22は、閉じ込め以外の異常が検出されたと判断した場合(S2のNO)、契約情報保存部24に記録された契約情報の発報許可レベルを参照する。そして、発報要否判定部22は、エレベーター監視部21が検出した異常の異常種類が属する発報許可レベルが契約情報内で許可であるかを確認する(S3)。
【0060】
発報許可レベルが契約情報内で不許可である場合(S3のNO)、発報要否判定部22は、契約情報保存部24に記録された契約情報を参照し、エレベーター監視部21が検出した異常種類が個別発報項目に設定されている項目か否かを確認する(S4)。この異常種類が個別発報項目に設定されている場合(S4のYES)、ステップS5に進み、個別発報項目に設定されていない場合(S4のNO)、エレベーター監視システム30への発報は行われず、ステップS7に進む。
【0061】
発報許可レベルが契約情報内で許可である場合(S3のYES)、又は異常種類が個別発報項目に設定されている場合(S4のYES)、発報要否判定部22は、契約情報保存部24に記録された契約情報を参照し、異常検出時の時刻が、契約情報の対応時間内であるか否かを確認する(S5)。異常検出時の時刻が、契約情報の対応時間内でない場合(S5のNO)、エレベーター監視システム30への発報は行われず、ステップS7に進む。
【0062】
異常検出時の時刻が、契約情報の対応時間内である場合(S5のYES)、又は、異常種類が閉じ込めである場合(S2のYES)、発報要否判定部22は、発報要と判断する。そして、エレベーター監視部21は、エレベーター監視システム30内の発報受信部32へ異常発報を通知する(S6)。
【0063】
検出された異常が個別発報項目に設定されていない場合(S4のNO)、異常検出時の時刻が、契約情報内で対応時間内でない場合(S5のNO)、又は、エレベーター監視システム30へ発報された場合(S6)のいずれかの後、エレベーター監視部21は、異常情報保存部23に異常情報を記録する(S7)。上述したように異常情報の記録は、検出された異常の異常種類、発報の有無に関わらず行われる。その後、発報要否判定部22は、本処理を終了する。
【0064】
図6は、異常情報読出し装置35が、異常情報と異常発報を読出す処理の例を示すフローチャートである。
【0065】
始めに、異常情報読出し装置35は、発報受信部32がエレベーター監視部21より異常発報を受信したか否かを判断する(S11)。発報受信部32が異常発報を受信していなければ(S11のNO)、異常情報読出し装置35は、インターホン制御部26が、エレベーター監視システム30に設けられた通話装置33と接続し、インターホン13と通話装置33とが通話可能に接続されたか否かを判断する(S12)。
【0066】
インターホン13と通話装置33とが通話可能に接続していなければ(S12のNO)、異常情報読出し装置35は、現在時刻が異常情報読出し時刻であるか判断する(S13)。現在時刻が異常情報読出し時刻でない場合(S13のNO)、ステップS11に戻る。
【0067】
発報受信部32が異常発報を受信した場合(S11のYES)、インターホン13と通話装置33とが通話可能に接続した場合(S12のYES)、又は現在時刻が異常情報読出し時刻である場合(S13のYES)、異常情報読出し装置35は、異常情報保存部23に記録された異常情報を読出す。そして、異常情報読出し装置35は、読み出した異常情報を異常情報記録装置36に記録する(S14)。
【0068】
ステップS14の後、契約情報設定装置4は、契約者が契約情報設定装置4にてエレベーター11の異常発生状況を確認したか否かを判断する(S15)。ステップS15の処理は、例えば、契約者が契約情報設定装置4を操作して、後述する図7に示す契約内容確認画面50の表示指示を入力したか否かにより判断される。契約者が異常発生状況を確認していなければ(S15のNO)、ステップS11に戻り、引き続き所定のタイミングで異常情報読出し装置35が異常情報保存部23から異常情報を読み出し、異常情報記録装置36に異常情報を記録する動作を繰り返す。
【0069】
一方、契約者が異常発生状況を確認していれば(S15のYES)、契約情報設定装置4の比較出力部41は、異常情報記録装置36から異常情報を読み出す。そして、比較出力部41は、エレベーター監視システム30から送信される異常発報と、異常情報とを、表示装置45(図2を参照)に比較可能に表示する(S16)。この際、現在の契約情報、及び推奨される契約情報についても、契約情報設定装置4の比較出力部41が表示装置45に表示する。その後、異常情報読出し装置35は、本処理を終了する。
【0070】
なお、契約情報設定装置4の契約情報設定部42は、契約者が入力する契約情報の変更を受け付ける。契約者が契約情報を変更すると、契約情報設定装置4は、変更後の契約情報を契約情報記録装置34に設定する。契約情報記録装置34に設定された変更後の契約情報は、エレベーター監視装置14の契約情報保存部24にも自動的に更新される。
【0071】
<契約内容確認画面の表示例>
図7は、契約内容確認画面50の表示例を示す画面構成図である。契約内容確認画面50は、契約情報設定装置4の表示装置45に表示される。
【0072】
契約情報設定装置4は、契約者がエレベーター11の保守契約を締結する際に、契約者が契約内容を選択し、入力するための機能を有する。さらに、契約情報設定装置4は、異常情報記録装置36に記録された異常情報と、検出された異常の復旧情報、発報受信部32が受信した異常発報情報から、例えば月ごとにエレベーター11の不稼働時間等を算出し、不稼働時間等を表示する機能も有する。また、契約情報設定装置4は、契約情報を変更した場合の不稼働時間も比較表示するため、契約者が契約内容の見直しを検討する際の補助としても用いられる。以下に、契約内容確認画面50の表示例について説明する。
【0073】
契約内容確認画面50は、現契約名称表示部51、不稼働時間表示部52、現契約内容表示部53、及び推奨契約内容表示部54を備える。
現契約名称表示部51には、契約者が保守契約を締結している建物の名称と、現在の契約内容とが表示される。図中では、例えば、建物の名称が「xxxxxビル」であり、現在の契約内容が「契約プランB」であることが示される。
【0074】
不稼働時間表示部52には、今月の総不稼働時間表示領域60、異常内容表示領域65、及び契約プラン変更時の不稼働時間表示領域66が含まれる。
今月の総不稼働時間表示領域60には、例えば、契約プランBの場合に、今月(2019年6月)にエレベーター11が不稼働となった時間の総合計が総不稼働時間として173分であったこと、及び今月の総不稼働時間を100%としたドーナツグラフ61が示される。また、ドーナツグラフ61に重ねた部分グラフ62は、例えば、契約プランBを契約プランAに変更した場合に想定される不稼働時間を表す。
【0075】
異常内容表示領域65には、今月、検出された異常の異常内容が表示される。例えば、異常内容表示領域65には、異常内容として、「起動不能故障」、「ドア異常故障」が検出されたことが示される。例えば、契約者が、異常内容として示された「起動不能故障」、「ドア異常故障」をクリックすると、「起動不能故障」、「ドア異常故障」が発生した時間、発報許可レベルの具体的な内容が表示されてもよい。また、異常内容表示領域65には、発報要否判定部22により発報要否が不許可と判定された異常内容が表示されてもよい。
契約プラン変更時の不稼働時間表示領域66には、例えば、契約者が契約プランBを契約プランAに変更した場合に想定される不稼働時間が173分から83分に変わることが示される。
【0076】
現契約内容表示部53には、エレベーター11における現契約の契約内容が表示される。上述したように、現契約は「契約プランB」である。契約プランBの契約内容は、発報許可レベルとして、レベル3,4が許可され、個別発報項目として3項目が許可され、対応時間として、月~金曜日は9時~18時、土曜日は9時~13時に対応可であるが、日曜日は対応不可であることが規定される。このように契約プランBでは、許可される個別発報項目の項目数が少なく、対応時間も短いため、個別発報項目に該当しない異常が発生したり、対応時間外で異常が発生したりすると、異常対応に時間がかかってしまう。この結果、不稼働時間も長くなりがちである。
【0077】
推奨契約内容表示部54には、エレベーター監視システム30から契約者に推奨される契約の契約内容が表示される。例えば、推奨される契約が「契約プランA」である。契約プランAの契約内容は、発報許可レベルとして、レベル2~4が許可され、個別発報項目として5項目が許可され、対応時間として、月~金曜日は24時間対応、土、日曜日は9時~18時に対応可であることが規定される。このように契約プランAは、契約プランBに比べて、許可される個別発報項目の項目数が多く、対応時間も長い。このため、万一、エレベーター11に異常が発生しても、直ちに保守員が出動し、異常に対応可能であるため、契約プランAの方が契約プランBよりも不稼働時間を減らすことが可能となる。
【0078】
以上説明した一実施の形態に係る遠隔監視システム1では、エレベーター11の異常が検出されると、異常発報が可能な異常種類と、保守員が出動可能な時刻とが記録された契約情報に基づいて、発報要否判定部22が異常発報の要否を判定する。契約情報には、異常種類に応じて規定される発報許可レベルと、発報許可レベルごとに異常発報の許可又は不許可が規定されている。このため、発報要否判定部22は、エレベーター11で検出された異常の異常種類、及び異常発報の許可又は不許可の規定に応じて、発報要と判定した異常の異常発報をエレベーター監視システム30に通知する。エレベーター監視システム30では、保守員の出動が必要な異常に対して出動指示を行うので、保守員の作業負担が軽減される。
【0079】
契約情報設定装置4は、異常情報記録装置36に記録された異常情報と、発報受信部32が受信した異常発報とを読出して、検出された異常情報の内容と、異常発報の内容とを表示する。このとき、契約情報設定装置4は、現契約で生じたエレベーター11の不稼働時間と、エレベーター監視システム32が契約者に推奨する契約で予測されるエレベーター11の不稼働時間とを比較可能に表示する。この際、契約情報設定装置4は、現契約の契約情報と、契約者に推奨する契約の契約情報についても比較可能に表示する。このため、エレベーター監視システム30は、契約者に対して、エレベーター11の故障発生時において、エレベーター監視システム30が保守員に出動指示を行うための基準となる保守レベルの見直しを提案することが可能である。
【0080】
また、契約者は、契約情報設定装置4を操作して、契約情報内で不許可が規定された異常種類であっても、異常発報することを契約情報に設定できる。このため、遠隔監視システム1は、契約者に合わせた契約情報の設定を容易に行うことが可能となる。
【0081】
[変形例]
なお、遠隔監視システム1は、昇降機としてのエレベーター11以外にもエスカレーターの動作を遠隔監視するように構成されてもよい。この場合、エレベーター11に特有の異常である閉じ込めやドア異常を除いた異常について、エスカレーターの契約情報に基づく異常発報がエスカレーター監視システムに通知され、契約情報や異常内容等が契約内容確認画面50に表示されてもよい。また、遠隔監視システム1がエスカレーターの動作を遠隔監視する場合、エレベーター11のインターホン13に該当する部分は、例えば、エスカレーターの近くにいる管理者の携帯電話等に代えてもよい。
【0082】
また、契約情報設定装置4が備える比較出力部41、契約情報設定部42は、エレベーター監視システム30が備えてもよい。この場合、契約情報設定装置4は、エレベーター監視システム30からダウンロードした画面情報をブラウザ上に契約内容確認画面50として表示する。そして、契約者は、ブラウザを通じて、契約情報の確認、契約情報の変更(契約プランの変更、個別発報項目の追加、削除、対応時間の変更等)を行える。そして、変更された契約情報は、エレベーター監視システム30にアップロードされて、エレベーター監視システム30が備える契約情報設定部42が、契約情報記録装置34に記録される契約情報を更新してもよい。
【0083】
また、契約情報設定装置4は、現契約の費用と、契約者に推奨する契約の費用とを比較可能に出力してもよい。また、契約内容確認画面50(図7を参照)には、任意の日付ごと、1週間ごと等における現契約と推奨される契約の総不稼働時間が比較可能に出力されてもよい。
【0084】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するためにシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…遠隔監視システム、3…監視センター、4…契約情報設定装置、10…エレベーター制御装置、11…エレベーター、14…エレベーター監視装置、21…エレベーター監視部、22…発報要否判定部、23…異常情報保存部、24…契約情報保存部、25…監視センター通信部、26…インターホン制御部、30…エレベーター監視システム、32…発報受信部、34…契約情報記録装置、35…異常情報読出し装置、36…異常情報記録装置、41…比較出力部、42…契約情報設定部、50…契約内容確認画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7