(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】エージェントシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/10 20220101AFI20220610BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220610BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20220610BHJP
H04L 51/04 20220101ALI20220610BHJP
【FI】
H04L67/10
G06F3/0481
G06Q50/00 300
H04L51/04
(21)【出願番号】P 2019230850
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】394025924
【氏名又は名称】株式会社博報堂
(73)【特許権者】
【識別番号】511056105
【氏名又は名称】株式会社ヴィッツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河野 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】中野 厚宣
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀一
(72)【発明者】
【氏名】森川 智之
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188336(WO,A1)
【文献】特開2015-194864(JP,A)
【文献】特開2002-163447(JP,A)
【文献】特開2018-189785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/10
G06F 3/0481
G06Q 50/00
H04L 51/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムであって、
前記エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付けるように構成された対応処理部と、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置に、前記ユーザの前記エージェントキャラクタを表示するように構成された転送先表示処理部と、
を備え
、
前記対応処理部は、第1のユーザと第2のユーザとを共通の前記一の表示装置に対応付けることが可能であり、
前記転送先表示処理部は、前記第1のユーザの前記エージェントキャラクタである第1のエージェントキャラクタと、前記第2のユーザの前記エージェントキャラクタである第2のエージェントキャラクタと、を前記一の表示装置に同時に表示可能であり、
前記エージェントシステムは、
前記第1のエージェントキャラクタに、前記第2のエージェントキャラクタの発話内容を踏まえた発話を行わせるように構成された発話内容制御部
を更に備えるエージェントシステム。
【請求項2】
ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムであって、
前記エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付けるように構成された対応処理部と、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置に、前記ユーザの前記エージェントキャラクタを表示するように構成された転送先表示処理部と、
を備え、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置は、複数の表示部を備え、
前記転送先表示処理部は、前記一の表示装置の前記複数の表示部のそれぞれに、同一の前記エージェントキャラクタを同時に表示する、エージェントシステム。
【請求項3】
ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムであって、
前記エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付けるように構成された対応処理部と、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置に、前記ユーザの前記エージェントキャラクタを表示するように構成された転送先表示処理部と、
を備え、
前記転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれにはカメラが設けられ、
前記対応処理部は、前記一の表示装置に設けられた前記カメラから取得された前記ユーザの撮像画像に基づいて画像認証を行うことで、前記一の表示装置と、前記ユーザと、対応付ける、エージェントシステム。
【請求項4】
ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムであって、
前記エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付けるように構成された対応処理部と、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置に、前記ユーザの前記エージェントキャラクタを表示するように構成された転送先表示処理部と、
を備え、
前記転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれには、外部の記憶媒体から情報を非接触で読み取るように構成された非接触読取り部が設けられ、
前記対応処理部は、前記一の表示装置に設けられた前記非接触読取り部が前記ユーザの所持する記憶媒体からユーザを識別するための識別情報を読み取った場合に、前記一の表示装置と、前記ユーザと、対応付ける、エージェントシステム。
【請求項5】
ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムであって、
前記エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付けるように構成された対応処理部と、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置に、前記ユーザの前記エージェントキャラクタを表示するように構成された転送先表示処理部と、
を備え、
前記転送元の表示装置は、前記ユーザが携帯して所持する携帯情報端末であり、
前記対応処理部は、前記一の表示装置に設けられた情報記憶部から当該表示装置を識別するための識別情報が、前記携帯情報端末に設けられた読取り部により読み取られる場合に、前記一の表示装置と、前記ユーザと、対応付ける、エージェントシステム。
【請求項6】
ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムであって、
前記エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付けるように構成された対応処理部と、
前記ユーザに対応付けられた前記一の表示装置に、前記ユーザの前記エージェントキャラクタを表示するように構成された転送先表示処理部と、
を備え、
前記転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれは、画像を表示可能な表示部を備える移動体であり、
前記転送先の前記移動体の行き先に応じて、前記転送先表示処理部により表示される前記エージェントキャラクタの属性を変更するように構成された行き先変更処理部を更に備えるエージェントシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項
5までのいずれか1項に記載のエージェントシステムであって、
前記転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれは、画像を表示可能な表示部を備える移動体である、エージェントシステム。
【請求項8】
請求項
7に記載のエージェントシステムであって、
前記転送先の前記移動体の行き先に応じて、前記転送先表示処理部により表示される前記エージェントキャラクタの属性を変更するように構成された行き先変更処理部を更に備えるエージェントシステム。
【請求項9】
請求項
2から請求項6までのいずれか1項に記載のエージェントシステムであって、
前記対応処理部は、第1のユーザと第2のユーザとを共通の前記一の表示装置に対応付けることが可能であり、
前記転送先表示処理部は、前記第1のユーザの前記エージェントキャラクタである第1のエージェントキャラクタと、前記第2のユーザの前記エージェントキャラクタである第2のエージェントキャラクタと、を前記一の表示装置に同時に表示可能である、エージェントシステム。
【請求項10】
請求項
9に記載のエージェントシステムであって、
前記第1のエージェントキャラクタに、前記第2のエージェントキャラクタの発話内容を踏まえた発話を行わせるように構成された発話内容制御部を更に備えるエージェントシステム。
【請求項11】
請求項1から請求項
10までのいずれか1項に記載のエージェントシステムであって、
前記対応処理部は、前記転送元の表示装置に設けられた操作部、及び、前記転送先の表示装置に設けられた操作部、のいずれの操作部に対するユーザ操作を要することなく、前記複数の表示装置の中の一の表示装置と、前記ユーザと、対応付ける、エージェントシステム。
【請求項12】
請求項1から請求項
11までのいずれか1項に記載のエージェントシステムであって、
前記転送先の表示装置の属性に応じて、前記転送先表示処理部により表示される前記エージェントキャラクタの属性を変更するように構成された属性変更処理部を更に備えるエージェントシステム。
【請求項13】
請求項1から請求項
12までのいずれか1項に記載のエージェントシステムであって、
前記転送先の表示装置が、不特定の複数人に視聴される表示部を備える表示装置である、エージェントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対話エージェントに係るエージェントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムが知られている。特許文献1のエージェントシステムでは、ユーザ端末は、TVに接続されたセット・トップ・ボックス(STB)との無線接続を確立する。そして、当該無線接続を介して、ユーザ端末と、STBが接続されたTVのディスプレイと、の間をエージェントキャラクタがジャンプイン/アウトする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1では、転送元の表示装置であるユーザ端末の周辺に転送先の候補の表示装置が1つしかない場合においてエージェントキャラクタを転送する技術が開示されている。その一方で、ユーザ端末の周辺に転送先の複数の表示装置が複数存在する場合に、転送先の表示装置を特定し、エージェントキャラクタをその表示装置に転送させることについては何ら考慮されていない。
【0005】
本開示の一局面は、エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、エージェントキャラクタの転送先の候補である表示装置が複数存在する場合であっても、転送先の表示装置を特定することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタであるエージェントキャラクタを、複数の表示装置間で転送させて表示させるためのエージェントシステムである。エージェントシステムは、対応処理部と、転送先表示処理部と、を備える。対応処理部は、エージェントキャラクタの転送元の表示装置の周辺に、転送先の候補の表示装置が複数存在する場合において、当該転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置と、ユーザと、対応付けるように構成される。転送先表示処理部は、ユーザに対応付けられた一の表示装置に、ユーザのエージェントキャラクタを表示するように構成される。ここで、本明細書において表示装置とは、画像を表示可能な表示部を備えた装置全般を包含する概念である。
【0007】
このような構成によれば、転送先の候補である表示装置が転送元の表示装置の周辺に複数存在する場合であっても、転送先の表示装置を特定することができる。
本開示の一態様では、対応処理部は、第1のユーザと第2のユーザとを共通の一の表示装置に対応付けることが可能であってもよい。そして、転送先表示処理部は、第1のユーザのエージェントキャラクタである第1のエージェントキャラクタと、第2のユーザのエージェントキャラクタである第2のエージェントキャラクタと、を前記一の表示装置に同時に表示可能であってもよい。
【0008】
このような構成によれば、エージェントシステムが提供するサービスの楽しさを向上させることができる。また、転送先の表示装置が1台しかない状況でも、複数のユーザが転送先の装置としてその表示装置を使うことができる。
【0009】
本開示の一態様では、エージェントシステムは、発話内容制御部を更に備えてもよい。発話内容制御部は、第1のエージェントキャラクタに、第2のエージェントキャラクタの発話内容を踏まえた発話を行わせるように構成される。
【0010】
このような構成によれば、エージェントシステムが提供するサービスの面白さを向上させることができる。
本開示の一態様では、対応処理部は、転送元の表示装置に設けられた操作部、及び、転送先の表示装置に設けられた操作部、のいずれの操作部に対するユーザ操作を要することなく、複数の表示装置の中の一の表示装置と、ユーザと、対応付けてもよい。
【0011】
このような構成によれば、ユーザを一の表示装置に対応付けるに際し、転送元の表示装置に設けられた操作部、及び、転送先の表示装置に設けられた操作部、の少なくとも一方に対するユーザ操作を必要とする構成と比較して、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0012】
本開示の一態様では、転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれは、画像を表示可能な表示部を備える移動体であってもよい。ここで、本明細書において移動体とは、エンジンや電動機等の駆動源により推進する移動手段であり、自動車(自動二輪車、三輪以上の自動車)、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、航空機、船舶、鉄道車両、キックボードなどが、その範疇に含まれる。
【0013】
このような構成によれば、移動体による移動中であってもエージェントシステムが提供するサービスをユーザが受けることができる。
本開示の一態様では、エージェントシステムは、行き先変更処理部を更に備えてもよい。行き先変更処理部は、転送先の移動体の行き先に応じて、転送先表示処理部により表示されるエージェントキャラクタの属性を変更するように構成される。ここでいうエージェントキャラクタの属性とは、換言すればエージェントキャラクタの性質又は特徴であり、例えば、エージェントキャラクタの姿、話し方、声、応答内容の傾向等である。
【0014】
このような構成によれば、エージェントキャラクタの属性が移動体の行き先に応じたものとなる。このため、例えば、属性が変化したエージェントキャラクタを通じてユーザは行き先に関わる情報を知り得る。したがって、移動体の行き先に応じてエージェントキャラクタの属性が変わらない構成と比較して、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0015】
本開示の一態様では、エージェントシステムは、属性変更処理部を更に備えてもよい。属性変更処理部は、転送先の表示装置の属性に応じて、転送先表示処理部により表示されるエージェントキャラクタの属性を変更するように構成される。
【0016】
このような構成によれば、エージェントキャラクタの属性が転送先の表示装置の属性に応じたものとなる。このため、例えば、属性が変化したエージェントキャラクタを通じてユーザは転送先の表示装置に関わる情報を知り得る。したがって、転送先の表示装置の属性に応じてエージェントキャラクタの属性が変わらない構成と比較して、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0017】
本開示の一態様では、転送先の表示装置が、不特定の複数人に視聴される表示部を備える表示装置であってもよい。
このような構成によれば、不特定の人が集まる場所においてもユーザはサービスを受けることができる。
【0018】
本開示の一態様では、ユーザに対応付けられた一の表示装置は、複数の表示部を備えていてもよい。そして、転送先表示処理部は、前記複数の表示部のそれぞれに、同一のエージェントキャラクタを同時に表示してもよい。
【0019】
このような構成によれば、或るユーザのエージェントキャラクタを、そのユーザの近くにいる他のユーザも共有することができる。
なお、上記の「同時に表示する」とは、複数の表示部のそれぞれに前記同一のエージェントキャラクタが映し出されるタイミングが同一であることを意味するのではなく、或る時点において、複数の表示部のそれぞれに前記同一のエージェントキャラクタが表示されている状態が実現されることを意味する。すなわち、複数の表示部のそれぞれに前記同一のエージェントキャラクタが映し出されるタイミングは、複数の表示部間で異なっていてもよい。
【0020】
本開示の一態様では、転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれにはカメラが設けられてもよい。対応処理部は、一の表示装置に設けられたカメラから取得されたユーザの撮像画像に基づいて画像認証を行うことで、一の表示装置と、ユーザと、対応付けてもよい。
【0021】
このような構成によれば、ユーザが特段の操作を行わなくても表示装置とユーザとの対応付けを行うことができる。よって、ユーザの利便性を向上することができる。
本開示の一態様では、転送先の候補である複数の表示装置のそれぞれには、記憶媒体から情報を非接触で読み取るように構成された非接触読取り部が設けられてもよい。対応処理部は、一の表示装置に設けられた非接触読取り部がユーザの所持する記憶媒体からユーザを識別するための識別情報を読み取った場合に、一の表示装置と、ユーザと、対応付けてもよい。
【0022】
このような構成によれば、ユーザと表示装置とを対応付けやすくできる。
本開示の一態様では、転送元の表示装置は、ユーザが携帯して所持する携帯情報端末であってもよい。そして、対応処理部は、一の表示装置に設けられた情報記憶部から当該表示装置を識別するための識別情報が携帯情報端末に設けられた読取り部により読み取られる場合に、一の表示装置と、ユーザと、対応付けてもよい。
【0023】
このような構成によれば、ユーザと表示装置とを対応付けやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1はコンシェルジュサービスシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2はユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は公衆機器のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は行き先/属性-エージェント対応テーブルを説明するための図である。
【
図5】
図5は公衆機器の制御部のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は公衆機器の1台の表示部に複数のユーザの複数のエージェントキャラクタが表示されている状態を示す図である。
【
図7】
図7は認証サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は識別認証テーブルを説明するための図である。
【
図9】
図9はユーザ情報テーブルを説明するための図である。
【
図10】
図10は認証サーバの制御部のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11はAIチャットサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12はAIチャットサーバの制御部のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図13】
図13はコンシェルジュサービスシステムが提供するサービスの一連の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1に示すコンシェルジュサービスシステム1は、複数のユーザ端末2A,2Bと、複数の公衆機器3A~3Cと、認証サーバ4と、AIチャットサーバ5と、を備える。
【0026】
コンシェルジュサービスシステム1は、エージェントキャラクタ6A,6Bを複数の表示装置間で転送させて表示するためのシステムである。ここでいうエージェントキャラクタとは、ユーザと対話する対話エージェントを具象化したキャラクタである。
図1においては、ユーザAが所持するユーザ端末2AにユーザAのエージェントキャラクタ6Aが表示され、ユーザBが所持するユーザ端末2BにユーザBのエージェントキャラクタ6Bが表示される。エージェントキャラクタ6A,6Bは、例えば、実在又は仮想の人物、動物、ロボット等の種々のキャラクタであり得る。
【0027】
コンシェルジュサービスシステム1は、MaaS(Mobility as a Service)を想定したコンシェルジュサービスシステムである。エージェントキャラクタ6A,6Bは、MaaSの一連のサービスにおいて、ユーザA,Bの種々のリクエストに応えるコンシェルジュとして機能する。本実施形態では、エージェントキャラクタ6A,6Bは、ユーザ端末2A,2Bと、MaaSに使用される移動体である公衆機器3A~3Cに具備される表示部と、の間で移動する。
【0028】
なお、
図1においては、2台のユーザ端末2A,2B及び3台の公衆機器3A~3Cのみを図示しているが、コンシェルジュサービスシステム1は一般に3台以上のユーザ端末及び4台以上の公衆機器を含む。以下、コンシェルジュサービスシステム1が備える各構成について説明する。
<ユーザ端末>
ユーザ端末2A,2Bは、それぞれユーザA,Bが所持する情報機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の携帯情報端末である。ユーザ端末2A,2Bは、基本的には同様の構成であるため、以下ではユーザ端末2Aを例に取り説明する。
【0029】
ユーザ端末2Aは、
図2に示すように、表示部21と、入力部22と、出力部23と、記憶部24と、通信部25と、読取り部26と、制御部27と、を備える。
表示部21は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、画像を表示可能である。
【0030】
入力部22は、ユーザの操作を受け付ける。入力部22には、操作部22aや、音声入力のためのマイク、画像入力のためのカメラなどが含まれる。ここで、操作部22aは、例えば、タッチやテキスト入力のためのタッチパネル、ボタン、スイッチ等であり、ユーザ操作を受け付ける。
【0031】
出力部23は、各種情報を出力する。出力部23には、静止画/動画像やテキストを表示するディスプレイや、音声出力部としてスピーカなどが含まれる。
記憶部24は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ27b)により構成され、各種情報を記憶する。本実施形態では、記憶部24には、ユーザがコンシェルジュサービスシステム1によるサービス(以下「コンシェルジュサービス」ともいう。)を受けるためのアプリケーションソフトウェアがインストールされて記憶されている。ユーザが当該アプリケーションソフトウェアを起動することで、表示部21にエージェントキャラクタ6Aが表示される。
【0032】
通信部25は、外部の装置と有線又は無線で通信を行うための通信インタフェースである。ユーザ端末2Aは、通信部25を介してインターネットNに接続し、インターネットNを介して認証サーバ4やAIチャットサーバ5等とデータ通信を行う。
【0033】
読取り部26は、情報を記憶する外部の情報記憶部から情報を読み取る。読取り部26には、情報記憶部としてのバーコードやQRコード(登録商標)などから情報を読み取るコードリーダが含まれる。また、読取り部26には、情報記憶部としてのRFIDタグと非接触で通信を行い、RFIDタグから情報を読み取るRFID通信部が含まれていてもよい。
【0034】
制御部27は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサ27aと、メモリ27bと、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部27の各種機能は、制御部27がプログラムを実行することにより実現される。制御部27は、ユーザAとエージェントキャラクタ6Aとの対話を実現する。
【0035】
具体的には、制御部27は、例えば、マイクを介して検出されたユーザの発話内容を認識し、音声認識された発話内容をAIチャットサーバ5に送信する。AIチャットサーバ5は、ユーザ端末2Aから発話内容を受信すると、受信した発話内容に対する応答内容をAI(人工知能)を用いて生成し、生成した応答内容をユーザ端末2Aに送信する。そして、ユーザ端末2Aの制御部27は、AIチャットサーバ5から通信部25を介して応答内容を受信すると、受信した応答内容を、あたかもエージェントキャラクタ6Aが発話しているかのように出力部23に音声出力させる。その結果、例えば、ユーザが「レストランに行きたい」などと発話すると、エージェントキャラクタ6Aが「イタリアン?近くに2件あるよ」などと応答する。
<公衆機器>
公衆機器3A~3Cは、公衆によって利用される機器である。換言すれば、公衆機器3A~3Cは、不特定の複数のユーザによって利用される機器である。本実施形態では、公衆機器3A~3Cは、MaaSに利用される車両である。例えば、公衆機器3A~3Cとして、バスのような複数のユーザが乗車する車両が想定される。
【0036】
具体的には、公衆機器3A~3Cは、自動運転可能な車両であり、ユーザによって目的地が入力(設定)されると目的地まで自動運転でユーザを送迎する。ここでいう自動運転は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1乃至5を含むが、自動運転はこれらに限られず、任意に定義されてもよい。本実施形態においては、公衆機器3A~3Cは、無人での自動運転(例えば、SAEにおいて定義されるレベル5の自動運転)が可能であるものとして説明する。
【0037】
複数台の公衆機器3A~3Cは、バス停のような停留所に停車しており、ユーザ(例えばユーザA)は複数台の公衆機器3A~3Cのうちの一台の公衆機器に乗車することが想定される。一台の公衆機器には、一般に、サービス利用者である複数人のユーザが同時に乗車する。本実施形態では、ユーザAが公衆機器に乗車するタイミングで公衆機器がユーザAを認識し、認識したユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、公衆機器に搭載された表示部に表示させる。つまり、ユーザAが公衆機器に乗車するタイミングで、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、ユーザ端末2Aから公衆機器の表示部に移動する。公衆機器3A~3Cは、基本的には同様の構成であるため、以下では公衆機器3Aを例に取り説明する。
【0038】
公衆機器3Aは、
図3に示すように、表示部31と、入力部32と、出力部33と、記憶部34と、通信部35と、ユーザ識別装置36と、制御部37と、を備える。
表示部31は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであり、画像を表示可能である。表示部31は、その表示画面を車内の複数の乗員が視認できるような位置に設置される。例えば、表示部31は、公衆機器3Aの室内の前部に、その表示画面を車両後方に向けて設置されてもよい。
【0039】
入力部32は、公衆機器3Aに乗車したユーザの操作を受け付ける。入力部32には、操作部32aや、音声入力のためのマイク、画像入力のためのカメラなどが含まれる。ここで、操作部32aは、タッチやテキスト入力のためのタッチパネル、ボタン、スイッチ等であり、ユーザ操作を受け付ける。
【0040】
出力部33は、各種情報を出力する。出力部33には、静止画/動画像やテキストを表示するディスプレイや、音声出力部としてスピーカなどが含まれる。
記憶部34は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ37b)により構成され、各種情報を記憶する。本実施形態では、記憶部34には、
図4に示す行き先/属性-エージェント対応テーブルが記憶されている。
【0041】
行き先/属性-エージェント対応テーブルは、公衆機器3A~3Cの行き先又は公衆機器3A~3Cの属性に対応付けられた数値又はテキストと、エージェントタイプと、が対応付けられて設定されたテーブルである。
【0042】
エージェントタイプとは、エージェントキャラクタのタイプである。すなわち、本実施形態では、姿、話し方、声、応答内容の傾向等が異なる複数種類のエージェントキャラクタ(すなわち、複数種類のキャラクタのタイプ)が存在する。
【0043】
そして、ユーザが公衆機器3A~3C(例えば公衆機器3A)に乗車して移動する際に、ユーザが公衆機器3Aに入力した行き先に応じて、乗車したユーザのエージェントキャラクタ(例えばユーザAのエージェントキャラクタ6A)が変化する。
【0044】
具体的には例えば、ユーザAが入力した行き先が遊園地である場合、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、その遊園地のマスコットキャラクタに変化してもよい。また例えば、ユーザAが入力した行き先が野球場であり、ユーザAが公衆機器3Aに乗車した時期が野球の試合の開催期間中である場合、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、野球チームのマスコットキャラクタに変化してもよい。また例えば、ユーザAが入力した行き先が病院である場合、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、ナース服を着たキャラクタに変化してもよい。
【0045】
加えて、本実施形態では、ユーザが乗車した公衆機器3A~3C(例えば公衆機器3A)の属性に応じて、ユーザのエージェントキャラクタが変化する。ここでいう公衆機器3A~3Cの属性とは、例えば、公衆機器3A~3C(すなわち移動体)の種類を示す情報である。移動体の種類としては、例えば、ハイヤー、バス、タクシー、スポーツカー等の車種、車両のカーメーカー(製造者)、型式等が挙げられる。
【0046】
例えば、ユーザAが乗車した公衆機器3Aの属性がマリンスタジアムのシャトルバスである場合、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、シャトルバスを先導するキャラクタに変化してもよい。また例えば、ユーザAの乗車した公衆機器3Aの属性がハイヤーである場合、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、ハイヤードライバーの服装をしたキャラクタに変化してもよい。また例えば、ユーザAの乗車した公衆機器3Aの属性がスポーツカーである場合、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが、レーシングドライバーの服装をしたキャラクタに変化してもよい。
【0047】
本実施形態では、
図4に示す行き先/属性-エージェント対応テーブルにおいて、ユーザの行き得る行き先ごとに互いに異なる固有の数値又はテキストが対応付けられ、その固有の数値又はテキストにエージェントキャラクタのタイプが対応付けられている。同様に、行き先/属性-エージェント対応テーブルにおいて、公衆機器3Aの属性ごとに互いに異なる固有の数値又はテキストが対応付けられ、その固有の数値又はテキストにエージェントキャラクタのタイプが対応付けられている。
【0048】
例えば、
図4に示す行き先/属性-エージェント対応テーブルにおいては、公衆機器の属性「ハイヤー」に対応する数値「0x83」に対し、エージェントキャラクタ7Aを表すエージェントタイプ「L」が対応付けられている。また、ユーザの行き先「遊園地」に対し、エージェントキャラクタ7Cを表すエージェントタイプ「K」が対応付けられている。
【0049】
なお、ユーザの行き先及び公衆機器3A~3Cの属性は、行き先/属性-エージェント対応テーブルにおいていずれも数値化されていてもよい。この場合、ユーザの行き先とエージェントタイプとの対応関係と、公衆機器3A~3Cの属性とエージェントタイプとの対応関係と、を区別して管理する必要はなく、1つのデータテーブルでまとめて管理することができる。
【0050】
以上が、記憶部34に記憶されている行き先/属性-エージェント対応テーブルである。
図3に戻り、通信部35は、外部の装置と有線又は無線で通信を行うための通信インタフェースである。公衆機器3Aは、通信部35を介してインターネットNに接続し、インターネットNを介して認証サーバ4やAIチャットサーバ5等とデータ通信を行う。
【0051】
ユーザ識別装置36は、公衆機器3Aに乗車するユーザを識別するための装置である。本実施形態では、ユーザ識別装置36は、カメラである。ユーザ識別装置36は、公衆機器3Aの室内に設けられ、室内の乗員の顔画像を取得する。
【0052】
制御部37は、CPU、GPU等のプロセッサ37aと、以下、メモリ37bと、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部37がプログラムを実行することで、制御部37は、
図5に示すように、ユーザ識別部371、情報生成部372、エージェント制御部373、エージェント表示調整部374及びエージェント表示処理部375として機能する。
【0053】
ユーザ識別部371は、ユーザ識別装置36により検出された情報に基づき、ユーザを特定可能な情報であるユーザ特定情報を生成する。具体的には、ユーザ識別部371は、ユーザ識別装置36(カメラ)により検出されたユーザの顔画像から、顔画像上の特徴点(目鼻等)を抽出し、特徴点の位置、隣接する特徴点を結ぶ線分の傾き等の情報を、ユーザ特定情報として生成する。
【0054】
情報生成部372は、ユーザ識別部371が生成したユーザ特定情報を、通信部35を介して認証サーバ4に送信し、認証サーバ4からユーザ情報を取得する。具体的には、認証サーバ4がユーザ特定情報を受信すると、認証サーバ4の、ユーザ情報を記憶した後述するユーザデータベース42内において、ユーザ特定情報を基に該当するユーザのユーザIDが特定される。そして、特定されたユーザIDに紐付けられた各種情報(すなわちユーザ情報)が認証サーバ4から送信され、情報生成部372により取得される。
【0055】
また、情報生成部372は、行き先情報、機器属性情報、及び、認証サーバ4から取得したユーザ情報に基づいて、公衆機器3Aに乗車したユーザのエージェントキャラクタのエージェントタイプを決定する。
【0056】
ここで、行き先情報は、公衆機器3Aの入力部32を介して入力されたユーザの行き先を示す情報である。なお、本実施形態では、ユーザの行き先は、ユーザが入力部32を介して設定することが想定されるが、ユーザの行き先の設定の仕方はこれに限られない。例えば、ユーザの行き先はあらかじめ設定されていてもよい。この場合、行き先情報は、あらかじめ設定されている行き先を示す。
【0057】
機器属性情報は、公衆機器3Aの属性を示す情報である。
具体的には、情報生成部372は、記憶部34に記憶されている
図4に示す行き先/属性-エージェント対応テーブルを参照し、取得したユーザの行き先や、公衆機器3Aの属性に応じた数値に対応するエージェントタイプを取得し、取得したエージェントタイプを、ユーザのエージェントタイプとして設定する。
【0058】
また、情報生成部372は、ユーザのエージェントタイプを決定すると、ユーザのユーザ情報、エージェントタイプの情報、行き先情報、機器属性情報等をAIチャットサーバ5に通信部35を介して送信する。
【0059】
エージェント制御部373は、入力部32から入力されたユーザ入力(例えばユーザ発話)を示す入力情報を、通信部35を介してAIチャットサーバ5に送信し、ユーザ入力を反映したチャット情報をAIチャットサーバ5から受信する。そして、エージェント制御部373は、受信したチャット情報を、表示部31に表示されているエージェントキャラクタに発話させるとともに、エージェントキャラクタの動作を制御する。
【0060】
ここで、例えば、エージェント制御部373は、記憶部34に記憶されたエージェントキャラクタの動作を示すアニメーションを表示部31に表示させる。また、エージェント制御部373は、記憶部34に記憶されたエージェントキャラクタに合った音声でチャット情報をスピーカから出力させる。これにより、あたかもエージェントキャラクタ6Aが発話しているかのように応答内容が出力される。
【0061】
エージェント表示調整部374は、表示部31に表示されている複数のエージェントキャラクタが自然に表示されるように各エージェントキャラクタを制御する。
すなわち、本実施形態では、複数のユーザが公衆機器3Aによって認証されると、認証された複数のユーザに対応する複数のエージェントキャラクタが、1台の表示部31に表示される。例えば、
図6に示す例では、1台の公衆機器3Aに3人のユーザA~Cが乗り合いし、認証され、当該3人のユーザA~Cのエージェントキャラクタ6A~6Cが1台の表示部31に表示されている。
【0062】
なお、前述のとおり、ユーザの行き先や公衆機器3Aの属性に応じてユーザA~Cのエージェントキャラクタ6A~6Cが変化する。このため、
図1に示すユーザA,Bのエージェントキャラクタ6A,6Bと、
図6に示すユーザA,Bのエージェントキャラクタ6A,6Bと、はタイプ(姿等)が相違している。
【0063】
エージェント表示調整部374は、例えば、表示されている複数のエージェントキャラクタ6A~6Cが互いに重ならないように各エージェントキャラクタ6A~6Cの位置及び大きさや動きを調整する。また、複数のエージェントキャラクタ6A~6Cのうち発話しているキャラクタを他のキャラクタよりも大きく表示するなどの制御を行う。
【0064】
エージェント表示処理部375は、エージェント表示調整部374によって決定された表示態様で各エージェントキャラクタを表示部31に出力する。
以上が制御部37の機能である。
<認証サーバ>
認証サーバ4は、公衆機器3A~3Cに乗車するユーザを認証する。認証サーバ4は、
図7に示すように、通信部41と、ユーザデータベース(ユーザDB)42と、制御部43と、を備える。
【0065】
通信部41は、外部の装置と有線又は無線で通信を行うための通信インタフェースである。本実施形態では、認証サーバ4は、通信部41を介してインターネットNに接続し、インターネットNを介して公衆機器3A~3CやAIチャットサーバ5とデータ通信を行う。
【0066】
ユーザDB42は、ユーザ情報を管理するためのデータベースであり、
図8に示す識別認証テーブルと、
図9に示すユーザ情報テーブルと、を記憶する。
図8に示す識別認証テーブルは、識別情報と、認識情報と、が対応付けられて設定されたテーブルである。
【0067】
識別情報は、ユーザを識別するための情報であり、
図9のユーザ情報テーブルにおいてユーザIDに対応付けられる固有の値である。識別情報は、ユーザIDごとに異なる。
認識情報は、ユーザ識別装置36から送信されるユーザ特定情報ごとの固有の値であり、本実施形態では、ユーザの顔画像の特徴点の位置等に応じた固有の値である。この認識情報も、ユーザごとに異なる値である。
【0068】
図9に示すユーザ情報テーブルは、ユーザIDと、識別情報と、AIチャットスレッド、エージェントタイプと、が対応付けられて設定されたテーブルである。
ユーザIDは、コンシェルジュサービスシステム1のサービスを利用するユーザごとに割り振られる固有のIDである。
【0069】
識別情報は、前述したとおりである。
本実施形態では、
図8の識別認証テーブルを介して、ユーザIDと、認識情報と、が対応付く。このため、ユーザ識別装置36によって送れてきたユーザ特定情報(顔画像の特徴点の位置等)に応じた値が、ユーザDB42に記憶された或る認識情報の値と一致すると、その認識情報の値に対応付いたユーザIDのユーザが認証される。
【0070】
本実施形態では、識別情報を介してユーザIDと認識情報とが対応付く。このため、例えば仮にユーザを識別するための手段がカメラからその他の手段に変わり、認証情報の値(すなわちユーザ識別装置から送信されてくる情報)が変わったとしても、
図8の識別認証テーブルの認証情報の値のみを修正すればよい。すなわち、識別情報の値、すなわち、
図9のユーザ情報テーブルを修正しなくても済む。
【0071】
AIチャットスレッドは、チャットボット内で管理されるスレッド(会話)の識別子である。
エージェントタイプは、前述したとおりであり、情報生成部372によって決定されたエージェントタイプが設定される。ユーザ情報テーブルのエージェントタイプの項目には、ユーザの現在のエージェントキャラクタのタイプが設定される。
【0072】
以上が、ユーザ情報テーブルの説明である。
一方、
図5に戻り、制御部43は、CPU、GPU等のプロセッサ43aと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ43b)と、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部43がプログラムを実行することで、制御部43は、
図10に示すように、ユーザ認証部431として機能する。
【0073】
ユーザ認証部431は、公衆機器3Aなどから通信部41を介して受信したユーザ特定情報を基にユーザDB42を参照する。そして、ユーザ認証部431は、ユーザを特定(すなわち認証)し、特定されたユーザのユーザ情報を、通信部41を介して公衆機器3Aなどに送信する。ここでいうユーザ情報は、ユーザ情報テーブルに記憶されている各種情報(ユーザID、識別情報、AIチャットスレッド及びエージェントタイプ)を含む情報である。また、ユーザ情報には、ユーザの年齢、性別、趣味、嗜好等、その他ユーザにまつわる情報が含まれていてもよい。
<AIチャットサーバ>
AIチャットサーバ5は、AI(人工知能)を使用してユーザの発話内容に対する応答内容を生成する。AIチャットサーバ5は、
図11に示すように、通信部51と、記憶部52と、制御部53と、を備える。
【0074】
通信部51は、外部の装置と有線又は無線で通信を行うための通信インタフェースである。AIチャットサーバ5は、通信部51を介してインターネットNに接続し、インターネットNを介して公衆機器3A~3Cや認証サーバ4とデータ通信を行う。
【0075】
記憶部52は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ53b)により構成され、各種情報を記憶する。
制御部53は、CPU、GPU等のプロセッサ53aと、メモリ53bと、を有する周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。プロセッサ53aがプログラムを実行することで、制御部53は、
図12に示すように、AIエンジン部531及びAIチャット生成部532として機能する。
【0076】
AIエンジン部531は、入力データと出力データとの組合せを学習データとする機械学習によって、入力データから出力データを特定可能に構築されている。本実施形態では、入力データは、ユーザ情報、エージェントタイプの情報、行き先情報、機器属性情報、ユーザとエージェントキャラクタとの会話内容等のデータであり、出力データは、エージェントキャラクタの発話内容を示すデータである。
【0077】
AIチャット生成部532は、AIエンジン部531を用いて、公衆機器3A~3Cの情報生成部372から送信された、ユーザ情報、エージェントタイプの情報、行き先情報及び機器属性情報や、ユーザとエージェントキャラクタとの現在までの会話内容等を考慮してエージェントキャラクタとユーザとの会話内容を生成する。
【0078】
具体的には例えば、AIチャット生成部532は、ユーザ情報に基づき、そのユーザの趣味、嗜好を踏まえた会話内容を生成してもよい。
また例えば、AIチャット生成部532は、ユーザの行き先が遊園地である場合、その遊園地にまつわる内容を会話内容として生成してもよい。
【0079】
また例えば、AIチャット生成部532は、公衆機器3Aの属性がマリンスタジアムのシャトルバスである場合、そのマリンスタジアムにまつわる内容を会話内容として生成してもよい。
【0080】
また例えば、AIチャット生成部532は、エージェントタイプが女子高生のエージェントキャラクタに対応するエージェントタイプである場合、口調を女子っぽくし、学校(例えば学園祭)に関する話題を会話内容として生成してもよい。
【0081】
また、本実施形態では、
図6に示すように、1台の表示部31に、乗車した複数のユーザA~Cに対応する複数のエージェントキャラクタ6A~6Cが表示される。そして、表示部31に表示されている複数のエージェントキャラクタ6A~6C同士が互いに会話する。
【0082】
例えば、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aが「そろそろ出発かな」と発話したことを受け、ユーザBのエージェントキャラクタ6Bが「じゃあ案内するね」と発話してもよい。そして、エージェントキャラクタ6Bの発話を受け、ユーザC(図示省略)のエージェントキャラクタ6Cが「混んで来たね」などと発話してもよい。
【0083】
AIチャット生成部532は、機械学習によって得られた学習済みモデルを使用することで、ユーザ情報、行き先情報、公衆機器3A~3Cの属性、エージェントタイプ等を考慮した会話内容を生成する。AIチャット生成部532は、複数のAI、具体的には、エージェントキャラクタ6Aの会話内容を生成するAI、エージェントキャラクタ6Bの会話内容を生成するAI、及び、エージェントキャラクタ6Cの会話内容を生成するAI、を互いに会話させることで、複数のエージェントキャラクタ6A~6C同士の会話内容を生成する。
【0084】
AIチャット生成部532は、生成した会話内容を、通信部51を介して公衆機器3Aに送信する。
[2.シーケンス]
次に、
図13を用いて、コンシェルジュサービスシステム1が提供するサービスの一連の流れを説明する。
図13では、1台の公衆機器3Aに複数のユーザ(ユーザA及びユーザB)が乗り合いすることが想定される。
【0085】
まず、T1で、ユーザAが、特定の公衆機器である公衆機器3Aに接近する。
続いて、T2で、公衆機器3Aは、ユーザAのユーザ特定情報(すなわち
図8の認識情報)を生成し、通信部35を介して認証サーバ4に送信する。
【0086】
続いて、T3で、認証サーバ4は、公衆機器3Aから受信したユーザ特定情報を基にユーザAを特定し、特定したユーザAのユーザ情報をユーザDB42から取得する。そして、認証サーバ4は、取得したユーザ情報を、通信部41を介して公衆機器3Aに送信する。
【0087】
続いて、T4で、公衆機器3Aは、受信したユーザAのユーザ情報、ユーザの行き先情報及び公衆機器3Aの機器属性情報を基に、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aのエージェントタイプを決定する。そして、公衆機器3Aは、ユーザAのユーザ情報、ユーザAの行き先情報、公衆機器3Aの機器属性情報、
図9のチャットスレッド値、及び、ユーザAのエージェントタイプの情報を含む各種情報をAIチャットサーバ5に送信する。
【0088】
続いて、T5で、AIチャットサーバ5は、受信した各種情報に基づき、ユーザAとエージェントキャラクタ6Aとの会話内容を生成する。具体的には、AIチャットサーバ5は、ユーザAに係るユーザ情報、行先情報、公衆機器3Aの機器属性情報、エージェントキャラクタ6Aのエージェントタイプの情報、ユーザAとエージェントキャラクタ6Aとの現在までの会話内容等を考慮して会話内容を生成する。そして、AIチャットサーバ5は、生成した会話内容を通信部51を介して公衆機器3Aに送信する。
【0089】
続いて、T6で、公衆機器3Aは、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aを表示部31に表示し、AIチャットサーバ5から受信した会話内容をエージェントキャラクタ6Aに発話させる。
【0090】
続いて、T7で、ユーザBが、ユーザAと同じ公衆機器(公衆機器3A)に接近する。
続いて、T8で、公衆機器3Aは、ユーザBのユーザ特定情報を生成し、通信部35を介して認証サーバ4に送信する。
【0091】
続いて、T9で、認証サーバ4は、公衆機器3Aから受信したユーザ特定情報を基にユーザBを特定し、特定したユーザBのユーザ情報をユーザDB42から取得する。そして、認証サーバ4は、取得したユーザ情報を、通信部41を介して公衆機器3Aに送信する。
【0092】
続いて、T10で、公衆機器3Aは、受信したユーザBのユーザ情報、ユーザBの行き先情報及び公衆機器3Aの機器属性情報を基に、ユーザBのエージェントキャラクタのエージェントタイプを決定する。そして、公衆機器3Aは、ユーザBのユーザ情報、ユーザBの行き先情報、公衆機器3Aの機器属性情報、
図9のAIチャットスレッド値、及び、ユーザBのエージェントタイプの情報を含む各種情報をAIチャットサーバ5に送信する。
【0093】
続いて、T11で、AIチャットサーバ5は、受信した各種情報に基づき、ユーザBとエージェントキャラクタ6Bとの会話内容を生成する。具体的には、AIチャットサーバ5は、ユーザBに係るユーザ情報、行先情報、公衆機器3Aの機器属性情報、エージェントキャラクタ6Bのエージェントタイプの情報、ユーザBとエージェントキャラクタ6Bとの現在までの会話内容等を考慮して会話内容を生成する。そして、AIチャットサーバ5は、生成した会話内容を通信部51を介して公衆機器3Aに送信する。
【0094】
続いて、T12で、公衆機器3Aは、ユーザA及びユーザBのエージェントキャラクタ6A,6Bを公衆機器3Aの表示部31に同時に表示し、AIチャットサーバ5から受信した会話内容をエージェントキャラクタ6Bに発話させる。
【0095】
続いて、T13で、AIチャットサーバ5は、ユーザA及びユーザBに係るユーザ情報、行先情報、公衆機器3Aの機器属性情報、エージェントキャラクタ6A,6Bのエージェントタイプの情報、ユーザA,Bとエージェントキャラクタ6A,6Bとの現在までの会話内容等を考慮してエージェントキャラクタ6A,6B同士の会話内容を生成する。そして、AIチャットサーバ5は、生成した会話内容を通信部51を介して公衆機器3Aに送信する。
【0096】
続いて、T14で、公衆機器3Aは、AIチャットサーバ5から受信した会話内容をユーザA,Bのエージェントキャラクタ6A,6Bに発話させることで、エージェントキャラクタ6A,6B同士で会話させる。
【0097】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、転送元の表示装置であるユーザ端末2Aは、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aを表示部21に表示する。
【0098】
そして、認証サーバ4は、ユーザ端末2Aの周辺に転送先の候補の表示装置(公衆機器3A~3C)が複数存在する場合に、当該転送先の候補の表示装置の中の1つ(公衆機器3A)から受信したユーザ特定情報に基づき、公衆機器3Aに乗車したユーザAを特定する。つまり、認証サーバ4は、複数の転送先の候補の表示装置の中の一の表示装置である公衆機器3Aに、ユーザAを対応付ける。
【0099】
そして、認証サーバ4は、ユーザAに対応付けられた公衆機器3Aに、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aの情報を送信し、当該情報を受信した公衆機器3Aは、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aを表示部31に表示する。
【0100】
したがって、転送元の表示装置であるユーザ端末2Aの周辺に、転送先の候補である公衆機器3A~3Cが複数存在する場合であっても、転送先の表示装置を特定し、特定した表示装置にユーザAのエージェントキャラクタ6Aを表示装置に転送することができる。
【0101】
(2)本実施形態では、認証サーバ4は、ユーザAとユーザBとを共通の一の表示装置(例えば公衆機器3A)に対応付けることが可能である。そして、公衆機器3Aは、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aと、ユーザBのエージェントキャラクタ6Bと、を1台の表示部31に同時に表示させる。つまり、複数のエージェントキャラクタ6A,6Bを1台の表示部31に同居させる。
【0102】
したがって、コンシェルジュサービスシステム1が提供するサービスの楽しさを向上させることができる。また、転送先の表示装置が1台しかない状況でも、複数のユーザが転送先の装置としてその表示装置を使うことができる。
【0103】
(3)本実施形態では、1台の表示部31に表示されている複数のエージェントキャラクタ6A~6Cは互いに会話する。換言すれば、公衆機器3Aの制御部37は、1台の表示部31に複数のエージェントキャラクタである第1及び第2のエージェントキャラクタを表示している場合において、第1のエージェントキャラクタに、第2のエージェントキャラクタの発話内容を踏まえた発話を行わせる。
【0104】
したがって、コンシェルジュサービスシステム1が提供するサービスの面白さを向上させることができる。
(4)本実施形態では、エージェントキャラクタ6Aの転送先の候補である複数の表示装置は、画像を表示可能な表示部31を備える複数の移動体である公衆機器3A~3Cである。
【0105】
したがって、移動体である公衆機器3A~3Cによる移動中であっても、コンシェルジュサービスシステム1が提供するサービスをユーザAが受けることができる。
(5)本実施形態では、ユーザを識別するユーザ識別装置36はカメラであり、ユーザは自身をユーザ識別装置36に撮像させるだけで、認証サーバ4においてユーザの認証又は特定が行われる。
【0106】
つまり、認証サーバ4は、転送元の表示装置であるユーザ端末2Aに設けられた操作部22a、及び、転送先の表示装置である公衆機器3Aに設けられた操作部32a、のいずれの操作部に対するユーザ操作を要することなく、複数の公衆機器3A~3Cの中の一の公衆機器3Aと、ユーザAと、対応付ける。
【0107】
したがって、ユーザを一の公衆機器3Aに対応付けるに際し、操作部22a,32aの少なくとも一方に対するユーザ操作を必要とする構成と比較して、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0108】
(6)本実施形態では、移動体である公衆機器3Aの行き先に応じて、公衆機器3Aの表示部31に表示される、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aのタイプ(広義には属性)が変更される。
【0109】
したがって、属性が変化したエージェントキャラクタ6Aを通じてユーザAは行き先に関わる情報を知り得る。具体的には例えば、行き先が病院である場合、エージェントキャラクタ6Aはナースに変化し、病院に関する話題(病院の待合室の混み具合等)を発話してもよい。この場合、ユーザAは、エージェントキャラクタ6Aの姿からユーザAの行き先が正しく病院に設定されていることを把握し、また、行き先の病院に関する情報を得られる。よって、本実施形態によれば、公衆機器3Aの行き先に応じてエージェントキャラクタ6Aの属性が変わらない構成と比較して、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0110】
(7)本実施形態では、転送先の公衆機器3Aの属性に応じて、公衆機器3Aの表示部31に表示される、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aのエージェントタイプ(すなわちエージェントキャラクタの属性)が変更される。
【0111】
したがって、属性が変化したエージェントキャラクタ6Aを通じてユーザAは転送先の表示装置である公衆機器3Aに関わる情報を知り得る。具体的には例えば、エージェントキャラクタ6Aは、公衆機器3Aの属性がマリンスタジアムのシャトルバスである場合、エージェントキャラクタ6Aは前記シャトルバスを先導するキャラクタに変化し、前記マリンスタジアムに関する情報を発話してもよい。この場合、ユーザAは、属性が変化したエージェントキャラクタ6Aを通じて転送先の表示装置である公衆機器3Aに関わる情報を知り得る。したがって、公衆機器3Aの属性に応じてエージェントキャラクタ6Aの属性が変わらない構成と比較して、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0112】
(8)本実施形態では、転送先の表示装置は、不特定の複数人に視聴される表示部31を備える公衆機器3Aである。
したがって、不特定の人が集まる場所においてもユーザがサービスを受けることができる。
【0113】
(9)本実施形態では、転送先の候補である複数の公衆機器3A~3Cにはカメラであるユーザ識別装置36が設けられる。そして、認証サーバ4は、公衆機器3Aに設けられた前記カメラから取得されたユーザの撮像画像に基づいて画像認証を行うことで、公衆機器3Aと、ユーザAと、対応付ける。
【0114】
したがって、ユーザが特段の操作を行わなくても公衆機器3AとユーザA,Bとの対応付けを行うことができる。よって、ユーザA,Bの利便性を向上することができる。
なお、本実施形態では、ユーザ端末2A,2B及び公衆機器3A~3Cが複数の表示装置に相当し、認証サーバ4、AIチャットサーバ5及び公衆機器3A~3Cを備えるシステムがエージェントシステムに相当する。また、ユーザ端末2A,2Bが転送元の表示装置に相当し、公衆機器3A~3Cの中の一の公衆機器(例えば公衆機器3A)が転送先の候補の複数の表示装置の中の一の表示装置に相当し、認証サーバ4が実行するT3及びT9の処理が対応処理部としての処理に相当する。また、公衆機器3A~3Cが実行するT6及びT12が転送先表示処理部としての処理に相当し、AIチャットサーバ5が実行するT13及び公衆機器3A~3Cが実行するT14が発話内容制御部としての処理に相当する。また、公衆機器3A~3Cが実行するT4及びT10が行き先変更処理部及び属性変更処理部としての処理に相当する。
【0115】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0116】
(1)上記実施形態では、表示装置として移動体である公衆機器3A~3Cを例示したが、表示装置はこれに限られない。表示装置は、例えば、移動体以外であってもよい。この場合において例えば、表示装置は、バス停の待合室のモニタ、会議室のモニタ、空港の待合室のモニタ等であってもよい。
【0117】
また、表示装置は、例えば、公衆機器以外であってもよい。換言すれば、表示装置は、不特定の複数人に視聴(すなわち利用)される機器ではなく、特定のユーザに視聴(すなわち利用)される機器であってもよい。この場合において例えば、表示装置は、ユーザの自宅のテレビ、パーソナルコンピュータ、冷蔵庫等であってもよい。
【0118】
この場合において、表示装置の属性は、車両、バス停の待合室のモニタ、会議室のモニタ、空港の待合室等であってもよい。
そして、AIチャットサーバ5は、例えば、表示装置の属性が車両である場合、移動にまつわる話を発話内容として決定し、表示装置の属性が空港のラウンジのモニタである場合、フライト情報にまつわる話を発話内容として決定してもよい。
【0119】
このように、エージェントキャラクタの転送元及び転送先の表示装置は、画像を表示可能な表示部を備える装置であれば任意の装置であってもよい。
(2)上記実施形態では、ユーザを特定し、ユーザと一の表示装置とを対応付けるための手段として、カメラであるユーザ識別装置36を例示したが、前記手段はこれに限られない。
【0120】
例えば、ユーザ識別装置は、転送先の候補である複数の表示装置(公衆機器3A~3C等)のそれぞれに設けられた非接触読取り部であってもよい。非接触読取り部は、記憶媒体から情報を非接触で読み取るように構成される。このような非接触読取り部としては、例えば、ICタグやRFIDタグなどから非接触で情報を読み取る読取り装置や、バーコードやQRコード(登録商標)(2次元バーコード)等の識別コードの情報を読み取る読取り装置等が挙げられる。そして、このようなユーザ識別装置によりユーザの所持するICタグやRFIDタグ、ユーザ端末2Aに表示される識別コードから当該ユーザを識別する識別情報を読み取り、読み取った識別情報をユーザ特定情報として認証サーバ4に送信してもよい。ここでいう識別情報は、例えば、ICタグやRFIDタグ、識別コードに割り振られた固有の数値であってもよい。そして、認証サーバ4においてユーザを特定し、前記識別情報を読み取った一の表示装置とユーザとを対応付けてもよい。
【0121】
このような構成によれば、転送先の表示装置を特定しやすくできる。すなわち、例えば、上記実施形態のようにカメラでユーザを特定、認識する場合、カメラの撮像画像において映り込みが生じ、ユーザの特定、認証がうまく行われず、ユーザと転送先の表示装置との対応付けが行われず、転送先の表示装置を特定できない可能性がある。これに対して、上記構成であれば、転送先の表示装置を特定しやすくできる。
【0122】
また例えば、上記とは逆に、転送先の候補である複数の表示装置(例えば公衆機器3A~3C)のそれぞれに、当該表示装置を識別するための識別情報を記憶した情報記憶部を設ける。
【0123】
そして、ユーザ端末2Aの読取り部26により公衆機器3A~3Cの中の一の公衆機器(例えば公衆機器3A)の情報記憶部から識別情報が読み取られる場合に、公衆機器3Aと、ユーザAと、対応付けてもよい。具体的には、ユーザ端末2Aが、公衆機器3Aから識別情報を読み取ると、読み取った公衆機器3Aの識別情報と、当該ユーザ端末2AのユーザAを識別する情報(ユーザ情報等)と、を認証サーバ4等に送信する。そして、認証サーバ4等において、受信した情報に基づいて、転送先の表示装置と、ユーザAと、を対応付けてもよい。
【0124】
なお、転送先の候補である複数の表示装置に設けられる情報記憶部としては、ICタグ、RFIDタグ、バーコードやQRコード等の識別コード等が挙げられる。
このような構成によれば、転送先の表示装置を特定しやすくできる。
【0125】
また例えば、転送先の表示装置が不特定の複数人に利用される公衆機器である場合において、ユーザ端末2Aの読取り部26で情報を読み取る際に、ワンデイパスポートのような、特定の期間のみその公衆機器3Aを利用可能な許可証も併せて発行してもよい。
【0126】
(3)上記実施形態において、ユーザと一の表示装置とを対応付けるに際し、転送元のユーザ端末2Aの操作部22a、及び、転送先の公衆機器3Aの操作部32a、の少なくとも一方に対するユーザ操作が必要とされてもよい。
【0127】
(4)上記実施形態では、ユーザの行き先に応じてエージェントキャラクタの属性が変更されるが、例えば、複数のユーザ間でユーザの行き先が同じであっても、ユーザの趣味、嗜好等によって変化後のエージェントキャラクタが異なってもよい。例えば、複数のユーザの行き先が共に或る遊園地であったとしても、ユーザがその遊園地のどのマスコットキャラクタを好きかどうかで複数のユーザの変化後のエージェントキャラクタが異なってもよい。
【0128】
(5)上記実施形態では、1台の公衆機器3Aに複数のユーザA,Bが乗車する場合に、公衆機器3Aに搭載された1台の表示部31に、複数のユーザA,Bの複数のエージェントキャラクタ6A,6Bが表示される。しかし、複数のエージェントキャラクタ6A,6Bが表示される表示部はこれに限られない。
【0129】
例えば、1台の公衆機器3Aに複数の表示部が搭載されている場合に、当該複数の表示部に、複数のユーザA,Bの複数のエージェントキャラクタ6A,6Bが表示されてもよい。この場合において例えば、前記複数の表示部のうちの1つの表示部にユーザAのエージェントキャラクタ6Aが表示され、前記複数の表示部のうちの別の表示部にユーザBのエージェントキャラクタ6Bが表示されてもよい。そして、ユーザAのエージェントキャラクタ6AとユーザBのエージェントキャラクタ6Bが互いに会話してもよい。
【0130】
すなわち、この場合も、ユーザAとユーザBとが共通の一の表示装置(公衆機器3A)に対応付けられ、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aと、ユーザBのエージェントキャラクタ6Bと、が前記一の表示装置(公衆機器3A)に同時に表示される。
【0131】
(6)上記実施形態において、一の表示装置(例えば1台の公衆機器3A)に複数の表示部31が備えられていてもよい。そして、前記複数の表示部31のそれぞれに、或るユーザのエージェントキャラクタ(例えばユーザAのエージェントキャラクタ6A)が同時に表示されてもよい。
【0132】
このような構成によれば、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aを、ユーザAの近くにいる他のユーザ(例えばユーザAと共に公衆機器3Aに乗車している他のユーザ)も共有することができる。そして、例えば、前記他のユーザが、コンシェルジュサービスを受けるためのアプリケーションソフトウェアを自身のユーザ端末にインストールしていなくても、ユーザAのエージェントキャラクタ6Aを介してサービスを受けることができる。
【0133】
(7)上記実施形態では、エージェントタイプの決定は公衆機器3A~3C側で行われるが、例えば、認証サーバ4やAIチャットサーバ5などのサーバ側でエージェントタイプの決定が行われてもよい。
【0134】
(8)上記実施形態において、転送先の表示装置とユーザとの対応付けは認証サーバ4側で行われるが、前記対応付けは、例えば、公衆機器3A~3Cなどの複数の表示装置側で実行されてもよい。
【0135】
(9)上記実施形態では、認証サーバ4を介して転送先の表示装置とユーザAとの対応付けや、転送先の表示装置に対するユーザAのエージェントキャラクタ6Aの情報の送受信等が行われる。しかし、転送先の表示装置とユーザとの対応付け等を行う仕組みはこれに限られない。
【0136】
例えば、認証サーバ4を介さず、転送元の表示装置から転送先の表示装置にエージェントキャラクタの情報やユーザ情報等を直接送信し、転送先の表示装置側でユーザとの対応付けを行ってもよい。つまり、認証サーバ4を介さず、転送元の表示装置と転送先の表示装置との間で、転送先の表示装置とユーザとの対応付け、及び、エージェントキャラクタの情報の送受信が行われてもよい。
【0137】
(10)本開示に記載の制御部27,37,43,53及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部27,37,43,53及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部27,37,43,53及びその手法は、複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。制御部27,37,43,53に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0138】
(11)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0139】
(12)前述した制御部27,37,43,53の他、当該制御部27,37,43,53を構成要素とするシステム、当該制御部27,37,43,53としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、エージェントキャラクタを複数の表示装置間で転送させて表示させる方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0140】
1…コンシェルジュサービスシステム、2A,2B…ユーザ端末、
3A~3C…公衆機器、4…認証サーバ、5…AIチャットサーバ、
6A~6C…エージェントキャラクタ。