(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】熱切断プロセスを監視するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20220610BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20220610BHJP
【FI】
B23K26/00 P
B23K26/38 A
(21)【出願番号】P 2019520123
(86)(22)【出願日】2017-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2017075768
(87)【国際公開番号】W WO2018069291
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】102016219927.7
(32)【優先日】2016-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンフリート マグ
(72)【発明者】
【氏名】ダーフィト シントヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ボリス レゴー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ボックスロッカー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ローミンガー
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0319980(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0193692(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(3)における熱切断プロセスを監視するための、特に閉ループ制御するための装置(1)であって、
前記ワークピース(3)に切断カーフ(16)を形成するために、加工ビーム、特にレーザビーム(2)を前記ワークピース(3)に合わせて集束させるための集束装置(4)と、
前記ワークピース(3)の被監視領域(15)の少なくとも1つの画像(B1、B2)を生成するための画像捕捉装置(9)と、
を備えている、装置(1)において、
評価装置(19)が設けられており、前記評価装置(19)は、前記少なくとも1つの画像(B1、B2)に基づき、前記ワークピース(3)の厚さ方向(Z)における前記切断カーフ(16)のギャップ幅(b(z))の推移に関して、特に前記切断カーフ(16)の両方の切断側面(23a、b)間の角度(γ)に関して、少なくとも1つの測定量(A、δ)を求めるように構成されて
おり、
前記画像捕捉装置(9)は、偏光器(21)を備えており、前記偏光器(21)は、前記被監視領域(15)を監視するための観察ビーム(7a)のうち、第1の直線偏光成分(s)を検出器(12)へ伝達し、前記観察ビーム(7a)のうち、前記第1の直線偏光成分(s)に対し垂直な第2の偏光成分(p)をフィルタリングし、
前記評価装置(19)は、前記少なくとも1つの画像(B1、B2)において前記切断カーフ(16)の前記切断側面(23a、b)に沿って延在する2つの発光ストライプ(22a、b)に基づき、前記測定量(A、δ)を求めるように構成されており、
測定量として好ましくは、両方の前記発光ストライプ(22a、b)間の間隔(A)及び/又は角度(δ)が求められ、
前記ワークピース(3)の厚さ方向(Z)における前記切断カーフ(16)の前記ギャップ幅(b(z))の推移に関して求められた前記少なくとも1つの測定量(A、δ)に応じて、前記熱切断プロセスの少なくとも1つの調整量(F、P)に作用を与えるための、開ループ制御装置及び/又は閉ループ制御装置(20)をさらに備えている、
ことを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記評価装置(19)は、前記発光ストライプ(22a、b)間の間隔(A)を、前記熱切断プロセスの送り方向(v
R)を横切る方向での前記画像(B1、B2)の2つの強度最大値(I
M1、I
M2)のポジション(Y
M1、Y
M2)に基づき求めるように構成されている、
請求項
1記載の装置。
【請求項3】
前記画像捕捉装置(9)は、前記加工ビームのビーム軸(13)に対し所定の角度(β)で延在する観察方向(R1)から前記被監視領域(15)を観察するために、観察ビーム(7a)を形成するように構成されており、
前記観察ビーム(7a)は、好ましくは前記集束装置(4)を通り抜け、
前記画像捕捉装置(9)は、前記加工ビームの前記ビーム軸(13)に対し前記角度(β)で延在する前記観察方向(R1)から、前記被監視領域(15)の前記画像(B1)を生成するための結像光学系(14)を含む、
請求項
1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記加工ビームの前記ビーム軸(13)に対する前記観察方向(R1)の前記角度(β)は1゜乃至5゜である、
請求項
3記載の装置。
【請求項5】
前記画像捕捉装置(9)は、前記観察ビーム(7a)の前記観察方向(R1)の配向、及び/又は、前記観察ビーム(7a)の伝達される前記第1の直線偏光成分(s)の方向を、前記熱切断プロセスの送り方向(v
R)に応じて、前記加工ビームの前記ビーム軸(13)に対し垂直な平面(X、Y)内で変化させ、特に前記送り方向(v
R)に対し相対的に一定に保持するように構成されている、
請求項
3又は
4記載の装置。
【請求項6】
前記観察方向(R1)は、前記加工ビーム(2)の前記ビーム軸(13)に対し垂直な平面(X、Y)への投影において、送り方向(v
R)で推移する、
請求項
5記載の装置。
【請求項7】
前記観察ビーム(7a)の伝達される前記第1の直線偏光成分(s)の方向は、前記加工ビーム(2)の前記ビーム軸(13)に対し垂直な平面(X、Y)内で、前記送り方向(v
R)に対し55゜乃至125゜の角度(θ)で、好ましくは80゜乃至100゜の角度(θ)で延在する、
請求項
5又は
6記載の装置。
【請求項8】
前記画像捕捉装置(9)は、前記ワークピース(3)の前記被監視領域(15)の前記少なくとも1つの画像(B1乃至B4)を、700nm乃至2μmの波長で生成するように構成されている、
請求項1から
7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
ワークピース(3)における熱切断プロセスを監視するための、特に閉ループ制御するための方法であって、
ワークピース(3)の被監視領域(15)の少なくとも1つの画像(B1、B2)を生成することを含み、前記被監視領域(15)は、前記ワークピース(3)における切断プロセス時に形成される切断カーフ(16)の切断側面(23a、b)を含む、
方法において、
前記少なくとも1つの画像(B1、B2)に基づき、前記ワークピース(3)の厚さ方向(Z)での前記切断カーフ(16)のギャップ幅(b(z))の推移に関して、特に前記切断カーフ(16)の両方の前記切断側面(23a、b)間の角度(γ)に関して、少なくとも1つの測定量(A、δ)を求め
、
前記少なくとも1つの画像(B1乃至B4)を生成するために、前記被監視領域(15)を監視するための観察ビーム(7a)のうち、第1の直線偏光成分(s)を検出器(12)へ伝達し、前記観察ビーム(7a)のうち、前記第1の直線偏光成分(s)に対し垂直な第2の偏光成分(p)をフィルタリングし、
前記少なくとも1つの画像(B1、B2)において、前記切断カーフ(16)の前記切断側面(23a、b)に沿って延在する2つの発光ストライプ(22a、b)に基づき、前記測定量(A、δ)を求め、
前記測定量は、好ましくは、両方の前記発光ストライプ(22a、b)間の間隔(A)又は角度(δ)を成し、
求められた前記測定量(A、δ)に応じて、前記熱切断プロセスの少なくとも1つの調整量(F、P)に作用を与えることをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記被監視領域(15)を観察するための観察ビーム(7a)の観察方向(R1)の配向、及び/又は、前記観察ビーム(7a)の伝達される前記第1の直線偏光成分(s)の方向を、前記熱切断プロセスの送り方向(v
R)に応じて、前記加工ビームのビーム軸(13)に対し垂直な平面(X、Y)内で変化させ、特に前記送り方向(v
R)に対し相対的に一定に保持する、
請求項
9記載の方法。
【請求項11】
前記観察方向(R1)を、前記加工ビーム(2)の前記ビーム軸(13)に対し垂直な平面(X、Y)への投影において、送り方向(v
R)で配向させる、
請求項
10記載の方法。
【請求項12】
前記観察ビーム(7a)の伝達される前記第1の直線偏光成分(s)の方向は、前記加工ビーム(2)の前記ビーム軸(13)に対し垂直な平面(X、Y)内で、前記送り方向(v
R)に対し55゜乃至125゜の角度(θ)で、好ましくは80゜乃至100゜の角度(θ)で延在する、
請求項
10又は
11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、典型的にはプレート状のワークピース、特に薄板における熱切断プロセスを監視するための、特に閉ループ制御するための装置に関する。この装置は、ワークピースに切断カーフを形成するためにワークピースに合わせて加工ビーム、特にレーザビームを集束させるための集束装置と、典型的には切断カーフ、従って、切断カーフの切断側面の1つのセクションを含む、ワークピースの被監視領域の少なくとも1つの画像を生成するための画像捕捉装置とを含む。本発明は、ワークピースにおける切断プロセスを監視するための、特に閉ループ制御するための、対応する方法にも関する。この方法は、切断プロセスにおいてワークピースに形成される切断カーフの切断側面、より正確には切断側面の1つのセクションを含む、ワークピースの被監視領域の少なくとも1つの画像を生成することを含む。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2015/036140号(WO2015/036140A1)には、切断プロセスを監視するための、特に閉ループ制御するための装置が記載されており、この装置は、レーザビームとワークピースとの相互作用領域を含む、ワークピースにおける被監視領域を捕捉するための画像捕捉装置と、切断プロセスにおいて形成される切断カーフの少なくとも1つの特性量、例えば切断フロント角を求めるように構成された評価装置とを有する。
【0003】
国際公開第2015/036140号(WO2015/036140A1)に記載されている画像捕捉装置は、レーザビームのビーム軸に対し所定の角度で延在する観察方向から相互作用領域を観察するための観察ビームを形成するように構成されており、レーザビームのビーム軸に対し所定の角度で延在する観察方向から相互作用領域の画像を生成するために結像光学系を含む。観察方向が切断プロセスの送り方向で推移せず、又は、送り方向とは逆方向で推移するならば、評価装置は記録された画像に基づき、バリ発生、粗さ、及び/又は、溝発生を、切断カーフの1つ又は複数の特性量として求めることができる。
【0004】
国際公開第2012/107331号(WO2012/107331A1)には、レーザ切断プロセスを監視するための、特に閉ループ制御するための装置が記載されており、この装置を、レーザビームとワークピースとの間の相互作用領域の画像に基づき、切断ギャップにおけるバリ発生の有無を求めるように構成することができる。例えば、溶融切断プロセスの場合、切断フロントから発せられる3つの発光ストライプが出現したならば、バリ発生(くずバリ)が存在すると推定することができる。
【0005】
独国特許発明第102014000330号明細書(DE102014000330B3)には、ワークピースのレーザ切断において加工レーザビームの焦点位置を監視及び必要に応じて閉ループ制御するための方法及び装置が記載されており、これによれば少なくとも1つの画像生成カメラによって、レーザ加工により引き起こされる光学的なプロセス発光及びワークピース中を進んでいる切断フロントが、1つ又は複数の画像において局所分解されて捕捉される。次いでワークピース表面に対し相対的な加工レーザビームの瞬時の焦点位置がそのつど、1つ又は複数の画像におけるプロセス発光の瞬時の拡がりと切断フロント最頂点までの最大プロセス発光の個所の瞬時の間隔とから求められる。
【0006】
国際公開第2012/037955号(WO2012/037955A1)から、ワークピースの(レーザ)加工を監視又は検査するための方法及び装置が公知となっており、これによれば、第1の偏光を有する熱放射から成る第1の放射成分と、第1の偏光とは異なる第2の偏光を有する熱放射から成る第2の放射成分とが捕捉され、これらはワークピースの加工領域における少なくとも1つの平面要素から発光される。捕捉された第1及び第2の放射成分から、少なくとも1つの平面要素におけるワークピースの表面構造のデータ値が求められる。レーザ加工の1つのバリエーションにおいて、ワークピースとレーザビームとの間の相対運動が第1の運動方向で行われ、この場合、第1の運動方向に対し、第1の偏光は平行に位置し、第2の偏光は垂直に位置する。
【0007】
論文“Numerical investigations on high-power laser cutting of metals”, E. H. Amara等著、Appl. Phys. A (2015) 119:1245-1260には、レーザを用いた金属切断を調査するための数値シミュレーションに基づく理論的アプローチが記載されており、このアプローチは、切断フロント及び切断カーフの三次元モデルをベースとしている。数値シミュレーションに基づく結果は、それぞれ異なる6つの送り速度について実験的な監視と比較される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2015/036140号
【文献】国際公開第2012/107331号
【文献】独国特許発明第102014000330号明細書
【文献】国際公開第2012/037955号
【非特許文献】
【0009】
【文献】論文“Numerical investigations on high-power laser cutting of metals”、E. H. Amara等著、Appl. Phys. A (2015) 119:1245-1260
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の課題
本発明が基礎とする課題は、切断プロセスの切断品質に関する少なくとも1つの測定量を信頼性を伴って求めることができるようにし、特に、この測定量に基づき切断プロセスを閉ループ制御できるようにした、装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の対象
本発明によればこの課題は、以下のように構成された評価装置を有する、冒頭で述べた形式の装置によって解決される。即ち、この評価装置は、少なくとも1つの画像に基づき、ワークピースの厚さ方向における切断カーフのギャップ幅の推移に関して、特に切断カーフの両方の切断側面間の角度に関して、少なくとも1つの測定量を求めるように構成されている。典型的にはワークピースの上側から記録されるワークピースの被監視領域の画像は通常、サーモグラフである。画像を生成するために画像捕捉装置は、典型的にはカメラ、例えば、CMOSカメラ又は場合によってはCCDカメラの形式の画像センサの形態で検出器を有する。被監視領域は、加工ビームとワークピースとの相互作用において形成される切断カーフの切断フロントを含むことができるが、被監視領域が切断フロント後方の切断側面だけを含むようにしてもよい。ただし、特に切断プロセスの閉ループ制御を少なくとも1つの測定量に基づいて行おうとするならば、被監視領域が切断カーフの切断フロントから、又は、加工ビームとワークピースとの間の相互作用領域から、過度に離れて隔たっているのは望ましくない。
【0012】
発明者が認識したのは、典型的にはプレート状のワークピースの上側からワークピースの下側への、ワークピースの厚さ方向での切断カーフにおけるギャップ幅の推移の幾何学的形状と、切断品質との間に、物理的な関係が存在する、ということである。送り方向に沿って辿られる区間ごとにワークピースにもたらされるエネルギー(区間エネルギー)が低減し、又は、切断プロセスの他のパラメータが不適切に変化するケースにおいては、切断ギャップの幅が、ワークピース上側からワークピース下側に向かう方向で減少し、極端なケースにおいては、切断カーフがワークピース下側近くで完全に閉じられて、切断が完全に中断してしまうまで減少する。
【0013】
ワークピースの上側から下側への切断カーフのギャップ幅の減少(即ち、横断面がV字型の切断カーフの形成)は、切断が中断してしまう前にすでにはっきりと切断品質(粗さ、溝発生、バリ発生及び形状の忠実さ)に強く影響を及ぼす可能性がある。厚さ方向で実質的に一定の幅を有する切断カーフを形成するように熱切断プロセスを閉ループ制御することによって、切断プロセスにおける不規則性を阻止することができ、このようにすれば高品質切断を保証することができる。この目的で提案されるのは、厚さ方向における切断カーフの推移に関する情報、特に厚さ方向における切断カーフのギャップ幅の減少に関する情報を得ることができる、少なくとも1つの測定量を求めることである。かかる測定量を表すのは、切断カーフの両方の切断側面が互いに成す角度であって、この角度は、ワークピースの厚さ方向における切断カーフのギャップ幅がワークピース下側に向かって強く減少すればするほど大きくなる。切断カーフのV字形状に対する尺度を表すこれら両方の切断側面間の角度は、例えば、凹状又は凸状に湾曲した切断側面であれば、ワークピース上側及びワークピース下側における個々の切断側面間の角度によって規定される。厚さ方向における切断カーフの推移を記述する測定量を、これら両方の切断側面間の角度とすることができるけれども、切断カーフのギャップ幅の推移を、あとで詳しく説明するように別の測定量によって間接的に求めることもできる。
【0014】
1つの実施形態によれば、画像捕捉装置は偏光器を有しており、この偏光器は、被監視領域を監視するための観察ビームのうち、第1の直線偏光成分を検出器へ伝達し、さらにこの観察ビームのうち、第1の直線偏光成分に対し垂直な第2の偏光成分をフィルタリングし、この場合、評価装置は、少なくとも1つの画像において切断カーフの切断側面に沿って延在する2つの発光ストライプに基づき、測定量を求めるように構成されており、その際に測定量として好ましくは、これら両方の発光ストライプ間の間隔及び/又は角度が求められる。
【0015】
発明者が認識したのは、切断カーフの厚さ方向におけるギャップ幅の推移を発光ストライプに基づき求めることができるが、それらの発光ストライプを観察するためには一般的には、被監視領域を監視するための観察ビームの単一の直線偏光成分を用いる必要がある、ということである。これに加えて発明者が認識したのは、このようにして形成された画像において識別することができ、かつ、切断カーフの切断フロント及び切断エッジに沿って延在している両方のストライプは、プロセス発光のうち、観察方向に対し偏光に依存する発光が特に強い角度範囲内に切断フロント若しくは切断エッジが配向されている部分に対応する、ということである。両方の発光ストライプを識別できる領域において、切断フロント角度若しくは切断カーフの両方の切断エッジ間の角度は、特に強く発光する角度範囲内に位置している。ワークピースが熱切断プロセス時にその厚さ全体にわたり現在のところはまだ完全に切り離される分離限界に近づいたとき、ただし、現在のところはまだ良好の切断が生じているが、切断カーフの幅が厚さ方向ですでに減少している高品質切断限界にも近づいているならば、発光ストライプ間の間隔も減少する。画像における両方の発光ストライプ間の角度も、切断品質に関する測定量として用いることができる。それというのも、高品質切断の場合には一般的に平行に延在する発光ストライプ間の角度が、粗悪な切断品質の切断のときには、又は、切断が中断してしまう直前においては、変化するからであり、切断が中断してしまうと両方の発光ストライプが一体化する。
【0016】
切断側面間の角度若しくは間隔が減少したならば、そのことは切断側面の下方領域における溶融物排出が劣化したことを示唆しており、その結果、切断側面において粗さが増大することになる。よって、発光ストライプ間の間隔若しくは発光ストライプ間の角度は、プロセス状態に関する(アナログの)測定量を表しており、より正確には、熱切断プロセス、特に溶融切断プロセスにおける切断品質(高品質切断、分離切断、送り余量など)を表しており、その際にこの測定量は、特に、分離切断限界若しくは高品質切断限界からの切断プロセスの間隔に実質的に比例している。この理由から、発光ストライプ間の間隔及び/又は発光ストライプ間の角度を、切断プロセスのパラメータ(区間エネルギー、焦点位置等)を閉ループ制御するための1つ又は複数の入力量として用いることができる。上述のように、切断カーフのギャップ幅の推移に関する測定量を求めるために、必ずしも発光ストライプを用いなくてもよい。例えば、両方の切断側面間の角度(上記参照)を、切断プロセスの切断品質に関する(連続的な)測定量として用いることができる。自明のとおり、1つ又は複数の測定量に基づき、切断プロセスの閉ループ制御を行うことなく、切断プロセスの状態コントロール若しくは品質コントロールだけを行ってもよい。
【0017】
切断プロセスのいくつかのプロセスコンフィギュレーションによれば、切断フロント全体の周囲を巡って途切れることなく溶融物が溶け出る可能性がある。また、繊維状の溶融物がそれぞれ1つの切断側面に沿って、及び切断フロントの中央で流れ出ることも起こり得る。しかしながらこの種のプロセス状態は、ここで説明している本質的な測定原理には影響を及ぼさず、即ち、直線偏光成分(s偏光)を用いた観察の場合には、常に2つの発光ストライプだけしか検出されない。むしろ発光ストライプの観察に基づき、切断カーフのギャップ幅の推移に関して、特にワークピースの厚さ方向における切断側面間の角度に関して、推定を行うことができ、従って、切断側面の粗さが少ない「高品質切断」と、粗さがより多い「分離切断」とを(さらにこれらのうちの任意の中間段階を)、区別することができる。上述のように、ワークピースの上側から下側に向かう切断カーフの幅の減少は、欠陥切断が起こりそうなことを示唆している。このため測定量に基づいて、プロセスの「ロバストネス」(即ち、例えば、(レーザ)ビーム源の送り余量又は出力余量)を求めることもできる。
【0018】
1つの発展形態によれば、評価装置は、発光ストライプ間の間隔を、熱切断プロセスの送り方向を横切る方向の画像の2つの強度最大値のポジションに基づいて求めるように構成されている。この場合、検出される観察放射の強度プロフィル若しくは強度分布が、典型的には送り方向を横切る方向の画像の1つの画像セクションにおいて捕捉若しくは評価され、この画像セクションを、例えば、画像若しくはカメラの1つの画像ライン若しくは1つの画素ラインに沿って延在させることができる。特に、観察方向が送り方向と共に動かされるケースにおいては、評価される画像ライン若しくは画素ラインを、画像内若しくはカメラのチップにおいて固定的に規定しておくことができるが、評価される画像領域のポジションを、加工ビーム若しくは送り方向に対し相対的に変化させてもよい。単一の画像ライン若しくは画素ラインを評価する代わりに、強度プロフィルの評価若しくは特定のために、場合によっては複数の画像ラインを利用することもでき、これらの複数の画像ラインについて適切な手法により平均化され、これは、例えば、個々の画像ラインの強度値の算術平均値又は中央値が用いられるようにして行われる。場合によっては、平均化された強度プロフィルにおいて、両方の強度最大値の間隔が求められ、上述のように、切断プロセスの切断品質に関する測定量として、この間隔を用いることができる。強度プロフィルから強度最大値のポジションを計算するために、画像処理による方法を用いることができる。
【0019】
選択的又は付加的な画像評価において、ワークピースを上から見たときの両方の発光ストライプ間の角度、又は、(断面方向における)両方の切断側面間の角度が求められ、角度若しくは角度差が測定量として利用される。角度測定のために、例えば、ハフ変換など文献に記載されている画像評価アルゴリズムを同様に用いることができる。
【0020】
上述のように、切断側面間の角度を、又は、負のZ方向若しくはワークピースの厚さ方向での切断カーフの幅の減少を、測定量として用いることができる。切断側面間の角度を直接、又は、場合によっては(ワークピースの厚さが既知である限りは)、ワークピース上側における切断カーフのギャップ幅及びワークピース下側におけるギャップ幅の特定に基づき、求めることができる。厚さ方向での切断ギャップの幾何学的形状を特定するために、例えば、光コヒーレントトモグラフィ(OCT)若しくはOCTセンサを用いることができ、即ち、以下のような干渉法を用いることができる。即ち、この方法によれば、ワークピース上側からの振動運動によって、加工ビーム後方の切断カーフの深さプロフィルが測定され、その際に、例えば、切断カーフの切断側面間の角度、ワークピース下側における切断ギャップのギャップ幅、及び、ワークピース上側における切断ギャップのギャップ幅が測定される。この目的のために、ワークピースのパターン化された照明又は比率ゴニオメータ(“Quotientengoniometer”)を用いることもできる。場合によっては、ワークピース下側におけるギャップ幅が焦点直径よりも(著しく)小さいときには、ワークピース下側におけるギャップ幅の特定に基づきすでに、粗悪な切断品質であると推定することができる。
【0021】
さらに別の画像評価において、高品質切断の画像と分離切断の画像とがクラスタリングされ、切断プロセスの被監視領域の現在の画像が、比較による画像評価を介してそれらのクラスタに割り当てられる。このためにも、公知の画像評価アルゴリズム、例えば、Haarアルゴリズムなどを用いることができる。このケースでも同様に、分離切断若しくは高品質切断のクラスタリングされた画像における発光ストライプに基づき、切断品質に関する測定量を求めることができ、この測定量が(ほぼ)連続的な測定量であるならば、場合によってはこの測定量を閉ループ制御に用いることができる。
【0022】
すべての画像評価アルゴリズムにおいて必須又は有利となり得るのは、記録された画像を事前に現在の送り方向に関連させて旋回させ、場合によっては黒白画像補償調整、ひずみ修正、及び画像処理において知られているさらに別のメカニズムを改善することである。これらに加えて有利となり得るのは、時間的に相前後して続く複数の画像を画素ごとに中央値、平均値又は同等のフィルタリングによって平均化することである。さらに有利であるのは、プロセス障害を伴う画像(自然発生的な気化又はプラズマ形成に起因するかなり大きい突発的な画像輝度)を、画像評価にあたり無視することである。ただし、かかるプロセス障害を、送り余量に対するさらに別のインジケータとして、又は、切断中断からのプロセスの僅かな間隔に対する示唆として、用いることができる。
【0023】
1つの実施形態によれば、画像捕捉装置は、加工ビームのビーム軸に対し所定の角度で延在する観察方向から被監視領域を観察するために、観察ビームを形成するように構成されており、この場合、観察ビームは好ましくは集束装置を通り抜け、さらにこの場合、画像捕捉装置は、加工ビームのビーム軸に対し所定の角度で延在する観察方向から、被監視領域の画像を生成するための結像光学系を含む。かかる非同軸の観察を実現する目的で、装置若しくは画像捕捉装置を、例えば、冒頭で引用した国際公開第2015/036140号(WO2015/036140A1)に記載されているように構成することができる。なお、この文献をここで参照したことにより、その内容全体が本願の内容に取り込まれるものとする。発光ストライプの非同軸の観察が有利であると判明したけれども、必ずしもこのようにしなくてもよく、即ち、基本的には被監視領域の観察を、加工ビームのビーム軸に対し同軸で、又は、このビーム軸に対し平行に行うこともできる。
【0024】
1つの発展形態によれば、加工ビームのビーム軸に対する観察方向の角度は1゜乃至5゜であり、好ましくは約1.5゜乃至4.5゜である。ここで挙げた用途のためには、加工ビームのビーム軸に対し比較的小さい角度での観察が有利であると判明した。
【0025】
さらに別の発展形態によれば、画像捕捉装置は、観察ビームの観察方向の配向、及び/又は、観察ビームの伝達される第1の直線偏光成分の方向を、熱切断プロセスの送り方向に応じて、加工ビームのビーム軸に対し垂直な平面内で変化させる、特に送り方向に対し相対的に一定に保持する、ように構成されている。冒頭で引用した国際公開第2015/036140号(WO2015/036140A1)に記載されているように、以下のようにした場合に好適になり得る。即ち、たとえ送り方向即ち加工ビームとワークピースとの間の相対運動の方向が変化しても、送り方向と観察方向との間の角度が、ビーム軸に対し垂直な平面内で一定の値を有するようにするのである。例えば、撮像による捕捉のためには、以下のようにした場合に好適になり得る。即ち、観察方向がワークピース平面における投影において送り方向とは逆に推移するようにし、これは引きずり観察若しくはドラッギング観察(“schleppende Beobachtung”)とも呼ばれ、又は、必要に応じて送り方向で推移するようにし、これは突き刺し観察若しくはスティッキング観察(“stechende Beobachtung”)とも呼ばれる。
【0026】
さらに同様に多くの適用事例において好適であると判明したのは、偏光フィルタによりフィルタリング除去される偏光成分の配向を、送り方向に対し相対的に一定に保持することである。特に、観察を改善する若しくは簡単にする目的で、フィルタリングされた偏光成分を、送り方向に対し平行に、又は、送り方向に対し垂直に配向することができる。直線偏光成分の方向を送り方向と共に変化させる目的で、又は、これを旋回させる目的で、例えば、モータ駆動型の(典型的には旋回可能な)偏光フィルタ又は電気的に旋回可能な偏光フィルタ(LCD偏光器)を用いることができる。観察ビームの観察方向の配向を変化させるために、典型的には少なくとも1つの偏心絞り開口を有する旋回可能な絞りが用いられるならば、偏光フィルタを旋回可能な絞りに取り付け、それと共に旋回させることができ、この場合には偏光フィルタを旋回させるために固有の駆動部が必要とされない。
【0027】
さらに別の実施形態によれば、観察方向は、加工ビームのビーム軸に対し垂直な平面への投影において送り方向に推移し、即ち、送り方向と観察方向とは、この平面において平行であり、等しく配向されている。このようないわゆるスティッキング観察は、特に発光ストライプの検出のために有利であると判明した。
【0028】
さらに別の発展形態によれば、観察ビームの伝達される第1の直線偏光成分の方向は、加工ビームのビーム軸に対し垂直な平面内で(即ち、ワークピース平面において)、送り方向に対し55゜乃至125゜の角度で延在し、好ましくは80゜乃至100゜の角度で、特に好ましくは90゜の角度で延在する。上述のように、発光ストライプは典型的には、観察ビームが直線偏光成分を有するケースについてのみ、観察することができる。この直線偏光成分は、理想的には送り方向に対して垂直に延在する(s偏光)。
【0029】
1つの発展形態によれば、画像捕捉装置は、ワークピースの被監視領域の少なくとも1つの画像を、700nm乃至2μmの波長で生成するように構成されている。鉄をベースとするワークピース材料のためには、被監視領域を観察するために700nm乃至1000nm、好ましくは800nm乃至940nmの観察波長が有利であると判明した。これらの波長を、SiOベースの画像センサ若しくは検出器によって捕捉することができる。これよりも長い波長(例えば、1.6μmまでの波長)で観察することも可能であるけれども、InGaAsベースの画像センサ若しくは検出器が必要とされ、これらは著しくコストが嵩み、かつ、一般的にはより低い画像レートを有する。より長い波長で観察することの利点は、(例えば、Al、Cuなど)溶融温度がより低い材料から成るワークピースであっても、発光ストライプを監視できることである。700nmを下回るさらに短い波長によっても通常は、信頼性のある評価を保証するために十分に強い温度放射がもはや供給されない。
【0030】
典型的にはカメラによって記録される若しくは生成される画像を、より正確には画像データを評価する目的で、評価装置は、例えば、計算ユニット若しくはマイクロプロセッサの形態で構成可能な通常の画像処理装置を有する。しかも評価装置は通常、データ交換のためにインタフェースを介して、加工プロセスを開ループ制御若しくは閉ループ制御するための開ループ制御装置若しくは閉ループ制御装置と接続されている。
【0031】
さらに別の実施形態によれば、装置は付加的に、ワークピースの厚さ方向におけるギャップ幅の推移に関して求められた少なくとも1つの測定量に応じて、熱切断プロセスの少なくとも1つの調整量に作用を与えるための、開ループ制御装置及び/又は閉ループ制御装置を含む。このケースにおいては、熱切断プロセスの調整量(例えば、送り速度、レーザ出力、焦点位置、ガス圧力等)に作用を与えること、これらの調整量を整合若しくは閉ループ制御することによって、等しく維持される切断品質(特にエッジの粗さ)を、ひいてはより確実な分離切断を保証する目的で、例えば、発光ストライプに基づき求められた測定量若しくは測定値が用いられる。
【0032】
さらに、求められた測定値若しくは測定量を、プロセス状態を検査するために記録及び監視することができる。許容できない偏差が生じたならば、オペレータにその情報を通知することができ、及び/又は、プロセスを改善する措置(調節、洗浄)を自動的に又は手動で導入することができる。測定量に基づき、装置の保守が近づいていることも推定することができる。
【0033】
この装置はさらに別の構成要素を含むことができ、例えば、被監視領域においてワークピースを照明するために用いられる照明源を含むことができる。画像捕捉装置を、特に、レーザビームをワークピースに向けて放出させるためのレーザ加工ノズルのノズル開口を通して、画像を記録若しくは生成するように構成することができる。この装置を、例えば、レーザ切断ヘッド又はレーザ切断機とすることができる。
【0034】
本発明のさらに別の態様は、以下のことをさらに含む冒頭で述べた形式の方法に関する。即ち、この方法は、少なくとも1つの画像に基づき、ワークピースの厚さ方向における切断カーフのギャップ幅の推移に関して、特に切断カーフの両方の切断側面間の角度に関して、少なくとも1つの測定量を求めることを含む。上述のように、このようにして求められた測定量を、例えば、プロセス状態を検査するために記録して監視することができ、さらに許容できない偏差が生じたときには、必要に応じてオペレータにその情報を通知することができる。
【0035】
上述のように、切断側面間の角度を、又は、負のZ方向若しくはワークピースの厚さ方向での切断カーフの幅の減少を、測定量として用いることができ、その際に切断側面間の角度を直接、又は、例えば(ワークピースの厚さが既知である限りは)、ワークピース上側における切断カーフのギャップ幅及びワークピース下側におけるギャップ幅の特定によって、求めることができる。厚さ方向における切断ギャップの幾何学的形状を特定するために、上述のように、光コヒーレントトモグラフィ(OCT)、ワークピースのパターン化された照明、又は、比率ゴニオメータを用いることができる。必要に応じて、例えば、ワークピース下側におけるギャップ幅を加工ビームの焦点直径と比較すれば、このギャップ幅が切断品質に関する測定量として十分なものとなり得る。ワークピース下側のギャップ幅が加工ビームの焦点直径よりも小さいケースであれば、このことは粗悪な切断品質を示唆する。
【0036】
1つの変形実施形態によれば、少なくとも1つの画像を生成するために被監視領域を監視するための観察ビームのうち、第1の直線偏光成分が検出器へ伝達され、さらにこの観察ビームのうち、第1の直線偏光成分に対し垂直な第2の偏光成分がフィルタリングされ、その際に少なくとも1つの画像において、切断カーフの切断側面に沿って延在する2つの発光ストライプに基づき測定量が求められ、この測定量は好ましくは、これら両方の発光ストライプ間の間隔又は角度を成す。上述のように、発光ストライプに基づき、ワークピースの厚さ方向における切断カーフのギャップ幅の推移を推定することができる。
【0037】
さらに別の変形実施形態によれば、被監視領域を観察するための観察ビームの観察方向の配向、及び/又は、観察ビームの伝達される第1の直線偏光成分の方向が、熱切断プロセスの送り方向に応じて、加工ビームのビーム軸に対し垂直な平面内で変化させられ、特に送り方向に対し相対的に一定に保持される。
【0038】
1つの変形実施形態によれば、観察方向は、加工ビームのビーム軸に対し垂直な平面への投影において送り方向に配向され、即ち、スティッキング観察が行われ、このことは、特に発光ストライプの監視のために有利であると判明した。
【0039】
好ましくは、観察ビームの伝達される第1の直線偏光成分の方向は、加工ビームのビーム軸に対し垂直な平面内で、送り方向に対し55゜乃至125゜の角度で延在し、好ましくは80゜乃至100゜角度で、特に好ましくは90゜の角度で延在する。フィルタリングされた直線偏光成分はこのケースにおいては、送り方向と加工ビームのビーム軸とを含む平面に対し垂直に配向された偏光成分(s偏光)である。上述のように、直線偏光成分のフィルタリングは、発光ストライプを撮像により捕捉するために必要となる可能性がある。
【0040】
1つの有利な変形実施形態によれば、この方法はさらに付加的に、求められた測定量に応じて、熱切断プロセスの少なくとも1つの調整量に作用を与えることを含む。レーザ切断プロセスの1つ又は複数の調整量を整合若しくは閉ループ制御することによって、レーザ切断にあたり等しく維持された品質を保証することができる。
【0041】
明細書及び図面には、本発明のさらに別の利点が示されている。また、これまでに挙げた特徴及びさらに以下で説明する特徴を、それ自体単独で適用することもできるし、又は、複数を任意に組み合わせて適用することもできる。ここで図示され説明される実施形態は、本発明のすべてを列挙したものとして解されるべきではなく、むしろ本発明を説明するための例示的な特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1a】ワークピースにおけるレーザ切断プロセスを監視及び閉ループ制御するための装置の1つの実施例を概略的に示す図である。
【
図1b】かかる装置において観察ビームを形成するための絞りを、
図1aのカットラインB-Bに沿って示す図である。
【
図2a】高品質切断の場合について、切断カーフを三次元で示す図である。
【
図2b】高品質切断の場合について、切断カーフを上から見た図である。
【
図2c】高品質切断の場合について、2つの発光ストライプを含むワークピースの被監視領域のサーモグラフである。
【
図3a】切断品質が低い分離切断の場合について、切断カーフを三次元で示す図である。
【
図3b】切断品質が低い分離切断の場合について、切断カーフを上から見た図である。
【
図3c】切断品質が低い分離切断の場合について、2つの発光ストライプを含むワークピースの被監視領域のサーモグラフである。
【
図4】
図2cのサーモグラフの1つの画像ラインに沿って、送り方向を横切る方向での強度プロフィルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の図面の説明においては、同じ構成部材若しくは機能的に同じ構成部材には同じ参照符号が用いられる。
【0044】
図1aには、レーザビーム2の形態の加工ビームを用いたワークピース3におけるレーザ切断プロセスを監視及び閉ループ制御するための装置1の例示的な構造が示されている。装置1は図示の例においては、詳細には描かれていないレーザ加工機の一部分であるレーザ加工ヘッドの形態で構成されている。レーザビーム2は、図示の例においては、CO
2レーザから生成される。別の選択肢としてレーザビーム2を、例えば、固体レーザにより生成することができる。レーザビーム2は、ワークピース3において切断加工を実施するために、集束レンズ4の形態の集束装置によって、ワークピース3に向けて集束される。集束レンズ4は、図示の例においては、セレン化亜鉛から成るレンズであり、このレンズはレーザビーム2を、レーザ加工ノズル5を通して、より正確にはレーザ加工ノズル5のノズル開口5aを通して、ワークピース3に向けて集束させ、詳しくは図示の例においては、ワークピース3の上側における焦点ポジションFに向けて集束させる。レーザビーム2はそこにおいてワークピース3との相互作用領域18を形成し、この領域後方において、送り方向v若しくはレーザ切断プロセスの切断方向とは逆方向に、切断カーフ16が形成される。固体レーザからのレーザビーム2のケースにおいては、例えば、石英ガラスから成る集束レンズを適用することができる。
【0045】
図1aには半透過性に形成された偏向ミラー6も示されており、このミラーは(例えば、約10.6μmの波長の)入射レーザビーム2を反射し、プロセス監視に関連する観察放射をさらなる半透過性偏向ミラー8に向けて透過させる。偏向ミラー6は図示の例においては、約700nm乃至2000nmの波長λにおける熱放射の形態の観察放射に対して、半透過性に形成されている。さらなる半透過性偏向ミラー8はこの観察放射を、画像捕捉装置9に向けて反射する。照明源10は、ワークピース3を照明放射11によって同軸照明するために用いられる。照明放射11は、さらなる半透過性偏向ミラー8及び偏向ミラー6により透過させられ、レーザ加工ノズル5のノズル開口5aを通り抜けてワークピース3に向けて案内される。
【0046】
観察放射7を画像捕捉装置9へ案内する目的で、又は、照明放射11をワークピース3へ案内する目的で、半透過性偏向ミラー6、8に対する代案として、周縁領域のみから入射した放射を反射するスクレーパミラー又はホールミラーを適用することもできる。観察を可能にする目的で、レーザビーム2のビーム路において側方に取り付けられた少なくとも1つのミラーを用いることもできる。
【0047】
照明源10として、ダイオードレーザ又はLED又はフラッシュランプを設けることができ、これは
図1aに示されているように、レーザビーム軸13と同軸に配置することができ、ただし、レーザビーム軸13からずらして配置してもよい。照明源10を、例えば、装置1の外部(特に側方)に配置し、ワークピース3に向けて配向することもできる。別の選択肢として、照明源10を装置1の内部に配置するが、レーザビーム2と同軸ではなく、ワークピース3に向けて配向することができる。必要に応じて装置1を、照明源10なしで駆動することもできる。
【0048】
画像捕捉装置9の一部は、観察ビーム路7においてさらなる半透過性偏向ミラー8の後方に配置された幾何学的に高分解能のカメラ12である。カメラ12を高速カメラとすることができ、このカメラは、レーザビーム軸13と同軸に配置されており、又は、レーザビーム軸13の延長線と同軸に、即ち、方向に依存せずに配置されている。図示の例の場合には、カメラ12による画像の記録は、プロセス固有の発光若しくは切断プロセスのサーモグラフを記録する目的で、落射照明法でNIR/IR波長領域において行われる。
図1aに示された例において、さらに別の放射成分若しくは波長成分をカメラ12による捕捉から排除するのが望ましい場合には、カメラ12の手前にフィルタを配置することができる。具体例としてフィルタを、例えば、約15nmの半値幅を有し約800nmの領域の波長λを透過させる狭帯域のバンドパスフィルタとして構成することができる。
【0049】
図2a、b若しくは
図3a、bに示されているワークピース3の被監視領域15の画像B1、B2を生成するために、カメラ12の検出器平面12aにおいて画像捕捉装置9は結像光学系14を有しており、この場合、被監視領域15は、切断カーフ16若しくは切断フロント16aを有する切断カーフ16の1つのセクションを含む。図示の例によれば、結像光学系14は、中央の旋回軸Dを中心に旋回可能に支承された絞り25を有しており、これによって旋回時、偏心配置された絞り開口25aのポジションが、旋回軸Dを中心に円弧上で移動する。
【0050】
レンズ17によって集束される結像光学系14のビーム路中に絞り25を配置することによって、集束レンズ4の周縁領域を通過し集束レンズ4後方の収束ビーム路においてレーザビーム2のビーム軸13に対し角度βで配向された、観察ビーム路7の一部分だけが、レーザビーム2のビーム軸13の延長線に対し偏心配置された絞り開口25aを通り抜け、検出器表面12aにおいて結像される観察ビーム7aが形成される。
図1aに示された例の場合、観察ビーム7aの観察方向R1は、XY平面又はワークピース平面への投影において、所望の切断輪郭を形成するためにレーザビーム2とワークピース3とがXY平面で互いに相対的に動かされるときの送り方向v
Rで推移し、即ち、この場合、突き刺し観察又はスティッキング観察が行われる。観察方向R1がレーザビーム2のビーム軸13に対して配向される角度βは、図示の例においては、約1゜乃至約5゜にあり、例えば、約4゜付近にある。
【0051】
図1aに示されているように、絞り25には偏光フィルタ21が取り付けられており、これは絞り25と共に旋回軸Dを中心に旋回する。偏光フィルタ21は、直線偏光成分pをフィルタリングするように構成されており、図示の例によればこの成分は、送り方向v及びZ方向若しくはレーザビーム2のビーム軸13を含む平面(XZ平面)に対し平行に配向されている。
図1aに示されているように、観察ビーム7aは偏光フィルタ21の通過後、XZ平面に対し垂直に配向された偏光成分sだけしか有していない。観察ビーム7aの直線偏光成分のフィルタリングは、切断カーフ16若しくは被監視領域15を観察するのに好適であることが判明した。自明のとおり、XZ平面に対し平行に配向された偏光成分pの代わりに、場合によってはXZ平面に対し垂直に配向された偏光成分s、又は、さらに異なる配向の偏光成分を、偏光フィルタ21によってフィルタリングすることもできる。s偏光された偏光成分の適用は、切断カーフ16を観察するのに特に好適であると判明した。その理由は、実質的に
図2c及び
図3cに示された発光ストライプ22a、bに対応する、
図2a、b及び
図3a、bに示された破線で描かれた線は、s偏光された多数の放射を放出するために最適な角度を有するからである。
【0052】
機械的に調整可能な絞り25の代わりに、例えば、LCDアレイの形態など電気的に調整可能な絞りを用いることもでき、これによれば絞り作用を形成する目的で、個々の画素又は画素群が電子的にスイッチオン若しくはスイッチオフされる。また、機械的な絞り25を、観察ビーム路7のそれぞれ異なる部分を遮蔽する、又は、観察のために開放する目的で、
図1a、bに示されている観察ビーム路7を横切る方向とは異なるように、例えば、YZ平面で移動若しくはシフトさせることもできる。絞り25を、1つ又は複数の開閉可能な機械的な部材の形態で実現することもできる。相応に偏光フィルタ21も、フィルタリングされる偏光成分の配向を適切に選択する目的で、特にフィルタリングされる偏光成分の配向を旋回させる目的で、LCD偏光器として構成することができる。
【0053】
図2c及び
図3cに示されているように、ワークピース3の被監視領域15の、それぞれ結像光学系14により記録される画像は、レーザ切断ノズル5の円形の内側輪郭5bにより区切られる。レーザ切断ノズル5の内側輪郭5bにより区切られた被監視領域15は、相互作用領域18の画像B1、B2を含み、この画像は
図2c及び
図3cに示された図面の場合には、同じ観察方向R1から記録されたものである。XY平面への観察方向R1の投影は、
図2aにおいて矢印で描かれている。上述のように、観察方向R1は
図1aに示されている例の場合には送り方向v
Rで、又は、送り方向v
Rに沿って、即ち、正のX方向で推移し、このことはワークピース3における切断フロント16aに関するスティッキング観察と称され、切断フロント16aの後方に切断カーフ16が形成される。
【0054】
2つの記録された画像B1、B2には、それぞれ2つの発光ストライプ22a、bが示されており、これらの発光ストライプは、実質的にX方向若しくは送り方向v
Rに沿って延在し、この方向に沿って切断カーフ16の切断側面23a、bも延在し、これらの切断側面は、
図2a及び
図3aにおいてワークピース3の1つの部分領域若しくは1つのセクションのところに描かれており、このワークピース3の上面3aには被監視領域15の円形の輪郭も示されている。これら両方の画像B1、B2各々は、それぞれ異なる送り速度v
Rを伴って記録されたものであり、この場合、
図2cに示された画像B1の場合の送り速度v
Rのほうが遅く、
図3cに示された画像B2における送り速度v
Rのほうが速い。Y方向即ち送り方向v
Rを横切る方向における発光ストライプ22a、b間の間隔A(
図4を参照)は、
図3cに示された画像B2の場合に両方の発光ストライプ22a、bが部分的に重なり合うまで、又は、1つの共通の発光ストライプとして一体化するまで、送り速度v
Rが高くなるにつれて減少する。一体化した両方の発光ストライプ22a、bは、互いに角度δを成す。
【0055】
ここで判明したのは、
図2cに示されている画像B1が記録される切断プロセスの場合、切断カーフ16の切断側面23a、bは、ワークピース3の厚さ方向において(即ち、Z方向において)互いに実質的に平行に、即ち、著しく小さい角度γを成して延在しており、従って、高品質切断が生じている(
図2a、bを参照)、ということである。これに対し、両方の発光ストライプ22a、22bが部分的に一体化している
図3cに示されている画像B2の場合には、品質がこれよりも劣った分離切断が生じており、この場合、切断側面23a、bに沿ってバリ発生及び溝発生が生じており、切断側面23a、bはこのケースにおいては、
図3aに描かれているように、実質的に平行ではなく厚さ方向(Z方向)において互いに著しく大きくなった角度γで延在している。
図3a、bに示されている切断ギャップ16の場合、切断カーフ16の幅b(z)は、Z方向においてワークピース3の上面3aから下面3bに向かって連続的に減少しており、その結果、
図3bに示されている断面図の場合、切断カーフ16は著しく際立ったV字型のプロフィルを有している。
図3a、bに示されている、横断面が下に向かって強く先細りになっている切断カーフ16は、溶融切断プロセスのためにはむしろ不都合であり、即ち、切断カーフ16は、実質的に平行な切断側面23a、bを有する、即ち、ワークピース3の厚さdにわたって実質的に一定なギャップ幅b(z)を有する、
図2a、bに示されている幾何学的形状となるのが望ましい。
【0056】
常に高品質切断が生じるように切断プロセスを閉ループ制御する目的で、
図2c及び
図3cに示されているサーモグラフ中の発光ストライプ22a、bを用いることができ、これらの発光ストライプは実質的に、
図2a、bを上から見た様子と
図3a、bに示されている線とを表しており、s偏光された放射を検出する場合、偏光に依存するプロセス発光がこれらの線に沿って特に強くなる。
図2a、bに示されている切断カーフ16の場合、発光ストライプ22a、bに対応し強いプロセス発光が線沿いに出現する両方の線が実質的に互いに平行に延在しており、従って、これら両方の発光ストライプ22a、b間の間隔A(
図4を参照)を求めることができる。
図3a、bに示されている例の場合には、発光ストライプ22a、bに対応し偏光に依存する強いプロセス発光を有する線が、切断カーフ16の傾斜した切断側面23a、bに沿って延在しており、従って、観察される発光ストライプ22a、b間の間隔Aは、負のX方向において減少する。
図3a乃至
図3cに示されている低品質の分離切断の場合、両方の発光ストライプ22a、bは切断フロント16aの後方で合流しており、従って、
図3cに示されているように、両方の発光ストライプ22a、bが重なり合って、ワークピース3の上面3aを上から見ると互いにV字型の配向となっている。
【0057】
よって、切断プロセスの切断品質に関する1つ又は複数の測定量として、Y方向即ち送り方向vを横切る方向における両方の発光ストライプ22a、b間の間隔A、及び、これら両方の発光ストライプ22a、b間の角度δを用いることができる。
【0058】
両方の発光ストライプ22a、b間の間隔Aを、例えば、
図2cに示されている画像B1の場合、あとで
図4を参照しながら説明するようにして求めることができ、この目的で
図1aに示されている装置1の評価装置19が用いられる。
図2cに示されているように、Y方向に拡がる画像ライン若しくは画素ラインに沿って、検出面12aに当射する放射強度Iが測定され、これは実質的にワークピース3の熱放射に起因するものとすることができる。
図4に示されているように、放射強度Iは2つの強度最大値I
M1、I
M2を有しており、これらの最大値にはそれぞれ、Y方向におけるポジションY
M1、Y
M2が対応づけられている。これら両方のポジションY
M1、Y
M2間の差分Y
M1-Y
M2が、両方の発光ストライプ22a、b間の間隔Aに対応する。複数の画像ラインの強度値が適切な方法により平均化されるならば(例えば、平均値又は中央値)、Y方向に拡がる1つの画像ラインに沿って放射強度Iを評価する代わりに、それら複数の画像ラインの強度値を用いることもできる。両方の強度最大値I
M1、I
M2を探し出すために、画像処理による適切な方法を用いることができる。
【0059】
図3cに示されている画像B2の場合には、一体化している両方の発光ストライプ22a、b間の角度δを求め、この角度δを切断品質に関する測定量として用いるようにして、画像評価を行うことができる。この場合、
図4に描かれているものと同じように、記録された画像B2における放射強度Iに基づき最初に、両方の発光ストライプ22a、bの実質的に長円形若しくは楕円形の外側輪郭が特定され、例えば、このことは、記録された画像B2において測定された放射強度Iの所定の強度値に対応する輪郭若しくは幾何学的形状が観察されるようにして行われる。両方の発光ストライプ22a、bの外側輪郭が既知であれば、それらの長手軸を特定することができる。次いで、発光ストライプ22a、bの両方の長手軸間において角度δが測定される。角度測定のために、選択的に又は付加的に、(例えば、ハフ変換など)文献に記載されているような評価アルゴリズムを用いることができる。
【0060】
図2cに示されている画像B1の場合、発光ストライプ22a、b間の角度δを求めるのは、それらの発光ストライプがほぼ平行に延在していることから、場合によっては問題となる一方、
図3cに示されている画像B2の場合、合流している両方の発光ストライプ22a、b間の間隔Aを求めるのは、場合によっては問題となる。しかしながら自明のように、
図2a乃至
図2c若しくは
図3a乃至
図3cに示されている両方の極限の間にある切断速度の場合には、
図4に示されているようにして、一方では、両方の強度最大値I
M1、I
M2に基づき、両方の発光ストライプ22a、b間の間隔Aを求めることができ、他方では、両方の発光ストライプ22a、b間の角度δを求めることができ、これによって両方の測定量A、δに基づき、切断品質を判定することができる。
【0061】
別の選択肢として、評価装置19において以下のような画像評価を行うことができる。即ち、この画像評価によれば、高品質切断の画像と分離切断(即ち、切断品質が劣った切断)の画像(これらの画像においてそれぞれ発光ストライプ22a、bを見ることができる)がクラスタリングされ、現在生成された若しくは記録された画像を、比較による画像評価を介してそれらのクラスタに割り当てることができる。このためにも、画像処理において公知のアルゴリズム、例えば、Haarアルゴリズムなどを用いることができる。1つのクラスタへの割り当てはやはり、切断プロセスの切断品質に関する測定量を成すものであり、ただし、これは通常、アナログ的に若しくは連続的に変化する測定量ではない。
【0062】
上述のようにして求められた少なくとも1つの測定量A、δに依存して、
図1aに示されている閉ループ制御装置20は、例えば、送り速度、
図1aには具象的には描かれていないレーザの出力P、焦点ポジションF、切断プロセスにおいて用いられる補助ガスのガス圧力等、少なくとも1つの調整量に作用を与えることができ、又は、少なくとも1つの調整量を変化させることができ、詳しくは測定量A、δが所定の値を有するように、又は、所定の値インターバルから逸脱しないようにする。かかる閉ループ制御によって保証できるのは、(溶融)切断プロセスにおいて一定の高い切断品質が達せられ、その結果、粗悪な切断及び特に切断中断を理想的には完全に回避できることである。
【0063】
特に、送り速度又はレーザ出力Pを、最大許容送り速度若しくは最大許容レーザ出力よりも常に僅かに下回るように調整することができ、このときでもなお高品質切断が可能であり、即ち、送り余量若しくは出力余量をほぼ完全に使い尽くすことができる。送り速度を整合するために、又は、送り速度に作用を与えるために、閉ループ制御装置20は例えば、ワークピース3及び/又はレーザ切断ヘッド1を移動させるための、詳しくは示されていない移動機構に作用を与えることができる。
【0064】
湾曲した切断輪郭に沿った切断中に送り方向vRが変化しても、切断品質に関する測定量、例えば、間隔A又は角度δを、所望の観察方向で、特に送り方向vRにおける観察方向R1で、観察できるようにするためには、XY平面における観察方向R1の配向を、送り方向vR若しくはXY平面における送り方向vRの向きに依存して変化させる必要がある。この目的のために評価装置19を(場合によっては閉ループ制御装置20も)用いることができ、これによれば、観察方向R1が常に送り方向vRに配向されたままとなるよう、送り方向vRが変化したときに絞り25ひいては絞り開口25aが、相応に旋回軸Dを中心にいっしょに旋回させられる。絞り25をいっしょに旋回させることによって、やはりいっしょに旋回する偏光フィルタ21によってフィルタリング除去される直線偏光成分(典型的にはs偏光)の配向も、送り方向vRに対し相対的に一定に保持することができる。自明のとおり、この目的のために、又は、ビーム軸13に対し角度βで配向された観察ビーム7aを形成するために、必ずしも絞り25が必要とされるわけではなく、むしろこの目的のために画像捕捉装置9を、例えば、国際公開第2015/036140号(WO2015/036140A1)に記載されているように他の方法により構成してもよい。