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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】PD-1に対する抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220610BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220610BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220610BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220610BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220610BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220610BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220610BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/18
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C07K16/46
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P37/04
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 82
(21)【出願番号】P 2019522464
(86)(22)【出願日】2017-11-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 US2017059481
(87)【国際公開番号】W WO2018085358
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-08-04
(31)【優先権主張番号】62/416,602
(32)【優先日】2016-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517333392
【氏名又は名称】ジョンス セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】メイブリー, ジョージ ロバート, ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】サジンスキー, スティーヴン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/106159(WO,A1)
【文献】特表2017-531028(JP,A)
【文献】国際公開第2014/124217(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/105256(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、Programmed Death 1(PD-1)に結合する抗体。
【請求項2】
重鎖可変領域(V)及び軽鎖可変領域(V)を含み、記Vが、配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつ前記Vが、配列番号24のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、請求項に記載の抗体。
【請求項3】
重鎖可変領域(V)及び軽鎖可変領域(V)を含み、前記Vが、配列番号20のアミノ酸配列を含み、かつ前記Vが、配列番号24のアミノ酸配列を含む、請求項または請求項に記載の抗体。
【請求項4】
ヒトPD-1に、5nM未満の親和性(K)で結合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項5】
マウスPD-1に、10nM未満の親和性(K)で結合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項6】
親和性が、バイオレイヤー干渉法を使用して決定されている、請求項または請求項に記載の抗体。
【請求項7】
モノクローナル抗体である、請求項1~6のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項8】
ヒト抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体である、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項9】
Fab、Fab’、Fv、scFvまたは(Fab’)断片から選択される抗体断片である、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項10】
全長抗体である、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項11】
ヒトPD-1に結合する、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項12】
ヒトPD-1が配列番号382のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の抗体。
【請求項13】
マウスPD-1に結合する、請求項1~12のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項14】
マウスPD-1が配列番号383のアミノ酸配列を含む、請求項13に記載の抗体。
【請求項15】
カニクイザルPD-1に結合する、請求項1~14のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項16】
カニクイザルPD-1が配列番号384のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
PD-L1へのPD-1の結合を阻害する、請求項1~16のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項18】
PD-L2へのPD-1の結合を阻害する、請求項1~17のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項19】
PD-L1へのPD-1の結合を阻害し、かつPD-L2へのPD-1の結合を阻害する、請求項1~18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項20】
哺乳類への前記抗体の投与が、IFNγ及びIL-2から選択される少なくとも1種のサイトカインのレベルを上昇させる、請求項1~19のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項21】
IFNγ及びIL-2から選択される少なくとも1種のサイトカインのレベルを少なくとも2倍上昇させる、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
前記サイトカインのレベルが、前記抗体の投与から1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、36時間、または48時間後に測定される、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
少なくとも1種のサイトカインがIFNγである、請求項2022のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項24】
少なくとも1種のサイトカインがIL-2である、請求項2023のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項25】
モカインのレベルが、前記抗体の投与から24時間後に測定される、請求項2024のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項26】
哺乳類への前記抗体の投与が、前記哺乳類において免疫応答を増強する、請求項25のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項27】
哺乳類への前記抗体の投与が、前記哺乳類においてT細胞の活性化をもたらす、請求項26のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項28】
哺乳類への前記抗体の投与が、がんを有する哺乳類において、腫瘍サイズを縮小する、請求項27のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項29】
前記哺乳類がヒトである、請求項2028のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項30】
前記ヒトががんを有する、請求項29に記載の抗体。
【請求項31】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項30に記載の抗体。
【請求項32】
前記がんが、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項31に記載の抗体。
【請求項33】
求項32のいずれか1項に記載の抗体をコードする単離核酸。
【請求項34】
請求項33に記載の核酸を含むベクター。
【請求項35】
請求項34に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項36】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗体を産生する宿主細胞。
【請求項37】
抗PD-1抗体を作製するための方法であって、請求項36に記載の宿主細胞を、前記抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む、前記方法。
【請求項38】
前記宿主細胞によって産生された抗体を回収することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項40】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体または請求項39に記載の医薬組成物を含む、哺乳類においてがんを処置するための医薬
【請求項41】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項40に記載の医薬
【請求項42】
前記がんが、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項41に記載の医薬
【請求項43】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体または請求項39に記載の医薬組成物を含む、哺乳類において免疫応答を増強するための医薬
【請求項44】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体または請求項39に記載の医薬組成物を含む、哺乳類においてT細胞の活性化を増進するための医薬
【請求項45】
請求項1~32のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体または請求項39に記載の医薬組成物を含む、がんを有する哺乳類において腫瘍サイズを縮小するための医薬
【請求項46】
前記哺乳類がヒトである、請求項4045のいずれか1項に記載の医薬
【請求項47】
前記哺乳類に、少なくとも1種の追加の治療薬を投与する、請求項4046のいずれか1項に記載の医薬
【請求項48】
前記追加の治療薬を前記抗PD-1抗体と同時に、またはそれと連続的に投与する、請求項47に記載の医薬
【請求項49】
前記追加の治療薬が、抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される、請求項47または48に記載の医薬
【請求項50】
前記追加の治療薬が抗ICOS抗体である、請求項49に記載の医薬
【請求項51】
前記追加の治療薬ががんワクチンである、請求項47または請求項48に記載の医薬
【請求項52】
前記がんワクチンが、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される、請求項51に記載の医薬
【請求項53】
がんを処置するための医薬を製造するための、請求項1~32のいずれか1項に記載の抗体の使用。
【請求項54】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
前記がんが、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
前記医薬が少なくとも1種の追加の治療薬と共に投与するためのものである、請求項5355のいずれか1項に記載の使用。
【請求項57】
前記追加の治療薬が抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される、請求項56に記載の使用。
【請求項58】
前記追加の治療薬が抗ICOS抗体である、請求項57に記載の使用。
【請求項59】
前記追加の治療薬ががんワクチンである、請求項56に記載の使用。
【請求項60】
前記がんワクチンが、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される、請求項59に記載の使用。
【請求項61】
哺乳類において、IFNγ及びIL-2から選択される少なくとも1種のサイトカインのレベルを上昇させるための医薬であって、請求項1~32のいずれか1項に記載の抗体を含む、医薬
【請求項62】
前記サイトカインのレベルが、前記抗体の投与から1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、36時間、または48時間後に測定される、請求項61に記載の医薬
【請求項63】
少なくとも1種のサイトカインがIFNγである、請求項61または62に記載の医薬
【請求項64】
少なくとも1種のサイトカインがIL-2である、請求項6163のいずれか1項に記載の医薬
【請求項65】
前記サイトカインのレベルが、前記抗体の投与から24時間後に測定される、請求項6164のいずれか1項に記載の医薬
【請求項66】
前記哺乳類がヒトである、請求項6165のいずれか1項に記載の医薬
【請求項67】
前記ヒトががんを有する、請求項66に記載の医薬
【請求項68】
前記がんが、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項67に記載の医薬
【請求項69】
前記がんが、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される、請求項68に記載の医薬
【請求項70】
免疫応答が前記抗PD-1抗体の投与後に増強される、請求項6169のいずれか1項に記載の医薬
【請求項71】
T細胞の活性化が前記抗PD-1抗体の投与後に増進される、請求項6170のいずれか1項に記載の医薬
【請求項72】
腫瘍サイズが前記抗PD-1抗体の投与後に縮小される、請求項6171のいずれか1項に記載の医薬
【請求項73】
前記哺乳類に、少なくとも1種の追加の治療薬を投与する、請求項6172のいずれか1項に記載の医薬
【請求項74】
前記追加の治療薬を、前記抗PD-1抗体と同時に、または連続的に投与する、請求項73に記載の医薬
【請求項75】
前記追加の治療薬が、抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される、請求項73または74のいずれか1項に記載の医薬
【請求項76】
前記追加の治療薬が抗ICOS抗体である、請求項75に記載の医薬
【請求項77】
前記追加の治療薬ががんワクチンである、請求項73または74に記載の医薬
【請求項78】
前記がんワクチンが、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される、請求項77に記載の医薬
【請求項79】
前記がんのサンプルがPD-1を発現すると決定されている、請求項4052のいずれか1項に記載の医薬
【請求項80】
前記サンプルが、免疫組織化学(IHC)によってPD-1の1+、2+、または3+染色を示す、請求項79に記載の医薬
【請求項81】
前記サンプルがPD-L1のレベルの上昇を有すると決定されている、請求項405279、または80のいずれか1項に記載の医薬
【請求項82】
PD-L1レベルが、IHCを使用して決定されている、請求項81に記載の医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月2日出願の米国仮出願第62/416,602号の優先権の利益を請求するものであり、これは、あらゆる目的のためにその全体で参照によって本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
Programmed Death-1タンパク質(PD-1)に結合する抗体を提供する。抗PD-1抗体を投与することを含む処置方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
Programmed Death 1(PD-1)タンパク質は、CD28受容体ファミリーの阻害メンバーであり、CD28受容体ファミリーには、CD28、CTLA-4、ICOS及びBTLAも含まれる。PD-1は、活性化B細胞、T細胞、及び骨髄系細胞の表面上に発現される。PD-1は、膜近位免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)及び膜遠位チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む。PD-1は、CTLA-4に構造的に類似しているが、B7-1及びB7-2結合に重要なMYPPPYモチーフを欠損している。加えて、CD28、ICOS及びCTLA-4(CD28ファミリーの他のメンバー)はすべて、ホモ二量化を可能にする非対合システイン残基を有するが、PD-1は、モノマーとして存在すると考えられ、他のCD28ファミリーメンバーに特徴的な非対合システイン残基を欠損している。PD-1受容体は、2つのリガンド、PD-リガンド-1(PD-L1)及びPD-L2を有する。用語「PD-L1」は、PD-1受容体のリガンドを指し、CD274及びB7H1としても知られている。PD-L1は、290アミノ酸タンパク質であり、細胞外IgV様ドメイン、細胞外IgC様ドメイン、膜貫通ドメイン及びおよそ30アミノ酸からなる高度保存細胞内ドメインを含む。PD-L1は、抗原提示細胞などの多くの細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、及びB細胞)上に、かつ造血及び非造血細胞(例えば、血管内皮細胞、膵島、及び免疫特権の部位)上に構成的に発現される。用語「PD-L2」は、PD-1受容体のリガンドを指し、CD273及びB7-DCとしても知られている。PD-L2は、ヒトでは、細胞外IgV様ドメイン、細胞外IgC様ドメイン、膜貫通ドメイン及びおよそ30アミノ酸からなる細胞内ドメインを有する。PD-L2は、PD-L1よりも発現が限られており、その発現は大部分、マクロファージ、樹状細胞、一部のB細胞サブセット及び骨髄由来肥満細胞を含む造血細胞に限られる。
【0004】
PD-1は、免疫チェックポイントとして機能し、T細胞の活性化を防ぐように作用する。PD-1アンタゴニストは、腫瘍を攻撃するように免疫系を活性化させて、がんの処置において成功を示しており、一部の事例では、他の化学療法薬処置よりも毒性が低い。PD-1アンタゴニストを、他の化学療法薬との併用レジメンにおいて使用することもできる。現在承認されているPD-1アンタゴニストには、抗PD-1抗体、Opdivo(登録商標)及びKeytruda(登録商標)、及び抗PD-L1抗体、Tecentriq(商標)が含まれる。
【0005】
がんならびに他の疾患及び障害を処置するためのPD-1の追加のアンタゴニストがいまだ必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
Programmed Death 1(PD-1)に結合する抗体であって、ヒトPD-1及びマウスPD-1に結合し、PD-L1及び/またはPD-L2とPD-1との結合を遮断する抗体を提供する。
【0007】
一部の実施形態では、Programmed Death 1(PD-1)に結合する単離抗体であって、ヒトPD-1のアミノ酸126~136を含むエピトープに結合する単離抗体を提供する。一部の実施形態では、アミノ酸126~136は、配列番号1によって番号付けされる。一部の実施形態では、抗体は、I126A、L128A、A132L、I134A、及びE136Aから選択される1種または複数のPD-1バリアントに結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号382のヒトPD-1に結合する。
【0008】
一部の実施形態では、抗体は:
a)PD-1バリアントI126A ECD-Fc(配列番号389)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号401のヒトPD-1 ECD-Fcに結合する;及び/または
b)PD-1バリアントL128A ECD-Fc(配列番号390)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号401のヒトPD-1 ECD-Fcに結合する;及び/または
c)PD-1バリアントA132L ECD-Fc(配列番号391)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号401のヒトPD-1 ECD-Fcに結合する;及び/または
d)PD-1バリアントI134A ECD-Fc(配列番号392)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号401のヒトPD-1 ECD-Fcに結合する;及び/または
e)PD-1バリアントE136A ECD-Fc(配列番号393)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号401のヒトPD-1 ECD-Fcに結合する。
【0009】
一部の実施形態では、抗体は、配列番号403のマウスPD-1 ECD-Fcに結合する。一部の実施形態では、抗体は、マウスPD-1バリアントH129P ECD-Fc(配列番号394)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、配列番号403のマウスPD-1 ECD-Fcに結合する。一部の実施形態では、抗体は、ラットPD-1 ECD-Fc(配列番号405)に結合する場合よりも少なくとも10倍高い親和性で、ラットPD-1バリアントP129H ECD-Fc(配列番号397)に結合する。
【0010】
様々な実施形態で、親和性は、バイオレイヤー干渉法によって決定される。
【0011】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である重鎖可変領域(V)及び配列番号24のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である軽鎖可変領域(V)を含む。一部の実施形態では、抗体は、配列番号20のアミノ酸配列を含むV及び配列番号24のアミノ酸配列を含むVを含む。
【0012】
一部の実施形態では、Programmed Death 1(PD-1)に結合する抗体であって:
i)(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
ii)(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
iii)(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
iv)(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
v)(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
vi)(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3;または
vii)(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3;または
viii)(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む抗体を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体であって、重鎖可変領域(V)及び軽鎖可変領域(V)を含み:
i)Vが配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
ii)Vが配列番号12のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが配列番号16のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
iii)Vが配列番号20のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが配列番号24のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
iv)Vが配列番号28のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが配列番号32のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
v)Vが配列番号36のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが配列番号40のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
vi)Vが配列番号44、52、60、68、76、84、92、100、108及び116から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり;かつVが配列番号48、56、64、72、80、88、96、104、112、及び120から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
vii)Vが配列番号124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、及び284から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり;かつVが配列番号128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280及び288から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
viii)Vが配列番号292、300、308及び316から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり;Vが配列番号296、304、312、及び320から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、抗体を提供する。
【0014】
一部の実施形態では、PD-1に結合する抗体であって、重鎖可変領域(V)及び軽鎖可変領域(V)を含み:
i)Vが配列番号4のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号8のアミノ酸配列を含む;または
ii)Vが配列番号12のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号16のアミノ酸配列を含む;または
iii)Vが配列番号20のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号24のアミノ酸配列を含む;または
iv)Vが配列番号28のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号32のアミノ酸配列を含む;または
v)Vが配列番号36のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号40のアミノ酸配列を含む;または
vi)Vが配列番号44のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号48のアミノ酸配列を含む;または
vii)Vが配列番号52のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号56のアミノ酸配列を含む;または
viii)Vが配列番号60のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号64のアミノ酸配列を含む;または
ix)Vが配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号72のアミノ酸配列を含む;または
x)Vが配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号80のアミノ酸配列を含む;または
xi)Vが配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号88のアミノ酸配列を含む;または
xii)Vが配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号96のアミノ酸配列を含む;または
xiii)Vが配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号104のアミノ酸配列を含む;または
xiv)Vが配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号112のアミノ酸配列を含む;または
xv)Vが配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号120のアミノ酸配列を含む;または
xvi)Vが配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号128のアミノ酸配列を含む;または
xvii)Vが配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号136のアミノ酸配列を含む;または
xviii)Vが配列番号140のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号144のアミノ酸配列を含む;または
xix)Vが配列番号148のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号152のアミノ酸配列を含む;または
xx)Vが配列番号156のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号160のアミノ酸配列を含む;または
xxi)Vが配列番号164のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号168のアミノ酸配列を含む;または
xxii)Vが配列番号172のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号176のアミノ酸配列を含む;または
xiii)Vが配列番号180のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号184のアミノ酸配列を含む;または
xxiv)Vが配列番号188のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号192のアミノ酸配列を含む;または
xxv)Vが配列番号196のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号200のアミノ酸配列を含む;または
xxvi)Vが配列番号204のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号208のアミノ酸配列を含む;または
xxvii)Vが配列番号212のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号216のアミノ酸配列を含む;または
xxviii)Vが配列番号220のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号224のアミノ酸配列を含む;または
xxix)Vが配列番号228のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号232のアミノ酸配列を含む;または
xxx)Vが配列番号236のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号240のアミノ酸配列を含む;または
xxxi)Vが配列番号244のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号248のアミノ酸配列を含む;または
xxxii)Vが配列番号252のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号256のアミノ酸配列を含む;または
xxxiii)Vが配列番号260のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号264のアミノ酸配列を含む;または
xxxiv)Vが配列番号268のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号272のアミノ酸配列を含む;または
xxxv)Vが配列番号276のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号280のアミノ酸配列を含む;または
xxxvi)Vが配列番号284のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号288のアミノ酸配列を含む;または
xxxvii)Vが配列番号292のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号296のアミノ酸配列を含む;または
xxxviii)Vが配列番号300のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号304のアミノ酸配列を含む;または
xxxix)Vが配列番号308のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号312のアミノ酸配列を含む;または
xl)Vが配列番号316のアミノ酸配列を含み、かつVが配列番号320のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0015】
一部の実施形態では、ヒトPD-1への結合について本明細書で提供する抗体と競合する抗体であって、ヒトPD-1及びマウスPD-1に結合し、ヒトPD-L1へのヒトPD-1の結合を阻害する、ヒトPD-L2へのヒトPD-1の結合を阻害する、マウスPD-L1へのマウスPD-1の結合を阻害する、及びマウスPD-L2へのマウスPD-1の結合を阻害する抗体を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、ヒトPD-1に5nM未満の親和性(K)で結合する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、マウスPD-1に10nM未満の親和性(K)で結合する。一部の実施形態では、親和性は、バイオレイヤー干渉法を使用して決定される。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、ヒト抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体である。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、Fab、Fab’、Fv、scFvまたは(Fab’)断片から選択される抗体断片である。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、全長抗体である。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、IgG1またはIgG4抗体である。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、ヒトPD-1に結合する。一部の実施形態では、ヒトPD-1は、配列番号382のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、マウスPD-1に結合する。一部の実施形態では、マウスPD-1は、配列番号383のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、カニクイザルPD-1に結合する。一部の実施形態では、カニクイザルPD-1は、配列番号384のアミノ酸配列を含む。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、PD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、PD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、PD-L1へのPD-1の結合を阻害し、かつPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。
【0020】
一部の実施形態では、哺乳類への本明細書で提供する抗体の投与は、IFNγ及びIL-2から選択される少なくとも1種のサイトカインのレベルを上昇させる。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、IFNγ及びIL-2から選択される少なくとも1種のサイトカインのレベルを少なくとも2倍上昇させる。一部の実施形態では、サイトカインのレベルは、抗体の投与から1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、36時間、または48時間後に測定される。一部の実施形態では、少なくとも1種のサイトカインは、IFNγである。一部の実施形態では、少なくとも1種のサイトカインは、IL-2である。一部の実施形態では、ケモカインのレベルは、抗体の投与から24時間後に測定される。
【0021】
一部の実施形態では、哺乳類への本明細書で提供する抗体の投与は、哺乳類において免疫応答を増強する。一部の実施形態では、哺乳類への本明細書で提供する抗体の投与は、哺乳類においてT細胞の活性化をもたらす。一部の実施形態では、哺乳類への本明細書で提供する抗体の投与は、がんを有する哺乳類において腫瘍サイズを縮小する。一部の実施形態では、哺乳類は、ヒトである。一部の実施形態では、ヒトは、がんを有する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。
【0022】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体をコードする単離核酸を提供する。一部の実施形態では、核酸を含むベクターを提供する。一部の実施形態では、ベクターを含む宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体を産生する宿主細胞を提供する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を作製するための方法であって、宿主細胞を抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、宿主細胞によって産生された抗体を回収することをさらに含む。
【0023】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
一部の実施形態では、哺乳類においてがんを処置する方法であって、本明細書で提供する抗PD-1抗体、または本明細書で提供する抗PD-1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。
【0025】
一部の実施形態では、哺乳類において免疫応答を増強する方法であって、本明細書で提供する抗PD-1抗体、または本明細書で提供する抗PD-1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0026】
一部の実施形態では、哺乳類においてT細胞の活性化を増進する方法であって、本明細書で提供する抗PD-1抗体、または本明細書で提供する抗PD-1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0027】
一部の実施形態では、がんを有する哺乳類において腫瘍サイズを縮小する方法であって、本明細書で提供する抗PD-1抗体、または本明細書で提供する抗PD-1抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0028】
本明細書で提供する実施形態のいずれでも、哺乳類はヒトであってよい。
【0029】
一部の実施形態では、哺乳類に、少なくとも1種の追加の治療薬を投与する。一部のそのような実施形態では、追加の治療薬を抗PD-1抗体と同時に、または連続的に投与する。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体である。一部の実施形態では、追加の治療薬は、がんワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される。
【0030】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体の使用を、がんを処置するための医薬品を製造するために提供する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、医薬品は、少なくとも1種の追加の治療薬と共に投与するためのものである。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体である。一部の実施形態では、追加の治療薬は、がんワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される。
【0031】
一部の実施形態では、本開示は、がんを処置するための、本明細書で提供する抗体、または本明細書で提供する抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。
【0032】
一部の実施形態では、本開示は、がんを処置するための、本明細書で提供する抗体、または本明細書で提供する抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、ならびに少なくとも1種の追加の治療薬の使用を提供する。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体である。一部の実施形態では、追加の治療薬は、がんワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。
【0033】
一部の実施形態では、がんの処置において使用するための本明細書で提供する抗体、または本明細書で提供する抗体及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。
【0034】
一部の実施形態では、哺乳類においてIFNγ及びIL-2から選択される少なくとも1種のサイトカインのレベルを上昇させる方法であって、本明細書で提供する抗体を哺乳類に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、サイトカインのレベルは、抗体の投与から1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間、24時間、36時間、または48時間後に測定される。一部の実施形態では、少なくとも1種のサイトカインは、IFNγである。一部の実施形態では、少なくとも1種のサイトカインは、IL-2である。一部の実施形態では、サイトカインのレベルは、抗体の投与から24時間後に測定される。一部の実施形態では、哺乳類は、ヒトである。一部の実施形態では、ヒトはがんを有する。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胃癌、膀胱癌、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、ホジキンリンパ腫、卵巣癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、中皮腫、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。一部の実施形態では、がんは、黒色腫、胃癌、頭頚部扁平上皮細胞癌(HNSCC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び三重陰性乳癌(TNBC)から選択される。
【0035】
一部の実施形態では、免疫応答が、抗PD-1抗体の投与後に増強される。一部の実施形態では、T細胞の活性化が、抗PD-1抗体の投与後に増進される。一部の実施形態では、腫瘍サイズが、抗PD-1抗体の投与後に縮小される。
【0036】
一部の実施形態では、哺乳類に、少なくとも1種の追加の治療薬を投与する。一部の実施形態では、追加の治療薬を抗PD-1抗体と同時に、または連続的に投与する。一部の実施形態では、追加の治療薬は、抗ICOS抗体及び抗CTLA4抗体から選択される。一部の実施形態では、追加の治療薬は抗ICOS抗体である。一部の実施形態では、追加の治療薬は、がんワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAワクチン、操作ウイルスワクチン、操作腫瘍細胞ワクチン、及びネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンから選択される。
【0037】
一部の実施形態では、哺乳類からのがんのサンプルは、PD-1を発現すると決定されている。一部の実施形態では、サンプルは、免疫組織化学(IHC)によってPD-1の1+、2+、または3+染色を示す。一部の実施形態では、サンプルは、PD-L1のレベルが上昇していると決定されている。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、IHCを使用して決定される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】抗CD3及び抗CD28抗体で活性化させたマウス脾細胞T細胞を抗PD-1抗体と接触させた後のIFNγ濃度が示されている。マウスIgG1及びラットIgG2aが対照として使用された。RMP1-14が陽性対照の抗PD-1抗体として使用された。
図2】抗PD-1抗体と共にンキュベートした後の、ブドウ球菌腸毒素B(SEB)で活性化させた全血サンプルにおけるIL-2の増加のEC50が示されている。ニボルマブ(Nivo)及びペムブロリズマブ(Pembro)が、対照抗PD1抗体として使用された。抗体12228(28)、13406(6)、13407(7)、13408(8)、及び13409(9)からの作用が示されている。
図3A】マウスPD-1へのマウスリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、マウスPD-L1及びマウスPD-L2とマウスPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図3B】マウスPD-1へのマウスリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、マウスPD-L1及びマウスPD-L2とマウスPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図4A-1】ヒトPD-1へのヒトリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、ヒトPD-L1及びヒトPD-L2とヒトPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図4A-2】ヒトPD-1へのヒトリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、ヒトPD-L1及びヒトPD-L2とヒトPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図4B-1】ヒトPD-1へのヒトリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、ヒトPD-L1及びヒトPD-L2とヒトPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図4B-2】ヒトPD-1へのヒトリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、ヒトPD-L1及びヒトPD-L2とヒトPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図4C】ヒトPD-1へのヒトリガンドの結合を遮断する本明細書に開示の抗PD-1抗体の能力が示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、ヒトPD-L1及びヒトPD-L2とヒトPD-1との間の相互作用に対する抗体の効果を評価した。
図5】本明細書に開示の抗PD-1抗体を投与した場合の、マウス腫瘍モデルにおける腫瘍サイズの縮小が示されている。C57BL6/Jマウスに、その側腹部でMC38細胞を皮下注射した。マウスIgG1(MOPC-21)及びラットIgG2a(2A3)を対照として使用した。RMP1-14を陽性対照の抗PD1抗体として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一部の実施形態の詳細な説明
PD-1に結合する抗体を提供する。PD-1に結合する抗体を形成することができる抗体重鎖及び軽鎖も提供する。加えて、1つまたは複数の特定の相補性決定領域(CDR)を含む抗体、重鎖、及び軽鎖を提供する。PD-1に対する抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。抗体重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドも提供する。PD-1に対する抗体を生成及び/または精製する方法を提供する。PD-1に対する抗体を使用する処置方法を提供する。そのような方法には、これに限定されないが、がんを処置する方法が含まれる。PD-1を検出する方法を提供する。そのような方法には、抗PD-1抗体での処置から利益を受け得る個体を特定する方法、抗PD-1抗体で個体の処置をモニターする方法及び個体における抗PD-1抗体の治療効力を改善する方法が含まれる。
【0040】
本明細書において使用する見出しは、整理を目的としたものに過ぎず、記載の発明の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0041】
特許出願、特許公報、及びGenbank受入番号を含む本明細書に引用する参照文献はすべて、それぞれ個別の参照文献が具体的及び個別的に、その全体で参照によって本明細書に援用されると示されている場合と同様に、参照によって本明細書に援用される。
【0042】
本明細書に記載または言及されている技術及び手順は一般に、十分に理解されており、当業者によって従来の方法、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3rd.edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003));the series METHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.):PCR 2:A PRACTICAL APPROACH(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,and ANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993);及びその最新バージョンに記載されている広く利用されている方法などを使用して通例用いられているものである。
【0043】
I.定義
別段に定義されていない限り、本開示と関連して使用されている科学及び専門用語は、普通の技能の当業者が通常理解する意味を有することとする。さらに、文脈によって別段に求められたり、または明示されていない限り、単数形の用語は、複数形を含むこととし、複数形の用語は、単数形を含むこととする。様々な情報源または参照文献の間で定義に何らかの矛盾がある場合には、本明細書において提供されている定義が優先されることとする。
【0044】
本明細書に記載の本発明の実施形態には、「からなる」及び/または「から本質的になる」実施形態が含まれることが理解される。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段に示されていない限り、複数形の言及も含む。本明細書における用語「または」の使用は、選択肢が相互に排他的であることを意味することを意図したものではない。
【0045】
本出願では、「または」の使用は、明確に述べられていない限り、「及び/または」を意味するか、または当業者によって理解される。複数の従属請求項の文脈において、「または」の使用は、2つ以上の先行する独立または従属請求項を参照する。
【0046】
当業者には理解されるとおり、本明細書における「約」の値またはパラメーターについての言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする実施形態を含む(及び記載している)。例えば、「約X」に関する記載は、「X」の記載を含む。
【0047】
用語「核酸分子」、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用されることがあり、ヌクレオチドのポリマーを指す。そのようなヌクレオチドのポリマーは、天然及び/または非天然ヌクレオチドを含有してよく、それには、これに限定されないが、DNA、RNA、及びPNAが含まれる。「核酸配列」は、核酸分子またはポリヌクレオチドを含むヌクレオチドの線状配列を指す。
【0048】
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用されており、最小長さに限定されない。そのようなアミノ酸残基のポリマーは、天然または非天然アミノ酸残基を含有してよく、それには、これに限定されないが、アミノ酸残基のペプチド、オリゴペプチド、二量体、三量体、及び多量体が含まれる。全長タンパク質及びその断片の両方が、この定義に包含される。この用語にはまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化などが含まれる。さらに、本開示の目的では、「ポリペプチド」は、そのタンパク質が所望の活性を維持する限り、修飾、例えば欠失、付加、及び置換を含むタンパク質(一般に、天然では保存的)、天然配列を指す。これらの修飾は、特定部位の変異誘発を介するような計画的なものであってもよいし、またはタンパク質を生成する宿主の変異またはPCR増幅によるエラーを介するような偶発的なものであってもよい。
【0049】
「PD-1」及び「programmed death 1」は、本明細書で使用する場合、細胞においてPD-1の発現及びプロセシングから生じる任意の天然PD-1を指す。この用語は、別段に示されていない限り、哺乳類、例えば霊長類(例えばヒト及びカニクイザル)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)を含む任意の脊椎動物供給源からのPD-1を含む。この用語はまた、天然に存在するPD-1のバリアント、例えば、スプライシングバリアントまたは対立遺伝子バリアントを含む。例示的なヒトPD-1前駆体タンパク質のアミノ酸配列(シグナル配列、アミノ酸1~20を含む)は、配列番号1に示されている。例示的な成熟ヒトPD-1のアミノ酸配列は、配列番号382に示されている。例示的なマウスPD-1前駆体タンパク質のアミノ酸配列(シグナル配列、アミノ酸1~20を含む)は、配列番号2に示されている。例示的な成熟マウスPD-1のアミノ酸配列は、配列番号383に示されている。例示的なカニクイザルPD-1前駆体タンパク質のアミノ酸配列(シグナル配列、アミノ酸1~20を含む)は、配列番号3に示されている。例示的な成熟カニクイザルサルPD-1のアミノ酸配列は、配列番号384に示されている。
【0050】
抗原またはエピトープに対する用語「特異的に結合する」は、当技術分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的結合を決定する方法も、当技術分野でよく知られている。別の細胞または物質と反応または会合するよりも、より頻繁に、より急速に、より長い持続期間で、及び/またはより高い親和性で、特定の細胞または物質と反応または会合する場合に、分子は、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと述べられる。他の物質に結合するよりも、より高い親和性、結合活性で、より容易に、及び/またはより長い持続期間で結合する場合に、抗体は、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、PD-1エピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、他のPD-1エピトープまたは非PD-1エピトープに結合するよりも、より高い親和性、結合活性で、より容易に、及び/またはより長い持続期間で、このエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことによって、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第2の標的に特異的または優先的に結合してもよいし、またはしなくてもよいことも理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を(含んでもよいが)必ずしも必要としない。一般に、結合についての言及は、優先的結合を意味するが、必ずしもそうとは限らない。「特異性」は、結合タンパク質が抗原に選択的に結合する能力を指す。
【0051】
本明細書で使用する場合、「実質的に純粋な」は、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物を非含有)、より好ましくは、少なくとも90%純粋、より好ましくは、少なくとも95%純粋、まだより好ましくは、少なくとも98%純粋、及び最も好ましくは、少なくとも99%純粋な物質を指す。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」は、抗原結合分子(例えば抗体、抗体断片、または抗体結合領域を含有する骨格タンパク質)が結合する標的分子(例えば抗原、例えばタンパク質、核酸、炭水化物または脂質)上の部位を指す。エピトープは多くの場合に、アミノ酸、ポリペプチドまたは糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面集団を含み、特異的な三次元構造特徴、さらには特異的な電荷特性を有する。エピトープは、標的分子の連続及び/または並列の非連続残基の両方(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)から形成され得る。連続残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)から形成されるエピトープは典型的には、変性溶媒に暴露されても維持されるが、三次元フォールディングによって形成されたエピトープは典型的には、変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは、これに限定されないが、少なくとも3、少なくとも5または8~10残基(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)を含んでもよい。一部の例では、エピトープは、20残基長(例えば、アミノ酸またはヌクレオチド)未満、15残基長未満または12残基長未満である。2つの抗体が、抗原について競合結合を示す場合、それらは1つの抗原内の同じエピトープに結合してもよい。一部の実施形態では、抗原結合分子上のCDR残基への一定の最小限の距離によって、エピトープは特定され得る。一部の実施形態では、エピトープは、上記の距離によって特定され、抗体残基と抗原残基との間の結合(例えば、水素結合)に関与する残基にさらに限定され得る。エピトープは、様々なスキャンによっても特定され得、例えばアラニンまたはアルギニンスキャンは、抗原結合分子が相互作用し得る1個または複数の残基を示し得る。明示されていない限り、エピトープとしての残基セットは、他の残基を、特定の抗体のためのエピトープの一部であることから排除するものではない。むしろ、そのようなセットの存在は、エピトープの最小限のシリーズ(または種のセット)を指定している。したがって、一部の実施形態では、エピトープとして特定された残基セットは、抗原上のエピトープのための残基の排他的なリストではなく、抗原に適切な最小限のエピトープを指定している。
【0053】
「非線状エピトープ」または「立体構造エピトープ」は、そのエピトープに特異的な抗体が結合する抗原タンパク質内の非連続ポリペプチド、アミノ酸及び/または糖を含む。一部の実施形態では、残基のうちの少なくとも1個は、エピトープの他の特筆された残基と非連続であるが;しかしながら、残基のうちの1個または複数は、他の残基と連続していてもよい。
【0054】
「線状エピトープ」は、そのエピトープに特異的な抗体が結合する、抗原タンパク質内の連続ポリペプチド、アミノ酸及び/または糖を含む。一部の実施形態では、線状エピトープ内の残基すべてが抗体と直接結合する(または結合に関与する)必要があるわけではないことが特筆される。一部の実施形態では、線状エピトープは、事実上、線状エピトープの配列からなるペプチドでの免疫化に由来し得るか、または残りのタンパク質から、(抗体が少なくとも主に、ちょうどその配列セクションと相互作用し得るように)相対的に単離されたタンパク質の構造セクションに由来し得る。
【0055】
本明細書における用語「抗体」は、最も広範な意味で使用され、これに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性(二重特異性T細胞エンゲージャーなど)及び三重特異性抗体)、及び所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む様々な抗体構造を包含する。
【0056】
抗体という用語には、これに限定されないが、抗原に結合し得る断片、例えば、Fv、一本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、ジscFv、sdAb(単一ドメイン抗体)及び(Fab’)(化学的に連結させたF(ab’)を含む)が含まれる。抗体のパパイン消化によって、2つの同一の抗原結合断片(「Fab」断片と呼ばれ、それぞれ単一の抗原結合部位を含む)と、残りの「Fc」断片(この名前は、容易に結晶化するその能力を反映している)とが生じる。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、かつ抗原をまだ架橋することができるF(ab’)断片をもたらす。抗体という用語には、これに限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びマウス、ヒト、カニクイザルなどの様々な種の抗体も含まれる。さらに、本明細書で提供する抗体構築物のすべてについて、他の生体からの配列を有するバリアントも企図される。したがって、抗体のヒトバージョンが開示されている場合、当業者は、ヒト配列をベースとする抗体をマウス、ラット、ネコ、イヌ、ウマなどの配列に変換する方法が分かるであろう。抗体断片には、一本鎖scFv、タンデム型ジscFv、二重特異性抗体、タンデム型トリsdcFv、ミニボディなどのいずれの配向も含まれる。抗体断片には、ナノボディ(sdAb、単一モノマードメインを有する抗体、例えば、軽鎖を含まない重鎖の可変ドメイン対)も含まれる。抗体断片は、一部の実施形態では特定の種であるとみなされ得る(例えば、ヒトscFvまたはマウスscFv)。これは、構築物の源ではなく、非CDR領域の少なくとも一部の配列を示している。
【0057】
用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体集団からなる、すなわち、その集団を構成する個々の抗体が、少量で存在してもよい天然に存在し得る変異を除いて同一である抗体を指す。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原部位を指向する。さらに、典型的には種々の決定子(エピトープ)を指向する種々の抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定子を指向する。したがって、モノクローナル抗体のサンプルは、抗原上の同じエピトープに結合し得る。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示しており、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,1975,Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製されてもよいし、または米国特許第4,816,567号に記載されているような組換えDNA法によって作製されてもよい。モノクローナル抗体は、例えばMcCafferty et al.,1990,Nature 348:552-554に記載の技術を使用して生成されたファージライブラリーから単離されてもよい。
【0058】
用語「CDR」は、当業者に対して少なくとも1種の特定手法によって定義されるとおりの相補性決定領域を示す。一部の実施形態では、CDRは、Chothia番号付けスキーム、Kabat番号付けスキーム、Kabat及びChothiaの組み合わせ、AbM定義、接触定義、及び/またはKabat、Chothia、AbM、及び/または接触定義の組み合わせのいずれかに従って定義され得る。例示的なCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)は、L1のアミノ酸残基24~34、L2の50~56、L3の89~97、H1の31~35B、H2の50~65、及びH3の95~102で生じる(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))。AbM定義は、例えば、CDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)をL1のアミノ酸残基24~34、L2の50~56、L3の89~97、H1のH26~H35B、H2の50~58、及びH3の95~102に含み得る。接触定義は、例えば、CDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)をL1のアミノ酸残基30~36、L2の46~55、L3の89~96、H1の30~35、H2の47~58、及びH3の93~101に含み得る。Chothia定義は、例えば、CDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)をL1のアミノ酸残基24~34、L2の50~56、L3の89~97、H1の26~32…34、H2の52~56、及びH3の95~102に含み得る。CDRはまた、添付の図面のうちのいずれか1つまたは複数に示されているとおりにも提示され得る。VにおけるCDR1を除いて、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。抗体内の様々なCDRを、それらの適切な数及び鎖の種類によって、限定ではないが次を含めて:a)CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3;b)CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2、及びCDRH3;c)LCDR-1、LCDR-2、LCDR-3、HCDR-1、HCDR-2、及びHCDR-3;またはd)LCDR1、LCDR2、LCDR3、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3;などとして指定することができる。用語「CDR」は、超可変ループを含むHVRまたは「超可変領域」も包含するように本明細書では使用される。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)に生じる(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。
【0059】
用語「重鎖可変領域」は、本明細書で使用する場合、少なくとも3つの重鎖CDRを含む領域を指す。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、3つのCDRならびに少なくともFR2及びFR3を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、少なくとも重鎖HCDR1、フレームワーク(FR)2、HCDR2、FR3、及びHCDR3を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域はまた、FR1の少なくとも一部及び/またはFR4の少なくとも一部を含む。
【0060】
用語「重鎖定常領域」は、本明細書で使用する場合、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン、C1、C2、及びC3を含む領域を指す。もちろん、別段に指定されていない限り、ドメイン内での、機能を変更させない欠失及び改変は、用語「重鎖定常領域」の範囲内に包含される。非限定的な例示的な重鎖定常領域には、γ、δ、及びαが含まれる。非限定的な例示的な重鎖定常領域にはε及びμも含まれる。各重鎖定常領域は、抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体は、IgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体は、IgD抗体であり、α定常領域を含む抗体は、IgA抗体である。さらに、μ定常領域を含む抗体は、IgM抗体であり、ε定常領域を含む抗体は、IgE抗体である。ある種のアイソタイプは、サブクラスにさらに細分化され得る。例えば、IgG抗体には、これに限定されないが、IgG1(γ定常領域を含む)、IgG2(γ定常領域を含む)、IgG3(γ定常領域を含む)、及びIgG4(γ定常領域を含む)抗体が含まれ;IgA抗体には、これに限定されないが、IgA1(α定常領域を含む)及びIgA2(α定常領域を含む)抗体が含まれ;IgM抗体には、これに限定されないが、IgM1及びIgM2が含まれる。
【0061】
用語「重鎖」は、本明細書で使用する場合、リーダー配列を伴って、または伴わずに少なくとも1つの重鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。一部の実施形態では、重鎖は、重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。用語「全長重鎖」は、本明細書で使用する場合、リーダー配列を伴って、または伴わずに重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含むポリペプチドを指す。
【0062】
用語「軽鎖可変領域」は、本明細書で使用する場合、少なくとも3つの軽鎖CDRを含む領域を指す。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、3つのCDRならびに少なくともFR2及びFR3を含む。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、少なくとも軽鎖LCDR1、フレームワーク(FR)2、LCDR2、FR3、及びLCDR3を含む。例えば、軽鎖可変領域は、軽鎖CDR1、フレームワーク(FR)2、CDR2、FR3、及びCDR3を含んでよい。一部の実施形態では、軽鎖可変領域はまた、FR1の少なくとも一部及び/またはFR4の少なくとも一部を含む。
【0063】
用語「軽鎖定常領域」は、本明細書で使用する場合、軽鎖定常ドメイン、Cを含む領域を指す。非限定的な例示的な軽鎖定常領域には、λ及びκが含まれる。もちろん、別段に指定されていない限り、ドメイン内での、機能を変更させない欠失及び改変は、用語「軽鎖定常領域」の範囲内に包含される。
【0064】
用語「軽鎖」は、本明細書で使用する場合、リーダー配列を伴って、または伴わずに少なくとも1つの軽鎖可変領域を含むポリペプチドを指す。一部の実施形態では、軽鎖は、軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む。用語「全長軽鎖」は、本明細書で使用する場合、リーダー配列を伴って、または伴わずに軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含むポリペプチドを指す。
【0065】
本明細書における目的での「アクセプターヒトフレームワーク」は、下に定義するとおり、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する軽鎖可変ドメイン(V)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(V)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するアクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよいし、またはアミノ酸配列の変化を含んでもよい。一部の実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。一部の実施形態では、Vアクセプターヒトフレームワークは、配列において、Vヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0066】
「親和性」は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の総計の強度を指す。分子Xの、そのパートナーYについての親和性は一般に、解離定数(K)によって表され得る。親和性は、当技術分野で知られている通常の方法によって測定され得る(例えば、本明細書に記載のものを含む、ELISA K、KinExA、バイオレイヤー干渉法(BLI)、及び/または表面プラスモン共鳴デバイス(BIAcore(登録商標)デバイスなど)など)。
【0067】
用語「K」は、本明細書で使用する場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指す。
【0068】
一部の実施形態では、抗体の「K」、「K」、「Kd」または「Kd値」は、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、N.J.)を25℃で固定化抗原CM5チップと共に約10応答単位(RU)で使用する表面プラスモン共鳴アッセイを用いることによって測定される。簡単に述べると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給者の指示に従ってN-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化させる。抗原を10mM酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(約0.2μM)に希釈し、その後、5μL/分の流速で注入して、およそ10応答単位(RU)の結合タンパク質を達成する。抗原の注入後に、1Mエタノールアミンを、未反応の基を遮断するために注入する。反応速度を測定するために、0.05%TWEEN-20(商標)界面活性剤(PBST)を含むPBS中にポリペプチド、例えば、全長抗体の系列希釈物を25℃で、およそ25μL/分の流速で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Software、バージョン3.2)を使用して会合及び解離センサーグラムを同時フィッティングさせることによって計算する。平衡解離定数(K)を比koff/konとして計算する。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。上の表面プラスモン共鳴アッセイによって、オン・レート(on-rate)が10-1-1を超えた場合、分光計、例えば、ストップフローを備えた分光計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを備えた8000-series SLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)で測定されるように、抗原の漸増濃度の存在下でPBS、pH7.2中20nM抗抗原抗体の25℃での蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmバンドパス)の増減を測定する蛍光クエンチング技術を用いることによって、オン・レートを決定することができる。
【0069】
一部の実施形態では、前記2つの値(例えば、K値)の間の差異は、実質的に同じ、例えば、基準/比較値を関数として約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、及び/または約10%未満である。
【0070】
一部の実施形態では、前記2つの値(例えば、K値)の間の差異は、実質的に異なる、例えば、基準/比較分子の値を関数として約10%超、約20%超、約30%超、約40%超、及び/または約50%超である。
【0071】
「表面プラスモン共鳴」は、例えばBIAcore(商標)system(BIAcore International AB、a GE Healthcare company,Uppsala,Sweden及びPiscataway,N.J.)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによってリアルタイム生物特異的相互作用の分析を可能にする光学現象を示す。さらなる説明については、Jonsson et al.(1993)Ann.Biol.Clin.51:19-26を参照されたい。
【0072】
「バイオレイヤー干渉法」は、バイオセンサーチップ上の固定化タンパク質の層及び内部基準層から反射された光の干渉パターンを分析する光学分析技法を指す。バイオセンサーチップに結合した分子の数の変化が、干渉パターンのシフトをもたらし、それを、リアルタイムで測定することができる。バイオレイヤー干渉法のための非限定的な例示的なデバイスは、ForteBio Octet(登録商標)RED96 system(Pall Corporation)である。例えば、Abdiche et al.,2008,Anal.Biochem.377:209-277を参照されたい。
【0073】
用語「kon」は、本明細書で使用する場合、抗原への抗体の会合についての速度定数を指す。具体的には、速度定数(kon及びkoff)及び平衡解離定数は、IgG(二価)を一価PD-1抗原と共に使用して測定される。「Kon」、「kon」、「会合速度定数」、または「ka」は、本明細書では互換的に使用される。この値は、式:抗体(「Ab」)+抗原(「Ag」)→Ab-Agによって示される、結合タンパク質の、その標的抗原への結合速度または抗体と抗原との間の複合体形成速度を示す。用語「koff」は、本明細書で使用する場合、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての速度定数を指す。koffは、「Koff」または「解離速度定数」としても示される。この値は、式:Ab+Ag←Ab-Agによって示される、抗体の、その標的抗原からの解離速度またはAb-Ag複合体の、遊離抗体及び抗原への経時的な分離を示す。
【0074】
用語「生物学的活性」は、分子のいずれか1つまたは複数の生物学的特性を指す(in vivoで見出されるとおり天然に存在するか、または組換え手段によって得られる、もしくは可能であるかに関わらない)。生物学的特性には、これに限定されないが、受容体との結合、細胞増殖の誘導、細胞成長の阻害、他のサイトカインの誘導、アポトーシスの誘導、及び酵素活性が含まれる。一部の実施形態では、PD-1タンパク質の生物学的活性には、例えば、抗原特異的T細胞におけるアポトーシスの促進、制御性T(Treg)細胞におけるアポトーシスの減少、T細胞の活性化の阻害、T細胞の増殖の阻害、及びT細胞アネルギーまたは病弊の助長が含まれる。
【0075】
「親和性成熟」抗体は、改変を有さない親抗体と比較して、1つまたは複数のCDRに1つまたは複数の改変を含み、そのような改変が、抗原についての抗体の親和性の改善をもたらしている抗体を指す。
【0076】
「キメラ抗体」は、本明細書で使用する場合、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来する一方で、残りの重鎖及び/または軽鎖の少なくとも一部が、異なる供給源または種に由来する抗体を指す。一部の実施形態では、キメラ抗体は、第1の種(例えば、マウス、ラット、カニクイザルなど)からの少なくとも1つの可変領域及び第2の種(例えば、ヒト、カニクイザルなど)からの少なくとも1つの定常領域を含む抗体を指す。一部の実施形態では、キメラ抗体は、少なくとも1つのマウス可変領域及び少なくとも1つのヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ抗体は、少なくとも1つのカニクイザル可変領域及び少なくとも1つのヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、キメラ抗体の可変領域はすべて、第1の種に由来し、かつキメラ抗体の定常領域はすべて、第2の種に由来する。キメラ構築物は、上記のとおり機能性断片であってもよい。
【0077】
「ヒト化抗体」は、本明細書で使用する場合、非ヒト可変領域のフレームワーク領域内の少なくとも1個のアミノ酸が、ヒト可変領域からの対応するアミノ酸で置き換えられている抗体を指す。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つのヒト定常領域またはその断片を含む。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、抗体断片、例えばFab、scFv、(Fab’)などである。ヒト化という用語も、非ヒト免疫グロブリンの最小限の配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の抗原結合配列など)である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を示す。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えばマウス、ラット、またはウサギのCDRからの残基に置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み得る。一部の事例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入CDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよいが、それらは、抗体性能をさらに精密化する、及び最適化するために含まれる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的にすべてを含んでよく、その際、CDR領域のすべて、または実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつFR領域のすべて、または実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。一部の実施形態では、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含んでよい。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に関して改変されていて、元の抗体からの1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも称される、1つまたは複数のCDR(CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2、及び/またはCDRH3)を有する。認められるであろうとおり、ヒト化配列は、その一次配列によって特定することができ、抗体が作製されたプロセスを必ずしも示さない。
【0078】
「CDRグラフト抗体」は、本明細書で使用する場合、第1の(非ヒト)種の1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)が第2の(ヒト)種のフレームワーク領域(FR)上にグラフトされているヒト化抗体を指す。
【0079】
「ヒト抗体」には、本明細書で使用する場合、ヒトで産生された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含む非ヒト動物、例えばXenoMouse(登録商標)マウスで産生された抗体、及びin vitro法、例えばファージディスプレイ(Vaughan et al.,1996,Nature Biotechnology,14:309-314;Sheets et al.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:6157-6162;Hoogenboom and Winter,1991,J.Mol.Biol.,227:381;Marks et al.,1991,J.Mol.Biol.,222:581)を使用して選択された抗体(この場合、抗体のレパートリーはヒト免疫グロブリン配列に基づく)が包含される。用語「ヒト抗体」は、ヒト配列である配列種を示す。したがって、この用語は、抗体が作製されたプロセスではなく、関連する配列種を指定するものである。
【0080】
「機能性Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」には、Fc受容体結合;C1q結合;CDC;ADCC;食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節などが含まれる。そのようなエフェクター機能は一般に、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合するためにFc領域を必要とし、様々なアッセイを使用して評価することができる。
【0081】
「天然配列Fc領域」は、天然において見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、さらには天然に存在するそのバリアントが含まれる。
【0082】
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるが、天然配列Fc領域の少なくとも1つのエフェクター機能をまだ維持しているアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、約1~約10のアミノ酸置換、好ましくは、約1~約5のアミノ酸置換を天然配列Fc領域に、または親ポリペプチドのFc領域に有する。一部の実施形態では、本明細書におけるバリアントFc領域は、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域に対して少なくとも約80%配列同一性、それに対して少なくとも約90%配列同一性、それに対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%配列同一性を有する。
【0083】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。一部の実施形態では、FcγRは、天然ヒトFcRである。一部の実施形態では、FcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及びオルタナティブスプライシング型が含まれる。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、主にその細胞質ドメインにおいて異なる同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)をその細胞質ドメインに含有する。阻害受容体FcγRIIBは、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)をその細胞質ドメインに含有する。(例えば、Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)において概説されている。将来特定されるものを含む他のFcRも、本明細書における用語「FcR」に包含される。
【0084】
用語「Fc受容体」または「FcR」は、胎児への母性IgGの輸送(Guyer et al.、J.Immunol.117:587(1976)及びKim et al.、J.Immunol.24:249(1994))及び免疫グロブリンのホメオスターシスの調節を担う新生児型受容体、FcRnも含む。FcRnへの結合を測定する方法は知られている(例えば、Ghetie and Ward.,Immunol.Today 18(12):592-598(1997);Ghetie et al.,Nature Biotechnology,15(7):637-640(1997);Hinton et al.,J.Biol.Chem.279(8):6213-6216(2004);WO 2004/92219(Hinton et al.)を参照されたい)。
【0085】
「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に帰せられる生物学的活性を指し、これは、抗体アイソタイプによって変動する。抗体エフェクター機能の例には、Clq結合及び補体依存性細胞傷害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;ならびにB細胞活性化が含まれる。
【0086】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を行う白血球である。一部の実施形態では、この細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能(複数可)を行う。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球が含まれる。エフェクター細胞は、天然源から、例えば、血液から単離され得る。
【0087】
「抗体依存性細胞媒介細胞傷害性」または「ADCC」は、ある種の細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合した分泌Igが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞の抗原保有標的細胞への特異的結合、続く、細胞毒素での標的細胞の死滅を可能にする細胞傷害性の一形態を指す。ADCCを媒介するための一次細胞、NK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464ページにある表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、in vitro ADCCアッセイ、例えば、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号または米国特許第6,737,056(Presta)号に記載されているものを行うことができる。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞には、PBMC及びNK細胞が含まれる。別法では、または加えて、目的の分子のADCC活性を、in vivoで、例えば、動物モデル、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656(1998)に開示されているもので評価してもよい。Fc領域アミノ酸配列が変更されている追加のポリペプチドバリアント(バリアントFc領域を含むポリペプチド)及びADCC活性の上昇または低下が、例えば、米国特許第7,923,538号、及び米国特許第7,994,290号に記載されている。
【0088】
「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、コグネイト抗原に結合する(適切なサブクラスの)抗体への補体系の第1の成分(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているようなCDCアッセイを行ってもよい。Fc領域アミノ酸配列が変更されているポリペプチドバリアント(バリアントFc領域を含むポリペプチド)及びC1q結合能の上昇または低下が、例えば、米国特許第6,194,551B1号、米国特許第7,923,538号、米国特許第7,994,290号及びWO1999/51642に記載されている。例えば、Idusogie et al.、J.Immunol.164:4178-4184(2000)も参照されたい。
【0089】
FcR結合親和性またはADCC活性が「改変されている」ポリペプチドバリアントは、親ポリペプチドと、または天然配列Fc領域を含むポリペプチドと比較してFcR結合活性及び/またはADCC活性が増強または減弱されているものである。FcRへの「結合の増大を示す」ポリペプチドバリアントは、少なくとも1つのFcRに、親ポリペプチドよりも良好な親和性で結合する。FcRへの「結合の減少を示す」ポリペプチドバリアントは、少なくとも1つのFcRに、親ポリペプチドよりも低い親和性で結合する。FcRへの結合の減少を示すそのようなバリアントは、天然配列IgG Fc領域と比較して、FcRへの認識可能な結合をほとんど有し得ないか、または有し得ない、例えば、FcRに対して0~20%の結合を有し得る。
【0090】
親抗体よりも「より効果的に、ヒトエフェクター細胞の存在下で抗体依存性細胞媒介細胞傷害性(ADCC)を媒介する」ポリペプチドバリアントは、in vitroまたはin vivoで、アッセイで使用されるポリペプチドバリアント及び親抗体の量が本質的に同じである場合に、ADCCの媒介においてより有効であるものである。一般に、そのようなバリアントは、本明細書に開示のとおり、in vitro ADCCアッセイを使用して特定されるが、例えば動物モデルなどにおいてADCC活性を決定するための他のアッセイまたは方法も企図される。
【0091】
用語「本質的に同様な」または「本質的に同じ」は、本明細書で使用する場合、当業者が、2つ以上の値の間の差異は、前記値によって測定された生物学的特徴の文脈内で、生物学的及び/または統計学的有意性がほとんどない、またはないと判断するような2つ以上の数値間の十分に高程度の類似性を示す。一部の実施形態では、2つ以上の実質的に同様の値は、およそ5%、10%、15%、20%、25%、または50%のいずれか1つ以下で異なる。
【0092】
語句「実質的に異なる」は、本明細書で使用する場合、当業者が、2つの値の間の差異は、前記値によって測定された生物学的特徴の文脈内で、統計学的に有意であると判断するような2つの数値間の十分に高程度の差異を示す。一部の実施形態では、2つの実質的に異なる数値は、およそ10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれか1つよりも大きく異なる。
【0093】
語句「実質的に減少(低下)した」は、本明細書で使用する場合、当業者が、2つの値の間の差異は、前記値によって測定された生物学的特徴の文脈内で、統計学的に有意であると判断するような数値と基準数値との間の十分に高程度の減少(低下)を示す。一部の実施形態では、実質的に減少(低下)した数値は、基準値と比較して、およそ10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれか1つよりも大きく減少(低下)している。
【0094】
用語「リーダー配列」は、ポリペプチドのN末端に位置し、哺乳類細胞からのポリペプチドの分泌を促進するアミノ酸残基の配列を指す。リーダー配列は、哺乳類細胞からポリペプチドが輸送されると切断されて、成熟タンパク質を形成し得る。リーダー配列は、天然または合成であってよく、それらが結合しているタンパク質に対して異種または同種であってよい。
【0095】
「天然配列」ポリペプチドは、天然に見出されるポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。したがって、天然配列ポリペプチドは、任意の哺乳類からの天然に存在するポリペプチドのアミノ酸配列を有し得る。そのような天然配列ポリペプチドは、天然から単離されていてもよいし、または組換えもしくは合成手段によって生産されていてもよい。用語「天然配列」ポリペプチドは具体的には、ポリペプチドの天然に存在する短縮化または分泌形態(例えば、細胞外ドメイン配列)、ポリペプチドの天然に存在するバリアント形態(例えば、オルタナティブスプライシング型)及び天然に存在する対立遺伝子バリアントを包含する。
【0096】
ポリペプチド「バリアント」は、配列をアラインさせ、必要な場合には任意の保存的置換を配列同一性の一部とみなさずに最大パーセントの配列同一性を達成するためにギャップを導入した後に、天然配列ポリペプチドと少なくとも約80%アミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なポリペプチドを意味する。そのようなバリアントには、例えば、ポリペプチドのNまたはC末端で1個または複数のアミノ酸残基が付加、または欠失しているポリペプチドが含まれる。一部の実施形態では、バリアントは、少なくとも約80%アミノ酸配列同一性を有する。一部の実施形態では、バリアントは、少なくとも約90%アミノ酸配列同一性を有する。一部の実施形態では、バリアントは、天然配列ポリペプチドと少なくとも約95%アミノ酸配列同一性を有する。
【0097】
本明細書で使用する場合、ペプチド、ポリペプチドまたは抗体配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」及び「相同性」は、配列をアラインさせ、必要な場合には任意の保存的置換を配列同一性の一部とみなさずに最大パーセント配列同一性を達成するためにギャップを導入した後に、特定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的でのアラインメントは、当技術分野の技能の範囲内の様々な方法で、例えば、公共利用可能なコンピューターソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアを使用して達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0098】
アミノ酸置換には、これに限定されないが、ポリペプチド中の1個のアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることが含まれ得る。例示的な置換を表1に示す。アミノ酸置換が目的の抗体に導入され、産物が所望の活性、例えば、抗原結合の維持/改善、免疫原性の低下、またはADCCもしくはCDCの改善についてスクリーニングされ得る。
【0099】
アミノ酸は、共通の側鎖特性によってグループ分けされ得る:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0100】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを、別のクラスに交換することを伴う。
【0101】
用語「ベクター」は、宿主細胞において増殖させることができる1つまたは複数のクローン化ポリヌクレオチドを含有するように操作することができるポリヌクレオチドを表すために使用される。ベクターは、次の要素のうちの1個または複数を含み得る:複製開始点、目的のポリペプチドの発現を調節する1つまたは複数の調節配列(例えば、プロモーター及び/またはエンハンサーなど)、及び/または1種または複数の選択マーカー遺伝子(例えば、抗生物質抵抗性遺伝子及び比色アッセイで使用することができる遺伝子、例えば、β-ガラクトシダーゼなど)。用語「発現ベクター」は、宿主細胞において目的のポリペプチドを発現させるために使用されるベクターを指す。
【0102】
「宿主細胞」は、ベクターまたは単離ポリヌクレオチドのレシピエントであり得るか、またはレシピエントとなっている細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であってよい。例示的な真核細胞には、哺乳類細胞、例えば霊長類または非霊長類動物細胞;真菌細胞、例えば酵母;植物細胞;及び昆虫細胞が含まれる。非限定的な例示的な哺乳類細胞には、これに限定されないが、NSO細胞、PER.C6(登録商標)細胞(Crucell)、ならびに293及びCHO細胞、及びそれらの誘導体、例えば、それぞれ293-6E及びDG44細胞が含まれる。宿主細胞には、単一宿主細胞の後代が含まれ、その後代は必ずしも、天然、偶発的、または意図的変異によって、元の親細胞と完全に同一(形態学的に、またはゲノムDNA補体において)でなくてもよい。宿主細胞には、in vivoで、本明細書において提供するポリヌクレオチド(複数可)でトランスフェクションされた細胞が含まれる。
【0103】
用語「単離(されている)」は、本明細書で使用する場合、典型的には天然において共に見出されるか、または産生される成分の少なくとも一部から分離されている分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それが産生された細胞の成分の少なくとも一部から分離されている場合に、「単離されている」と称される。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌される場合、ポリペプチドを産生した細胞から、そのポリペプチドを含有する上清を物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離すること」とみなされる。同様に、ポリヌクレオチドは、典型的に天然に見出されるより大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合には、ゲノムDNAまたはミトコンドリアDNAなど)の一部ではないか、または例えば、RNAポリヌクレオチドの場合には、それが産生された細胞の成分の少なくとも一部から分離されている場合に、「単離されている」と称される。したがって、宿主細胞内部のベクターに含有されるDNAポリヌクレオチドは、「単離されている」と称され得る。
【0104】
用語「個体」または「対象」は、本明細書では、動物;例えば、哺乳類を指すために互換的に使用される。一部の実施形態では、これに限定されないが、ヒト、げっ歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類の実験動物、哺乳類の家畜、哺乳類のスポーツ用動物、及び哺乳類のペットを含む哺乳類を処置する方法を提供する。一部の例では、「個体」または「対象」は、疾患または障害について処置を必要とする個体または対象を指す。一部の実施形態では、処置を受ける対象は、患者であり得、その対象が処置に関連する障害を有するか、または障害に罹患する十分なリスクを有すると特定されているという事実を示している。
【0105】
「疾患」または「障害」は、本明細書で使用する場合、処置が必要である、及び/または望ましい状態を指す。
【0106】
「がん」及び「腫瘍」は、本明細書で使用する場合、動物におけるいずれかの異常な細胞または組織の成長または増殖を指す互換的な用語である。本明細書で使用する場合、用語「がん」及び「腫瘍」は、固体及び血液/リンパがんを包含し、悪性、前悪性、及び良性成長、例えば、異形成も包含する。がんの例には、これに限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。そのようながんのより特定の非限定的例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、下垂体癌、食道癌、神経膠星状細胞腫、軟部組織肉腫、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓(kidney)癌、腎臓(renal)癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌、脳癌、子宮内膜癌、精巣癌、胆管癌、胆嚢癌、胃癌、黒色腫、中皮腫、及び様々な種類の頭頚部癌が含まれる。
【0107】
本明細書で使用する場合、「処置」は、有利な、または所望の臨床結果を得るためのアプローチである。「処置」は、本明細書で使用する場合、ヒトを含む哺乳類における疾患のための治療のいずれの投与または施与にも及ぶ。本開示の目的では、有利な、または所望の臨床結果には、これに限定されないが、下記のうちのいずれか1つまたは複数が含まれる:1つまたは複数の症状の緩和、疾患範囲の減少、疾患の展開(例えば、転移、例えば、肺またはリンパ節への転移)の予防または遅延、疾患の再発の予防または遅延、疾患進行の遅延または減速、病態の寛解、疾患または疾患の進行の阻害、疾患またはその進行の阻害または減速、その展開の停止、及び軽減(部分的か全体的かに関わらず)。増殖性疾患の病的結果の縮小も、「処置」に包含される。本明細書で提供する方法は、処置のこれらの態様のうちのいずれか1つまたは複数を企図している。上記と一致して、処置という用語は、障害のすべての態様の100パーセントの除去を必要とするものではない。
【0108】
「寛解すること」は、抗PD-1抗体の不投与と比較して、1つまたは複数の症状の緩和または改善を意味する。「寛解すること」はまた、症状の持続期間の短縮または減少も含む。
【0109】
がんの文脈において、用語「処置すること」は、がん細胞の成長を阻害すること、がん細胞の複製を阻害すること、総腫瘍量を減少させること、及び疾患と関連する1つまたは複数の症状を寛解させることのうちのいずれか、またはすべてを含む。
【0110】
用語「生体試料」は、生物または死んだ生物からの物質量を意味する。そのような物質には、これに限定されないが、血液、(例えば、全血)、血漿、血清、尿、羊水、滑液、内皮細胞、白血球、単球、他の細胞、器官、組織、骨髄、リンパ節及び脾臓が包含される。
【0111】
「PD-1レベルの上昇」を有するか、または「PD-1を高レベルで発現する」か、または「PD-1HIGH」であるサンプルは、PD-1のレベルが、そのがんを本明細書で提供する抗体などの抗PD-1治療で処置することができると当業者が結論付けるようなレベルであることを意味する。一部の実施形態では、「PD-1レベルの上昇」は、腫瘍サンプル内の細胞のうちの1%がPD-1についての染色を示すものである。一部の実施形態では、PD-1に関する「高レベル」は、1%以上の染色であり、例えば、腫瘍サンプル内の細胞のうちの1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%が染色を示す。一部の実施形態では、PD-1レベルは、発色IHCまたは免疫蛍光IHC(Aquaスコアリング)によって測定され得る。
【0112】
「PD-1を発現する」、または「PD-1について陽性染色」を有する、または「PD-1陽性」であるサンプルは、サンプル中の細胞の1%以上がPD-1についての染色を示すことを意味する。一部の実施形態では、PD-1陽性であるサンプルは、少なくとも弱い、中程度の、及び/または強い細胞染色を示す(PD-1の膜発現に基づく)。PD-1について中程度か、または強い細胞染色を示すサンプルはまた、「PD-1HIGH」であると判断される。
【0113】
「低レベルのPD-L1」を有する、または「PD-L1を低レベルで」発現する、または「PD-L1LOW」であるサンプルは、PD-L1のレベルが、PD-1治療での処置に通常適応とされるがんでの発現の閾値を下回っていることを意味する。一部の実施形態では、「低レベルのPD-L1」は、腫瘍内の細胞のうちの5%未満がPD-L1についての膜染色を示すものである。一部の実施形態では、PD-L1に関する「低レベル」は、5%未満の染色であり、例えば、腫瘍の細胞のうちの4%、3%、2%、1%、または0%が染色を示す。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、発色IHCまたは免疫蛍光IHC(Aquaスコアリング)によって測定され得る。検出可能なPD-L1を発現しないサンプルも、「低レベルのPD-L1を発現する」と述べられ得る。したがって、検出され得ないPD-L1は、用語「低」の範囲内に包含される。
【0114】
「PD-L1レベルの上昇」を有するか、または「PD-L1を高レベルで発現する」か、または「PD-L1HIGH」であるサンプルは、PD-L1のレベルが、そのがんをPD-1治療で処置することができると当業者が結論付けるようなレベルであることを意味する。一部の実施形態では、「PD-L1レベルの上昇」は、腫瘍内の細胞の50%以上がPD-L1の膜染色を有するものであり、例えば、腫瘍の細胞のうちの50、60、70、80、90、または100%が膜染色を示す。一部の実施形態では、PD-L1レベルは、発色IHCまたは免疫蛍光IHC(Aquaスコアリング)によって測定され得る。
【0115】
「PD-L1を発現する」、または「PD-L1について陽性染色」を有する、または「PD-L1陽性」であるサンプルは、細胞のうちの1%以上がPD-L1について膜染色を有することを意味する。一部の実施形態では、PD-L1陽性であるサンプルは、少なくとも弱い、中程度の、及び/または強い細胞染色を示す(PD-L1の膜発現に基づく)。
【0116】
「PD-L1発現が欠損している」または「PD-L1について陰性染色」を有する、または「PD-L1陰性」であるサンプルは、サンプルの細胞の表面上でのPD-L1発現がIHC、例えば発色IHCまたは免疫蛍光IHC(Aquaスコアリング)によって検出され得ないことを意味する。PD-L1陰性サンプルはまた、「PD-L1LOW」であると判断される。
【0117】
一部の実施形態では、PD-L1のレベルを測定する任意の方法が用いられ得る。一部の実施形態では、これは、NSCLCにおいてPD-L1発現を評価するための、臨床で実証されていて、かつFDAに承認されている試験であるPD-L1 IHC 22C3 pharmDx test(Dako,Inc.,Carpinteria,CA)の使用を含み得る。PD-L1 IHC 22C3 pharmDxは、モノクローナルマウス抗PD-L1抗体(クローン22C3)を使用する定性免疫組織化学的アッセイであり、これは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)非小細胞肺癌(NSCLC)組織におけるPD-L1タンパク質の検出において使用することができる。このアッセイは、Autostainer Link 48システムで行われ、かつEnVision FLEXシステムを使用して可視化され得る。PD-L1タンパク質発現は、部分的または完全膜染色を示す生腫瘍細胞のパーセンテージであるTumor Proportion Score(TPS)を使用して認定される。一部の実施形態では、試験体は、生腫瘍細胞のTPS≧1%が任意の強度で膜染色を示した場合に、PD-L1陽性と判断される。一部の実施形態では、試験体は、生腫瘍細胞のTPS≧50%が任意の強度で膜染色を示した場合に、PD-L1HIGHと判断される。PD-L1 IHC 22C3 pharmDxは、KEYTRUDA(登録商標)(ペムブロリズマブ)で処置するためのNSCLC患者を特定する際の補助として示されている。スコアリングシステム及びペムブロリズマブに対する応答についての追加の詳細は、Garon et al.(N Engl J Med 2015;372:2018-28)による論文に記載されている。
【0118】
用語「対照」は、分析物を含有しない(「陰性対照」)か、または分析物を含有する(「陽性対照」)ことが既知の組成物を指す。陽性対照は、既知の濃度の分析物を含み得る。「対照」、「陽性対照」、及び「標準物質」は、本明細書において、既知の濃度の分析物を含む組成物を指すために互換的に使用され得る。「陽性対照」は、アッセイの動作特性を確立するために使用することができ、試薬(例えば、分析物)の完全性の有用な指標である。
【0119】
「所定のカットオフ」及び「所定のレベル」は一般に、所定のカットオフ/レベルに対してアッセイ結果を比較することによって診断/予後/治療効力の結果を評価するために使用されるアッセイカットオフ値を指し、その際、所定のカットオフ/レベルはすでに、様々な臨床パラメーター(例えば、疾患の重症度、進行/非進行/改善など)と連結または関連づけられている。本開示は、例示的な所定のレベルを提供し得るが、カットオフ値が、イムノアッセイの性質(例えば、使用される抗体など)に応じて変動し得ることはよく知られている。さらに、本明細書の開示を他のイムノアッセイに適合させて、それらの他のイムノアッセイでのイムノアッセイ特異的カットオフ値を本開示に基づき得ることは十分に、当業者の技能の範囲内である。所定のカットオフ/レベルの正確な値はアッセイによって変動し得るが、本明細書に記載のとおりの相関(もしあるならば)が一般に当てはまり得る。
【0120】
用語「阻害」または「阻害する」は、任意の表現型特性の低下もしくは中断を、またはその特性の発生率、程度、もしくは可能性の低下もしくは中断を指す。「減少させる」または「阻害する」ことは、基準と比較して、活性、機能、及び/または量を低下させる、減少させる、または停止させることである。一部の実施形態では、「減少させる」または「阻害する」とは、20%以上の全体減少をもたらす能力を意味する。一部の実施形態では、「減少させる」または「阻害する」とは、50%以上の全体減少をもたらす能力を意味する。一部の実施形態では、「減少させる」または「阻害する」とは、75%、85%、90%、95%以上の全体減少をもたらす能力を意味する。一部の実施形態では、上述の量が、ある期間にわたって、同じ期間にわたる対照用量(プラセボなど)と比較して阻害される、または減少する。「基準」は、本明細書で使用する場合、比較を目的として使用される任意のサンプル、標準、またはレベルを指す。基準は、健康な、及び/または罹患していないサンプルから得ることができる。一部の例では、基準は、非処置サンプルから得ることができる。一部の例では、基準は、対象個体の罹患していない、または非処置サンプルから得られる。一部の例では、基準は、対象または患者ではない1つまたは複数の健康な個体から得られる。
【0121】
本明細書で使用する場合、「疾患の発生を遅延させること」は、疾患(がんなど)の発生を延期する、妨害する、減速させる、阻止する、安定化させる、抑制する、及び/または先延ばしすることを意味する。この遅延は、処置を受けている疾患及び/または個体の履歴に応じて、様々な時間長さであってよい。当業者には明らかであるとおり、十分な、または有意な遅延は、実際に、個体が疾患を発生しない予防を包含し得る。例えば、転移の発生などの末期がんが遅延され得る。
【0122】
「予防すること」は、本明細書で使用する場合、疾患に罹患しやすいが、疾患を有するとまだ診断されていない対象において、疾患の発生または再発に関して予防を提供することを含む。別段に指定しない限り、用語「減少させる」、「阻害する」、または「予防する」は、全期間にわたる完全な予防を示す、または必要とするものではない。
【0123】
本明細書で使用する場合、機能または活性を「抑制する」ことは、目的の条件またはパラメーターを除いて他は同じ条件と比較した場合に、または別法では、別の条件と比較した場合に、機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する抗体は、抗体の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して、腫瘍の成長速度を低下させる。
【0124】
物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の病態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を誘発する物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストの能力などの因子によって変動し得る。治療有効量はまた、物質/分子、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかの毒性または有害作用よりも治療上の有益効果が上回るものである。治療有効量を、1回または複数の投与で送達してよい。治療有効量は、所望の治療及び/または予防結果を達成するために必要な投薬量で、かつ期間にわたって有効である量を指す。
【0125】
「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するために必要な投薬量で、かつ期間にわたって有効である量を指す。必ずではないが、典型的には、予防用量は疾患の前に、またはその初期に対象において使用されるので、予防有効量は、治療有効量よりも少なくなる。
【0126】
用語「医薬製剤」及び「医薬組成物」は活性成分(複数可)の生物学的活性が有効であることを可能にするような形態であり、製剤を投与される対象にとって許容不可能に毒性である追加の成分を含有しない製剤を指す。そのような製剤は、無菌であり得る。
【0127】
「薬学的に許容される担体」は、対象に投与するための「医薬組成物」を一緒に構成する治療薬と共に使用するために当技術分野で慣用の非毒性固体、半固体、または液体の増量剤、希釈剤、カプセル化物質、製剤補助剤、または担体を指す。薬学的に許容される担体は、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合性である。薬学的に許容される担体は、用いられる製剤に適している。
【0128】
「滅菌」製剤は、無菌であるか、または生微生物及びそれらの胞子を本質的に含有しない。
【0129】
用語「IDO阻害薬」は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の活性を阻害し、それによってIDO媒介性免疫抑制を逆転させることができる薬剤を指す。IDO阻害薬は、IDO1及び/またはIDO2(インドール1)を阻害し得る。IDO阻害薬は、可逆的または不可逆的IDO阻害薬であってよい。「可逆的IDO阻害薬」は、触媒部位または非触媒部位のいずれかでIDO酵素活性を可逆的に阻害する化合物であり、「不可逆的IDO阻害薬」は、酵素と共有結合を形成することによってIDO酵素活性を不可逆的に阻害する化合物である。非限定的な例示的なIDO阻害薬には、インドキシモド(New Link Genetics)、INCB024360(Incyte Corp.)、1-メチル-D-トリプトファン(New Link Genetics)、及びGDC-0919(Genentech,Inc.)が含まれる。
【0130】
「キメラ抗原受容体T細胞治療薬」または「CAR-T治療薬」は、腫瘍細胞によって発現される抗原を認識する受容体を発現するように遺伝的に改変されたT細胞を含む治療薬を指す。抗原は、腫瘍によって特異的に発現される抗原またはがん細胞及び健康な組織の両方によって発現される抗原であってよい。一部の実施形態では、CAR-T治療薬は、患者T細胞が取り出され、キメラ抗原受容体を発現するように修飾され、次いで、患者に戻される養子CAR-T治療薬である。例えば、Dai et al.,2016,J Natl Cancer Inst,108(7):djv439,doi:10.1093/jnci/djv439;Gill et al.,2015,Blood Rev,pii:S0268-960X(15)00080-6,doi:10.1016/j.blre.2015.10.003;Gill et al.,2015,Immunol Rev,263(1):68-89.doi:10.1111/imr.12243を参照されたい。
【0131】
1種または複数のさらなる治療薬「と組み合わせた」投与には、同期(同時)及び任意の順序での連続または逐次投与が含まれる。
【0132】
用語「同時に」は、本明細書において2種以上の治療薬の投与を指すために使用され、その際、投与の少なくとも一部が時間的に重複するか、または1種の治療薬の投与が、他の治療薬の投与に対して、短い時間内にある。例えば、2種以上の治療薬が、およそ規定の分数以内の時間を空けて投与される。
【0133】
用語「逐次的に」は、本明細書において2種以上の治療薬の投与を指すために使用され、その際、1種または複数の薬剤(複数可)の投与が、1種または複数の他の薬剤(複数可)の投与を中止した後に続くか、または1種または複数の薬剤(複数可)の投与が、1種または複数の他の薬剤(複数可)の投与の前に開始される。例えば、2種以上の治療薬の投与が、およそ既定の分数よりも長い時間を空けて投与される。
【0134】
本明細書で使用する場合、「と併せて」は、ある処置モダリティを別の処置モダリティに加えて投与することを指す。したがって、「と併せて」は、個体に、ある処置モダリティを、他の処置モダリティの投与の前に、その間に、またはその後に投与することを指す。
【0135】
用語「添付文書」は、治療用製品の商業包装に通例含まれる指示書を指すために使用され、これは、そのような治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌及び/または警告についての情報を含む。
【0136】
「製品」は、少なくとも1種の試薬、例えば、疾患または障害(例えば、がん)を処置するための医薬品、または本明細書に記載のバイオマーカーを特異的に検出するためのプローブを含む任意の製造品(例えば、パッケージまたは容器)またはキットである。一部の実施形態では、製造品またはキットは、本明細書に記載の方法を行うためのユニットとして販売促進される、配布される、または販売される。
【0137】
用語「標識」及び「検出可能な標識」は、特異的な結合対のメンバー間の反応(例えば、結合)を検出可能にするために、抗体またはその分析物に結合している部分を意味する。特異的結合対のうちの標識されたメンバーは、「検出可能に標識されている」と称される。したがって、用語「標識された結合タンパク質」は、結合タンパク質の特定をもたらすように組み込まれた標識を含むタンパク質を指す。一部の実施形態では、標識は、目視または機器による手段、例えば、放射標識されたアミノ酸の組み込み、またはマークを付されたアビジン(例えば、蛍光マーカーまたは光学的方法もしくは比色方法によって検出することができる酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの結合によって、検出可能なシグナルを生成し得る検出可能なマーカーである。ポリペプチドのための標識の例には、これに限定されないが、次のものが含まれる:放射性同位体または放射性核種(例えば、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho、または153Sm);色素原、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン(lanthanide phosphors))、酵素標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ);化学発光マーカー;ビオチニル基;二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ);及び磁気剤、例えば、ガドリニウムキレート。イムノアッセイのために通常用いられる標識の代表的な例には、発光部分、例えば、アクリジニウム化合物、及び蛍光を発生する部分、例えば、フルオレセインが含まれる。これに関して、その部分自体は、検出可能に標識されていなくてもよいが、また別の部分と反応すると検出可能になり得る。
【0138】
用語「コンジュゲート」は、治療用または細胞傷害性薬剤などの第2の化学部分に化学的に連結している抗体を指す。用語「薬剤」には、化学化合物、化学化合物の混合物、生物高分子、または生物物質から作製された抽出物が含まれる。一部の実施形態では、治療用または細胞傷害性薬剤には、これに限定されないが、百日咳毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン及びその類似体または同族体が含まれる。イムノアッセイの文脈で用いられる場合、コンジュゲート抗体は、検出抗体として使用される検出可能に標識された抗体であってよい。
【0139】
II.抗PD-1抗体
PD-1を指向する新規の抗体を提供する。抗PD-1抗体には、これに限定されないが、ヒト化抗体、キメラ抗体、マウス抗体、ヒト抗体、及び本明細書に論述の重鎖及び/または軽鎖CDRを含む抗体が含まれる。一部の実施形態では、PD-1に結合する単離抗体を提供する。一部の実施形態では、PD-1に結合するモノクローナル抗体を提供する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、アンタゴニスト抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体は、PD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体は、PD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体は、PD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与は、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。
【0140】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0141】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0142】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0143】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0144】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0145】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0146】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0147】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号285、237、245、253、261及び269から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号286、238、246、254、262、及び270から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号287、239、247、255、263、及び271から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号289、241、249、257、265、及び273から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号290、242、250、258、266、及び274から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号291、243、251、259、267、及び275から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0148】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号189、197、205、213、221、及び229から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号190、198、206、214、222、及び230から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号191、199、207、215、223、及び231から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号193、201、209、217、225、及び233から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号194、202、210、218、226、及び234から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号195、203、211、219、227、及び235から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0149】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号277、125、133、141、149、157、165、173、及び181から選択されるアミノ酸配列を含むHCR1;(b)配列番号278、126、134、142、150、158、166、174、及び182から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号279、127、135、143、151、159、167、175、及び183から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号281、129、137、145、153、161、169、177、及び185から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号282、130、138、146、154、162、170、178、及び286から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号283、131、139、147、155、163、171、179、及び187から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0150】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのCDRを含む。
【0151】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つの重鎖、ならびに軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む少なくとも1つの軽鎖を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、各重鎖が重鎖可変領域及び重鎖定常領域の少なくとも一部を含む2つの重鎖、ならびに各軽鎖が軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域の少なくとも一部を含む2つの軽鎖を含む。本明細書で使用する場合、一本鎖Fv(scFv)、または例えば、6つすべてのCDR(3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDR)を含む単一のポリペプチド鎖を含む任意の他の抗体は、重鎖及び軽鎖を有するとみなされる。一部の実施形態では、重鎖は、3つの重鎖CDRを含む抗PD-1抗体の領域である。一部の実施形態では、軽鎖は、3つの軽鎖CDRを含む抗PD-1抗体の領域である。
【0152】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0153】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0154】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0155】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0156】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0157】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0158】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0159】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号285、237、245、253、261及び269から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号286、238、246、254、262、及び270から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号287、239、247、255、263、及び271から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号289、241、249、257、265、及び273から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号290、242、250、258、266、及び274から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号291、243、251、259、267、及び275から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0160】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号189、197、205、213、221、及び229から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号190、198、206、214、222、及び230から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号191、199、207、215、223、及び231から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号193、201、209、217、225、及び233から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号194、202、210、218、226、及び234から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号195、203、211、219、227、及び235から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0161】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号277、125、133、141、149、157、165、173、及び181から選択されるアミノ酸配列を含むHCR1;(b)配列番号278、126、134、142、150、158、166、174、及び182から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号279、127、135、143、151、159、167、175、及び183から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号281、129、137、145、153、161、169、177、及び185から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号282、130、138、146、154、162、170、178、及び286から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号283、131、139、147、155、163、171、179、及び187から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0162】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、6つのCDRを含む。
【0163】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記のとおり6つのCDRを含み、かつPD-1に結合する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記のとおりの6つのCDRを含み、PD-1に結合し、かつPD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記のとおりの6つのCDRを含み、PD-1に結合し、かつPD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記のとおりの6つのCDRを含み、PD-1に結合し、かつPD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記のとおりの6つのCDRを含み、PD-1に結合し、かつ対象への抗体の投与後に、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。
【0164】
一部の実施形態では、PD-1への結合について本明細書に記載の抗PD-1抗体と競合する抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、結合について本明細書で提供する抗体のいずれかと競合する抗体を作製及び/または使用してもよい。
【0165】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0166】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0167】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0168】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0169】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0170】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号61のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号62のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び(c)配列番号63のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0171】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0172】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0173】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号285、237、245、253、261及び269から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号286、238、246、254、262、及び270から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号287、239、247、255、263、及び271から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0174】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号189、197、205、213、221、及び229から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号190、198、206、214、222、及び230から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号191、199、207、215、223、及び231から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0175】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号277、125、133、141、149、157、165、173、及び181から選択されるアミノ酸配列を含むHCR1;(b)配列番号278、126、134、142、150、158、166、174、及び182から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号279、127、135、143、151、159、167、175、及び183から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0176】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含む。
【0177】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0178】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0179】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0180】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0181】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0182】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0183】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0184】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号289、241、249、257、265、及び273から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号290、242、250、258、266、及び274から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号291、243、251、259、267、及び275から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0185】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号193、201、209、217、225、及び233から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号194、202、210、218、226、及び234から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号195、203、211、219、227、及び235から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0186】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号281、129、137、145、153、161、169、177、及び185から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号282、130、138、146、154、162、170、178、及び286から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号283、131、139、147、155、163、171、179、及び187から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0187】
一部の実施形態では、抗体は、(a)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含む。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書において提供する6つのCDRのいずれかをサブパートとして、本明細書において提供する他のCDRのいずれかと組み合わせて、構築物において合計6つのCDRにすることができる。したがって、一部の実施形態では、第1の抗体からの2つのCDR(例えば、HCDR1及びHCDR2)を、第2の抗体からの4つのCDR(HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)と組み合わせることができる。一部の実施形態では、CDRの1つまたは複数における2個以下の残基を置き換えて、そのバリアントを得ることができる。一部の実施形態では、2個以下の残基を、CDRの1、2、3、4、5、または6つにおいて置き換えることができる。
【0189】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0190】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0191】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0192】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0193】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0194】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0195】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0196】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号285、237、245、253、261及び269から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号286、238、246、254、262、及び270から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号287、239、247、255、263、及び271から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号289、241、249、257、265、及び273から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号290、242、250、258、266、及び274から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号291、243、251、259、267、及び275から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0197】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号189、197、205、213、221、及び229から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号190、198、206、214、222、及び230から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号191、199、207、215、223、及び231から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号193、201、209、217、225、及び233から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号194、202、210、218、226、及び234から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号195、203、211、219、227、及び235から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0198】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号277、125、133、141、149、157、165、173、及び181から選択されるアミノ酸配列を含むHCR1;(b)配列番号278、126、134、142、150、158、166、174、及び182から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号279、127、135、143、151、159、167、175、及び183から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号281、129、137、145、153、161、169、177、及び185から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号282、130、138、146、154、162、170、178、及び286から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号283、131、139、147、155、163、171、179、及び187から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0199】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(I)(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVH CDR配列を含むVHドメイン;ならびに(II)(d)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてのVL CDR配列を含むVLドメインを含む。
【0200】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するVH配列は、基準配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗PD-1抗体は、PD-1に結合する能力を維持している。一部の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316において置換、挿入及び/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDR外の領域で(すなわち、FRで)生じている。任意選択で、抗PD-1抗体は、VH配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316で含む。
【0201】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0202】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0203】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0204】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0205】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0206】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0207】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0208】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号285、237、245、253、261及び269から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号286、238、246、254、262、及び270から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号287、239、247、255、263、及び271から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0209】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号189、197、205、213、221、及び229から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号190、198、206、214、222、及び230から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号191、199、207、215、223、及び231から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0210】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号277、125、133、141、149、157、165、173、及び181から選択されるアミノ酸配列を含むHCR1;(b)配列番号278、126、134、142、150、158、166、174、及び182から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号279、127、135、143、151、159、167、175、及び183から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0211】
一部の実施形態では、VHは、(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3を含む。
【0212】
一部の実施形態では、配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するVL配列は、基準配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗PD-1抗体は、PD-1に結合する能力を維持している。一部の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320において置換、挿入及び/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDR外の領域で(すなわち、FRで)生じている。任意選択で、抗PD-1抗体は、VL配列を、その配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320で含む。
【0213】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0214】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0215】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0216】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0217】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(c)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0218】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0219】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0220】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号289、241、249、257、265、及び273から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号290、242、250、258、266、及び274から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号291、243、251、259、267、及び275から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0221】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号193、201、209、217、225、及び233から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号194、202、210、218、226、及び234から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号195、203、211、219、227、及び235から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0222】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号281、129、137、145、153、161、169、177、及び185から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号282、130、138、146、154、162、170、178、及び286から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号283、131、139、147、155、163、171、179、及び187から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0223】
一部の実施形態では、VLは、(a)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(b)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(c)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0224】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(VH)配列、及び配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。一部の実施形態では、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するVH配列は、基準配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し、かつ少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一性を有するVL配列は、基準配列に対して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、その配列を含む抗PD-1抗体は、PD-1に結合する能力を維持している。一部の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316において置換、挿入及び/または欠失されている。一部の実施形態では、合計1~10個のアミノ酸が、配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320において置換、挿入及び/または欠失されている。一部の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、CDR外の領域で(すなわち、FRで)生じている。任意選択で、抗PD-1抗体は、一方または両方の配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316のVH配列、及び配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320のVL配列を含む。
【0225】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0226】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号13のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号14のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号15のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号17のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号18のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0227】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号26のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号27のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0228】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号33のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号34のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号35のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0229】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号37のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号38のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号41のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0230】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号45、53、61、69、77、85、93、101、109及び117から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号46、54、62、70、78、86、94、102、110及び118から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号47、55、63、71、79、87、95、103、111、及び119から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号49、57、65、73、81、89、97、105、113、及び121から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号50、58、66、74、82、90、98、106、114、及び122から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号51、59、67、75、83、91、99、107、115、及び123から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0231】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号125、133、141、149、157、165、173、181、189、197、205、213、221、229、237、245、253、261、269、277及び285から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号126、134、142、150、158、166、174、182、190、198、206、214、222、230、238、246、254、262、270、278及び286から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号127、135、143、151、159、167、175、183、191、199、207、215、223、231、239、247、255、263、271、279及び287から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号129、137、145、153、161、169、177、185、193、201、209、217、225、233、241、249、257、265、273、281及び289から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号130、138、146、154、162、170、178、186、194、202、210、218、226、234、242、250、258、266、274、282、及び290から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283及び291から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0232】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号285、237、245、253、261及び269から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号286、238、246、254、262、及び270から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号287、239、247、255、263、及び271から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号289、241、249、257、265、及び273から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号290、242、250、258、266、及び274から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号291、243、251、259、267、及び275から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0233】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号189、197、205、213、221、及び229から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号190、198、206、214、222、及び230から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号191、199、207、215、223、及び231から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号193、201、209、217、225、及び233から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号194、202、210、218、226、及び234から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号195、203、211、219、227、及び235から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0234】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号277、125、133、141、149、157、165、173、及び181から選択されるアミノ酸配列を含むHCR1;(b)配列番号278、126、134、142、150、158、166、174、及び182から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号279、127、135、143、151、159、167、175、及び183から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号281、129、137、145、153、161、169、177、及び185から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号282、130、138、146、154、162、170、178、及び286から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号283、131、139、147、155、163、171、179、及び187から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0235】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、(a)配列番号293、301、309及び317から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号294、302、310及び318から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号295、303、311及び319から選択されるアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号297、305、313、及び321から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号298、306、314及び322から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR2;ならびに(f)配列番号299、307、315、及び323から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3を含む。
【0236】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、本明細書で提供している実施形態のいずれかにおいてと同様のVH、及び本明細書で提供している実施形態のいずれかにおいてと同様のVLを含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号4及び配列番8のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号12及び配列番16のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号20及び配列番24のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号28及び配列番32のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号36及び配列番40のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号44及び配列番48のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号52及び配列番56のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号60及び配列番64のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号68及び配列番72のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号76及び配列番80のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号84及び配列番88のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号92及び配列番96のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号100及び配列番104のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号108及び配列番112のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号116及び配列番120のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号124及び配列番128のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号132及び配列番136のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号140及び配列番号144のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号148及び配列番号152のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号156及び配列番160のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号164及び配列番168のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号172及び配列番176のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号180及び配列番184のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号188及び配列番192のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号196及び配列番200のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号204及び配列番208のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号212及び配列番216のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号220及び配列番224のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号228及び配列番232のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号236及び配列番240のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号244及び配列番248のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号252及び配列番256のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号260及び配列番264のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号268及び配列番272のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号276及び配列番280のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号284及び配列番288のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号292及び配列番296のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号300及び配列番304のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号308及び配列番312のVH及びVL配列を含む。一部の実施形態では、抗体は、それぞれそれらの配列の翻訳後修飾を含めて、配列番号316及び配列番320のVH及びVL配列を含む。
【0237】
一部の実施形態では、PD-1への結合について本明細書で提供する抗PD-1抗体と競合する抗体を提供する。一部の実施形態では、抗体は、PD-1上のエピトープへの結合について本明細書で提供する抗PD-1抗体と競合する。
【0238】
一部の実施形態では、競合アッセイを使用して、PD-1への結合について本明細書に記載の抗PD-1抗体(12228、13406、13407、13408、及び13409など)と競合するモノクローナル抗体を特定してよい。競合アッセイを使用して、2種の抗体が同一または立体的に重複するエピトープを認識することによって同じエピトープに結合するかどうか、または一方の抗体が、抗原への他方の抗体の結合を競合的に阻害するかどうかを決定することができる。一部の実施形態では、そのような競合抗体は、本明細書に記載の抗体が結合する同じエピトープに結合する。例示的な競合アッセイには、これに限定されないが、ルーチン的なアッセイ、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.)に提示されているものが含まれる。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的な方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols”、Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,N.J.)に提示されている。一部の実施形態では、それぞれが、他方の結合を50%以上遮断する場合に、2種の抗体は、同じエピトープに結合すると述べられる。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD-1抗体と競合する抗体は、キメラ、ヒト化またはヒト抗体である。一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラ、ヒト化、またはヒト抗PD-1抗体と競合する抗体を提供する。
【0239】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体が結合するエピトープのいずれか1つまたは複数に結合する抗体を提供する。一部の実施形態では、本抗体が結合するエピトープに結合する、及びそれと重複する抗体を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体のうちの少なくとも1種と競合する抗体を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体のうちの少なくとも2種と競合する抗体を提供する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体の少なくとも3種と競合する抗体を提供する。一部の実施形態では、抗体は、本明細書の実施例に記載の抗体と重複するエピトープに結合する。一部の実施形態では、全エピトープが、競合抗体によって結合される、及び/または遮断される。一部の実施形態では、エピトープの一部が、競合抗体によって結合される、及び/または遮断される。一部の実施形態では、競合抗体のパラトープは、本明細書で提供する抗体のエピトープの少なくとも一部に結合する。一部の実施形態では、競合抗体のパラトープは、標的に結合し、かつ競合抗体の構造の異なるセクションは、本明細書で提供する抗体のエピトープの少なくとも一部を遮断する。
【0240】
例示的なキメラ抗体
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体は、キメラ抗体である。ある種のキメラ抗体が、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al.,(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851-6855(1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる一例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のものから変化している「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片も含まれる。
【0241】
非限定的な例示的なキメラ抗体には、例えば、本明細書に開示のとおりの抗体11606;抗体11613;抗体11645;抗体12191;抗体12195;抗体12220;抗体12228;抗体12535;抗体12536;抗体12541;抗体12543;抗体12544;抗体12545;抗体12549;抗体12550;抗体12553;抗体12554;抗体12562;抗体12563;抗体12564;抗体12565;抗体12571;抗体12572;抗体12576;抗体12583;抗体12584;抗体13396;抗体13398;抗体13399;抗体13401;抗体13402;抗体13403;抗体13404;抗体13405;抗体13406;抗体13407;抗体13408;抗体13409;抗体11624;及び抗体12190から選択される抗体の重鎖及び/または軽鎖可変領域を含むキメラ抗体が含まれる。追加の非限定的な例示的なキメラ抗体には、本明細書に開示のとおりの抗体11606;抗体11613;抗体11645;抗体12191;抗体12195;抗体12220;抗体12228;抗体12535;抗体12536;抗体12541;抗体12543;抗体12544;抗体12545;抗体12549;抗体12550;抗体12553;抗体12554;抗体12562;抗体12563;抗体12564;抗体12565;抗体12571;抗体12572;抗体12576;抗体12583;抗体12584;抗体13396;抗体13398;抗体13399;抗体13401;抗体13402;抗体13403;抗体13404;抗体13405;抗体13406;抗体13407;抗体13408;抗体13409;抗体11624;及び抗体12190から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、及び/または軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含むキメラ抗体が含まれる。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、上記の可変領域を含み、かつPD-1に結合する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、上記の可変領域を含み、PD-1に結合し、かつPD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記の可変領域を含み、PD-1に結合し、かつPD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記の可変領域を含み、PD-1に結合し、かつPD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、上記の可変領域を含み、PD-1に結合し、かつ対象への抗体の投与後に、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD-1抗体の投与は、対象において、免疫細胞の活性を刺激する、免疫細胞の下方調節を減少させる、またはT細胞応答を増加させる。
【0242】
一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316から選択される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である可変領域配列を含む重鎖を含み、この抗体は、PD-1に結合する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320から選択される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である可変領域配列を含む軽鎖を含み、この抗体は、PD-1に結合する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、配列番号4、12、20、28、36、44、52、60、68、76、84、92、100、108、116、124、132、140、148、156、164、172、180、188、196、204、212、220、228、236、244、252、260、268、276、284、292、300、308、または316から選択される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である可変領域配列を含む重鎖;及び配列番号8、16、24、32、40、48、56、64、72、80、88、96、104、112、120、128、136、144、152、160、168、176、184、192、200、208、216、224、232、240、248、256、264、272、280、288、296、304、312または320から選択される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である可変領域配列を含む軽鎖を含み、この抗体はPD-1に結合する。
【0243】
例示的なキメラ抗PD-1抗体はまた、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体またはその断片と競合するキメラ抗体を含む。したがって、一部の実施形態では、PD-1への結合について、抗体11606;抗体11613;抗体11645;抗体12191;抗体12195;抗体12220;抗体12228;抗体12535;抗体12536;抗体12541;抗体12543;抗体12544;抗体12545;抗体12549;抗体12550;抗体12553;抗体12554;抗体12562;抗体12563;抗体12564;抗体12565;抗体12571;抗体12572;抗体12576;抗体12583;抗体12584;抗体13396;抗体13398;抗体13399;抗体13401;抗体13402;抗体13403;抗体13404;抗体13405;抗体13406;抗体13407;抗体13408;抗体13409;抗体11624;及び抗体12190から選択される抗体、またはその断片と競合するキメラ抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、キメラ抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつ対象への抗体の投与後に、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。
【0244】
一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラ抗体は、1つまたは複数のヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG、及びIgDから選択されるアイソタイプのものである。一部の実施形態では、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプのものである。一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のキメラ抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0245】
上述のとおり、エフェクター機能が望ましいか望ましくないかは、抗体で意図されている特定の処置方法に依存し得る。したがって、一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましい場合には、ヒトIgG1重鎖定常領域またはヒトIgG3重鎖定常領域を含むキメラ抗PD-1抗体が選択される。一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましくない場合には、ヒトIgG4またはIgG2重鎖定常領域を含むキメラ抗PD-1抗体が選択される。
【0246】
例示的なヒト化抗体
一部の実施形態では、PD-1に結合するヒト化抗体を提供する。ヒト化抗体は、非ヒト抗体と比較した場合に、抗体治療薬に対する免疫応答(ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答など)、及び治療薬の有効性の低下をもたらし得るヒト免疫応答を減少させる、または除去するので、ヒト化抗体は、治療用分子として有用である。
【0247】
一部の実施形態では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低下させるようにヒト化されているが、親非ヒト抗体の特異性及び親和性を維持している。一般に、ヒト化抗体は、CDR(またはその一部)が非ヒト抗体に由来し、かつFR(またはその一部)がヒト抗体配列に由来する1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は任意選択で、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態では、例えば、抗体特異性または親和性を回復または改善するために、ヒト化抗体中の一部のFR残基は、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基と置き換えられている。
【0248】
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro and Fransson,(2008)Front.Biosci.13:1619-1633に概説されており、さらに例えば、Riechmann et al.,(1988)Nature 332:323-329;Queen et al.,(1989)Proc.Natl Acad.Sci.USA 86:10029-10033;米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,(2005)Methods 36:25-34;Padlan,(1991)Mol.Immunol.28:489-498(describing “resurfacing”);Dall’Acqua et al.,(2005)Methods 36:43-60(describing “FR shuffling”);ならびにOsbourn et al.,(2005)Methods 36:61-68及びKlimka et al.,(2000)Br.J.Cancer,83:252-260(FRシャッフリングに対する「ガイド付き選択」手法を記載)に記載されている。
【0249】
ヒト化のために使用することができるヒトフレームワーク領域には、これに限定されないが、「最良適合」方法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.(1993)J.Immunol.151:2296を参照されたい);軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285;及びPresta et al.(1993)J.Immunol,151:2623を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,(2008)Front.Biosci.13:1619-1633を参照されたい);ならびにスクリーニングFRライブラリーに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,(1997)J.Biol.Chem.272:10678-10684及びRosok et al.,(1996)J.Biol.Chem.271:22611-22618を参照されたい)が含まれる。
【0250】
例示的なヒト化抗PD-1抗体には、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体またはその断片と競合する抗体が含まれる。したがって、一部の実施形態では、PD-1への結合について、抗体11606;抗体11613;抗体11645;抗体12191;抗体12195;抗体12220;抗体12228;抗体12535;抗体12536;抗体12541;抗体12543;抗体12544;抗体12545;抗体12549;抗体12550;抗体12553;抗体12554;抗体12562;抗体12563;抗体12564;抗体12565;抗体12571;抗体12572;抗体12576;抗体12583;抗体12584;抗体13396;抗体13398;抗体13399;抗体13401;抗体13402;抗体13403;抗体13404;抗体13405;抗体13406;抗体13407;抗体13408;抗体13409;抗体11624;及び抗体12190から選択される抗体またはその断片と競合するヒト化抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、ヒト化抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト化抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト化抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト化抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつ対象への抗体の投与後に、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。
【0251】
例示的なヒト抗体
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で知られている様々な技術を使用して生成され得る。ヒト抗体は概して、van Dijk and van de Winkel,(2001)Curr.Opin.Pharmacol.5:368-374及びLonberg,(2008)Curr.Opin.Immunol.20:450-459に記載されている。一部の実施形態では、ヒト抗体は、天然に存在する抗体ではない。一部の実施形態では、ヒト抗体は、モノクローナル抗体であり;したがって、一部の実施形態では、セット内のヒト抗体のそれぞれは、抗原上の同じエピトープに結合し得る。
【0252】
ヒト抗体は、免疫原を、抗原攻撃に応じてインタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を備えたインタクトな抗体を産生するように修飾されているトランスジェニック動物に投与することによって調製され得る。そのような動物は典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に置き換わっている、または染色体外に存在するか、もしくは動物の染色体に無作為に統合されているヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得る方法の概説については、Lonberg、(2005)Nat.Biotech.23:1117-1125を参照されたい。例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載している米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HUMAB(登録商標)技術を記載している米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許第7,041,870号、ならびにVELOCIMOUSE(登録商標)技術を記載している米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい)。そのような動物によって生成されたインタクトな抗体からのヒト可変領域を、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、さらに修飾してもよい。
【0253】
ヒト抗体を、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を生成するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞系が記載されている(例えば、Kozbor(1984)J.Immunol,133:3001;Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al,(1991)J.Immunol.,147:86を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体も、Li et al.,(2006)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562に記載されている。追加の方法には、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞系からのモノクローナルヒトIgM抗体の生成を記載)及びNi,(2006)Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載)に記載されている方法も含まれる。ヒトハイブリドーマ技術(Trioma技術)も、Vollmers and Brandlein,(2005)Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,(2005)Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-191に記載されている。
【0254】
ヒト抗体を、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによって生成することもできる。次いで、そのような可変ドメイン配列を、所望のヒト定常ドメインと組み合わせてよい。抗体ライブラリーからヒト抗体を選択するための技術は下に記載する。
【0255】
抗体は、1つまたは複数の所望の活性を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリーを生成し、かつ所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリーをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al.においてMethods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説されており、さらに例えば、McCafferty et al,(1990)Nature 348:552-554;Clackson et al,(1991)Nature 352:624-628;Marks et al,(1992)J.Mol.Biol 222:581-597;Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al,(2004)J.Mol.Biol.338(2):299-310;Lee et al.,(2004)J.Mol.Biol.340(5):1073-1093;Fellouse,(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472;及びLee et al,(2004)J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132及びPCT公開WO99/10494に記載されている。
【0256】
ある種のファージディスプレイ法では、Winter et al.,(1994)Ann.Rev.Immunol.,12:433-455において記載されているように、V及びV遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングされ、ファージライブラリーにおいて無作為に再び組み合わされ、次いで、そのファージライブラリーが、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは典型的には、抗体断片を、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとしてディスプレイする。免疫化源からのライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とせずに、免疫原に対する高親和性抗体を供給する。別法では、Griffiths et al.、(1993)EMBO J 12:725-734によって記載されているように、ナイーブなレパートリーをクローニング(例えば、ヒトから)して、いかなる免疫化もなく、広範な非自己及び自己抗原に対する抗体の単一の供給源を得ることができる。最終的に、Hoogenboom and Winter(1992),J.Mol.Biol,227:381-388に記載されているように、幹細胞から非再編成V遺伝子セグメントをクローニングし、かつランダム配列を含むPCRプライマーを使用して高可変CDR3領域をコードし、かつin vitroでの再編成を達成することによって、ナイーブライブラリーを合成で作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリを記載している特許公報には、例えば:米国特許第5,750,373号、及び米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が含まれる。
【0257】
一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、配列番号1、2、3、382、383、または384の配列を有するポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1に結合し、かつPD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1に結合し、かつPD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1に結合し、かつPD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1に結合し、かつ対象への抗体の投与後に、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。
【0258】
例示的なヒト抗PD-1抗体にはまた、PD-1への結合について本明細書に記載のヒト抗体またはその断片と競合する抗体も含まれる。したがって、一部の実施形態では、PD-1への結合について、抗体11606;抗体11613;抗体11645;抗体12191;抗体12195;抗体12220;抗体12228;抗体12535;抗体12536;抗体12541;抗体12543;抗体12544;抗体12545;抗体12549;抗体12550;抗体12553;抗体12554;抗体12562;抗体12563;抗体12564;抗体12565;抗体12571;抗体12572;抗体12576;抗体12583;抗体12584;抗体13396;抗体13398;抗体13399;抗体13401;抗体13402;抗体13403;抗体13404;抗体13405;抗体13406;抗体13407;抗体13408;抗体13409;抗体11624;及び抗体12190から選択される抗体またはその断片と競合するヒト抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1及び/またはPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつPD-L1及びPD-L2へのPD-1の結合を阻害する。一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、PD-1への結合について本明細書に記載の抗体と競合し、かつ対象への抗体の投与後に、対象において免疫応答を増強する、及び/または対象においてT細胞の活性化を増進する。
【0259】
一部の実施形態では、PD-1に結合するヒト抗体からの可変領域及び異なるヒト抗体からの定常領域を含むキメラヒト抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、PD-1に結合するヒト抗体からのCDR及び異なるヒト抗体からのフレームワークを含むキメラヒト抗PD-1抗体を提供する。一部の実施形態では、抗体は、天然に存在するヒト抗体ではない。
【0260】
一部の実施形態では、ヒト抗PD-1抗体は、1つまたは複数のヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG、及びIgDから選択されるアイソタイプのものである。一部の実施形態では、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプのものである。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載のヒト抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0261】
一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましい場合、ヒトIgG1重鎖定常領域またはヒトIgG3重鎖定常領域を含むヒト抗PD-1抗体が選択される。一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましくない場合、ヒトIgG4またはIgG2重鎖定常領域を含むヒト抗PD-1抗体が選択される。
【0262】
本明細書に述べるとおり、用語「ヒト抗体」は、抗体の供給源ではなく、抗体コンストラクトのための可能な配列の種類を示している。
【0263】
例示的な抗体定常領域
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、1つまたは複数のヒト定常領域を含む。一部の実施形態では、ヒト重鎖定常領域は、IgA、IgG、及びIgDから選択されるアイソタイプのものである。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG定常領域を含む。一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましい場合、ヒトIgG1重鎖定常領域またはヒトIgG3重鎖定常領域を含む抗PD-1抗体が選択される。一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましくない場合、ヒトIgG4またはIgG2重鎖定常領域を含む抗PD-1抗体が選択される。一部の実施形態では、ヒト軽鎖定常領域は、κ及びλから選択されるアイソタイプのものである。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4重鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ヒトIgG4定常領域及びヒトκ軽鎖を含む。
【0264】
本明細書及び請求項を通じて、明示されていない限り、または当業者に既知でない限り、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、参照によって本明細書に明らかに援用されるKabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)におけるとおりのEU indexのものである。「KabatにおけるとおりのEU index」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
【0265】
上述のように、エフェクター機能が望ましいか望ましくないかは、抗体で意図されている特定の処置方法に依存し得る。したがって、一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましい場合には、ヒトIgG1重鎖定常領域またはヒトIgG3重鎖定常領域を含む抗PD-1抗体が選択される。一部の実施形態では、エフェクター機能が望ましくない場合には、ヒトIgG4またはIgG2重鎖定常領域を含む抗PD-1抗体が選択される。
【0266】
一部の実施形態では、バリアントFc領域を含む抗体は、野生型IgGまたは野生型抗体のFc領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、野生型抗体のFc領域に2つ以上のアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、野生型抗体のFc領域に3つ以上のアミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、バリアントFc領域は、本明細書に記載の少なくとも1つ、2つまたは3つ以上のFc領域アミノ酸置換を有する。一部の実施形態では、本明細書におけるバリアントFc領域は、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%相同性を有する。一部の実施形態では、本明細書におけるバリアントFc領域は、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約90%相同性を有する。一部の実施形態では、本明細書におけるバリアントFc領域は、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約95%相同性を有する。一部の実施形態では、重鎖定常領域は、C末端リシン(K)残基を欠損している。一部のそのような実施形態では、重鎖または重鎖定常領域は、「desK」と称されることがある。一部の実施形態では、C末端リシンを欠損している重鎖定常領域は、IgG、例えばIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である。
【0267】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗体を、抗体がグリコシル化される程度が上昇または低下するように改変させる。抗体に対するグリコシル化部位の付加または欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を改変させることによって好都合に達成され得る。
【0268】
抗体がFc領域を含む場合、それに結合している炭水化物を改変させてもよい。哺乳類細胞によって産生される天然の抗体は典型的には、一般にN連結によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に結合している分枝した二分枝オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、さらには二分枝オリゴ糖構造の「幹」内のGlcNAcに結合しているフコースが含まれ得る。一部の実施形態では、抗体中のオリゴ糖の修飾を、ある種の特性が改善されている抗体バリアントを作製するために作製してもよい。
【0269】
一部の実施形態では、Fc領域に(直接的または間接的に)結合しているフコースを欠損している炭水化物構造を有する抗体バリアントを提供する。例えば、そのような抗体におけるフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%または20%~40%であってよい。フコースの量は、例えばWO2008/077546に記載されているように、MALDI-TOF質量分析法によって測定されるようなAsn297に結合しているすべての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造)の合計に対して、Asn297の糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域のおよそ297位(Fc領域残基のEU番号付け)に位置するアスパラギン残基を指すが;しかしながら抗体におけるわずかな配列の変化によって、Asn297は、297位から約±3アミノ酸上流または下流に、すなわち、294位と300位との間に位置してもよい。そのようなフコシル化バリアントは、ADCC機能の改善を有し得る。例えば、米国特許出願公開第US2003/0157108(Presta,L.);US2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠失」抗体バリアントに関する刊行物の例には、US2003/0157108号;WO2000/61739;WO2001/29246;US2003/0115614号;US2002/0164328号;US2004/0093621号;US2004/0132140号;US2004/0110704号;US2004/0110282号;US2004/0109865号;WO2003/085119;WO2003/084570;WO2005/035586;WO2005/035778;WO2005/053742;WO2002/031140;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が含まれる。脱フコシル化抗体を産生し得る細胞系の例には、タンパク質フコシル化を欠失しているLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108A1号、Presta,L;及びWO2004/056312A1、Adams et al.、特に実施例11において)、及びノックアウト細胞系、例えばアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及びWO2003/085107を参照されたい)が含まれる。
【0270】
例えば、抗体のFc領域に結合している二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、二分オリゴ糖を備えた抗体バリアントをさらに提供する。そのような抗体バリアントは、フコシル化の減少及び/またはADCC機能の改善を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、WO2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);及びUS2005/0123546号(Umana et al.)に記載されている。Fc領域に結合しているオリゴ糖に少なくとも1個のガラクトース残基を有する抗体バリアントも提供する。そのような抗体バリアントは、CDC機能の改善を有し得る。そのような抗体バリアントは、例えば、WO1997/30087(Patel et al.);WO1998/58964(Raju,S.);及びWO1999/22764(Raju,S.)に記載されている。
【0271】
アミノ末端リーダー伸長を有する抗体バリアントも提供する。例えば、アミノ末端リーダー配列の1個または複数のアミノ酸残基は、抗体のいずれか1つまたは複数の重鎖または軽鎖のアミノ末端に存在する。例示的なアミノ末端リーダー伸長は、3つのアミノ酸残基、VHSを含むか、またはそれからなり、抗体バリアントの一方または両方の軽鎖上に存在する。
【0272】
ヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドのin vivoまたは血清半減期を、例えば、トランスジェニックマウス、ヒト、または非ヒト霊長類においてアッセイすることができ、それに、バリアントFc領域を有するポリペプチドを投与する。例えば、Petkova et al.International Immunology 18(12):1759-1769(2006)も参照されたい。
【0273】
一部の実施形態では、抗体バリアントは、親抗体よりも効果的に、ヒトエフェクター細胞の存在下でADCCを媒介する。一部の実施形態では、アッセイで使用されるポリペプチドバリアント及び親抗体の量が本質的に同じ場合に、抗体バリアントは、in vitroにおけるADCCの媒介について、かなりより効果的である。一部の実施形態では、アッセイで使用されるポリペプチドバリアント及び親抗体の量が本質的に同じ場合に、抗体バリアントは、in vivoにおけるADCCの媒介について、かなりより効果的である。一般に、そのようなバリアントは、本明細書に開示しているとおりのin vitro ADCCアッセイを使用して特定されるが、例えば、動物モデルでADCC活性を決定するための他のアッセイまたは方法なども企図される。
【0274】
例示的な抗体コンジュゲート
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、別の分子にコンジュゲートしている。一部の実施形態では、追加の分子は、標識などの検出可能なマーカーであってよい。一部の実施形態では、追加の分子は、細胞傷害性薬物などの治療用分子であってよい。一部の実施形態では、標識及び/または細胞傷害性薬物は、抗体にコンジュゲートしていてよい。本明細書で使用する場合、標識は、抗体の検出を容易にする、及び/または抗体が結合する分子の検出を容易にする部分である。非限定的な例示的な標識には、これに限定されないが、放射性同位体、蛍光基、酵素基、化学発光基、ビオチン、エピトープタグ、金属結合タグなどが含まれる。当業者であれば、具体的な用途に従って、好適な標識を選択することができる。
【0275】
本明細書で使用する場合、細胞傷害性薬物は、1種または複数の細胞の増殖能を減少させる部分である。例えば、細胞がアポトーシス受けるか、または別段に死滅する、細胞が細胞周期を進むことができない、及び/または分裂することができない、細胞が分化することができない、などによって、細胞が増殖することができなくなると、細胞は、増殖能が減少する。非限定的な例示的な細胞傷害性薬物には、これに限定されないが、放射性同位体、毒素、及び化学療法薬が含まれる。当業者であれば、意図されている用途に従って、好適な細胞傷害性薬物を選択することができる。一部の実施形態では、細胞傷害性薬物は、代謝拮抗薬、アルキル化薬、抗生物質、成長因子、サイトカイン、抗血管新生薬、抗有糸分裂薬、アンスラサイクリン、毒素、またはアポトーシス薬のうちの少なくとも1種である。
【0276】
一部の実施形態では、標識及び/または細胞傷害性薬物は、in vitroで化学的方法を使用して抗体にコンジュゲートされている。非限定的な例示的なコンジュゲーションの化学的方法は、当技術分野で知られており、それらには、例えば、Thermo Scientific Life Science Research Produces(旧Pierce;Rockford、Ill.)、Prozyme(Hayward、Calif.)、SACRI Antibody Services(Calgary、Canada)、AbD Serotec(Raleigh、N.C.)などから市販されているサービス、方法及び/または試薬が含まれる。一部の実施形態では、標識及び/または細胞傷害性薬物がポリペプチドである場合、その標識及び/または細胞傷害性薬物を、同じ発現ベクターから、少なくとも1つの抗体鎖と共に発現させて、抗体鎖に融合している標識及び/または細胞傷害性薬物を含むポリペプチドを生成することができる。当業者であれば、意図されている用途に従って、標識及び/または細胞傷害性薬物を抗体にコンジュゲートするための好適な方法を選択することができる。
【0277】
一部の実施形態では、コンジュゲーションは、共有結合であってよい。一部の実施形態では、コンジュゲーションは、非共有結合であってよい。一部の実施形態では、コンジュゲーションは、特異的な結合相互作用を介する、例えば、二次抗体の結合を通じてであってよい。
【0278】
例示的なリーダー配列
一部の分泌タンパク質を大量に発現及び分泌させるために、異種タンパク質からのリーダー配列が望ましいことがある。一部の実施形態では、リーダー配列は分泌プロセスの間にERで除去されるので、得られる成熟ポリペプチドは変わらないままであり得るということにおいて、異種リーダー配列を用いることは有利であり得る。異種リーダー配列の付加は、一部のタンパク質を発現及び分泌させるために有用であり得る。
【0279】
ある種の例示的なリーダー配列が、例えば、Department of Biochemistry,National University of Singaporeによって維持されているオンラインのリーダー配列データベースに記載されている。Choo et al.、BMC Bioinformatics,6:249(2005);及びPCT公報WO2006/081430を参照されたい。
【0280】
III.抗体発現及び生成
抗PD-1抗体をコードする核酸分子
抗PD-1抗体の1つまたは複数の鎖をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子を本明細書において提供する。一部の実施形態では、核酸分子は、抗PD-1抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、核酸分子は、抗PD-1抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチド及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドの両方を含む。一部の実施形態では、第1の核酸分子は、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチドを含み、第2の核酸分子は、軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチドを含む。
【0281】
一部の実施形態では、重鎖及び軽鎖は、1つの核酸分子から、または2つの別々の核酸分子から2つの別々のポリペプチドとして発現される。一部の実施形態では、抗体がscFvである場合など、単一のポリヌクレオチドが、一緒に連結した重鎖及び軽鎖の両方を含む単一のポリペプチドをコードする。
【0282】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、本明細書において提供しているCDRの少なくとも1つをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、本明細書において提供しているCDRのうちの少なくとも3つをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、本明細書において提供しているCDRのうちの少なくとも6つをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の重鎖または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、翻訳された場合に重鎖または軽鎖のN末端に位置するリーダー配列をコードするヌクレオチド配列を含む。上で論述したとおり、リーダー配列は、天然重鎖または軽鎖リーダー配列であってもよいし、または別の異種リーダー配列であってもよい。
【0283】
一部の実施形態では、核酸は、本明細書における配列表中の抗体のアミノ酸配列のいずれかをコードするものである。一部の実施形態では、核酸は、本明細書における配列表中の抗体のアミノ酸配列のいずれかをコードする核酸に対して少なくとも80%同一である、例えば、少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるものである。一部の実施形態では、核酸は、本明細書において提供している核酸配列のいずれか1つまたは複数にハイブリダイズするものである。実施形態の一部では、ハイブリダイゼーションは、穏やかな条件下においてである。一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、高度にストリンジェントな条件下、例えば、65℃で少なくとも約6倍SSC及び1%SDSで、10分間にわたって約42℃で0.1倍SSC中約20%(v/v)ホルムアミドを用いる第1の洗浄、及び65℃で0.2倍SSC及び0.1%SDSを用いる後続の洗浄を伴う条件下においてである。
【0284】
核酸分子は、当技術分野で慣用の組換えDNA技術を使用して構築することができる。一部の実施形態では、核酸分子は、選択された宿主細胞において発現させるために好適な発現ベクターである。
【0285】
抗PD-1重鎖及び/または抗PD-1軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。抗PD-1重鎖及び/または抗PD-1軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクターも提供する。そのようなベクターには、これに限定されないが、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが含まれる。一部の実施形態では、ベクターは、重鎖をコードする第1のポリヌクレオチド配列及び軽鎖をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、重鎖及び軽鎖は、ベクターから、2つの別々のポリペプチドとして発現される。一部の実施形態では、例えば、抗体がscFvである場合など、重鎖及び軽鎖は、単一のポリペプチドの一部として発現される。
【0286】
一部の実施形態では、第1のベクターは、重鎖をコードするポリヌクレオチドを含み、第2のベクターは、軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、第1のベクター及び第2のベクターを、同様の量(同様のモル量または同様の質量など)で宿主細胞にトランスフェクションする。一部の実施形態では、第1のベクター及び第2のベクターを5:1から1:5の間のモルまたは質量比で、宿主細胞にトランスフェクションする。一部の実施形態では、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターで1:1から1:5の間の質量比を使用する。一部の実施形態では、重鎖をコードするベクター及び軽鎖をコードするベクターで1:2の質量比を使用する。
【0287】
一部の実施形態では、CHOもしくはCHO由来細胞において、またはNSO細胞においてポリペプチドを発現させるために最適化されたベクターを選択する。例示的なそのようなベクターは、例えば、Running Deer et al.,Biotechnol.Prog.20:880-889(2004)に記載されている。
【0288】
宿主細胞
一部の実施形態では、抗PD-1抗体重鎖及び/または抗PD-1抗体軽鎖を、原核細胞、例えば細菌細胞;または真核細胞、例えば真菌細胞(酵母など)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞で発現させてよい。そのような発現を、例えば、当技術分野で知られている手順に従って実施してよい。ポリペプチドを発現させるために使用してよい例示的な真核細胞には、これに限定されないが、COS7細胞を含むCOS細胞;293-6E細胞を含む293細胞;CHO-S、DG44.Lec13 CHO細胞、及びFUT8 CHO細胞を含むCHO細胞;PER.C6(登録商標)細胞(Crucell);ならびにNSO細胞が含まれる。一部の実施形態では、抗PD-1抗体重鎖及び/または抗PD-1抗体軽鎖を、酵母で発現させてもよい。例えば、米国特許出願公開第2006/0270045A1号を参照されたい。一部の実施形態では、特定の真核宿主細胞を、抗PD-1抗体重鎖及び/または抗PD-1抗体軽鎖に対して所望の翻訳後修飾を行うその能力に基づき選択する。例えば、一部の実施形態では、CHO細胞は、293細胞において産生された同じポリペプチドよりも高いレベルのシアリル化を有するポリペプチドを産生する。
【0289】
所望の宿主細胞への1つまたは複数の核酸の導入は、これに限定されないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、陽イオン性脂質-媒介トランスフェクション、電気穿孔法、トランスダクション、感染などを含む任意の方法によって達成され得る。非限定的な例示的な方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning、A Laboratory Manual、3rd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に記載されている。核酸は、任意の好適な方法に従って、所望の宿主細胞に一過性に、または安定的にトランスフェクションされてよい。
【0290】
本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはベクターのいずれかを含む宿主細胞も提供する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を含む宿主細胞を提供する。異種DNAを過剰発現し得る任意の宿主細胞を、目的の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子を単離する目的で使用することができる。哺乳類宿主細胞の非限定的例には、これに限定されないが、COS、HeLa、及びCHO細胞が含まれる。PCT公報WO87/04462も参照されたい。好適な非哺乳類宿主細胞には、原核生物(E.coliまたはB.subtillisなど)及び酵母(S.cerevisae、S.pombe;またはK.lactisなど)が含まれる。
【0291】
抗体の精製
抗PD-1抗体を、任意の好適な方法によって精製することができる。そのような方法には、これに限定されないが、親和性マトリックスまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が含まれる。好適なアフィニティーリガンドには、ROR1 ECD及び抗体定常領域に結合するリガンドが含まれる。定常領域に結合し、かつ抗PD-1抗体を精製するために、例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、または抗体アフィニティーカラムを使用してよい。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチルまたはフェニルカラムも、抗体などの一部のポリペプチドを精製するために好適であり得る。イオン交換クロマトグラフィー(例えば、アニオン交換クロマトグラフィー及び/またはカチオン交換クロマトグラフィー)も、抗体などの一部のポリペプチドを精製するために好適であり得る。混合モードクロマトグラフィー(例えば、逆相/アニオン交換、逆相/カチオン交換、親水性相互作用/アニオン交換、親水性相互作用/カチオン交換など)も、抗体などの一部のポリペプチドを精製するために好適であり得る。ポリペプチドを精製する多くの方法が当技術分野で知られている。
【0292】
抗体の無細胞生成
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、無細胞系で生成する。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al..Methods Mol.Biol.498:229-44(2009);Spirin,Trends Biotechnol.22:538-45(2004);Endo et al.,Biotechnol.Adv.21:695-713(2003)に記載されている。
【0293】
組成物
一部の実施形態では、上に記載の方法によって調製された抗体を提供する。一部の実施形態では、抗体を、宿主細胞で調製する。一部の実施形態では、抗体を、無細胞系で調製する。一部の実施形態では、抗体を精製する。一部の実施形態では、宿主細胞または無細胞系で調製される抗体は、キメラ抗体である。一部の実施形態では、宿主細胞または無細胞系で調製される抗体は、ヒト化抗体である。一部の実施形態では、宿主細胞または無細胞系で調製される抗体は、ヒト抗体である。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を含む細胞培養培地を提供する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を含む宿主細胞培養液を提供する。
【0294】
一部の実施形態では、上記の方法によって調製された抗体を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞で調製された抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、無細胞系で調製された抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、精製抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞または無細胞系で調製されたキメラ抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞または無細胞系で調製されたヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞または無細胞系で調製されたヒト抗体を含む。
【0295】
一部の実施形態では、およそ10mg/mL、20mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、70mg/mL、80mg/mL、90mg/mL、100mg/mL、125mg/mL、150mg/mL、175mg/mL、200mg/mL、225mg/mL、または250mg/mLのいずれか1つを上回る濃度で抗PD-1抗体を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞または無細胞系で調製されたキメラ抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞または無細胞系で調製されたヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、組成物は、宿主細胞または無細胞系で調製されたヒト抗体を含む。
【0296】
IV.治療用組成物及び方法
抗PD-1抗体を使用して疾患を処置する方法
ヒトまたは動物のための処置方法で使用するための、抗体及び抗体を含む組成物を提供する。抗PD-1抗体を投与することを含む疾患を処置する方法も提供する。抗PD-1抗体で処置することができる非限定的な例示的な疾患には、これに限定されないが、がんが含まれる。
【0297】
一部の実施形態では、がんを処置する方法であって、腫瘍のサンプル内の細胞がPD-L1を発現する方法を提供する。一部のそのような実施形態では、腫瘍は、PD-L1陽性である、またはPD-L1を発現すると判断され得る。PD-L1の発現は、例えば、本明細書において論述するように、IHCによって決定され得る。一部の実施形態では、腫瘍は、腫瘍からのサンプルがIHCによってPD-L1の1+、2+、または3+染色を示す場合に、PD-L1を発現すると判断される。一部の実施形態では、腫瘍からのサンプルは、IHCによってPD-L1の2+、または3+染色を示す。一部の実施形態では、対象からの腫瘍サンプルを、PD-L1発現について分析し、腫瘍サンプルがPD-L1発現を示す場合に、対象を、本明細書に記載の抗体で処置するために選択する。一部の実施形態では、腫瘍サンプルがPD-L1の発現の上昇を示す場合に、対象は選択される。
【0298】
一部の実施形態では、対象の腫瘍がPD-L1HIGHである場合に、対象を、本明細書で提供する抗PD-1抗体での処置のために選択する。一部の実施形態では、対象の腫瘍がPD-L1LOWである場合に、対象を、本明細書で提供する抗PD-1抗体での処置のために選択する。一部の実施形態では、対象の腫瘍がPD-1HIGH/PD-L1LOWである場合に、対象を、本明細書で提供する抗PD-1抗体での処置のために選択する。一部の実施形態では、対象の腫瘍がPD-1HIGH/PD-L1HIGHである場合に、対象を、本明細書で提供する抗PD-1抗体での処置のために選択する。
【0299】
抗PD-1抗体を、必要に応じて、対象に投与することができる。投与頻度の決定は、当業者、例えば、主治医によって、処置を受ける状態、処置を受ける対象の年齢、処置を受ける状態の重症度、処置を受ける対象の全身健康状態などの検討に基づき成され得る。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の有効用量を、1回または複数回で対象に投与する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の有効用量を、1か月に1回、1か月に1回未満、例えば、2か月ごとまたは3か月ごとなどで、対象に投与する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の有効用量を、1か月未満に1回、例えば、3週ごとに1回、2週ごとに1回、または毎週1回などで投与する。抗PD-1抗体の有効用量を、少なくとも1回、対象に投与する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体の有効用量を、複数回、多例えば、少なくとも1か月、少なくとも6か月、または少なくとも1年の期間にわたって、投与してもよい。
【0300】
一部の実施形態では、医薬組成物を、がんを処置(予防を含む)するために有効な量で投与する。治療有効量は典型的には、処置を受ける対象の体重、対象の身体的もしくは健康状態、処置を受ける状態の範囲、または処置を受ける対象の年齢に依存する。一般に、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約10μg/体重kg~約100mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約50μg/体重kg~約5mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.5mg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。
【0301】
医薬組成物を、対象において免疫応答を増強する、及び/またはT細胞活性化を増進するために有効な量で投与する。
【0302】
治療有効量は典型的には、処置を受ける対象の体重、対象の身体的もしくは健康状態、処置を受ける状態の範囲、または処置を受ける対象の年齢に依存する。一般に、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約10μg/体重kg~約100mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約50μg/体重kg~約5mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を1回の投与当たり約100μg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.5mg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。
【0303】
医薬組成物
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を含む組成物を、広範囲の様々な薬学的に許容される担体を含む製剤で提供する(例えば、Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons:Drugfacts Plus,20th ed.(2003);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th ed.,Lippencott Williams and Wilkins(2004);Kibbe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd ed.,Pharmaceutical Press(2000)を参照されたい)。ビヒクル、アジュバント、及び希釈剤を含む様々な薬学的に許容される担体が利用可能である。さらに、様々な薬学的に許容される補助物質、例えば、pH調節剤及び緩衝剤、等張化剤、安定剤、湿潤剤なども利用可能である。非限定的な例示的な担体には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0304】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、キメラ抗体を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、ヒト化抗体を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載のとおりの宿主細胞または無細胞系で調製された抗体を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含む。
【0305】
一部の実施形態では、医薬組成物を、がんを処置(予防を含む)するために有効な量で投与する。治療有効量は典型的には、処置を受ける対象の体重、対象の身体的もしくは健康状態、処置を受ける状態の範囲、または処置を受ける対象の年齢に依存する。一般に、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.05mg/体重kg~約100mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約10μg/体重kg~約100mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約50μg/体重kg~約5mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.5mg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.5mg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.05mg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、1回の投与当たり約0.05mg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、抗体約5mg/体重kg以下、例えば、4mg未満、3mg未満、2mg未満、または1mg未満/kgの範囲の量で投与してよい。
【0306】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、1回の投与当たり約50μg/体重kg~約5mg/体重kgの範囲の量で存在してよい。例えば、一部の実施形態では、20kgのヒトでの用量は、約1mg~約100mgの範囲内であってよい。一部の実施形態では、用量は、抗PD-1抗体2mg~200mgの範囲内であってよい。一部の実施形態では、用量は、抗PD-1抗体10mg~400mgの範囲内であってよい。
【0307】
投与経路
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、in vivoで、これに限定されないが、静脈内、動脈内、非経口、腫瘍内、腹腔内または皮下を含む様々な経路によって投与することができる。適切な製剤及び投与経路を、意図している用途に従って選択してよい。
【0308】
併用療法
抗PD-1抗体を、単独で、または他の処置様式と共に投与することができる。それらを、他の処置様式、例えば、外科手術、化学療法、放射線療法、または生物学的製剤、例えば、別の治療用抗体の投与の前に、それと実質的に同時に、及び/またはその後に提供することができる。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、別の抗がん薬と併せて投与する。
【0309】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、第2の治療薬と同時に与える。例えば、2種以上の治療薬を、約60分以下、例えば、およそ30、15、10、5、または1分のいずれか以下の時間を空けて投与する。一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、第2の治療薬に連続して投与する。例えば、2種以上の治療薬の投与を、約15分超、例えば、およそ20、30、40、50、もしくは60分、1日、2日、3日、1週、2週、または1か月以上のいずれかなどの時間を空けて投与する。
【0310】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、処置のための第2の治療法と共に投与する。したがって、本明細書で提供する抗体の投与は、処置の別の系との組み合わせであってよい。
【0311】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、抗ICOS治療と共に投与する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)に結合する抗体と共に投与する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、ICOSに結合する単離抗体と共に投与し、その際、抗ICOS抗体は、CD4+T細胞(CD4+Tエフェクター(Teff)細胞など)のアゴニストである。一部の実施形態では、ICOSに結合する抗体は、CD4+T細胞(CD4+Teff細胞など)のアゴニストであり、T調節(Treg)細胞を消耗させる。一部の実施形態では、ICOSに結合する抗体は、Treg細胞を消耗させるが、Teff細胞は消耗させない。一部の実施形態では、ICOSに結合する抗体は、CD4+T細胞上でpAKTシグナル伝達を誘導する。一部の実施形態では、ICOSに結合する単離抗体は、CD4+T細胞上でpAKTシグナル伝達を誘導し、Treg細胞を消耗させる。一部の実施形態では、ICOSに結合する単離抗体は、
i)(a)配列番号326のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号327のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号328のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号329のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号330のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号331のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
ii)(a)配列番号334のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号335のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号336のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号337のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号338のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号339のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
iii)(a)配列番号342のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号343のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号344のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号345のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号346のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号347のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
iv)(a)配列番号350のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号351のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号352のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号353のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号354のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号355のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
v)(a)配列番号358のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号359のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号360のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号361のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号362のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号363のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
vi)(a)配列番号366のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号367のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号368のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号369のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号370のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号371のアミノ酸配列を含むLCDR3;または
vii)(a)配列番号374のアミノ酸配列を含むHCDR1;(b)配列番号375のアミノ酸配列を含むHCDR2;(c)配列番号376のアミノ酸配列を含むHCDR3;(d)配列番号377のアミノ酸配列を含むLCDR1;(e)配列番号378のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び(f)配列番号379のアミノ酸配列を含むLCDR3
を含む。
【0312】
一部の実施形態では、重鎖可変領域(V)及び軽鎖可変領域(V)を含み、
i)Vが、配列番号324のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号325のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
ii)Vが、配列番号332のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号333のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
iii)Vが、配列番号340のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号341のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
iv)Vが、配列番号348のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号349のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
v)Vが、配列番号356のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号357のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
vi)Vが、配列番号364のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号365のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である;または
vii)Vが、配列番号372のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、かつVが、配列番号373のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である、ICOSに結合する抗体を提供する。
【0313】
一般に、抗ICOS抗体を、1回の投与当たり約10μg/体重kg~約100mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗ICOS抗体を、1回の投与当たり約50μg/体重kg~約5mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗ICOS抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約10mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗ICOS抗体を、1回の投与当たり約100μg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。一部の実施形態では、抗ICOS抗体を、1回の投与当たり約0.5mg/体重kg~約20mg/体重kgの範囲の量で投与してよい。
【0314】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、アゴニスト抗OX40抗体(Medi6469、MedImmune;MOXR0916/RG7888、Rocheなど)と共に投与する。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、抗CTLA4抗体(イピリムマブ、YERVOY(登録商標)、BMSなど)と共に投与する。
【0315】
一部の実施形態では、追加の治療薬は、化学療法薬である。本明細書で提供する抗PD-1抗体と共に組み合わせてもよい例示的な化学療法薬には、これに限定されないが、カペシタビン(capectiabine)、シクロフォスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、シクロフォスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シスプラチン、カルボプラチン、エピルビシン、エリブリン、5-FU、ゲムシタビン、イリノテカン、イキサベピロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ナブ-パクリタキセル、ABRAXANE(登録商標)(タンパク質結合パクリタキセル)、ペメトレキセド、ビノレルビン、及びビンクリスチンが含まれる。一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、少なくとも1種のキナーゼ阻害薬と共に投与する。非限定的な例示的なキナーゼ阻害薬には、エルロチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、ベムラフェニブ、及びコビメタニブ(cobimetanib)が含まれる。
【0316】
一部の実施形態では、追加の治療薬は、IDO阻害薬である。非限定的な例示的なIDO阻害薬は、例えば、US2016/0060237号;及びUS2015/0352206号に記載されている。非限定的な例示的なIDO阻害薬には、インドキシモド(New Link Genetics)、INCB024360(Incyte Corp)、1-メチル-D-トリプトファン(New Link Genetics)、及びGDC-0919(Genentech)が含まれる。
【0317】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、免疫修飾薬(IMiD)と組み合わせて投与する。非限定的な例示的なIMiDには、サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドミドが含まれる。
【0318】
一部の実施形態では、追加の治療薬は、がんワクチンである。がんワクチンは、抗原輸送及び樹状細胞の活性化のための潜在的な手法として調査されている。殊に、同時刺激経路のために免疫チェックポイントまたはアゴニストと組み合わせたワクチン接種は、忍容性を克服し、かつ抗腫瘍応答の増加を生じるという証拠を示している。腫瘍に対する免疫応答を促進する種々のアプローチ手法を用いる広範ながんワクチンが試験されている(例えば、Emens LA、Expert Opin Emerg Drugs 13(2):295-308(2008)を参照されたい)。アプローチは、腫瘍に対するB細胞、T細胞、またはプロフェッショナル抗原提示細胞の応答を増強するように設計されている。がんワクチンの例示的な種類には、これに限定されないが、ペプチド/タンパク質として、または遺伝子操作DNAベクター、ウイルス、細菌などとして送達され得る別個の標的化腫瘍抗原を用いるペプチドベースのワクチン;及び例えば、これに限定されないが、患者由来樹状細胞、自己由来腫瘍細胞または腫瘍細胞溶解産物、同種腫瘍細胞などから開発されたワクチンを含む、十分には定義されていない標的に対してがんワクチンを開発するための細胞生物学アプローチが含まれる。
【0319】
したがって、特定の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、がんワクチンと組み合わせて使用してよい。例示的ながんワクチンには、これに限定されないが、樹状細胞ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、腫瘍細胞ワクチンなどが含まれる。一部の実施形態では、そのようなワクチンは、抗腫瘍応答を増強する。本明細書で提供する抗PD-1抗体と組み合わせて使用することができるがんワクチンの例には、これに限定されないが、MAGE3ワクチン(例えば、黒色腫及び膀胱癌で)、MUC1ワクチン(例えば、乳癌で)、EGFRv3(リンドペピミュート(Rindopepimut)など、例えば、多形神経膠芽細胞腫を含む脳癌で)、またはALVAC-CEA(例えば、CEA+がんで)が含まれる。
【0320】
非限定的な例示的ながんワクチンには、抗原提示細胞を含む自己由来末梢血単核細胞(PBMC)に由来するシプロイセル-Tも含まれる(例えば、Kantoff PW et al.,N Engl J Med 363:411-22(2010)を参照されたい)。シプロイセル-Tの生成では、患者のPBMCをex vivoで、PA2024、前立腺酸性ホスファターゼの組換え融合タンパク質(前立腺抗原)及び顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(免疫細胞活性化因子)で活性化させる。がんワクチン候補に対する別のアプローチは、腫瘍組織、例えば黒色腫における変異した特異的ペプチドに対して免疫応答を生成させることである(例えば、Carreno BM et al.,Science 348:6236(2015)を参照されたい)。そのような変異ペプチドは、一部の実施形態では、ネオアンチゲンと称されることもある。腫瘍ワクチンにおけるネオアンチゲンの使用の非限定的な例として、主要組織適合性複合体タンパク質HLA-A02:01に結合することが予期されている腫瘍中のネオアンチゲンが、がん、例えば黒色腫を有する個体患者で特定されている。患者からの樹状細胞をex vivoで成熟させ、次いで、ネオアンチゲンと共にインキュベートする。次いで、活性化樹状細胞を患者に投与する。一部の実施形態では、がんワクチンの投与後に、ネオアンチゲンに対する強固なT細胞免疫が検出され得る。
【0321】
一部のそのような実施形態では、がんワクチンを、ネオアンチゲンを使用して開発する。一部の実施形態では、がんワクチンは、DNAワクチンである。一部の実施形態では、がんワクチンは、がん抗原、例えばPROSTVACを含む操作ウイルス(rilimogene galvacirepvec/rilimogene glafolivec)である。一部の実施形態では、がんワクチンは、操作腫瘍細胞、例えばGVAXを含み、これは、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)遺伝子をトランスフェクションされた腫瘍細胞ワクチンである(例えば、Nemunaitis,2005,Expert Rev Vaccines、4:259-74を参照されたい)。
【0322】
一部の実施形態では、本明細書に記載の抗PD-1抗体を、がんワクチンの前に、それと同時に、及び/またはその後に投与する。一部の実施形態では、ネオアンチゲンを使用して開発されたがんワクチンを、本明細書に記載の抗PD-1抗体と組み合わせて使用する。一部のそのような実施形態では、この組み合わせを、高い変異負荷を有するがん、例えば、黒色腫、肺、膀胱、または結腸直腸癌を処置するために使用する。
【0323】
一部の実施形態では、本明細書で提供する抗PD-1抗体を、キメラ抗原受容体T細胞治療(CAR-T治療)と組み合わせて投与する。
【0324】
診断用使用
抗PD-1抗体エピトープ発現(正常サンプルに対して増加もしくは減少している、及び/または不適切な発現、例えば、エピトープ発現が通常は欠損している組織(複数可)及び/または細胞(複数可)において発現が存在すること)と関連する疾患、障害または状態を検出、診断及びモニタリングするための抗PD-1抗体、ポリペプチド及びポリヌクレオチドを使用する方法を本明細書において提供する。患者が抗PD-1抗体治療に応答するかどうかを決定する方法を本明細書において提供する。
【0325】
一部の実施形態では、方法は、抗PD-1抗体を使用して、患者がPD-1を発現する細胞を有するかどうかを検出することを含む。一部の実施形態では、検出方法は、サンプルを抗体、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドと接触させること、及び結合のレベルが、基準または比較サンプル(対照など)の結合レベルと異なるかどうかを決定することを含む。一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載の抗体またはポリペプチドが、対象のために適切な処置であるかどうかを決定するために有用であり得る。
【0326】
一部の実施形態では、細胞または細胞/組織溶解産物を抗PD-1抗体と接触させ、かつ抗体と細胞との間の結合を決定する。試験細胞が同じ組織種の基準細胞と比較して結合活性を示す場合、それは、対象が抗PD-1抗体での処置から利益を受けるであろうことを示し得る。一部の実施形態では、試験細胞は、ヒト組織からのものである。一部の実施形態では、試験細胞は、ヒト血液からのものである。
【0327】
特異的な抗体-抗原結合を検出するために当技術分野で知られている様々な方法を使用することができる。行うことができる例示的なイムノアッセイには、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、比濁阻害イムノアッセイ(NIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及びラジオイムノアッセイ(RIA)が含まれる。インジケーター部分、または標識基を対象抗体に結合させることができ、それを、多くの場合にアッセイ装置及び適合可能なイムノアッセイ手順の利用可能性によって規定される方法の様々な使用の必要性を満たすように選択する。適切な標識には、限定ではないが、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、H、または32P)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、またはβ-ガラクトシダーゼ)、蛍光部分もしくはタンパク質(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、またはBFP)、または発光部分(例えば、Quantum Dot Corporation,Palo Alto,Calif.によって供給されるQdot(商標)ナノ粒子)が含まれる。上述の様々なイムノアッセイを行う際に使用される一般技術は、当業者に知られている。
【0328】
診断の目的では、当該ポリペプチドを含む抗体を、これに限定されないが、当技術分野で知られている放射性同位体、蛍光標識、及び様々な酵素基質標識を含む検出可能な部分で標識することができる。抗体に標識をコンジュゲートする方法は、当技術分野で知られている。
【0329】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を標識する必要はなく、その存在を、第1の抗PD-1抗体に結合する第2の標識抗体を使用して検出することができる。
【0330】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体を、任意の知られているアッセイ方法、例えば、競合結合アッセイ、直接的及び間接的サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイで用いることができる。Zola,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147-158(CRC Press,Inc.1987)。
【0331】
抗PD-1抗体及びポリペプチドを、in vivo診断アッセイ、例えば、in vivoイメージングのために使用することもできる。一般に、抗体またはポリペプチドを放射性核種(111In、99Tc、14C、131I、125I、H、または本明細書において概説するものを含む任意の他の放射性核種標識など)で標識して、目的の細胞または組織を、イムノシンチグラフィーを使用して限局することができるようにする。
【0332】
抗体を、当技術分野でよく知られている技術を使用して、病理で染色試薬として使用してもよい。
【0333】
一部の実施形態では、第1の抗体を診断のために使用し、第2の抗体を治療薬として使用する。一部の実施形態では、第1及び第2の抗体は異なる。一部の実施形態では、第1の抗体は、非ヒトからのものである一方で、治療薬は、ヒトからのものである。一部の実施形態では、第1及び第2の抗体は両方とも、別々のエピトープへの結合によって、同時に抗原に結合し得る。
【0334】
キット/製品
本明細書に記載の方法のいずれかにおいて使用するためのキット、医薬品、組成物、及び単位剤形も、本明細書において提供する。
【0335】
キットは、抗PD-1抗体(または単位剤形及び/または製品)を含む1つまたは複数の容器を含み得る。一部の実施形態では、1種または複数の追加の薬剤を伴って、または伴わずに抗PD-1抗体を含む組成物の所定の量を含有する単位投薬量を提供する。一部の実施形態では、そのような単位投薬量を、注射用の単回使用用プレフィルドシリンジで供給する。一部の実施形態では、単位投薬量に含まれる組成物は、生理食塩水、スクロースなど;緩衝剤、例えば、リン酸塩などを含み;及び/または安定していて有効なpH範囲内で製剤化されていてよい。一部の実施形態では、組成物を、適切な液体、例えば、滅菌水の添加で再構成され得る凍結乾燥粉末として提供することができる。一部の実施形態では、組成物は、これに限定されないが、スクロース及びアルギニンを含む、タンパク質凝集を阻害する1種または複数の物質を含む。一部の実施形態では、組成物は、ヘパリン及び/またはプロテオグリカンを含む。
【0336】
一部の実施形態では、単位用量で使用される抗PD-1抗体の量は、記載の様々な方法及び/または組成物のために本明細書において提示した量のいずれかであってよい。
【0337】
一部の実施形態では、キットはさらに、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってがんを処置する際の取扱説明書を含む。キットはさらに、処置に好適な個体を選択するための説明書を含んでもよい。キット内に供給される説明書は典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キット内に含まれる紙シート)上の文書による説明書であるが、機械可読な説明書(例えば、磁気または光学記憶ディスクに保存された説明書)も許容される。一部の実施形態では、キットはさらに、別の治療薬を含む。一部の実施形態では、追加の治療薬は、例えば、本明細書に記載のとおりの抗ICOS抗体、または抗CTLA4抗体である。
【0338】
キットは、好適な包装材料内にある。好適な包装材料には、これに限定されないが、バイアル、ボトル、ジャー、柔軟な包装材料(例えば、密閉マイラーまたはプラスチック製バッグ)などが含まれる。キットは任意選択で、追加の成分、例えば、緩衝剤及び解釈情報を提供してもよい。したがって、本出願は、バイアル(密閉バイアルなど)、ボトル、ジャー、柔軟な包装材料などを含む製品も提供する。
【実施例
【0339】
下に論述する実施例は純粋に、本発明の例示であることを意図したものであり、決して、本発明を限定するものと考えられるべきではない。実施例は、下の実験が行われた実験のすべてである、または行われた実験がそれらのみであることを表すことを意図したものではない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関して確度を保証する努力が成されているが、多少の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。別段に示されていない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはその付近である。
【0340】
実施例1:抗PD-1抗体の生成
以前に記載されたように、それぞれ約10の多様性の8つのナイーブヒト合成酵母ライブラリーを設計し、生成し、増殖させた(例えば、WO2009036379;WO2010105256;WO2012009568;Xu et al.,Protein Eng Des Sel.2013 Oct;26(10):663-70を参照されたい)。選択の最初の2ラウンドでは、本質的には記載されているように(Siegel et al.,J Immunol Methods.2004 Mar;286(1-2):141-53)、Miltenyi MACsシステムを利用する磁気ビーズソーティング技術を行った。簡単に述べると、酵母細胞(約1010細胞/ライブラリー)を10nMビオチン化ヒトPD-1-Fc融合抗原3mlと共に15分間にわたって室温で、0.1%BSAを含むFACS洗浄バッファーPBS中でインキュベートした(ビオチン化を、EZ-Link Sulfo-NHS-Biotinylation Kit、Thermo Scientific、Cat.#21425を使用して行った)。氷冷洗浄バッファー50mlで1回洗浄した後に、細胞ペレットを洗浄バッファー40mL中に再懸濁させ、Streptavidin MicroBead500μl(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany、Cat.#130-048-101)を酵母に添加し、15分間にわたって4℃でインキュベートした。次に、酵母をペレット化し、洗浄バッファー5mL中に再懸濁させ、MACS LSカラム(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany、Cat.#130-042-401)に負荷した。5mLを負荷した後に、カラムをFACS洗浄バッファー3mlで3回洗浄した。次いで、カラムを磁場から取り外し、酵母を成長培地5mLで溶離し、次いで、終夜成長させた。続く3ラウンドのソーティングを、フローサイトメトリーを使用して行った。およそ1×10の酵母をペレット化し、洗浄バッファーで3回洗浄し、200、100もしくは10nMビオチン化ヒトPD-1または10nMもしくは1nMビオチン化ヒトPD-1-Fc融合抗原と共に10分から2時間まで、室温でインキュベートした。インキュベーション時間は、抗原濃度に伴って変動する。次いで、酵母を2回洗浄し、1:100希釈されたヤギ抗ヒトF(ab’)カッパ-FITC(Southern Biotech、Birmingham、Alabama、Cat.#2062-02)及び1:500希釈されたストレプトアビジン-Alexa Fluor 633(Life Technologies、Grand Island、NY、Cat.#S21375)、または1:50希釈されたExtravidin-phycoerthyrin(Sigma-Aldrich、St Louis、Cat.#E4011)のいずれかの二次試薬で、15分間にわたって4℃で染色した。氷冷洗浄バッファーで2回洗浄した後に、細胞ペレットを洗浄バッファー0.4mL中に再懸濁させ、ストレーナーキャップ付きのソーティング管に移した。ソーティングを、FACS ARIAソーター(BD Biosciences)を使用して行い、ソートゲートを、2つのラウンドでPD-1結合クローンのみを選択するように決定した。集団に応じて、第3のラウンドは、試薬結合物またはさらなる陽性富化を減少させるための陰性ソーティングであった。ソーティングの最終ラウンドの後に、酵母をプレーティングし、個々のコロニーを特徴づけのためにピッキングした。
【0341】
ラウンド5またはラウンド6結合集団を、軽鎖多様化のために使用した。重鎖プラスミドを抽出し、1×10の多様性を有する軽鎖ライブラリーに転換した。選択を、1ラウンドのMACSソーティング及び3ラウンドのFACSソーティングで、様々な濃度のビオチン化抗原を使用して上記のとおり行った。
【0342】
親和性成熟
ナイーブ及び軽鎖バッチシャッフルクローンの結合最適化を、CDRH1及びCDRH2の多様化を利用して実施した。
【0343】
CDRH1及びCDRH2選択:軽鎖多様化手順から選択されたクローン(軽鎖バッチシャッフルクローン)からのCDRH3を、C1×10の多様性のDRH1及びCDRH2バリアントと再び組み合わせてプレメイドライブラリーにし、選択を、上記のようにPD-1抗原を使用して行った。ビオチン化抗原をサブナノモル濃度までタイトレートし、かつ抗体提示酵母と共にインキュベートすることによって、親和性圧力を適用した。
【0344】
抗体生成及び精製
酵母クローンを飽和まで成長させ、次いで、振盪しながら48時間にわたって30℃で誘導した。誘導の後に、酵母細胞をペレット化し、上清を精製のために収集した。IgGを、プロテインAカラムを使用して精製し、酢酸、pH2.0で溶離した。Fab断片をパパイン消化によって生成し、KappaSelect(GE Healthcare LifeSciences、Cat.#17-5458-01)で精製した。
【0345】
PD-1抗体の親和性測定
PD-1抗体の親和性を、ForteBioまたはMSD-SETによってそれらのKを測定することによって決定した。ForteBio親和性測定を全般的には以前に記載されたように行った(Estep et al.,MAbs.2013 Mar-Apr;5(2):270-8)。簡単に述べると、ForteBio親和性測定を、IgGをオンラインでAHQセンサーに負荷することによって行った。センサーを、オフラインでアッセイバッファー中で30分間にわたって平衡化させ、次いで、オンラインで60秒間にわたってモニターして、基線を確立した。IgGを負荷したセンサーを100nM抗原に5分間にわたって暴露し、その後、それらを、オフ・レート測定のためにアッセイバッファーに5分間にわたって移した。反応速度を、1:1結合モデルを使用して分析した。
【0346】
平衡親和性測定を、以前に記載されたように行った(Estep et al.,2013)。溶解平衡タイトレーション(SET)を、PBS+0.1%IgG非含有BSA(PBSF)中で行い、その際、抗原を50pMで一定に保持し、10nMから始まる3~5倍系列希釈の抗体と共にインキュベートした。抗体(PBS中20nM)を標準結合MSD-ECLプレート上に、終夜、4℃で、または室温で30分間にわたってコーティングした。次いで、プレートを30分間にわたって700rpmで振盪しながら遮断し、続いて、洗浄バッファー(PBSF+0.05%Tween 20)で3回洗浄した。SETサンプルを施与し、プレート上で150秒間にわたって、700rpmで振盪しながらインキュベートし、続いて、1回洗浄した。プレート上に捕捉された抗原を、PBSF中の250ng/mLスルホタグ標識ストレプトアビジンで、プレート上で3分間にわたってインキュベートすることによって検出した。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、次いで、MSD Sector Imager 2400計器で、界面活性剤を含む1倍Read Buffer Tを使用して読み取った。遊離抗原パーセントをPrismで、タイトレートされた抗体の関数としてプロットし、二次方程式にフィットさせて、Kを得た。処理量を改善するために、液体ハンドリングロボットを、SETサンプル調製を含めてMSD-SET実験を通じて使用した。表1は、ForteBio親和性測定での結果を示している。
【0347】
実施例2:マウス活性化脾細胞は、抗PD-1抗体に応答する
脾細胞に由来するマウスT細胞を抗CD3及び抗CD28抗体で活性化させると、それらは、細胞表面分子を発現し、可溶性分子インターフェロン-ガンマ(IFNγ)を分泌する。PD-1に対する阻止抗体は、IFNγの産生を増加させる。マウス脾細胞を得、可溶性抗CD3及び抗CD28抗体と共にインキュベートした。5日後に、それらを、新たに調製された脾細胞から精製した等数のT細胞及び種々の濃度の抗PD-1抗体と混合した。陽性及び陰性対照抗体RMP1-14、2A3、及びC1.18.4をBioXCellから購入した。24時間後に、上清を収集し、IFNγ濃度をサイトカインビーズアレイによって測定した。本明細書に開示の抗PD-1抗体は、基準抗体と同様に、IFNγの産生を増加させることができた。図1を参照されたい。少なくとも抗体12191、13396、13398、13399、12195、13406、13407、13408、及び13409は、IFNγ発現を有意に増加させた。抗体13396、13399、12195、13406、13407、及び13408は、IFNγ発現の最大の増加をもたらした。
【0348】
実施例3:ヒト活性化末梢単核血液細胞は、抗PD-1抗体に応答する
ブドウ球菌腸毒素B(SEB)で活性化させた全血サンプルは、IL-2分泌の増加によって測定すると、抗PD-1抗体を使用する免疫チェックポイント封鎖に応答することが示されている(例えば、EP2170959B1号を参照されたい)。抗PD-1抗体を幅広い濃度で調製し、96ウェルプレートのウェルに添加した。4人のドナーからの全血を完全RPMI中で1:10希釈し、同じウェルに添加した。プレートを室温で30分間にわたってインキュベートし、その後、1ウェル当たりSEB50μlを、10μg/mlの最終濃度のために40μg/mlの濃度で添加した。プレートを37℃で4日間にわたってインキュベートし、上清を収集して、サイトカインビーズアレイ(CBA)アッセイによって分泌されたIL-2を測定した。本明細書に開示の抗PD-1抗体は、基準抗PD-1抗体と同じレベルまで、これらの培養物からのIL-2の産生を増加させることができた。図2は、4人の健康なヒトドナーサンプルにおいて試験された各抗体でのこの増加のEC50を示している。
【0349】
実施例4:マウスPD-1へのマウスPD-L1及びマウスPD-L2の結合の抗体遮断
PD-L1及びPD-L2は、PD-1のための2種の天然リガンドであり、いずれかのリガンドとPD-1との相互作用は、T細胞の活性化応答を下方制御し得る。承認されている治療用抗体、例えば、ニボルマブ及びペムブロリズマブは、この相互作用を遮断し、ヒトT細胞応答を下方制御することが示されているが、いずれの抗体も、マウスPD-1には結合せず、マウスPD-1とマウスPD-L1またはマウスPD-L2との相互作用を遮断することもない。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、マウスPD-L1とマウスPD-1との間の、及びマウスPD-L2とマウスPD-1との間の相互作用に対する本明細書に開示の抗PD-1抗体の効果を評価した。バックグラウンドを差し引く際に使用するためのアイソタイプ対照抗体を含めて、抗体を10μg/mLに希釈した。マウスPD-1-Fc融合体を所望の濃度(例えば、100nM)に希釈した。遮断試薬として使用するための可溶性マウスアイソタイプ抗体を250μg/mLに希釈した。マウス-PD-1を、続いて、ヒトFcをセンサーにコーティングした。抗PD-1抗体を添加し、最後に、マウスPD-L1またはマウスPD-L2のいずれかの結合を測定した。図3は、試験した抗PD-1抗体がマウスPD-1への両方のマウスリガンドの結合を遮断することができることを示している。対照的に、ペムブロリズマブまたはニボルマブのいずれも、マウスPD-1に結合しなかったか、またはマウスPD-1へのマウスリガンド結合を遮断しなかった。
【0350】
実施例5:ヒトPD-1へのヒトPD-L1及びヒトPD-L2の結合の抗体遮断
PD-L1及びPD-L2は、PD-1のための2種の天然リガンドであり、いずれかのリガンドとPD-1との相互作用は、T細胞の活性化応答を下方制御し得る。承認されている治療用抗体、例えば、ニボルマブ及びペムブロリズマブは、この相互作用を遮断し、ヒトT細胞応答を下方制御することが示されている。Forte-Bio機器でのOctet分析を使用して、ヒトPD-L1とヒトPD-1との間の、及びヒトPD-L2とヒトPD-1との間の相互作用に対する本明細書に開示の抗PD-1抗体の効果を評価した。バックグラウンドを差し引く際に使用するためのアイソタイプ対照抗体を含めて、抗体を10μg/mLに希釈した。ヒトPD-1-Fc融合体を所望の濃度(例えば、100nM)に希釈した。遮断試薬として使用するための可溶性ヒトFcを250μg/mLに希釈した。ヒトPD-1を、続いて、ヒトFcをセンサーにコーティングした。抗PD-1抗体を添加し、最後に、ヒトPD-L1またはヒトPD-L2のいずれかの結合を測定した。図4は、ペムブロリズマブ及びニボルマブと同様に、試験した抗PD-1抗体がヒトPD-1への両方のヒトリガンドの結合を遮断することができることを示している。
【0351】
実施例6:in vivo腫瘍攻撃
マウスモデルにおいて腫瘍成長を減少させる抗PD-1抗体の能力を、MC38細胞をC57BL6/Jマウスの側腹部に皮下注射することによって検査した。マウスを11日目に、およそ100mmの平均腫瘍サイズを有する群に無作為化し、200μgの抗PD-1抗体13407を腹腔内注射した。反復用量を14、18及び21日目に投与した。対照抗体、マウスIgG1(MOPC-21)、ラットIgG2a(2A3)、及び陽性対照ラット抗マウスPD-1(RMP1-14)をBioXcellから購入した。腫瘍サイズを週2回測定し、実験を24日後に停止した。実験終了時の腫瘍重量は、図5に示されており、これは、抗PD-1抗体13407が、基準抗PD-1抗体と同程度まで、マウスにおいて腫瘍成長を減少させたことを示している。
【0352】
実施例7:抗体エピトープマッピング
Atum incによって、様々なPD-1バリアント、PD-L1、PD-L2及び抗体Fab断片をコードする遺伝子が合成され、コドン最適化された。ヒトカッパ軽鎖シグナル配列(MGTPAQLLFLLLLWLPDTTG;配列番号400)がすべての遺伝子の5’末端に含まれた。遺伝子を哺乳類発現ベクターにクローニングし、配列を、タンパク質の発現前に検証した。
【0353】
組換えタンパク質を、Expi293(商標)Expression System(Thermo Fisher Scientific)で、培地、トランスフェクション試薬、供給物及び細胞のための製造者キットを利用して発現させた。Expifectamine(商標)を製造者プロトコルに従って使用して、細胞を1μg/mLのプラスミドDNAと培地との比でトランスフェクションした。細胞を振盪フラスコ中で、37℃及び5%COに維持されたインキュベーター内で培養した。5日後に、培養物を3000rcfで15分間にわたる遠心によって採取し、続いて、0.2μmフィルターを使用してろ過した。
【0354】
採取された上清をアフィニティー精製に掛けた。タンパク質は、Niアフィニティー精製またはプロテインAアフィニティー精製のいずれかを可能にするヘキサ-ヒスチジンタグまたはFcタグのいずれかを含有した。
【0355】
Niアフィニティー精製を、HisTrap(商標)Excel IMACカラム(GE Healthcare Life Sciences)で、43mMリン酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、pH7.4を結合バッファーとして使用して実施した。結合したタンパク質を結合バッファーで、続いて、20mMイミダゾールを含有する結合バッファーで洗浄した。ステップ溶離を、90mM、150mM、及び250mMイミダゾールを含有する結合バッファーで行った。プロテインAアフィニティー精製を、HiTrap MabSelect Sureカラム(GE Healthcare Life Sciences)で、PBS、pH7.4を結合バッファーとして使用して実施した。ステップ溶離を、結合タンパク質を溶離するために、0.1Mクエン酸バッファーをpH4.0、pH3.5及びpH2.0で使用して行った。すべての酸性溶離画分を、1Mトリス、pH9.0で、20%v/v比を使用して中和した。すべての溶離画分をSEC-HPLCによって分析して、標的純度(>90%モノマー)を超える画分を決定した。標的純度を超える画分をもたらさなかった精製では、分取サイズ排除クロマトグラフィーを、Superdex200クロマトグラフィーカラムを使用して行って、標的純度を達成した。凍結の前に、精製タンパク質を最終バッファー(20mMヒスチジン、150mM NaCl、pH6.0、または20mM HEPES、150mM NaCl、pH7.5のいずれか)にバッファー交換して、標的タンパク質の予測pIから少なくとも1単位離れたpHで維持した。
【0356】
すべてのタンパク質相互作用を、ForteBio OctetRED96機器で評価した。タンパク質をキネティックバッファー配合物(PBS+0.1%BSA、0.02%Tween20、0.05%アジ化ナトリウム)中で希釈し、その際、サンプル容積は220μl/ウェルであった。リガンド濃度を10μg/mlに、かつ分析物濃度を100nMに規格化した。遮断試薬を、250μg/mlの濃度で用いた。センサー平衡化時間を60秒間にわたって設け、サンプル負荷時間を300秒目に設定した。ヒトFc遮断時間を300秒間にわたって設けた。会合時間の分析を300秒間にわたって、解離時間を600秒間にわたって設けた。
【0357】
この方法では、目的の抗体を配向し、抗ヒト(または抗マウス)Fc抗体で誘導体化されたバイオセンサー上に捕捉する。次いで、抗体負荷センサーへの、溶液での目的の標的タンパク質の結合をアッセイする。
【0358】
タンパク質が類似種のFcドメインを含有する相互作用では、捕捉抗体とは独立した、バイオセンサーへの標的タンパク質の直接的な結合を最小化するために、追加の遮断ステップが含まれる。
【0359】
PD-1バリアントまたは別の種のPD-1についての親和性が野生型ヒトPD-1についての親和性と比較しておよそ5倍以内であれば、結合事象をY(あり(yes))と認めた。>10倍及び<100倍減少した親和性は、Reduced(減少)と示されている。>100倍減少した親和性は、N(なし(no))と示されている。評価されなかった相互作用は、ND(未決定)と記録されている。
【0360】
ヒトPD-1のバリアントを、C末端Hisタグを有する細胞外ドメイン(ECD)-Fc融合体として生成し、PD-1リガンド、さらには、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、及び13407のFab断片の結合分析のために使用した。結果を表2に示す。
【0361】
ペムブロリズマブの結合に影響を及ぼすと報告されているアミノ酸置換を、一群の分子への結合について評価した(Na et al.,2017,Cell Res.、27:147-150)。PD-1へのペムブロリズマブ結合は、D85G置換で除去される一方で、ニボルマブ及び13407の結合は、影響を受けなかった。PD-1へのニボルマブの結合はまた、N末端短縮化バリアントN33-Q167に対して評価した場合、減少する。これらの結果は、13407が、ペムブロリズマブ及びニボルマブが接触するものとはかなり異なるアミノ酸に接触することを示している。
【0362】
PD-L1及びPD-L2リガンドについて以前に評価された追加のバリアントを生成した(Lazar-Molnar et al.,2008,PNAS,105:10483-10488)。ニボルマブ及びペムブロリズマブの結合は、これらのアミノ酸置換によって大きな影響は受けなかった一方で、13407の結合親和性は、I126A、L128A、及びE136A置換で著しく低下し、A132L及びI134A置換で除去された。データは、13407について、PD-L1の結合プロファイルと同様の結合プロファイルを明らかにしている。
【0363】
一群のFab断片も、PD-1の追加の種への結合について評価した。ペムブロリズマブ及びニボルマブは、マウス、ラット、またはイヌPD-1に結合することができない。対照的に、13407は、マウスPD-1に結合する。意外にも、13407は、ラットPD-1とマウスPD-1との間の高い相同性にも関わらず、ラットPD-1に結合することができない。残基129がラット配列からの対応する残基に置き換えられているマウスPD-1のバリアント(H129P)を生成すると、13407の結合を除去することが見出された。相互変異、P129Hがラット配列に導入されると、13407はバリアントに結合した。注目すべきことに、13407が結合しないイヌPD-1配列は、この位置でプロリンを欠損している。
【0364】
まとめると、13407は、ニボルマブ及びペムブロリズマブが結合するエピトープとは別のPD-1のエピトープに結合する。
【0365】
本開示は、本開示の意図または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。したがって、上述の実施形態は、本開示を限定するものではなく、あらゆる点で、例示とみなされるべきである。そのため、本開示の範囲は、上述の記載ではなく、添付の請求項によって示され、したがって、請求項の等価物の意味及び範囲内に該当するあらゆる変化は、本明細書に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4A-1】
図4A-2】
図4B-1】
図4B-2】
図4C
図5
【配列表】
0007086066000001.app