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特許7086068アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を含む導電性液体を生成するためのシステム及び方法
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  • 特許-アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を含む導電性液体を生成するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を含む導電性液体を生成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 21/00 20220101AFI20220610BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220610BHJP
   B01F 23/10 20220101ALI20220610BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20220610BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20220610BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220610BHJP
   B01F 35/83 20220101ALI20220610BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20220610BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B01F1/00 A
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 646
B01F3/02
B01F3/04 A
B01F5/00 D
B01F15/02 A
B01F15/04 D
B01D53/18 130
C02F1/68 510Z
C02F1/68 520B
C02F1/68 530A
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019524400
(86)(22)【出願日】2017-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2017060896
(87)【国際公開番号】W WO2018089658
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】62/420,953
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505477121
【氏名又は名称】エムケイエス インストゥルメンツ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブランマー、ウルリッヒ アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】ジーヴェルト、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ル ティエック、クリスティアーネ
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-528949(JP,A)
【文献】特開2003-010660(JP,A)
【文献】特開2002-172318(JP,A)
【文献】特開2000-354729(JP,A)
【文献】特開2005-139048(JP,A)
【文献】特開2004-273799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0081237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B01F 21/00 - 25/90
B01F 35/00 - 35/95
B01D 53/18
C02F 1/68
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアガスを脱イオン化水に溶解するシステムにおいて、
脱イオン水供給源と、
アンモニアガスを供給するための第1のガス供給源と流体連通している第1の入口と、移送ガスを供給するための第2のガス供給源と流体連通している第2の入口と、前記アンモニアガス及び前記移送ガスを含むガス混合物を出すための混合ガス出口と、を備えるガス混合装置と、
少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを有した接触器であって、前記接触器の少なくとも1つの入口を介して前記脱イオン水供給源及び前記混合ガス出口と流体連通し、及び、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を生成する前記接触器と
前記アンモニアガスを溶解した前記脱イオン水を前記接触器からくみ出すために、前記接触器の前記少なくとも1つの液体出口と流体連通しているポンプと、
前記脱イオン水の流速を測定するための、前記接触器の前記少なくとも1つの入口と流体連通しているセンサと、
前記センサと通信するコントローラであって
前記センサによって測定される前記脱イオン水の前記流速に基づいて、前記第2のガス供給源からの前記移送ガスの出力の圧力を調整し、及び、
)前記センサによって測定される前記脱イオン水の流速及び、ii)所定の導電率設定値、に基づいて、前記第1のガス供給源から供給される前記アンモニアガスの流速を設定するように構成されている前記コントローラとを備える、システム。
【請求項2】
前記混合ガス出口が、前記接触器の前記少なくとも1つの入口の上流で前記脱イオン水供給源と流体連通していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記接触器の前記少なくとも1つの入口の上流に設置されている静的混合装置であって、前記ガス混合装置からのガス混合物出力と前記脱イオン水供給源からの脱イオン水出力とを混合するための前記静的混合装置をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記接触器が充填カラム型又は充填塔型接触器であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記接触器の前記少なくとも1つの出口が、
前記接触器からのオフガスを排出するためのガス出口と、
アンモニアガスをその中に溶解した前記脱イオン水を出すための液体出口と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記接触器の上部及び下部と流体連通している液面レベルセンサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記接触器と流体連通している圧力センサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記脱イオン水の温度を測定するための前記接触器の前記少なくとも1つの入口及び、
アンモニアガスをその中に溶解した前記脱イオン水の温度を測定するための前記接触器の少なくとも1つの出口、
のうちの1つと流体連通している温度センサをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが前記温度センサと通信し、前記コントローラが、さらに、前記温度センサによって測定される温度に基づいて、前記第1のガス供給源から供給される前記アンモニアガスの前記流速を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ガス混合装置が、さらに、前記ガス混合装置の第1の入口と流体連通している少なくとも1つの流量制御装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ガス混合装置が、さらに、前記第2の入口と連通するガス注入器であって、前記ガス混合装置の前記少なくとも1つの流量制御装置の出口の開口部への前記移送ガスの流量を管理するために前記ガス混合装置内に設置されている前記ガス注入器を含むことを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記混合ガス出口が、前記脱イオン水供給源と流体連通していることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記接触器の前記少なくとも1つの入口が、
前記脱イオン水供給源と流体連通している液体入口と、
前記混合ガス出口と流体連通しているガス入口と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ガス入口が、実質的に前記接触器での平均液体レベルに設置されている、前記接触器内の出口オリフィスを含むことを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
脱イオン水にアンモニアガスを溶解する方法において、
ガス混合装置の第1の入口にアンモニアガスを供給する工程と、
前記ガス混合装置の第2の入口に移送ガスを供給する工程と、
前記ガス混合装置からの前記アンモニアガス及び前記移送ガスを含むガス混合物ならびに脱イオン水を接触器に供給する工程と、
前記脱イオン水の流速を測定する工程と、
i)前記脱イオン水の前記流速及び、ii)所定の導電率設定値、に基づいて前記アンモニアガスの流速を設定する工程と、
前記接触器から、アンモニアガスをその中に溶解した前記脱イオン水を前記接触器の液体出口を介してくみ出す工程と、
前記脱イオン水の前記流速に基づいて前記移送ガスの圧力を調整する工程とを備える、方法。
【請求項16】
前記接触器の上流で、前記ガス混合装置からの前記ガス混合物の出力と前記脱イオン水とを混合する工程をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記接触器が、充填カラム型又は充填塔型接触器であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記接触器のガス出口からオフガスを排出する工程と、
前記接触器の液体出口から、アンモニアガスをその中に溶解した前記脱イオン水を流出させる工程とをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記接触器での流体の液面レベルを検知する工程をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記接触器での流体の液圧を検知する工程をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
(i)前記脱イオン水及び、(ii)アンモニアガスをその中に溶解した前記脱イオン水、のうちの少なくとも1つの温度を検知する工程をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
さらに前記温度に基づいて供給するために、前記アンモニアガスの前記流速を設定する工程をさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ガス混合装置に供給される前記アンモニアガスの流速を少なくとも1つの流量制御装置で制御する工程をさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記移送ガスを供給することが、前記ガス混合装置の前記少なくとも1つの流量制御装置の出口の開口部への、前記ガス混合装置内の前記移送ガスの流量を管理する工程をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記接触器に前記ガス混合物を供給する工程が、前記接触器のガス入口に前記ガス混合物を供給する工程をさらに含み、前記ガス入口が、実質的に前記接触器での平均液体レベルに設置されている前記接触器内の出口オリフィスを含んでなることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に半導体デバイスの製造時のウェット洗浄作業に使用されるシステム及び方法に関する。特に、本願は、半導体製造プロセスに使用するための所望の濃度のNHを含む脱イオン水を生成して送るためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱イオン化水(「DI水」)及び超純水(本明細書では同義で使用される)は、半導体デバイス製造プロセスにおいて、リンス又はウェット洗浄作業のために一般的に用いられている。しかしながら、半導体製造プロセスにおいて、脱イオン化水などの実質的に非導電性の液体の使用はウエハ表面への電荷蓄積の一因となる可能性がある。このことは、特に回転しているウエハツールを使用する製造プロセスにおいて問題となる。なぜなら、洗浄作業に用いられる脱イオン化水とウエハとの間の接触によって生じる電気浸透効果は、電荷蓄積及び、結果として起こる静電気放電事象を引き起こす可能性があるからである。これらの事象は、ウエハ上の構造体を損傷させ、さらには破壊する可能性もあり、汚れ又は望ましくない粒子がウエハに付着する原因となる可能性もある。
【0003】
既存のシステムは、導電性洗浄液を用いてウェット洗浄作業時のウエハへの電荷蓄積を減少させようとしてきた。例えば、二酸化炭素(CO)などのガスを脱イオン化水に溶解して、炭酸化された脱イオン化水(「DI-CO」)を作ることができる。
【0004】
導電性DI-CO水によるリンスによってウエハ表面への電荷蓄積を防止することができ、かつデバイスの完全性を維持しつつ、実質的に損傷のない洗浄を可能にすることができる。COは、蒸発に伴い固体残留物を実質的に残さないというさらなる利点を有するもので、これは半導体加工において重要である。しかしながら、ウエハ製造の配線工程(BEOL)段階で一般的に用いられている銅及びコバルトなどの酸に敏感な材料を不必要にエッチングで除去しうる酸性度を脱イオン化CO水は有する。
【0005】
他のアプローチは、COの代わりにアンモニア(「NH」)を用いている。脱イオン化水にNHを溶解することによって、ウェット洗浄作業に使用するための、DI-COよりも実質的に低いエッチ速度を有するアルカリ溶液を作ることができる。
【0006】
NHは濃厚溶液又はガスで供給することができる。NHの脱イオン化水への高い溶解性のため、NHをその気相で使用すればNHは脱イオン化水にすべて吸収される。しかしながら、NHガスは脱イオン化水に反応性が高すぎるので、NHの流速が十分に低い場合、脱イオン化水がNHガス供給ライン及びNH弁に逆流する危険性が高い。これは重大な制御問題をもたらす可能性がある。なぜなら、弁の流動特性はガスを充填した弁と水を充填した同じ弁との間で大きく異なるからである。したがって、特に、通常の製造プロセスの過程で時々ガス流を遮断しなければならない場合、このような条件下では脱イオン化水へのNHガスの安定した流れを維持することが困難である。
【0007】
NHガスの流速を正確に制御することに伴う難題を、代わりに様々な流速(例えば1L/分~10L/分)を有する脱イオン化水中に実質的に一定の流速で供給されるガスを溶解するための中空糸膜システムを用いることによって回避しようとしてきたシステムもある。これらのシステムは、特定の条件下で安定した導電率を有する液体を送ることはできるが、液体の90%以上の飽和度を維持することによってそれを行うので、過剰のNH及び他のガスをこの膜システムに供給する必要がある。これは経済的に不利であるばかりでなく、このシステムから出る溶解されていないオフガスの処理に付加的な努力を必要とし、NHによる周囲空気の汚染のリスクを増大させることでもある。
【0008】
例えば、NHは毒性のガスであり、したがって周囲空気の汚染を避けるための特別な注意を必要とする。半導体製造の要件は、周囲空気へのNHの放出に関して一般的により限定的である。なぜなら、環境及び健康に対する一般的な許容濃度をはるかに下回っているNH濃度でさえ、特定の半導体の製造及び加工工程の妨げになる可能性があるからである。
【0009】
他のアプローチは、NHガスの使用を完全に避け、代わりに濃NH溶液を脱イオン化水に希釈している。しかしながら、このアプローチは1000倍以上もあり得る大変高い希釈率を必要とする。さらにまた、このような少量の液体を別の液体に正確に混合することは、限定された時間しか与えられないために難題である。多くの場合、限定された混合時間によって、システムの出口での液体のNH濃度に変動が生じる。これは、NH溶液と脱イオン化水との間で一定の流速を維持することによって克服することができる。しかしながら、特定の作業に少ない液体が必要な場合に、排出される液体が大量であるために一定の流速を維持することは好ましくない。一定の流速を用いることによって、大量の浪費される液体が排出され、したがって実質的に操業費が高くなる。
【0010】
加えて、濃NH水溶液は、接触によって周囲の空気からCOを吸収する。COは、NH水溶液を保存するために用いられている容器又はタンクの壁を通して浸透することもできる。これは、特に供給されるNH溶液の一部を再利用するシステムにおいて、経時的に液体の炭酸塩含有量の増加をもたらす可能性がある。NH溶液のpHと導電率との関係は炭酸塩含有量に基づいて変化するため、炭酸塩含有量はプロセス制御の妨げとなる可能性がある。したがって、水溶性のNHの溶解に基づくシステムは、供給される液体から炭酸塩及び他の不純物を取り除くためにさらなる加工工程及び、イオン交換体などの構成要素を必要とする。
【0011】
一般的に単一ウエハ用途に必要とされる動的に変化する脱イオン化水の流速での脱イオン化水のNH濃度の制御、又はそれに伴う導電率の制御は困難である。一般的には種々の導電率設定値も必要とされ、安定させるのに長時間かかる場合もあるため、処理量は減少し、したがって所有コストは高くなる。さらにまた、NH濃度と導電率との間の二次構成要素のために、脱イオン化水流量よりもNH流量により広い範囲が必要とされる。
【0012】
一定流量のための正確な定常状態濃度は、理論上はフィードバック制御を用いてすべての経時的差異を消去することによって達成することができる。しかしながら、動的に変化する洗浄液流の濃度の正確な制御ははるかに複雑である。なぜなら、実際のシステムは、ゼロ容積でも理想的に動くように造ることができないからである。実際のシステムは、流量の変化時に緩衝容積として機能する特定の容積を有する。したがって、濃度変化はしばしば遅れ、これは流速の変化時に過少注入量又は濃度のオーバーシュートをもたらし、これは導電率に影響する。このような挙動は好ましくなく、すべての条件でプロセス安定性を維持し、各処理チャンバが同一条件下で作動するように、これを導電率の小さな変化に限定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、ウェット洗浄作業などの半導体製造プロセスなどに用いるとき、ウエハ表面への電荷蓄積を防止するために、所望の濃度のNHをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性洗浄液を生成して送るためのシステム及び方法が求められている。本明細書に記載の技術は、ウェット洗浄及び他の半導体製造作業時に動的に変化する流速及び所望の導電率要求があっても、得られる液体のNH濃度の正確な制御を可能にする。さらにまた、本明細書に記載の概念は、高度なトランジスタ構造の処理のための先端の半導体製造プロセスに対応するエッチ速度を有するアルカリ溶液を生成することになるNH濃度を有する導電性溶液を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様において、本技術は、アンモニアガスを脱イオン水に溶解するシステムを特徴とする。本システムは脱イオン水供給源を含む。本システムは、アンモニアガスを供給するための第1のガス供給源と流体連通している第1の入口と、移送ガスを供給するための第2のガス供給源と流体連通している第2の入口と、アンモニアガス及び移送ガスを含むガス混合物を出すための混合ガス出口とを備えるガス混合装置をさらに含む。本システムは、接触器の少なくとも1つの入口を介して脱イオン水供給源及び混合ガス出口と流体連通している接触器をさらに含む。接触器は、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を生成する。本システムは、脱イオン水の流速を測定するための、接触器の少なくとも1つの入口と流体連通しているセンサをさらに含む。本システムは、センサと通信するコントローラをさらに含む。コントローラは、センサによって測定される脱イオン水の流速及び、所定の導電率設定値、に基づいて、第1のガス供給源から供給されるアンモニアガスの流速を設定するように構成されている。
【0015】
本技術は、以下の特徴のいずれかをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、混合ガス出口は、接触器の少なくとも1つの入口の上流で脱イオン水供給源と流体連通している。
【0016】
いくつかの実施形態において、静的混合装置は、接触器の少なくとも1つの入口の上流に設置されている。静的混合装置は、ガス混合装置からのガス混合物出力と脱イオン水供給源からの脱イオン水出力とを混合するためのものである。
【0017】
いくつかの実施形態において、接触器は充填カラム型又は充填塔型接触器である。いくつかの実施形態において、接触器の少なくとも1つの出口は、接触器からのオフガスを出すためのガス出口と、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を出力するための液体出口とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、本システムは、接触器の上部及び下部と流体連通している液面レベルセンサをさらに含む。いくつかの実施形態において、本システムは、接触器と流体連通している圧力センサをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、本システムは、脱イオン水の温度を測定するための接触器の少なくとも1つの入口及び、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水の温度を測定するための接触器の少なくとも1つの出口、のうちの1つと流体連通している温度センサをさらに含む。いくつかの実施形態において、コントローラは温度センサと通信し、コントローラは、さらに、温度センサによって測定される温度に基づいて、第1のガス供給源から供給されるアンモニアガスの流速を設定するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態において、コントローラは、さらに、センサによって測定される脱イオン水の流速に基づいて、第2のガス供給源からの移送ガス出力の圧力を調整するように構成されている。いくつかの実施形態において、ガス混合装置は、さらに、ガス混合装置の第1の入口と流体連通している少なくとも1つの流量制御装置を含む。いくつかの実施形態において、ガス混合装置は、さらに、第2の入口と連通するガス注入器を含み、ガス注入器は、ガス混合装置の少なくとも1つの流量制御装置の出口の開口部への移送ガスの流量を管理するためにガス混合装置内に設置されている。
【0021】
いくつかの実施形態において、本システムは、接触器の少なくとも1つの液体出口と流体連通しているポンプをさらに含む。
いくつかの実施形態において、混合ガス出口は脱イオン水供給源と流体連通している。いくつかの実施形態において、接触器の少なくとも1つの入口は、脱イオン水供給源と流体連通している液体入口と、混合ガス出口と流体連通しているガス入口とを含む。いくつかの実施形態において、ガス入口は、実質的に接触器での平均液体レベルに設置されている、接触器内の出口オリフィスを含む。
【0022】
本技術は、他の態様において、アンモニアガスを脱イオン水に溶解する方法を特徴とする。本方法は、ガス混合装置の第1の入口にアンモニアガスを供給し、ガス混合装置の第2の入口に移送ガスを供給し、ガス混合装置からのアンモニアガス及び移送ガスを含むガス混合物ならびに脱イオン水を接触器に供給することを含む。本方法は、脱イオン水の流速を測定し、脱イオン水の流速及び所定の導電率設定値に基づいてアンモニアガスの流速を設定することをさらに含む。本方法は、接触器から、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を流出させることをさらに含む。
【0023】
本技術は、以下の特徴のいずれかをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、本方法は、接触器の上流で、ガス混合装置からのガス混合物出力と脱イオン水とを混合することをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、接触器は充填カラム型又は充填塔型接触器である。いくつかの実施形態において、本方法は、接触器のガス出口からオフガスを排出することと、接触器の液体出口から、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を流出させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、接触器での流体の液面レベルを検知することをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、接触器での流体の液圧を検知することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、脱イオン水及び、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水の少なくとも1つの温度を検知することをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、温度に基づいて供給するために、アンモニアガスの流速を設定することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、脱イオン水の流速に基づいて移送ガスの圧力を調整することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本方法は、ガス混合装置に供給されるアンモニアガスの流速を少なくとも1つの流量制御装置で制御することをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、移送ガスを供給することが、ガス混合装置の少なくとも1つの流量制御装置の出口の開口部への、ガス混合装置内の移送ガスの流量を管理することをさらに含むことをさらに含む。
【0028】
本方法のいくつかの実施形態において、流出させることは、接触器の液体出口を介して、アンモニアガスをその中に溶解した脱イオン水を接触器からポンプでくみ出すことをさらに含む。いくつかの実施形態において、本方法は、接触器にガス混合物を供給することが、接触器のガス入口にガス混合物を供給することをさらに含み、ガス入口が、実質的に接触器での平均液体レベルに設置されている接触器内の出口オリフィスを含むことをさらに含む。
【0029】
本明細書に記載のシステム及び方法の利点は、さらなる利点とともに、添付図面と併せて読まれる以下の説明を参照することによりさらによく理解されるであろう。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、むしろ記載された実施形態を例としてのみ図解するために強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための第1実施形態のブロック図。
図2】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るためのシステムの例示的なシステムの詳細なブロック図。
図3】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るためのシステムの第2実施形態のブロック図。
図4】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステムの詳細なブロック図。
図5】本明細書に記載の技術の実施形態による例示的なガス混合装置のブロック図。
図6】本明細書に記載の技術の実施形態による例示的なガス混合装置のブロック図。
図7】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスを脱イオン化水に溶解する方法700のフロー図。
図8】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステムの性能のグラフ。
図9】本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステムの性能のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0031】
脱イオン化水に溶解したNHガスを含む導電性液体は、リンス又はウェット洗浄作業のための半導体デバイス製造プロセスに用いることができる。例えば、このような導電性液体は、単一ウエハスピンツールなどのツールを用いる製造プロセスに一般的に用いられる。スピンツールは、一般的に、単一ウエハをチャンバ内で順次処理する。処理量の多いスピンツールには、処理量を増すために2以上のチャンバ(例えば20のチャンバ)を含むことができるものもある。しかしながら、個々のチャンバ内で実施される作業は一般的に同期化されておらず、導電性リンス剤に対してランダムに変化する要求が生じる。したがって、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水の供給源は、リンス剤の所望の導電率を維持するために、動的に変化する流速において安定したNH濃度を維持することができなければならない。
【0032】
図1は、所望の濃度のNHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るためのシステム100のブロック図である。システム100は、ガス混合装置110、接触器115、センサ120a及びセンサ120b(一括してセンサ120と呼ぶ)を含む。システム100は電源(図示せず)も含み、また制御モジュール125を含むこともできる。
【0033】
ガス混合装置110は1以上のガス入口を含むことができ、1以上のガス供給源に接続されることができる。図1に示す例において、ガス混合装置110の第1の入口は、NHガスの供給源と流体連通しており、ガス混合装置110の第2の入口は、移送ガスを供給するための供給源と流体連通している。いくつかの実施形態において、移送ガス供給源は窒素(N)ガスを供給する。いくつかの実施形態において、移送ガス供給源は希ガス(例えばアルゴン、ヘリウム)を供給する。
【0034】
ガス混合装置110は、ガス混合装置110に出入りする各ガスの流速及び量の監視及び制御、もしくはそのいずれかを行うために、複数の可変弁、オンオフ弁、フィルタ及びマスフローコントローラを含むことができる。ガスは、ガス混合装置110内で混合された後、出口を介して出ていくことができる。ガス混合装置110を出ていくガス混合物は接触器115に送ることができる。
【0035】
接触器115においてNHガスと脱イオン化水とを混合する前に、ガス混合装置110を用いてNHガスと移送ガスとを混合することは特定の利点を提供する。例えば、NHガスと、Nなどの水に溶解性の低い移送ガスとを混合することによって、脱イオン化水をNH供給物中に吸い戻されることを防止することができる。なぜなら、移送ガスは脱イオン化水とNH供給ラインと制御弁から隔てるように影響を及ぼすからである。さらにまた、Nは、NHガスと混合されたとき可燃性混合物を形成せず、それによって安全上の懸念を排除する。ガス混合装置110の操作及び、この技術にそれが提供するさらなる利点について、図5及び図6を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0036】
接触器115は、一般的に、ガス混合装置110からガス混合物を受け取るための少なくとも1つの入口、脱イオン化水供給源から脱イオン化水を受け取るための少なくとも1つの入口、過剰のガス(例えばオフガス)を放出又は排出するための少なくとも1つの出口及び、リンス剤又は導電性液体出力(例えばNHガスをその中に溶解した脱イオン化水)を送るための少なくとも1つの出口を含む。ガス混合物は、接触器115に注入又はパージされることができる。接触器115は、必要に応じて加圧又は排気されることができる。接触器115は、一般的に、泡のないリンス液の生成を可能にする。
【0037】
システム100は、システム100への種々の入力及び、接触器115からの導電性液体出力に関する複数のパラメータを監視するためのセンサ120を含むことができる。いくつかの実施形態において、センサ120aは、脱イオン化水供給源からの脱イオン化水の流速を測定するための流量計を含み、センサ120bは、接触器115からの液体出力の温度を測定するための温度センサを含む。いくつかの例において、センサ120bは、接触器115からの液体出力の導電率を測定するための導電率センサをさらに含む。いくつかの実施形態において、システム100は、システム100内の種々の段階においてガス及び液体の複数のパラメータを測定するための1以上の他のセンサを含むことができる。このようなパラメータは、流速、導電率、温度及び圧力を含むことができる。
【0038】
制御モジュール125は、センサ120及びガス混合装置110と流体連通及び電気的通信、もしくはそのいずれかをすることができる。制御モジュール125は、プロセッサ、メモリリソース、キーパッド及びディスプレイを含むことができる。プロセッサは、例えばコンピュータのマイクロプロセッサであり得る。制御モジュール125は、システム100における各弁、マスフローコントローラ及びセンサの自動制御及び監視、もしくはそのいずれかを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、システム100における各弁、マスフローコントローラ及びセンサは、手動で制御することができる。
【0039】
一実施形態において、制御モジュール125は、使用者によって選択される導電率(κ)設定値に基づいて、ガス混合装置110に、続いて接触器115に提供するNHガスの所望の注入量を決定することができる。例えば、NHが水(HO)に溶解するとき、それは解離して、以下の反応に従ってアンモニウム粒子及び水酸化物粒子の生成をもたらす。
NH+HO<->NH +OH …数1
この解離は、水温の関数である塩基解離定数Kに支配されている。Kの温度依存性は特徴付けられており、制御モジュール125に格納することができる所定の量である。制御モジュール125によって行われる計算のために、NH 及びOHの濃度は同一であると近似することができる。次式は、測定された水温(例えばセンサ120bによって測定された温度)における解離定数Kに基づくNHの所望濃度「cNH」を提供する。
сNH=(cNH +Λ2+K(T)*сNH )/K(T) …数2
NHガスの所望の流量は、濃度cNH及び、センサ120aによって測定された脱イオン化水の流速から計算することができる。
NH3=FH2O*cNH …数3
NH 濃度及びOH濃度は、温度依存性の比等量導電率(ΛNH4(T)+ΛOH-(T))に基づくκに等しい導電率をもたらす。比等量導電率の温度依存性は特徴付けられており、制御モジュール125に格納されることができる所定の量である。このように、コントローラは、接触器115からの液体出力の測定温度TからΛNH4(T)+ΛOH-(T)を算出することができる。コントローラは、次式:
κ=(ΛNH4(T)+ΛOH-(T))*cNH …数4
で与えられる所定の導電率設定値κからcNH を算出する。
【0040】
したがって、制御モジュール125はフィードフォワード制御ループにおける所望のNHガス流を算出し、システム100が脱イオン化水の流速の変化に迅速に反応し、所望の導電率を有するリンス液を提供することを可能にする。例えば制御モジュール125は、ガス及び脱イオン化水の両方又はいずれかの流速を調整するために、システム100の1以上の弁を制御することができる。いくつかの実施形態において、計算は、センサ120bによって測定される液体の得られる導電率に基づいて大変ゆっくり変化する補正率を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、制御モジュール125は、脱イオン化水供給物からの脱イオン化水の測定温度に基づいて供給するNHガスの所望の流速又は注入量を算出する。いくつかの実施形態において、制御モジュール125は、接触器115からの導電性流体出力の測定流速に基づいて供給するNHガスの所望の流速又は注入量を算出する。いくつかの実施形態において、供給するNHガスの所望の流速又は注入量の計算は、実際に得られる温度測定値を必要とせずに、システムの液体の温度範囲についての所定の仮定に基づかせることができる。例えば、温度値は半導体製造施設において観察される典型的な環境条件に基づかせることができる。
【0042】
図2は、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステム200の詳細図を示す。
システム200は、移送ガスとNHガスとを混合するためのガスボックスすなわちガス混合装置C1を含む。ガス混合装置C1は、NHガスを脱イオン化水に溶解するために用いられる接触器B1と流体連通している。ガス混合装置C1は、NHガスを受け取るための第1の入口及び、移送ガスを受け取るための第2の入口を含む。
【0043】
第1のガス供給源からのNHガスは、NH供給ラインに流入する移送ガスによって引き起こされる汚染を防止するのに役立つことができるチェック弁V21、供給物のガス漏れの場合にNH流量を制限することができる流量制限器V27及び、システム200の停止時にNH入口を遮断するために用いることができる空気圧2方弁V25を経由してガス混合装置C1の第1の入口に供給される。
【0044】
第2のガス供給源からの移送ガスは、移送ガス供給物へのNHガスの二次汚染を防止するのに役立つことができるチェック弁V29及び、移送ガス圧力を制御するために用いられる圧力制御装置PRC5(弁V5を含む)を経由してガス混合装置C1の第2の入口に供給される。圧力逃がし弁V10は、圧力制御装置PRC5とガス混合装置C1の第2の入口との間に設置され、破滅的なシステム障害が起きる前に供給ラインでの圧力上昇を軽減するための安全装置として用いることができる。
【0045】
NHガス及び移送ガスを含むガス混合物は、運転停止時及び警報時に接触器B1からガス混合装置C1を遮断することができる空気圧2方弁V2及び、予想外に圧力が増加した場合においてガス混合装置C1に液体が逆流するのを制限することができる流量制限器V24を経由してガス混合装置C1の出口から接触器B1の入口に供給される。静電容量式液体センサM5は、ガス混合装置C1の出口付近に設置され、液体の逆流を検出するための安全センサとして機能する。いくつかの実施形態において、静電容量式液体センサM5は、システム200の安全対策の一部として流量制限器V24とともに用いられる。手動2方弁V91は、システムメンテナンス時に混合ガス供給ラインをパージすることを可能にする。
【0046】
図2の図において、流量制限器V24を介してガス混合物を受け取るための接触器B1の入口は接触器B1の下部に示されている。この図は、ガスと液体との間の可能な限り高い物質移動速度を実現するために、可能な限り低い位置で接触装置にガスが導入される接触器B1のようなガス-液体接触装置の典型的な運転モードを反映している。少し直観に反しているが、接触器B1におけるこの部分からガス混合物を供給することは、出口の液体の導電率の大きな変動の原因となる可能性があり、これは望ましくない。
【0047】
いくつかの実施形態において、出力液の導電率のよりよい安定性は、それが実質的に接触器での液体の平均レベル又は高さにあうように接触器B1内の接触器入口の開口部を位置決めすることによって達成することができる。この概念は、図2において、接触器入口から接触器B1の中央に向けて延びている点線によって示されている。接触器B1のガス入口が接触器B1の下部又はその付近にガス混合物を供給するように物理的に設置されている場合であっても、接触器B1の内部の入口管の出口オリフィスは、出力液の導電率のよりよい安定性をもたらす高さに設置されることができる。
【0048】
接触器B1は、その中で行われている反応からのオフガスを排出又は排気するための出口をさらに含むことができる。例えば、ガス混合物からのNHは接触器B1内の脱イオン化水に溶解するため、移送ガスは接触器B1の出口から排出されることができる。いくつかの実施形態において、溶解されていないNHガスの微小な部分が接触器B1から排出される。いくつかの実施形態において、接触器B1のガス出口は、接触器B1からのガス流を効果的に「絞る」ために用いることができる流量制限器V28、運転停止時にガス出口を遮断することができる空気圧2方弁V4及び、そのガス出口を通じて排気からの汚染物質が接触器B1に入るのを防止するために用いられるガスフィルタ(フィルタ5)を経由して排気口(図2「オフガス出口」)と流体連通している。さらにまた、手動2方弁V92は、システム200のメンテナンスのための空気抜き弁として用いることができる。
【0049】
図2に示すように、運転停止時に脱イオン化水入口ラインを遮断することができる空気圧2方弁V3及び、接触器B1の液体入口への脱イオン化水の流速を制御するために用いることができる空気圧2方弁V6を経由して脱イオン化水供給源から接触器B1に脱イオン化水を供給することができる。さらにまた、位置決め装置POSV6は、弁V6の位置を制御するために用いることができる空気圧位置決め装置である。P2は、十分な水圧を提供して、圧力の低い脱イオン化水供給物を有する位置においてシステム200の操作を可能にするための任意選択の加圧ポンプである。いくつかの実施形態において、静電容量式ガスセンサL4は脱イオン化水供給ラインと流体連通しており、供給ライン内に液体が存在するかどうかを決定するために用いることができる。
【0050】
システム200は、脱イオン化水供給源から供給される脱イオン化水のバイパス流路をさらに含む。このバイパス経路は接触器B1からの液体出力を希釈するために用いることができる。図2に示すように、位置決め装置POSV31は空気圧位置決め装置であり、これは空気圧2方弁V31の連続弁位置調整を用いるバイパス流量の制御のために用いることができる。流量計FR31は脱イオン化水のバイパス流量を測定することができ、それによって、接触器B1からのNHをその中に溶解した脱イオン化水と、アンモニアを溶解していない非混合の脱イオン化水との混合比を制御するために、バイパス経路において弁の所望の位置を決定するのに用いることができる。圧力センサPR3からの入口脱イオン化水圧の測定値は、弁V6及びV31の所望の弁位置を算出するために用いることもできる。いくつかの実施形態において、セパレータS3は、脱イオン化水供給ラインと圧力センサPR3との間に設置される。セパレータS3などのセパレータは、システム200の液体が、圧力センサのステンレスのハウジング又はボディとの当接によって汚染されることから防止するために用いることができる。いくつかの実施形態において、システム200は、システム200における液体と直接接触することができる材料で構築される1以上の圧力センサを含む。
【0051】
接触器B1の液体出口での十分な圧力を維持し、出力液におけるNHの一定の安定した濃度を助けるために、接触器B1の内部の圧力が測定され、制御される。圧力制御は、脱イオン化水供給源から接触器B1又はバイパス経路への脱イオン化水流量に影響を及ぼす。脱イオン化水供給源によって供給される脱イオン化水の圧力は圧力センサPR3によって測定され、接触器B1の内部の圧力は圧力センサPR4によって測定される。いくつかの実施形態において、セパレータS4は混合ガス供給ラインと圧力センサPR4との間に設置される。これらの圧力測定値は、弁V6の開口位置を算出するために用いることができる。コントローラ(例えば図1の制御モジュール125)は、位置決め装置POSV6を介して弁V6の開口位置を制御するために用いることができる。
【0052】
本明細書に記載の圧力制御の原理は、入口脱イオン化水圧と出口液圧とを分断し、接触器B1の内部の安定した圧力を有利に維持することである。接触器B1における圧力変動は、直ちには脱イオン化水に溶解しない、ガス供給ラインでのNHガスの蓄積をもたらし、導電性出力液の濃度低下を引き起こす可能性があるので、これは重要である。このように、接触器B1の内部の安定した圧力を維持することが重要である。
【0053】
いくつかの実施形態において、接触器B1は、液体が接触器の上部から下部に流れる時に実質的ガス-液体接触面を提供するように塔充填物で充填される充填カラム型又は充填塔型接触器である。
【0054】
接触器B1内において特定の液体レベルを維持することができる。例えば、接触器B1に対する平行ラインはレベルゲージとして機能し、液体レベルは静電容量計L1で測定される。いくつかの実施形態において、液体レベルは実質的に接触器B1の下部に維持され、接触器B1は主としてガスで充填される。
【0055】
静電容量式液体センサLAHは接触器B1内部の液体レベルを測定し、それが高くなりすぎる場合に、接触器B1のガス出口に液体が流れ込むのを防止するのに役立つ安全機能として警報を提供する。静電容量式ガスセンサLALはまた、接触器B1内部の液体レベルを測定し、液体レベルが低くなりすぎる場合に、接触器B1の液体出口にガスが流れ込むのを防止するのに役立つ安全機能として警報を提供する。
【0056】
使用者によって選択される導電率設定値による導電率を有する導電性出力液(例えばNHをその中に溶解した脱イオン化水)は、半導体製造作業(例えばリンス作業、ウェット洗浄作業)に使用するための、接触器B1の少なくとも1つの液体出口からの出力であり得る。接触器B1の少なくとも1つの液体出口は、導電性出力液を濾過することができるフィルタ(フィルタ81)及び、システム200の停止時において接触器B1の液体出口を遮断することができる空気圧2方弁V8を経由してシステム200の1以上の液体出口と流体連通することができる。空気圧2方弁V12は、システム200のメンテナンスのためのフィルタドレン弁として用いることができる、流量制限器V41は、フィルタ(フィルタ81)からパージされる液体の流量を制限するために用いることができる。さらにまた、空気圧2方弁V13は、フィルタ(フィルタ81)の脱気のための用いることができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、空気圧2方弁V11は中央ドレン弁として用いることができ、空気圧2方弁V15は、種々のメンテナンス目的のために、さらなるドレンとして用いることができる。
【0058】
接触器B1からの導電性液体出力の流速は、流量計FR21で測定することができる。いくつかの実施形態において、FR21は超音波流量測定装置である。いくつかの実施形態において、システム200は、脱イオン化水供給源からの脱イオン化水の流速を測定するための流量センサを含む。接触器B1からの導電性液体出力の温度は、センサQlを用いて混合装置の出口で測定することができる。いくつかの実施形態において、センサQlは組み合わされた導電率と温度のセンサであり、液体の導電率もまた測定する。いくつかの実施形態において、接触器B1からの液体出力の導電率の測定に別のセンサが用いられる。上記のように、脱イオン化水の流速及び導電性液体温度の測定値は、液体流速変化に対する大変迅速な導電率変化を実現するために適用されるフィードフォワード制御である所望のNHガス流速の算出のために用いることができる。
【0059】
流量制限器V43は、センサQlを通じて、又はセンサQlによって液体の流量を制限するために用いることができ、空気圧2方弁V14は、運転停止のためにセンサQlを遮断するために用いることができる。いくつかの実施形態において、システム200は、水漏れを検出するためにドロップパン内又はドロップパン上に設置される液体センサである静電容量型液体センサM12を含む。いくつかの実施形態において、システム200は、ドロップパンに漏れた液体を除去するためのドレンを含む。いくつかの実施形態において、システム200は、システム200の構成要素を収納するキャビネットの圧力差を測定するための圧力センサPR18を含み、PR18は、システム200からの排気流量の不足などの故障モードを示すための警報を発する。いくつかの実施形態において、空気圧制御弁の作業のために、清浄な乾燥空気CDAがシステム200に供給される。いくつかの実施形態において、システム200は、システム200の構成要素における漏れを検出するために用いることができる探知器ポートを含む。
【0060】
前述の例示的なシステム200において、ガス混合物は、接触器の下部又はその付近に設置される入口に供給される。さらにまた、ガス混合物は、接触器の下部又はその付近に設置されることもできる、あるいは出力液の導電率のよりよい安定性のために実質的に接触器での液体の平均レベル又は高さに設置されることができる入口管の出口オリフィスを介して接触器の液体に流入する。
【0061】
脱イオン化水へのガス混合物注入部位は、NH濃度の安定性に影響し、関連して、脱イオン化水流量変化に応じた液体の導電率に影響することが分かった。接触器のガスと、液体の流れない「デッドボリューム」の存在は、NH流速の変化に対して反応を遅れさせることができるバッファとして機能する。したがって、いくつかの実施形態において、ガス混合物を接触器の上部に提供するか、又は接触器の液体入口の上流で脱イオン化水供給ラインに直接に提供することは有利になり得る。
【0062】
図3は、所望の濃度のNHガスをその中に溶解した脱イオン化水を作って送るためのシステム300のブロック図である。システム300は、システム100と実質的に同様であり、ガス混合装置110、接触器115、センサ120a及びセンサ120b(一括してセンサ120と呼ぶ)を含む。システム300は電源(図示せず)も含み、また制御モジュール125を含むこともできる。
【0063】
しかしながら、図3に示すように、ガス混合装置110からのガス混合物は、接触器115の別の入口に直接に供給される代わりに、接触器115の液体入口の上流で脱イオン化水供給ラインに供給される。さらにまた、ガス混合物が接続される部分の下流での脱イオン化水供給ラインの高直径部分は、その中に混合要素を設置することができる。したがって、脱イオン化水供給ラインに直接にガス混合物を注入することによって、NHガスの大部分は、接触器115に流入する前に脱イオン化水に溶解されることができる。
【0064】
続いて、脱イオン化水及び溶解されたNHを含む導電性液体は、溶解されていない残存ガスとともに接触器115の上部に注入される。接触器115は、実質的ガス-液体接触面を提供するように塔充填物で充填される充填カラム型又は充填塔型接触器であり得る。接触器115内に残存する溶解されていないNHガスが液体に溶解される。同時に、液体はそれ自体と混合され、液体中でNHのより均一な分布をもたらす。さらにまた、液体と移送ガスは分離され、導電性液体のみが接触器115の下部の液体出口から流出し、他方で移送ガスは、接触器115の上部においてオフガス出口から排出される。
【0065】
図4は、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステム400の詳細図を示す。
システム400は、移送ガスとNHガスとを混合するためのガスボックスすなわちガス混合装置C1を含む。ガス混合装置C1は、NHガスを脱イオン化水に溶解するために用いられる接触器B1と流体連通している。ガス混合装置C1は、NHガスを受け取るための第1の入口及び、移送ガスを受け取るための第2の入口を含む。
【0066】
第1のガス供給源からのNHガスは、必要に応じてガスの流量の手動制御を可能にするための手動2方弁V95、供給物のガス漏れの場合にNH流量を制限することができる流量制限器V27、NH供給ラインに流入する移送ガスによって引き起こされる汚染を防止するのに役立つことができるチェック弁V21及び、システム400の停止時にNH入口を遮断するために用いることができる空気圧2方弁V25を経由してガス混合装置C1の第1の入口に供給される。圧力センサPR9は、制御及び診断の目的でNHガス圧力の測定に用いることができる。手動2方弁V93は、設置後にNHガス供給ラインの気密性をチェックすることを可能にする。
【0067】
第2のガス供給源からの移送ガスは、運転停止時に移送ガス供給ラインを遮断することができる空気圧2方弁V26、移送ガス供給物へのNHガスの二次汚染を防止するのに役立つことができるチェック弁V29、移送ガス圧力を制御するために用いられる圧力制御装置PRC5(弁V5を含む)及び、移送ガス流を制限する流量制限器V36を経由してガス混合装置C1の第2の入口に供給される。例えば、移送ガスの流量は、計算された流量制限器V36の前後の圧力差を維持することによって制御することができる。これは、ガス入口圧力についての診断情報を得ると同時に、ガス流量を制御することができるという利点を有する。いくつかの実施形態において、圧力センサPRC5は、システム400の起動時に基準圧力センサとして用いることもできる。
【0068】
システム400は、安全上の理由から、そしてメンテナンスタスクのためにシステムからNHガスをパージすることを可能にするために、弁V32、V30及びVN2C1ならびに流量計FRN2C1をさらに含む。いくつかの実施形態において、流量計FRN2C1及び弁VN2C1は、NH漏れの場合にガス混合装置の内部でNH及び空気の可燃性混合物が形成されるのを防止するために用いられる。例えば、それらは、NHガス漏れによって空気との可燃性混合物が生じる可能性のあるガス交換が不十分な領域にNなどの移送ガスを供給するために用いることができる。
【0069】
NHガス及び移送ガスを含むガス混合物は、ガス混合装置C1の出口から、運転停止時及び警報時に脱イオン化水供給ラインからガス混合装置C1を遮断することができる空気圧2方弁V2及び、予想外の圧力増加の場合にガス混合装置C1への液体の逆流を制限することができる流量制限器V24を経由して接触器B1の上流の脱イオン化水供給ラインに供給される。静電容量式液体センサM5は、ガス混合装置C1の出口付近に設置され、液体の逆流を検出するための安全センサとして機能する。いくつかの実施形態において、静電容量式液体センサM5は、システム200の安全対策の一部として流量制限器とともに用いられる。手動2方弁V91は、システムメンテナンス時に混合ガス供給ラインをパージすることを可能にする。
【0070】
図4に示すように、脱イオン化水は、運転停止時に脱イオン化水入口ラインを遮断することができる空気圧2方弁V3及び、接触器B1の液体入口への脱イオン化水の流速を制御するために用いることができる空気圧2方弁V6を経由して脱イオン化水供給源から接触器B1に供給されることができる。さらにまた、位置決め装置POSV6は、弁V6の位置を制限するために用いることができる空気圧位置決め装置である。P2は、十分な水圧を提供して、脱イオン化水供給物の圧力が低い位置においてシステム400の操作を可能にするための任意選択の加圧ポンプである。
【0071】
フィルタ(フィルタ83及びフィルタ82)は、ポンプP1のポンプの作動又は供給ラインにおける弁のいずれかの作動からもたらされた可能性のある任意の粒子を除去するために、接触器に供給される前に脱イオン化水を濾過することができる。空気圧2方弁V17は、システム400のメンテナンスのためのフィルタドレン弁として用いることができ、流量制限器V44は、フィルタ(フィルタ82)からパージされる液体の流量を制限するために用いることができる。さらにまた、空気圧2方弁V18はフィルタ(フィルタ82)の脱気のために用いることができる。同様に、空気圧2方弁V16はシステム400のメンテナンスのためにフィルタドレン弁として用いることができ、流量制限器V45は、フィルタ(フィルタ83)からパージされる液体の流量を制限するために用いることができる。空気圧2方弁V19はフィルタ(フィルタ83)の脱気のために用いることができる。
【0072】
圧力センサPR3からの入口脱イオン化水圧の測定値は、弁V6の所望の弁の位置を算出するために用いることもできる。いくつかの実施形態において、セパレータS3は脱イオン化水供給ラインと圧力センサPR3との間に設置される。
【0073】
いくつかの実施形態において、静電容量式ガスセンサL4は脱イオン化水供給ラインの外面に装着され、供給ライン内部に液体が存在するかどうかを決定するために用いることができる。脱イオン化水供給物の流速は流量計FR21で測定することができる。いくつかの実施形態において、FR21は超音波流量測定装置である。いくつかの実施形態において、システム400は、接触器の液体出口からの導電性液体の流速を測定するための流量センサを含む。
【0074】
接触器B1は、その中で行われている反応からのオフガスを排出するための出口をさらに含むことができる。例えば、ガス混合物からのNHは接触器B1内の脱イオン化水に溶解するため、移送ガスは接触器B1の出口から排出されることができる。いくつかの実施形態において、溶解されていないNHガスの微小な部分が接触器B1から排出される。いくつかの実施形態において、接触器B1のガス出口は、接触器B1からのガス流を効果的に「絞る」ために用いることができる流量制限器V28、運転停止時にガス出口を遮断することができる空気圧2方弁V4及び、そのガス出口を通じて排気からの汚染物質が接触器B1に入るのを防止するために用いられるガスフィルタ(フィルタ5)を経由して排気口(図4「オフガス出口」)と流体連通している。さらにまた、手動2方弁V92は、システム400のメンテナンスのための空気抜き弁として用いることができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、接触器B1は、液体が接触器の上部から下部に流れる時に実質的ガス-液体接触面を提供するように塔充填で充填される充填カラム型又は充填塔型接触器である。
【0076】
接触器B1内において特定の液体レベルを維持することができる。例えば、接触器B1に対する平行ラインはレベルゲージとして機能し、液体レベルは静電容量計L1で測定される。いくつかの実施形態において、接触器B1は主としてガスで充填され、液体レベルは実質的に接触器B1の下部に維持される。
【0077】
静電容量式液体センサLAHは接触器B1内部の液体レベルを測定し、それが高くなりすぎる場合に、接触器B1のガス出口に液体流が入るのを防止するのに役立つ安全機能として警報を提供する。静電容量式ガスセンサLALはまた、接触器B1内部の液体レベルを測定し、液体レベルが低くなりすぎる場合に、接触器B1の液体出口にガスが流れ込むのを防止するのに役立つ安全機能として警報を提供する。
【0078】
制御モジュールは、弁V6を介して水流量及びPRC5における移送ガス圧力を調整することによって、圧力センサPR4及びPR10において測定される接触器内の液体レベル及び圧力を制御する。特に、圧力センサPR10は、接触器内の過圧を検出する安全目的で使用される。いくつかの実施形態において、セパレータS4は混合ガス供給ラインと圧力センサPR4との間に設置され、セパレータS10は混合ガス供給ラインと圧力センサPR10との間に設置される。
【0079】
使用者によって選択される導電率設定値による導電率を有する導電性出力液(例えばNHをその中に溶解した脱イオン化水)は、半導体製造作業(例えばリンス作業、ウェット洗浄作業)に使用するための、接触器B1の少なくとも1つの液体出口からの出力であり得る。接触器B1の少なくとも1つの液体出口は、導電性出力液を濾過することができるフィルタ(フィルタ81)及び、空気圧2方弁V8の連続弁位置調整を用いてシステムからの液体の流量を制御するために用いることができる空気圧位置決め装置である位置決め装置POSV8を経由してシステム400の1以上の液体出口と流体連通していることができる。いくつかの実施形態において、システム400は、システムからの導電性液体出力の圧力を高めるためのポンプP1を含む。
【0080】
空気圧2方弁V12はシステム400のメンテナンスのためのフィルタドレン弁として用いることができ、流量制限器V41及びV42は、フィルタ(フィルタ81)からパージされる液体流量を制限するために用いることができる。さらにまた、空気圧2方弁V13及びV20はフィルタ(フィルタ81)の脱気のために用いることができる。空気圧2方弁V15は、種々のメンテナンス目的のためのさらなるドレンとして用いることができる。圧力センサPR8は導電性液体の圧力を測定するために用いることができる。コントローラは、動的に変化する液体流速においてシステム400の出口での定圧を提供するために、圧力センサPR8において測定された圧力を用いてポンプP1のポンプ能力をどれだけ調整するかを決定することができる。いくつかの実施形態において、セパレータS8は導電性液体供給ラインと圧力センサPR8との間に設置される。
【0081】
いくつかの実施形態において、空気圧2方弁V11は中央ドレン弁として用いることができ、空気圧2方弁V15は種々のメンテナンス目的のためにさらなるドレンとして用いることができる。
【0082】
接触器B1からの導電性液体出力の温度は、センサQlを用いて混合装置の出口で測定することができ、導電性液体の導電率は、センサTR1を用いて測定することができる。いくつかの実施形態において、センサQlは組み合わされた導電率と温度のセンサである。流量制限器V43はセンサQl及びセンサTR1を通じて、又はそれらによって液体の流量を制限するために用いることができ、空気圧2方弁V14は、運転停止のために、センサQl及びセンサTR1を遮断するために用いることができる。
【0083】
上記のように、脱イオン化水の流速及び導電性液体の温度の測定値は、液体流速変化に対する大変迅速な導電率変化を実現するために適用されるフィードフォワード制御である所望のNHガス流速の算出のために、導電率設定値とともに用いることができる。いくつかの実施形態において、NHガス流速の計算は、接触器B1からの導電性液体出力の流速の測定値に基づく。いくつかの実施形態において、NHガス流速の計算は、脱イオン化水供給源から供給される脱イオン化水の温度測定値に基づく。いくつかの実施形態において、NHガス流速の計算ために静温度値が用いられる。
【0084】
いくつかの実施形態において、システム400は、水漏れを検出するためにドロップパン内又はドロップパン上に設置される液体センサである静電容量型液体センサM12を含む。いくつかの実施形態において、システム400は、ドロップパンに漏れた液体を除去するためのドレンを含む。いくつかの実施形態において、システム400は、システム400の構成要素を収納するキャビネットの圧力差を測定するための圧力センサPR18を含み、PR18は、システム400からの排気流量の不足などの故障モードを示すための警報を発する。いくつかの実施形態において、システム400は、NHガス漏れを検出するために、キャビネットのNHレベルを監視するための安全モニタとしてセンサQ2を用いる。いくつかの実施形態において、空気圧制御弁の操作のために、清浄な乾燥空気CDAがシステム400に供給される。いくつかの実施形態において、システム400は、システム400の構成要素における漏れを検出するために用いることができる探知器ポートを含む。
【0085】
図5は、本明細書に記載の技術の実施形態による例示的なガス混合装置500のブロック図である。ガス混合装置500は、第1の入口520で供給されるNHガスと、入口525で供給される移送ガス(例えばNガス)とを混合し、得られるガス混合物を混合ガス出口535を介して出すために用いられる。
【0086】
移送ガスの流速は、その後ろに流量制限器が設置されたマスフローコントローラ又は圧力コントローラを用いて制御することができる。NHガスの流速は1以上のマスフローコントローラを用いて制御することができる。図5の例は、NHガスの流量を制御するための単一のマスフローコントローラの構成要素を示す。このマスフローコントローラは、入口520及び比例弁510と流体連通している質量流量計MFM505を含み、比例弁510は混合ガス出口535とさらに流体連通している。マスフローコントローラは、MFM505及び比例弁510と電気的に通信するコントローラ515をさらに含む。コントローラ515は、他のコントローラ又はプロセッサ(例えば図2及び図3の制御モジュール125)からの設定値540を受信し、それをMFM505からの測定された流速と比較し、それに応じて比例弁510を調整することにより設定値540によって指定される流速を実現する。
【0087】
ガスの乱流及び圧力の変動は、ガス混合装置でのNHガス及び移送ガスの不均一混合物をもたらす可能性がある。これらの不規則さの影響は、NHガス供給ラインの長さが長くなるに従ってより著しくなる可能性がある。NHマスフローコントローラの出口スタブでさえ、ガス混合物におけるむらのあるNH注入量の一因となる。なぜなら、出力液の導電率に影響するのに、このような少量のNHガスしか必要としないからである。例えば、典型的なマスフローコントローラにおいて、比例弁はガスパイプ又はガス管に接続するように、出口ポートを備える金属体の内部に設置される。一般的に短い、比例弁から出口の接続継手までの内部フローチャネルにおいても、システムにおけるわずかな圧力変化においてさえ、ガス混合物の注入量の変動の原因となるのに十分な非混合のNHを含む可能性がある。これらの注入量の変動は、システムの出口における液体の導電率の変動をもたらすため、半導体製造に好ましくない。このように、公知の構成を用いることによっては、システムの出口における液体の導電率の所望の安定性を実現することは不可能であった。
【0088】
しかしながら、標準的なマスフローコントローラの使用は、注文設計よりもコストの点で好ましい。本技術は、前述の問題を克服するように構成されている。いくつかの実施形態において、移送ガスは、中央注入チューブ又はパイプ(例えば注入パイプ530)を通じて、NHガスの流量を制御するために用いられるマスフローコントローラの比例弁出口の開口部に直接に送られる。移送ガスとNHとの混合部位が、接続継手の遠端からマスフローコントローラ比例弁の実質的に内部出口部位又はその付近に移動するように設置された開口部を有するT字継手に注入チューブが実装されることができる。いくつかの実施形態において、移送ガス注入チューブの開口部は、マスフローコントローラ比例弁の内部出口からおおよそ5~10mmである。この手段によって、システムにおける純粋な(例えば非混合の)NHガス容量を減少させることができ、したがって、システムの出口における液体の導電率の安定性に関して接触器の内圧の変動が有する影響を減少又は排除することができる。同時に、標準的なマスフローコントローラはなおこのシステムに使用し得るため、経済上の利点が提供される。
【0089】
本システムにおけるNHガスの所望の流速は比較的小さい。例えば、所定の温度での液体流の範囲が0.5L/分~32L/分であり、導電率設定値が5μS/cm~40μS/cmである典型的なシステムにおいて、NHガス流は0.48sccm~1197sccmであり得る。場合によっては、流速、例えば48L/分の液体流速及び、200μS/cmまでの導電率設定値でより高い流量及び導電率の範囲が用いられることがあるが、これは約41.1L/分(slm)のNHガス流を必要とする。それにもかかわらず、所望のガス流の範囲は例示的な用途によっては少なくとも3桁に及ぶ可能性があり、これは、一般的に1桁~1桁半の大きさの流量範囲を扱うことができる単一のマスフローコントローラでは扱うことができない。
【0090】
いくつかの実施形態において、ガス混合装置は、所望のNHガス流の広い範囲を扱うために複数のマスフローコントローラを含む。図6は、本明細書に記載の実施形態による例示的なガス混合装置600のブロック図である。ガス混合装置600は、第1の入口620において供給されるNHガスと入口625において供給される移送ガス(例えばNガス)とを混合するために用いられ、得られるガス混合物を混合ガス出口635を介して出す。ガス混合装置600は3つのマスフローコントローラ(MFC1~MFC3)と入口弁V601~V603とを含み、入口弁V601~V603は、それぞれMFC1~MFC3にNHガスを供給する。フィルタ640は、接触器に提供される前の混合ガスを濾過するために用いることができる。圧力逃がし弁V604は、破滅的なシステム障害が起きる前に供給ラインでの圧力上昇を軽減するための安全装置として用いることができる。
【0091】
図6は3つのマスフローコントローラを示しているが、本技術の精神と範囲から逸脱することなく、より少ない又はより多いマスフローコントローラを用いることができることは当業者には明らかであろう。
【0092】
マスフローコントローラMFC1~MFC3のそれぞれには、各マスフローコントローラの比例弁の実質的に内部出口部位又はその付近で、移送ガスの流量を注入するための図5の注入パイプ530と同様に、中央注入チューブが備えられている(図示せず)。したがって、移送ガスの全流量は、NHを移送ガスに注入するために用いられる全マスフローコントローラに適用されることができる。操作時に、移送ガスの水への溶解性を考慮に入れて、測定される液体の流速に応じて移送ガスの流量は変えられる。いくつかの実施形態において、移送ガスは、NHと脱イオン化水との間のバッファとして機能させるために、NHガスの流量に応じて制御される。移送ガスの流速は、接触器の内部の液体レベルを維持するためにも用いられる。
【0093】
いくつかの実施形態において、ガス混合装置は、NHガス流を制御するための1以上のマスフローコントローラの代わりに1以上の高速スイッチング弁を含む。高速スイッチング弁は、ミリ秒以下の範囲のスイッチング時間を有することができるため、NHガスのほぼ連続的な流れをシステムに供給することができる。スイッチング弁はこのように取り付けられるので、スイッチング弁の下流で大きなNHガス量はない。いくつかの実施形態において、これは、閉弁に移送ガスを直接に供給するための注入チューブを用いて実現される。
【0094】
図7は、本明細書に記載の技術の実施形態による、NHガスを脱イオン化水に溶解するための方法700のフロー図である。NHガスは、ガス混合装置の第1の入口に供給される(705)。前述のように、ガス混合装置は、ガス混合装置にNHガスを供給するための第1のガス供給源と流体連通している第1の入口を有する。移送ガスは、ガス混合装置の第2の入口に供給される(710)。例えば、ガス混合装置は、ガス混合装置に移送ガスを供給するための第2のガス供給源と流体連通している第2の入口を有する。
【0095】
NHガス及び移送ガスは、ガス混合物を調製するためにガス混合装置内で混合されることができる。ガス混合装置からのNHガス及び移送ガスを含むガス混合物ならびに脱イオン化水は、接触器に供給されることができる(715)。いくつかの実施形態において、ガス混合装置は、接触器のガス入口と流体連通している混合ガス出口を含み、脱イオン化水は接触器の液体入口と流体連通している。
【0096】
いくつかの実施形態において、ガス混合物は、接触器の上流で脱イオン化水供給ラインに提供される。例えば、ガス混合装置の混合ガス出口は、接触器の実質的に上部又はその付近における入口の上流の位置で脱イオン化水供給ラインと流体連通していることができる。NHガスの実質的な部分が、残存するNHガスが溶解されることのできる接触器に流入するより前に脱イオン化水に溶解されることができるため、この構成は有利である。この効果をさらに高めるために、ガス混合物が脱イオン化水供給ラインに提供される位置の下流、かつ接触器入口の上流での脱イオン化水供給物に沿ってスタティックミキサーを設置することができる。
【0097】
脱イオン化水の流速は測定することができ(720)、NHガスの流速は、脱イオン化水の測定された流速及び所定の導電率設定値に基づいて設定することができる(725)。例えば、前述のように、システムにおける制御モジュールは、脱イオン化水流速の測定値及び、システムからの出力である得られる導電性液体の所望の導電率を示す、使用者によって提供される導電率設定値(例えばκ)を用いる計算に基づいて、ガス混合装置に提供するNHガスの所望の注入量を設定することができる。NHガスの所望の流速は、所望の脱イオン化水流速及び得られる導電性液体の導電率、もしくはそのいずれかに比例することができる。いくつかの実施形態において、NH流速計算は、脱イオン化水流速の代わりに、導電性液体出力の流速の測定値に基づく。
【0098】
上記で詳細に説明されているように、供給するNHガスの所望の流速又は注入量の計算は、実際に得られる温度測定値を必要とせずに、システムの液体の温度範囲についての所定の仮定に基づかせることができる。これは、先行投資の装置の複雑さとコストの低下だけでなく、温度測定をするために必要となるであろうさらなる構成要素を維持しなくてもよいことによる所有コストの低下などの特定の利点を提供することができる。さらにまた、システムソフトウェアの開発期間は、組み込む活性構成要素が少ないために短縮することができ、処理サイクルは温度測定値を得るのに専念されるため処理時間は短縮することができ、計算のために用いられる温度値は静的であり得る。
【0099】
いくつかの実施形態において、温度センサは、接触器に流入する脱イオン化水(又は脱イオン化水及びガス混合物)の温度を検知又は測定するために、接触器の入口部位又はその付近に設置される。いくつかの実施形態において、温度センサは、接触器からの出力である導電性液体(例えばNHガスをその中に溶解した脱イオン化水)の温度を検知又は測定するために、接触器の出口部位又はその付近に設置される。制御モジュールは1以上の温度センサと通信することができ、常時又は定期的に、液体の温度を示すセンサ出力信号を受信することができる。
【0100】
得られる導電性液体のより正確な導電率を必要とする用途のために温度測定値を用いることができる。例えば、所望のNHガス流速の計算のために仮定又は静的な液温度値を用いる代わりに、制御モジュールは、脱イオン化水流速の測定値及び使用者によって提供される導電率設定値に加えて液体の実際の温度の測定値を用いてその計算を実施することができる。
【0101】
NHガスをその中に溶解した脱イオン化水は、接触器から流出させることができる(730)。いくつかの実施形態において、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水は、接触器の液体出口から流出し、ウェット洗浄作業に使用するためにシステムを出ていく。いくつかの実施形態において、システムは、システムによって供給される導電性液体の圧力を高めるために、接触器出口の下流にポンプを含む。
【0102】
図8は、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステムの性能のグラフである。例示的なシステムは、塔充填カラムの下部にガス入口を有するように設計されており、これはこのようなシステムの典型的な構成である。図8は、10μS/cmの導電率設定値でシステム操作を50分間にわたって測定したシステムの液体の流速をL/分で示した曲線810と重ね合わせた、接触器からの液体出力のμS/cmの導電率に対応する曲線820を含む。
【0103】
システムの操作時に、出力液の導電率を測定しながら、定期的に液体流速を増加又は減少させた。図8に示すように、出力液の導電率は、一般に、液体流速の変化に従って最も大きい瞬間的なずれで設定値から5μS/cm未満変動するが、ずれ830が、設定値からおおよそ10μS/cmの、観察された最も大きなずれであった。
【0104】
図9は、NHガスをその中に溶解した脱イオン化水を含む導電性液体を生成して送るための例示的なシステムの性能のグラフである。図9のグラフに対応するシステムは、接触器入口の上流で脱イオン化水供給ラインへの混合ガス出口を供給するなどの本明細書に記載の最適化(例えば図4及び図5)を含む。
【0105】
図9は、10μS/cmの導電率設定値でシステム操作を120分間にわたって測定したシステムの液体の流速をL/分で示した曲線910と重ね合わせた、接触器からの液体出力のμS/cmの導電率に対応する曲線920を含む。
【0106】
システムの操作時に、出力液の導電率を測定しながら、定期的に液体流速を増加又は減少させた。図9に示すように、出力液の導電率は、一般に、設定値から1μS/cm未満変動するが、液体流速の変化に従って1μS/cm以下の小さくて短い瞬間的なずれのみが生じた。
【0107】
したがって、示されたように、本技術は、既存のシステムよりも、実質的に広い範囲の液体流にわたって出力液の導電率の正確な制御を維持することができる。適用される制御システムは、システムに必要なだけのNHガスを過剰なしに供給するので、既存のシステムに勝る経済的利点を提供する。さらにまた、ガスと脱イオン化水との直接接触により、水へのNH吸収はほぼ100%である。供給される液体の典型的な導電率設定値、例えば40μS/cmでは、オフガス中にアンモニウムは検出されず、既存のシステムよりも周囲のNH汚染のリスクが大変低下している。
【0108】
さらにまた、NH溶液は、シリコンに対してエッチング挙動を示すことができる。特定の半導体プロセス、例えば高度なトランジスタ構造(例えばfinFET)の処理のために、限定されたほんのわずかなエッチング能力が所望される。限定された希釈NH溶液は、特定のNH濃度において所望のエッチング能力を有することができるが、必要以上にエッチングで除去しないように、適用されるNH濃度を厳密に制御することが重要である。したがって、本明細書に記載の技術は、高度なトランジスタ構造の処理のための半導体プロセスのための溶液を提供する。
【0109】
NH溶液のエッチング能力は、溶液の酸素含有量によってさらに改変される。特定の半導体用途は、NH溶液における低酸素含有量を必要とする。これは、長い保存期間によって一般的に酸素が飽和している濃NHの希釈によって実現することは困難である。このような溶液の脱気は困難である。なぜなら、このような条件下では、NHもまた一般的に溶液から除去されるからである。したがって、本明細書に記載の技術によってNHガス及び脱イオン化水から希釈NHを生成することによって、この問題を克服することができる。なぜなら、脱イオン化水は慣用法で脱気することができ、純粋なNHガスはほんのわずかな痕跡量の酸素を含むだけだからである。
【0110】
コバルトは、finFETなどの新規半導体デバイスの製造においてタングステンなどの材料に取って代わりつつある。水溶液におけるコバルトのプールベダイアグラムによれば、pH9を下回ると、コバルトは腐食性イオン(Co2+)を形成する可能性がある。6未満の典型的なpH値では、脱イオン化水はコバルトを熱力学的に腐食することができる。したがって、製造の最終ステップにおいて一般的に行われる脱イオン化水によるリンスは、表面におけるひびから始まって顕著な材料損失までこの金属を攻撃する。NHOHのごく少量の添加は、インヒビターとして機能するが、単に脱イオン化水のpHを変化させることによってこの腐食を停止させることが見出された。逆に、高い濃度のNHOHはCo(OH)を[Co(NH2+錯体として溶解し、これもまた異種金属接触腐食のリスクを高めることが見出された。
【0111】
このように、液体溶液のpHを狭い範囲に制御することが重要である。液体のpHとその導電率との間には相関があるため、信頼できる制御方法はNH溶液の導電率を制御することである。したがって、本明細書に記載の技術は、同様に、高度なトランジスタ構造の処理のための半導体プロセスに用いられる溶液のpHの制御のための溶液を提供する。
【0112】
本明細書に記載のものの変更、改変及び他の実施態様は、本発明の精神と範囲から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。したがって、本発明は、前述の例示的説明のみに限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9