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特許7086076振戦又は振戦症候群の予防、軽減又は治療のためのカルバメート化合物の使用
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  • 特許-振戦又は振戦症候群の予防、軽減又は治療のためのカルバメート化合物の使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】振戦又は振戦症候群の予防、軽減又は治療のためのカルバメート化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/41 20060101AFI20220610BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220610BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
A61K31/41
A61P25/14
A61P25/16
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2019531817
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 KR2017014743
(87)【国際公開番号】W WO2018111009
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2016-0170225
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511206696
【氏名又は名称】エスケー バイオファーマスティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジンウク
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヘソン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ハンジュ
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-538557(JP,A)
【文献】特表2016-512232(JP,A)
【文献】特表2004-527492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/41
A61P 25/14
A61P 25/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の下記式(1)
【化1】
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、及び1-C8アルキルらなる群から選ばれ、
1及びA2の一方はCHであり、他方はNである。)
示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含む振戦又は振戦症候群の予防、軽減又は治療用薬剤。
【請求項2】
前記式(1)のカルバメート化合物が、下記式(2)
【化2】
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イルエチルエステルである請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
本態性振戦の予防、軽減又は治療のために使用される請求項1に記載の薬剤。
【請求項4】
振戦又は振戦症候群が、静止時振戦、動作時振戦又はそれらの複合的振戦である請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
静止時振戦が、パーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群及び心因性振戦から選ばれる一つ以上であり、
動作時振戦が、姿勢性振戦、運動性振戦及び等尺性振戦から選ばれる一つ以上である請求項に記載の薬剤。
【請求項6】
振戦又は振戦症候群が、パーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群、心因性振戦、本態性振戦、生理的振戦、亢進された生理的振戦、ジストニア振戦、単純運動性振戦、企図振戦、作業-特異的運動性振戦、口蓋振戦、薬物-誘導性及び中毒性振戦症候群、原発性起立時振戦、Holmes振戦及び軟口蓋ミオクローヌスから選ばれる一つ以上である請求項1に記載の薬剤。
【請求項7】
哺乳動物投与用に製造された請求項1~のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項8】
式(1)のカルバメート化合物を、遊離形に基づいて、50~500mgの量で含む請求項1~のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項9】
治療有効量の下記式(1)
【化3】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、及び1-C8アルキルらなる群から選ばれ、
1及びA2の一方はCHであり、他方はNである。)
示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含み、さらに薬学的に許容される担体を1種以上含む振戦又は振戦症候群の予防、軽減又は治療用医薬組成物。
【請求項10】
前記式(1)のカルバメート化合物が、下記式(2)
【化4】
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イルエチルエステルである請求項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
本態性振戦の予防、軽減又は治療のために使用される請求項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
振戦又は振戦症候群が、静止時振戦、動作時振戦又はそれらの複合的振戦である請求項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
静止時振戦が、パーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群及び心因性振戦から選ばれる一つ以上であり、
動作時振戦が、姿勢性振戦、運動性振戦及び等尺性振戦から選ばれる一つ以上である請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
振戦又は振戦症候群がパーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群、心因性振戦、本態性振戦、生理的振戦、亢進された生理的振戦、ジストニア振戦、単純運動性振戦、企図振戦、作業-特異的運動性振戦、口蓋振戦、薬物-誘導性及び中毒性振戦症候群、原発性起立時振戦、Holmes振戦及び軟口蓋ミオクローヌスから選ばれる一つ以上である請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項15】
哺乳動物投与用に製造された請求項14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式(1)のカルバメート化合物を、遊離形に基づいて、50~500mgの量で含む請求項14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
対象における振戦又は振戦症候群を予防、軽減又は治療するための医薬組成物の製造における、下記式(1)
【化5】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、及び1-C8アルキルらなる群から選ばれ、
1及びA2の一方はCHであり、他方はNである。)
示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の使用。
【請求項18】
前記式(1)のカルバメート化合物が、下記式(2)
【化6】
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イルエチルエステルである請求項17に記載の使用。
【請求項19】
医薬組成物が、本態性振戦を予防、軽減又は治療するための医薬組成物である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
振戦又は振戦症候群が、静止時振戦、動作時振戦又はそれらの複合的振戦である請求項17に記載の使用。
【請求項21】
静止時振戦が、パーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群及び心因性振戦から選ばれる一つ以上であり、
動作時振戦が姿勢性振戦、運動性振戦及び等尺性振戦から選ばれる一つ以上である請求項20に記載の使用。
【請求項22】
振戦又は振戦症候群が、パーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群、心因性振戦、本態性振戦、生理的振戦、亢進された生理的振戦、ジストニア振戦、単純運動性振戦、企図振戦、作業-特異的運動性振戦、口蓋振戦、薬物-誘導性及び中毒性振戦症候群、原発性起立時振戦、Holmes振戦及び軟口蓋ミオクローヌスから選ばれる一つ以上である請求項17に記載の使用。
【請求項23】
対象が哺乳動物である請求項1722のいずれか1項に記載の使用。
【請求項24】
哺乳動物がヒトである請求項23に記載の使用。
【請求項25】
医薬組成物が、式(1)のカルバメート化合物、遊離形に基づいて、50~500mgの量で含む、請求項1722のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバメート化合物を含む薬学的組成物を投与することにより、振戦又は振戦症候群を予防、軽減又は治療する目的での下記式(1)のカルバメート化合物の使用に関する:
【化1】
(式中、R、R2、A及びAは、本明細書の定義と同義である)
【背景技術】
【0002】
振戦又は振動は、意図しない体の部分が規則的に震える症状である。医学的には、拮抗筋の交互又は不規則的に同期収縮から生じる、体の一部又は複数の部分に不随意及び周期的な振動運動として定義される。振戦は、通常の生理学的プロセス、病理学的機構又は特定の薬物の服用によって起こることがあり、ストレス、不安、疲労、コーヒー又はタバコなどによって悪化することがある。
【0003】
振戦は大きく、静止時振戦(rest tremor)と動作時振戦(action tremor)とに2つの種類に分けられる。静止時振戦は、筋肉が随意的に活動化されていないときに発生するが、動作時振戦は、筋肉の随意的収縮作用と共に発生している。動作時振戦のサブタイプには、姿勢性(postural)振戦、運動性(kinetic)振戦、等尺性振戦が含まれ、姿勢性振戦は、重力に対抗して随意的に姿勢を維持する状態で発生し、運動性振戦は、任意の形態の随意的運動中に発生することがある。等尺性振戦は、検査者の手をしっかりと握っているなど、物体に対して同じ程度の強度の筋収縮が発生したときに現れる。運動性振戦には、(a)非目標指向型自律行動を伴う単純な運動性振戦、(b)目標指向型運動の終了に向けた運動性振戦の悪化を指す企図振戦(intention tremor)、(c)特定の作業及び活動の実行中に現れる作業-特異的(task-specific)運動性振戦などが含まれる。
【0004】
振戦又は振戦症候群は、因果関係的(etiologic)又は病態生理的(pathophysiological)因子に基づく実質的な分類は現在利用可能ではないので、一般に振戦の臨床症状(症候群)に基づいて分類される。
【0005】
1)本態性振戦(Essential tremor):筋肉又は四肢が休んでいるときには全く現れないが、腕を伸ばしているとき又は手書きするときにのみ現れる。亢進された生理的振戦は、原因が除去されれば容易に除去できるが、本態性振戦の場合は、状況の変化にかかわらず一貫して現れる。本態性振戦は、家族性、本態性、及び老人性振戦などが含まれる。
【0006】
2)生理的振戦(Physiologic tremor):通常の現象、生理的振戦はすべての収縮筋群で起こる。筋肉を収縮するための運動単位の収縮中には、わずかな時間的な差異及び目には見えないわずかな微細な筋肉の振戦がある。肉眼ではめったに見えないが、生理的振戦は、8Hz~13Hzの範囲の振動数を有し、それにより、筋電図検査(EMG)で微細に検出可能である。
【0007】
3)亢進された生理的振戦(Enhanced physiologic tremor):生理的振戦の振幅は、肉眼で見ることができるように何らかの理由で強くなっている。亢進された生理的振戦は症状として現れるそのような振動を指す。これはすべての人に起こる可能性があり、不安や焦燥感、舞台不安、ストレス、疲労、運動、風邪、空腹感、覚せい剤の使用及びアルコール離脱、又は低血糖症又は甲状腺機能亢進症などの代謝障害のような条件下で亢進される。
【0008】
4)パーキンソン性振戦症候群(Parkinsonian tremor syndrome):これはパーキンソン病の患者から観察される最も特徴的な振戦であり、患者が座っているときや歩いているときの指先でのゆっくりした振戦である。この振戦は、主に患者が休んでいるときに見られ、意図された行動の間に減少又は消失される。これは典型的(代表的)な静止時振戦であり、硬直、動作緩徐又は運動の鈍化(slowness)及び欠乏(poverty)を特徴とし得る中枢神経系(CNS)退行性障害である。
【0009】
5)心因性振戦(Psychogenic tremor):これはヒステリック振戦とも呼ばれ、二次的利益のために、又は何らかの理由なしにめったに起こらない。この振戦を持つ患者の観察の一つは、患者が自分の周りに誰もないと思ったとき、又は患者の注意が振戦のある場所から遠ざかると、振戦が消えることである。
【0010】
6)小脳性振戦症候群(cerebellar tremor syndrome):これは企図振戦(intention tremor)とも呼ばれ、行動が継続するか、微調整が必要なときに不規則的な一時的に発生し、意図した行動を困難にし、患者が以前経験したことのある経験的行動に障害をもたらす。このタイプの振戦はほとんどの場合、小脳又は小脳との結合部分の異常によって引き起こされる。
【0011】
7)薬物-誘導性及び中毒性振戦症候群(Drug-induced and toxic tremor syndromes):他の病状の治療に使用される薬物が振戦を誘導することがある。そのような薬物は,テオフィリン(theophylline)、バルプロエート(valproate)、リチウム、三環系抗うつ剤(tricyclic antidepressants)、神経弛緩剤、交感神経刺激制(sympathomimetics)、アンフェタミン(amphetamines)、ステロイド、内分泌障害及び代謝障害を治療するために使用される特定の薬剤が挙げられる。マンガン、ヒ素又は水銀中毒に見られるような中毒性振戦は、歩行障害(gait disturbances)、硬直、ジストニア、運動失調、構音障害、錯乱などのような他の神経学的症状らと関連して発生する。また、アルコール離脱性振戦(Alcohol withdrawal tremor)もここに含まれる。
【0012】
8)原発性起立時振戦(Primary orthostatic tremor):これは立っているときの下肢、体幹、上肢の筋肉の姿勢性振戦であるが、座っているときや横たわっているときは見られない。多くの患者達で起立性振戦は歩行時に抑制される。EMGで観察されるように、起立性振戦は、下肢の対側性(contralateral)及び同側性(ipsilateral)筋肉の同期運動単位活動の13~18Hzの高周波同調を特徴とする。
【0013】
9)未定の振戦症候群(Undetermined tremor syndrome):未定の振戦症候群の患者は、古典的本態性振戦の基準を満たしているが、追加の神経学的兆候を示している。
【0014】
10)ジストニア振戦(Dystonic tremor):これは、主に、ジストニアに罹患している身体の一部に発生する姿勢性及び運動性振戦を意味する。
【0015】
11)特定作業性及び位置特異性振戦(Task-and position-specific tremors):これらの振戦は、特定の、非常に専門化された運動活動の実行時発生する。それらは、単独で又は主として他の手の活動ではなく、筆記中に発生する振戦として定義されるwriting tremorを含む。運動選手又は音楽家に影響を及ぼす職業性振戦(occupational tremors)、又は孤立性音声振戦などが挙げられる
【0016】
12)ホルムス振戦(Holmes tremor):これは伝統的に赤核性(rubral)振戦又は中脳性(midbrain)振戦として知られており、脳幹、小脳及び視床を含むような、小脳視床系(cerebellothalamic system)及びドーパミン系(dopaminergic system)に影響を及ぼす病変による兆候性静止時振戦、企図振戦及び姿勢性振戦として定義される。
【0017】
13)口蓋振戦(Palatal tremors):これは、脳幹及び小脳の病変に続いて起こる軟口蓋の周期的運動であり、オリーブ型仮性肥大(olivary pseudohypertrophy)と関連する場合もあれば、関連しない場合もある。
【0018】
14)神経病性振戦症候群(Neuropathic tremor syndrome):これは、主に特定の末梢神経障害(peripheral neuropathies)、特に、ジスガンマグロブリン血症性神経障害(dysgammaglobulinemic neuropathies)に罹患している四肢了以における運動性振戦及び姿勢性振戦である。
【0019】
15)筋痙攣(Myorhythmia):Holmes振戦と類似している脳幹の病変を有する持つ患者から見られる2~4Hzの遅発性振戦(slow tremor)である。
【0020】
本態性振戦は、原因不明の振動運動(oscillating movements)を伴う神経学的運動障害(neurologic movement disorder)であり、しばしば機能性障害並びに潜在的に生理学的及び感情的障害を引き起こす。本態性振戦は、通常手に起こるが、日常生活に影響を与える頭、脚又は声にまれに起こることがある(非特許文献1)。本態性振戦の特徴は、手の運動中に又は重力に対抗する力を維持する間に発生される規則的な振戦現象であり、パーキンソン病の場合、体が硬くなり、遅くなり、手が震える症状が発生することから、しばしば本態性振戦をよくパーキンソン病と誤診する場合がある。本態性振戦は、20以上のタイプ中で最も一般的なタイプの振戦であり、パーキンソン病(PD)の10~20倍の頻繁で発生し、米国だけで5百万~千万人が罹患している。本態性振戦の発症の平均年齢は通常40歳であるが、子供や高齢者などの他の年齢層で最初に発生する可能性もある(非特許文献2)。
【0021】
本態性振戦の原因はよく分かっていないが、ほとんどの患者の所見から遺伝的関連性が原因として報告されている。しかし、家族歴がなくても、本態性振戦が発症する可能性がある。本態性振戦の疫学的関連性は、小脳、視床及び脳幹を含む脳の特定の部位間の異常なシグナル伝達の発生に起因することが知られている(非特許文献3、4)。
【0022】
振戦は、様々な種類があるため、治療方法に違いがあり、そのような治療に対する反応も異なっている。本態性振戦の治療用としてFDAが承認した薬物ではなく、他の疾患の治療量として承認された薬物が振戦治療に使用され、その使用はその効能と副作用のために制限的されている。プロプラノロール(propranolol)などのβ-アドレナリン受容体アゴニストは、本態性振戦及び生理的振戦を弱めることが知られているが、中枢神経系にも影響を及ぼす可能性がある(非特許文献5)。
【0023】
ほとんどの本態性振戦患者は、薬理学的療法から効果があり、多くの人は振戦の有意な減少を経験する。しかし、振戦が完全に減少することは稀であり、すべての患者に効果的に作用する薬物はない。減退するのは非常に珍しくて、薬物中どれもすべての患者に有効に作用するのではない。また、長期療法を受けている一部の患者達では耐性が報告されており、それによって、患者は振戦の症状がかなり悪化している可能性がある。
【0024】
さらに、関連する共存症(comorbidities)のために、不十分なレベルの治療効果が得られなく、副作用のために薬物の使用には依然として制限がある。したがって、改善された薬効及びより少ないと副作用を有する新薬が必要とされている(非特許文献6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0025】
【文献】Elan D Louis, Essential tremor, Lancet Neurol., 2005, 4, 100-110
【文献】JN Panicker, PK Pal, Clinical Features, Assessment and Treatment of Essential Tremor, JAPI, 2003, 51, 276-279
【文献】Hao Deng, Weidong Le, Joseph Jankovic, Genetics of essential tremor, Brain, 2007, 13, 1456-1464
【文献】Elan D Louis, Jean Paul G Vonsattel, The Emerging Neuropathology of Essential Tremor, Mov. Disord., 2008, 23, 174-182
【文献】T.J. Murray, Essential tremor, 1981, CMA JOURNAL, 1981, 124, 1559-1570
【文献】Mark Lees, Loren Regier, Brent Jensen, Pharmacologic management of essential tremor, Canadian Family Physician, 2010, 56, 250-252
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦を予防、軽減又は治療するための方法を提供することを目的とする。
【0027】
また、本発明は、下記式(1)
【化2】
(式中、R、R、A及びAは、本明細書の定義と同義である。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦の予防、軽減又は治療のための使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、治療有効量の下記式(1)
【化3】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-C8アルキル、C1-C8ハロアルキル、C1-C8チオアルコキシ及びC1-C8アルコキシからなる群から選ばれ、A及びAの一方はCHであり、他方はNである。)で示されるカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含む振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦の予防、軽減又は治療用薬剤を提供する:
【0029】
また、本発明は、治療有効量の前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を含み、さらに薬学的に許容される担体を1種以上含む振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦の予防、軽減又は治療用医薬組成物を提供する。
【0030】
さらに、本発明は、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物を治療有効量で治療対象に投与することを含み、振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦を予防、軽減又は治療する方法を提供する。
【0031】
また、本発明は、前記式(1)のカルバメート化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物の、振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦を予防、軽減又は治療するか、これと関連した兆候を改善するための使用を提供する。
【0032】
本発明の一実施形態では、前記式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン及びC1-C8アルキルからなる群から選ばれる。
【0033】
一実施形態において、C1-C8ハロアルキルはペルフルオロアルキルである。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、前記式(1)のカルバメート化合物は、下記式(2)
【化4】
で示されるカルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステルである。
【0035】
前記式(1)及び(2)のカルバメート化合物の製造は、当業界で化合物合成に関する通常の知識を有した者であれば、公示の化合物又はそれらから容易に製造することができる化合物を使用して製造することができる。特に、前記式(1)化合物の製造方法は、WO2006/112685 A1、WO2010/150946 A1及びWO2011/046380 A2に詳細に記載されており、それらの開示は参照のために本明細書に組み込まれる。前記式(1)の化合物は、前記文献に記載された方法のいずれかにより化学合成することができるが、これらは例示に過ぎず、必要に応じて単位操作の順序などを選択的に変更してもよい。従って、前記方法は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0036】
前記式(1)のカルバメート化合物は、振戦又は振戦症候群の予防、軽減又は治療のために使用することができる。
【0037】
特に、前記式(1)のカルバメート化合物は、本態性振戦の予防、軽減又は治療のために使用することができる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、振戦又は振戦症候群は、静止時振戦、動作時振戦及びそれらの複合的振戦を含む。
【0039】
静止時振戦には、パーキンソン性振戦症候群、筋痙攣、小脳性振戦症候群、神経病性振戦症候群、心因性振戦等が含まれる。
【0040】
動作時振戦は、姿勢性振戦、運動性振戦、等尺性振戦等が含まれる。姿勢性振戦には、本態性振戦、生理的振戦、亢進された生理的振戦、ジストニア振戦等が含まれる。運動性振戦には、単純運動性振戦と、企図振戦、作業-特異的運動性振戦などが含まれ、小脳性振戦症候群、口蓋振戦、部分的神経病性振戦症候群、薬物-誘導性及び中毒性振戦症候群、筋痙攣、心因性振戦等が含まれる。等尺性振戦には、原発性起立時振戦等が含まれる。前述の振戦に属さない他の複合的振戦には、Holmes振戦、軟口蓋ミオクローヌス等が含まれる。
【0041】
本態性振戦を含む振戦及び他の振戦症候群を効率的に治療できる治療剤の潜在的効能を評価するためのモデルの例として、動物におけるオキソトレモリン誘導性振戦モデルを使用することができる(B Cox, D Potkonjak, Effects of drugs on tremor and increase in brain acetylcholine produced by oxotremorine in the rat, Br. J. Pharmac., 1970, 38, 171-180)。
【0042】
前記疾患の予防、軽減又は治療のための式(1)のカルバメート化合物の投与量は、通常的に、疾患の重症度、対象の体重及び代謝状態に応じて変わり得る。個々の患者に対する「治療有効量」は、前記した薬理学的効果、即ち、治療効果を達成するのに十分な活性化合物の量を意味する。本発明の化合物の治療有効量は、ヒトへの投与時、遊離形に基づいて、1日1回投与に対して50~500mg、50~400mg、50~300mg、100~400mg、100~300mg、50~200mg、又は100~200mgである。好ましくは50~300mg、より好ましくは50~200mgである。
【0043】
本発明の化合物は、経口、非経口、静脈内、筋肉内、皮下又は直腸投与などの治療剤の投与に使用される任意の従来の方法によって投与することができる。
【0044】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物は、治療有効量の本発明のカルバメート化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる化合物を含むことができる。
【0045】
前記式(1)のカルバメート化合物の薬学的に許容される塩としては、独立して、アセテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビタルトラート、カルシウムアセテート、カンシラート、カーボネート、シトラート、エデタート、エジシラート、エストレート、エシレート、フマレート、グルセプテート、グルコネート、グルタメート、グリコロイルアルサニレート(glycoloyl arsanilate)、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、ヒドロゲンカーボネート、ヒドロキシナフトアート、ヨージド、イセチオナート、ラクテート、ラクトビオナート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデラート、メシレート、メチルニトラート、メチルスルフェート、ムカート(mucate)、ナプシラート、ニトラート、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテナート、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクツロン酸塩、サリチラート、ステアレート、サブアセテート、スクシナート又はヘミ-スクシナート、スルフェート又はヘミ-スルフェート、タンネート(tannate)、タルトラート、シュウ酸塩又はヘミ-タルトラート、テオクレート、トリエチオジド、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン(choline)、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛など挙げられる。
【0046】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物は、経口又は非経口で投与することができる。非経口投与としては、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、腹腔注射、内皮投与、局所投与、鼻腔内投与、膣内投与、肺内投与及び直腸内投与などが挙げられる。経口投与の場合、本発明の一実施形態による医薬組成物は、素錠として、又は活性薬剤がコーティングされているか、又は胃内での分解に対して保護されているように製剤化することができる。また、前記組成物は、活性物質を標的細胞に移動させることができる任意の装置によって投与することができる。投与経路は、治療対象の一般的な条件及び年齢、治療条件の性質及び選ばれる有効成分に応じて変わり得る。
【0047】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物の適した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重及び性別、病的状、食事、投与時間、投与経路、排せつ速度及び反応感受性などの要因によって変わり得る。通常、熟練した医師は、所望の治療又は予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方することができる。一実施形態による前記医薬組成物は、1回以上の用量で、例えば、1日に1~4回投与されることができる。一実施形態による前記医薬組成物は、式(1)の化合物を、遊離形に基づいて、50~500mg、50~400mg、50~300mg、100~400mg、100~300mg、50~200mg、又は100~200mgの量で含み、好ましくは50~300mg、より好ましくは50~200mgの量で含むことができる。
【0048】
本発明の一実施形態による薬剤又は医薬組成物は、当業者が容易に実施することができる方法に従って、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化することによって単位用量形態又は多用量容器内に入れて製造することができる。前記製剤は、油性又は水性媒質中の溶液、懸濁液又はエマルジョン(乳化溶液)、抽出物、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤形態であってもよく、分散剤又は安定化剤をさらに含むことができる。また、前記医薬組成物は、座薬、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤又は皮膚パッチ剤の形態で投与することができる。また、前記医薬組成物は、哺乳類投与用、より好ましくはヒト投与用に製造することができる。
【0049】
薬学的に許容される担体は、固体又は液体であってもよく、賦形剤、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、分散剤、吸着剤、界面活性剤、結合剤、防腐剤、崩壊剤、甘味剤、香味剤、滑沢剤、放出調節剤、湿潤剤、安定化剤、懸濁化剤及び潤滑剤から選ばれる1種以上であってもよい。また、薬学的に許容される担体は、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びそれらの混合物から選ぶことができる。
【0050】
一実施形態では、適切な賦形剤(filler)としては、糖(例えば、デキストロース、スクロース、マルトース及びラクトース)、デンプン(例えば、コーンスターチ)、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリトリトール及びキシリトール)、デンプン加水分解物(例えば、デキストリン及びマルトデキストリン)、セルロース又はセルロース誘導体(例えば、微晶質セルロース)又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
一実施形態において、適切な結合剤としては、ポビドン、コポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ガム類、スクロース、デンプン又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
一実施形態において、適切な防腐剤としては、安息香酸、安息香酸、ナトリウム、ベンジルアルコール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、クロルブトール、ガレート(gallate)、ヒドロキシベンゾエート、EDTA又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
一実施形態において、適切な崩壊剤としては、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋されたポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン、微晶質セルロース又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
一実施形態において、適切な甘味剤としては、スクラロース、サッカリン、ナトリウム又はカリウム又はカルシウムサッカリン、アセスルファムカリウム又はナトリウムシクラメート、マンニトール、フルクトース、スクロース、マルトース又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
一実施形態において、適切な滑沢剤としては、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、タルクなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
一実施形態において、適切な潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸などの長鎖脂肪酸及びその塩、タルク、グリセリドワックス又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書に使用された用語「予防する」、「予防すること」及び「予防」は、疾患の可能性を低減又は排除することを意味する。
【0058】
本明細書に使用された用語「軽減する」、「軽減すること」及び「軽減」は、疾患及び/又はそれに付随される症状を全体的に又は部分的に緩和させることを意味する。
【0059】
本明細書に使用された用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、疾患及び/又はそれに付随される症状を全体的に又は部分的に排除することを意味する。
【0060】
本明細書に使用された用語「対象」は、治療、観察又は実験の客体となる動物、好ましくは哺乳類(例えば、霊長類(primates)(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0061】
本明細書に使用された用語「治療有効量」は、治療される疾患又は障害の症状の緩和を含む、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的反応を誘導する活性化合物又は医薬製剤の量を意味し、前記量は、研究者、医師(内科医)又は他の臨床医によって求められる量である。
【0062】
本明細書に使用された用語「組成物」は、特定量の特定成分を含有する生成物及び特定量の特定成分の配合物から直接又は間接的に生じる任意の生成物を含む。
【発明の効果】
【0063】
本発明による薬剤及び医薬組成物は、振戦又は振戦症候群、特に本態性振戦を効率的に治療及び予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】実施例1で行われたオキソトレモリン-誘導性振戦実験の結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、一つ以上の実施形態を例示することのみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0066】
製造例:カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステルの製造
カルバミン酸(R)-1-(2-クロロフェニル)-2-テトラゾール-2-イル)エチルエステルを国際公開WO2010/150946号の製造例50に記載された方法に従って製造した。
【0067】
実施例1:ラットでオキソトレモリン-誘導性振戦に対する効果
オキソトレモリン-誘導性振戦
本態性振戦及び他の振戦症候群を効率的に治療できる治療剤の潜在的効能を評価するためのモデルとして、ラットにおけるオキソトレモリン-誘導性振戦モデルを使用した(B Cox, D Potkonjak, Effects of drugs on tremor and increase in brain acetylcholine produced by oxotremorine in the rat, Br. J. Pharmac., 1970, 38, 171-180).
【0068】
雄性SDラット(CrjBgi:CD(SD)IGS)を韓国のオリエントバイオ社から購入し、20~24℃の周囲温度、55~75%相対湿度及び自動制御された12時間のサイクル、飼料(Agri Brands Purina Korea,Inc.から購入)、並びに水を自由に摂取できる条件下でワイヤ網ケージに入れた。動物実験倫理委員会(IACUC)の実験室動物管理基準に従ってラットを飼育、管理した。安定化の1週間後、体重200~240gのラットを実験に使用した。実験に使用されたラットは、本実験16時間前に飼料を排除して絶食させ、本実験3時間前に振戦測定装置(Tremor Monitor(登録商標)、San Diego Instruments, CA)に入れ、10分間適応させた。
【0069】
試験化合物は、各実験の30~45分前にビヒクルで使用された30%ポリエチレングリコール400(シグマ社から購入)に溶解して製造した。ビヒクル及び試験化合物(3、10、30mg/kg用量)をそれぞれラットの体重1kg当たり4mLの量で口腔内に投与した。60分後に、塩水に溶解し、1mg/kgの用量で製造したオキソトレモリン(オキソトレモリンセスキフマル酸塩、1-(4-[1-ピロリジニル-2-ブチニル)-2-ピロリジノンセスキフマレート;シグマ社から購入)又は塩水をラット首の後ろにラット体重1kg当り2mLの容量で皮下注射した。オキソトレモリン投与ラットを直ちに振戦測定装置(フィルター振動数12Hz、帯域幅6Hz、フィルター番号2)に入れ、2048秒間に少なくとも0.5秒間進行した振戦行動の回数を自動測定し、記録した。1群当たりラット数は16匹であった。
【0070】
実験結果の統計分析
すべてのデータは、平均±SEMとして示した。試験化合物で処理した群におけるオキソトレモリン誘導性振戦行動の回数を、ビヒクル群と比較した抑制率(%)として示した。群間の振戦行動の回数の統計分析は、GraphPadPrismver.4.0プログラムを使用して一元配置分散分析(one-way ANOVA)及びダネットの多重比較検定を用いて行った。ビヒクル/オキソトレモリン群における振戦行動の平均回数は29.8±8.1と観察され、ビヒクル/塩水群における振戦行動の平均回数は9.2±2.5と観察された。試験化合物投与群では、振戦行動は投与量依存的に抑制され、3mg/kgで50.3%、10mg/kgで78.7%、30mg/kgで130.4%の抑制率を示した。50%有効量(ED50)値は1.67mg/kgと計算された。試験化合物は、本態性振戦症候群の代表的な動物モデルであるオキソトレモリン誘導性振戦行動モデルにおいて有意な薬効を示した。表1に実験データ(抑制率)をまとめ、実験結果を表1に示した。
【0071】
【表1】
図1