(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ホットメルト接着剤のためのスチレンベースの物質
(51)【国際特許分類】
C09J 125/06 20060101AFI20220610BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20220610BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
C09J125/06
C09J153/02
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2019544026
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(86)【国際出願番号】 US2018018826
(87)【国際公開番号】W WO2018152531
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-04
(32)【優先日】2017-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ディーク,ダリウス ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ミニクス,ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】トムリンソン,エドワード ピー.
【審査官】▲吉▼澤 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-273606(JP,A)
【文献】特開平01-016811(JP,A)
【文献】特開平01-219763(JP,A)
【文献】特表2003-501546(JP,A)
【文献】特表2007-525575(JP,A)
【文献】特開2014-080533(JP,A)
【文献】特開2011-016859(JP,A)
【文献】特開平01-095175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 125/06
C09J 153/02
C09J 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤組成物であって、
a
)2重量%
~98重量%の、ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー;
b)0重量%
~80重量%の粘着付与性樹脂;及び
c
)2重量%
~98重量%の、
【化1】
(式中、Arは、芳香族基であり;R’’は、H及びCH3からなる群から選択され;Xは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Yは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Rは、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;R’は、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;Zは、H、F、Cl、Br、I、OH、CO
2H及びNH
2からなる群から選択され;及びnは、2~500である)
からなる群から選択される式の少なくとも1種の精密に末端キャップされた
オリゴマーまたはポリマー(以下、「(c)オリゴマー等」と称する)、
を含むホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のポリマーは、芳香族基を含む部分を含み、前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等の少なくとも第一の部分は、前記少なくとも1種のポリマーの前記芳香族基を含む部分と相溶性であり、前記少なくとも1種のポリマーの前記芳香族基を含む部分と、
(c)オリゴマー等の前記第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1の
(c)オリゴマー等:ポリマー)の比率の範囲において、
(c)オリゴマー等の前記第一の部分と前記少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数1】
(式中、Tgは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、前記
(c)オリゴマー等と、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、前記質量比の値、ωは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測される混合物のTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリマーは、末端ブロックを含み、前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等の少なくとも第一の部分は、前記少なくとも1種のポリマーの前記末端ブロックと相溶性であり、前記少なくとも1種のポリマーの前記末端ブロックと、
(c)オリゴマー等の前記第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1
の(c)オリゴマー等:ポリマー)の比率の範囲において、
(c)オリゴマー等の前記第一の部分と前記少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数2】
(式中、Tgは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、前記
(c)オリゴマー等と、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、前記質量比の値、ωは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
それぞれの芳香族基、Arは、独立して、
フェニル、トルイル、4-tertブチルフェニル、ナフタレニル、およびインデニルから成る群から選択される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
R及びR’は、ベンゼン、トルエン、キシレン、t-ブチルベンゼン、ビフェニル、ビベンジル、ナフタレン、シクロヘキサン、シクロペンタン及びアニソールからなる群からそれぞれ選択される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
Xは、CO2(エステル)であり、Rは、
【化2】
からなる群から選択される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
Yは、CO2(エステル)であり、R’は、
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
10%
~50%の前記少なくとも1種のポリマー
、20%
~80%の前記粘着付与性樹脂及
び2%
~20%の前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等を含む、請求項2に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
2重量%
~5重量%の前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等を含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
可塑剤をさらに含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
R及びR’は、
【化4】
からなる群からそれぞれ選択される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のポリマーは、脂肪族基を含む部分を含み、前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等の少なくとも第二の部分は、前記少なくとも1種のポリマーの前記脂肪族基を含む部分と相溶性であり、前記少なくとも1種のポリマーの前記脂肪族基を含む部分と、
(c)オリゴマー等の前記第二の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1の
(c)オリゴマー等:ポリマー)の比率の範囲において、
(c)オリゴマー等の前記第二の部分と前記少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数3】
(式中、Tgは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、前記
(c)オリゴマー等と、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、前記質量比の値、ωは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
20%
~80%の前記少なくとも1種のポリマー及
び20%
~80%の前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等を含む、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
20%
~80%の前記少なくとも1種のポリマー及
び20%
~80%の前記少なくとも1種の
(c)オリゴマー等を含む、請求項12に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
R及びR’は、少なくともC6のアルキル炭化水素鎖及び環状脂肪族炭化水素からなる群から選択される、請求項13に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
R及びR’は、少なくともC6のアルキル炭化水素鎖及び環状脂肪族炭化水素からなる群から選択される、請求項14に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項17】
R及びR’の少なくとも一方は、C6~C30のアルキル炭化水素鎖からなる群から選択される、請求項15に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項18】
R及びR’の少なくとも一方は、C6~C30のアルキル炭化水素鎖からなる群から選択される、請求項16に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1種のポリマーは、芳香族基を含む部分を含み、前記ホットメルト接着剤は
、2%
~20%の、前記ポリマーの前記芳香族基を含む部分と相溶性である
(c)オリゴマー等の第一の部分を含み、前記少なくとも1種のポリマーは、脂肪族基を含む部分を含み、前記ホットメルト接着剤は
、20%
~78%の、前記ポリマーの前記脂肪族基を含む部分と相溶性である
(c)オリゴマー等の第二の部分を含み、前記少なくとも1種のポリマーの前記芳香族基を含む部分と、
(c)オリゴマー等の前記第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1の
(c)オリゴマー等:ポリマー)の比率の範囲において、
(c)オリゴマー等の前記第一の部分と前記少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数4】
(式中、Tgは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビン温度でガラス転移温度を表し、及びωは、前記
(c)オリゴマー等と、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、前記質量比の値、ωは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義され、前記少なくとも1種のポリマーの前記脂肪族基を含む部分と、
(c)オリゴマー等の前記第二の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1の
(c)オリゴマー等:ポリマー)の比率の範囲において、
(c)オリゴマー等の前記第二の部分と前記少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数5】
(式中、Tgは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビン温度でガラス転移温度を表し、及びωは、前記
(c)オリゴマー等と、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、前記質量比の値、ωは、前記
(c)オリゴマー等及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項20】
前記組成物の粘度は、163℃(325゜F)
で20,000センチポワズ(cP)以下である、請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119の下、2017年2月20日に出願された米国特許出願第62/461,052号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本明細書の実施形態は、スチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーであって、それらの物理的性質を適合させ、且つそれらをホットメルト接着剤(HMA)配合物中における成分として適したものとするように選択された末端基を有するスチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーを対象とする。具体的には、その新規なスチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーの末端基は、向上された熱的性質並びに/又はホットメルト接着剤配合物において典型的に採用される他の成分との改良された相溶性及び/又は改良された相選択性を付与する。
【背景技術】
【0003】
ホットメルト接着剤は、典型的には、周囲温度で固体の物質として存在するが、熱を加えると流動性のある液体に転換され得る。これらの接着剤は、多くの場合、各種の基材を接着させることが必要となる各種の使い捨ての商品の製造において特に有用である。具体的な用途としては、以下のものが挙げられる:使い捨てのおむつ、病院用のパッド、女性生理用ナプキン、パンティシールド、手術用ドレープ及び成人失禁用ブリーフ(まとめて使い捨ての不織布衛生用品と呼ばれる)。他の雑多な用途としては、紙製品、包装材料、自動車のヘッドライナー、家電製品、テープ及びラベルが挙げられる。これらの用途のほとんどにおいて、ホットメルト接着剤を加熱してその溶融状態とし、次いで基材(多くの場合に一次基材と呼ばれる)に適用する。次いで、第二の基材(多くの場合に二次基材と呼ばれる)を第一の基材と接触させる。冷却させると、接着剤が固化し、強力な接着力が生じる。ホットメルト接着剤の大きい利点は、水系又は溶媒系の接着剤の場合のように、液体のキャリヤーが典型的には存在しないことであり、それにより溶媒を除去するための高コストのプロセスを使用せずにすむ。
【0004】
ホットメルト接着剤は、広範な工業的プロセスにおいて多様な基材を共に接着するために使用される。これらの最終用途のいくつかとしては、カートン及び段ボール箱の封入、多様な用途のためのラベル及び使い捨てのおむつの組立てなどが挙げられる。いくつかの用途では、接着剤を適用した直後にその溶融させたホットメルトを冷却して、表面タックがほとんど又はまったくない、比較的硬く可撓性である固体の物質とする。一例は、カートンのシーリング用途であり、その場合、製品は、ホットメルトの適用後の数秒間にわたってカートンのフラップを所定の位置に保持するのみで速やかに「硬化」又は固化するべきである。他の用途では、ホットメルトは、冷却後でも適当な表面タック性を有するべきであり、例えば、感圧テープ又はラベルとして使用する場合、室温で適用したときに接着剤が他の基材に接着しなければならない。
【0005】
例えば、おむつの構成などのいくつかの他の用途では、接着剤を溶融状態で基材に適用し、冷却すると内部(凝集)強度と接着強度との両方が速やかに構築されて、基材に対する接着性を乱すか(接着層破壊又は移動)又は接着剤層を破壊する(凝集破壊)可能性がある、物品に作用する力が存在する場合でも物品が共に保持されることが必要とされる。ホットメルトのための1つの一般的な最終用途は、おむつ内で弾性ストランドを所定の位置に接着することである。接着剤は、弾性ストランドの収縮力に対する抵抗性を有するべきであり、なぜなら、弾性ストランドは、おむつに接着される前に引き延ばされるからである。他の課題の1つは、接着剤が、それと接触状態にある基材を通過してブリードしないことを確実にすることである。使い捨ての物品の製造において不織布が使用されることが多く、接着剤が不織布に浸透しすぎるか又はそれを通過してブリードすることがないように注意を払わなければならない。これが起きる場合、おむつ製造ラインのアイドラー、ローラー又は加圧セクションにそれが蓄積する可能性がある。使い捨ての物品を作成するために使用される接着剤の多くは、本来的に感圧性であり、なぜなら、これは、ホットメルトにより広いプロセスウィンドウを与えるからである。従って、適用を容易とするための比較的低い粘度と、適用した直後に基材間の接着性を保持するための内部強度の速やかな発現と、接着剤が柔らかく且つ/又は感圧性であるとしても過剰な浸透又は通過ブリードに対する抵抗性との間でバランスをとらなければならない。
【0006】
典型的には、ホットメルト接着剤は、例えば、以下のポリマーをベースとし得る:ポリオレフィン(例えば、エチレン又はプロピレンベースのポリマー)、官能化ポリオレフィン(酸素含有モノマーとのエチレン又はプロピレンコポリマー)、エチル酢酸ビニルポリマー、少なくとも1つの相のゴム状相を含むスチレン系ブロックコポリマー、例えばスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)又はスチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ポリマー。スチレン系ブロックコポリマーは、一般的に、不織布が使用されることが多いおむつ構成用途に使用される。それらは、これらの物質を通したブリードに対する抵抗性が極めて高い傾向がある。これは、適用後にスチレン末端ブロックが再生して、ホットメルトが冷却されるにつれて速やかに生じる剛性及び内部強度を発現させる速度に部分的に関連すると考えられる。
【0007】
ある種のホットメルト接着剤は、2つの末端ブロックと1つの中間ブロックとを含むトリブロックポリマーを含む。ホットメルト接着剤は、接着剤の凝集力を増大させるための末端ブロックの補強材料をさらに含み得る。本明細書で使用するとき、ポリマーの「末端ブロック」は、実質的に芳香族であるポリマーブロックを指す。以下で詳細に説明するように、「純モノマー樹脂」又は「PMR」とも呼ばれる「末端ブロック樹脂」も実質的に芳香族であり、一般的にポリマーの末端ブロックとの相溶性がより高い。ポリマーの「中間ブロック」は、典型的には、本来的に弾性がより高く、芳香族物質を含まない(従って脂肪族である)ポリマーブロックを指す。粘着付与剤は、多くの場合、「中間ブロック樹脂」とも呼ばれ、一般的にポリマーの中間ブロックと相溶性がより高いとみなされる。現在使用されている末端ブロックの補強材料、さらに粘着性と剛性(又は凝集力)との間のバランスを調節するために採用される多くの一般的な粘着付与剤は、接着剤配合物中における長期間の安定性に乏しいことを示す。
【0008】
当技術分野では、末端ブロックとの選択された相溶性と、HMAのための改良された熱的-機械的安定性とを示す末端ブロック樹脂が必要とされている。同様に、当技術分野では、中間ブロックとの相溶性と、HMAのための改良された熱的-機械的安定性とを示す中間ブロック樹脂も必要とされている。
【0009】
文献(Macromolecules,2016,48,2387)における過去の研究では、スチレンベースのオリゴマー及びポリマーは、スチレンベースのオリゴマー及びポリマーの末端基に基づいた分子量の関数として幅広い熱的性質を示し得ることを示している。スチレンベースのオリゴマーが短くなるほど、それらの差が特に顕著となる。今日、HMA配合物には、低MWのオリゴマーが使用されるが、それらのオリゴマーは、以下に示す化合物の精密に調節された末端基を有さない。HMAにおいて多くの場合に使用されるポリマー及びブロックコポリマーとの相溶性を改良するために、下記の精密に調節された末端基を有するスチレンベースのオリゴマー及びポリマーをHMA配合物と共に使用することに関する研究は存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
ホットメルト接着剤は、典型的には、ポリマー、粘着付与性樹脂(tackifying resin)、任意選択的に末端ブロック樹脂、任意選択的に可塑剤及び任意選択的に抗酸化剤のパッケージを含む有機物質である。本明細書の実施形態は、スチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーであって、それらをHMA組成物中の成分として適したものにする末端基を有するスチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーを対象とする。簡単にするために、適合された末端基を有するスチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーは、本明細書では以後「精密に末端キャップされたポリスチレン(PECPS)」と呼ばれる。PECPSは、オリゴマー又はポリマーとして分類可能なポリスチレンを包含するものとする。
【0011】
PECPSは、慣用される粘着付与性樹脂及びPMRと部分的若しくは全面的に置き換えられ得るか、又はそれらと組み合わせて使用され得る。本明細書のある種の実施形態は、HMA組成物において使用するための、ガラス質成分としての低分子量PECPSを対象とする。HMA組成物中のポリマーは、芳香族基を含む少なくとも1つの部分を有し得る。本明細書の実施形態は、芳香族基を含むポリマーの少なくとも一部と相溶性であるPECPSを含む。
【0012】
他の実施形態では、PECPSは、HMA組成物中で現在使用されている既存の粘着付与剤を置き換えるのに役立つ可能性がある。そのようなPECPSは、ポリマーの脂肪族の部分との相溶性を改良し、長期間の安定性(耐老化性能)を与え、HMA組成物のための性能発現速度を増大させる(溶融状態で適用した場合の凝集強度及び接着強度を増大させる)ことができる。
【0013】
本発明の一連の実施形態を以下に示す。
実施形態1.ホットメルト接着剤組成物であって、
a)約2重量%~約98重量%、好ましくは約10重量%~約80重量%の、ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマー;
b)0重量%~約80重量%の粘着付与性樹脂;及び
c)約2重量%~約98重量%、好ましくは約2重量%~約80重量%の、
【化1】
(式中、Arは、芳香族基であり;R’’は、H及びCH
3からなる群から選択され;Xは、CH
2、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Yは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Rは、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;R’は、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;Zは、H、F、Cl、Br、I、OH、CO
2H及びNH
2からなる群から選択され;及びnは、2~502である)
からなる群から選択される式の少なくとも1種の精密に末端キャップされたポリスチレン(PECPS)
を含むホットメルト接着剤組成物。
【0014】
実施形態2.可塑剤をさらに含む、実施形態1に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0015】
実施形態3.約0重量%~約50重量%の可塑剤を含み、約2重量%~約98重量%、好ましくは約2重量%~約80重量%の前述の式Iの精密に末端キャップされたポリスチレンを含む、実施形態2に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0016】
実施形態4.少なくとも約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%又は約10重量%の少なくとも1種のPECPSを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0017】
実施形態5.最大で約70重量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%、約35重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約19重量%、約18重量%、約16重量%、約15重量%、約14重量%、約13重量%、約12重量%、約11重量%、約10重量%、約9重量%、約8重量%、約7重量%、約6重量%、約5重量%、約4重量%、約3重量%又は約2重量%の少なくとも1種のPECPSを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0018】
実施形態6.少なくとも1種のポリマーは、芳香族基を含む部分を含み、PECPSの少なくとも第一の部分は、少なくとも1種のポリマーの芳香族基を含む部分と相溶性である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0019】
実施形態7.少なくとも1種のポリマーは、芳香族基を含む部分を含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第一の部分は、少なくとも1種のポリマーの芳香族基を含む部分と相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの芳香族基を含む部分と、PECPSの第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲おいて、PECPSの第一の部分と少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数1】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内、20℃以内、15℃以内又は10℃以下以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、実施形態1~5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0020】
実施形態8.少なくとも1種のポリマーは、末端ブロックを含み、PECPSの少なくとも第一の部分は、少なくとも1種のポリマーの末端ブロックと相溶性である、実施形態1~5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0021】
実施形態9.少なくとも1種のポリマーは、末端ブロックを含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第一の部分は、少なくとも1種のポリマーの末端ブロックと相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの末端ブロックと、PECPSの第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲において、PECPSの第一の部分と少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数2】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgの25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、実施形態1~5のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0022】
実施形態10.少なくとも1種のポリマーは、末端ブロックを含み、末端基変性されたポリスチレンオリゴマーは、少なくとも1種のポリマーの末端ブロックと相溶性である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0023】
実施形態11.それぞれの芳香族基、Arは、独立して、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、4-tert-ブチルスチレン、2-ビニルナフタレン及びインデンなどからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0024】
実施形態12.Ar基は、スチレン、アルファメチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン及びインデンからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0025】
実施形態13.PECPSの分子中のAr基の少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%は、同一である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0026】
実施形態14.PECPSの分子中の実質的に全部又は全部のAr基は、同一である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0027】
実施形態15.PECPSの第一の部分のXは、CO
2(エステル)であり、PECPSの第一の部分のRは、
【化2】
からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0028】
実施形態16.PECPSの第一の部分のYは、CO
2(エステル)であり、PECPSの第一の部分のR’は、
【化3】
からなる群から選択される、実施形態1~14のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0029】
実施形態17.PECPSの第一の部分のR及びR’は、
【化4】
からなる群から選択される、実施形態1~14のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0030】
実施形態18.PECPSの第一の部分のR及びR’は、
【化5】
からなる群から選択される、実施形態1~14のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0031】
実施形態19.PECPSの第一の部分のR及びR’は、ベンゼン、トルエン、キシレン、t-ブチルベンゼン、ビフェニル、ビベンジル、ナフタレン、シクロヘキサン、シクロペンタン及びアニソールからなる群から選択される、実施形態1~14のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0032】
実施形態20.少なくとも1種のポリマーは、脂肪族基を含む部分を含み、PECPSは、少なくとも1種のポリマーの脂肪族基を含む部分と相溶性である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0033】
実施形態21.少なくとも1種のポリマーは、脂肪族基を含む部分を含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第二の部分は、脂肪族基を含む部分と相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの脂肪族基を含む部分と、PECPSの第二の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲において、PECPSの第二の部分と少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数3】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内、20℃以内、15℃以内又は10℃以下以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、実施形態1~19のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0034】
実施形態22.少なくとも1種のポリマーは、中間ブロックを含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第二の部分は、少なくとも1種のポリマーの中間ブロックと相溶性である、実施形態1~19のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0035】
実施形態23.少なくとも1種のポリマーは、中間ブロックを含み、PECPSは、少なくとも1種のポリマーの中間ブロックと相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの中間ブロックと、PECPSの第二の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲において、PECPSの第二の部分と少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数4】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgの25℃以内、20℃以内、15℃以内又は10℃以下以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される、実施形態1~19のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0036】
実施形態24.少なくとも1種のPECPSの第二の部分のR及びR’は、ベンゼン、トルエン、キシレン、t-ブチルベンゼン、ビフェニル、ビベンジル、ナフタレン、シクロヘキサン、シクロペンタン及びアニソールからなる群から選択される、実施形態22~25のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0037】
実施形態25.少なくとも1種のPECPSの第二の部分のR及びR’は、少なくともC6のアルキル炭化水素鎖及びシクロ脂肪族炭化水素からなる群から選択される、実施形態22~25のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0038】
実施形態26.少なくとも1種のPECPSの第二の部分のR及びR’の少なくとも1つは、C6~C30のアルキル炭化水素鎖からなる群から選択される、実施形態22~25のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0039】
実施形態27.ポリマーは、エチレンベースのポリマー、プロピレンベースのポリマー、酸素含有モノマーとのエチレンコポリマー、酸素含有モノマーとのプロピレンコポリマー、エチル酢酸ビニルポリマー及び少なくとも1相のゴム状相を含むスチレン系ブロックコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0040】
実施形態28.ポリマーは、少なくとも1種のエチレンベースのポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0041】
実施形態29.ポリマーは、少なくとも1種のプロピレンベースのポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0042】
実施形態30.ポリマーは、少なくとも1種の酸素含有モノマーとのエチレンコポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0043】
実施形態31.ポリマーは、少なくとも1種の酸素含有モノマーとのプロピレンコポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0044】
実施形態32.ポリマーは、少なくとも1種のエチル酢酸ビニルポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0045】
実施形態33.ポリマーは、少なくとも1種の、少なくとも1相のゴム状相を含むスチレン系ブロックコポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0046】
実施形態34.ポリマーは、少なくとも1種のスチレン-イソプレン-スチレンポリマーを含む、実施形態33に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0047】
実施形態35.ポリマーは、少なくとも1種のスチレン-ブタジエン-スチレンポリマーを含む、実施形態33に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0048】
実施形態36.ポリマーは、少なくとも1種の官能化ポリオレフィンを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0049】
実施形態37.少なくとも1種の官能化ポリオレフィンは、無水マレイン酸変性されたポリオレフィンである、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0050】
実施形態38.ポリマーは、少なくとも50重量%のポリオレフィンを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0051】
実施形態39.少なくとも約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%又は約75重量%の少なくとも1種のポリマーを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0052】
実施形態40.最大で約75重量%、約70重量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%、約35重量%、約30重量%、約35重量%、約30重量%、約25重量%又は約20重量%の少なくとも1種のポリマーを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0053】
実施形態41.可塑剤をさらに含み、可塑剤は、ワックス及び鉱油からなる群から選択される、実施形態1又は4~40のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0054】
実施形態42.可塑剤は、ワックス及び鉱油からなる群から選択される、実施形態2~3のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0055】
実施形態43.可塑剤は、鉱油、オレフィンオリゴマー、低分子量ポリマー、植物油、動物油及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の可塑剤を含む、実施形態41~42のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0056】
実施形態44.可塑剤中の30%未満又は20%未満の炭素原子は、芳香族炭素原子である、実施形態41~43のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0057】
実施形態45.少なくとも約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%又は約45重量%の可塑剤を含む、実施形態41~44のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0058】
実施形態46.最大で約45重量%、約40重量%、約35重量%、約30重量%、約35重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%、約10重量%又は約5重量%の可塑剤を含む、実施形態41~45のホットメルト接着剤組成物。
【0059】
実施形態47.可塑剤を含まない、実施形態1、4~40に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0060】
実施形態48.不活性な着色剤、充填剤、蛍光剤、UV吸収剤、界面活性剤及びさらなるタイプのポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0061】
実施形態49.不活性な着色剤を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0062】
実施形態50.二酸化チタンを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0063】
実施形態51.タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスのミクロスフェア、セラミックのミクロスフェア、熱可塑性プラスチックのミクロスフェア、バライト及び木粉からなる群から選択される少なくとも1種の充填剤を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0064】
実施形態52.少なくとも1種の蛍光剤を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0065】
実施形態53.少なくとも1種のUV吸収剤を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0066】
実施形態54.少なくとも1種の界面活性剤を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0067】
実施形態55.少なくとも1種の追加のタイプのポリマーを含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0068】
実施形態56.少なくとも1種の成核剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0069】
実施形態57.少なくとも1種の清澄剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0070】
実施形態58.組成物の粘度は、163℃(325゜F)で約30,000センチポワズ(cP)以下である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0071】
実施形態59.組成物の粘度は、163℃(325゜F)で約25,000センチポワズ(cP)以下である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0072】
実施形態60.組成物の粘度は、163℃(325゜F)で約20,000センチポワズ(cP)以下である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0073】
実施形態61.組成物の粘度は、163℃(325゜F)で約15,000センチポワズ(cP)以下である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0074】
実施形態62.組成物の粘度は、163℃(325゜F)で約10,000センチポワズ(cP)以下である、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0075】
実施形態63.約2重量%~約20重量%の、少なくとも1種のPECPSの第一の部分を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0076】
実施形態64.約2重量%~約5重量%の、少なくとも1種のPECPSの第一の部分を含む、先行する実施形態のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0077】
実施形態65.約10重量%~約50重量%の少なくとも1種のポリマー、約20重量%~約80重量%の粘着付与性樹脂及び約2重量%~約20重量%の少なくとも1種のPECPSを含む、先行する実施形態に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0078】
実施形態66.約20重量%~約78重量%の、少なくとも1種のPECPSの第二の部分を含む、実施形態1~64のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0079】
実施形態67.約20重量%~約80重量%の少なくとも1種のポリマー及び約20重量%~約80重量%の少なくとも1種のPECPSを含む、実施形態1~62に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0080】
実施形態68.粘着付与性樹脂を含まない、実施形態67に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0081】
実施形態69.粘着付与性樹脂を含み、粘着付与性樹脂は、ASTM法E28-58Tによって測定されて10℃~150℃の環球式軟化点を有する脂肪族及び脂環族石油系炭化水素樹脂;水素化された脂肪族及び脂環族石油系炭化水素樹脂;芳香族石油系炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体;脂肪族/芳香族の石油由来の炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体;芳香族変性脂環族樹脂及びそれらの水素化誘導体;約10℃~約140℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂;水素化ポリテルペン樹脂;天然テルペンのコポリマー及びターポリマー;ガムロジン;ウッドロジン;トール油ロジン;蒸留ロジン;水素化ロジン;二量化ロジン;ポリマー化ロジン;ペールウッドロジンのグリセロールエステル;水素化ロジンのグリセロールエステル;ポリマー化ロジンのグリセロールエステル;ペールウッドロジンのペンタエリスリトールエステル;水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル;トール油ロジンのペンタエリスリトールエステル;ロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル;並びにフェノール変性テルペン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む、実施形態1~67のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0082】
実施形態70.少なくとも1種のポリマーは、ブロックコポリマーを含まず、Tgは、以下で与えられるFoxの式:
【数5】
(式中、ω(PECPS)及びω(ポリマー)並びにTg(PECPS)及びTg(ポリマー)は、PECPS又はポリマーの質量比及びPECPS又はポリマーの中間ブロックのケルビンでのガラス転移温度を指す)
によって予測される、実施形態1~19のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【0083】
実施形態71.ポリマーは、少なくとも水素化されたSBS又はSISポリマーを含む、実施形態27に記載のホットメルト接着剤。
【0084】
実施形態72.水素化されたSBS又はSISポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)又はスチレン-エチレン/プロピレン-スチレン(SEPS)である、実施形態71に記載のホットメルト接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本明細書に記載されるのは、HMA組成物中の成分として好適な末端基を有するスチレンベースのオリゴマー、ポリマー及びコポリマーである。例えば、これらの精密に末端キャップされたポリスチレン(PECPS)及びスチレンオリゴマーの実施形態を慎重に選択して、それらの物理的性質を適合させることができる。例えば、鎖末端基の実施形態を、PECPSと、HMA組成物中で典型的に採用される他の成分との間の相溶性及び相選択性を改良できるように設計することができる。
【0086】
現在使用されている末端ブロック補強性グレード、さらに非水素化の炭化水素粘着付与剤は、コストを低下させ、且つ熱的-機械的安定性を改良するために接着剤配合物中で使用することが可能である、非芳香族のスチレンベースのポリマーの代替物、例えばポリオレフィンを用いており、長期間での安定性が乏しい。
【0087】
ホットメルト接着剤は、典型的には、ポリマー、可塑剤、粘着付与性樹脂及び抗酸化剤のパッケージを含む典型的な有機物質である。ホットメルト接着剤は、末端ブロックの補強材料を含み得、それは、接着剤の凝集力を増大させることができる。接着性を修正するか又は特別な性質を付与する目的で、他の成分、例えばワックス、充填剤、官能化ポリマー、着色剤及びUV吸収剤を使用し得る。本発明を具体化する、それらの成分のそれぞれ及びHMA組成物中でのそれらの含量について以下で詳細に説明する。
【0088】
本発明の実施形態は、
【化6】
(式中、Arは、芳香族基であり;R’’は、H及びCH
3からなる群から選択され;Xは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Yは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Rは、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;R’は、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;Zは、H、F、Cl、Br、I、OH、CO
2H及びNH
2からなる群から選択され;及びnは、2~500である)
からなる式から選択されるPECPSを含むHMAを含む。
【0089】
Ar基は、独立して選択される。PECPSのための上式の括弧内のAr基は、同一でない芳香族基を含み得る。いくつかの実施形態では、PECPSの分子中のAr基の少なくとも70%が同一である。いくつかの実施形態では、PECPSの分子中のAr基の少なくとも80%が同一である。いくつかの実施形態では、Ar基の少なくとも90%が同一である。いくつかの実施形態では、PECPS分子中のAr基の少なくとも95%が同一である。いくつかの実施形態では、PECPS分子中のAr基の少なくとも98%が同一である。いくつかの実施形態では、PECPS分子中のAr基の全部が実質的に同一である。いくつかの実施形態では、PECPS分子中のAr基の全部が同一である。
【0090】
R’’基は、独立して選択される。PECPSのための上式の括弧内のR’’基は、同一でない基を含み得、R’’基のいくつかがHであり、及びR’’基のいくつかがCH3である。いくつかの実施形態では、PECPSの分子中のR’’基の少なくとも70%が同一である。いくつかの実施形態では、PECPSの分子中のR’’基の少なくとも80%が同一である。いくつかの実施形態では、R’’基の少なくとも90%が同一である。いくつかの実施形態では、分子中のR’’基の少なくとも95%が同一である。いくつかの実施形態では、R’’基の少なくとも98%が同一である。いくつかの実施形態では、PECPS分子中のR’’基の実質的に全部が同一である。いくつかの実施形態では、PECPS分子中のR’’基の全部が同一である。
【0091】
いくつかの実施形態では、PECPSは、以下の構造:
【化7】
(式中、nは、2~500であり、及びAr、R及びR’は、先に定義されたものである)
を有する。
【0092】
本発明の実施形態である、先に述べたPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、Ar基は、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、4-tertブチルスチレン、2-ビニルナフタレン及びインデンからなる群から選択される。本発明のいくつか実施形態である、先に述べたPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、Ar基は、スチレン、アルファメチルスチレン、4-tertブチルスチレン及びインデンからなる群から選択される。
【0093】
本発明の実施形態である、先に述べたPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、R及びR’は、独立して、
【化8】
からなる群から選択される。
【0094】
本発明の実施形態では、HMAは、約2重量%~約98重量%の、先に述べたPECPSを含む。好ましい実施形態では、HMAは、約2重量%~約60重量%の、先に述べたPECPSを含む。
【0095】
本発明の実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%の、先に述べたPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%又は少なくとも約10重量%の、先に述べたPECPSを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、最大で約70重量%、最大で約60重量%、最大で約50重量%、最大で約40重量%、最大で約30重量%、最大で約20重量%、最大で約15重量%、最大で約12重量%、最大で約11重量%、最大で約10重量%、最大で約9重量%、最大で約8重量%、最大で約7重量%、最大で約6重量%、最大で約5重量%、最大で約4重量%、最大で約3重量%又は最大で約2重量%の、先に述べたPECPSを含む。
【0097】
HMA中のポリマーは、少なくとも1種の脂肪族部分(「中間ブロック」)と、少なくとも1種の芳香族部分(「末端ブロック」)とを含み得る。ポリマー分子の少なくとも1種の芳香族部分は、別のポリマー分子の少なくとも1種の芳香族部分と会合し得る。ポリマーの中間ブロックと末端ブロックとがポリマー鎖の主鎖を介して化学的に結合されるため、中間ブロックと末端ブロックとは、理論に拘束されるものではないが、HMA中において、芳香族リッチな領域と脂肪族リッチな領域とを備えたミクロ相を形成し得る。
【0098】
ポリマーの少なくとも1種の芳香族部分は、HMAを硬くさせ得る。ポリマー分子の少なくとも1種の芳香族部分(先に述べたようなもの、末端ブロック)が他のポリマー分子の少なくとも1種の芳香族部分と選択的に会合することにより、HMAの凝集力に寄与することができる。これにより、接着剤の弾性率を他の特性とは独立して修正することが可能となる。例えば、高いポリマー担持率の場合のように粘度にマイナスの影響を与えることなく弾性率を上げることができる。
【0099】
ポリマーの芳香族部分との相溶性を有する末端ブロック樹脂を使用して、HMAの凝集力を向上させることができる。理論に拘束されるものではないが、末端ブロック樹脂がポリマーの末端ブロックと選択的に会合して、スチレン領域の容積を増やし、結果として、その物質の総合的な弾性率(又は剛性)が向上する。
【0100】
当技術分野では、HMA中のポリマーの末端ブロックとより大きい相溶性を示す末端ブロック樹脂が必要とされている。末端ブロック樹脂は、ポリマーの中間ブロックよりも末端ブロックと選択的に会合することにより、ポリマーの末端ブロックの優れた相溶性を示す。さらに、優れた末端ブロック樹脂は、末端ブロックと末端ブロック樹脂との間の会合において長期間の安定性を示し、時間経過による末端ブロックと末端ブロック樹脂との間の分離を制限する。
【0101】
末端ブロック樹脂は、芳香族リッチなミクロ相領域のガラス転移温度(Tg)を上げることができる。ポリマーの末端ブロックとの優れた相溶性を示す末端ブロック樹脂は、脂肪族リッチなミクロ相領域のTgに大きい影響を与えることなく、芳香族リッチなミクロ相領域のTgを上げることができる。
【0102】
本発明の実施形態は、新規な末端ブロック樹脂を有するHMAを含む。末端ブロック樹脂は、以下の式セットI:
【化9】
(式中、Arは、芳香族基であり;R’’は、H及びCH
3からなる群から選択され;Xは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Yは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Rは、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;R’は、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;Zは、H、F、Cl、Br、I、OH、CO
2H及びNH
2からなる群から選択され;及びnは、2~502である)
のPECPSを含み得る。明確さのために、式Ia及びIbのPECPSは、以後では「式セットIのPECPS」と呼ばれる。
【0103】
Ar基は、独立して選択される。式セットIの括弧内のAr基は、同一でない芳香族基を含み得る。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも70%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも80%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも90%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも95%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも98%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の実質的に全部が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のAr基の全部が同一である。
【0104】
R’’基は、独立して選択される。式セットIの括弧内のR’’基は、同一でない基を含み得、R’’基のいくつかがHであり、及びR’’基のいくつかがCH3である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも70%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも80%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも90%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも95%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも98%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の実質的に全部が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSの分子中のR’’基の全部が同一である。
【0105】
いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSは、以下の構造:
【化10】
(式中、nは、2~500であり、及びAr、R及びR’は、先に式Ia及びIbで定義されたものである)
を有する。
【0106】
本発明の実施形態である、先に述べた式セットIのPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、Ar基は、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、4-tertブチルスチレン、2-ビニルナフタレン及びインデンからなる群から選択される。本発明のいくつか実施形態である、先に述べた式セットIのPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、Ar基は、スチレン、アルファメチルスチレン、4-tertブチルスチレン及びインデンからなる群から選択される。
【0107】
本発明の実施形態である、先に述べた式セットIのPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、R及びR’は、独立して、
【化11】
からなる群から選択される。
【0108】
本発明の好ましい実施形態である、先に述べた式セットIのPECPSを含む末端ブロック樹脂を含むHMAでは、R及びR’は、独立して、
【化12】
からなる群から選択される。
【0109】
本発明の実施形態では、HMAは、約2重量%~約80重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。好ましい実施形態では、HMAは、約2重量%~約60重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約2重量%~約5重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。
【0110】
本発明の実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%又は少なくとも約10重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、最大で約70重量%、最大で約60重量%、最大で約50重量%、最大で約40重量%、最大で約30重量%、最大で約20重量%、最大で約15重量%、最大で約12重量%、最大で約11重量%、最大で約10重量%、最大で約9重量%、最大で約8重量%、最大で約7重量%、最大で約6重量%、最大で約5重量%、最大で約4重量%、最大で約3重量%又は最大で約2重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。
【0112】
ポリマーの少なくとも1種の脂肪族部分は、HMAを軟化させるゴム状相を形成し得る。理論に拘束されるものではないが、HMAを軟化させることにより、HMAを、HMAによって接着された基材に適合させるのに役立つ。この適合化性能により、接着剤と基材との間の表面相互作用が強くなり、その結果、化学的及び機械的接着性が改良される。
【0113】
ポリマーの脂肪族部分と相溶性である中間ブロック樹脂を用いて、HMAの熱機械的性質を改良することができる。中間ブロック樹脂は、粘着付与剤と呼ぶこともできる。理論に拘束されるものではないが、中間ブロック樹脂がポリマーの中間ブロックと選択的に会合して、脂肪族リッチなミクロ相のTgを上げる。中間ブロックに対してより硬いガラス質の物質を添加することにより、最終使用用途で必要とされるゴム状相のガラス転移温度を調節し、接着剤が機械的応力に耐え得るのにさらに役立つ。
【0114】
当技術分野では、HMA中のスチレン-ブロックコポリマーのポリマーの中間ブロックに対してより強い又はより選択的な相溶性を示す中間ブロック樹脂が必要とされている。トリブロックのSBS及びSIS系では、中間ブロック樹脂がポリマーのスチレン末端ブロックよりもポリ(ブタジエン)及びポリ(イソプレン)の中間ブロックとより選択的に会合することにより、ポリマーの中間ブロックとの優れた相溶性を示す。さらに、優れた中間ブロック樹脂が中間ブロックと中間ブロック樹脂との間の会合における長期間の安定性を示し、時間経過によるポリマーと中間ブロック樹脂との間の相分離を制限する。
【0115】
中間ブロック樹脂は、脂肪族リッチなミクロ相領域のガラス転移温度(Tg)を上げることができる。ポリマー中間ブロックのTgが低すぎる場合、ミクロ相は、より低い温度であまりにも容易に流動し、変形し、接着破壊がもたらされる。ポリマーの中間ブロックとの優れた相溶性を示す中間ブロック樹脂は、芳香族リッチなミクロ相領域のTgに大きい影響を与えることなく、脂肪族リッチなミクロ相領域のTgを上げることができる。中間ブロックのガラス転移温度をそのように上昇させることは、接着破壊に至る可能性がある比較的低い温度での流動及び機械的変形に対する接着剤の抵抗性を向上させるのに役立つ。
【0116】
本発明の実施形態は、新規な中間ブロック樹脂(粘着付与剤とも呼ばれる)を有するHMAを含む。中間ブロック樹脂は、以下の式セットII:
【化13】
(式中、Arは、芳香族基であり;R’’は、H及びCH
3からなる群から選択され;Xは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Yは、CO
2(エステル)、NHCO、CONH、OCO
2、O及びSからなる群から選択され;Rは、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;R’は、置換されたアルキル、非置換のアルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群から選択され;Zは、H、F、Cl、Br、I、OH、CO
2H及びNH
2からなる群から選択され;及びnは、2~502である)
のPECPSを含み得る。明確さのために、式IIa及びIIbのPECPSは、以後では「式セットIIのPECPS」と呼ばれる。Ar基は、独立して選択される。式セットIIの括弧内のAr基は、同一でない芳香族基を含み得る。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも70%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも80%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも90%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも95%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の少なくとも98%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の実質的に全部が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のAr基の全部が同一である。
【0117】
R’’基は、独立して選択される。式セットIIの括弧内のR’’基は、同一でない基を含み得、R’’基のいくつかがHであり、及びR’’基のいくつかがCH3である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも70%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも80%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも90%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも95%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の少なくとも98%が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の実質的に全部が同一である。いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSの分子中のR’’基の全部が同一である。
【0118】
いくつかの実施形態では、式セットIIのPECPSは、以下の構造:
【化14】
(式中、nは、2~500であり、及びAr、R及びR’は、先に式IIa及びIIbで定義されたものである)
を有する。
【0119】
本発明の実施形態である、先に述べた式セットIIのPECPSを含む中間ブロック樹脂を含むHMAでは、Ar基は、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、4-tertブチルスチレン、2-ビニルナフタレン及びインデンからなる群から選択される。本発明のいくつか実施形態である、先に述べた式セットIIのPECPSを含む中間ブロック樹脂を含むHMAでは、Ar基は、スチレン、アルファメチルスチレン、4-tertブチルスチレン及びインデンからなる群から選択される。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態である、先に述べた式セットIIのPECPSを含む中間ブロック樹脂を含むHMAでは、R及びR’は、少なくともC4の置換又は非置換の長鎖炭化水素であり得る。いくつかの実施形態では、R及びR’は、少なくともC6、少なくともC7、少なくともC8、少なくともC9、少なくともC10、少なくともC11、少なくともC12、少なくともC13、少なくともC14、少なくともC15、少なくともC16、少なくともC17、少なくともC18、少なくともC19又は少なくともC20の置換又は非置換の長鎖炭化水素であり得る。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態である、先に述べた式セットIIのPECPSを含む中間ブロック樹脂を含むHMAでは、R及びR’は、最大でC40の置換又は非置換の長鎖炭化水素であり得る。いくつかの実施形態では、R及びR’は、最大でC35、最大でC30、最大でC28、最大でC26、最大でC25、最大でC24、最大でC22、最大でC20、最大でC18、最大でC16、最大でC15、最大でC14、最大でC13又は最大でC12の置換又は非置換の長鎖炭化水素であり得る。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態である、先に述べた式セットIIのPECPSを含む中間ブロック樹脂を含むHMAでは、R及びR’は、環状脂肪族炭化水素であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、Rは、先に述べたような置換又は非置換の長鎖炭化水素であり、及びR’は、置換又は非置換の環状脂肪族炭化水素である。他の実施形態では、Rは、先に述べたような置換又は非置換の環状脂肪族炭化水素であり、及びR’は、先に述べたような置換又は非置換の長鎖炭化水素である。いくつかの実施形態では、Xが-CO2である場合、Rは、以下の表Aに記載されたものからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、Yが-CO2である場合、R’は、以下の表Aに記載されたものからなる群から選択することができる。
【0124】
【0125】
いくつかの実施形態では、Xが-CO2である場合、Rは、以下の表Bに記載されたものからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、Yが-CO2である場合、R’は、以下の表Bに記載されたものからなる群から選択することができる。
【0126】
【0127】
本発明の実施形態では、HMAは、約2重量%~約80重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。好ましい実施形態では、HMAは、約2重量%~約60重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。さらにより好ましい実施形態では、HMAは、約20重量%~約60重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。
【0128】
本発明の実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%又は少なくとも約45重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、最大で約70重量%、最大で約65重量%、最大で約60重量%、最大で約55重量%、最大で約50重量%、最大で約45重量%、最大で約40重量%、最大で約35重量%、最大で約30重量%、最大で約25重量%、最大で約20重量%、最大で約15重量%又は最大で約10重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。
【0130】
本発明の実施形態では、HMAは、相溶性である粘着付与性樹脂又は粘着付与剤を含み、それらは、接着性を向上させ、特定の接着性を改良するものである。それぞれ本発明の実施形態において使用することが可能な慣用される「粘着付与性樹脂」としては、以下のものが挙げられる:
(a)ASTM法E28-58Tによって測定されて10℃~150℃の環球式軟化点を有する、脂肪族及び脂環族石油系炭化水素樹脂(後者の樹脂は、主として脂肪族及び/又は脂環族のオレフィン及びジオレフィンからなるモノマーを重合させることにより得られたものである);さらに含まれるのは、水素化された脂肪族及び脂環族石油系炭化水素樹脂である;C5オレフィン留分をベースとする市販されているそのような樹脂の例は、Piccotac 95粘着付与性樹脂(Eastman Chemicals販売)及びEscorez 1310LC(ExxonMobil Chemical Company販売)であり、シクロペンタジエンをベースとする水素化された脂環族石油系炭化水素樹脂の例は、Escorez 5400(Exxonmobil製)及びResinall R1095S(Resinall Corporation製)である;
(b)芳香族石油系炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体;水素化芳香族炭化水素樹脂の例は、Arkon P-115(Arakawa Chemicals製)である;
(c)脂肪族/芳香族の石油から誘導された炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体;
(d)芳香族変性脂環族樹脂及びそれらの水素化誘導体;
(e)約10℃~約140℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂、後者のポリテルペン樹脂は、一般的には、テルペン炭化水素、例えばピネンとして知られるモノテルペンをフリーデル・クラフツ触媒の存在下において比較的低温で重合させることによって得られたものである;水素化されたポリテルペン樹脂も同様に含まれる;
(f)天然テルペンのコポリマー及びターポリマー、例えばスチレン/テルペン、α-メチルスチレン/テルペン及びビニルトルエン/テルペン;
(g)天然及び変性ロジン、例えば、例としてガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン及びポリマー化ロジン;
(h)天然及び変性ロジンのグリセロールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、ポリマー化ロジンのグリセロールエステル、ペールウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、トール油ロジンのペンタエリスリトールエステル及びロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル;及び
(i)フェノール変性テルペン樹脂、例えばテルペン及びフェノールの酸性媒体中での縮合によって得られる樹脂生成物。
【0131】
本発明の実施形態では、HMAは、複数の粘着付与性樹脂を含み得る。
【0132】
実施形態では、HMAは、約0重量%~約60重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約60重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約15重量%~約60重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約20重量%~約60重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。本発明のさらなる実施形態では、HMAは、約30重量%~約60重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂、好ましくは約35重量%~約50重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約0重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%又は約60重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、約75重量%、約70重量%、約65重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%、約35重量%、約30重量%、約25重量%、約20重量%、約15重量%、約10重量%又は約5重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、HMAは、0重量%の少なくとも1種の粘着付与性樹脂を含む。これらの実施形態では、PECPSは、「純モノマー樹脂」のように機能し、粘着付与性樹脂の代替物となる。
【0135】
本発明で有用な粘着付与性樹脂は、極性の粘着付与性樹脂を含み得る。多くの極性の樹脂は、ポリオレフィンとごく部分的にのみ相溶性を有するように見える。より相溶性の高い極性の樹脂が好ましい。
【0136】
粘着付与性樹脂は、非極性のタイプの任意のものから選択することが好ましく、それらは、市販されている。好ましい樹脂は、脂肪族石油系炭化水素樹脂であり、最も好ましいのは、非極性の製品、例えば70℃よりも高い軟化点を有する水素化ジシクロペンタジエン(HDCPD)又はそれらの芳香族変性誘導体である。そのような樹脂の例は、ExxonMobil Chemical companyから販売されているEscorez 5400及びEscorez 5600である。
【0137】
本発明の1つの実施形態では、HMA中の粘着付与性樹脂の少なくとも幾分かが上記の式セットIIのPECPSによって置き換えられる。いくつかの実施形態では、HMAは、式セットIIのPECPSを優先して、粘着付与剤を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、HMA組成物の粘着付与剤は、式セットIIのPECPSによって完全に置き換えられる。
【0138】
粘着付与性樹脂を置き換えるために、式セットIIのPECPSは、少なくとも1種のポリマーの脂肪族基を含む部分と相溶性を有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、HMAは、先に述べたような式セットIのPECPSと、先に述べたような式セットIIのPECPSとを含む。実施形態では、上述の式セットIのPECPSの内容及び上述の式セットIIのPECPSの内容は、先のそれらのそれぞれのセクションで記載したようなものである。式セットIのPECPSは、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分と相溶性である。式セットIIのPECPSは、少なくとも1種のポリマーの脂肪族部分と相溶性である。
【0140】
いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSは、先に述べたようなPECPSの全含量の約3%~約40%である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSは、先に述べたようなPECPSの全含量の約3%~約25%である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSは、先に述べたようなPECPSの全含量の約5%~約30%である。いくつかの実施形態では、式セットIのPECPSは、先に述べたようなPECPSの全含量の約10%~約20%である。
【0141】
いくつかの実施形態では、HMAは、約2重量%~約40重量%の式セットIのPECPS及び約20重量%~約60重量%の式セットIIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約2重量%~約30重量%の式セットIのPECPS及び約20重量%~約60重量%の式セットIIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約2重量%~約5重量%の式セットIのPECPS及び約20重量%~約60重量%の式セットIIのPECPSを含む。
【0142】
本発明の実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%又は少なくとも約10重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、最大で約70重量%、最大で約60重量%、最大で約50重量%、最大で約40重量%、最大で約30重量%、最大で約20重量%、最大で約15重量%、最大で約12重量%、最大で約11重量%、最大で約10重量%、最大で約9重量%、最大で約8重量%、最大で約7重量%、最大で約6重量%、最大で約5重量%、最大で約4重量%、最大で約3重量%又は最大で約2重量%の、先に述べた式セットIのPECPSを含む。
【0144】
本発明の実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%又は少なくとも約45重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、最大で約70重量%、最大で約65重量%、最大で約60重量%、最大で約55重量%、最大で約50重量%、最大で約45重量%、最大で約40重量%、最大で約35重量%、最大で約30重量%、最大で約25重量%、最大で約20重量%、最大で約15重量%又は最大で約10重量%の、先に述べた式セットIIのPECPSを含む。
【0146】
本発明の実施形態では、HMAのポリマーは、接着剤で使用される、当技術分野で公知のいかなるポリマーでもあり得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーである:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、以下のものからなる群から選択される:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。いくつかの実施形態では、ポリマーは、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーである:ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリオレフィンである。ポリオレフィンの例としては、エチレン又はプロピレンベースのポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンは、官能化ポリオレフィンである。官能化ポリオレフィンの例としては、酸素含有モノマーとのエチレン又はプロピレンのコポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーは、スチレンブロックコポリマーである。スチレンブロックコポリマーは、少なくとも1相のゴム状相(「脂肪族相」とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ポリマーである。いくつかの実施形態では、スチレンブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、エチル酢酸ビニルポリマーである。
【0147】
いくつかの実施形態では、HMAのポリマー成分は、ポリオレフィンを含むが、ただし、少量の、例えば49重量%未満、より好ましくは25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満の、非ポリオレフィン構成成分を除外しない。ポリマー成分が少なくとも50重量%のポリオレフィンを含むことが好ましい。ポリマー成分は、ポリオレフィン若しくはポリオレフィンのブレンド物を含み得るか、又はポリオレフィン若しくはポリオレフィンのブレンド物から実質的になり得るか、又はポリオレフィン若しくはポリオレフィンのブレンド物からなり得る。本発明に関連して使用するのに適したポリオレフィンベースの接着剤のいくつかの例としては、米国特許出願公開第2015/0024649A1号明細書に開示されているものが挙げられる(参照により本明細書に組み込まれる)。ポリマーは、ポリプロピレンの耐衝撃性コポリマー(LyondellBasellから入手可能)であり得る。異相ポリマーは、連続及び非連続の両方のポリマー相を含む多相ポリマーと定義することができる。連続相は、マトリックス相とも呼ばれ得、非連続相は、ゴム相又はエラストマー相とも呼ばれる。
【0148】
いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約80重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約20重量%~約80重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約50重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約40重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約30重量%~約40重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。さらなる実施形態では、HMAは、約20重量%~約50重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。
【0149】
いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%又は約35重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%又は約35重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン及びオレフィンブロックコポリマー。
【0150】
いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約80重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約20重量%~約80重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約50重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約40重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、約30重量%~約40重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。さらなる実施形態では、HMAは、約20重量%~約50重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。
【0151】
いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%又は約35重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%又は約35重量%の、以下のものからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む:ポリスチレン、ポリブテン、ポリイソブテン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレン、オレフィンブロックコポリマー、ポリオレフィン、スチレンブロックコポリマー及びエチル酢酸ビニルポリマー。
【0152】
いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約80重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約20重量%~約80重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約50重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約40重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約30重量%~約40重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。さらなる実施形態では、HMAは、約20重量%~約50重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%又は約35重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%又は約35重量%の、ポリスチレン及びポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。
【0154】
任意選択的に、HMA組成物中に可塑剤が含まれ得る。HMAの可塑剤は、接着剤において使用される、当技術分野で公知のいかなる可塑剤でもあり得る。適切な可塑剤は、例えば、鉱油などの通常の可塑化用オイルだけでなく、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、さらに植物油及び動物油及びそれらの誘導体を含む群から選択され得る。採用することが可能な石油系オイルは、芳香族炭化水素をわずかな比率でのみ含む比較的高沸点の物質である。この点に関して、芳香族炭化水素は、芳香族炭素原子の比率で測定して、オイルの好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満であるべきである。オイルは、実質的に非芳香族であることがより好ましい。そのオリゴマーは、約350g/mole~約10,000g/moleの間の平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエンなどであり得る。適切な植物油及び動物油としては、通常の脂肪酸のグリセロールエステル及びそれらの重合反応生成物が挙げられる。他の有用な可塑剤は、慣用されるジベンゾエート、ホスフェート、フタレートエステル、さらにモノ-若しくはポリグリコールのエステルの群内に見出すことができる。そのような可塑剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ジプロピレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、リン酸2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ポリエチレングリコール400-ジ-2-エチルヘキソエート;ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート及びジオクチルフタレート。本発明における有用性が見出される可塑剤は、任意の数の異なる可塑剤であり得るが、本発明者らは、鉱油及び5,000g/mol未満の平均分子量を有する液状のポリブテンが特に有利であることを見出した。理解されるように、可塑剤は、典型的には、接着強度及び/又は接着剤の使用温度を実質的に低下させることなく接着剤組成物全体の粘度を低下させ、さらにオープンタイムを延長させ、且つ接着剤の可撓性を改良するために使用されてきた。いくつかの実施形態では、可塑剤は、鉱油である。
【0155】
実施形態では、HMAは、0重量%~約80重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約1重量%~約80重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約2重量%~約70重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約5重量%~約60重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約5重量%~約50重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、約10重量%~約40重量%の可塑剤を含む。本発明のさらなる実施形態では、HMAは、約1重量%~約35重量%の可塑剤、好ましくは約2重量%~約20重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、少なくとも約2重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%又は約45重量%の可塑剤を含む。いくつかの実施形態では、HMAは、最大で約80重量%、約60重量%、約55重量%、約50重量%、約45重量%、約40重量%又は約35重量%の可塑剤を含む。
【0156】
任意選択的に、HMA組成物中に官能化ポリマーが含まれ得る。いくつかの実施形態では、官能化ポリマーは、無水マレイン酸変性されたポリオレフィンである。
【0157】
任意選択的に、HMA組成物の溶融粘度を低下させるために使用されるワックスが含まれ得る。本発明の組成物では、約0重量%~約20重量%で量を変更して使用することができるが、好ましい量は、約0重量%~約15重量%である。これらのワックスは、粘着剤の硬化時間及び軟化点にも影響する可能性がある。有用なワックスとして以下のものが挙げられる:
1.低分子量(すなわち数平均分子量(Mn)500~6000g/mole)のポリエチレンであって、約0.1~120の、ASTM法D-1321によって測定された硬度値を有し、約65℃~140℃のASTM軟化点を有するポリエチレン;
2.石油ワックス、例えば約50℃~80℃の融点を有するパラフィンワックス及び約55℃~100℃の融点を有する微結晶ワックス(後者の融点は、ASTM法D127-60によって測定される);
3.一酸化炭素と水素とを重合させることによって製造される合成ワックス、例えばフィッシャー・トロプシュワックス;及び
4.ポリオレフィンワックス。本明細書で使用するとき、「ポリオレフィンワックス」という用語は、オレフィン性モノマー単位から構成されるポリマー性又は長鎖のエンティティのものを指す。このタイプの物質は、Westlake Chemical corporation(2801 Post Oak Blvd.,Houston,Tx)から商品名「Epolene」として、及びHoneywell Corporation(101 Columbia Road,Morristown,NJ)から商品名「A-C」として市販されている。本発明の組成物で使用するのに好ましい物質は、約100℃~170℃の環球式軟化点を有する。理解されるべきあるように、これらのワックス希釈剤のそれぞれは、室温で固体である。
【0158】
水素化された動物性、魚系及び植物性の油脂、例えば水素化された獣脂、豚脂、ダイズ油、綿実油、ヒマシ油、メンハディン油(menhadin oil)、鱈肝油などを含み、それらが水素化されているために室温で固体状である他の物質も、ワックス希釈剤均等物として機能に関して有用である。これらの水素化された物質は、粘着剤業界では多くの場合に「動物性又は植物性ワックス」と呼ばれる。
【0159】
本発明の実施形態は、約0.1重量%~約3重量%の量で安定剤を含み得る。組成物中に約0.2%~1%の安定剤が組み込まれることが好ましい。本発明のホットメルト接着剤組成物において有用な安定剤を組み入れて、上述のポリマー、従って接着剤系全体を熱分解及び酸化分解の影響から保護するのに役立たせ、そのような分解は、通常、接着剤の製造及び適用時、さらにその最終製品を周囲環境に通常に曝露させる際に起きる。適用可能な安定剤の中でも、高分子量のヒンダードフェノール及び多機能フェノール、例えば硫黄及びリン含有フェノールが好ましい。ヒンダードフェノールは、当業者に周知であり、フェノール性ヒドロキシル基の近くに立体的にバルキーな基を含むフェノール系化合物であることを特徴とする。特に、一般的には、三級ブチル基は、ベンゼン環上のフェノール性ヒドロキシル基に対してオルトである少なくとも1つの位置に置換される。ヒドロキシル基の近くにこれらの立体的にバルキーな置換基が存在することにより、伸縮振動数、それに伴ってその反応性を抑制するのに役立つ。そのため、この立体障害は、フェノール系化合物に安定化性能を付与する。代表的なヒンダードフェノールとしては、以下のものが挙げられる:
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;
ペンタエリスリトールテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
4,4’-メチレンビス(4-メチル-6-tertブチルフェノール);
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;
6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;
2,3,6-トリス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル-フェノキシ)-1,3,5-トリアジン;
ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;
2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及び
ソルビトールヘキサ-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート。
【0160】
これらの安定剤の性能は、それと組み合わせて以下のものを使用することにより、さらに向上させることができる;(1)相乗剤、例えばチオジプロピオネートエステル及びホスファイト;並びに(2)キレート化剤及び金属不活性化剤、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、その塩及びジサリチラルプロピレンジイミン。
【0161】
本発明で使用される接着剤組成物中に特定の物理的性質を修正するために他の任意の添加剤を組み込み得ることを理解されたい。そのようなものとしては、例えば、不活性な着色剤としての物質、例えば二酸化チタン、充填剤、蛍光剤、UV吸収剤、界面活性剤、他のタイプのポリマーなどが挙げられる。典型的な充填剤としては、以下のものが挙げられる:タルク、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性プラスチックミクロスフェア、バライト及び木粉。界面活性剤は、衛生用の使い捨て不織布で特に重要であり、なぜなら、界面活性剤は、例えば、おむつのコアに適用される接着剤の表面張力を劇的に低下させることが可能であり、それにより尿のより速やかな移行及びその後のコアによる吸収が可能となるからである。追加の好適な添加剤としては、成核剤及び/又は清澄剤が挙げられる。
【0162】
いくつかの実施形態では、ホットメルト接着剤の粘度は、163℃(325゜F)で約30,000センチポワズ(cP)以下である。他の実施形態では、ホットメルト接着剤の粘度は、163℃(325゜F)で約20,000センチポワズ(cP)以下である。さらに他の実施形態では、ホットメルト接着剤の粘度は、163℃(325゜F)で約10,000センチポワズ(cP)以下である。
【0163】
短鎖のスチレン系オリゴマー及びポリマーがスチレン-ブロック-コポリマーHMA組成物の成分として使用されることが多い。これらのガラス質の物質は、当業界では「純モノマー樹脂」と呼ばれ、なぜなら、(凝集力を与えるために設計された他の炭化水素成分と異なり)それらは、明瞭に規定されたモノマーストリームを使用して製造されるからである。市販されているPMR系は、典型的には、以下の1種又は複数の重合反応から生成する:スチレン、アルファ-メチルスチレン(AMS)、ビニルトルエン(VT)、4-tertブチルスチレン及び2-ビニルナフタレン、インデンなど。
【0164】
先に述べたように、PMR物質は、一般的に20,000g/mol未満の重量平均分子量を有する比較的小さい分子である。それらの重合度が低いにも関わらず、その鎖上にペンダントしたスチレンベースの残基は、分子の運動及び鎖の折りたたみ(結晶化)の過程に抵抗する。そのため、これらの小さい物質は、本来的に非晶質となり、高いガラス転移温度(30~160℃)を示す傾向がある。
【0165】
これらの特徴があるため、PMR系は、ホットメルト接着剤系における使用によく適合することになり、なぜなら、それらを可塑化されたポリマー混合物に添加することにより、最終的な接着剤の熱的性質(Tg、ポリマー混合物のガラス転移温度を上げ、それにより、より高い温度環境下でも接着性を維持する)及び弾性率を向上させて最終使用用途における熱的-機械的要求に合わせることができるからである。PMR系の比較的低い分子量が特に有利であり、なぜなら、それにより、溶融粘度を大きく上げる(これは、溶融物の流動性及び最終使用用途における各種の基材に対してそれらを均等に適用できる性能を損なう可能性がある)ことなく接着剤の性質を調節することが可能になるからである。ここで、弾性率は、接着剤の剛性を指す。柔らかい(低弾性率の)接着剤は、高い粘着性を示し、基材に対する強力な接着を形成することができるが、それにも関わらず、これらの「弱い」物質は、容易に変形し、最小限の機械的な力によって凝集破壊する傾向がある。例えば、粘着性のある、低弾性率の物質は、板紙製の穀物ボックスの蓋を接着剤で封止するのに適しないであろう。なぜなら、固定状態に保持するための折りたたみ部分の収縮力は、接着剤の内部強度よりも大きく、その結果、接着剤がその板紙に強力に接着したとしても凝集結合破壊となるであろうからである。
【0166】
HMA組成物において高度に有用であるものの、今日市販されているPMR系は、いくつかの限度を有する。PMR物質は、「末端ブロック強化」化学種と呼ばれることも多く、それがSBc含有HMA系のスチレン相中に選択的に分配されて、スチレン相の凝集力を改良する。分配の程度がある程度同等であるものの、選択的なスチレン相の導入は、普遍性からはるかに遠いように見える。従って、PMR物質を多くのホットメルト配合物に添加した場合、スチレン相及びブタジエン/粘着付与剤相の両方に関連する熱転移に対する変化は、多くの場合、ほとんど選択性がないことを示唆するように見える(1)。そのような場合、PMRは、当業界で一般的に採用される低コストのC5/C9炭化水素(HC)及び水素化炭化水素(HHC)粘着付与剤よりも寄与が少ないように見える。
【0167】
しかしながら、SBc含有系において、炭化水素粘着付与剤に類似して挙動するPMR物質の能力は、接着剤の配合において有力な選択肢を与える。この選択肢は、しかしながら、普遍的であると期待できず、なぜなら、現行のPMR物質は、芳香族残基を含む多くの変性炭化水素樹脂とよく類似して、ポリオレフィンとの相溶性に限度を示すからである。従って、それらは、ポリエチレン含有及びポリプロピレン含有接着剤において使用するのに適しない。これは、特に重要であり、なぜなら、これらの低コストで低臭気の代替物をベースとする系は、SBc類似物と同等の初期接着性能を示すように形成することができるからである。しかしながら、時間が経過すると、相分離を起こして接着剤性能が劣化する。相分離は、多くの粘着付与剤でポリオレフィンとの相溶性に限度があることに起因する(換言すると、相溶性が極端に高くないため、ポリオレフィンを相分離及び性能低下をもたらす自己結晶化過程に至らせるほどではない)。それらの半晶質的な性質のため、ポリオレフィン含有接着剤は、さらに、SBcベースの系と比較してごくゆっくりとのみ性能を発現できる傾向がある。最終使用用途では、その性能発現速度が問題となる可能性がある。具体的には、硬化が遅いことが原因で接着剤の流動が続くと、浸透性及び/又は低基本重量の基材で過浸透が起きる可能性がある。基材にこのように深い又は完全な浸透があると、ブロッキング使用が起こり、さらに深刻な場合、プロセス装置上への接着剤の蓄積が起きる可能性がある。
【0168】
本明細書に記載される末端基変性ポリスチレン系の実施形態は、以下の理由から有利である:1)溶融粘度を劇的に上昇させることなく、ホットメルト接着剤の弾性率、凝集力及び熱的-機械的性質を調節する点において現行のスチレン系の利点が得られること;2)現行の物質と比較して、相分離されたSBc接着剤における所望の領域にPMRを選択的に作用させることが可能となる高い相溶性を示すこと;及び3)ポリオレフィンとの優れた初期相溶性及び長期間の相溶性、さらにそれらの半晶質ポリマーとの混合物として採用したとき、より速やかなガラス化/結晶化が得られるように自在に調節できること。
【0169】
従って、本明細書に記載した実施形態は、末端基効果を活用して、これらの分子の化学的性質及び熱的-機械的性質を自在に調節して、それらが、今日市販されている物質と比較してホットメルト接着剤としてより適するようにするPMR様の技術を提案した。
【0170】
それによって末端基を発生させることが可能となる、当技術分野で公知の任意の方法が適するであろう。フリーラジカル重合開始剤のR及びR’の代表的な例としては、以下のものが挙げられる:アルキル、分岐状のアルキル、置換されたアルキル、脂環族及びアリール誘導体、例えば以下:
【化15】
に示すもの。
【0171】
熱的-機械的性質(高温における強度及び粘度)を微調整するための、本明細書に記載されたスチレン系ポリマー及びコポリマーとしては、以下のように記述される物質が挙げられる:ペンダントした芳香族側鎖基のラセミ又はメソ配向の点で高度にアタクチック、主としてアタクチック、高度にイソタクチック、主としてイソタクチック、高度にシンジオタクチック又は主としてシンジオタクチック。熱的-機械的性質を微調整するために、上述の式セットI及び/又は式セットIIに従ったPECPSを選択し得る。
【0172】
PECPSは、当技術分野で公知の任意の方法で製造することができる。例えば、PECPSは、下記の反応:
【化16】
(式中、n=5、10又は20であり;及びRは、以下の表Cに記載されたものからなる群から選択される)
に基づいて製造することができる。
【0173】
【0174】
PECPSとポリマーの一部との間の相溶性の改良は、熱的挙動で評価することができる。すなわち、広い比率の範囲(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)において、PECPSのブレンド物は、以下で与えられるFoxの式:
【数6】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメント(ポリマーがブロックコポリマーである場合)についてケルビンでガラス転移温度を指し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を指し、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測される混合物のTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示す。
【0175】
この計算を明確にするため、ここで、一例を提示する。50重量%のPECPS(50℃(323K)のTgを有する)と、50重量%のSBSポリマー(40%のポリスチレンを含み、120℃(393K)のTgを示し、ポリスチレンセグメントを伴う)との100gのブレンド物を仮定する。従って、
質量PECPS=100gの混合物×0.5gPECPS/g混合物=50gPECPS
質量PSセグメント=100gの混合物×0.5gSBS/g混合物×0.40gPSセグメント/gSBS=20gPSセグメント
Foxの式のための全質量=50g(PECPSから)+20g(SBSのPS相)=70g(全部で)
質量比PECPS、ωPECPS=50g(PECPS)/70g(合計)=0.714
質量比PSセグメント、ωPS=20g(PSセグメント)/70g(合計)=0.286
【数7】
この式を解けば、Foxの式から予測されるTgは、340K又は67℃となるであろう。
【0176】
PECPSが上述のミクロ相と「相溶性である」と記述した場合、その実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の25℃以内である。好ましくは、実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の20℃以内である。より好ましくは、実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の15℃以内である。最も好ましくは、実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の10℃以内である。
【0177】
式セットIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分との相溶性は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の25℃以内である。好ましくは、式セットIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分との実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の20℃以内である。より好ましくは、式セットIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分との実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の15℃以内である。最も好ましくは、式セットIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分との実際のTg(混合物)は、Foxの式が予測するであろうTg(混合物)の10℃以内である。
【0178】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、芳香族基を含む部分を含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第一の部分は、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分と相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの芳香族部分と、PECPSの第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲において、PECPSの第一の部分と少なくとも1種のポリマーとの間のブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数8】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測される混Tgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、末端ブロックを含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第一の部分は、少なくとも1種のポリマーの末端ブロックと相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの末端ブロックとPECPSの第一の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲において、PECPSの第一の部分と少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数9】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるそれらTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される。式セットIIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの脂肪族部分との相溶性は、Foxの式が予測するであろうT
g(混合物)の25℃以内である。好ましくは、式セットIIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの脂肪族部分との実際のT
g(混合物)は、Foxの式が予測するであろうT
g(混合物)の20℃以内である。より好ましくは、式セットIIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの脂肪族部分との実際のT
g(混合物)は、Foxの式が予測するであろうT
g(混合物)の15℃以内である。最も好ましくは、式セットIIのPECPSと、少なくとも1種のポリマーの脂肪族部分との実際のT
g(混合物)は、Foxの式が予測するであろうT
g(混合物)の10℃以内である。
【0179】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のポリマーは、脂肪族基を含む部分を含み、少なくとも1種のPECPSの少なくとも第二の部分は、相溶性であり、少なくとも1種のポリマーの脂肪族基を含む部分と、PECPSの第二の部分との間の相溶性は、(1:49~49:1、好ましくは1:4~4:1のPECPS:ポリマー)の比率の範囲において、PECPSの第二の部分と、少なくとも1種のポリマーとのブレンド物であって、以下で与えられるFoxの式:
【数10】
(式中、Tgは、PECPS及びポリマー又はポリマーセグメントについてケルビンでガラス転移温度を表し、及びωは、PECPSと、ポリマー又はブロックコポリマーのポリマーセグメントとの質量比を表し、ここで、その質量比の値、ωは、PECPS及びポリマー又はブロックコポリマーの場合には存在するポリマーセグメントの量の質量の合計を使用して計算される)
によって予測されるTgのそれぞれ25℃以内であるガラス転移温度を示すブレンド物によって定義される。本発明の接着剤組成物は、例えば、使い捨ての不織布衛生物品、紙加工、フレキシブル包装、木工、カートン及びケースのシール、ラベル貼り並びに他の組立用途など、多くの用途で汎用のホットメルト接着剤として使用することが可能である。特に好ましい用途としては、以下のものが挙げられる:不織布の使い捨てのおむつ及び女性生理用ナプキン構造物、おむつ並びに成人失禁用ブリーフ弾性付属品、おむつ及びナプキンのコアの安定化、おむつのバックシート積層物、工業用フィルター材料の加工、手術衣及び手術用ドレープの組合せなど。
【0180】
より安定なHMAは、溶融状態で長期間放置してもより小さい巨視的相分離のみを示す。より安定なHMAは、さらに、時間が経過してもそれらの物理的性質をよりよく保持し、時間が経過してもより小さい接着強度の変化のみを示す。性質の発現速度が高いHMAは、より早くその最終的な機械的性質(応力-歪み挙動)に達し、冷却後にHMAの最終的な物理的性質に到達させるためのアニール又はキュアに必要とされる時間が短い。
【実施例】
【0181】
物質及び方法
商業的に生産されるスチレンブロックコポリマー、鉱油及び市販されるスチレンオリゴマーを除いて、本明細書に記載されたすべての物質は、Sigma Aldrichから購入し、特に断らない限り、入手したままで使用した。ブチルカテコールによってスチレンの重合を防止した。Tiapol 4202は、結合されたスチレンパーセントが38.5~41.5%、ジブロックが1%未満、メルトフローが7g/10分(190℃、5kg)であるスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーであり、Dexco.Kaydolから購入したまま使用し、白色鉱油は、Sonnebornから入手した。この検討で使用した市販の純モノマー樹脂は、Yashuhara(SX 100)及びRuetgers(N-Pure 70S及びN-Pure 90S)から購入した。これらの物質の分子量は、本明細書に記載の方法で求め、以下に示した。
【0182】
【0183】
ラウロイル末端スチレンオリゴマー
ラウロイル末端の精密に末端キャップされたスチレンオリゴマー(さらにフェニル末端スチレンオリゴマー)の合成は、技術文献1で従来から確立されている方法を修正して使用して達成した。7.5mLのスチレンを、塩基性アルミナの上を通過させてから、200mLの丸底反応容器に仕込んだ。そのスチレンを、等容量のトルエンを用いて希釈してから、ラウロイルペルオキシド(4.5グラム)をその反応容器に添加した。そのペルオキシド重合開始剤が見かけ上完全に溶解するまで、その容器の内容物を撹拌した。次いで、その溶液を、窒素を用いて1時間かけてスパージした。次いで、その反応混合物を加熱して、80℃とした。Teflonコーティングしたマグネチックスターラーバーによって撹拌しながら、その容器及び内容物をその温度に2時間保った。次いで、1Lのメタノールを使用して、そのスチレンオリゴマーを沈降させた。次いで、等量部のイソプロパノールとヘキサンとの溶液を使用して、そのようにして得られた沈降物を洗浄した。次いで、そのオリゴマー性の物質を減圧環境で一夜かけて乾燥させた。
【0184】
フェニル末端スチレンオリゴマー
7.5mLのスチレンを、塩基性アルミナの上を通過させてから、200mLの丸底反応容器内に仕込み、当容量のトルエンにより希釈した。次いで、その反応容器にベンゾイルペルオキシド(1.4グラム)を添加した。ペルオキシド重合開始剤が完全に溶解するまで、その容器の内容物を撹拌した。不活性ガス(窒素を使用)置換法により、1時間かけて脱気を起こさせた。次いで、その反応混合物を加熱して90℃とした。Teflonコーティングしたマグネチックスターラーバーによって撹拌しながら、反応物をその温度に2時間保った。次いで、1Lのメタノールを使用してスチレンオリゴマー(約4kDa)を沈降させた。次いで、そのようにして得られた沈降物をトルエンに溶解させてから、1Lのメタノール中にもう一度沈降させた。次いで、そのオリゴマー性の物質を減圧環境で一夜かけて乾燥させた。
【0185】
スチレンオリゴマーのキャラクタリゼーション方法
分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して求めた。テトラヒドロフラン(THF)中において、本研究で記述した溶出時間を一連のポリスチレン標準と比較した。ヘリウム環境下で加熱-冷却、加熱のプログラムを使用して、示差走査熱量測定(DSC)データを集めた。加熱は、20℃/分の速度で実施した。これらの物質についてのGPCデータを次に示す。
【0186】
【0187】
さらに、本明細書で言及したオリゴマーの粘度は、Brookfield CAP 2000+粘度計を用いて評価した。これらの物質の粘度を、市販されているオリゴマーと比較して以下に示す。
【0188】
【0189】
LPO及びBPOを含む物質の温度依存性の粘度における差に加えて、溶解性における実質的な変動も調べた。とりわけ、LPO含有オリゴマーは、そのBPO末端の比較対象物(これは、ヘキサン中にほとんど溶けないままであった)よりもヘキサン中で実質的に高い溶解性を示した。
【0190】
接着剤の製造及び評価方法
トルエン中において、ラウロイル末端及びフェニル末端の両方のオリゴマー物質、さらに市販の純モノマー樹脂をTaipol 4202と共に(オリゴマー対ポリマーの比率3対1で)ブレンドして、固形分50%を含む溶液とした。これらの溶液を含む20mLのバイアルをオービタルシェーカー中において300rpmで撹拌して、固形物を完全に溶解させた(約4時間)。
【0191】
そのトルエン溶液を、0.002インチのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、湿時ゲート高さ250ミクロンになるようにブレードコーティングして剪断サンプルを調製した。周囲条件下で2時間かけて蒸発させることにより残存溶媒を除去してから、減圧環境下(真空オーブン)で加熱した。次いで、接着剤をコーティングした基材を切断して、1×3インチのストリップとした。最初に、イソプロパノール及びメチルエチルケトンを用いて金属プレートを清浄化し、その後、加熱して温度177℃とした。コーティングされた基材ストリップの接着剤サイドを、その加熱した金属プレートに、1インチの重なりになるように載せた。そのサンプルを、合計3回ローラーを通すことにより、プレート及び基材に均質な力を加えた後、そのサンプルを放冷した。金属クリップを使用して、それぞれの接着剤ストリップの下の部分に1kgの荷重を取り付けた。22℃、相対湿度50%一定の環境でその剪断性能を評価したが、評価した接着剤のすべてが7日後でも破壊されなかった。さらに、動的加熱環境下で剪断を評価したが、その場合、温度を3℃/分の速度で徐々に上げ、剪断接着破壊温度(SAFT)を測定した。加熱環境(オーブン)での試料の位置を変えて、この試験を2回実施した。精密に末端キャップされたオリゴマーの性能を、表に見られるような市販されている物質を使用して作成した配合物と比較する。非常によく類似するピークと平均分子量とを有するにも関わらず、BPO末端オリゴマー配合物は、実質的に向上されたSAFT値を示した。反対に、LPO末端オリゴマーサンプルは、分子量がさらに低い市販の物質と比較して低いSAFT値を示した。理論に拘束されるものではないが、本発明の物質の熱的挙動に見られる驚くべき結果は、その末端キャップの化学的性質に大きく依存し、特に、それらの末端キャップの性能は、オリゴマーの熱的性質と、さらに配合物に採用されたSBSブロックコポリマーのポリスチレン相及びポリブタジエン相との相の選択性との両方に影響すると考えられる。
【0192】
【0193】
本明細書において、数値に関連して「約」という用語を使用した場合、関連する数値は、表示された数値の前後±10%の許容差を含むものとする。さらに、本明細書においてパーセントを引用した場合、それらのパーセントは、重量基準、すなわち重量パーセントであるものとする。
【0194】
本明細書において示された分子量は、重量平均分子量(Mw)であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めたものである。
【0195】
添付の請求項によって規定される本発明の趣旨及び範囲内に入る、そのような修正形態、変更形態、置換形態及び均等物は、すべて添付の請求項によって包含されることが明示的に意図される。