(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】接着剤ボンディング組成物及びこれから作製される電子部品
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20220610BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220610BHJP
C09J 9/02 20060101ALI20220610BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220610BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20220610BHJP
H01L 23/373 20060101ALN20220610BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
C09J201/00
C09J9/02
C09J11/06
C09J11/04
H01L23/36 M
(21)【出願番号】P 2019550775
(86)(22)【出願日】2018-03-15
(86)【国際出願番号】 US2018022669
(87)【国際公開番号】W WO2018170286
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-08
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509279561
【氏名又は名称】イミュノライト・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ザカリエ・ファティ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・クレイトン
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド・ウォルダー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・エー・バーク
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0089180(US,A1)
【文献】特開平11-145185(JP,A)
【文献】特開2000-150575(JP,A)
【文献】特開2001-176993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
C09J 201/00
C09J 9/02
C09J 11/06
C09J 11/04
H01L 23/10
H01L 23/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に取り付けられた半導体デバイス
を含む電子部品であって、
前記半導体デバイスは、前記基板上にある複数の電気パッドと電気接触するように構成されている、前記半導体デバイスの一方の側に取り付けられた複数の剛性突出部を通して前記基板に取り付けられており、
前記複数の剛性突出部は、
少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含む第1硬化性樹脂または接着剤組成物から形成されていて、
その結果、前記選択された付与放射線の印加の際に、前記第1硬化性樹脂または接着剤組成物が硬化されて、前記半導体デバイスと前記基板上の前記複数の電気パッドとの間に前記剛性突出部を与えるようになっている、前記電子部品。
【請求項2】
前記複数の剛性突出部が導電性である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記半導体デバイスと基板との間、及び前記複数の
剛性突出部のそれぞれと電気パッドとの間に層を形成するアンダーフィル材料をさらに含み、前記アンダーフィル材料が、
少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と
を含む第2硬化性樹脂または接着剤組成物から形成された第2の硬化樹脂を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記複数の
剛性突出部を有する前記の側とは反対の前記半導体
デバイスの側に取り付けられた金属ヒートシンク層をさらに含み、前記金属ヒートシンク層が、
少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含む第3硬化性樹脂または接着剤組成物から形成された第3の硬化樹脂を使用して前記半導体
デバイスに取り付けられており、
前記第3の硬化樹脂が熱伝導性である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第3の硬化樹脂が、前記第3の硬化樹脂に粒子を含むことによって熱伝導性とされ、前記粒子が、金属粒子及び金属窒化物粒子からなる群から選択される、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
粒子が金属窒化物粒子である、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記金属窒化物粒子が、AlN及びBNからなる群から選択されるメンバーである、請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記複数の
剛性突出部を有する前記の側とは反対の前記半導体
デバイスの側に取り付けられた金属ヒートシンク層をさらに含み、前記金属ヒートシンク層が、
少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含む第3硬化性樹脂または接着剤組成物から形成された第3の硬化樹脂を使用して前記半導体
デバイスに取り付けられており、
前記第3の硬化樹脂が熱伝導性である、請求項2に記載の電子部品。
【請求項9】
前記第3の硬化樹脂が、前記第3の硬化樹脂に粒子を含むことによって熱伝導性とされ、前記粒子が、金属粒子及び金属窒化物粒子からなる群から選択される、請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
粒子が金属窒化物粒子である、請求項9に記載の電子部品。
【請求項11】
前記金属窒化物粒子が、AlN及びBNからなる群から選択されるメンバーである、請求項10に記載の電子部品。
【請求項12】
前記複数の
剛性突出部を有する前記の側とは反対の前記半導体
デバイスの側に取り付けられた金属ヒートシンク層をさらに含み、前記金属ヒートシンク層が、
少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含む第3硬化性樹脂または接着剤組成物から形成された第3の硬化樹脂を使用して前記半導体
デバイスに取り付けられており、
前記第3の硬化樹脂が熱伝導性である、請求項3に記載の電子部品。
【請求項13】
前記第3の硬化樹脂が、前記第3の硬化樹脂に粒子を含むことによって熱伝導性とされ、前記粒子が、金属粒子及び金属窒化物粒子からなる群から選択される、請求項12に記載の電子部品。
【請求項14】
粒子が金属窒化物粒子である、請求項13に記載の電子部品。
【請求項15】
前記金属窒化物粒子が、AlN及びBNからなる群から選択されるメンバーである、請求項14に記載の電子部品。
【請求項16】
請求項
4、8又は12のいずれか一項に記載の電子部品を含むパッケージングされたデバイスであって、前記金属ヒートシンク層が、前記半導体デバイスのエッジを超えて延在しており、また、前記基板から前記金属ヒートシンク層を支持して前記半導体デバイスを密閉シールする支持側に接続されている、前記デバイス。
【請求項17】
前記金属ヒートシンク層の少なくとも一部が、前記半導体
デバイスによって受容または透過される光の1つ以上の波長に透明であるウインドウによって置き換えられている、請求項16に記載のパッケージングされたデバイス。
【請求項18】
少なくとも1つの支持側の少なくとも一部が、前記半導体
デバイスによって受容または透過される光の1つ以上の波長に透明であるウインドウによって置き換えられている、請求項17に記載のパッケージングされたデバイス。
【請求項19】
少なくとも1つの支持側の少なくとも一部が、前記半導体
デバイスによって受容または透過される光の1つ以上の波長に透明であるウインドウによって置き換えられている、請求項16に記載のパッケージングされたデバイス。
【請求項20】
請求項1の電子部品を含む封入された半導体デバイスであって、少なくとも前記基板、
前記複数の剛性突出部及び電気パッドを封入するグロブトップを有する、前記半導体デバイス。
【請求項21】
前記グロブトップが、
少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含む硬化性樹脂または接着剤組成物を硬化することから形成されている、請求項20に記載の封入された半導体デバイス。
【請求項22】
前記グロブトップが高い光透過率を有する、請求項20に記載の封入された半導体デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つのエネルギー変換材料が、所望の光透過率を有するグロブトップを与えるために、
硬化した後の前記
硬化性樹脂または接着剤組成物の所望の透過率波長より小さい粒径を有する、請求項21に記載の封入された半導体デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つのエネルギー変換材料が、400nm以下の粒径を有する、請求項23に記載の封入された半導体デバイス。
【請求項25】
重合の際、
硬化した光学的に透明な樹脂または接着剤を形成する少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料であって、前記の硬化した光学的に透明な樹脂または接着剤を通して透過される所望の透過率波長未満の粒径を有している、前記少なくとも1つのエネルギー変換材料と
を含む
組成物から形成される、硬化した光学的に透明な樹脂または接着剤組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つのエネルギー変換材料が、400nm以下の粒径を有する、請求項25に記載の
硬化した光学的に透明な樹脂または接着剤組成物。
【請求項27】
重合の際、導電性樹脂または接着剤を形成する少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに前記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含み、
その結果、形成される前記
導電性樹脂または接着剤組成物が、導電性添加剤の存在なしに導電性または半導電性を示す、
組成物から形成される、導電性樹脂または接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2017年3月10日に出願された米国出願第15/455,573号、2016年12月19日に出願された米国出願第15/382,835号、2015年1月9日に出願された米国出願第14/593,049号、2011年5月6日に出願された米国出願第13/102,277号(現在、米国特許第9,023,249号)、2010年5月6日に出願された米国仮特許出願番号第61/331,990号、及び2011年2月15日に出願された米国仮特許出願番号第61/443,019号に関連し、これらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。本出願はまた、2009年3月18日に出願された米国仮特許出願第61/161,328号、2009年11月10日に出願された米国仮特許出願第61/259,940号、2007年8月6日に出願された米国仮特許出願番号第60/954,263号、及び2008年2月21日に出願された同第61/030,437号、2008年3月31日に出願された米国出願番号第12/059,484号、2007年11月6日に出願された米国出願番号第11/935,655号、2008年4月4日に出願された米国仮特許出願番号第61/042,561号、2008年3月11日に出願された同第61/035,559号、及び2008年7月11日に出願された同第61/080,140号、2009年3月10日に出願された米国特許出願第12/401,478号、2007年11月6日に出願された米国特許出願第11/935,655号、2008年3月31日に出願された米国特許出願第12/059,484号、2009年2月20日に出願された米国特許出願第12/389,946号、ならびに2009年4月3日に出願された米国特許出願第12/417,779号に関連し、これらの各々の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポリマー硬化、特に接着剤硬化及びボンディング用の材料及び方法に関し、より特定的には、接着剤を含有するある特定の電子及び半導体部品、ならびに、外部光源へのアクセスが利用可能でない及び/または熱膨張係数の不適合を伴わないボンディングが望ましい用途においてエネルギー変換及び光開始剤化学を使用して電子及び半導体部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
熱硬化性ポリマー及び接着剤は、よく知られており、広範な用途に使用されている。1つの特に重要な適用分野は、マイクロエレクトロニクスアセンブリの分野であり、ここでは、熱硬化性接着剤が、ベアダイを基板にボンディングする、導電性コンタクトを確立する、ならびにグロブトップ及びダイ-アンダーフィル構造などのパッケージング及び封止構造における種々の役割を果たすのに使用される。市販の材料は、種々の要件を満たすように配合され、モノマー(複数可)に加えて、粒子状のフィラー、例えば、金属、酸化物、または誘電体粉末、ならびに、熱伝導率、粘度及び他の特性を制御するための種々の添加剤を含有し得る。かかる材料は、典型的には、正確な箇所にチキソトロピック流体として分配され、全ての部分が設置された後に、アセンブリ全体が、モノマーを重合するまたは樹脂を架橋するのに必要な温度に加熱される。
【0004】
最新の電子部品がより小さなサイズへと進化し、また、集積回路が極浅接合などのますます小さな特徴を含むにつれて、アセンブリの際に許容されるサーマルバジェットは減少し続ける。新しいメモリデバイス技術には、例えば、温度感受性でありかつ低温処理を使用してアセンブリされる必要があり得る相変化材料が組み込まれている。同様に、歯科修復物に使用されるポリマー複合体は、患者を高い硬化温度に付すことなく硬化されなければならない。これらの問題に対処するために、多くの光硬化性ポリマー系が開発されている。概して、これらの系は、UV光に暴露されたときに化学エネルギーを放出して遊離ラジカルまたはカチオンを形成し、モノマーの反応を略周囲温度で開始する少なくとも1つの光開始剤を用いている。
【0005】
従来の光開始剤の明らかな制限は、好適な光源に対して直接の見通し線アクセスを有する必要性である。このことは、個々のシリコンダイの多層スタックなどの従来の高度プロセス用材料の使用を妨げる。なぜなら、スタックの内部にUV光を到達させる方法が存在しないからである。
【0006】
さらに、従来のUV硬化性接着剤は、接着剤ビーズの外側表面から接着剤ビーズの内側に硬化し、大部分の場合において、硬化は、スキンの形成によって達成される。本発明において、硬化は、より制御可能であり、接着剤ビーズの体積全体にわたって進行し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、間接的な光開始によって、すなわち、外部エネルギー源に対しての見通し線アクセスの非存在下で硬化され得るポリマー配合物(すなわち、モノマー、光開始剤、及びエネルギーコンバータ)を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、周囲温度で硬化され得る接着剤組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、光開始剤と、エネルギーコンバータ、好ましくはダウンコンバータ、例えば、蛍光体もしくはシンチレータ材料(または蛍光体及びシンチレータ材料の組み合わせ)とを含有する流動性接着剤組成物を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、選択された電離放射線によって重合され得る可撓性シート接着剤材料を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、周囲温度における接着剤ボンディングのための方法、ならびに、広範な他の最終用途に併せて、周囲温度においてスタックにおけるシリコンダイまたはウェハをボンディングするのに好適な接着剤ボンディングの方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、本発明の接着剤組成物を含有する電子及び/または半導体部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のこれら及び他の目的及び利点は、単独または組み合わせのいずれかで、硬化性接着剤組成物であって、
少なくとも1つの重合可能なモノマーまたは複数の架橋可能なポリマー鎖を含む重合可能または架橋可能な有機ビヒクルと、
選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、
選択された付与放射線に暴露されたときに上記の光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、
を含む硬化性接着剤組成物、ならびに、
種々のアセンブリ及び構成物、特に、種々の電子及び半導体部品の調製におけるその使用、
の発見によって満足された。
【0014】
本発明の種々の他の目的、特徴及び付随する利点は、同様の参照符号がいくつかの図を通して同様または対応する部を表記している添付の図面と併せて考慮されるとき、以下の詳細な説明からより理解されるようになるにつれて、より完全に認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】X線照射の際にUVA領域において発光する材料の発光スペクトルを与える。
【
図2】X線照射の際にUVB領域において発光する材料の発光スペクトルを与える。
【
図3】X線照射の際にUVA、UVB、及び可視領域において発光する材料の発光スペクトルを与える。
【
図4】X線照射の際の2つの別個の材料CaWO
4及びYaTO
4の発光スペクトルを与える。
【
図5】X線照射の際のCaWO
4及びYaTO
4の混合物の発光スペクトルを与える。
【
図6】50、90、及び130kvpの強度でのX線照射の際のCaWO
4及びYaTO
4の混合物の発光スペクトルを与える。
【
図7】大きなコーティング厚さまたはコーティング形状の、蛍光体の充填率に対する影響の表示を与える。
【
図8】コーティングを有する蛍光体と本来の蛍光体表面との間のX線の強度の減衰の変化を与える。
【
図9】本発明のダムアンドフィル用途の実施形態の表示を与える。
【
図10】基板に設置された挿入成形片を使用してUV出力を増強させる本発明の実施形態の表示を与える。
【
図11】A及びBは、それぞれ、ナノサイズ蛍光体粒子で装飾されたベアシリカ担体粒子及びシリカ担体粒子の表示を示す。
【
図12】量子ドットもしくは合金量子ドット、またはX線下でプラズモン挙動を示す金属合金によってコーティングされたシリカ担体粒子の表示を与える。
【
図13】ナノサイズのダウンコンバータで装飾され、次いでシリカでコーティングされたシリカ担体粒子の表示を与える。
【
図14】ナノサイズの蛍光体粒子の表面に連結または吸着された光開始剤の表示を与える。
【
図15】A及びBは、表面に連結または吸着された光開始剤及びナノサイズの蛍光体で装飾された粒子の周囲にコーティングされたシリカに直接連結された光開始剤をそれぞれ有するナノサイズ蛍光体粒子で装飾されたシリカ微粒子の表示を与える。
【
図16】A及びBは、それぞれ、光開始剤に非連結である二重層状装飾、及び連結された光開始剤による二重層状装飾の表示を与える。
【
図17】本発明の異方導電性ポリマー球体の実施形態の表示を与える。
【
図18】圧縮及び平坦化後の、本発明の異方導電性ポリマー球体の実施形態の表示を与える。
【
図19】集積回路用途において異方導電性ポリマー球体を使用する本発明の実施形態の表示であって、強調のために拡大された特徴を有する当該表示を与える。
【
図20】本発明の異方導電性UV発光ポリマー球体のさらなる実施形態の表示を与える。
【
図21】圧縮及び平坦化後の、
図20の異方導電性UV発光ポリマー球体の実施形態の表示を与える。
【
図22】集積回路用途において異方導電性UV発光ポリマー球体を使用する本発明の実施形態の表示であって、強調のために拡大された特徴を有する当該表示を与える。
【
図23】異方導電性UV発光ポリマー球体を使用する本発明のさらなる実施形態の表示を与える。
【
図24】A~Cは、本発明によるX線アライナ及びボンダの実施形態の表示を与える。
【
図25】A~Cは、本発明によるX線アライナ及びボンダのさらなる実施形態の表示を与える。
【
図26】A~Cは、本発明によるX線アライナ及びボンダの別の実施形態の表示を与える。
【
図27】コンピュータ制御、ならびにON/OFF時間によってUV強度及びUV源をプログラミングする能力を有する固定分配システムの実施形態の表示を与える。
【
図28】UVフラッシングに特に有用な、機械駆動システム及びコンピュータ制御を有する自動分配器のさらなる実施形態の表示を与える。
【
図29】コンピュータ制御による機械駆動システム及び真空アパーチャを備えた加熱されたプラテンを有する自動分配器の別の実施形態の表示を与える。
【
図30】A~Dは、スクリーン印刷機が接着剤組成物の適用に使用され、UVフラッシングが、第2基板の適用及びX線照射の前の部分的硬化を引き起こすように使用される、本発明の実施形態の表示を与える。
【
図31】A~Cは、PET要素をクロスプライ炭素複合体要素にボンディングさせる本発明の実施形態の表示を与える。
【
図32】直接の見通し線を有するフィレットがUVエネルギーの直接適用によってさらに硬化される本発明の実施形態の表示を与える。
【
図33】A~Cは、別個の分配器(A)を通してまたは2つの同軸分配器(B~C)を通してのいずれかで2つの接着剤が投与される本発明の実施形態の表示を与える。
【
図34】自動ドア及び内部UVランプを有する本発明において使用されるX線システムの一実施形態の表示を与える。
【
図35】A及びBは、本発明における使用のためのコンベアシステムの実施形態の表示を与える。
【
図36】1を超えるX線源を使用して異なるアセンブリを同時に硬化する本発明の実施形態の表示を与える。
【
図37】A~Cは、照射されているワークピースが放射線源に対して異なる方に配向される本発明の方法の異なる実施形態の表示を与える。
【
図38】A及びBは、回転台及び回転アームを有するウェハボンディングツールの本発明の実施形態の表示を与える。
【
図39】本発明において使用され得るダイツーウェハボンディングツールの実施形態の表示を与える。
【
図40】A~Cは、本発明において有用なX線システム及びコンベアシステムの異なる実施形態の表示を与える。
【
図41】本発明において有用な非接触チャンバ設計の実施形態の表示を与える。
【
図42】本発明において有用な非接触チャンバ設計のさらなる実施形態の表示を与える。
【
図43】A及びBは、締結部を複合パネルにボンディングするための本発明の実施形態の表示を与える。
【
図44】アンダーフィルアセンブリの製造のための本発明の実施形態の表示を与える。
【
図45】高密度回路におけるアンダーフィルの製造のための本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図46】ノンフローアンダーフィルアセンブリの製造のための本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図47】グロブトップ封入のための本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図48】ダムアンドフィル接着剤としての本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図49】成形を通しての封入における本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図50】A及びBは、それぞれ、ロジックデバイス及びMEMSデバイスのリッドシールのための本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図51】マイクロボールグリッドアレイのグロブトップ封入における本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図52】フレックス回路と集積回路(IC)との間のTABボンディング領域の封入における本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図53】フィルム接着剤を使用した、鏡像特徴を有するプラスチックデバイスのボンディングにおける本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図54】A及びBは、流体チャネルを有するサブアセンブリの形成における本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図55】A及びBは、能動デバイスを流体リザーバに接続する際の本発明の実施形態の使用の表示を与える。
【
図56】A及びBは、本発明において硬化に使用され得る漏洩光ファイバ素子の表示を与える。
【
図57】A及びBは、漏洩光ファイバ素子を使用した本発明の実施形態の表示を与える。
【
図59】A及びBは、-45+45複合プライアセンブリを形成するための本発明の実施形態の表示を与える。
【
図60】A及びBは、0+90複合プライアセンブリを形成するための本発明の実施形態の表示を与える。
【
図61】シリカコーティングされた蛍光体がアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)と反応し、次いで、変性された光開始剤がペンダントアミノプロピル基と結合する、無機ダウンコンバータ粒子を光開始剤に連結するための1つの好適な化学を示す。
【
図62】本発明における典型的な使用方法の一実施形態のブロックフロー図を与える。
【
図63A】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図63B】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図63C】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図63D】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図63E】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図63F】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図63G】導電性コンタクト及び金属ヒートシンクによって種々の半導体ICデバイスを形成するための本発明の実施形態の製造における段階の表示を与える。
【
図64】リッドシールが、キャビティ内に密閉シールされているパッケージングされたIC用のヒートシンクを使用して形成されている、本発明の実施形態の表示を与える。
【
図65】リッドシールが、キャビティ内に密閉シールされているパッケージングされたIC用のヒートシンクを使用して形成されており、ヒートシンクの一部が、ICまたはICの組み合わせによって受容または透過された所望の波長の光を透過するウインドウによって置き換えられている、本発明の同様の実施形態の表示を与える。
【
図66】リッドシールが、キャビティ内に密閉シールされているパッケージングされたIC用のヒートシンクを使用して形成されており、ヒートシンク及びヒートシンク支持体の両方の一部が、ICまたはICの組み合わせによって受容または透過された所望の波長の光を透過するウインドウによって置き換えられている、本発明のさらなる実施形態の表示を与える。
【
図67】ICデバイスが、高い透過率を有する硬化樹脂から形成されるグロブトップによって封入されている、本発明の封入されたICの表示を与える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
新しいクラスの硬化性接着剤を本発明によって提供する。この新しいクラスの接着剤は、以下の望ましい特質のうち1つ以上を有する:
a-見通し線を伴わずに硬化する(接着が起こるボンディング線は、ボンディングされる構造よりも内側にある)
b-浸透深さの限界を伴わずに硬化する(ボンディング線は、硬化反応速度論を損なうことなく材料の内側で深くなっていてよい)
c-熱膨張の不適合を伴わずに硬化する(室温でボンディングし、ボンディング線における圧縮及び引張応力を回避する能力)
d-接着剤を選択的に硬化する(接着剤がエネルギー変換粒子を有する場合にのみ接着剤にネットワークを形成させる、これは、選択的な硬化幾何学を生じさせるのに使用され得る)
e-接着剤は、好適な特性を有する(電気的-誘電性、非導電性から、非等方半導性から導電性までを含む、機械的-剛性または弾性コンプライアンス(第2の相軟化剤の使用)、光学的-透明から不透明、酸対塩基の制御-インクから水溶液までの種々の環境に耐える能力、望ましい範囲の接着剤ボンディング強度)
【0017】
これらの特質は、以前には達成可能でなかったある特定の接着剤硬化用途の達成を可能にし、また、既に存在する接着剤硬化用途の改善を可能にする。本発明接着剤の硬化は、最先端の技術と比較して有利である新規のアセンブリ及び処理方法につながる。
【0018】
一実施形態において、本発明は、吸収された光エネルギー(典型的にはUV光)を開始種、例えば、遊離ラジカルまたはカチオンの形態の化学エネルギーに変換し、これにより、モノマー含有接着剤において重合反応を開始する光開始剤化学を使用して周囲温度で材料をボンディングする方法を提供する。別の態様において、本発明は、ボンディングされる領域が外部光源にアクセス可能でない状況において光開始を実施する方法を提供する。
【0019】
本発明の一実施形態によると、接着剤組成物は、少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む有機ビヒクルと、選択された光波長に応答する少なくとも1つの光開始剤と、選択された付与放射線に暴露されたときに上記の選択された光波長を放出するように選択された少なくとも1つのエネルギー変換材料と、を含む。
【0020】
本発明の別の態様によると、接着剤ボンディング方法は、a)少なくとも1つの光開始剤及び少なくとも1つのエネルギー変換材料を含む重合可能な接着剤組成物を、ボンディングされる2つ以上の要素と接触して設置してアセンブリを形成する工程と、b)少なくとも1つのエネルギー変換材料、好ましくはダウンコンバート材料、例えば蛍光体によるコンバージョンが可能である第1波長から、少なくとも1つの光開始剤を活性化することが可能である第2波長まで、放射線によってアセンブリを照射する工程とを含む。
【0021】
本発明のなお別の態様によると、接着剤ボンディング方法は、a)少なくとも1つの光開始剤及び少なくとも1つのエネルギー変換材料を、連結を通しての吸着または化学的ボンディングのような方法を使用して互いに付着させ、次いで、後に混合体に形成される化学構造物を樹脂と混合する工程を含む。
【0022】
本発明のさらなる実施形態によると、ジョイントを作り出し、2つの異なる基板間で接着を確立するための方法は、複数の合成ポリマー鎖と、光活性架橋剤である少なくとも1つの光開始剤とを同じく含有する接着剤系を使用することを含む。この場合、少なくとも1つの光開始剤の光活性架橋剤としての役割は、本質的に共有結合性であってもイオン性であってもよい結合を形成することによって1つのポリマー鎖を別のものに連結することである。この場合、最初の粘性材料が、樹脂系において予め存在する鎖間の連結を作り出すことによって達成される3Dネットワーク構造の形成を通して固体材料に変換される。かかる架橋は、合成ポリマー(接着剤用)及び天然ポリマー(例えばタンパク質またはDNA)の両方に適用可能であり得る。
【0023】
本発明の一実施形態の本発明材料は、2つの主な要素:第1の、少なくとも1つの光開始剤を含むモノマー組成物、及び第2の、付与エネルギーを吸収し、当該エネルギーを変換して、少なくとも1つの光開始剤によって吸収され得るスペクトル範囲で光子を生じさせ、これによりモノマー組成物の重合を開始することが可能である少なくとも1つのエネルギー変換材料を含む。好ましくは、エネルギー変換材料は、より高いエネルギーの光子(典型的にはX線)を吸収してダウンコンバートし、より低いエネルギーの光子(典型的にはUV、さらには可視光も)を光開始剤によって効果的に吸収され得るスペクトル範囲で生じさせることが可能であるダウンコンバート材料である。任意選択的な要素として、限定することなく、有機及び無機フィラー(例えば、酸化物、誘電体、導体、ファイバなど)、可塑剤、細孔形成剤、ならびに他の物理的添加剤が挙げられる。
【0024】
代替の実施形態において、硬化性接着剤組成物は、重合可能なモノマーよりもむしろ複数の架橋可能なポリマー鎖を含む。この実施形態において、光開始剤とは、活性化の際に、架橋可能なポリマー鎖間で架橋を作り出して3Dポリマーネットワークを形成し、これにより、架橋によって接着剤組成物を硬化させることが可能であるものである。以下の実施形態の多くは、重合可能なモノマーを含む硬化性接着剤組成物を使用した実施形態に基づいて記載されているが、この記載は単に便宜上のものであり、複数の架橋可能なポリマー鎖を含む硬化性接着剤組成物の使用は、記載されている実施形態において等価に置換され得る。
【0025】
本発明において、エネルギー変換材料は、付与エネルギーを、より高いエネルギーの光子(「アップコンバート材料」)またはより低いエネルギーの光子(「ダウンコンバート材料」)のいずれかに変換し得る任意の材料であり得る。好適なアップコンバート材料及びダウンコンバート材料は、2009年3月18日に出願された米国仮特許出願第61/161,328号、2009年11月10日に出願された米国仮特許出願第61/259,940号、2007年8月6日に出願された米国仮特許出願番号第60/954,263号、及び2008年2月21日に出願された同第61/030,437号、2008年3月31日に出願された米国出願番号第12/059,484号、2007年11月6日に出願された米国出願番号第11/935,655号、2008年4月4日に出願された米国仮特許出願番号第61/042,561号、2008年3月11日に出願された同第61/035,559号、及び2008年7月11日に出願された同第61/080,140号、2009年3月10日に出願された米国特許出願第12/401,478号、2007年11月6日に出願された米国特許出願第11/935,655号、2008年3月31日に出願された米国特許出願第12/059,484号、2009年2月20日に出願された米国特許出願第12/389,946号、ならびに2009年4月3日に出願された米国特許出願第12/417,779号に記載されており、これらの各々全開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。付与エネルギーは、必要に応じて付与エネルギー源と接着剤組成物それ自体との間に材料を浸透させるための任意の所望のエネルギーであり得る。例えば、付与エネルギーは、近赤外(NIR)であり得、アップコンバート材料が、付与エネルギーを、使用される光開始剤によって吸収され得るUV光子に変換する。好ましくは、付与エネルギーは、X線エネルギーであり、エネルギー変換材料が、ダウンコンバート材料、例えば、蛍光体またはシンチレータである。便宜上、以下の考察において、ダウンコンバート材料と、付与エネルギーとしてのX線の使用とを参照する。しかし、これは、エネルギー変換材料によって発生する光子が光開始剤によって吸収され得る限り、本発明の限定を意図しておらず、また、付与エネルギー及びエネルギー変換材料のいずれの所望の組み合わせが使用されてもよい。
【0026】
関連する方法は、2つの必須工程、a)光開始剤及びダウンコンバート材料を含む重合可能な接着剤組成物を、ボンディングされる2つ以上の要素と接触して設置して、アセンブリを形成する工程と、b)蛍光体によるダウンコンバージョンが可能である第1波長から光開始剤を活性化することが可能である第2波長まで放射線によってアセンブリを照射する工程とを含む。任意選択的な工程として、限定することなく、接着剤を選択されたパターンでニードルを通して分配する、または、接着剤を、選択されたパターンを有するマスクを通してスクリーン印刷する工程、接着剤を光パターン化する工程、接着剤を、等方または異方導電性を有するシートに予め形成する工程、及び硬化プロセスの間に接着剤ボンドに圧力を印加する工程が挙げられる。
【0027】
接着剤の分配及び接着剤の特性は、以下を満たすように好ましくは調整され得る:
-分配は、限定されないが、ピストンもしくはオーガーポンプ、スピンコーティング、スプレーコーティング、またはスクリーン印刷を使用した分配を含めた任意の従来の分配システムを使用して実施され得る。
-接着剤は、検査用のトレーサ要素を所望により含有し得る。
-接着剤は、光学検査用顔料を所望により含有し得る。
-接着剤は、硬化後の色を変化させるように所望により作製され得る。
【0028】
参照目的で、電磁スペクトルの種々の領域の一般に認められているおおよその波長、周波数、及びエネルギー限界を以下に列挙する。
【表1】
【0029】
いくつかの適用分野が、この新しいクラスの接着剤及びかかる新しいクラスの接着剤を硬化するのに使用される方法から利益を得ることができ、これらとして、以下が挙げられる:
半導体のボンディング、例えば、室温における、ウェハボンディング、ダイツーウェハボンディング、ダイオンダイボンディング、パッケージオンパッケージアセンブリなど。これは、異方導電性接着剤に特に有用な分野である。
【0030】
半導体の封入:例えば、グロブトップ、ダムアンドフィル、成形(PMC)、挿入成形及びフリップチップアンダーフィル。
【0031】
半導体リソグラフィ:本発明接着剤組成物及び対応する構成材料化学は、ゲート構造をパターン化するのにフロントエンド半導体において使用され得る。フォトリソグラフィ用途には、ネガまたはポジ型トーンを有するフォトレジスト材料の使用及び現像が含まれる。X線の露光は、X線が分配された接着剤の特定の領域と相互作用することを可能にするプログラミング可能な距離で、調整可能なアパーチャ(特に、鉛製のもの)によってゲーティングされ得る。さらに、X線を使用するパターン化は、ある領域ではX線を減衰し他では減衰しない重金属含有マスクによって実施され得る。
【0032】
他のパターン化方法は、インプリントリソグラフィを使用することによって全てのマスク作業をバイパスすることができる。この場合、ディップトランスファ方法及びスタンピング方法が、エネルギー変換粒子を含有する特徴を有する接着剤組成物を含有するパターンを堆積するのに使用され得る。この場合、X線は、含有される変換粒子によって接着剤領域を硬化する。
【0033】
本発明はまた、新規の複合体を作製する能力も提供する。新規のプライ(複合体の基本的な構成単位)は、ポリマー樹脂、エネルギー変換粒子及び好適な触媒/光開始剤系でコーティングされたファイバを含有する。この新規のプリプレグ材料は、単純な形状から複雑な3D形状及び構造(例えば円形ベッセル)までの範囲に及ぶ軽量構造及び形状を生じさせるために複合体において使用されるビルドアッププロセス(クロスプライ、一方向プライ)に使用される。スタックアップまたはビルドアップは、次いで、硬化または固化のためにX線に暴露される。
【0034】
複合体のボンディング:互いに類似でない材料のボンディングにおいて特に有用な、複合体の、他の複合体、金属及び金属合金、ゴム、レザーならびに無機材料(例えばセラミックス)へのボンディング。
【0035】
複合体への機械的締結部の取り付け:大きな複合パネルへの小さな金属要素、例えば、リベットのボンディングは、2つの別個の構造を締結するのに有用であり得る。従来、これは、溶接接続を達成するのにメタルオンメタル接触の使用を必要としていた。本発明接着剤により、かなり広範な製造の操作の自由を可能にする。航空宇宙及び自動車用途では、例えば、KUKAロボット(KUKA Aktiengesellschaft of Augsburg,Germanyによって販売されている)が、接着剤アプリケータ(例えば分配器)及びX線源、ならびにピックアンドプレース機を装備することができ、これにより、接着剤を分配し、光学検査を実施し、リベットを設置してそこで保持し、X線で硬化し、全てが、いずれか他の公知の方法と比較して記録時間内にある。さらに、室温ボンディングの利点は、湾曲を最小にすることである。
【0036】
天然複合体:大きな木造梁、または他の天然複合体材料の製作は、従来、木片を樹脂コーティングし、アセンブリを高圧及び熱下でボンディングして接着剤を硬化することによって例えば小さな木片から達成されている。本発明接着剤は室温ボンディングを可能にし、硬化の際に水分を揮発させる必要がない。このことは、発熱にマイクロ波を典型的には使用する、かかる複合体を作製する従来の方法よりもかなり良好であるが、プロセスにおいて大量の熱を作り出し、結果として、ワークピースの着火さえも引き起こす場合がある。
【0037】
金属のボンディング:自動車における金属シャシ及びドアのボンディング(従来の誘導加熱を置き換えるため)。金属シートは、まず、ビーズをシャシの周囲に分配して金属片と接続させ、これらの位置を固定し、続いて本発明方法及び組成物を使用して硬化することによって特有の形状で屈曲され次いで一緒に接着ボンディングされる。
【0038】
流体チャネル:パターン化された基板を一緒にボンディングして流体チャネルを形成することによる、プラスチック、金属及び無機基板における流体チャネルの作製。異種プラスチックの接続、プラスチックへの半導体の接続は、熱膨張によって誘発される不適合を伴わずになされ得る。
【0039】
マルチチップモジュール:KOVAR基板におけるダイ、及びマルチチップモジュールにおけるリッドシール。
【0040】
MEMS:室温でのガラスウェハを有するMEMSのシール(ヘッドシフトなし)。
【0041】
オプトエレクトロニクス:光強度収率(DWDM)を最大にするためのアライメントであり、接着剤を適用して室温で硬化する(最大の光強度経路を維持する)。V溝においてファイバを配列し、硬化し、マルチチャネルファイバを配列し、光強度経路を維持しながら硬化する。
【0042】
変形可能な基板、特に異種基板の取り付け:ゴムを発泡体に、レザーをゴムに、レザーをレザーに、もしくは織物を織物に、または変形可能な基板の任意の組み合わせに取り付ける。
【0043】
本発明接着剤技術の他の好ましい用途として、限定されないが:
・表面だけでなく内部でも生体組織を接着剤ボンディングすることが挙げられる。これは、縫合またはステープルの必要性を排除する。現在、シアノアクリレート(「SuperGlue」)型接着剤は、これらの用途に使用されている。しかし、シアノアクリレートは、一般に硬化するときに発熱し、これは、細胞剥離につながり得る。
・出血を処置する凝固剤の活性化-外傷または広範な手術において最も有価である。本発明接着剤は、外傷の患者において一時的な「応急」処置として使用され得、介護人に、患者が出血することなく傷に対処するためのより多くの時間を与える。
・硬化される物品全体を通しての均一な硬化により局所修復に最も適している、構成材料の遠隔硬化。
・織物、例えば、悪天候ギアの、熱を伴わないボンディング、これにより、熱ボンディングで作り出される溶融、及び不浸透性材料に穴を開ける(ステッチする)必要性を排除する。
【0044】
1つの特に重要な適用分野は、マイクロエレクトロニクスアセンブリの分野であり、ここでは、熱硬化性接着剤が、ベアダイを基板にボンディングする、導電性コンタクトを確立する、ならびにグロブトップ及びダイ-アンダーフィル構造などのパッケージング及び封止構造における種々の役割を果たすのに使用される。市販の材料は、種々の要件を満たすために配合され、モノマー(複数可)に加えて、粒子状のフィラー、例えば、金属または誘電体粉末、ならびに、粘度及び他の特性を制御するための種々の添加剤を含有し得る。かかる材料は、典型的には、正確な箇所にチキソトロピック流体として分配され、全ての部分が設置された後に、アセンブリ全体が、モノマーを重合するのに必要な温度に加熱される。本発明は、かかる加熱を使用する必要性を回避させ、湾曲の危険性またはマイクロエレクトロニクスへの他の熱損傷を伴わずに接着剤の硬化を生じさせ得る。
【0045】
最新の電子部品がより小さなサイズへと進化し、また、集積回路が、極浅接合などのますます小さな特徴を含むにつれて、アセンブリの際に許容されるサーマルバジェットは減少し続ける。同様に、歯科修復物に使用されるポリマー複合体は、患者を高い硬化温度に付すことなく硬化されなければならない。これらの問題に対処するために、多くの光硬化性ポリマー系が開発されている。概して、これらの系は、UV光に暴露されたときに化学エネルギーを遊離ラジカルまたはカチオンの形態で放出してモノマーの反応を略周囲温度で開始する少なくとも1つの光開始剤を用いている。
【0046】
光開始剤の明らかな従来的な制限は、好適な光源に対して直接のアクセスを有する必要性である。このことは、個々のシリコンダイの多層スタックなどの従来の高度プロセス用材料の使用を妨げる。なぜなら、スタックの内部にUV光を到達させる方法が存在しないからである。これらの制限は、本発明接着剤では存在しない、なぜなら、本発明接着剤は、電離放射線、例えば、X線を印加して、最少の発熱でその場において接着剤を硬化することにより、容易に硬化され得るからである。
【0047】
以下に続く詳細な説明において、本発明の種々の態様を、当業者が、本発明がどのようになされ使用され得るかのより完全な理解を得ることができるように、より詳細に記載する。本明細書では、硬化プロセスのためのトリガー放射線としてX線の使用を考察しているが、限定されないが、ガンマ線、または粒子線、例えば陽子線または電子線を含めた他の種類の電離放射線が、同様のダウンコンバート剤を使用して、トリガー放射線として使用されてよい。
【0048】
CTE-不適合
異なる材料の熱膨張係数間の不適合は、以下の表によって示され得る。本発明は、熱を用いない材料の接続を可能にし、そのため、接着剤を熱硬化することによって余儀なくされる、熱的加熱の際の典型的にトラップされる応力を回避する。現発明は、顕著に異なるCTEの材料間での硬化を可能にする。
【表2】
【0049】
光開始剤
本発明材料の第1必須要素は、光開始剤を含むモノマー系である。アクリレートまたはスチレンをベースとする配合物のラジカル重合が広く開発されている。これは、典型的には、UV(300~400nmの範囲)付近を使用した放射線硬化によるものであるが、現在は、光開始剤が、可視からIRまでの範囲において、ならびに深UVの範囲にも利用可能である。ルイス酸またはブレンステッド酸のいずれかを生じるカチオン性光開始剤は、材料(例えば、エポキシド)をカチオン重合するための開始剤として、また、重縮合反応を介した架橋が可能である樹脂に使用され得る。
【0050】
光開始剤は、典型的には、2つのクラス:照射されたときに単分子結合開裂を経て遊離ラジカルを生じるI型光開始剤、及び二分子反応を経るII型光開始剤であって、当該光開始剤の励起状態が第2の分子(共開始剤と呼ばれる)と相互作用して遊離ラジカルを生じる、上記II型光開始剤、に分けられる。UV光開始剤は、I型またはII型のいずれであってもよいが、可視光光開始剤は、ほぼ例外なくII型である。
【0051】
I型UV光開始剤として、限定されないが、以下のクラスの化合物:ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α-ジアルコキシアセトフェノン、α-アミノアルキルフェノン、及びアシルホスフィンオキシド、が挙げられる。II型UV光開始剤として、限定されないが、ベンゾフェノン/アミン及びチオキサントン/アミンが挙げられる。可視光開始剤として、限定されないが、チタノセンが挙げられる。
【0052】
最も効率的なシステムは、特定の光開始剤が、2つの事項、つまり、モノマー系のタイプ及び利用可能な光のタイプに基づいて選択されることが認識されよう。
【0053】
多くの有用な光開始剤化合物が当該分野で知られている。以下の化合物[Sigma-Aldrich Corp.,St. Louis,MOから入手可能]が特徴付けられており、これらのUV吸収スペクトルが入手可能である:アセトフェノン、99%、アニソイン、95%、アントラキノン、97%、アントラキノン-2-スルホン酸、ナトリウム塩一水和物、97%、(ベンゼン)トリカルボニルクロミウム、98%、ベンジル、98%、ベンゾイン、昇華、99.5+%、ベンゾインエチルエーテル、99%、ベンゾインイソブチルエーテル、テクニカル、90%、ベンゾインメチルエーテル、96%、ベンゾフェノン、99%、ベンゾフェノン/1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、50/50ブレンド、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、昇華、98%、4-ベンゾイルビフェニル、99%、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、97%、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、99+%、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、98%、カンファーキノン、98%、2-クロロチオキサンテン-9-オン、98%、(クメン)シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、98%、ジベンゾスベレノン、97%、2,2-ジエトキシアセトフェノン、95%、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、99%、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、99%、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、98%、4,4’-ジメチルベンジル、97%、2,5-ジメチルベンゾフェノン、テクニカル、95%、3,4-ジメチルベンゾフェノン、99%、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド/2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、50/50ブレンド、4’-エトキシアセトフェノン、98%、2-エチルアントラキノン、97+%、フェロセン、98%、3’-ヒドロキシアセトフェノン、99+%、4’-ヒドロキシアセトフェノン、99%、3-ヒドロキシベンゾフェノン、99%、4-ヒドロキシベンゾフェノン、98%、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、99%、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、97%、2-メチルベンゾフェノン、98%、3-メチルベンゾフェノン、99%、メチルベンゾイルホルメート、98%、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、98%、フェナントレンキノン、99+%、4’-フェノキシアセトフェノン、98%、チオキサンテン-9-オン、98%、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩、混合、プロピレンカーボネート中50%、及びトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩、混合、プロピレンカーボネート中50%。
【0054】
他の好適な光開始剤には、BASF Corporationから市販されている種々のIRGACURE製品が含まれる。Key Products Selection Guide 2003 for Photoinitiators for UV Curingは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。光開始剤の代表的な化学的クラスを例として提供する。かかる化学構造物の誘導体も含まれることが認識されよう。代表的なリストには、(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン)をベースとするアルファ_-ヒドロキシケトン及び誘導体、(メチルベンゾイルホルメート、オキシ-フェニル-酢酸2-[2オキソ-2オキシ-フェニル-酢酸2-[2オキソ-2フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル及びオキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル)をベースとするフェニルグリオキシレートならびに誘導体、(アルファ、アルファ-ジメトキシ-アルファ-フェニルアセトフェノン)をベースとするベンジルジメチル-ケタール及び誘導体、(2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン/IRGACURE369(30重量%)+IRGACURE651(70重量%)をベースとするアルファ-アミノケトン及び誘導体、(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドをベースとするモノアシルホスフィン(MAPO)及び誘導体、DAROCUR TPO(50重量%)+DAROCUR 1173(50重量%)をベースとするMAPOアルファ-ヒドロキシケトン及び誘導体、ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)をベースとするビスアシルホスフィン(BAPO)及び誘導体、(水中に分散されたIRGACURE 819(45%活性))をベースとするBAPO分散液、BAPO/アルファ_-ヒドロキシケトン(IRGACURE 819(20重量%)+DAROCUR 1173(80重量%)、メタロセン(ビス(エタ5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)、ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)、フェニル]チタン)、ならびに、ヨードニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-、ヘキサフルオロホスフェート(1-)をベースとするヨードニウム塩及び誘導体が含まれる。
【0055】
本発明の有機ビヒクルは、重合可能な組成物または架橋可能な組成物を含むことができる。有機ビヒクルという用語は、重合または架橋のいずれかによって硬化の際に樹脂を最終的に形成する硬化性接着剤組成物の部分を示すのに本明細書において使用される。そのため、重合可能な有機ビヒクルは、少なくとも1つの重合可能なモノマーを含む。架橋可能な有機ビヒクルは、そのため、複数の架橋可能なポリマー鎖を含む。理想的には、有機ビヒクルは、所望の基板に分配/適用するのに好適な粘度を有している。
【0056】
モノマー系は、要件全体、例えば、強度、可撓性または弾性コンプライアンス、基板特性との適合性、及び関与するボンディングのタイプ、例えば、粘着性構造の接着剤ボンドに対する導電性ボンディングに基づいて選択され得る。
【0057】
本発明の種々の用途に使用され得るいくつかの好適なモノマー系として、限定することなく、エポキシド、フェノール、ウレタン、アクリル、シアノアクリレート、シリコーン、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリフェニルキノキサリン、及びスチレンが挙げられる。好適なモノマー化学についての情報源は、Cyril A. Dostalによる「Engineered Materials Handbook:Adhesives and Sealants,Volume III(v.3)」CRC Press,1990であり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明の1つの特に興味深い実施形態において、接着剤は、例えば、傷または外科的開口部の接着剤縫合において生体組織と生体組織とを接合するのに使用され得る。生体適合性であるポリマーを結果として生じさせる任意のモノマー系が、かかる用途において使用され得、傷のケアにおいて既に一般に使用されているシアノアクリレートに優先的に付与されるが、X線をモノマー系接着剤の硬化を促進するのに十分なエネルギーにダウンコンバートすることによるX線開始硬化である。本明細書に記載されているX線ベースの硬化は、適切な架橋剤の活性化を通しての、架橋ポリマー鎖をベースにした接着剤をさらに含む。
【0058】
エネルギー変換材料
本発明材料の第2必須要素は、付与エネルギーを変換し、これを、光開始剤によって効果的に吸収され得るスペクトル範囲で光子に変換することが可能である材料である。好ましくは、エネルギー変換材料は、(典型的には電離放射線、例えば、X線からの)より高いエネルギーの光子を吸収してダウンコンバートし、より低いエネルギーの光子(典型的にはUV)を光開始剤によって効果的に吸収され得るスペクトル範囲で生じさせることが可能であるダウンコンバート材料である。これらの材料は、2つのクラス:シンチレータ及び蛍光体、に広く分類される。限定することなく、金属酸化物、金属硫化物、ドープト金属酸化物、または混合金属カルコゲニドを含めた多くのダウンコンバータ材料が公知である。例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれるKishimoto et al.(Appl. Pys Lett. 2008,93,261901)によって開示されている有機-無機ハイブリッドシンチレータもこのカテゴリーに包含される。
【0059】
多くの他のダウンコンバート粒子、アップコンバート粒子、プラズモン活性粒子及びこれらの組み合わせは、2009年3月18日に出願された米国仮特許出願第61/161,328号、2009年11月10日に出願された米国仮特許出願第61/259,940号、2007年8月6日に出願された米国仮特許出願番号第60/954,263号、及び2008年2月21日に出願された同第61/030,437号、2008年3月31日に出願された米国出願番号第12/059,484号、2007年11月6日に出願された米国出願番号第11/935,655号、2008年4月4日に出願された米国仮特許出願番号第61/042,561号、2008年3月11日に出願された同第61/035,559号、及び2008年7月11日に出願された同第61/080,140号、2009年3月10日に出願された米国特許出願第12/401,478号、2007年11月6日に出願された米国特許出願第11/935,655号、2008年3月31日に出願された米国特許出願第12/059,484号、2009年2月20日に出願された米国特許出願第12/389,946号、及び2009年4月3日に出願された米国特許出願第12/417,779号に開示されており、これらの各々全開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
蛍光体選択基準は、発光のピーク強度、UV発光のピーク位置、最小ストレージ要求で作動可能な蛍光体を有する必要性、取り扱い及びパッケージング、蛍光体がX線エネルギーとカップリングする能力、その粒径及び粒径分布に対する制御、ならびに最終的にはそれらの表面化学に基づいていた。
【0061】
ピーク発光ターゲットは、310nmと400nmとの間、または、単にUVAスペクトルである。X線強度からUVA強度への最大変換を有することが望ましい。この変換は、種々の相関する用語で記載されている。これは、量子収率、またはX線と蛍光体との間の相互作用の可能性と称される場合がある。これらの相関する用語には、カップリング効率、発光有効性、またはX線と蛍光体との間の実効Zが含まれる。最も良好なX線蛍光体のいくつかのリストを表1において報告する。
【表3】
【0062】
UVA/UVB発光
いくつかの用途において、望ましい入射または開始エネルギーはX線(例えばEUV)と異なるが、望ましいダウンコンバートされた出力強度がUVAにおいて残存する。他の用途において、望ましい入射または開始エネルギーはX線であるが、蛍光体の望ましいダウンコンバートされたエネルギー出力は、UVBにおけるものである。さらに、他の場合において、望ましい入射または開始エネルギーはX線であるが、蛍光体の望ましいダウンコンバートされたエネルギー出力は、UVA及びUVBにおけるものである。選択された蛍光体は、X線、極UV及びe線を含めた励起源によって作動するように選択された。X線領域内では、選択された蛍光体は、治療的腫瘍処置、医用画像及び半導体検査に使用される市販の機器源から生じるX線光子束とカップリングし得る。
【0063】
UVA領域で発光する材料(YTaO4)の例を
図1に与える。YTaO
4は、X線下337nmでピーク発光を有することが報告され、本発明の過程において327nmで発光することが測定された。実験を行うのに使用されたX線システムは、Faxitron X線システムであった。UVBにおいて出力を有する材料(LaF
3:Ce)の例を
図2に与える。LaF
3:Ceは、X線下280nmで発光することが報告され、本発明の過程において300nmで発光することが測定された。UVA、UVB及び可視において出力を有する材料(LaOBr:Tm
3+)の例を
図3に与える。シリカでコーティングされたLaOBr:Tm
3+は、本発明の過程においてUVB、UVA及び可視において発光することが測定された。
【0064】
混合または合金蛍光体
対象となる別の可能性は、少なくとも2つの蛍光体を混合して、出発蛍光体と比較して混合物の出力を広くする能力である。この例において、それぞれ異なる領域で発光する2つの蛍光体を共に混合し、出力スペクトル出力を測定して、出発材料と比較して混合物の出力強度に影響する能力を実証した。(
図4及び5を参照されたい)
【0065】
開始エネルギー(この場合X線)の強度は、蛍光体のUV出力に影響する。以下の例を与えることにより、どのようにしてX線の光子エネルギーの強度の変更がX線の光出力を調節することができるかを示す。蛍光体(CaOW
4)の相対強度出力をX線光子のエネルギーの関数として測定した。X線エネルギーを、フィラメントとターゲットとの間に存在するピーク電圧を変更することによって変更した。ターゲットは、この場合、タングステンであった。測定は、50kvp、90kvp及び130kvp下で同じ質量の蛍光体を使用して実施した。任意単位での発光の相対強度を示すが、異なる材料の比較の点では決定的ではない。しかし、測定を行うのに使用した同じ条件内では、X線強度が高いほど、発光波長の相対強度が高くなることが明らかである。(
図6を参照されたい)
【0066】
蛍光体は、異なる化学物質から、また、形態を制御し、特性及び光強度出力、しかし、より重要には、周囲空気環境における安定性に影響する異なるプロセスを使用して合成され得る。吸湿性でない蛍光体を有することが好ましい。蛍光体は、水中で安定であってかつ毒性のドーパントを含有しないときにより取り扱い及び作動し易い、しかし、蛍光体が水中で安定でなく、毒性のドーパントを含有しているときでも、蛍光体の粒子は、環境(例えば水)から蛍光体を遮蔽しかつ蛍光体中の毒性ドーパント(例えば臭化物)から環境を遮蔽する保護コーティングのビルドアップにつながる化学合成法を使用してコーティングされ得る。保護コーティングは、シリカであっても、ダイヤモンドまたはダイヤモンド様炭素であってもよい。シリカは、ゾルゲル誘導の技術を使用して形成され得る。ダイヤモンド及びダイヤモンド様炭素は、水素-メタンガス混合物をベースとする化学蒸着(CVD)から誘導され得る。蛍光体の取り扱い及びパッケージングは、溶液への分散を通して、または粉末形態で達成され得る。シリカコーティングされた蛍光体は、集塊しない良好な粉末を作製することが見出された。
【0067】
高い強度、正確な波長での発光に加えて、蛍光体の別の望ましい特質は、低比重を有することである(可能であれば)。低比重は、蛍光体が別の媒体、例えば、光開始剤を含有する樹脂または樹脂ブレンド内に混合されたときに沈殿及び沈降の回避を助け得る。
【0068】
レオロジー調整
蛍光体の粒径は、関連因子である。粒径が小さいほど、表面積が大きい。小さい粒子は、より大きい蛍光体粒子よりも効果的に、光触媒を含有する樹脂のレオロジーを変化させることが見出された。粒径が大きいほど、強度出力が高い。蛍光体は、粒径分布(モノモーダル粒径分布ではない)を含有するとき、X線からUVAへの変換及び樹脂系内での光触媒の活性化の点で、よく機能することが見出された。小さい粒子を有する(すなわち、大きい表面積を有する)蛍光体を、活性シリカ(またはAEROSIL)を使用することなく樹脂の粘度を増加させるために、成功裏に使用した。実際には、十分な蛍光体ナノ粒子が活性シリカの代わりに添加されて粘度を調整するという新しい方法が開発された。最も良好な光活性化及び粘度調整は、ナノ粒子が最大5ミクロンの粒径の粒子を有する蛍光体と共に使用されるときに見られた。本質的に、バイモーダル粒子分布は、充填率(または樹脂中への蛍光体分の投入)を助け、また、制御可能な粘度を有する接着剤の配合のためのレオロジー制御及びUVA光強度生成の点において、X線下で良好な硬化を助ける。トリモーダルまたは大きい粒径分布は、X線下で接着剤のレオロジー及び接着剤の硬化応答を平衡化させるのに有効である。
【0069】
有機材料
現発明に記載されている無機化合物(または蛍光体)に加えて、有機化合物が、現発明に記載されているものと同じ目的を達成するのに使用され得る。アントラセン及びアントラセン系化合物は、本発明の目的(見通し線及び熱エネルギーによらない硬化)を達成するのに使用され得る。アントラセンは、紫外光下で青色(400~500nmのピーク)蛍光を示す。さらに、アントラセンは、X線エネルギー下で蛍光を示すことが見出された。アントラセン光出力は、Nal(Tl)の40%~50%であると測定された。
【0070】
種々のプラスチックシンチレータ、プラスチックシンチレータファイバ及び関連材料は、ポリビニルトルエンまたはスチレン及び蛍石から作製される。これら及び他の配合物は、例えば、Saint Gobain Crystalsから、BC-414、BC-420、BC-422、またはBCF-10として市販されている。
【表4】
【0071】
他のポリマーは可視範囲で発光することができ、これらとして以下が挙げられる。
【表5】
【0072】
さらに、X線をUVエネルギーに変換することができる有機化合物は、合成ポリマー鎖に織り合わされていてよい。これらの鎖は、架橋接着剤用のベース樹脂系として使用されて、これにより、新しい一連のX線活性化可能な樹脂系の形成につながり得る。
【0073】
ピーク発光波長の増加におけるダウンコンバート蛍光体の列挙を表2に与える。興味深いことに、この表からの蛍光体を選択することにより、310~550nmのピーク発光波長で選択的発光を与えて、これにより、広範な光開始剤の活性化のための広範な潜在的材料を与えることができる。
【0074】
UV受容性の化学構造物は、感光剤を添加することによってより反応性になり得る。このプロセスは、光感作と称される。ある特定の感光性化学化合物が添加されて、反応体及び反応体部位に光子エネルギーを補充して硬化を促進または向上させることができる。
【0075】
UV硬化用途では、UV放射線への暴露の際に、さらに硬化が生じるために正確な波長の光を次いで放出する励起状態で中間体を形成し得る化学構造物を有することが目的である。換言すると、増感剤は、エネルギー移動において役割を果たす。
【0076】
多くの感光性化学構造物が当該産業において公知でありまた広く使用されており、これらとして、ほんの数例を挙げると、アセナフテンキノン、アセアントレンキノン、または、これらと、アントロン及び/もしくはナフトキノン、ビオラントロン、イソビオラントロン、フルオレセイン、ルブレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラセン、13,13’-ジベンゾアントロニル、レブリン酸との混合物が挙げられる。
【表6A】
【表6B】
【0077】
スペクトル適合
最も効率的なシステムは、特定の光開始剤が、その吸収、入射放射線の強度に対するその光触媒感度(すなわち、エネルギー移動の効率)に基づいて選択されることが認識されよう。
【0078】
本発明の多くの実施形態における発光波長は、検討下で光触媒反応の硬化を実施するように選択される具体的なダウンコンバータ材料に依る。したがって、蛍光体から光開始剤への最も効率的なエネルギー移動を確実にするために、蛍光体を正確な光開始剤とペアリングさせて、ダウンコンバータ材料からの発光周波数/波長を光開始剤のピーク吸収と適合させる。これは、現発明においてスペクトル適合と称される。上記で言及したスペクトル適合は、活性化エネルギー障壁のゲーティング反応を超えるのに必要とされる成功裏の試みの機会を増加させる。表3は、ある特定の光開始剤の相対ピーク吸収及びある特定の蛍光体の相対ピーク発光を示す。光開始剤と蛍光体とのペアリングは表に従ってなされており、例において示されるように成功裏に実証された。
【表7】
【0079】
距離の最適化
さらに、蛍光体粒子と光開始剤との間の距離は、エネルギー移動の効率に影響する。光開始剤と蛍光体との間の距離が短いほど、反応の成功につながるエネルギー移動の機会がより多く生じる。硬化可能な系の混合物内では、多くの粒子と、比較的高濃度の光開始剤とが存在する。結果として、粒子と光開始剤との間の1を超える距離が存在する。これらの場合において、本発明者らは、蛍光体粒子と光開始剤との間の平均距離に注意を向ける。
【0080】
光開始剤は、とりわけ吸着技術の連結を使用して蛍光体粒子の表面上に接着され得る。連結の場合には、高分子量対低分子量が、光開始剤と粒子それぞれの表面との間の距離を変化させる効果的な方法である。吸着を通しての堆積の場合には、蛍光体の表面と光開始剤との間の距離は、蛍光体によって放出される放射線に透明であるコーティングを内層とすることによって変更され得る。SiO2は、UVに透明であるため、かかる内層の例である。
【0081】
充填因子、及び蛍光体と光開始剤との間の平均距離は、表面コーティングを使用して影響され得る。本来の表面化学を有する蛍光体の充填率は、そのため、比較的厚いコーティングを有する蛍光体のものとは異なる。
【0082】
上記で定義されているスペクトル適合、光開始剤と蛍光体との間の平均距離、開始放射線下で蛍光体粒子によって生じる放射線の強度、粒径分布の組み合わせが、本発明の最も効率的な実施形態を構成する。
【0083】
蛍光体の充填率に関して、粒子の表面に堆積された十分に大きなシリカコーティングは、粉末の有効密度の有効充填率(すなわち、粉末の単位体積あたりの質量)を変化させる。同様に、不規則形状を有するコーティングによってコーティングされた蛍光体は、単位体積あたりの質量にさらに影響し得る。例として、5ミクロンの平均粒径の粉末は、15ミクロンの平均サイズを得るのに十分なシリカによってコーティングされ得る。
【0084】
蛍光体自体は、単位体積あたりの粉末の質量の有効密度を変更し得るコーティングの結果として入射X線に多かれ少なかれ応答するようになる。X線エネルギーと蛍光体との間の相互作用の可能性は、コーティングの肉厚の増加に伴って減少する。同じ量の蛍光体(すなわち、X線カップリング剤)が、より大きな厚さを占め得る
図7において図示を与える。
【0085】
蛍光体の濃度を変化させる、または蛍光体の有効充填率を変化させることにより、本発明者らは、X線エネルギーと蛍光体充填樹脂との間の相互作用の可能性に影響を及ぼすことができる。X線の強度は、コーティングを有する蛍光体と本来の蛍光体表面との間で異なって減衰され得る(
図8を参照されたい)。
【0086】
コーティングされた蛍光体は、樹脂系におけるフィラーとして使用され得る。当該産業において広く使用されているフィラーはシリカである。いくつかの場合において、アルミナ及び窒化ホウ素が使用される。シリケートフィラーは、硬化性材料の特性を低下させることなく樹脂の体積のいくらかを置き換えるのに使用される。シリカ粉末の充填は、コスト削減につながる。充填された系は、典型的には、充填されていない系よりも機械的に安定であり、また、コスト効果的である。
【0087】
硬化のカテゴリー化:
UV硬化性材料は多様であり得る、しかし、一般のカテゴリー化として、記載されている以下の材料は、具体的な樹脂ファミリー、関連する開始剤、硬化メカニズム及び適切な適用によってまとめられる。これは、決して包括的なリストではないが、ただ、さらなる説明のための一般のカテゴリー化である。現発明は、ラジカル架橋または重合、カチオン性架橋、塩基触媒架橋を含めたこれらのカテゴリーのそれぞれと適合可能である。
【0088】
ラジカル架橋:
ラジカル架橋または重合は、樹脂系、例えば、アクリレート、マレエート、スチレンを利用する。これらの場合において使用される開始剤には、芳香族ケトン、例えば、フェニル-グリオキシレート、フェニル-グリオキシレート、アルファ-アミノケトン、ベンジルジメチルケタール、ビスアシルホスフィンオキシド、モノアシルホスフィンオキシド、ベンゾフェノンが含まれる。
【0089】
遊離ラジカル重合のための光開始剤は、例えば、ホモリシス結合開裂、水素引き抜き、光電荷移動が起こる反応性化学中間体を発生させることができる。蛍光体の添加は、光反応性種と適合可能であり、2光子ベースのプロセスを含めた遊離ラジカル重合の根幹を妨げない。
【0090】
実例として、2光子光退色性光開始剤、例えば、ビスアシルホスフィンオキシドは、所与の波長範囲(例えば430nm未満)の第1光子を吸収して別の光開始剤タイプ、例えば、別の波長範囲(415nm未満)の別の光子を使用して次いで活性化され得るモノアシルホスフィンオキシドに分かれることがあり、高分子量ポリマーの形成を促進することができるさらなるラジカル種をもたらし得る。
【0091】
遊離ラジカル硬化の用途は、コーティング、電子材料、及び接着剤を含めた広範な一連の用途を包含する。本発明に記載されている新規の方法は、かかる遊離ラジカル硬化の使用を、他の場合には達成され得ない現場応用のラインには拡大せず、また、深く貫通する開始放射線の使用を、硬化を間接的にトリガーするエネルギー源にする。
【0092】
カチオン性架橋
カチオン性架橋は、樹脂系、例えば、エポキシド、ビニルエーテル、オキセタンを利用する。これらの場合において使用される開始剤として、2~3例を挙げると、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩及びオニウム塩が挙げられる。かかるカチオン性架橋の用途は、電子材料、インク及び接着剤において見出される。これらの特有の塩への添加は、カチオン重合につながる陽子発生による硬化をトリガーする。現発明に記載されている蛍光体は、カチオン性硬化性材料及びその用途に適用可能である。
【0093】
光化学開始剤による硬化の例として、化合物、例えば、ビスアジド4,4’-ジアジドジベンザルアセトン-2,2’-ジスルホン酸二ナトリウム塩が混合体に添加され得る。この化合物は、容易に利用可能な波長である360~370nmの波長における照射の際に架橋を開始する。別の例として、UV-硬化用途、例えば、インクにおける光開始剤として使用され得るベンゾフェノンが挙げられる。
【0094】
塩基触媒架橋
塩基触媒架橋は、樹脂系、例えば、エポキシ、ポリオール/イソシアネート、及びマイケル付加を利用する。硬化のメカニズムは、ルイス塩基発生剤をベースとするものである。塩基触媒架橋の用途は、コーティング及び接着剤まで拡がる。
【0095】
直接的なX線硬化:
(蛍光体の使用によるまたはよらない)X線エネルギーによる直接硬化も本発明において可能である。例えば、X線エネルギー下、直接活性化される可能性を有する化学化合物、例えば、有機過酸化物であるメチルエチルケトン過酸化物(MEKP)を添加して、重合を開始するのを手伝うことができる。また、過酸化物連結によって橋かけされている2つのベンゾイル基を有する過酸化物ファミリーにおける別の化合物である過酸化ベンゾイルは、X線下での重合の開始を手伝うのに使用することができる。蛍光体及びこれらの過酸化物ベースの化学物質の効果は、付加的であり得る。
【0096】
同時硬化
いくつかの用途において、2つの接着剤ビーズを有することが有用である。一方の接着剤ビーズは、高い有効充填密度を有する蛍光体によって充填されており、別の接着剤ビーズは、より低い充填密度を有している。この場合、同じX線エネルギー強度下では、一方のビーズが他方よりも速く硬化する。いくつかのダムアンドフィル用途において、例えば、RF-IDにおいて、一方では、ダムを適用し、これを硬化し、次いで、フィルを充填及び硬化することができる。(
図9を参照されたい)しかし、一方では、フィラーと比較して封じ込めビーズに、より多くの開始エネルギーをカップリングする能力によって、現発明に記載されている方法を使用して2つの接着剤ビーズを同時硬化することができる。これらの方法は、封じ込めビーズ及びフィラー材料を同時に硬化すること(同時硬化)または一方を他方の後に硬化すること(逐次硬化)を可能にする。同じ基剤の接着剤が、フィラー材料とは異なる変換効率の蛍光体を有する封じ込めビーズと共に両方の場合(恐らくは同じ化学配合)に使用され得る。これは、蛍光体の適切な選択または蛍光体分によって容易になされ得る。ある程度、接着剤ビーズは、同時に効果的に硬化され得るが、一方において他方よりも高いUV強度が見られ、同じX線下で他方よりも速く硬化する。
【0097】
さらに、本発明の別の実施形態において、適切な量の蛍光体を含有するプラスチックの挿入成形片が、硬化される材料の部として添加される。(
図10を参照されたい)これは、成形フレームとして、X線エネルギー下にUV源として作用する。この場合、挿入成形片は、さらなるUVエネルギーをダム(または外周領域)に与え、より速い硬化をもたらす。これにより、材料が境界線においてより選択的に硬化することが可能になる。この例は、
図10に記載されているように挿入成形の有用性を記載するものである。
【0098】
さらに、感光性化学は、光触媒ベースの反応を向上させるのに使用され得る。
【0099】
ゾルゲルコーティング 特有の蛍光体のための表面修飾。
ミクロン及びナノメータ粒径での蛍光体の合成は、種々の方法を使用してなされ得る。また、種々の蛍光体が、異なる表面化学を有していてもよい。いくつかの蛍光体は、高用量で潜在的に吸湿性または毒性であり得る。吸湿性または潜在的に毒性の蛍光体の使用を可能にするための1つの方法は、蛍光体粒子の周りに含有バリア層を形成することである。このことは、異なる蛍光体化学を標準化して、予測可能な挙動で共通の同じ表面化学を有するようにすること、及び、バリア層内の蛍光体を遮蔽することの二重の利益を有する。ゾルゲル誘導シリケートコーティングは、これを達成し得る1つの方法である。シリカは、偶然にUV透明であり、吸湿性でない大部分の酸化物及び大部分の蛍光体と合致する(蛍光体の表に列挙されている)。
【0100】
保護コーティングは、シリカであり得、またはダイヤモンドもしくはダイヤモンド様炭素であり得る。シリカは、ゾルゲル誘導の技術を使用して形成され得る。ダイヤモンド及びダイヤモンド様炭素は、水素-メタンガス混合物をベースとするCVDから誘導され得る。これらは、可能である方法のほんの代表例である。
【0101】
分散:
樹脂内での蛍光体の分散の均一性は、かなり重要である。硬化可能な系内の蛍光体の均一な分布は、硬化性材料の均質性、ゆえに、硬化性材料の機械的及び光学特性に影響を及ぼす。混合均一性及び粒径分布は、開始エネルギー下での時間の関数としての硬化程度の点で硬化系の応答に影響を与える。分散の均一性は、蛍光体が樹脂中での沈降につながる高い特定の密度を有するとき、短命であり得る。この理由で、いくつかの表面修飾技術は、懸濁状態で蛍光体を維持することが望ましくあり得る。
【0102】
分散剤
蛍光体の表面は、2つの一般的な目的で修飾され得る。一方の方法は、蛍光体の表面上への光開始剤の連結または吸着につながる。他方の方法は、蛍光体の表面に分散剤化学構造物を添加して、蛍光体が、接着剤が配合されて成分が共に混合された後に懸濁状態のままであることを可能にすることである。概して、蛍光体は、最小の粒子間集塊で粉末形態にあることが好ましい。樹脂系への蛍光体粉末の分散は、種々の方法を使用して達成され得る。これらの分散方法は、室温で、または室温よりも20℃~30℃高い温度での粒子のブラウン運動によって引き起こされる潜在的な再凝集を制限または防止することによって蛍光体を懸濁状態で保つ。これらの室温より僅かに高い温度は、ピストンまたはオーガーポンプを使用してニードルを通して接着剤を分配するのに有用である。
【0103】
混合後の均一な分散を維持するための蛍光体の表面修飾が重要である。種々の有機ポリマー剤は、樹脂化学構造物中での蛍光体の湿潤特性を増加させるのに使用され得る。同様に、種々の分散剤は、混合体内で蛍光体粒子が懸濁状態で維持されるように添加され得る。分散剤は、高分子量(3000~50000)を有するポリウレタンまたはポリアクリレートポリマー構造体から構築される。種々の分散剤が、市場において入手可能である。分散剤は、表面電荷(反対に帯電した表面の静電気引力)によって無機表面に固定され得、また、双極子相互作用、水素結合及びロンドン/ファンデルワールス力によって樹脂中の鎖のように有機物質に固定または吸着され得る。所定の位置に一旦固定されると、高分子量の分散剤は、粒子にとっての立体障害を増加させて、互いにかなり近接して分散することにより、蛍光体の集塊を防止する。
【0104】
連結
本発明において使用されるダウンコンバート粒子及び光開始剤は、硬化性接着剤配合物に別個の要素として添加され得、または、互いに連結して、ダウンコンバート粒子からの発光の際の光開始剤の活性化の尤度を増加させることができる。ダウンコンバート粒子への光開始剤の連結は、ダウンコンバート粒子の発光特徴を妨げない限り(赤色または青色方向でのピーク発光の潜在的な僅かな移動以外)、また、硬化性接着剤組成物の重合を開始させる光開始剤の能力を妨げない限り、いずれの従来の化学によってなされてもよい。2つ以上の蛍光体、2つ以上の光開始剤、または両方の組み合わせを使用して、より複雑な硬化反応速度論を達成させてもよい。さらに、上記に記述されている種々の無機ダウンコンバータよりもむしろ、有機ダウンコンバータ、例えば、アントラセンを使用することができる。有機ダウンコンバータにより、限定されないが、硬化性接着剤組成物における別個の要素としての有機ダウンコンバータ材料の使用、上記の無機ダウンコンバータ粒子について記載されている、光開始剤への有機ダウンコンバータの連結、または硬化性接着剤組成物のモノマー要素の1つ以上への有機ダウンコンバータ基の組み込みを含めたさらなる可能性が存在する。
【0105】
無機ダウンコンバータ粒子を光開始剤に連結するための1つの好適な化学を
図61に示し、これにより、シリカコーティングされた蛍光体をアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)と反応させ、次いで、修飾された光開始剤をペンダントアミノプロピル基に結合させる。
【0106】
他の可能な修飾として、限定されないが、以下が挙げられる:
a.光開始剤の感受性の範囲でX線からUVまで特有のダウンコンバート粒子を添加することによる既存の接着剤の修飾
【0107】
蛍光体のレオロジー及びコスト
ナノサイズ粒子の表面積(及びゆえに全表面エネルギー)が非常に大きいため、粘度は、少量のナノサイズ粉末の添加によって迅速に上昇する。これは、添加され得るフィラーの量を制限する。一方で、これは、X線エネルギー下、蛍光体によって放出されるUVの強度を制限する。他方で、達成され得る制限されたフィラー投入は、経済的に良好ではない、なぜなら、フィラーは、典型的には、ベースの樹脂及び触媒よりも高価でないからである。さらに、ナノサイズ粒子の添加による粘度増加が過剰になり、これにより、ある特定の適用カテゴリーへの接着剤の使用が制限されるが他のカテゴリーは制限されない。大部分の接着剤適用において、可能であれば、ミクロンサイズ粒子を使用することが良好である。先に述べているが、最も良好な形態には、ナノ及びミクロンサイズ粒子の混合物からなるバイモーダル粒径分布が要求される。
【0108】
概して、SiO2は、蛍光体と比較して、よりコスト効果的である。このことは、常に当てはまるというわけではない。良好で経済的な蛍光体利用を守りながら十分なUV光出力が達成される1つの方法は、コア粒子としてのSiO2をベースとし適切な蛍光体で装飾された複合体粒子を、ターゲット化された光触媒反応を達成するのに必要な種類及び濃度の観点で構築することである(すなわち、正しい波長出力及び光度または強度出力)。
【0109】
複合化粒子の構築
コスト効果的なダウンコンバータであるミクロンレベル粒子の使用を必要とする用途において、シリカから作製されたキャリア粒子の表面は、ナノメータ粒径を有する望ましい蛍光体で装飾されていてよい。蛍光体は、X線下での正しい発光UV波長及び強度のために選択される。
【0110】
ダウンコンバート粒子は、ナノ粒子及びシリケートキャリア粒子の複合体を含む。シリケートキャリア粒子は、フィラー(シリカを含む)として典型的には使用される粒子と同じ表面特性を有する。この場合、ダウンコンバート粒子は、
図11A及び11Bに示されるように、ベースのキャリア粒子の表面に接合され、続いてコーティングされる。
【0111】
実例として、かかる複合体粒子の濃度は、本明細書において提供されている。この記載は、全ての可能性の例示ではないが、1つの実行可能な合成方法を提供するものである。
【0112】
コアまたはキャリア粒子は、ガラス、例えば、SiO
2またはアルカリ-鉛-シリケートから作製され得、約2ミクロンの直径を有し得る。ナノメータスケールのダウンコンバート粒子は、コア粒子の表面に適用され、続いて、コア粒子の表面に接着またはボンディングするように作製される(
図11Bを参照されたい)。このボンディングプロセスを可能にする方法のいくつかには、溶液からの析出技術が含まれる。別の方法は、軟化点を超えてシリケート系粒子を維持しながらコア粒子と比較してかなり高い温度にダウンコンバート粒子を加熱することによる縮合に基づくものである。選択されたコア粒子及びダウンコンバート粒子の組成に基づいて当業者によって容易に決定される、正確なそれぞれの温度範囲において、ダウンコンバート粒子及びキャリア粒子が強制的に接触して縮合につながり、これにより、表面堆積が起こることを可能にする。ダウンコンバート粒子は、表に列挙されているいずれの蛍光体であってもよい。
【0113】
量子ドット及び合金誘導体-
ダウンコンバート粒子は、例えば、X線からUVまでの好適なダウンコンバージョン範囲を有する量子ドットであり得る。ダウンコンバージョンプロセスに使用される量子ドット及び/または酸化物は、プラズモン活性のために調整された、元素、または、化合物もしくは元素の合金をさらに含むことができる(
図12を参照されたい)。好ましい実施形態において、量子ドットは、好ましくは、硫化亜鉛及びセレン化亜鉛の混合物を、より好ましくは、60%の硫化亜鉛、40%のセレン化亜鉛から70%の硫化亜鉛、30%のセレン化亜鉛の組成ウインドウ内の範囲で含む。プラズモニクスに使用される金属合金は、より好ましくは、60%の銀及び40%の金から70%の銀及び30%の金までの組成ウインドウ内の銀/金混合物を含む。
【0114】
キャリアコア粒子がダウンコンバート粒子で装飾された後、外層をコーティングすることが、ダウンコンバート粒子を封入及び保護し、また、表面を修飾するために望ましい。外層コーティングは、ゾルゲル処理、続いての熱処理を使用して達成され得る。このことは、表面にダウンコンバート粒子を有するコア粒子からなる複合化粒子の形成につながり、全体が、シリケートコーティングによってコーティングされる。(
図13を参照されたい)。この特有のフィラー粒子は、既存のフィラー材料を置き換えるのに使用される。
【0115】
複合体粒子への連結
本発明は、ダウンコンバート特性を有するナノ粒子に光開始剤を連結することによる、既存の光開始剤の変更された使用についての特有の規定を包含する。光開始剤へのナノ粒子のこの近接近は、光開始または光触媒反応の機会を最大にし、改善された硬化効率を達成させることができる。(
図14を参照されたい)
【0116】
連結された場合には、ダウンコンバート粒子は、キャリア粒子において連結された粒子を使用して接着剤調製物を混合し、また、接着剤中に混合する間に添加される。代替の実施形態として、連結された光開始剤及びダウンコンバート粒子は、ミクロンレベルのキャリア粒子の表面に位置付けされ得る。(
図15A及び15Bを参照されたい)キャリア粒子は、次いでフィラーとして使用される。このとき表面コーティングは必要ではなく、光開始剤は、樹脂と直接接触している。(
図15A)。代替的には、この配置もまた、SiO
2のコーティングを使用することができ、これには、光開始剤が連結されている(
図15B)。
【0117】
この特定の実施形態においては、ミクロンサイズ粒子(大きい粒子)が混合体に添加されるため、ナノサイズ粒子を添加することと比較して、接着剤レオロジーへの影響は最小である。この方法は、したがって、さもなければ硬化接着剤またはポリマーの特性を変更するフィラーとしてミクロンサイズ粒子を使用する能力を含めた追加の利益を提示し得る。
【0118】
より明るい複合体粒子
より明るい粒子を得ることは、2層の蛍光体で装飾されたキャリア粒子を有することによってなされ得る。まず、キャリア粒子がナノサイズの蛍光体で装飾され(
図16A)、次いで、ゾルゲル誘導シリカを使用してコーティングされ、最後に、正確なサイズの蛍光体で2回目の装飾がされる(
図16B)。この技術が繰り返されて、キャリア粒子の外層で、より多くの蛍光体またはダウンコンバージョン粒子を得ることができる。
【0119】
表面調製:
接着は、機械的連動、吸着、静電気、拡散、弱い境界層、酸塩基、化学物質(共有結合性結合)などを含めた種々の因子を通して発生する。概して、ジョイント領域での表面ムラ及び空隙率が大きいほど、ジョイント強度が高くなる。接着剤のサイズの適合性及び被着体における隙間が大きいほど、結合強度が高くなり得る。表面の粗さは、ジョイント強度を増加または減少させ得る。
【0120】
ジョイント強度に影響する因子として、表面エネルギー論(湿潤化)、固有の応力及び応力集中、関与する種々のバルク相及び相間の機械的応答、幾何学的考察、外部応力を印加する形態、破砕または分離の形態、粘弾性挙動が挙げられる。
【0121】
接着剤ビーズの湿潤化及び及び設定は、良好な結合形成に重要である。接着剤の展開係数は、関与する種々の表面及び関連する表面張力に依る。表面張力は、エネルギー要件とここで称される。基板(固体)、接着剤(液体)及び蒸気(大部分の場合において外気)は、全てが役割を果たす。表面の湿潤化は、固体と液体との間の表面エネルギー、液体と蒸気との表面張力、及び固体と蒸気との表面張力に依る。基板、例えば、Teflon、PET、Nylon、PE、及びPSは、低いエネルギーを有する。基板、例えば、金属、金属酸化物、及びセラミックスは、高いエネルギーを有する。
【0122】
接着剤化学(この例においては液体)は、種々の表面でエネルギー要件を調整するように合わされ得る。しかし、これは十分ではない。例えば、大部分のRTVシリコーン樹脂は、エネルギー要件を満たすが、プライマーが使用されない限り、ごくわずかな接着しか付与しない。接着剤ジョイントは、ジョイントされる表面の表面処理によって、より強くされ得る。相間はまた、被着体と接着剤との間にも作製され得る。
【0123】
上記考察(表面エネルギー要件及びプライマー処理)に関して、多くの表面修飾技術が、ジョイントにおいて強くて耐久性のある接着の目標を達成するのに使用される。ポリマー表面の処理は、以下:ポリマーをより接着可能にすること、それらの印刷可能性を増大させること、それらをより湿潤可能にすること、包囲層を与えること、トライボロジー挙動を改善すること、それらを金属めっき用に潜在的に調製すること、それらの難燃性を改善すること、帯電防止特性を与えること、透過を制御すること、に及ぶリストの1つ以上を含めた種々の理由で使用される。
【0124】
乾燥表面修飾として、限定されないが、RFまたはマイクロ波を通してイオン化された表面プラズマ、火炎、UV、感作されたUV、オゾン、UV/オゾン、X線、レーザー、電子線、イオン衝撃、及び他の材料に対する摩擦が挙げられる。
【0125】
湿潤表面修飾は、化学反応、例えば、酸化、スルホン化、オゾン化、リン酸塩化、クロメート変換、アミノ化、グラフト化、選択的エッチング、カップリング層(シラン)の堆積、界面活性剤吸着、光化学化合物、溶媒(表面膨潤)、表面への低分子量材料の拡散の防止などを包含する。
【0126】
使用方法
本発明における典型的な使用方法の1つの実施形態は、
図62に要約され得る。
【0127】
用途及び例
図においてナンバリングされているアイテムのリスト:
10:等方導電性ポリマー球体
10’:等方導電性ポリマー球体-部分的に平坦化
11:等方導電性のUVまたは可視光放出ポリマー球体
11’:等方導電性のUVまたは可視光放出ポリマー球体-部分的に平坦化
20:ポリマーコア
20’:ポリマーコア-部分的に平坦化
22:ニッケルめっき
22’:ニッケルめっき-部分的に平坦化
24:金めっき
24’:金めっき--部分的に平坦化
26:ダウンコンバート光子放出体コーティング
26’:破砕ダウンコンバート光子放出体コーティング
28:フリップチップデバイス
30:基板
32:フリップチップデバイスバンプ
32’:基板半田バンプ
34:マトリクスエポキシ樹脂
35:X線活性化された、UVまたは可視光硬化性等方導電性接着剤(ACA)エポキシ
36:ポリマーコーティング
36’:破砕ポリマーコーティング
38:ダウンコンバート光子放出体
39:ウェハアライナ及びボンダ
40:上部集積回路(IC)ウェハ
41:底部集積回路(IC)ウェハ
42:スルーシリコンビア(TSV)コンタクト
44:真空板
46:スプリットフィールドプリズム及びレンズデバイス
47:固定されたレンズペア
48:印加された力
49:上部ウェハアライメント基準
49’:底部ウェハアライメント基準
50:X線露光デバイス
51:多重アライメント基準
52:X線撮像検出器
60:接着剤材料
60-1:液体封止材(アンダーフィル)
60-2:液体封止材(ノンフローアンダーフィル)
60-3:液体封止材(グロブトップ)
60-4:液体封止材(ダム)
60-5:液体封止材(成形)
60-6:熱伝導性接着剤
60-7:適切な樹脂ならびに適切な蛍光体及び光開始剤を含むフィルム接着剤
60’:スクリーン印刷のための修飾されたレオロジーによる接着剤ビーズ
60”:接着剤フィレット
70:接着剤分配器
72:基板
72’:PCB
72”:高密度回路
73:UV源
74:スペーサ要素
75:コンピュータ制御
76:機械駆動
77:機械アーム
78:機械カップリング
79:プラテン
79’:真空ポート
79”:サーモード
80:複合体基板
81:PET要素
82:X線源
100:ウェルジョイント特徴
101:突出部片
102:PET中の流体チャネル
102’:LCP中の流体チャネル
130:ピックアンドプレース
131:真空
132:接触パッド
132’:ワイヤボンド
133:金属リッド
133’:ガラスリッド
134:フレキシブル回路
140a:射出成形特徴を有するプラスチック
140b:鏡像射出成形特徴を有するプラスチック
140c:ボンディングされたプラスチック
150:ウェルを有するPETプラスチック
150’:液晶ポリマー
【0128】
適用の例及びこれらの工程がどのように使用されるかを以下の段落に与える。1つの好ましい実施形態は、シリコン集積回路の、基板または別の集積回路(多層スタックを作製するため)のいずれかへのボンディングを含む。X線の透過力は、X線がシリコンの最上層を通過してボンディング層に達することができるようにされ、ここで、ダウンコンバート粒子が刺激されるようになり、所望の光波長(使用される具体的な光開始剤に応じてUVまたは可視であってよい)を放出する。
【0129】
任意選択的な工程として、限定することなく、接着剤が毛管現象を通して要素下を流れるようにするパターンで接着剤を分配すること(例えば、「ダイアンダーフィル」プロセス)、接着剤を光パターン化すること、ならびに硬化プロセスの前及び/または間に接着剤ボンディングに圧力を印加することを挙げることができる。
【0130】
他の適用は、
図62に示すように以下の工程を含む:
1.(任意選択的)表面調製-表面は、形成される接着剤が表面にボンディングし得る状態で配置されなければならない。この調製には、限定されないが、アルコール拭き取り、プラズマ処理、酸もしくは塩基処理、物理的アブレーション、または粗面化を含めた種々の異なる方法が含まれ得、表面調製の詳細な概説を与えている。
2.基板への接着剤の適用-接着剤は、プレ硬化接着剤組成物の粘度に応じて、任意の所望の方法を使用して適用され得る。
3.(任意選択的)品質の分配に関しての適用された接着剤の光学的な検査-これは、確実に、接着剤を適切に適用するためである(均等にコーティングする、滴状または線状などに適用する、など)。この工程は、接着剤と、これが適用される基板との間に視覚コントラストがあることを好ましくは必要とする。かかるコントラストは、1つ以上の従来の着色剤を接着剤に適用することを通して、または硬化の際に色を変化させる色変化接着剤の使用を通して与えられ得る。
4.硬化のための基板の配置-これにより、一緒に接着される片が、適切なアライメントにあるようにする。
5.X線を使用した硬化及び最終検査の実施
6.(任意選択的)自動化ラインにおけるリアルタイム閉ループフィードバックの付与(オープンリール式または自動化の島を介して)。これは、大量生産においてかなり早くに欠陥が検出されることを可能にし、これにより、片のミスアライメントまたは不完全な硬化に起因する廃棄を最小にする。
【0131】
導電性フィラー
任意選択的要素は、所望の機能、例えば、硬化ポリマーの導電性及び誘電特性の変更を実施するための種々の有機または無機材料及び添加剤を含んでいてよい。これらの要素の多くが当業者に周知である。
【0132】
導電性フィラーは、金、銀、ニッケル、銅、及び合金、例えば、Au-Pd、Ag-Pdなどを含めた金属の微細粒子を含んでいてよい。本発明によって使用され得る他の導電相は、LaB6ならびに種々の導電性酸化物及びカーボンを含む。導電性フィラー粒子は、代替的には、その上に導電性コーティング、例えば、薄い金膜を有する小さいポリマービーズまたは球体からできていてよい。ポリマー粒子は、かなり剛性であってよく、または、最終のボンドをより柔軟にするために、ある程度の可撓性または圧縮性を有していてよい。可塑剤及び軟化剤が添加されてよい。等方導電性は、得られるポリマー複合体材料がいずれの方向においても実質的導電性を示すようにパーコレーション閾値を超える体積フラクションに投入される小さい粒子(「小さい」は、最終のボンドまたは膜厚よりもかなり小さい平均径を有する粒子を意味する)を使用することによって達成され得る。逆に、本発明はまた、異方導電性材料に使用されてもよく、ここで、フィルムまたはシートは、得られる材料が膜厚を通して実質的に導電性であるがフィルムの面に平行に導電性でないようにパーコレーション閾値未満の体積フラクションに投入される大きい個々の球状導体粒子(「大きい」は、その径が最終のボンドまたは膜厚に匹敵する粒子を意味する)の単層を含有する。
【0133】
他の好適なフィラー材料には、フィルムの誘電特性を調整するように添加され得る、種々の誘電材料、例えば、金属チタネートまたはジルコネート、酸化チタンなどが含まれる。他の無機添加剤には、電気絶縁性であるが、熱伝導性であるボンドを有することが望ましい用途のための窒化ホウ素が含まれ得る。
【0134】
有機添加剤には、当該分野においてよく知られているいくつかのクラスの剤が含まれていてよい。これらとして、限定することなく、硬化ポリマーの機械的特性を変更する可塑剤、硬化されていない材料のレオロジーを変更してそれが分配すること、ならびに任意の粒子状のフィラーが適宜分散されることを可能にする界面活性剤及び分散剤、ならびに溶媒及びコモノマーが挙げられる。
【0135】
導電性ポリマー球体:
異方性導電ポリマー球体の一例を
図17の10に概して表す。この例において、球体は、めっき金24、及び別の、より脆性の、薄いポリマーコーティング外層36の下のめっきニッケル薄層22によって包囲されている弾性ポリマーコア20からなる。当該分野において周知されているように、等方導電性接着剤(ACA)は、5ミクロンの見かけ直径を有するおよそ4%の導電性ポリマー球体で充填されている迅速な(スナップ硬化)熱硬化性エポキシ樹脂から製造され得る。ポリマー球体は、圧縮されたときに弾性変形して、外側の金めっき表面を露出させ、これが、次いで、積層ICチップ、ウェハまたは他の基板の配列された接触パッド間の狭いギャップを横断して電気的導通を確立させることができるように設計されている。
【0136】
ポリマー球体20’は、圧縮及び変形されたとき、
図18の10’に概して示すように部分的に平坦になる。直径が圧縮下で拡大するにつれて、脆性の外側ポリマーコーティング上部及び底部の接触面において破砕36’され、可鍛かつ部分的に平坦化された金めっき24’を露出させる。金めっきは、部分的に平坦化されたポリマー球体20’に、めっきニッケル層22’によって依然として接着しており、これはまた、可鍛でありかつ部分的に平坦になる。めっき金金属が圧縮下で露出すると、部分的に平坦化されたポリマー球体の上下に直接設けられている金属パッドとの金属間電気接触を確立させる。電気的導通は、次いで、めっきニッケル及び金層を通して各ポリマー球体の外周を包囲して上部及び底部パッド間のギャップを横断して達成される。このプロセスは、
図19にさらに記載され示されている。
【0137】
本発明方法の第1の必須工程は、光開始剤及びダウンコンバート蛍光体を含む重合可能な接着剤組成物を配置し、ボンディングされる2つ以上の要素と接触させてアセンブリを形成することである。上記で記述されているように、接着剤の粘度は、当業者によってよく理解されるように、モノマー(複数可)の選択、溶媒の可能な使用、フィラー粒子の投入などによって、有意な範囲にわたって変動し得る。
【0138】
本発明組成物の多くはチキソトロピー性であり、これにより、接着剤の分野においてよく知られている標準プロセスを使用して好都合に分配され得る。特に、マイクロエレクトロニクスアセンブリでは、組成物が、自動ニードル型アプリケータをピックアンドプレース方法と併せて使用して、選択された領域に適用され得る。代替的には、これら組成物は、スクリーンまたはマスクを通しての印刷を使用して種々のパターンで適用され得る。溶媒及び最少量の無機フィラーを典型的には含有する低粘度系は、インクジェット印刷によって、選択されたパターンにおいて分布され得る。
【0139】
異方導電性ボンドを形成するために、本発明材料は、適切な直径の導電性ボールを有するシートに形成され、所望のサイズに切断またはダイシングされ、ボンディングされる2つの要素間に配置され得る。いくつかの場合において、このプロセスは、任意の所望の数の要素の多層スタックを作製するために繰り返され得ることが理解されよう。
【0140】
本発明方法の第2の必須工程は、ダウンコンバータによるダウンコンバージョンが可能である第1波長から光開始剤を活性化することが可能である第2波長まで放射線によってアセンブリを照射して、これにより、接着剤の重合を開始させることである。
【0141】
出願人らは、最も好ましい実施形態において、ボンド材料が設置された後にアセンブリに適用される放射線がX線であることを意図している。多くの工業用X線発生器が多くの供給元から市販されており、当業者は、常套の工学的考察に基づいて適切なX線源を容易に選択し得る。
【0142】
導電性樹脂または接着剤組成物
本発明の樹脂または接着剤組成物は、種々の方法で導電性にされ得る。導電性フィラーの使用が上記で考察されており、本発明の樹脂または接着剤組成物を導電性または半導性組成物とするための1つの方法である。本発明の樹脂または接着剤組成物の代替の実施形態は、組成物を導電性にするための添加剤として導電性ポリマー球体を使用する。導電性ポリマー球体の使用は、どの型のポリマー球体が使用されるかに応じて、等方または異方導電性を組成物に付与することができる。異方性ポリマー球体添加剤の使用の場合、得られる組成物は、圧力単独の印加、または圧力及びX線の印加によって、異方導電性(すなわち、1つの面において、または1つの軸に沿っては導電性であるが、直交する面または軸においては非導電性である)にされ得る。
【0143】
本発明のさらなる実施形態において、樹脂または接着剤組成物は、樹脂または接着剤組成物を形成するポリマーの適切な変更によって、いずれの添加剤も必要とせずまたは使用せずに導電性にされ得る。導電性ポリマー、または、より正確には、本質的に導電性のポリマー(ICP)は、電気を通す有機ポリマーである。かかる化合物は、導電性を有し得、または半導体であり得る。ポリマーの導電性は、例えば、ポリマー骨格を通しての、特に、ポリマー骨格に沿って種々の芳香族環を通しての拡張された共役によって、種々の方法で発生され得、全ての炭素系ポリマーならびにヘテロ原子含有ポリマーが含まれ得る。好適な導電性ポリマーには、限定されないが、ポリ(フルオレン)、ポリフェニレン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリナフタレン、ポリ(ピロール)(PPY)、ポリカルバゾール、ポリインドール、ポリアゼピン、ポリアニリン(PANI)、ポリ(チオフェン)(PT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)(PPS)、ポリ(アセチレン)(PAC)、ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)を含めた任意のタイプのポリマーが含まれ得る。本発明において、ポリマーが、エネルギー変換材料から放出されるエネルギーによってトリガーされる開始プロセスによって形成されない場合においても、ポリマーの変形体が、低分子量ポリマーまたはオリゴマーが有機ビヒクルの部分となるように使用され得、外部エネルギー(例えばX線)の印加の際に、エネルギー変換材料が、外部エネルギーを、開始剤を活性化するエネルギーに変換し、次いで、低分子量ポリマーまたはオリゴマーの鎖延長または架橋のいずれかを引き起こす反応を生じさせ、これにより最終導電性樹脂または接着剤を形成する。
【0144】
熱硬化接着剤:
外的に印加された力を使用して表面が圧縮して保持されながら、熱硬化エポキシが、外力が除去された後に圧縮の状態で導電性ポリマー球体を維持するために迅速に硬化される。熱硬化エポキシは、適切な熱源、例えば、カートリッジヒータ、マイクロ波もしくは超音波発生器、IR加熱ランプ、レーザー線によって、またはボンディングされている表面に熱を印加する種々の他の手段によって、存速に硬化され得る。しかし、熱は、エポキシの迅速な硬化を達成するために概してかなり高く(>250℃)しなければならず、また、多くの場合、当該熱は、力の印加を達成するのに使用される表面、ならびに、共にボンディングされているチップ及び/または基板を通して伝導される必要がある。電気的かつ機械的にボンディングされている材料が、それらの特徴的な熱膨張係数(CTE)において有意な差を示すとき、エポキシが硬化されて材料が室温に戻った後、高い状態の剪断応力がこれらの表面間に存在し得る。この剪断応力は、配列された接触パッド間の電気的導通の早期の不良につながり得るため、望ましくない。この問題は、ボンディングされている材料間で相対的なサイズに大きな差があるときに、より顕著である。
【0145】
そのため、いくつかの多大な利点は、エポキシが高熱を使用する必要性なしに硬化され得ると、実現され得る。例えば、エポキシが室温で硬化され得ると、材料は、いずれの剪断応力も残存することなく接合されることにより、信頼性を改善することができる。また、部品を配列して表面間に圧縮力を印加するのに使用される治具が依然として室温のままであると、アセンブリに必要とされる時間は実質的に低減され得る。
【0146】
UVまたは光硬化した接着剤:
室温での迅速な接着剤硬化のための1つの可能な解決策は、上記のACA接着剤を製造するための紫外線(UV)硬化性または可視光硬化性接着剤の置き換えである。いくつかの文献には、この問題に関して書かれているが、基本的な問題は、マイクロ電子アセンブリで一般に遭遇する、光学的に不透明な表面を通して十分な(硬化)UVまたは光エネルギーに接着剤を暴露させようとするときに生じる。適切なUVまたは可視光照明なしでは、エポキシが完全に重合し得ない。いくつかの製造者が、UVエネルギーで部分的に硬化し続いて最終的に熱硬化することが可能になるエポキシ内で特性を組み合わせることによって、この状況を是正しようとしている。しかし、ACA用途のための理想的なUVまたは光硬化性エポキシは、外部のUVもしくは可視光源またはさらなる熱硬化工程を必要とすることなく完全に硬化され得ると、実現されよう。
【0147】
上記で記述されているように、吸収された、より高いエネルギー(X線)光子を、より低いエネルギー光子(UVまたは可視光)に変換することができる、種々の光開始剤化合物及びダウンコンバート材料が存在する。接着剤エポキシが、エポキシ内に「フィラー」として含まれる1つ以上のタイプのこれらの「ダウンコンバート」低エネルギー光子放出体のスペクトル波長及びエネルギーレベルに露光されたときに感光性である(すなわち、重合する)ようなカスタム仕様であるとき、エポキシは、光学に不透明な材料を通してであっても、これをX線源に暴露することによって、完全に硬化され得る。追加の利点は、同じX線エネルギーが、品質管理目的で、同時に検出されて画像に変換され得るということである。
【0148】
X線活性化された、UVまたは可視光硬化性の、異方導電性接着剤(ACA)(35)の例を
図19に示す。当該図の特徴を拡大することにより、どのようにして集積チップ(IC)がフリップチップデバイス(28)としてアセンブリされて基板(30)に電気的に相互接続され得るかを示している。フリップチップデバイスの底面におけるバンプ(32)は、ICチップの他の平面の上に上昇する。盛り上がったバンプは、電気めっきまたは無電解めっきのいずれかの方法を使用して典型的には形作られ、金属、例えば、ニッケル-金、銅-ニッケル-金、チタン-タングステン/銅/ニッケル/金ならびに他の種々の金属及び/または合金の組み合わせからなっていてよい。盛り上がったバンプは、典型的には、ICの平面上に5~10ミクロンの高さの範囲にある。盛り上がったバンプは、依然としてウェハ全体の部分ではあるが、チップ上に典型的には形成されている。しかし、基板は、盛り上がったバンプを典型的には含まない。フェースダウン(フリップチップ)構成でアセンブリされるとき、IC上の盛り上がったバンプは、表面間のギャップの厚さの差を形成する。また、十分量及び直径のACAポリマー球体(直径5ミクロンの球体のおよそ4%)で適切に充填されているとき、1つ以上の球体が、適切な量の外部垂直力が印加されたときに、フリップチップデバイスバンプと基板パッド(図示せず)との間でトラップされて部分的に平坦化される(10’)可能性が高い。必要とされる力の「適切な」量は、可変幾何学形状、及びアセンブリされている材料に応じて経験的に決定される。隣接するバンプ間にある残存するACポリマー球体(10)は、圧縮されないままであり、概して電気を通さない、なぜなら、脆性のポリマーコーティング(36)が破壊されていないからである。
【0149】
図19に示す例において、X線活性化された接着剤(35)もまた、UVまたは可視光スペクトルにおいて、より低いエネルギー光子を放出するように企図されている小さいダウンコンバート光子放出体(38)で充填されている。これらのダウンコンバート光子放出体の量及びサイズもまた、材料特性に応じて経験的に決定される。実際、ダウンコンバート光子放出体粒子は、ACポリマー球体(10または10’)よりも小さく、エポキシ樹脂(35)内で均等に分散される。
【0150】
ダウンコンバート光子放出体を別個の「フィラー」として添加することは、UV接着剤の粘度及びチキソトロピー特性に悪影響を及ぼし得る。そのため、代替及びより良好な実用は、ACAポリマー球体(10)のポリマーコーティング(36)をダウンコンバート光子放出体材料(複数可)からなるコーティング(26)で置き換えて、
図20に示されている新しいタイプの等方導電性のUV発光ポリマー球体(11)を形成することである。この例において、ダウンコンバート光子放出体コーティングは、本来、電気的に非導電性かつ脆性の両方であり、そのため、
図21に示すように、部分的に平坦化されたときに破砕し(26’)、これにより、下方で金コーティング(24’)を露出するようになっている。
【0151】
図22は、
図19と同様であるが、上記に記載されているように、ダウンコンバート光子放出体「フィラー」粒子(38)の非存在及び等方導電性のUV発光ポリマー球体(11及び11’)の置き換えを示している。これらのポリマー球体は、既存のACA接着剤配合物とサイズ及び体積が同様であり、そのため、同様に機能することが予期される。
【0152】
等方導電性のUV発光ポリマー球体(11及び11’)を使用するアセンブリの別の例を
図23に示す。これは、一方が他方の上に積層され、共に電気的かつ機械的に接合されている、2つの同様のICウェハ、例えば、メモリチップウェハを示す。上部ICウェハ(40)及び底部ICウェハ(41)は、両方が、ウェハの上部(アクティブ)面から、ウェハの底面を横断して配置されたパッドまでの回路相互接続の経路を決定するための手段を与える「スルーシリコンビア」(TSV)コンタクト(42)を含む。このように、ウェハの上部(アクティブ)側におけるパッドに存在する電気機能は、ウェハの反対または底部(非アクティブ)面にも存在し得、スルーホール接続とよく似て、プリント配線板(PWB)を通して、信号の経路を決定することを可能にする。TSVコンタクトは、部分的に平坦化されたポリマー球体(11’)を通した電気接続のための接触面を形成する上部及び底面において、小さな、盛り上がった、環状または正方形のパッドを含む。ウェハが適切に配列されて圧縮されると、X線活性化された、UVまたは可視光硬化性ACAエポキシ(35)が、アセンブリをX線源に暴露することによって硬化される。
【0153】
X線アライナ及びボンダの説明:
上記のUV接着剤ボンディング技術を商業的に実行するために、UVまたは可視光硬化性接着剤を(インサイチュで)活性化するために正確なX線露光量を安全に与え、同時に、同じX線エネルギーを使用して、得られる硬化ボンド部を画像化及び記録するように企図された機器を有することが望ましいようである。好適なX線アライナ及びボンダのいくつかの例が
図24A~C、25A~C及び26A~Cに部分的に示されている。
【0154】
図24AのX線ウェハアライナ及びボンダ(39)は、接合されているウェハ表面に外部熱を印加する必要なく、X線活性化された、UVまたは可視光硬化性ACAエポキシ(35)を使用したウェハツーウェハアライメント及びボンディングを可能にするように設計されている。ボンダは、示すように、スプリットフィールドプリズム及びレンズデバイス(46)が表面間に一時的に挿入されて走査されることを可能にするのに十分に離間している、上部ICウェハ(40)及び底部IC-ウェハ(41)を保持するのに十分なサイズの2つの真空板(44)を含む。プリズムデバイスは、ウェハ表面が共に圧縮される前に、手動でまたは自動手段のいずれかによって、ウェハ表面を互いに対して正確に配列するために使用される。プリズムデバイスは、上方のウェハの底面における複数の箇所からの基準画像を見て、これを、下方のウェハの上面図における同様の基準画像と重ね合わせるための手段を与える。これらの基準画像が重ね合わされて正しく配列されたら、スプリットフィールドプリズム及びレンズデバイスが除去され、ウェハは、
図24Bに示されるように、印加された力(48)に共に供される。印加された力は、上記に記載され、また、
図19、22及び23に示されるように、2つのウェハ上の各ICの配列されたフリップチップデバイスバンプ(32)及び/またはスルーシリコンビア(TSV)コンタクト(42)間にトラップされた異方導電性ポリマー球体(10’または11’)を圧縮し、部分的に平坦化する。ウェハが、ACAポリマー球体が部分的に平坦化することを可能にし、また、並列のバンプまたはコンタクトを横断して導電性を確立させるのに十分な、印加された力に供されたら、X線露光デバイス(50)及びX線撮像デバイス(52)が、
図24Cに示されるような位置にされる。X線露光デバイス(50)は、次いで正確な波長及び光度のUV光を自発的に放出してUV樹脂を光開始によって迅速に硬化させるダウンコンバート球体の蛍光コーティングを刺激する高エネルギー光子の場を発生させるのに使用される。高エネルギー光子は、材料を通過するとき、X線露光デバイスの真向かい、ウェハ真空板の反対側に位置付けられている、X線撮像検出器(52)の表面において好都合に検出することもできる。X線撮像検出器は、X線源からの損傷に影響されないアナログ及び/またはデジタル回路を使用して、ボンディングされた表面の高解像度X線画像を生じさせるように設計されている。X線撮像検出器からのデータは、プロセスまたは品質制御のための手段を与えるデータ(記録)保存及び/または画像処理のための個々の写真及び/または連続的な動画のいずれかとして、収集及び処理されて高解像度デジタル画像とされる。
【0155】
ウェハツーウェハアライメントを達成するための代替の技術を
図25A~Cに示す。これらの図示において、可動スプリットフィールドプリズム及びレンズデバイス(46)は、ウェハがレンズ対の視野の上方または下方で個々に動かされて上部及び底部の両方のIC-ウェハのエッジ付近の複数の箇所に設けられているアライメント基準(49及び49’)を位置付けるとき、静止したままである1対の固定レンズ(47)によって置き換えられる。上部IC-ウェハ(49)用のアライメント基準は、底部IC-ウェハ(49’)とは異なっており、互いの上に重ね合わされて、x軸、y軸及びθ角における正確なアライメントの光学参照を与えるように設計されている。適切に配列されているとき、
図25A及び25Bに示される基準画像(49及び49’)は、
図25Cの51に示されるように重ね合わされている。
【0156】
上部及び/または底部IC-ウェハ(40及び41)には、UV硬化性ACA充填エポキシ(35)及び/または相溶性マトリクスエポキシ樹脂(34)のコーティングが堆積されている。いくつかの用途において、ボンディングプロセスを向上させる異なる組成及び粘度で上部及び底部の両方のICウェハにエポキシコーティングを適用することが望ましい場合がある。例えば、底部エポキシコーティングは、高粘度樹脂マトリクス内にACA導電性球体(10または11)を含んでいてよいが、一方で、上部ICウェハは、より低い粘度を有しかついずれのACA導電性球体も含有しない相溶性樹脂によってコーティングされていてよい。コーティングの異なる組成及び粘度は、積層されたチップまたはウェハ間の信頼性のある相互接続を達成するのに必要とされるACA球体の量の低減を可能にし、ボンディングの際の圧縮力の印加の際にバンプ状のパッドにおいて必要とされる場合に個々のACA球体のより良好な保持を可能にし、硬化したエポキシ内での空隙の形成の低減を助ける。
【0157】
先に記載されているように、上部及び底部ウェハが互いに対して光学的に配列されたら、表面が一緒にされ、印加された力の下で圧縮されて、ACAポリマー球体が変形しかつウェハ上の個々のICデバイス並列のパッド間の電気的導通を確立させることを可能にし、これにより、表面間の3D相互接続を確立させる。接合されるべきパッドが同じ熱膨張係数(CTE)値を有さない場合があるため、ポリマー球体は、熱サイクルの際の膨張の不適合を吸収することを助ける柔軟な界面を与え、これにより、適切な電気的導通を維持する。
【0158】
樹脂及び光開始剤材料をBASFから得た。材料を、+/0.1グラムの測定精度を有するはかりを使用して適切な比で秤量した。
【0159】
材料をDCA(クラス10,000のクリーンルーム)による実験室環境において混合した。全ての材料の取り扱いをドラフト内で行った。実験室は、部屋を照らす蛍光光源を有したが、ドラフトは、制御された光を有した(これにはUV要素なし)。
【0160】
ボンディングを実証するのに使用される基板には、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ-イミド、セルロース(または紙)、クロスプライカーボン-プリプレグ複合体、PEC、ABS、Mylar、真性シリコン、ドープトシリコン、シリコン系集積回路が含まれた。
【0161】
いくつかの場合において、材料を適切な比で混合し、次いでシリンジに移し、その後、遠心分離して気泡を除去した。他の場合において、材料をシリンジに入れたが、遠心分離しなかった。さらに、別の場合において、材料を混合カップの内側に封入した。材料の具体的な密度に応じて、沈殿の高レベルまたは低レベルを観察した。
【0162】
材料調製は、沈殿を制御する試みにおいて分散剤の添加をさらに含む。これらの場合において、蛍光体の表面を、分散剤の付着を可能にするように修飾した。材料を次いで樹脂材料及び光開始剤内において加熱下で混合した。材料を、原料と反応しないまたは原料を汚染しないステンレス鋼スパチュラを使用して手で混合した。大部分で材料汚染がなかった。混合に使用した温度は室温から80℃まで変動した。混合は、高温で行われるとき、より良好であった。
【0163】
原料供給源
混合の順序を調査した。種々の混合順序が作動可能である。しかし、調製の好ましい実施形態は、樹脂材料を80℃に加熱すること、続いて、光開始剤を添加すること、及び混合することによって得られる。樹脂及び光開始剤の混合及び加熱は、クリアな(気泡不含)溶液が得られるまで継続される。混合は、樹脂及び光開始剤の剪断を回避するように穏やかになされる。加熱は、この工程において著しい影響を及ぼすことが分かった。蛍光体は、3番目に添加され、続いて混合される。この場合、混合は、蛍光体がフィラー材料を添加する前に溶液内でよく分散されるまで継続される。ミクロンスケールの粒径分布を有する蛍光体材料が最も良好である。フィラー材料は最後に添加される。最も良好な形態において、フィラー材料は、Y2O3:Gdナノ粒子、及び分割量のAerosil(または活性シリカ)である。ナノスケール粒径におけるフィラー材料が最も良好に機能した。この場合、Y2O3:Gdが5~60nmの粒子からなること及びAerosil材料がファイバ様形態を有していることに注意することが興味深い。また、Y2O3:Gd粒子が集塊し得、ミクロンレベルの凝集体を形成し得ることに注意することも興味深い。これらの凝集体が何を助け得るかについての解決策は明らかでない。
【0164】
最初の意図は、室温における基板間の、X線からUVへの変換を除いて他のUV光源を用いない、適切なUV応答及び接着を求めることであった。しかし、原料の混合は、蛍光室内光をオンにして実施した。室内蛍光光下での経過時間は、硬化の程度の結果に影響することが発見された。本質的には、室内のUV光は、化学反応の光開始を補助した。制御されていない光の下での混合の経過時間が長いほど、X線エネルギー下で、より高い硬化の程度が達成された。制御された光触媒反応開始は、この発見を利用するのに実施した。これは、X線下での硬化の前のUV光による材料のフラッシングと呼ばれた。
【0165】
接着剤材料における光触媒反応の開始を、調製において以下の順序でUVフラッシングを通して達成した。原料を、制御された光のみの下で調製した。光触媒反応の開始を、上部基板の配置の前の、接着剤の分配/適用後すぐにまたは接着剤の分配/適用の際に、UV光への設定時間露光を使用して実施した。挟持された部分を次いでX線エネルギー下に置き、さらに硬化した。フラッシングに付した材料は、フラッシングに付していないものよりも速く硬化した。硬化硬度に基づいて、選択した化学構造物のフラッシングを(7.5分)未満で行い、一方で、フラッシングが適用されないときには、同じ選択した化学構造物において、より時間がかかった(12.5分)。
【0166】
フラッシングを、以下の
図26A~Cにさらに例示する。この場合、ハンドヘルドまたは自動ピストンポンプ分配器70を使用した。接着剤ビーズ60を、
図26Aに示す基板要素72において分配した。基板は、この場合、ポリカーボネートであった。しかし、本発明方法は、とりわけ、複合体及びPETを含む他の基板材料に適用可能であることが認識され得る。分配器は、ニードルゲージ22を使用してビーズを適用した。蛍光体の析出は、適切なゲージのピストンポンプを使用して観察されなかった。
図26B。底部基板72は、Kapton製の、90ミクロンの厚さを有するスペーサ要素74を有した。
【0167】
UV源73を使用して、365nm付近を中心とするUVA範囲からのエネルギーを印加した。
図27を参照されたい。UVA露光の15秒~25秒後、別の基板要素72”を上部において適用した。ゆえに形成されるアセンブリを硬化用のX線システムに取り込んだ。UVフラッシングが、必要に応じて、より長時間なされ得ることが認識される、しかし、UVフラッシングについての実際の制限がある。
【0168】
UV光を分配工程と組み合わせることが可能である(
図28)。少なくとも1つのUV光源を自動分配器に加えることにより、及び、必要な制御論理75を加えて、接着剤分配の終わりまたは間にUV光を制御して(UV強度及びUV経過時間)点灯させることにより、このUVフラッシングが、大量生産に容易に拡大され得る。
【0169】
UVフラッシングは、コスト効果的な源から、反応が促進することを可能にする効果的な方法である。フラッシングに続いて、ほぼすぐに、接合される基板が互いに対して配置される必要がある。接着剤ビーズは次いでX線システム内に配置される。X線エネルギーは、アセンブリの見通し線なし領域内にある接着剤ビーズの反応を効果的に完了させ得る。
【0170】
接着剤を分配及びフラッシングすることは、サーボモータまたはケーブル駆動からなる機械駆動を有する自動分配器を使用して高い再現性度で可能にされ得る。この場合、ロボットシステムには、広領域にわたって正確に接着剤分配ニードルを配置することを可能にする機械カップリング機構(または継ぎ目)78及び機械アーム77が装備されている。機械システムは、サーボモータまたは単にケーブル駆動をベースとする駆動システム76をさらに含む。
【0171】
システムは、真空ポート79’及び熱源79”、例えば、サーモードが装備されたプラテン79をさらに含むことができる(
図29を参照されたい)。真空は、基板を所定の位置に固定することを助ける。サーモードは、基板の温度を増加させる。僅かに高温の接着剤は、室温におけるものよりもかなり容易に流動し得る。接着剤の粘度は、典型的には、硬化が起こり始めるまでは高温で低下し、硬化が起こり始めた場合には粘度が増加し始める。このような粘度について、これは、特定の用途では有利であるが、他ではそうではない。いくつかの用途は、基板の下または多孔質材料内への毛管力を通した接着剤のウィッキングを必要とする。
【0172】
大部分の用途において、接着は、温度を上昇させることを有することによって促進される。2つの基板間の熱膨張係数の不適合に至ることを回避するために、基板が加熱され得る最高温度は、そのガラス転移温度(Tg)未満であるべきである。Tg未満では、基板は、1つの熱膨張係数において膨張し、そのTgを超えると、基板は、より高い熱膨張係数で膨張する。温度がTg未満のままである限り、接着が促進され得る。
【0173】
UVフラッシングは、外層の硬化(またはスキンの形成)を伴う。この外層またはスキンは、ビーズの内側部分よりも高い硬化度を達成する。このスキンの形成の際に、ビーズは、硬くなった外層が上部基板の制御された配置の障害となるため、非実用的になる。2つの基板の並置を通しての接着剤ボンディング線の形成は、行うことが難しくなる。
【0174】
他の例において、上記の工程を、いずれのUVフラッシングもなしに繰り返した。本発明者らが接着剤ビーズをX線エネルギーに暴露するまで、接着剤ビーズをドラフト内において制御された光の下で調製し、光露光から遮蔽して保つようにした。この場合、接着剤硬化を、適切な機械的ボンディングに達するために12.5分間行った。
【0175】
フラッシングは、以下の例に記載され
図30A~Dに示されている他の用途に有益であり得る。スクリーン印刷機は、接着剤分配器の代わりに使用され得る。基板要素72は、スクリーン90の下に位置付けられている。スクリーンアパーチャ90’は、基板72の上に位置付けられ得るが、これには接触していない。ブレード91は、適切な圧力で通過して、スクリーンアパーチャを通して接着剤を押し進める。スクリーンは続いて除去される。分配された接着剤60’は、制御された時間(15から25秒の間)UVエネルギーに暴露される。上部基板は、次いで、接着剤の上部に位置付けられる。挟持されたビーズは、X線において7.5分間硬化され得、2つの基板を成功裏にボンディングすることができる。
【0176】
1つの場合において、基板は、
図31A~Cにおけるクロスプライカーボン複合体80であった。接着剤60を接着剤に適用した。続いて、PET81からなる要素を硬化されていない接着剤ビーズに置いた。こうして形成されたアセンブリを回転させ、硬化のためのX線源の下に置いた。この場合、フラッシングを使用しなかった。接着剤ビーズが15分で硬化した。
【0177】
X線硬化システムは、放射線、すなわちUVのさらなる供給源を有し得る。UV源73からのUV放射線は、X線源82からのX線放射線と併せて使用され得る。これにより、外界に暴露される部分と、見通し線を有さない部分とを有する接着剤ビーズの硬化が可能になる。フィレット60”が直接の見通し線を有し、放射線を使用して硬化され得る例が
図32に記載されている。
【0178】
フィレット60”は、応力がICチップの隅において最大であるフリップチップ用途において重要な役割をする。フィレット60”の硬化は、応力を最小にするための適切なレジピを使用してなされ得る。このことは、UV放射線を使用する硬化が、X線放射線と同時、前または後の、固有応力を最小にするいずれかにおいてなされてよいことを示唆している。
【0179】
いくつかの場合において、2つの接着剤ビーズを分配することが望ましくあり得る。分配器70が接着剤60を含有する一方で、分配器70”は接着剤61を含有する。2つのビーズは順次分配される。新規の接着剤アプリケータが構想される。新規の分配器64は、
図33A~Cに示されるように2つのチャンバ及び2つの同軸ニードルを有する。内側容器62が接着剤61を含有する一方で、外側容器63は接着剤63を含有する。さらに、新規の分配器は、接着剤61及び60がそれぞれ流通するニードル64’及び64”を含有する同軸ニードルを有する。
【0180】
接着剤を、単純なものからより複雑なものまで種々の方法を使用して基板に適用した。最も単純な形態において、接着剤配合物を、スパチュラを使用して混合カップから汲み出し、1つの基板の上部表面に堆積させた。他の場合において、接着剤をシリンジに入れ、18~22ゲージを有するニードルを通して手で押圧した。他の場合において、材料を、EDFエアピストンポンプのニードル(これもまた18~22ゲージニードル使用する)を通して分配した。いくつかの場合において、基板は、基板間に挟持されて材料が基板間から押し出されないようにするスペーサ要素を有した。接着剤の硬化を、60ミクロン~1000ミクロンの接着剤ビーズ厚さで実証した。
【表8】
【0181】
いくつかの場合においては、これを、ポリイミドフィルムを使用して達成したが、他の場合においては、スペーサ要素がガラスビーズであった。接着剤の硬化において、接着剤ビーズの厚さが60ミクロン~250ミクロンで成功裏に実証された。これらの厚さは、Bステージフィルム及びチップオンボード用途などの用途に適合可能であり得る接着剤ビーズを表す。他の場合において、接着剤ビーズは、500ミクロンから1000ミクロンまでの間であった。これらの厚さは、密封用途などの用途に適合可能であり得る接着剤ビーズを表す。
【0182】
接着剤ビーズのレオロジー及び厚さの制御を、フィラー要素、例えば、AEROSIL、及びドープトY2O3のナノ粒子を使用して達成した。ガドリニウムは、これらの場合において、好ましいドーピング元素であることが分かった。500ミクロン以上の厚さを達成するために、接着剤配合物は、0.5%及び5%の間のフィラーを有した。
【0183】
いくつかの場合において、接着剤ビーズを2つのポリカーボネート基板間に適用し、この構成において24時間保持した。ノンフローまたは転移が観察できた。接着剤ビーズは、そのため、分配後にエンドユーザに十分な作動及びポットライフを提供しかつ製造の際に進行中の作業の中断を許容するように作製した。これは、分配後の進行中の作業を急にする必要がないため重要である。
【表9】
【0184】
レジピ番号2、3及び4においては他の配合物よりも速く硬化したことが分かった。しかし、過剰の光開始剤を使用したとき、接着が損なわれた。この理由で、レジピ4が最も良好に機能した。このレジピは、レジピ2よりも速く硬化し、レジピ3よりも良好な接着を有した。
【0185】
分散の均一性がプロセスにとって重要であり得ることが発見された。分散が均一であるほど、接着の観点での結果がより良好である。蛍光体豊富なまたは蛍光体不十分な領域の集団が顕著であったとき、硬化が局所化されていて、表面領域にわたる接着全体が良好ではなかった。光開始剤が混合体を飽和しているとき(過剰量の光開始剤)、表面において未反応の光開始剤の移動があるため表面における接着が損なわれる。
【0186】
材料情報。
第1基板は所定の位置に位置付けられる。基板の箇所及び機械的登録が記録される。接着剤は次いで第1基板に適用される。接着剤は、第1基板の上部におけるビーズパターンを解像する造影剤を含有していてよい。かかる場合において、黒色である第1基板は、黒色である接着剤色を有するべきではない。白色またはオフホワイト色のビーズがより好適であり得る。TiO2のような白色剤が造影剤として使用され得る。この場合、基板の色は関連せず、また、検査がX線放射線を使用して実施され得るため、ビーズの検査は、可視の色の対比に関わらず簡単になされ得る。
【0187】
第2基板が次いで接着剤ビーズ及び第1基板の上部における所定の位置に位置付けられる。アセンブリは、X線ベースの工程、すなわち検査及び硬化の組み合わせまたは硬化からなる一工程を実施し得るX線システム下に輸送される。X線システムは、製造要件を満たすように自動化され得る種々の要素を含む。
図34は、本発明によって意図されるX線硬化システムを形成するこれらの要素のいくつかを示す。
【0188】
X線放射線の工程は、放射線が外界に漏れないようにするエンクロージャ83において好ましくはなされる。エンクロージャ83は、重金属、例えば、鉛を含む種々の材料からできていてよい。単一のアセンブリ72’は、エンクロージャ内での硬化の際に静止して保持されても移動してもよい。かかる移動は、回転台を使用して達成され得る回転移動を含み得る。かかる移動はまた、外部コンベアベルト85及び内部コンベア85’を使用して達成され得る並進移動も含み得る。内部及び外部コンベアベルトは、両方が、X線エンクロージャの内外に部を入れて出すことと同期して作動する。ドア84は、X線放射線チャンバの内外にアセンブリ72’を往復させるように上下に開閉し得る。ドアが開放しているとき(または上方の位置にあるとき)、X線エネルギーは、安全手段に従うようにオフである。X線エンクロージャは、コントローラ76’に連結されているセンサを有する自動ドアを有し得る。エンクロージャは、X線エンクロージャの内外に少なくとも1つのアセンブリを入れて出し、照射して硬化をもたらすように上下に開閉するドアを有し得る。さらに、硬化されるアセンブリは、プロセス治具86内に位置付けられ得る。プロセス治具は、これと共に、アセンブリ72’を運ぶ。
【0189】
1を超えるアセンブリがX線機器内に置かれていてよい。複数のアセンブリを有する構成は、X線硬化システム内の部の負荷を最大にするように変動し得る。
図35A及び35Bに示すように、2つのコンベアが、平面内においてX線システム内で充填率(アセンブリの数)を増加させるように一方が他方に隣接して並列になっている。正確なレベルでの浸透深さのために、コンベアは、X線硬化システム内で平面内(
図35A)及び平面を横断して(
図35B)配置され得る。
【0190】
X線硬化のさらなる利点は、同じ硬化パラメータを使用して異なる生成物内にある種々のサイズの接着剤ビーズを硬化する能力にある。代替の実施形態として、X線機器は、1を超える供給源を有して、異なるアセンブリの硬化を同時に許容することができる(
図36を参照されたい)。これは、利点を提示しており、製造者が、X線硬化システム内で異なる生成物混合体を硬化することを可能にする。アセンブリ160及び160’は、同時に硬化され得る。これは、生成物の変化がより容易であること及びシステムが硬化要件を満たす際に順応性があることを意味している。
【0191】
30回/秒までのパルスアップを含めたレシピをプログラミングする可能性を有するX線システムがなされ得る。kvp及びアンペア数の制御のレベルは、浸透深さの制御を同じく意味する、出力電力及び光子エネルギーの制御を発揮するようにされ得る。
【0192】
また、硬化時間及び効率は、限定されないが、温度、放射線源強度、硬化される接着剤組成物からの放射線源の距離、及び放射線源によって発生する光子束を含めた種々のパラメータの調整によって所望により調整され得る。
【0193】
X線送達ヘッドは、(正確ではないが)接着剤ビーズが伝播方向に略垂直である記載され得る接着剤ビーズの上または接着剤ビーズの下のいずれかにおいてアセンブリの一方の側にある。いくつかの場合において、接着剤ビーズはX線放射線経路に略平行である。しかし、流入するビームで放出されるX線放射線は、1つの主な伝播方向の周りに複数の方向を有することが認識される。
【0194】
金属及び金属コーティングは、X線放射線の透過を制限する。この理由で、X線は、金属配線及びコーティングを有する集積回路を硬化するときに、適宜配向される必要がある。これらの場合のシナリオにおいて、ビーズの好ましい配向は、X線伝播方向に平行である。
図37A~Cに示すように、2つの構成が可能である。1つの場合、
図37A。アセンブリは、好ましい配向を達成するために垂直に配向され、他の場合の
図37Bにおいて、X線源(複数可)は、ビーズと伝播方向との間の望ましいアライメントを達成するために充てられた配向に搭載される。
図37Cは、アセンブリ160とX線との間のアライメントの異なる図を与える。
【0195】
ウェハボンディング
(
図24A及び24Bに記載されている方法を使用して)ウェハアライメントが完了した後、ウェハがクランプ治具88を使用して一緒にクランプされる。クランプ治具は、ウェハが輸送の際にアライメントされたままであることを可能にする。クランプ治具は、典型的にはウェハの除外領域内の深さでウェハ裏面においてウェハに接触する。ウェハは、
図38A及び
図38Bに示されているように回転アーム87を用いて回転台89に配置され得る。回転台は、最大40kNまでの圧力に耐えることが可能である。圧力は、2つの鏡像回転台を使用して印加され得る。クランプ治具88は、2つの回転台が嵌合されたら除去され得る。
【0196】
X線硬化は、室温でなされるか、またはボンディングに使用されるポリマーのガラス転移未満でなされるため、互いの上部へのウェハの配置の後に、さほど多くの圧力が必要とされない。同様に、ダイがウェハ表面に配置されるとき、さほど多くの圧力が必要とされない。
【0197】
ダイオンウェハ用途は、
図39に記載されているものと同じウェハ設定を使用する。しかし、ダイオンウェハボンディング用途において、X線は、底部ウェハ41の上部に設けられているIC40’のエリアアレイにわたってのさらなる貫通深さにつながる角度で配列される。この場合、ボンディング線の面は、X線の伝播方向に対して45度にある。
【0198】
X線システムの安全設計(
図40A~Cを参照されたい)
クリーンルーム用の非接触設計(
図41~42を参照されたい)
容器は上下に持ち上げられて、処理チャンバに入るアセンブリ160をゲーティングすることができる。キャビティ90’の部分は、持ち上げられて、アセンブリ160のバッチ化を可能にし得る。
【0199】
チャンバ120は所定の位置に固定されている。チャンバ122のキャビティの底部は、上昇及び下降して、処理ステーションに入るウェハ41の位置決めを可能にし得る。可動な底部は、上方の処理チャンバには接触しない(120及び122間の接触なし)。
【0200】
複合体におけるボンディング締結部(
図43A~Bを参照されたい)
複合パネル80に接着剤60が分配される。金属締結部110は、空気圧で駆動されるピックアンドプレースシステム(112)を使用して基板80の上部に配置される。ピックアンドプレース112及び接着剤分配器111は、両方が、KUKAロボット113に搭載されている。X線源82は、ボルト110の底部にカップリングする僅かな角度で配置されている。
【0201】
より詳細な用途:
以下の図は、パッケージング及び封入に関する,半導体における種々の用途を示す。これらとして、グロブトップ、ダムアンドフィル、成形(PMC、挿入成形)及びフリップチップアンダーフィルが挙げられる。
【0202】
フリップチップ下のアンダーフィル:
IC28は、バンプ32が電気パッド132と電気接触するように所定の位置に半田付けされる。望ましい接着剤60-1は、分配システム70によって適用される(
図44を参照されたい)。基板が室温の20℃上まで加熱されると、接着剤は、チップと基板72との間に設定された毛管力によりチップ下にウィッキングされる。接着剤がIC下に分配及びウィッキングされたら、接着剤は、硬化する準備が整い、任意選択的に、硬化の前に検査が実施される。標準方法は、光学的手段を使用して接着剤を検査することである。しかし、接着剤60-1にはX線領域に吸収特性を有する蛍光体が投入されているため、検査は、X線放射線を使用して実施され得る。X線を使用する検査は、IC28下に存在し得る任意のストライエーションを明らかにすることができる。接着剤の均一性は、接着剤が樹脂豊富なまたは樹脂不十分な領域に分離しているか否かを見て決定され得る。接着剤は、続いて、X線で硬化され得る。
【0203】
この場合、硬化は、室温においてなされ得、X線は、ICの側面から最も良好にカップリングされる。この場合、伝播方向は、接着剤ビーズの面に平行である。
【0204】
高密度回路用アンダーフィル
基板が高密度回路(72”)であるとき、同様のプロセスが適用され得る。アセンブリが形成されたら、アセンブリは、半田バンプ(32’)を使用してPCまたはサーバのマザーボードに配置され得る。このプロセスは、ロジックアセンブリ(例えば、マイクロプロセッサ及び高密度相互接続デバイス)を搭載するために使用されるものと同様である。
図45は種々の要素を示す。
【0205】
ノンフローアンダーフィル:
接着剤ウィッキングの際に起こる時間遅延と、IC(28)を基板(72’)上に接続するための半田付けプロセスとの組み合わせを回避するために、封止材(60-2)が、接触パッド(132)のエリアアレイの上の基板(72’)の上部に分配され得る。
図46を参照されたい。光学検査が実施される。チップは、真空(131)に関する規定を有するプログラミング可能な「ピックアンドプレース」(130)を使用して採取される。アクティブアライメントは、チップが、ICバンプ(32)がPCB電気パッド(132)と電気接触するようにPCB(72’)上に設置される前に、実施される。ノンフロー接着剤は、X線を使用して検査及び硬化され得る。
【0206】
グロブトップアプリケーション:
グロブトップアプリケーションは、PCB(72’)上にダイ取り付けされてワイヤボンディングされ、IC(28)のアクティブエリアとPCB基板(72’)に設けられている電気パッド(132)との電気接触を確立したIC(28)の上部に電子ポリマーを分配することを含む。
図47を参照されたい。適切な蛍光体及び光開始剤を含有する特有の接着剤(60-3)が、IC(28)に適用され得、十分な時間により、電子ポリマーが流動してIC(28)及びワイヤボンド(132’)を被覆することを可能にする。アセンブリが次いでX線放射線を使用して検査され、X線放射線処理またはレジピを使用して硬化される。X線処理は、アセンブリへのいずれのダメージも誘発することなく接着剤を硬くするのに適切な制御可能な継続期間のパルスからなり得る。
【0207】
ダムアンドフィル
いくつかの用途において、ダム(60-4)または第1接着剤ビーズを適用し、続いて、第1ビーズを硬化した後に、X線硬化に必要とされる適切な蛍光体及び光開始剤を含有する封止材(60-1)を分配することが有利である。現在の技術は、X線放射線を使用した、60-1及び60-4の両方の同時硬化を可能にする。
図48を参照されたい。配合物60-4に投入される蛍光体の量は、60-1よりも速く硬化するように意図的に高くされ得る。
【0208】
成形/ポストモールド硬化
封入を適用する別の標準方法は注入成形によるものである。樹脂をモールドレベルで適用する。この場合、IC(28)が基板(72”)に取り付けられ、次いで、モールド内に挿入される。モールドが次いで高圧でクランプされ、高温の液体樹脂が高圧で射出されてワイヤボンド(132’)とIC(28)との間の空間を満たす。
図49を参照されたい。射出成形工程は、次いで、伸長した熱処理によって達成される。本発明は、適切な蛍光体及び光開始剤を含有する低粘度樹脂(60-5)の使用を通して可能になる。低温での射出成形が実施された後、X線検査及びX線硬化が行われ得る。本発明を使用する利益は様々であるが、最も顕著な利益は、後成形で確立され得る全ての応力を解放することである。これにより、応力解放に必要とされる大部分の熱アニーリング工程が排除される。これらの応力解放工程は、最大4時間かかる可能性があり、進行中の作業を増加させ、経済面では良好にならない。
【0209】
MEMS及びマイクロプロセッサのためのリッドシール
半導体及びMEMSに関連する別の適用は、リッドシールである。
図50A及び50Bを参照されたい。この適用において、3つの異なる接着剤が使用され得る。3つの異なる接着剤:1-接着剤ビーズ(60)、2-アンダーフィル接着剤(60-1)、及び3-IC28をリッド133に接続する熱伝導性接着剤(60-6)、の組み合わせが使用され得る。半導体では、リッド133が典型的には金属製である。MEMS用途では、リッド133’はガラスであり得る。
【0210】
マイクロBGAフィル封入
マイクロボールグリッドアレイは、グロブトップ封入に関して記載されているものとほぼ同じ方法で封入され得る。アセンブリの構成はチップオンボード適用と異なるが、ワイヤボンド132’の封入は依然同じである。(
図51を参照されたい)適切な粘度での適切な封入60-3は、X線下で硬化するような量の光開始剤及び蛍光体を含有するように調製される。
【0211】
タブボンディング:
テープ自動ボンディング(TAB)技術は、現出願によって向上され得る。TABは、フレキシブル回路134を半導体IC(28)に電気的に接続するのに使用される。
図52を参照されたい。フレキシブル回路は、電気パッド132を含有する。封止材60-3は、TAB領域に設けられ得る。封止材の適用に続いて次いでX線検査及び硬化となる。
【0212】
マイクロフルイディクス
鏡像特徴を有するプラスチック部分140-aからプラスチック部分140-bへの接続は、流体を収容し、かつ、流体を容器の一方の側から他の側に向かわせることができる使用可能な流体チャネルを有する機能性プラスチック容器を構築するのに使用され得る。接続可能な特徴を有する2片のプラスチックは、フィルム接着剤60-7を使用して共に接続されて片140cを形成する。(断面図を示す)。フィルム60-7は、適切な樹脂ならびに適切な蛍光体及び光開始剤を有する。形成されるプラスチックハウジングは、部140dとして示されている(上面図)。
図53を参照されたい。
【0213】
流体チャネルは、複数片のプラスチックを使用して形成され得る。PETプラスチックの断面を150に示す。PETは、溝100によって示されているウェルジョイントを有する。流体チャネル102’は、別のプラスチック、例えば、液晶ポリマー150’上に存在する流体チャネル102と共に配列されている。次いで、こうして形成されたサブアセンブリは、流体デバイスを形成するのに使用され得る。かかるサブアセンブリの例を付与する。サブアセンブリの各部は、アパーチャが配列することを可能にするように、導管、及び連動する特徴を有し得る。接着剤ビーズ60-3を分配して、X線を使用して硬化させることができる。
図54A及び54Bを参照されたい。
【0214】
サブアセンブリは、制御可能につぶされる。突出した特徴101は、ウェルジョイント100に入る。これらの特徴は、密閉シールの達成を可能にする。なぜなら、流体(液体またはガス)が、突出した特徴101がウェルジョイント100内に係合するときに形成される分割されたウェルを通して進行しなければならないからである。進行距離が増加し、密閉シールが高められる。
【0215】
なお別の例として、フレキシブル回路134が接触パッド132を有するときが挙げられる。フレックス134は、接着剤60-3を使用してIC150にボンディングされたTABである。IC150は、流体チャネルまたはアパーチャ102の周りの温度を増加させ得る抵抗加熱ネットワークを有する。流体チャネル102は、プラスチック部145-dに存在するアパーチャまたは流体チャネル102’と一直線になっている。IC150は、接着剤60を使用してボンディングされる。流体チャネル102’は、流体リザーバ152と接続する。これらのリザーバは、インクまたはインスリンを含有し得る。
図55A及び55Bを参照されたい。可撓性アセンブリがハウジング145-dで包囲されると、接着剤フィルム60-7が活性化されて145dの外壁がフレックス134にボンディングされる。
【0216】
プラスチック接続には、鏡像プラスチックを使用しなくてよく、また、同様の材料も使用しなくてよい。実際には、異種材料は、インスリンポンプまたはインクジェット容器のためのプラスチックハウジングを形成するのに使用され得る。
【0217】
インクジェットカートリッジの形成
インクジェットカートリッジは、例えば基材として、熱可塑性成形用樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、またはポリスルホンからできているプラスチックハウジングから典型的にはできている。ポリスルホンは、靱性、機械的安定性及びインク耐性を有する熱可塑性ポリマーのファミリーを記載する。
【0218】
典型的には、シリコンでできているプリントヘッドは、インク出口として使用される多数のノズルを有する。シリコン上のノズルアレイ、及びインクリザーバは、流体チャネルを有するマニホールド構造を通して接続される。流体チャネルは、プライマリリザーバからの異なる色のインクを適切なプリントヘッドノズルアレイに向かわせるように用いられる。
【0219】
マルチカラーカートリッジは、複数のインクリザーバ、多くの場合、3つのインクリザーバを有する。かかる3つのインクカートリッジにおいて、リザーバは、それぞれ、原色を含有する。これらのリザーバは、互いに単離されている必要がある。区画間の隔離は、種々の区画間のインク混合を回避するように密閉されていなければならない。プラスチック片は、別個のリザーバをシールするように接着剤ボンディングされる。
【0220】
種々のリザーバをシールまたは隔離する、対象となるジョイントは、インクとの長期の接触に耐えるように作製されていなければならない。インクは、偶然、化学的見地から攻撃的になることがある。さらに、シーリングジョイントは、製品の機能寿命にわたって存在し得る機械的応力、及び大気圧とリザーバの内圧との間に調節される必要がある圧力差を克服することができる必要がある。
【0221】
インクリザーバ及びインクチャネル、マルチカラーカートリッジを形成するのに必要なプラスチック構造及びマニホールドは、複数の射出成形プラスチック部からアセンブリされ得る。最も経済的な方法は、これらの部の全てを一部として射出成形することである。しかし、リッドシール及び3チャンバ分離は、単一体として射出成形することができない。なぜなら、リザーバへのアクセス可能性を有する必要があるからである。にもかかわらず、カートリッジが3つの片から形成されていようと、3を超える片から形成されていようと、プラスチックをボンディングするのに2つのプロセス方法が典型的には使用される:超音波エネルギー溶接及び熱硬化性接着。
【0222】
超音波溶接についての問題は、異種材料では作動しないことである。他の方法は、接着剤材料を使用して種々の部を一緒にボンディングすることからなる。種々のプラスチック部は、この場合、同様の材料からなっていても異種材料からなっていてもよい、ただし、接着剤が十分な熱エネルギーに供されることとする。
【0223】
接着剤を硬化するのに必要な熱エネルギーの印加は、プラスチック部の熱膨張につながる。異なる材料間の熱膨張の不適合は、種々の材料の界面において固定される熱誘導応力を結果として生じさせる。
【0224】
プリントヘッドは、タブボンディング方法を使用してフレキシブル回路に接続される。プリントヘッドは、プリントヘッドを、流体チャネルを含有するマニホールドにボンディングする接着剤ビーズにある。プリントヘッドは、シリコン上に構築された抵抗ネットワークを供給する電気信号によって発射され得るノズルを含有する。特定のノズルに選択的に印加される電気信号は、選択ノズルの加熱を結果として生じ、ゆえに、インク液滴の制御可能な吐出及び噴出につながる。インク液滴は、紙のような印刷媒体に向けられ、パターンを形成して言葉、画像などをもたらす。
【0225】
本発明接着剤組成物は、インクジェットカートリッジ、例えば、上記のものの形成において、または、従来技術、例えば、それぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第7,832,839号、米国特許第7,547,098号、またはUS7,815,300号によるインクジェットカートリッジの形成において使用され得る。
【0226】
漏洩光ファイバエレメント:
ファイバエレメント91は、種々の形状をとるように直線状であっても可撓性であってもよい。ファイバエレメントは、そのコアの周囲に、かつ、UV光の伝播方向に沿ってUVエネルギーを漏洩する。光がその端部からカップリングされると、当該光は、ファイバに沿って伝播して、その環境にUV光を漏洩する。(
図56A及び56Bを参照されたい)
【0227】
ファイバエレメントは、2つのプラスチック間のジョイントに挿入される。接着剤がファイバの周りに分配され、アセンブリが一緒につぶされる。そのため、硬化は、UVをファイバエレメントの外側にカップリングしてUV光をアセンブリの内側に分布させることによって達成され得る。(
図57A及び57Bを参照されたい)
【0228】
デジタル印刷機用UVインク
CaWO4蛍光体及びCaWO4:Pbは、X線エネルギー下において、可視及びUVAで発光する。これらの蛍光体は、両方が、評判の悪い遅い減衰時間を有する。この蛍光体は、開始エネルギーが停止した後でも可視及びUV光を放出し続ける。この放出は、X線エネルギー照射が停止した後60~100秒間にわたって強いままである。
【0229】
この理由で、CaWO4及びCaWO4:Pbは、遅延された硬化用途、例えば、UVインクに適用され得る。UVインクは、UV光の下での迅速な硬化の可能性を付与する。X線及び極UVから望ましいUVA及び可視範囲までの光調節可能性を有するナノ粒径の蛍光体の包含が特に好ましい。開始放射線は、インクをフラッシング(短時間での爆発的な露光)することができ、遅い減衰時間を有する包含されている蛍光体は、インクを硬化することができるUV放射線を放出し続けることができる。
【0230】
これらの特有のインクは、遅い減衰時間を有する蛍光体をフラッシュ活性化するEUVまたはX線源を備えたデジタルプレスにおいて使用され得る。そのため、ウェブ速度は、インク自体の厚みの中からインクを硬化し続けることができる持続性のUV放出により、400フィート/分から900フィート/分を超えて加速され得る。
【0231】
これは、光沢紙を使用するときに特に有用である。光沢紙は、もしあれば限界空隙率を付与する。この理由で、表面を湿潤化させるインクは、湿潤形態のままであり、迅速には乾燥しない。熱エネルギーは、ウェブの表面に付与されて、インクにおいて使用される溶媒の除去を助け得る。溶媒は、遅い乾燥速度を有し、また、容易に除去され得ず、ウェブ速度を遅くする。
【0232】
熱エネルギーと開始放射線との組み合わせが、本発明において使用され得る。
【0233】
光沢紙1巻(200)が、
図58に記載されているデジタル印刷機の一部に送られる。紙は、インク分配ステーション(201)を通してインクと共に与えられる。開始放射線源(202)は、インクをX線またはEUVでフラッシングする。インク内に埋め込まれ遅い減衰時間を有する蛍光体は、X線またはEUVで活性化される。紙が熱ステーション(203)に移動する。紙は第1滑車(204)及び第2滑車(204)で方向転換される。紙の裏面はこのときインク分配ステーション(201)を使用した印刷の準備ができている。熱処理及びUVフラッシングが、ステーション203及び202を使用してインクに与えられる。紙が次いでデジタル印刷機の別の部に移動する。
【0234】
種々の他の実施形態が可能である。
【0235】
複合体:
本発明接着剤はまた、層状複合体の基本的な構成単位である、2つ以上のプライの接着によって、複合体の形成においても使用され得る。複合体は、プライを層状にすることによって構築され得、プライが本発明の接着剤組成物を使用して一方から他方に接着されている。任意の従来のプライ、例えば、-45+45アセンブリ(
図59A及びBを参照されたい)、0+90複合体(
図60A及びBを参照されたい)が調製され得る。
【0236】
複合体は、複数のプライから形成されるプリプレグ材料の調製によって好ましくは形成され、各プライは、他のプライに対して所望の構成で配置されて、プライのそれぞれの層間に本発明の硬化性接着剤組成物を有している。プリプレグがアセンブリされて層が所望により配列されると、硬化性接着剤が、所望の電離放射線、例えば、X線の印加により硬化されることにより、プライを共に接着させて、複合体を形成することができる。
【0237】
フロントエンド半導体フォトリソグラフィ
本発明の接着剤組成物は、代替的には、ネガ型またはポジ型のいずれかのフォトレジスト現像を達成するための硬化性樹脂としてフォトリソグラフィにおいて使用され得る。重金属マスク要素の使用により、本発明組成物の選択的硬化を達成して所望のパターンまたは半導体素子を形成することが可能である。素子が導電性であることが望ましいとき、接着剤組成物は、所望により、導電性フィラーによってドーピングされていてよい。
【0238】
半導体集積回路(IC)
半導体集積回路(IC)デバイスの製造において、ICデバイスは、多くの場合、ICデバイスに取り付けられた半田ボールを使用して基板に導電的に取り付けられ、次いで、半田ボールが、基板に取り付けられた導電性電気パッドに設置される。
図63A~Gは、ICデバイスと電気パッドとの間の高い導電性を維持しながら、かかる半田ボール及び半田マスクの使用を代用するような方法における本発明の接着剤及び導電性樹脂組成物の一使用の代表を提供する。
図63Aにおいて、半導体IC(300)、例えば、ロジックまたはメモリデバイス、システムチップまたはオプトエレクトロニクスデバイスに存在するもの、特に、GaInNAsまたはGaAsをベースとするデバイスは、半導体IC(300)の片側に取り付けられた突出部(301)と他の場合には称される、複数の「バンプ」、「ピン」または「フィート」を有し、ここで、突出部(301)は、導電性硬化性樹脂、好ましくは、本発明の金属銀フレーク及びエネルギーコンバータを含有する導電性硬化性樹脂、最も好ましくは、本発明の金属銀フレーク及びエネルギーコンバータを含有する導電性硬化性エポキシから形成されている。アイテムにおける突出部(301)という用語には、限定されないが、上記のアイテム32:フリップチップデバイスバンプ、及び32’:基板半田バンプが含まれる。複数の突出部(301)は、いずれの所望の方法を通して半導体IC(300)に適用されてもよい。好ましくは、突出部(301)は、特定のデバイスの所望の箇所に突出部(301)を配置するために、ジェッティング、スクリーン印刷、電解めっき、または別の分配手段によって適用され得る。突出部(301)は、2つの例に言及するのに望ましいパターン、例えば、エリアアレイまたはペリメータアレイ構成に追随し得る。
【0239】
突出部(301)を有する半導体IC(300)は、次いで配列され(
図63B)、半導体IC(300)上の突出部(301)の箇所に相当するパターンにおいて、複数の導電性電気パッド(303)を有する基板(302)に設置される(
図63C)。設置が完了したら、導電性樹脂突出部(301)は、半導体ICデバイス(300)を通しての(
図63D)(または代替的には基板(302)を通しての(図示せず)X線またはe線エネルギーの印加によって所定の位置で硬化され、これにより、導電性樹脂突出部(301)におけるエネルギーコンバータが、X線またはe線エネルギーを、導電性樹脂を硬化させて硬くさせる開始エネルギーに変換する。この構成において、基板(302)は、電気パッド(303)を通しての所望の電気接続を与えるために導電性である配線を含有していてよく、または、基板(302)は、非導電性であってよい。302の基板は、フレキシブルまたは剛性回路基板であり得る。さらに、剛性回路基板は、有機、例えば、FR4またはBTであり得、または、セラミック、例えば、アルミナ(Al
2O
3)またはドープトアルミナであり得る。回路基板は、内側の面、例えば、電力面または接地板を相互接続するビアを有する少なくとも2つの層を含有する多層回路基板であり得る。基板(302)が非導電性であるとき、電気パッド(303)は、所望により、電気パッド(303)から電気パッド(303)へのパターン化された電気接続を通して接続されていてよい。これは、作製される具体的な半導体ICアセンブリによって決定され、当業者によって容易に決定される。本発明硬化性樹脂/接着剤組成物の使用により付与される1つの利点は、含まれる樹脂の硬化に見通し線アクセスを必要とすることなく、従来のフォトリソグラフィ及び同様の技術の使用によって、導電性のための微細に制御された複雑なパターン化を生じさせる能力である。代替的には、突出部(301)が基板(302)上に設置され得、続いて、IC(300)が基板(302)の上部に配列及び設置される。なお別の代替は、突出部(301)がIC(300)及び基板(302)の両方に設けられ、次いで、IC(300)及び基板(302)が共に配列及び設置された後の突出部の硬化の際に接合され得ることである。
【0240】
導電性樹脂が硬化されたら、硬化性アンダーフィル接着剤(304)が分配器(350)によって適用され、ここで、硬化性アンダーフィル接着剤(304)は、1つ以上エネルギーコンバータを含有する、本発明による接着剤である(
図63Eを参照されたい)。好ましくは、アンダーフィル接着剤組成物は、突出部(301)及び電気パッド(303)によって形成される導電性経路を単離するために非導電性(または電気的絶縁組成物)である。分配されたら、硬化性アンダーフィル接着剤(304)が、半導体ICデバイス(300)を通しての(
図63F)(または代替的には基板(302)を通しての、図示せず)X線またはe線エネルギーの印加によって硬化される。
【0241】
金属ヒートシンクが望ましいとき、金属ヒートシンク層(306)は、突出部(301)、電気パッド(303)、アンダーフィル層(304)及び基板(302)の反対の半導体ICデバイス(300)の側に適用される。好ましくは、
図63Gに示すように、金属ヒートシンク層(306)は、中間の硬化性熱伝導性接着剤層(305)によって半導体ICデバイス(300)に取り付けられる。金属ヒートシンク層(306)が硬化性熱伝導性接着剤層(305)に配列及び設置されたら、硬化性熱伝導性接着剤層(305)は、金属ヒートシンク層(306)を通しての、または下部の半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリを通してのX線またはe線エネルギーの印加により硬化される。代替的には、X線エネルギー(またはE線エネルギー)は、(
図37C、38A及び38Bに示すように)デバイスの側から印加され得る。デバイスが全ての側から照射される組み合わせアプローチもまた予想され得る。
【0242】
本発明の硬化性接着剤または樹脂の熱伝導率は、樹脂に金属粒子(本質的には熱的及び電気的に伝導性である)を投入することによって向上され得る。代替的には、樹脂は、必ずしも導電性を増加させることなく熱伝導率を増加させるために、金属窒化物、例えば、AlN(窒化アルミニウム)及びBN(窒化ホウ素)がドーピングされ得る。
【0243】
さらに、樹脂の導電性は、材料、例えば、グラフェンまたは他の導電性カーボン材料の使用を通して熱伝導性よりもかなり増加され得る。
【0244】
例として、X線からUVへのエネルギー変換粒子を含有する、本発明の硬化性樹脂は、銀、銅またはグラフェン(導電性材料として)がドーピングされて、X線エネルギーを使用して硬化されてよい。金属粒子は、樹脂の硬化サイクルを助けることもできる有意な二次電子を生じる。これは、相容れないことである。なぜなら、UV樹脂は、通常、UV透過/透明であってUV光によって硬化される必要があるからである。これは、本発明硬化性樹脂のケースではなく、本発明硬化性樹脂は単にX線エネルギーによって透過可能である必要があるだけである。UV光は、接着剤のビーズ内に深く発生され、金属(またはカーボン)粒子は、二次電子を生じて、遊離ラジカル硬化メカニズムが起こることを可能にし/高める。
【0245】
本発明樹脂または接着剤の熱伝導性及び導電性もまた、これらに金属粒子及びフレーク(特にAg)をドーピングすることにって改善され得る。同様に、熱伝導性は、例えば、金属窒化物、例えば、AlNまたはBNでは、高い熱伝導性のドーパントを粒子またはプレートレット形態で使用することを通して改善され得る。
【0246】
図63Gの独立型の金属ヒートシンク(306)の代替として、支持側(308)を有する、金属ヒートシンク層(307)によって形成されたキャビティ内に密閉シールされている半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリを有することも可能であり(
図64を参照されたい)、ここで、金属ヒートシンク層(307)が、同じタイプの熱伝導性接着剤樹脂(305)によって取り付けられているが、この実施形態においては、金属ヒートシンク層(307)が、半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリのエッジを超えて延在しており、その端部において支持側(308)によって支持されている。これらの支持側(308)が半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリを完全に包囲しているとき、半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリは密閉シールされており、そのエッジと支持側(308)の内面との間にキャビティを有する。独立型の金属ヒートシンク(306)におけるように、この実施形態の金属ヒートシンク層(307)は、金属ヒートシンク層(307)が所定の位置に配列されて置かれた後に金属ヒートシンク層(307)を通してのX線またはe線エネルギーの印加により硬化される熱伝導性接着剤樹脂(305)を介して半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリに接続されている。得られるアセンブリはパッケージングされたIC製品またはデバイスである。
【0247】
図64の密閉シールされているアセンブリのさらなる実施形態において、
図65は、金属ヒートシンク層(307)が、所与の光波長に透明であるウインドウ(309)によって置き換えられている、半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリの直上のセクションを有して、半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリ内のICが所望の波長を受容及び/または透過することを可能にすることを除いて、同様の構成を示す。かかるICは、発光ダイオード、垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)またはエッジ発光半導体レーザーであり得る。後者の場合において、支持側(308)の1つ以上が、エッジ発光半導体レーザーによって発光または受容される所望の波長に透明である好適なウインドウ(310)(金属ヒートシンク層(307)においてウインドウ(309)を有するよりもむしろ(図示せず)、または金属ヒートシンク層(307)におけるウインドウ(309)に加えて(
図66に示す))によって置き換えられ得る。
【0248】
代替的には、(アンダーフィル層(304)を有するまたは有さない)半導体(300)-突出部(301)-基板(302)アセンブリは、
図67に示すように、グロブトップ(311)、好ましくは、高い光透過率を有するものの中に封入され得る。グロブトップ(311)は、直接UV硬化接着剤または樹脂組成物、熱硬化接着剤または樹脂組成物から、あるいは、グロブトップ(311)のX線もしくはe線硬化を許容するように含有されている1つ以上エネルギー変換材料を有する本発明の接着剤または樹脂組成物から形成され得る。かかる構成における本発明の接着剤または樹脂組成物の使用の場合において、グロブトップ(311)が高い光透過率を望ましくは有するため、硬化性接着剤または樹脂内に含有されるエネルギー変換材料を、樹脂を通して透過されることが望ましい光波長未満である粒径にすることが好ましい。最も好ましくは、これらのエネルギー変換材料は、グロブトップ(311)の所望の光透過率を保持するために、400nm以下の粒径を有し得る。グロブトップ樹脂は、X線吸収性であり、エネルギーコンバータのサイズの注意深い選択によって光学的に透明にされ得る。
【0249】
上記のデバイスの実施形態に加えて、上記のようにこれらのデバイスを作製する方法もまた本発明の範囲内である。これらの方法において特に有利であるのは、種々のタイプの硬化性樹脂/接着剤組成物のX線またはe線硬化が、種々の要素を形成する材料の異なる熱膨張係数に関連する問題を回避するために、また、熱的硬化が使用されるときには含まれる半導体ICに存在する多くの場合精巧かつ複雑な回路の潜在的な熱的損傷を回避するために、室温で実施され得ることである。
【0250】
当業者は、本明細書に記載されているこれらの実施形態のいずれもが、所望により、種々の変形で組み合わされ得ることを容易に理解するであろう。かかる変形は、それぞれが、本発明の範囲内に同様に含まれる。
【0251】
上記に記載されている実施形態の多くが、硬化性接着剤組成物全体に分散されるダウンコンバート粒子を使用しているが、多くの他の構成が、本発明による使用に利用可能である。例えば、ダウンコンバート粒子は、それぞれが硬化性接着剤モノマー及び光開始剤配合物によってコーティングされている2つの表面間に配置され得る薄膜に(好ましくは薄膜の両側に)接着され得る。照射の際、ダウンコンバート粒子が、所望の波長でエネルギーを放出して、光開始剤を活性化し、接着剤の両方の層の硬化を開始し、これにより、表面のそれぞれを、ダウンコンバート粒子を有する薄膜の反対側にボンディングする。当業者は、本発明をレビューする際、新規の接着された構造を作り出すのに使用され得る広範な構成を容易に理解するであろう。
【実施例】
【0252】
この発明を概して説明したが、さらなる理解は、説明目的のみで本明細書において提供されていて別途特定されない限り限定的であることが意図されないある特定の具体例を参照することによって得られ得る。
【0253】
材料化学構造物を、まず、重要な化学成分を秤量し、これらの化学成分を加熱下で混合することによって調製した。官能化されたアクリレート樹脂はBASFから得た。樹脂は、Laromer LR 9023、Laromer PO 94F、Laromer TPGDA、Laromer LR 9004を含めた4つの市販の製品の混合物から作製した。
【0254】
光開始剤もBASFから得、これは、IRGACURE 369及びIRGACURE 2529からなった。蛍光体は、Phosphor Technologiesから得た。LaOBr:Tb3+蛍光体及びYTaO4を硬化性配合物の調製において使用した。第3蛍光体は、ガドリニウムがドーピングされたY2O3であった(Y2O3:Gd)。この第3蛍光体は、ナノ粒径で合成した。これを蛍光体及び増粘剤の両方として使用した。
【0255】
全ての混合工程の際に使用した温度は80℃であった。種々の化学物質の添加の順序は以下の通りであった:1-樹脂、2-光開始剤、3-蛍光体及び4-増粘剤。1つの場合において、増粘剤はY2O3:Gdであった。混合物は、1時間~2時間の間、10分毎に撹拌した。これにより、均一な混合物の取得を確実にした。
【0256】
1つの場合において、MEKPを接着剤配合物に添加して、MEKPへのエネルギーのカップリング及び硬化反応速度論の向上に対するX線硬化の有効性を評価した。レジピまたは配合物番号2、3及び4においては他の配合物よりも速く硬化したことが分かった。しかし、過剰の光開始剤を使用したとき、接着が損なわれた。この理由で、レジピ4が最も良好に機能した。このレジピは、レジピ2よりも速く硬化し、レジピ3よりも良好な接着を有した。
【0257】
分散の均一性がプロセスにとって重要であることが発見された。分散が均一であるほど、接着の観点での結果がより良好である。蛍光体豊富なまたは蛍光体不十分な領域の集団が顕著であったとき、硬化が局所化されていて、表面領域にわたる接着全体が良好ではなかった。光開始剤が混合体を飽和しているとき(過剰量の光開始剤)、表面において未反応の光開始剤の移動があったため表面における接着が損なわれる。
【0258】
種々の配合物の硬化を、PET、ガラス、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスルホン、カーボンプリプレグ、FR4 PCBにおいて行った。接着剤ビーズを2つの同様の基板間に挟持し、基板間にある間に硬化した。X線におけるときには温度が増加しなかった。温度を手持ちのIR温度計を使用して測定した。10℃までの顕著な温度増加が観察された唯一の時間は、MEKPを含有する配合物の場合のみである。
【表10】
【0259】
さらなる配合物を硬化した。X線下での経過時間は、10分、12.5分、15分、17.5分及び20分であった。LaOBr:Tb
3+蛍光体を使用して作製された配合物は、10分及び12.5分の間で硬化した。蛍光体YTaO
4を使用して作製された配合物は、12.5分及び15分の間で硬化した。第3蛍光体を使用した配合物はガドリニウムドープトY
2O
3(Y
2O
3:Gd)であり、17.5分で硬化した。しかし、Y
2O
3:Gdと混合されたLaOBr:Tb
3+が接着剤配合物に添加されたときには、硬化は10分で達成された。
【表11】
【0260】
明らかに、本発明のさらなる修飾及び変更が上記の技術に照らして可能である。そのため、本発明は、添付の特許請求の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている以外にも実施され得る。