(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】濾過巻き要素のための段階的なスペーサ
(51)【国際特許分類】
B01D 63/10 20060101AFI20220610BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B01D63/10
B01D63/00 510
(21)【出願番号】P 2019554537
(86)(22)【出願日】2018-01-31
(86)【国際出願番号】 US2018016318
(87)【国際公開番号】W WO2018190937
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2020-11-05
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-107483(JP,A)
【文献】特表2013-544642(JP,A)
【文献】特開平06-262026(JP,A)
【文献】特開2016-137462(JP,A)
【文献】特開2014-064973(JP,A)
【文献】特表2016-508446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
液体に透過性である透過スペーサ要素と、
(b)前記透過スペーサ要素の第1の表面に隣接して配置された
第1の膜シートと、
(c)前記透過スペーサ要素の、前記第1の表面の反対側である第2の表面に隣接して配置された
液体に透過性である
第2の膜シートと、
(
d)前記
第1の膜シートの表面上に設けられて、前記
第1の膜シートによって前記透過スペーサ要素から分離された、又は、前記
第2の膜シート上に設けられて、前記
第2の膜シートによって前記透過スペーサ要素から分離された供給拒絶スペーサ要素
であって、前記供給拒絶スペーサ要素は、前記第1の膜シート又は前記第2の膜シートの表面上に設けられた複数の供給拒絶スペーサ特徴部分を有し、前記複数の供給拒絶スペーサ特徴部分が設けられた、前記第1の膜シート又は前記第2の膜シートは、第1の端部と、前記第1の端部の反対側にある第2の端部と、を有し、前記複数の供給拒絶スペーサ特徴部分は、前記表面から突出しかつ高さが前記第1の端部の近傍から大きくなるように、前記第1の端部の近傍に第1の高さで前記表面上に堆積され、かつ、前記第2の端部の近傍に前記第1の高さよりも大きい第2の高さで前記表面上に堆積されている、供給拒絶スペーサ要素と、を備え、
前記透過スペーサ要素、
前記第2の膜シート、前記
第1の膜シート、及び前記供給拒絶スペーサ要素がスパイラル巻き要素へと丸められたとき、前記透過スペーサ要素が、前記
第2の膜シートと前記
第1の膜シートとの間に透過体積を提供し、前記供給拒絶スペーサ要素が、前記
第2の膜シートと前記
第1の膜シートとの間に供給拒絶体積を提供し、
前記透過スペーサ要素
及び前記供給拒絶スペーサ要素
のいずれかの一方又は
両方が、前記
第2の膜シートと前記
第1の膜シートと
を離間させており、
液体濾過
を行うため
に、
隣接する前記第2の膜シートと前記第1の膜シートとの間の間隔は、前記間隔に流れる液体の流れ方向に沿って変化する
ように構成されている、
液体濾過に使用される要素。
【請求項2】
チューブ透過体積及び
チューブ供給拒絶体積に分割された
チューブ内部空間を規定する中央回収チューブをさらに備え、
前記
チューブ透過体積が、1つ又は複数の透過開口を通して前記チューブの外部と連通しており、前記
チューブ供給拒絶体積が、1つ又は複数の拒絶開口を通して前記チューブの前記外部と連通しており、
前記第1の
膜シート、前記第2の
膜シート、及び前記透過スペーサ要素が、第1の濾過エンベロープを形成しており
、
前記透過体積が、前記1つ又は複数の透過開口と連通しており、
前記供給拒絶体積が、前記1つ又は複数の拒絶開口と連通しており、
前記供給拒絶スペーサ要素が、
前記第1の膜シートを前記第2の膜シートから離間させており、前記第2の膜シートと前記第1の膜シートとの間の、前記供給拒絶スペーサ要素によって離間された間隔は、前記
1つ又は複数の拒絶開口から遠位の
拒絶開口遠位側間隔から、前記
1つ又は複数の拒絶開口に近位の
、前記
拒絶開口遠位側間隔よりも小さい
拒絶開口近位側間隔まで減少する
ように構成されている、
前記拒絶開口から遠位の第1の分離から、前記拒絶開口に近位の前記第1の分離より小さい第2の分離まで減少する分離を提供している、
長手方向流れスパイラル巻き膜モジュールで使用するために構成された、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記透過
スペーサ要素が、
前記第1の膜シートを前記第2の膜シートから離間させており、前記第2の膜シートと前記第1の膜シートとの間の、前記透過スペーサ要素によって離間された間隔は、前記
1つ又は複数の透過開口に近位の
透過開口近位側間隔から、前記
1つ又は複数の透過開口から遠位の
、前記
透過開口近位側間隔よりも
小さい透過開口遠位側間隔まで減少する
ように構成されている、
請求項2に記載の要素。
【請求項4】
前記透過
スペーサ要素が、変化する厚さを有する押出メッシュ又は織メッシュを備える、
請求項3に記載の要素。
【請求項5】
前記透過
スペーサ要素が、前記変化する厚さを提供するために積み重ねられた、押出メッシュ、織メッシュ、又は多孔質材料のうちの2つ以上の層を備える、
請求項3に記載の要素。
【請求項6】
前記透過
スペーサ要素が、前記透過体積に面する、前記第1の
膜シート
及び前記第2の
膜シートの
表面の
いずれかの一方又は両方の
表面に
堆積された
透過スペーサ特徴部分を備え、
前記
透過スペーサ特徴部分が、
前記透過開口から遠位の
透過開口遠位側高さから、前記透過開口に近位の、前記
透過開口遠位側高さより大きい
透過開口近位側高さまで増加する
ように、前記表面から突出している、
請求項3に記載の要素。
【請求項7】
前記供給拒絶スペーサ要素が、変化する厚さを有する押出メッシュ又は織メッシュを備える、
請求項2に記載の要素。
【請求項8】
前記供給拒絶スペーサ要素が、前記変化する厚さを提供するために積み重ねられた、押出メッシュ、織メッシュ、又は多孔質材料のうちの2つ以上の層を備える、
請求項2に記載の要素。
【請求項9】
前記供給拒絶スペーサ要素が、前記供給拒絶体積に面する、前記第2の
膜シート
及び前記第
1の
膜シートの
表面の
いずれかの一方又は両方の
表面に置かれた
供給拒絶スペーサ特徴部分を備え、前記
供給拒絶スペーサ特徴部分が、前記拒絶開口から遠位の
拒絶開口遠位側高さから、前記拒絶開口に近位の、前記
拒絶開口遠位側高さより小さい
拒絶開口近位側高さまで減少する
ように、前記表面から突出している、
請求項2に記載の要素。
【請求項10】
チューブ透過体積及び
チューブ供給拒絶体積に分割された
チューブ内部空間を規定する中央回収チューブをさらに備え、
前記
チューブ透過体積が、1つ又は複数の透過開口を通して前記チューブの外部と連通しており、前記
チューブ供給拒絶体積が、1つ又は複数の拒絶開口を通して前記チューブの前記外部と連通しており、
前記第1の
膜シート、前記第2の
膜シート、及び前記透過スペーサ要素が、第1の濾過エンベロープを形成しており
、
前記透過体積が、前記1つ又は複数の透過開口と連通しており、
前記透過
スペーサ要素が、
前記第1の膜シートを前記第2の膜シートから離間させており、前記第2の膜シートと前記第1の膜シートとの間の、前記透過
スペーサ要素によって離間された間隔は、前記
1つ又は複数の透過開口に近位の
透過開口近位側間隔から、前記
1つ又は複数の拒絶開口から遠位の
、前記
透過開口近位側間隔よりも小さい
透過開口遠位側間隔まで減少する
ように構成されており、
前記供給拒絶体積が、前記1つ又は複数の拒絶開口と連通している、
長手方向流れスパイラル巻き膜モジュールで使用するために構成された、請求項1に記載の要素。
【請求項11】
中央回収チューブであって、1つ又は複数の透過開口を通して前記チューブの外部と連通している内部空間を規定する、中央回収チューブをさらに備え、
前記第1の
膜シート、前記第2の
膜シート、及び前記透過スペーサ要素が、第1の濾過エンベロープを形成しており
、
前記透過体積が、前記1つ又は複数の透過開口と連通しており、
前記供給拒絶スペーサ要素が、
前記第1の膜シートと前記第2の膜シートとを離間させており、前記第1の膜シートと前記第2の膜シートとの間の、前記供給拒絶スペーサ要素によって離間された間隔は、液体の供給入口に近位の
第1供給入口近位側間隔から、前記
供給入口から遠位の
、前記
第1供給入口近位側間隔より
も小さい
第1供給入口遠位側間隔まで減少する
ように構成されており、
前記透過
スペーサ要素が、
前記第1の膜シートと前記第2の膜シートとを離間させており、前記第1の膜シートと前記第2の膜シートとの間の、前記透過スペーサ要素によって離間された間隔は、前記供給入口に近位の
第2供給入口近位側距離から、前記供給入口から遠位の
、前記
第2供給入口近位側距離よりも大きい
第2供給入口遠位側距離まで
増加する
ように構成されている、
軸方向流れスパイラル巻き膜モジュールで使用するために構成された、請求項1に記載の要素。
【請求項12】
1つ又は複数の透過開口を通して前記チューブの外部と連通している内部空間を規定する中央回収チューブをさらに備え、
前記第1の
膜シート、前記第2の
膜シート、及び前記透過スペーサ要素が、第1の濾過エンベロープを形成しており
、
前記透過体積が、前記1つ又は複数の透過開口と連通しており、
前記透過
スペーサ要素が、前記透過開口に近位の第1の分離から、前記透過開口から遠位の前記第1の分離より大きい第2の分離まで減少する分離を提供している、
軸方向流れスパイラル巻き膜モジュールで使用するために構成された、請求項1に記載の要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 技術分野
[02] 本発明は、流体成分の分離のために利用される膜又は濾過システムに関し、特に、スパイラル巻き膜要素及び平坦な膜要素に関する。
【背景技術】
【0002】
[03] 背景
[04] スパイラル巻き膜濾過要素は一般に、多孔質透過キャリアに又はそのまわりにシールされた膜シートから構成された積層構造からなり、多孔質透過キャリアは、膜を通って中央チューブへと進む流体の、中央チューブの軸の長手方向への除去のための経路を作成し、一方、この積層構造は、中央チューブにスパイラル状に巻きつけられ、多孔質供給スペーサによってそれ自体から間隔をあけて、要素を通して流体が軸方向に流れることを可能にする。従来、供給スペーサは、その一部が膜を通ってスパイラル巻き要素に進む供給水の流れを可能にするために使用され、且つ、中央チューブと平行で要素構造の軸方向である方向に、拒絶水が要素から出ることを可能にするために使用される。
【0003】
[05] スパイラル巻き要素の代替の設計は、スパイラルの内側から中央への、又は、スパイラルの内側から外側への、スパイラル巻き膜の透過流れと同じ長手方向に、供給流~拒絶流が流れることを可能にする。そのような設計は、2つの別個の流路を可能にする特別に修正された分割中央チューブを必要とし、さらに、要素の両方の軸方向端部が長手方向の流路を作成するように完全にシールされていることを必要とする。スパイラル巻き要素のこの設計は、従来の交差流設計と比較したとき、供給流~拒絶流内の流速及び流体剪断を増加させる際に有利である可能性がある。流速の増加は、膜及び供給スペーサの有機的及び無機的な汚損の防止に有益である可能性があり、並びに、液体が膜を通過するとき、要素内の濃度分極を減少させる。そのような要素の例は、商標名GROとしてPentair Corporationによって製造されているものである。
【0004】
[06] 汚損は、軸方向流れチャンネル内の流れ制限及び圧力低下の原因でもあり、さらに、生物成長、スケール形成、及び粒子捕捉を介して膜汚損に大きな原因となる、流れの制限及び膜への接触の領域を生じさせる。
【発明の概要】
【0005】
[07] 概要
[08] 本発明の実施形態は、流体濾過での使用に有益である要素を提供する。実施形態は、可変供給スペーサ高さ、可変透過スペーサ高さ、又はその両方を有する要素を提供する。可変高さにより、濾過実行時の流れ特性を流体体積に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
[09] 図面の簡単な説明
【
図1】長手方向流れスパイラル巻き要素の略図である。
【
図2】巻かれていない長手方向流れ要素の長手方向断面図であり、段階的な高さで置かれた供給スペーサを有する。
【
図3】巻かれていない長手方向流れ要素の長手方向断面図であり、段階的な高さで置かれた供給スペーサ及び段階的な高さで置かれた透過キャリアを有する。
【
図4】巻かれていない長手方向流れ要素の長手方向断面図であり、固定高さで置かれた供給スペーサ及び傾斜した高さのメッシュ状透過キャリアを有する。
【
図5】巻かれていない長手方向流れ要素の長手方向断面図であり、固定高さで置かれた供給スペーサ及び段階的な高さで置かれた透過キャリアを有する。
【
図6】巻かれていない軸方向流れ要素の長手方向断面図であり、固定高さで置かれた供給スペーサ及び傾斜した高さのメッシュ状透過キャリアを有する。
【
図7】巻かれていない軸方向流れ要素の長手方向断面図であり、固定高さで置かれた供給スペーサ及び段階的な高さで置かれた透過キャリアを有する。
【
図8】巻かれていない軸方向流れ要素の長手方向断面図であり、段階的な高さで置かれた供給スペーサ及び段階的な高さで置かれた透過キャリアを有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[18] 実施形態及び産業上の利用可能性の説明
[19] スパイラル巻き要素の設計に対する改善は、Barger他への米国特許第6,632,357号、Bradford他への米国特許第7,311,831号、及び、Herrington他への国際出願PCT/US14/18813号において開示されており、それらは、供給スペーサを、膜の内面又は外面上に直接置かれた又はエンボスされた島状構造又は突出部に置き換えている。しかしながら、これらの特許又は出願は、中央チューブの軸に垂直である段階的な供給スペーサ又は透過キャリアのパターン高さを教示していない。発明者らは、要素を通る軸方向流れのための間隔を維持し、同時に、流れチャンネル内の障害を最小化するという点で、この構成は有利である可能性があることを発見した。塩水供給スペーサでは、水分子は膜を通過し、塩イオンを拒絶するので、濃度分極が供給空間の拒絶端部で増加する。供給空間の拒絶端部でより薄い供給チャンネル高さを有することによって、流体剪断は増加し、それによって、濃度分極の負の影響は減少する。印刷された又は置かれたスペーサは、分離構成要素としての多孔質塩水供給スペーサも排除し、それによって、要素の製造を簡略化する。膜の透過側で、さらに多くの水が膜を通過すると、水が中央チューブに近づくにつれて、水流量は増加する。流体が中央チューブに近づくにつれて、透過流れ領域の空間の高さを段階的に増加させることによって、より多くの体積(又は、断面)が空間で利用可能であり、流体速度を最小化し、その後、透過空間の背圧を低下させる。
【0008】
[20] 膜濾過の性質のために、膜を流れる間、入口流量は連続的に減少し、透過流量は透過キャリアの長さに沿って増加する。拒絶流量は、入口流れと透過流れとの差を表し、膜を通って流れることができない溶解物質又は懸濁物質の全量を含み、こうして、拒絶流では、入口供給流より濃度が高くなる。
【0009】
[21] 本発明は、長手方向流れスパイラル巻き要素の塩水供給間隔高さに、供給流から拒絶流まで塩水供給間隔の高さが減少するような段階的変化を提供し、供給流から拒絶流までの体積流量が膜を横切る流れにより減少するので、より一定の又は増加する流速を可能にする。
図1は、膜シート1の1つの層と、固定高さ透過キャリア3を有する膜シート9の第2の層上に置かれた傾斜高さ供給スペーサ機能2とを備える長手方向流れスパイラル巻き要素を示す。供給流れ及び透過流れの方向は、外縁から内向きに並列である。供給スペーサの高さは、中央チューブ6から最も遠く離れた点から、中央チューブ6に最も近い点まで減少する。拒絶流れ及び透過流れは、分割された中央チューブ6の別個の開口を通して収集される。グルーライン7は要素の端縁をシールし、要素内で長手方向の供給流れ~拒絶流れを作り出す。
図2は、巻かれていない構成の同じ要素を示し、供給スペーサ機能2の高さの段階的変化を、より明確に見ることができる。残りの図面において、膜シート1は図の上下に示されて、供給流れ及び透過流れの流路を視覚的に表現しているが、使用中、スパイラル巻き要素が巻かれているときは、第2の流れチャンネルを作成する単一の膜シートのみである。塩水が供給端から中央チューブの拒絶流の方へ流れると、水は透過キャリアの方へ膜を通過するので、供給チャンネルの体積流量は減少する。供給スペーサの高さを減少させることにより、体積流量が減少したとき、供給流の流速を一定にする又は増加させることが可能になり、要素へのスケール形成を防ぐという点で有利である可能性がある。同様に、その長さに沿って供給スペーサの高さを減少させることによって、要素直径を一定に維持しながら、全体的な薄片長さを増加させることができ、要素内でのさらなる表面積が可能になる。
【0010】
[22] 同様に、透過キャリアの高さは、体積流量が最小である、中央チューブから最も遠く離れている要素の長手方向端部で減少させることができ、中央チューブの方へ体積流量が増加するにつれて、高さを増加させることができる。塩水供給スペーサの高さは、中央チューブから最も遠く離れている要素の長手方向端部で増加させることができ、一方、供給スペーサ、膜シート、及び透過キャリアの全体的な厚さが組立体を通して一定の厚さであるように、透過キャリア高さは同程度、減少する。高さは、必要に応じて、全体的な厚さの増加又は減少を実現するために変化させることもできる。両方のこれらのスペーサの可変高さは、例として、さまざまな高さの従来利用されてきたメッシュスペーサを層にすることによって、又は、要素の組立前に、高さが長手方向に変化する膜シート上の機能を膜シートの片側又は両側に直接置くことによって、実現することができる。
図3は、巻かれていない長手方向流れ要素を示し、膜シート1と膜シート9との間に供給流れから拒絶流れへ高さが減少する可変高さ供給スペーサ2が置かれている。段階的な高さで置かれた透過キャリア4は、分割された中央チューブ6から最も遠く離れている端部から、分割された中央チューブ6への取付部まで高さが増加し、示された例では、高さの増加は供給スペーサの高さの減少に一致する。透過キャリアは、グルーライン7に3つの側部で接し、一方、供給スペーサは、外側端縁にのみ接している。供給流れ及び透過流れの方向は、外縁から分割された中央チューブ6まで内向きに並行している。供給高さの減少と透過高さの増加との組合せにより、要素の全体的な体積が最適化され、供給スペーサ及び透過キャリアの両方を通る長手方向の体積流量をより一定に維持する。
【0011】
[23] 従来の軸方向塩水供給流れ及び長手方向流れ要素では、本発明の別の例示的実施形態は、透過キャリアの高さにのみ段階的変化を採用し、中央チューブから最も遠く離れている点から、中央チューブに隣接する点まで長手方向に厚さが増加する。例示的な業界標準の透過キャリアは、その全長を通して高さ0.010インチとすることができる。より薄い、たとえば、中央チューブから最も遠く離れている端縁で0.002インチであり、中央チューブに最も近い端縁で0.010インチまで高さが増加する透過キャリアを設けることによって、膜シート及び透過キャリアを備えるエンベロープの長さを増加させることができ、濾過のための付加的な表面積を提供し、同時に、要素全体の一定の体積を維持する。このスペーサの可変高さは、例として、さまざまな高さの従来利用されてきたメッシュスペーサを層にすることによって、又は、要素の組立前に、高さが径方向に変化する膜シート上の機能を膜シートの片側に直接置くことによって、実現することができる。軸方向流れ要素では、複数の薄片を使用することができ、各透過キャリアは傾斜高さスペーサを備える。
【0012】
[24]
図4は、巻かれていない長手方向流れ要素の実施形態を示し、膜シート1と膜シート9との間に固定高さで置かれた供給スペーサ5を有する。薄いメッシュの3枚の別個のシートから作成された、傾斜した高さのメッシュ状透過キャリア3は、分割された中央チューブ6から最も遠く離れている端部から、分割された中央チューブ6への取付部まで高さが増加し、グルーライン7によって仕切られている。供給流れ及び透過流れの方向は、外縁から分割された中央チューブ6まで内向きに並行している。本実施形態並びに
図5~
図7に示される実施形態では、遠位端での透過キャリアの厚さの減少により、減少した全体的な透過キャリア体積のための所定の直径要素のより長い薄片長さが可能になり、同時に、最初から最後までの適切な透過流れのために十分な断面積が維持される。
【0013】
[25]
図5は、巻かれていない長手方向流れ要素のさらなる実施形態を示し、膜シート1と膜シート9との間に固定高さで置かれた供給スペーサ5を有する。ここで、段階的な高さで置かれた透過キャリア4は、分割された中央チューブ6から最も遠く離れている端部から、分割された中央チューブ6への取付部まで高さが増加し、グルーライン7によって仕切られている。供給流れ及び透過流れの方向は、外縁から分割された中央チューブ6まで内向きに並行している。
【0014】
[26]
図6に示される例示的な実施形態において、軸方向流れ要素は、膜シート1と膜シート9との間の固定高さで置かれた供給スペーサ5を採用し、傾斜した高さのメッシュ状透過キャリア3は薄いメッシュの3枚の別個のシートから作成され、透過キャリア3は、中央チューブから最も遠く離れている端部から、中央チューブ8への取付部まで高さが増加し、グルーライン7によって仕切られている。透過水は、中央チューブの方へ長手方向内向きに流れ、一方、供給水~拒絶水は中央チューブ8の軸と平行に、軸方向に流れる。
【0015】
[27] 別の例示的な軸方向流れの実施形態において、
図7は、巻かれていない軸方向流れ要素の長手方向断面図を示し、膜シート1と膜シート9との間に固定高さで置かれた供給スペーサ5を有し、段階的な高さで置かれた透過キャリア4は、中央チューブから最も遠く離れている端部から、中央チューブ8への取付部まで高さが増加し、グルーライン7によって仕切られている。透過水は、中央チューブの方へ長手方向内向きに流れ、一方、供給水~拒絶水は中央チューブ8の軸と平行に、軸方向に流れる。
【0016】
[28] 別の実施形態において、塩水供給スペーサの高さは、軸方向流れ要素において塩水供給入口からその出口まで減少する。供給流から拒絶流までの体積流量は膜を横切る流れにより減少するので、この構成は、より一定の又は増加する塩水流速を可能にする。供給空間を通してより一定の軸方向の体積流量を維持することは、軸方向流れ要素においてスケール形成を防ぐという点で有利である可能性がある。この場合、均一な丸めを可能にするために、供給スペーサ、膜シート、及び透過キャリアの全体的な厚さが組立体を通して一定の厚さであるように、透過キャリアの高さは同程度、減少しなければならない。両方のこれらのスペーサの可変高さは、例として、さまざまな高さの従来利用されてきたメッシュスペーサを層にすることによって、又は、要素の組立前に、高さがスパイラル状に変化する膜シート上の機能を膜シートの片側又は両側に直接置くことによって、実現することができる。
図8は、そのような実施形態を示し、置かれた可変高さ供給スペーサ2は、膜シート1と膜シート9との間で供給流れから拒絶流れまで高さが減少し、段階的な高さで置かれた透過キャリア4は、供給流れから拒絶流れへの方向に高さが増加し、グルーライン7によって仕切られている軸方向流れ要素の断面を有する。
【0017】
[29] 一部の透過膜システムは、スパイラル巻き構成の代わりに平坦なシートを使用し、入口から出口へ高さが減少する傾斜高さ供給スペーサを、反対に傾斜した透過スペーサとともに使用することにより、そのようなシステムでも体積流量を最適化できることが分かる。
図2~
図8に示されるような巻かれていない状態のままの、説明された例示的実施形態は、平坦なシートシステムでの使用を示す。
【0018】
[30] 本発明は、本明細書で説明されて意図された特定の例示的実施形態以外のさまざまな形態で表すことができることを当業者は認識するであろう。よって、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲及び精神を逸脱しない範囲で、形状及び細部の逸脱を行うことができる。