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特許7086106エネルギアキュムレータを備えたレール車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】エネルギアキュムレータを備えたレール車両
(51)【国際特許分類】
   B61C 17/06 20060101AFI20220610BHJP
   E01B 35/00 20060101ALI20220610BHJP
   B61C 3/02 20060101ALI20220610BHJP
   B60L 50/64 20190101ALI20220610BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20220610BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20220610BHJP
【FI】
B61C17/06
E01B35/00
B61C3/02
B60L50/64
B60L3/00 H
B60L58/26
B60L3/00 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019563605
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018060130
(87)【国際公開番号】W WO2018210526
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】A209/2017
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ヴァイタースベアガー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130047(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0005371(US,A1)
【文献】特開平09-259940(JP,A)
【文献】特開2015-223053(JP,A)
【文献】特開平10-208781(JP,A)
【文献】特表2008-527619(JP,A)
【文献】特表2017-502635(JP,A)
【文献】特開2010-050000(JP,A)
【文献】特開2011-183887(JP,A)
【文献】特表2016-500469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61C 17/06
E01B 35/00
B61C 3/02
B60L 50/64
B60L 3/00
B60L 58/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール走行装置(2)に支持された台車枠(3)と、少なくとも1つの運転キャビン(7)を備えた台車本体(4)とを有しており、走行駆動装置が、電気的なエネルギアキュムレータ(12)を用いて給電される電動機(13)を備えている、レール車両(1)において、
前記エネルギアキュムレータ(12)は、液状の誘電体(23)を用いた温度調整装置を有しており、前記台車本体(4)は、前記運転キャビン(7)から隔てられたコンパートメント(8)を有しており、該コンパートメント(8)内において前記電気的なエネルギアキュムレータ(12)は、少なくとも1つの防火キャビネット(14)の内部に配置されており、該防火キャビネット(14)の上に誘電体タンク(15)が位置しており、
障害に起因する漏れ時における不作動状態で流出する誘電体(23)を、前記誘電体タンク(15)からの誘電体(23)を用いて、開放された消火管路(38)を介して補償するように構成されていることを特徴とする、レール車両(1)。
【請求項2】
前記コンパートメント(8)は、ウォークイン可能であり、特に防火壁(9)および/または通路(6)を用いて、前記運転キャビン(7)から隔てられている、請求項1記載のレール車両(1)。
【請求項3】
前記電気的なエネルギアキュムレータ(12)は、蓄電池ブロック(19)を含んでおり、該蓄電池ブロック(19)はそれぞれ、1つのマスタモジュール(21)と少なくとも1つのスレーブモジュール(22)とから形成されており、それぞれの前記モジュール(21,22)は、誘電体(23)によって周囲をフラッシングされる複数の蓄電池セル(24)を含んでいる、請求項1または2記載のレール車両(1)。
【請求項4】
前記電気的なエネルギアキュムレータ(12)は、複数の蓄電池ブロック(19)を含んでおり、該蓄電池ブロック(19)は、前記防火キャビネット(14)内に、防火プレート(20)によって隔てられて配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のレール車両(1)。
【請求項5】
前記誘電体タンク(15)は、制御可能な弁(39)によって遮断可能な消火管路(38)を介して、前記防火キャビネット(14)に接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のレール車両(1)。
【請求項6】
前記誘電体タンク(15)は、前記電気的なエネルギアキュムレータ(12)を温度調整するために、補償管路(40)を介して誘電体回路(25)に接続されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のレール車両(1)。
【請求項7】
前記誘電体回路(25)は、少なくとも1つのポンプ(36)、1つのヒートポンプ(18)、および1つの温度センサ(31)を有している、請求項6記載のレール車両(1)。
【請求項8】
当該レール車両(1)は、通知ユニット(47)を備えており、該通知ユニット(47)は、前記防火キャビネット(14)内に配置された煙センサ(45)および/または温度センサ(46)に接続されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のレール車両(1)。
【請求項9】
前記コンパートメント(8)内においてパワーコンバータ(16)が、固有のパワーコンバータキャビネット(48)内に配置されており、該パワーコンバータキャビネット(48)内に、少なくとも1つのエアゾールカートリッジ(49)が配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のレール車両(1)。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載のレール車両(1)の電気的なエネルギアキュムレータ(12)の内部における火災回避または消火のための方法であって、
前記レール車両(1)の不作動移行時に、前記消火管路(38)を、無電流になった電磁弁(39)を用いて開放することを特徴とする、方法。
【請求項11】
作動状態において、前記電気的なエネルギアキュムレータ(12)の内部で検知された温度限界時に、誘電体回路(25)の冷却出力を高め、前記誘電体(23)の体積変化を、前記誘電体回路(25)と前記誘電体タンク(15)との間の補償管路(40)を介して補償する、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール走行装置に支持された台車枠と、少なくとも1つの運転キャビンを備えた台車本体とを有しており、走行駆動装置が、電気的なエネルギアキュムレータを用いて給電される電動機を備えている、レール車両に関する。さらに本発明は、レール車両の電気的なエネルギアキュムレータの内部における火災回避または消火のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野においてのみならず、ますます厳しくなる環境義務によって、革新的な駆動コンセプトへの移行がなされつつある。レール車両構造においても、蓄電池駆動車およびディーゼルハイブリッド駆動車が数年前から公知である。ますます出力が高められ、軽量化され、かつ製造が好適になる蓄電池によって、このような蓄電池は、将来のために魅力的な選択肢の1つである。特に、架線の設置が特に困難でありかつ高コストであることが判明しており、かつそこでは内燃機関によって発生する排出物が作業員に対して大きな健康上の負荷となる、トンネル区間については、蓄電池作動式のレール車両が特に好適であることが判明している。
【0003】
独国特許出願公開第102012216312号明細書に基づいて、例えばバッテリ作動に適したレール車両が公知である。
【0004】
今日の蓄電池は、同じエネルギを出力する鉛蓄電池の質量の1/6しか必要としない。ますますコンパクトになるこの構造形式によって、結果として、小さな空間で極めて高いエネルギ密度が発生する。これは、安全かつ確実な形式で抑制されねばならない火災のおそれが高くなることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の根底を成す課題は、冒頭に述べた形式のレール車両のために、従来技術に対する改良を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1記載のレール車両、および請求項10記載の方法によって解決される。本発明の好適な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は、エネルギアキュムレータが、液状の誘電体を用いた温度調整装置を有しており、台車本体が、運転キャビンから隔てられたコンパートメントを有しており、コンパートメント内において電気的なエネルギアキュムレータが、少なくとも1つの防火キャビネットの内部に配置されており、防火キャビネットの上に誘電体タンクが位置していることを提案している。液状の誘電体を用いた温度調整によって、防火キャビネット内に位置しているエネルギアキュムレータの一定の作動温度が保証される。障害発生時に誘電体タンクは、電気的なエネルギアキュムレータの冷却を維持するように機能する。さらに、車両キャビネットと隔てられたコンパートメントとの空間的な分離が、火災時における確実な離隔を保証する。
【0008】
本発明の好適な発展形態では、コンパートメントは、ウォークイン可能であり、特に防火壁および/または通路を用いて、運転キャビンから隔てられていることが提案されている。コンパートメントがウォークイン可能であることによって、保守および点検作業を特に簡単に行うことができる。追加的な防火壁は、火災時において、追加的な時間稼ぎおよび安全ファクタを提供する。
【0009】
さらに好ましくは、電気的なエネルギアキュムレータは、蓄電池ブロックを備えており、蓄電池ブロックはそれぞれ、1つのマスタモジュールと少なくとも1つのスレーブモジュールとから形成されており、それぞれのモジュールは、誘電体によって周囲をフラッシングされる複数の蓄電池セルを含んでいる。モジュール式の構造形式によってエネルギアキュムレータは、目的に合わせて、作動に対する要求およびそれぞれの使用領域に適合されている。さらに、蓄電池セルは、誘電体によって均等に周囲をフラッシングされ、作動時に発生する熱が効果的に排出される。
【0010】
好ましくは、電気的なエネルギアキュムレータは、複数の蓄電池ブロックを含んでおり、蓄電池ブロックは、防火キャビネット内に、防火プレートによって隔てられて配置されている。このように構成されていると、蓄電池ブロックは、可能な限りスペースを節減して、かつ防火キャビネット内に互いに上下に効果的に収容される。防火プレートによる追加的な分離形態は、火災時のさらなる安全装置である。
【0011】
本発明に係る装置のさらなる改善策は、誘電体タンクが、制御可能な弁によって遮断可能な消火管路を介して、防火キャビネットに接続されていることを提案している。火災時に防火キャビネットは、開放された制御可能な弁を介して、誘電体タンクからの追加的な誘電体によって満たされる。
【0012】
本発明のさらなる改善策では、誘電体タンクは、電気的なエネルギアキュムレータを温度調整するために、補償管路を介して誘電体回路に接続されている。このように構成されていると、誘電体タンクは、誘電体回路のための補償容器として使用される。誘電体の加熱時における体積増大は、補償管路および誘電体タンクを介して補償される。
【0013】
好ましくは、誘電体回路は、少なくとも1つのポンプ、1つのヒートポンプ、および1つの温度センサを有している。ポンプは、誘電体回路内の誘電体を強制的に循環させ、これによって排熱を最適化する。ヒートポンプは、運転キャビンの空調のために使用される。電気的なエネルギアキュムレータ内で発生する熱が吸収され、かつヒートポンプによって比較的高い温度レベルに上昇させられる。熱交換器を介して、運転キャビンを必要に応じて加熱または冷却するために、二次媒体との熱交換が行われる。その結果、比較的僅かな加熱出力または冷却出力をもたらすだけでよく、これは、等しいままのバッテリ容量において、車両のパワーを著しく上昇させる。温度センサは、誘電体の温度を監視し、かつ値を制御装置へとさらに送る。
【0014】
さらに好ましくは、レール車両は通知ユニットを有しており、通知ユニットは、防火キャビネット内に配置された煙センサおよび/または温度センサに接続されている。防火キャビネット内に配置された煙センサおよび/または温度センサを介して、火災が直ちに検知され、非常時通知が通知ユニットから非常時センタに出力される。
【0015】
本発明の別の改善策は、コンパートメント内においてパワーコンバータが固有のパワーコンバータキャビネット内に配置されており、パワーコンバータキャビネット内に、少なくとも1つのエアゾールカートリッジが配置されていることを提案している。パワーコンバータキャビネットと防火キャビネットとの空間的な分離によって、パワーコンバータキャビネットと防火キャビネットとはそれぞれ、火災時に互いに離隔されている。しかしながら、万が一パワーコンバータキャビネットにおいて火災が発生した場合には、火災は直ちにエアゾールカートリッジによって消火される。
【0016】
本発明に係る、電気的なエネルギアキュムレータの内部における火災回避または消火のための方法は、障害に起因する漏れ時の不作動状態で流出する誘電体を、誘電体タンクからの誘電体を用いて、開放された消火管路を介して補償することを提案している。開放された制御可能な弁によって、漏れ発生時または蓄電池セルの燃焼時には、誘電体が妨げられることなく防火キャビネットを通って流れる。
【0017】
好ましくは、レール車両の不作動移行時に、消火管路を、無電流になった電磁弁を用いて開放する。このようにすると、レール車両の停止時に、給電が停止している場合でも、電磁石が常に開放されたままになり、これによって誘電体は、火災時に妨げられずに防火キャビネット内に流入することができる。
【0018】
さらに好ましくは、作動状態で、電気的なエネルギアキュムレータの内部で検知された温度限界時に、誘電体回路の冷却出力を高め、かつ誘電体の体積変化を、誘電体回路と誘電体タンクとの間の補償管路を介して補償する。このとき、温度センサを用いて誘電体の温度が、または防火キャビネット内の測定箇所における温度が、継続的に検出される。温度限界に達した場合に、誘電体循環の上昇によって冷却出力が高められる。
【0019】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】レール車両を示す側面図である。
図2】キャビンを示す平面図である。
図3】防火キャビネットを示す図である。
図4】蓄電池ブロックを詳細に示す図である。
図5】蓄電池のサーモマネージメントを概略的に示す図である。
図6】蓄電池の防火形態を概略的に示す図である。
図7】パワーコンバータキャビネットを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、レール走行装置2に支持された台車枠3と台車本体4とを備えた、簡単に図示されたレール車両1が示されており、台車本体4は、機械長手方向5において、端部側の運転キャビン7とコンパートメント8との間に通路6を有している。通路6に加えて、コンパートメント8は、運転キャビン7に対して防火壁9を用いて隔てられている。反対側の端面には、第2の運転キャビン10が位置している。コンパートメント8と第2の運転キャビン10との間には、作業ステージ11が配置されている。走行駆動装置は、電気的なエネルギアキュムレータ12を用いて給電される電動機13を備えている。
【0022】
図2には、コンパートメント8が平面図で示されている。この図では、運転キャビン7とは反対の側に、2つのダブルの防火キャビネット14が互いに並んで配置されている。それぞれのダブルキャビネット14の上には、それぞれ1つの誘電体タンク15が位置している。これに対して、パワーコンバータ16が、パワーコンバータキャビネット17内に配置されている。防火キャビネット14とパワーコンバータキャビネット17との間には、ウォークイン領域が設けられている。この領域には、電気的なエネルギアキュムレータ12から放出された熱を利用するために、ヒートポンプ18が配置されている。
【0023】
図3には、配置形態を明瞭にするために、両方のダブルの防火キャビネット14およびその上に位置している誘電体タンク15の正面図と共に、コンパートメント8が切断されて概略的に示されている。台車枠3を覆う底部に対して、防火キャビネット14は複数のスタンドを用いて間隔をおいて配置されている。このようにして、フォークステープラを用いた防火キャビネット14の簡単な取付けおよび取外しが可能である。
【0024】
図4には、防火キャビネット14の内部における電気的なエネルギアキュムレータ12の構造が概略的に示されている。互いに上下に3つの蓄電池ブロック19が配置されており、これらの蓄電池ブロック19はそれぞれ、防火プレート20によって互いに離隔されている。防火キャビネット14の壁もまた、防火プレートによって被覆されている。蓄電池ブロック19はそれぞれ、1つのマスタモジュール21と3つの個々のスレーブモジュール22とから成っている。それぞれのモジュール21,22は、誘電体23によって周囲をフラッシングされる複数の蓄電池セル24から成っている。
【0025】
蓄電池セル24は誘電体23を用いて温度調整され、これによって最適な温度範囲内で作動する。蓄電池セル24の過熱または発火時に、誘電体23はさらに、隣接した蓄電池セル24への延焼を阻止する消火剤として機能する。誘電体23の温度調整のために、誘電体回路25が設けられている。
【0026】
図5には、誘電体回路25と、運転キャビン7およびその他のアセンブリを温度調整するために設けられた第2の冷却回路26とを備えた、エネルギアキュムレータ12のサーモマネージメントが、概略的にブロック図で示されている。第2の冷却回路26は、グリコール混合体によって作動し、かつアウタクーラ27と、ヒートポンプ18において準備された熱が十分でない場合のための追加ヒータ28とを含んでいる。
【0027】
第2の冷却回路26に接続されたアセンブリは、例えば電動機13および発電機29であり、この発電機29は、内燃機関に接続されており、電気的なエネルギアキュムレータ12をチャージする働きをする。熱交換器30を介して、誘電体回路25と第2の冷却回路26との間で熱交換が行われる。
【0028】
誘電体回路25は、信号導線32を介してヒートポンプ18に接続されている温度センサ31を含んでいる。ヒートポンプ18は、別の信号導線32を介して制御装置34に接続されているパワーコンバータ33を介して給電される。
【0029】
ヒートポンプ18から熱交換器30を介して、供給導管35がポンプ36に通じており、これらのポンプ36は、防火キャビネット14の内部におけるそれぞれのエネルギアキュムレータ12に誘電体23を圧送する。閉ループ制御されるポンプ出力によって、防火キャビネット14の内部におけるそれぞれのエネルギアキュムレータ12は、別個に温度調整される。戻し管路37は、誘電体23をヒートポンプに戻す。
【0030】
図6には、誘電体回路25が、第2の冷却回路26なしに示されている。それぞれ防火キャビネット14内に収容された4つのエネルギアキュムレータ12は、1つの共通の誘電体タンク15を備えて配置されている。誘電体タンク15は、消火管路38を用いて、防火キャビネット14の上に延ばされた戻し管路37に接続されている。通常作動時には、消火管路38は、通電下にある電磁弁39を用いて遮断されている。
【0031】
レール車両1の停止時または停電時には、電磁弁39は開放されている。欠陥がある蓄電池セル24に基づいて系内で漏れが発生するや否や、重力によって自動的に誘電体23が、消火管路38および戻し管路37を介して、該当するエネルギアキュムレータ12内に流入する。これによって、欠陥がある蓄電池セル24は、レール車両1の無電流時においても誘電体23によって周囲をフラッシングされ、その結果、隣接する蓄電池セル24が損傷を被る前に、過熱またはセル火災を食い止めることができる。
【0032】
誘電体回路25と誘電体タンク15との間の誘電体23の体積補償は、補償管路40を介して行われる。この補償管路40は、誘電体タンク15を保守目的のために閉鎖するために、遮断弁41を備えている。さらに、誘電体タンク15は、空気抜き弁42を備えた蓋を有している。保守目的のために、それぞれの防火キャビネット14の下側にも、流出弁44を備えた流出管路43が配置されている。
【0033】
追加的な安全処置として、エネルギアキュムレータ12のそれぞれの蓄電池ブロック19には、2つの温度センサ46が対応配置されている。さらに、それぞれのエネルギアキュムレータ12の上側領域には、煙センサ45が配置されている。これらのセンサ45,46は、信号導線32を介して通知ユニット45に接続されている。予め設定された温度限界を超えるか、または煙を検知するや否や、非常時センタへの通知が行われる。好ましくは、通知ユニット47は、車両1の停止時にも使用できるようにするために、適当なバッテリを備えている。
【0034】
さらに、それぞれの温度センサ46は、信号導線32を介して制御装置34に接続されている。エネルギアキュムレータ12の加熱の高まりが検知されると、制御装置34を用いて、対応するポンプ36の圧送出力が高められる。これによって、追加的な熱に対して、冷却出力が高められ、これによって臨界的な作動温度の超過が阻止される。
【0035】
図7には、内部に位置しているパワーコンバータ33を備えたパワーコンバータキャビネット48が、概略的に示されており、このパワーコンバータキャビネット48内には、火災時における消火のために2つのエアゾールカートリッジ49が配置されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7