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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】糖転移酵素、突然変異体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/18 20060101AFI20220610BHJP
   C12N 15/54 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 15/29 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220610BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220610BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20220610BHJP
   A01H 1/00 20060101ALI20220610BHJP
   A01H 6/06 20180101ALI20220610BHJP
【FI】
C12P19/18
C12N15/54 ZNA
C12N15/29
C12N15/63 Z
C12N9/10
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A01H5/00 A
A01H1/00 A
A01H6/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019563883
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2018086738
(87)【国際公開番号】W WO2018210208
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-02-07
(31)【優先権主張番号】201710344730.7
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520313024
【氏名又は名称】シーエーエス センター フォー エクセレンス イン モレキュラー プラント サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】CAS Center for Excellence in Molecular Plant Sciences
【住所又は居所原語表記】300 Fenglin Road,Xuhui District,Shanghai 200032,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ,ジファ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ピンピン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,シャオドン
【審査官】進士 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504023(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105985938(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P
C12N
A01H
UniProt/GeneSeq
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたポリペプチドであって、
(1)アミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がGln以外であり、および配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がAla以外であるか、あるいは
(2)アミノ酸配列における配列番号41で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がAsn(N)以外であり、および/または配列番号41で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がLys(K)以外であり、
ここで、
前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisであり;
前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValであり;
前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号41で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)であり;
前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号41で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である、
前記ポリペプチド。
【請求項2】
単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;および
(c)(a)記載のポリペプチド配列が含まれるポリペプチ
からなる群から選ばれる、前記ポリペプチド
【請求項3】
単離されたポリヌクレオチドであって、以下:
(A)請求項1または2に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(B)配列番号21で示されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(C)配列番号22、配列番号36、配列番号38、配列番号40または配列番号42で示されるヌクレオチド配列および
(F)(A)~(C)のいずれかに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列
からなる群ら選ばれる、前記ポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項3に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項5】
請求項1または2に記載の単離されたポリペプチドの使用であって、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のために用いられる、前記使用:
(i)糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる反応。
【請求項6】
前記単離されたポリペプチドが、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のために用いられる、請求項5に記載の使用。
【化1】

式中、R1はHまたはOHであり、R2はHまたはOHであり、R3はHまたはグリコシル基であり、R4はグリコシル基である。
【請求項7】
in vitroでグリコシル化する方法であって、
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させることによって、グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成することを含み、
ここで、前記糖転移酵素が、請求項1または2に記載のポリペプチドである、前記方法。
【請求項8】
前記糖転移酵素の活性が、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる活性である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載のポリペプチドの存在下で、グリコシル触媒反応を行う工程を含む、グリコシル触媒反応を行う方法。
【請求項10】
前記グリコシル触媒反応の基質が式(I)化合物であり、前記反応の産物が式(II)化合物である、請求項9に記載の方法。
【化2】

式中、R1はHまたはOHであり、R2はHまたはOHであり、R3はHまたはグリコシル基であり、R4はグリコシル基である。
【請求項11】
請求項4に記載のベクターを含むか、あるいはゲノムに請求項3に記載のポリヌクレオチドが組み込まれている、遺伝子操作された宿主細胞。
【請求項12】
酵素触媒試薬の製造、あるいは糖転移酵素の生産、あるいは触媒細胞またはグリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物の生成に用いられる、請求項11に記載の宿主細胞の使用。
【請求項13】
請求項11に記載の遺伝子操作された宿主細胞を植物に再生させる工程を含み、前記の遺伝子操作された宿主細胞が植物細胞である、遺伝子組換え植物を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物技術および植物生物学の分野に関し、具体的に、ジンセノサイドRh2を合成するための糖転移酵素、糖転移酵素の突然変異体およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジンセノサイドは、ウコギ科トチバニンジン属の植物(たとえばオタネニンジン、サンシチニンジン、アメリカニンジンなど)における主要活性物質で、近年、ウリ科植物のサンシチニンジンにもジンセノサイドが少し発見された。現在、国内外の科学者は既にオタネニンジン、サンシチニンジンなどの植物から100種類以上のサポニンが単離され、ジンセノサイドはトリテルペン系サポニンに属する。中では、一部のギンセノサイドは、抗腫瘍、免疫調節、抗疲労、心臓保護、肝臓保護などの機能を含む幅広い生理機能と薬用価値を有することが実証された。そのうち、いくつかのサポニンが既に臨床に使用され、たとえばジンセノサイドRg3単量体を主要成分とする薬物である参一カプセルは主要患者の気虚症状を改善し、生体の免疫機能を向上させることができる。ジンセノサイドRh2単量体を主要成分とする今幸カプセルは生体の免疫力を向上させ、抗病力を増強するための健康薬品である。
【0003】
構造からみると、ギンセノサイドは、サポゲニンがグリコシル化によって形成する生物活性小分子である。ギンセノサイドのサポゲニンは種類が限られ、主にダンマラン型のプロトパナキサジオールとプロトパナキサトリオール、およびオレアナン型のレジノイドである。サポゲニンの違い以外、ギンセノサイドの間の構造上の違いは主にサポゲニンの異なるグリコシル化修飾に表れる。ギンセノサイドの糖鎖は、通常、サポゲニンのC3、C6、またはC20の水酸基に結合しており、グリコシル基は、グルコース、ラムノース、キシロースやアラビノースでもよい。
【0004】
異なるグリコシル基の結合部位、糖鎖の組成および長さによって、ギンセノサイドは生理機能や薬用価値で大きく異なる。たとえば、ギンセノサイドRb1、RdおよびRcは、いずれもプロトパナキサジオールをサポゲニンとするサポニンで、これらの差はグリコシル基による修飾の差だけであるが、生理機能では大きく異なる。Rb1は、中枢神経系を安定化する機能を有するが、Rcの機能は中枢神経系を抑制することである。Rb1の生理機能は幅広いが、Rdは限られたいくつかの機能しかない。
希少ギンセノサイドとは、オタネニンジンにおける含有量が非常に低いサポニンである。ギンセノサイドRh2(3-O-β-(D-グルコピラノシル)-20(S)-プロトパナキサジオール、3-O-β-(D-glucopyranosyl)-20(S)-protopanaxadiol)は、プロトパナキサジオール系サポニンに属し、サポゲニンのC-3位の水酸基にグルコシル基が1つ結合している。ギンセノサイドRh2は、含有量がオタネニンジンの乾燥重量の一万分の一程度しかないが、優れた抗腫瘍活性を有し、オタネニンジンにおける最も主要な抗腫瘍活性成分の一つで、腫瘍細胞の生長を抑制し、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導し、腫瘍転移を抑制することができる。研究によると、ギンセノサイドRh2は、肺癌細胞3LL(マウス)、Morris肝癌細胞(ラット)、B-16黒色腫細胞(マウス)、およびHeLa細胞(ヒト)の増殖を抑制することができる。臨床では、ギンセノサイドRh2を放射線治療または化学治療と併せて治療すると、放射線治療および化学治療の効果を向上させることができる。また、ギンセノサイドRh2は、さらに、抗アレルギー、生体の免疫力を向上させる機能、NOやPGEによる炎症を抑制するなどの作用を有する。
【0005】
糖転移酵素の機能は、糖ドナー(ヌクレオシド二リン酸糖、たとえばUDP-グリコース)におけるグリコシル基を別の糖アクセプターに転移させることである。アミノ酸配列の違いによって、現在、糖転移酵素は94のファミリーがある。配列決定された植物ゲノムにおいて、100種類以上の異なる糖転移酵素が発見された。これらの糖転移酵素の糖アクセプターは、糖、脂肪、タンパク質、核酸、抗生物質やほかの小分子を含む。オタネニンジンにおけるサポニンのグリコシル化に参与する糖転移酵素の作用は、糖ドナーにおけるグリコシル基をサポゲニンまたはアグリコンのC3、C6またはC20の水酸基に転移させることによって、異なる薬用価値を有するサポニンを形成させることである。
現在、本分野では、希少ギンセノサイドRh2、ギンセノサイドF2を生産する有効な方法がまだないため、多くの特異的で効率的な糖転移酵素の開発が切望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、希少ギンセノサイドRh2、ギンセノサイドF2を合成するための糖転移酵素およびその使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の側面では、単離されたポリペプチドであって、
(1)アミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がGln以外で、かつ/または配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がAla以外であるポリペプチド、
(2)アミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がAsn(N)以外で、かつ/または配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がLys(K)以外である、
ポリペプチドを提供する。
【0008】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、
i).配列番号19で示されるアミノ酸配列を有し、かつ222番目のアミノ酸残基がGln以外で、かつ/または322番目のアミノ酸残基がAla以外であるポリペプチド、あるいは
ii).i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
【0009】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、
i).配列番号19で示されるアミノ酸配列を有し、かつ247番目のアミノ酸残基がAsn(N)以外で、かつ/または280番目のアミノ酸残基がLys(K)以外であるポリペプチド、あるいは
ii).i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
【0010】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
【0011】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHis、Asn、Gln、 LysおよびArgから選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisである。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がVal、Ile、Leu、 MetおよびPheから選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValである。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisで、配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValである。
【0012】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)、Pro(P)、Ala(A)またはThr(T)から選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)である。

もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)、Asn(N)、Ser(S)またはAla(A)から選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である。
【0013】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)で、配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である。

もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、
iii).配列番号19で示されるアミノ酸配列を有し、かつ222番目のアミノ酸残基がGln以外で、かつ/または322番目のアミノ酸残基がAla以外であるポリペプチド、あるいは
iv).iii)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にiii)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、iii)から誘導されたポリペプチドである。
【0014】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、
iii).配列番号19で示されるアミノ酸配列を有し、かつ247番目のアミノ酸残基がAsn(N)以外で、かつ/または280番目のアミノ酸残基がLys(K)以外であるポリペプチド、あるいは
iv).iii)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にiii)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、iii)から誘導されたポリペプチドである。
【0015】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、iii)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にiii)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、iii)から誘導されたポリペプチドである。
【0016】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHis、Asn、Gln、LysおよびArgから選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisである。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がVal、Ile、Leu、 MetおよびPheから選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValである。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisで、配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValである。
【0017】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)、Pro(P)、Ala(A)またはThr(T)から選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)、Asn(N)、Ser(S)またはAla(A)から選ばれる少なくとも一種である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドのアミノ酸配列における配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)で、配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である。
【0018】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは糖転移酵素である。
もう一つの好適な例において、前記糖転移酵素はトチバニンジン属の植物由来のものである。
もう一つの好適な例において、前記糖転移酵素はオタネニンジン、アメリカニンジンおよび/またはサンシチニンジン由来のものである。
もう一つの好適な例において、前記のポリペプチドは以下の群から選ばれる:
(a)配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列のポリペプチドが1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなるもの、あるいはシグナルペプチド配列を付加してなるもので、かつ糖転移酵素活性を有す誘導体ポリペプチド;
(c)配列に(a)または(b)に記載のポリペプチド配列が含まれる誘導体ポリペプチド;
(d)アミノ酸配列の配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列との相同性が≧85%(好ましくは≧90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)で、かつ糖転移酵素活性を有す誘導体ポリペプチド。
【0019】
もう一つの好適な例において、前記の配列(c)は、(a)または(b)にタグ配列、シグナル配列または分泌シグナル配列が付加されて形成した融合タンパク質である。
もう一つの好適な例において、前記糖転移酵素の活性とは、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる活性である。
もう一つの好適な例において、前記糖転移酵素はギンセノサイドRh2および/またはギンセノサイドF2の生産量を向上させることができる。
もう一つの好適な例において、人工的に構築された菌株において、前記糖転移酵素はギンセノサイドRh2の生産量を、好ましくは5~150%、より好ましくは10~100%、さらに好ましくは20~80%、最も好ましくは28~70%、向上させることができる。
もう一つの好適な例において、前記人工的に構築された菌株は、出芽酵母菌株、大腸菌菌株、ピキア・パストリス菌株、分裂酵母菌株、クルイウェロマイセス菌株からなる群から選ばれる。
【0020】
本発明の第二の側面では、単離されたポリヌクレオチドであって、以下の群から選ばれる配列のポリヌクレオチドを提供する:
(A) 本発明の第一の側面に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(B) 配列番号4または21で示されるポリペプチドまたは誘導体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(C) 配列番号3、配列番号22、配列番号36、配列番号38、配列番号40または配列番号42で示されるヌクレオチド配列;
(D) 配列番号3、配列番号22、配列番号36、配列番号38、配列番号40または配列番号42で示される配列との相同性が≧90%(好ましくは≧91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)のヌクレオチド配列;
(E) 配列番号3、配列番号22、配列番号36、配列番号38、配列番号40または42で示されるヌクレオチド配列の5’末端および/または3’末端において1~60個(好ましくは1~30、より好ましくは1~10個)のヌクレオチドが削除または付加されてなるヌクレオチド配列;
(F) (A)~(E)のいずれかに記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列。
【0021】
本発明の第三の側面では、本発明の第二の側面に記載のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
もう一つの好適な例において、前記ベクターは、発現ベクター、シャトルベクター、組込みベクターを含む。
【0022】
本発明の第四の側面では、本発明の第一の側面に記載の単離されたポリペプチドの使用であって、以下の反応を触媒するため、あるいは以下の反応を触媒する触媒製剤の製造のための使用を提供する:
(i)糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる反応。
【0023】
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーは、UDP-グルコース、ADP-グルコース、TDP-グルコース、CDP-グルコース、GDP-グルコース、UDP-アセチルグルコース、ADP-アセチルグルコース、TDP-アセチルグルコース、CDP-アセチルグルコース、GDP-アセチルグルコース、UDP-キシロース、ADP-キシロース、TDP-キシロース、CDP-キシロース、GDP-キシロース、UDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、ADP-ガラクツロン酸、TDP-ガラクツロン酸、CDP-ガラクツロン酸、GDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、ADP-ガラクトース、TDP-ガラクトース、CDP-ガラクトース、GDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、ADP-アラビノース、TDP-アラビノース、CDP-アラビノース、GDP-アラビノース、UDP-ラムノース、ADP-ラムノース、TDP-ラムノース、CDP-ラムノース、GDP-ラムノース、あるいはほかのヌクレオシド二リン酸六炭糖またはヌクレオシド二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれるヌクレオシド二リン酸糖を含む。
【0024】
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーは、UDP-グルコース、UDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、UDP-ラムノース、あるいはほかのウリジン二リン酸六炭糖またはウリジン二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれるウリジン二リン酸(UDP)糖を含む。
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、下記の反応を触媒するため、あるいは下記の反応を触媒する触媒製剤の製造のために用いられる。
【化1】
(ただし、R1はHまたはOHで、R2はHまたはOHで、R3はHまたはグリコシル基で、R4はグリコシル基である。)
【0025】
もう一つの好適な例において、前記単離されたポリペプチドは、下記の反応を触媒するため、あるいは下記の反応を触媒する触媒製剤の製造のために用いられる。
【化2】
前記のポリペプチドは、配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドから選ばれる。
【0026】
もう一つの好適な例において、前記のグリコシル基は、グルコシル基、ガラクツロン酸基、キシロシル基、ガラクトシル基、アラビノシル基、ラムノシル基、およびほかの六炭糖または五炭糖から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記反応(A)および/または(B)の反応産物は、S配置またはR配置のダンマラン型テトラシクロトリテルペン系化合物、ラノスタン型テトラシクロトリテルペン系化合物、アポチルカラン(apotirucallane)型テトラシクロトリテルペン系化合物、チルカラン型テトラシクロトリテルペン系化合物、シクロアルタン型テトラシクロトリテルペン系化合物、ククルビタン型テトラシクロトリテルペン系化合物、またはメリアカン型テトラシクロトリテルペン系化合物を含むが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の第五の側面では、in vitroでグリコシル化する方法であって、
糖転移酵素の存在下で、糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させることによって、グリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を形成する工程を含み、
ここで、前記の糖転移酵素は、本発明の第一の側面に記載のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドである、
方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の誘導体ポリペプチドは、
配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列のポリペプチドが1個または複数個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなるもの、もしくはシグナルペプチド配列を付加してなるもので、かつ糖転移酵素活性を有す誘導体ポリペプチド、あるいは
アミノ酸配列の配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列との相同性が≧85%(好ましくは≧90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)で、かつ糖転移酵素活性を有す誘導体ポリペプチドから選ばれ、
ここで、前記糖転移酵素の活性とは、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる活性である。
【0028】
本発明の第六の側面では、グリコシル触媒反応を行う方法であって、本発明の第一の側面に記載のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの存在下で、グリコシル触媒反応を行う方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、
糖ドナーおよび本発明の第一の側面に記載のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの存在下で、式(I)化合物を前記式(II)化合物に転化させる工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記式(I)化合物はプロトパナキサジオールPPDで、かつ式(II)化合物はギンセノシドRh2であるか、あるいは
前記式(I)化合物はCompound Kで、かつ式(II)化合物はギンセノシドF2である。
もう一つの好適な例において、前記の方法は、さらに、前記のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドをそれぞれ触媒反応に入れること、および/または
前記のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドを同時に触媒反応に入れることを含む。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記の方法は、さらに、糖転移酵素をコードするヌクレオチド配列をダンマレンジオールおよび/またはプロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子および/またはほかの糖転移酵素遺伝子と宿主細胞において共発現させ、前記の式(II)化合物を得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記式(II)化合物はギンセノサイドRh2またはギンセノサイドF2である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は酵母菌または大腸菌である。
もう一つの好適な例において、前記方法は、さらに、反応系に酵素活性を調節する添加物を提供することを含む。
もう一つの好適な例において、前記の酵素活性を調節する添加物は、酵素活性を向上するか、あるいは酵素活性を抑制する添加物である。
【0030】
もう一つの好適な例において、前記の酵素活性を調節する添加物は、Ca2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+、またはFe2+からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の酵素活性を調節する添加物は、Ca2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+、またはFe2+を生成することができる物質である。
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーはヌクレオシド二リン酸糖で、UDP-グルコース、ADP-グルコース、TDP-グルコース、CDP-グルコース、GDP-グルコース、UDP-アセチルグルコース、ADP-アセチルグルコース、TDP-アセチルグルコース、CDP-アセチルグルコース、GDP-アセチルグルコース、UDP-キシロース、ADP-キシロース、TDP-キシロース、CDP-キシロース、GDP-キシロース、UDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、ADP-ガラクツロン酸、TDP-ガラクツロン酸、CDP-ガラクツロン酸、GDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、ADP-ガラクトース、TDP-ガラクトース、CDP-ガラクトース、GDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、ADP-アラビノース、TDP-アラビノース、CDP-アラビノース、GDP-アラビノース、UDP-ラムノース、ADP-ラムノース、TDP-ラムノース、CDP-ラムノース、GDP-ラムノース、あるいはほかのヌクレオシド二リン酸六炭糖またはヌクレオシド二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0031】
もう一つの好適な例において、前記の糖ドナーはウリジン二リン酸糖で、UDP-グルコース、UDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、UDP-ラムノース、あるいはほかのウリジン二リン酸六炭糖またはウリジン二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、反応系のpHは、pH4.0~10.0で、好ましくはpH5.5~9.0である。
もう一つの好適な例において、反応系の温度は、10℃~105℃で、好ましくは20℃~50℃である。
もう一つの好適な例において、前記のダンマレンジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子を含むが、これに限定されない。
【0032】
もう一つの好適な例において、前記のプロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、プロトパナキサジオール合成のシトクロムP450遺伝子CYP716A47およびその還元酵素遺伝子、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
もう一つの好適な例において、前記グリコシル触媒反応の基質は式(I)化合物で、かつ前記の産物は式(II)化合物である。
もう一つの好適な例において、前記式(I)化合物はプロトパナキサジオールPPDで、かつ式(II)化合物はギンセノシドRh2であるか、あるいは
前記式(I)化合物はCompound Kで、かつ式(II)化合物はギンセノシドF2である。
【0033】
本発明の第七の側面では、遺伝子操作された宿主細胞であって、本発明の第三の側面に記載のベクターを含むか、あるいはゲノムに本発明の第二の側面に記載のポリヌクレオチドが組み込まれた宿主細胞を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の糖転移酵素は、本発明の第一の側面に記載のポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドである。
もう一つの好適な例において、前記糖転移酵素をコードするヌクレオチド配列は、本発明の第二の側面に記載のものである。
もう一つの好適な例において、前記の細胞は、原核細胞または真核細胞である。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は真核細胞で、たとえば酵母細胞または植物細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、出芽酵母細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は原核細胞で、たとえば大腸菌である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、オタネニンジン細胞である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、自然で式(II)化合物を生成する細胞ではない。
【0035】
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、自然でギンセノサイドRh2またはギンセノサイドF2を生成する細胞ではない。
もう一つの好適な例において、前記のダンマレンジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子を含むが、これに限定されない。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞に含まれるプロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子、プロトパナキサジオール合成のシトクロムP450遺伝子CYP716A47およびその還元酵素遺伝子、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0036】
本発明の第八の側面では、本発明の第七の側面に記載の宿主細胞の使用であって、酵素触媒試薬を製造するため、あるいは糖転移酵素を生産するため、あるいは触媒細胞としてのため、あるいはグリコシル化されたテトラシクロトリテルペン系化合物を生成するための使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記テトラシクロトリテルペン系化合物は式(II)化合物である。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、式(I)化合物に対するグリコシル化反応によって、式(II)化合物を生成するために使用される。
もう一つの好適な例において、前記の宿主細胞は、プロトパナキサジオールPPDおよび/またはCompound Kに対するグリコシル化反応によって、ギンセノサイドRh2および/またはギンセノサイドF2を生成するために使用される。
【0037】
本発明の第九の側面では、遺伝子組み換え植物を生成する方法であって、本発明の第七の側面に記載の遺伝子操作された宿主細胞を植物に再生させ、かつ前記の遺伝子操作された宿主細胞が植物細胞である工程を含む方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の遺伝子操作された宿主細胞は、オタネニンジン細胞、アメリカニンジン細胞、サンシチニンジン細胞、タバコ細胞から選ばれる。
【0038】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組み合わせ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、糖転移酵素遺伝子Pn50のアガロースゲル電気泳動パターンである。
図2図2は、糖転移酵素遺伝子Pn50によるギンセノサイドの触媒のTLC分析図である。
図3図3は、Pn50で組み換え出芽酵母菌株を構築して希少ギンセノサイドRh2を生産する場合のHPLC分析図である。
図4図4は、Pn50タンパク質の突然変異体であるPn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2以及UGT-MUT3で組み換え出芽酵母菌株を構築して希少ギンセノサイドRh2を生産する場合の発酵生産量の比較分析である。
【0040】
具体的な実施形態
本発明者は幅広く深く研究したところ、初めてテルペン系化合物ののグルコシル化の触媒および新たなサポニンの合成におけるサンシチニンジン糖転移酵素Pn50(配列番号4)およびオタネニンジン由来の糖転移酵素UGTPg45の突然変異体8E7(配列番号21)、サンシチニンジン糖転移酵素の突然変異体Pn50-Q222H-VE(配列番号41)、UGT-MUT1(配列番号35)、UGT-MUT2(配列番号37)およびUGT-MUT3(配列番号39)の使用を提供することができた。
【0041】
具体的に、本発明の糖転移酵素は、特異的にかつ効率的にテトラシクロトリテルペン化合物の基質、および/または糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させるのを触媒することができる。特に効率的にプロトパナキサジオールPPDを抗腫瘍活性を有する希少ギンセノサイドRh2に、希少ギンセノサイドCompound K(PPDのC20位に一つのグルコシル基による修飾がある)を産物であるギンセノサイドF2に転化させることができる。意外なことに、プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にサンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子Pn50を導入して構成された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-Pn50は希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、そして野生型オタネニンジン由来の糖転移酵素遺伝子UGTPg45を導入された菌株ZWBY04RS-UGTPg45と比べ、菌株ZWBY04RS-Pn50のギンセノサイドRh2の生産量が28%向上し(45.55/35.66-1=28%)、ランダム突然変異によってUGTPg45を改造して得られた突然変異体遺伝子8E7で構造された希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株ZWBY04RS-8E7は、Rh2生産量がUGTPg45で構築された菌株ZWBY04RS-UGTPg45の生産量よりも70%向上した(60.48/35.66-1=70%)。部位特異的突然変異によってPn50を改造して得られた突然変異体遺伝子Pn50-Q222H-VEで構築された希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株ZWBY04RS-QEは、Rh2生産量がUGTPg45で構築された菌株ZWBY04RS-UGTPg45の生産量よりも66%向上した(59.09/35.66-1=66%)。部位特異的突然変異によってPn50-Q222H-VEをさらに改造して得られた突然変異体UGT-MUT1遺伝子で構築された希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株ZWBY04RS-MUT1は、Rh2生産量がUGTPg45で構築された菌株ZWBY04RS-UGTPg45の生産量よりも90%向上した(67.96/35.66-1=90%)。部位特異的突然変異によってPn50-Q222H-VEをさらに改造して得られた突然変異体UGT-MUT2遺伝子で構築された希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株ZWBY04RS-MUT2は、Rh2生産量がUGTPg45で構築された菌株ZWBY04RS-UGTPg45の生産量よりも120%向上した(78.29/35.66-1=120%)。部位特異的突然変異によってPn50-Q222H-VEをさらに改造して得られた突然変異体UGT-MUT3遺伝子で構築された希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株ZWBY04RS-MUT3は、Rh2生産量がUGTPg45で構築された菌株ZWBY04RS-UGTPg45の生産量よりも134%向上した(83.53/35.66-1=134%)。
【0042】
また、本発明は転化および触媒の方法も提供する。また、本発明の糖転移酵素は、ダンマレンジオールおよび/またはプロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子(たとえばダンマレンジオール合成酵素遺伝子PgDDS、プロトパナキサジオール合成のシトクロムP450遺伝子CYP716A47およびその還元酵素遺伝子PgCPR1)と宿主細胞において共発現するか、あるいはギンセノサイドRh2を製造する遺伝子操作された細胞において、希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株の構築に使用することができる。
また、本発明の糖転移酵素は、ダンマレンジオールおよび/またはプロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子と宿主細胞において共発現させ、希少ギンセノサイドRh2を人工的に合成する菌株の構築に使用することができる。これに基づき、本発明を完成させた。
【0043】
定義
本明細書で用いられるように、用語「活性ポリペプチド」、「本発明のポリペプチドおよびその誘導体ポリペプチド」、「本発明の酵素」、「糖転移酵素」または「本発明の糖転移酵素」は、入れ替えて使用することができ、かつ当業者に理解される通常の意味を持つ。本発明の糖転移酵素は、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる活性を有する。
【0044】
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がGln以外で、かつ/または配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がAla以外である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素は、
i).配列番号19で示されるアミノ酸配列を有し、かつ222番目のアミノ酸残基がGln以外で、かつ/または322番目のアミノ酸残基がAla以外であるポリペプチド、あるいは
ii).i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素は、i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
【0045】
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHis、Asn、Gln、 LysおよびArgから選ばれる少なくとも一種である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisである。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がVal、Ile、Leu、MetおよびPheから選ばれる少なくとも一種である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValである。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がHisで、配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がValである。
【0046】
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がAsn(N)以外で、かつ/または配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がLys(K)以外である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素は、
i).配列番号19で示されるアミノ酸配列を有し、かつ247番目のアミノ酸残基がAsn(N)以外で、かつ/または280番目のアミノ酸残基がLys(K)以外であるポリペプチド、あるいは
ii).i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
【0047】
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素は、i)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の付加を経てなる配列を有し、かつ基本的にi)で限定された単離されたポリペプチドの機能を有する、i)から誘導されたポリペプチドである。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)、Pro(P)、Ala(A)またはThr(T)から選ばれる少なくとも一種である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)である。
【0048】
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)、Asn(N)、Ser(S)またはAla(A)から選ばれる少なくとも一種である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である。
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素のアミノ酸配列は、配列番号19で示されるアミノ酸配列の247番目に該当するアミノ酸残基がSer(S)で、配列番号19で示されるアミノ酸配列の280番目に該当するアミノ酸残基がIle(I)である。
【0049】
本発明の一つの好適な例において、本発明の糖転移酵素は、以下の群から選ばれる:
(a)配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
(b)配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列のポリペプチドが1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなるもの、あるいはシグナルペプチド配列を付加してなるもので、かつ糖転移酵素活性を有す誘導体ポリペプチド;
(c)配列に(a)または(b)に記載のポリペプチド配列が含まれる誘導体ポリペプチド、
(d)アミノ酸配列の配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるアミノ酸配列との相同性が≧85%(好ましくは≧90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)で、かつ糖転移酵素活性を有す誘導体ポリペプチド。
【0050】
具体的な実施形態において、本発明の糖転移酵素の活性とは、糖ドナーのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させる活性である。
本発明の一つの好適な例において、サンシチニンジンからクローニングされた新たな糖転移酵素遺伝子Pn50を利用し、複数のダンマラン型ギンセノサイドのC位のグルコシル化を触媒することができる。
サンシチニンジン転写群のデータを分析したところ、その中から連結して一つの全長の糖転移酵素の遺伝子配列を得、Pn50と名付けた。クローンベクターPMDT-18Tにクローニングした後、発現プライマーを設計して大腸菌発現ベクターpET28aに構築し、大腸菌において誘導して発現させた。得られたタンパク質は、プロトパナキサジオールおよびCompound KのC3位の水酸基のグルコシル化を触媒することができる。
前記サンシチニンジン糖転移酵素遺伝子Pn50は、オタネニンジン由来のUGTPg45に代わってRh2生産量を大幅に向上させることができる(28%向上)。
【0051】
本発明のもう一つの好適な例において、糖転移酵素突然変異体タンパク質8E7を提供する。前記糖転移酵素突然変異体タンパク質はオタネニンジン由来の野生型遺伝子UGTPg45の突然変異体タンパク質で、前記突然変異糖転移酵素遺伝子8E7はオタネニンジン由来の野生型遺伝子UGTPg45に代わってRh2生産量を大幅に向上させることができる(70%向上)。
本発明のもう一つの好適な例において、糖転移酵素突然変異体タンパク質Pn50-Q222H-VEを提供する。前記糖転移酵素突然変異体タンパク質はサンシチニンジン由来の野生型遺伝子Pn50の突然変異体タンパク質で、前記突然変異糖転移酵素遺伝子Pn50-Q222H-VEはオタネニンジン由来の野生型遺伝子UGTPg45に代わってRh2生産量を大幅に向上させることができる(66%向上)。
【0052】
本発明のもう一つの好適な例において、糖転移酵素突然変異体タンパク質UGT-MUT1を提供する。前記糖転移酵素突然変異体タンパク質はサンシチニンジン由来の野生型遺伝子Pn50の突然変異体タンパク質で、前記突然変異糖転移酵素遺伝子UGT-MUT1はオタネニンジン由来の野生型遺伝子UGTPg45に代わってRh2生産量を大幅に向上させることができる(90%向上)。
本発明のもう一つの好適な例において、糖転移酵素突然変異体タンパク質UGT-MUT2を提供する。前記糖転移酵素突然変異体タンパク質はサンシチニンジン由来の野生型遺伝子Pn50の突然変異体タンパク質で、前記突然変異糖転移酵素遺伝子UGT-MUT2はオタネニンジン由来の野生型遺伝子UGTPg45に代わってRh2生産量を大幅に向上させることができる(120%向上)。
【0053】
本発明のもう一つの好適な例において、糖転移酵素突然変異体タンパク質UGT-MUT3を提供する。前記糖転移酵素突然変異体タンパク質はサンシチニンジン由来の野生型遺伝子Pn50の突然変異体タンパク質で、前記突然変異糖転移酵素遺伝子UGT-MUT3はオタネニンジン由来の野生型遺伝子UGTPg45に代わってRh2生産量を大幅に向上させることができる(134%向上)。
当業者に周知のように、ポリペプチドの一部の領域、たとえば重要でない領域で少数のアミノ酸残基を変えても生物活性が変わらず、たとえば、適切にあるアミノ酸を置換した配列ではその活性が影響されない(Watsonら,Molecular Biology of The Gene,第四版,1987,The Benjamin/Cummings Pub. Co. P224を参照する)。そのため、当業者は、得られた分子が必要な生物活性を維持することを保証しながら、このような置換を行うことができる。
【0054】
そのため、本発明のポリペプチドは、配列番号19で示されるアミノ酸配列の222番目に該当するアミノ酸残基がGln以外で、かつ/または配列番号19で示されるアミノ酸配列の322番目に該当するアミノ酸残基がAla以外であるものに基づき、さらに突然変異させながら、本発明の糖転移酵素の機能と活性を維持することができる。たとえば、本発明の糖転移酵素は、(a) アミノ酸配列が配列番号21で示されるもので、あるいは(b) (a)で限定された配列が1個または複数個のアミノ酸残基、好ましくは1~20個、より好ましくは1~15個、より好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失または付加を経てなる配列を含み、かつ基本的に(a)で限定されたポリペプチドの機能を有する、(a)から誘導されたポリペプチドである。
【0055】
本発明において、本発明の糖転移酵素は、アミノ酸配列が配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示される糖転移酵素と比較すると、20個以下、好ましくは10個以下、より好ましくは3個以下、さらに好ましくは2個以下、最も好ましくは1個のアミノ酸が類似または近い性質を持つアミノ酸に置換されてなる突然変異体を含む。これらの保存的突然変異体は、たとえば下記表に示されるようにアミノ酸の置換を行って生成することができる。
【0056】
【表1】
さらに、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでもよく、さらに付加のコードおよび/または非コード配列を含むポリヌクレオチドでもよい。
そのため、本発明書で用いられる「含有する」、「有する」または「含む」は、「含める」、「主に…で構成される」、「基本的に…で構成される」および「…で構成される」を含む。「主に…で構成される」、「基本的に…で構成される」および「…で構成される」は、「含有する」、「有する」または「含む」の下位概念に該当する。
【0057】
配列番号19で示されるアミノ酸配列の222/322/247/280番目に該当するアミノ酸残基
当業者に周知のように、あるタンパク質のアミノ酸配列において一部のアミノ酸残基に対して様々な突然変異、たとえば置換、付加または欠失をさせながら、得られる突然変異体が元のタンパク質の機能や活性を維持するようにすることができる。そのため、当業者は、本発明で具体的に公開されたアミノ酸配列に対してある程度の変更を行って必要な活性を維持する突然変異体を得ることができるため、そうすると、このような突然変異体における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222/322/247/280番目のアミノ酸残基に該当するアミノ酸残基が222/322/247/280番目ではなくなる場合があるが、このように得られる突然変異体も本発明の保護範囲に含まれる。
【0058】
本明細書で用いられる用語「該当する」は、当業者に理解される通常の意味を持つ。具体的に、「該当する」とは、2つの配列に対し、相同性または配列同一性のアラインメントを行い、一方の配列のもう一方の配列における所定の位置に該当する位置である。そのため、「配列番号19で示されるアミノ酸配列の222/322/247/280番目のアミノ酸残基に該当するアミノ酸残基」の場合、配列番号19で示されるアミノ酸配列の一方の末端に6-Hisタグを付加すると、得られる突然変異体における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222/322/247/280番目に該当する残基が228/328/253/286番目になり得る。また、配列番号19で示されるアミノ酸配列における少数のアミノ酸残基(たとえば2個)を削除すると、得られる突然変異体における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222/322/247/280番目に該当する残基が220/320/245/278番目などになり得る。さらに、たとえば、400個のアミノ酸残基を有する配列が配列番号19で示されるアミノ酸配列の20~420番目と高い相同性または配列同一性を有すると、得られる変異体における配列番号19で示されるアミノ酸配列の222/322/247/280番目に該当する残基が202/302/227/260番目になり得る。
具体的な実施形態において、前記相同性または配列同一性は、80%以上でもよいが、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%~98%、最も好ましくは99%以上である。
【0059】
当業者に周知の配列の相同性または同一性の測定方法は、分子計算生物学(Computational Molecular Biology),Lesk,A.M.編集,オクスフォード大学出版社,ニューヨーク,1988、バイオコンピューティング:情報科学および ゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects),Smith,D.W.編集,アカデミック・プレス,ニューヨーク,1993、配列データのコンピューター分析(Computer Analysis of Sequence Data),第I部,Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.編集,Humana Press,ニュージャージー,1994、分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology),von Heinje,G.,アカデミック・プレス,1987および配列分析プライマー(Sequence Analysis Primer),Gribskov,M.及びDevereux,J.編集M Stockton Press,ニューヨーク,1991およびCarillo,H.及びLipman,D.,SIAM J. Applied Math.,48:1073(1988)を含むが、これらに限定されない。同一性測定の好適な方法は、測定される配列の間で最大のマッチを得るものである。同一性の測定方法は、公衆に得られるコンピュータープログラムに組み込まれている。2つの配列の間の同一性の測定に好適なコンピュータープログラムは、GCGプログラムパック (Devereux,J.ら,1984)、BLASTP、BLASTNやFASTA(Altschul,S,F.ら,1990)を含むが、これらに限定されない。公衆は、NCBIやほかのリソースからBLASTXプログラム(BLASTマニュアル,Altschul,S.ら,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894、Altschul,S.ら,1990)を得ることができる。よく知られるSmith Waterman法も同一性の測定に使用することができる。
【0060】
特別に説明しない限り、ここに記載のギンセノシドとサポゲニンは、C20位がSおよび/またはR配置であるギンセノシドとサポゲニンである。
本明細書で用いられるように、「単離されたポリペプチド」とは、ポリペプチドに実質的に自然でそれに関連するほかのタンパク質、脂質、糖類またはほかの物質が含まれないことである。当業者は標準のタンパク質精製技術によって前記ポリペプチドを精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元ポリアクリルアミドゲルでは単一のメインバンドが現れる。前記ポリペプチドの純度は、アミノ酸配列でさらに分析することもできる。
本発明の活性ポリペプチドは、組み換えポリペプチド、天然ポリペプチド、合成ポリペプチドでもよい。本発明のポリペプチドは、天然精製の産物、あるいは化学合成の産物、あるいは組換え技術で原核または真核宿主(たとえば、細菌、酵母、植物)から生成するものでもよい。組み換え生産プロセスで用いられる宿主にによって、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されたものでもよく、又はグリコシル化されていないものでもよい。また、本発明のポリペプチドは、開始のメチオニン残基を含有してもよく、含有しなくてもよい。
【0061】
本発明は、さらに、前記ポリペプチドの断片、誘導体および類似体を含む。本明細書で用いられるように、用語の「断片」、「誘導体」および「類似体」とは、実質的に前記ポリペプチドと同じ生物学的機能または活性を維持するポリペプチドである。
本発明のポリペプチドの断片、誘導体や類似体は、(i)1個または複数個の保存的または非保存的なアミノ酸残基(好ましくは保存的なアミノ酸残基)が置換されたポリペプチドでもよく、置換されたアミノ酸残基が遺伝コードでコードされてもされていなくてもよく、または(ii)1個または複数個のアミノ酸残基に置換基があるポリペプチドでもよく、または(iii)成熟のポリペプチドと他の化合物(たとえば、ポリエチレングリコールようなポリペプチドの半減期を延ばす化合物)と融合したポリペプチドでもよく、または(iv)付加のアミノ酸配列がこのポリペプチドに融合したポリペプチド(たとえばリーダー配列または分泌配列またはこのポリペプチドを精製するための配列または蛋白質前駆体配列、あるいは抗原IgG断片と形成した融合蛋白質)でもよい。本明細書の開示に基づき、これらの断片、誘導体および類似体は当業者に公知の範囲に入っている。
本発明の活性ポリペプチドは、糖転移酵素活性を有し、かつ以下の1種類または2種類以上の反応を触媒することができる。
【化3】
【0062】
前記のポリペプチドは、配列が配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41あるいはその誘導体ポリペプチドで、この用語はさらに示されたポリペプチドと同じ機能を有する配列番号:4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41の配列の突然変異の様態を含む。これらの突然変異の様態は、1個または複数個(通常は1~50個、好ましくは1~30個、より好ましくは1~20個、最も好ましくは1~10個)のアミノ酸の欠失、挿入および/または置換、ならびにC末端および/またはN末端への1個または複数個(通常は20個以内、好ましくは10個以内、より好ましくは5個以内)のアミノ酸の付加を含むが、これらに限定されない。たとえば、本分野において、機能が近い、または類似のアミノ酸で置換する場合、通常、蛋白質の機能を変えることがない。また、C末端および/またはN末端への一つまたは複数のアミノ酸の付加も、通常、蛋白質の機能を変えることはない。この用語は、さらに、本発明のタンパク質の活性断片と活性誘導体を含む。また、本発明は前記ポリペプチドの類似体も提供する。これらの類似物と天然のポリペプチドの違いは、アミノ酸配列の違いでもよく、配列に影響を与えない修飾形態の違いでもよく、あるいは両者でもよい。これらのポリペプチドは、天然の変異体または誘導された変異体を含む。誘導変異体は、様々な技術、たとえば放射または突然変異原への露出によるランダム突然変異、また部位特異的変異法またはほかの既知の分子生物学の技術によって得られる。類似体は、さらに、天然L-アミノ酸と異なる残基(たとえばD-アミノ酸)を有する類似体、および非天然または合成のアミノ酸(たとえばβ、γ-アミノ酸)を有する類似体を含む。もちろん、本発明のポリペプチドは、上記で挙げられた代表的なポリペプチドに限定されない。
【0063】
修飾(通常は一次構造が変わらない)形態は、体内または体外のポリペプチドの化学的に誘導された形態、例えばアセチル化またはカルボキシ化を含む。修飾は、さらにグリコシル化、たとえばポリペプチドの合成および加工でまたはさらなる加工の工程でグリコシル化修飾を行ったポリペプチドも含む。このような修飾は、ポリペプチドをグルコシル化する酵素(たとえば哺乳動物のグリコシル化酵素または脱グリコシル化酵素)に露出させることによって完成する。修飾形態は、さらにリン酸化アミノ酸残基(たとえばリン酸チロシン、リン酸セリン、リン酸トレオニン)を有する配列を含む。さらに、修飾によって抗プロテアーゼ加水分解性を向上させたポリペプチドまたは溶解性を改善したポリペプチドを含む。
本発明のPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端にさらに1つまたは2つ以上のポリペプチド断片がタンパク質タグとして含まれてもよい。適切なタグであればどんなものでも本発明に使用できる。たとえば、前記のタグは、FLAG、HA、HA1、c-Myc、Poly-His、Poly-Arg、Strep-TagII、AU1、EE、T7、4A6、ε、B、gE、およびTy1でもよい。これらのタグはタンパク質に対する精製に使用することができる。表1にその一部のタグおよびその配列を示す。
【0064】
表1
【表2】
【0065】
翻訳されたタンパク質が分泌される(例えば細胞外に分泌される)ように、前記Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドのアミノ酸のアミノ末端にシグナルペプチド配列、例えばpelBシグナルペプチドを付加してもよい。シグナルペプチドは、ポリペプチドが細胞内から分泌される過程で切り取られてもよい。
【0066】
本発明のポリヌクレオチドは、DNA形態でもRNA形態でもよい。DNA形態は、cDNA、ゲノムDNAまたは人工合成のDNAを含む。DNAは、一本鎖でも二本鎖でもよい。DNAは、コード鎖でも非コード鎖でもよい。成熟ポリペプチドをコードするコード領域の配列は、配列番号3、配列番号22、配列番号36、配列番号38、配列番号40または配列番号42で示されるコード領域の配列と同様でもよく、あるいは縮重変異体でもよい。本明細書で用いられるように、本発明において「縮重変異体」とは、配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはその誘導体ポリペプチドをコードするが、配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41またはその誘導体ポリペプチドのコード配列、好ましくは配列番号3、配列番号22、配列番号36、配列番号38、配列番号40または配列番号42で示される配列と異なる核酸配列である。配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示されるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドだけをコードするコード配列、成熟ポリペプチドのコード配列および様々な付加コード配列、成熟ポリペプチドのコード配列(および任意の付加コード配列)および非コード配列を含む。
【0067】
用語「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドでもよく、さらに付加のコードおよび/または非コード配列を含むポリヌクレオチドでもよい。
本発明は、さらに、本発明と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドまたはポリペプチドの断片、類似体および誘導体をコードする上記ポリヌクレオチドの変異体に関する。このポリヌクレオチドの変異体は、天然に発生した対立遺伝子変異体でも非天然に発生した変異体でもよい。これらのヌクレオチド変異体は、置換変異体、欠失変異体および挿入変異体を含む。本分野で知られているように、対立遺伝子変異体は、ポリヌクレオチドの代替形態で、1つまたは2つ以上のヌクレオチドの置換、欠失または挿入でもよいが、実質的にコードするポリペプチドの機能を変えることはない。
【0068】
本発明は、さらに、上記の配列とハイブリダイズし、かつ2つの配列の間に少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%の相同性を有するポリヌクレオチドに関する。本発明は、特に、厳格な条件で本発明に係るポリヌクレオチドとハイブリダイズできるポリヌクレオチドに関する。本発明において、「厳格な条件」とは、(1)低いイオン強度および高い温度、たとえば0.2×SSC、0.1%SDS、60℃でのハイブリダイズおよび溶離、あるいは(2)ハイブリダイズ時変性剤、たとえば42℃で50%(v/v)ホルムアミド、0.1%ウシ胎児血清/0.1% Ficollなどを入れること、あるいは(3)2つの配列の間の相同性が少なくとも90%以上、好ましくは95%以上の時だけハイブリダイズすることである。そして、ハイブリダイズできるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、配列番号4、配列番号21、配列番号35、配列番号37、配列番号39または配列番号41で示される成熟ポリペプチドと同じ生物学的機能および活性を有する。
【0069】
本発明は、さらに、上記の配列とハイブリダイズする核酸断片に関する。本明細書で用いられるように、「核酸断片」の長さは、少なくとも15個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも30個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50個のヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも100個のヌクレオチド以上を含む。核酸断片は、核酸の増幅技術(たとえばPCR)に使用し、Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定および/または単離することができる。
本発明におけるポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、好ましくは単離された形態で提供し、より好ましくは均質に精製される。
【0070】
本発明のPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドのヌクレオチド全長配列あるいはの断片は、通常、PCR増幅法、組換え法または人工合成の方法で得られる。PCR増幅法について、本発明で公開された関連のヌクレオチド配列、特に読み枠によってプライマーを設計し、市販のcDNAライブラリーまたは当業者に既知の通常の方法によって調製されるcDNAライブラリーを鋳型とし、増幅して関連配列を得る。配列が長い場合、通常、2回または2回以上のPCR増幅を行った後、各回の増幅で得られた断片を正確な順でつなげる必要がある。
関連の配列を獲得すれば、組換え法で大量に関連配列を獲得することができる。この場合、通常、その配列をベクターにクローンした後、細胞に導入し、さらに通常の方法で増殖させた宿主細胞から関連配列を単離して得る。
また、特に断片の長さが短い場合、人工合成の方法で関連配列を合成してもよい。通常、まず多数の小さい断片を合成し、そして連接させることにより、配列の長い断片を得ることができる。
【0071】
現在、本発明のタンパク質(またはその断片、あるいはその誘導体)をコードするDNA配列は全部化学合成で獲得することがすでに可能である。さらに、このDNA配列を本分野で周知の各種の既知のDNA分子(あるいはベクターなど)や細胞に導入してもよい。また、化学合成で本発明のタンパク質配列に変異を導入することもできる。
本発明の遺伝子を得るには、PCR技術でDNA/RNAを増幅する方法が好適に使用される。特にライブラリーから全長のcDNAを得ることが困難な場合、好適にRACE法(RACE-cDNA末端快速増幅法)を使用し、PCRに使用されるプライマーはここで公開された本発明の配列情報によって適切に選択し、かつ通常の方法で合成することができる。通常の方法、たとえばゲル電気泳動によって増幅されたDNA/RNA断片を単離、精製することができる。
【0072】
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、および本発明のベクターまたはPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドのコード配列で遺伝子工学によって生成する宿主細胞、ならびに組み換え技術によって本発明に係るポリペプチドを生成する方法にも関する。
通常の組換えDNA技術によって、本発明のポリヌクレオチド配列を使用し、組換えたPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドを発現または生産することができる。一般的に、以下の工程を含む:
(1)本発明のPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(または変異体)を使用し、あるいはこのポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターを使用し、適切な宿主細胞を形質転換または形質導入する;
(2)適切な培地において宿主細胞を培養する;
(3)培地または細胞からタンパク質を単離し、精製する。
本発明において、Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は組換え発現ベクターに挿入してもよい。用語「組換え発現ベクター」とは、本分野でよく知られている細菌プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、哺乳動物ウイルス、たとえばアデノウイルス、レトロウイルスまたはほかのベクターである。宿主体内で安定して複製することができれば、どんなプラスミドおよびベクターでも使用できる。発現ベクターの重要な特徴の一つは、通常、複製起点、プロモーター、マーカー遺伝子および翻訳制御エレメントを含むことである。
【0073】
Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドのコードDNA配列および適切な転写/翻訳制御シグナルを含む発現ベクターの構築に当業者によく知られている方法を使用することができる。これらの方法は、体外組換えDNA技術、DNA合成技術、体内組換え技術などを含む。前記のDNA配列は、有効に発現ベクターにおける適切なプロモーターに連結し、mRNA合成を指導することができる。これらのプロモーターの代表的な例として、大腸菌のlacまたはtrpプロモーター、λファージのPLプロモーター、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーターを含む真核プロモーター、レトロウイルスのLTRsやほかの既知の制御可能な遺伝子の原核または真核細胞あるいはそのウイルスにおける発現されるプロモーターが挙げられる。発現ベクターは、さらに、翻訳開始用リボゾーム結合部位および転写ターミネーターを含む。
【0074】
また、発現ベクターは、好ましくは1つまたは2つ以上の選択性マーカー遺伝子を含み、形質転換された宿主細胞を選択するための形質、たとえば真核細胞培養用のジヒドロ葉酸レダクターゼ、ネオマイシン耐性および緑色蛍光タンパク質(GFP)、あるいは大腸菌用のテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性を提供する。
上記の適切なDNA配列及び適切なプロモーターまたは制御配列を含むベクターは、適切な宿主細胞を形質転換し、タンパク質を発現するようにすることができる。
宿主細胞は、原核細胞、たとえば細菌細胞、あるいは、低等真核細胞、たとえば酵母細胞、あるいは、高等真核細胞、たとえば哺乳動物細胞でもよい。代表例として、大腸菌、ストレプトマイセス属、ネズミチフス菌のような細菌細胞、酵母のような真菌細胞、植物細胞、ミバエS2若しくはSf9のような昆虫細胞、CHO、COS、293細胞またはBowesメラノーマ細胞のような動物細胞などがある。
【0075】
本発明のポリヌクレオチドが高等真核細胞において発現される場合、ベクターにエンハンサー配列を挿入すると転写が強化される。エンハンサーは、DNAのシスエレメントで、通常、約10~300bpで、プロモーターに作用して遺伝子の転写を強化する。例を挙げると、複製起点の後期側にある100~270bpのSV40エンハンサー、複製起点の後期側にあるポリオーマエンハンサーおよびアデノウイルスエンハンサーなどを含む。
当業者は、どうやって適切なベクター、プロモーター、エンハンサーおよび宿主細胞を選択するか、よくわかる。
【0076】
DNA組換えによる宿主細胞の形質転換は当業者に熟知の通常の技術で行っても良い。宿主が原核細胞、たとえば大腸菌である場合、DNAを吸収できるコンピテントセルは指数成長期後収集でき、CaCl2法で処理し、用いられる工程は本分野では周知のものである。もう一つの方法は、MgCl2を使用する。必要により、形質転換はエレクトロポレーションの方法でもよい。宿主が真核生物の場合、リン酸カルシウム沈殿法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションのような通常の機械方法、リポフェクションなどのDNAトランスフェクションの方法が用いられる。
得られる形質転換体は通常の方法で培養し、本発明の遺伝子がコードするポリペプチドを発現することができる。用いられる宿主細胞によって、培養に用いられる培地は通常の培地を選んでもよい。宿主細胞の成長に適する条件で培養する。宿主細胞が適当の細胞密度に成長したら、適切な方法(たとえば温度転換もしくは化学誘導)で選んだプロモーターを誘導し、さらに細胞を培養する。
【0077】
上記の方法における組換えポリペプチドは細胞内または細胞膜で発現し、あるいは細胞外に分泌することができる。必要であれば、その物理・化学的特性およびほかの特性を利用して各種の単離方法で組換えタンパク質を単離・精製することができる。これらの方法は、本分野の技術者に熟知である。これらの方法の例として、通用の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心、浸透圧ショック、超音波処理、超遠心、分子篩クロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびほかの各種の液体クロマトグラフィー技術、ならびにこれらの方法の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0078】
応用
本発明に係る活性ポリペプチドまたは糖転移酵素Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの用途は、特異的にかつ効率的に糖ドナーからのグリコシル基をテトラシクロトリテルペン系化合物のC-3位の水酸基に転移させのを触媒することを含むが、これらに限定されない。特に式(I)化合物を前記式(II)化合物に、たとえばプロトパナキサジオールPPDを抗腫瘍活性がより優れた希少ギンセノサイドRh2に、Compound KをギンセノサイドF2に転化させることができる。
【0079】
前記のテトラシクロトリテルペン系化合物は、S配置またはR配置のダンマラン型、ラノスタン型、チルカラン型、シクロアルタン型、アポチルカラン型、ククルビタン型、メリアカン型などのテトラシクロトリテルペン系化合物を含むが、これらに限定されない。
本発明は、工業触媒方法であって、糖ドナーを提供する条件において、Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドを使用し、ギンセノサイドRh2およびギンセノサイドF2を得ることを含む方法を提供する。具体的に、前記の(A)反応で使用されるポリペプチドは、配列番号4または配列番号21で示されるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドで、前記の(B)反応で使用されるポリペプチドは、配列番号4で示されるポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドである。
【0080】
本発明の一つの好適な例において、前記サンシチニンジンの糖転移酵素Pn50および糖転移酵素突然変異体タンパク質8E7を使用して出芽酵母においてギンセノサイドRh2を合成する方法を提供する。
本発明の一つの好適な例において、前記サンシチニンジンの糖転移酵素Pn50の突然変異体タンパク質Pn50-Q222H-VEを使用して出芽酵母においてギンセノサイドRh2を合成する方法を提供する。
本発明の一つの好適な例において、前記サンシチニンジンの糖転移酵素Pn50の突然変異体タンパク質UGT-MUT1を使用して出芽酵母においてギンセノサイドRh2を合成する方法を提供する。
本発明の一つの好適な例において、前記サンシチニンジンの糖転移酵素Pn50の突然変異体タンパク質UGT-MUT2を使用して出芽酵母においてギンセノサイドRh2を合成する方法を提供する。
本発明の一つの好適な例において、前記サンシチニンジンの糖転移酵素Pn50の突然変異体タンパク質UGT-MUT3を使用して出芽酵母においてギンセノサイドRh2を合成する方法を提供する。
【0081】
前記の糖ドナーはヌクレオシド二リン酸糖で、UDP-グルコース、ADP-グルコース、TDP-グルコース、CDP-グルコース、GDP-グルコース、UDP-アセチルグルコース、ADP-アセチルグルコース、TDP-アセチルグルコース、CDP-アセチルグルコース、GDP-アセチルグルコース、UDP-キシロース、ADP-キシロース、TDP-キシロース、CDP-キシロース、UDP-キシロース、GDP-キシロース、UDP-ガラクツロン酸、ADP-ガラクツロン酸、TDP-ガラクツロン酸、CDP-ガラクツロン酸、GDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、ADP-ガラクトース、TDP-ガラクトース、CDP-ガラクトース、GDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、ADP-アラビノース、TDP-アラビノース、CDP-アラビノース、GDP-アラビノース、UDP-ラムノース、ADP-ラムノース、TDP-ラムノース、CDP-ラムノース、GDP-ラムノース、あるいはほかのヌクレオシド二リン酸六炭糖またはヌクレオシド二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0082】
前記の糖ドナーは好ましくはウリジン二リン酸糖で、UDP-グルコース、UDP-キシロース、UDP-ラムノース、UDP-ガラクツロン酸、UDP-ガラクトース、UDP-アラビノース、あるいはほかのウリジン二リン酸六炭糖またはウリジン二リン酸五炭糖、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
前記方法において、さらに酵素活性添加物(酵素活性を向上するか、あるいは酵素活性を抑制する添加物)を添加してもよい。前記酵素活性添加物は、Ca2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+、またはFe2+からなる群から選ばれてもよく、あるいはCa2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+、または或Fe2+を生成することができる物質である。
前記方法のpH条件は、pH4.0~10.0で、好ましくはpH6.0~pH8.5で、より好ましくは8.5である。
前記方法の温度条件は、10℃~105℃で、好ましくは25℃~35℃で、より好ましくは35℃である。
【0083】
また、本発明は、有効量の本発明の活性ポリペプチドまたは糖転移酵素Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチド、ならびに食品学的にまたは工業的に許容される担体または賦形剤を含む、組成物を提供する。このような担体は、水、緩衝液、ブドウ糖、水、グリセリン、エタノール、及びその組合せを含むが、これらに限定されない。
前記の組成物に、さらに、本発明の糖転移酵素の活性を調節する物質を添加してもよい。酵素活性を向上させる機能を有すれば、どうな物質でも使用できる。好ましくは、前記の本発明の糖転移酵素の活性を向上させる物質は、メルカプトエタノールから選ばれる。また、酵素活性を低下させる物質が多く、Ca2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+およびFe2+、あるいは基質に添加すると加水分解してCa2+、Co2+、Mn2+、Ba2+、Al3+、Ni2+、Zn2+およびFe2+を形成することができる物質を含むが、これらに限定されない。
【0084】
本発明のPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドを得た後、当業者は簡単にこの酵素を使用して糖転移作用、特にダンマレンジオール、プロトパナキサジオールに対する糖転移作用を発揮させることができる。本発明の好適な形態として、希少ギンセノシドを形成する2種類の方法を提供し、その一つは、本発明に係るPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドで糖転移される基質を処理することを含み、前記の基質はダンマレンジオール、プロトパナキサジオールおよびその誘導体などのテトラシクロトリテルペン系化合物を含む。好ましくは、pH3.5~10の条件で、前記のPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドで糖転移される基質を処理する。好ましくは、温度30~105℃の条件で、前記のPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドで糖転移される基質を処理する。
【0085】
そのもう一つは、本発明に係るPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの遺伝子をプロトパナキサジオールPPDを合成することができるエンジニアリング菌(たとえば、酵母または大腸菌のエンジニアリング菌)に導入するか、あるいはPn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドの遺伝子をダンマレンジオール、プロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子および任意のほかの糖転移酵素の遺伝子と宿主細胞(たとえば、酵母細胞または大腸菌)において共発現させ、直接希少ギンセノサイドRh2および/またはF2を生産する組換え菌を得ることを含む。あるいは、Pn50、8E7、Pn50-Q222H-VE、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3ポリペプチドまたはその誘導体ポリペプチドのコードヌクレオチド配列をダンマレンジオールおよび/またはプロトパナキサジオールPPDの合成代謝経路における鍵酵素とおよび任意のほかの糖転移酵素およびUDP-ラムノースを合成する鍵酵素と宿主細胞において共発現させ、希少ギンセノサイドRh2およびギンセノサイドF2を人工的に合成する組換え菌株の構築に使用する。
【0086】
前記のダンマレンジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子を含むが、これに限定されない。
もう一つの好適な例において、前記のプロトパナキサジオールの合成代謝経路における鍵遺伝子は、ダンマレンジオール合成酵素遺伝子PgDDS、プロトパナキサジオール合成のシトクロムP450遺伝子CYP716A47およびその還元酵素遺伝子、あるいはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。あるいは以上の各酵素の同位酵素およびその組み合わせである。ここで、ダンマレンジオール合成酵素はオキシドスクアレン(出芽酵母自身で合成)をダンマレンジオールに転化させ、シトクロムP450 CYP716A47およびその還元酵素はダンマレンジオールをさらにプロトパナキサジオールPPDに転化させる。(Hanら,plant & cell physiology,2011,52.2062-73)

【0087】
本発明の主な利点は以下の通りである。
(1)本発明の出芽酵母を利用してギンセノサイドRh2を生産する方法は従来のトチバニンジン属植物の抽出およびグリコシル基の加水分解による方法と比べて低コスト、短周期、安定した品質などの利点がある。
(2)本発明は、初めてサンシチニンジンから得られた糖転移酵素Pn50はPPDからのRh2の合成、CKからのF2の合成を触媒することができ、そしてそれをPPD生産菌株に導入するとオタネニンジンにおける野生型糖転移酵素UGTPg45よりも効率的に希少ギンセノサイドRh2を合成することができる。
(3)本発明は、オタネニンジンにおける野生型糖転移酵素UGTPg45をランダムに突然変異させて得られた突然変異体遺伝子8E7またはサンシチニンジン糖転移酵素Pn50をPPD生産菌株に導入すると、オタネニンジンにおける野生型糖転移酵素UGTPg45と比べ、顕著に希少ギンセノサイドRh2の合成効率を向上させることができる。
(4)本発明は、サンシチニンジンにおける野生型糖転移酵素Pn50をランダムに突然変異させて得られた突然変異体遺伝子Pn50-Q222H-VE 、UGT-MUT1、UGT-MUT2、UGT-MUT3をPPD生産菌株に導入すると、サンシチニンジンにおける野生型糖転移酵素Pn50と比べ、顕著に希少ギンセノサイドRh2の合成効率を向上させることができる。
【0088】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例で具体的な条件が示されていない実験方法は、通常、たとえばSambrookら、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」(ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版社、1989) に記載の条件などの通常の条件に、あるいは、メーカーのお薦めの条件に従う。特に断らない限り、%と部は、重量で計算された。

以下の具体的な実施方法によって、本発明の具体的な実施過程がさらに理解される。
【0089】
実施例1.サンシチニンジン糖転移酵素遺伝子Pn50のクローニング
たとえば配列Pn50クローニングプライマーF、配列番号1(ATGGAGAGAGAAATGTTGAGCA)およびPn50クローニングプライマーR、配列番号2(TCAGGAGGAAACAAGCTTTGAA)の2つのプライマーを合成した。サンシチニンジンから抽出されたRNAを逆転写させて得られたcDNAを鋳型とし、上記のようなプライマーを利用してPCRを行った。DNAポリメラーゼは、タカラバイオ株式会社の高正確性のKOD DNAポリメラーゼを使用した。PCRの増幅プログラムは、94℃ 2minで、94℃ 15s、58℃ 30s、68℃ 2minの計35サイクルで、68℃ 10minで10℃に降温させた。PCR産物はアガロースゲル電気泳動によって検出され、結果を図1に示した。
【0090】
紫外線の照射で、標的DNAバンドを切り取った。さらに、Axygen Gel Extraction Kit(AEYGEN社)でアガロースゲルから、DNA、すなわち、増幅された糖転移酵素遺伝子のDNA断片を回収した。宝生物工程(大連)有限公司(Takara)のPMD18-Tクローニングキットによって、回収されたPCR産物をPMDTベクターにクローニングし、構築されたベクターをPMDT-Pn50と名付けた。シークエンシングしたところ、Pn50の遺伝子配列が得られた。
Pn50遺伝子は配列番号3のヌクレオチド配列を有する。配列番号3の5’末端から1~1368番目のヌクレオチドはPn50の読み枠(Open Reading Frame、ORF)で、配列番号3の5’末端から1~3番目のヌクレオチドはPn50遺伝子の開始コドンATGで、配列番号3の5’末端から1366~1368番目のヌクレオチドはPn50遺伝子の終止コドンTGAである。糖転移酵素Pn50遺伝子は455個のアミノ酸を含むタンパク質Pn50をコードし、配列番号4のアミノ酸残基配列を有し、ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、51.1kDaで、等電点pIが5.10である。配列番号4のアミノ末端から332~375番目は糖転移酵素PSPGの保存的な機能領域である。
【0091】
Pn50のヌクレオチド配列 配列番号3
【化4-1】
【化4-2】
【0092】
Pn50のアミノ酸配列 配列番号4
【化5】
【0093】
実施例2.サンシチニンジン糖転移酵素遺伝子Pn50の大腸菌における発現
たとえば配列Pn50発現プライマーF、配列番号5(GGATCCATGGAGAGAGAAATGTTGAGCA)およびPn50発現プライマーR、配列番号6(CTCGAGTCAGGAGGAAACAAGCTTTGAA)の2つのプライマーを合成した。合成されたプライマーF/RにそれぞれBamH IおよびXho Iの2つの酵素切断部位を入れることによって、植物から抽出されたcDNAを鋳型にPCRを行った。DNAポリメラーゼは、タカラバイオ株式会社の高正確性のKOD DNAポリメラーゼを使用した。PCRの増幅プログラムは、94℃ 2minで、94℃ 15s、58℃ 30s、68℃ 2minの計35サイクルで、68℃ 10minで10℃に降温させた。PCR産物はアガロースゲル電気泳動によって検出された。紫外線の照射で、標的DNAバンドを切り取った。さらに、Axygen Gel Extraction Kit(AEYGEN社)でアガロースゲルから、DNA、すなわち、増幅された糖転移酵素遺伝子のDNA断片を回収した。回収された2つのPCR産物をBamH IおよびXho Iで酵素切断した後、同様にBamH IおよびXho Iで酵素切断されたpET28aに連結し、連結産物で大腸菌EPI300感受性細胞を形質転換し、形質転換した大腸菌の菌液をカナマイシン50μg/mLを入れたLBプレートに塗布し、さらにPCRおよび酵素切断によって組換えクローンを検証した。それぞれその中から一つのクローンを選んで組換えプラスミドを抽出した後、シークエンシングで検証し、正確と確認されたら、組換えプラスミドで大腸菌BL21(DE3)を形質転換して発現を誘導し、発現を誘導する方法は、プレートから単一クローンを選んでカナマイシン50μg/mLを含有するLB試験管に接種して一晩培養し、1%取って50mL三角フラスコに接種して37℃でOD600が0.6~0.7になるまで培養して最終濃度が0.1mMのIPTGを入れて誘導し、18℃で16h誘導した。12000g、3minで菌体を収集して菌体の湿重量1gあたりに10mLのPBS緩衝液を入れて再懸濁させた後、菌体を分解させ、遠心で上清を取って粗製酵素液とした。
【0094】
実施例3.サンシチニンジン糖転移酵素遺伝子Pn50による異なる基質の反応の触媒およびその産物の検出
以下のように糖転移酵素Pn50触媒反応系(100μL)を調製した。
【0095】
【表3】
【0096】
37℃の水浴で2h反応させた。反応終了後、等体積のn-ブタノールを入れて抽出し、n-ブタノール相を取り、真空濃縮後、反応産物を10μLのメタノールに溶解させ、TLCまたはHPLCによって結果を検出した。図2における結果から、本発明で使用された糖転移酵素Pn50はプロトパナキサジオールPPDを触媒して新たな産物を形成することができ(反応は式Aを参照)、TLCプレートにおける移動位置がRh2の移動位置と一致したことがわかり、この新たな産物がギンセノサイドRh2であることが証明された。また、Pn50はCompound Kを触媒することができ、生成した産物はTLCプレートにおける移動位置およびPn50の領域特異性によってギンセノサイドF2と推測された(図2)。
【化6】
【0097】
実施例4.サンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子Pn50による出芽酵母における希少ギンセノサイドRh2の合成
(1)サンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子Pn50はプロトパナキサジオールのC3位の水酸基のグルコシル化を触媒して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、出芽酵母における希少ギンセノサイドRh2の合成を実現させるために、本発明は、まず、プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母基盤細胞を構築した。野生型出芽酵母にダンマレンジオール合成酵素遺伝子PgDDS、プロトパナキサジオール合成のシトクロムP450遺伝子CYP716A47およびその還元酵素遺伝子PgCPR1を導入し、出芽酵母自身のメバロン酸経路によって合成された2,3-エポキシスクアレンでダンマレンジオールを合成することができる。合成の律速ステップの最適化、前駆体の供給の最適化などを含む人工的に構築されたプロトパナキサジオール合成経路に対する最適化によって、高収率でプロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株ZWBY04RSを得た。
【0098】
(2)たとえば配列番号7~18の12本のプライマーを合成し、PCRの方法によって糖転移酵素発現のプロモーター、ターミネーター、ORF、スクリーニングマーカー、上・下流ホモロジーアーム断片を得、PCR方法は実施例1と同様である。上記PCR断片およびUGTPg45のORFをそれぞれ100ng均一に混合した後、出芽酵母の通常のLiAc/ssDNA形質転換方法によって、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RSを形質転換し、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-UGTPg45を得た。同様に、上記PCR断片およびPn50のORFをそれぞれ100ng均一に混合した後、出芽酵母の通常のLiAc/ssDNA形質転換方法によって、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RSを形質転換し、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-Pn50を得た。
【0099】
【化7】
【0100】
(3)固体培地の調製:培地:1% Yeast Extract(酵母エキス)、2% Peptone(ペプトン)、2% Dextrose(デキストロース)(グルコース)、2%寒天粉を調製した。
液体培地の調製:培地:1% Yeast Extract(酵母エキス)、2% Peptone(ペプトン)、2% Dextrose(デキストロース)(グルコース)を調製した。
固体培地プレートに画線した組換え出芽酵母菌ZWBY04RS-UGTPg45およびZWBY04RS-Pn50を取り、それぞれ5mL液体培地を含有する試験管に置いて一晩振とう培養し(30℃、250rpm、16h)、遠心で菌体を収集し、10mL 液体培地が入った50mL三角フラスコに移し、OD600が0.05になるように調整し、30℃、250rpmで4日振とう培養して発酵産物を得た。本方法は各組換え酵母に対して同時に一つの平行実験を設けた。
【0101】
プロトパナキサジオールおよび希少ギンセノサイドRh2の抽出および検出:10mLの発酵液から100μLの発酵液を吸い取り、Fastprepで振とうして酵母を分解させ、等体積のn-ブタノールを入れて抽出した後、真空の条件においてn-ブタノールを蒸発させた。100μLのメタノールで溶解させた後、HPLCによって目的産物の生産量を検出した。HPLC結果は図3に示す。
プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にオタネニンジン由来の糖転移酵素遺伝子UGTPg45で構築された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-UGTPg45を導入して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、その生産量は35.66mg/Lであった。プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にサンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子Pn50で構築された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-Pn50を導入して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、その生産量は45.55mg/Lであった。
【0102】
実施例5.オタネニンジン由来の糖転移酵素UGTPg45のランダム突然変異ライブラリーの構築
プラスミドUGTPg45-pMD18Tを鋳型とし、GeneMorph II Random Mutagenesis Kit(Agilent Technology)によって、UGTPg45ランダム突然変異プライマーFの配列番号23(Gcatagcaatctaatctaagttttaattacaaaatggagagagaaatgttgagcaaaac)およびUGTPg45ランダム突然変異の配列番号24(Gaaaagaagataatatttttatataattatattaatctcaggaggaaacaagctttgaa)をプライマーとしてエラープローンPCRを行い、プログラムは、95℃ 2minで予備変性し、95℃で30s変性、58℃で30sアニーリング、72℃で3min 15s伸長を30サイクル行い、72℃で10min最終伸長した。キットの説明書に従って1ug、1.5μg、2μgの鋳型を入れて突然変異率を模索した。ゲルを切り出してPCR産物を回収し、Taq酵素でAを加え、ベクターpMD18Tに連結し、大腸菌TOP10を形質転換した。ランダムに10個の陽性クローンを選んでシークエンシングし、突然変異率が1~2塩基で遺伝子に相応する鋳型の使用量が1.5μgであった。後続の実験で当該条件をエラープローンPCRを行い、すなわち、UGTPg45のランダム突然変異ライブラリーを構築した。
【0103】
プライマーの配列番号25(断片7プライマーF)(Acactggggcaataggctgtcgccattcaagagcagatagcttcaaaatgtttctactc)および配列番号26(断片7プライマーR)(Cataatgtgagttttgctcaacatttctctctccattttgtaattaaaacttagattag)を使用し、出芽酵母ゲノムDNAを鋳型としてPCRによって断片7を、プライマーの配列番号27(断片8プライマーF)(Ttgatgagttcatttcaaagcttgtttcctcctgagattaatataattatataaaaata)および配列番号28(断片8プライマーR)(Actgtcaaggagggtattctgggcctccatgtcgctgctatataacagttgaaatttgg)を使用し、出芽酵母ゲノムDNAを鋳型としてPCRによって断片8を、プライマーの配列番号29(断片9プライマーF)(Cccaaagctaagagtcccattttattc)および配列番号30(断片9プライマーR)(Gaagagtaaaaaaggagtagaaacattttgaagctatctgctcttgaatggcgacagcc)、配列番号31(断片10プライマーF)(Tgtcgattcgatactaacgccgccatccagtgtcgagaattacaatagtatgtctgatg)および配列番号32(断片10プライマーR)(Tctggtgaggatttacggtatg)出芽酵母ゲノムDNAを鋳型としてPCRによって断片9および10を得た。プライマーの配列番号33(断片11プライマーF)(Aagatgttcttatccaaatttcaactgttatatagcagcgacatggaggcccagaatac)および配列番号34(断片11プライマーR)(tacttcttgcagacatcagacatactattgtaattctcgacactggatggcggcgttag)を使用し、プラスミドPLKANを鋳型としてPCRによって断片11を得た。上記断片7~11を等モル比で混合し、PPD高生産菌株ZWBY04RSを形質転換し、YPDプレート(100 μg/ml G418入り)に塗布し、UGTPg45突然変異遺伝子を発現する酵母形質転換体が得られるように、30℃で2日培養した。同様に、野生型UGTPg45を形質転換して酵母形質転換体を構築して対照とした。
【0104】
96ウェルプレートにYPD培地(100μg/mL G418入り)を600μL/ウェル入れ、酵母の単一クローンを選んで培地に接種し、30℃、280rpmで1日振とう培養した。6μLの培養物を600μLのYPD培地を含有する新たな96ウェルプレートに移し、30℃、280rpmで3日振とう培養した。各ウェルにn-ブタノールを600μLずつ入れ、ゴム栓をしてテープで封じ、回転させて3h抽出した。4000rpmで10min遠心し、150μLのn-ブタノール相を吸い取って新たな96ウェルプレートに入れ、HPLCによって産物の測定を行った。
突然変異体遺伝子8E7で構築された希少ギンセノサイドRh2菌株ZWBY04RS-8E7のRh2生産量はUGTPg45で構築された菌株ZWBY04RS-UGTPg45の生産量よりも70%向上し、60.48mg/Lに達した。
【0105】
前記野生型遺伝子UGTPg45は配列番号20のヌクレオチド配列を有する。配列番号20の5’末端から1~1374番目のヌクレオチドはUGTPg45の読み枠で、配列番号20の5’末端から1~3番目のヌクレオチドはUGTPg45遺伝子の開始コドンATGで、配列番号20の5’末端から1371~1374番目のヌクレオチドはUGTPg45遺伝子の終止コドンTGAである。糖転移酵素UGTPg45遺伝子は457個のアミノ酸を含むタンパク質UGTPg45をコードし、配列番号19のアミノ酸残基配列を有し、ソフトでこのタンパク質の理論分子量を予測したところ、51.1kDaで、等電点pIが5.10である。配列番号19のアミノ末端から332~375番目は糖転移酵素PSPGの保存的な機能領域である。
UGTPg45のアミノ酸配列 配列番号19
【化8】

【0106】
UGTPg45のヌクレオチド配列 配列番号20
【化9】
【0107】
前記突然変異体遺伝子8E7は配列番号22のヌクレオチド配列を有する。配列番号22の5’末端から1~1374番目のヌクレオチドは8E7の読み枠で、配列番号22の5’末端から1~3番目のヌクレオチドは8E7遺伝子の開始コドンATGで、配列番号22の5’末端から1371~1374番目のヌクレオチドは8E7遺伝子の終止コドンTGAである。糖転移酵素遺伝子8E7は、457個のアミノ酸を含むタンパク質8E7をコードし、配列番号21でのアミノ酸残基配列を有する。
8E7のアミノ酸配列 配列番号21
【化10】
【0108】
8E7のヌクレオチド配列 配列番号22
【化11】
【0109】
上記結果から、本発明において、オタネニンジン由来の糖転移酵素遺伝子UGTPg45の代わりに、サンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子Pn50または野生型糖転移酵素遺伝子を改造して得られた突然変異体遺伝子を使用すると、いずれも大幅に希少ギンセノサイドRh2の合成効率および生産量を向上させ、顕著な有益効果があることが示された。
【0110】
実施例6.サンシチニンジンPn50の糖転移酵素突然変異体遺伝子Pn50-Q222H-VEによる出芽酵母におけるRh2の合成
発明者はPn50の222番目のアミノ酸残基QをHに突然変異させ、同時にPn50の322および323番目のアミノ酸残基を欠失させ、321番目の後ろに2つのアミノ酸のVEを挿入してPn50の突然変異体Pn50-Q222H-VEを得た。
(1)たとえば配列番号7~18の12本のプライマーを合成し、PCRの方法によって糖転移酵素発現のプロモーター、ターミネーター、ORF、スクリーニングマーカー、上・下流ホモロジーアーム断片を得、PCR方法は実施例1と同様である。上記PCR断片およびPn50-Q222H-VEのORFをそれぞれ100ng均一に混合した後、出芽酵母の通常のLiAc/ssDNA形質転換方法によって、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RSを形質転換し、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-QEを得た。
【0111】
(2)固体培地プレートに画線した組換え出芽酵母菌ZWBY04RS-QEを取り、それぞれ5mL液体培地を含有する試験管に置いて一晩振とう培養し(30℃、250rpm、16h)、遠心で菌体を収集し、10mL 液体培地が入った50mL三角フラスコに移し、OD600が0.05になるように調整し、30℃、250rpmで4日振とう培養して発酵産物を得た。本方法は各組換え酵母に対して同時に一つの平行実験を設けた。
プロトパナキサジオールおよび希少ギンセノサイドRh2の抽出および検出:10mLの発酵液から100μLの発酵液を吸い取り、Fastprepで振とうして酵母を分解させ、等体積のn-ブタノールを入れて抽出した後、真空の条件においてn-ブタノールを蒸発させた。100μLのメタノールで溶解させた後、HPLCによって目的産物の生産量を検出した。
プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にサンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子Pn50-Q222H-VEで構築された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-QEを導入して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、その生産量は59.09 mg/Lであった(図4)。
【0112】
Pn50-Q222H-VEのアミノ酸配列 配列番号41
【化12】
【0113】
Pn50-Q222H-VEの核酸配列 配列番号42
【化13】
【0114】
実施例7.糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT1、UGT-MUT2およびUGT-MUT3による出芽酵母におけるRh2の合成
発明者はPn50-Q222H-VEの280番目のアミノ酸残基Kおよび/または247番目のアミノ酸残基Nを飽和突然変異させることによって、3つの触媒効率が向上した突然変異体UGT-MUT1、UGT-MUT2およびUGT-MUT3を得た。UGT-MUT1はPn50-Q222H-VEの280番目のアミノ酸残基Kをアミノ酸残基Iに、UGT-MUT2はPn50-Q222H-VEの247番目のアミノ酸残基Nをアミノ酸残基Sに、UGT-MUT3はPn50-Q222H-VEの280番目のアミノ酸残基Kをアミノ酸残基Iに、かつ247番目のアミノ酸残基Nをアミノ酸残基Sに突然変異させた。
【0115】
(1)たとえば配列番号7~18の12本のプライマーを合成し、PCRの方法によって糖転移酵素発現のプロモーター、ターミネーター、ORF、スクリーニングマーカー、上・下流ホモロジーアーム断片を得、PCR方法は実施例1と同様である。上記PCR断片ならびにUGT-MUT1(Pn50-Q222H-VE-K280I)、UGT-MUT2(Pn50-Q222H-VE-N247S)およびUGT-MUT3(Pn50-Q222H-VE-K280I-N247S)のORFをそれぞれ100ng均一に混合した後、出芽酵母の通常のLiAc/ssDNA形質転換方法によって、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RSを形質転換し、組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-MUT1、ZWBY04RS-MUT2およびZWBY04RS-MUT3を得た。
【0116】
(2)固体培地プレートに画線した組換え出芽酵母菌ZWBY04RS-MUT1、ZWBY04RS-MUT2およびZWBY04RS-MUT3を取り、それぞれ5mL液体培地を含有する試験管に置いて一晩振とう培養し(30℃、250rpm、16h)、遠心で菌体を収集し、10mL 液体培地が入った50mL三角フラスコに移し、OD600が0.05になるように調整し、30℃、250rpmで4日振とう培養して発酵産物を得た。本方法は各組換え酵母に対して同時に一つの平行実験を設けた。
プロトパナキサジオールおよび希少ギンセノサイドRh2の抽出および検出:10mLの発酵液から100μLの発酵液を吸い取り、Fastprepで振とうして酵母を分解させ、等体積のn-ブタノールを入れて抽出した後、真空の条件においてn-ブタノールを蒸発させた。100μLのメタノールで溶解させた後、HPLCによって目的産物の生産量を検出した。HPLC結果は図4に示す。
【0117】
プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にサンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子UGT-MUT1で構築された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-MUT1を導入して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、その生産量は67.96 mg/Lであった。プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にサンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子UGT-MUT2で構築された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-MUT2を導入して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、その生産量は78.29 mg/Lであった。プロトパナキサジオールを生産する出芽酵母菌株にサンシチニンジン由来の糖転移酵素遺伝子UGT-MUT3で構築された組換え出芽酵母菌株ZWBY04RS-MUT3を導入して希少ギンセノサイドRh2を合成することができ、その生産量は83.53 mg/Lであった。
【0118】
糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT1のアミノ酸配列 配列番号35
【化14】
【0119】
糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT1のヌクレオチド配列 配列番号36
【化15】
【0120】
糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT2のアミノ酸配列 配列番号37
【化16】
【0121】
糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT2のヌクレオチド配列 配列番号38
【化17】
【0122】
糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT3のアミノ酸配列 配列番号39
【化18】
【0123】
糖転移酵素突然変異体遺伝子UGT-MUT3のヌクレオチド配列 配列番号40
【化19】
【0124】
検討
現在、オタネニンジン、サンシチニンジンおよびアメリカニンジンに対するトランスクリプトーム分析によって、研究者らは既に大量の糖転移酵素の候補遺伝子を発見したが、極少数の糖転移酵素しかギンセノサイドの合成に参与することが実証されなかった。サンシチニンジンにおけるギンセノサイドの合成に参与する糖転移酵素はまだ報告されていない。サンシチニンジンにおいても同様のギンセノサイドが合成されるため、サンシチニンジン由来の糖転移酵素を探索することによってこの2つの植物のギンセノサイドの合成経路をより理解できるようになると同時に、ギンセノサイドの合成生物学の研究により充実なツールを提供することができ、非常に有意義である。
【0125】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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