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特許7086154マイクロ波乾燥装置およびその処理ボックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】マイクロ波乾燥装置およびその処理ボックス
(51)【国際特許分類】
   F26B 3/347 20060101AFI20220610BHJP
   F26B 9/00 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
F26B3/347
F26B9/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020168665
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060904
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】520141667
【氏名又は名称】宏碩系統股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲トウ▼ 亘皓
(72)【発明者】
【氏名】曹 明雄
(72)【発明者】
【氏名】陳 漢穎
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-195683(JP,A)
【文献】実開昭56-157591(JP,U)
【文献】特開平07-192864(JP,A)
【文献】特開昭49-081953(JP,A)
【文献】特公昭48-004668(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 3/347
F26B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ボックス、2つの吸引モジュールおよび少なくとも1つのマイクロ波放射モジュールを備え、
前記処理ボックスは、
中空であり、
搬送方向に沿って互いに離れて配置され、それぞれがボックス搬送開口部を有する2つの外部搬送壁と、
前記2つの外部搬送壁の間に接続されており、前記搬送方向に沿って互いに離れて配置された2つの取付開口部を有する外部取付壁と、
前記2つの外部搬送壁の間に接続されており、前記処理ボックスにおいて前記外部取付壁と対向する外部密封壁と、
前記処理ボックス内に取り付けられ且つ互いに垂直方向に離れて配置され、前記処理ボックスの内部空間をマイクロ波乾燥空間と2つの吸引空間とに分割すると共に、複数の吸引孔が貫通して形成されている2つの吸引仕切り部と、
前記マイクロ波乾燥空間に取り付けられ、前記搬送方向に沿って互いに離れて配置され、前記マイクロ波乾燥空間内で蛇行して繰り返し前後に延びる波進行チャネルを形成する複数のチャネル仕切り部とを有し、
前記波進行チャネルの両端は、それぞれ前記2つの取付開口部に接続され、
前記マイクロ波乾燥空間は、前記2つの吸引仕切り部の間に形成され、前記2つの吸引空間の間に位置し、
前記2つの吸引仕切り部のそれぞれの前記吸引孔は、前記2つの吸引空間のうちの1つおよび前記波進行チャネルに繋がっており、
前記チャネル仕切り部のそれぞれは、前記2つの外部搬送壁の前記2つのボックス搬送開口部と位置合わせされた仕切搬送開口部を有し、
前記2つの吸引モジュールは、それぞれ前記2つの吸引空間に接続されており、
前記少なくとも1つのマイクロ波放射モジュールは、前記処理ボックスの前記外部取付壁に取り付けられ、前記波進行チャネルに向かってマイクロ波を放射する
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記マイクロ波放射モジュールの数は2つであり、
前記2つのマイクロ波放射モジュールは、それぞれ前記2つの取付開口部に向かってマイクロ波を放射する
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記2つのマイクロ波放射モジュールは、互いに異なる周波数のマイクロ波を放射する
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項4】
請求項3に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記2つのマイクロ波放射モジュールの一方は、周波数が2455~2465MHzのマイクロ波を放射し、前記2つのマイクロ波放射モジュール20の他方は、周波数が2435~2445MHzのマイクロ波を放射する
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか1項に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記2つのマイクロ波放射モジュールは、
マイクロ波源と、
前記マイクロ波源と対応する前記取付開口部との間に直列に接続され、前記取付開口部から前記マイクロ波源へ40dBを超える絶縁を付与する少なくとも1つのサーキュレータとを有している
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記処理ボックスは、前記処理ボックスに取り付けられる2つのマイクロ波側板をさらに有しており、
前記2つのマイクロ波側板は、それぞれ前記2つの外部搬送壁に対応し、対応する前記外部搬送壁から離れて配置され、マイクロ波抑制空間を形成し、
前記マイクロ波乾燥空間は、前記2つのマイクロ波側板の間に形成され、前記2つのマイクロ波側板のそれぞれによって形成された前記2つのマイクロ波抑制空間の間に位置し、
前記マイクロ波側板のそれぞれは、対応する1つのマイクロ波抑制空間およびマイクロ波乾燥空間を接続するマイクロ波搬送開口部を有し、
前記2つのマイクロ波側板の前記2つのマイクロ波搬送開口部と、前記チャネル仕切り部の前記仕切搬送開口部と、前記2つの外部搬送壁の前記2つのボックス搬送開口部とは、位置合わせされており、
前記マイクロ波抑制空間には、複数のマイクロ波抑制素子が取り付けられている
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記仕切搬送開口部は、細長い
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のマイクロ波乾燥装置において、
前記波進行チャネルは、
互いに平行であり、前記搬送方向に沿って配置された複数の直線セグメントと、
隣接する2つの前記直線セグメントを接続する複数の接続セグメントとを有している
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置。
【請求項9】
2つの吸引モジュールに接続されるように構成されている、マイクロ波乾燥装置の処理ボックスであって、
中空であり、
搬送方向に沿って互いに離れて配置され、それぞれがボックス搬送開口部を有する2つの外部搬送壁と、
前記2つの外部搬送壁の間に接続されており、前記搬送方向に沿って互いに離れて配置された2つの取付開口部を有する外部取付壁と、
前記2つの外部搬送壁の間に接続されており、前記処理ボックスにおいて前記外部取付壁と対向する外部密封壁と、
前記処理ボックス内に取り付けられ且つ互いに垂直方向に離れて配置され、前記処理ボックスの内部空間をマイクロ波乾燥空間と2つの吸引空間とに分割すると共に、複数の吸引孔が貫通して形成されている2つの吸引仕切り部と、
前記マイクロ波乾燥空間に取り付けられ、前記搬送方向に沿って互いに離れて配置され、前記マイクロ波乾燥空間内で蛇行して繰り返し前後に延びる波進行チャネルを形成する複数のチャネル仕切り部とを備え、
前記波進行チャネルの両端は、それぞれ前記2つの取付開口部に接続され、
前記マイクロ波乾燥空間は、前記2つの吸引仕切り部の間に形成され、前記2つの吸引空間の間に位置し、
前記2つの吸引仕切り部のそれぞれの前記吸引孔は、前記2つの吸引空間のうちの1つおよび前記波進行チャネルに繋がっており、
前記チャネル仕切り部のそれぞれは、前記2つの外部搬送壁の前記2つのボックス搬送開口部と位置合わせされた仕切搬送開口部を有しており、
前記2つの吸引空間は、それぞれ前記2つの吸引モジュールに接続されるように構成されている
ことを特徴とするマイクロ波乾燥装置の処理ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波乾燥装置、特に、ロールツーロール加工に適した連続薄膜マイクロ波乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、充電式電子機器の主流の選択肢である。分離膜は、リチウムイオン電池のアノードとカソードとの間に配置される。分離膜は、高分子材料、不織布またはセラミックで作られた多孔質薄膜である。分離膜の機能は、2つの電極を離して電気的短絡を防止すると同時に、電解液を吸収し、2つの電極間のイオン電荷の輸送を可能にすることである。リチウムイオン電池の性能は、分離膜に大きく依存する。
【0003】
組み立て後のリチウムイオン電池の性能を確保するために、分離膜は電解液を加える前に乾燥工程を経る必要がある。しかしながら、分離膜の従来の乾燥工程は時間がかかる。従来の乾燥工程では、セラミックまたは非セラミックの分離膜を乾燥チャンバーに3日間置く必要がある。従来の乾燥チャンバーは、特許文献1に開示されている。そして、十分な乾燥を達成するために、分離膜を真空オーブンでさらに8時間焼成する必要がある。したがって、従来の乾燥工程は非常に時間がかかる。さらに、分離膜は高温に耐えられないため、真空オーブン内の温度を100℃より高くすることはできず、乾燥時間の短縮は難しい。最後に、乾燥チャンバーと真空オーブンのサイズは非常に大きく、あまりにも多くのスペースを占める。
【0004】
欠点を克服するために、本発明は、前述の問題を軽減または取り除くためのマイクロ波乾燥装置およびその処理ボックスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】台湾特許第M567491号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、マイクロ波を使用して、分離膜の乾燥工程を大幅に短縮できるように、分離膜を均一かつ迅速に加熱および乾燥するマイクロ波乾燥装置およびその処理ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
マイクロ波乾燥装置は、処理ボックス、2つの吸引モジュール、および少なくとも1つのマイクロ波放射モジュールを有する。処理ボックスは、中空であり、2つの外部搬送壁、外部取付壁、外部密封壁、2つの吸引仕切り部、および複数のチャネル仕切り部を有する。2つの外部搬送壁は、搬送方向に沿って互いに離れて配置されている。外部搬送壁のそれぞれは、ボックス搬送開口部を有する。外部取付壁は、2つの外部搬送壁の間に接続され、2つの取付開口部を有する。2つの取付開口部は、搬送方向に沿って互いに離れて配置されている。外部密封壁は、2つの外部搬送壁の間に接続されている。外部取付壁と外部密封壁とは、それぞれ処理ボックスにおいて対向している。2つの吸引仕切り部は、処理ボックス内に取り付けられ且つ互いに垂直方向に離れて配置され、処理ボックスの内部空間をマイクロ波乾燥空間と2つの吸引空間とに分割する。複数の吸引孔は、2つの吸引仕切り部のそれぞれを貫通して形成されている。チャネル仕切り部は、マイクロ波乾燥空間に取り付けられている。チャネル仕切り部は、搬送方向に沿って互いに離れて配置され、マイクロ波乾燥空間内で蛇行して繰り返し前後に延びる波進行チャネルを形成する。波進行チャネルの両端は、それぞれ2つの取付開口部に接続されている。マイクロ波乾燥空間は、2つの吸引仕切り部の間に形成され、2つの吸引空間の間に位置している。2つの吸引仕切り部のそれぞれの吸引孔は、2つの吸引空間のうちの1つおよび波進行チャネルに繋がっている。チャネル仕切り部のそれぞれは、仕切搬送開口部を有する。チャネル仕切り部の仕切搬送開口部と、2つの外部搬送壁の2つのボックス搬送開口部とは位置合わせされている。2つの吸引モジュールは、それぞれ2つの吸引空間に接続されている。少なくとも1つのマイクロ波放射モジュールは、処理ボックスの外部取付壁に取り付けられ、波進行チャネルに向かってマイクロ波を放射する。
【0008】
本発明を使用する場合、被乾燥物質は、ボックス搬送開口部の1つを通して処理ボックスに供給される。そして、その物質は、仕切搬送開口部を介して加熱乾燥された波進行チャネルを通過し、最終的に他のボックス搬送開口部を通じて処理ボックスから出る。
【0009】
本発明の利点は、以下の通りである。
【0010】
第一に、被乾燥物質は、波進行チャネルを通過する際に加熱乾燥されるように、マイクロ波エネルギーを吸収する。マイクロ波は物質に容易に浸透することができ、物質の外層と内層を同時に加熱するので、本発明は、物質の乾燥にかかる時間を大幅に短縮することができる。本発明のサイズは、スペースを節約するために縮小することもできる。
【0011】
第二に、波進行チャネルの各セグメントは、隣接するセグメントとその側壁を共有している。つまり、各チャネルの仕切りは、2つのセグメントの側壁を同時に形成している。したがって、波進行チャネルは、より少ない材料で形成され、重量とコストが削減される。さらに、構造がよりコンパクトになるため、本発明のサイズをさらに小さくすることができる。
【0012】
第三に、2つの取付開口部が処理ボックスの同じ側に位置している。その結果、処理ボックスに2つのマイクロ波放射モジュールが搭載されていても、搬送方向に垂直な寸法であるマイクロ波乾燥装置の全幅は、マイクロ波放射モジュールが1つしか搭載されていないマイクロ波乾燥装置の全幅と同じになる。したがって、本発明の構造は、2つのマイクロ波放射モジュールが取り付けられる場合はよりコンパクトにすることができ、さらにスペースを節約することができる。
【0013】
第四に、吸引仕切り部を介して吸引空間を形成することにより、乾燥工程で発生する液体蒸気を吸引仕切り部の吸引孔を介して処理ボックスから迅速かつ均一に取り除くことができ、乾燥効率が向上する。
【0014】
本発明の他の目的、利点および新規の特徴は、添付の図面と併せて解釈すると、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明によるマイクロ波乾燥装置の斜視図である。
図2図2は、図1のマイクロ波乾燥装置の別の斜視図である。
図3図3は、図1のマイクロ波乾燥装置の分解図である。
図4図4は、マイクロ波乾燥装置の処理ボックスの上半分の分解図である。
図5図5は、図1のマイクロ波乾燥装置の上面図である。
図6図6は、図1のマイクロ波乾燥装置の部分的な上面断面図である。
図7図7は、図1のマイクロ波乾燥装置の側断面図である。
図8図8は、図1のマイクロ波乾燥装置の一部を別の方向から視た側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2を参照するに、本発明によるマイクロ波乾燥装置は、処理ボックス10、2つのマイクロ波放射モジュール20および2つの吸引モジュール30を備える。好ましい実施形態では、本発明は、リチウムイオン電池を製造するためのロールツーロール加工で分離膜Aを乾燥させるのに適している。別の好ましい実施形態では、本発明は、あらゆる種類の長い薄膜を処理するように適合させることができる。さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、コンベヤベルトを一体化することにより、長くて薄いフィルムではない物質を乾燥させるのに適合させることができる。
【0017】
図1図3図5および図7を参照するに、処理ボックス10は、中空であり、2つの外部搬送壁101、外部取付壁102、外部密封壁103、上壁104、底壁105、2つの吸引仕切り部11、および複数のチャネル仕切り部12を有する。好ましい実施形態では、処理ボックス10は、さらに2つのマイクロ波側板13を有する。2つの外部搬送壁101は、搬送方向Dに沿って互いに離れて配置されている。外部搬送壁101のそれぞれは、好ましくは細長いボックス搬送開口部106を有する。
【0018】
外部取付壁102は、2つの外部搬送壁101の間に接続され、好ましくは、2つの外部搬送壁101に対して垂直である。外部取付壁102は、2つの取付開口部107を有する。2つの取付開口部107は、搬送方向Dに沿って互いに離間して配置され、処理ボックス10の同じ側に配置されている。
【0019】
外部密封壁103は、2つの外部搬送壁101の間に接続されている。外部取付壁102および外部密封壁103は、それぞれ処理ボックス10において対向する位置に配置されている。好ましい実施形態では、図3に示すように、実質的に対称な2つの機械加工された金属ブロックを一緒に組み立てて処理ボックス10を形成し、したがって、前記2つの金属ブロックを組み立てることで処理ボックス10のほとんどの構造が形成される。
【0020】
図4図7および図8を参照するに、2つの吸引仕切り部11は、処理ボックス10内に取り付けられており、互いに垂直方向に離れて配置され、処理ボックス10の内部空間をマイクロ波乾燥空間16と2つの吸引空間とに区画している。2つの吸引空間は、それぞれ上部吸引空間14と下部吸引空間15である。マイクロ波乾燥空間16は、2つの吸引仕切り部11の間に形成され、2つの吸引空間の間に位置する。
【0021】
具体的には、一方の吸引仕切り部11は、処理ボックス10の上壁104から離れて配置されて上部吸引空間14を形成し、他方の吸引仕切り部11は、処理ボックス10の底壁105から離れて配置されて下部吸引空間15を形成している。複数の吸引孔111は、吸引仕切り部11のそれぞれを貫通して形成されている。吸引孔111は、搬送方向Dに沿って延びる細い孔であることが好ましい。
【0022】
マイクロ波乾燥空間16内の液体蒸気を吸引仕切り部11の吸引孔111を介して迅速かつ均一に除去できるように、2つの吸引モジュール30の一方は上部吸引空間14に接続され、2つの吸引モジュール30の他方は下部吸引空間15に接続されている。吸引モジュール30は従来のものであり、そのため、図では吸引モジュール30の吸引管のみを部分的に示している。
【0023】
図3図6および図8を参照するに、2つのマイクロ波側板13は、処理ボックス10に取り付けられている。2つのマイクロ波側板13は、それぞれ2つの外部搬送壁101に対応する。2つのマイクロ波側板13のそれぞれは、対応する外部搬送壁101から離れて配置され、マイクロ波抑制空間17を形成している。マイクロ波抑制空間17には、複数のマイクロ波抑制素子171が取り付けられている。マイクロ波抑制空間17のそれぞれにおいて、マイクロ波抑制素子171は、これに限定されないが、整然と配置されている。
【0024】
マイクロ波乾燥空間16は、2つのマイクロ波側板13の間に形成され、2つのマイクロ波抑制空間17の間に位置する。マイクロ波側板13のそれぞれは、対応する1つのマイクロ波抑制空間17およびマイクロ波乾燥空間16を接続する(図8に示されるような)マイクロ波搬送開口部131を有する。つまり、マイクロ波抑制空間17は、マイクロ波乾燥空間16と外部搬送壁101との間にマイクロ波側板13が取り付けられて形成されている。したがって、マイクロ波乾燥空間16内のマイクロ波は、必然的にマイクロ波搬送開口部131を介してマイクロ波抑制空間17に漏洩するが、マイクロ波抑制空間17とマイクロ波抑制素子171との組み合わせにより、マイクロ波がさらに外部搬送壁101のボックス搬送開口部106を介して外部環境に漏洩することを防止することができる。
【0025】
図3図6および図8を参照するに、チャネル仕切り部12は、マイクロ波乾燥空間16に取り付けられている。チャネル仕切り部12は、搬送方向Dに沿って互いに離間して配置され、波進行チャネル41を形成している。波進行チャネル41は、マイクロ波乾燥空間16内で蛇行し、繰り返し前後に延びる。波進行チャネル41の2つの対向する端部は、2つの取付開口部107にそれぞれ接続されている。
【0026】
具体的には、チャネル仕切り部12は、搬送方向Dに垂直な細長い板である。チャネル仕切り部12の半分は、外部取付壁102に接続され、外部密封壁103から離れて配置され、その結果、チャネル仕切り部12の前記半分は、外部取付壁102から突出して、外部密封壁103に向かって延びている。チャネル仕切り部12の他の半分は、外部密封壁103に接続され、外部取付壁102から離れて配置され、その結果、チャネル仕切り部12の前記半分は、外部密封壁103から突出して、外部取付壁102に向かって延びている。
【0027】
波進行チャネル41は、チャネル仕切り部12によって規定される複数の直線セグメント411および複数の接続セグメント412を有するが、これらに限定されない。直線セグメント411は、互いに平行であり、搬送方向Dに沿って配置される。接続セグメント412のそれぞれは、隣接する2つの直線セグメント411を接続し、正確には、接続セグメント412のそれぞれは、隣接する2つの直線セグメント411のうちの1つの端部と他の1つの端部とを接続する。好ましい実施形態では、2つの吸引仕切り部11は、それぞれ波進行チャネル41の上面および底面を形成している。
【0028】
図3図7および図8に示すように、チャネル仕切り部12のそれぞれは、好ましくは細長い仕切搬送開口部121を有する。2つのボックス搬送開口部106の一方、2つのマイクロ波搬送開口部131の一方、仕切搬送開口部121、2つのマイクロ波搬送開口部131の他方、および2つのボックス搬送開口部106の他方は、分離膜Aが通過するために位置合わせされて配置されている。さらに、前述の搬送開口部106、131、121は、細長いことが好ましい。また、各吸引仕切り部11の吸引孔111は、対応する吸引空間と波進行チャネル41とに連通している。
【0029】
図1図5および図6に示すように、2つのマイクロ波放射モジュール20は、処理ボックス10の外部取付壁102に取り付けられ、それぞれ2つの取付開口部107を介して波進行チャネル41に向かってマイクロ波を放射する。マイクロ波放射モジュール20から放射されたマイクロ波は、波進行チャネル41において進行波を形成し、分離膜Aの幅に沿って分離膜Aを均一に乾燥させることができる。より少ない乾燥能力しか必要としない別の好ましい実施形態では、マイクロ波放射モジュール20の数は1つでもよく、マイクロ波放射モジュール20は、2つの取付開口部107のうちの1つに向かってマイクロ波を放射する。
【0030】
さらに、実験的証拠に基づいて、2つのマイクロ波放射モジュール20が波進行チャネル41の両端にそれぞれ取り付けられた場合、2つのマイクロ波放射モジュール20によって放射されるマイクロ波は互いに容易に干渉し、その結果、位相同期が生じる。位相同期により波進行チャネル41には定常波が形成され、分離膜Aの乾燥の均一性に影響を与える。
【0031】
位相同期を緩和し、乾燥の均一性を確保するために、2つのマイクロ波放射モジュール20は、互いに異なる周波数のマイクロ波を放射する。より良い性能を達成するための好ましい実施形態としては、2つのマイクロ波放射モジュール20の一方は、周波数が2455~2465MHz(メガヘルツ)のマイクロ波を放射し、2つのマイクロ波放射モジュール20の他方は、周波数が2435~2445MHzのマイクロ波を放射する。マイクロ波放射モジュール20が1つしかない別の好ましい実施形態では、マイクロ波の周波数は、好ましくは2420~2480MHzである。
【0032】
好ましい実施形態では、2つのマイクロ波放射モジュール20のそれぞれは、マイクロ波源21および2つのサーキュレータ22を有する。2つのサーキュレータ22は、マイクロ波源21と対応する取付開口部107との間に直列に接続される。マイクロ波放射モジュール20の1つのサーキュレータ22は、波進行チャネル41の他端に取り付けられたマイクロ波源21によって放射されたマイクロ波を吸収する。その結果、サーキュレータ22は、2つのマイクロ波放射モジュール20の2つのマイクロ波源21を絶縁し、そのため、マイクロ波源21が保護され、位相同期が軽減される。
【0033】
実験的証拠に基づけば、マイクロ波放射モジュール20の1つのサーキュレータ22が対応する取付開口部107から対応するマイクロ波源21へ負(マイナス)の40dB以上の全体的な絶縁を付与するとき、2つのマイクロ波源21の周波数は適切にずらされている。しかしながら、標準的な商業グレードのサーキュレータ22によって付与される絶縁は、おおよそ23dBであり、したがって、好ましい実施形態における各マイクロ波放射モジュール20は、全体的に負の40dBを超える絶縁を付与するために直列に接続された2つのサーキュレータ22を有する。
【0034】
単一のサーキュレータ22が負の40dBを超える絶縁を付与する場合、マイクロ波放射モジュール20には1つのサーキュレータ22のみが必要である。マイクロ波放射モジュール20が1つしかない好ましい実施形態では、位相同期は問題ではない。
【0035】
図1図5および図8に示すように、本発明を使用する場合、分離膜Aを搬送方向に沿って処理ボックス10に挿入し、分離膜Aを適切に真っ直ぐにする。次に、吸引モジュール30、マイクロ波放射モジュール20を順に作動させ、最後に分離膜Aの搬送を開始する。マイクロ波放射モジュール20が放射したマイクロ波は、分離膜A内の液体を蒸発させて、分離膜Aを乾燥させる。乾燥工程中に発生した液体蒸気は、吸引孔111および吸引空間14,15を介して吸引モジュール30によって除去される。
【0036】
実験的証拠に基づけば、本発明の乾燥能力はおよそ毎分10メートルであり、これは分離膜Aの乾燥速度を大幅に改善する。波進行チャネル41に直線セグメント411をさらに追加することにより、乾燥速度をさらに高めることができる。直線セグメント411が増加するにつれて、乾燥速度は比例して増加する。
【0037】
本発明のもう1つの利点は、2つの吸引仕切り部11をマイクロ波乾燥空間16の上部および下部にそれぞれ取り付けることにより、分離膜Aの両面の吸引力が2つの吸引モジュールの場合と実質的に同じであることである。これにより、吸引力の偏りによる分離膜Aの変位や変形による分離膜Aと処理ボックス10との擦れが防止される。別の好ましい実施形態では、吸引仕切り部11および吸引空間はそれぞれ1つであってもよい。マイクロ波乾燥空間16は、吸引仕切り部11が1つでも複数でも1つである。
【0038】
要約すると、本発明は、マイクロ波を使用して分離膜Aを乾燥させることにより、乾燥速度を大幅に増加させる。さらに、チャネル仕切り部12を使用して蛇行する波進行チャネル41を形成し、2つの取付開口部107を処理ボックス10の同じ側に配置することにより、本発明の構造は、よりコンパクトになり、スペースを節約し、重量を軽減し、コストを削減する。
【0039】
本発明の多くの特徴および利点が、本発明の構造および特徴の詳細と共に前述の説明に記載されていたとしても、開示は例示にすぎない。添付の特許請求の範囲に記載される用語の幅広い一般的な意味によって示される本発明の原理内の詳細、特に形状、サイズ、および部品の配置について、変更が行われ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8