(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】印刷システムの中間転写部材を通すための装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 213
(21)【出願番号】P 2020194999
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2017553243の分割
【原出願日】2016-04-14
【審査請求日】2020-11-25
(32)【優先日】2015-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シュマイサー,アハロン
(72)【発明者】
【氏名】モスコヴィッチ,サギ
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンステイン,ゾハー
(72)【発明者】
【氏名】バー‐オン,マタン
(72)【発明者】
【氏名】カツィア,イフタク
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/136220(WO,A1)
【文献】特開平05-192871(JP,A)
【文献】特開平09-281851(JP,A)
【文献】特開2007-025246(JP,A)
【文献】特表2009-532240(JP,A)
【文献】特開平5-249870(JP,A)
【文献】特開昭48-007471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムのための中間転写部材(以下、ITMという)であって、前記ITMはエンドレスベルトを備え、前記エンドレスベルトは、細長いストリップを前記印刷システムに通しかつ継ぎ目において前記ストリップの2つの両端部を接合することにより形成されるように構成され、前記細長いストリップは:
a.始端部であって、前記ストリップを前記始端部から引くことにより前記ストリップが前記印刷システムを通るように構成される、始端部;
b.前記ストリップの端部に沿って提供される外側の構成物であって、前記外側の構成物は前記印刷システムのチャンネル内に受け入れられるように適合され、それによって前記ストリップをガイドするとともに、前記始端部上の前記外側の構成物と係合する形状-固定の係合のための形状をした横方向に突出したくわえ爪をそれぞれ有する2つの駆動部材によって駆動される場合に、横方向のテンションがかかった状態を維持する、外側の構成物、
を備え、
(I)前記ストリップの前記両端は接合テープを受けるように構成される切取り部により形成されて継ぎ目を形成し、かつ前記継ぎ目の長さ全体にわたって前記中間転写部材の厚さを均一に維持しつつ、前記継ぎ目で前記両端が接合されるように構成され
、かつ
(II)前記ストリップの前記始端部はV字形の切り欠きを有する、
中間転写部材。
【請求項2】
前記始端部が前記ストリップの一方の端部と分離可能に接合されているリーダーの一部として形成される、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項3】
前記外側の構成物は前記ストリップよりも厚みが大きい、請求項1に記載の中間転写部材。
【請求項4】
印刷システムで使用するための中間転写部材(ITM)を形成する方法であって、前記印刷システムは細長いストリップを備え、前記細長いストリップは前記細長いストリップに沿って提供される外側の構成物を有し、前記方法は:
a前記印刷システムのそれぞれのチャンネル内に配置されたそれぞれの駆動部材から横方向に突出した2つのくわえ爪と、前記細長いストリップの始端部を接続する工程であって、前記くわえ爪は前記外側の構成物と形状-固定の係合のための形状を有する、工程a;
b前記印刷システムの複数のステーションに前記ストリップの前記始端部を通すように互いに同期して、駆動部材を回転させる工程であって、それによって前記外側の構成物が前記チャンネル内に受け入れられるようにして前記ストリップをガイドし、かつ横方向のテンションを維持するように構成される、工程b;
c前記ストリップを前記印刷システムに通した後に、前記ストリップの両端部を互いに接合させてエンドレスベルトを形成する工程c、
を包含し、
i 前記工程cにおいて、前記ストリップの両端部は切取られ、かつ
ii前記工程cにおいて、接合させる工程は前記ストリップの両端部の切取り部内に、テープを張り付ける工程を含み、それによって前記中間転写部材の厚さを均一に維持しつつ、継ぎ目を形成することを特徴とする、
方法。
【請求項5】
前記始端部は前記ストリップの一方の端部を分離可能に接続するリーダーの一部として形成される、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程cの接合させる工程の前に、前記リーダーを前記ストリップの残り部分から分離する工程をさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記始端部がV-字形状を有する、請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
前記始端部はV字形の切り欠きを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記外側の構成物は前記ストリップよりも厚みが大きい、請求項
4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷システムに関し、そこではインクの液滴がイメージ形成ステーションにて移動可能な中間転写部材の上に堆積され、インプレッション・ステーションにおいて中間転写部材から印刷基材上へと転写される。具体的には、本開示は中間転写部材を印刷システムの様々なステーションの間を通すための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、水性キャリアを有するインクから形成されたイメージが、再循環する中間転写部材の上に噴射され、インプレッション・ステーションにイメージを搬送して、そこで所望の印刷基材(例えば、紙、ダンボール、樹脂フィルム、等)に転写される印刷システムおよび工程を以前に開示した。インクを印刷基材に直接堆積させるインクジェットプリンターと異なり、このようなシステムは、中間転写部材の表面とインクジェットプリントヘッドとの間の距離を一定に保つことができ、そしてインクが基材へ転写される前の中間転写部材によって搬送される間、インクが乾燥され基材の湿潤を減少させる。その結果、基材上の最終的な画像品質は、基材の物理特性による影響が少なく、画像が基材表面の上に残ることにより、他の様々な利点をもたらす。このようなシステムのより詳細については、参考として本明細書に組み込まれている2013年3月5日に出願のWO2013/132418に開示されている。
【0003】
本開示は、このような印刷システムにおける中間転写部材の初期導入、および交換の必要が生じた時に印刷システムの様々な部品を取り外すことなく交換することを補佐するための装置に関する。
【0004】
イメージ形成ステーションにおいて、このような印刷システム内の中間転写部材は、プリントヘッドとそれ自体の支持体と駆動システムとの間の狭い隙間を通過する必要があり、また、緊張を保ちつつプリントヘッドからの固定した距離を維持する必要がある。これを得るために、WO2013/132418では
図11において、この構成物が中間転写部材の外側縁に沿ってどのように提供されることができるかを説明しており、この構成物は後述の
図12で示されている、例えば、C字形の断面を有するガイドチャンネルで受けられている。この構成物は、中間転写部材のそれぞれの外側縁に取り付く、ガイドチャンネル内を正しく動く2つのファスナーの一端の歯、または他の種類の「ビーズ」であることができ、また、そのガイドチャンネル内での係合は、続いて通る中間転写部材の経路を確保するため、と横方向の張力を維持するための両方として働く。
【0005】
中間転写部材は、一旦導入されると継ぎ合わされ、長いストリップ、実際にはブランケットとも称される部品として機能し始める。後者の呼称は、導入された中間転写部材もブランケットと呼ばれることがあるので、本明細書においては使用しないことにする。このストリップは、印刷システムの様々なステーションを通り、全体経路を通過した後、そのストリップの端は、必要であれば正しい長さに切断され、そして連続したループを形成するために両端が互いに接合される。当該ストリップの両端部は、はんだ付け、接着、(例えば、カプトン(Kapton)(登録商標)テープ、室温硬化液体接着剤、またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)熱可塑性接着剤をストリップの両端に重なる接着片と共に使用する)テープ止めまたは他の既知の方法によって互いに貼り付けられることができる。中間転写部材を形成するためのブランケットストリップの両端を接合する方法は、本明細書において継ぎ目と称される不連続性を生じることがある。
【0006】
この継ぎ目は異なる種類となり得る。特に、当該両端部は互いに重ねられるか、または両端を覆うようにパッチが貼付されてもよい。いずれの場合も、厚みを減らすために、これら継ぎ目は、続けて研磨などで処理される。
【0007】
このストリップを印刷システムへ送るために、本出願人によるWO2013/136220においては、ストリップの外側縁の構成物を掴み、そしてその2つの外側縁を同速度でそれぞれのガイド内へ進めるために、ガイドチャンネル内に挿入部を設け、外部通過機構を取付ける方法を、後者文献の
図9および10に示して提案されている。しかしながら、そのような通過機構の補助があったとしても、合流抵抗での座屈や障害物によって中間転写部材を挿入することが困難であることが分かった。
【0008】
WO2013/136220(
図13を参照)においては、1つまたは両方のトラックに恒久的に収容されるケーブルのループを提供することもまた提案されている。その目的は、交換ベルトの先端をケーブルに固定し、そしてケーブルを使ってストリップを様々なトラックを通して供給することである。通常使用の間は、ケーブルはトラック内に静止した状態のままで、新たな中間転写部材を取付ける間のみ回転される。
【0009】
ケーブルループの使用は、十分でないことが分かり、従って本開示は、間接印刷システム内の中間転写部材を導入および交換する作業を簡素化することを目的としている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によると、インクイメージが中間転写部材の上に堆積されるイメージ形成ステーションからインクイメージが印刷基材の上へ転写されるインプレッション・ステーションへとインクイメージを運搬するためのエンドレスベルトの形態の中間転写部材を有する印刷システムが提供されており、当該ベルトは、その両端に沿ってベルトよりも厚みが大きい構成物を有し、構成物がベルトを誘導するためのチャンネルによって受けられ、ベルトの横方向のテンションを維持しており、当該印刷システムは、それぞれが対応する1つのチャンネルの内部に位置する2つのエンドレス駆動部材を更に備え、2つのエンドレス駆動部材は互いに同期する動作のために接続されており、そのそれぞれが、中間転写部材が形成されるストリップの先端にある構成物との係止を形成するための形状をした横方向に突出するくわえ爪を有し、新しい中間転写部材を導入する間の駆動部材の回転が、ストリップの先端を引くことによってストリップを印刷システムに通すことを可能にしている。
【0011】
本提案における通し機構は、中間転写部材を形成するためのストリップが、その所望の経路に沿って後ろから押されることに代わり、その先端が引かれて印刷システムを通るという点で、WO2013/136220の
図9および10の開示と異なっている。当該ストリップは、従って長手方向の緊張が維持され、そのことによってストリップの先端が抵抗や障害に直面した場合のストリップの座屈が回避される。
【0012】
本開示は、ストリップ上の構成物を係合するくわえ爪を使用するという点でWO2013/136220の
図13に示される実施形態と異なっている。このことは、ストリップが片側に引っ張られる傾向を回避するために、2つのくわえ爪から延びる想像線がストリップの縦軸に正確に垂直になることを確かなものにする。更に、くわえ爪は、ストリップの先端の外側縁に配置される構成物と係合できることから、ストリップを印刷システムに通すために使用される駆動部材に接合するために必要な特別な調整することなく、ストリップが連続紙から切り取られることができる。
【0013】
いくつかの実施形態において、駆動部材は、ケーブルの代わりにチェーンまたは歯付きベルトの形態を有する。これらは歯付き駆動輪または歯車によって駆動されることから、滑りが避けられ、このことは、ストリップが常に両側を正確に同一速度で引かれることを確かなものにする。
【0014】
ガイドチャンネル内のストリップ先端の外側縁の係合にもかかわらず、ストリップの始端部は未だストリップの中心線においてたわむことがあり、ストリップが通されるべき、狭い隙間のいくつかには通すことが困難であることを示している。
【0015】
この作業を補佐するため、本発明のいくつかの実施形態においては、ストリップの始端部が角度を付けて切断されており、ストリップの外側縁に対して垂直でない。
【0016】
過度に傾斜した先端は、中間転写部材の使用不能な継ぎ目領域が増えることを回避するために、印刷システムを通された後にトリミングされる必要がある。スムーズに通す利点を維持しつつ、このようなトリミングによる無駄を最小限にするために、1つの部分がストリップの幅全体を横切って延びる傾斜の代わりに、2つの部分がストリップの外側縁に対して傾斜したV字形の切り欠けを有する始端部を形成することが都合良い。
【0017】
中間転写部材を通した後、その両端は正しい長さとするためにトリミングされ、継ぎ目を形成するために互いに接合される。その継ぎ目は、ストリップの外側縁に対して垂直な角度から少しオフセットした角度で延びることが好ましい。この角度部分は、中間転写部材の残りの部分と同じ厚さを持たない継ぎ目の幅全体となり、中間転写部材の駆動ローラーを同時に通り、中間転写部材に急なテンションの変化をもたらさないようにしなければならない。この角度は、このようなテンションの変化を回避することと、使用不能な継ぎ目部分の長さを増加させることとの間の折り合いで選択される。
【0018】
印刷システムに通された後、ストリップの両端に継ぎ目を形成する助けとして、切断され互いに結合されるストリップの両端を支えるための印刷システムに支持プレートが設けられ、中間転写部材の導入後に支持プレートは中間転写部材に接触しない。
【0019】
代替的にストリップの先端は暫定的に取り外し可能なリーダーに取付けられることができる。当該リーダーは、駆動部材のくわえ爪に適合する外側の構成物を有することができ、ストリップの先端に取外し可能に取付けられることができる。取り外し可能なリーダーは、先端のために上述のように形成される一方で、代替的または追加的に、導入される中間転写部材に較べ、たわみのないようになる素材で製造されることができる。当該リーダーは、印刷システムの隣接する部品に干渉することなくストリップを狭い隙間へ通すことができるようにするために十分に剛性だが、中間転写部材が続いて通る通路に沿って存在する湾曲した外側のガイドチャンネル内で曲げるために十分に可撓性な材料で製造されることができる。以下、特に文脈で明らかにしていない場合、先端が相互にという用語は、ストリップの一体化した先端が導入されており、また取り外し可能リーダーが暫定的に端部に取付けられていることを言う。
【0020】
取り外し可能なリーダーがストリップに取付けられると、ストリップは所定の長さを有することができ、その両端は、ベルトが継ぎ目においてその残り部分に沿って実質的に同一の厚みを有するようにするために形成されることができる。これは、2つの切取り部を組み合わせた幅、および切取り部の深さに合った厚みと同一幅を有するテープを受けるために、各端部の後部表面に切取り部を形成することで達成されることができる。このように、ストリップの2つの端部を接合するために使用されるテープは、ストリップの上に横たわる代わりに、ストリップ内に引っ込み、そして、そうすることで中間転写部材を継ぎ目で厚みを増すことがない。
【0021】
本開示の第2の態様によると、中間転写部材の印刷システムへの導入方法が提供されており、当該印刷システムは、インクイメージが中間転写部材の上に堆積されるイメージ形成ステーションからインクイメージが印刷基材の上に転写されるインプレッション・ステーションへインクイメージを搬送するためのエンドレスベルトの形態の中間転写部材を有しており、当該ベルトは、その端部に沿ってベルトより大きな厚みの構成物を有し、構成物はベルトを誘導するためにチャンネル内で受けられてベルトの横方向のテンションを維持し、当該方法には、中間転写部材の周長を超える長さに延びたストリップを提供すること、ストリップの先端を、2つの駆動部材から横方向に突出した、それぞれが2つのうちの対応するチャンネル内に配置された2つのくわえ爪に、構成物をストリップの先端に2つのくわえ爪と共に係合することによって結合すること、ストリップの先端を印刷システムのステーションを通すために、駆動部材を互いに同期させて回転させること、および、ストリップが印刷システムを通された後にエンドレス中間転写部材を形成するためにストリップの両端を互いに接合することが含まれている。
【0022】
一実施形態においては、ストリップが分離可能なリーダーを有し、ストリップの両端が切り取られており、継ぎ目を形成するために、中間転写部材の厚さの均一性を維持しつつストリップの端部の切り取り部内にテープを貼ることによって互いを接合している。「切り取られた」とは、ストリップの両端の厚みを、研磨などによって減少させ、ストリップの両端が互いに接するときにテープを受けるための凹みを形成することを意味している。
【0023】
本開示の第3の態様によると、中間転写部材を備えた印刷システムが提供され、中間転写部材は、インクイメージが、中間転写部材へ堆積されるイメージ形成ステーションからインクイメージが印刷基材へ転写されるインプレッション・ステーションへインクイメージを搬送するためのエンドレスベルトの形態であり、当該ベルトは、その端に沿って前記ベルトより厚みの大きな構成物を有し、構成物はチャンネルで受けられベルトを誘導し、ベルトの横方向のテンションを維持し、更に印刷システムは、それぞれが1つのチャンネル内に位置する2つのエンドレス駆動部材を備え、2つの駆動部材は互いに同期する動きのために接続されており、新しい中間転写部材を導入する間の駆動部材の回転が、ストリップを通すために動作可能となっており、そこからストリップをその先端から引くことによって印刷システムを通して中間転写部材が形成され、ストリップの反対側の両端には、接合テープを受け、継ぎ目を形成するための切取り部が形成され、中間転写部材の厚みを全長に渡って一定に維持しながら継ぎ目において接合されている。
【0024】
本開示の第4の態様によると、インクイメージが中間転写部材の上に堆積されるイメージ形成ステーションからインクイメージが印刷基材に転写されるインプレッション・ステーションへ前記インクイメージを搬送するためのエンドレスベルトの形態としての中間転写部材を有する印刷システムへ中間転写部材を導入する方法が提供されており、方法には、中間転写部材の周長に対応した所定の長さの細長いストリップを提供すること、ストリップを印刷システムに通すこと、両末端部に沿って切取り部を提供すること、および切取り部内に貼られ、ストリップの両端に固定され、実質的にストリップと同一の厚みを有するように継ぎ目を形成するテープ接合の手段によって両末端部を互いに接合すること、が含まれている。
【0025】
前記ストリップの前記両末端部は、前記ストリップを前記印刷システムに通す前に切り取られることができ、リーダーは、前記ストリップを前記印刷システムに通すことを補助するために2つの切取られたストリップの前記末端部のうち1つに取外し可能に固定されることができる。
【0026】
本発明は、添付図面を参照しながら、例として、更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】中間転写部材の支持システムの断面を示す図である。
【
図2】
図1に示す支持システムの一端の斜視図である。
【
図3】中間転写部材の外側縁の上を構成物と並行して延びる駆動部材の1つを有する中間転写部材のガイドチャンネルの1つの断面を示す図である。
【
図5】印刷システムへ通され中間転写部材を形成するストリップの先端を示す図である。
【
図6】ストリップの端が、その全長に渡って中間転写部材の厚さを均等に維持しつつ、継ぎ目において接合されることができる方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図示の簡素化と明確化のために、図に示される部品は必ずしも縮尺に合わせていないことを理解されよう。例えば、いくつかの部品の寸法は、他の部品に対して、明確さのために誇張されることができる。更に、適切と考えられる場合、参照番号は、同一の構成部品を示すために図の中で繰り返すことができるが、すべての図の説明のなかで参照されなくてもよい。
【0029】
図1および
図2に示される中間転写部材支持システム10は、中間転写部材が閉じたループに追従し、印刷システムの様々なステーションを通過することを制限するために、中間転写部材18のそれぞれの側に1つ配置される2つの側方枠12および14、並びに2つの枠12と14の間を横方向に延びる様々な支持、駆動、テンション調整ローラー16を備えている。印刷システムの残りの部分、および中間転写部材支持システムの更なる詳細は、先行技術において詳細に記述されており、従って本文脈では繰り返される必要はない。本質的に、20で指定されている領域においては、中間転写部材が、イメージを形成するために中間転写部材の上にインクが堆積されるイメージ形成ステーションの下を通過する。中間転写部材は、図から分かるように、インクキャリアを蒸発させるために湿ったイメージが熱せられる22で指定される領域へインクイメージを搬送するために、時計回りに回転し、粘着性樹脂フィルムを残す。下側搬送路に沿って、中間転写部材は、基材に対して中間転写部材が押しつけられる1つまたは複数のインプレッション・ステーションを通過し、粘着性フィルムが中間転写部材から分離して表面基材へと転写される。
【0030】
中間転写部材支持システム10は、領域20および22を通過するとき、およびインプレッション・ステーションのニップ部に近づくときに、中間転写部材が実質的に平らで緊張した状態を維持することを確実にするよう設計されている。この目的を達成するために、中間転写部材18の端部は、
図3および4に示されるファスナー歯の形態の構成物30を有する。その構成物30は、転写部材18より厚く、側方枠12および14に固定されたC字形のガイドチャンネル32で受けられている。ガイドチャンネル32が
図1に示され、それらの支持システムにおける位置が
図2に示されている。構成物30およびガイドチャンネル32の更なる詳細は、WO2013/132418に開示され、その文献の
図11および12に示されている。ガイドチャンネルは、外側の構成物とガイドチャネルに適合性があり、中間転写部材を導くことに適しており、印刷システムの稼働中に中間転写部材を横方向の張力未満に維持する限り、あらゆる代替的な断面形状を有することができると理解するべきである。
【0031】
中間転写部材18は、ストリップ18’を印刷システムに通すことで導入され、継ぎ合わされたエンドレスループを形成するために、その両端を継ぎ合わせて互いに接合する。本開示は、この作業の簡素化に関する。この作業は製造中だけでなく、使用中にも時折、中間転写部材が摩耗にさらされると実施される必要がある。
【0032】
新規の、または交換用の中間転写部材18の導入は、
図1で確認できるように、その外側の構成物30をガイドチャンネル32内に導入する必要があり、これらを連続的にする必要がないことによって困難になる。それらは中間転写部材の横方向のテンションを維持することから、ガイドチャンネル32内の構成物30の係合は、抵抗を生じ、中間転写部材を導入するストリップ18’が通ることをより困難にする。
【0033】
この問題を緩和するため、開示された実施形態においては、中間転写部材18の端部に沿って、好ましくはC字形チャネル32の密閉された断面内にスプロケット52を通過するチェーン50という形態で、2つのエンドレス駆動部材が提供されている。スプロケットを通るチェーンとの言及は、本明細書においては、歯付きプーリーを通る歯付きベルトと同等のものを含むことが意図されている。各チェーン50は、それぞれ側面に突出する、
図4で最も詳しく示される、くわえ爪54を有しており、中間転写部材のストリップ18’の構成物30をその先端にてロックする形態で係合する。くわえ爪54が、ストリップ18’の始端部にある構成物を係合した後、2本のエンドレスチェーン50は、
図3の矢印で示される方向へストリップ18’をその先端で引いて、印刷システムの様々なステーションを通すために駆動される。2本のチェーン50が同期して動くことを確実にするために、2つの駆動スプロケット52が、手動運転用のクランクや自動化の作業に適したモータに結合する共通の軸上に取付けられる。
【0034】
中間転写部材18は、いくつかの位置で、幅が通常、約1000mmで、厚さが2mm程度の隙間を通される必要がある。従って、ストリップの始端部18’のたるみが印刷システムを通されると問題を生じることがある。これは
図5に示される方法でV字形切り欠き60をストリップの始端部に形成することで緩和される。
【0035】
一旦、ストリップが印刷システム全体をめぐるように引き込まれ、その先端が
図2に示される支持システムの端へ届くと、ストリップのもう一方の端は支持プレート62上に置かれ、互いに接合して
図5に示すような傾斜線64に沿って延びる継ぎ目を形成する。継ぎ目が形成された後、中間転写部材を所望の長手方向のテンションを維持するためにテンションローラーが延び、印刷システムの運転中に静止を保つ、くわえ爪54からの間隔を開ける。
【0036】
継ぎ目を形成するために、ストリップ18’の両端を支持プレート62の上に互いに重なり合うように置き、傾斜線64に沿って切断される。支持プレート62の上に切り口と接するように置かれる間、所望の接合を形成するために接着テープが両端部に置かれることができる。このような両端を形成する方法は、厚さを増した継ぎ目をもたらし、そのことで駆動ローラー上を、またはインプレッション・ステーションを通過するときに急な張力の変化を生じないようにし、切断線64は
図5に示すような状態で傾斜することができる。
【0037】
中間転写部材の厚みを増すことなく継ぎ目を形成することは、別の方法で可能であり、それは
図6に示されている。この場合、ストリップ18’は所定の長さにされ、分離可能なリーダーにその先端が取付けられる。ストリップ18’固有の両端の先導19および後続21が、2つの切取り部72と同じ幅であるテープ75を受けるための切取り部70を形成するために削り取られる。テープ72は、ストリップ18’の両端に接着剤の層74によって固定される。
【0038】
ストリップ18’の厚さが約550μmである一実施形態においては、ストリップの端部の切取り部は200μmの深さを有することができる。切取り部は、接着層74の厚みのために50μmを残して、約150μmの厚みを有するテープを収容することができる。
【0039】
分離可能なリーダーは、可撓性材料で作製されていることで中間転写部材の進路を追随することができるが、ストリップ18’より堅い材料で作製されることによってたわみを生じる可能性を少なくすることができる。リーダーは、
図5に示されるようにV字形の始端部を有することができ、ストリップ18’の両側上の構成物と連続的となるような構成物を有するようになる。
【0040】
上述のイメージ形成ステーションとインプレッション・ステーションに加えて、印刷システムは、それぞれ中間転写部材を処理および/または洗浄をする処理ステーションおよび/または洗浄ステーション、液体キャリアをインクイメージから蒸発するための乾燥ステーション、中間転写部材の温度をその進路に沿って変化させる冷却または加熱ステーション、印刷基材を更に処理するための仕上げステーション、等を更に備えることができると理解されている。このようなステーションのすべてを、本文脈で詳細に考慮する必要はない。
【0041】
本発明の特定の実施形態は、説明を明瞭にするために、別個の実施形態の内容の中で説明されているが、1つの実施形態として組み合わせて提供することができると理解されている。逆に、本発明の様々な機能は、説明を簡潔にするために、1つの実施形態の内容の中で説明されているが、別々に提供、または任意の好適なサブコンビネーション、または他の任意の説明された本発明の実施形態であってもよい。様々な実施形態の文脈の中で説明された特定な機能は、これら要素なしに実施形態が動作不能でない限り、これら実施形態の本質的な機能と考えられるわけではない。
【0042】
本開示は、そこに提示された様々な具体的実施形態について例示のためにのみ説明されており、そのような具体的に開示された実施形態は限定するものと考えられるべきではない。他の多くのそのような実施形態の代替、修正や変更は、出願人の本明細書での開示をもとに当業者が思いつくものである。従って、すべてのそのような代替、修正、および変更を採用し、添付の特許請求の趣旨および範囲、およびその意味と等価性の範囲内での任意の変更によってのみ画定されることを目的としている。
【0043】
本開示の説明と請求範囲において、それぞれの動詞「備える」、「含む」、「有する」、またはそれらの活用形は、1つまたは複数のその動詞の目的語が、必ずしも1つまたは複数の動詞の主語のすべての機能、部材、工程、構成部品、要素、または部品を列記したものでないことを示すために用いられている。
【0044】
本明細書で使用する場合、単数形(a、an、the)は、複数の言及を含み、文脈で明確に規定しない限り、「「少なくとも1つの(at least one)」または「1つまたは複数の(one or more)」を意味する。
【0045】
特に指示しない限り、選択肢のリストの最後の2つの部材の「および/または」という表現の使用は、1つまたは複数の列記された選択肢の選択が適切であり、選択を行うことができることを示している。
【0046】
特に指示しない限り、本技術の実施形態の1つまたは複数の機能の条件または関係特性を変更する「実質的に」および「約」などの形容詞は、その条件または特性が意図される用途のための実施形態の運転に許容される許容範囲内で規定されるものと意味すると理解されるべきである。
【0047】
本開示を理解、または完成するために必要な範囲で、すべての文献、特許、および本明細書で示された特許出願は、特に本出願人の出願を含めて、参考として本明細書で十分に説明されるように明示的にその全体が参考として組込まれる。