(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】流量計相分率および濃度測定値の調整方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 9/00 20060101AFI20220610BHJP
G01F 1/84 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
G01N9/00 D
G01F1/84
(21)【出願番号】P 2020555499
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018026719
(87)【国際公開番号】W WO2019199268
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホリングスワース, ジャスティン クレイグ
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-525623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 9/00
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバ(104)と、
前記ドライバ(104)によって振動可能な振動部材(103、103’)と、
前記振動部材(103、103’)の振動を検出するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサー(105、105’)と、
前記少なくとも1つのピックオフセンサー(105、105’)から振動応答を受信するように構成されたインターフェース(301)、および前記ドライバ(104)の駆動ゲイン(306)を測定し、振動計(5)内の多相プロセス流体の総密度(325)を測定し、前記駆動ゲイン(306)が第1の閾値を下回っているかどうかを判定し、前記駆動ゲイン(306)が前記第1の閾値を下回っている場合に、前記測定総密度(325)に対する液/液相濃度配分を決定し、各液相の流量を計算するように構成された前記インターフェース(301)に結合された処理システム(303)を備える計測機器(20)と
を備え
、
前記処理システム(303)が、
駆動ゲイン(306)が前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を上回っているかどうかと、前記駆動ゲイン(306)が第1の駆動ゲインノイズ閾値を上回っているかどうかとのうちの少なくとも1つを判定し、前記測定総密度(325)が液体密度範囲を下回っている場合に、前記測定総密度(325)および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている、振動計(5)。
【請求項2】
前記処理システム(303)が、
前記駆動ゲイン(306)が
、前記第1の閾値を上回っている場合に、前記駆動ゲイン(306)が第1の駆動ゲインノイズ閾値を下回っているかどうか
を判定するように構成されている、請求項1に記載の振動計(5)。
【請求項3】
前記処理システム(303)が、
前記測定総密度(325)が固体密度範囲内にある場合に、前記測定総密度(325)および以前に決定された液体密度に対する固/液相濃度配分を決定し、各
液相の流量を計算するように構成されている、請求項2に記載の振動計(5)。
【請求項4】
前記処理システム(303)が、
前記測定総密度(325)が固体密度範囲を下回っており、液体密度範囲内にある場合に、前記測定総密度(325)に対する液/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている、請求項2に記載の振動計(5)。
【請求項5】
前記処理システム(303)が、
前記測定総密度(325)が固体密度範囲を下回っており、ガス密度範囲内にある場合に、前記測定総密度(325)および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている、請求項2に記載の振動計(5)。
【請求項6】
流量計相分率および濃度測定値の調整方法であって、
振動流量計を提供するステップと、
前記振動流量計に多相プロセス流体を流すステップと、
前記振動計のドライバの駆動ゲインを測定するステップと、
前記プロセス流体の密度を測定するステップと、
前記駆動ゲインが第1の閾値を下回っているかどうかを判定するステップと、
前記駆動ゲインが前記第1の閾値を下回っている場合に、測定総密度に対するプロセス流体の液/液相濃度配分を決定し、各液相の流量を計算するステップと
、
前記駆動ゲインが前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値を上回っているかどうかと、前記駆動ゲインが第1の駆動ゲインノイズ閾値を上回っているかどうかとのうちの少なくとも1つを判定するステップと、
前記測定総密度が液体密度範囲を下回っている場合に、前記測定総密度および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップと
を含む、
流量計相分率および濃度測定値の調整方法。
【請求項7】
前記駆動ゲインが前記第1の閾値を上回っている場合に、前記駆動ゲインが第1の駆動ゲインノイズ閾値を下回っているかどうか
を判定するステップを含む、請求項
6に記載の流量計相分率および濃度測定値の調整方法。
【請求項8】
前記測定総密度が固体密度範囲内にある場合に、前記測定総密度および以前に決定された液体密度に対する固/液相濃度配分を決定し、各
液相の流量を計算するステップを含む、請求項
7に記載の流量計相分率および濃度測定値の調整方法。
【請求項9】
前記測定総密度が固体密度範囲を下回っており、液体密度範囲内にある場合に、前記測定総密度に対する液/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップを含む、請求項
7に記載の流量計相分率および濃度測定値の調整方法。
【請求項10】
前記測定総密度が固体密度範囲を下回っており、ガス密度範囲内にある場合に、前記測定総密度および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップを含む、請求項
7に記載の流量計相分率および濃度測定値の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動計、より具体的には、相分率組成に基づいて測定値を調整するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動密度計とコリオリ流量計は一般に知られており、質量流量、密度、および流量計の導管または密度計を含む導管を流れる流体に関連する他の情報を測定するために使用される。流体は、液体、ガス、懸濁微粒子および/または混入ガスを含む液体、またはその組合せを含み得る。例示的な流量計は、米国特許第4,109,524号、米国特許第4,491,025号、および再発行特許第31,450号(すべてJ.E.Smithらに帰属)に開示されている。これらの流量計は、通常、直線構成または曲線構成の1つ以上の導管を有する。例えば、コリオリ質量流量計の各導管構成には、1組の単純曲げタイプ、ねじれタイプ、または結合タイプの固有振動モードがある。各導管は、好ましいモードで振動するように駆動することができる。一部のタイプの質量流量計、特にコリオリ流量計は、密度を直接測定して、密度に対する質量の商を通じて体積情報を提供する方法で動作することができる。例えば、コリオリ流量計を使用して未知の多相流体の密度を測定するネットオイルコンピューターについてのRueschに帰属する米国特許第4,872,351号などを参照されたい。Buttlerらに帰属する米国特許第5,687,100号は、振動管密度計として動作する質量流量計の質量流量効果について密度測定値を補正するコリオリ効果密度計を教示している。
【0003】
材料は、流量計の入口側に接続されたパイプラインから流量計に流入し、導管を通って導かれ、流量計の出口側を通って流量計から出る。振動システムの固有振動モードは、導管の質量と導管内を流れる材料の合計によって部分的に定義される。
【0004】
振動計ドライバを介して接続された計測機器は、ドライバを動作させ、ピックオフから受信した信号からプロセス材料の密度および/または他の特性を測定するための駆動信号を生成する。ドライバは、ピエゾドライバまたは対向駆動コイルを有する磁石などの多くの周知の構成のうちの1つを備えることができる。交流電流は、導管を所望の振幅と周波数で振動させるためにドライバへ流される。ドライバ構成に非常に類似した構成のピックオフを提供することも当該技術分野で知られている。しかし、ドライバが動きを誘導する電流を受信する間、ピックオフは、ドライバによって提供される動きを使用して電圧を誘導することができる。ピックオフによって測定される時間遅延の大きさは非常に小さく、多くの場合、ナノ秒で測定される。したがって、変換器の出力は非常に正確である必要がある。
【0005】
コリオリ計は、単相流に対して高精度を提供する。しかし、コリオリ流量計を使用して、混入ガスを含む流体などの多相流体を測定すると、計器の精度が大幅に低下する可能性がある。これは、混入固体を有する流れおよび炭化水素流体に水が含まれている場合などの混相流体の流れについても同様に当てはまる。
【0006】
混入ガスは、通常、流動材料に泡として存在する。泡のサイズは、存在する空気の量、流動材料の圧力および温度に応じて異なる。関連する重大な誤差の原因は、流体のデカップリングに起因する。流体のデカップリングは、チューブの振動の結果としての液体に対する気泡の移動から生じる。液体に対する気泡の相対移動は、重力の影響下で泡を表面に上昇させる力と同様の浮力によって駆動される。しかし、振動管では、気泡を重力の加速度よりも大きく移動させるのは、振動管の加速度である。高密度流体は、軽い泡よりも大きい質量を有するため、泡は、チューブの加速度の方向に流体よりも大きな加速度を有する。泡の加速度が大きいため、流導管が振動するたびに、泡は、流導管よりもさらに移動する。さらに、泡の移動により、流体の一部は、流導管よりも移動しない。これが、デカップリング問題の基礎である。その結果、振動振幅が小さい流体は、泡がない場合よりも小さなコリオリ加速度を受け、小さなコリオリ力を流導管に加える。これは、混入ガスが存在する場合、過小に報告される流量と密度の特性(負の流量と密度の誤差)をもたらす。泡が流体に対してどれくらい移動するかを決定するいくつかの要因があるため、流体のデカップリングを補償することは困難であった。流体の粘度は、明らかな要因である。非常に粘性のある流体では、泡(または粒子)が流体内の所定の位置で効果的に凍結され、流量誤差はほとんど生じない。泡の移動性に対する別の影響は、泡のサイズである。泡の抗力は表面積に比例するが、浮力は体積に比例する。したがって、非常に小さな泡は、抗力と浮力の比率が高く、周囲の流体と一緒に移動する傾向がある。その後、小さな泡は、小さな誤差を引き起こす。逆に、大きな泡は、周囲の流体と一緒に移動しない傾向があり、大きな誤差をもたらす。同じことが粒子に当てはまる。小さな粒子は、流体と一緒に移動する傾向があり、小さな誤差を引き起こす。
【0007】
流体とガスとの密度差は、流量計の不正確さの原因となる可能性がある別の要因である。浮力は、流体とガスとの密度の差に比例する。高圧ガスは、浮力に影響し、デカップリング効果を低減するのに十分な密度を有することができる。
【0008】
測定誤差に加えて、コリオリ流量計に対する多相流の影響は、流導管の減衰によって増加し、流導管の振動振幅の減少につながる。通常、計測機器は、振幅を復元するために、駆動エネルギーまたは駆動ゲインを増加させることによって、この減少した振幅を補償する。非常に少量のガスでも、駆動ゲインが大幅に増加する可能性がある。
【0009】
以前は、駆動ゲインを使用して、計器に多相流があるかどうかを判定していた。計器の駆動ゲインが特定の閾値を上回っていると、計器内の流体は多相流であるとみなされ、測定値の精度を向上させるための補正処置を講じることができる。先行技術の計器では、駆動ゲイン閾値には、デフォルト値が使用される。実際には、ほとんどの用途のために機能するように、デフォルト値を控えめに高く設定する必要がある。これは、3つの理由で実行する必要がある:1)すべてのコリオリ計には、異なるベース駆動ゲインがある。これは、純粋な単相流の下で流導管を駆動するために必要な駆動ゲインである。このため、駆動ゲインは、すべての計器のために機能するのに十分な高さである必要がある。例えば、ある計器群についての一般的な公称駆動ゲインは2%であるが、別の計器群についての公称値は20%である可能性がある。この公称値は、磁石の強度および設計、コイルの設計、計器のサイズ/剛性など、多くのことに依存する。2)1つ以上の異なる密度の液体で構成される純粋な液体の多成分混合物は、はるかに小さいが、気液流体と同じデカップリング効果を有する。純粋な液体の多成分流では誤差はほとんど無視できるが、ガスとして扱われるべきではない駆動ゲインが引き続きわずかに増加する可能性がある。繰り返すが、閾値は、純粋な液体流を気液流と間違えないように十分に高くする必要がある。3)一部の用途では、値を保持するための純粋な液体の期間が存在しない場合がある。しかし、多くの場合、ほとんど微量のガスしか存在しない液体の期間がある可能性がある。駆動ゲイン閾値は、これらの期間が純粋な液体として扱われるように十分に高く設定されているため、保持値が作成され、非常に高いガスの期間は引き続き補正される。デフォルト値は、一部の用途では機能する。しかし、計器に少量のガスしか入らない用途では、デフォルト閾値が高すぎる可能性がある。駆動ゲインの散発的な性質、および駆動ゲイン閾値の設定が高すぎる可能性のため、この方法では、ガスが最小または全くない期間から常に保持値が生成されるとは限らない。駆動ゲインが閾値を下回らないように常に十分なガスが存在する用途では、デフォルト閾値は低すぎる。
【0010】
流体測定が重要である一部の用途において、プロセスの流動または状態を制御する能力がほとんどまたは全くないにもかかわらず、重要な流量測定および流体品質測定を行う能力を得ることは非常に困難である。例えば、レストランのグリーストラップのリサイクル用途では、食品の固形物、水、油がすべてプロセス材料にある。グリースを回収するために使用されるバキュームカーは、多くの場合、さらに空気をその中に混入させる。タンクレベルは、通常、トラックオペレーターによって簡単に推定される。この手順の精度および信頼性は低く、レベルを過小評価する金銭的な圧力がある。
【0011】
流量計の処理が相分率組成に基づいて調整されることにより流量計の精度が向上する方法および装置が提供される。
【発明の概要】
【0012】
一実施形態によれば、ドライバと、ドライバによって振動可能な振動部材と、振動部材の振動を検出するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサーとを備える振動計が提供される。少なくとも1つのピックオフセンサーから振動応答を受信するように構成されたインターフェースと、インターフェースに結合された処理システムとを備える計測機器が提供される。計測機器は、ドライバの駆動ゲインを測定し、振動計内の多相プロセス流体の総密度を測定し、駆動ゲインが第1の閾値を下回っているかどうかを判定し、駆動ゲインが第1の閾値を下回っている場合に、測定総密度に対する液/液相濃度配分を決定し、各液相の流量を計算するように構成されている。
【0013】
一実施形態によれば、流量計相分率および濃度測定値の調整方法が提供される。本方法は、振動流量計を提供するステップと、多相プロセス流体を振動流量計に流すステップとを含む。振動計のドライバの駆動ゲインが測定される。プロセス流体の密度が測定される。駆動ゲインが第1の閾値を下回っているかどうかが判定される。駆動ゲインが第1の閾値を下回っている場合に、測定総密度に対するプロセス流体の液/液相濃度配分が決定され、各液相の流量が計算される。
【0014】
態様
一態様によれば、振動計は、ドライバと、ドライバによって振動可能な振動部材と、振動部材の振動を検出するように構成された少なくとも1つのピックオフセンサーとを備える。少なくとも1つのピックオフセンサーから振動応答を受信するように構成されたインターフェースと、インターフェースに結合された処理システムとを備える計測機器が提供される。計測機器は、ドライバの駆動ゲインを測定し、振動計内の多相プロセス流体の総密度を測定し、駆動ゲインが第1の閾値を下回っているかどうかを判定し、駆動ゲインが第1の閾値を下回っている場合に、測定総密度に対する液/液相濃度配分を決定し、各液相の流量を計算するように構成されている。
【0015】
好ましくは、処理システムは、駆動ゲインが、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を下回っているかどうかと、駆動ゲインが第1の閾値を上回っている場合に、駆動ゲインが第1の駆動ゲインノイズ閾値を下回っているかどうかとのうちの少なくとも1つを判定するように構成されている。
【0016】
好ましくは、処理システムは、測定総密度が固体密度範囲内にある場合に、測定総密度および以前に決定された液体密度に対する固/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている。
【0017】
好ましくは、処理システムは、測定総密度が固体密度範囲を下回っており、液体密度範囲内にある場合に、測定総密度に対する液/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている。
【0018】
好ましくは、処理システムは、測定総密度が固体密度範囲を下回っており、ガス密度範囲内にある場合に、測定総密度および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている。
【0019】
好ましくは、処理システムは、駆動ゲインが第1の閾値よりも大きい第2の閾値を上回っているかどうかと、駆動ゲインが第1の駆動ゲインノイズ閾値を上回っているかどうかとのうちの少なくとも1つを判定し、測定総密度が液体密度範囲を下回っている場合に、測定総密度および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するように構成されている。
【0020】
一態様によれば、流量計相分率および濃度測定値の調整方法は、振動流量計を提供するステップと、多相プロセス流体を振動流量計に流すステップとを含む。振動計のドライバの駆動ゲインが測定される。プロセス流体の密度が測定される。駆動ゲインが第1の閾値を下回っているかどうかが判定される。駆動ゲインが第1の閾値を下回っている場合に、測定総密度に対するプロセス流体の液/液相濃度配分が決定され、各液相の流量が計算される。
【0021】
好ましくは、本方法は、駆動ゲインが第1の閾値よりも大きい第2の閾値を下回っているかどうかと、駆動ゲインが第1の閾値を上回っている場合に、駆動ゲインが第1の駆動ゲインノイズ閾値を下回っているかどうかとのうちの少なくとも1つを判定するステップを含む。
【0022】
好ましくは、本方法は、測定総密度が固体密度範囲内にある場合に、測定総密度および以前に決定された液体密度に対する固/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップを含む。
【0023】
好ましくは、本方法は、測定総密度が固体密度範囲を下回っており、液体密度範囲内にある場合に、測定総密度に対する液/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップを含む。
【0024】
好ましくは、本方法は、測定総密度が固体密度範囲を下回っており、ガス密度範囲内にある場合に、測定総密度および以前に決定された液体密度に対する気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップを含む。
【0025】
好ましくは、本方法は、駆動ゲインが第1の閾値よりも大きい第2の閾値を上回っているかどうかと、駆動ゲインが第1の駆動ゲインノイズ閾値を上回っているかどうかとのうちの少なくとも1つを判定するステップと、測定総密度が液体密度範囲を下回っている場合に、測定総密度および以前に決定された液体密度に対して気/液相濃度配分を決定し、各相の流量を計算するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態による振動流量計を示す図である。
【
図3】監視溶液への溶質の添加を示すグラフの例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から
図4および以下の説明は、本発明の最良の形態を作成および使用する方法を当業者に教示するための具体例を示している。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は単純化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内に入るこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者は、以下に説明される特徴を種々の方法で組み合わせて、本発明の複数の変形を形成できることを理解するであろう。その結果、本発明は、以下に説明される具体例に限定されず、特許請求の範囲およびその同等物によってのみ限定される。
【0028】
図1は、限定されないが例えば、コリオリ流量計/密度計などの任意の振動計であり得る流量計5を示す。流量計5は、センサーアセンブリ10と計測機器20とを備える。センサーアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量および密度に応答する。計測機器20は、リード100を介してセンサーアセンブリ10に接続されて、経路26を介して密度、質量流量、および温度情報、ならびに他の情報を提供する。センサーアセンブリ10は、フランジ101および101’と、1組のマニホールド102および102’と、1組の平行導管103(第1の導管)および103’(第2の導管)と、ドライバ104と、測温抵抗体(RTD)などの温度センサー106と、磁石/ピックオフコイル、歪みゲージ、光センサー、または当該技術分野で知られている他の任意のピックオフなどの1組のピックオフ105および105’とを含む。導管103および103’は、各々、入口脚107および107’と出口脚108および108’を有する。導管103および103’は、その長さに沿った少なくとも1つの対称位置で曲がり、その長さ全体にわたって本質的に平行である。各導管103、103’は、各々、軸WおよびW’回りに振動する。
【0029】
導管103、103’の脚107、107’、108、108’は、導管取り付け台190および109’に固定して取り付けられ、これらの台は、次に、マニホールド102および102’に固定して取り付けられる。これにより、センサーアセンブリ10を通る連続した閉鎖材料経路が提供される。
【0030】
フランジ101および101’が、測定されているプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されている場合、材料は、フランジ101内の第1のオリフィス(
図1の図には見えない)を通って流量計5の第1の端部110に入り、マニホールド102を通って導管取り付け台109に導かれる。マニホールド102内で、材料は分割され、導管103および103’を通って送られる。プロセス材料は、導管103および103’を出ると、マニホールド102’内の単一の流れに再結合され、その後、フランジ101’によってプロセスライン(図示せず)に接続された第2の端部112を出るように送られる。
【0031】
導管103および103’は、各々、実質的に同じ質量分布、慣性モーメント、ならびに曲げ軸W-WおよびW’-W’回りのヤング率を有するように選択され、導管取り付け台190および109’に適切に取り付けられる。導管103、103’のヤング率は温度とともに変化し、この変化は、流量および密度の計算に影響するため、温度センサー106は、導管の温度を連続的に測定するために、少なくとも1つの導管103、103’に取り付けられる。導管の温度、ひいては導管を通過する所与の電流に対して温度センサー106の両端に発生する電圧は、主に、導管を通過する材料の温度によって左右される。温度センサー106の両端に発生する温度依存電圧は、導管103、103’の温度の変化による導管103、103’の弾性率の変化を補償するために、計測機器20によって周知の方法で使用される。温度センサー106は、計測機器20に接続されている。
【0032】
両方の導管103、103’は、各曲げ軸WおよびW’回りにドライバ104によって反対方向に駆動される。これは、流量計の第1の位相外れ曲げモードと呼ばれる。このドライバ104は、導管103’に取り付けられた磁石および導管103に取り付けられた対向コイルなど、多くの周知の構成のいずれか1つを備えてもよく、それを通って、両方の導管を振動させるために交流が流れる。適切な駆動信号が、リード113を介して計測機器20によってドライバ104に印加される。本説明は、2つの導管103、103’に関するが、他の実施形態では、単一の導管のみが提供されてもよく、または2つ以上の導管が提供されてもよいことを理解されたい。複数のドライバに対して複数の駆動信号を生成すること、およびドライバが第1の位相外れ曲げモード以外のモードで導管を駆動することもまた、本発明の範囲内である。
【0033】
計測機器20は、経路26または他の通信リンクに結合することができる。計測機器20は、経路26を介して密度測定値を通信することができる。計測機器20は、経路26を介して任意の種類の他の信号、測定値またはデータを送信することもできる。さらに、計測機器20は、経路26を介して指令、プログラミング、他のデータ、または命令を受信することができる。
【0034】
計測機器20は、リード114に温度信号を受信し、リード115および115’に各々、発生する左右の速度信号を受信する。計測機器20は、リード113からドライバ104に発生する駆動信号を生成し、導管103、103’を振動させる。計測機器20は、左右の速度信号および温度信号を処理して、センサーアセンブリ10を通過する材料の質量流量および密度を計算する。この情報は、他の情報とともに、経路26を介して計測機器20によって利用手段に適用される。計測機器20の回路の説明は、本発明を理解するのに必要ではなく、この説明を簡潔にするために省略されている。
【0035】
図1の説明は、1つの可能な振動計の動作の一例としてのみ提供されており、本発明の教示を限定することを意図するものではないことを理解されたい。例えば、コリオリ流量計の構造が説明されているが、本発明は、コリオリ質量流量計によって提供される追加の測定能力なく、振動管またはフォーク濃度計で実施できることは当業者には明らかであろう。
【0036】
振動計に密度の異なる2つの流体相が存在する場合、これら2つの相の間にデカップリングが発生し、デカップリングはキャリア相(この場合液体)と粒子相(固体)との密度の差、ならびにキャリア相粘度およびチューブ振動周波数とともに粒子サイズの関数であることはよく理解されている。この減衰は、2つの相の存在を高感度で検出する方法である。この減衰は、駆動ゲインとピックオフ振幅の両方で振動計に現れる。液体プロセス中のガスの場合、限定されないが例えば、駆動ゲインは、約2%~約5%から約100%に急速に上昇する。
【0037】
エネルギー入力と結果として生じる振幅に対する減衰との複合効果は、拡張駆動ゲインとして知られており、これは、100%を超える電力が利用可能な場合に、対象の振動振幅を維持するために必要な電力量の推定値を表す:
【0038】
【0039】
本明細書で提供される実施形態の目的上、駆動ゲインという用語は、いくつかの実施形態では、駆動電流、ピックオフ電圧、または計器を特定の振幅で駆動するために必要な電力量を示す測定または導出された任意の信号を指し得ることに留意されたい。関連する実施形態では、駆動ゲインという用語は、ノイズレベル、信号の標準偏差、減衰関連測定値、および混相流を検出するための当該技術分野で知られている他の任意の手段など、多相流を検出するために利用される任意の測定基準を包含するように拡張することができる。一実施形態では、混合相を検出するために、これらの測定基準をピックオフセンサー全体で比較することができる。
【0040】
計器内のすべての流体が密度に関して均一である限り、振動管または振動部材は、第1の共振周波数で振動し続けるために、ほとんどエネルギーを取らない。密度の異なる2つ(またはそれ以上)の非混和性成分で構成される流体の場合、チューブの振動により、各成分の大きさが異なる変位が生じる。変位またはデカップリングのこの差、およびこのデカップリングの大きさは、成分の密度の比率および逆ストークス数に依存することが示されている:
【0041】
【0042】
ここで、ωは振動の周波数、νは流体の動粘度、γは粒子の半径である。泡の場合のように、粒子は、流体よりも小さい密度を有する可能性があることに留意されたい。
【0043】
成分間で発生するデカップリングにより、チューブの振動において減衰が発生し、一定量のエネルギー入力に対して、振動を維持するために、より多くのエネルギーが必要になるか、振動振幅が減少する。
【0044】
図2は、一実施形態による計測機器20のブロック図である。動作中に、流量計5は、密度、質量流量、体積流量、個々の流れ成分の質量流量および体積流量、ならびに例えば、個々の流れ成分の体積流量と質量流量との両方を含む総流量の測定値または平均値のうちの1つ以上を含む、出力され得る種々の測定値を提供する。
【0045】
流量計5は、振動応答を生成する。振動応答は、計測機器20によって受信され処理されて1つ以上の流体測定値を生成する。値は、監視、記録、保存、合計、および/または出力することができる。
【0046】
計測機器20は、インターフェース301と、インターフェース301と通信する処理システム303と、処理システム303と通信する記憶システム304とを含む。これらのコンポーネントは別個のブロックとして示されているが、計測機器20は、統合されたコンポーネントおよび/または分離したコンポーネントの種々の組合せで構成され得ることを理解されたい。
【0047】
インターフェース301は、リード100に結合し、例えば、ドライバ104、ピックオフセンサー105、105’、および温度センサー106と信号を交換するように構成され得る。インターフェース301は、外部デバイスなどへの通信経路26を介して通信するようにさらに構成され得る。
【0048】
処理システム303は、任意の種類の処理システムを含むことができる。処理システム303は、流量計5を動作させるために、記憶されたルーチンを検索して実行するように構成されている。記憶システム304は、一般計器ルーチン305および駆動ゲインルーチン313を含むルーチンを記憶することができる。記憶システム304は、測定値、受信値、作動値、および他の情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、記憶システムは、質量流量(m)321、密度(ρ)325、密度閾値326、粘度(μ)323、温度(T)324、圧力309、駆動ゲイン306、駆動ゲイン閾値302、および当該技術分野で知られている他の任意の変数を記憶することができる。ルーチン305、313は、記載の任意の信号、および当該技術分野で知られている他の変数を含むことができる。他の測定/処理ルーチンが考えられ、本明細書および特許請求の範囲内にある。
【0049】
一般計器ルーチン305は、流体定量化と流量測定値を生成および記憶することができる。これらの値は、実質的に瞬間的な測定値を含むことができ、または合計値または累積値を含むことができる。例えば、一般計器ルーチン305は、質量流量測定値を生成し、それらを、例えば、記憶システム304の質量流量321の記憶装置に記憶することができる。同様に、一般計器ルーチン305は、密度測定値を生成し、それらを、例えば、記憶システム304の密度325の記憶装置に記憶することができる。質量流量321および密度325の値は、以前に説明され、当該技術分野で知られているように、振動応答から決定される。質量流量および他の測定値は、実質的に瞬間的な値を含むことができ、サンプルを含むことができ、時間間隔にわたる平均値を含むことができ、または時間間隔にわたる累積値を含むことができる。時間間隔は、特定の流動状態、例えば、液体のみの流動状態、または代替的に、液体、混入ガスおよび/または固体、溶質およびその組合せを含む流動状態が検出される時間のブロックに対応するように選択することができる。さらに、他の質量流量および体積流量と関連する定量化が考えられ、本明細書および特許請求の範囲内にある。
【0050】
駆動ゲイン閾値302を使用して、混相流を識別し、溶質溶解を監視することができる。種々の駆動ゲイン閾値302を利用して、種々の相分率を含む材料流を識別することができる。同様に、密度325の測定値に適用された密度閾値326も、別々に、または駆動ゲインと一緒に使用して、混相流および溶質溶解を識別することができる。種々の密度閾値326を利用して、種々の相分率を含む材料流を識別することができる。駆動ゲイン306は、限定されないが例えば、種々の相分率の流体の存在に対する流量計5の振動応答の感度の測定基準として利用することができる。駆動ゲイン閾値302および密度閾値326は、簡単に計測機器20に入力またはプログラムすることができ、当業者によって理解されるように、プロセス状態に基づいて選択することができる。
【0051】
一実施形態では、種々の駆動ゲイン閾値302は、用途に応じて変化し、それに応じて識別することができる。一実施形態では、流体の特性および速度は、経時的に比較的一定のままであると仮定され(「安定した用途」)、突然の変動はないと仮定される。この実施例は、限定されないが、流量が地下の坑井圧によって駆動される自然に生じている油井である。圧力は、短期間(例えば、1日未満)にわたってほぼ一定であると仮定される。水中電動ポンプによって駆動されるような人工採油井も、流量がほぼ一定に保たれているため、この用途に入る。ほぼ一定の状態の結果として、駆動ゲインのわずかな増加に敏感であり、ほとんどの時間、補正状態のままであることが適切である。すなわち、一定の流量および密度を有することが知られている用途では、多くの場合、低ガス含有量の期間に取られた正確な測定値を探して長期間にわたって補間するため、中間の高ガス含有量の期間に取られた誤った測定値の多くを無視することが望ましい。繰り返すが、油井/ガス井は、単なる例示的な用途であり、当該技術分野で知られている任意の流量計5の用途が本明細書で考慮されるからということで、限定的であるとみなされるべきではない。
【0052】
一実施形態では、ガスが存在する間、混合物の体積流量(ガスおよび液体)は一定であると仮定される。したがって、液体流量は、限定されないが例えば、以下の式に基づいて計算できる:
【0053】
【0054】
ここで、GVFはガス体積分率である。
【0055】
【0056】
ここで、ρ混合物は混合物密度であり、ρ液体は液体密度であり、ρカ゛スはガス密度である。
【0057】
ガスが存在しない流動状態では、混合物体積流量は液体体積流量に等しい。しかし、一実施形態では、ガスが存在する場合、混合物体積流量は変化しないと仮定される。
【0058】
駆動ゲインが低く安定している場合において、パイプラインにガスが存在せず、すべての測定値が通常の流量計の仕様内で正確であるとみなされる場合がある。多くの流体源は、断続的な混入ガスのみを含み、1時間、1日、または他の所定の期間にわたって、ガスがほとんどまたは全く存在しない時間間隔が存在する可能性がある。この間、駆動ゲインは低く安定しており、流量、密度、および計器によって行われた他の測定は信頼され、ユーザーに出力されるか、統計分析のために記録される。これにより、限定されないが例えば、駆動ゲインが低い期間のコンポーネントの流量を正確に決定できる。
【0059】
上記のように、流量計5の駆動ゲインが特定の閾値を上回っていると、計器内の流体は多相流とみなされ、測定値の精度を向上させるための補正処置が取られる。したがって、駆動ゲインが閾値を上回っていると、計器は補正状態で動作する。したがって、密度、体積流量、および低駆動ゲイン306(駆動ゲイン閾値302を下回る駆動ゲイン306)の期間からの質量流量の保持値(単相流の期間から利用される測定変数)が、測定変数の精度を置換するか改善するように補正状態中に利用される。流量および密度は経時的に変化する可能性があるため、保持値は、定期的に更新する必要があるが、ほとんどの時間、駆動ゲイン閾値ルーチン315は、補正状態のままであり、少量の混入ガスでさえ補間することができる。代替策は、流量計5内の混入ガスに付随する大きな誤差を許容することであるため、比較的長期間にわたってこの補正状態のままであることは許容される。したがって、大きな誤差を示す測定を頻繁に行うよりも、時々でも正確な値を測定する方が有益である。閾値の設定が高すぎると、測定値および保持値が多相測定値に基づいている可能性があり、補正された液体値は誤差になるであろう。
【0060】
駆動ゲイン閾値の設定が低すぎると、所与の期間中に保持値が決定されない場合がある。例えば、駆動ゲインが閾値を下回らないように、常に/ほとんどの時間にガスが存在する用途では、デフォルト閾値が明らかに低すぎるように設定されている。したがって、一実施形態では、駆動ゲイン閾値302は、保持値が最小駆動ゲインの期間から定期的に決定されるように設定される。万一、最小駆動ゲインが経時的に増加または減少すると、駆動ゲイン閾値302は、自動的に調整される。一実施形態では、駆動ゲイン閾値302は、先行技術のようにガス有り無し両方での期間を特定したいという願望に基づいて決定されるのではなく、むしろ、所与の期間にわたって作成される保持値の数を決定するために特に選択される。この保持値の数および期間は、一実施形態では、ユーザーによって指定することができるが、これは、流量計5の構築/テスト時に決定することもできる。例えば、所与の用途について、所与の期間中に保持値への5つの更新を可能にする駆動ゲイン閾値302を自動的に決定することは理にかなっているかもしれない。5つの更新は、単なる例であり、所定の時間枠にわたる更新が多かれ少なかれ考えられる。
【0061】
この概念は、駆動ゲイン閾値ルーチン315が、それを上回っているとガスが検出されたと仮定する値として、駆動ゲイン閾値302を選択するという歴史的な考えからの逸脱を表す。流量計5は、診断駆動ゲイン306として知られているチューブ駆動力の測定を介して、液体流中の少量の混入ガスさえも検出する機能を有する。駆動ゲイン306は、コリオリ流量計の流導管を一定の振幅で振動させ続けるために必要な駆動力の量の尺度である。ガスまたは液体の単相測定では、構造をその固有周波数で振動させるのに必要な電力は比較的少ないため、駆動ゲイン306は低く安定している。しかし、液体中に少量のガスが存在する場合、またはガス中に少量の液体が存在する場合、振動に必要な駆動力は劇的に増加する。これにより、駆動ゲイン306は、混入ガスの非常に信頼できる検出診断になる。歴史的に、駆動ゲイン閾値302は、ガスが存在する時間の一部を特定する方法として簡単に使用された。これは、基本的にガスの有無の二元指標として使用された。しかし、提示された実施形態では、ガスは、頻繁に、または、常に存在する可能性があるため、可能な限り最良の測定(ガスが最小で駆動ゲインが最小の測定)が実施される。したがって、駆動ゲイン閾値302は、単にガスの検出に基づいてではなく、むしろ所与の期間に利用可能な最良の保持値を見出すために最小ガスの期間を見出すことに基づいて自動的に決定することができる。これにより、精度の必要性と、プロセスの流量および流体組成の変化を検出するために値を時々更新する必要性とが釣り合う。しかし、いくつかの実施形態では、駆動ゲイン閾値302は、計測機器20に簡単に入力またはプログラムすることができる。
【0062】
駆動ゲイン閾値302を決定するために、駆動ゲイン信号の所定の期間を監視することができる。更新された駆動ゲイン閾値302は、駆動ゲイン306が所定の期間にわたって指定された回数だけ駆動ゲイン閾値302を下回るように必要な最小閾値に基づいて決定される。一実施形態では、追加のオプションは、駆動ゲイン306が所定の期間、駆動ゲイン閾値302を下回ることを要求することである。この所定の期間は、駆動ゲイン閾値ルーチン315が補正状態への入力を決定し、新たな保持値を取得する前に、駆動ゲイン306が駆動ゲイン閾値302を下回るのに必要な期間である。これは、流管内のガスが少ないために減衰が持続的に低下することを正しく表していない、ノイズの多い駆動ゲイン信号の瞬間的な変動から保護する。
【0063】
所定の期間にわたって所望の保持値の数は、用途および状態に基づいて決定することができる。所定の期間にわたって所望の数の保持値を生成する駆動ゲイン閾値302が推定され、その後、保持値の決定のために次の期間中に使用される。したがって、一実施形態では、前の期間からの測定値に基づいて、特定の期間について新たな閾値が決定される。これらのシナリオではプロセス状態がかなり安定しているため、ある期間から決定された閾値は、それが使用される次の期間に関連し、これによりほぼ同じ数の保持値が生成されるであろうと仮定される。しかし、代替の実施形態では、駆動ゲイン閾値ルーチン315は、離散的期間ではなく、データのローリングウィンドウに基づいている。この場合、駆動ゲイン閾値302は、継続的に更新され、現在の状態により関連するであろう。
【0064】
他の用途では、高駆動ゲインの期間中、液体密度が一定のままであるとのみ仮定することができる(すなわち、「不安定用途」)。このため、ガスが存在する場合、質量流量測定は、液体質量流量を正確に測定すると仮定することしかできない。これにより、限定されないが例えば、液体体積流量を以下の式から決定できる:
【0065】
【0066】
不安定用途では、液体密度も、限定されないが例えば、おそらく含水率の変化のため変動する可能性がある。このため、駆動ゲイン閾値302は、安定した用途の場合よりもわずかに高く設定されている。したがって、流量計5は、補正状態でそれほど多くの時間を費やさない。このことは、プロセス状態が、十分に安定し、より保守的であり、より頻繁に補正状態を維持することが理想的である上記の用途とは対照的である。
【0067】
必要な保持値の数を増やすだけでは、リアルタイム測定の所望の動作が実現されないことに留意されたい。密度、体積流量および質量流量が変動する可能性があるにもかかわらず、一部の不安定用途では、駆動ゲイン306は、ほとんどの場合低く安定している可能性がある。駆動ゲインは低いが、それでも小さな変動が頻繁にあることにも留意されたい。限定されないが例えば、プロセス流体に混入ガスがない場合でも、駆動ゲインは約4%で一定に留まらず、3.9%から4.1%の間で不規則に変動する。これらの変動は、流れノイズまたはパイプ振動のためである可能性がある。繰り返すが、これは、説明のための単なる例である。万一、安定した用途に上記の閾値方法が利用されると、閾値を比較的低く設定することができる(例えば、上記の例を参照して4%)が、それでも多くの保持値を生成する。不安定用途では、駆動ゲインがこれほど低い場合、密度が変化する可能性があるため、密度を保持することは有利ではなく、正確な測定値を維持するには、この変化に注意して測定することが重要である。繰り返すが、密度は急速に変化しないため、これは安定した用途にとってそれほど重要ではない。
【0068】
不安定用途の実施形態では、上記のような場合に密度または他の保持値が不必要に保持されるのを防ぐために、定数を自動的に決定された駆動ゲイン閾値302に追加することができる。上記の例を再び参照すると、閾値が、特定の期間中に所与の5つの保持値の4%であると自動的に決定されると、これは、限定されないが例えば、5%から9%だけ増加する可能性がある。これにより、測定密度は、駆動ゲインを大幅に増加させるのに十分な混入ガスがある期間(例えば、ガスが全くない期間よりも5%以上多く上回る期間)を除き、ほとんどの期間出力できる。
【0069】
相分率調整
プロセス中に相分率が変化する可能性がある用途のために、実施形態が提供される。質量流量の測定方法は、プロセス流体の相(固体、水、油、ガスなど)の変化につれて変更される場合がある。
【0070】
密度を利用して、各々、種々の密度を有する2つの成分を含む流体の組成を決定することができる。単純な例は含水率である:
【0071】
【0072】
密度は、式5を利用して、プロセス流体の相分率(ガスまたは液体)を決定するためにも使用できる。同様に、液体中の固体の濃度は、以下のように決定されてもよい:
【0073】
【0074】
ここで、ρ固体は固体密度である。
【0075】
一般に、駆動ゲインは、2つの液体、ガスと液体、または固体と液体の場合、全く異なるように動作する。2つの液体の場合、駆動ゲインは、一般に低く安定している。ガスを含む液体の場合、はるかに高くなるか100%で飽和し、固体の場合、通常はわずかに高くなるが、信号には、より多くのノイズが含まれる。本明細書に記載のすべての密度は、温度補償することができる。温度補償の程度および/または利用される温度補償の方法は、決定された流量のタイプまたはプロセス流体相に応じて変化し得る。
【0076】
図3を参照すると、グラフは、溶液中の固体の存在を検出するために駆動ゲインが利用される方法の例を示している。提供されるグラフの例では、固体溶質がA、B、Cの3点に追加される。溶質の添加A、B、およびCに対応するピークによって示されるように、溶質が溶液に添加されると、駆動ゲインが急激に増加する。これには、対応する密度の上昇も伴う。駆動ゲインは、ピーク後に安定したベースラインa、b、cに戻り、これは、溶質が可溶化していることを示す。密度波形は各溶質添加後に安定するが、溶液密度は全体的に増加することに留意されたい。一実施形態では、溶質添加後の安定したベースラインの検出は、溶質が溶液に入ったことを示す。駆動ゲインのピークA、B、Cは明らかに識別できる。しかし、一実施形態では、溶質の添加が、図示のように、密度に実質的な影響を与える場合、密度変化および/または密度安定性は、確認変数として利用される駆動ゲインと一緒に、溶解の主な指標として利用することができる。
【0077】
図3に示されるものとは異なる溶解プロファイルを有する固体溶質も考えられることに留意されたい。場合によっては、溶質添加により、溶質が可溶化されると横ばいになる駆動ゲインがゆっくりと増加する。次いで、駆動ゲインはこの高レベルのままである。繰り返すが、これは、溶解のみの指標として利用することも、溶質が正しい量で添加され、完全に溶解したことの密度を伴う二次指標として利用することもできる。公称駆動ゲインと密度の全体的なシフトは、溶質が正しい量で添加されたことを示し、駆動ゲイン信号の安定性は、溶質が完全に溶解したことを示す。
【0078】
図3のグラフは、潜在的な固体添加測定の例としてのみ提供されている。曲線の形状、ピークの強度、勾配、ベースラインに戻るかどうか、および図示の他の特性は単なる例である。種々の固体/溶質および種々のプロセス流体は、潜在的に固有の曲線形状、固有のピーク形状およびサイズ、固有の勾配、ベースラインへの固有の戻り、前記の固有の組合せ、および示すには多すぎる一般に固有の特徴および/または駆動ゲイン/密度動作を示すことが当業者によって認識されるであろう。
【0079】
プロセスに存在する相に対して駆動ゲインが動作する方法を知っていると、相分率が変化する可能性があるプロセスを調整して、流量をより正確に測定できる。
【0080】
相分率変化を補償するための流量計5の動作の調整方法が
図4に示されている。ステップ400では、流量計5の駆動ゲイン306が測定される。次いで、ステップ402では、駆動ゲイン306が、第1の「低」閾値を下回っているかどうかが判定される。第1の閾値ポイントを下回る測定駆動ゲインは、プロセス流体が液体のみで構成されている可能性があることを示している。これに当てはまると、ステップ404では、測定密度325の値を使用して液体濃度配分が決定され、プロセス流体内の各液体に質量流量が配分される。一例は、式7の例などの含水率式を利用することであろう。
【0081】
しかし、ステップ402で、駆動ゲイン306が第1の「低」閾値を上回っていると決定されると、駆動ゲインは、ステップ406でさらに分析されるであろう。第1の閾値ポイントを上回る測定駆動ゲインは、プロセス流体が非液体成分を含む可能性があることを示している。一実施形態では、ステップ406の駆動ゲイン分析は、駆動ゲイン306が、低閾値を上回っており、第2の、より高い、駆動ゲインレベル閾値を下回ってもいることを確認することができる。一実施形態では、ステップ406の駆動ゲイン分析は、代替的に、または第2の駆動ゲインレベル閾値と組み合わせて、駆動ゲイン306がノイズ閾値または安定性または変動の他の尺度を下回っているかどうかを判定することができ、これはまた、アルゴリズムによって固定、予め決定および/または動的に決定され得る。ステップ406の駆動ゲイン分析中に、駆動ゲインが第2の駆動ゲインレベル閾値を下回っている、および/またはノイズ閾値を下回っていることが判明すると、これは、追加の相が存在する可能性を示している。したがって、プロセス流体の組成を決定するのを助けるために、プロセス流体の密度325がステップ408で測定される。
【0082】
ステップ408において、密度が、固相の存在に付随する密度の範囲内にあると決定されると、混合物密度値および液体密度値は、ステップ410において、液固濃度配分を計算するために利用される。一例では、この計算は、式8または類似の式を含み得る。液体を含むプロセス流の部分と固体を含む部分とを知ることで、流量計算は、相配分ごとに比例して調整されるため、より正確な流量を提供することができる。記載の密度範囲は、プロセス材料、計器の動作などに応じて変化し得、そしてアルゴリズムによって固定、予め決定および/または動的に決定され得ることを理解されよう。
【0083】
ステップ408において、密度が、固相の存在に付随する密度の範囲を下回っていると決定されると、ステップ412において、密度が、液体範囲閾値を下回っていると決定されるかどうかが確認される。密度が、液体範囲閾値を下回っていると決定されないと、これは、液体の存在を示しており、ステップ404が実行され、測定密度325の値が使用されて液体濃度配分を決定し、質量流量が、プロセス流体の各液体に配分される。一例は、式7の例などの含水率式を利用することであろう。
【0084】
他方、ステップ412において、密度が、液体範囲閾値を下回っていると確認されると、これは、混入ガスの存在を示しており、ステップ414が実行される。ステップ414では、測定混合物密度および測定液体密度値は、GVFを計算するために利用される。一例では、この計算は、式5または類似の式を含み得る。液体を含むプロセス流の部分とガスを含む部分とを知ることで、流量計算は、相配分ごとに比例して調整されるため、より正確な流量を提供することができる。
【0085】
ステップ406の駆動ゲイン分析を参照すると、駆動ゲインが第2の駆動ゲイン分析レベル閾値を上回っている、および/またはノイズ閾値を上回っていることが判明すると、これは、追加の相が存在する可能性を示している。したがって、プロセス流体の組成を決定するのを助けるために、プロセス流体の密度325がステップ416で測定される。ステップ416において、密度が液体範囲閾値を下回っていると決定されると、これは、混入ガスの存在を示しており、ステップ414が上記のように実行される。繰り返すが、液体を含むプロセス流の部分とガスを含む部分とを知ることで、流量計算は、相配分ごとに比例して調整されるため、より正確な流量を提供することができる。
【0086】
実施形態において流量が計算されるすべての点について、流量は、個々の正味流量、相分率として出力されるか、または合計器に累積され得る個々の成分に配分することができる。
【0087】
ステップ416において、密度が液体範囲閾値を上回っていると決定されると、潜在的な誤差を示すアラームまたは通知がステップ418で生成される。
【0088】
繰り返すが、駆動ゲインと密度閾値は、流量計5の使用中にアルゴリズムによって固定、予め決定および/または動的に決定され得ることが強調されなければならない。液体密度は、既知の流体特性から決定されたユーザー入力であり得、または、駆動ゲインを最後の液体状態の指標として使用して自動的に検出され得る。
【0089】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲内にあると本発明者が考えるすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、上記の実施形態の特定の要素を種々組み合わせてまたは排除して、さらなる実施形態を作成することができ、このようなさらなる実施形態は、本発明の範囲および教示の範囲内にあることを当業者は認識するであろう。上記の実施形態を全体的または部分的に組み合わせて、本発明の範囲および教示の範囲内で追加の実施形態を作成することができることも当業者には明らかであろう。
【0090】
したがって、本発明の特定の実施形態と例は、例示の目的で本明細書に記載されているが、関連技術の当業者が認識するように、本発明の範囲内で種々同等の修正が可能である。本明細書で提供される教示は、上記および添付図に示される実施形態だけでなく、他の振動システムにも適用することができる。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。